JP2014161882A - カム装置および加工装置 - Google Patents
カム装置および加工装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014161882A JP2014161882A JP2013035093A JP2013035093A JP2014161882A JP 2014161882 A JP2014161882 A JP 2014161882A JP 2013035093 A JP2013035093 A JP 2013035093A JP 2013035093 A JP2013035093 A JP 2013035093A JP 2014161882 A JP2014161882 A JP 2014161882A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cam
- guide bar
- slide
- base
- cam slide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】型の昇降に従い工具取付面に取り付けられた工具を精度よく所望方向に往復移動可能なカム装置、およびこのカム装置を用いた加工装置を提供する。
【解決手段】柱状のガイドバー211を有し、型の昇降に伴い上下方向に移動するベース21と、工具取付面226を有し、ガイドバー211に沿って移動可能な状態でベース21のガイドバー211に吊り下げられたカムスライド22と、ベース21の上下方向の移動に際し、ベース21の移動方向に対して傾斜した摺動面230とカムスライド22の摺動面228との摺動によりカムスライド22をガイドバー211に沿って案内するカムドライバ23と、カムスライド22を押し戻すバネ221と、カムスライド22の貫通穴223に配置され、ガイドバー211が少なくとも上下方向においてゼロまたはマイナスクリアランスで摺動可能に挿入されるガタ防止機構としての滑り軸受50と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】柱状のガイドバー211を有し、型の昇降に伴い上下方向に移動するベース21と、工具取付面226を有し、ガイドバー211に沿って移動可能な状態でベース21のガイドバー211に吊り下げられたカムスライド22と、ベース21の上下方向の移動に際し、ベース21の移動方向に対して傾斜した摺動面230とカムスライド22の摺動面228との摺動によりカムスライド22をガイドバー211に沿って案内するカムドライバ23と、カムスライド22を押し戻すバネ221と、カムスライド22の貫通穴223に配置され、ガイドバー211が少なくとも上下方向においてゼロまたはマイナスクリアランスで摺動可能に挿入されるガタ防止機構としての滑り軸受50と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、型の昇降に従い工具を所望方向に移動させるカム装置に関し、特に、型の昇降に従いパンチ等の工具を水平方向あるいは斜め方向に移動させることにより、垂直あるいは斜めに配置された薄板金属等のワークにパンチ加工等の加工を施すのに好適なカム装置に関する。
工具取付面に取り付けられた工具を、型の昇降に従い所望方向に移動させるカム装置が知られている(特許文献1等)。図15(A)は、従来のカム装置8を用いたパンチ加工装置7の正面図(部分断面図)であり、図15(B)は、図15(A)に示す従来のパンチ加工装置7のP−P断面図である。
図示するように、従来のパンチ加工装置7は、カム装置8と、パンチ9と、リテーナ10と、を備えて構成される。
カム装置8は、ベース81と、カムスライド82と、カムドライバ83と、を備えている。
ベース81は、ベース本体810と、ベース本体810に固定され、カムスライド82を案内する円柱状のガイドバー811と、を備えている。ベース本体810は、図示していない上型に固定され、この上型とともに上下方向Vに往復移動する。ベース本体810には、ガイドバー811に沿ってカムスライド82との摺動面812が形成され、また、ガイドバー811の一方の取付位置の周囲にバネ座813が形成されている。
カムスライド82は、ベース本体810の摺動面812に沿って移動可能にベース81に保持されるスライド本体820と、スライド本体820をホームポジションAに押し戻す方向に付勢するバネ821と、ベース81の下降時にベース本体810の摺動面812に接触するようにスライド本体820に取り付けられたスライドプレート822と、を備えている。
スライド本体820には、ガイドバー811が挿入される貫通穴823が形成されており、これにより、スライド本体820は、ガイドバー811に沿って移動可能にベース本体810に吊り下げられる。貫通穴823は、ベース本体810のバネ座813側の領域(大径部)824の内径が、この大径部824と反対側の領域(小径部)825の内径r9よりも大きな段付き穴となっている。ここで、貫通穴823の小径部825の内径r9は、カムスライド82がガイドバー811に沿ってスムーズに移動できるように、ガイドバー811の外径r8より大きい適切な値に設計されている。
また、スライド本体820は、リテーナ10を六角穴付きボルト104でボルト締めするためのネジ穴827が形成された工具取付面826を有している。さらに、スライド本体820には、後述するカムドライバ83の山型の摺動面830と摺接する谷型の摺動面828が底面側に形成されている。
バネ821は、スライド本体820の貫通穴823の大径部824に収容され、その内側をガイドバー811が貫通する。バネ821は、一端がベース本体810のバネ座813に当接し、他端が貫通穴823の大径部824の底部(大径部824と小径部825との内径差により形成される段差面829)に当接して、スライド本体820をホームポジションAに押し戻す方向に付勢する。
スライドプレート822は、ベース81の下降時にベース本体810の摺動面812と接触して滑動する。これにより、スライド本体820がスムーズに移動する。
カムドライバ83は、図示していない下型に固定され、カムスライド82を斜め方向Sに案内する。カムドライバ83には、スライド本体820の谷型の摺動面828と摺接する山型の摺動面830が形成されている。
パンチ9は、円柱状のシャフト91と、シャフト91の先端部に形成された刃部92と、シャフト91の後端部に形成されたフランジ93と、を有する。
リテーナ10は、スライド本体820のネジ穴827に対応する位置に形成された六角穴付きボルト104用のボルト挿入穴101と、パンチ9の保持位置に形成されたパンチ挿入穴102と、を有する。
パンチ挿入穴102は、このパンチ挿入穴102に挿入されたパンチ9がスライド本体820の工具取付面826との対向面の反対側から抜け出さないように、パンチ9のシャフト91およびフランジ93の外形に合わせた段付き穴となっている。そして、パンチ9をリテーナ10のパンチ挿入穴102にスライド本体820の工具取付面826との対向面側から挿入して、スライド本体820の工具取付面826にリテーナ10を接触させてから、リテーナ10のボルト挿入穴101に六角穴付きボルト104を挿入して、この六角穴付きボルト104をスライド本体820のネジ穴827に螺合させる。これにより、パンチ9をスライド本体820に固定している。
