JP4910079B2 - テラヘルツ波発生ダイオードおよびこれを用いたテラヘルツ波放射装置 - Google Patents

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本発明は、半導体のpn接合ダイオードからテラヘルツ(THz)波(10−3THzから10THz程度の範囲)を放射させるためテラヘルツ波発生ダイオードおよびこれを用いたテラヘルツ波放射装置に関するもので、極めて小型でインコヒーレントまたはコヒーレントなテラヘルツ波を発生させると共に、発生したテラヘルツ波の集中や発散などの加工用の光学系や伝送などの光学系を備えたテラヘルツ波発生用半導体ダイオードと、これを用いてテラヘルツ波のパルス発生、連続波の発生、レーザ発振させるときの安定化などの制御系を含む駆動回路を具備したテラヘルツ波の放射装置を提供するものである。
従来、テラヘルツ波の発生には、レーザ光源からの強力なフェムト秒程度のパルス励起光を非線形光学結晶に入力して、光整流作用などによってテラヘルツ波を発生させる方式(特許文献1、特許文献2)、非線形光学材料に異なる二波長のレーザ光を同時に照射して結合させて、その差周波数がテラヘルツ波帯になるようにする方式(特許文献3)、1波長のレーザ光を照射し、誘導ラマン散乱やポラリトンとの結合を利用する方式などの光ビームを光学結晶などに入射する光励起を利用する方法(特許文献4)や、電子ビームが反射回折格子上を伝送されるときの電磁放射などの電子管を利用する方法(特許文献5)などがあった。
しかし、従来の光励起を利用する方法は、テラヘルツ波の発生効率が低いので、大出力のレーザ光発生装置が必要で、更に非線形性固体中でのレーザ光の結合のための光学系が大型になり、パルスレーザ光照射では、高出力が得られやすいものの連続波が発生できない問題があり、また、電子管を利用する方法でも、やはり大型で、しかも高価であったので、小型、単純な構造で、しかも安価なテラヘルツ波発生装置が望まれていた。
特開2004−101734号公報 特開2004−22766号公報 特開2003−15175号公報 特開平9−74239号公報 特表2003−500862号公報
本発明は、単純な構造で、超小型で、パルス波も連続波の発生やレーザ発振も可能であり、発生したテラヘルツ波の集中や発散などのテラヘルツ波放射ビームの加工用の光学系や伝送系も備えた安価なテラヘルツ波発生装置であるテラヘルツ波発生ダイオードを提供すると共に、このテラヘルツ波発生ダイオードを用いて、テラヘルツ波のパルス発生、連続波の発生、レーザ発振させるときの安定化などの制御系などを含む駆動回路を備えたテラヘルツ波放射装置を提供すること目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、半導体基板に、少なくとも1つのpn接合と、このpn接合を構成するp型またはn型の導電型のうちの少なくとも一方の導電型領域には活性領域を備え、この活性領域には、この導電型を形成するための縮退するほどの高濃度に添加した不純物Aと、他方の導電型になる不純物Bを前記不純物Aよりも少なく、かつ縮退しない程度に添加してあり、前記pn接合に順方向バイアスを印加したときに、前記活性領域に注入された少数キャリアが不純物Bの不純物準位を介して再結合するときに放射する電磁波がテラヘルツ域になるようにしたことを特徴とするものである。
シリコン(Si)単結晶基板を用いた場合は、一般に、p型の導電型にするには、不純物として浅い不純物準位のアクセプタになるホウ素(B)を用いる。また、一般に、n型の導電型の不純物としては、浅い不純物準位のドナとなるリン(P)を用いる。不純物濃度を増加させてゆくと、浅いアクセプタのホウ素の不純物準位は、価電子帯から直ぐ上の45meV離れた単一の不純物準位から不純物バンドを形成するようになり、1018cm−3程度以上なると、遂にはシリコンの価電子帯と不純物バンドとがエネルギー的に重なるようになり、フェルミ準位は、価電子帯の中に入り込むようになる。一方、浅いドナのリンの不純物準位は、伝導帯から直ぐ下で44meV離れた単一の不純物準位から不純物濃度を増やすと、やはり不純物バンドを形成するようになり、1018cm−3程度以上なると、遂にはシリコンの伝導帯と不純物バンドとがエネルギー的に重なるようになり、フェルミ準位は、伝導帯の中に入り込むようになる。
また、シリコンのような間接遷移型半導体では、伝導帯の下端と価電子帯の上端とは、運動量空間で異なるが、浅いアクセプタや浅いドナの準位は、それぞれ価電子帯と伝導帯の端と同一の運動量空間位置にあるので、これらのアクセプタとドナの準位は、それぞれ伝導帯と価電子帯との関係が直接遷移型のように働くので、容易に電磁波を放射して電子の遷移がしやすく、しかも、エネルギー差が約45meV程度で極めて小さく、その電磁波はテラヘルツ波の周波数に対応する(45meVは、波長約27.6μmに対応し、周波数では約10.9THzに対応する)と共に、可視光よりも波長が非常に長いので、自然放出割合に対して誘導放出割合が極めて大きくなり(一般に、誘導放出割合は波長の3乗に比例して大きくなる)、レーザ作用も起こしやすい。
シリコン(Si)のpn接合ダイオードを例に取り説明すると次のようである。例えば、シリコンのpn接合のうち、p型の導電型の半導体領域は、縮退する程度の高濃度にした不純物Aとしてのホウ素の濃度が1x1019cm−3程度で、そこにn型不純物である不純物Bとしてのリンの濃度を縮退しない程度の5x1017cm−3程度添加して活性領域を形成する。この活性領域では、p型の不純物Aの量(ホウ素の添加量)がn型の不純物Bの量(リンの添加量)より多量なので、n型を形成するはずのドナの不純物バンドを有するが高濃度のアクセプタを持つ縮退したp型半導体領域となっている。そして、そこではn型の不純物Bであるリンの濃度は多いので、伝導帯の下端に40meV程度のギャップを有してリンの不純物Bの準位がエネルギー的に広がり不純物バンドを形成している。しかし、このリンの不純物バンドは、フェルミ準位が高濃度アクセプタのために価電子帯に入り込んでいるために、電子がほとんどなく、空いた状態である。一方、pn接合のうち、n型の導電型の半導体領域は、5x1019cm−3程度の高濃度のリンの不純物を添加してあり、縮退したn型半導体となっている場合を考える。
