JP2014001098A - グラフェン分散液、グラフェン分散液を用いて形成される膜及び該膜を備える部材 - Google Patents

グラフェン分散液、グラフェン分散液を用いて形成される膜及び該膜を備える部材 Download PDF

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尚美 藤森
Nobuhiko Ueno
信彦 上野
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Abstract

【課題】溶媒へのグラフェンの分散性に優れ、薄膜を形成でき、さらに導電性及び光透過率に優れたグラフェン分散液、該グラフェン分散液を用いた膜及び部材の提供を目的とする。
【解決手段】少なくともグラフェン、有機処理されたナノクレイ及び溶媒が含有されていることを特徴とするグラフェン分散液を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、グラフェンを用いた分散液、該分散液を用いて形成される膜及び膜を備える部材に関し、さらに分散液について詳しくは、溶媒に、少なくともグラフェンと有機処理されたナノクレイが含有されている分散液、該分散液を用いて形成される膜及び膜を備える部材に関する。
近年、透明導電材、半導体、ガスバリア及び電極や帯電防止膜等に用いられる導電性を持つ塗布膜について様々な検討がなされている。この中で、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレン及びグラフェン等の炭素材料を溶媒中に分散させ、基板などに塗布する方法が検討されている。しかし、上記の炭素材料は、ファンデルワールス引力が大きく作用して、極めて凝集しやすく、液体中に分散させることは容易ではない。
特許文献1には、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ及びフラーレンを水性媒体中に経時的凝集、沈殿を生じることなく分散させる方法として、アルミナ水和物粒子を分散安定剤として添加する方法が示されている。特許文献2には、カーボンナノチューブを高濃度で安定分散させる方法として、カーボンナノチューブ分散液にパーフルオロアルケニル基を有するノニオン性のフッ素系分散剤を加えることが示されている。
一方、酸化グラフェンを水中で還元してグラフェン膜を得る場合において、グラフェンの凝集を防止するために界面活性剤や分散剤を使用しながら還元する方法が知られている。しかし、界面活性剤や分散剤が得られたグラフェン膜中に残存し、導電性や機械的特性や熱安定性などに悪影響を及ぼすことを避けるため、界面活性剤や分散剤のかわりに、モンモリロナイトを用いて水中のグラフェンを分散化する方法が示されている(非特許文献1)。
特開2010-195671号公報 特開2010-235377号公報 特開平6−287014号公報
Aqueous stabilization of grapheme sheets using exfoliated montmorillonite nanoplatelets for multifunctional free-standing hybrid films via vacuum-assisted self-assembly、J.Mater.Chem.,2011,21,18011-18017
上記特許文献1及び2は、分散剤を用いてカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ及びフラーレンを分散させているため、分散液を塗布して得られた膜に分散剤が混入し、膜の導電性や機械的特性や熱安定性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、非特許文献1は、分散剤の悪影響を避けるため、モンモリロナイトを用いて分散させているが、水へ分散させているのみで、他の溶媒への分散について検討されていない。また、作製された膜の厚みは40μm程度で、光透過率も低いものであり、さらに薄く、かつ光透過性の高い膜を得るには、まだ不十分である。
本発明は、溶媒へのグラフェンの分散性に優れ、該分散液を用いて薄膜を形成でき、さらに導電性及び光透過率に優れたグラフェン分散液、該グラフェン分散液を用いた膜及び部材の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機処理されたナノクレイとグラフェン及び溶媒を混合し、分散液とすることで、グラフェンの分散性が向上し、さらに該分散液を用いて薄膜を形成でき、該薄膜が導電性及び光透過率に優れていることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
