以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の自動分析装置1を示す図である。
図1に示す自動分析装置1は、分析装置の一例であり、例えば患者の血液や尿等の試料(または検体という)を、予め用意されている試薬と、反応管70内で反応させて、所定の分析項目についてこの試料を分析する装置である。この自動分析装置1では、例えば恒温槽である反応槽11には、複数本の反応管70が配列される。
反応管70は、血液や尿等の試料と、第1試薬庫10Aに保持された試薬容器30の検査用の試薬あるいは第2試薬庫10Bに保持された試薬容器31内の検査用の試薬とを分注させる反応容器であり、反応管70には、試料と試薬から成る反応液を収容する。そして、自動分析装置1は、測定部13からこの反応管70内の反応液に光を照射して、反応管70内の反応液からの透過光を測定部13で受光して、反応管70内の試料の成分濃度を測定して測定結果を報告することができる。この自動分析装置1は、試料に含まれる成分の濃度あるいは活性値等を、試料と検査用の試薬との化学反応を利用して光学的にもしくは電気的に測定する。
図1を参照して自動分析装置1の好ましい構造例を説明する。図1に示すように、自動分析装置1は、入力部55と、制御部90と、分析部104と、データ処理部105と、表示装置6を有している。
入力部55は、ユーザ(オペレータ)からの各種指令や測定条件等の指示内容を受け付ける、例えばコンピュータのマウスやトラックボール等のポインティングデバイスやキーボード等の入力デバイスである。制御部90は、ユーザが入力部55を介して入力した指示内容に従って分析部104の各部の動作を制御する。
分析部104は、図1に例示する構造を有している。分析部104は、円形の第1試薬庫10Aと、円形の第2試薬庫10Bと、リング状の反応槽11と、円形のサンプルディスク44と、サンプリングアーム7、第1試薬アーム8、第2試薬アーム9等を有している。
反応槽11は反応ディスクともいい、この反応槽11は、円周状に配列された複数の反応管(反応容器の一例)70を、円周方向に沿って配列保持している。反応槽11は、予め定めた一定のサイクルで回転と停止を繰り返すことで、反応管70は、円周方向に一方向に回転してインデックス可能である。反応管70は、試薬と試料から成る反応液を収容して、内部で化学反応させる。
サンプルディスク44は、反応槽11の傍に配置されている。サンプルディスク44は、試料(サンプル)を収容する複数の試料容器45を保持する。サンプルディスク44は、特定の試料容器45が、所定の試料吸入位置に位置決めできるように回転する。
第1試薬庫10Aは、反応槽11と同心円状に配置されており、第1試薬庫10Aは、反応槽11の内側にある。第1試薬庫10Aは、試料の各測定項目に選択的に反応する第1試薬が収容された複数の試薬容器30を保持している。第1試薬庫10Aは、特定の試薬容器30を所定の第1試薬吸入位置に位置決めできるように回転する。
第2試薬庫10Bは、反応槽11の横側に配置されている。第2試薬庫10Bは、試料の各測定項目に選択的に反応する第2試薬が収容された複数の試薬容器31を保持している。第2試薬庫10Bは、特定の試薬容器31を所定の第2試薬吸入位置に位置決めできるように回転する。試薬容器30は、標準試料や被検試料の各試料に含まれる検査項目の成分と反応する第1試薬を収容し、試薬容器31は、標準試料や被検試料の各試料に含まれる検査項目の成分と反応する第2試薬を収容する。
図1に示すように、反応槽11とサンプルディスク44の間には、サンプリングアーム7が配置されている。このサンプリングアーム7の先端には、サンプリングプローブ17が取り付けられている。サンプリングアーム7は、サンプリングプローブ17をサンプルディスク44上のサンプル吸入位置に配置してサンプリングプローブ17を下げて、サンプル吸入位置に配置された試料容器45内の試料をサンプリングプローブ17に所定量吸入させる。試料が吸入されると、サンプリングアーム7は、サンプリングプローブ17を上げて回転して、反応槽11の所定の反応管70内に試料を供給するようになっている。試料容器45は、標準試料や、尿、全血、及び全血から分離された血清または血漿等の各被検試料を収容する。
