JP6125226B2 - 導電性カーボン分散液、導電性塗料組成物及び導電性部材 - Google Patents
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Description
前記(メタ)アクリレート/シリコーンコポリマーが、1質量%以上97質量%以下の下記構成単位(1)と、2質量%以上60質量%以下の下記構成単位(2)と、からなることが好ましい。
この場合に、前記(メタ)アクリレート/シリコーンコポリマーが、前記構成単位(2)を繰り返し単位として有する(メタ)アクリルポリマーを幹ポリマーとして有し、前記構成単位(1)で表されるシリコーンを枝ポリマーとして有するグラフトコポリマーであることが好ましい。
前記シリコーン溶媒が、沸点250℃以下のシリコーンオイルであることが好ましい。
前記導電性カーボンが、カーボンナノチューブであることが好ましい。
この場合に、前記導電性カーボンのメディアン径が、10μm以下であることが好ましい。
前記分散剤が、前記導電性カーボン100質量部に対して50質量部以上500質量部以下含有されていることが好ましい。
さらに、前記分散剤が、前記導電性カーボン100質量部に対して75質量部以上150質量部以下含有されていることが好ましい。
前記分散液中の前記導電性カーボンの濃度が、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
さらに、前記分散液中の前記導電性カーボンの濃度が、1質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
また、本発明によれば、前述した導電性カーボン分散液にシリコーン樹脂を溶解させた、導電性塗料組成物が提供される。
前記シリコーン樹脂が、ポリジメチルシロキサンであってもよい。
塗料粘度が、1000mPa・s以下であることが好ましい。
前記シリコーン樹脂をヒドロシリル化反応により架橋する架橋剤を更に含有していてもよい。
また、本発明によれば、基材表面に、前述した導電性塗料組成物により形成された導電性塗膜を有する、導電性部材が提供される。
前記導電性塗膜の体積抵抗率が、108Ω・cm以下であることが好ましい。
前記導電性塗膜の算術平均粗さ(Ra)が、10μm以下であることが好ましい。
前記導電性塗膜のデュロメータ硬さが、40以下であることが好ましい。
1 導電性カーボン分散液の組成
2 導電性カーボン分散液の製造方法
3 導電性塗料組成物の組成
4 導電性塗料組成物の製造方法
5 導電性塗料組成物の作用効果
6 導電性部材の構造
7 導電性部材の製造方法
8 導電性部材の作用効果
9 導電性部材の用途
本発明における導電性カーボン分散液は、CNT等の導電性カーボンがシリコーン溶媒中に均一に分散した溶液である。ここで、本発明における分散の均一性とは、50メッシュのフィルタを用いてろ過した場合に凝集物がなく、遠心分離を行った場合に沈殿物がない状態をいう。また、導電性カーボンがシリコーン溶媒中に分散した溶液であることを判別するための遠心分離の条件としては、遠心加速度を5000(×g)、処理時間を1時間程度とすることが好ましい。以上のような導電性カーボン分散液は、導電性カーボンと、導電性カーボンが分散されるシリコーン溶媒と、導電性カーボンをシリコーン溶媒に分散させるための分散剤と、を主に含有する。以下、各成分について順に説明する。
本発明に係る導電性カーボンとしては、導電性を有するカーボンであれば特に限定はされないが、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、カーボンナノホーン、フラーレン等のナノカーボンや、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、グラフェン、黒鉛等が挙げられる。これらのうち、本発明に係る導電性カーボンとしては、導電性、熱伝導性及び機械的強度が高いことから、CNTが好ましい。
本発明で用いられるCNTとしては、グラフェンが単層のもの(単層カーボンナノチューブ、「SWNT」と呼ばれる。)から多層のもの(多層カーボンナノチューブ、「MWNT」と呼ばれる。)まで、目的に応じて使用することができる。本発明においては、MWNTが好ましく用いられる。用いるCNTの製造方法としては、特に制限されるものではなく、触媒を用いる熱分解法(気相成長法と類似の方法)、アーク放電法、レーザ蒸発法、HiPco法(High−pressure carbon monoxide process)及びCVD法(Chemical Vapor Deposition)等、従来公知のいずれの製造方法を用いても構わない。