すなわち、本発明の要旨は、以下の(1)〜(5)のとおりである。
(1)少なくともグラフェン、有機処理されたナノクレイ及び溶媒が含有されていることを特徴とするグラフェン分散液。
(2)前記ナノクレイが、一般式(I)で示される第4級アンモニウムイオンで処理されたものであることを特徴とする上記(1)に記載のグラフェン分散液。
Figure 2014001098
[一般式(I)において、
は、炭素数12〜30のアルキル基を示し、
、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、ベンジル基、(-CH2 CH(CH3 )O)n H基又は(-CH2 CH2 O)m H基を示し、
n及びmは、それぞれ独立に、1〜50の整数を示す。]
(3)前記(1)の溶媒が有機溶媒を含有することを特徴とするグラフェン分散液。
(4)前記(1)〜(3)のグラフェン分散液を用いて形成されることを特徴とする膜。(5)前記(4)に記載の膜を備えることを特徴とする部材。
グラフェンは、炭素原子が蜂の巣状に六角形のネットワークを形成したシートで、原子一層からなる薄さと、そのシート上に高移動度の電子が存在するという特長を持つ。さらにグラフェンを用いた膜は透明性の高いものであるため、現在ITOが用いられている透明電極の代替などに用いることを期待されている。しかし、グラフェンの形状は、シート状となっているため、表面積が大きく、溶液への分散性が非常に悪いという問題があり、通常高い濃度の分散剤や界面活性剤等を加えたグラフェン分散液が用いられている。しかし、上述したように、グラフェン塗布膜に、界面活性剤や分散剤が残ると導電性などの特性に悪影響を及ぼす。
単層や複数層から成るグラフェン膜を形成する方法として、グラフェン分散液を塗布する方法以外に、酸化グラフェンを塗布後、還元する方法、機械的剥離法、銅箔からの転写及び化学気相蒸着法(CVD)などが用いられている。酸化グラフェンを塗布後、還元する
方法は、分散性の良い酸化グラフェンを溶液に分散し、それを塗布した後、還元するものであるが、還元には高温が必要であり、用いる基板などが限られるといった問題がある。機械的剥離法は、グラファイト単結晶を粘着テープによって剥離し、数十層のグラフェン積層体を粘着テープに転写する方法である。粘着テープに転写されたグラフェン積層体を
基板上に擦り付けることで、ランダムにグラフェン及び2層以上のグラフェン積層膜が基板に製膜される。 しかし、この方法は得られるグラフェンの大きさが非常に小さく、また、粘着テープに転写されたグラフェンを特定し、基板に擦り付ける必要があるため、工業的に応用できる方法ではない。
銅箔からの転写は、銅箔を基材とし、その基材に真空多元蒸着法や多元スパッタ法などで成膜した後、さらに樹脂基板等へグラフェン膜を転写する方法である。この方法は、基材として用いる銅の多結晶性によるグラフェン膜の導電性率低下や銅のリサイクルコストの問題がある。化学気相蒸着法(CVD)は、炭素を含むメタンガスなどを熱分解して、ニ
ッケルや銅の表面に大面積のグラフェンを形成する方法であるが、高温での処理が必要であり、基材などが限定される問題がある。
本発明のグラフェン膜は、グラフェン分散液を塗布する方法を用いる。
均一な膜を形成するためには、グラフェン分散液中のグラフェンの分散性が良いことと、さらに成膜性が必要である。通常分散性はグラフェンの含有量が少なく、分散剤や界面活性剤を用いる場合に向上する。また、グラフェンの粉末からのみでは成膜することは難しいので、成膜性を付与できるバインダーなどを添加する必要がある。
また、膜厚が厚くなるほど及び/又はグラフェン含有量が高いほど、光透過率が下がる
ため、光透過率の高い膜を形成するためには、膜厚を薄くする、またはグラフェン含有量を低くする必要がある。しかし、薄い膜を成膜するためには、分散液のさらなる分散性及び成膜性が必要となる。また、グラフェン含有量を低くすると、導電性などを期待する場合にその効果が得にくくなる。
本発明のグラフェン分散液は、有機処理されたナノクレイを含有することで、この相反する分散性及び成膜性を両立させることを可能とした。この理由は定かではないが、グラフェン及び有機処理されたナノクレイは、平面性が高い物質のために相互作用しやすく、分散液中に分散するナノクレイに伴い、グラフェンも分散し更に安定化するものと推測される。
