JP6123440B2 - 分割体の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2では、第1固定部の端縁を基板(セラミックス板)の分割溝に一致させて、第2固定部との間に基板を挟持し、分割溝を境界とした第1固定部の反対側において、基板を分割溝に沿って押圧することにより、基板を折り曲げて分割する装置が開示されている。
また、分割した基板を箱体等に収容する場合などには、基板の四隅を面取りすることが必要な場合があり、作業がますます煩雑になる傾向にある。
本発明の分割体の製造装置においては、縦横方向に延びる第1の分割溝と第2の分割溝とに、それぞれに対応する分割刃をわずかな時間差をもって当接させることにより、それぞれの分割溝を1回の押圧工程で押し割ることができる。この際、第1分割刃と第2分割刃との突出高さが、第1分割刃によるセラミックス板の最大たわみ量以下に設定されていることから、第1分割刃が押し当てられた第1の分割溝が完全に分割されるまでの間に、第2分割刃を当接させることができる。そのため、セラミックス板の第2の分割溝と第2分割刃の刃先との位置関係がずれることがない。したがって、第2の分割溝に第2分割刃を正確に押し当てることができ、縦横の十字形の分割溝を一括で処理することができる。
この場合、まず第1の分割溝の一部分に対応する箇所のみに第1分割刃の刃先が当接し、漸次その第1分割刃の傾斜に沿って当接することになるため、分割に必要な押圧力が小さくできる。
セラミックス板の両面に金属層を接合した積層基板を分割溝から分割することで、個片化されたパワーモジュール用基板(分割体)を製造することができる。このように、分割体の製造装置は、セラミックス基板を有するパワーモジュール用基板の製造に好適に用いることができる。
このように、第1分割刃及び第2分割刃、並びに角取刃を、所定の位置に正確に当接させることができるので、縦横の十字形の分割溝から分割して分割体を形成するとともに、中央分割溝で区画された中央部の分割を一括で処理することができる。
縦横のそれぞれの分割溝に対して別々の分割工程を設ける必要がなく、セラミックス板を効率的に個片化して分割体を製造することができる。
本実施形態では、本発明に係る分割体の製造装置により製造される分割体として、パワーモジュールに用いられるパワーモジュール用基板を適用し、そのパワーモジュール用基板の製造方法及び製造装置について説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造方法により製造されるパワーモジュール用基板3を用いたパワーモジュール1を示している。この図5のパワーモジュール1は、パワーモジュール用基板3と、パワーモジュール用基板3の表面に搭載された半導体チップ等の電子部品4と、裏面に取り付けられたヒートシンク5とから構成される。
積層基板30は、図6に示すように、予め縦横の十字形の分割溝21が形成されたセラミックス板20の両面に金属板を接合し、その金属板をエッチングすることにより、金属層6,7が分割溝21によって区画される各領域に形成されたものである。図6に示す積層基板30においては、分割溝21がセラミックス板20の金属層6側に配置される表面に形成されている。そして、パワーモジュール用基板3は、積層基板30を、分割溝21に沿って所定のサイズに分割することにより製造される。なお、図6の積層基板30において、セラミックス板20の表面に接合された金属層6は回路層用、セラミックス板20の裏面に接合された金属層7は放熱層用である。
また、金属層6,7は、純度99.00質量%以上のアルミニウム(いわゆる2Nアルミニウム)により形成されている。特に、純度99.90質量%以上のアルミニウムが望ましく、JIS規格では、1N90(純度99.90質量%以上:いわゆる3Nアルミニウム)又は1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)を用いることができる。なお、金属層6,7には、アルミニウムの他、アルミニウム合金、銅及び銅合金を用いることもできる。
また、セラミックス板20と金属層6,7との接合は、ろう付け以外にもTLP接合法(Transient Liquid Phase Bonding)と称される過渡液相接合法によって接合してもよい。この過渡液相接合法においては、金属層の表面に蒸着させた銅層を、金属層とセラミックス板との界面に介在させて行う。加熱により、金属層のアルミニウム中に銅が拡散し、金属層の銅層近傍の銅濃度が上昇して融点が低下し、アルミニウムと銅との共晶域にて接合界面に金属液相が形成される。この金属液相が形成された状態で温度を一定に保持しておくと、金属液相がセラミックス板と反応するとともに、銅がさらにアルミニウム中に拡散することに伴い、金属液相中の銅濃度が徐々に低下して融点が上昇し、温度を一定に保持した状態で凝固が進行する。これにより、金属層とセラミックス板との強固な接合が得られる。
また、セラミックス板と銅製の金属層とを、活性金属ろう材を用いて接合する方法を採用することもできる。例えば、活性金属であるTiを含む活性金属ろう材(Ag‐27.4質量%Cu‐2.0質量%Ti)を用い、銅製の金属層とセラミックス板との積層体を加圧した状態のまま真空中で加熱し、活性金属であるTiをセラミックス板に優先的に拡散させて、Ag‐Cu合金を介して金属層とセラミックス板とを接合できる。
