JP6123440B2 - 分割体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品を搭載するセラミックス基板を製造する際にセラミックス板を小片に分割して個々の分割体を製造する方法及びその製造装置に関し、特にセラミックス基板を有するパワーモジュール用基板の製造に関する。
半導体素子等の電子部品を搭載するためのパワーモジュール用基板は、これら基板を複数形成可能な広い面積を有するセラミックス板の表面に、これらを各基板の大きさに区画するように分割溝(スクライブ溝)を予め設けておき、この分割溝によって区画される領域にそれぞれ回路層を形成した後、その分割溝に沿って分割することにより個片化されて製造される。
例えば、特許文献1では、基板(セラミックス板)の一方の面に分割溝を形成しておき、分割溝にしたがって、その分割溝とは反対側の面を第1押圧部により押圧するとともに、第2押圧部及び第3押圧部を、それぞれ分割溝を挟んだ両側の等距離の位置において、第1押圧部の押圧方向の反対方向に、分割溝に沿って押圧することにより、分割溝を支点として基板を折り曲げて個片化する装置が開示されている。
また、特許文献2では、第1固定部の端縁を基板(セラミックス板)の分割溝に一致させて、第2固定部との間に基板を挟持し、分割溝を境界とした第1固定部の反対側において、基板を分割溝に沿って押圧することにより、基板を折り曲げて分割する装置が開示されている。
そして、このような分割体を製造する装置においては、セラミックス板に縦横のマトリクス状の分割溝を刻設し、いずれか一方の方向の分割溝に沿ってセラミックス板を分割して短冊状とし、次いで、その短冊状のセラミックス板を他方の分割溝に沿って分割することにより、所定寸法の矩形のセラミックス基板の分割体を得ることができる。
特開2011‐103404号公報 特開2011‐101935号公報
しかし、この種の分割体の製造装置においては、セラミックス板を縦横のマトリクス状の分割溝のうちの一方の方向の分割溝しか分割することができず、縦横の分割溝を一度に分割することができない。縦横のマトリクス状に区画されたセラミックス板を個片化するためには、縦横のそれぞれの分割溝に対して別々の分割工程を設ける必要があり、作業が煩雑になるという問題がある。
また、分割した基板を箱体等に収容する場合などには、基板の四隅を面取りすることが必要な場合があり、作業がますます煩雑になる傾向にある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、セラミックス板を効率的に個片化して分割体を製造でき、セラミックス基板を有するパワーモジュール用基板の製造に好適な製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、縦横方向に延びる第1及び第2の分割溝が形成されたセラミックス板を、該分割溝から分割して分割体を製造する装置であって、前記セラミックス板の分割溝形成面の四隅部を下方から支持する支持部材と、前記分割溝形成面とは反対側の押圧面を前記分割溝に沿って押圧する分割刃とを備え、前記分割刃は、前記分割溝のうち第1の分割溝に沿って押し当てられる第1分割刃と、前記第2の分割溝に沿って押し当てられる第2分割刃とを有しており、これら両分割刃は、前記第1分割刃の中央部が前記第2分割刃の両端部よりも突出して設けられ、その突出高さが、第1分割刃による前記セラミックス板の最大たわみ量以下に設定されていることを特徴とする。
縦横の分割溝を一括して分割しようとする場合には、それぞれの分割方向に沿って分割刃を押し当てることが必要となるが、縦横の分割溝に同時に押し当てると、割れの開始位置が定まらないとともに、複数箇所で割れが開始することなどによりクラックや欠損が生じ易い。
本発明の分割体の製造装置においては、縦横方向に延びる第1の分割溝と第2の分割溝とに、それぞれに対応する分割刃をわずかな時間差をもって当接させることにより、それぞれの分割溝を1回の押圧工程で押し割ることができる。この際、第1分割刃と第2分割刃との突出高さが、第1分割刃によるセラミックス板の最大たわみ量以下に設定されていることから、第1分割刃が押し当てられた第1の分割溝が完全に分割されるまでの間に、第2分割刃を当接させることができる。そのため、セラミックス板の第2の分割溝と第2分割刃の刃先との位置関係がずれることがない。したがって、第2の分割溝に第2分割刃を正確に押し当てることができ、縦横の十字形の分割溝を一括で処理することができる。
本発明の分割体の製造装置において、前記第1分割刃の刃先が、前記セラミックス板に対して傾斜して設けられているとよい。