上述した導電性カーボンのメディアン径(「D50」又は「50%粒子径」とも呼ばれる。)は、10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。導電性カーボンの粒度分布を前記範囲とすることにより、導電性カーボンをシリコーン溶媒中へより高濃度で安定的且つ均一に分散させることができる。ここで、本発明に係る導電性カーボンのメディアン径の値としては、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製 SALD−7000H)を用い、屈折率1.65、虚部1.0にて測定した値を使用することとする。
また、本発明に係る導電性カーボン分散液中への導電性カーボンの濃度は、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。導電性カーボンの濃度が0.1質量%未満であると、導電性カーボンの添加効果、すなわち、導電性、熱伝導性、後述する熱伝導性塗膜の機械的強度の向上効果が十分に得られないおそれがある。一方、導電性カーボンの濃度が10質量%を超えると、導電性カーボンをシリコーン溶媒中へ安定的且つ均一に分散させることが困難となるおそれがある。導電性カーボンの添加効果をより高め、シリコーン溶媒中への分散性をより高めるという観点から、導電性カーボンの濃度は、1質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。
本発明に係るシリコーン溶媒は、Siの原子数が4以上である環状シロキサン及びSiの原子数が4以上である鎖状シリコーンからなる群より選択される、常温・常圧(25℃・1気圧)で液状のシリコーンである。このようなシリコーン溶媒を使用することで、導電性カーボンを良好に分散させることができる。ここで、Siの原子数が6を超えると、シリコーン溶媒の粘性が高すぎるため、導電性カーボンの分散性が低下するおそれがあることから、本発明に係るシリコーン溶媒のSiの原子数は6以下であることが好ましい。また、導電性カーボンの分散性の向上を重視した場合には、シリコーン溶媒として、鎖状シリコーンよりも環状シロキサンを用いることが好ましい。さらに、コストが問題でなければ、シリコーン溶媒として変性シリコーンを使用してもよい。
本発明では、導電性カーボンをシリコーン溶媒中へ分散させるための分散剤として、(メタ)アクリレート/シリコーンコポリマーを使用する。ここで、「(メタ)アクリレート/シリコーンコポリマー」とは、(メタ)アクリルポリマーとシリコーンとが共重合したコポリマーである。この(メタ)アクリレート/シリコーンコポリマーの共重合の形態は、グラフト共重合、ブロック共重合、ランダム共重合等、特に制限されるものではないが、本発明に係る分散剤としては、(メタ)アクリルポリマーを幹ポリマーとして有し、シリコーンを枝ポリマーとして有するグラフトコポリマーを使用することが好ましい。このような構造の分散剤を用いることで、導電性カーボンをシリコーン溶媒中に高濃度で安定的且つ均一に分散させることができる。また、本発明に係る分散剤は、窒素(N)原子やリン(P)原子を含有していないため、白金を触媒としたシリコーン樹脂のヒドロシリル化架橋反応を阻害することもない。
本発明に係る分散剤は、特に、1質量%以上97質量%以下の下記構成単位(1)と、2質量%以上60質量%以下の下記構成単位(2)と、からなる(メタ)アクリレート/シリコーンコポリマーであることが好ましい。
前述した分散剤は、導電性カーボン100質量部に対して50質量部以上500質量部以下含有されていることが好ましい。分散剤の含有量が50質量部未満であると、導電性カーボンをシリコーン溶媒中により高濃度で安定的且つ均一に分散させることが困難となる場合がある。一方、分散剤の含有量が500質量部を超えると、分散剤自体がシリコーン溶媒へ溶解し難くなるおそれがある。シリコーン溶媒中への分散性をより高めるという観点から、分散剤の含有量は、75質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
本発明に係る導電性カーボン分散液には、前述した導電性カーボン、シリコーン溶媒及び分散剤の添加効果を阻害しない範囲で、他の添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、分散安定剤、レベリング剤、粘度調整剤等がある。
本発明に係る導電性カーボン分散液は、粘度が10mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましい。粘度が前記範囲を外れる場合には、導電性塗料組成物の塗料粘度を後述するような適切な範囲とすることができない。なお、導電性カーボン分散液の粘度は、25℃で測定した値であり、粘度計(例えば、ブルックフィールド社製 B型粘度計)を用いて測定することができる。