また、ヒートシンク5は、平板状のもの、熱間鍛造等によって多数のピン状フィンを一体に形成したもの、押出成形によって相互に平行な帯状フィンを一体に形成したもの等、適宜の形状のものを採用することができる。
図1から図3に示すパワーモジュール用基板の製造装置100は、積層基板30(本発明でいう、セラミックス板)を、分割溝21から分割して4個のパワーモジュール用基板3(本発明でいう、分割体)を製造する装置である。この製造装置100は、積層基板30を構成するセラミックス板20の分割溝形成面20aの四隅部を下方から支持する支持部材40と、支持部材40上に積層基板30を載置した際にセラミックス板20の側面を支持し、面方向に位置決めするガイド枠50と、セラミックス板20の分割溝形成面20aとは反対側の押圧面20bを分割溝21に沿って押圧する分割刃60とを備える。
第1分割刃60Aの刃先は、両端から中央に向けて傾斜して設けられており、中央部が最も下方に突出して形成されている。また、第2分割刃60Bの刃先は、水平に形成されている。そして、これら両分割刃60A,60Bは、第1分割刃60Aの刃先の中央部が第2分割刃60Bの刃先の両端部よりも下方に突出して設けられており、第2分割刃60Bの刃先の両端部から第1分割刃60Aの刃先の中央部にかけての突出高さhが、第1分割刃60Aによるセラミックス板20(積層基板30)の最大たわみ量以下に設定されている。したがって、分割刃60は、第1分割刃60Aの中央部が押圧面20bに当接してからセラミックス板20が分割されるまでの間、すなわちセラミックス板20にたわみが生じている間に第2分割刃60Bの両端部が押圧面20bに当接するように構成されている。
まず、図1から図3に示すように、積層基板30を支持部材40の載置面41上に載置する。この際、セラミックス板20は、分割溝21が形成された分割溝形成面20aを下方に向けるとともに、側面をガイド枠50の内側面51,52に突き当てた状態で載置する。この状態で、セラミックス板20の押圧面20bに、縦横それぞれの分割溝21に沿って設けられた分割刃60を押し当てることにより、セラミックス板20が分割溝21から分割される。このとき、分割刃60は、図4(a)に示すように、第1の分割溝21Aに沿って設けられた第1分割刃60Aを押圧面20bに当接させた後、図4(b)に示すように、第1分割刃60Aが当接してからセラミックス板20が分割されるまでの間に、第2の分割溝21Bに沿って設けられた第2分割刃60Bを押し当てる構成とされており、それぞれの各分割刃60A,60Bにより分割溝21A,21Bを順番に押し割る。
しかし、本実施形態の製造装置100においては、第1分割刃60Aによってセラミックス板20を分割する前に、第2分割刃60Bを当接させているので、分割溝21Bと第2分割刃60Bの刃先との位置関係がずれることがない。したがって、分割溝21Bに沿って第2分割刃60Bを安定して押し当てることができる。
第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成のものについては、同一の符号を用いた。
図12に示す積層基板30は、予めセラミックス基板2の外形形状に沿って分割溝21が形成された矩形状のセラミックス板20Pの両面に金属板を接合し、その金属板をエッチングすることにより、金属層6,7が形成されたものである。
そして、積層基板30を構成するセラミックス板20Pには、図12に示すように、分割溝21によって、パワーモジュール用基板3を構成するセラミックス基板2の外形形状の大きさに区画された4つの領域22が形成されており、分割溝21は、セラミックス板20Pの中央部に形成された平面視矩形状の中央分割溝21Cと、この中央分割溝21Cの頂点から縦横方向に延びて形成され、隣接する4つの領域22を分割するように設けられた十字形の第1及び第2の分割溝21A,21Bとを有する。また、分割溝21は、4つの領域22の外周縁を構成する分割溝21D〜21Fを有しており、これら分割溝21D〜21Fによりセラミックス板20Pの外周部の領域24,25と内側の領域22とを隔てるとともに、領域22の四角形状の四隅を面取りした形状に形成している。
なお、これら分割溝21は、セラミックス板20Pの金属層6側に配置される表面に形成されており、金属層6,7は、分割溝21により区画された4つの領域22に、それぞれ設けられている。
図8から図10に示すパワーモジュール用基板の製造装置200は、図13に示すように、積層基板30を構成するセラミックス板20Pの外周部の領域24,25を予め除去した積層基板31(本発明でいう、セラミックス板)を、第1及び第2の分割溝21A,21Bと中央分割溝21Cとから分割して、中央分割溝21Cにより面取りされた4個のパワーモジュール用基板3(本発明でいう、分割体)を製造する装置である。
まず、図8から図10に示すように、積層基板31を支持部材40の載置面41上に載置する。分割刃60は、図11(a)に示すように、第1の分割溝21Aに沿って設けられた第1分割刃60Aを押圧面20bに当接させた後、第1分割刃60Aが当接してからセラミックス板20が分割されるまでの間に、第2の分割溝21Bに沿って設けられた第2分割刃60Bを押し当てる構成とされており、それぞれの各分割刃60A,60Bにより分割溝21A,21Bを順番に折り曲げて押し割ることができる。
