本発明は、アレイ導波路回折格子型の光波長合分波回路に関する。より詳細には、複数の回折次数の透過波長を使用するアレイ導波路回折格子型の光波長合分波回路に関する。
プレーナ光波回路(PLC:Planer Lightwave Circuit)は、シリコン基板上に形成した石英系ガラス導波路によって構成され、広く光通信用の部品に利用されている。PLC技術を利用したアレイ導波路回折格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)は、光波長合分波機能を実現する回路であり、異なる波長を持つ複数の光信号を1つの光ファイバによって伝送する光波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)通信に重要な役割を果たしている。
AWGは、数10本から数100本の導波路を含んでおり、同位相で分配された光信号は隣り合う導波路の一定の経路長差に応じた位相差が与えられる。アレイ導波路で与えられる位相差は波長に依存するので、AWGにさらに接続されるスラブ導波路において集光する角度に分散を生じる。集光する角度分散にしたがって、波長に応じて異なる出力導波路から光信号が得られる。回折角は、回折次数を含むグレーティング方程式を満たす。複数の異なる回折次数の透過波長を使用する光波長合分波回路は、サイクリック(周回性)AWGまたはカラーレスAWGとも呼ばれている。
図26は、従来技術のサイクリックAWGの構成を示す平面図である。サイクリックAWG9100は、第1の入出力導波路9101、第1のスラブ導波路9102、アレイ導波路9103、第2のスラブ導波路9104および第2の入出力導波路9105が順次接続されて、構成されている。サイクリックAWG9100は、光波長合分波回路として動作する。すなわち、第1の入出力導波路9101の各導波路に、波長チャネルごとに入力した複数の信号光を、第2の入出力導波路9105に合波し、波長多重信号光として出力する機能と、第2の入出力導波路9105に入力した波長多重信号光を、第1の入出力導波路9101の各導波路へ分波し、波長チャネルごとに信号光として出力する機能を有する。
図26において、アレイ導波路9103の個々の導波路の長さは、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。このとき第1の入出力導波路9101の各導波路の内の中央の導波路から第2の入出力導波路9102への透過中心波長λCは、次式で表される。
λC=naΔL/M 式(1)
ここで、naはアレイ導波路9101の実効屈折率であり、MはAWGの回折次数である。Mは任意の整数を取ることができるので、AWGの透過中心波長は複数存在する。ある回折次数に対応する透過中心波長(透過中心周波数)と、それとは1つ異なる回折次数に対応する透過中心波長(透過中心周波数)との差は、AWGの自由スペクトル領域(Free Spectral Range:FSR)と呼ばれている。通常、FSRは、周波数間隔(GHz)によって表される。サイクリックAWGは、このFSRの値を所望の合分波特性に適合するように選択し、複数の異なる回折次数に対応する透過波長を使用することを前提としたAWGである。
図27は、サイクリックAWGの波長合分波機能の一設計例を示した波長合分波器の概念図である。サイクリックAWGを用いた波長合分波回路9200は、第1の入出力導波路に対応する複数のポート9201、第2の入出力導波路に対応するポート9202を持つ。本例では複数のポート9201は8ポート(導波路)から構成され、各ポートの透過中心波長の間隔を100GHzとした場合を示す。FSRは800GHzになるよう設計する。ここで、波長多重信号の中に100GHz間隔で含まれる光信号の各波長をλ1、λ2、…、λ48とする。サイクリックAWGを用いた波長合分波回路9200は、複数のポート9201(第1の入出力導波路)の各ポートから入力する800GHz周期の信号光を第2の入出力導波路に合波して出力し、また逆方向に、波長多重信号光を各800GHz周期の信号光に分波して出力する機能を有する。より具体的な周波数は後述する。
図27の光合分波器9200を実現するサイクリックAWG9100は、一例として、以下の構成により実現できる。導波路のコア・クラッド間比屈折率差が1.5%、コア厚4.5μmである。第1の入出力導波路9101、アレイ導波路9103、第2の入出力導波路9105のコア幅はそれぞれ4.5μmである。アレイ導波路9103の本数は50本、導波路長差ΔLは254.2475μmである。また第1のスラブ導波路9102、第2のスラブ導波路9104の長さはいずれも1128μmである。さらに、第1のスラブ導波路9102に接続する部分の第1の入出力導波路9101の導波路間隔は15μmであり、第1のスラブ導波路9102および第2のスラブ導波路9104がそれぞれ接続する部分の、アレイ導波路9103の導波路間隔は10μmである。
図28は、サイクリックAWGによって構成された図27の光合分波器において、合分波される各信号光の透過中心波長を対応する光周波数によって示した表である。第1の入出力導波路9101の各ポートにおいて、回折次数に対応した複数の異なる透過波長が使用される。例えば表のポート1の列を参照すると、回折次数が242の場合には周波数196400GHzが、回折次数が241の場合には195600GHzが、回折次数が240の場合には周波数194800GHzがそれぞれ対応する。ここで、1つのポートへ入力される波長多重光の各光信号を見れば、回折次数が1つ異なるとき、隣り合う2つの光周波数の周波数間隔が800GHzとなっている。すなわち、隣り合う2つの光周波数の周波数間隔はFSRに対応している。また、隣り合うポート間で周波数を見れば、100GHzずつ異なる周波数が配置されている。ポート1からポート8へ向かって、順次、100GHz間隔の周波数が配置され、ポート8の周波数に続いて、再びポート1に次の周波数が割り当てられており、周回的(サイクリック)に周波数が配置構成されていることがわかる。
図28に示された各信号光の周波数は、国際標準ITU−T G.694.1勧告で定められる周波数グリッド(以下、「ITU−Tグリッド」と呼ぶ)に一致する100GHz間隔の光周波数群を有している。図27における第1のポートの波長λ1は表の最上段左端の196400GHz(波長1526.438nm)に対応し、第8のポートの波長λ48は表の最下段右端の191700GHz(波長1563.862nm)に対応する。図28に記載された周波数の範囲は、光波長多重通信の一般的な使用領域であるCバンド(波長:1530〜1565nm)に一致している。
図29および図30は、サイクリックAWGを実際のWDMシステムで使用する場合の構成例を示した図である。図29および図30は、異なる増設段階におけるシステム構成をそれぞれ示しており、図29が初期段階に、図30が増設後の段階に対応する。図29を参照すると、WDMシステムは6分岐のカプラ9400を持っており、カプラ9400に代えて6ポートの波長群合分波フィルタ9400とすることもできる。カプラ9400の1つのポートには、図27に示したサイクリックAWG9401が接続されている。図30は増設段階が進んだWDMシステムの状態を示しており、カプラまたはフィルタ9400の6つのポートには6つのサイクリックAWG9401〜9406が接続されている。全体では、波長多重光がそれぞれ入出力され得る48ポートを備えた、波長合分波フィルタとして機能する。
WDMシステムの導入にあたっては、初期の段階において、Cバンドのすべての波長の信号を運用する必要は無い。必要な波長数の光送受信装置を設置して運用を開始して、その後に伝送容量の需要に応じて波長数を増加させるのが通常である。したがって、図30のように48ポート分の波長合分波フィルタを設置するのではなく、初期段階では図29のように一部の波長数(ここでは8)に対応するサイクリックAWGだけを導入するのが好ましい。初期コストを抑えて運用を開始して、最終的には図30のようにサイクリックAWGを6つに増設して48ポートの合分波フィルタを実現するのがオペレーションコストの観点から経済的である。
またシステムの増設の際、同一種類のサイクリックAWGを利用することで、メインテナンスに必要な部品を統一し、保守用部品の種類を減らして、運用コストを下げることができる。この観点からも、Cバンド全体をカバーし得るサイクリックAWGは、別個に専用仕様で設計され異なる透過中心波長を有する非サイクリックのAWGを複数種類用いるよりも、システムの管理や保守の容易さコストの面で望ましい。
従来技術のサイクリックAWGにおいては、WDMシステムで使用される複数のAWGの各々に温度調整を行って周波数ずれを補償していた。しかし、AWGで使用する波長に対応した回折次数ごとにずれ量を補正するのに留まっており、不十分なものであった。本発明では、全く異なる視点から、サイクリックAWGの少なくとも一方のスラブ導波路に接続された複数のポート(入出力導波路)に着目して、ポート毎に光フィールドの位置を調整する。スラブ導波路の接続面における、導波路幅方向の光フィールドの位置を、波長に応じて変化させる機構を持つことによって、透過中心波長の周波数ずれを大幅に減らす。光フィールドの位置の調整は、ポート毎に、2つの異なるモード光の発生量および位相差を調整することによって行われ、1つのポート内に現れる異なる光周波数の複数の光信号の透過中心波長を同時に補正することができる。以下、本発明に係るサイクリックAWGの動作原理について説明する。
図1は、光導波路を導波する基底モード光および1次モード光の電界分布(光フィールド)を説明する概念図である。導波路上のコアを伝播する光の中には、異なる伝播モードの光が含まれ得る。図1は、サイクリックAWGの一方のスラブ導波路と、このスラブ導波路に接続される入出力導波路との間の接続部における断面を見たときの、伝播光のモードを説明している。図1の横軸は、入出力導波路の幅方向における位置を示している。横軸上で導波路端と表記した部分は、導波路コア部の両端位置に対応している。縦軸は、光フィールドの強度分布を示している。