図1に示すように、第1試薬アーム8は、反応槽11の外側に配置されており、第2試薬アーム9は、第2試薬庫10Bの外側に配置されている。第1試薬アーム8は、第1試薬プローブ18を有しており、第2試薬アーム9は、第2試薬プローブ19を有している。
第1試薬アーム8は、第1試薬プローブ18を、第1試薬庫10A上の第1試薬吸入位置に配置して第1試薬プローブ18を下げて、第1試薬吸入位置にある試薬容器30内の第1試薬を所定量だけ吸入させる。第1試薬が吸入されると、第1試薬アーム8は、第1試薬プローブ18を上げて、第1試薬プローブ18を回転して反応槽11の所定の反応管70内に第1試薬を供給するようになっている。
同様にして、第2試薬アーム9は、第2試薬プローブ19を、第2試薬庫10B上の第2試薬吸入位置に配置して第2試薬プローブ19を下げて、第2試薬吸入位置にある試薬容器31内の第2試薬を所定量だけ吸入させる。第2試薬が吸入されると、第2試薬アーム9は、第2試薬プローブ19を上げて、第2試薬プローブ19を回転して反応槽11の所定の反応管70内に第2試薬を供給するようになっている。これらの第1試薬プローブ18と第2試薬プローブ19は、試薬分注機構部80を構成している。
次に、図1に示す反応槽11の周囲に配置されたスタラー(撹拌アーム)12と、測定部13と、反応管洗浄部15について説明する。
スタラー12は、先端に撹拌子を有しており、反応管70内の試験溶液(反応液)を撹拌する。測定部13は、反応管70内の試験容器を測光する。測定部13は、照射部13Aと検出部13Bを有し、照射部13Aは、反応槽11の測光位置を通過する反応管70に測光ビームを照射する。検出部13Bは、照射部13Aにより照射されて反応管70を介して試験溶液を通過した測光ビームを、検査項目の波長毎に検出する。検出部13Bはこの測光ビームの強度のデータをデータ処理部105に送る。データ処理部105は、この測光ビームの強度のデータに基づいて、例えば吸光度データで表される標準データや被検データを生成して、検量データや分析データを生成する。これらのデータは、表示装置6に表示可能である。反応管洗浄部15は、反応管70を洗浄する機能を有する。
次に、図2を参照して、自動分析装置1の構成要素の電気的な接続構成例を説明する。
図2は、図1に示す自動分析装置1の構成要素の接続構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、コンピュータ5は、制御部(CPU)90と、記憶部(メモリ)91と、データ処理部105を有している。コンピュータ5は、図1に示す表示装置6と、入力部55と、スタラー12と、測定部13と、反応管洗浄部15と、試薬分注機構部80に電気的に接続されている。これにより、コンピュータ5の制御部90は、表示装置6における必要事項の表示操作と、スタラー12の動作制御と、測定部13の動作制御と、反応管洗浄部15の動作制御と、試薬分注機構部80の動作制御を行うことができる。図2に示すように、試薬分注機構部80は、第1試薬プローブ18と第2試薬プローブ19を有している。
次に、図3は、図1に示す自動分析装置1における電源接続構成と通信ラインの接続構成を示している。
図3に示すように、電源110の電源ライン111には、ブレーカ112が接続されており、電源110は、この電源ライン111を介して、例えば100Vの商用交流電源PSに接続されている。電源110は、分析部104に対して、電源ライン113Sとブレーカ113を介して接続されている。電源110は、コンピュータ(PC)5に対して、電源ライン114Sとブレーカ114を介して接続されている。また、電源110は、試薬庫冷却部としての試薬庫冷却用基板120に対して、ブレーカを介さずに電源ライン120Sにより直接接続されている。
図3に示すように、コンピュータ5は、分析部104に対して通信ラインL1を介して双方向に情報の通信が可能に接続されている。この分析部104は、試薬庫冷却用基板120に対して通信ラインL2を介して双方向に情報の通信が可能に接続されている。これにより、コンピュータ5は、分析部104との間で、情報の送受信が可能であり、分析部104は、試薬庫冷却用基板120との間で、情報の送受信が可能である。この場合に、コンピュータ5と試薬庫冷却用基板120を直接LAN(ローカルエリアネットワーク)通信や、USB(周辺機器とコンピュータを接続するデータ伝送路の規格の1つ)を用いて接続すると、コンピュータ5に対して新たなケーブルの追加や、試薬庫冷却用基板120に通信を可能とするためのドライバを新たに追加する必要が生じてしまう。