この場合、まず第1の分割溝の一部分に対応する箇所のみに第1分割刃の刃先が当接し、漸次その第1分割刃の傾斜に沿って当接することになるため、分割に必要な押圧力が小さくできる。
本発明の分割体の製造装置において、前記セラミックス板は、両面に金属層を接合した積層基板であり、前記金属層は、前記分割溝によって、区画される各領域に設けられていることを特徴とする。
セラミックス板の両面に金属層を接合した積層基板を分割溝から分割することで、個片化されたパワーモジュール用基板(分割体)を製造することができる。このように、分割体の製造装置は、セラミックス基板を有するパワーモジュール用基板の製造に好適に用いることができる。
また、本発明の分割体の製造装置において、前記セラミックス板は、平面視矩形状の中央分割溝を有し、前記第1及び第2の分割溝が前記中央分割溝の頂点を経由して形成されており、前記分割刃の下方には、前記中央分割溝により区画された前記分割溝形成面の中央部に当接する角取刃が備えられ、該角取刃の先端部は、前記支持部材による前記セラミックス板の支持位置からの高さが前記突出高さよりも大きく、該突出高さとの差が前記第2分割刃による前記セラミックス板の最大たわみ量以下に設定されていることを特徴とする。
中央分割溝を境界として、第2分割刃と角取刃とを互いに基板の異なる面側から当接させているので、セラミックス板を、第2分割刃の押圧に伴って、中央分割溝からその中央分割溝を広げる方向に折り曲げて分割させることができる。したがって、セラミックス板は、第1及び第2の分割溝から分割されるとともに中央分割溝からも分割され、中央分割溝で区画された中央部が除去され、中央分割溝により面取りされた分割体が形成される。
このように、第1分割刃及び第2分割刃、並びに角取刃を、所定の位置に正確に当接させることができるので、縦横の十字形の分割溝から分割して分割体を形成するとともに、中央分割溝で区画された中央部の分割を一括で処理することができる。
本発明の分割体の製造方法は、縦横方向に延びる第1及び第2の分割溝が形成されたセラミックス板を、該分割溝から分割して分割体を製造する方法であって、前記セラミックス板の分割溝形成面の四隅部を下方から支持した状態で、前記分割溝形成面とは反対側の押圧面に縦横それぞれの分割溝に沿って設けられた分割刃を押し当てることにより前記セラミックス板を分割する工程を有しており、前記分割刃は、前記第1の分割溝に沿って設けられた第1分割刃を前記押圧面に当接させた後、前記第1分割刃が当接してから前記セラミックス板が分割されるまでの間に、前記第2の分割溝に沿って設けられた第2分割刃を押し当てることにより、前記セラミックス板を分割することを特徴とする。
縦横のそれぞれの分割溝に対して別々の分割工程を設ける必要がなく、セラミックス板を効率的に個片化して分割体を製造することができる。
本発明の分割体の製造方法において、前記セラミックス板は、平面視矩形状の中央分割溝を有し、前記第1及び第2の分割溝が前記中央分割溝の頂点を経由して形成されており、前記分割刃の下方に、前記中央分割溝により区画された前記分割溝形成面の中央部に当接する角取刃を配置しておき、前記セラミックス板に前記第2分割刃を当接させた後、該セラミックス板が前記第2の分割溝から分割溝から分割されるまでの間に、前記角取刃の先端部を前記分割溝形成面の中央部に当接させることにより、該中央部を前記中央分割溝から分割する構成とされる。
この場合、縦横の分割溝に対する分割処理と同時に、中央分割溝により区画された中央部を除去して、中央分割溝により面取りされた分割体を形成することができ、工程処理を簡略化させることができる。
本発明によれば、セラミックス板の縦横方向に形成された分割溝に、それぞれの分割溝に対応する分割刃をわずかな時間差をもって当接させることにより、縦横の分割溝を一括で処理して効率的に個片化し、複数の分割体を製造することができる。
本発明の第1実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造装置を示す平面図である。 図1に示すパワーモジュール用基板のX1−X1線に沿う断面図である。 図1に示すパワーモジュール用基板のY1−Y1線に沿う断面図である。 本発明の第1実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造方法を説明するパワーモジュール用基板の製造装置の要部断面図であり、(a)が第1分割刃の当接開始の状態、(b)が第2分割刃の当接開始の状態を示す。 