以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。実施の形態の説明において、同一又は相当する部分については、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、装置、器具、部品等の構成について、その材質、形状、大きさ等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る空気調和機の室内機10の断面図である。
図1に示すように、空気調和機の室内機10は、室内機本体11(筐体)と、室内機本体11の内部に設置され、空気を吸引するとともに吸引した空気を吹き出す送風ファン12と、送風ファン12が形成する風路内に配置され、吸引した空気を調和する熱交換器13a,13b,13cと、吸引した空気に含まれる塵埃を捕捉する左右のエアーフィルター14と、左右のエアーフィルター14をそれぞれ清掃する左右のフィルター清掃装置15とを備えている。
前面側上段の熱交換器13aと、前面側下段の熱交換器13bと、背面側の熱交換器13cは、室内空気を吸い込むための吸込口16から、調和された室内空気を吹き出すための吹出口17に至る風路において送風ファン12を取り囲むように配置される。熱交換器13a,13b,13cは、吸い込まれた空気を調和(冷却、加熱、除湿等)する。前面側下段の熱交換器13bの下方には、結露水の回収と風路の形成とを兼ねたノズル18が配置される。なお、本実施の形態では、熱交換器13a,13b,13cが送風ファン12の天面側及び前面側を取り囲むように配置されているが、他の配置形態を採用してもよい。
吸込口16は、室内機本体11の上面側に設けられる。吹出口17は、室内機本体11の下面側に設けられる。吹出口17は、上下風向可変ベーン19によって、その開口の方向と大きさとが調節される。吹出口17の奥には、左右風向可変ベーン(図示していない)が設けられる。
エアーフィルター14は、室内機本体11の吸込口16と前面側上段及び背面側の熱交換器13a,13cとの間において、吸込口16の全体を覆うように配置される。
フィルター清掃装置15は、室内機本体11の前面側上部において、前面側上段及び前面側下段の熱交換器13a,13bと前面パネル20との間に設置される。なお、本実施の形態では、フィルター清掃装置15が左右に一台ずつ、合計二台設置されているが、フィルター清掃装置15の台数はエアーフィルター14の枚数に応じて適宜変更することができる。例えば、エアーフィルター14を一枚として、フィルター清掃装置15を一台のみ設置してもよい。或いは、エアーフィルター14を三枚以上として、フィルター清掃装置15を三台以上設置してもよい。
空気調和機の室内機10は、さらに、エアーフィルター14を通過した空気を清浄化する左右の空気清浄フィルター21を備えている。
空気清浄フィルター21は、室内機本体11の前面側上段及び前面側下段の熱交換器13a,13bの上流側に配置される。なお、本実施の形態では、空気清浄フィルター21が左右に一個ずつ、合計二個設置されているが、空気清浄フィルター21の個数は適宜変更することができる。空気清浄フィルター21は、省略してもよい。また、空気清浄フィルター21の代わりに、空気清浄装置(空気清浄機)が用いられてもよい。
ここで、空気調和機の動作について説明する。
電源が投入されると、空気調和機の室外機(図示していない)では、圧縮機(図示していない)が冷媒を圧縮して吐出する。
空気調和機の室内機10では、圧縮機から吐出された冷媒が熱交換器13a,13b,13cに流れる。送風ファン12が回転すると、吸込口16から吸い込まれた室内空気は、エアーフィルター14を介して塵埃が除去された後、熱交換器13a,13b,13cによって冷媒と熱交換される。このとき、熱交換器13a,13b,13cを、その上流から下流に向かって通過する空気は、空気清浄フィルター21によって清浄化される。
熱交換器13a,13b,13cで熱交換された室内空気は、吹出口17から室内へ吹き出される。このとき、上下風向可変ベーン19及び左右風向可変ベーンの角度に応じた方向に空気が吹き出される。空気調和機の使用者(ユーザー)は、上下風向可変ベーン19及び左右風向可変ベーンの角度を手動又はリモートコントローラにて設定することができる。空気調和機の室内機10が赤外線センサ(図示していない)を備えている場合は、空気調和機の室内機10が室内の温度分布や人の位置等を検出することにより、自動的に上下風向可変ベーン19及び左右風向可変ベーンの角度を調節することもできる。
上記の一連の動作が繰り返され、その結果、室内空気は、塵埃が除去され、継続的に冷やされたり、暖められたりする。これにより、室内空気質が変化する。
図2は、フィルター清掃装置15の斜視図である。図3は、フィルター清掃装置15の断面図である。図4は、フィルター清掃装置15の分解斜視図である。図4には、フィルター清掃装置15に収納されるエアーフィルター14と、フィルター清掃装置15により保持される空気清浄フィルター21も示している。
図2から図4に示すように、フィルター清掃装置15は、エアーフィルター搬送ガイド22と、エアーフィルター搬送ガイド22に設置されるエアーフィルター収納ガイド23及びエアーフィルター搬送カバー24と、エアーフィルター搬送ガイド22に設置された前面フィルターガイド25及びダストボックス26とを備えている。
エアーフィルター搬送ガイド22は、互いに対向した一対の搬送ガイド側板と、搬送ガイド側板から同一面で延長された搬送ガイド縦桟と、搬送ガイド側板同士及び搬送ガイド縦桟同士を連結する搬送ガイド横桟と、搬送ガイド横桟の一部同士を連結する搬送ガイド補強桟とを有している。
エアーフィルター搬送ガイド22の対向する一対の搬送ガイド側板には、両端を回転自在に支持されたエアーフィルター駆動軸が設置される。搬送ガイド側板のエアーフィルター駆動軸(移動軸に同じ)が設置されない側には、エアーフィルター駆動軸を回転駆動する駆動モーターが設置されている。そして、エアーフィルター14に形成されたエアーフィルター従動ラックに噛み合う搬送ギア27が、エアーフィルター駆動軸に設置されている。
エアーフィルター搬送ガイド22の搬送ガイド縦桟の互いに対向した面には、エアーフィルター14の側縁が侵入自在な搬送ガイド溝を形成するための搬送ガイド縦フランジが設置されている。
エアーフィルター搬送カバー24は、風路に配置される枠体である。エアーフィルター搬送カバー24は、一対の搬送カバー縦桁と、搬送カバー縦桁を連結する搬送カバー横桁と、搬送カバー横桁同士を連結する搬送カバー補強桁とを有している。
エアーフィルター搬送カバー24の搬送カバー縦桁の互いに対向した面には、エアーフィルター14の側縁が侵入自在な搬送ガイド溝を形成するための搬送カバー縦フランジが設置されている。
エアーフィルター搬送カバー24の搬送カバー縦桁とエアーフィルター搬送ガイド22の搬送ガイド縦桟とが接合される(正確には、左側の搬送カバー縦桁が、左側のエアーフィルター搬送ガイド22の左側の搬送ガイド縦桟に接合され、右側の搬送カバー縦桁が、右側のエアーフィルター搬送ガイド22の右側の搬送ガイド縦桟に接合される)。このとき、前者の搬送カバー縦フランジと後者の搬送ガイド縦フランジとは、互いに所定の間隔を空けて対向し、その間隔によって、エアーフィルター14の側縁が侵入自在な搬送ガイド溝が形成される。搬送カバー補強桁と搬送ガイド補強桟との間にも、エアーフィルター14が侵入自在の間隔が形成されるから、搬送カバー補強桁と搬送ガイド補強桟とによって、搬送ガイド溝に相当する案内手段が形成される。