本発明のグラフェン分散液は、分散液中のグラフェンの分散性が高く安定しているため、基板などに塗布し、さらに薄膜を得ることが可能であり、導電性部材等として用いることができる。また、該グラフェン分散液を用いて形成される本発明の膜や導電性部材は薄膜であり、光透過率の高いものであり、特に光透過性を求められる部材、例えば電極、基板等に有用である。
以下に本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の態様に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
<グラフェン分散液>
本発明のグラフェン分散液は、少なくともグラフェン、有機処理されたナノクレイ及び溶媒が含有されている。
本発明のグラフェン分散液中のグラフェン及びナノクレイの含有量は特に限定されないが、グラフェンは0.1mg/g以上が好ましく、0.5 mg/g以上が更に好ましい。また、50 mg/g以下であることが好ましい。上記範囲にあることで、導電性等の効果が得られる場合がある。
グラフェン分散液中のナノクレイの含有量は、1mg/g以上が好ましく、2mg/g以上が更に好ましい。また、100 mg/g以下であることが好ましい。上記範囲にあることで、グラフェ
ン分散液中のグラフェンの分散性及び成膜性が得られる傾向がある。
グラフェン分散液中のグラフェンとナノクレイの比も特に限定されないが、グラフェンの質量%をa、とナノクレイの質量%をbとすると、a/bが0.01以上が好ましく、0.05以上が更に好ましく、また、3以下、さらには1以下であることが好ましい。上記範囲にあることで、分散性、成膜性、導電性が得られる場合がある。
本発明のグラフェン分散液に用いる溶媒は、有機処理されたナノクレイが分散する溶媒であれば特に限定されないが、有機溶媒を含有していることが好ましい。有機溶媒としては、具体的には、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;デカノール、ヘキサノールのような高級アルコール類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、パークロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルホルムアミドのようなアミド類;酢酸エチル、フタル酸ジオクチルのようなエステル類、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン等の溶剤及びポリシロキサン類、例えば各種のシリコーンオイル等が挙げられる。このなかでも、グラフェンの分散性及び取り扱いやすさの理由でジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。また、上記有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよく、水等と混合して用いてもよい。
有機溶媒と水を混合して用いる場合の混合比率は、有機処理されたナノクレイが分散すれば特に限定されず、分散液の用途に応じて混合することができる。
本発明のグラフェン分散液の製造方法は特に限定されず、公知の分散液の製造方法を用いることができる。
具体的には、例えば、適当な温度(常温でも可)で、グラフェンとナノクレイを同時に溶媒中で攪拌混合した後、機械的攪拌、超音波などで適当な時間分散処理を行い、グラフェン分散液を得る。または、グラフェン、ナノクレイ別々に、機械的攪拌、超音波等で分散液を作製した後、両者を混合・攪拌しグラフェン分散液を得てもよい。
本発明のグラフェン分散液は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の化合物等を含んでいてもよい。他の化合物としては、ポリマー、ナノフィラー、添加剤等挙げられる。
本発明のグラフェン分散液は、有機処理されたナノクレイ及び溶媒を含むことで、グラフェンが溶媒中で安定に分散し、長期保存しても凝集や沈殿が生じることがなく、長期保存性に優れている。
本発明のグラフェン分散液は、該グラフェン分散液を用いて形成される膜として、様々な部材に用いることができるが、膜以外にも、該グラフェン分散液と他の有機高分子材料等を混合し、例えば導電性が求められる電極等の有機高分子材料として用いることも可能である。
<グラフェン>
本発明の分散液に用いるグラフェンは特に限定されず、公知の方法で得られたグラフェンを用いることができる。グラフェンを得る方法としては、グラファイトから機械的に剥離する、酸化グラフェンを還元する、CVDで得られたグラフェンを粉砕する等が挙げられ
