JP2010250238A - 光波長合分波回路およびその偏波依存性調整方法 - Google Patents

光波長合分波回路およびその偏波依存性調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】AWG型光波長合分波回路の偏波依存性を調整する。
【解決手段】本発明の一実施形態による光波長合分波回路は、アレイ導波路回折格子と、光スプリッタと、光スプリッタに接続された第1および第2のアーム導波路と、第1および第2のアーム導波路に接続された光モード合成カプラであって、アレイ導波路回折格子のスラブ導波路に光学的に接続された光モード合成カプラとを備える。光モード合成カプラは、第1のアーム導波路から入力される基底モード光を1次モードに結合させ、第2のアーム導波路から入力される基底モード光を基底モードに結合させて、スラブ導波路の端部で合成フィールドを生成する。合成フィールドの基底モード光と1次モード光との位相差における偏波モード間の差異を変化させて、アレイ導波路回折格子の偏波依存性を調整することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、光波長合分波回路およびその偏波依存性調整方法に関し、さらに詳しくは、アレイ導波路回折格子型の光波長合分波回路およびその透過波長の偏波モード間の差異を調整する方法に関する。
ブロードバンド通信サービスの普及により、光通信ネットワークの大容量化の要求がますます高まっている中、多数の光波長信号を一括に伝送する光波長多重(Wavelength Division Multiplexing: WDM)伝送は、ネットワークの伝送容量を飛躍的に増大させる技術として重要である。一方、シリコン等の基板上に形成した石英系ガラス導波路によって構成されたプレーナ光波回路(PLC)は、多様な光デバイスの基盤技術として盛んに研究開発が行われている。かかるPLC技術を利用したアレイ導波路回折格子(Arrayed-Waveguide Grating: AWG)は、多数の光波長を合波あるいは分波する機能を有し、WDM伝送における光波長合分波器として非常に重要な役割を果たしている。
WDM伝送においては、信号光波長の偏波モードは規定されない。信号光波長の偏波状態は、伝送の条件によってあらゆる状態に変化し得るため、信号光波長の偏波状態が変動しても、伝送路の損失はなるべく変動しないことが望ましい。したがって、光波長合分波器としてのAWGにおいても、透過する光の偏波モード間における損失差(Polarization Dependent Loss: PDL)がなるべく小さいという特性が求められる。
図36は、AWGの構成例を示す平面図である。AWG5100は、入力導波路5101、第1のスラブ導波路5102、アレイ導波路5103、第2のスラブ導波路5104、および出力導波路5105を備えている。図37は、図36の線分BB´での断面図である。図のように、シリコン基板5203に、導波路コア5201およびクラッド5202が設けられている。入力導波路5101のあるポートから入射した光波は、第1のスラブ導波路で拡大され、アレイ導波路5103に入射する。アレイ導波路5103の各導波路は、その光路長が一定の光路長差で順次長くなるように設定されており、各導波路を伝播した光波には一定の位相差が付与されて第2のスラブ導波路5104に入射する。これら入射した光波は、第2のスラブ導波路5104で干渉し、出力導波路5105に接続する端面に集光する。このとき、アレイ導波路5103で付与される位相差は波長に依存する(すなわち、波長によって等位相面の傾きが異なる)ため、第2のスラブ導波路5104での集光位置も波長に依存する。したがって、出力導波路5105には、第2のスラブ導波路5104との接続位置に対応した波長の光波が入射し、各ポートに分波される。WDM伝送においては、入力導波路5101に入力された波長多重信号は、各波長の信号に分波されて出力導波路5105の各ポートに出力される。逆に、出力導波路5105の各ポートに入力された各波長の信号は、波長多重信号に合波されて入力導波路5101のあるポートに出力される。
かかるAWGにおいては、入力導波路5101の第1のスラブ導波路5102との接続界面に励起されている光フィールドと、出力導波路5105の第2のスラブ導波路5104との接続界面に励起される光フィールドのパワーオーバーラップ積分が透過スペクトルとなる。通常、これらの光フィールドは基底モード光のみが励起されており、透過スペクトル波形はガウス関数形状となる。
特許第3423297号公報 特許第3266632号公報
S. Suzuki, et al., "Polarisation-insensitive arrayed-waveguide gratings using dopant-rich silica-based glass with thermal expansion adjusted to Si substrate", ELECTRONICS LETTERS, Vol.34, pp.1173-1174., 1997. Y. Hibino, et al., "Optical frequency tuning by laser-irradiation in silica-based March-Zehnder-type multi/demultiplexers," PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, Vol.3, pp.640-642, 1991. J. Leuthold, et al., "Multimode Interference Couplers for the Conversion and Combining of Zero- and First-Order Modes," JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, Vol.16, pp.1228-1238, 1998. M. Abe, et al., "Optical path length trimming technique using thin film heaters for silica-based waveguides on Si," ELECTRONICS LETTERS, Vol.32, pp.1818-1820, 1996.
製造される導波路の実効屈折率においては、伝播する光波の偏波モード間に少なからず差異が発生する。導波路の実効屈折率の偏波モード間差異は、図37に示すような矩形コアの導波路においては、基板に水平な電界成分を有する偏波モード(TEモード)と基板に垂直な電界成分を有する偏波モード(TMモード)との間で最も大きくなる。TEモードとTMモード間の実効屈折率の差異は導波路の複屈折率と呼ばれる。石英系PLCにおいては、通常、複屈折率は有限の値を示すが、これをゼロに近づける幾つかの手法も開発されている(特許文献1、非特許文献1)。
しかしながら、実際にAWGを製造する場合には、導波路の複屈折率を平均的にゼロにすることは可能であるが、製造される各回路において複屈折率はゼロではなく、ある領域に統計的に分布する。これは、製造される導波路のコア幅、コア厚や、コアにかかる応力の製造的な不均一性がその主要因である。このような製造誤差は、AWGの偏波特性に影響を与える。図38は、AWGのTE、TMモード光に対する透過スペクトルの典型例を示したものである。AWGの透過波長は、原理的にアレイ導波路の実効屈折率に比例する。よって、アレイ導波路がゼロでない複屈折率を有する場合、その複屈折率に比例して、TE、TMモードに対する透過波長に差が生じる。図38では、特に、TMモードの実効屈折率がTEモードに対して大きい場合の例を示している。AWGのTE、TMモード間の透過中心波長の差は、偏波依存波長シフト(Polarization Dependent Wavelength Shift: PDWS)と呼ばれる。
図39は、AWGのPDWSに対するPDLスペクトルの変化を示したものである。ここで、AWGの透過スペクトルは、3dB透過幅が0.4nm(50GHz)であるとし、PDWS=0.02nm(2.5GHz)、0.04nm(5GHz)、0.06nm(7.5GHz)の場合を示している。横軸はTE、TMモードの透過中心波長の平均値を基準とした相対波長である。PDWSは、(TMモードの透過中心波長)−(TEモードの透過中心波長)で定義し、以下、本明細書では同様の定義とする。相対波長ゼロにおいてPDL=0dBであるが、相対波長が正または負の状態においては、PDWSが大きいほど、急峻にPDLが増大する様子が分かる。ここで、AWGのPDL特性としては、信号光波長の揺らぎや、透過中心波長の製造精度の観点から、ある波長範囲での最悪値を考慮する必要がある。よって、AWGにおいては、PDWSが大きいほど、そのPDL特性値は大きい(劣化する)といえる。