本発明の第1実施形態に係るパワーモジュール用基板を用いたパワーモジュールを示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る積層基板を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る製造方法により製造されたパワーモジュール用基板を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造装置を示す平面図である。 図8に示す製造装置のX2‐X2線に沿う断面図である。 図8に示す製造装置のY2‐Y2線に沿う断面図である。 本発明の第2実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造方法を説明するパワーモジュール用基板の製造装置の要部断面図であり、(a)が第2分割刃の当接開始の状態、(b)が角取刃の当接開始の状態を示す。 外形補正前の積層基板の斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る積層基板を示す斜視図である。 分割基板を説明する斜視図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、本発明に係る分割体の製造装置により製造される分割体として、パワーモジュールに用いられるパワーモジュール用基板を適用し、そのパワーモジュール用基板の製造方法及び製造装置について説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造方法により製造されるパワーモジュール用基板3を用いたパワーモジュール1を示している。この図5のパワーモジュール1は、パワーモジュール用基板3と、パワーモジュール用基板3の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品4と、裏面に取り付けられたヒートシンク5とから構成される。
パワーモジュール用基板3は、図6に示す積層基板30から製造され、図7に示すように、互いに接合されたセラミックス基板2と、金属層6,7とから構成される。
積層基板30は、図6に示すように、予め縦横の十字形の分割溝21が形成されたセラミックス板20の両面に金属板を接合し、その金属板をエッチングすることにより、金属層6,7が分割溝21によって区画される各領域に形成されたものである。図6に示す積層基板30においては、分割溝21がセラミックス板20の金属層6側に配置される表面に形成されている。そして、パワーモジュール用基板3は、積層基板30を、分割溝21に沿って所定のサイズに分割することにより製造される。なお、図6の積層基板30において、セラミックス板20の表面に接合された金属層6は回路層用、セラミックス板20の裏面に接合された金属層7は放熱層用である。
セラミックス板20は、AlN(窒化アルミニウム)、Si(窒化珪素)等の窒化物系セラミックス、もしくはAl(アルミナ)等の酸化物系セラミックスにより矩形状に形成されている。
また、金属層6,7は、純度99.00質量%以上のアルミニウム(いわゆる2Nアルミニウム)により形成されている。特に、純度99.90質量%以上のアルミニウムが望ましく、JIS規格では、1N90(純度99.90質量%以上:いわゆる3Nアルミニウム)又は1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。なお、金属層6,7には、アルミニウムの他、アルミニウム合金、銅及び銅合金を用いることもできる。
そして、これらセラミックス板20と金属層6,7とは、Al−Si系、Al−Ge系、Al−Cu系、Al−Mg系またはAl−Mn系等の合金のろう材により、ろう付け接合されている。
また、セラミックス板20と金属層6,7との接合は、ろう付け以外にもTLP接合法(Transient Liquid Phase Bonding)と称される過渡液相接合法によって接合してもよい。この過渡液相接合法においては、金属層の表面に蒸着させた銅層を、金属層とセラミックス板との界面に介在させて行う。加熱により、金属層のアルミニウム中に銅が拡散し、金属層の銅層近傍の銅濃度が上昇して融点が低下し、アルミニウムと銅との共晶域にて接合界面に金属液相が形成される。この金属液相が形成された状態で温度を一定に保持しておくと、金属液相がセラミックス板と反応するとともに、銅がさらにアルミニウム中に拡散することに伴い、金属液相中の銅濃度が徐々に低下して融点が上昇し、温度を一定に保持した状態で凝固が進行する。これにより、金属層とセラミックス板との強固な接合が得られる。