このようなpn接合に順方向バイアスを印加すると、そのp型領域の伝導帯にn型領域から少数キャリアである電子が多量に注入される。このp型領域に上述の活性領域が形成されているので、注入された電子は、その活性領域の伝導帯から直ぐ下の空になっているリン(不純物B)の不純物バンドを経由して、価電子帯の正孔と再結合する。このとき、この活性領域の伝導帯とリンの不純物バンドとのエネルギー差に相当する電磁波であるテラヘルツ波が放射する。このテラヘルツ波は、活性領域の伝導帯に注入された電子のエネルギーにも幅があり、この電子のエネルギーとエネルギーギャップを隔てたリンの不純物バンド中のエネルギー準位間のエネルギー差により放出テラヘルツ波長が決定される。したがって、放出波長に幅があり、フィルタや共振器などの波長選択機構との組み合わせにより波長可変のテラヘルツ波発生ダイオードが達成できる。
このとき、もちろん、リンの不純物バンドと再結合先の価電子帯のとのエネルギー差に相当する電磁波、および伝導帯と価電子帯とのバンド間遷移に相当する電磁波も放射するが、これらの電磁波は約1eV程度のエネルギー差であるから近赤外線領域となる。
上述では、活性領域をpn接合のうちp型の導電型の半導体領域にのみ形成した場合の例を挙げたが、活性領域をn型の導電型の半導体領域に形成してもよく、さらに、p型とn型の双方に形成しても良い。
n型の導電型の半導体領域に活性領域を形成した場合は、n型の不純物であるリンが不純物Aであり、このリンの不純物濃度を縮退する程度に高濃度にしておき、ここにp型の不純物であるホウ素(ここでは不純物Bとなる)をn型の不純物Aよりも縮退しない程度に少なくして、p型の不純物Bが完全に補償されてこれを上回るn型の不純物Aで決まる縮退したn型半導体領域になっている。
pn接合において、双方の導電領域に活性領域がある場合は、p型の導電型では、不純物Aがp型不純物であるホウ素であり、不純物Bがn型不純物であるリンである。また、n型の導電型では、その逆で、不純物Aがn型不純物であるリンであり、不純物Bがp型不純物であるホウ素である。
このように、pn接合の双方の導電領域に活性領域があり、双方の不純物Aが縮退するほど高濃度の場合のn型導電領域からp型導電領域に移る遷移領域では、n型導電領域の縮退したリンの不純物バンドが、このn型導電領域では伝導帯に重なり、伝導帯との間にエネルギーギャップを有しないが、p型導電領域では、縮退しない程度のリンの濃度であるから、p型導電領域に移ってゆくに連れてリンの不純物濃度が少なくなり縮退が解けて、不純物バンドと伝導帯との間にエネルギーギャップが形成されてゆく。不純物バンドと伝導帯との間のエネルギーギャップがテラヘルツ波の放射フォトンエネルギー、すなわちその波長を決定する。この遷移領域では連続的にこのエネルギーギャップの大きさがゼロからリンの不純物準位である伝導帯下端から45meV程度まで変化しているので、テラヘルツ波帯の0.1THz程度の低周波から45meV程度に対応する10THz程度まで変化しているテラヘルツ波が放射される。
一般に、シリコンなどのホモ接合のpn接合では、電子の移動度が正孔の移動度より大きいので、注入された少数キャリアはp型導電型への電子注入の方が遷移領域を超えてp型導電領域に深く入り込み再結合して発光し、n型領域での発光よりもこのp型の遷移領域の方が発光面積が大きく発光の主体となる。この発光領域である活性領域に、伝導帯下端から浅い不純物準位であるリンを積極的に添加しておけば、ここを経由して再結合し、注入されたp型領域の伝導帯からこの浅い不純物準位に遷移するときにテラヘルツ波を放射するものである。もちろん、n型導電領域の活性領域にアクセプタのホウ素を積極的に添加しておくことにより、価電子帯からこのアクセプタへの注入された正孔の遷移により(n型導電領域の多数キャリアである電子がこのアクセプタ準位を経由して、注入された正孔と再結合すると考えても良い)テラヘルツ波を放射する。
上述では、ドナとしてリンを、アクセプタとしてホウ素を例にしたが、シリコン半導体を用いた場合でも、ドナとしてリンの変わりに砒素やアンチモンなどを使用することもできるし、アクセプタとしてホウ素の代わりに、アルミニウムやガリウムなどを使用しても良い。このように不純物を変えるとそれらの不純物準位のエネルギーが変化するので、放射するテラヘルツ波の周波数も変化する。もちろん、これらのドナまたはアクセプタ同士の幾つかの不純物を同時に添加することもできるし、可変波長のテラヘルツ波発生ダイオードの作成には、むしろ好都合である。
また、上述では、大きな反転分布を形成して高効率にテラヘルツ波を放射するために活性領域の導電型を決めている不純物Aを縮退するほど高濃度にしてある場合であったが、効率を度外視すれば、必ずしも縮退するほど高濃度にする必要は無く、この活性領域に一緒に添加している他の導電型の不純物Bは、不純物Aより少なく添加しておけばよい。また、不純物Aが縮退するほどの高濃度に添加してあるので、不純物Bも縮退はしないが不純物バンドが形成できる程度の高濃度に添加できるので、放射するテラヘルツ波の波長の幅が広くなり、そのために大きな可変波長のテラヘルツ波発生ダイオードが提供できるという利点がある。
本発明の請求項に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、半導体基板として単結晶シリコンをベースにした半導体を用いた場合であり、上述の例のように、半導体基板として、シリコン単結晶を使用しても良く、例えば、シリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)とのIV族混晶半導体にするとこれらの組成比により、禁止帯幅(Eg)を変化させることができると共に、不純物のエネルギー準位の値も変化させることができるので、放射するテラヘルツ波の波長も変化させることができる。
半導体基板として単結晶シリコンをベースにした半導体を用いた場合は、絶縁膜として良質のSiOの熱酸化膜が作成できるので、好都合であると共に、従来の成熟した超LSI技術が使用できるので、大量生産性があり安価なダイオードが作成できる。
本発明の請求項に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、pn接合にヘテロ接合を設けた場合であり、シングルへテロ接合やダブルへテロ接合構造にすることができる。例えば、p型シリコンとn型シリコンとの間にシリコンよりも禁止帯幅(Eg)が小さいシリコンとゲルマニウムとのIV族混晶半導体であるp型Si1−xGeをテラヘルツ波発生領域である活性領域として形成した場合である。
この活性領域には、n型の不純物であるリンや砒素などの不純物Bをp型Si1−xGeのp型不純物であるホウ素(不純物A)より少ない量を添加しており、このp型Si1−xGeは、シリコンより禁止帯幅(Eg)が小さいので、pn接合が順方向バイアスされたときに、注入された電子と正孔がヘテロ接合による電位障壁のために、この活性領域に閉じ込められると共に、活性領域の両側にあるシリコンよりも屈折率が高いので、放射するテラヘルツ波の電磁波が閉じ込められやすい。この様子は、GaAsとGaAlAsとの組み合わせによる公知のシングルへテロ接合やダブルへテロ接合のレーザの場合と同様である。
