JP5117417B2 - 光波長合分波回路およびその透過波形調整方法 - Google Patents

光波長合分波回路およびその透過波形調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、光波長合分波回路およびその透過波形調整方法に関し、詳しくは、平坦な透過帯域を有する光波長合分波器およびその透過波形調整方法に関する。
ブロードバンド通信サービスの普及により、光通信ネットワークの大容量化要求がますます高まっている中、多数の光波長信号を一括に伝送する光波長多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)伝送は、ネットワークの伝送容量を飛躍的に増大させる技術として重要である。一方、シリコン等の基板上に形成した石英系ガラス導波路によって構成されたプレーナ光波回路(Planar Lightwave Circuit:PLC)は、多様な光デバイスの基盤技術として盛んに研究開発が行われている。かかる石英系PLC技術を利用したアレイ導波路回折格子(AWG)は、多数の光波長を合波あるいは分波する機能を有し、WDM伝送における光波長合分波器として非常に重要な役割を果たしている。
WDM伝送においては、光源の信号光波長が多少変動しても、その損失はなるべく変動しないことが望ましい。また、より高速な変調信号を劣化なく伝送するためには、一定の波長域に広がった変調成分をも損失なく透過することが望ましい。したがって、光波長合分波器としてのAWGには、広く平坦な通過帯域を有するフラット型AWGが求められる。
図22は、従来のAWGの構成例を示す平面図である。AWG4100は、入力導波路4101、第1のスラブ導波路4102、アレイ導波路4103、第2のスラブ導波路4104、および出力導波路4105を備えている。図23は、図22の線分BB’での断面図である。図に示すように、シリコン基板4203に、導波路コア4201、クラッド4202が設けられている。
入力導波路4101のあるポートから入射した光波は、第1のスラブ導波路で拡大され、アレイ導波路4103に入射する。アレイ導波路4103の各導波路は、その光路長が一定の光路長差で順次長くなるように設定されており、各導波路を伝播した光波には一定の位相差が付与されて第2のスラブ導波路4104に入射する。これら入射した光波は、第2のスラブ導波路4104で干渉し、出力導波路4105に接続する端面に集光する。このとき、アレイ導波路4103で付与される位相差は波長に依存する。すなわち、波長によって等位相面の傾きが異なるため、第2のスラブ導波路4104での集光位置も波長に依存する。したがって、出力導波路4105には、第2のスラブ導波路4104との接続位置に対応した波長の光波が入射し、各ポートに分波される。
WDM伝送においては、入力導波路4101に入力された波長多重信号は、各波長の信号に分波されて出力導波路4105の各ポートに出力される。逆に、出力導波路4105の各ポートに入力された各波長の信号は、波長多重信号に合波されて入力導波路4101のあるポートに出力される。
かかるAWGにおいては、入力導波路4101の第1のスラブ導波路4102との接続界面に励起されている光フィールドと、出力導波路4105の第2のスラブ導波路4104との接続界面に励起される光フィールドのパワーオーバーラップ積分が透過スペクトルとなる。通常、これらの光フィールドは基底モード光のみが励起されており、透過スペクトル波形はガウス関数形状となる。しかし、入力導波路4101の第1のスラブ導波路4102への接続部分にパラボラテーパ導波路(特許文献1に開示)を設け、基底モード光の一部を2次モード光に変換して光フィールドを変形することで、フラット型AWGが実現されている。
特許第3112246号公報 Y. Hibino, et al., "Optical frequency tuning by laser-irradiation in silica-based March-Zehnder-type multi/demultiplexers," PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, Vol.3, pp.640-642, 1991. J. Leuthold, et al., "Multimode Interference Couplers for the Conversion and Combining of Zero- and First-Order Modes," JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, Vol.16, pp.1228-1238, 1998. M. Abe, et al., "Optical path length trimming technique using thin film heaters for silica-based waveguides on Si," ELECTRONICS LETTERS, Vol.32, pp.1818-1820, 1996.
実際にAWGを製造する場合には、アレイ導波路において付与される一定の位相差に少なからず誤差が発生する。これは導波路コアにおける屈折率や、コアの幅、コアの厚さの不均一性がその主要因である。このような位相誤差は、フラット型AWGの透過スペクトル波形に影響を与える。特に、各アレイ導波路に対する位相誤差が、中央のアレイ導波路に関して非対称である場合は、透過帯域の中心部において透過率の傾きが生じ、平坦性が劣化する。
図24に、各アレイ導波路における位相誤差分布の一例を示す。図のように、位相誤差は、3次関数で良く近似される、中央のアレイ導波路に関して非対称な分布であり、図24には、誤差の大きさによりI、II、IIIの3種類を示している。横軸のアレイ導波路番号は、負が内側のアレイ導波路、正が外側のアレイ導波路、ゼロが中央のアレイ導波路を示している。図25は、フラット型AWGの透過スペクトル波形の一例を示したグラフであり、図24の位相誤差IIの場合(実線)を位相誤差がない場合(点線)とともに示している。また、図26は、図25の透過スペクトルの先端を拡大したものである。