以上、本発明に係る導電性カーボン分散液の組成について詳細に説明したが、続いて、前述した導電性カーボン分散液の製造方法について説明する。
CH2=C(R4)R5− (5)
(式(5)において、R4は水素又はメチル基であり、R5は炭素数2〜11のアルキレンオキシカルボニル基又はフェニレン基である。)
nは、3〜500の整数である。]
[前記式(4)において、R6は水素又はメチル基であり、R7は炭素数1〜30のアルキル基である。]
本発明に係る導電性塗料組成物は、前述した導電性カーボン分散液にシリコーン樹脂を溶解させた塗料組成物である。この導電性塗料組成物においては、導電性カーボンがシリコーン樹脂に高濃度で安定的且つ均一に分散されている。従って、この塗料組成物を基材に塗布することで、後述するように、導電性カーボンがマトリックスであるシリコーン樹脂中に高濃度で安定的且つ均一に分散された塗膜を得ることが可能となる。以下、本発明に係る導電性塗料組成物の各成分について順に説明する。
導電性カーボン分散液の詳細(各成分の構造、物性、具体例、含有量等)については前述した通りであるので、ここではその詳細な説明を省略する。
一般に、シリコーン樹脂(「ケイ素樹脂」ともいう。)は、有機基を持つケイ素が酸素と交互に結合してできる骨格を有する樹脂であり、その原料としては、クロロトリメチルシラン[(CH3)3SiCl]、ジクロロジメチルシラン[(CH3)2SiCl2]、トリクロロメチルシラン[CH3SiCl3]がある。本発明に係る導電性塗料組成物に使用可能なシリコーン樹脂としては、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシランのいずれを原料とするものでもよい。
ただし、経済性、適切な塗料粘度の観点から、本発明に係る導電性塗料組成物に使用するシリコーン樹脂としては、シリコーンゴム、特に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が好ましい。シリコーンゴム(「ケイ素ゴム」ともいう。)とは、一般に、主鎖がオルガノシロキサン結合(SiR2)nから成る合成ゴムであり、基本的なものはジクロロジメチルシランを原料とし、その脱水縮合で得られるRがメチル基のPDMSである。
前述したシリコーン樹脂の含有量は、導電性カーボン100質量部に対して、1000質量部以上10000質量部以下であることが好ましい。含有量が100質量部未満であると、導電性カーボンの分散性の悪化や塗料の粘度が高くなり塗膜の表面性が悪化するおそれがある。一方、含有量が10000質量部を超えると、ポリマー中での導電性カーボンの接触が不十分となり、導電性が発現しないおそれがある。上記効果をより効果的に発現させるために、シリコーン樹脂の含有量は、導電性カーボン分散液100質量部に対して30質量部以上300質量部以下であることが好ましい。
本発明に係る導電性塗料組成物は、前述したシリコーン樹脂をヒドロシリル化反応により架橋する架橋剤を更に含有していてもよい。このとき、前述した分散剤がN原子やP原子を含有していないことから、この架橋剤によるヒドロシリル化反応が阻害されることはない。本発明で使用可能な架橋剤としては、シリコーン樹脂のヒドロシリル化反応による架橋が可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、α、ω−ビス(ハイドロジエン)ポリジメチルシロキサン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等がある。
本発明に係る導電性塗料組成物には、前述した導電性カーボン分散液、シリコーン樹脂及び架橋剤の添加効果を阻害しない範囲で、他の添加剤が添加されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、増粘剤、レベリング剤、分散安定剤等がある。
前述した組成を有する導電性塗料組成物の塗料粘度は、5000mPa・s以下であることが好ましく、3000mPa・s以下であることがより好ましく、1000mPa・s以下であることが更に好ましい。塗料粘度が5000mPa・sを超えると、導電性塗料組成物を基材に塗布する際にハンドリング性が低下するおそれがある。一方、塗料粘度が低過ぎると、基材からの液垂れが起こる場合があることから、導電性塗料組成物の塗料粘度は、100mPa・s以上であることが好ましい。ここで、導電性塗料組成物の塗料粘度は、25℃で測定した値であり、粘度計(例えば、ブルックフィールド社製 B型粘度計)を用いて測定することができる。
以上、本発明に係る導電性塗料組成物の組成について詳細に説明したが、続いて、前述した導電性塗料組成物の製造方法について説明する。
前述した本発明に係る導電性塗料組成物は、シリコーン樹脂中に導電性カーボンが微分散しているため、スプレーコーティングのような簡易な方法を用いて、塗料組成物を基材に塗布することができる。
