JP6121825B2 - エポキシ樹脂エマルション - Google Patents

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Description

本発明は、エポキシ樹脂エマルションに関する。さらに詳しくは、貯蔵安定性および耐水性に優れる塗膜を与えるエポキシ樹脂エマルションに関する。
エポキシ樹脂は物理的、化学的および電気的特性に優れ、接着性、耐溶剤性、耐水性、耐熱性等が良好であることから、電気製品、塗料、接着剤等に広く用いられている。
特に塗料用途には、エポキシ樹脂エマルションが多く使用されている。該エポキシ樹脂エマルションは、樹脂微粒子が水中に分散した形態を有するため、これを使用する際には樹脂微粒子同士の合着やそれに伴う沈降を抑制して樹脂微粒子を水中で安定に分散させ貯蔵安定性に優れたものとするために通常界面活性剤が用いられる。
しかし、界面活性剤は焼付け後の塗膜等において、水溶性の未反応物として残存して塗料の耐水性が悪化するという問題があることから、従来その改善が種々図られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2001−220544号 特開2004−83784号
特許文献1においては、エマルション樹脂微粒子同士の凝集を抑制し、微粒子を水中で安定分散させるために特定の界面活性剤を使用しているが耐水性が悪い問題がある。
また、特許文献2においては、分散に用いる界面活性剤の使用量を少なくすることで塗膜等の耐水性の改善が図られている。しかしながら、該方法により耐水性は多少改善されるものの界面活性剤の使用量が少ないことからエマルション樹脂微粒子が凝集しやすくなり、貯蔵安定性に欠けるという問題がある。
本発明は、優れた貯蔵安定性を有し、耐水性に優れる塗膜を与えるエポキシ樹脂エマルションを提供することを目的とする。なお、本発明における貯蔵安定性は、室温で静置したとき、エマルションの粒径が変化しないことを、また、耐水性は塗膜の水への浸漬時に膨れがないことを意味することとし、それぞれは後述の方法により評価することができる。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、水性媒体中に、活性水素を含有しないエポキシ樹脂(A)、界面活性剤(B)および硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂エマルションにおいて、(B)が下記一般式(1)で表される界面活性剤(B1)、および下記一般式(2)で表される界面活性剤(B2)を含有してなる界面活性剤(B)であるエポキシ樹脂エマルションである。

Q-OCONH-G-(NHCOO-J-OCONH-G)m-NHCOO-Q (1)

Z-O-T (2)