このように、AWGを実際に製造する場合には、製造誤差によってPDWSがゼロにはならず、それによってPDL特性の劣化が生じ、WDM伝送において求められるPDL特性を歩留まり良く得ることができない、という問題があった。
本発明は、かかる問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、偏波依存性を調整することができる光波長合分波回路を提供することにある。本発明による光波長合分波回路は、製造誤差等によって、PDWSがゼロではなく、またそのPDWSが回路によって変動するような場合であっても、優れたPDL特性を安定的に得ることができる。
上記の課題を解消するにあたっては、一旦回路を製造した後に、PDWSを変化させ、ゼロに調整する、という手段が望ましいと考えられる。このようなPDWSの変化をAWGにおいて得るために、本発明においては、AWGの入力導波路の第1のスラブ導波路への接続部に励起されている光モードに着目した。
従来技術によるAWGにおいては、入力導波路の第1のスラブ導波路への接続部においては基底モード光のみが存在し、フィールドは対称な単峰状である。ここで、入力導波路側の光フィールドに、特定の強度比で1次モード光が混在した場合、フィールドは単峰状ながら非対称な形状となり、その非対称性は基底モード光と1次モード光の位相差により決まる。このフィールドが非対称になると、入力導波路の第1のスラブ導波路への接続部において光フィールド分布のピークが変位することになり、これは、AWGの透過スペクトルにおいては透過中心波長のシフトとなって表れる。
したがって、入力導波路において所定の強度比の1次モード光が励起されおり、かつ適当な機構により、その1次モード光と基底モード光の位相差に関して、偏波モード間の差異を変化させることができれば、従来技術によるAWGにおいて、更にPDWSの変動を生じさせ、製造誤差に起因するPDWSを補償することが可能である。
以上の考察を踏まえ、本発明の課題を解消するために、請求項1に記載の発明は、第1のスラブ導波路と、前記第1のスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路と、前記アレイ導波路の複数の導波路に接続された第2のスラブ導波路とを備えたアレイ導波路回折格子と、光スプリッタと、前記光スプリッタに接続された第1および第2のアーム導波路と、前記第1および第2のアーム導波路に接続された光モード合成カプラであって、前記第1のアーム導波路から入力される基底モード光を1次モードに結合させ、前記第2のアーム導波路から入力される基底モード光を基底モードに結合させて、前記第1のスラブ導波路の端部で合成フィールドを生成する光モード合成カプラとを備え、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を低減するために前記合成フィールドの基底モード光と1次モード光との位相差が偏波モード間で異なるように構成されたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光波長合分波回路であって、前記第1および前記第2のアーム導波路は、その導波路幅が互いに異なり、これにより前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光波長合分波回路であって、前記第1および前記第2のアーム導波路は、少なくともいずれか一方の近傍に溝を備え、これにより前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、前記第1および前記第2のアーム導波路は、少なくともいずれか一方の近傍にダミー導波路を備え、これにより前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、前記光モード合成カプラと前記第1のスラブ導波路との間に、基底および1次モード光が伝播し、2次以上の高次モード光が伝播しないマルチモード導波路をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、前記第1および前記第2のアーム導波路は、少なくともいずれか一方にヒータを備えることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、前記光モード合成カプラは、幅の異なる2本の導波路から構成される方向性結合器であることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、前記光モード合成カプラは、幅の異なる2本の導波路から構成され、幅の狭い方の導波路は、幅が徐々に減少し、終端されていることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、第1のスラブ導波路と、前記第1のスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路と、前記アレイ導波路の複数の導波路に接続された第2のスラブ導波路とを備えたアレイ導波路回折格子と、光スプリッタと、前記光スプリッタに接続された第1および第2のアーム導波路と、前記第1および第2のアーム導波路に接続された光モード合成カプラであって、前記第1のアーム導波路から入力される基底モード光を1次モードに結合させ、前記第2のアーム導波路から入力される基底モード光を基底モードに結合させて、前記第1のスラブ導波路の端部で合成フィールドを生成する光モード合成カプラとを備えた光波長合分波回路において、前記合成フィールドの基底モード光と1次モード光との位相差における偏波モード間の差異を変化させて、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を調整することを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の偏波依存性調整方法であって、前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なる光波長合分波回路において、前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方に紫外線を照射して、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を調整することを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の偏波依存性調整方法であって、前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なる光波長合分波回路において、前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方を加熱して、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を調整することを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項9に記載の偏波依存性調整であって、前記アーム導波路間の光路長差における偏波モード間の差異を変化させて、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を調整することを特徴とする。
本発明により、従来のAWGによる光波長合分波回路において、偏波依存損失特性が製造誤差により変動する問題を解消し、優れた偏波依存損失特性を安定的に有する光波長合分波回路、および優れた偏波依存損失特性を安定的に得られる偏波依存波長シフトの調整方法を提供することができる。