再び、図26に示した構成の従来技術のサイクリックAWG9100を参照すると、通常、複数の導波路からなる第1の入出力導波路9101の各導波路には基底モード光のみが伝播する。したがって、第1のスラブ導波路9102と、第1の入出力導波路9101の内の1つの導波路との接続部に励起される光フィールド1のピーク位置は波長によって変化せず、概ね導波路断面の中心位置(一点破線で表示)となる。ここで、上述の光フィールド1に、特定の強度比で1次モード光3が混在している場合を考える。このとき、基底モード光1および1次モード光3の干渉によって、干渉光2の光フィールドのピーク位置は導波路断面を横方向(導波路幅方向)にシフトする。
干渉光2の光フィールドのピーク位置の導波路幅方向におけるシフト量は、両モード光の強度比および位相差によって変化する。基底モード光および1次モード光の間の位相差が0の場合、シフト量は単純に両モード光の強度比によって決まる。一方、基底モード光および1次モード光の間に位相差を与えていくと、その位相差によって両モード光の干渉の影響が緩和される。具体的には、干渉光2の光フィールドのピーク位置の、p軸方向のシフト量は、両モード光の間の位相差が増えるに従って減少する。したがって、両モード光の位相差がπ/2の場合、シフト量は両モード光の強度比によらず0となる。
ここで、サイクリックAWGの一方のスラブ導波路に接続されるポートに注目する、一例を挙げれば、ポートは、図26の一方のスラブ導波路9101に接続される複数の導波路からなる第1の入出力導波路9101の各導波路に対応する。各ポートでは、光合分波回路によって分波または合波される光が入力または出力される。以下の説明では1つのポートは、1つの入出力導波路に対応付けて考えることができる。図26における第1の入出力導波路9101は入出力導波路が8本含まれているが、合分波特性の仕様に応じて、異なる本数の入出力導波路が含まれ得ることに留意されたい。
本発明では、サイクリックAWGの各ポートを透過する、異なる波長(周波数)を持つ複数の光信号に対して、その波長(周波数)に応じて基底モード光および1次モード光の間の位相差が異なるよう入出力導波路を構成する。AWGの1つポートを透過する異なる波長を持つ複数の光信号ごと、上記基底モード光および1次モード光の間位相差を設定する。これによって、透過する光信号の波長(周波数)に応じて、第1のスラブ導波路9102に入射される光の位置を異ならせるようにすることができる。
第1の入出力導波路9101の内の1つのポートに対応する導波路と、第1のスラブ導波路9102との接続部における光フィールドのピーク位置に応じて、AWGの当該ポートにおける透過中心波長は変動する。したがって、第1の入出力導波路9101において、適当な機構を備えることにより、所定の強度比の1次モード光を励起し、この1次モード光および基底モード光の間の位相差が、波長によって変化していれば良い。1次モード光および基底モード光の強度比および両者の位相差を、波長に応じて制御することができれば、従来技術によるサイクリックAWGにおいて課題となっていた、各ポートに現われる異なる波長(透過中心波長)を持つ複数の光信号の透過中心波長を同時に補正することが可能となる。
したがって、本発明の波長合分波回路(サイクリックAWG)は、所定の光路長差で順次長くなる導波路からなるアレイ導波路、前記アレイ導波路の一端に接続された第1のスラブ導波路および前記アレイ導波路の他端に接続された第2のスラブ導波路を備え、複数の回折次数に対応した透過波長を使用する波長合分波回路において、各々が干渉回路を介して前記第1のスラブ導波路に光学的に接続された複数の第1の入出力導波路と、前記第2のスラブ導波路に接続された第2の入出力導波路とをさらに備えている。
本発明の波長合分波回路の干渉回路は、前記複数の第1の入出力導波路の各々から入力された基底モード光の一部を、1次モード光に変換する1次モード励起機構と、前記1次モード励起機構に光学的に接続し、少なくとも基底モード光および1次モード光が伝搬可能であって、前記基底モード光および前記1次モード光の間に所定の透過波長に対して所定の位相差を与えるマルチモード導波路とを有し、前記干渉回路と前記第1のスラブ導波路との接続面において形成された光フィールド分布のピーク位置が、波長によって前記マルチモード導波路の導波路幅方向に変化し、前記変化によって、前記複数の回折次数に対応した透過波長の、規格化されたグリッドからのずれを補償するよう構成されている。
以下、具体的な実施例とともに本発明の構成および動作をさらに詳細に説明する。以下の実施例では、本発明特有の構成を持つサイクリックAWGとアサーマルAWGの構成との様々な組み合わせを含む具体的な構成と波長ずれの改善効果が示される。
図2は、本発明の実施例1のサイクリックAWGの構成を示す平面図である。サイクリックAWG100は、従来技術のAWGと同様に、第1の入出力導波路101、第1のスラブ導波路102、アレイ導波路103、第2のスラブ導波路104、および第2の入出力導波路105を備えている。本発明のサイクリックAWG100は、第1の入出力導波路101および第1のスラブ導波路102の間に、1次モード光励起機構である導波路オフセット106、マルチモード導波路107およびテーパ導波路108をさらに備えている。
したがって、サイクリックAWG100は、所定の光路長差で順次長くなる導波路からなるアレイ導波路103、前記アレイ導波路の一端に接続された第1のスラブ導波路102および前記アレイ導波路の他端に接続された第2のスラブ導波路104を備え、複数の回折次数に対応した透過波長を使用する波長合分波回路である。さらに、各々が干渉回路を介して前記第1のスラブ導波路に光学的に接続された複数の第1の入出力導波路101と、前記第2のスラブ導波路に接続された第2の入出力導波路105とをさらに備えていることになる。
1次モード光励起機構である導波路オフセット106、マルチモード導波路107およびテーパ導波路108が干渉回路を構成する。すなわち、干渉回路は、前記複数の第1の入出力導波路の各々から入力された基底モード光の一部を、1次モード光に変換する1次モード励起機構と、前記1次モード励起機構に光学的に接続し、少なくとも基底モード光および1次モード光が伝搬可能であって、前記基底モード光および前記1次モード光の間に所定の透過波長に対して所定の位相差を与えるマルチモード導波路とを有することになる。
サイクリックAWG100の各部は、以下のような構成を持つ。すべての導波路については、コア・クラッド間比屈折率差が1.5%、コア厚4.5μmである。第1の入出力導波路101、アレイ導波路103および第2の入出力導波路105のコア幅は4.5μmである。アレイ導波路103は50本の導波路を持ち、内側の導波路より一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計され、ΔLは254.2475μmである。また第1のスラブ導波路102および第2のスラブ導波路104の長さはそれぞれ1128μmである。第1のスラブ導波路102に接続する部分の直線テーパ導波路108の配列間隔は15μmであり、第1のスラブ導波路102に接続する部分のアレイ導波路103の導波路間隔および第2のスラブ導波路104に接続する部分のアレイ導波路103の導波路間隔は、それぞれ10μmである。第1の入出力導波路101は、8本の導波路から構成されており、光合分波器としてのポート数は8である。隣接する2つのポート間の合分波光周波数間隔は100GHzで、FSRは800GHzを目標値として狙って設計されている。
図3は、本発明のサイクリックAWGによって構成された図2の光合分波器において、合分波される各信号光の透過中心波長を対応する光周波数によって示した表である。すなわち、図3の各光周波数は、ITU−Tグリッドによって規定された光周波数であって、本発明のサイクリックAWGにおいて目標値とする光周波数が示されている。本発明のサイクリックAWGでは、実現される透過中心周波数と目標値の光周波数と間のずれ量を、従来技術とくらべて大幅に抑える。図3に示すように、第1の入出力導波路101の第1のポート(以下、ポート1と簡略化して呼ぶ)からポート8の各ポートにおいて、異なる回折次数にそれぞれ対応した複数の透過波長が使用される。サイクリックAWG100によって、表の最上段のポート1における回折次数242に対応する196400GHz(波長1526.438nm)から、表の最下段の第8のポートにおける回折次数237に対応する191700GHz(波長1563.862nm)までの48チャネルの信号光が合分波される。
ここで1つのポートに着目すれば、異なる回折次数にそれぞれ対応した異なる光周波数の複数の光信号が合分波されることに留意されたい。例えば、ポート1では、回折次数242に対応する光周波数196400GHzから、異なる値の回折次数237に対応する光周波数192400GHzまで、6つの異なる光周波数を持つ光信号が合分波される。これらの6つの異なる光周波数の隣り合う2つは、FSRの間隔を持つ。例えば、回折次数242に対応する光周波数196400GHzと、1つ異なる値の回折次数241に対応する光周波数195600GHzとの間には、FSRに対応する800GHzの差異がある。同様のことが、ポート2からポート8までの各ポートに当てはまる。
図4は、本発明の実施例1のサイクリックAWGにおける導波路オフセットから直線テーパ導波路近傍をまでの構成を拡大して示した図である。第1の入出力導波路101の内の1つのポート(入出力導波路)について示されており、構成要素の各符号は、図2に示したものと同一である。本実施例においてマルチモード導波路107は、テーパ導波路108を介して第1のスラブ導波路102に接続されている。マルチモード導波路107の導波路幅は7μmであり、直線テーパ導波路108の導波路幅は、第1のスラブ導波路102に接続する部分で11.5μmである。ここで、導波路オフセット106では、直線テーパによってマルチモード導波路107と同等までコア幅を拡大し、さらに、導波路コアの中心軸をずらしてマルチモード導波路107に接続している。導波路オフセット106のこの不連続なコア接続部において、基底モード光の一部のパワーが変換され1次モード光が励起される。