図3に示す電源110が、試薬庫冷却用基板120へ供給する電源入力VIは、好ましくはDC12Vである。この試薬庫冷却用基板120は、後で説明するが、冷却回路を有しており、この冷却回路の例えばペルチェモジュール(冷却用モジュール)を制御することで、第1試薬庫10Aと第2試薬庫10Bを冷却するようになっている。
図4は、試薬庫冷却用基板120の概略構成を示すブロック図である。
図4に示すように、試薬庫冷却用基板120は、蓄電部としてのバックアップ用キャパシタ150と、電源監視回路151と、スイッチSの切替スイッチS1、S2と、冷却回路160と、制御部200を有している。制御部200は、メモリ201と、カウンタ回路202と、通信部203と、温度測定部204を有している。
バックアップ用キャパシタ150と電源監視回路151は、電源110に対して、電源ライン120Sを介して直接接続されている。バックアップ用キャパシタ150は蓄電部の好ましい例であり、電源110から12Vの電源入力VIがバックアップ用キャパシタ150に入力されると、バックアップ用キャパシタ150は蓄電を行う。電源監視回路151は、電源110からの12Vの電源入力VIが入力されているかどうかを、常に監視している。
図4に示すように、バックアップ用キャパシタ150は、電気端子152を有し、電源監視回路151は、電気端子153を有している。スイッチSは、切替スイッチS1と切替スイッチS2を有している。切替スイッチS1は、電気端子152,153のいずれかを、切替端子154に対して切り替えて接続することができ、通常では電気端子153が切替端子154に接続されている。切替スイッチS2の電気端子155は、切替端子154に接続されている。冷却回路160は電気端子156を有している。
図4に示すように電気端子155と電気端子156は通常では接続されているが、切替スイッチS2は、電気端子155と電気端子156の間をオフ状態にすることができる。すなわち、電源監視回路151からの停電検知信号Mにより、スイッチSでは、破線で示すように、切替スイッチS1において電気端子152が切替端子154に切替接続されるのと同期して、切替スイッチS2がオフ状態になるように構成されている。図4に示す試薬庫冷却用基板120の冷却回路160は、電源110と電源監視回路151を通じて与えられる電源入力VIにより、冷却対象である図1に示す第1試薬庫10A、第2試薬庫10Bを冷却する。
図4に示す制御部200のメモリは、カウンタ回路202のカウント値に基づく停電時間情報や、温度情報を記憶するためのものである。カウンタ回路202は、時間をカウントする。通信部203は、例えば通信規格であるRS−232Cを用いており、通信部203は、通信ラインL2を通じて分析部104に双方向通信可能に情報を送るようになっている。分析部104は、コンピュータ5の制御部90との間で通信ラインL2を通じて双方向通信可能に情報を送るようになっている。温度測定部204は、温度測定用ADC(デジタル―アナログ変換器)回路を有しており、温度測定部204は、例えば第1試薬庫10A、第2試薬庫10Bのそれぞれの温度を測定する。
図4に示すように、コンピュータ5の制御部90は、表示装置6と、ユーザへの通知手段205に接続されている。表示装置6は、好ましくは試薬庫冷却用基板120の停電時間情報と、第1試薬庫10Aの温度情報と第2試薬庫10Bの温度情報等を表示することができる。表示装置6は、コンピュータ90の指令により、試薬庫冷却用基板120の停電時間が予め定めた時間を超えているかどうかの時間超過情報と、第1試薬庫10Aの温度情報と第2試薬庫10Bの温度情報から第1試薬庫10Aの温度と第2試薬庫10Bの温度が予め定めた温度を超えているかどうかの温度超過情報を、エラー情報として表示することができる。
これにより、ユーザは、試薬庫の冷却動作が停止している時間超過情報と温度超過情報を、表示装置6の画面においてエラー情報として目視で確認できる。また、表示装置6は、停電時間が短く試薬には影響がなかった等の情報を、表示することもできる。