エアーフィルター収納ガイド23は、互いに対向した一対の収納ガイド側板と、収納ガイド側板の一部に形成され、エアーフィルター駆動軸が侵入する収納ガイド切欠部と、収納ガイド側板同士を連結する収納ガイド横桟と、収納ガイド横桟の一部同士を連結する収納ガイド補強桟とを有している。
エアーフィルター収納ガイド23の収納ガイド側板の互いに対向した面には、エアーフィルター14の側縁が侵入自在な収納ガイド溝が形成されている。収納ガイド溝は、略螺旋状であって、一端が収納ガイド切欠部に近接した直線状部分と、その直線状部分に連続した約一巻き半の略円弧状部分とからなっている。
エアーフィルター14は、矩形状のエアーフィルター通気体(網状体)と、エアーフィルター枠体とから構成されている。エアーフィルター14の外郭を形成する(外側の)一対のエアーフィルター縦桟の裏面(エアーフィルター通気体が設置されていない面)には、その長手方向(縦方向)に等間隔に凹凸のパターンであるエアーフィルター従動ラックが形成されている(正確な歯形形状に限定するものではない)。
ここで、エアーフィルター14が移動する動作について説明する。
エアーフィルター搬送ガイド22は、室内機本体11の前面側の上面寄りで、上面の吸込口16に沿うように配置されている。そして、エアーフィルター搬送ガイド22の搬送ガイド側板にエアーフィルター収納ガイド23が設置され、エアーフィルター収納ガイド23の収納ガイド切欠部が前面寄りの位置に、収納ガイド溝がその後方(熱交換器13a寄り)に位置している。さらに、エアーフィルター搬送ガイド22の搬送ガイド縦桟にエアーフィルター搬送カバー24が設置されている。
したがって、エアーフィルター14の側縁は、エアーフィルター搬送ガイド22の搬送ガイド縦フランジとエアーフィルター搬送カバー24の搬送カバー縦フランジとの隙間である搬送ガイド溝に侵入した状態で、エアーフィルター14のほとんどの範囲が巻き戻される(拡げられる)。このとき、エアーフィルター14の一方の端部(先端部)は、ダストボックス26の上面部と搬送ギア27とに挟まれた状態で、側面視において曲率半径の小さな略円弧を呈している。
搬送ギア27が回転(正転)すると、エアーフィルター14の両側縁は、収納ガイド溝に向かって送り出される。エアーフィルター14の先端部は、初めは、収納ガイド溝の直線状部分により案内されて略直線状に移動するが、収納ガイド溝の略円弧状部分に到達すると、螺旋状(円弧状)に移動する。そして、エアーフィルター14の他方の端部(後端部)が搬送ギア27に近づいたとき、エアーフィルター14の大部分が、約一巻き半の略螺旋状に巻かれた状態になっている。この移動の間、エアーフィルター14のエアーフィルター通気体は、風路の風上側の面にダストボックス26の除塵ブラシが当接し、除塵が実行される。
一方、搬送ギア27が反対の方向に回転(逆転)すると、エアーフィルター14が巻き戻され、エアーフィルター14の両側縁は、搬送ガイド溝に送り出される。エアーフィルター14が風路の全域を覆ったところで、搬送ギア27の回転が停止する。このとき、エアーフィルター14のエアーフィルター従動ラックの一部は、搬送ギア27に噛み合っている。
上記のように、エアーフィルター搬送ガイド22及びエアーフィルター搬送カバー24(フィルター清掃装置15の装置本体)は、空気中の塵埃を捕らえるエアーフィルター14(フィルター)を移動自在に収納するが、エアーフィルター14は、フィルター清掃装置15の内部で移動するだけでなく、フィルター清掃装置15の外部に取り出すこともできる。
図5は、前面フィルターガイド25の閉状態を示す部分斜視図である。図5では、ダストボックス26が取り外された状態を示している。図6は、前面フィルターガイド25の開状態を示す部分斜視図である。図7及び図8は、前面フィルターガイド25の斜視図である。
図5及び図6に示すように、前面フィルターガイド25(フィルターガイド)は、エアーフィルター搬送ガイド22及びエアーフィルター搬送カバー24(フィルター清掃装置15の装置本体)の前面に開閉自在に取り付けられる。
エアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)の前面には、エアーフィルター14を取り出すための開口部28が形成されている。前面フィルターガイド25は、閉状態において、開口部28を覆ってエアーフィルター14の移動を案内する。
エアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)の開口部28より下の位置において、前面フィルターガイド25を開閉するための前面フィルターガイド25の回転軸が形成されている。一方、エアーフィルター搬送カバー24(フィルター清掃装置15の装置本体)の開口部28より上の位置において、前面フィルターガイド25の閉状態にて前面フィルターガイド25の回転中心から遠い側の端部を固定するための固定部29が設けられている。よって、前面フィルターガイド25の閉状態では、前面フィルターガイド25の回転中心に近い側の端部(閉状態では下端部)だけでなく、前面フィルターガイド25の回転中心から遠い側の端部(閉状態では上端部)もフィルター清掃装置15の装置本体に固定される。このため、本実施の形態によれば、前面フィルターガイド25を確実に固定することができる。
図6に示すように、前面フィルターガイド25は、開状態にて自重により垂れ下がる(重力、及び、下方に他の部品がある場合にはその力を受けて位置が決まる)。このため、本実施の形態によれば、前面フィルターガイド25を開状態に保つために、ユーザーが前面フィルターガイド25を手で支える必要はなく、何らかの固定機構によって前面フィルターガイド25が固定されるようになっている必要もない。
前面フィルターガイド25は、室内機本体11に取り付けられた前面パネル20とエアーフィルター14との間に位置する可動部材である。前面フィルターガイド25には、エアーフィルター14が移動時に接するガイド部が備えられており、エアーフィルター14の搬送路となっている。前面フィルターガイド25は、ユーザーがエアーフィルター14を容易に取り出せるように、エアーフィルター14が露出する位置に移動する(即ち、開く)ことができる。
従来は、エアーフィルターを手動で清掃する際や汚れを確認する際には、前面フィルターガイドを天面方向に跳ね上げて、エアーフィルターを露出させていた。したがって、所定の位置に前面フィルターガイドを固定するためには、両サイドにストッパー部材が必要であった。しかし、ユーザーがストッパー部材の止め操作を忘れると、前面フィルターガイドが固定されないため、前面フィルターガイドのガイド部が前後に動いてエアーフィルターが前後に動いたり、浮いたりしまい、エアーフィルターが搬送ギアから外れる等の搬送不具合があった。また、前面フィルターガイドを固定するためのストッパー部材の構成が複雑になり、部品点数が増えて、生産コストが上昇していた。
