JP6122725B2 - パンチ金型 - Google Patents

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Description

本発明は、パンチプレス機に採用するパンチ金型に関する。
従来、この種のパンチ金型として、筒状のパンチガイド内に、下端部にパンチ刃部を備えたパンチボディを上下動自在に備え、前記パンチガイドの上部に備えたリテーナカラーを上下動自在に貫通したパンチドライバの上端部に備えたパンチヘッドと前記リテーナカラーとの間にストリッパースプリングを弾装して備え、前記パンチボディの上部に一体に又は一体的に備えた調整ネジ部材を、前記パンチドライバに備えた雌ネジ部に上下調節可能に螺合しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
前記リテーナカラーの下部には、下広がり(下側の径が次第に大きくなる)のテーパ孔が形成され、前記パンチドライバの下部には、前記テーパ孔と係合離脱自在なテーパ部が形成されている。パンチヘッドの下降によるパンチドライバのテーパ部がリテーナカラーのテーパ孔から離脱し、その後の上昇復帰による前記テーパ部と前記テーパ孔が再び係合することにより、リテーナカラーとパンチドライバとの芯合せがその都度自動的に行われ、リテーナカラーのテーパ孔とパンチドライバのテーパ部との間の間隙(クリアランス)を零にしてより高精度の芯合せが行われている。
特開2010−247186号公報
しかし乍ら、このような従来のパンチ金型では、リテーナカラーのテーパ孔とパンチドライバのテーパ部を間隙が零となるように嵌合させる必要があるため、テーパ孔及びテーパ部に精密な寸法精度が要求され、その加工及び検査に手間が必要になってコスト高になるという問題があった。
また、テーパ孔及びテーパ部に寸法精度や加工精度が僅かでも低下すると、両者の密着性が悪くなるだけでなく、両者のテーパー角度に差を生じるおそれがある。このような状況で、パンチヘッドが下降する度にテーパ孔及びテーパ部が係合離脱してリテーナカラーとパンチドライバとの芯合せが行われると、両者の芯合わせに狂いが生じて、リテーナカラーの軸線に対しパンチドライバの軸線が傾斜する可能性がある。
さらに、テーパ孔及びテーパ部の寸法精度の低下に伴って、リテーナカラーの軸線に対しパンチドライバの軸線が僅かでも傾斜してしまうと、調整ネジ部材の上下調節のためリテーナカラー及びパンチドライバを回動する時に一定幅の隙間が必要であるが、隙間が不均一になって回動に抵抗が生じて、調整操作をスムーズに行えないという問題があった。
それでも無理に、リテーナカラー及びパンチドライバを回動して、ストリッパースプリングを収縮変形又は伸長変形させると、変形移動中のストリッパースプリングがパンチドライバの外面と接触して削ってしまい、金属の削り粉が発生する可能性もある。このように発生した金属の削り粉は、異物の混入やそれによる焼付き現象の事故に発展するという問題もあった。
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、リテーナカラーとパンチドライバーの芯合わせを簡単な構造で高精度に行うこと、などを目的とするものである。
このような目的を達成するために本発明は、円筒形状のパンチガイドと、前記パンチガイドの内部に軸方向へ往復動自在に支持されてパンチ刃部を有するパンチボディと、前記パンチガイドに設けられるリテーナカラーと、前記リテーナカラーの内側に軸方向へ往復動自在に設けられて前記パンチボディの外面と軸方向へ調整動自在に係合するパンチドライバーと、前記パンチドライバーに設けられるパンチヘッドと、前記リテーナカラーと前記パンチヘッドとの間に軸方向へ変形可能に設けられる弾性部材と、前記リテーナカラー及び前記パンチドライバーの間にそれらのいずれか一方か又は両方に対し軸方向へ移動自在で且つその他の方向へ移動不能に設けられるリング部材と、を備え、前記リテーナカラーは、前記パンチドライバーの外面と対向する第一環状部を有し、該第一環状部には、軸方向と直交する方向へ形成される第一平面部が形成され、前記パンチドライバーは、前記パンチガイドと径方向へ対向する第二環状部を有し、該第二環状部には、軸方向と直交する方向へ形成されて前記リテーナカラーの前記第一環状部の前記第一平面部と軸方向へ当接する第二平面部が形成され、前記リング部材は、前記リテーナカラーの前記第一環状部と前記パンチドライバーの前記外面との間に第一環状隙間を形成するとともに、前記パンチドライバーの前記第二環状部と前記パンチガイドとの間に第二環状隙間を形成するように配置されることを特徴とする。