本発明の一実施形態による光波長合分波回路の構成例を示す図である。 本発明の一実施形態による光波長合分波回路のテーパ導波路開口端で生成される基底および1次モード光のフィールドを示す図である。 本発明の一実施形態による光波長合分波回路のテーパ導波路開口端で生成される合成フィールドの変化を示す図である。 図3の各合成フィールドにおける振幅ピーク位置の変化を示す図である。 本発明の一実施形態による光波長合分波回路において、光位相差を正方向にシフトさせたときの合成フィールドの振幅ピーク位置の変化を示す図である。 本発明の一実施形態による光波長合分波回路において、光位相差を負方向にシフトさせたときの合成フィールドの振幅ピーク位置の変化を示す図である。 図1の光波長合分波回路のアーム導波路の構成例を示す図である。 図1の光波長合分波回路のアーム導波路の別の構成例を示す図である。 図1の光波長合分波回路のアーム導波路のさらに別の構成例を示す図である。 本発明の第1の実施例による光波長合分波回路の構成を示す図である。 図11の光波長合分波回路の光スプリッタからテーパ導波路の構成を示す図である。 本発明の第1の実施例による光波長合分波回路のアーム導波路に紫外線を照射したときの導波路の実効屈折率変動量と、アーム導波路間の光位相差の変化を示す図である。 本発明の第1の実施例による光波長合分波回路の調整前の中央の波長チャネルの透過スペクトルおよびPDLスペクトルの一例を示す図である。 図13の光波長合分波回路のアーム導波路に紫外線を照射したときの導波路の実効屈折率変化量δnに対するPDWSの変化を示す図である。 図13の光波長合分波回路の調整後の中央の波長チャネルの透過スペクトルおよびPDLスペクトルの一例を示す図である。 本発明の第1の実施例による光波長合分波回路の調整前の中央の波長チャネルの透過スペクトルおよびPDLスペクトルの別の一例を示す図である。 図16の光波長合分波回路のアーム導波路に紫外線を照射したときの導波路の実効屈折率変化量δnに対するPDWSの変化を示す図である。 図16の光波長合分波回路の調整後の中央の波長チャネルの透過スペクトルおよびPDLスペクトルの一例を示す図である。 本発明の第1の実施例による光波長合分波回路の光モード合成カプラの別の構成例を示す図である。 本発明の第1の実施例による光波長合分波回路の光モード合成カプラのさらに別の構成例を示す図である。 本発明の第1の実施例による光波長合分波回路の光モード合成カプラのさらに別の構成例を示す図である。 本発明の第1の実施例による光波長合分波回路の光スプリッタの別の構成例を示す図である。 本発明の第2の実施例による光波長合分波回路の構成を示す図である。 本発明の第2の実施例による光波長合分波回路の光スプリッタからテーパ導波路の構成を示す図である。 図24の線分AA´での断面図である。 本発明の第2の実施例による光波長合分波回路のアーム導波路を加熱したときの導波路の実効屈折率変動量と、アーム導波路間の光位相差の変化を示す図である。 本発明の第3の実施例による光波長合分波回路の構成を示す図である。 本発明の第3の実施例による光波長合分波回路の光スプリッタからテーパ導波路の構成を示す図である。 本発明の第3の実施例による光波長合分波回路のアーム導波路に紫外線を照射したときの導波路の実効屈折率変動量の平均と、アーム導波路間の光位相差の変化を示す図である。 本発明の第3の実施例による光波長合分波回路の調整前の中央の波長チャネルの透過スペクトルおよびPDLスペクトルの一例を示す図である。 図30の光波長合分波回路のアーム導波路に紫外線を照射したときの導波路の実効屈折率変化量δnに対するPDWSの変化を示す図である。 図30の光波長合分波回路の調整後の中央の波長チャネルの透過スペクトルおよびPDLスペクトルの一例を示す図である。 本発明の第3の実施例による光波長合分波回路の調整前の中央の波長チャネルの透過スペクトルおよびPDLスペクトルの別の一例を示す図である。 図33の光波長合分波回路のアーム導波路に紫外線を照射したときの導波路の実効屈折率変化量δnに対するPDWSの変化を示す図である。 図33の光波長合分波回路の調整後の中央の波長チャネルの透過スペクトルおよびPDLスペクトルの一例を示す図である。 従来技術によるAWG型光波長合分波回路の構成例を示す図である。 図36の線分BB´での断面図である。 従来技術によるAWG型光波長合分波回路におけるTEおよびTMモード光に対する透過スペクトルの典型例を示す図である。 従来技術によるAWG型光波長合分波回路におけるPDWSに対するPDLスペクトルの変化を示す図である。
本発明の実施形態について以下に説明する。本発明の一実施形態にかかるAWG型光波長合分波回路の構成例を図1に示す。この光波長合分波回路100は、入力導波路101、第1のスラブ導波路102、アレイ導波路103、第2のスラブ導波路104、および出力導波路105を備えている。この光波長合分波回路はさらに、光スプリッタ106、第1のアーム導波路107、第2のアーム導波路108、光モード合成カプラ109、マルチモード導波路110、直線テーパ導波路111を備えている。ここで、光モードカプラ109は、第1のアーム導波路107から入力する基底モード光を1次モード光に変換し、第2のアーム導波路108から入力する基底モード光を基底モード光として合成する。合成された基底モード光と1次モード光は、マルチモード導波路110およびテーパ導波路111を、それぞれのモードの実効屈折率に従って伝播する。したがって、テーパ導波路111の開口端、すなわち第1のスラブ導波路102への接続部においては、基底モード光と1次モード光の合成フィールドが生成される。この合成フィールドの基底モード光に対する1次モード光の強度比は、光スプリッタ106における分岐比と、光モード合成カプラの結合率によって決まり、位相差は、第1のアーム導波路107と第2のアーム導波路108の光路長差、マルチモード導波路110の長さ、およびテーパ導波路111の長さによって決まる。
図2は、本発明の一実施形態において、テーパ導波路111の開口端に生成される基底および1次モード光の各フィールド形状を示したものである。ここで、テーパ導波路111の開口端の導波路幅をWとし、導波路の中央を横軸のゼロとし、座標軸の方向は図1のp軸の方向に対応している。また、縦軸は電界の振幅を表している。
図3は、図2に示した基底および1次モード光の合成フィールドの変化を示したものである。ここで、基底モード光と1次モード光の強度比は0.95:0.05に設定している。また、基底モード光に対する1次モード光の位相差を−π、−0.75π、−0.5π、−0.25π、0、0.25π、0.5π、0.75π、πと変えたときの結果をそれぞれ示している。図4は、図3の各合成フィールドにおける振幅ピーク位置の変化を示したものである。図3および図4から、基底モード光に対する1次モード光の位相差を変えることで、単峰状のフィールドを保ったまま、フィールドの振幅ピーク位置が変化することがわかる。AWG100において、このように第1のスラブ導波路102に入力するフィールドの振幅ピーク位置が変化することは、すなわち透過中心波長の変化になる。この合成フィールドの振幅ピークの変位量と、AWG100の透過中心波長の変化量は、ほぼ比例関係になり、振幅ピークの正方向への変位は透過中心波長の長波側への変化、負方向への変位は短波側への変化に対応する。
本発明においては、第1のアーム導波路107と第2のアーム導波路108の間の光路長差に偏波モード間での差異を与える。具体的には、第1のアーム導波路107と第2のアーム導波路108の各々の長さをL、L、各々のTEモードに対する実効屈折率をn(TE)、n(TE)、各々のTMモードに対する実効屈折率をn(TM)、n(TM)としたとき、次式がゼロでないように構成する。
{n(TM)・L−n(TM)・L}−{n(TE)・L−n(TE)・L}=B・L−B・L
ここで、B、Bはそれぞれ第1のアーム導波路107、第2のアーム導波路108の複屈折率であり、次式で与えられる。
=n(TM)−n(TE)
=n(TM)−n(TE)
このように、B・L−B・L≠0である状態で、各偏波モードに対して、上記の合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、適当な手段により第1のアーム導波路107および/または第2のアーム導波路108の実効屈折率を変化させることによって調整が可能である。第1のアーム導波路107の実効屈折率を増加させれば位相差は正方向にシフトし、第2のアーム導波路108の実効屈折率を増加させれば位相差は負方向にシフトする。
以下、この光波長合分波回路におけるPDWSの調整例を説明する。まず、第1のアーム導波路107および第2のアーム導波路108の設計において、B・L−B・Lを有限の値に設定するが、ここでは特にB・L−B・L=0.5λとする。ここで、λはAWG100の動作波長領域の中央の波長、すなわち出力導波路105の中央の導波路に分波されるチャネル波長である。0.5λは波長λの光波に対してπの位相差に相当する。また、設計においては、合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、TEモードについて−0.5πであるように設定する。このとき、TMモードに対する同位相差は、0.5πとなっている。製造された回路の透過スペクトルを評価し、結果により以下の3つに分類する。
(1) PDWS=0
(2) PDWS<0 (TEモードに対してTMモードの透過中心波長が短波側にある)
(3) PDWS>0 (TEモードに対してTMモードの透過中心波長が長波側にある)