上述では、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)を使用したテラヘルツ波発生ダイオードの例を示したが、もちろん、GaAs、GaP、GaNなどの半導体を用いても良く、これらの浅い不純物準位もSiやGeとは異なり、発生するテラヘルツ波の周波数もSiやGeとは異なるので、更に広範囲な周波数領域のテラヘルツ波の発生が可能となる。
また、上述では、シリコン(Si)のp型の浅い準位を形成するアクセプタ不純物として、ホウ素(B)を例にしたが、ホウ素(B)のアクセプタ準位は、45meVであるのに対して、アルミニウム(Al)では、57meV、ガリウム(Ga)では、65meVであるといわれている。したがって、テラヘルツ波を発生する活性領域をn型導電領域に形成しておけば、ホウ素(B)のときの発生するテラヘルツ波の周波数である10THz程度から14THz程度まで変化させることもできる。もちろん、活性領域をn型導電領域に形成したときのドナも、リン(P)からアンチモン(Sb)や砒素(As)に替えると、放射テラヘルツ波の波長をある範囲内で選択することができる。
上述では、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)を使用したテラヘルツ波発生ダイオードの例を示したが、もちろん、GaAs、GaP、GaNなどの半導体を用いても良く、これらの浅い不純物準位もSiやGeとは異なり、発生するテラヘルツ波の周波数もSiやGeとは異なるので、更に広範囲な周波数領域のテラヘルツ波の発生が可能となる。
ヘテロ接合におけるテラヘルツ波発生領域である活性領域の両側の禁止帯幅の大きいp型およびn型の領域(上述では、シリコン)は、縮退するほど高濃度の不純物を添加しておくと注入キャリアが大きく、高効率で高出力のテラヘルツ波発生ダイオードが提供できる。
本発明の請求項に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、テラヘルツ波用の波長選択機構を備えた場合であり、pn接合面に沿って回折格子を設けて分布帰還フィルタを内蔵したり、ダイクロミックミラーやファブリー・ペロー共振器などの干渉フィルタを用いて波長選択が可能にした場合である。
本発明の請求項に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、テラヘルツ波用の波長選択機構を波長可変となるようにした場合で、例えば、半導体チップにダイアフラムの反射鏡を設けて例えば、ファブリー・ペロー共振器にし、このダイアフラムの変形で可変波長になるようにしたり、更には、半導体チップの外部にプリズムや回折格子を配置して、テラヘルツ波の波長選択ができるようにした場合である。テラヘルツ波は波長が長いので、可視光線の場合より共振器の反射鏡の調整が粗でよく、波長選択が容易である。
本発明の請求項に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、共振器を備えてレーザ発振ができるようにした場合である。共振器は、半導体チップの対向する端面を反射面として利用したり、更に、金属をこの端面に反射鏡として形成しても良い。また、単結晶の結晶面を利用すると、極めて平坦で平行度の良い反射鏡が達成できる。シリコンの半導体を使用したダイオードでは、反射鏡として利用する端面を熱酸化して薄い石英の熱酸化膜を形成した方が安定な絶縁膜で、かつ作成も容易であるから好都合である。もちろん、可変波長の共振器にすれば、可変波長レーザ発振としてのテラヘルツ波発生ダイオードが提供できる。
本発明の請求項に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、活性領域に量子井戸構造を設けた場合であり、従来の単一量子井戸型レーザや多重量子井戸型レーザと同様に、単一または周期的な幅の狭いヘテロ接合構造としてあり、そこでの単一またはそれぞれ井戸型ポテンシャル内にある伝導帯や価電子帯と不純物準位または不純物バンドとに形成された量子井戸中の分離した準位間の遷移がテラヘルツ波の発生に寄与できるので、高効率で波長純度の高いテラヘルツ波の放射が達成される。
本発明の請求項に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、テラヘルツ波が活性領域の厚み方向(pn接合面に垂直方向)の外部に放射するように構成した場合であり、従来の半導体レーザに対応させると、垂直共振器面発光レーザに相当するように構成した場合であり、また、レーザでなくとも、発光面が大きくなるように面発光になるように構成した場合である。この場合は、狭いpn接合の面に沿って放射された場合の楕円放射断面で大きな放射角度を有する場合とは異なり、放射テラヘルツ波は平行光線となるので、焦点を合わせたり、遠くを照射する場合など光学系が単純となり、コンパクトな装置が提供できる。
本発明の請求項9に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、半導体基板に、この基板の温度を検出する温度センサを搭載した場合であり、半導体のフェルミエネルギーEf、禁止帯の幅(エネルギーギャップEg)や不純物準位は、温度により異なり、したがって、発生するテラヘルツ波の周波数(もちろん、波長も)が温度により変化する。安定した周波数のテラヘルツ波の発生には、温度制御が大切で、特に、高出力のテラヘルツ波の発生では、半導体基板が極めて高温になってしまうという問題があった。このためには、先ずは、半導体基板の温度を検出する必要がある。
温度センサとして、pn接合ダイオードやトランジスタを形成して、これをサーミスタとして利用する、所謂、ダイオードサーミスタやトランジスタサーミスタを利用したり、IC温度センサを利用すると良い。
本発明の請求項10に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、半導体基板に、半導体基板に、テラヘルツ波発生ダイオードの駆動に係わる周辺回路の少なくとも一部を集積した場合であり、半導体基板に搭載している温度センサを駆動させたり、そのセンサ出力を増幅させたり、更に、それらの出力を温度制御回路に入力して、半導体基板を一定温度に保持させたり、更には、テラヘルツ波発生ダイオードの駆動電流を制御させたりするための周辺回路を同一の半導体基板に集積するものである。半導体基板としてシリコン単結晶基板を用いると、従来の成熟したCMOS工程が利用できるので、好都合である。