る。
本発明では、グラフェン中の炭素原子以外の原子はなるべく有していないことが導電性を向上させるために好ましい。また、グラフェンの層数は1〜30、更には1〜20層であることが光透過率を向上させるために好ましい。グラフェンの大きさは、0.1nm〜50μm
、更には1nm〜30μmであることが、分散性と導電性の点から好ましい。
<有機処理されたナノクレイ>
本発明のグラフェン分散液に用いるナノクレイは、有機処理されている。有機処理としては、特に限定されず、イミダゾリウム、ホスホニウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、ポリアルキルアンモニウム等が挙げられるが、好ましくは一般式(I)で示される第4級アンモニウムイオンで処理されたものが、グラフェン分散液のグラフェンの分散性及び成膜性の向上から好ましい。
Figure 2014001098
[一般式(I)において、
は、炭素数12〜30のアルキル基を示し、
、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、ベンジル基、(-CH2 CH(CH3 )O)n H基又は(-CH2 CH2 O)m H基を示し、
n及びmは、それぞれ独立に、1〜50の整数を示す。]
のアルキル基は、直鎖、分岐及び環状構造のいずれの構造でもよい。また、炭素数が12以上、30以下であることが、グラフェンの分散性の点から好ましい。このなかでも、炭素数が18以上であることがグラフェンの分散性がさらに向上するため好ましい。また、Rのアルキル基は、任意に置換基を有していても良い。Rのアルキル基が有していても良い置換基としては、本発明の効果を損なわなければ特に限定されない。
、R及びRのアルキル基の炭素数は、1以上、30以下であり、直鎖、分岐及び環状構造のいずれの構造でもよい。
また、R、R及びRのアルキル基は、それぞれ独立に、任意に置換基を有していても良い。R、R及びRのアルキル基が有していて良い置換基としては、本発明の効果を損なわなければ、特に限定されない。
n及びmは、それぞれ独立に、1〜50の整数を示す。n及びmは、それぞれ独立に、2以上であることが更に好ましい。また、30以下であることが好ましく、10以下であるこ
とが更に好ましい。上記の範囲であることで、ナノクレイ及びグラフェンの溶媒への分散性が向上する傾向がある。
第4級アンモニウムイオンの具体的例としては、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム、トリメチルステアリルアンモニウム、ステアリルベンジルジメチルアンモニウム、ドデシルジメチルベンジルアンモニウム等を挙げることができ、そのなかでもステアリルベンジルジメチルアンモニウムであることがグラフェンの分散性が向上するため好ましい。
本発明に用いるナノクレイとしては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、層状ケイ酸塩が挙げられる。
層状ケイ酸塩のなかでも、膨潤性層間に水を取り込んで膨張する層状ケイ酸塩であるスメクタイトや雲母が、有機処理のしやすさから好ましい。スメクタイトとしては、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト、ノントロナイト、ベントナイト等の天然又は化学的に合成したもの、又はこれらの置換体、誘導体、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。また膨潤性雲母としては、Li型フッ素テ
ニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四ケイ素フッ素雲母、Li型四ケイ素フッ素雲母等の天然又は化学的に合成した膨潤性雲母で、層間にLiイオンやNaイオンを有する膨潤性雲母、又はこれらの置換体、誘導体あるいはこれらの混合物が挙げられ、バーミキュライト、フッ素バーミキュライト等を挙げることができる。上述のスメクタイトや雲母を得る方法としては、特公昭61−12848号公報、特開平2−149415号公報及び特開平6−287014号公報等に記載の公知の方法を用いることができる。
また、ナノクレイの平均粒径としては、1〜200nm、更には1nm〜100nmであることが、グラフェン分散液を用いて形成される膜の光透過率を向上させる観点から好ましい。
<グラフェン分散液を用いて形成される膜>
本発明のグラフェン分散液は、グラフェンがほぼ均一に分散液中に存在する。その結果、成膜性に優れ、さらに、該グラフェン分散液を用いて形成される膜は、グラフェンをほぼ一様に含んだ膜となる。