分類(1)の場合には、すでにPDWSがゼロ(あるいは問題にならない程度に小さい状態)なので、PDWSの調整は不要である。分類(2)または(3)の場合は、PDWSの調整が必要である。分類(2)の場合、第1のアーム導波路107の実効屈折率を除々に増加させる。これにより合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、正方向にシフトする。図5は、基底モード光に対する1次モード光の位相差の正方向へのシフト量に対する、上記の合成フィールドの振幅ピーク変位を、各偏波モードに関して示したものである。位相差のシフト量は各偏波モードに対して同様であるが、初期状態において位相差の偏波モード間差異が与えられているために、振幅ピークの変位は各偏波モードに対して異なる。TEモードに関して振幅ピークは負の方向に変位し、TMモードに対して振幅ピークは正の方向に変位する。すなわち、AWG100のTEモードの透過中心波長は短波側に変化し、TMモードの透過中心波長は長波側に変化するので、PDWSは正方向に変化する。PDWSがゼロになった時点で、第1のアーム導波路107の実効屈折率変化を停止すれば、PDWSの十分小さいAWGを得ることができる。他方、分類(3)の場合、第2のアーム導波路108の実効屈折率を除々に増加させる。これにより合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、負方向にシフトする。図6は、基底モード光に対する1次モード光の位相差の負方向へのシフト量に対する、上記の合成フィールドの振幅ピーク変位を、各偏波モードに関して示したものである。これによりAWG100のPDWSは、負方向に変化する。PDWSがゼロになった時点で、第2のアーム導波路108の実効屈折率変化を停止すれば、PDWSの十分小さいAWGを得ることができる。
ここで、マルチモード導波路110は本発明の光波長合分波回路に必ずしも必要な要素ではないが、マルチモード導波路110を設置する場合に、その幅としては、少なくとも1次モード光までは伝播可能であるほどは広く、2次モード以上の光は伝播できない(すなわち、2次モード以上の実効屈折率が存在しない)程度の幅であることが好ましい。これは、第1のアーム導波路107から入力する基底モード光が、光モードカプラ110において僅かに2次モード以上の高次モード光に変換された場合でも、その高次モード光をマルチモード導波路110にて抑制し、テーパ導波路111の開口端での合成フィールドにおいて、不必要な変動が生じることを防ぐことができるからである。
また、前述の例では特にB・L−B・L=0.5λと設定したが、PDWSの調整はB・L−B・Lがゼロでない他の値であっても可能である。しかし、PDWSの調整幅を最大にできるのは|B・L−B・L|がAWGの動作波長の1/2である場合であり、効率的な調整という観点でB・L−B・Lは0.5λまたは−0.5λになるべく近く設定されるのが好ましい。
また、B・L−B・Lをゼロでない値とするためには、B≠Bとする手段と、L≠Lとする手段が考えられる。しかし、AWGの動作波長範囲において同様なPDWS調整を実現するためには、LとLはなるべく一致させるのが好ましい。これは、LとLの差異が大きいと、第1のアーム導波路107と第2のアーム導波路108の間の光路長差自体が大きな値となり、光位相差に波長依存性が生じ、結果として、上記の合成フィールドにおける基底モード光と1次モード光の間の位相差に、波長依存性が生じてしまうからである。よって、実質的には、B・L−B・Lをゼロでない値とするために、主としてBとBの差異を利用することになる。
以下、BとBの差異を生じさせる手段について幾つか例示する。図7は、AWG100において第1のアーム導波路107と第2のアーム導波路108の近傍を拡大して示した図であり、導波路幅の差異によってBとBの差異を生じさせる例である。図7においては、第1のアーム導波路107の導波路幅が、第2のアーム導波路108の導波路幅に比較して拡大されている。一般に、導波路幅が広いと、狭い場合に比較して基板またはクラッドからの横方向の応力を受け易くなり、複屈折率は大きくなる傾向にある。よって、図7の構成においては、B>Bが実現される。同様に、第2のアーム導波路108の導波路幅が、第1のアーム導波路107の導波路幅に比較して広ければ、B<Bを実現することができる。ここで、導波路幅の変換は滑らかなテーパ導波路により実現されており、変換による過剰な損失は生じないようになっている。
図8は、図7と同様に第1のアーム導波路107と第2のアーム導波路108の近傍を拡大して示した図であり、応力開放溝を利用してBとBの差異を生じさせる例である。ここで、応力開放溝801、802は、クラッドを取り除いて形成されている。応力開放溝801、802を第1のアーム導波路107の近傍に形成することで、第1のアーム導波路107にかかる横方向の応力が一部開放され、複屈折率が小さくなる傾向にある。よって、図8の構成においては、B<Bが実現される。同様に、第2のアーム導波路108の近傍に応力開放溝を形成すれば、B>Bを実現することができる。
図9は、図7および図8と同様に第1のアーム導波路107と第2のアーム導波路108の近傍を拡大して示した図であり、ダミー導波路を利用してBとBの差異を生じさせる例である。ここで、ダミー導波路901、902は、光の伝播には使用されない。ダミー導波路901、902を第1のアーム導波路107の近傍に形成することで、第1のアーム導波路107にかかる横方向の応力が増加し、複屈折率が大きくなる傾向にある。よって、図9の構成においては、B>Bが実現される。同様に、第2のアーム導波路108の近傍にダミー導波路を形成すれば、B<Bを実現することができる。
以上、BとBの差異を生じさせる幾つかの例を示したが、これらの手段は単独でも利用できるし、組み合わせて利用することができる。組み合わせて利用することにより、BとBの差異をより効率的に生じさせることが可能である。
本発明の第1の実施例に係るAWG型光波長合分波回路の構成を図10に示す。この光波長合分波回路1100は、入力導波路1101、第1のスラブ導波路1102、アレイ導波路1103、第2のスラブ導波路1104、出力導波路1105を備えている。光波長合分波回路1100はさらに、光スプリッタ1106、第1のアーム導波路1107、第2のアーム導波路1108、光モード合成カプラ1109、マルチモード導波路1110、直線テーパ導波路1111を備えている。
図10においてアレイ導波路1103の長さは、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。このAWG1100は石英系PLCにより構成され、クラッドの屈折率を1.44425、導波路の比屈折率差Δを1.5%、コア厚を4.5μmとし、入力導波路1101、アレイ導波路1103、出力導波路1105、および第2のアーム導波路1108のコア幅は4.5μmとしている。また、波長チャネル数は40、中央の波長チャネルの透過波長は1544.53nm(194.1THz)、波長チャネル間隔は0.8nm(光周波数間隔100GHz)である。このとき、アレイ導波路の本数は250本、ΔLは33.9μmである。また、第1のスラブ導波路1102および第2のスラブ導波路1104の長さは8100μmであり、出力導波路1105は、第2のスラブ導波路1104に接続する部分において16μm間隔で波長チャネル数(すなわち、40本)配置されている。
図11は、図10の光波長合分波回路における光スプリッタ1106からテーパ導波路1111近傍を拡大した図である。各符号は図10と同様である。ここで、光スプリッタ1106としては方向性結合器を用いている。また、第1のアーム導波路1107のコア幅は20μmに拡大されている。このとき、第1のアーム導波路1107の長さLおよび複屈折率B、第2のアーム導波路1108の長さLおよび複屈折率Bは、L=3900μm、B=2.3×10−4、L=3900μm、B=3×10−5であり、B・L−B・L=0.77μmとなっている。また、光モードカプラ1110としては導波路幅が非対称な方向性結合器を用いており、第1のアーム導波路1107に接続する導波路1201の幅を2.5μm、第2のアーム導波路1108に接続する導波路1202の幅を8μmとし、導波路1201、1202の長さは500μmとしている。また、光スプリッタ1106から第1のアーム導波路1107、第1のアーム導波路1107から導波路1201へは曲線テーパにより滑らかに導波路幅が変換されており、第2のアーム導波路1108から導波路1202へは直線テーパにより滑らかに導波路幅が変換されている。このとき、導波路2101の基底モード実効屈折率と、導波路1202の1次モード実効屈折率はほぼ等しくなっており、第1のアーム導波路1107から導波路1201に入力する基底モード光は、導波路1202の1次モードに結合する。また、第2のアーム導波路1108から入力する基底モード光は、そのまま導波路1202を基底モードで伝播するので、マルチモード導波路1110へは基底モードと1次モードが合成され出力される。基底モード光と1次モード光の光強度比は、光スプリッタ1106における分岐比と、光モード合成カプラ1109の導波路1201から1202への結合率によって決まるが、本実施例ではそれぞれ5.5%、90%に設計されており、基底モード光と1次モード光の光強度比は95:5である。また、光モード合成カプラ1109は、マルチモード導波路1110およびテーパ導波路1111を介して第1のスラブ導波路1102に接続されている。テーパ導波路1111の長さは400μm、開口端の幅は13μmである。マルチモード導波路1110およびテーパ導波路1111においては、基底モード光は基底モード光のまま、1次モード光は1次モード光のまま伝播する。したがって、テーパ導波路1111の開口端、ないし第1のスラブ導波路1102への接続部においては、基底モード光と1次モード光の合成フィールドが生成される。