図16は、図15に示す従来のパンチ加工装置7の動作原理を説明するための図であり、図16(A)は、図15に示す従来のパンチ加工装置7の上死点におけるベース81、カムスライド82、およびカムドライバ83の配置関係を示す図、図16(B)は、図15に示す従来のパンチ加工装置7の下死点におけるベース81、カムスライド82、およびカムドライバ83の配置関係を示す図である。
図16(A)に示すように、上死点において、カムスライド82は、バネ821により付勢されて、ベース81のホームポジションAに当接している。上型の下降に伴いベース81が下方向−Vに移動すると、ベース81の摺動面812がカムスライド82のスライドプレート822と接触して、カムスライド82の谷型の摺動面828をカムドライバ83の山型の摺動面830に押し当てる。これにより、カムスライド82は、ベース81のホームポジションAから離れ、カムドライバ83の山型の摺動面830により案内され、下型630等に固定されたダイス610に向かって前進する。
具体的には、上型の下降とともに、カムスライド82は、ベース81のガイドバー811に案内されて、スライドプレート822とベース81の摺動面812とのスライドにより、ガイドバー811の軸心X方向に移動しながら、カムスライド82の谷型の摺動面828とカムドライバ83の山型の摺動面830との摺接により案内され、カムドライバ83の山型の摺動面830の稜線Yに沿って斜め下方向―Sに移動する。その結果、カムスライド82の工具取付面826が斜め下方向−Sに移動し、これに伴い、パンチ9も、ダイス610に向かって斜め下方向−Sに移動する。
なお、上述したように、カムスライド82の貫通孔823の小径部825の内径r9は、カムスライド82がガイドバー811に沿ってスムーズに移動できるように、ベース81のガイドバー811の外径r8よりも大きい適切な値に設計されている。このため、カムスライド82は、ベース81に対してガタ(隙間)がある。しかし、カムスライド82が、カムスライド82のスライドプレート822とベース81の摺動面812との摺接により上下方向に自動調心されるとともに、カムスライド82の谷型の摺動面828とカムドライバ83の山型の摺動面830との摺接により左右方向に自動調心され、リテーナ10によってカムスライド82の工具取付面826に取り付けられたパンチ9は、パンチ9の軸心Oに沿って斜め下方向−Sに正確に前進する。
そして、図16(B)に示すように、下死点において、パンチ9の刃部92がパンチ9の移動方向(軸心O方向)に対して垂直に配置された薄板金属等のワーク600に到達して、ワーク600にパンチ加工を施す。
図17に示すように、上述のパンチ加工装置7において、上型の上昇に伴ってベース81が下死点から上方向+Vに移動する場合、カムスライド82にベース81に対するガタ(隙間)があるため、このガタの分だけ、カムスライド82のスライドプレート822がベース81の摺動面812から離れる。この状態において、カムスライド82がバネ821により強く付勢されると、カムドライバ83の山型の摺動面830の斜め上方向+S側の先端を支点Pとして、カムスライド82を回転方向Rに回転させるモーメントが働く。このため、パンチ9の刃部92が斜め上方向+Sに移動しながら支点Pを中心として回転方向Rに回転し、ワーク600のパンチ加工孔602の縁にマクレ601を発生させる可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、型の昇降に従い工具を精度よく所望方向に往復移動させることができるカム装置、およびこのカム装置を用いたパンチ加工装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、カムスライドのベースに対する上下方向のガタを防止するガタ防止機構をカム装置に設けた。
例えば、本発明は、型の昇降に従い、ワークを加工するための工具を所望方向に移動させるカム装置であって、
柱状のガイドバーを有し、前記型の昇降に伴い上下方向に移動するベースと、
前記工具を保持するとともに、前記ガイドバーに沿って移動可能な状態で当該ガイドバーに保持されたカムスライドと、
前記工具の移動方向に沿って形成され、前記ベースの移動により、前記カムスライドと接触して前記カムスライドを摺動させる摺動面を有し、前記ベースの上下方向の移動中、前記カムスライドと前記摺動面との摺動により、前記カムスライドを前記工具の移動方向に案内するカムドライバと、
前記型の下降に伴い、前記ガイドバーに沿って移動した前記カムスライドを押し戻す方向に付勢する付勢手段と、
前記カムスライドの前記ベースに対する上下方向のガタを防止するガタ防止機構と、を備える。
柱状のガイドバーを有し、前記型の昇降に伴い上下方向に移動するベースと、
前記工具を保持するとともに、前記ガイドバーに沿って移動可能な状態で当該ガイドバーに保持されたカムスライドと、
前記工具の移動方向に沿って形成され、前記ベースの移動により、前記カムスライドと接触して前記カムスライドを摺動させる摺動面を有し、前記ベースの上下方向の移動中、前記カムスライドと前記摺動面との摺動により、前記カムスライドを前記工具の移動方向に案内するカムドライバと、
前記型の下降に伴い、前記ガイドバーに沿って移動した前記カムスライドを押し戻す方向に付勢する付勢手段と、
前記カムスライドの前記ベースに対する上下方向のガタを防止するガタ防止機構と、を備える。
ここで、前記ガタ防止機構は、
前記カムスライドに形成され、前記ガイドバーが挿入された貫通穴と、
前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の少なくとも一方に配置された摺動部材と、を有し、
前記ガイドバーは、
前記貫通穴に対して、少なくとも上下方向において、前記摺動部材を介してゼロまたはマイナスクリアランスとなるように、摺動自在に挿入されるものでもよい。
前記カムスライドに形成され、前記ガイドバーが挿入された貫通穴と、
前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の少なくとも一方に配置された摺動部材と、を有し、
前記ガイドバーは、
前記貫通穴に対して、少なくとも上下方向において、前記摺動部材を介してゼロまたはマイナスクリアランスとなるように、摺動自在に挿入されるものでもよい。
あるいは、前記ガタ防止機構は、
前記カムスライドに形成され、前記ガイドバーが挿入された貫通穴と、
水平方向において互いに対面する前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の一方に前記ガイドバーの軸方向に沿って形成された凸部と、
前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の他方に前記ガイドバーの軸方向に沿って形成され、前記凸部が収容された凹部と、
前記凸部および前記凹部の少なくとも一方の表面に配置された摺動部材と、を有し、
前記凸部は、
前記凹部に対して、少なくとも上下方向において、前記摺動部材を介してゼロまたはマイナスクリアランスとなるように、摺動自在に収容されるものでもよい。
前記カムスライドに形成され、前記ガイドバーが挿入された貫通穴と、
水平方向において互いに対面する前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の一方に前記ガイドバーの軸方向に沿って形成された凸部と、