本発明の請求項11に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、ペルチェ素子を備えた場合であり、ペルチェ素子は極めて小型で、電流を流すことにより冷却も発熱も可能で、上述の温度センサや周辺回路と組み合わせて、テラヘルツ波発生ダイオードが形成されている半導体基板の温度を一定温度に保持するなど、温度制御できるようにしたものである。
本発明の請求項12に係わるテラヘルツ波発生ダイオードは、発生したテラヘルツ波を集光、発散もしくは伝送させる光学系を備えた場合であり、凹面や凸面のレンズや反射鏡で発生したテラヘルツ波を集光させて焦点を合わせたり、平行光線にしたり、テラヘルツ波のビーム形状を円形、楕円や線状にしたり、更には、走査できるようにしたり、また、発散させてある面積に一様に照射できるようにしたり、また、テラヘルツ波の導波管や透過できる材料によるファイバを通して、テラヘルツ波を照射するまで伝送させるような光学系を備えたものである。
本発明の請求項13に係わるテラヘルツ波放射装置は、請求項1から13のいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオードと、このテラヘルツ波発生ダイオードの駆動に係わる駆動回路とを備えた場合であり、テラヘルツ波発生ダイオードは電流駆動型であり、順方向電流の制御が重要で、パルス動作、連続波動作、温度制御、出力強度調整、波長制御系駆動などフィードバック系と組み合わせた制御系を含む駆動回路を備えたものである。
本発明の請求項14に係わるテラヘルツ波放射装置は、駆動回路には、温度センサとペルチェ素子を利用してテラヘルツ波発生ダイオードの温度制御をする温度制御回路を備えた場合で、発生するテラヘルツ波の周波数安定化制御などに役立てるものである。
本発明の請求項15に係わるテラヘルツ波放射装置は、分光器を備えた場合で、テラヘルツ波発生ダイオードから放射されるテラヘルツ波の波長を選択して、更に外部に放射させる場合と、再びテラヘルツ波発生ダイオードに戻して、極めてシャープなレーザ発振作用をさせる場合などがある。テラヘルツ波発生ダイオード自体に波長選択機構を有していても、分光器を備えることにより更にシャープな波長選択ができるようにすることができる。
従来のレーザ光を照射して差周波数からテラヘルツ波を発生させたり、電子管を利用してテラヘルツ波を発生させたりする方法に比べ、本発明のテラヘルツ波発生ダイオードによるテラヘルツ波の発生は、半導体ダイオードの順方向電流によるキャリア注入に基づく反転分布を利用する放射再結合を利用するので、極めて小型で単純な構造のテラヘルツ波発生装置が提供できるという利点がある。
本発明のテラヘルツ波発生ダイオードでは、pn接合のそれぞれの導電領域を縮退するほど高濃度にできるので、順方向電圧印加により多量のキャリアを各領域に少数キャリアとして注入できるので、高効率で高出力のテラヘルツ波発生装置が提供できるという利点がある。
本発明のテラヘルツ波発生ダイオードでは、間接遷移型のシリコンやゲルマニウムを用いても、テラヘルツ波を発生させるための不純物準位は、これらの半導体の伝導帯または価電子帯に近接したエネルギー準位となるので、伝導帯または価電子帯と不純物準位とは、言わば、直接遷移型のように振舞うので、フォノンなどの支援なしに注入キャリアが直接的に遷移できるので、テラヘルツ波が高効率で放射されるという利点がある。
本発明のテラヘルツ波発生ダイオードでは、テラヘルツ波の発生をさせるので、可視光線に比べて極めて波長が長いので、注入キャリアの放射遷移に際し、自然放出割合よりも誘導放出割合が極めて大きくなるので、誘導放出を利用するテラヘルツ波のレーザが達成しやすいという利点がある。
本発明のテラヘルツ波発生ダイオードでは、活性領域における半導体の許容帯である伝導帯または価電子帯と、この活性領域に意図的に添加した不純物の不純物バンドとの間での注入キャリアの放射遷移に基づく、言わば、バンド間遷移に基づくので、波長選択機構の具備により特定波長もしくは可変波長のテラヘルツ波発生装置が提供できるという利点がある。
本発明のテラヘルツ波発生ダイオードでは、共振器を具備することにより、容易にテラヘルツ波のレーザ発振ができるという利点がある。もちろん、可変波長用の波長選択機構の具備により、超小型の可変波長レーザとしてのテラヘルツ波発生装置が提供できる。
本発明のテラヘルツ波発生ダイオードでは、面発光としてのテラヘルツ波レーザが達成できるので、外部に光学系を設けて平行光線にする必要が無く、テラヘルツ波発生ダイオードからのテラヘルツ波放射光(放射電磁波)がそのまま平行光線になるので、単純な構造の装置となる利点がある。
本発明のテラヘルツ波発生ダイオードでは、温度センサや制御系などを含む駆動回路も同一の半導体基板に集積できるので、極めてコンパクトなテラヘルツ波発生ダイオードが提供できる。
本発明のテラヘルツ波発生ダイオードでは、レンズなどの光学系やテラヘルツ波用導波管などの伝送路の光学系をコンパクトに組み合わせられるので、ハンディなテラヘルツ波放射装置が提供できる。特に、テラヘルツ波用導波管として、内径数百マイクロメートルの中空プラスチックパイプの内壁を金などの金属薄膜で反射コーテングしたものを用いるとフレキシブルな伝送路が達成できるという利点がある。
本発明のテラヘルツ波放射装置では、集積化した温度センサや温度制御回路などと半導体基板に熱的に接触したペルチェ素子との組み合わせで、容易に温度制御が可能であり、特に、半導体基板としてシリコン単結晶をベースにすると成熟したCMOS技術などのIC技術が使用できるので、コンパクトで高度な周波数安定化システムや駆動システムなどを同一基板に集積化でき、極めてコンパクトで、通信用やセンシング用、医療用など各種用途向けのテラヘルツ波放射装置が提供できるという利点がある。
比較的低濃度にアクセプタとしてのホウ素(B)を添加したp型シリコン(Si)単結晶基板の表面付近に、縮退するほど高濃度にホウ素(B)を添加したp型不純物拡散層を形成しておき、その上に、エピ成長によりやはり縮退するほど高濃度(例えば、5x1019cm−3程度)にアクセプタとしてのホウ素(B)(不純物A)と縮退しない程度濃度(例えば、1x1017cm−3程度)のドナとしてのリン(P)(不純物B)を添加したp型のSi1−xGeを50μm程度の厚みに成長させる。また、このバンドギャップがシリコン単結晶より狭いSiGe層を活性領域とするダブルヘテロ接合構造とするために、さらにエピ成長により、やはり縮退するほど高濃度(例えば、2x1020cm−3程度)にドナとしてのリン(P)を添加したn型シリコン(Si)を100μm程度の厚みに成長する。このように、p型シリコン(Si)単結晶基板と、100μm程度厚の表面エピ層のn型シリコン(Si)層とで、50μm程度の厚みのp型SiGe層のテラヘルツ波の発生領域である活性領域をサンドイッチにした構造であるから、これらの合計厚みが、屈折率を考慮した光学長の厚みが所望のテラヘルツ波の発生波長(例えば、波長30μm)の半波長(例えば、波長15μm)の整数倍で、これらの厚み方向で共振器が形成されるように、p型シリコン(Si)単結晶基板の厚みを決定すると良い。そして、p型シリコン(Si)単結晶基板と表面エピ層のn型シリコン(Si)層とにオーム性金属電極を形成することで、面発光(放射)の本発明のテラヘルツ波発生ダイオードが作成される。