また、セラミックス板と銅製の金属層とを、活性金属ろう材を用いて接合する方法を採用することもできる。例えば、活性金属であるTiを含む活性金属ろう材(Ag‐27.4質量%Cu‐2.0質量%Ti)を用い、銅製の金属層とセラミックス板との積層体を加圧した状態のまま真空中で加熱し、活性金属であるTiをセラミックス板に優先的に拡散させて、Ag‐Cu合金を介して金属層とセラミックス板とを接合できる。
なお、回路層となる金属層6と電子部品4との接合には、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系,Zn−Al系もしくはPb−Sn系等のはんだ材が用いられる。図中符号8がそのはんだ接合層を示す。また、電子部品4と金属層6の端子部との間は、アルミニウム等からなるワイヤ及びリボンボンディング等(図示略)により接続される。
また、ヒートシンク5は、平板状のもの、熱間鍛造等によって多数のピン状フィンを一体に形成したもの、押出成形によって相互に平行な帯状フィンを一体に形成したもの等、適宜の形状のものを採用することができる。
次に、第1実施形態のパワーモジュール用基板の製造装置100について、説明する。
図1から図3に示すパワーモジュール用基板の製造装置100は、積層基板30(本発明でいう、セラミックス板)を、分割溝21から分割して4個のパワーモジュール用基板3(本発明でいう、分割体)を製造する装置である。この製造装置100は、積層基板30を構成するセラミックス板20の分割溝形成面20aの四隅部を下方から支持する支持部材40と、支持部材40上に積層基板30を載置した際にセラミックス板20の側面を支持し、面方向に位置決めするガイド枠50と、セラミックス板20の分割溝形成面20aとは反対側の押圧面20bを分割溝21に沿って押圧する分割刃60とを備える。
支持部材40は、図1に示すように、積層基板30(セラミックス板20)の四隅部をそれぞれ支持するように4個配置されており、それぞれが図2に示すように垂直に立設する壁状に形成されている。図1の縦方向を前後方向とし、横方向を左右方向とすると、各支持部材40は、2枚ずつが若干の間隙をあけて前後方向に沿って並べられた状態で、左右に一対配設されている。また、各支持部材40の上面は、中央の間隙に向けて漸次高さが低くなるように傾斜面41に形成されており、図1の後方向に配置される各支持部材40Aにおいては、傾斜面41の頂点で積層基板30を支持するようになっており、前方向に配置される各支持部材40Bにおいては、傾斜面41の途中位置で積層基板30を支持するようになっている。そして、各支持部材40の積層基板30の支持点Pは、同一水平面上に配置されている。このため、積層基板30を、後述するガイド枠50の内側面51,52に突き当てた状態で支持部材40上に載置することにより、水平に支持することができる。
ガイド枠50は、図1に示すように、一対のL字型に形成されており、そのL字型の内側面51,52にセラミックス板20の側面を突き当てた状態で、支持部材40上に載置することにより、面方向に位置決めすることができる。
分割刃60は、縦横の十字形に形成された分割溝21のうち第1の分割溝21A(図1では縦方向に形成された分割溝)に沿って押し当てられる第1分割刃60Aと、第2の分割溝21B(図1では横方向に形成された分割溝)に沿って押し当てられる第2分割刃60Bとから構成されている。
第1分割刃60Aの刃先は、両端から中央に向けて傾斜して設けられており、中央部が最も下方に突出して形成されている。また、第2分割刃60Bの刃先は、水平に形成されている。そして、これら両分割刃60A,60Bは、第1分割刃60Aの刃先の中央部が第2分割刃60Bの刃先の両端部よりも下方に突出して設けられており、第2分割刃60Bの刃先の両端部から第1分割刃60Aの刃先の中央部にかけての突出高さhが、第1分割刃60Aによるセラミックス板20(積層基板30)の最大たわみ量以下に設定されている。したがって、分割刃60は、第1分割刃60Aの中央部が押圧面20bに当接してからセラミックス板20が分割されるまでの間、すなわちセラミックス板20にたわみが生じている間に第2分割刃60Bの両端部が押圧面20bに当接するように構成されている。
上述した製造装置100を用いて、パワーモジュール用基板を製造する方法について説明する。
まず、図1から図3に示すように、積層基板30を支持部材40の載置面41上に載置する。この際、セラミックス板20は、分割溝21が形成された分割溝形成面20aを下方に向けるとともに、側面をガイド枠50の内側面51,52に突き当てた状態で載置する。この状態で、セラミックス板20の押圧面20bに、縦横それぞれの分割溝21に沿って設けられた分割刃60を押し当てることにより、セラミックス板20が分割溝21から分割される。このとき、分割刃60は、図4(a)に示すように、第1の分割溝21Aに沿って設けられた第1分割刃60Aを押圧面20bに当接させた後、図4(b)に示すように、第1分割刃60Aが当接してからセラミックス板20が分割されるまでの間に、第2の分割溝21Bに沿って設けられた第2分割刃60Bを押し当てる構成とされており、それぞれの各分割刃60A,60Bにより分割溝21A,21Bを順番に押し割る。