前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の他方に前記ガイドバーの軸方向に沿って形成され、前記凸部が収容された凹部と、
前記凸部および前記凹部の少なくとも一方の表面に配置された摺動部材と、を有し、
前記凸部は、
前記凹部に対して、少なくとも上下方向において、前記摺動部材を介してゼロまたはマイナスクリアランスとなるように、摺動自在に収容されるものでもよい。
また、前記ベースが前記ガイドバーに沿って配置された柱状のサブガイドバーを有する場合、前記ガタ防止機構は、
前記カムスライドに形成され、前記サブガイドバーが挿入された貫通穴と、
前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の少なくとも一方に配置された、固体潤滑剤が分散された多孔質の焼結金属合金等の摺動部材と、を有し、
サブガイドバーは、
前記貫通穴に対して、少なくとも上下方向において、前記摺動部材を介してゼロまたはマイナスクリアランスとなるように、摺動自在に挿入されるものでもよい。
前記カムスライドに形成され、前記サブガイドバーが挿入された貫通穴と、
前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の少なくとも一方に配置された、固体潤滑剤が分散された多孔質の焼結金属合金等の摺動部材と、を有し、
サブガイドバーは、
前記貫通穴に対して、少なくとも上下方向において、前記摺動部材を介してゼロまたはマイナスクリアランスとなるように、摺動自在に挿入されるものでもよい。
また、本発明の加工装置は、ワークに加工を施す工具と、上述のカム装置と、上述のカム装置が備えるカムスライドに前記工具を固定するためのリテーナと、を備えている。
本発明によれば、カムスライドのベースに対する上下方向のガタを防止することにより、カムドライバに対するカムスライドの回転移動が拘束される。このため、付勢手段の付勢によって生じる回転モーメントにより、カムスライドがカムドライバの摺動面上のある位置を支点として回転するのを防止できるので、型の昇降に従い、工具取付面に取り付けられた工具を精度よく所望方向に往復移動させることが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態ではパンチ加工装置1A、1Bへの適用例を挙げるが、それぞれのパンチ加工装置1A、1Bにおいて、ダイス61は、薄板金属等のワーク60を介してパンチ3と対向する位置に配置されるように、あらかじめ、例えば下型63に固定されていることとする(図4、図5、図9、図10)。
<第一実施の形態>
図1(A)および図1(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Aの正面図および右側面図である。また、図2(A)は、図1(A)に示すパンチ加工装置1AのA−A断面図であり、図2(B)は、図1(B)に示すパンチ加工装置1AのB−B断面図である。また、図3は、図2(A)に示すパンチ加工装置1AのB部拡大図である。
図1(A)および図1(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Aの正面図および右側面図である。また、図2(A)は、図1(A)に示すパンチ加工装置1AのA−A断面図であり、図2(B)は、図1(B)に示すパンチ加工装置1AのB−B断面図である。また、図3は、図2(A)に示すパンチ加工装置1AのB部拡大図である。
本実施の形態に係るパンチ加工装置1Aは、薄板金属等のワーク60にパンチ加工を施すためのものであり、図示するように、カム装置2と、パンチ3と、リテーナ4と、を備えて構成される。カム装置2は、ベース21と、カムスライド22と、カムドライバ23と、ガタ防止機構としての滑り軸受50と、を備えている。
ベース21は、ベース本体210と、型の移動方向(ベースの移動方向V)に対して傾斜してベース本体210に取り付けられ、カムスライド22を案内する円柱状のガイドバー211と、を備えている。
ベース本体210は、図示していない上型に固定され、この上型とともに上下方向Vに移動する。ベース本体210には、カムスライド22との摺動面212がガイドバー211に沿うように型の移動方向(ベースの移動方向V)に対し傾斜して形成されている。また、ガイドバー211の一方の取付位置の周囲には、ガイドバー211が挿入される後述のバネ221の一端221Aを受けるバネ座213が形成されている。
カムスライド22は、ベース本体210の摺動面212に沿って移動可能にベース21に取り付けられたガイドバー211に保持されるスライド本体220と、スライド本体220をホームポジションAに押し戻す方向に付勢するバネ221と、ベース本体210の摺動面212と摺接するようにスライド本体220に取り付けられたスライドプレート222と、を備えている。
スライド本体220は、リテーナ4を六角穴付きボルト44でボルト締めするためのネジ穴227が形成された工具取付面226を有している。また、スライド本体220の底面側には、後述するカムドライバ23の山型の摺動面230と摺接する谷型の摺動面228が形成されている。さらに、スライド本体220には、ベース21のガイドバー211が挿入される貫通穴223が形成されている。この貫通穴223内にガイドバー211が挿入されることにより、カムスライド22は、ガイドバー211に吊り下げられてベース21とともに上下動しながら、ガイドバー211に案内されて、ベース21に対してガイドバー211の軸心X方向に往復移動する。この貫通穴223は、ベース本体210のバネ座213側の領域(大径部)224Aの内径が、この大径部224Aと軸心方向反対側の領域(小径部)224Bの内径より大きな段付き穴となっている。
貫通穴223の小径部224Bには、スライド本体220がガイドバー211に沿ってスムーズに移動可能となるように、内周面が摺動面として機能する滑り軸受50を配置している。滑り軸受50には、例えば黒鉛等の固体潤滑剤を銅合金等に分散させ、これを焼結して得られる多孔質の焼結合金層にさらに含油処理を施した摺動部材が用いられる。このような摺動部材として、例えばオイレス工業株式会社のオイレス♯2000がある。このオイレス♯2000は、金属製の管とその内側に形成された摺動層からなる二重構造を有しており、重量比で、錫を4〜10%、ニッケルを10〜40%、燐を0.5〜4%、黒鉛を3〜10%含み、残部として銅を含む円筒状の圧粉体を、鉄、鉄合金、銅および銅合金のうちのいずれか一つの金属で形成された管の内側に圧入したものを加圧焼結することにより形成される。
滑り軸受50は、左右方向に長い長穴断面形状をしている。すなわち、左右方向の内径r3は、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接によるカムスライド22の自動調心により、カムスライド22がガイドバー211に対して左右方向に僅か(Δs)に移動できるように、ガイドバー211の外径r1よりも大きい寸法に設計されている。一方、上下方向の内径r2は、ガイドバー211の外径r1とのクリアランスがゼロまたはマイナスとなる寸法に設計されている。しかしながら、滑り軸受50の摺動性能により、ガイドバー211は、かじりを生じることなく摺動自在に滑り軸受50内に挿入されている。滑り軸受50の上下方向の内径r2をガイドバー211の外径r1に対してゼロまたはマイナスクリアランスとすることにより、カムスライド22のベース21に対する上下方向のガタが防止される。