本例においては、クラッドの屈折率を1.44425、導波路の比屈折率差Δを1.5%、導波路コアの厚さは4.5μm、とした。また、AWGの設計は合分波波長間隔0.8nm(光周波数間隔100GHz)とし、隣接アレイ導波路の経路長差ΔLを33.9μm、アレイ導波路の本数を250本、第1および第2のスラブ導波路の長さを8100μm、出力導波路は、第2のスラブ導波路に接続する部分において16μm間隔で配置されている。また、第1のスラブ導波路に接続するパラボラテーパ導波路は、長さ150μm、開口端部の幅16μmとし、第2のスラブ導波路に接続する出力導波路の直線テーパ導波路の幅を8μmとした。位相誤差が無い場合には、透過スペクトル波形は透過中心波長付近で平坦であるが、位相誤差がある場合には、透過スペクトル波形が傾斜し、透過帯域の平坦性が劣化しているのがわかる。
このように、実際にフラット型AWGを製造する場合には、アレイ導波路において少なからず位相誤差が発生し、特に中央のアレイ導波路に関して非対称な位相誤差である場合には、透過中心波長付近において透過率の傾きが生じ、平坦性が劣化する。よって、位相誤差の程度によっては、期待される平坦な透過波形が実現できず、フラット型AWGとして求められる光学特性を歩留まり良く得ることができないという問題があった。
本発明は、かかる問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透過スペクトル波形を調整可能な光波長合分波回路およびその調整方法を提供することである。これにより、光波長合分波回路において、製造誤差等によって、アレイ導波路に位相誤差が生じ、またその位相誤差が回路によって変動するような場合であっても、平坦な透過帯域特性を安定的に得ることができる。
上述の課題を解消するにあたって、一旦回路を製造した後に、透過スペクトル波形の傾斜を変化させ、平坦な透過波形に調整するという手段が望ましいと考えられる。このような透過波形の変化をAWGにおいて得るために、本発明においては、AWGの入力導波路の第1のスラブ導波路への接続部に励起されている光モードに着目した。
従来技術による、透過スペクトルが平坦化されたAWGにおいては、入力導波路に接続するパラボラ形状等のテーパ導波路によってある強度比で2次モード光が励起され、第1のスラブ導波路への接続部においてそのフィールドは対称な双峰状である。他方、出力導波路では基底モード光のみが存在し、第2のスラブ導波路への接続部においては単峰状のフィールドである。そして、AWGの透過スペクトルは両光フィールドのパワーオーバーラップ積分で決まり、平坦な波形となる。
ここで、入力導波路側の光フィールドに、特定の強度比で更に1次モード光が混在した場合、フィールドは非対称な双峰状となり、その非対称性は基底および2次モード光と1次モード光の位相差により決まる。このフィールドが非対称になると、AWGの透過スペクトルにおいては波形の傾斜となって表れる。
したがって、入力導波路において所定の強度比の1次モード光が励起されており、かつ適当な機構により、その1次モード光と基底および2次モード光の位相差を変化させることができれば、従来技術によるフラット型AWGにおいて、更に透過スペクトルの波形傾斜の変動を生じさせ、アレイ導波路の位相誤差に起因する波形傾斜を補償することが可能である。
以上の考察を踏まえ、請求項1に記載の発明は、第1のスラブ導波路と、前記第1のスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路と、前記アレイ導波路の複数の導波路に接続された第2のスラブ導波路とを備えたアレイ導波路回折格子と、光スプリッタと、前記光スプリッタに接続された第1および第2のアーム導波路と、前記第1および第2のアーム導波路に接続された光モード合成カプラであって、前記第1のアーム導波路から入力される基底モード光を1次モードに結合させ、前記第2のアーム導波路から入力される基底モード光を基底モードに結合させる光モード合成カプラと、前記光モード合成カプラに接続され、2次モード光を励起するテーパ導波路であって、前記第1のスラブ導波路にさらに接続されたテーパ導波路とを備え、前記テーパ導波路は、基底および1次モード光が伝播し、2次モード光が伝播しないマルチモード導波路を介して前記光モード合成カプラに接続されていることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の光波長合分波回路であって、前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方を加熱するヒータをさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の光波長合分波回路であって、前記光モード合成カプラは、幅の異なる2本の導波路から構成される方向性結合器であることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の光波長合分波回路であって、前記光モード合成カプラは、幅の異なる2本の導波路から構成され、幅の狭い方の導波路は、幅が徐々に減少して終端していることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれかに記載の光波長合分波回路であって、前記光スプリッタは、波長無依存カプラ(WINC)により構成されていることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれかに記載の光波長合分波回路であって、前記アレイ導波路回折格子およびその他の導波路は、石英系導波路により構成されていることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、第1のスラブ導波路と、前記第1のスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路と、前記アレイ導波路の複数の導波路に接続された第2のスラブ導波路とを備えたアレイ導波路回折格子と、光スプリッタと、前記光スプリッタに接続された第1および第2のアーム導波路と、前記第1および第2のアーム導波路に接続された光モード合成カプラであって、前記第1のアーム導波路から入力される基底モード光を1次モードに結合させ、前記第2のアーム導波路から入力される基底モード光を基底モードに結合させる光モード合成カプラと、前記光モード合成カプラに接続され、2次モード光を励起するテーパ導波路であって