JP5831419B2 - パワーモジュール用基板 - Google Patents
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このパワーモジュールに用いられるパワーモジュール用基板においては、セラミックス基板の表面に金属板をろう付けにより接合している。例えば、特許文献1では、セラミックス基板の表面に揮発性有機媒体の表面張力によってろう材箔を仮固定するとともに、そのろう材箔の表面に基材から打ち抜かれた導体パターン層を仮固定した状態で加熱し、揮発性有機媒体を揮発させ、これらを厚さ方向に加圧することにより、金属板とセラミックス基板とをろう付けしたパワーモジュール用基板を形成している。
一方、この種のパワーモジュール用基板としては、絶縁基板としての機能、放熱基板としての機能の他に、近年の高集積化に伴い、配線基板としての機能も求められてきており、多層化することが検討されている。
また、特許文献3には、セラミックス基板に形成した貫通孔内に金属柱を設け、この金属柱でセラミックス基板両面の金属板を接続状態としたものが開示されている。
しかも、両セラミックス基板の間に配置される中段の回路層用金属板を突出させてリード端子部を一体に形成したことにより、第1セラミックス基板上の最上段の回路層用金属板を介さずに外部との接続を行うことができる。最上段の回路層用金属板は、電子部品が搭載されるため、外部に配線するためには電子回路を迂回して回路を形成する必要がある等、面方向に大きくなり易いが、中段の回路層用金属板のリード端子部から外部に接続すればワイヤボンディング等の配線引き回しを省略し得て、大幅に小型化することができる。
また、この中段の回路層用金属板にリード端子部を設ける場合は、その外周部のうちの適宜の位置にリード端子部を形成すればよく、平面積の拡大を抑制してパワーモジュール用基板の小型化に有利である。
また、リード端子部を一体形成したことにより、回路層用金属板の表面積が大きくなるので、放熱性も向上する。
このパワーモジュール用基板1は、図1及び図2に示すように、複数のセラミックス基板2,3と、回路層用金属板4A〜4E,5A,5Bと、放熱層用金属板6とが積層状態とされ、相互にろう付け等により接合されており、最上段に配置される回路層用金属板4A〜4Eの一部(図示例では4D,4E)に電子部品7が搭載され、最下段に配置される放熱層用金属板6にヒートシンク8が接合される。
セラミックス基板2,3は、AlN、Al2O3、SiC等により、例えば0.32mm〜1.0mmの厚さに形成される。また、回路層用金属板4A〜4E,5A,5Bは無酸素銅やタフピッチ銅等の純銅又は銅合金により形成され、放熱層用金属板6は純度99.90%以上の純アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。これら金属板の厚さは、例えば0.25mm〜2.5mmとされる。
これらの接合は、後述するように2回に分けて行われ、両セラミックス基板2,3と回路層用金属板4A〜4E,5A,5Bとをまず接合した後、第2セラミックス基板3に放熱層用金属板6を接合する。この場合、両セラミックス基板2,3と回路層用金属板4A〜4E,5A,5Bとの接合には、例えばAg−27.4質量%Cu−2.0質量%Tiの活性金属ろう材が箔もしくはペースト形態にて用いられ、第2セラミックス基板3と放熱層用金属板6との接合には、Al−Si系又はAl−Ge系のろう材が用いられる。
具体的には、図2及び図3に示すように、最上段には回路層用金属板4A〜4Eが配置され、両セラミックス基板の間の中段には回路層用金属板5A,5Bが配置され、最下段には放熱層用金属板6が設けられている。最上段の5枚の回路層用金属板4A〜4Eは、第1セラミックス基板2の平面上の中央に1枚(4C)、その両側にそれぞれ2枚ずつ(4A,4Bと4D,4E)配置されている。両セラミックス基板2,3の間の回路層用金属板(以下、中段の回路層用金属板という)5A,5Bは、最上段の両側位置に配置されている金属板4A,4D及び金属板4B,4Eをそれぞれ連結し得る長さでかつ一端部が第1セラミックス基板2の端縁から突出する長さの細長い帯板状に形成され、2枚が並んで平行に配置されており、それぞれ、第1セラミックス基板2の端縁から相互に反対方向に向けて突出している。そして、最上段における両側の金属板4A,4D及び金属板4B,4Eが組になって、中間位置の金属板4Cの下方で連結するように、中段の金属板5A,5Bを介して相互に電気的接続状態とされている。
なお、リード端子部15の厚さは、必ずしも限定されないが、回路層用金属板5A,5Bと一体に形成されているので、回路層用金属板5A,5Bと同じ厚さに形成される。リード端子部15の幅寸法は、外部で接続される回路基板等の接続部の形状等に応じて設定され、回路層用金属板5A,5Bと同じとは限らない。
セラミックス基板2,3のうち、貫通孔11を有する第1セラミックス基板2は、セラミックスの焼成前のグリーンシートにプレス加工により貫通孔を形成した後に焼成することにより得ることができる。その外形は焼成後に加工される。貫通孔を有しない第2セラミックス基板3は、グリーンシートを焼成した後に外形加工される。
また、最上段の金属板4A〜4Eのうち、凸部12を有する金属板4A,4B,4D,4Eは、予めプレス加工により片面に凸部12を成形しておき、その凸部12を除くように穴をあけたろう材箔を凸部12の周囲の平面に貼り付けることにより形成される。
なお、中段の回路層用金属板5A,5Bは、この時点では、リード端子部となる部分は折り曲げずに平坦なままとしておく。
一次接合においては、セラミックス基板2,3と最上段の金属板4A〜4E及び中段の金属板5A,5Bとを交互に重ね合わせ、金属板4A,4B,4D,4Eの凸部12を対応するセラミックス基板2の貫通孔11に挿入した状態とし、その積層体Sを図7に示す加圧装置に設置する。