この合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、第2のアーム導波路1108に対する第1のアーム導波路1107の長さおよび実効屈折率の差分、マルチモード導波路1110の長さ、およびテーパ導波路1111の長さによって決まるが、本実施例では第2のアーム導波路1108に対する第1のアーム導波路1107の長さの差分はゼロとし、基底モード光に対する1次モード光の位相差がTEモード偏波で−0.5πになるようにマルチモード導波路1110の長さを設計している。このとき、TMモード偏波での同位相差は0.5πになる。
本実施例における光波長合分波回路のPDWS調整方法を説明する。本実施例では、第1のアーム導波路1107または第2のアーム導波路1108において実効屈折率を変化させる。その手法としては、紫外光の照射を用いる。石英系PLCにおいて、紫外光照射により導波路の実効屈折率を変化させる技術については、非特許文献2に開示されている。石英系導波路に紫外光を照射した場合には、導波路の実効屈折率を増加させることが可能である。
図11において、領域1203、1204に紫外光を照射する。実際には、領域1203あるいは1204の形状のみ切り取られた金属板等をPLC上面に設置し、上面から紫外光を照射することで、PLCの所望の領域のみに紫外光を到達させることができる。ここで、領域1203および1204に重なる第1のアーム導波路1107または第2のアーム導波路1108の部分の導波路長は、各500μmである。
図12は、領域1203または1204に紫外線を照射した場合における導波路の実効屈折率変動量と、第2のアーム導波路1108に対する第1のアーム導波路1107の光位相差の変化を示した図である。ここで、光の波長は1545nm付近であるとしている。領域1203(すなわち、第1のアーム導波路1107)に紫外線を照射した場合には、実効屈折率変化に対し、光位相差が正方向にシフトし、領域1204(すなわち、第2のアーム導波路1108)に紫外線を照射した場合には、実効屈折率変化に対し、光位相差が負方向にシフトすることがわかる。これら光位相差のシフトは、TE、TMモード偏波の光に対して同様に生じる。
本実施例のAWG1100の第1のスラブ導波路1102、アレイ導波路1103および第2のスラブ導波路1104から成る干渉回路において、PDWS=0.06nmが残留していたとする。図13はその場合のTE、TMモード偏波に対するAWG1100の中央の波長チャネルの透過スペクトル、および同じくAWG1100の中央の波長チャネルのPDLスペクトルを示したものである。残留するPDWSの影響によって、透過中心波長から離れるにしたがってPDLが急激に増大する様子がわかる。このPDWS>0の場合、PDWSを低減するために、領域1204に紫外光を照射し、第2のアーム導波路1108の一部の実効屈折率を増加させる。図14は、正のPDWSを有するAWGの領域1204に紫外光を照射したときの導波路の実効屈折率変化量δnに対するPDWSの変化を示したものである。実効屈折率の増加に伴ってPDWSは減少傾向を示し、δn=1.2×10−4になったときにPDWS=0、すなわち目的とする状態に達する。実際の波形調整においては、紫外光を照射しながら同時に透過スペクトルを測定し、PDWS=0となった時点で照射を停止する、という工程が考えられる。図15は、δn=1.2×10−4まで紫外光を照射した調整後において、TE、TMモード偏波に対する中央の波長チャネルの透過スペクトル、および同じく中央の波長チャネルのPDLスペクトルを示したものである。調整によって、偏波モード間の透過スペクトルの波長シフトが改善され、透過中心波長から離れたとしても、優れた低PDL特性が得られることが確認される。
別の場合として、本実施例のAWG1100の第1のスラブ導波路1102、アレイ導波路1103、第2のスラブ導波路1104から成る干渉回路において、PDWS=−0.04nmが残留していたとする。図16はこの場合のTE、TMモード偏波に対するAWG1100の中央の波長チャネルの透過スペクトル、および同じくAWG1100の中央の波長チャネルのPDLスペクトルを示したものである。やはり残留するPDWSの影響によって、透過中心波長から離れるにしたがってPDLが急激に増大する様子がわかる。そこでこの負のPDWSをを調整して解消するために、領域1203に紫外光を照射し、第1のアーム導波路1107の一部の実効屈折率を増加させる。図17は、負のPDWSを有するAWGの領域1203に紫外光を照射したときの導波路の実効屈折率変化量δnに対するPDWSの変化を示したものである。実効屈折率の増加に伴ってPDWSは増加傾向を示し、δn=8.0×10−5になったときにPDWS=0、すなわち目的の状態に達する。図18は、δn=8.0×10−5まで紫外光を照射した調整後において、TE、TMモード偏波に対する中央の波長チャネルの透過スペクトル、および同じく中央の波長チャネルのPDLスペクトルを示したものである。調整によって、やはり偏波モード間の透過スペクトルの波長シフトが改善され、透過中心波長から離れたとしても、優れた低PDL特性が得られることが確認される。
本実施例においては、図11のように、光モード合成カプラ1109として、非対称な方向性結合器を適用したが、光モード合成カプラ1109の実現はこの構成に限定されない。図19は別構成における光モード合成カプラ1109近傍を拡大した図である。図19の構成においては、図11と同様に導波路1301、1302からなる非対称な方向性結合器ではあるが、導波路1301に接続する出力導波路は、溝1303によって終端されている。ここで、溝1303には光波を吸収する遮光材料が挿入されており、また遮光材料と出力導波路の界面は導波路に垂直ではなく、垂直面から8度傾いている。図19の構成により、図11の構成に比較して、導波路1301から導波路1302に光が結合せずに僅かに残る光波を遮断して第1のスラブ導波路1102などに迷光が侵入することを抑制し、またこの光波の反射も抑制することができるため、AWG1100の光学特性において、よりクロストークおよび反射特性に優れるものが実現可能である。
図20は更に別構成における光モード合成カプラ1109近傍を拡大した図である。図20の構成においては、図11と同様に導波路1401、1402からなる非対称な方向性結合器ではあるが、導波路1401はその幅が徐々に狭くなり、最終的に幅が無くなって終端する構造になっている。このとき、導波路1401、1402の長さは1100μmに設計されている。図20の構成により、図11の構成に比較して、導波路1401から導波路1402への光波の結合率をほぼ100%にすることができるため、AWG1100の光学特性において、より損失特性に優れたものが実現可能である。
図21は更に別構成における、光モード合成カプラ1109近傍を拡大した図である。図21の構成においては、光モード合成カプラ1109は2つのマルチモード干渉回路(Multi−Mode Interforometer: MMI)からなる。この構成については詳しくは、非特許文献3に開示されている。この光モード合成カプラ1109は、第1のMMI1501、第2のMMI1502、および中間導波路1503、1504、1505を備えている。第1のMMI1501は、幅20μm、長さ754μmであり、第2のMMI1502は、幅20μm、長さ377μmである。また、中間導波路1503は、幅4.5μm、長さ50μmであり、中間導波路1504は、幅4.5μm、長さ51.5μmであり、中間導波路1505は、幅4.5μm、長さ53μmである。一般に、MMIは方向性結合器に比較して、導波路幅の変化に対する分岐特性の変化が小さい。従って、図21の構成により、図11の構成に比較して、導波路の幅に作製誤差が生じた場合においても、アーム導波路1107から入力した基底モード光がマルチモード導波路1110の一次モードに結合する結合率が影響されないため、AWG1100の光学特性において、より作製トレランスに優れたものを実現可能である。
