JP6124293B2 - テラヘルツ帯光素子導波路 - Google Patents
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Description
図1は、従来の導波路の概略構成を示す説明図である。この図は、半導体デバイス中に形成された導波路部分の断面形状を示しており、図1(a)はSISP(semi-insulating surface plasmon)導波路の断面を示し、図1(b)はMM(metal-metal)導波路の断面を示している。
図1(a)の導波路は、例えばS.I.GaAsによって形成された基板101の上面に、n+GaAs等からなる高濃度ドープの薄膜半導体層102を積層させている。薄膜半導体層102の上面には活性層103が積層され、この活性層103の上面に金属層104が積層されている。活性層103は、テラヘルツ帯の光等を伝導するコアを形成するもので、図中上下方向から金属層104と薄膜半導体層102によって挟まれている。また、薄膜半導体層102の上面には、活性層103から適当な間隔を設けて例えば電極となる金属層105,106が積層されている。
図1(a)および図1(b)に示した導波路は、いずれもコアとなる活性層を上下方向から金属層などで挟むことにより、活性層内に導波光を効率良く閉じ込めて所定方向へ導くように構成されており、これらの構造は良好な光閉じ込め係数(optical confinement factor)Γが得られることから、例えばテラヘルツ帯量子カスケードレーザの導波路として採用されている(例えば、非特許文献1参照)。
テラヘルツ帯の光は100[μm]以上の波長を有することから、図示した導波路、即ち活性層303は、上記の波長に対応させて100〜200[μm]程度の幅員を有しており、吸収損失を抑えるため幅広に形成されている。
導波路には上記のように発熱部分Aが横方向に広がって生じることから、特に導波路の断面中心部で発生した熱は図2の矢印Bが示す方向へ逃げる。換言すると、有効な放熱は、活性層303の縦(上下)方向に限られてしまうため、当該半導体デバイス内に熱が滞留し易くなる。
(実施例1)
図3は、この発明の実施例1によるテラヘルツ帯光素子導波路の概略構成を示す説明図である。この図は、実施例1によるデバイス1に設けられた導波路部分の縦断面を示したもので、詳しくは当該導波路の延設方向に直交する断面構造を表している。
デバイス1は、半絶縁性の例えばSI−GaAsからなる基板10に、MBE成長法などの生成工程を実施することによって半導体化合物などを積層して形成されている。
基板10の上面には、n−GaAsからなる下部コンタクト層11が積層されている。
下部コンタクト層11は、例えば0.8[μm]の厚さに形成され、その上面に活性層13が積層されている。また、下部コンタクト層11は、例えば活性層13の側方となる位置に下部電極用金属16を積層・配設している。
上記のSiO2層12は、上記の活性層13の側面から下部コンタクト層11の上面にわたって積層されている。なお、前述の下部電極用金属16は、詳しくはSiO2層12の上面に配設されており、当該SiO2層12の下層となる下部コンタクト層11に電気接続されている。
また、例えば上部電極用金属15ならびに下部電極用金属16は、デバイス1の外部に露出する部位を有している。
活性層13は、上部コンタクト層17とともに積層方向に沿って(図中、上下方向に境界部分が延びるように)分割されており、デバイス1の活性層13は例えば4分割されている。また、活性層13は、基板10の上面を正面視したとき導波路の延設方向に沿って分割されている。
また、活性層13a〜13dの各分割境界には間隙が設けられている。この間隙は、活性層13の層厚み方向に延設されており、活性層13a〜13dを構成する半導体化合物等よりも熱伝導率の高い例えばi−GaAsが埋め込まれ、活性層13の層厚み方向に延設された放熱層14が埋設されている。
また、放熱層14は、活性層13の深さ方向(層厚み方向)において当該活性層13の厚さの50[%]以上の大きさに形成され、図3においては、活性層13の全体の厚さと同様な深さ(積層方向の大きさ)を有するように形成されている。
4つに分割された活性層13a〜13dからなる活性層13の総幅、詳しくは活性層13a〜13dの各間に設けられた3つの放熱層14を含めた総幅は、概ね115[μm]程度である。
例えば、波長が100[μm]程度のテラヘルツ光を伝搬するモードを伝搬モードCとする。伝搬モードCにおいては、図4に示したように活性層13の概ね縦断面全体を電磁波が伝搬する。ここで、放熱層14は、前述のように幅が5[μm]であり、テラヘルツ光の波長に比べて十分小さいことから、導波路を伝搬するテラヘルツ光(電磁波)の電界分布を当該放熱層14が乱すことは無い。
放熱層14の上端部は上部電極用金属15に接しており、活性層13a〜13dから吸収した熱を上部電極用金属15へ伝導して放熱する。
また、放熱層14の下端部は下部コンタクト層11を介して下部電極用金属16などに接していることから、活性層13a〜13dから吸収した熱を下部電極用金属16や基板10などに放熱する。
また、図3、図4に示したデバイス1は、当該活性層13の厚さ(積層方向の大きさ)全体に間隙を設け、これに放熱層14を形成しているが、放熱層14の深さ(積層方向の大きさ)を、活性層13の厚さの50[%]以上となるように形成し、活性層13に発生した熱を十分吸収し、また適当な部位へ放熱することができるように構成してもよい。