従来は、ユーザーがストッパー部材を確実に止めた場合でも、ストッパー部材という可動部分に嵌合部分が存在するために、エアーフィルターが搬送されている最中に前面フィルターガイドが前後に嵌合の隙間分だけわずかに動いてしまっていた。また、ストッパー部材は、前面フィルターガイドの両サイドにあるため、両サイドは固定されるものの、前面フィルターガイドの幅方向の中央付近では固定部分から遠いために前後方向に動いてしまっていた。それによってエアーフィルターとギアの噛み合わせが甘くなり、エアーフィルターが搬送ギアから外れる懸念があった。
そこで、本実施の形態では、図5から図8に示すように、室内機本体11の前面に備えられた前面パネル20とエアーフィルター14との間に位置する前面フィルターガイド25が、一方の端部(根元部)に回転軸を形成し、他方の端部(先端部)に係止部30,31を備えている。
係止部30は、貫通穴32を設けた凸形状をしており、エアーフィルター搬送カバー24に備えられた凸部33に係止される。係止部30は、前面フィルターガイド25の先端部の幅方向の中央近傍に設けられている。そのため、前面フィルターガイド25は、両サイドだけでなく、幅方向の中央でも固定される。よって、幅方向のどの位置でも、搬送中のエアーフィルター14が前後に動いてしまって搬送ギア27から外れるということがなくなる。なお、係止部30は、前面フィルターガイド25の先端部の幅方向に複数設けられていてもよい。
このように、本実施の形態において、固定部29は、凸部33を有する。前面フィルターガイド25は、回転中心から遠い側の端部(先端部)の中央に、閉状態にて固定部29の凸部33が嵌められる貫通穴32が形成されている。よって、前面フィルターガイド25の閉状態では、前面フィルターガイド25の根元部だけでなく、前面フィルターガイド25の先端部もフィルター清掃装置15の装置本体に固定される。このため、本実施の形態によれば、前面フィルターガイド25を確実に固定することができる。
係止部31は、一つ又は複数の突起であり、エアーフィルター搬送カバー24に備えられた、下方向に開口したコの字状の溝(図示していない)に係止される。係止部31は、前面フィルターガイド25の先端部の幅方向に複数設けられている。そのため、前面フィルターガイド25は、両サイドだけでなく、幅方向にわたって固定される。よって、幅方向のどの位置でも、搬送中のエアーフィルター14が前後に動いてしまって搬送ギア27から外れるということがなくなる。なお、係止部31は、前面フィルターガイド25の先端部の幅方向の中央近傍に、係止部30の代わりに設けられていてもよい。
このように、本実施の形態において、固定部29は、溝(凹部)を有する。前面フィルターガイド25は、回転中心から遠い側の端面(先端面)に、閉状態にて固定部29の溝に嵌められる係止部31(突起)が設けられている。よって、前面フィルターガイド25の閉状態では、前面フィルターガイド25の根元部だけでなく、前面フィルターガイド25の先端部もフィルター清掃装置15の装置本体に固定される。このため、本実施の形態によれば、前面フィルターガイド25を確実に固定することができる。
前面フィルターガイド25の根元部の両側面には、突出部34がある。エアーフィルター搬送ガイド22の搬送ガイド側板には、ガイド穴35が開けられている。ガイド穴35は、下部が円形で上部幅が下部幅に比べて狭い鍵形状の穴である。係止部30,31が固定部29に係止された状態(即ち、前面フィルターガイド25の閉状態)では、突出部34がガイド穴35の上部に挿入されている。突出部34の太さは、ガイド穴35の上部幅と略等しい。係止部30,31が外れると、突出部34は、ガイド穴35の中を上部から下部の円形部分に向かって上下に所定の距離だけ移動する。ガイド穴35の下部の円形部分は、回転軸受となる。前面フィルターガイド25の先端部を持って手前に引くと、突出部34は、ガイド穴35の内周面に当たったまま、ガイド穴35の下部の円の中を回転運動する。突出部34の周囲には、回転しやすいように曲面部が形成されている。そのため、前面フィルターガイド25は、根元部の両端に備えられた突出部34を回転軸として下方向に弧を描いてスムーズに回転し、これにより、先端部が移動して開口部28からエアーフィルター14が露出する。よって、エアーフィルター14を容易に取り出すことができる。
このように、本実施の形態において、エアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)の開口部28より下の位置には、下部が円形状で上部が下部よりも幅の狭い長尺状になっているガイド穴35が一対形成されている。前面フィルターガイド25は、回転中心に近い側の端部(根元部)の両側面に、ガイド穴35に嵌められる突出部34が設けられている。前面フィルターガイド25が閉状態から開状態に変わる際には、突出部34がガイド穴35の上部でスライドしてからガイド穴35の下部で回転する。即ち、前面フィルターガイド25は、閉状態にて回転中心から遠い側の端部(先端部)が固定部29から外されると、下方に移動してから回転して開状態に変わる。よって、前面フィルターガイド25の閉状態では、前面フィルターガイド25が下方と異なる方向である前後方向には動かない。このため、本実施の形態によれば、エアーフィルター14と搬送ギア27との噛み合わせが甘くなってエアーフィルター14が搬送ギアから外れることを防止できる。
図5に示すように、前面フィルターガイド25とダストボックス26は一体となっておらず、別体で形成される。図6に示すように、ダストボックス26を外した後に生まれるスペース、つまりダストボックス26が元々設置されていたスペースには、回転移動した後の前面フィルターガイド25が配置される。ダストボックス26の上方に前面フィルターガイド25を別体に設けることで、両方を効率的に収納できる。また、前面フィルターガイド25が回転する際に他の部材に干渉することなく、回転軌跡を確保することができる。
このように、本実施の形態において、エアーフィルター14により捕らえられた塵埃を貯めるダストボックス26は、前面フィルターガイド25と別体に、エアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)の前面に着脱自在に取り付けられる。このため、ユーザーは、ダストボックス26に貯まった塵埃を棄てる際にダストボックス26のみを取り外せばよく、前面フィルターガイド25を取り外す必要はない。なお、前面フィルターガイド25は、簡単には取り外せないようにすることが望ましい。
前面フィルターガイド25のエアーフィルター14側(閉状態のとき)の面の少なくとも側端部には、フィルター跳ね上げ突起36が設けられている。フィルター跳ね上げ突起36は、前面フィルターガイド25が閉状態のときには、エアーフィルター14の下部枠の下側に潜り込んでいる。前面フィルターガイド25の係止部30,31が外れて前面フィルターガイド25が回動しながら開状態に移行する際に、フィルター跳ね上げ突起36は、エアーフィルター14の下部枠に当接してエアーフィルター14の下部枠に引っ掛かりながら移動する。これによって、エアーフィルター14の下部枠は、前面フィルターガイド25の奥に隠れることなく、前方に跳ね上げられて露出する。このため、ユーザーは、エアーフィルター14の下部枠の一部を掴んで前方にエアーフィルター14を容易に引き出すことができる。