本発明に係る導電性部材は、基材表面の少なくとも一方の面に、前述した導電性塗料組成物により形成された導電性塗膜を有する部材である。上述した導電性塗料組成物を塗布・乾燥硬化させることで得られる導電性塗膜は、優れた導電性(特に、体積抵抗率)及び表面平滑性を有することから、本発明に係る導電性部材を低い体積抵抗率や高い表面平滑性が必要とされる用途に適用することができる。以下、本発明に係る導電性部材の主な構成要素である基材及び導電性塗膜について説明する。
本発明に係る導電性部材の基材として使用可能な材料は、樹脂、金属等、特に限定されるものではなく、導電性部材の用途に合わせて適宜選択することができる。前記樹脂としては、前述した導電性塗料組成物を塗布(コーティング)できるものであれば、フィルム状、板状等の任意の形状のものを使用でき、また、樹脂の種類としても、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等、種々の材料から選択することができる。また、前記金属としても、前述した導電性塗料組成物を塗布(コーティング)できるものであれば、板状、筒状、棒状等の任意の形状のものを使用でき、また、金属の種類としても、鉄、アルミニウム、銅、ステンレスその他の合金等、種々の材料から選択することができる。
本発明に係る導電性塗膜は、前述した導電性塗料組成物を前記基材へ塗布及び乾燥して得られ、CNT等の導電性カーボンがシリコーン樹脂中に均一に分散された塗膜である。そのため、本発明に係る導電性塗膜は、表面平滑性に優れ、小さな体積抵抗率を有する。
本発明に係る導電性塗膜の体積抵抗率は、導電性部材の導電性を高めるため、108Ω・cm以下であることが好ましく、104Ω・cm以下であることがより好ましく、10Ω・m以下であることが更に好ましい。一方、体積抵抗率が低過ぎると、電荷が放電し易くなるため、導電性塗膜の体積抵抗率は、10−1Ω・cm以上であることが好ましい。なお、導電性塗膜の体積抵抗率は、25℃、50%RHの条件で、例えば、三菱化学(株)製のロレスタGP等の抵抗率計を用いて測定することができる。
また、本発明に係る導電性塗膜の算術平均粗さ(Ra)は、導電性塗膜の表面平滑性を担保するために、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが更に好ましい。なお、導電性塗膜のRaは、例えば、ミツトヨ製の小型表面粗さ測定機「サーフテスト SJ−301」等を用いて測定することができる。
さらに、本発明に係る導電性塗膜のデュロメータ硬さ(デュロメータ タイプA)は、40以下であることが好ましく、35以下であることがより好ましく、30以下であることが更に好ましい。なお、導電性塗膜のショアA硬度は、JIS K6253等の規格に準拠して測定することができる。
また、本発明に係る導電性部材は、前述した導電性塗膜に加えて、該塗膜の機能を阻害しない範囲で、他の機能を付加するための他の1又は2以上の塗膜や表面処理層を有していてもよく、これらの塗膜や表面処理層の位置も、導電性塗膜の上層又は下層のいずれでもよい。このような塗膜や表面処理層としては、例えば、金属との密着性を向上させるためのシランカップリング材コーティング等がある。
以上、本発明に係る導電性部材の構造について詳細に説明したが、続いて、前述した導電性部材の製造方法について説明する。
以上説明したように、本発明によれば、低い表面抵抗(体積抵抗率)、高い表面平滑性及び低い硬度を有する塗膜が基材上に形成された導電性部材を得ることができる。また、本発明に係る導電性塗膜では、導電性カーボンがシリコーン樹脂中に高濃度で安定的且つ均一に分散されており、更には、導電性塗膜の構造中に、白金等の触媒によるヒドロシリル化架橋反応を阻害する元素が含まれていないため、極めて導電性に優れた塗膜を有する導電性部材を得ることが可能となる。
本発明に係る導電性部材は、前述のように、低い体積抵抗率及び高い表面平滑性を有するとともに、極めて優れた導電性を有することから、以上のような性質が必要とされる用途に適用することができる。具体的には、本発明に係る導電性部材の用途としては、例えば、感光体を有する画像形成装置における転写ローラ、リモコンスイッチの接点材料等が挙げられる。
まず、本実施例及び比較例の評価に用いた試料の作成方法について説明する。
(CNT分散液の作成)
下記表1に示すように、循環冷却水ジャケットを有した1LSUS製容器に、シリコーン溶媒として環状シリコーンオイル(デカメチルシクロペンタシロキサン) TSF−405(モメンティブパフォーマンスマテリアル製)284g、分散剤として(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーのIPA溶液 KP−541(信越化学工業(株)製)10.0gを添加し、完全に溶解させた。次いで、超音波照射下で、導電性カーボンとして多層CNT NC−7000(ナノシル社製)6.0gを1時間かけて8℃以下に温調されたメタルジャケット中へ添加した。CNTを添加後、超音波照射を5時間行い、50メッシュフィルタでろ過し、実施例1のCNT分散液を得た。