仮に、第1分割刃60Aによってセラミックス板20を分割溝21Aに沿って完全に分割した後に、第2分割刃60Bが当接する位置関係とすると、最初の分割溝21Aでの分割によってセラミックス板20があばれるように振動するため、第2分割刃60Bと分割溝21Bとの位置関係がずれてしまい、第2分割刃60Bによる分割を正確に行うことができない。
しかし、本実施形態の製造装置100においては、第1分割刃60Aによってセラミックス板20を分割する前に、第2分割刃60Bを当接させているので、分割溝21Bと第2分割刃60Bの刃先との位置関係がずれることがない。したがって、分割溝21Bに沿って第2分割刃60Bを安定して押し当てることができる。
このように、本発明によれば、セラミックス板20の縦横方向に延びる分割溝21A,21Bに、第1の分割溝21Aに沿って設けられた第1分割刃60Aを押圧面20bに当接させた後、第1分割刃60Bが当接してからセラミックス板20が分割されるまでの間に、第2の分割溝21Bに沿って設けられた第2分割刃60Bを当接させることにより、縦横の分割溝21A,21Bを一括で処理して効率的に個片化し、複数のパワーモジュール用基板3を製造することができる。
また、第1分割刃60Aの刃先は、セラミックス板20に対して傾斜して設けられていることから、分割工程において、まず分割溝21Aの中央部のみに第1分割刃60Aの刃先が当接し、その第1分割刃60Aの傾斜に沿って漸次当接することになるため、分割に必要な押圧力を小さくできる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成のものについては、同一の符号を用いた。
図12に示す積層基板30は、予めセラミックス基板2の外形形状に沿って分割溝21が形成された矩形状のセラミックス板20Pの両面に金属板を接合し、その金属板をエッチングすることにより、金属層6,7が形成されたものである。
そして、積層基板30を構成するセラミックス板20Pには、図12に示すように、分割溝21によって、パワーモジュール用基板3を構成するセラミックス基板2の外形形状の大きさに区画された4つの領域22が形成されており、分割溝21は、セラミックス板20Pの中央部に形成された平面視矩形状の中央分割溝21Cと、この中央分割溝21Cの頂点から縦横方向に延びて形成され、隣接する4つの領域22を分割するように設けられた十字形の第1及び第2の分割溝21A,21Bとを有する。また、分割溝21は、4つの領域22の外周縁を構成する分割溝21D〜21Fを有しており、これら分割溝21D〜21Fによりセラミックス板20Pの外周部の領域24,25と内側の領域22とを隔てるとともに、領域22の四角形状の四隅を面取りした形状に形成している。
なお、これら分割溝21は、セラミックス板20Pの金属層6側に配置される表面に形成されており、金属層6,7は、分割溝21により区画された4つの領域22に、それぞれ設けられている。
次に、本発明の第2実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造装置200について、説明する。
図8から図10に示すパワーモジュール用基板の製造装置200は、図13に示すように、積層基板30を構成するセラミックス板20Pの外周部の領域24,25を予め除去した積層基板31(本発明でいう、セラミックス板)を、第1及び第2の分割溝21A,21Bと中央分割溝21Cとから分割して、中央分割溝21Cにより面取りされた4個のパワーモジュール用基板3(本発明でいう、分割体)を製造する装置である。
製造装置200は、積層基板31を構成するセラミックス板20の分割溝形成面20aの四隅部を下方から支持する支持部材40と、支持部材40上に積層基板31を載置した際にセラミックス板20の側面を支持し、面方向に位置決めするガイド枠50と、セラミックス板20の分割溝形成面20aとは反対側の押圧面20bを第1及び第2の分割溝21A,21Bに沿って押圧する分割刃60と、その分割刃60の下方に配置され、中央分割溝21Cにより区画された分割溝形成面20aの中央部(領域23)に当接する角取刃70とを備える。