この加圧装置110は、ベース板111と、ベース板111の上面の四隅に垂直に取り付けられたガイドポスト112と、これらガイドポスト112の上端部に固定された固定板113と、これらベース板111と固定板113との間で上下移動自在にガイドポスト112に支持された押圧板114と、固定板113と押圧板114との間に設けられて押圧板114を下方に付勢するばね等の付勢手段115とを備えている。
固定板113および押圧板114は、ベース板111に対して平行に配置されており、ベース板111と押圧板114との間に前述の積層体Sが配置される。積層体Sの両面には加圧を均一にするためにカーボンシート116が配設される。
このろう付けにおいては、ろう材中の活性金属であるTiが優先的にセラミックス基板2,3の表面に拡散してTiNを形成し、Ag−Cu合金を介して金属板4A〜4E,5A,5Bと接合する。
また、このろう付け時に金属板4A,4B,4D,4Eの凸部12に降伏点以上の荷重が作用するように、予め付勢手段115の付勢力を設定しておく。タフピッチ銅の850℃付近での降伏応力は3〜4MPa程度であることから、例えば、凸部12の外径D1が10mmとすると、850℃の高温時に、凸部12に231N以上の荷重が作用するように、常温での付勢手段115の付勢力を設定しておく。
また、接合した後の状態においても、凸部12は部分的に拡径するが、前述したように拡径した状態で凸部12と貫通孔11の内周面との間に隙間Gが形成される設定であるので、凸部12が貫通孔11の内周面に圧迫されることはない。
なお、ヒートシンク8は、例えばA6063アルミニウム合金の押出成形により形成される。図示例では、紙面に直交する方向に押し出され、その押出方向に沿って帯板状にストレートのフィン21が形成される。寸法的に限定されるものではないが、例えば50mm角で厚さ5mmの板状部22の片面に、押出方向に沿う厚さ4mm、高さ15mmのストレート状のフィン21が複数形成されている。このヒートシンク8は、金属板6にろう付け、はんだ付け等により固定される。なお、ヒートシンク8を金属板6にろう付けする場合は、ろう材としてAl−Si系又はAl−Ge系のろう材を用いて接合することができる。
この場合、凸部12と貫通孔11の内周面との間に隙間Gが形成されているので、熱伸縮が繰り返されても、貫通孔11の部分での熱応力が軽減され、接合部の剥離やセラミックス基板2,3の割れ等が防止され、パワーモジュール用基板として高い信頼性を維持することができる。
例えば、二次接合では、最下段を構成する放熱層用金属板6の片面に蒸着等により厚さ0.4μm程度の銅層を形成しておき、その上に一次接合体1Xの第2セラミックス基板3を積層して、これらを過渡液相接合法(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)により接合してもよい。
この過渡液相接合法においては、金属板6の表面に蒸着させた銅層が金属板6とセラミックス基板3との界面に介在しており、加熱により、その銅がまず金属板6のアルミニウム中に拡散し、その金属板6の銅層近傍の銅濃度が上昇して融点が低下し、これにより、アルミニウムと銅との共晶域にて接合界面に金属液相が形成される。この金属液相が形成された状態で温度を一定に保持しておくと、金属液相がセラミックス基板3と一定温度で一定時間接触し反応するとともに、銅がさらにアルミニウム中に拡散することに伴い、金属液相中の銅濃度が徐々に低下して融点が上昇することになり、温度を一定に保持した状態で凝固が進行していく。これにより金属板6とセラミックス基板3との強固な接合が得られ、凝固が進行した後に、常温にまで冷却する。その際の加圧力としては98kPa(1kgf/cm2)〜3.4MPa(35kgf/cm2)とされ、10−3〜10−6Paの真空中で、600℃で0.5時間加熱される。
金属板6にヒートシンク8を接合する際も、この過渡液相接合法による接合とすることが可能であり、この場合、一次接合体1Xの第2セラミックス基板3と金属板6の接合と、金属板6とヒートシンク8の接合とを同時に実施することが可能である。
さらに、回路層用金属板を銅又は銅合金により形成し、放熱層用金属板をアルミニウム又はアルミニウム合金により形成したが、回路層用金属板をアルミニウム又はアルミニウム合金により形成したものも含むものとする。
1X 一次接合体
2 第1セラミックス基板
3 第2セラミックス基板
4A〜4E 回路層用金属板
5A,5B 回路層用金属板
6 放熱層用金属板
7 電子部品
8 ヒートシンク
11 貫通孔
12 凸部(金属部材)
13,14 ろう材
15 外部接続用リード端子部
21 フィン
22 板状部
31 金属部材
110 加圧装置
G 隙間
P 接合部
S 積層体
Claims (2)
- 複数の回路層用金属板が第1セラミックス基板を介して積層状態に接合されるとともに、前記第1セラミックス基板に形成した貫通孔内に、該第1セラミックス基板の両面に配置される両回路層用金属板を接続状態とする金属部材が挿入され、前記積層状態の回路層用金属板の一方側の面に第2セラミックス基板が接合され、該第2セラミックス基板の前記回路層用金属板とは反対側の面に放熱層用金属板が接合されてなり、前記第1セラミックス基板と前記第2セラミックス基板との間の回路層用金属板は、その少なくとも一側部が両セラミックス基板の間から突出し、その突出部に外部接続用リード端子部が一体に形成されていることを特徴とするパワーモジュール用基板。
- 前記外部接続用リード端子部は、前記第1セラミックス基板と前記第2セラミックス基板との間の回路層用金属板と同じ厚さに形成されていることを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール用基板。
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