[式(1)中、Qは1価の(多環)フェノール(a1)もしくはそのアルキレンオキシド付加物(a2)からOH基を除いた残基、Gはジイソシアネート(b)からNCO基を除いた残基、Jはポリアルキレングリコール(a3)からOH基を除いた残基、mは1〜3の数;式(2)中、Zは1価の(多環)フェノール(a1)からOH基を除いた残基、Tはポリアルキレングリコール(a3)から1個のOH基を除いた残基を表す。
本発明のエポキシ樹脂エマルションは下記の効果を奏する。
(1)貯蔵安定性に優れる。
(2)該エマルションの硬化塗膜は耐水性に優れる。
[エポキシ樹脂(A)]
本発明におけるエポキシ樹脂(A)は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含有し、活性水素を含有しないポリエポキシドであり、芳香環含有、脂肪族、脂環含有および複素環含有ポリエポキシド等が挙げられる。ここにおける活性水素とは、カルボキシル基、アミノ基、水酸基等が有する水素イオンとして脱離しやすい水素を意味するものとする。
芳香環含有ポリエポキシドとしては、2価〜10価またはそれ以上の、多価フェノールのポリグリシジルエーテル、芳香環含有ポリグリシジルアミン、その他の芳香環含有ポリエポキシドおよびこれらの混合物が挙げられる。
多価フェノールのポリグリシジルエーテルを構成する多価フェノールとしては、2価〜10価またはそれ以上の、炭素数(以下Cと略記)6以上かつ数平均分子量[以下Mnと略記。測定は後述の条件でのゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]10,000以下の多価フェノール(ビスフェノールA、−F、−B、−ADおよび−S、ハロゲン化ビスフェノールA等)が挙げられ、それらのグリシジルエーテルとしては、ジグリシジルエーテル[ビスフェノールA、−F、−B、−AD、−S、ハロゲン化ビスフェノールA、ピロカテキン、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニルおよびオクタクロロ−4,4'−ジヒドロキ
シビフェニル等の各ジグリシジルエーテル等]、トリグリシジルエーテル[ピロガロールトリグリシジルエーテル等]、その他の2価〜10価またはそれ以上のポリグリシジルエーテル[フェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルまたはそれ以上との反応から得られるポリグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒドもしくはホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル、レゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル等]が挙げられる。
芳香環含有ポリグリシジルアミンを構成する芳香環含有アミンとしては、例えば、C6〜30の芳香環含有1価〜4価またはそれ以上の芳香環含有ポリアミン(アニリン、1,3−および/または1,4−フェニレンジアミン、2,4−および/または2,6−トリレンジアミン等)が挙げられ、それらのポリグリシジルアミンとしては、ジグリシジルアミン[N,N−ジグリシジルアニリン等]、テトラグリシジルまたはそれ以上のポリグリシジルアミン[1,3−および/または1,4−フェニレンテトラグリシジルアミン、2,4−および/または2,6−トリレンテトラグリシジルアミン、4,4’−ジフェニルメタンテトラグリシジルアミン、m−および/またはp−キシリレンテトラグリシジルアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンテトラグリシジルアミン等]が挙げられる。
さらに、その他の芳香環含有ポリエポキシドとしては、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記)またはジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)とグリシドールとの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、TDIまたはMDIにグリシドールおよびポリオールを反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー、ビスフェノールAのアルキレンオキシド(以下AOと略記)[エチレンオキシドまたは1,2−プロピレンオキシド(以下EOまたはPOと略記)]付加物のジグリシジルエーテルが挙げられる。
脂肪族ポリエポキシドとしては、2〜8価の、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル、脂肪族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステルおよび脂肪族ポリグリシジルアミンおよびこれらの混合物が挙げられる。
脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルを構成する多価アルコールとしては、C2以上かつMn1,000以下の多価アルコール[エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール(以下それぞれEG、PG、TMG、PEG、PPG、TMP、GR、PE、SOと略記)等]が挙げられ、それらのポリグリシジルエーテルとしては、ジグリシジルエーテル[EGジグリシジルエーテル、PGジグリシジルエーテル、TMGジグリシジルエーテル、PEG(Mn100〜1,000)ジグリシジルエーテル、PPG(Mn100〜1,500)ジグリシジルエーテル等]、トリグリシジルエーテル[TMPトリグリシジルエーテルおよびGRトリグリシジルエーテル等]、4価以上のポリグリシジルエーテル[PEテトラグリシジルエーテル、SOポリグリシジルエーテル、SOポリグリシジルエーテル、ジPEポリグリシジルエーテル、ポリ(重合度2〜20)GRポリグリシジルエーテル等]等が挙げられる。
脂肪族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステルを構成する脂肪族ポリカルボン酸としては、2〜6価でC4〜24の脂肪族ポリカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ブタンテトラカルボン酸、(メタ)アクリル酸等]が挙げられ、それらのポリグリシジルエステルとしては、ジグリシジルエステル[コハク酸ジグリシジル、アジピン酸ジグリシジル、セバシン酸ジグリシジル、アゼライン酸ジグリシジル等]、テトラグリシジルエステル[ブタンテトラカルボン酸テトラグリシジル等]、不飽和カルボン酸グリシジルエステル[(メタ)アクリル酸グリシジルエステル等]が挙げられる。 また、脂肪族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステルとしては、(メタ)アクリル酸グリシジルエステルなどの不飽和カルボン酸のグリシジルエステルの重合体および共重合体も挙げられる。
脂肪族ポリグリシジルアミンとしては、2〜6価でC2〜24の脂肪族アミンのポリグリシジルアミン、例えばエチレンジアミンのテトラグリシジルアミンが挙げられる。
脂環含有ポリエポキシドとしては、2〜6価でC6〜36の脂環含有化合物のポリエポキシドが挙げられ、脂環含有不飽和炭化水素のポリエポキシドとしては、C6〜24で1分子中に2個またはそれ以上の二重結合を有する炭化水素のポリエポキシド[ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド等]、脂環含有エーテルおよび脂環含有エステルのポリエポキシド[ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、EGビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等]、前記芳香環含有ポリエポキシドの核水添物も含まれる。
複素環含有ポリエポキシドとしては、2〜6価でC5〜30のもの、例えばヘキサグリシジルメラミン等が挙げられる。
これらのポリエポキシドのうち、耐水性の観点から、好ましいのは芳香環含有ポリエポキシド、さらに好ましいのはフェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルである。
エポキシ樹脂(A)のMnは、塗膜の耐水性およびエマルションの貯蔵安定性の観点から、好ましくは500〜20,000、さらに好ましくは700〜10,000、とくに好ましくは900〜7,000、最も好ましくは1,000〜4,000である。
また、(A)中のエポキシ基の数は、塗膜の耐水性およびエマルションの貯蔵安定性の観点から好ましくは2〜30、さらに好ましくは4〜10である。
(A)のエポキシ当量(g/eq)は、エマルションの貯蔵安定性および塗膜の耐水性の観点から好ましくは100〜10,000、さらに好ましくは200〜2,000である。
本発明におけるMnは、次の条件でのGPC法により測定される。
装置 :「Alliance」[商品名、日本ウォーターズ(株)製]
カラム :次の4本のカラム[いずれも東ソー(株)製]を直列に連結して使用。
Guardcolumn Super H−L
TSKgel Super H4000
TSKgel Super H3000
TSKgel Super H2000
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
基準物質:エポキシ樹脂の場合はポリスチレン、界面活性剤の場合はPEG
試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
検出装置:屈折率検出器
測定温度:40℃
[界面活性剤(B)]
本発明における界面活性剤(B)は、下記一般式(1)で表される界面活性剤(B1)、および下記一般式(2)で表される界面活性剤(B2)を含有してなる。