バネ221は、スライド本体220の貫通穴223の大径部224Aに収容されて、その内側をガイドバー211が貫通する。また、バネ221は、その一端221Aがベース本体210のバネ座213に当接し、その他端221Bが貫通穴223の領域224A、224B間の段差面235に当接して、スライド本体220をホームポジションAに押し戻す方向に付勢する。
スライドプレート222は、ベース本体210の摺動面212と摺接する。これにより、上型の昇降に伴いスライド本体220がスムーズに移動する。
なお、本実施の形態では、スライドプレート222をスライド本体220に取り付けているが、ベース本体210側に取り付けてもよい。すなわち、ベース本体210に摺動面212を形成する代わりにスライドプレートを取付け、スライド本体220には、ベース本体210のスライドプレートと摺接する摺動面を形成するようにしてもよい。また、スライド本体220およびベース本体210の両方にスライドプレートを取り付けて、両者を摺接させるようにしてもよい。
カムドライバ23は、図示していない下型に固定され、カムスライド22を斜め方向Sに案内する。カムドライバ23には、スライド本体220の谷型の摺動面228と摺接する山型の摺動面230が形成されている。カムドライバ23の山型の摺動面230とスライド本体220の谷型の摺動面228との摺接により、カムスライド22は左右方向に自動調心されて、斜め方向Sに案内される。なお、スライド本体220の谷型の摺動面228およびカムドライバ23の山型の摺動面230のどちらか一方あるいは両方に摺動部材を取り付けてもよい。
パンチ3は、円柱状のシャフト31と、シャフト31の先端部に形成された刃部32と、シャフト31の後端部に形成されたフランジ33と、を有する。
リテーナ4は、スライド本体220のネジ穴227と対向する位置に形成されたボルト挿入穴41と、パンチ3の保持位置に形成されたパンチ挿入穴42と、を有する。ボルト挿入穴41には六角穴付きボルト44が挿入され、パンチ挿入穴42には、スライド本体220の工具取付面226との対向面43側からパンチ3が挿入される。
パンチ挿入穴42は、スライド本体220の工具取付面226との対向面43の反対側からパンチ3が抜け出さないように、パンチ3のシャフト31およびフランジ33の外形に合わせた段付き穴となっている。スライド本体220の工具取付面226との対向面43側からパンチ挿入穴42にパンチ3を挿入してから、この工具取付面226にリテーナ4を接触させ、ボルト挿入穴41に六角穴付きボルト44を挿入して、この六角穴付きボルト44をスライド本体220のネジ穴227に螺合させる。これにより、パンチ3をスライド本体220に固定している。
つぎに、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Aの動作原理を説明する。
図4(A)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Aの上死点におけるベース21、カムスライド22、およびカムドライバ23の配置関係を示す図であり、図4(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Aの上死点から下死点への移行中において、パンチ3がワーク60に当接する前におけるベース21、カムスライド22、およびカムドライバ23の配置関係を示す図である。また、図5(A)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Aの下死点におけるベース21、カムスライド22、およびカムドライバ23の配置関係を示す図であり、図5(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Aの下死点から上死点への移行中において、パンチ3がワーク60から離れる直前におけるベース21、カムスライド22、およびカムドライバ23の配置関係を示す図である。
まず、図4(A)に示すように、上死点において、カムスライド22は、バネ221により付勢されて、ベース21のホームポジションAに当接している。
ここで、図4(B)に示すように、上型の下降に伴いベース21が下方向−Vに移動すると、カムスライド22は、ベース21のホームポジションAから離れ、カムドライバ23に当接する。そして、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により左右方向に自動調心されながら案内され、下型63等に固定されたダイス61に向かって前進する。
具体的には、上型の下降とともに、カムスライド22は、スライドプレート222がベース21の摺動面212と摺接しながら、ベース21のガイドバー211に案内されて、ベース21に対してガイドバー211の軸心X方向に移動する。また、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により左右方向に自動調心されながら案内され、カムドライバ23の山型の摺動面230の稜線Yに沿って斜め下方向―Sに移動する。その結果、カムスライド22の工具取付面226が斜め下方向−Sに移動し、これに伴い、パンチ3も、ダイス61に向かって斜め下方向−Sに移動する。
上述したように、滑り軸受50の左右方向の内径r3は、カムスライド22がガイドバー211に対して左右方向に僅か(Δs)に移動できるように、ガイドバー211の外径r1よりも大きい寸法に設計されているが、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により、カムスライド22が左右方向に自動調心され、左右方向に高精度に位置決めされる。さらに、滑り軸受50の上下方向の内径r2は、ガイドバー211の外径r1とのクリアランスがゼロまたはマイナスとなる寸法に設計されているので、カムスライド22がベース21に対して上下方向に高精度に位置決めされる。このため、リテーナ4によってカムスライド22の工具取付面226に取り付けられたパンチ3は、パンチ3の軸心Oに沿った斜め下方向−Sに精度よく移動する。
その後、図5(A)に示すように、下死点において、パンチ3の刃部32がパンチ3の移動方向(軸心O方向)に対して垂直に配置された薄板金属等のワーク60を貫き、ワーク60にパンチ加工を施す。
つぎに、図5(B)に示すように、上型の上昇に伴い、ベース21が下死点から上方向+Vに移動すると、カムスライド22は、バネ221により付勢され、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により左右方向に自動調心されながら、ガイドバー211に沿ってホームポジションAに戻る方向に移動する。このため、リテーナ4によってカムスライド22の工具取付面226に取り付けられたパンチ3は、パンチ3の軸心Oに沿った斜め上方向+Sに精度よく移動する。
ここで、滑り軸受50の上下方向の内径r2がガイドバー211の外径r1に対してゼロまたはマイナスクリアランスとなる寸法に設計されているので、カムスライド22のベース21に対するガタが防止され、これにより、カムドライバ23に対するカムスライド22の回転が拘束される。したがって、パンチ3を、パンチ3の軸心Oに沿って斜め上方向+Sに精度よく移動させることができ、これにより、パンチ3の刃部32がワーク60に対して垂直な方向にパンチ加工孔62から引き抜かれるため、ワーク60のパンチ加工孔62の縁部が捲れるのを防止できる。