図5は、本発明の実施例1のサイクリックAWGの各ポートにおける透過中心波長の補償に関連するパラメータを示した図である。8つのポートの各ポートについて、導波路オフセット106の中心軸ずれ量(μm)、導波路オフセットにおいて基底モードから1次モードに変換される光パワーの比率(%)、マルチモード導波路107の長さ(μm)および直線テーパ導波路108の長さ(μm)の設計値を示した。
本発明のサイクリックAWGでは、従来技術の構成によってAWGを作製した場合の透過中心周波数(透過中心波長)の周波数ずれ(波長ずれ量)を相殺するように、スラブ導波路の接続部における導波路幅方向の光フィールドのピーク位置を調整する。光フィールドのピーク位置は、1次モード光の発生量および位相を、相殺すべき「周波数ずれ量」に応じて設定することによって実現できる。
したがって、本発明のサイクリックAWGでは、光フィールドのピーク位置を調整する手段として、1次モード光の発生量を制御する手段、および、1次モード光および基底モード光の間の位相差を制御する手段を備える。これらの手段を組み合わせて、1次モード光の発生量および位相を調整し、スラブ導波路の接続部における導波路幅方向の光フィールドのピーク位置を調整する。
導波路オフセット106の中心軸ずれ量を大きくすると、基底モードから1次モードに変換される光パワーの比率は大きくなる。したがって、従来技術の構成によってAWGを作製した場合に透過中心周波数(透過中心波長)の周波数ずれ量(波長ずれ量)が大きなポートについては、導波路オフセット106の中心軸ずれ量を大きくすれば良い。すなわち、周波数ずれが大きいポートに対しては、導波路オフセット106の中心軸ずれ量を大きく設定すれば良い。ITU−Tグリッドは、慣習的に周波数によってチャネルを識別定義することが多いので、チャネルの透過中心波長によっても、ずれ量を表現できるが、以下の説明では、周波数ずれ量に関して説明する。ITU−Tグリッドで規定される目標値からの逸脱と言う点では、波長ずれおよび周波数ずれいずれも同一の事象を意味していることに留意されたい。
本実施例のサイクリックAWGは、AWGの使用温度を回折次数に応じて微調整する温度調整タイプを前提としている。すなわち、本実施例のAWGは、AWGごとに温度調整を行うことによって、透過中心周波数のずれ量を抑えるよう動作することを想定している。したがって、本発明が補償すべき周波数ずれは、図32に示したものとなる。ここで、各ポートにおいて補償すべき周波数ずれ量をより具体的に明らかにするために、ポート毎の周波数ずれ量を決定する。
図33は、温度調整タイプのサイクリックAWGのポート毎の周波数ずれ量を説明する図である。各プロット点は、図32に示した周波数ずれの波長依存性を示したものと同一である。図33の横軸は波長番号であって、左側から右側に向かって波長番号1〜48が対応しており、縦軸は各波長番号に対して周波数ずれ量が表記されている。したがって、横軸を周波数に読み替えた場合は、右側で周波数がより低く、左側で周波数がより高くなることに注意されたい。簡単には、周波数依存特性および波長依存特性は、傾きの極性が逆になると考えれば良い。
ここで、左端の波長番号1〜8の繋がった8つのプロット点群1001は、回折次数242の波長群に対応している。同様に、右端の波長番号41〜48の繋がった8つのプロット点群1006は、回折次数237の波長群に対応している。本発明のサイクリックAWGでは、スラブ導波路の接続部における導波路幅方向の光フィールドのピーク位置を調整することによって、ポート毎に、周波数ずれを補償する。したがって、まずポート毎の周波数ずれ量を把握し、そのずれ量に応じた周波数補償を行う必要がある。
図33では、ポート1に対応する波長の複数のプロット点を結んだ曲線をP1と表記している。ここで、ポート1に対応する波長は、図3の表で1と表記された列の6つの周波数(196400、195600、194800、194000、193200、192400GHz)に対応している。曲線P1が、ポート1に対応する波長に対して、補償すべき周波数ずれの周波数特性を示している。同様に、ポート8に対応する波長の複数のプロット点を結んだ曲線をP8と表記している。ここで、ポート8に対応する波長は、図3の表の8と表記された列の6つの周波数(195700、194900、194100、193300、192500、191700G)に対応している。曲線P8が、ポート8に対応する波長に対して、補償すべき周波数ずれの周波数特性を示している。図面が煩雑になるため図33には示さないが、同様にポート2〜ポート7に対応する曲線P2〜P7を想定できる。
このように図33から、ポート1〜ポート8のポート毎に、周波数ずれの大きさおよび周波数(波長)特性が把握できる。図33で、ポート4、ポート5(P4、P5)に着目すれば、周波数ずれは、最大でも1GHz程度で、補償が不要なレベルであることがわかる。一方で、P1およびP8の各曲線(直線)から明らかなように、ポート1およびポート8については、いずれも補償すべきずれ量の最大値は4GHzと比較的大きく、周波数ずれ量の周波数特性はその傾きが互いに逆であることが分かる。したがって、このようなポート毎に異なる周波数ずれの最大量および周波数特性(傾き・形状)に応じた補償ができれば、各々のポートに対して、ポートごとの周波数ずれ量の周波数特性に適合するように、効果的に周波数ずれを抑えることが期待できる。また、1つのポート内に現われる複数の異なる周波数に対する「補正量」の周波数特性も、図33の各プロット点から把握が可能であって、P1〜P8の各曲線に基づいて、簡単に決定できる。上述のように、本実施例では第1の入出力導波路101の内で、両端に位置しているポート1およびポート8で、周波数ずれ量が大きいことから、本発明によって補正すべき周波数ずれの「補正量」も大きくすれば良い。
再び図5を参照すると、本実施例では、両端に位置しているポート1およびポート8において、導波路オフセット106の中心軸ずれ量をより大きくし、1次モードに変換されるパワー比を相対的に大きくする(1.5%)。また、第1の入出力導波路101の内で中央付近に位置するポート4およびポート5では、導波路オフセット106の中心軸ずれ量をゼロとしており、1次モードへ変換されるパワーが無いように設計している(0%)。このように、補償すべき周波数ずれ量の最大値に応じて、1次モード光の発生量を導波路オフセット106の中心軸ずれ量で制御している。
したがって、本発明のサイクリックAWGでは、入力された光の全パワーに対して、1次モード励起機構(すなわち導波路オフセット106)において1次モード光に変換されるパワーの割合が、前記複数の第1の入出力導波路101の各々の導波路で異なることになる。
本発明のサイクリックAWGは、さらに以下のように構成される。第1の入出力導波路101の各ポートでは、導波路オフセット106において一部の光パワーが1次モードに変換される。基底モード光および1次モード光は、ともに直線テーパ導波路108と第1のスラブ導波路102の接続点に到達する。このとき、マルチモード導波路107および直線テーパ導波路108を伝搬して生じる、基底モードの光に対する実効屈折率と1次モードの光に対する実効屈折率との差分は、波長(周波数)によって異なる。このため、マルチモード導波路107および直線テーパ導波路108を通過した後の、基底モード光および1次モード光の間の位相差も波長(周波数)によって変化することになる。したがって、直線テーパ導波路108の終端(接続部)における光フィールドの分布についても、そのピーク位置は波長(周波数)によって変化することになる。したがって、基底モード光および1次モード光の間の位相差は、所定の長さを有するマルチモード導波路107において、波長によって変化することになる。
言い換えれば、光フィールドの分布のピーク位置は、波長(周波数)依存特性を持つ。逆にこれを利用すれば、マルチモード導波路107および直線テーパ導波路108の長さを変化させることによって、光フィールドの分布のピーク位置の波長(周波数)依存特性を制御できる。
そこで、各ポートに対して、そのポートを透過する複数の光波(信号)の各周波数における周波数ずれ量に適合するように、すなわち、周波数ずれ量の周波数依存特性(波長依存特性)に適合するように、マルチモード導波路107とテーパ導波路108の長さを決定してやれば良い。上記の決定された長さによって、所定の波長(周波数)に対して基底モード光および1次モード光の間に「所定の位相差」が与えられる。このとき、「所定の位相差」によって、透過周中心波数のずれ量を補正する補正量の周波数(波長)特性(傾き・形状)が決定されていることになる。図33とともに説明したように、ポート1〜ポート8のポート毎に、周波数ずれの大きさおよび周波数(波長)特性(傾き・形状)が把握されている。したがって、「所定の位相差」を与えて周波数ずれの補償量の周波数(波長)特性(傾き・形状)を決定することで、図33から把握されるP1〜P8の周波数ずれの周波数(波長)特性に適合させることができる。
したがって、マルチモード導波路107およびテーパ導波路108の長さは、1次モード光と基底モード光との間の位相差を制御する手段として機能するとともに、周波数ずれの周波数(波長)特性に適合するように、補正量の周波数特性(傾き・形状)を決定するように機能することになる。本発明のこの機能によって、直線テーパ導波路108の終端での光フィールドのピーク位置のシフト量(導波路幅方向:p軸)にしたがって、周波数ずれが補正され、かつ、あるポートを透過する、異なる周波数の複数の光波(信号)に対して、周波数ずれ量の周波数特性に適合するように、複数の透過中心波長を同時に一括して補正することができる。