また、本実施例においては、図11のように、光スプリッタ1106として、単一の方向性結合器を適用したが、光スプリッタ1106の実現はこの構成に限定されない。例えば、Y分岐回路やMMIによっても実現可能である。更に好ましくは、光スプリッタ1106は波長無依存カプラ(Wavelength INdependent Coupler: WINC)により実現される。図22は、WINCによって構成された光スプリッタ1106近傍を拡大した図である。この光スプリッタ1106は、方向性結合器1601、1602、およびアーム導波路1603、1604を備えている。方向性結合器1601、1602の結合率はそれぞれ85%、90%であり、アーム導波路1604に対するアーム導波路1603の光路長差は0.49μmであり、WINCは分岐比5.5%の光スプリッタとして機能している。WINCを用いる図22の構成により、単一の方向性結合器を用いる図11の構成に比較して、分岐比の波長依存性が小さいため、AWG1100の光学特性において、より広い波長範囲で均一な波形調整動作を得ることができる。
本発明の第2実施例のAWG型光波長合分波回路の構成を図23に示す。この光波長合分波回路2100は、入力導波路2101、第1のスラブ導波路2102、アレイ導波路2103、第2のスラブ導波路2104、出力導波路2105を備えている。光波長合分波回路2100はさらに、光スプリッタ2106、第1のアーム導波路2107、第2のアーム導波路2108、光モード合成カプラ2109、マルチモード導波路2110、直線テーパ導波路2111を備えている。また、第1のアーム導波路2107および第2のアーム導波路2108にはそれぞれ、導波路の一部を加熱できるようにヒータ2112、2113が備えられている。
図23においてアレイ導波路2103の長さは、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。このAWG2100はPLCにより構成され、クラッドの屈折率を1.44425、導波路の比屈折率差Δを1.5%、コア厚を4.5μmとし、入力導波路2101、アレイ導波路2103、出力導波路2105、第1のアーム導波路2107、および第2のアーム導波路2108のコア幅は4.5μmとしている。また、波長チャネル数は40、中央の波長チャネルの透過波長は1544.53nm(194.1THz)、波長チャネル間隔は0.8nm(光周波数間隔100GHz)である。このとき、アレイ導波路の本数は250本、ΔLは33.9μmである。また、第1のスラブ導波路2102および第2のスラブ導波路2104の長さは8100μmであり、出力導波路2105は、第2のスラブ導波路2104に接続する部分において16μm間隔で波長チャネル数(すなわち、40本)配置されている。
図24は、図23の光波長合分波回路における光スプリッタ2106からテーパ導波路2111近傍を拡大した図である。各符号は図23と同様である。ここで、光スプリッタ2106としてはWINCを用いており、方向性結合器2201、2201、およびアーム導波路2203、2204を備えている。方向性結合器2201、2202の結合率はそれぞれ85%、90%、アーム導波路2204に対するアーム導波路2203の光路長差は0.49μmであり、WINCは分岐比5.5%の光スプリッタとして機能している。また、第1のアーム導波路2107の近傍には、応力開放溝2207、2208が設けられている。このとき、第1のアーム導波路2107の長さLおよび複屈折率B、第2のアーム導波路1108の長さLおよび複屈折率Bは、L=15500μm、B=−2×10−5、L=15500μm、B=3×10−5であり、B・L−B・L=0.77μmとなっている。図25は、図24の線分AA´での断面構造を示した図である。図のように、シリコン基板2304に、それぞれ第1のアーム導波路2107、第2のアーム導波路2108の導波路コア2301、2302、およびクラッド2303が設けられている。ヒータ2112、2113は各導波路コア2301、2302の上部にあたるクラッド2304の表面に実装され、それぞれの導波路を加熱できるようになっている。応力開放溝2207、2208は、導波路コア2301の両脇にクラッドの一部を取り除いて形成される。導波路コア2301と各応力開放溝2207、2208の間に残されたクラッドの幅は、本実施例では10μmである。
また、図24のように、光モードカプラ2109としては導波路幅が非対称な方向性結合器を用いており、第1のアーム導波路2107に接続する導波路2205は幅2.5μmから徐々に狭くなり、幅が無くなって終端する構造になっている。第2のアーム導波路2108に接続する導波路2206の幅は8μmとし、導波路2205、2206の長さは1100μmとしている。また、第2のアーム導波路2108から導波路2206へは直線テーパにより滑らかに導波路幅が変換されている。光モードカプラ2009から出力される基底モード光と1次モード光の光強度比は、光スプリッタ2106における分岐比と、光モード合成カプラ2109の導波路2205から2206への結合率によって決まるが、本実施例ではそれぞれ5.5%、90%に設計されており、基底モード光と1次モード光の光強度比は95:5である。また、光モード合成カプラ2109は、マルチモード導波路2110、テーパ導波路2111を介して第1のスラブ導波路2102に接続されている。マルチモード導波路2110の導波路幅は8μmであり、テーパ導波路2111の長さは400μm、開口端の幅は13μmである。このテーパ導波路2111において、基底モード光は基底モード光のまま、1次モード光は1次モード光のまま伝播する。したがって、テーパ導波路2111の開口端、ないし第1のスラブ導波路2102への接続部においては、基底モード光と1次モード光の合成フィールドが生成される。
この合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、第2のアーム導波路2108に対する第1のアーム導波路2107の長さの差分、マルチモード導波路2110の長さ、およびテーパ導波路2111の長さによって決まるが、本実施例では第2のアーム導波路2108に対する第1のアーム導波路2107の長さの差分はゼロとし、基底モード光に対する1次モード光の位相差がTEモード偏波で−0.5πになるようにマルチモード導波路2110の長さを設計している。このとき、TMモード偏波での同位相差は0.5πになる。
本実施例における光波長合分波回路のPDWS調整方法を説明する。本実施例では、第1のアーム導波路2107または第2のアーム導波路2108において実効屈折率を変化させる。ただし本実施例では、第1のアーム導波路2107にはヒータ2112、第2のアーム導波路2108にはヒータ2113を備えており、各アーム導波路の実効屈折率を変化させる手法としては、ヒータ2112または2113を一定時間加熱し、導波路材質の非可逆的変化を起こす手法を用いる。石英系PLCにおいて、ヒータによる加熱によって導波路の実効屈折率を非可逆的に変化させる技術については、非特許文献4に開示されている。石英系導波路に一定時間の加熱を行った場合には、導波路の実効屈折率を増加させることが可能である。
図24において第1のアーム導波路2107、第2のアーム導波路2108それぞれの上部に実装されたヒータ2112、2113の長さと幅は、2000μm、50μmとなっている。図26は、ヒータ2112または2113を一定時間加熱した場合の導波路の実効屈折率変動量と、第2のアーム導波路2108に対する第1のアーム導波路2107の光位相差の変化を示した図である。ここで、光の波長は1545nm付近であるとしている。ヒータ2112により第1のアーム導波路2107を加熱した場合には、実効屈折率変化に対し、光位相差が正方向にシフトし、ヒータ2113により第2のアーム導波路2108を加熱した場合には、実効屈折率変化に対し、光位相差が負方向にシフトすることがわかる。
図26に示したように光位相差を変化させることで、テーパ導波路2111の開口端における基底モード光に対する1次モード光の位相差が、TE、TM各偏波モードで変化する。これにより、テーパ導波路2111の開口端における合成光フィールドのピーク位置を、各偏波モードに対して異なるように変化させ、AWG2100のPDWSを調整することができる。また、本実施例において、AWG2100の第1のスラブ導波路2102、アレイ導波路2103、第2のスラブ導波路2104から成る干渉回路において残留したPDWSに対する調整は、第1の実施例に説明された手順と全く同様に行うことができる。