、前記第1のスラブ導波路にさらに接続されたテーパ導波路とを備え、前記テーパ導波路は、基底および1次モード光が伝播し、2次モード光が伝播しないマルチモード導波路を介して前記光モード合成カプラに接続されている光波長合分波回路において、透過スペクトル波形を調整する方法であって、前記第1のアーム導波路と第2のアーム導波路の間の光路長差を変化させて、前記2次モードを励起するテーパ導波路の開口端での基底および2次モード光に対する1次モード光の位相差を変化させることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の方法であって、前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方に紫外光を照射してその実効屈折率を変化させることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の方法であって、前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方を加熱してその実効屈折率を非可逆的に変化させることを特徴とする。
本発明により、光波長合分波回路において、透過スペクトル波形の傾斜が製造誤差等により変動するような場合であっても、平坦な透過帯域特性を安定的に得ることができる。
本発明の一実施形態にかかるAWG型光波長合分波回路の構成例を示す図である。 本発明の一実施形態にかかるAWG型光波長合分波回路において、第1のスラブ導波路に接続するテーパ導波路の開口端に生成される基底、1次、および2次モード光のフィールド形状を示す図である。 図2に示す基底、1次、および2次モード光の合成フィールドの変化を示す図である。 図3に示す合成フィールドに対応するAWGの透過スペクトル波形の変化を示す図である。 本発明の第1の実施例にかかるAWG型光波長合分波回路の構成を示す図である。 図5のAWG型光波長合分波回路において、光スプリッタからテーパ導波路の近傍を拡大した図である。 図5のAWG型光波長合分波回路において、第1または第2のアーム導波路上の領域に紫外線を照射した場合のアーム導波路の実効屈折率変動量と光位相差の変化を示す図である。 図5のAWG型光波長合分波回路において、アレイ導波路に生じた位相誤差の一例を示す図である。 負の波形傾斜を有するAWG型光波長合分波回路の第2のアーム導波路上の領域に紫外光を照射したときのアーム導波路の実効屈折率変化量に対する中心波長の透過率変化率を示す図である。 図9の紫外光の照射による透過スペクトル波形の調整前後での波形先端部を示す図である。 図5のAWG型光波長合分波回路において、アレイ導波路に生じた位相誤差の別の一例を示す図である。 正の波形傾斜を有するAWG型光波長合分波回路の第1のアーム導波路上の領域に紫外光を照射したときのアーム導波路の実効屈折率変化量に対する中心波長の透過率変化率を示す図である。 図12の紫外光の照射による透過スペクトル波形の調整前後での波形先端部を示す図である。 AWG型光波長合分波回路において、光モード合成カプラの一構成例を示す図である。 AWG型光波長合分波回路において、光モード合成カプラの別の構成例を示す図である。 AWG型光波長合分波回路において、光モード合成カプラのさらに別の構成例を示す図である。 AWG型光波長合分波回路において、光スプリッタの一構成例を示す図である。 本発明の第2の実施例にかかるAWG型光波長合分波回路の構成を示す図である。 図18のAWG型光波長合分波回路において、光スプリッタからテーパ導波路の近傍を拡大した図である。 図19の線分AA’での断面図である。 図18のAWG型光波長合分波回路において、第1または第2のアーム導波路をヒータで加熱した場合のアーム導波路の実効屈折率変動量と光位相差の変化を示す図である。 従来のAWGの構成例を示す図である。 図22の線分BB’での断面図である。 図22の各アレイ導波路における位相誤差分布の一例を示す図である。 フラット型AWGの透過スペクトル波形の一例を示す図である。 図25の透過スペクトルの先端を拡大した図である。
本発明の実施形態について以下に説明する。図1に、本発明の一実施形態にかかるAWG型光波長合分波回路の構成例を示す。このAWG型光波長合分波回路100は、入力導波路101、光スプリッタ106、第1のアーム導波路107、第2のアーム導波路108、光モード合成カプラ109、マルチモード導波路110、および2次モード光を励起するテーパ導波路111を備えている。また、回路100は、第1のスラブ導波路102、アレイ導波路103、第2のスラブ導波路104、出力導波路105をさらに備えている。
光モードカプラ109は、第1のアーム導波路107から入力する基底モード光を1次モード光に変換し、第2のアーム導波路108から入力する基底モード光を基底モード光として合成する。合成された基底モード光と1次モード光は、マルチモード導波路110をそれぞれのモードの実効屈折率に従って伝播し、更にテーパ導波路111において、基底モード光の一部は2次モード光に変換される。このとき、1次モード光はそのまま1次モード光として伝播する。したがって、テーパ導波路111の開口端、第1のスラブ導波路102への接続部においては、基底モード光、1次モード光、2次モード光の合成フィールドが生成される。この合成フィールドの基底モード光と2次モード光の強度比および位相差は、テーパ導波路111の形状により決まる。また、基底モード光と2次モード光に対する1次モード光の強度比は、光スプリッタ106における分岐比と、光モード合成カプラ109の結合率によって決まり、位相差は、第1のアーム導波路107と第2のアーム導波路108の光路長差、マルチモード導波路110の長さ、およびテーパ導波路111の長さによって決まる。
図2は、本発明の実施形態において、テーパ導波路111の開口端に生成される基底、1次、および2次モード光の各フィールド形状を示したものである。図において、テーパ導波路111の開口端の導波路幅をWとし、導波路の中央を横軸のゼロとしている。また、縦軸は電界の振幅を表している。