また、基板の厚み方向に高効率に共振器を形成するために、p型の裏面やn型エピ層の表面に反射鏡としてのアルミニウム薄膜を適当な厚みに形成しておくと良い。
また、テラヘルツ波発生ダイオードの順方向電流を空間的に制限して、テラヘルツ波放射(発光)領域を所望の大きさにするために、シリコン基板に形成したシリコンの酸化膜の窓を通して成長するようにエピ成長領域を制限しても良い。
また、TO−5などのパッケージにマウントしたテラヘルツ波発生ダイオードと、凸レンズ系を利用してフレキシブルな中空導波管伝送路に結合させて伝送し、任意の箇所に容易に照射できるようにすることができるという利点がある。特に、医療用などでは、この伝送路を通して、テラヘルツ波発生ダイオードの本体から離れている患者の任意の部位に照射しやすいという利点がある。
図1は、本発明テラヘルツ波発生ダイオードの半導体基板1のチップをステム200にマウントした状態の一実施例の横断面概略図であって、例えば、不純物Aとしてのホウ素を縮退するほど高濃度(5x1019cm−3程度)に添加したp型導電領域10であるシリコン単結晶の(111)面の表面に、不純物Bとしてのリンを縮退しない程度の濃度(2x1017cm−3程度)に添加して、活性領域30を深さ50μm程度まで形成し、更に、n型導電領域20をリンの高濃度不純物拡散により縮退するほどの濃度(2x1020cm−3程度)に形成した場合を示している。
活性領域30では、不純物Aとしての縮退するほど高濃度のホウ素と不純物Bとしての縮退しない程度の濃度のリンが添加されており、不純物Aのホウ素が不純物Bのリンよりも多いので、多い方の不純物Aで決まるp型導電領域15となっている。
テラヘルツ波発生ダイオード本体の半導体基板1の上下には、オーム性電極として上部電極110と下部電極120が形成されており、これらは発生したテラヘルツ波が反射して共振器100が形成されるように、反射膜60、61としての役割もするようにしている。
下部電極120は、その下部にある金属製のステム200にマウントして同通させてあり、このステム200からの配線151と、上部電極110に同通させた配線150との間に、テラヘルツ波発生ダイオード本体の順方向電圧を印加して電流を流すと、テラヘルツ波と赤外線とが発生するが、このうちのテラヘルツ波を外部に取り出すようにする。
テラヘルツ波を外部に取り出すには、共振器100を構成する反射膜60、61間隔を光学長にして、所望のテラヘルツ波の波長の二分の一の整数倍にするように設計すること、更に、反射膜60、61の厚みを適当にするか、更には、発生赤外線を吸収するが、発生テラヘルツ波は吸収され難い材料薄膜を上部の反射膜61の上にコーテングしておくと良い。
上述では、活性領域30として50μm程度の深さまで形成した例を示したが、必ずしもその必要は無く、例えば、はじめから不純物Aとしての縮退するほど高濃度のホウ素と不純物Bとしての縮退しない程度の濃度のリンが添加されている半導体基板1を用いても良い。
図2は、本発明テラヘルツ波発生ダイオードの図1におけるp型導電領域10(縮退したp型半導体)に形成された活性領域30を持つpn接合付近のエネルギーバンド図で、テラヘルツ波発生ダイオードに電圧を印加していない状態を示している。また、図3には、これに順方向電圧Vを印加したときのエネルギーバンド図で、順方向電流が流れ、p型導電領域10(縮退したp型半導体)に形成されたp型導電領域15である活性領域30に注入された電子が、不純物Bのドナ不純物(リンによる)の不純物バンドを経由して、価電子帯の正孔と放射再結合するときの様子を示している。
p型の活性領域30に注入された電子は、ドナであるリンによる不純物バンドに遷移するときに、この不純物バンドは縮退していないので、電磁波を放出する。このときの周波数は、平均してシリコンの伝導帯からのリンの不純物準位までのエネルギー差である約44meVに対応し、波長にして約28μmであり、周波数で10.7THzに対応する。このように平均して、f1=10.7THz程度の周波数のテラヘルツ波が発生するが、注入された電子の伝導帯でのエネルギーにも幅があり、不純物Bのドナ不純物(リンによる)の不純物バンドにもエネルギー幅があること、更に、縮退したn型導電領域20(縮退したn型半導体)側、すなわち、pn接合界面付近では、ドナ不純物の不純物バンドが伝導帯に重なっているので、伝導帯と不純物バンドとの間にはエネルギーギャップが存在していないから、縮退したn型導電領域側からp型の活性領域30に電子が注入されるときには、テラヘルツ波の極めて長波長側から約44meVに対応する約28μmの短波長側まで、連続的にテラヘルツ波が発生して、放射されることになる。この様子を図3では、テラヘルツ波f1、f2、f3のように表示している。
また、不純物Bのドナ不純物(リンによる)の不純物バンドから更に価電子帯の正孔と再結合するときのエネルギー差は、室温では、ほぼシリコンの禁止帯幅Eg=1.1eVあり、波長にして、1.1μmの近赤外線で、これを図3では、赤外線fipと表示してある。なお、fipのpの添字は、p型導電領域での電磁放射を意味する。また、今後、添字にnも文字があるときには、n型導電領域での電磁放射を意味するものとする。
実際には、伝導帯と価電子帯との間のバンド間遷移に基づく近赤外線発光が存在するが、ここでは省略している。
図4には、活性領域30がp型導電領域10(縮退したp型半導体)ばかりでなく、p型導電領域20(縮退したn型半導体)にも広がっている場合の本発明テラヘルツ波発生ダイオードに順方向印加電圧Vを加えたときのpn接合付近のエネルギーバンド図を示している。活性領域30のうちp型導電領域15に形成されている領域でのテラヘルツ波(f1p)の発生は、上述の実施例1における図1から図3までの説明と同様であるのでここでは省略する。