また、図4に示すユーザへの通知手段205は、試薬庫冷却用基板120の停電時間が予め定めた時間を超えているかどうかの時間超過情報と、第1試薬庫10Aの温度情報と第2試薬庫10Bの温度情報から試薬庫の温度が予め定めた温度を超えているかどうかの温度超過情報を、エラー情報として通知することができる。また、ユーザへの通知手段205は、停電時間が短く試薬には影響がなかった等の情報を、通知することができる。このユーザへの通知手段205としては、例えばスピーカであり、このスピーカによりユーザに対して音声ガイダンスを行える。
次に、上述した自動分析装置1の動作例を、図5ないし図7を参照して説明する。
図5は、図4に示すコンピュータ(PC)5と、分析部104と、試薬庫冷却用基板120が立ち上がっている時における、図4に示すカウンタ回路202のリセットタイミングの例を示している。図6は、図4に示すコンピュータ(PC)5は立ち上がっておらず、分析部104と試薬庫冷却用基板120だけが立ち上がっている時における、図4に示すカウンタ回路202のリセットタイミングの例を示している。図7は、図4に示す電源110のオン/オフタイミングの例を示している。ここで、電源110のオン時とは、通常の駆動時において、商用交流電源PSから電源110に電源入力VIが有る場合であり、電源110のオフ時とは、停電により商用交流電源PSから電源110に電源入力VIが無い場合である。
図4において、通常の駆動時において電源110からの電源が供給されている状態では、電源110からのDC12Vの電源入力Vがバックアップ用キャパシタ150に供給されているので、バックアップ用キャパシタ150は常に満蓄電状態になっている。
図4に示すスイッチSの切替スイッチS1では、電気端子153と切替端子154が接続されており、切替スイッチS2はオン状態にある。これにより、電源110の電源入力VIは、電源監視回路151と切替スイッチS1、S2を介して冷却回路160に通電している。このため、第1試薬庫10Aと第2試薬庫10Bは、冷却回路160のペルチェモジュールの駆動により、所定温度にて冷却状態に維持されている。しかも、通常の電源110からの電源入力VIが供給されている状態では、電源監視回路151は、電源110からのDC12Vの電源入力Vが入力されているかどうかを、常に監視している。制御部200は、電源110からの電源入力VIにより駆動される。
ここで、停電により商用交流電源PSからの電源入力VIが無くなると、電源110からのDC12Vの電源入力VIが絶たれたことを、電源監視回路151が検知する。電源監視回路151は、破線で示すように、停電検知信号Mを切替スイッチS1と切替スイッチS2に送る。これにより、電源監視回路151は、切替スイッチS1と切替スイッチS2の状態を切替える。これにより、切替スイッチS1では、電気端子152と切替端子154が接続され、切替スイッチS2はオフ状態になる。このため、バックアップ用キャパシタ150の電源入力VJは、切替スイッチS1を介して制御部200側に供給される。
つまり、制御部200は、電源110からの電源入力VIによる駆動に代えて、バックアップ用キャパシタ150からの電源入力VJにより駆動することに切り替えられる。このように、停電時には、バックアップ用キャパシタ150の電源入力VJは、冷却回路160のペルチェモジュールを駆動するだけの十分な容量が無いために、冷却回路160のペルチェモジュールの制御には用いられないが、制御部200の駆動には用いられる。このため、停電時には、冷却回路160の動作は停止する。
図4に示す制御部200のカウンタ回路202は、上述した通常の駆動時および停電時のどちらの状態においても、常に数をカウントすることができる。カウンタ回路202のカウント値の上限は、好ましくは自動分析装置1の電源のオフ時間や、実際のユーザの仕事上の休暇期間を想定して、例えば好ましくは最大2週間とすることができる。このように、カウンタ回路202のカウント値の上限を最大でも2週間に設定することで、カウンタ回路202のロジック回路のゲート数を最低限にすることができることから、カウンタ回路202の価格を抑えることができるので、コストダウンが図れる。また、温度測定部204の場合も、バックアップ用キャパシタ150による駆動時においては、消費電力を少しでも抑えるためには、好ましくはサンプリング周波数を分単位にする等の制御をすることが必要となる。