Q-OCONH-G-(NHCOO-J-OCONH-G)m-NHCOO-Q (1)

Z-O-T (2)
式(1)中、Qは1価の(多環)フェノール化合物(a1)もしくはそのAO付加物(a2)からOH基を除いた残基を表す。ここにおいて(多環)フェノール化合物は、フェノール化合物および/または多環フェノール化合物を意味する。
Gはジイソシアネート(b)からNCO基を除いた残基、Jはポリアルキレングリコール(以下PAGと略記)(a3)からOH基を除いた残基、mは1〜3の数を表す。
式(1)におけるmが1未満では乳化力が悪くなり、3を超えるとエポキシ樹脂エマルションの貯蔵安定性が悪くなる。
また、式(2)中、Zは1価の(多環)フェノール(a1)からOH基を除いた残基、TはPAG(a3)から1個のOH基を除いた残基を表す。
式(1)の界面活性剤(B1)を構成する1価の(多環)フェノール化合物(a1)には、C6以上かつMn2,000以下の、単環フェノール化合物および多環フェノール化合物が含まれる。
(a1)のうち、単環フェノール化合物としては、フェノール、アルキル(C1〜18)フェノール(クレゾール、エチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等)等が挙げられる。
多環フェノール化合物としては、アリールフェノール(フェニルフェノール等)、アリールアルキル(C1〜15)フェノール(C13〜45、例えばベンジルフェノール、フェニルエチルフェノール、フェニルプロピルフェノール、クミルフェノール)、アルキル(C1〜20)アリールフェノール(C13〜63、例えばメチルフェニルフェノール、エチルフェニルフェノール、プロピルフェニルフェノール、メチルベンジルフェノール、エチルベンジルフェノール、プロピルベンジルフェノール)、縮合多環フェノール(C10〜20、例えばナフトール、アントラノール)、およびこれらのスチレン化物(C20〜87、例えばスチレン化フェニルフェノール、スチレン化ベンジルフェノール、スチレン化クミルフェノール)、並びに前記単環フェノール化合物のスチレン化物(C14〜46、例えばスチレン化フェノール、スチレン化ノニルフェノール)等が挙げられる。
式(1)におけるQおよび式(2)におけるZを構成する、1価の(多環)フェノール化合物のAO付加物(a2)としては、前記例示した(a1)のAO付加物が挙げられる。
AOとしては、C2〜30のもの、例えばEO、PO、1,2−、1,3−および2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、α−オレフィン(C4〜30)オキサイド、エピクロロヒドリン、スチレンオキサイド、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち界面活性剤(B)の乳化力の観点から好ましいのはEOである。
AOが2種以上の混合物の場合のAOの付加形式は、(B)の乳化力の観点からランダムおよび/またはブロックが好ましい。
AOの付加モル数は、(B)の乳化力およびエポキシ樹脂エマルションの貯蔵安定性の観点から好ましくは1〜50モル、さらに好ましく2〜40モル、とくに好ましくは3〜30モルである。
式(1)におけるGを構成するジイソシアネート(b)としては、以下のものおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(b41)C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族ジイソシアネート
エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等;
(b42)C4〜15の脂環含有ジイソシアネート
イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロへキセン等;
(b43)C6〜14の芳香族ジイソシアネート
1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート等;
(b44)C8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート
m−およびp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等;
(b45)これらのジイソシアネートの変性物
カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレア基等を有するジイソシアネート変性物等。
これらのうち、エポキシ樹脂エマルションの貯蔵安定性の観点から好ましいのはHDI、TDIおよびIPDIである。
式(1)におけるJおよび式(2)におけるTを構成するPAG(a3)の、アルキレン部分は、乳化力の最適化の観点から好ましいのはC2〜4のもの、さらに好ましいのはエチレンおよび/またはプロピレン、とくに好ましいのはエチレンである。
PAG(a3)のMnは、乳化力の最適化の観点から好ましくは500〜10,000、さらに好ましくは1,000〜3,000、とくに好ましくは1,500〜2,500である。