以上、本発明の第一実施の形態について説明した。
本実施の形態によれば、上下方向の内径r2がガイドバー211の外径r1に対してゼロまたはマイナスクリアランスとなる寸法に設計された滑り軸受50によって、カムスライド22のベース21に対する上下方向のガタを防止することにより、カムドライバ23に対するカムスライド22の回転が拘束される。このため、バネ221の付勢により生じる回転モーメントによってカムスライド22が回転するのを防止できるので、リテーナ4によりカムスライド22の工具取付面226に固定されたパンチ3を、上型の上昇に従い、パンチ3の軸心Oに沿った斜め上方向+Sに精度よく移動させることができる。
なお、本実施の形態では、貫通穴223の小径部224Bに、内周面が摺動面として機能する滑り軸受50を配置しているが、本発明はこれに限定されない。外周面が摺動面として機能する滑り軸受を、ガイドバー211の外周面を覆うように配置してもよい。
また、本実施の形態では、滑り軸受50の左右方向の内径r3を、カムスライド22がガイドバー211に対して左右方向に僅か(Δs)に移動できるように、ガイドバー211の外径r1よりも大きい寸法に設計している。しかし、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により定まる左右方向の位置に、高精度に位置決めすることが可能であるならば、上下方向の内径r2と同様、ガイドバー211の外径r1に対してゼロまたはマイナスクリアランスとなる寸法に設計してもよい。この場合、カムスライド22の摺動面228とカムドライバ23の摺動面230との摺接による左右方向の自動調心が不要になるので、カムスライド22の摺動面228およびカムドライバ23の摺動面230は、平坦面としてもよい。
<第二実施の形態>
図6(A)および図6(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Bの正面図および右側面図である。また、図7(A)は、図6(A)に示すパンチ加工装置1BのC−C断面図であり、図7(B)は、図6(B)に示すパンチ加工装置1BのD−D断面図である。また、図8は、図7(A)の示すパンチ加工装置1BのC部拡大図である。
図6(A)および図6(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Bの正面図および右側面図である。また、図7(A)は、図6(A)に示すパンチ加工装置1BのC−C断面図であり、図7(B)は、図6(B)に示すパンチ加工装置1BのD−D断面図である。また、図8は、図7(A)の示すパンチ加工装置1BのC部拡大図である。
図6ないし図8において、図1ないし図3に示す第一実施の形態に係るパンチ加工装置1Aと同じ機能を有するものには同じ符号を付している。
本実施の形態に係るパンチ加工装置1Bが、第一実施の形態に係るパンチ加工装置1Aと異なる点は、ガタ防止機構としての滑り軸受50に代えガタ防止機構51を用いたこと、およびカムスライド22がガイドバー211に沿ってスムーズに移動できるように、カムスライド22の貫通穴223の小径部224Bの内径r4をガイドバー211の外径r1より大きい適切な値に設計したことである。その他の構成はパンチ加工装置1Aと同様である。
ガタ防止機構51は、ガイドバー211の外周面の左右両側において、ガイドバー211の軸心X方向に沿って形成された凸部511と、貫通穴223の小径部224Bの内周面の左右両側において、凸部511と対向するようにガイドバー211の軸心X方向に沿って形成された凹部512と、凹部512の表面を覆うように配置された、凸部511との対向面が摺動面として機能する滑り軸受513と、を備えている。
滑り軸受513には、第一実施の形態の滑り軸受50と同様の摺動部材が用いられる。また、滑り軸受513は、凸部511との対向側が開口したコの字型の断面形状をしている。滑り軸受513の開口部の奥行きs2は、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接によるカムスライド22の自動調心により、カムスライド22がガイドバー211に対して左右方向に僅かに移動できるように、凸部511の突出長s1よりも長い寸法に設計されている。一方、滑り軸受513の開口部の幅t2は、凸部511の幅t1とのクリアランスがゼロまたはマイナスとなる寸法に設計されている。しかしながら、滑り軸受513の摺動性能により、凸部511は、滑り軸受513に、かじりを生じることなくガイドバー211の軸心X方向に対して摺動自在に収容されている。滑り軸受513の開口部の幅t2を凸部511の幅t1に対してゼロまたはマイナスクリアランスとすることにより、カムスライド22のベース21に対する上下方向のガタが防止される。
つぎに、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Bの動作原理を説明する。
図9(A)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Bの上死点におけるベース21、カムスライド22、およびカムドライバ23の配置関係を示す図であり、図9(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Bの上死点から下死点への移行中において、パンチ3がワーク60に当接する前におけるベース21、カムスライド22、およびカムドライバ23の配置関係を示す図である。また、図10(A)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Bの下死点におけるベース21、カムスライド22、およびカムドライバ23の配置関係を示す図であり、図10(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Bの下死点から上死点への移行中において、パンチ3がワーク60から離れる直前におけるベース21、カムスライド22、およびカムドライバ23の配置関係を示す図である。
まず、図9(A)に示すように、上死点において、カムスライド22は、バネ221により付勢されて、ベース21のホームポジションAに当接している。
ここで、図9(B)に示すように、上型の下降に伴いベース21が下方向−Vに移動すると、カムスライド22は、ベース21のホームポジションAから離れ、カムドライバ23に当接する。そして、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により左右方向に自動調心されながら案内され、下型63等に固定されたダイス61に向かって前進する。
具体的には、上型の下降とともに、カムスライド22は、スライドプレート222がベース21の摺動面212と摺接しながら、ベース21のガイドバー211に案内されて、ベース21に対してガイドバー211の軸心X方向に移動する。また、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により左右方向に自動調心されながら案内され、カムドライバ23の山型の摺動面230の稜線Yに沿って斜め下方向―Sに移動する。その結果、カムスライド22の工具取付面226が斜め下方向−Sに移動し、これに伴い、パンチ3も、ダイス61に向かって斜め下方向−Sに移動する。