本発明の第3実施例のAWG型光波長合分波回路の構成を図27に示す。この光波長合分波回路3100は、入力導波路3101、第1のスラブ導波路3102、アレイ導波路3103、第2のスラブ導波路3104、出力導波路3105を備えている。光波長合分波回路3100はさらに、光スプリッタ3106、第1のアーム導波路3107、第2のアーム導波路3108、光モード合成カプラ3109、マルチモード導波路3110、直線テーパ導波路3111を備えている。
図27においてアレイ導波路3103の長さは、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。このAWG3100は石英系PLCにより構成され、クラッドの屈折率を1.44425、導波路の比屈折率差Δを1.5%、コア厚を4.5μmとし、入力導波路3101、アレイ導波路3103、出力導波路3105、第1のアーム導波路3107、および第2のアーム導波路3108のコア幅は4.5μmとしている。また、波長チャネル数は40、中央の波長チャネルの透過波長は1544.53nm(194.1THz)、波長チャネル間隔は0.8nm(光周波数間隔100GHz)である。このとき、アレイ導波路の本数は250本、ΔLは33.9μmである。また、第1のスラブ導波路3102および第2のスラブ導波路3104の長さは8100μmであり、出力導波路3105は、第2のスラブ導波路3104に接続する部分において16μm間隔で波長チャネル数(すなわち、40本)配置されている。
図28は、図27の光波長合分波回路における光スプリッタ3106からテーパ導波路3111近傍を拡大した図である。各符号は図27と同様である。ここで、光スプリッタ3106としてはWINCを用いており、方向性結合器3201、3202、およびアーム導波路3203、3204を備えている。方向性結合器3201、3202の結合率はそれぞれ85%、90%、アーム導波路3204に対する3203の光路長差は0.49μmであり、WINCは分岐比5.5%の光スプリッタとして機能している。本実施例では、前述の実施形態や実施例とは異なり、第1のアーム導波路3107と第2のアーム導波路3108の間の光路長差における偏波モード間差異を与えない。第1のアーム導波路3107の長さLおよび複屈折率B、第2のアーム導波路3108の長さLおよび複屈折率Bは、L=3000μm、B=3×10−5、L=3000μm、B=3×10−5であり、B・L−B・L=0.0μmとなっている。
また、図28のように、光モードカプラ3109としては導波路幅が非対称な方向性結合器を用いており、第1のアーム導波路3107に接続する導波路3205は幅2.5μmから徐々に狭くなり、幅が無くなって終端する構造になっている。第2のアーム導波路3108に接続する導波路3206の幅は8μmとし、導波路3205、3206の長さは1100μmとしている。また、第2のアーム導波路3108から導波路3206へは直線テーパにより滑らかに導波路幅が変換されている。光モードカプラ3009から出力される基底モード光と1次モード光の光強度比は、光スプリッタ3106における分岐比と、光モード合成カプラ3109の導波路3205から3206への結合率によって決まるが、本実施例ではそれぞれ5.5%、90%に設計されており、基底モード光と1次モード光の光強度比は95:5である。また、光モード合成カプラ3109は、マルチモード導波路3110、テーパ導波路3111を介して第1のスラブ導波路3102に接続されている。マルチモード導波路3110の導波路幅は8μmであり、テーパ導波路3111の長さは400μm、開口端の幅は13μmである。このテーパ導波路3111において、基底モード光は基底モード光のまま、1次モード光は1次モード光のまま伝播する。したがって、テーパ導波路3111の開口端、ないし第1のスラブ導波路3102への接続部においては、基底モード光と1次モード光の合成フィールドが生成される。
この合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、第2のアーム導波路3108に対する第1のアーム導波路3107の長さの差分、マルチモード導波路3110の長さ、およびテーパ導波路3111の長さによって決まるが、本実施例では第2のアーム導波路3108に対する第1のアーム導波路3107の長さの差分はゼロとし、基底モード光に対する1次モード光の位相差が−0.5πになるようにマルチモード導波路3110の長さを設計している。このとき、同位相差に偏波モードによる差異は無い。
本実施例における光波長合分波回路のPDWS調整方法を説明する。本実施例では、第1のアーム導波路3107または第2のアーム導波路3108において実効屈折率を変化させるが、その際の実効屈折率変化量が偏波モードによって異なるようにする。すなわち、BあるいはBを変化させる。その手法としては、紫外光の照射を用いる。第1の実施例における紫外光照射とは照射の条件を変えることで、TE、TM各偏波モードにおいて、照射量に対する実効屈折率の増加率に差を与えることができる。特定の照射条件では、TEモードにおける照射量に対する実効屈折率の増加率は、TMモードの1.5倍になる。本実施例ではそのような照射条件を用いる。
図28において、領域3207、3208に紫外光を照射する。実際には、領域3207あるいは3208の形状のみ切り取られた金属板等をPLC上面に設置し、上面から紫外光を照射することで、PLCの所望の領域のみに紫外光を到達させることができる。ここで、領域3207および3208に重なる第1のアーム導波路3107または第2のアーム導波路3108の部分の導波路長は、各1000μmである。
図29は、領域3207または3208に紫外線を照射した場合におけるTE、TMモード偏波に対する導波路の実効屈折率変動量の平均と、第2のアーム導波路1108に対する第1のアーム導波路1107の光位相差のTE、TMモード偏波に対する変化を示した図である。ここで、光の波長は1545nm付近であるとしている。領域3207(すなわち、第1のアーム導波路3107)に紫外線を照射した場合には、平均実効屈折率変化に対し、光位相差が正方向にシフトし、TEモードに対するシフト量はTMモードに対するシフト量の1.5倍である。領域3208(すなわち、第2のアーム導波路3108)に照射した場合には、平均実効屈折率変化に対し、光位相差が負方向にシフトし、TEモードに対するシフト量はTMモードに対するシフト量の1.5倍であることがわかる。
本実施例のAWG3100の第1のスラブ導波路3102、アレイ導波路3103、および第2のスラブ導波路3104から成る干渉回路において、PDWS=0.02nmが残留していたとする。図30はその場合のTE、TMモード偏波に対するAWG3100の中央の波長チャネルの透過スペクトル、および同じくAWG3100の中央の波長チャネルのPDLスペクトルを示したものである。PDWS>0の場合、PDWSを低減するために、領域3208に紫外光を照射し、第2のアーム導波路3108の一部の実効屈折率を増加させる。図31は、正のPDWSを有するAWGの領域3208に紫外光を照射したときの導波路の平均実効屈折率変化量δnに対するPDWSの変化を示したものである。平均実効屈折率の増加に伴ってPDWSは減少傾向を示し、δn=4.0×10−4になったときにPDWS=0、すなわち目的とする状態に達する。図32は、δn=4.0×10−4まで紫外光を照射した調整後において、TE、TMモード偏波に対する中央の波長チャネルの透過スペクトル、および同じく中央の波長チャネルのPDLスペクトルを示したものである。調整によって、偏波モード間の透過スペクトルの波長シフトが改善され、透過中心波長から離れたとしても、優れた低PDL特性が得られることが確認される。
別の場合として、PDWS=−0.02nmが残留していたとする。図33はこの場合のTE、TMモード偏波に対するAWG3100の中央の波長チャネルの透過スペクトル、および同じくAWG3100の中央の波長チャネルのPDLスペクトルを示したものである。この負のPDWSを調整して解消するために、領域3207に紫外光を照射し、第1のアーム導波路3107の一部の実効屈折率を増加させる。図34は、負のPDWSを有するAWGの領域3203に紫外光を照射したときの導波路の平均実効屈折率変化量δnに対するPDWSの変化を示したものである。実効屈折率の増加に伴ってPDWSは増加傾向を示し、δn=4.0×10−4になったときにPDWS=0、すなわち目的の状態に達する。図35は、δn=4.0×10−4まで紫外光を照射した調整後において、TE、TMモード偏波に対する中央の波長チャネルの透過スペクトル、および同じく中央の波長チャネルのPDLスペクトルを示したものである。調整によって、やはり偏波モード間の透過スペクトルの波長シフトが改善され、透過中心波長から離れたとしても、優れた低PDL特性が得られることが確認される。