下記表2に示すように、前述の手法で作成したCNT分散液200gへ、白金触媒を含有する液状シリコーンゴム XE14−C1705A(モメンティブパフォーマンスマテリアル製)を45.0g添加し、30分間超音波を照射することで完全に溶解させた。
前述のようにして得られた架橋剤を含むCNT塗料組成物を、厚さ100μmのPETフィルム上にバーコータを用いて100μmの厚みで塗布し、150℃で5分間乾燥の後、200℃で10分間乾燥させ、PETフィルム上に導電性塗膜を有する実施例1の導電性部材を作成した。
シリコーン溶媒として、環状シリコーンオイル(デカメチルシクロペンタシロキサン) TSF−405(モメンティブパフォーマンスマテリアル製)289gを添加し、分散剤として、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーのIPA溶液 KP−541(信越化学工業(株)製)5.0gを添加した点を除いては、実施例1と同様にして、CNT分散液、CNT塗料組成物及び導電性部材を作成した。
シリコーン溶媒として、環状シリコーンオイル(デカメチルシクロペンタシロキサン) TSF−405(モメンティブパフォーマンスマテリアル製)274gを添加し、分散剤として、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマーのIPA溶液 KP−541(信越化学工業(株)製)20.0gを添加した点を除いては、実施例1と同様にして、CNT分散液、CNT塗料組成物及び導電性部材を作成した。
シリコーン溶媒として、オクタメチルシクロテトラシロキサン TSF−404(モメンティブパフォーマンスマテリアル製)を用いた点を除いては、実施例1と同様にして、CNT分散液、CNT塗料組成物及び導電性部材を作成した。
シリコーン溶媒として、ジメチルシリコーンオイル KF−96−100cs(信越シリコーン社製)を用いた点を除いては、実施例1と同様にして、CNT分散液、CNT塗料組成物及び導電性部材を作成した。
シリコーン溶媒として、環状シリコーンオイル(デカメチルシクロペンタシロキサン) TSF−405(モメンティブパフォーマンスマテリアル製)287.88gを添加し、分散剤として、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン BYK−322(ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分>98%)6.12gを添加した点を除いては、実施例1と同様にして、CNT分散液、CNT塗料組成物及び導電性部材を作成した。
シリコーン溶媒として、環状シリコーンオイル(デカメチルシクロペンタシロキサン) TSF−405(モメンティブパフォーマンスマテリアル製)287.91gを添加し、分散剤として、低分子不飽和ポリカルボン酸のポリマー BYK−P105(ビックケミー・ジャパン社製、不揮発分98.5%)6.09gを添加した点を除いては、実施例1と同様にして、CNT分散液、CNT塗料組成物及び導電性部材を作成した。
シリコーン溶媒として、環状シリコーンオイル(デカメチルシクロペンタシロキサン) TSF−405(モメンティブパフォーマンスマテリアル製)288.00gを添加し、分散剤として、長鎖アルキル変性シリコーン X−22−7235E(信越シリコーン社製)6.0gを添加した点を除いては、実施例1と同様にして、CNT分散液、CNT塗料組成物及び導電性部材を作成した。
次に、前述のようにして作成した実施例1〜5及び比較例1〜3の試料の評価方法について説明する。
CNT分散液については、分散液の粘度[mPa・s]の測定、透過型電子顕微鏡(TEM)観察による分散液中の凝集物の有無の確認、及び分散液中のCNTの粒度分布の測定を行った。
CNT分散液の粘度は、ブルックフィールド社製 B型粘度計で測定した。その結果を表1に示す。
CNT分散液中の凝集物の有無の確認は以下のようにして行った。作成したCNT分散液の試料を24時間静置した後、100倍に希釈し、倍率200倍の透過顕微鏡観察で凝集物の有無を確認した。凝集塊が見られなかったものを良好(〇)とし、凝集塊が見られたものを不良(×)とした。その結果を表1に示す。
CNTの粒度分布は、レーザ回折式粒度分布測定装置 SALD−7000H(島津製作所製)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