図5は、この発明の実施例2によるテラヘルツ帯光素子導波路の概略構成を示す説明図である。この図は、実施例2によるデバイス2に設けられた導波路部分の縦断面を示したもので、詳しくは当該導波路の延設方向に直交する断面構造を表している。
デバイス2は、例えばn−GaAsからなる基板20に、MBE成長法などの生成工程を実施することによって半導体化合物などを積層して形成されている。
基板20は、裏面(底面)に下部電極用金属21を積層・配設している。また、上面には、光封じ込め用金属22が積層されている。この光封じ込め用金属22は、導波路の底面部分として形成されたとき、テラヘルツ帯の電磁波を高率で反射し、当該電磁波を吸収しない特性を有するものである。
下部コンタクト層23の上面には活性層24が積層され、活性層24の上面には厚さ0.1[μm]のn−GaAsからなる上部コンタクト層26が積層されている。
上部コンタクト層26の上面には、上部電極用金属27が積層・配設されている。
また、例えば上部電極用金属27ならびに下部電極用金属21は、デバイス2の外部へ露出する部位を有している。
活性層24の分割された各部を活性層24a〜24dとしたとき、これらの部分は、それぞれ例えば25[μm]の幅を有している。換言すると、活性層24の積層方向と直交し、また、導波路の延設方向と直交する方向の大きさが25[μm]となるように形成されている。
また、活性層24a〜24dの各分割境界部分には、5[μm]の間隙が設けられている。この間隙は、活性層24の層厚み方向に延設されており、活性層24a〜24dを構成する半導体化合物等よりも熱伝導率の高い例えばi−GaAsが埋め込まれ、活性層24の層厚み方向に延設された放熱層25が埋設されている。
デバイス2の導波路へ誘導されたテラヘルツ光が、例えば100[μm]程度の波長を有するとき、放熱層25が上記のように幅5[μm]に形成されている(テラヘルツ光の波長の1/10以下の幅に形成されている)場合には、実施例1で説明したものと同様に、当該放熱層25によってテラヘルツ光の電界分布が乱れることなく導波路内を伝搬させることができる。
また、放熱層25は、活性層24の深さ方向(層厚み方向)において当該活性層24の厚さの50[%]以上の大きさに形成され、図5においては、活性層24の全体の厚さと同様な深さ(積層方向の大きさ)を有するように形成されている。
前述のように構成されたデバイス2に電力を供給すると、当該電力によってデバイス2が稼動して導波路をテラヘルツ光が伝搬する。このとき、前述の実施例1で説明した活性層13a〜13dと同様に、デバイス2の導波路即ち活性層24a〜24dにそれぞれ電流が流れて発熱が生じる。この活性層24a〜24dに生じた熱は、各活性層24a〜24dの間に設けられた熱伝導率の高い放熱層25に吸収される。活性層24a〜24dからそれぞれの放熱層25へ伝導した熱は、例えば、放熱層25の上端部に接している上部電極用金属27へ伝導して放熱する。また、放熱層25の下端部に接している下部コンタクト層23、さらに光封じ込め用金属22、基板20、下部電極用金属21などに伝導して放熱する。
また、図5のデバイス2は、活性層24の全体の厚さ(積層方向の大きさ)全体に間隙を設け、これに放熱層25を形成しているが、放熱層25の深さ(積層方向の大きさ)を、活性層24の厚さの50[%]以上となるように形成し、活性層24に発生した熱を十分吸収し、また適当な部位へ放熱することができるように構成してもよい。
10,20,101,201,301基板
11,23下部コンタクト層
12SiO2層
13,24,303活性層
14,25放熱層
15,27,304上部電極用金属
16,21,302下部電極用金属
17,26上部コンタクト層
22光封じ込め用金属
102薄膜半導体
103,203活性層
104,105,106,202,204金属層
Claims (3)
- 基板に積層された半導体化合物からなる活性層をテラヘルツ帯電磁波の導波路とするテラヘルツ帯光素子導波路であって、
前記導波路となる活性層は、
該活性層の積層方向に沿って分割され、且つ、前記導波路の延設方向に沿って分割された複数の活性層からなり、
前記分割された各活性層は、前記テラヘルツ帯電磁波の波長に対応する導波幅を有し、
前記複数の活性層の分割境界に設けた間隙に前記活性層の半導体化合物よりも熱伝導率の高い物質を埋設した放熱層を備え、
前記放熱層は、
前記テラヘルツ帯電磁波の波長の1/10以下の幅を有し、
前記テラヘルツ帯電磁波が伝搬するときに前記分割された各活性層が発生した熱を吸収して、前記基板に積層された金属部位へ放熱するように該放熱層の端部が前記金属部位と接している、
ことを特徴とするテラヘルツ帯光素子導波路。 - 前記放熱層は、
前記活性層の層厚み方向において該活性層の層厚さの50%以上の大きさを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ帯光素子導波路。 - 前記放熱層に接する金属部位は、前記テラヘルツ帯電磁波を出力するテラヘルツ帯光素子の電極用金属部位である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のテラヘルツ帯光素子導波路。
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