前述した特徴を有する本発明は、リテーナカラーの第一環状部の第一平面部と、パンチドライバーの第二環状部の第二平面部とがそれぞれ軸方向と直交する方向へ形成されて、第一平面部及び第二平面部が軸方向へ当接する。さらにリング部材によって、リテーナカラーの第一環状部とパンチドライバーの第二環状部を軸方向へ移動自在で且つその他の方向へ移動不能に配置させるため、リテーナカラーの軸心とパンチドライバーの軸心が芯合わせされるとともに、パンチヘッドと連動してパンチドライバー及びパンチボディが一体的に軸方向へ往復動した時に、リテーナカラーの第一環状部の軸心とパンチドライバーの第二環状部の軸心が一致した状態で保たれる。
したがって、リテーナカラーとパンチドライバーの芯合わせを簡単な構造で高精度に行うことができる。
その結果、リテーナカラーのテーパ孔とパンチドライバのテーパ部を間隙が零となるように嵌合させる必要がある従来のものに比べ、芯合わせ構造を簡素化できて且つ高い寸法精度が得られ、コストの低減化が図れる。
それに加え、リング部材によって、リテーナカラーの第一環状部とパンチドライバーの外面との間に第一環状隙間が保たれるとともに、パンチドライバーの第二環状部とパンチガイドとの間に第二環状隙間が保たれるため、リテーナカラー及びパンチドライバーの回動に抵抗が生じない。
したがって、パンチドライバーに対してパンチボディが抵抗なくスムーズに調整移動することができる。
その結果、調整ネジ部材の上下調節のためリテーナカラー及びパンチドライバを回動する時に回動に抵抗が生じる従来のものに比べ、リテーナカラー及びパンチドライバーの調整操作をスムーズに行える。
本発明の実施形態に係るパンチ金型の全体構成を示す説明図あり、(a)が全体の縦断正面図、(b)が要部を部分拡大した縦断正面図である。 図1(a)の(2)−(2)線に沿える拡大横断平面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るパンチ金型Aは、タレットパンチプレスなどのようなパンチプレス機に装着して使用されるものである。
詳しく説明すると、パンチ金型Aは、図1(a)(b)及び図2に示すように、円筒形状のパンチガイド1と、パンチガイド1の内部に軸方向へ往復動自在に支持されてその先端にパンチ刃部2aを有するパンチボディ2と、パンチガイド1に設けられるリテーナカラー3と、リテーナカラー3の内側に軸方向へ往復動自在に設けられてパンチボディ2と軸方向へ調整動自在に係合するパンチドライバー4と、パンチドライバー4の基端に一体的に設けられるパンチヘッド5と、リテーナカラー3とパンチヘッド5との間に軸方向へ伸縮変形可能に設けられるスプリングなどの弾性部材6と、リテーナカラー3とパンチドライバー4の間に設けられるリング部材7と、を主要な構成要素として備えている。
パンチボディ2とパンチドライバー4の係合例としては、図1(a)(b)及び図2に示されるように、パンチボディ2の基端外面に形成される調整部2bと、パンチドライバー4の内面に形成される被調整部4aを螺合させるなど、調整部2bと被調整部4aを相対的に周方向へ回転操作することにより、パンチボディ2に対してパンチドライバー4が軸方向へ調整動するように構成されている。
すなわち、パンチボディ2の調整部2b及びパンチドライバー4の被調整部4aは、ネジなどで構成されている。
リテーナカラー3は、金属などの硬質材料でその径方向中心に後述するパンチドライバー4が軸方向へ貫通する通孔3aを開設した略円板状に形成され、パンチガイド1の取付部1aに対して軸方向へ移動不能で且つ周方向へは移動可能に取り付けられている。パンチガイド1の取付部1aは、パンチガイド1においてリテーナカラー3と対向する基端にフランジ状に突出形成されている。