本実施例では、BあるいはBを変化させる手法として紫外光の照射を説明したが、本発明の適用範囲はこの手法に限定されるものではなく、例えば、図28における領域3207または3208において、調整可能な応力付与膜を装荷する手法なども適用可能である。この応力調整手法については特許文献2に開示されており、調整可能な応力付与膜の例としてはアモルファスシリコンなどが挙げられる。
以上、本発明の実施形態ならびに3つの実施例の説明から、本発明による光波長合分波回路では、従来のAWGによる光波長合分波回路において、PDWSが製造誤差により変動して必ずしもゼロにならない問題を解消し、適当な調整方法により、PDWSがゼロであり、優れたPDL特性を有する光波長合分波回路を安定的に得られることが示された。
全ての実施例では、光波長合分波回路のチャネル数、チャネル間隔、各チャネルの透過波長を特定の数値に限定したが、本発明の適用範囲はこの数値に限定されるものではない。
全ての実施例では、導波路の比屈折率差、コア幅及びコア厚を特定の値に限定したが、本発明の適用範囲は、この値に限定されるものではない。
全ての実施例では、AWGの設計パラメーターを特定の値に限定したが、本発明の適用範囲は、このパラメーターに限定されるものではない。
全ての実施例では、テーパ導波路の開口端に生成される基底および1次モード光のパワー比を特定の値に限定したが、本発明の適用範囲はこの値に限定されるものではない。
100、1100、2100、3100、5100 AWG(アレイ導波路回折格子)
101、1101、2101、3101、5101 入力導波路
102、1102、2102、3102、5102 第1のスラブ導波路
103、1103、2103、3103、5103 アレイ導波路
104、1104、2104、3104、5104 第2のスラブ導波路
105、1105、2105、3105、5105 出力導波路
106、1106、2106、3106 光スプリッタ
107、1107、2107、3107 第1のアーム導波路
108、1108、2108、3108 第2のアーム導波路
109、1109、2109、3109 光モード合成カプラ
110、1110、2110、3110 マルチモード導波路
111、1111、2111、3111 テーパ導波路
801、802、2207、2208 応力開放溝
901、902 ダミー導波路
1201、1202、1301、1302、1401、1402 方向性結合器を構成する導波路
1203、1204、3207、3208 紫外光照射領域
1303 遮光材料挿入溝
1501、1502 MMI(マルチモード干渉回路)
1503、1504、1505 中間導波路
1601、1602、2201、2202 方向性結合器
1603、1604、2203、2204 アーム導波路
2112、2113 ヒータ
2301、2302、5201 導波路コア
2303、5202 クラッド
2304、5203 シリコン基板

Claims (12)

  1. 第1のスラブ導波路と、前記第1のスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路と、前記アレイ導波路の複数の導波路に接続された第2のスラブ導波路とを備えたアレイ導波路回折格子と、
    光スプリッタと、
    前記光スプリッタに接続された第1および第2のアーム導波路と、
    前記第1および第2のアーム導波路に接続された光モード合成カプラであって、前記第1のアーム導波路から入力される基底モード光を1次モードに結合させ、前記第2のアーム導波路から入力される基底モード光を基底モードに結合させて、前記第1のスラブ導波路の端部で合成フィールドを生成する光モード合成カプラと
    を備え、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を低減するために前記合成フィールドの基底モード光と1次モード光との位相差が偏波モード間で異なるように構成されたことを特徴とする光波長合分波回路。
  2. 請求項1に記載の光波長合分波回路であって、
    前記第1および前記第2のアーム導波路は、その導波路幅が互いに異なり、これにより前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なることを特徴とする光波長合分波回路。
  3. 請求項1または2に記載の光波長合分波回路であって、
    前記第1および前記第2のアーム導波路は、少なくともいずれか一方の近傍に溝を備え、これにより前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なることを特徴とする光波長合分波回路。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、
    前記第1および前記第2のアーム導波路は、少なくともいずれか一方の近傍にダミー導波路を備え、これにより前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なることを特徴とする光波長合分波回路。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、
    前記光モード合成カプラと前記第1のスラブ導波路との間に、基底および1次モード光が伝播し、2次以上の高次モード光が伝播しないマルチモード導波路をさらに備えることを特徴とする光波長合分波回路。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、
    前記第1および前記第2のアーム導波路は、少なくともいずれか一方にヒータを備えることを特徴とする光波長合分波回路。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、
    前記光モード合成カプラは、幅の異なる2本の導波路から構成される方向性結合器であることを特徴とする光波長合分波回路。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載の光波長合分波回路であって、
    前記光モード合成カプラは、幅の異なる2本の導波路から構成され、幅の狭い方の導波路は、幅が徐々に減少し、終端されていることを特徴とする光波長合分波回路。
  9. 第1のスラブ導波路と、前記第1のスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路と、前記アレイ導波路の複数の導波路に接続された第2のスラブ導波路とを備えたアレイ導波路回折格子と、
    光スプリッタと、
    前記光スプリッタに接続された第1および第2のアーム導波路と、
    前記第1および第2のアーム導波路に接続された光モード合成カプラであって、前記第1のアーム導波路から入力される基底モード光を1次モードに結合させ、前記第2のアーム導波路から入力される基底モード光を基底モードに結合させて、前記第1のスラブ導波路の端部で合成フィールドを生成する光モード合成カプラと
    を備えた光波長合分波回路において、
    前記合成フィールドの基底モード光と1次モード光との位相差における偏波モード間の差異を変化させて、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を調整することを特徴とする偏波依存性調整方法。
  10. 請求項9に記載の偏波依存性調整方法であって、
    前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なる光波長合分波回路において、
    前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方に紫外線を照射して、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を調整することを特徴とする方法。
  11. 請求項9に記載の偏波依存性調整方法であって、
    前記アーム導波路間の光路長差が偏波モードによって異なる光波長合分波回路において、
    前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方を加熱して、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を調整することを特徴とする方法。
  12. 請求項9に記載の偏波依存性調整であって、
    前記アーム導波路間の光路長差における偏波モード間の差異を変化させて、前記アレイ導波路回折格子の偏波依存性を調整することを特徴とする方法。
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