本発明のグラフェン分散液を用いて形成される膜の製造方法は、特に限定されず、通常分散液を薄膜上に展開し、固化して膜を得る方法、分散液を基材の所望表面上に塗布して、薄膜状に展開し、固化して、基材表面上に膜を形成する方法等を用いることができる。
本発明のグラフェン分散液を用いて形成される膜を形成するための基材としては、所望膜体が形成される限り格別の制限はないが、セラミックス材料、例えばガラス、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなど;金属材料例えば;シリコン、アルミニウム、鉄、ニッケル材料など、及び熱可塑性樹脂材料、例えばアクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリエーテルイミドなどを用いることができる。
基材の形状についても、グラフェン分散液を用いて形成される膜の形成が可能である限り格別の制限はないが、例えば、フィルム、シートなどの膜状のもの(繊維から形成される織物や不織布も含む);膜状以外の成形体;及び粉粒体などが挙げられる。グラフェン分散液を用いて形成される膜の密着性を向上させるために、基材表面をコロナ放電処理又はプラズマ放電処理してもよい。
塗布するグラフェン分散液の粘度、所望する被膜の形状、大きさにより、各種の一般的な塗布方法が採用できる。塗布方法としては、流涎・浸漬法、ドクターブレードコート法、ナイフコート法、バーコート法、スピンコート法、グラビアコート法、スクリーンコート法、スプレーによる噴霧法などが挙げられる。
グラフェン分散液を基材に塗布後、分散媒を除去するために、被塗物を加熱処理しても良い。グラフェン分散液、基材の種類、加熱雰囲気、さらに被膜形性により付与しようとする機能によっても、加熱処理温度は異なる。基材がセラミックスや金属の場合は50〜300℃の範囲で、熱可塑性樹脂の場合は20〜250℃の範囲で、グラフェンや基材が変質しない温度が好ましい。
本発明のグラフェン分散液を用いて形成される膜は、基材上に固着されてもよいし、基材から剥離されてもよい。基材上に固着されたグラフェン分散液を用いて形成される膜は、基材に導電性、熱伝導性、電磁波吸収性などの作用効果を付与することができる。
本発明のグラフェン分散液を用いて形成される膜の膜厚は、光透過率が高い用途に用いる場合には、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることが好ましい。また、
均一な膜が得られる範囲であれば、下限は特に限定されない。
本発明のグラフェン分散液を用いて形成される膜の光透過率は、用途に応じ適宜調整さ
れれば良いが、光透過率の高い透明電極などに用いる場合は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることが好ましい。通常、膜の光透過率は、膜厚が薄くなるほど向上するが、本発明のグラフェン分散液は、光透過率の良い薄膜を成膜することが可能である。
<グラフェン分散液を用いて形成される膜を備える部材>
本発明のグラフェン分散液を用いて形成される膜を備える部材としては、特に限定されず、導電性、熱伝導性、電磁波吸収性などを有する膜が挙げられるが、特に透明性を求められる電極や基板に有用である。
[分散液の作製]
<実施例1>
サンプル瓶にステアリルベンジルジメチルアンモニウムで有機処理されたナノクレイ(コープケミカル社製:ルーセンタイトSSN) 0.2gと溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP) 10gを秤量し、スターラーで攪拌したのち、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製:US−300T)で10分間分散処理し、ナノクレイ分散液を得た。
得られたナノクレイ分散液 2.55gをサンプル瓶に秤量し、グラフェン(Graphene
Laboratories Inc製:Graphene nanopowder A0−1)9mgと
NMPを5.7gをいれ、スターラーで攪拌したのち、超音波ホモジナイザーで60分分散処理し、グラフェンとナノクレイが分散された分散液1を得た。
<実施例2>
サンプル瓶にステアリルベンジルジメチルアンモニウムで有機処理されたナノクレイ(コープケミカル社製:ルーセンタイトSSN) 0.3gと溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP) 10gを秤量し、スターラーで攪拌したのち、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製:US−300T)で10分間分散処理し、ナノクレイ分散液を得た。