上述したように、滑り軸受513の開口部の奥行きs2は、カムスライド22がガイドバー211に対して左右方向に僅かに移動できるように、ガイドバー211の凸部511の突出長s1よりも長い寸法に設計されているが、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により、カムスライド22が左右方向に自動調心され、左右方向に高精度に位置決めされる。また、滑り軸受513の開口部の上下方向の幅t2は、凸部511の上下方向の幅t1とのクリアランスがゼロまたはマイナスとなる寸法に設計されているので、カムスライド22がベース21に対して上下方向に高精度に位置決めされる。このため、リテーナ4によってカムスライド22の工具取付面226に取り付けられたパンチ3は、パンチ3の軸心Oに沿った斜め下方向−Sに精度よく移動する。
その後、図10(A)に示すように、下死点において、パンチ3の刃部32がパンチ3の移動方向(軸心O方向)に対して垂直に配置された薄板金属等のワーク60を貫き、ワーク60にパンチ加工を施す。
つぎに、図10(B)に示すように、上型の上昇に伴い、ベース21が下死点から上方向+Vに移動すると、カムスライド22は、バネ221により付勢され、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により左右方向に自動調心されながら、ガイドバー211に沿ってホームポジションAに戻る方向に移動する。このため、リテーナ4によってカムスライド22の工具取付面226に取り付けられたパンチ3は、パンチ3の軸心Oに沿った斜め上方向+Sに精度よく移動する。
ここで、滑り軸受513の開口部の上下方向の幅t2は、ガイドバー211の凸部511の上下方向の幅t1とのクリアランスがゼロまたはマイナスとなる寸法に設計されているので、カムスライド22のベース21に対する上下方向のガタが防止され、これにより、カムドライバ23に対するカムスライド22の回転が拘束される。したがって、パンチ3を、パンチ3の軸心Oに沿って斜め上方向+Sに精度よく移動させることができ、これにより、パンチ3の刃部32がワーク60に対して垂直な方向にパンチ加工孔62から引き抜かれるため、ワーク60のパンチ加工孔62の縁部が捲れるのを防止できる。
以上、本発明の第二実施の形態について説明した。
本実施の形態によれば、ガイドバー211に形成された凸部511の幅t1に対して開口部の幅t2がゼロまたはマイナスクリアランスとなる寸法に設計された滑り軸受513によって、カムスライド22のベース21に対する上下方向のガタを防止することにより、カムドライバ23に対するカムスライド22の回転が拘束される。このため、バネ221の付勢により生じる回転モーメントによってカムスライド22が回転するのを防止できるので、リテーナ4によりカムスライド22の工具取付面226に固定されたパンチ3を、上型の上昇に従い、パンチ3の軸心Oに沿った斜め上方向+Sに精度よく移動させることができる。
なお、本実施の形態では、ガイドバー211の外周面の左右両側に凸部511を形成すするとともに、貫通穴223の小径部224Bの内周面の左右両側に凹部512を形成し、この凹部512の表面を覆うように滑り軸受513を配置することにより、ガタ防止機構51を形成しているが、本発明はこれに限定されない。貫通穴223の小径部224Bの内周面の左右両側に凸部511を形成するとともに、ガイドバー211の外周面の左右両側に凹部512を形成し、この凹部512の表面を覆うように滑り軸受513を配置することにより、ガタ防止機構51を形成してもよい。
また、本実施の形態において、凹部512の表面を覆うように滑り軸受513を配置する代わりに、凸部511の表面を覆うように、凹部512との対向面が摺動面として機能する滑り軸受を配置してもよい。
また、本実施の形態では、滑り軸受513の開口部の奥行きs2を、カムスライド22がガイドバー211に対して左右方向に僅かに移動できるように、凸部511の突出長s1よりも長い寸法に設計している。しかし、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により定まる左右方向の位置に、高精度に位置決めすることが可能であるならば、滑り軸受513の開口部の幅t2と同様、凸部511の突出長s1に対してゼロまたはマイナスクリアランスとなる寸法に設計してもよい。この場合、カムスライド22の摺動面228とカムドライバ23の摺動面230との摺接による左右方向の自動調心が不要になるので、カムスライド22の摺動面228およびカムドライバ23の摺動面230は、平坦面としてもよい。
<第三実施の形態>
図11(A)および図11(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Cの正面図および右側面図である。また、図12(A)は、図11(A)に示すパンチ加工装置1CのE−E断面図であり、図12(B)は、図11(B)に示すパンチ加工装置1CのF−F断面図である。また、図13は、図12(A)の示すパンチ加工装置1CのD部拡大図である。
図11(A)および図11(B)は、本実施の形態に係るパンチ加工装置1Cの正面図および右側面図である。また、図12(A)は、図11(A)に示すパンチ加工装置1CのE−E断面図であり、図12(B)は、図11(B)に示すパンチ加工装置1CのF−F断面図である。また、図13は、図12(A)の示すパンチ加工装置1CのD部拡大図である。
図11ないし図13において、図1ないし図3に示す第一実施の形態に係るパンチ加工装置1Aと同じ機能を有するものには同じ符号を付している。
本実施の形態に係るパンチ加工装置1Cが、第一実施の形態に係るパンチ加工装置1Aと異なる点は、ガイドバー211とともにカムスライド22を案内する円柱状のサブガイドバー521をベース21に二つ追加し、これらのサブガイドバー521をガイドバー211に沿って、ガイドバー211を挟んで対向する位置に配置したこと、カムスライド22がガイドバー211に沿ってスムーズに移動できるように、貫通穴223の小径部224Bの内径r4をガイドバー211の外径r1より大きい適切な値に設計したこと、ガイドバー211の左右両側に配置された二つのサブガイドバー521がそれぞれ挿入される二つの貫通穴523をカムスライド22に形成したこと、および、ガタ防止機構としての滑り軸受50に代えて二つの滑り軸受520を用いたことである。その他の構成はパンチ加工装置1Aと同様である。
貫通穴523には、スライド本体220がガイドバー211およびサブガイドバー521に沿ってスムーズに移動可能となるように、内周面が摺動面として機能する滑り軸受5520を配置している。滑り軸受520には、第一実施の形態の滑り軸受50と同様の摺動部材が用いられる。
滑り軸受520は、左右方向に長い長穴断面形状をしている。すなわち、左右方向の内径r7は、谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接によるカムスライド22の自動調心により、カムスライド22がサブガイドバー521に対して左右方向に僅か(Δs’)に移動できるように、ガイドバー521の外径r5よりも大きい寸法に設計されている。一方、上下方向の内径r6は、ガイドバー521の外径r5とのクリアランスがゼロまたはマイナスとなる寸法に設計されている。しかしながら、滑り軸受520の摺動性能により、サブガイドバー521は、かじりを生じることなく摺動自在に滑り軸受520内に挿入されている。滑り軸受520の上下方向の内径r6をサブガイドバー521の外径r5に対してゼロまたはマイナスクリアランスとすることにより、カムスライド22のベース21に対する上下方向のガタが防止される。