図1に示す自動分析装置1が持つ時間情報としては、図2に示すコンピュータ5の制御部90が所有する時間を「絶対時間」と定義する。例えば、自動分析装置1の第1試薬7個10Aと第2試薬庫10Bが、何時から何時まで停電が起こったということを、「冷却動作の際のエラー情報」として表示する場合には、コンピュータ5の制御部90の「絶対時間」に準拠した表示が必要となる。
図4に示す試薬庫冷却用基板120の電源監視回路151は、上述したように停電の有無の検知が可能であり、しかも試薬庫冷却用基板120は、常に数をカウントするカウンタ回路202を備えているのでカウンタ機能を有している。このことから、停電の開始時間から復電した時間を正確に取得するためには、コンピュータ5の制御部90が所有する「絶対時間」と、カウンタ回路202がカウントする時間の同期が必要になる。この同期をとるために、カウンタ回路202のリセットが必要になる。
そこで、図5と図6を参照すると、図5では、コンピュータ(PC)5と、分析部104と、試薬庫冷却用基板120が立ち上がっている時における、図4に示すカウンタ回路202のリセットタイミングの例を示している。図6は、コンピュータ(PC)5は立ち上がっておらず、分析部104と試薬庫冷却用基板120だけが立ち上がっている時における、図4に示すカウンタ回路202のリセットタイミングの例を示している。
図5(A)、図5(B)において、カウンタ回路202のカウントのリセットタイミングTは、コンピュータ(PC)5の制御部90と分析部104が電源投入後に立ち上がって通信した時、とする。このリセットタイミングTでは、コンピュータ5がすでに起動しているために、「絶対時間」が分かっており、分析部104と試薬庫冷却用基板120との間は、図3に示すように通信ラインL1を通じて双方向の通信も可能であることから、コンピュータ(PC)5の制御部90と分析部104が電源投入後に立ち上がって通信した時(リセットタイミングT)は、カウンタ回路202のリセット操作に適している。
分析部104は、このリセットタイミングTにおいて、今までのカウント情報を、試薬庫冷却用基板120から受け取るものとして、コンピュータ5の制御部90は、カウント情報を分析部104から受け取るものとする。例えば、図5(A)と図5(B)に示すように、カウンタ回路202が既に800分カウントしている場合には、リセットタイミングTにおいて、この既にカウント済みの800分カウントをゼロカウント値にして、さらにリセットタイミングTにおいて、ゼロカウント値からカウントを新たに開始する。
また、図6に示すように、コンピュータ(PC)5は立ち上がっておらず、つまりコンピュータ5の電源が投入されておらず、分析部104と試薬庫冷却用基板120だけが立ち上がっている時には、分析部104が立ち上がったリセットタイミングT1において、カウンタ回路202のリセットをかけるものとする。上述したように、カウンタ回路202のカウント機能に上限を設けているので、カウンタ回路202のオーバフローを防止するために、カウンタ回路202は、図6のリセットタイミングT1と同時に、図4の分析部104に対して、通信ラインL2を通じて、今までのカウント情報を転送する。
この時に、リセットタイミングT1では、コンピュータ5は立ち上がっていないので、分析部104とコンピュータ5とは情報のやり取りを行えないので、分析部104は「絶対時間」がこの時点では分からない。しかし、分析部104が立ち上がったリセットタイミングT1の次のコンピュータ5が立ち上がるリセットタイミングT2では、分析部104とコンピュータ5とは情報のやり取りを行えるので、コンピュータ5と分析部104との間の通信する際に、この時間(800分カウント)を加算することで「絶対時間」への換算が可能である。
図4のコンピュータ5と分析部104との間の通信時には、分析部104に対して通信時のカウント値を、図4のメモリ201に記憶することで、「絶対時間」への換算が可能である。例えば、図6に示すように、カウンタ回路202が既に800分カウントしている場合に、リセットタイミングT1からリセットタイミングT2までにさらに500分カウントされている場合には、図4のコンピュータ5の制御部90は、800分カウントと500分カウントをメモリ201に記憶し、得られた800分カウントと500分カウントを加算にして、1300分カウントを算出した後に、コンピュータ5が起動するリセットタイミングT2では、その後のカウント値をゼロカウント値にして、さらにリセットタイミングT2において、カウントを再度開始する。