リテーナカラー3は、後述するパンチドライバー4の外面4bとの間に径方向へ第一環状隙間S1を挟んで対向する第一環状部3bを有している。第一環状部3bは、リテーナカラー3の径方向内側部分に形成される。
第一環状部3bの具体例としては、図1(a)(b)及び図2に示されるように、リテーナカラー3の内側部分に、後述するパンチドライバー4の第二環状部4cへ向け円筒状に突出させて形成することが好ましい。
第一環状部3bにおいてパンチドライバー4の第二環状部4cと軸方向に対向する端面には、軸方向と直交する方向へ形成される第一平面部3cが形成されている。
さらに、パンチガイド1の取付部1aに対するリテーナカラー3の取り付け構造の具体例としては、パンチガイド1の取付部1aに凹部1bが部分的に形成され、取付部1aの表面に沿ってリテーナカラー3をセットした後に、凹部1bにストッパー3dを径方向へ差し込み、ストッパー3dの内端と第一環状部3bの先端部位を軸方向へ係合させている。ストッパー3dは、リテーナカラー3の貫通孔3eを通ってビスなどの固着手段3fを取付部1aに固着することで、パンチガイド1の取付部1aに固定されている。それにより、パンチガイド1の取付部1aに対してリテーナカラー3は、周方向へ回転可能で且つ軸方向へ移動不能に取り付けられている。
また、その他の例として図示しないが、第一環状部3bを他の形状に変更したり、パンチガイド1の取付部1aに対するリテーナカラー3の取り付け構造を変更したり、パンチガイド1の取付部1aに対するストッパー3dの固着方法を変更したりすることも可能である。
パンチドライバー4は、金属などの硬質材料で全体的にリテーナカラー3の通孔3aよりも小径な外面4bを有する円筒状に形成され、パンチガイド1の取付部1aとの間に径方向へ第二環状隙間S2を挟んで対向する第二環状部4cを有している。第二環状部4cは、パンチドライバー4の径方向外側部分に形成される。第二環状部4cの具体例としては、図1(a)(b)及び図2に示されるように、パンチドライバー4の先端において、リテーナカラー3の通孔3aよりも若干大径となるように径方向外側へ向け鍔状に突出して形成され、この鍔状に突出した第二環状部4cの外周面とパンチガイド1の取付部1aの内周面とを径方向へ略平行に対向させることが好ましい。
第二環状部4cにおいてリテーナカラー3と軸方向に対向する端面には、軸方向と直交する方向へ形成されてリテーナカラー3の第一環状部3bの第一平面部3cと軸方向へ当接する第二平面部4dを有している。
すなわち、リテーナカラー3の第一平面部3cとパンチドライバー4の第二平面部4dは、弾性部材6の付勢力によって軸方向へ密着している。
さらに、パンチドライバー4は、リテーナカラー3と周方向へ係合して供回りするように構成されている。
パンチドライバー4とリテーナカラー3の係合例としては、図1(a)(b)及び図2に示されるように、パンチドライバー4において第二環状部4cを除く基端側の外面4bに形成される係止部4eと、リテーナカラー3の通孔3aに形成される被係止部3gとを凹凸嵌合させるなどして、パンチドライバー4及びリテーナカラー3が周方向へ一定化されている。図示例では、パンチドライバー4の係止部4eが、パンチドライバー4において第二環状部4cを除く基端側の外面4bに軸方向へ向け凹設された凹溝であり、リテーナカラー3の被係止部3gが通孔3aから突出するピンである。
また、その他の例として図示しないが、第二環状部4cを他の形状に変更したり、パンチドライバー4とリテーナカラー3の供回り構造を変更したりすることも可能である。
リング部材7は、ゴムや合成樹脂などの弾性変形可能な軟質材料か、又は金属などの変形不能な硬質材料を用いて、周方向へ連続する輪状や、周方向の一部が不連続な略C字形に形成されている。つまり、リング部材7の具体例としては、弾性変形可能な軟質材料からなるOリング、硬質材料からなるC型止め輪などを用いることが可能である。