両分割刃60A,60Bの刃先は、第1及び第2の分割溝21A,21Bに沿って当接するように、中央部を除いて形成されている。また、第1分割刃60Aの刃先は、両端から中央に向けて傾斜して設けられており、その刃先の中央部側が、最も下方に突出して形成されている。また、第2分割刃60Bの刃先は、水平に形成されている。そして、これら両分割刃60A,60Bは、第1分割刃60Aの刃先の中央部側が第2分割刃60Bの刃先の両端部よりも下方に突出して設けられており、第2分割刃60Bの刃先の両端部から第1分割刃60Aの刃先の中央部側にかけての突出高さh1が、第1分割刃60Aによるセラミックス板20(積層基板31)の最大たわみ量以下に設定されている。
また、角取刃70の先端部は、支持部材40によるセラミックス板20の支持位置(支持点P)からの高さh2が、第1分割刃60Aと第2分割刃60Bとの突出高さh1より大きく、且つ、その突出高さh1との差が、第2分割刃60Bによるセラミックス基板20の最大たわみ量以下に設定されている。したがって、第2分割刃60Bの刃先の両端部が押圧面20bに当接してから、セラミックス板20が第2の分割溝21Bで完全に分割されるまでの間、すなわちセラミックス板20にたわみが生じている間に、第2分割刃60Bとは反対側から、角取刃70の先端部をセラミックス板20の中央部(領域23)に当接するように構成されている。
上述した製造装置200を用いて、パワーモジュール用基板を製造する方法について説明する。
まず、図8から図10に示すように、積層基板31を支持部材40の載置面41上に載置する。分割刃60は、図11(a)に示すように、第1の分割溝21Aに沿って設けられた第1分割刃60Aを押圧面20bに当接させた後、第1分割刃60Aが当接してからセラミックス板20が分割されるまでの間に、第2の分割溝21Bに沿って設けられた第2分割刃60Bを押し当てる構成とされており、それぞれの各分割刃60A,60Bにより分割溝21A,21Bを順番に折り曲げて押し割ることができる。
また、セラミックス板20は、図11(b)及び図14に示すように、第2分割刃60Bが押圧面20bに押し当てられた後に、第1の分割溝21Aから分割されて分割基板29が形成されるが、中央分割溝21Cにより区画された基板の中央部(領域23)は、図13に示すように、これら分割基板29のうち第1の分割基板29Bから分割され、第2の分割基板29Aのみに結合された状態となる。
そして、角取刃70の先端部は、分割基板29が形成された後、第2の分割溝21Bが完全に分割されるまでの間に、第2分割刃60Bとは反対側からセラミックス板20の中央部(領域23)に当接する。このとき、図11(b)に示すように、第2分割刃60Bと角取刃70とは、中央分割溝21Cを境界として、互いにセラミックス板20の異なる面側に当接することになる。これにより、分割基板29Aを、第2分割刃60Bの押圧に伴って中央分割溝21Cから、その中央分割溝21Cを広げる方向に折り曲げて分割させることができる。
したがって、分割基板29Aは、第2の分割溝21Bから分割されるとともに、中央部分割溝21Cからも分割され、中央部(領域23)が除去された状態でパワーモジュール用基板3が形成される。
仮に、第1分割刃60Aによってセラミックス板20を分割溝21Aに沿って完全に分割した後に、第2分割刃60Bが当接する位置関係とすると、最初の分割溝21Aでの分割によってセラミックス板20があばれるように振動するため、第2分割刃60Bと分割溝21Bとの位置関係がずれてしまい、第2分割刃60Bによる分割を正確に行うことができない。
しかし、本実施形態の製造装置200においては、第1分割刃60Aによってセラミックス板20を完全に分割する前に、第2分割刃60Bを当接させているので、分割溝21Bと第2分割刃60Bの刃先との位置関係がずれることがない。また、第2分割刃60Bによって分割基板29を完全に分割する前に、角取刃70を当接させているので、セラミック板20の中央部(領域23)と角取刃70の先端部との位置関係においても、これらの位置がずれることがない。したがって、第1分割刃60Aおよび第2分割刃60B、ならびに角取刃70を、所定の位置に正確に当接させることができる。
このように、本発明によれば、縦横のそれぞれの分割溝21A,21Bに対して別々の分割工程を設ける必要がなく、基板31(セラミックス板20)を効率的に個片化してパワーモジュール用基板3を製造することができる。また、縦横方向に延びる分割溝21A,21Bに対する分割処理と同時に、中央分割溝21Cにより区画された中央部(領域23)を除去することができ、これらを一括で処理することができるため、工程処理を簡略化させることができる。