図3は、図2に示した基底、1次、および2次モード光の合成フィールドの変化を示したものである。図において、基底、1次、2次モード光の強度比は0.85:0.05:0.10に設定している。そして、基底モード光に対する2次モード光の位相差はゼロに固定し、基底モード光に対する1次モード光の位相差を−π、−0.75π、−0.5π、−0.25π、0、0.25π、0.5π、0.75π、πと変えたときの結果を示している。基底モード光に対する1次モード光の位相差を変えることで、双峰状フィールドが非対称→対称→逆の非対称→対称→非対称に変化していることがわかる。
図4は、図3の各合成フィールドが生成している場合のAWG100の透過スペクトル波形の変化を示したものである。ここで、出力導波路105の第2のスラブ導波路104への接続部には基底モード光のみの光フィールドを仮定し、上記の合成フィールドとのパワーオーバーラップ積分により透過スペクトルを求めている。図より、基底モード光に対する1次モード光の位相差を変えることで、透過スペクトル波形の傾斜状態が連続的に変化していることがわかる。
ここで、合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、適当な手段により第1のアーム導波路107と第2のアーム導波路108の間の光路長差を変化させることによって調整が可能である。光路長とはすなわち、導波路の実効屈折率と長さの積であるから、光路長差の調整は、例えば、第1のアーム導波路107、第2のアーム導波路108の実効屈折率を変化させることでなされる。第1のアーム導波路107の実効屈折率を増加させれば位相差は正方向にシフトし、第2のアーム導波路108の実効屈折率を増加させれば位相差は負方向にシフトする。
以下、この光波長合分波回路における透過スペクトル波形の調整方法を説明する。まず設計において、上記の合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、透過波形が平坦になるように設定する。ここでは位相差を−0.5πであるとする。製造された回路の透過スペクトルを評価し、結果により以下の3つに分類する。
(1) 透過率が波長に対して変化しない(平坦である)
(2) 透過率が波長に対して正の傾斜を有する
(3) 透過率が波長に対して負の傾斜を有する
分類(1)の場合には、アレイ導波路103における位相誤差が、問題ならない程度に小さいことを意味し、透過波形の調整は不要である。分類(2)および(3)の場合は、アレイ導波路103において位相誤差が生じていることを意味し、透過波形の調整が必要である。分類(2)の場合、第1のアーム導波路107の実効屈折率を徐々に増加させる。これにより、合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、正方向にシフトし、透過率の波長に対する傾斜は、負の方向に徐々に変化する。透過波形が平坦になった時点で、第1のアーム導波路107の実効屈折率変化を停止すれば、平坦な透過波形を有するAWGを得ることができる。他方、分類(3)の場合、第2のアーム導波路108の実効屈折率を徐々に増加させる。これにより、合成フィールドにおける基底モード光に対する1次モード光の位相差は、負方向にシフトし、透過率の波長に対する傾斜は、正の方向に徐々に変化する。透過波形が平坦になった時点で、第2のアーム導波路108の実効屈折率変化を停止すれば、平坦な透過波形を有するAWGを得ることができる。
ここで、マルチモード導波路110の幅としては、少なくとも1次モード光までは伝播可能であるほどは広く、2次モード光は伝播できない、すなわち2次モードの実効屈折率が存在しない程度の幅であることが好ましい。これは、第1のアーム導波路107から入力する基底モード光が、光モードカプラ110において僅かに2次モード光に変換された場合でも、その2次モード光をマルチモード導波路110にて抑制し、テーパ導波路111の開口端での合成フィールドにおいて、不必要な変動が生じることがないようにするためである。
図5に、本発明の第1の実施例にかかるAWG型光波長合分波回路の構成を示す。このAWG型光波長合分波回路1100は、入力導波路1101、光スプリッタ1106、第1のアーム導波路1107、第2のアーム導波路1108、光モード合成カプラ1109、マルチモード導波路1110、および2次モード光を励起するテーパ導波路1111を備えている。また、この回路1100は、第1のスラブ導波路1102、アレイ導波路1103、第2のスラブ導波路1104、および出力導波路1105を備えている。
図5においてアレイ導波路1103の長さは、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。このAWG1100は石英系PLCにより構成され、クラッドの屈折率が1.44425、導波路の比屈折率差Δが1.5%、コア厚が4.5μmである。入力導波路1101、アレイ導波路1103、出力導波路1105、第1のアーム導波路1107、第2のアーム導波路1108のコア幅は4.5μmである。また、波長チャネル数は40、中央の波長チャネルの透過波長は1544.53μm(194.1THz)、波長チャネル間隔は0.8nm(光周波数間隔100GHz)であり、このときアレイ導波路の本数は250本、ΔLは33.9μmである。また、第1のスラブ導波路1102および第2のスラブ導波路1104の長さは8100μmであり、出力導波路1105は、第2のスラブ導波路1104に接続する部分において16μm間隔で波長チャネル数、すなわち40本配置されている。
図6は、図5の光波長合分波回路1100における光スプリッタ1106からテーパ導波路1111近傍を拡大した図である。各部分の符号は図5と同様である。ここで、光スプリッタ1106としては方向性結合器を用いている。また、光モードカプラ1109としては導波路幅が非対称な方向性結合器を用いており、第1のアーム導波路1107に接続する導波路1201の幅を2.5μm、第2のアーム導波路1108に接続する導波路1202の幅を8μmとし、導波路1201、1202の長さは500μmとしている。また、第2のアーム導波路1108から導波路1202へは直線テーパにより滑らかに導波路幅が変換されている。このとき、導波路2101の基底モード実効屈折率と、導波路1202の1次モード実効屈折率はほぼ等しくなっており、第1のアーム導波路1107から導波路1201に入力する基底モード光は、導波路1202の1次モードに結合する。また、第2のアーム導波路1108から入力する基底モード光は、そのまま導波路1202を基底モードで伝播するので、マルチモード導波路1110へは基底モードと1次モードが合成され出力される。基底モード光と1次モード光の光強度比は、光スプリッタ1106における分岐比と、光モード合成カプラ1109の導波路1201から1202への結合率によって決まるが、本実施例ではそれぞれ5.5%、90%に設計されており、基底モード光と1次モード光の光強度比は95:5である。