図6は、本実施例における、直線テーパ導波路終端の光フィールド分布のピーク位置が、伝搬する光波の周波数により変化する様子をポートごとに示した図である。ここで縦軸のピーク位置p(μm)は、図4におけるp座標軸の位置に対応し、p=0は直線テーパ導波路の中心位置となる。横軸は光波の周波数であって、波長番号1〜48の範囲の周波数に対応する。既に述べたように、縦軸の光フィールド分布のピーク位置のシフトによって透過中心周波数を変更し補正することができる。したがって、図6の縦軸は、周波数ずれの「補正量」を意味する。ここで、図33とともに説明した、ポート1〜ポート8のポート毎の周波数ずれの大きさおよび周波数(波長)特性と、図6に示した補正量の大きさおよび周波数特性とが対応している点に留意されたい。
例えば、ポート1およびポート8では、図33で説明したP1およびP8の周波数ずれ量を相殺するように、図6のポート1およびポート8の補正量の大きさおよび周波数特性が設定されている。すなわち、概ね横軸の中央付近(194000GHz)でピーク位置が0(補正量が0)となり、横軸の両端で補正量が最大となるようにポート1およびポート8の補正量が設定されている。これは、図33のP1およびP8で示される周波数ずれ量が、横軸の中央付近の波長番号24付近で0であり、両端において最大となっていることに対応している。また、図6のポート1およびポート8の補正量は、その周波数特性の傾きが逆となっている。これも、図33のP1およびP8の周波数ずれ量の傾きが逆になっていることと対応している。
また、ポート4およびポート5に着目すると。図5に示したように導波路オフセットの中心軸ずれ量が0μmに設定されているので、図6に示した補正量は0となる。これは、図33に示した曲線P4およびP5において、周波数ずれ量がほとんどなく、補正が不要であることに対応している。図6の各ポートにおける補正量の最大値および補正量の傾きの大きさは、図5に示した導波路オフセットの中心軸ずれ量に対応している。これは、例えば図5に示したポート1〜ポート4における導波路オフセットの中心軸ずれ量と、図6に示した補正量特性を対比すれば、明らかである。
さらに、図5に示したマルチモード導波路の長さが、ポート1〜ポート4の第1グループと、ポート5〜ポート8の第2グループとの間で、173μmの不連続があることに留意されたい。図6に示した周波数ずれ「補正量」のカーブはいずれも、サイン関数状の形状を持っており2つのグループ間で、その位相が反転していることに注目されたい。上記2つのグループの間のマルチモード導波路の長さの不連続は、「補正量」のカーブの位相の反転を意味しており、図6における補正量の傾斜が正負逆転していることに対応する。
上述のように、本発明のサイクリックAWGにおける直線テーパ導波路終端の光フィールドのピーク位置の変化によって、従来のサイクリックAWGが持っていた透過中心周波数のずれが補正されることになる。この補正は、ポートごとに、導波路オフセット106の中心軸ずれ量を設定して、1次モード光の発生量を制御して行われる。またその補正量は、周波数によって変化し、1つのポート内に現れる異なる複数の周波数の光波に対して、周波数ずれ量の周波数特性に適合するように、複数の透過中心波長を同時に一括して補正することができる。
図7は、本実施例のサイクリックAWGについて、透過中心波長のITU-Tグリッドからのずれ量を示す図である。本実施例のサイクリックAWGは温度調整タイプであり、使用する回折次数によって一定に保つ温度を微調整している。本実施例のサイクリックAWGにおけるITU−Tグリッドからからの周波数ずれは、最大でも±1.2GHz(±0.010nm)であり、従来のサイクリックAWG(図32)と比較して、周波数ずれ量が約1/5に低減されている。透過中心周波数(波長)がよりITU−Tグリッドに整合したサイクリックAWGが実現されている。
なお、本実施形態で説明したサイクリックAWGの各ポートの設計値(図5)では、ポート4およびポート5は導波路オフセットの軸ずれを持たせておらず、1次モードも励起されていない。このように1次モードを励起させる必要のないポート、すなわちITU−Tグリッドからの周波数ずれを補償する必要のないポートについては、当然のことながら、導波路オフセット106、マルチモード導波路107、直線テーパ導波路108を設ける必要はない。これらのポートは、第1の入出力導波路101と第1のスラブ導波路102とを直接接続するようにしても良い。後述する他の実施例においても同様である。
本実施例のサイクリックAWGは、AWGの使用温度を回折次数に応じて微調整する温度調整タイプであった。本発明は、次の実施例で説明するように、アサーマル化された非温度調整タイプのサイクリックAWGにも適用できる。
本発明の実施例2に係る光波長合分波回路は、アサーマル化したサイクリックAWGに対して、実施例1で説明した本発明に特有の構成を適用したものである。本実施例のサイクリックAWGでは、AWGごとに温度調整をする必要がない。周波数ずれの補償量は、実施例1に比べて大きくなる。以下、詳細に本実施例のサイクリックAWGの構成および動作を説明する。
図8は、本発明の実施例2のサイクリックAWGの構成を示す平面図である。サイクリックAWG200は、従来技術のAWGと同様に、第1の入出力導波路201、第1のスラブ導波路202、アレイ導波路203、第2のスラブ導波路204、および第2の入出力導波路205を備えている。本発明のサイクリックAWG200は、第1の入出力導波路101および第1のスラブ導波路202の間に、1次モード光励起機構である導波路オフセット206、マルチモード導波路207および直線テーパ導波路208をさらに備えている。本実施例のサイクリックAWG200においては、温度調整を不要とするために、第1のスラブ導波路202の途中に、導波路を分断する溝209が形成され、溝209内にはシリコーン樹脂が充填されている。この溝209によって、アサーマルサイクリックAWGを実現する。
図9は、本実施例のアサーマルサイクリックAWGにおいて、溝を横切る断面の構成を示す図である。図9は、図8の第1のスラブ導波路202内の線分AA´部分の断面構造を拡大して示している。図9においてスラブ導波路202は、シリコン基板210上に構成されており、導波路コア211およびクラッド212を含む。複数の溝209は、導波路コア211およびクラッド211の一部を取り除いて形成され、導波路コア211を分断している。
アサーマルサイクリックAWG200の各部の構成パラメータは、以下のような構成を持つ。すべての導波路については、コア・クラッド間比屈折率差が1.5%、コア厚4.5μmである。第1の入出力導波路201、アレイ導波路203および第2の入出力導波路205のコア幅は4.5μmである。アレイ導波路203は50本の導波路を持ち、内側の導波路より一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計され、ΔLは254.5987μmである。
図9に示したように、溝209は複数の溝に分割されている。これは、複数の溝を構成する場合のほうが、単一の溝で構成する場合と比べて、放射損失をより低減することができるからである。アレイ導波路203では、各々の導波路が一定量ΔL順次長くなるよう設計されている。すなわち、隣り合う2つの導波路の導波路長の差がΔLとなっている。第1のスラブ導波路202において複数の溝209によって分断される長さの和は、アレイ導波路203の各導波路長に応じて、各導波路に入力する光波が、ΔLに比例した量のΔL´順次長くなるような形状をしている。
ここでαをアレイ導波路およびスラブ導波路の実効屈折率nの温度係数(α=dn/dT、Tは温度)、α´を溝に挿入された温度補償材料の屈折率n´の温度係数(α´=dn´/dT)とする。このとき、本実施例のサイクリックAWGでは、ΔL´=ΔL/(1−α´/α)の関係を満たすように設計されている。これにより、アレイ導波路およびスラブ導波路での光路長差の温度変化が、温度補償材料の光路長差の温度変化によって相殺され、透過中心波長の温度依存性が補償されている。温度補償材料としては、特にα´がαと異符号であり、かつ|α´|が|α|に比較して十分大きいような材料が好ましい。このような条件の材料としては、本実施例で適用されている光学樹脂であるシリコーン樹脂があり、α´はおよそ−35×αである。
第1のスラブ導波路202および第2のスラブ導波路204の長さは、それぞれ1128μmである。第1のスラブ導波路202に接続する部分の直線テーパ導波路208の配列間隔は15μmであり、第1のスラブ導波路202に接続する部分のアレイ導波路203の導波路間隔および第2のスラブ導波路204に接続する部分のアレイ導波路203の導波路間隔は、それぞれ10μmである。第1の入出力導波路201は、8本の導波路から構成されており、光合分波器としてのポート数は8である。隣接する2つのポート間の合分波光周波数間隔は100GHzで、FSRは800GHzを目標値として狙って設計されている。
本実施例のアサーマルサイクリックAWGによって合分波される信号光の各光周波数は実施例1と同様であり、図2で表したものである。第1の入出力導波路201のポート1からポート8において、回折次数に対応した複数の透過波長が使用され、196400GHz(波長1526.438nm)から191700GHz(波長1563.862nm)までの48チャネルの信号光が合分波される。
図10は、実施例2のサイクリックAWGにおける導波路オフセットから直線テーパ導波路近傍をまでを拡大した図である。実施例1で図8に示した構成と同様である。第1の入出力導波路101の内の1つのポート(入出力導波路)について示されており、構成要素の各符号は、図8に示したものと同一である。本実施例においてマルチモード導波路207は、テーパ導波路208を介して第1のスラブ導波路202に接続されている。マルチモード導波路207の導波路幅は7μmであり、直線テーパ導波路208の導波路幅は、第1のスラブ導波路202に接続する部分で11.5μmである。ここで、導波路オフセット206では、直線テーパによってマルチモード導波路207と同等までコア幅を拡大し、さらに、導波路コアの中心軸をずらしてマルチモード導波路207に接続している。導波路オフセット206のこの不連続なコア接続部において、基底モード光の一部のパワーが変換され1次モード光が励起される。