n型導電領域20(縮退したn型半導体)の中に形成されている活性領域30では、p型導電領域10(縮退したp型半導体)の場合とは逆で、不純物Aがn型導電領域20を形成しているドナのリンであり、不純物Bとしてはアクセプタのホウ素である。また、このアクセプタが縮退しない程度であるが、不純物バンドが形成される程度の高濃度(1x1017cm−3程度)にしている。図4では、n型導電領域20(縮退したn型半導体)の中のアクセプタによる不純物バンドを、p型導電領域15(縮退したp型半導体中)の不純物Bと区別するために、不純物B’ と表示した。順方向電圧Vを印加されてn型導電領域20(縮退したn型半導体)に注入された正孔は、不純物B’のアクセプタ不純物バンドに捕獲されて、このときの価電子帯とこのアクセプタ不純物バンドとのエネルギー差(平均して45meV程度)に相当するテラヘルツ波が発生する。このときの波長は約28μmであり、周波数にしてf1n=10.7THz程度である。また、不純物B’のアクセプタ不純物バンドに捕獲された正孔は、伝導帯の多数キャリアである電子と再結合して、価電子対と伝導帯とのエネンルギー差にほぼ等しいエネルギーの赤外線finを放射する。
不純物B’のアクセプタ不純物バンドは、縮退したp型導電領域15(またはpn接合の界面)に近づくに連れて、価電子帯とのエネルギーギャップが小さくなり、遂にはなくなるので、連続的な長波長のテラヘルツ波の発生がある。この様子は、図3に関する説明における縮退したp型導電領域15(縮退したp型半導体)のpn接合界面付近の活性領域での連続的な長波長のテラヘルツ波の発生と同様である。
図5は、本発明のテラヘルツ波発生ダイオードをダブルへテロ接合構造にした場合の断面概略図である。製作方法は、例えば、次のようである。先ず、(111)面のp型シリコン(Si)単結晶の半導体基板1(濃度1x1016cm−3程度)の表面の熱酸化SiO膜に500μm角の窓を開け、この窓を通して、その表面付近に縮退する程度の高濃度(5x1019cm−3程度)にp型不純物であるホウ素を添加してp型導電領域11を形成する。次に、そこに選択エピ成長により、p型不純物である不純物Aとしてのホウ素を縮退する程度の高濃度(5x1019cm−3程度)とn型不純物である不純物Bとしてのリンを縮退はしないが高濃度(1x1017cm−3程度)に添加した活性領域30としてのp型のSi1−xGe(0<x<0.3程度)を50μm厚程度に成長させる。この活性領域30であるSiGeの層は、p型導電領域15となっている。更に、その活性領域30の上に、n型不純物であるリンを縮退する程度の高濃度(例えば、2x1020cm−3程度)に添加したn型シリコン単結晶薄膜であるn型導電領域20を100μm程度厚に選択エピ成長する。これは、所謂、バンドギャップの狭いp型のSi1−xGe層を、バンドギャップが広く共に高濃度のp型とn型層のシリコン(Si)単結晶で挟んだダブルへテロ接合構造となる。
選択エピ成長をすることにより、テラヘルツ波発生ダイオードの順方向電流の空間的広がりを制限して、効率よくテラヘルツ波が発生し、しかも、p型シリコン(Si)単結晶の半導体基板1の裏面に形成した反射膜60と上部のn型シリコン単結晶薄膜であるn型導電領域20に形成した上部電極110兼反射膜61でテラヘルツ波の共振器100を形成してあるので、大きな順方向電流を流すとレーザ発振するようにしている。この構造は、pn接合面に平行に共振器100の反射膜60,61が配置されており、pn接合面に垂直にレーザ発振したテラヘルツ波が放射されるので、面発光のテラヘルツ波半導体レーザとなる。なお、p型シリコン(Si)単結晶の半導体基板1は表面を除き比較的低濃度にしているので、活性領域30で発生したテラヘルツ波は、この半導体基板1での自由正孔などの吸収が少なく好都合であり、半導体基板1の厚みを調節して、所望の周波数の共振器100が形成できるように設計するとよい。また、テラヘルツ波の波長が数十マイクロメートルと長いので、可視光線の短い波長の場合に比べ、反射膜60,61の平滑度はそれほど高くする必要が無く、作成しやすい。
本実施例では、p型シリコン(Si)単結晶の半導体基板1の表面に上部電極110と下部電極120を形成して、配線150,151を引き出しているので、必要に応じて、ステム200と半導体基板1との間にテラヘルツ波に対して透明で、シリコンに近い屈折率の材料のスペーサを設けて、反射膜60はこのスペーサのステム200側に形成して、実効的な反射膜60,61の間隔を広げた共振器100を作成しても良い。一般に、共振器の反射鏡間隔が大きいほど、レーザ光の発振線幅が小さくなるので、共振器100の反射膜60,61間隔を広げることにより、放射テラヘルツ波の波長純度を高めることができる。
図6は、図5に示した実施例のテラヘルツ波発生ダイオードに順方向印加電圧Vを加えたときのエネルギーバンド図で、バンドギャップの狭い活性領域30としてのp型導電領域15のSi1−xGe層を、バンドギャップが広く共に高濃度のp型とn型層シリコン(Si)単結晶層で挟んだ構造のダブルへテロ接合付近におけるエネルギーバンド図を示してある。
ダブルへテロ接合構造なので、テラヘルツ波発生ダイオードに順方向の印加電圧Vの下で、バンドギャップの狭い活性領域30であるp型導電領域15のSi1−xGe層(禁止帯の幅:Ega)に電子と正孔が注入されると、これらのキャリアはバンドギャップの狭い活性領域30内に閉じ込められ、効率よく不純物Bのドナ不純物バンドを経由して互いに再結合する。このとき、伝導帯に注入された電子が不純物Bのドナ不純物バンドに遷移するときにテラヘルツ波f1が放射する。他の赤外線fiの発光メカニズムなどは、前記実施例と同様なのでここでは省略する。
図7は、本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて、テラヘルツ波の波長選択機構350を備えた場合の一実施例を示す断面構造の概略図である。基本的には、実施例1の図1に示した構造のテラヘルツ波発生ダイオードに可変波長のファブリ・ペロー型干渉フィルタを形成して、共振器100を構成したものである。また、波長選択機構350となる可変波長のファブリ・ペロー型干渉フィルタは、シリコン単結晶基板を利用したMEMS技術で、シリコンチップ5の表面に形成したSiO薄膜からなる絶縁薄膜50を裏面からシリコンチップ5の一部をエッチング除去して空洞105ダイアフラム107として残し、更にダイアフラム107の表面に電極130(反射膜61と兼用)を形成してあり、n型導電領域20に形成した上部電極110(図7では、n型導電領域20への形成が奥になっているので見えない)との間の静電駆動により、ダイアフラム107が変形して、反射膜60,61間の間隔が変化するので、波長選択ができるようにしている。なお。ファブリ・ペロー型干渉フィルタのダイアフラム107の中心位置は、丁度、テラヘルツ波が発生する活性領域30の中心部の真上になるようにしてあり、シリコンチップ5は、半導体基板1に接着してある。このようにして、放射するテラヘルツ波の波長選択が可能になり、レーザ発振させると周波数可変のテラヘルツ波レーザダイオードにすることができる。