光モード合成カプラ1109は、マルチモード導波路1110およびテーパ導波路1111を介して第1のスラブ導波路1102に接続されている。本実施例において、テーパ導波路1111にはパラボラ形状のテーパを用いている。マルチモード導波路1110の導波路幅は8μmであり、パラボラ形状テーパ導波路1111の長さは150μm、開口端の幅は16μmである。このテーパ導波路1111において、基底モード光の一部は2次モード光に変換される。このとき、1次モード光はそのまま1次モード光として伝播する。したがって、テーパ導波路1111の開口端、すなわち第1のスラブ導波路1102への接続部においては、基底モード光、1次モード光、および2次モード光の合成フィールドが生成される。
この合成フィールドにおける基底モード光と2次モード光の強度比および位相差は、テーパ導波路1111の形状により決まる。本実施例において、テーパ導波路1111の開口端における基底、1次および2次モード光の強度比は85:5:10となっている。また、基底モード光に対する2次モード光の位相差はゼロである。ここで、基底モード光に対する1次モード光の位相差は、第2のアーム導波路1108に対する第1のアーム導波路1107の長さの差分、マルチモード導波路1110の長さ、およびテーパ導波路1111の長さによって決まる。本実施例では、第2のアーム導波路1108に対する第1のアーム導波路1107の長さの差分はゼロとし、基底モード光に対する1次モード光の位相差が−0.5πになるようにマルチモード導波路1110の長さを設計している。
本実施例における光波長合分波回路の透過波形調整方法について説明する。本実施例では、第1のアーム導波路1107または第2のアーム導波路1108において実効屈折率を変化させる手法として、紫外光の照射を用いる。石英系PLCにおいて、紫外光照射により導波路の実効屈折率を変化させる技術については、非特許文献1に開示されている。石英系導波路に紫外光を照射した場合には、導波路の実効屈折率を増加させることが可能である。
図6において、領域1203および1204は、紫外光を照射する領域を示している。実際には、領域1203または1204の形状のみ切り取られた金属板等をPLC上面に設置し、上面から紫外光を照射する。これにより、PLCの所望領域にのみ紫外光を到達させることができる。ここで、領域1203および1204に重なる第1のアーム導波路1107または第2のアーム導波路1108の部分の導波路長は、各500μmである。
図7は、領域1203または1204に紫外線を照射した場合の導波路の実効屈折率変動量と、第2のアーム導波路1108に対する第1のアーム導波路1107の光位相差の変化を示した図である。ここで、光の波長は1544nm付近であるとしている。領域1203、すなわち第1のアーム導波路1107に照射した場合には、実効屈折率変化に対し、光位相差が正方向にシフトし、領域1204、すなわち第2のアーム導波路1108に照射した場合には、実効屈折率変化に対し、光位相差が負方向にシフトすることがわかる。
ここで特に、本実施例のAWG1100のアレイ導波路1103において、図8に示すような位相誤差が生じていたとする。横軸のアレイ導波路番号は、負が内側のアレイ導波路、正が外側のアレイ導波路、ゼロが中央のアレイ導波路を示す。図8のように中央のアレイ導波路に対して非対称、かつ位相誤差が増加傾向にある場合には、AWG1100の透過スペクトル波形においては、透過率の波長に対する負の傾斜が生じる。そこで、この負の傾斜を調整して解消するために、領域1204に紫外光を照射し、第2のアーム導波路1108の一部の実効屈折率を増加させる。
ここで、AWGの透過率の波長に対する傾斜の程度を示すために、透過率変化率の指標を導入する。いま、AWGの透過スペクトルをT(λ)とする。ここに、λは波長である。透過率変化率はdT(λ)/dλ定義され、透過率の波長に対する変化率を示す指標である。透過スペクトルとして理想的な平坦な波形とは、dT(λ)/dλ=0を意味し、dT(λ)/dλ≠0であれば波形に傾斜が存在することになる。図9は、上述した負の波形傾斜を有するAWGの領域1204に紫外光を照射したときの導波路の実効屈折率変化量δnに対するdT(λ)/dλの変動を示したものである。ここで、3dBの透過帯域の中心波長をλ=λとしている。図からわかるように、実効屈折率の増加に伴ってdT(λ)/dλは単調に増加し、δn=4.7×10−5になったときにdT(λ)/dλ=0、すなわち目的とする平坦な透過波形に達する。実際の波形調整においては、紫外光を照射しながら同時に透過スペクトルを測定し、dT(λ)/dλ=0となった時点で照射を停止するという工程が考えられる。
図10は、調整前と、δn=4.7×10−5まで紫外光を照射した調整後での透過スペクトル波形の先端部を比較した図である。図において、横軸はλ=λ基準とした相対波長としている。透過波形調整によって、透過率の波長に対する負の傾斜が改善され、理想的な平坦な波形が得られることが確認される。
また、別の場合として特に、本実施例のAWG1100のアレイ導波路1103において、図11に示すような位相誤差が生じていたとする。図11のように中央のアレイ導波路に対して非対称、かつアレイ位相が減少傾向にある場合には、AWG1100の透過スペクトル波形においては、透過率の波長に対する正の傾斜が生じる。そこで、この正の傾斜を調整して解消するために、領域1203に紫外光を照射し、第1のアーム導波路1107の一部の実効屈折率を増加させる。
図12は、上述した正の波形傾斜を有するAWGの領域1203に紫外光を照射したときの導波路の実効屈折率変化量δnに対するdT(λ)/dλの変動を示したものである。図からわかるように、実効屈折率の増加に伴ってdT(λ)/dλは単調に減少し、δn=2.4×10−5になったときにdT(λ)/dλ=0、すなわち目的とする平坦な透過波形に達する。また、図13は、調整前と、δn=2.4×10−5まで紫外光を照射した調整後での透過スペクトル波形の先端部を比較した図である。透過波形調整によって、透過率の波長に対する正の傾斜が改善され、理想的な平坦な波形が得られることが確認される。