図11は、本発明の実施例2のサイクリックAWGの各ポートにおける透過中心波長の補償に関連するパラメータ値を示した図である。8つのポートの各ポートについて、導波路オフセット206の中心軸ずれ量(μm)、導波路オフセットにおいて基底モードから1次モードに変換される光パワーの比率(%)、マルチモード導波路207の長さ(μm)および直線テーパ導波路208の長さ(μm)の設計値を示した。
本発明のアサーマル化したサイクリックAWGでも、従来技術の構成によってAWGを作製した場合の透過中心周波数(透過中心波長)の周波数ずれ(波長ずれ量)を相殺するように、スラブ導波路との接続部における導波路幅方向(p軸)の光フィールドのピーク位置を調整する。光フィールドのピーク位置は、1次モード光の発生量および位相を、相殺すべき「ずれ量」に応じて設定することによって実現できる。
本発明のアサーマル化したサイクリックAWGでも、光フィールドのピーク位置を調整する手段として、1次モード光の発生量を制御する手段、および、1次モード光と基底モード光との間の位相差を制御する手段を備える。これらの手段を組み合わせて、1次モード光の発生量および位相を調整し、スラブ導波路との接続部における導波路幅方向の光フィールドのピーク位置を調整する。
実施例1と異なり、本実施例のサイクリックAWGは、アサーマル化されているのでAWGの使用温度の微調整は行わない非温度調整タイプを前提としている。したがって、本実施例のサイクリックAWGが補償すべき周波数ずれ量は、図31に示したものとなる。図32で示した実施例1で補償すべき周波数ずれ量と場合と比べて、ずれ量の大きさおよび周波数依存特性(波長依存特性)が大きく異なっている。したがって、実施例1とは異なる設定によって、光フィールドのピーク位置の調整を行うことになる。ここで、実施例1と同様に、各ポートにおいて補償すべき周波数ずれ量をより具体的に明らかにするために、ポート毎の周波数ずれ量を決定する。
図34は、アサーマル化されたサイクリックAWGのポート毎の周波数ずれ量を説明する図である。各プロット点は、図31に示した周波数ずれの波長依存性を示したものと同一である。図34の横軸は波長番号であって、左側から右側に向かって波長番号1〜48が対応しており、縦軸は各波長番号(波長)に対して透過中心周波数の周波数ずれ量が表記されている。したがって、横軸を周波数に読み替えた場合は、横軸の右側で周波数がより低く、左側で周波数がより高くなることに注意されたい。簡単には、周波数依存特性および波長依存特性は、傾きの極性が逆になると考えれば良い。
左端の波長番号1〜8に対応する繋がった8つのプロット点群1101は、回折次数242の波長群に対応している。同様に、右端の波長番号41〜48に対応する繋がった8つのプロット点群1106は、回折次数237の波長群に対応している。本発明のアサーマル化したサイクリックAWGでも、スラブ導波路の接続部における導波路幅方向の光フィールドのピーク位置を調整することによって、ポート毎に、周波数ずれを補償する。したがって、まずポート毎の周波数ずれ量を把握し、そのずれ量に応じた周波数補償を行う必要がある。
図34では、ポート1に対応する波長の複数のプロット点を結んだ曲線をP1と表記している。ここで、ポート1に対応する波長は、図3の表で1と表記された列の6つの周波数(196400、195600、194800、194000、193200、192400GHz)に対応している。曲線P1が、ポート1に対応する波長に対して、補償すべき周波数ずれの周波数特性を示している。同様に、ポート8に対応する波長の複数のプロット点を結んだ曲線をP8と表記している。ここで、ポート8に対応する波長は、図3の表の8と表記された列の6つの周波数(195700、194900、194100、193300、192500、191700G)に対応している。曲線P8が、ポート8に対応する波長に対して、補償すべき周波数ずれの周波数特性を示している。図34には示さないが、同様にポート2〜ポート7に対して、曲線P2〜P7を想定できる。
このように図34から、ポート1〜ポート8のポート毎に、周波数ずれの大きさおよび周波数(波長)特性が把握できる。図34からは、ポート1に比べて、ポート8のほうが周波数のずれ量の最大値が大きいことがわかる。また、周波数ずれ量が0となる波長(光周波数)は、ポート1からポート8にかけて、長波長側にシフトしていることも分かる。したがって、このようなポート毎に異なる周波数ずれの最大量および周波数特性(傾き・形状)に応じた補償をすることで、実施例1の場合と同様に、各々のポートに対して、ポートごとの周波数ずれ量の周波数特性に適合するように、効果的に周波数ずれを抑えることができる。1つのポート内に現われる複数の異なる周波数に対する「補正量」の周波数特性も、図34の各プロット点から把握できるP1〜P8の各曲線に基づいて、簡単に決定できる。
再び図11を参照すると、本実施例では、ポート1からポート8にかけてポート番号が大きいほど、導波路オフセット206の中心軸ずれ量を順次大きくし、1次モードに変換されるパワー比を相対的に大きくしている(2.5%から6.0%へ)。このように、補償すべき周波数ずれ量の最大値に応じて、1次モード光の発生量を導波路オフセット206の中心軸ずれ量で制御している。
本発明のアサーマル化されたサイクリックAWGは、実施例1と同様にさらに以下のように、マルチモード導波路207および直線テーパ導波路208の長さを変化させることによって、光フィールドの分布のピーク位置の波長(周波数)依存特性を制御している。 そこで、各ポートに対して、そのポートを透過する複数の光波(信号)の各周波数における周波数ずれ量に適合するように、すなわち、周波数ずれ量の周波数依存特性(波長依存特性)に適合するように、マルチモード導波路207とテーパ導波路208の長さを決定してやれば良い。
上記の決定された長さによって、所定の周波数(波長)に対して、基底モード光および1次モード光の間に「所定の位相差」が与えられる。このとき、「所定の位相差」によって、透過周中心波数のずれ量を補正する補正量の周波数(波長)特性(傾き・形状)が決定されていることになる。図34とともに説明したように、ポート1〜ポート8のポート毎に、周波数ずれの大きさおよび周波数(波長)特性(傾き・形状)が把握されている。したがって、「所定の位相差」を与えて周波数ずれの補償量の周波数(波長)特性(傾き・形状)を決定することで、図34から把握されるP1〜P8の周波数ずれの周波数(波長)特性に適合させることができる。
図34からは、周波数ずれ量が0となる波長(周波数)がポートによって少しずつ波長番号が大きい方向に変動していることが分かる。したがって、ポート毎に、周波数ずれ量が0となる波長(周波数)に適合するように、マルチモード導波路207およびテーパ導波路208の長さを決定してやれば良い。本実施例では図11に示したように、マルチモード導波路206の長さをポート1からポート8に向かって、順次短くしていくことによって、後述するように周波数ずれの補正量のカーブ(サイン関数)の位相を調整している。
図12は、本実施例における、直線テーパ導波路終端の光フィールド分布ピーク位置の、伝搬する光波の周波数による変化をポート毎に示した図である。ここで縦軸のピーク位置p(μm)は、図10におけるp座標軸の位置に対応し、p=0は直線テーパ導波路の中心位置となる。横軸は光波の周波数であって、波長番号1〜48の範囲の周波数に対応する。既に述べたように、縦軸の光フィールド分布のピーク位置のシフトによって透過中心周波数を変更し補正することができる。したがって、図12の縦軸は、周波数ずれの「補正量」を意味する。
実施例1の場合と同様に、図34とともに説明した、ポート1〜ポート8のポート毎の周波数ずれの大きさおよび周波数(波長)特性と、図12に示した「補正量」の大きさおよび周波数特性が対応している点に留意されたい。すなわち、図34で示したP1〜P8の周波数ずれ量の特性と、図12に示した各ポートの周波数ずれの「補正量」の特性とは、相互に逆特性となっている。例えば、図12の周波数ずれ補正量の振幅(最大値)は、図34の周波数ずれ量の最大値と対応している。そして、各ポートの周波数ずれの補正量の振幅は、図11における導波路オフセット206の中心軸ずれ量と対応している。また、図12の周波数ずれ補正量が0の位置は、図34の周波数ずれ量が0の位置と対応している。そして、各ポートの周波数ずれ補正量が0の位置は、図11におけるマルチモード導波路207の長さによって制御(設定)されている。
実施例1の図6および実施例2の図12における、周波数ずれの補正量のカーブは、より広い周波数範囲で示せば、サイン関数状の特性となる。そして、導波路オフセット206の中心軸ずれ量は、このサイン関数状の特性の最大振幅を決定していると考えることができる。また、マルチモード導波路207およびテーパ導波路208の長さが、サイン関数状の特性の位相を決定していると考えることができる。
実施例1および実施例2のサイクリックAWGでは、光フィールドのピーク位置を調整する手段として、1次モード光の発生量を制御する手段が導波路オフセットに対応することになる。また1次モード光と基底モード光との間の位相差を制御(設定)する手段がマルチモード導波路207およびテーパ導波路208の長さに対応することになる。これらの手段を組み合わせて、1次モード光の発生量および位相を調整し、スラブ導波路の接続部における導波路幅方向の光フィールドのピーク位置を調整する。このように、本実施例のアサーマル化したサイクリックAWGにおける直線テーパ導波路終端の光フィールドのピーク位置の変化によって、従来のサイクリックAWGが持っていた透過中心周波数のずれは、補正されることになる。
透過中心周波数のずれの補正は、ポートごとに、導波路オフセット106の中心軸ずれ量を設定して、1次モード光の発生量を制御して行われる。またその補正量は、周波数によって変化し、1つのポート内に現れる異なる複数の周波数の光波に対して、周波数ずれ量の周波数特性に適合するように、複数の透過中心波長を同時に一括して補正することができる。すなわち、1つのポート内に現れる異なる複数の周波数の光波に対して、周波数ずれ補正量は周波数によって変化している。