このように、本実施の形態において、前面フィルターガイド25は、閉状態にて開口部28を覆う面に、開状態にてエアーフィルター14を跳ね上げる突起であるフィルター跳ね上げ突起36が設けられている。
ユーザーは、エアーフィルター14を取り出して手動で清掃したり、汚れを確認したりした後は、再度エアーフィルター14をエアーフィルター搬送ガイド22に収納する。そのとき、ユーザーは、前面フィルターガイド25の根元部の両サイドに備えられた突出部34を回転軸として、上方向に弧を描くように前面フィルターガイド25の先端部を回転移動させる。続けて、ユーザーは、突出部34をガイド穴35の下部の円形部分から上部に向かって移動させる。これにより、前面フィルターガイド25全体が上方向にスライドし、前面フィルターガイド25の係止部30,31が固定部29に係止されると、前面フィルターガイド25が閉状態で保持される。
前述したように、本実施の形態では、前面フィルターガイド25が、根元部の両側面の突出部34と先端部の係止部30,31とで固定される。即ち、前面フィルターガイド25は、両側だけでなく先端でも(三点以上で)固定される。よって、エアーフィルター14が前面フィルターガイド25のガイド部に当たり、力を受けて搬送される際に、前面フィルターガイド25が前後に動くがたつきがなくなる。したがって、エアーフィルター14と搬送ギア27とのかかり代を確保して、エアーフィルター14を確実に搬送できる。
また、本実施の形態では、前面フィルターガイド25にストッパー部材が不要となるため、部品点数の削減に伴う生産コストの抑制が可能となる。また、ユーザーによるストッパー部材の止め忘れの操作ミスによって前面フィルターガイド25が前後に動き、エアーフィルター14と搬送ギア27とのかかり代がなくなるという搬送不具合を防止できる。
さらに、従来のように、前面フィルターガイドを天面方向に跳ね上げて、エアーフィルターを露出させる場合は、片手で前面フィルターガイドを持ちながら、もう片手でエアーフィルターを取り出さなくてはいけないが、本実施の形態では、前面フィルターガイド25を垂れ下がらせて、エアーフィルター14を露出させることにより、特別な固定機構を必要とすることなく、両手で簡単にエアーフィルター14を取り出せるようになる。
図9及び図10及び図11は、ダストボックス26の斜視図である。図12及び図13及び図14及び図15は、ダストボックス26の断面図である。図16は、説明のためにダストボックス26を切断してダストボックス26の下部のみを示した斜視図である。図17は、空気清浄フィルター21の斜視図である。
図9から図16に示すように、ダストボックス26は、箱状に組み合わせられた壁板37と、両側の壁板37(ダストボックス26の両側面部)に両端を揺動自在(所定の回転角の間で正転と逆転を繰り返す)に支持された除塵軸38と、前側の壁板37(ダストボックス26の前面部)に取り付けられたストッパー部材39とを備えている。
壁板37は、塵埃を貯める空間である集塵室40を形成する。除塵軸38には、除塵ブラシ(図示していない)が取り付けられる。上側の壁板37(ダストボックス26の天面部)は、上面視で中央が幅方向に開口しており、側面視で略中央に除塵ブラシの先端が貫通するブラシ孔41が形成されている。ダストボックス26がエアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)に取り付けられた状態において、除塵軸38が揺動すると、除塵ブラシも揺動する。よって、エアーフィルター14が除塵ブラシに当接した状態で、除塵ブラシが揺動することで、エアーフィルター14に付着している塵埃が掻き落とされる。掻き落とされた塵埃は集塵室40に落下し、貯められる。このとき、エアーフィルター14が移動するので、エアーフィルター14の広い範囲を除塵することができる。
後側の壁板37(ダストボックス26の背面部)は、下部が傾斜して斜面部42を形成している。この斜面部42と下側の壁板37(ダストボックス26の底面部)とで集塵室40の蓋43が形成されている。
ダストボックス26は、エアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)に取り付けられた状態では、ストッパー部材39のバネ力によって抜け出し不能に固定されている。ユーザーは、ストッパー部材39をスライドさせることで、ダストボックス26を取り外すことができる。そして、蓋43を開けることで、集塵室40に貯まった塵埃を棄てることができる。
前述したように、従来は、エアーフィルターが搬送されている最中に前面フィルターガイドが前後にわずかに動くため、エアーフィルターとギアの噛み合わせが甘くなり、エアーフィルターが搬送ギアから外れる懸念があった。
そこで、本実施の形態では、前面フィルターガイド25を確実に固定して、エアーフィルター14を確実に搬送するために、前面フィルターガイド25とダストボックス26とを、それぞれ別体とし、前面フィルターガイド25に接触して前面フィルターガイド25押圧固定するための固定部44,45をダストボックス26に設けている。
ダストボックス26を取り付ける場合は、前面フィルターガイド25をエアーフィルター搬送ガイド22及びエアーフィルター搬送カバー24(フィルター清掃装置15の装置本体)に係止部30,31で固定した状態で、後からダストボックス26を装着する。スペース効率を高めるために、前面フィルターガイド25の回転軌跡は、ダストボックス26が装着されるスペースを使用しているため、ダストボックス26を外して初めて前面フィルターガイド25は回転移動することができる。また、前面フィルターガイド25が移動した状態から元の装着位置に戻して初めてダストボックス26を装着することができる。したがって、前面フィルターガイド25を閉状態とし、後からダストボックス26を装着することで固定部44,45による押圧固定ができる。
前面フィルターガイド25は、ダストボックス26に備えられた固定部44によって前方から後方に押圧されている。固定部44は、ダストボックス26の背面側で前面フィルターガイド25に対向する側にある。ダストボックス26の上部には、突出部46が備えられている。突出部46の背面が固定部44として機能してもよいが、本実施の形態では、突出部46の背面に設けられたリブ47が固定部44であり、前面フィルターガイド25に接触して前面フィルターガイド25を押圧固定する。これによって、前面フィルターガイド25を前面フィルターガイド25の両サイドの突出部34だけで固定するのではなく、ダストボックス26を装着することで固定部44を前面フィルターガイド25に前方から接触させて後方に力を加え、前面フィルターガイド25を固定できる。