本実施例においては、図6のように、光モード合成カプラ1109として、非対称な方向性結合器を適用したが、光モード合成カプラ1109の実現はこの構成に限定されない。図14は別構成における光モード合成カプラ1109近傍を拡大した図である。図14の構成においては、図6と同様に導波路1301、1302からなる非対称な方向性結合器ではあるが、導波路1301に接続する出力導波路は、溝1303によって終端されている。ここで、溝1303には光波を吸収する遮光材料が挿入されており、また遮光材料と出力導波路の界面は導波路に垂直ではなく、垂直面から8度傾いている。図14の構成により、図6の構成に比較して、導波路1301から導波路1302に結合せずに僅かに残る光波を遮断して第1のスラブ導波路1102などに迷光が侵入することを抑制し、また光波の反射も抑制することができる。そのため、AWG1100の光学特性において、よりクロストークおよび反射特性に優れるものが実現可能である。
図15は更に別構成における光モード合成カプラ1109近傍を拡大した図である。図15の構成においては、図6と同様に導波路1401、1402からなる非対称な方向性結合器ではあるが、導波路1401はその幅が徐々に狭くなり、幅が無くなって終端する構造になっている。このとき、導波路1401、1402の長さは1100μmに設計されている。図15の構成により、図6の構成に比較して、導波路1401から導波路1402への光波の結合率をほぼ100%にすることができる。そのため、AWG1100の光学特性において、より損失特性に優れたものが実現可能である。
図16は更に別構成における光モード合成カプラ1109近傍を拡大した図である。図16の構成においては、光モード合成カプラ1109は2つのマルチモード干渉回路(Multi-Mode Interferometer:MMI)からなる。この構成については詳しくは、非特許文献2に開示されている。光モード合成カプラ1109は、第1のMMI1501、第2のMMI1502、中間導波路1503、1504および1505を備えている。第1のMMI1501は、幅20μm、長さ754μmであり、第2のMMI1502は、幅20μm、長さ377μmである。また、中間導波路1503は、幅4.5μm、長さ50μmであり、中間導波路1504は、幅4.5μm、長さ51.5μmであり、中間導波路1505は、幅4.5μm、長さ53μmである。一般に、MMIは方向性結合器に比較して、導波路幅の変化に対する分岐特性の変化が小さい。従って、図16の構成により、図6の構成に比較して、導波路の幅に作製誤差が生じた場合においても、アーム導波路1107から入力した基底モード光がマルチモード導波路1110の一次モードに結合する結合率が影響されないため、AWG1100の光学特性において、より作製トレランスに優れたものを実現可能である。
また、本実施例においては、図6のように、光スプリッタ1106として、単一の方向性結合器を適用したが、光スプリッタ1106の実現はこの構成に限定されない。例えば、Y分岐回路、MMIによっても実現可能である。更に好ましくは、光スプリッタ1106は、波長無依存カプラ(Wavelength INdependent Coupler:WINC)により実現される。図17は、WINCによって構成された光スプリッタ1106近傍を拡大した図である。この光スプリッタ1106は、2つの方向性結合器1601および1602、および2つのアーム導波路1603および1604により構成されている。方向性結合器1601、1602の結合率はそれぞれ85%、90%、アーム導波路1604に対するアーム導波路1603の光路長差は0.49μmであり、WINCは分岐比5.5%の光スプリッタとして機能している。WINCを用いる図17の構成により、単一の方向性結合器を用いる図6の構成に比較して、分岐比の波長依存性が小さいため、AWG1100の光学特性において、より広い波長範囲で均一な波形調整動作を得ることができる。
図18に、本発明の第2の実施例にかかるAWG型光波長合分波回路の構成を示す。このAWG型光波長合分波回路2100は、入力導波路2101、光スプリッタ2106、第1のアーム導波路2107、第2のアーム導波路2108、光モード合成カプラ2109、マルチモード導波路2110、および2次モード光を励起するテーパ導波路2111を備えている。また、この回路2100は、第1のスラブ導波路2102、アレイ導波路2103、第2のスラブ導波路2104、および出力導波路2105である。また、第1のアーム導波路2107および第2のアーム導波路2108上にはその一部を加熱できるようにヒータ2112、2113がそれぞれ設けられている。
図18においてアレイ導波路2103の長さは、一定量ΔLずつ順次長くなるよう設計されている。このAWG2100は石英系PLCにより構成され、クラッドの屈折率が1.44425、導波路の比屈折率差Δが1.5%、コア厚が4.5μmである。入力導波路2101、アレイ導波路2103、出力導波路2105、第1のアーム導波路2107、第2のアーム導波路2108のコア幅は4.5μmである。また、波長チャネル数は40、中央の波長チャネルの透過波長は1544.53μm(194.1THz)、波長チャネル間隔は0.8nm(光周波数間隔100GHz)であり、このときアレイ導波路の本数は250本、ΔLは33.9μmである。また、第1のスラブ導波路2102および第2のスラブ導波路2104の長さは8100μmであり、出力導波路2105は、第2のスラブ導波路2104に接続する部分において16μm間隔で波長チャネル数、すなわち40本配置されている。
図19は、図18の光波長合分波回路2100における光スプリッタ2106からテーパ導波路2111近傍を拡大した図である。各部分の符号は図18と同様である。ここで、光スプリッタ2106としてはWINCを用いており、このWINCは2つの方向性結合器2201および2202、および2つのアーム導波路2203および2204で構成されている。方向性結合器2201、2202の結合率はそれぞれ85%、90%であり、アーム導波路2204に対する2203の光路長差は0.49μmであり、WINCは分岐比5.5%の光スプリッタとして機能している。