図8は、本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて、テラヘルツ波の波長選択機構350として量子井戸70を用いた多重量子井戸構造をp型導電領域15である活性領域30に設けた場合であり、多重量子井戸構造の活性領域30付近を拡大した断面概略図である。なお、ここではマウントするステム200や配線150なども省略してある。量子井戸70内の伝導帯や価電子帯および不純物バンドに形成されたサブバンドの準位間遷移に基づくテラヘルツ波の発生を利用するから、放射するテラヘルツ波の波長純度が極めて良くなり、極めて狭い半値幅のテラヘルツ波となる。また、量子井戸70内の準位は、量子井戸70の厚みや深さに関係するので、これらの大きさを調整することにより所望の微細なテラヘルツ波の波長選択が可能となる。
このような多重量子井戸構造の活性領域30は、前記実施例3の図5に示したように、p型のSiGe層のエピ成長技術を利用し、p型のSi層とp型のSiGe層との交互多層膜エピ成長をそれぞれの厚み10nm程度の周期構造とする。この活性領域30には、p型導電領域10の不純物Aとして、浅いアクセプタであるホウ素を縮退する程度の高濃度に添加し、更に、ドナである不純物Bとしてリンを縮退しない程度であるが、高効率のために高濃度に一緒に添加しておく。
図9は、本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて、テラヘルツ波の波長選択機構350として回折格子80を用いた分布帰還型の場合で、しかも発生するテラヘルツ波用の共振器100を構成する反射膜60、61は、pn接合面に垂直に半導体基板1の端面に形成している場合の一実施例の断面概略図である。回折格子80は、n型導電領域20内で活性領域30から少し間隔を置いて設けてあり、pn接合面に沿う活性領域30内で反射膜60、61に向かいながら増幅されるテラヘルツ波を減衰させ難いように配慮している。
回折格子80の周期構造が放射するテラヘルツ波の周波数を決定する。回折格子80にはテラヘルツ波に対して屈折率変化が必要で、n型導電領域20のうち回折格子80の上側と下側に濃度差を設けたり、回折格子80の周期構造をエッチングによる凹凸により形成しても良い。
順方向電流を増大するに連れて、最初は、発光ダイオードとして四方八方にテラヘルツ波を放射しているが、次第に共振器100の効果が働きレーザ発振するようになり、pn接合付近の活性領域30の端面で反射率の低い側の反射膜61(対向する反射膜60は、ほぼ100%反射にしたとき)から、その面に垂直方向にテラヘルツ波レーザ光が放射されるようになる。狭い活性領域30から放出されるので、このときの放射光の断面形状は楕円形に近くなる。このとき共振器100の反射膜60,61同士の間隔が半導体基板1の厚み方向の共振器100に比較的大きく取れるので、放射テラヘルツ波のスペクトル幅が狭くなりやすい。
図10は、本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて、テラヘルツ波発生ダイオードを駆動に係わる周辺回路の少なくとも一部を半導体基板1に集積化した場合で、その一実施例の断面概略図である。信号増幅回路や演算・処理回路などの集積回路を搭載した場合であり、特にシリコン単結晶の半導体基板1を用いると成熟したIC技術がそのまま使用できるので、詳細は省略してある。
図10において、集積回路にバイポーラトランジスタやダイオードなどを設けて、温度センサとして使用することもできる。ここでは描いていないが、このようにすれば、半導体基板1を冷却するペルチェ素子などとの組み合わせで、テラヘルツ波発生ダイオードの微細な温度制御も可能となる。
図11は、本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて、テラヘルツ波発生ダイオードの温度制御ができるようにペルチェ素子400をテラヘルツ波発生ダイオードの半導体基板1とステム200との間に熱接触を良好にして設け、放射するテラヘルツ波を集光するためのレンズ300と、更に、TO−5などパッケージのステム200のキャップ220に、集光したテラヘルツ波を伝送するための導波管310を取り付けた場合の一実施例を示す断面概略図である。
MEMS技術を用いてシリコンチップ2の一部に空洞106を設けて、残ったダイアフラム部にレンズ300を取り付けるようにすると、高精度でしかも陽極接合や接着剤などで容易に形成できる。レンズ300は、凸レンズでも良いし、フレネルレンズなどでも良い。また、レンズ300の代わりに、構造に工夫を必要とするが凹面鏡を利用することもできる。
導波管310として、金属パイプでも良いが、プラスチックの中空管の内壁に金属反射膜をコ−テングしたものを用いると、フレキシブルになるので好適である。導波管310の内径は、導波するテラヘルツ波の波長の二分の一以上であればよく、内径を大きくするとその分、伝送するテラヘルツ波のパワーを大きくできるが、多重反射が大きくなるので、出力端での位相のずれが問題になり、信号の伝送では注意を要する。また、導波管310の代わりに、テラヘルツ波用の光ファイバを用いることもできる。
図12は、本発明のテラヘルツ波放射装置における電気的系統構成の一実施例を示すブロック図である。テラヘルツ波発生ダイオード本体に、順方向電流を流し、その活性領域30で発生したテラヘルツ波を外部に放射させて取り出すが、このときジュール熱や外気温などによりテラヘルツ波発生ダイオード本体の温度が変化する。テラヘルツ波発生ダイオード本体の温度変化は、活性領域30の半導体のバンドギャップや不純物準位のエネルギー値を変化させるので、発生するテラヘルツ波の周波数を直接変化させてしまい、例えば、特定の極めて狭いスペクトル波長のテラヘルツ波を利用して、励起・吸収させたりする場合や、通信における周波数分割や位相を問題にする場合など、高精度の周波数固定が必要な応用分野では問題になる。このためにはテラヘルツ波発生ダイオード本体の微細な温度制御が必要で、テラヘルツ波発生ダイオード本体に熱的に良好な接触をした温度センサとペルチェ素子とを用いて、制御する場合の例を図12のブロック図に示している。
また、図12では、テラヘルツ波発生ダイオード本体に所望のテラヘルツ波の発生のタイミングや出力強度、発生するテラヘルツ波の波長の制御など、演算・処理回路と駆動電源回路などの連携により制御する概略も示している。これらの演算・処理回路や増幅回路などの周辺回路は、テラヘルツ波発生ダイオード本体の半導体基板1に集積化しても良いし、外部に設けて混成回路にしても良い。