ダストボックス26の上部に突出した突出部46に備えられたリブ47で前面フィルターガイド25を固定することで、幅方向にわたって前面フィルターガイド25が固定される。よって、前面フィルターガイド25の両サイドだけが固定されて中央部分の固定が甘くなり、中央だけが前後にわずかに動くということがなくなる。そのため、エアーフィルター14と搬送ギア27の噛み合わせが甘くなり、エアーフィルター14が搬送ギア27から外れるといった不具合がなくなる。ダストボックス26の上部に突出した突出部46自体で前面フィルターガイド25を固定しても、同様に幅方向にわたって前面フィルターガイド25を固定できる。いずれの場合も、前面フィルターガイド25を両サイドの突出部34だけでなく、三点以上で確実に固定できる。
ダストボックス26の上部に突出した突出部46の面自体を固定部44とする場合は、力が幅方向の全面にかかって幅方向で広く押さえられる利点があるが、組み付けばらつきや部品の反りによって力がかかる部分が面の中でばらつく場合もある。突出部46の面に備えられたリブ47を固定部44とする場合は、組み付けばらつきや部品の反りがあっても力がかかる部分がばらつかずにリブ47が確実に前面フィルターガイド25に接触して前面フィルターガイド25を押圧固定できる。固定部44となるリブ47は、ダストボックス26の幅方向に複数備えたほうが、幅方向で広く前面フィルターガイド25を押さえられるので中央部でエアーフィルター14が浮きにくい。面から突出しているリブ47は、線状でもよいし、球状でもよい。なお、図11では、上下方向に線状に延びるリブ47を幅方向に複数設ける例を示している。
ダストボックス26の両側は、エアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)に固定される。この状態では、ダストボックス26の天面部の突出部46を除く部分である対向部48が、前面フィルターガイド25の下方に入り込んで前面フィルターガイド25に対向している。対向部48と突出部46との角度は、約90度である。即ち、対向部48と突出部46は、側面視でL字状に形成されており、前者が前面フィルターガイド25に下方から接触(又は接近)し、後者が前面フィルターガイド25に前方から接触する。
このような構成にすることで、小さい必要寸法で前面フィルターガイド25とダストボックス26とを配置することができる。ダストボックス26の対向部48が、前面フィルターガイド25の下方に入り込むことで上下方向の寸法を小さくできる。ダストボックス26の対向部48と突出部46が、略90度の角度をなし、突出部46が前面フィルターガイド25を前方から後方に押圧することで、前後方向の寸法を小さくできる。
固定部44によって、前面フィルターガイド25が前後に動かないように前面フィルターガイド25を押圧して固定することができるので、搬送ギア27からエアーフィルター14が外れることがなく、ダストボックス26に一体に成形した突出部46以外の新たな押さえ部材を不要として、部品点数を増やすことなく安価に、確実にエアーフィルター14を搬送するフィルター清掃装置15を得ることができる。
前面フィルターガイド25は、ダストボックス26に備えられた固定部45によって下方から上方に押圧されている。固定部45は、ダストボックス26の上面側で前面フィルターガイド25に対向する側にある。ダストボックス26の対向部48の表面が固定部45として機能してもよいが、本実施の形態では、対向部48の表面に設けられたリブ49が固定部45であり、前面フィルターガイド25に接触して前面フィルターガイド25を押圧固定する。これによって、前面フィルターガイド25を前面フィルターガイド25の両サイドの突出部34だけで固定するのではなく、ダストボックス26を装着することで固定部45を前面フィルターガイド25に下方から接触させて上方に力を加え、前面フィルターガイド25を固定できる。
ダストボックス26の天面部の対向部48に備えられたリブ49で前面フィルターガイド25を固定することで、幅方向にわたって前面フィルターガイド25が固定される。よって、前面フィルターガイド25の両サイドだけが固定されて中央部分の固定が甘くなり、中央だけが前後にわずかに動くということがなくなる。そのため、エアーフィルター14と搬送ギア27の噛み合わせが甘くなり、エアーフィルター14が搬送ギア27から外れるといった不具合がなくなる。ダストボックス26の天面部の対向部48自体で前面フィルターガイド25を固定しても、同様に幅方向にわたって前面フィルターガイド25を固定できる。いずれの場合も、前面フィルターガイド25を両サイドの突出部34だけでなく、三点以上で確実に固定できる。
ダストボックス26の天面部の対向部48の面自体を固定部45とする場合は、力が幅方向の全面にかかって幅方向で広く押さえられる利点があるが、組み付けばらつきや部品の反りによって力がかかる部分が面の中でばらつく場合もある。対向部48の面に備えられたリブ49を固定部45とする場合は、組み付けばらつきや部品の反りがあっても力がかかる部分がばらつかずにリブ49が確実に前面フィルターガイド25に接触して前面フィルターガイド25を押圧固定できる。固定部45となるリブ49は、ダストボックス26の幅方向に複数備えたほうが、幅方向で広く前面フィルターガイド25を押さえられるので中央部でエアーフィルター14が浮きにくい。面から突出しているリブ49は、線状でもよいし、球状でもよい。なお、図11では、前後方向に線状に延びるリブ49を幅方向に複数設ける例を示している。
固定部45によって、前面フィルターガイド25が前後に動かないように前面フィルターガイド25を押圧して固定することができるので、搬送ギア27からエアーフィルター14が外れることがなく、新たな押さえ部材を不要として、部品点数を増やすことなく安価に、確実にエアーフィルター14を搬送するフィルター清掃装置15を得ることができる。
なお、固定部44,45のいずれか一方が備えられていれば、前述したような効果が得られるが、より大きな効果を得るために、固定部44,45の両方が備えられていることが望ましい。
図示していないが、前面フィルターガイド25を前方から押すための別の手段として、室内機本体11に取り付けられた前面パネル20の裏面で前面フィルターガイド25に面する部分に突出した押しリブを形成して、この押しリブによって前面フィルターガイド25を前方から後方に押圧してもよい。この場合も、新たな押さえ部材を不要として、部品点数を増やすことなく安価に、確実にエアーフィルター14を搬送するフィルター清掃装置15を得ることができる。
ダストボックス26の底面部からは、ダストボックス26を持ち上げるための持ち上げリブ50が突出している。持ち上げリブ50があることで、ダストボックス26が寸法のばらつきによって前後に傾くことを防止できる。即ち、ダストボックス26が前方に傾くと、固定部44によって後方に力を加えにくくなるため、持ち上げリブ50を設けることで、そのような事態を防ぐことができる。また、ダストボックス26の下面全体をエアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)の枠に当てるのではなく、持ち上げリブ50だけを当てることで、ダストボックス26の取り付け時にダストボックス26を容易に装着できるようになる。