さらに、リング部材7は、リテーナカラー3の第一環状部3bとパンチドライバー4の第二環状部4cとの間に、第一環状部3b又は第二環状部4cのいずれか一方か、若しくは第一環状部3b及び第二環状部4cの両方に対して、軸方向へ移動自在で且つその他の方向(径方向や周方向など)へ移動不能となるように取り付けられている。リング部材7は、その取り付け状態で、リテーナカラー3の第一環状部3bとパンチドライバー4の外面4bとの間に第一環状隙間S1を区画形成するとともに、パンチドライバー4の第二環状部4cとパンチガイド1の取付部1aとの間に第二環状隙間S2を形成するように配置されている。
そして、本発明の実施形態に係るパンチ金型Aの使用方法は、タレットパンチプレスなどのようなパンチプレス機(図示しない)に装着された状態で、図1(a)に二点鎖線で示されるストライカ(ラム)Bによってパンチヘッド5を打圧すると、弾性部材6の付勢力に抗してパンチドライバー4と共にパンチボディ2などが押動され、パンチ刃部2aによってワーク(図示しない)に打抜き加工が行われる。
この際、リテーナカラー3が、パンチガイド1の取付部1aに対して軸方向へ移動不能に位置決めされているため、その第一環状部3bに対しリング部材7を挟んでパンチドライバー4が軸方向へ移動する。
また、パンチボディ2におけるパンチ刃部2aの調整は、パンチガイド1に一体的(回動不能)に取り付けられたリテーナカラー3及びパンチドライバー4に対してパンチボディ2を相対的に回動操作することで行われる。
例えばパンチボディ2に対してリテーナカラー3を周方向へ回転操作すると、パンチドライバー4との供回り構造によって、パンチドライバー4の被調整部4aが回動し、それと係合(螺合)するパンチボディ2の調整部2bが軸方向へ調整移動する。
このような本発明の実施形態に係るパンチ金型Aによると、リテーナカラー3の第一環状部3bの第一平面部3cと、パンチドライバー4の第二環状部4cの第二平面部4dとがそれぞれ軸方向と直交する方向へ形成され、その組み付け状態において第一平面部3c及び第二平面部4dが軸方向へ当接する。さらにリング部材7によって、リテーナカラー3の第一環状部3bとパンチドライバー4の第二環状部4cを軸方向へ移動自在で且つその他の方向(径方向及び周方向など)へ移動不能に配置させるため、リテーナカラー3の軸心とパンチドライバー4の軸心が芯合わせされる。特に、パンチ刃部2aによるワークの打抜き加工時に、パンチヘッド5と連動してパンチドライバー4及びパンチボディ2が一体的に軸方向へ往復動する際に、リテーナカラー3の第一環状部3bの軸心とパンチドライバー4の第二環状部4cの軸心が一致した状態で保たれる。
したがって、リテーナカラー3とパンチドライバー4の芯合わせを簡単な構造で高精度に行うことができる。
その結果、加工が容易で高い寸法精度が得られ、コストの低減化が図れる。
それに加え、リング部材7によって、リテーナカラー3の第一環状部3bとパンチドライバー4の外面4bとの間に第一環状隙間S1が保たれるとともに、パンチドライバー4の第二環状部4cとパンチガイド1の取付部1aとの間に第二環状隙間S2が保たれるため、リテーナカラー3及びパンチドライバー4の回動に抵抗が生じない。
したがって、パンチドライバー4の被調整部4aに対してパンチボディ2の調整部2bが抵抗なくスムーズに調整移動することができる。
その結果、リテーナカラー3及びパンチドライバー4の調整操作をスムーズに行えるとともに、部品接触による削り粉の発生も防止できて、異物混入事故や焼付き事故を確実に防止できる。
次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
この実施例は、図1(a)(b)及び図2に示すように、パンチドライバー4の外面4bにリング部材7が嵌入する環状凹溝4fを形成し、リング部材7の内周端7aを環状凹溝4fに圧接させ、リング部材7の外周端7bをリテーナカラー3の第一環状部3bの内周面に対して軸方向へ摺動自在に当接させるものである。
詳しく説明すると、パンチドライバー4の外面4bにおいて、リテーナカラー3の第一環状部3bと径方向へ対向する部位に環状凹溝4fを凹状に形成している。