図13は、実施例2のサイクリックAWGについて、透過中心波長のITU−Tグリッドからのずれ量を示す図である。本実施例のサイクリックAWGはアサーマル化されており、非温度調整タイプであって、AWGの温度調節は行われない。本実施例のサイクリックAWGにおけるITU−Tグリッドからからの周波数ずれは、最大でも±1.7GHz(±0.014nm)であり、従来のサイクリックAWGでアサーマル化を前提とした場合(図31)に比較して、周波数ずれ量が約1/5に低減されている。透過中心周波数(波長)がよりITU−Tグリッドに整合したサイクリックAWGが実現されている。
なお、本実施例では、温度調整を不要とするための溝209を第1のスラブ導波路202中に設けるようにしたが、例えば、第2のスラブ導波路204やアレイ導波路203上に複数の溝209を設け、シリコーン樹脂を充填する構成にしても良いことは言うまでもない。
上述の実施例1および実施例2では、導波路オフセット106、206を利用して、1次モード光の発生量を制御する例を示したが、これだけに限られない。1次モード光の発生量を制御して、透過中心周波数のずれの補正行うために、他の手段を利用することが可能であって、次の実施例では、本発明の別の構成によるサイクリックAWGを示す。
図14は、本発明の実施例3のサイクリックAWGの構成を示す平面図である。本実施例のサイクリックAWG300は、従来技術のAWGと同様に、第1の入出力導波路301、第1のスラブ導波路302、アレイ導波路303、第2のスラブ導波路304、および第2の入出力導波路305を備えている。本発明のサイクリックAWG300は、第1の入出力導波路301および第1のスラブ導波路302の間に、光スプリッタ306、2本のアーム導波路から成る遅延回路307、光モード合成カプラ308、マルチモード導波路309、直線テーパ導波路310をさらに備えている。
本実施例においては、光スプリッタ306、2本のアーム導波路から成る遅延回路307、光モード合成カプラ308、マルチモード導波路309、直線テーパ導波路310が干渉回路を構成している。すなわち、複数の第1の入出力導波路の各々から入力された基底モード光の一部を、1次モード光に変換する1次モード励起機構は、光スプリッタ306、2本のアーム導波路から成る遅延回路307、光モード合成カプラ308に対応する。
サイクリックAWG300の各部の構成パラメータは、実施例1の構成とほぼ同一であって、以下のような構成を持つ。すべての導波路については、コア・クラッド間比屈折率差が1.5%、コア厚4.5μmである。第1の入出力導波路301、アレイ導波路303、第2の入出力導波路305および遅延回路307のアーム導波路のコア幅は、4.5μmである。アレイ導波路303は50本の導波路を持ち、内側の導波路より一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計され、ΔLは254.2475μmである。
また第1のスラブ導波路302および第2のスラブ導波路304の長さはそれぞれ1128μmである。第1のスラブ導波路302に接続する部分の直線テーパ導波路308の配列間隔は15μmであり、第1のスラブ導波路302に接続する部分のアレイ導波路303の導波路間隔および第2のスラブ導波路304に接続する部分のアレイ導波路303の導波路間隔は、それぞれ10μmである。第1の入出力導波路301は、8本の導波路から構成されており、光合分波器としてのポート数は8である。隣接する2つのポート間の合分波光周波数間隔は100GHzで、FSRは800GHzを目標値として狙って設計されている。
本実施例のサイクリックAWGによって合分波される信号光の各光周波数は実施例1と同様であり、図2で表したものである。第1の入出力導波路301のポート1からポート8において、回折次数に対応した複数の透過波長が使用され、196400GHz(波長1526.438nm)から191700GHz(波長1563.862nm)までの48チャネルの信号光が合分波される。
図15は、実施例3のサイクリックAWGにおける光スプリッタから直線テーパ導波路近傍をまでを拡大した図である。第1の入出力導波路301の内の1つのポート(入出力導波路)について示されており、構成要素の各符号は、図14に示したものと同一である。本実施例においてマルチモード導波路309の導波路幅は7μmであり、直線テーパ導波路310の導波路幅は、第1のスラブ導波路302に接続する部分で11.5μmである。光スプリッタ306として、方向性結合器を用いている。
遅延回路307は第1のアーム導波路307aおよび第2のアーム導波路307bから構成される。光モード合成カプラ308としては導波路幅が非対称な方向性結合器を用いており、第1のアーム導波路307aに接続する導波路308aの幅を2μm、第2のアーム導波路307bに接続する導波路308bの幅を7μmとした。また第1のアーム導波路307aから導波路308aへ、および、第2のアーム導波路307bから導波路308bへはテーパ導波路により滑らかに導波路幅が変換されている。導波路308a、308bの長さは、テーパ導波路を含めて500μmとした。
このとき導波路308aの基底モード実効屈折率と、導波路308bの1次モード実効屈折率はほぼ等しくなっており、第1のアーム導波路307aから導波路308aに入力する基底モード光は、導波路308bの1次モードに結合する。また第2のアーム導波路307bから入力する基底モード光は、そのまま導波路308bを基底モードで伝播する。したがって、マルチモード導波路309へは基底モードと1次モードが合成されて出力される。本実施例の設計では、光モード合成カプラ308の、導波路308aから導波路308bへの結合率は70%である。
本実施例のサイクリックAWGは、実施例1と同様にAWGの使用温度を回折次数に応じて微調整する温度調整タイプを前提としている。本実施例のサイクリックAWGでは、AWGごとに温度調整を行うことによって、さらに透過中心周波数のずれ量を抑えるよう動作する。したがって、本実施例のサイクリックAWGにおいて補償すべき周波数ずれ量は、実施例1における周波数ずれの特性として説明した図32に示したものとなる。各ポートにおいて補償すべき周波数ずれ量は、実施例1の場合と同じである。
図16は、本発明の実施例3のサイクリックAWGの各ポートにおける透過中心波長の補償に関連するパラメータ値を示した図である。8つのポートの各ポートについて、光スプリッタ306の分岐比、第2のアーム導波路307bに対する第1のアーム導波路307aの長さの差、光モード合成カプラ308から出力する光の全パワーに対する1次モード光のパワー比率、マルチモード導波路309の長さ(μm)および直線テーパ導波路310の長さ(μm)の設計値を示した。
本実施例では、実施例1および実施例2における導波路オフセット106および導波路オフセット206に代えて、光スプリッタ306からマルチモード導波路309までの部分が、1次モード光の発生量および位相を制御するように動作する。本実施例では、第1の入出力導波路301の内の端に位置するポート1およびポート8において光スプリッタ306の分岐比を大きくすることによって、1次モードに変換されるパワー比を大きくしている。また、第1の入出力導波路301の内の中央付近に位置するポート4およびポート5において光スプリッタ306の分岐比をゼロとしており、1次モードへ変換されるパワーが無いように設計している。
各ポートの光スプリッタ306により第1のアーム導波路307aに分岐された一部の光パワーが、光モード合成カプラ308によって1次モードに変換される。基底モード光および1次モード光がともに、直線テーパ導波路310および第1のスラブ導波路302の接続点(直線テーパ導波路310の終端部)に到達する。この接続点へ到達する光の基底モード光および1次モード光の間の位相差は、第1のアーム導波路307aと第2のアーム導波路307bの長さの差と、所定の長さを有するマルチモード導波路309および直線テーパ導波路310により生じる。その位相差は、波長(周波数)によって変化するため、直線テーパ導波路310の終端での光フィールド分布においては、そのピーク位置が、波長によって(依存して)導波路幅方向(p軸上で)に変化する。
ここで、本実施例における、直線テーパ導波路310の終端部へ到達する光の基底モード光および1次モード光の間の位相差について考える。両モード光間の位相差は、第1のアーム導波路307aと第2のアーム導波路307bとの間の長さの差により与えられる位相差(第1の位相差)と、所定の長さを有するマルチモード導波路309および直線テーパ導波路310により与えられる位相差(第2の位相差)の和となる。本実施例では、2つの位相差の和が、補償すべき周波数ずれに応じて設定されるべき量になっていれば、2種類の位相差を分配する比率はどのようにも設定することができる。本実施例では、ポート1からポート8における第1のアーム導波路307aおよび第2のアーム導波路307bの長さをそれぞれ同一とし、すべてのポートに対して一定の位相差(第1の位相差)を与えた上で、各ポートのマルチモード導波路309の長さを調節することによって、ポートごと異なる位相差(第2の位相差)を調整している。
したがって、本実施例では、1次モード励起機構は、光スプリッタと、前記光スプリッタに接続する第1のアーム導波路および第2のアーム導波路と、前記第1のアーム導波路および第2のアーム導波路に接続し、前記第2のアーム導波路から入力する基底モード光を1次モードに変換し、前記第1のアーム導波路から入力する基底モードと合流させて出力する光モード合成カプラで構成される。基底モード光および1次モード光の間の位相差は、第1のアーム導波路と第2のアーム導波路の設定された光路長差および所定の長さを有するマルチモード導波路309とテーパ導波路310によって、波長に依存して変化することになる。
本実施例においても、1次モード光の発生量および位相を調整し、スラブ導波路の接続部における導波路幅方向の光フィールドのピーク位置を調整することができる。サイクリックAWGにおける直線テーパ導波路終端の光フィールドのピーク位置の変化によって、従来のサイクリックAWGが持っていた透過中心周波数のずれが補正されることになる点で、実施例1および実施例2と全く同様に動作する。