得られたナノクレイ分散液 1.2gをサンプル瓶に秤量し、グラフェン(Graphene Laboratories Inc製:Graphene nanopowder A0−1)4mgとN
MPを2gをいれ、スターラーで攪拌したのち、超音波ホモジナイザーで60分分散処理し、グラフェンとナノクレイが分散された分散液2を得た。
<比較例1>
サンプル瓶に溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP) 10g、グラフェン(Graphene Laboratories Inc製:Graphene nanopowder A0−1)5m
gとをいれ、スターラーで攪拌したのち、超音波ホモジナイザーで60分分散処理し、分散液3を得た。
<比較例2>
イオン性界面活性剤水溶液にグラフェンを分散させた市販の分散液(Nano Integris社:Pure Sheet(MONO))を分散液4とした。
<比較例3>
サンプル瓶に有機処理されていないナノクレイ(コープケミカル社製:ルーセンタイトSWN−P 製:)0.15gと溶媒として水10gを秤量し、スターラーで攪拌したのち、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製:US−300T)で10分間分散処理し、ナノクレイ分散液を得た。
得られたナノクレイ分散液 1.26gをサンプル瓶に秤量し、グラフェン(Graphene Laboratories Inc製:Graphene nanopowder A0−1)1mgと水0.5gをいれ、スターラーで攪拌したのち、超音波ホモジナイザーで60分分散処理し、分散液5を得た。
分散液1〜5について、グラフェンの分散性、成膜性、光透過率及び表面抵抗の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(分散性)
分散液1〜5を室温で1週間放置し、グラフェンの沈殿、凝集を目視で確認し評価を行った。
◎ ・・・ 沈殿、凝集が全く発生しない
○ ・・・ 沈殿、凝集が少し発生する
× ・・・ 沈殿、凝集が多数発生する
(成膜性)
5×5cmのガラス基板上に、分散液1〜5を滴下し、スピンコーター(ミカサ社製)で500rpmで10秒間スピンコートした。その後、60℃で10分間乾燥して溶媒を除去し、成膜した。成膜性の評価は目視で行った。
◎ ・・・ 均一な連続膜が得られる
○ ・・・ ほぼ均一な連続膜が得られる
△ ・・・ 一部膜となるところもあるが、連続的な膜が得られない
× ・・・ 全く膜が得られない
(透過率)
ガラス基板に分散液1及び2を成膜した塗膜の全光透過率を、ヘーズコンピューターHZ−2(スガ試験機株式会社製)で測定した。分散液3〜5は連続膜を得られなかったため測定できなかった。
(表面抵抗)
ガラス基板に分散液1及び2を成膜した塗膜の表面抵抗を、ロレスタGP(三菱化学アナ
リテック社製)で測定した。分散液3〜5は連続膜を得られなかったため測定できなかっ
た。
Figure 2014001098

Claims (5)

  1. 少なくともグラフェン、有機処理されたナノクレイ及び溶媒が含有されていることを特徴とするグラフェン分散液。
  2. 前記ナノクレイが、一般式(I)で示される第4級アンモニウムイオンで処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載のグラフェン分散液。
    Figure 2014001098
    [一般式(I)において、
    は、炭素数12〜30のアルキル基を示し、
    、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基、ベンジル基、(-CH2 CH(CH3 )O)n H基又は(-CH2 CH2 O)m H基を示し、
    n及びmは、それぞれ独立に、1〜50の整数を示す。]
  3. 前記溶媒が有機溶媒を含有することを特徴とするグラフェン分散液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のグラフェン分散液を用いて形成されることを特徴とする膜。
  5. 請求項4に記載の膜を備えることを特徴とする部材。

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