そして、角取刃70の先端部は、分割基板29が形成された後、第2の分割溝21Bが完全に分割されるまでの間に、第2分割刃60Bとは反対側からセラミックス板20の中央部(領域23)に当接する。このとき、図11(b)に示すように、第2分割刃60Bと角取刃70とは、中央分割溝21Cを境界として、互いにセラミックス板20の異なる面側に当接することになる。これにより、分割基板29Aを、第2分割刃60Bの押圧に伴って中央分割溝21Cから、その中央分割溝21Cを広げる方向に折り曲げて分割させることができる。
したがって、分割基板29Aは、第2の分割溝21Bから分割されるとともに、中央部分割溝21Cからも分割され、中央部(領域23)が除去された状態でパワーモジュール用基板3が形成される。
例えば、第2実施形態では、分割溝21は、セラミックス板20Pの中央部に形成された平面視矩形状の中央分割溝21Cと、この中央分割溝21Cの頂点から縦横方向に延びて形成され、隣接する4つの領域22を分割するように設けられた十字形の第1及び第2の分割溝21A,21Bとを有する構成としたが、第1及び第2の分割溝21A,21Bは、中央分割溝21Cの内側にも形成されていてもよく、中央分割溝21Cの頂点を経由するように形成されていればよい。
2 セラミックス基板
3 パワーモジュール用基板(分割体)
4 電子部品
5 ヒートシンク
6 金属層(回路層)
7 金属層(放熱層)
8 はんだ接合層
20,20P セラミックス板
20a 分割溝形成面
20b 押圧面
21,21A〜21F 分割溝
22〜25 領域
29,29A,29B 分割基板
30,31 積層基板
40 支持部材
41 載置面
50 ガイド枠
51,52 内側面
60 分割刃
60A 第1分割刃
60B 第2分割刃
70 角取刃
100,200 パワーモジュール用基板の製造装置(分割体の製造装置)
Claims (6)
- 縦横方向に延びる第1及び第2の分割溝が形成されたセラミックス板を、該分割溝から分割して分割体を製造する装置であって、前記セラミックス板の分割溝形成面の四隅部を下方から支持する支持部材と、前記分割溝形成面とは反対側の押圧面を前記分割溝に沿って押圧する分割刃とを備え、前記分割刃は、前記第1の分割溝に沿って押し当てられる第1分割刃と、前記第2の分割溝に沿って押し当てられる第2分割刃とを有しており、これら両分割刃は、前記第1分割刃の中央部が前記第2分割刃の両端部よりも突出して設けられ、その突出高さが、第1分割刃による前記セラミックス板の最大たわみ量以下に設定されていることを特徴とする分割体の製造装置。
- 前記第1分割刃の刃先が、前記セラミックス板に対して傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1記載の分割体の製造装置。
- 前記セラミックス板は、両面に金属層を接合した積層基板であり、前記金属層は、前記分割溝によって、区画される各領域に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分割体の製造装置。
- 前記セラミックス板は、平面視矩形状の中央分割溝を有し、前記第1及び第2の分割溝が前記中央分割溝の頂点を経由して形成されており、前記分割刃の下方には、前記中央分割溝により区画された前記分割溝形成面の中央部に当接する角取刃が備えられ、該角取刃の先端部は、前記支持部材による前記セラミックス板の支持位置からの高さが前記突出高さよりも大きく、該突出高さとの差が前記第2分割刃による前記セラミックス板の最大たわみ量以下に設定されていることを特徴とする請求項1から3に記載のいずれか一項に記載の分割体の製造装置。
- 縦横方向に延びる第1及び第2の分割溝が形成されたセラミックス板を、該分割溝から分割して分割体を製造する方法であって、前記セラミックス板の分割溝形成面の四隅部を下方から支持した状態で、前記分割溝形成面とは反対側の押圧面に縦横それぞれの分割溝に沿って設けられた分割刃を押し当てることにより前記セラミックス板を分割する工程を有しており、前記分割刃は、前記第1の分割溝に沿って設けられた第1分割刃を前記押圧面に当接させた後、前記第1分割刃が当接してから前記セラミックス板が分割されるまでの間に、前記第2の分割溝に沿って設けられた第2分割刃を押し当てることにより、前記セラミックス板を分割することを特徴とする分割体の製造方法。
- 前記セラミックス板は、平面視矩形状の中央分割溝を有し、前記第1及び第2の分割溝が前記中央分割溝の頂点を経由して形成されており、前記分割刃の下方に、前記中央分割溝により区画された前記分割溝形成面の中央部に当接する角取刃を配置しておき、前記セラミックス板に前記第2分割刃を当接させた後、該セラミックス板が前記第2の分割溝から分割溝から分割されるまでの間に、前記角取刃の先端部を前記分割溝形成面の中央部に当接させることにより、該中央部を前記中央分割溝から分割する構成とされることを特徴とする請求項5記載の分割体の製造方法。
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