本発明の温度差の検出方法、温度センサおよびこれを用いた赤外線センサは、本実施例に限定されることはなく、本発明の主旨、作用および効果が同一でありながら、種々の変形がありうる。
従来の大出力パルスレーザや二波長レーザ照射などにおいては、テラヘルツ波の発生効率が悪いので、出力が100mWクラスのテラヘルツ波の発生でも1m角程度の装置を必要としていた。これに対して本発明のテラヘルツ波発生ダイオード本体は、TO−5パッケージにマウントできる程度の超小型になり、携帯可能であると共に、導波路との組み合わせなどにより医療分野、創薬分野、バイオ分野、分析化学分野、センシング分野、非破壊検査分野、通信分野、種々の加工分野など、種々の用途に適用できる。
本発明テラヘルツ波発生ダイオードの半導体基板のチップをステム200にマウントした状態の一実施例の横断面概略図である。(実施例1) 本発明テラヘルツ波発生ダイオードの図1におけるp型導電領域10に活性領域30を有するpn接合付近のエネルギーバンド図である。(実施例1) 図2の本発明テラヘルツ波発生ダイオードに順方向電圧Vを印加したときのエネルギーバンド図である。(実施例1) 他の実施例の本発明テラヘルツ波発生ダイオードに、順方向印加電圧Vを加えたときのエネルギーバンド図である。(実施例2) 本発明のテラヘルツ波発生ダイオードをダブルへテロ接合構造にした場合の断面概略図である。(実施例3) 図5に示したダブルへテロ接合のテラヘルツ波発生ダイオードに順方向電圧Vを印加したときのエネルギーバンド図である。(実施例3) 本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて、波長選択機構を可変波長ファブリ・ペロー型干渉フィルタとした場合の一実施例を示す断面構造の概略図である。(実施例4) 本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて、波長選択機構を多重量子井戸構造とした場合の一実施例を示す断面概略図である。(実施例5) 本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて、波長選択機構を回折格子80とした場合の一実施例を示す断面概略図である。(実施例6) 本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて周辺回路の少なくとも一部を集積化した場合の一実施例の断面概略図である。(実施例7) 本発明のテラヘルツ波発生ダイオードにおいて、ペルチェ素子とレンズと導波管とを取り付けた場合の一実施例を示す断面概略図である。(実施例8) 本発明のテラヘルツ波放射装置における電気的系統構成の一実施例を示すブロック図である。(実施例9)
1 半導体基板
2 ダイオードチップ
5 シリコンチップ
10,11,15 p型導電領域
20 n型導電領域
30 活性領域
50、51 絶縁薄膜
60、61 反射膜
70 量子井戸
80 回折格子
100 共振器
105,106 空洞
107 ダイアフラム
110 上部電極
120 下部電極
130 電極
150、151、152 配線
160 集積回路
200 ステム
210 リード
220 キャップ
300 レンズ
310 導波管
350 波長選択機構
400 ペルチェ素子

Claims (15)

  1. 半導体基板に、少なくとも1つのpn接合と、このpn接合を構成するp型またはn型の導電型のうちの少なくとも一方の導電型領域には活性領域を備え、この活性領域には、この導電型を形成するための縮退するほどの高濃度に添加した不純物Aと、他方の導電型になる不純物Bを前記不純物Aよりも少なく、かつ縮退しない程度に添加してあり、前記pn接合に順方向バイアスを印加したときに、前記活性領域に注入された少数キャリアが不純物Bの不純物準位を介して再結合するときに放射する電磁波がテラヘルツ域になるようにしたことを特徴とするテラヘルツ波発生ダイオード。
  2. 半導体基板として単結晶シリコンをベースにした請求項1記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  3. pn接合にヘテロ接合を設けた請求項1またはのいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  4. 波長選択機構を備えた請求項1からのいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  5. 波長選択機構を波長可変となるようにした請求項記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  6. 共振器を備えてレーザ発振ができるようにした請求項1からのいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  7. 活性領域に量子井戸構造を設けた請求項1からのいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  8. テラヘルツ波が活性領域の厚み方向の外部に放射するように構成した請求項1からのいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  9. 半導体基板に温度センサを搭載した請求項1からのいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  10. 半導体基板に、テラヘルツ波発生ダイオードの駆動に係わる周辺回路の少なくとも一部を集積した請求項1からのいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  11. ペルチェ素子を備えた請求項1からのいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  12. 発生したテラヘルツ波を集光、発散もしくは伝送させる光学系を備えた請求項1から11のいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオード。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載のテラヘルツ波発生ダイオードと、このテラヘルツ波発生ダイオードの駆動に係わる駆動回路とを備えたテラヘルツ波放射装置。
  14. 駆動回路には、温度センサとペルチェ素子を利用してテラヘルツ波発生ダイオードの温度制御をする温度制御回路を備えた請求項13記載のテラヘルツ波放射装置。
  15. 分光器を備えた請求項13または14のいずれかに記載のテラヘルツ波放射装置。
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