持ちあげリブ49は、球状とすることが望ましい。持ちあげリブ49を球状とすることで、ダストボックス26を取り付ける際に持ちあげリブ49がエアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)の枠に引っ掛かりにくくすることができる。よって、装着がスムーズになる。また、持ち上げリブ50は、少なくとも2個以上で、ダストボックス26の幅方向の両側に設けることが望ましい。このようにすることで、ダストボックス26が上下に傾くこともなくなり、幅方向の全体でダストボックス26が前後に傾かないようになる。したがって、固定部44によって確実に前面フィルターガイド25を前方から後方に押圧固定できる。
このように、本実施の形態において、ダストボックス26は、前面フィルターガイド25を押圧して前面フィルターガイド25をエアーフィルター搬送ガイド22及びエアーフィルター搬送カバー24(フィルター清掃装置15の装置本体)における前面フィルターガイド25の取付位置に固定する。このため、本実施の形態によれば、前面フィルターガイド25を確実に固定することができる。
ダストボックス26は、前面フィルターガイド25を少なくとも後方に押圧して前面フィルターガイド25を取付位置に固定する。具体的には、ダストボックス26は、上面に、前面フィルターガイド25に対向する対向部48と、対向部48より前の位置から板状に突出する突出部46とが設けられている。ダストボックス26は、突出部46の厚さ方向の両面のうち一面(背面)によって前面フィルターガイド25を後方に押圧する。
突出部46の厚さ方向の両面のうち前面フィルターガイド25を後方に押圧する面(背面)には、前面フィルターガイド25に接触するリブ47が設けられていることが望ましい。リブ47は、ダストボックス26の左右方向(幅方向)に沿って複数設けられていることが望ましい。
また、ダストボックス26は、前面フィルターガイド25を少なくとも上方に押圧して前面フィルターガイド25を取付位置に固定する。具体的には、ダストボックス26は、対向部48の表面によって前面フィルターガイド25を上方に押圧する。対向部48の表面には、前面フィルターガイド25に接触するリブ49が設けられていることが望ましい。リブ49は、ダストボックス26の左右方向(幅方向)に沿って複数設けられていることが望ましい。
さらに、ダストボックス26は、下面に、エアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)を押圧する持ち上げリブ50が設けられている。持ち上げリブ50は、球状(例えば、半球状)であることが望ましい。また、持ち上げリブ50は、ダストボックス26の左右方向(幅方向)に沿って複数配置されていることが望ましい。
従来のダストボックスは、断面が略四角形の箱型形状をしており、前面パネルと熱交換器の前後方向の間に設置される。ダストボックスの前面部は、略平面であり、前面パネルを開いたときにユーザーに対して露出してダストボックスの着脱がユーザーによって実施される。ダストボックスの下面部は、略平面であり、エアーフィルター搬送ガイドの枠に設置される。ダストボックスの背面部は、略平面であり、固定しやすいように、また、ダストボックスを取り付ける際のガイドとなるように、背面部の下方の一部はエアーフィルター搬送ガイドの枠に設置される。ダストボックスの天面部は、除塵ブラシを備えて開口した略平面又はわずかに中央開口部が凹んだ曲率の大きな曲面であり、エアーフィルターが移動する経路に対向して設置される。
本実施の形態において、ダストボックス26は、断面が略台形の箱型形状をしている。台形の上辺と下辺とは平行であり、上辺が下辺より長い。ダストボックス26は、前面パネル20と熱交換器13a,13bの前後方向の間に設置されている。ダストボックス26の前面部は、略平面であり、前面パネル20を開いたときにユーザーに対して露出する。ダストボックス26の下面部は、略平面であり、エアーフィルター搬送ガイド22の枠に設置される。ダストボックス26の背面部は、下方から上方で後方に向かって斜めに傾斜している。ダストボックス26の背面部は、後方に備えられる熱交換器13a,13bに対向していて、露出している。
ダストボックス26の背面部が下方から上方で後方に向かって斜めに傾斜することで、下方の後方に生まれたスペースに空気清浄フィルター21の一部等、他の部品を置くことができる。したがって、空気調和機の奥行(前後方向)の寸法を小さくすることができる。
熱交換器13a,13bとダストボックス26との間は、ダストボックス26に露がつかないようにするために、また、組立てばらつきで熱交換器13a,13bとダストボックス26とが接触しないようにするために、所定の距離を空ける必要がある。ダストボックス26の背面部が下方から上方で後方に向かって斜めに傾斜することで、下方の後方にスペースが生まれて所定の距離が確保されることになる。よって、ダストボックス26と前面下段の熱交換器13bとを接近させて配置することができ、空気調和機の奥行(前後方向)の寸法を小さくすることができる。
本実施の形態において、エアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)は、エアーフィルター14を通過した空気を清浄化する空気清浄フィルター21を着脱自在に保持する。前述したように、空気清浄フィルター21の代わりに、空気清浄装置が用いられてもよい。空気清浄フィルター21及び空気清浄装置は、いずれも空気を清浄化するユニットの例である。
空気清浄フィルター21は、前面パネル20の後方にあるダストボックス26のさらに後方で、熱交換器13a,13bの前方に設置される。ユーザーは、空気清浄フィルター21を取り出してメンテナンスを実施することができる。
図17に示すように、空気清浄フィルター21は、枠51を有している。枠51は、エアーフィルター搬送ガイド22の搬送ガイド側板に固定される。枠51には、前方に向かって延びる延出部52が設けられている。延出部52は、エアーフィルター搬送ガイド22に形成された窪みに嵌め込まれる。
空気清浄フィルター21の枠51の延出部52は、空気清浄フィルター21のメンテナンスを実施する際に手で掴んで引き出すための取っ手として機能する。枠51の延出部52は、空気清浄フィルター21の前面にある。このような配置にすることで、ユーザーが延出部52を掴みやすくなる。なお、延出部52は、取っ手でなくてもよく、例えば、空気清浄フィルター21の枠51のカバー部であってもよい。
空気清浄フィルター21は、エアーフィルター収納ガイド23の下方であって、ダストボックス26と熱交換器13a,13bとの間に、前後方向に比べて幅方向が大きい寸法で、水平に設置されるか、前側を後側に比べて低くなるように傾けて配置される。このようにすることで、上方から来る風を通りやすくして、エアーフィルター収納ガイド23の下方であってダストボックス26と熱交換器13a,13bとの間のデッドスペースを有効に活用して空気調和機の室内機10の奥行寸法や高さ寸法を小さくできる。
延出部52は、後方から前方で下方に向かって斜めに傾斜する傾斜部53を備えている。傾斜部53の前方には、平面部54がある。平面部54は、エアーフィルター搬送ガイド22に形成された窪みに配置される。傾斜部53及び平面部54は、延出部52の一部である。後方から前方で下方に向かって斜めに傾斜する傾斜部53は、下方から上方で後方に向かって斜めに傾斜するダストボックス26の斜面部42の下方で、ダストボックス26の上下高さと重なる範囲に配置される。ダストボックス26の斜面部42の下方とは、斜面部42が斜めに傾斜して生まれる側面視三角形のスペースである。