図20は図19における線分AA’での断面構造を示した図である。シリコン基板2304の上に、コア2301、2302およびクラッド2304を形成している。コア2301、2302はそれぞれ第1のアーム導波路2107、第2のアーム導波路2108の導波路コアである。ヒータ2112、2113は、各導波路コア2301、2302の上部でクラッド2304の表面に実装され、それぞれの導波路を加熱できるようになっている。
また、図19のように、光モードカプラ2109としては導波路幅が非対称な方向性結合器を用いており、第1のアーム導波路2107に接続する導波路2205は幅2.5μmから徐々に狭くなり、幅が無くなって終端する構造になっている。第2のアーム導波路2108に接続する導波路2206の幅は8μmとし、導波路2205、2206の長さは1100μmとしている。また、第2のアーム導波路2108から導波路2206へは直線テーパにより滑らかに導波路幅が変換されている。光モードカプラ2109から出力される基底モード光と1次モード光の光強度比は、光スプリッタ2106における分岐比と、光モード合成カプラ2109の導波路2205から2206への結合率によって決まるが、本実施例ではそれぞれ5.5%、90%に設計されており、基底モード光と1次モード光の光強度比は95:5である。
光モード合成カプラ2109は、マルチモード導波路2110およびテーパ導波路2111を介して第1のスラブ導波路2102に接続されている。本実施例において、テーパ導波路2111にはパラボラ形状のテーパを用いている。マルチモード導波路2110の導波路幅は8μmであり、パラボラ形状テーパ導波路2111の長さは150μm、開口端の幅は16μmである。このテーパ導波路2111において、基底モード光の一部は2次モード光に変換される。このとき、1次モード光はそのまま1次モード光として伝播する。したがって、テーパ導波路2111の開口端、すなわち第1のスラブ導波路2102への接続部においては、基底モード光、1次モード光および2次モード光の合成フィールドが生成される。
この合成フィールドにおける基底モード光と2次モード光の強度比および位相差は、テーパ導波路2111の形状により決まる。本実施例において、テーパ導波路2111の開口端における基底、1次および2次モード光の強度比は85:5:10となっている。また、基底モード光に対する2次モード光の位相差はゼロである。ここで、基底モード光に対する1次モード光の位相差は、第2のアーム導波路2108に対する第1のアーム導波路2107の長さの差分、マルチモード導波路2110の長さ、およびテーパ導波路2111の長さによって決まる。本実施例では、第2のアーム導波路2108に対する第1のアーム導波路2107の長さの差分はゼロとし、基底モード光に対する1次モード光の位相差が−0.5πになるようにマルチモード導波路2110の長さを設計している。
本実施例における光波長合分波回路の透過波形調整方法は、第1実施例と同様に、第1のアーム導波路2107または第2のアーム導波路2108において実効屈折率を変化させ、それによりテーパ導波路2111の開口端における基底モード光に対する1次モード光の位相差を変化させることによって行う。ただし、本実施例では、第1のアーム導波路2107にはヒータ2112、第2のアーム導波路2108にはヒータ2113を備えており、各アーム導波路の実効屈折率を変化させる手法としては、ヒータ2112または2113を一定時間加熱し、導波路材質の非可逆的変化を起こす手法を用いる。石英系PLCにおいて、ヒータによる加熱によって導波路の実効屈折率を非可逆的に変化させる技術については、非特許文献3に開示されている。石英系導波路に一定時間の加熱を行った場合には、導波路の実効屈折率を増加させることが可能である。
図19においてヒータ2112および2113が上部に実装された第1のアーム導波路2107および第2のアーム導波路2108の長さと幅は、それぞれ4000μmおよび50μmとなっている。図21は、ヒータ2112または2113で加熱した場合の導波路の実効屈折率変動量と、第2のアーム導波路2108に対する第1のアーム導波路2107の光位相差の変化を示した図である。ここで、光の波長は1545nm付近であるとしている。ヒータ2112、すなわち第1のアーム導波路2107を加熱した場合には、実効屈折率変化に対し、光位相差が正方向にシフトし、ヒータ2113、すなわち第2のアーム導波路2108を加熱した場合には、実効屈折率変化に対し、光位相差が負方向にシフトすることがわかる。
図21に示したように光位相差を変化させることで、テーパ導波路2111の開口端における基底モード光に対する1次モード光の位相差が変化する。これにより、テーパ導波路2111の開口端における合成光フィールドを変化させて、AWG2100の透過スペクトル波形を調整することができる。また、本実施例において、アレイ導波路2103での位相誤差に対する波形調整は、第1実施例に説明された手順と全く同様に行うことができる。
以上、本発明の実施形態と2つの実施例の説明から、本発明による光波長合分波回路では、従来技術のフラット型AWGによる光波長合分波回路において、透過スペクトル波形の傾斜が製造誤差により変動する問題を解消し、適当な透過波形調整方法により、平坦な透過帯域特性を有する光波長合分波回路を安定的に得られることが示された。
全ての実施例では、光波長合分波回路のチャネル数、チャネル間隔、および各チャネルの透過波長を特定の数値に限定したが、本発明の適用範囲はこの数値に限定されものではない。
全ての実施例では、導波路の比屈折率差、コア幅及びコア厚を特定の値に限定したが、本発明の適用範囲は、この値に限定されるものではない。
全ての実施例では、AWGの設計パラメーターを特定の値に限定したが、本発明の適用範囲は、このパラメーターに限定されるものではない。
全ての実施例では、2次モード光を励起するテーパ導波路としてパラボラ形状のテーパ導波路を適用したが、テーパの形状はこれに限定されず、マルチモード干渉計、Y分岐、双曲線形状、楕円形状、指数関数形状など、基底モード光の一部を2次モード光に変換するあらゆるテーパ形状が適用可能である。
全ての実施例では、2次モード光を励起するテーパ導波路の開口端に生成される基底、1次および2次モード光のパワー比を特定の値に限定したが、本発明の適用範囲はこの値に限定されるものではない。