以上、本発明の第三実施の形態について説明した。
本実施の形態によれば、上下方向の内径r6がサブガイドバー521の外径r5に対してゼロまたはマイナスクリアランスとなる寸法に設計された滑り軸受520によって、カムスライド22のベース21に対する上下方向のガタを防止することにより、カムドライバ23に対するカムスライド22の回転が拘束される。このため、バネ221の付勢により生じる回転モーメントによってカムスライド22が回転するのを防止できるので、リテーナ4によりカムスライド22の工具取付面226に固定されたパンチ3を、上型の上昇に従い、パンチ3の軸心Oに沿った斜め上方向+Sに精度よく移動させることができる。
なお、本実施の形態において、図14に示すように、貫通穴223を挟んで対向する位置に形成された二つの貫通穴523のそれぞれをスリット524で貫通穴223に連結するとともに、ガイドバー211を挟んで対向する位置に配置された二つのサブガイドバー521のそれぞれを連結板525で連結してもよい。
また、本実施の形態では、ガイドバー211を挟んで対向する位置に二つのサブガイドバー521を配置するとともに、貫通穴223を挟んで対向する位置にサブガイドバー521が挿入される二つの貫通穴523を形成しているが、本発明はこれに限定されない。対となるサブガイドバー521および貫通穴523を1または3以上設けてもよい。
なお、本実施の形態では、貫通穴523に、内周面が摺動面として機能する滑り軸受520を配置しているが、本発明はこれに限定されない。外周面が摺動面として機能する滑り軸受を、サブガイドバー521の外周面を覆うように配置してもよい。
また、本実施の形態では、滑り軸受520の左右方向の内径r7を、カムスライド22がサブガイドバー521に対して左右方向に僅か(Δs’)に移動できるように、サブガイドバー521の外径r5よりも大きい寸法に設計している。しかし、カムスライド22の谷型の摺動面228とカムドライバ23の山型の摺動面230との摺接により定まる左右方向の位置に、高精度に位置決めすることが可能であるならば、滑り軸受520の上下方向の内径r6と同様、サブガイドバー521の外径r5に対してゼロまたはマイナスクリアランスとなる寸法に設計してもよい。この場合、カムスライド22の摺動面228とカムドライバ23の摺動面230との摺接による左右方向の自動調心が不要になるので、カムスライド22の摺動面228およびカムドライバ23の摺動面230は、平坦面としてもよい。
本発明は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、上記の各実施の形態においては、カム装置2がパンチ3を斜め方向Sに移動させているが、パンチ3の移動方向は、斜め方向Sに限らず水平方向であってもよい。また、上記の各実施の形態において、バネ221の代わりに、バネと同等の機能を有する弾性体を用いてもよい。また、上記の各実施の形態では、カム装置2をパンチ加工装置1A、1Bに用いた場合を例にとり説明したが、本発明のカム装置は、工具取付面に取り付けられた工具によりワークに加工を施す様々な加工装置に適用可能である。
1A、1B:パンチ加工装置、 2:カム装置、 3:パンチ、 4:リテーナ、 21:ベース、 22:カムスライド、 23:カムドライバ、 31:シャフト、 32:刃部、 33:フランジ、 41:ボルト挿入穴、 42:パンチ挿入穴、 43:工具取付面との対向面、 44:六角穴付きボルト、 50:滑り軸受、 51:ガタ防止機構、 60:ワーク、 61:ダイス、 63:下型、 210:ベース本体、 211:ガイドバー、 212:摺動面、 213:バネ座、 214:ベースの側面、 220:スライド本体、 221:バネ、 222:スライドプレート、 223:貫通穴、 224A:貫通穴の小径部、 224B:貫通穴の大径部、 226:工具取付面、 227:ネジ穴、 228:摺動面、 230:摺動面、 235:貫通穴の段差面、 511:凸部、 512:凹部、 513:滑り軸受、 520:滑り軸受、 521:サブガイドバー、 523:貫通穴 、524:スリット、 525:連結板
Claims (8)
- 型の昇降に従い、ワークを加工するための工具を所望方向に移動させるカム装置であって、
柱状のガイドバーを有し、前記型の昇降に伴い上下方向に移動するベースと、
前記工具を保持するとともに、前記ガイドバーに沿って移動可能な状態で当該ガイドバーに保持されたカムスライドと、
前記工具の移動方向に沿って形成され、前記ベースの移動により、前記カムスライドと接触して前記カムスライドを摺動させる摺動面を有し、前記ベースの上下方向の移動中、前記カムスライドと前記摺動面との摺動により、前記カムスライドを前記工具の移動方向に案内するカムドライバと、
前記型の下降に伴い、前記ガイドバーに沿って移動した前記カムスライドを押し戻す方向に付勢する付勢手段と、
前記カムスライドの前記ベースに対する上下方向のガタを防止するガタ防止機構と、を備える
ことを特徴とするカム装置。 - 請求項1に記載のカム装置であって、
前記ガタ防止機構は、
前記カムスライドに形成され、前記ガイドバーが挿入された貫通穴と、
前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の少なくとも一方に配置された摺動部材と、を有し、
前記ガイドバーは、
前記貫通穴に対して、少なくとも上下方向において、前記摺動部材を介してゼロまたはマイナスクリアランスとなるように、摺動自在に挿入される
ことを特徴とするカム装置。 - 請求項1に記載のカム装置であって、
前記ガタ防止機構は、
前記カムスライドに形成され、前記ガイドバーが挿入された貫通穴と、
水平方向において互いに対面する前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の一方に前記ガイドバーの軸方向に沿って形成された凸部と、
前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の他方に前記ガイドバーの軸方向に沿って形成され、前記凸部が収容された凹部と、
前記凸部および前記凹部の少なくとも一方の表面に配置された摺動部材と、を有し、
前記凸部は、
前記凹部に対して、少なくとも上下方向において、前記摺動部材を介してゼロまたはマイナスクリアランスとなるように、摺動自在に収容される
ことを特徴とするカム装置。 - 請求項1に記載のカム装置であって、
前記ベースは、
前記ガイドバーに沿って配置された柱状のサブガイドバーをさらに有し、
前記ガタ防止機構は、
前記カムスライドに形成され、前記サブガイドバーが挿入された貫通穴と、
前記貫通穴の内周面および前記ガイドバーの外周面の少なくとも一方に配置された摺動部材と、を有し、
前記サブガイドバーは、
前記貫通穴に対して、少なくとも上下方向において、前記摺動部材を介してゼロまたはマイナスクリアランスとなるように、摺動自在に挿入される