つまり、延出部52の前方にダストボックス26を前後方向に重ならないように並べて配置する場合に比べて、本実施の形態では、スペースを有効に活用して空気調和機の室内機10の奥行寸法を小さくできる。
また、延出部52と斜面部42のない四角いダストボックスを上下方向に重ねて配置する場合に比べて、本実施の形態では、スペースを有効に活用して空気調和機の室内機10の高さを低くできる。
ダストボックス26の斜面部42と延出部52の傾斜部53とをそれぞれ略等しい角度で傾斜させて、それぞれの傾斜が合うようにダストボックス26の斜面部42の下方に延出部52の傾斜部53が来るように配置することが望ましい。略等しい角度とは、差が30度以内の角度である。
ここで、空気清浄フィルター21をユーザーがメンテナンス後に設置しようとする場合、延出部52がエアーフィルター搬送ガイド22に形成された窪みにきちんと嵌らなかったり、ユーザーの窪みに向けて空気清浄フィルター21を押す力が足りなかったり、そもそもユーザーが嵌め方や押し込み方がわからなくて空気清浄フィルター21を置くだけになってしまい、延出部52が固定されずに上方に浮いてしまうおそれがある。
ダストボックス26の後方に空気清浄フィルター21があるため、ユーザーは、ダストボックス26を外した後に、空気清浄フィルター21を外すことになる。また、空気清浄フィルター21を装着した後にダストボックス26を装着することになる。しかし、延出部52が固定されずに上方に浮いてしまうと、従来のように断面が四角形のダストボックスは後から装着することができない。また、空気清浄フィルター21の代わりに空気清浄装置を用いる場合には、電気的接点がつながらないことによる接続不良や気中放電による異音発生等の品質低下を招くことになる。
そこで、本実施の形態では、空気清浄フィルター21の延出部52が上方に浮いてしまっていても、ダストボックス26の背面部(特に、斜面部42)が空気清浄フィルター21の延出部52に当接するようにしている。このようにすることで、たとえ延出部52が正規の位置から上方に浮いていても、ユーザーがダストボックス26を取り付ける動作をするだけで、ユーザーの意図に関係なく、ダストボックス26の背面部が延出部52に当接しながら、延出部52を後方及び下方に強制的に押し込む。よって、エアーフィルター搬送ガイド22に形成された窪みに延出部52が自動的に嵌る。
ダストボックス26の背面部には、下方から上方で後方に向かって斜めに傾斜する斜面部42が形成されているので、ダストボックス26を取り付ける際に、背面部の斜面部42を使って、斜面部42の上方から下方に向かって、延出部52を下方にスライドさせながら、或いは、延出部52を下方に滑らせながら、大きな力を必要とすることなく、確実に下方に導くことができる。
仮に、背面部が下方から上方で後方に向かって斜めに傾斜していない従来の断面四角形状のダストボックスを使用したとすると、ダストボックスの背面部が延出部52に当接した時点で引っ掛かり、延出部52が動かなくなるので、容易に延出部52を下方に導くことができない。
ダストボックス26の背面部は、背面部全体の長さに対する斜面部42の長さの割合が半分以上であると、延出部52に当たる面積が大きくなり、延出部52を下方にスライドさせながら、或いは、延出部52を下方に滑らせながら、確実に下方に導くことができる。
ダストボックス26の背面部は、斜面部42と、斜面部42以外の(斜めに傾斜していない)上下方向に延びた部分の二面以上からなることで、除塵ブラシを集塵室40に設置しやすくなる。即ち、ダストボックス26の背面部を斜面部42の一面のみで形成した場合に比べて、ダストボックス26の背面部を二面以上で形成した場合のほうが集塵室40の容積を大きくすることができる。
ダストボックス26の背面部の斜面部42の高さが、背面部の斜面部42以外の部分の高さより高ければ、延出部52に当たる面積が大きくなる。よって、延出部52を下方にスライドさせながら、或いは、延出部52を下方に滑らせながら、確実に下方に導くことができる。
ダストボックス26の背面部の斜面部42には、空気清浄フィルター21の延出部52が収納される背面窪み55が設けられている。背面窪み55は、ダストボックス26の背面部の斜面部42を断面視でL字状にくり抜いた窪みである。延出部52とダストボックス26とが高さ方向(上下方向)で重なってラップするので、スペースを有効に活用して空気調和機の室内機10の高さを低くできる。
ダストボックス26の背面部の背面窪み55とエアーフィルター搬送ガイド22に形成された窪みとで、空気清浄フィルター21の延出部52が挟み込まれて固定される。そのため、延出部52が上下方向に動くことがなく、確実に空気清浄フィルター21を固定できる。
このように、本実施の形態において、ダストボックス26は、空気清浄フィルター21を押圧して空気清浄フィルター21をエアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)における空気清浄フィルター21の保持位置に固定する。このため、本実施の形態によれば、空気清浄フィルター21をフィルター清掃装置15の正しい位置に取り付けやすくすることができる。
ダストボックス26は、背面の少なくとも一部分が斜め下向きに傾斜し、その傾斜した部分である斜面部42によって空気清浄フィルター21を押圧する。例えば、ダストボックス26は、斜面部42によって、空気清浄フィルター21の前面の下部に設けられた取っ手である延出部52を後方及び下方に押圧する。斜面部42には、延出部52の先端部を収納するための窪みである背面窪み55が形成されていることが望ましい。
斜面部42の表面積が大きいほど、ダストボックス26は、斜面部42によって空気清浄フィルター21を正しい位置まで確実に押圧することができる。よって、ダストボックス26は、背面の斜面部42の前後方向の寸法が背面の他の部分の前後方向の寸法より大きいことが望ましい。また、ダストボックス26は、背面の斜面部42の上下方向の寸法が背面の他の部分の上下方向の寸法より大きいことが望ましい。
ダストボックス26の背面の全体を斜面部42としてもよいが、その場合、集塵室40の容積が減少してしまう。よって、ダストボックス26は、背面の一部に垂直に延びた部分を有することが望ましい。即ち、ダストボックス26は、背面の斜面部42を除く部分が垂直に延びていることが望ましい。
本実施の形態では、上記のように、ダストボックス26の背面に斜面部42があるため、空気清浄フィルター21がエアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)における空気清浄フィルター21の保持位置の手前にある状態でダストボックス26がエアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)の前面に取り付けられると、空気清浄フィルター21がダストボックス26によって正しい保持位置まで押し込まれて固定される。