また、第1分割刃60Aの刃先は、セラミックス板20に対して傾斜して設けられていることから、分割工程において、まず分割溝21Aの内側端部側のみに第1分割刃60Aの刃先が当接し、その第1分割刃60Aの傾斜に沿って漸次当接することになるため、分割に必要な押圧力を小さくできる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第2実施形態では、分割溝21は、セラミックス板20Pの中央部に形成された平面視矩形状の中央分割溝21Cと、この中央分割溝21Cの頂点から縦横方向に延びて形成され、隣接する4つの領域22を分割するように設けられた十字形の第1及び第2の分割溝21A,21Bとを有する構成としたが、第1及び第2の分割溝21A,21Bは、中央分割溝21Cの内側にも形成されていてもよく、中央分割溝21Cの頂点を経由するように形成されていればよい。
1 パワーモジュール
2 セラミックス基板
3 パワーモジュール用基板(分割体)
4 電子部品
5 ヒートシンク
6 金属層(回路層)
7 金属層(放熱層)
8 はんだ接合層
20,20P セラミックス板
20a 分割溝形成面
20b 押圧面
21,21A〜21F 分割溝
22〜25 領域
29,29A,29B 分割基板
30,31 積層基板
40 支持部材
41 載置面
50 ガイド枠
51,52 内側面
60 分割刃
60A 第1分割刃
60B 第2分割刃
70 角取刃
100,200 パワーモジュール用基板の製造装置(分割体の製造装置)

Claims (6)

  1. 縦横方向に延びる第1及び第2の分割溝が形成されたセラミックス板を、該分割溝から分割して分割体を製造する装置であって、前記セラミックス板の分割溝形成面の四隅部を下方から支持する支持部材と、前記分割溝形成面とは反対側の押圧面を前記分割溝に沿って押圧する分割刃とを備え、前記分割刃は、前記第1の分割溝に沿って押し当てられる第1分割刃と、前記第2の分割溝に沿って押し当てられる第2分割刃とを有しており、これら両分割刃は、前記第1分割刃の中央部が前記第2分割刃の両端部よりも突出して設けられ、その突出高さが、第1分割刃による前記セラミックス板の最大たわみ量以下に設定されていることを特徴とする分割体の製造装置。
  2. 前記第1分割刃の刃先が、前記セラミックス板に対して傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1記載の分割体の製造装置。
  3. 前記セラミックス板は、両面に金属層を接合した積層基板であり、前記金属層は、前記分割溝によって、区画される各領域に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分割体の製造装置。
  4. 前記セラミックス板は、平面視矩形状の中央分割溝を有し、前記第1及び第2の分割溝が前記中央分割溝の頂点を経由して形成されており、前記分割刃の下方には、前記中央分割溝により区画された前記分割溝形成面の中央部に当接する角取刃が備えられ、該角取刃の先端部は、前記支持部材による前記セラミックス板の支持位置からの高さが前記突出高さよりも大きく、該突出高さとの差が前記第2分割刃による前記セラミックス板の最大たわみ量以下に設定されていることを特徴とする請求項1から3に記載のいずれか一項に記載の分割体の製造装置。
  5. 縦横方向に延びる第1及び第2の分割溝が形成されたセラミックス板を、該分割溝から分割して分割体を製造する方法であって、前記セラミックス板の分割溝形成面の四隅部を下方から支持した状態で、前記分割溝形成面とは反対側の押圧面に縦横それぞれの分割溝に沿って設けられた分割刃を押し当てることにより前記セラミックス板を分割する工程を有しており、前記分割刃は、前記第1の分割溝に沿って設けられた第1分割刃を前記押圧面に当接させた後、前記第1分割刃が当接してから前記セラミックス板が分割されるまでの間に、前記第2の分割溝に沿って設けられた第2分割刃を押し当てることにより、前記セラミックス板を分割することを特徴とする分割体の製造方法。
  6. 前記セラミックス板は、平面視矩形状の中央分割溝を有し、前記第1及び第2の分割溝が前記中央分割溝の頂点を経由して形成されており、前記分割刃の下方に、前記中央分割溝により区画された前記分割溝形成面の中央部に当接する角取刃を配置しておき、前記セラミックス板に前記第2分割刃を当接させた後、該セラミックス板が前記第2の分割溝から分割溝から分割されるまでの間に、前記角取刃の先端部を前記分割溝形成面の中央部に当接させることにより、該中央部を前記中央分割溝から分割する構成とされることを特徴とする請求項5記載の分割体の製造方法。
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