図7(A)に示すように、カウンタ回路202は常時カウント動作を行い続けて、時間カウント中である。図4に示す試薬庫冷却用基板120は、電源監視回路151により検知されたバックアップ用キャパシタ150の駆動および電源110の切り替わりタイミングにおいて、図4のカウンタ回路202のカウント値をメモリ201に記憶する。図7に示すような電源110のオフ時間TFFのタイミングでのカウント値をメモリ201に記憶し、電源110のオフ時間TFFから次のオン時間TONまでカウントを行う。
このような電源110のオフ時間TFFのタイミングでのカウント値をメモリ201に記憶し、電源110のオフ時間TFFから次のオン時間TONまでカウントを行うことを繰り返して行うことができる。この時に、上述したように、図7(A)に示すように、カウンタ回路202は、回し続けるものとし、図7(B)に示す電源110のオフ時間TFFのタイミング、次のオン時間TONのタイミングでカウンタ回路202のカウント値をメモリ201に記憶する。
図4に示す制御部200のロジック回路のゲート数を削減するために、図7に示すように最大2回分のオン/オフ切り替わりタイミングの分を、メモリ201に記憶できるようになっている。また、この時の第1試薬庫10Aの温度情報と第2試薬庫10Bの温度情報は、メモリ201に記憶しておく。これにより、制御部200のメモリ201には、最大2回分のオン/オフ切り替わりタイミングでの停電時のカウント値である停電時間の時間情報および温度情報と、停電・復電時の時間情報および温度情報を記憶しており、制御部200は、これらの時間情報と温度情報を取得ができる。
これらの取得情報に基づいて、コンピュータ5の制御部90は、何時何分に停電が起こり、何時何分に停電から復帰してその停電時間の情報、停電開始と復電での第1試薬庫10Aと第2試薬庫10Bの温度がそれぞれ何度であったか温度情報を、表示装置6の画面に表示することができる。このため、ユーザは、表示装置6の画面において、目視で何時何分に停電が起こり、何時何分に停電から復帰し、停電開始と復電での第1試薬庫10Aと第2試薬庫10Bの温度がそれぞれ何度であったかを、確認できる。
さらに詳しくは、例えば表示装置6の画面には、コンピュータ90の指令により、試薬庫冷却用基板120の停電時間が予め定めた時間を超えているかどうかの時間超過情報と、試薬庫10A,10Bの温度情報から試薬庫10A,10Bの温度が予め定めた温度を超えているかどうかの温度超過情報が、エラー情報として表示できる。あるいは表示装置6は、自動分析装置1の停電時間が短く試薬庫の試薬には影響が無かったこと等の通知すべき情報を通知することで、通知すべき情報を確実にユーザに通知することができる。
また、図4の通知手段205は、例えばスピーカ等を用いて停電時の時間情報や温度情報を音声で伝えて、第1試薬庫10Aと第2試薬庫10B内の試薬容器内の試薬が、規定温度を上回ったことや、停電時間が短く影響が無かったこと等の通知すべき情報を通知することで、通知すべき情報を確実に音声で通知することができる。
もし、第1試薬庫10Aと第2試薬庫10B内の試薬容器内の試薬が、規定温度を上回った場合には、制御部200は、この情報をエラーとして制御部90へ送ることで、制御部90は、試薬が既に使えない状態になっていることを、例えば表示装置6の画面に表示させたり、音声ガイダンスを行うようにすることで、自動分析装置1の信頼性をより高めることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態の自動分析装置1は、試薬容器内の試薬を用いて試料の分析を行う自動分析装置であって、商用電源部に接続された電源と、試薬容器を保持している試薬庫を有する分析部と、分析部との間で情報の送受信が可能で、分析部の動作を制御するコンピュータと、分析部との間で情報の送受信が可能な試薬庫冷却部であり、電源からの電源入力により試薬庫の冷却を行い、コンピュータが有する時間情報と同期して計数し、電源からの電源入力により蓄電する蓄電部を有する試薬庫冷却部と、を備え、商用電源部の停電により電源から試薬庫冷却部への電源入力が停止した時に、蓄電部からの電源入力により計数して、停電の開始時の時間情報と停電復帰時の時間情報から試薬庫冷却部の停電時間を取得する。