実施例においては、第1のアーム導波路と第2のアーム導波路との間の光位相差を調整する方法として、第1または第2のアーム導波路に紫外光を照射して導波路の実効屈折率を変化させる方法、および、第1または第2のアーム導波路に装荷されたヒータを加熱して導波路の実効屈折率を非可逆的に変化させる方法を適用したが、方法はこれらに限定されず、光位相差を調整可能なあらゆる方法が適用可能である。例えば、第1または第2のアーム導波路の一部を分断し、導波路の実効屈折率とは異なる屈折率を有する材料を挿入してもよい。この場合、光位相差の調整は屈折率の異なる材料を複数準備し、挿入する材料を選択することによっても可能であるし、挿入する材料は固定し、導波路を分断する幅を変えることによっても可能である。
100,1100,2100 AWG型光波長合分波回路
101,1101,2101 入力導波路
102,1102,2102 第1のスラブ導波路
103,1103,2103 アレイ導波路
104,1104,2104 第2のスラブ導波路
105,1105,2105 出力導波路
106,1106,2106 光スプリッタ
107,1107,2107 第1のアーム導波路
108,1108,2108 第2のアーム導波路
109,1109,2109 光モード合成カプラ
110,1110,2110 マルチモード導波路
111,1111,2111 テーパ導波路
1201,1202,1301,1302,1401,1402,2205,2206 導波路
1203,1204 領域
1303 溝
1501 第1のマルチモード干渉回路
1502 第2のマルチモード干渉回路
1503,1504,1505 中間導波路
1601,1602,2201,2202 方向性結合器
1603,1604,2203,2204 アーム導波路 2112,2113 ヒータ
2301,2302 コア
2304 クラッド
4100 アレイ導波路回折格子
4101 入力導波路
4102 第1のスラブ導波路
4103 アレイ導波路
4104 第2のスラブ導波路
4105 出力導波路
4201 コア
4202 クラッド
4203 シリコン基板

Claims (9)

  1. 第1のスラブ導波路と、前記第1のスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路と、前記アレイ導波路の複数の導波路に接続された第2のスラブ導波路とを備えたアレイ導波路回折格子と、
    光スプリッタと、
    前記光スプリッタに接続された第1および第2のアーム導波路と、
    前記第1および第2のアーム導波路に接続された光モード合成カプラであって、前記第1のアーム導波路から入力される基底モード光を1次モードに結合させ、前記第2のアーム導波路から入力される基底モード光を基底モードに結合させる光モード合成カプラと、
    前記光モード合成カプラに接続され、2次モード光を励起するテーパ導波路であって、前記第1のスラブ導波路にさらに接続されたテーパ導波路と
    を備え
    前記テーパ導波路は、基底および1次モード光が伝播し、2次モード光が伝播しないマルチモード導波路を介して前記光モード合成カプラに接続されていることを特徴とする光波長合分波回路。
  2. 請求項1に記載の光波長合分波回路であって、前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方を加熱するヒータをさらに備えたことを特徴とする光波長合分波回路。
  3. 請求項1または2に記載の光波長合分波回路であって、前記光モード合成カプラは、幅の異なる2本の導波路から構成される方向性結合器であることを特徴とする光波長合分波回路。
  4. 請求項1または2に記載の光波長合分波回路であって、前記光モード合成カプラは、幅の異なる2本の導波路から構成され、幅の狭い方の導波路は、幅が徐々に減少して終端していることを特徴とする光波長合分波回路。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の光波長合分波回路であって、前記光スプリッタは、波長無依存カプラ(WINC)により構成されていることを特徴とする光波長合分波回路。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の光波長合分波回路であって、前記アレイ導波路回折格子およびその他の導波路は、石英系導波路により構成されていることを特徴とする光波長合分波回路。
  7. 第1のスラブ導波路と、前記第1のスラブ導波路に接続された複数の導波路からなるアレイ導波路と、前記アレイ導波路の複数の導波路に接続された第2のスラブ導波路とを備えたアレイ導波路回折格子と、
    光スプリッタと、
    前記光スプリッタに接続された第1および第2のアーム導波路と、
    前記第1および第2のアーム導波路に接続された光モード合成カプラであって、前記第1のアーム導波路から入力される基底モード光を1次モードに結合させ、前記第2のアーム導波路から入力される基底モード光を基底モードに結合させる光モード合成カプラと、
    前記光モード合成カプラに接続され、2次モード光を励起するテーパ導波路であって、前記第1のスラブ導波路にさらに接続されたテーパ導波路と
    を備え、
    前記テーパ導波路は、基底および1次モード光が伝播し、2次モード光が伝播しないマルチモード導波路を介して前記光モード合成カプラに接続されている光波長合分波回路において、透過スペクトル波形を調整する方法であって、
    前記第1のアーム導波路と第2のアーム導波路の間の光路長差を変化させて、前記2次モードを励起するテーパ導波路の開口端での基底および2次モード光に対する1次モード光の位相差を変化させることを特徴とする方法。
  8. 請求項に記載の方法であって、前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方に紫外光を照射してその実効屈折率を変化させることを特徴とする方法。
  9. 請求項に記載の方法であって、前記第1および第2のアーム導波路の少なくとも一方を加熱してその実効屈折率を非可逆的に変化させることを特徴とする方法。
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