図17は、本実施例における、直線テーパ導波路終端の光フィールド分布ピーク位置の、伝搬する光波の周波数による変化をポートごとに示した図である。ここで縦軸のピーク位置p(μm)は、図15におけるp座標軸の位置に対応し、p=0は直線テーパ導波路の中心位置となる。横軸は光波の周波数であって、波長番号1〜48の範囲の周波数に対応する。既に述べたように、縦軸の光フィールド分布のピーク位置のシフトによって透過中心周波数を変更し補正することができる。したがって、図17の縦軸は、周波数ずれの「補正量」を意味する。当然のことではあるが、実施例1と同じ周波数ずれを補正するための補正量の特性であるため、図6および図17はほとんど同一の特性となる。
本実施例では、透過中心周波数のずれの補正は、ポートごとに、光スプリッタ306の分岐比を設定して、1次モード光の発生量を制御して行われる。またその補正量は、周波数によって変化し、1つのポート内に現れる異なる複数の周波数の光波に対して、周波数ずれ量の周波数特性に適合するように、複数の透過中心波長を同時に一括して補正することができる。すなわち、1つのポート内に現れる異なる複数の周波数の光波に対して、周波数ずれ補正量は、周波数によって変化している。
図18は、実施例2のサイクリックAWGについて、透過中心波長のITU−Tグリッドからのずれ量を示す図である。本実施例のサイクリックAWGは温度調整タイプであり、使用する回折次数によって一定に保つ温度を微調整している。本実施例のサイクリックAWGにおけるITU−Tグリッドからからの周波数ずれは、最大でも±1.2GHz(±0.010nm)であり、従来のサイクリックAWG(図32)と比較して、周波数ずれ量が約1/5に低減されている。透過中心周波数(波長)がよりITU−Tグリッドに整合したサイクリックAWGが実現されている。
本実施例においては、図15に示したように、光モード合成カプラ308として、非対称な方向性結合器を適用したが、光モード合成カプラ308の具体的な構成は方向性結合器だけに限定されない。
図19は、光モード合成カプラの別の構成例を拡大して示した図である。図19の構成の光モード合成カプラ308は、図15に示したのと同様に非対称な方向性結合器ではあるが、導波路308aに接続する出力導波路は、溝311によって終端されている。ここで、溝311には光波を吸収するような遮光材料が挿入されている。また遮光材料と出力導波路との界面は導波路に垂直ではなく、垂直面から8度傾いている。図19の光モード合成カプラの構成を採用することにより、図15の構成に比較して、導波路308aから導波路308bに結合せずに僅かに残る光を遮断して、第1のスラブ導波路302などに迷光が侵入することを抑制する。また、迷光の反射も抑制することができるため、クロストークおよび反射特性により優れたサイクリックAWGを実現可能である。
図20は、光モード合成カプラのさらに別の構成例を拡大して示した図である。図20の構成の光モード合成カプラ308は、図15に示したのと同様に非対称な方向性結合器ではあるが、導波路308aはその幅が徐々に狭くなり、幅が無くなって終端する構造になっている。このとき、導波路308a、308bの長さは1500μmに設計されている。図20の光モード合成カプラの構成を採用することにより、図15の構成に比較して、導波路308aから導波路308bへの光波の結合率をほぼ100%にすることができる。このため、損失特性により優れたサイクリックAWGが実現可能である。
また本実施例においては、図15のように、光スプリッタ306として、単一の方向性結合器を適用したが、光スプリッタ306はこの構成に限定されない。例えば、非対称Y分岐回路、MMI、波長無依存カプラ(WINC)によっても実現することができる。
本実施例においても、実施例1と同様に、サイクリックAWGにおける直線テーパ導波路終端の光フィールドのピーク位置の変化によって、従来のサイクリックAWGが持っていた透過中心周波数のずれが補正されることになる。この補正は、ポートごとに、光スプリッタ306の分岐比を設定して、1次モード光の発生量を制御して行われる。またその補正量は、周波数によって変化し、1つのポート内に現れる異なる複数の周波数の光波に対して、周波数ずれ量の周波数特性に適合するように、複数の透過中心波長を同時に一括して補正することができる。実施例3の構成を、アサーマル化することもできる。次の実施例は、実施例3のサイクリックAWGの構成に対して、実施例2のアサーマル化AWGの構成を組み合わせたものとなる。
図21は、本発明の実施例4のサイクリックAWGの構成を示す平面図である。本実施例のサイクリックAWG400は、従来技術のAWGと同様に、第1の入出力導波路401、第1のスラブ導波路402、アレイ導波路403、第2のスラブ導波路404、および第2の入出力導波路405を備えている。本発明のサイクリックAWG400は、実施例3と同様に、第1の入出力導波路401および第1のスラブ導波路402の間に、光スプリッタ406、2本のアーム導波路から成る遅延回路407、光モード合成カプラ408、マルチモード導波路409、直線テーパ導波路410を備えている。本実施例では、さらに、温度調整を不要とするために、第1のスラブ導波路402の途中に、導波路を分断する溝409が形成され、溝409内にはシリコーン樹脂が充填されている。この溝409によって、アサーマルサイクリックAWGを実現する。
アサーマルサイクリックAWG400の各部の構成パラメータは、以下のような構成を持つ。すべての導波路については、コア・クラッド間比屈折率差が1.5%、コア厚4.5μmである。第1の入出力導波路401、アレイ導波路403、第2の入出力導波路405、および遅延回路407のアーム導波路のコア幅は4.5μmである。アレイ導波路403は50本の導波路を持ち、内側の導波路より一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計され、ΔLは254.60μmである。
図21に示したように、溝409は複数の溝に分割されている。これは、複数の溝を構成する場合のほうが、単一の溝で構成する場合と比べて、放射損失をより低減することができるからである。アレイ導波路403では、各々の導波路が一定量ΔL順次長くなるよう設計されている。すなわち、隣り合う2つの導波路の導波路長の差がΔLとなっている。第1のスラブ導波路402において複数の溝409によって分断される長さの和は、アレイ導波路403の各導波路長に応じて、各導波路に入力する光波が、ΔLに比例した量のΔL´=1/34×ΔL順次長くなるような形状をしている。
また、第1のスラブ導波路402および第2のスラブ導波路404の長さはそれぞれ1128μmである。第1のスラブ導波路402に接続する部分の直線テーパ導波路408の配列間隔は15μmであり、第1のスラブ導波路402に接続する部分のアレイ導波路403の導波路間隔および第2のスラブ導波路404に接続する部分のアレイ導波路403の導波路間隔は、それぞれ10μmである。第1の入出力導波路401は、8本の導波路から構成されており、光合分波器としてのポート数は8である。隣接する2つのポート間の合分波光周波数間隔は100GHzで、FSRは800GHzを目標値として狙って設計されている。
本実施例のサイクリックAWGによって合分波される信号光の各光周波数は実施例1〜実施例3と同様であり、図2で表したものである。第1の入出力導波路401のポート1からポート8において、回折次数に対応した複数の透過波長が使用され、196400GHz(波長1526.438nm)から191700GHz(波長1563.862nm)までの48チャネルの信号光が合分波される。
図22は、実施例4のサイクリックAWGにおける光スプリッタから直線テーパ導波路近傍をまでを拡大した図である。第1の入出力導波路401の内の1つのポート(入出力導波路)について示されており、構成要素の各符号は、図21に示したものと同一である。本実施例においてマルチモード導波路409の導波路幅は7μmであり、直線テーパ導波路410の導波路幅は、第1のスラブ導波路402に接続する部分で11.5μmである。光スプリッタ406として、方向性結合器を用いている。
遅延回路407は第1のアーム導波路407aおよび第2のアーム導波路407bから構成される。光モード合成カプラ408としては導波路幅が非対称な方向性結合器を用いており、第1のアーム導波路407aに接続する導波路408aの幅を2μm、第2のアーム導波路407bに接続する導波路408bの幅を7μmとした。また第1のアーム導波路407aから導波路408aへ、および、第2のアーム導波路407bから導波路408bへはテーパ導波路により滑らかに導波路幅が変換されている。導波路408a、408bの長さは、テーパ導波路を含めて500μmとした。
このとき導波路408aの基底モード実効屈折率と、導波路408bの1次モード実効屈折率はほぼ等しくなっており、第1のアーム導波路407aから導波路408aに入力する基底モード光は、導波路408bの1次モードに結合する。また第2のアーム導波路407bから入力する基底モード光は、そのまま導波路408bを基底モードで伝播する。したがって、マルチモード導波路409へは基底モードと1次モードが合成されて出力される。本実施例の設計では、光モード合成カプラ408の、導波路408aから導波路408bへの結合率は70%である。
図23は、本発明の実施例4のサイクリックAWGの各ポートにおける透過中心波長の補償に関連するパラメータ値を示した図である。8つのポートの各ポートについて、光スプリッタ406の分岐比、第2のアーム導波路407bに対する第1のアーム導波路407aの長さの差、光モード合成カプラ408から出力する光の全パワーに対する1次モード光のパワー比率、マルチモード導波路409の長さ(μm)および直線テーパ導波路410の長さ(μm)の設計値を示した。