従来は、ダストボックスの前面部に固定用のストッパー部材が備えられる場合、ダストボックスの奥行方向のスペースがとられるため、室内機の奥行寸法が大きくなっていた。また、ストッパー部材が小さいため、掴みづらく、取り出しにくかった。
また、従来のダストボックスは、高さ方向のスペースを大きくとりすぎてしまい、室内機の高さ寸法が大きくなっていた。また、室内機本体の吹出口を大きくすることができなかった。
さらに、従来は、空気調和機が空気清浄フィルターを備える場合、その取っ手をユーザーが取り出しやすいようになるべく前方に配置すると、ダストボックスと空気清浄フィルターの取っ手とが干渉してしまうため、これを避けるには室内機の高さ寸法を大きくせざるを得なかった。
そこで、本実施の形態では、ダストボックス26の集塵室40(塵埃を貯める空間)を形成する壁板37に、集塵室40の容積を減少させる方向に凹む凹部56,57が形成されている。このため、本実施の形態によれば、ダストボックス26にストッパー部材39等を設けるスペースを(凹部56,57の内側に)確保しつつ、空気調和機の室内機10を小型化することができる。凹部56,57は、指を挿入したり、指で掴んだりする部分としても活用できる。
例えば、凹部56の内側には、ダストボックス26をエアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)に固定するためのストッパー部材39が収納されている。同じ凹部56の内側には、手指を引っ掛けるための突起である指引っ掛け部58が形成されている。
凹部56は、ダストボックス26の前面に形成されており、ダストボックス26の前面から出っ張りをなくす役割を果たしている。即ち、凹部56の内側に、ストッパー部材39及び指引っ掛け部58を設けることで、ストッパー部材39及び指引っ掛け部58がダストボックス26の前面から出っ張らないようにすることができる。
また、例えば、凹部57は、ダストボックス26の上面の隅に形成され、周縁の少なくとも一部分が板状であり、その板状の部分が手指で掴むための取っ手59になっている。
なお、前述した背面窪み55も、ダストボックス26の壁板37に、集塵室40の容積を減少させる方向に凹むように形成された凹部である。
凹部56に収納されているストッパー部材39は、バネ部とバネ収納部と摘み部と抜け出し防止用突起部とからなる。バネ収納部と摘み部と抜け出し防止用突起部は、一体に形成されるか、又は、二つの樹脂パーツを組み合わせて形成される。
ダストボックス26の幅方向の片方の端部(両側の壁板37の一方の外面)には、固定用の抜け出し防止手段である突起60が備えられている。もう片方の端部(両側の壁板37の他方の近傍)には、ストッパー部材39がある。ストッパー部材39がある側の端部は、正面視でL字形状に後方に凹ませてくり抜かれた形状になっている。そのため、集塵室40の容積が減少している。くり抜くことで生まれた凹部56には、ストッパー部材39が収納されている。ストッパー部材39は、抜け出し防止手段となり、ダストボックス26をエアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)に固定する。ユーザーが、摘み部を摘みながらストッパー部材39を左右方向に動かすことで、ストッパー部材39による固定が解除される。
凹部56の左右方向に長い区画には、ストッパー部材39が収納されている。この区画は、上下左右が壁で仕切られている。上壁、下壁又はその両方には、ストッパー部材39を固定するためのリブが備えられている。左壁又は右壁には、抜け出し防止用突起部が挿入される丸穴が空けられている。丸穴から抜け出し防止用突起部が飛び出ている状態にて、ダストボックス26はエアーフィルター搬送ガイド22(フィルター清掃装置15の装置本体)に固定される。ストッパー部材39を左右方向にスライドさせると、丸穴から抜け出し防止用突起部が引っ込んで飛び出ない状態となり、ダストボックス26の固定が解除される。
このような構成をとることによって、ダストボックス26がストッパー部材39を備えていても、ストッパー部材39の奥行寸法(厚み)分だけダストボックス26の奥行寸法(厚み)が大きくなるということがない。したがって、奥行方向にコンパクトな空気調和機が得られる。
凹部56の上下方向に長い区画には、指を挿入するための空間が形成されている。この区画は、上下左右が壁で仕切られている。ストッパー部材39が収納された区画との隔壁に相当する左壁又は右壁(側壁)には、主に人差し指を押し当てることができる。或いは、側壁は、主に親指と人差し指とで摘むことができる。側壁は、ダストボックス26の前面側でダストボックス26の高さ範囲内で上下方向に延びている。ユーザーは、側壁を押したり、摘んだりして、ダストボックス26を手前に引くことで、ダストボックス26を容易に取り外すことができる。同様に、ユーザーは、側壁を押したり、摘んだりして、ダストボックス26を奥に押すことで、ダストボックス26を容易に取り付けることができる。
このような構成をとることによって、ダストボックス26に指を挿入するための空間が形成されていても、その空間の奥行寸法(厚み)分だけダストボックス26の奥行寸法(厚み)が大きくなるということがない。したがって、奥行方向にコンパクトな空気調和機が得られる。
ダストボックス26の天面部において、ダストボックス26の幅方向のストッパー部材39がある側の端部の上方にある部分は、上面視で四角形状に下方に凹ませてくり抜かれた形状になっている。そのため、集塵室40の容積が減少している。くり抜くことで生まれた凹部57の周縁の一部には、取っ手59が形成されている。
凹部57は、前後左右が壁で仕切られている。前壁は、ダストボックス26の前面部の一部になっている。この前壁が、手で掴むための取っ手59である。取っ手59には、指を引っ掛けることもできる。ユーザーは、手で取っ手59を掴んで、手前に引くことで、ダストボックス26を容易に取り外すことができる。
このような構成をとることによって、ダストボックス26に取っ手59が設けられていても、取っ手59の高さ分だけダストボックス26の高さが高くなるということがない。したがって、高さ方向にコンパクトな空気調和機が得られる。
前述したように、背面窪み55は、ダストボックス26の背面部の斜面部42を断面視でL字状にくり抜いた形状になっている。そのため、集塵室40の容積が減少している。
背面窪み55は、前壁、左壁、右壁、上壁で仕切られている。背面窪み55には、空気清浄フィルター21の延出部52を収納することができる。
このような構成をとることによって、空気清浄フィルター21の延出部52の奥行寸法及び高さ寸法の分だけ空気調和機の室内機10の寸法が大きくなるということがない。したがって、コンパクトな空気調和機が得られる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この実施の形態を部分的に実施しても構わない。例えば、この実施の形態の説明において「部」として説明するもののうち、いずれか1つのみを採用してもよいし、いくつかの任意の組み合わせを採用してもよい。なお、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。