ことを特徴とするカム装置。 - 請求項2ないし4のいずれか一項に記載のカム装置であって、
前記摺動部材は、固体潤滑剤が分散された多孔質の焼結金属合金である
ことを特徴とするカム装置。 - 請求項5に記載のカム装置であって、
前記多孔質の焼結金属合金は、
重量比で、錫を4〜10%、ニッケルを10〜40%、燐を0.5〜4%、前記固体潤滑剤として黒鉛を3〜10%含み、残部として銅を含む
ことを特徴とするカム装置。 - ワークを加工する加工装置であって、
前記ワークに加工を施す工具と、
型に取り付けられ、前記型の昇降に従い、前記工具を所望方向に移動させる請求項1ないし6のいずれか一項に記載のカム装置と、
前記カム装置のカムスライドに前記工具を固定するためのリテーナと、を備える
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項7に記載の加工装置であって、
前記工具は、前記ワークにパンチ加工を施すパンチである
ことを特徴とする加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013035093A JP2014161882A (ja) | 2013-02-25 | 2013-02-25 | カム装置および加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013035093A JP2014161882A (ja) | 2013-02-25 | 2013-02-25 | カム装置および加工装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014161882A true JP2014161882A (ja) | 2014-09-08 |
Family
ID=51613025
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013035093A Pending JP2014161882A (ja) | 2013-02-25 | 2013-02-25 | カム装置および加工装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014161882A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105598285A (zh) * | 2016-01-22 | 2016-05-25 | 安徽江淮汽车股份有限公司 | 一种向上成形模具组件及冲压模具 |
JP2016179476A (ja) * | 2015-03-23 | 2016-10-13 | オイレス工業株式会社 | カム装置 |
CN107363159A (zh) * | 2016-05-12 | 2017-11-21 | 苏州萨伦电子有限公司 | 一种耐高温堵孔硅胶塞的冲压模具 |
JP2019529119A (ja) * | 2016-09-26 | 2019-10-17 | トルンプ ヴェルクツォイクマシーネ ゲーエムベーハー+シーオー.ケージー | 板状工作物の加工のための工具および工具機械並びに方法 |
CN114290628A (zh) * | 2022-01-06 | 2022-04-08 | 宁波方正汽车模具股份有限公司 | 组合滑块脱模机构 |
-
2013
- 2013-02-25 JP JP2013035093A patent/JP2014161882A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016179476A (ja) * | 2015-03-23 | 2016-10-13 | オイレス工業株式会社 | カム装置 |
CN105598285A (zh) * | 2016-01-22 | 2016-05-25 | 安徽江淮汽车股份有限公司 | 一种向上成形模具组件及冲压模具 |
CN105598285B (zh) * | 2016-01-22 | 2018-02-13 | 安徽江淮汽车集团股份有限公司 | 一种向上成形模具组件及冲压模具 |
CN107363159A (zh) * | 2016-05-12 | 2017-11-21 | 苏州萨伦电子有限公司 | 一种耐高温堵孔硅胶塞的冲压模具 |
JP2019529119A (ja) * | 2016-09-26 | 2019-10-17 | トルンプ ヴェルクツォイクマシーネ ゲーエムベーハー+シーオー.ケージー | 板状工作物の加工のための工具および工具機械並びに方法 |
JP6992055B2 (ja) | 2016-09-26 | 2022-01-13 | トルンプ ヴェルクツォイクマシーネ ゲーエムベーハー+シーオー.ケージー | 板状工作物の加工のための工具および工具機械並びに方法 |
CN114290628A (zh) * | 2022-01-06 | 2022-04-08 | 宁波方正汽车模具股份有限公司 | 组合滑块脱模机构 |
CN114290628B (zh) * | 2022-01-06 | 2023-07-21 | 宁波方正汽车模具股份有限公司 | 组合滑块脱模机构 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2014161882A (ja) | カム装置および加工装置 | |
JP2014144464A (ja) | カム装置および加工装置 | |
JP2018020368A (ja) | 型押し加工用パンチ金型、型押し加工用金型セット、及び面取り加工方法 | |
US20110038979A1 (en) | Die unit and method of manufacturing die unit | |
JP2008302373A (ja) | パンチプレス金型 | |
CN105750414A (zh) | 一种翻边机构及模具 | |
JP2005081359A (ja) | プレス抜金型 | |
JP2009202228A (ja) | 穴あけ加工装置 | |
JP4746904B2 (ja) | 加工方法、ダイ及び金型構造 | |
JP5311923B2 (ja) | ベンドピアス加工装置 | |
JP2019141897A (ja) | フローティングカッターユニットおよびトリミングプレス加工装置 | |
KR20080026507A (ko) | 펀처 | |
JP5317490B2 (ja) | パンチ金型 | |
JP5171086B2 (ja) | パンチ金型 | |
CN108043933B (zh) | 一种自动翻孔脱模机构及机床 | |
JP2016179476A (ja) | カム装置 | |
JP2008221258A (ja) | スライドカム装置 | |
CN211564185U (zh) | 一种汽车钣金件的冲孔装置 | |
JP5407231B2 (ja) | パンチツールおよびストリッパ | |
CN210996032U (zh) | 冲压模具 | |
JP2016078079A (ja) | パンチ金型 | |
US808470A (en) | Punching-tool. | |
CN104526756A (zh) | 车门玻璃导槽冲孔装置 | |
JP6122725B2 (ja) | パンチ金型 | |
JP3117089U (ja) | パイプ円筒面の穴明用の金型セット、穴明機構及び穴明プレス機 |