環状凹溝4fは、その軸方向へ対向する内壁面4gのいずれか一方又は両方を、環状凹溝4fの内底面から溝縁に向かって軸方向へ拡開するように傾斜させることが好ましい。
図1(a)(b)及び図2に示される例では、リング部材7として、断面形状が円形状にされた弾性変形可能な軟質材料からなるOリングを用いている。
また、その他の例として図示しないが、リング部材7として断面形状が円形状のOリングに代え、断面形状が円形状ではなく異なる形状のOリングや、硬質材料からなるC型止め輪などを用いることも可能である。
さらに、図1(a)(b)及び図2に示される例では、環状凹溝4fを第二環状部4cと軸方向へ隣り合うように形成している。環状凹溝4fは、第二環状部4cと隣接する内壁面と反対側の内壁面4gを、パンチヘッド5に向かって徐々に拡径するように傾斜させている。
それに加えて、リテーナカラー3の通孔3aの先端側、詳しくは通孔3aにおいてパンチドライバー4の第二環状部4cと軸方向に隣り合う先端部にガイド面3hを、第二環状部4cへ向かって徐々に径方向へ拡開するように傾斜させて形成し、ガイド面3hに対してリング部材7の外周端7bを軸方向へ摺接自在に当接させている。
また、その他の例として図示しないが、第二環状部4cから軸方向へ若干離れた位置に環状凹溝4fを形成したり、環状凹溝4fの軸方向へ対向する内壁面4gを傾斜させることなく軸方向へ略平行に形成したり、リテーナカラー3の通孔3aの先端側に傾斜状のガイド面3hを形成しないなど、変更も可能である。
なお、図中において符号8は、弾性部材6を覆うように設けられた筒状のカバーである。図示例では、パンチヘッド5にカバー8を取り付けている。
このような本発明の実施例に係るパンチ金型Aによると、パンチ刃部2aによるワークの打抜き加工時にパンチドライバー4の外面4bがリテーナカラー3の第一環状部3bに対して軸方向へ往復動する際、パンチドライバー4の外面4bの環状凹溝4fに嵌入されたリング部材7の外周端7bが、リテーナカラー3の第一環状部3bに摺接するため、リテーナカラー3の第一環状部3bの軸心に対してパンチドライバー4の第二環状部4cの軸心が一致した状態で保たれる。
したがって、リテーナカラー3とパンチドライバー4の芯合わせ構造をより安定化させることができる。
その結果、高い芯合わせ精度を低コストで得ることができるという利点がある。
特に、図1(a)(b)及び図2に示される例のように、リング部材7として弾性変形可能なOリングを用いた場合には、リング部材7の外周端7bをリテーナカラー3の第一環状部3bに対して軸方向へ摺動自在に当接させても、金属の削り粉が発生しない。
したがって、部品接触による金属の削り粉の発生も防止することができる。
その結果、収縮変形又は伸長変形した変形移動中のストリッパースプリングがパンチドライバの外面と接触して金属の削り粉が発生する従来のものに比べ、異物混入事故や焼付き事故を確実に防止できるという利点がある。
さらに、環状凹溝4fの軸方向へ対向する内壁面4gのいずれか一方又は両方を、環状凹溝4fの内底面から溝縁に向かって軸方向へ拡開するように傾斜させた場合には、環状凹溝4fに対してOリングなどからなるリング部材7の着脱を容易に行うことができる。
したがって、パンチ金型Aを簡単に組み立てることができるとともにリング部材7の着脱交換を行い易いという利点がある。
特に、図示例のように、リング部材7が軟質材料からなるOリングである場合には、パンチドライバー4の環状凹溝4fの内底面とリテーナカラー3の第一環状部3bの内周面との間でリング部材7が弾性変形した際に、Oリングの外表面が鋭角な角部と接触しないから、Oリングが傷付き難く、長期に亘って使用できるという利点がある。
それに加えて、リテーナカラー3の通孔3aの先端側に傾斜状のガイド面3hを形成した場合には、パンチ刃部2aによるワークの打抜き加工直後に、弾性部材6の付勢力でパンチドライバー4の外面4bがリテーナカラー3の第一環状部3bに向けて軸方向へ復動する際、リング部材7が傾斜状のガイド面3hに沿って第一環状部3bの内周面に向けスムーズに嵌入し、位置決めされる。