本実施例も、実施例3と同様に、光スプリッタ406からマルチモード導波路409までの部分が、1次モード光の発生量および位相を制御するように動作する。実施例3と異なり、本実施例のサイクリックAWGは、アサーマル化されているのでAWGの使用温度の微調整は行わない非温度調整タイプを前提としている。したがって、本実施例のサイクリックAWGが補償すべき周波数ずれは、実施例2と同じく図31に示したものとなる。すなわち、実施例2と同様に、図34が、アサーマル化されたサイクリックAWGのポート毎の周波数ずれ量を示している。
したがって、図34に示したポート毎に異なる周波数ずれの最大量および周波数特性(傾き・形状)に応じた補償をすることで、実施例3の場合と同様に、各々のポートに対して、ポートごとの周波数ずれ量の周波数特性に適合するように、効果的に周波数ずれを抑えることができる。また、1つのポート内に現われる複数の異なる周波数に対する補正量の周波数特性も、図34の各プロット点から把握できるP1〜P8の各曲線に基づいて、簡単に決定できる。
本実施例では、各ポートの光スプリッタ406により第1のアーム導波路407aに分岐された一部の光パワーが、光モード合成カプラ408によって1次モードに変換される。基底モード光および1次モード光がともに、直線テーパ導波路410および第1のスラブ導波路402の接続点(直線テーパ導波路410の終端部)に到達する。この接続点へ到達する光の基底モード光および1次モード光の間の位相差は、第1のアーム導波路407aおよび第2のアーム導波路407bの間の長さの差と、所定の長さを有するマルチモード導波路409および直線テーパ導波路410により生じる。その位相差は、波長(周波数)によって変化するため、直線テーパ導波路410の終端での光フィールド分布においては、そのピーク位置は、波長によって(依存して)導波路幅方向(p軸上で)に変化する。
実施例3と同様に、本実施例においても、第1のアーム導波路407aと第2のアーム導波路407bとの間の長さの差により与えられる位相差(第1の位相差)と、所定の長さを有するマルチモード導波路409および直線テーパ導波路410により与えられる位相差(第2の位相差)の和となる。本実施例では、ポート1からポート8における第1のアーム導波路407aおよび第2のアーム導波路407bの長さをそれぞれ同一とし、すべてのポートに対して一定の位相差(第1の位相差)を与えた上で、各ポートのマルチモード導波路409の長さを調節することによって、ポートごと異なる位相差(第2の位相差)を調整している。
したがって、本実施例においても、1次モード光の発生量および位相を調整し、スラブ導波路の接続部における導波路幅方向の光フィールドのピーク位置を調整する。サイクリックAWGにおける直線テーパ導波路終端の光フィールドのピーク位置の変化によって、従来のサイクリックAWGが持っていた透過中心周波数のずれは補正されることになる点で、実施例1〜実施例3と全く同様に動作する。
再び図23を参照すると、本実施例では、ポート1からポート8にかけてポート番号が大きいほど、光スプリッタ406の分岐比を順次大きくし、1次モードに変換されるパワー比を相対的に大きくしている(2.5%から6.0%へ)。このように、補償すべき周波数ずれ量の最大値に応じて、1次モード光の発生量を光スプリッタ406の分岐比で制御している。
図24は、本実施例における、直線テーパ導波路終端の光フィールド分布ピーク位置の、伝搬する光波の周波数による変化をポートごとに示した図である。ここで縦軸のピーク位置p(μm)は、図22におけるp座標軸の位置に対応し、p=0は直線テーパ導波路の中心位置となる。横軸は光波の周波数であって、波長番号1〜48の範囲の周波数に対応する。既に述べたように、縦軸の光フィールド分布のピーク位置のシフトによって透過中心周波数を変更し補正することができる。したがって、図24の縦軸は、周波数ずれの「補正量」を意味する。当然のことではあるが、実施例2と同じ周波数ずれを補正するための補正量の特性であるため、図12および図24はほとんど同一の特性となる。
本実施例では、透過中心周波数のずれの補正は、ポートごとに、光スプリッタ406の分岐比を設定して、1次モード光の発生量を制御して行われる。またその補正量は、周波数によって変化し、1つのポート内に現れる異なる複数の周波数の光波に対して、周波数ずれ量の周波数特性に適合するように、複数の透過中心波長を同時に一括して補正することができる。すなわち、1つのポート内に現れる異なる複数の周波数の光波に対して、周波数ずれ補正量は周波数によって変化している。
図25は、実施例4のサイクリックAWGについて、透過中心波長のITU−Tグリッドからのずれ量を示す図である。本実施例のサイクリックAWGはアサーマル化されており、非温度調整タイプであって、AWGの温度調節は行われない。本実施例のサイクリックAWGにおけるITU−Tグリッドからからの周波数ずれは、最大でも±1.7GHz(±0.014nm)であり、従来のサイクリックAWGでアサーマル化を前提とした場合(図31)に比較して、周波数ずれ量が約1/5に低減されている。透過中心周波数(波長)がよりITU−Tグリッドに整合したサイクリックAWGが実現されている。
本実施例においては、図22に示したように、光モード合成カプラ408として、非対称な方向性結合器を適用したが、光モード合成カプラ408の具体的な構成は方向性結合器だけに限定されない。実施例3で説明した図19のように、導波路408aに接続する出力導波路を遮光材料が挿入された溝で終端し、迷光や反射を抑制する構成を採用することができる。また、図20のように導波路408aの幅を徐々に狭めて終端し、導波路408bへの光の結合率をほぼ100%にする構成も適用可能である。
また本実施例においては、図22のように、光スプリッタ406として、単一の方向性結合器を適用したが、光スプリッタ406の具体的な構成は方向性結合器だけに限定されない。例えば非対称Y分岐回路、MMI、波長無依存カプラ(WINC)によっても実現される。
本実施例では、温度調整を不要とするための溝411を第1のスラブ導波路402中に設けている。しかしながらこの構成に限られず、例えば、第2のスラブ導波路404やアレイ導波路403の中に複数の溝411を設け、シリコーン樹脂を充填するようにしても良いことは言うまでもない。
既に述べたとおり、実施例3および実施例4においては、直線テーパ導波路の終端部へ到達する光の基底モード光および1次モード光の間の位相差について、第1のアーム導波路と第2のアーム導波路との間の長さの差により与えられる位相差(第1の位相差)と、所定の長さを有するマルチモード導波路および直線テーパ導波路により与えられる位相差(第2の位相差)の和となる。したがって、2つの位相差の和が、補償すべき周波数ずれに応じて設定されるべき量として、2種類の位相差を適切に分配することができる。したがって、図16および図23に示したのとは異なり、第1のアーム導波路と第2のアーム導波路との間の長さをポート毎に可変することもできる。
ここで、図17および図24に示した直線テーパ導波路終端の光フィールド分布ピーク位置の、伝搬する光波の周波数による変化との関連から、上述の2種類の位相差は次のように説明できる。既に述べたように、図17および図24は、周波数ずれの「補正カーブ」に対応する。この補正カーブは、サイン関数状の形状を持っている。
具体的には、基底モード光および1次モード光の位相差は、サイン関数状のカーブの次のパラメータを利用して調整を行っていると見ることができる。
サイン関数状の補正カーブyは、xを正規化した周波数とすると、単純化すれば、例えば次の式のように表現できる。
y=A×sin(B×x+C) 式(2)
ここで、調整できるパラメータの1つは、サイン関数のCであって、Cを設定することによって、補正カーブのピーク波長(周波数)を設定できる。また、Bを設定することによって、補正カーブの周期すなわち波長依存性を設定できる。実施例3および実施例4では、第1のアーム導波路と第2のアーム導波路との間の長さの差による第1の位相差よって上記サイン関数状カーブの周期(B)を調整し、マルチモード導波路の長さによる第2の位相差によってサインカーブのピーク波長(C)を調整していると見ることができる。これは2種類の位相差を分配する一例であり、本発明においては、2つの位相差の和が、補償すべき周波数ずれに応じて設定されるべき量として、2種類の位相差を適切に分配することができる 。尚、実施例1、実施例2ではBおよびC両方の調整をマルチモード導波路の長さだけで行っていることになる。
以上の4つの実施例から分かるように、本発明の温度調整タイプのサイクリックAWG光波長合分波回路またはアサーマルタイプのサイクリックAWG光波長合分波回路では、従来技術において課題であった、ITU−Tグリッドからの透過中心波長のずれが抑制され、透過中心波長の精度に優れた、光波長合分波回路を得ることができる。
全ての実施例では、導波路の比屈折率差、コア幅及びコア厚を特定の値に限定したが、本発明の適用範囲は、この値に限定されるものではない。
全ての実施の形態では、AWGの設計パラメータを特定の値を例として説明したが、本発明の適用範囲は、必要とされる合分波特性やシステムのチャンル構成に応じて、また、導波路の構成に応じて、様々に変形して実現できるものであって、実施例のパラメータに限定されるものではない。
全ての実施の形態では、合分波される信号の波長数、波長(周波数)間隔を特定の例について説明したが、本発明は、他の構成に対しても様々に変形して適用可能であって、実施例のパラメータに限定されるものではない。
実施例2および実施例4では、温度補償材料としてシリコーン樹脂を使用したが、本発明は、この材料に限定されるものではなく、導波路の実効屈折率温度係数と異なる屈折率温度係数を有する他のどのような材料も適用することができる。
全ての実施例においては、第2の入出力導波路および第2のスラブ導波路を直接接続する構成を例として説明してきたが、この接続部に直線テーパ導波路を適用しもて良い。この場合は、サイクリックAWGの透過率形状はガウシアンとなる。さらには、第2の入出力導波路およびスラブ導波路の接続部に2次モードを励起するようなテーパ導波路、例えばパラボラ形状のテーパ導波路を適用しても良い。この場合は、サイクリックAWGは平坦な透過率形状を実現することが可能である。