さらに詳しくは、この自動分析装置1は、商用電源部PSに接続された電源110と、試薬容器を保持している試薬庫10A,10Bを有する分析部104と、分析部104との間で情報の送受信が可能で、分析部104の動作を制御するコンピュータ5と、分析部104との間で情報の送受信が可能な試薬庫冷却用基板120を備える。この試薬庫冷却用基板120は、電源110から電源入力により試薬庫10A,10Bの冷却を行う冷却回路160と、コンピュータ5が有する時間情報と同期してカウント動作するカウンタ回路202と、電源110からの電源入力により蓄電する蓄電部としての例えばバックアップ用キャパシタ150を有する。商用電源部PSの停電により電源110から冷却回路160への電源入力が停止した時に、蓄電部110からの電源入力がカウンタ回路202を動作させて、停電の開始時の時間情報と停電復帰時の時間情報から試薬庫冷却用基板120の停電時間を取得する。これにより、停電が起きた時の停電開始時から停電復帰時までの時間を監視して、試薬庫10A,10Bの冷却機能が停止していた時間を得ることができる。しかも、自動分析装置1は、無停電電源装置の設置が不要であり、自動分析装置の大型化やコストアップを避けることができる。
自動分析装置1は、停電の開始時の時間情報と停電復帰時の時間情報と、停電時間を記憶するメモリ201を有し、カウンタ回路202が、停電時間の取得可能な監視期間は、最大で2週間に設定されている。これにより、自動分析装置1のメモリ201は、停電の開始時の時間情報と停電復帰時の時間情報と、停電時間を記憶することができる。しかも、自動分析装置1の電源のオフ時間、実際の仕事の休暇期間を想定して、例えば好ましくは最大2週間とすることで、カウンタ回路202のロジック回路のゲート数を最低限にすることができるので、コストダウンが図れる。
試薬庫冷却用基板120は、試薬庫10A,10Bの温度情報を取得する温度測定部204を有し、温度測定部204で得られる試薬庫の温度情報をメモリに記憶させる。これにより、試薬庫10A,10Bの温度情報を記憶させることで、試薬庫10A,10Bの温度の監視のために試薬庫の温度情報を利用できる。
試薬庫冷却用基板120の停電時間と、試薬庫10A,10Bの温度情報を表示する表示装置6を有し、この表示装置6は、コンピュータ90の指令により、試薬庫冷却用基板120の停電時間が予め定めた時間を超えているかどうかの時間超過情報と、試薬庫10A,10Bの温度情報から試薬庫10A,10Bの温度が予め定めた温度を超えているかどうかの温度超過情報を、エラー情報として表示する。これにより、試薬庫冷却用基板120の停電時間が予め定めた時間を超えているかどうかの時間超過情報と、試薬庫10A,10Bの温度情報から試薬庫の温度が予め定めた温度を超えているかどうかの温度超過情報を、エラー情報として表示できるので、ユーザは試薬庫の冷却動作が停止している時間超過情報と温度超過情報を、表示装置6によりエラー情報として目視で確認できる。
試薬庫冷却用基板120は、電源110と冷却回路160の間に配置されて商用電源部PSが停電したかどうかを監視する電源監視回路151と、電源監視回路151が停電を検知すると、電源110と冷却回路160の間の接続を遮断するとともに、蓄電部であるバックアップ用キャパシタ150の電源入力をカウンタ回路202とメモリ201と温度測定部204に供給するスイッチSと、を有する。これにより、電源監視回路151が停電を検知すると、電源110と冷却回路160の間の接続を遮断すると同時に、バックアップ用キャパシタ150の電源入力が自動的にカウンタ回路202とメモリ201と温度測定部204の動作を開始することができる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図4に示す例では、バックアップ用の蓄電部としては、好ましくはキャパシタを用いているが、例えばリチウムイオン電池等、繰り返して充放電可能な2次電池を用いても良い。