したがって、パンチ刃部2aによるワークの打抜き加工時に、リテーナカラー3の第一環状部3bに対してパンチドライバー4の外面4bを軸方向へスムーズに往復動できて、リング部材7による作動不良を防止できるという利点がある。
また、リング部材7として弾性変形可能な軟質材料からなるリングに代え、硬質材料からなるC型止め輪などを用いた場合には、摺動に伴う摩耗が減少するため、部品交換することなく長期に亘って使用でき、リング部材7の寿命が延びて経済的である。
しかし、金属などの硬質材料からなるリング部材7を用いた場合は、部品接触による金属などの削り粉が発生するおそれがある。このような問題点を解決するため、硬質材料からなるリング部材7とリテーナカラー3やパンチドライバー4との接触部位に、グリスや摺動油などを塗布することで摩擦を抑えたり、硬質材料からなるリング部材7の硬度を、それと接触するリテーナカラー3又はパンチドライバー4の硬度よりも下げたりすることで、削り粉の発生を抑制することも可能である。
なお、前示実施例では、パンチドライバー4の第二環状部4cに形成される環状凹溝4fにリング部材7を嵌入して、リング部材7の内周端7aが環状凹溝4fに圧接されるとともに、リング部材7の外周端7bがリテーナカラー3の第一環状部3bに対し軸方向へ摺動自在に当接される場合を示したが、これに限定されず、これと逆にリテーナカラー3の第一環状部3bの内周面に、リング部材7が嵌入する環状凹溝に形成し、リング部材7の外周端を環状凹溝に圧接させ、リング部材7の内周端をパンチドライバー4の第二環状部4cの内周面に対して軸方向へ摺動自在に当接させても良い。
さらに、本発明は、前述した実施形態に限ることなく、適宜の変更を行うことにより、その他の形態でもって実施することも可能である
1 パンチガイド 2 パンチボディ
2a パンチ刃部 3 リテーナカラー
3b 第一環状部 3c 第一平面部
4 パンチドライバー 4b 外面
4c 第二環状部 4d 第二平面部
5 パンチヘッド 6 弾性部材
7 リング部材 7a 内周端
7b 外周端 S1 第一環状隙間
S2 第二環状隙間

Claims (3)

  1. 円筒形状のパンチガイドと、
    前記パンチガイドの内部に軸方向へ往復動自在に支持されてパンチ刃部を有するパンチボディと、
    前記パンチガイドに設けられるリテーナカラーと、
    前記リテーナカラーの内側に軸方向へ往復動自在に設けられて前記パンチボディの外面と軸方向へ調整動自在に係合するパンチドライバーと、
    前記パンチドライバーに設けられるパンチヘッドと、
    前記リテーナカラーと前記パンチヘッドとの間に軸方向へ変形可能に設けられる弾性部材と、
    前記リテーナカラー及び前記パンチドライバーの間にそれらのいずれか一方か又は両方に対し軸方向へ移動自在で且つその他の方向へ移動不能に設けられるリング部材と、を備え、
    前記リテーナカラーは、前記パンチドライバーの外面と対向する第一環状部を有し、該第一環状部には、軸方向と直交する方向へ形成される第一平面部が形成され、
    前記パンチドライバーは、前記パンチガイドと径方向へ対向する第二環状部を有し、該第二環状部には、軸方向と直交する方向へ形成されて前記リテーナカラーの前記第一環状部の前記第一平面部と軸方向へ当接する第二平面部が形成され、
    前記リング部材は、前記リテーナカラーの前記第一環状部と前記パンチドライバーの前記外面との間に第一環状隙間を形成するとともに、前記パンチドライバーの前記第二環状部と前記パンチガイドとの間に第二環状隙間を形成するように配置されることを特徴とするパンチ金型。
  2. 前記パンチドライバーの前記外面に、前記リング部材が嵌入する環状凹溝に形成し、前記リング部材の内周端を前記環状凹溝に圧接させ、前記リング部材の外周端を前記リテーナカラーの前記第一環状部に対して軸方向へ摺動自在に当接させることを特徴とする請求項1記載のパンチ金型。
  3. 前記リング部材として弾性変形可能なOリングを用いることを特徴とする請求項2記載のパンチ金型。
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