CNT塗料組成物については、塗料粘度[mPa・s]の測定及び塗料安定性の評価(24時間後のCNTの分離の有無及び3ヶ月後のCNTの分離の有無)を行った。
CNT塗料組成物の粘度は、ブルックフィールド社製 B型粘度計を用いて測定した。その結果を表2に示す。
CNT塗料組成物の安定性の評価は、作成したCNT塗料組成物の試料を24時間静置した後、透過顕微鏡観察で評価した。凝集物がないものを良好(○)とし、凝集物があったものを不良(×)とした。また、CNT塗料組成物を3ヶ月静置した後のものについても同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
CNT塗料組成物を塗布して作成した導電性塗膜の評価については、外観の良否の評価、体積抵抗率の測定、算術平均粗さ(Ra)の測定及び硬度(デュロメータ タイプA)を行った。
前述のようにして作成した導電性塗膜中における凝集塊の有無を電子顕微鏡観察により評価し、凝集塊が見られなかったものを外観良好(〇)とし、凝集塊が見られたものを外観不良(×)として、外観の良否を判断した。その結果を表2に示す。
導電性塗膜の体積抵抗率を三菱化学(株)製の抵抗率計「ロレスタGP」を用いて測定した。その結果を表2に示す。
導電性塗膜を形成したフィルム(導電性部材)の算術平均粗さ(Ra)をミツトヨ製の小型表面粗さ測定機「サーフテスト SJ−301」を用いて測定した。その結果を表2に示す。
JIS K6253に準拠し、導電性塗膜のデュロメータ硬さをタイプA硬度計を用いて測定した。その結果を表2に示す。
<CNT分散液について>
CNT分散液の粘度については、表1に示した通りである。表1の結果から、実施例1〜5に関しては、シリコーン溶媒の粘度(10mPa・s程度)と比較して適度に粘度が上昇しており、CNTが良好に分散されていることがわかる。一方、比較例1〜3については、シリコーン溶媒の粘度(10mPa・s程度)と比較してあまり変化がなく(シリコーン溶媒の濃度と同程度であり)、CNTの凝集体をほぐし、分散させることができなかったことが示唆された。
CNT塗料組成物の粘度については、実施例1〜5については、表1に示した通りであり、いずれも5000mPa・s以下となっていた。一方、比較例1〜3については、CNT分散液中のCNTが良好に分散されていなかったため、CNT塗料組成物の粘度については測定しなかった。
塗膜外観の良否については、実施例1〜5はいずれも、凝集塊の無い分散性の良好な均一な塗膜であった。一方、比較例1〜3はいずれも、CNT分散液中のCNTが凝集及び分離するため、凝集塊が存在するムラのある塗膜であった。このことから、本発明のように、分散剤としてアクリル酸アルキル/ジメチコン構造を有するコポリマーを使用することで、CNT等の導電性カーボンをシリコーン樹脂中に均一に分散できることが示唆された。
Claims (9)
- 導電性カーボンと、
Siの原子数が4以上である環状シロキサン及びSiの原子数が4以上である鎖状シリコーンからなる群より選択されるシリコーン溶媒と、
前記導電性カーボンを前記シリコーン溶媒中へ分散させるための分散剤として(メタ)アクリレート/シリコーンコポリマーと、
を含有し、
前記(メタ)アクリレート/シリコーンコポリマーが、1質量%以上97質量%以下の下記構成単位(1)と、2質量%以上60質量%以下の下記構成単位(2)と、からなる、導電性カーボン分散液。
- 前記導電性カーボンのメディアン径(D50)が、10μm以下である、請求項1に記載の導電性カーボン分散液。
- 前記分散剤が、前記導電性カーボン100質量部に対して50質量部以上500質量部以下含有されている、請求項1又は2に記載の導電性カーボン分散液。
- 前記分散液中の前記導電性カーボンの濃度が、0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性カーボン分散液。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性カーボン分散液に、シリコーン樹脂を溶解させた、導電性塗料組成物。
- 前記シリコーン樹脂が、ポリジメチルシロキサンであり、
塗料粘度が、5000mPa・s以下である、請求項5に記載の導電性塗料組成物。 - 前記シリコーン樹脂をヒドロシリル化反応により架橋する架橋剤を更に含有する、請求項5又は6に記載の導電性塗料組成物。
- 基材表面に、請求項5〜7のいずれか一項に記載の導電性塗料組成物により形成された導電性塗膜を有する、導電性部材。
- 前記導電性塗膜の体積抵抗率が、108Ω・cm以下であり、
前記導電性塗膜の算術平均粗さ(Ra)が、10μm以下であり、
前記導電性塗膜のデュロメータ硬さが、40以下である、請求項8に記載の導電性部材。
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