界面活性剤(B1)は、前記(多環)フェノール化合物(a1)もしくはそのAO付加物(a2)、PAG(a3)およびジイソシアネート(b)を用いて、下記の[1]ワンショット法または[2]多段法でウレタン化反応させることにより製造することができる。
[1]ワンショット法
界面活性剤(B1)は、次の手順で製造することができる。
(多環)フェノール化合物(a1)もしくはそのAO付加物(a2)、PAG(a3)およびジイソシアネート(b)を一括して仕込みウレタン化反応させて(B1)を得る。
上記において、(b)と、[(a1)もしくは(a2)および(a3)]とのウレタン化反応におけるNCO/OH当量比は、塗膜の耐水性および(B1)の適度な分子量の観点から好ましくは0.8〜1.5、さらに好ましくは0.9〜1.3である。
また、(a1)もしくは(a2)と、(a3)とのモル比は、乳化力の最適化の観点から好ましくは0.7〜2、さらに好ましくは0.8〜1.5である。
[2]多段法
界面活性剤(B1)は、以下の手順で製造することができる。
(1)ジイソシアネート(b)とPAG(a3)を反応させて、両末端NCO基を有するウレタンプレポリマーを得る。
(2)該ウレタンプレポリマーと1価の(多環)フェノール化合物(a1)もしくはそのAO付加物(a2)を反応させて(B1)を得る。
上記(1)において、(b)と(a3)とのウレタン化反応におけるNCO/OH当量比は、安定性および反応性の観点から好ましくは1.4〜2.0、さらに好ましくは1.5〜1.8である。
ウレタンプレポリマーのNCO%(重量%)は、安定性および反応性の観点から好ましくは0.3〜1.0%、さらに好ましくは0.4〜0.6%である。
上記(2)のウレタンプレポリマーと(a1)もしくは(a2)とのウレタン化反応におけるNCO/OH当量比は、安定性および乳化力の観点から好ましくは0.8〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.1である。
上記(1)、(2)におけるウレタン化反応の反応温度は、反応性および生成物の安定性の観点から好ましくは30〜200℃、さらに好ましくは50〜180℃である。
反応時間は、反応性および安定性、副生物抑制の観点から好ましくは0.1〜30時間、さらに好ましくは0.1〜8時間である。
また、該ウレタン化反応は、生成物の安定性の観点から無溶剤またはジイソシアネートに対して不活性な有機溶剤中で行なうことが好ましい。
該有機溶剤としては、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、トルエン、ジオキサン等が挙げられる。該有機溶剤は、揮発性有機化合物(VOC)低減の観点から界面活性剤(B1)生成後に留去するのが好ましい。
(B1)のMnは、(B1)の乳化力およびエマルションの貯蔵安定性の観点から好ましくは5,000〜150,000、さらに好ましくは6,000〜40,000、とくに好ましくは7,000〜20,000である。
(B1)のhydrophile−lipophile balance[以下HLBと略記。親水性と親油性(疎水性)とのつり合いを示す。]は、乳化力の最適化の観点から好ましくは15〜19、さらに好ましくは16〜18である。
該HLBは、「界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社、2007年発行、212頁)に記載の小田の方法により求めることができる。
すなわち、各官能基の無機性(親水性)または有機性(疎水性)の数値(上記文献の第3・3・11表参照)を用いて、界面活性剤(B)中の疎水基の種類とその含有量から無機性の値を求め、また、親水基の種類とその含有量から有機性の値を求め、以下の式によりHLBを計算する。

HLB=10×(無機性/有機性)
界面活性剤(B2)は、前記1価の(多環)フェノール化合物(a1)にAOを付加することにより製造することができる。該AO付加反応の反応温度は、反応性および安定性の観点から好ましくは150〜200℃、さらに好ましくは170〜190℃である。
(B2)のMnは、(B2)の乳化力およびエマルションの貯蔵安定性の観点から好ましくは500〜3,500、さらに好ましくは800〜3,300である。
また、(B2)のAO含量[(B2)中のAOが占める重量%を示す。]は、同様の観点から好ましくは30〜70%、さらに好ましくは40〜60%である。
(B2)のHLBは、乳化力の最適化の観点から好ましくは7〜11、さらに好ましくは8〜10である。
界面活性剤(B)には、(B1)、(B2)の他に、前記(B1)の製造の際に必要により伸長剤(a4)および/または停止剤(a5)を用いたもの(B3)も含まれる。
(a4)としては、例えば、水;前記多価アルコール(EG、PG、TMG、PEG、PPG、TMP、GR、PE、SO等);ジアミン[C2〜6の脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン等)、C6〜15の脂環含有ジアミン(イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等)、C6〜15の芳香族ジアミン(4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)等];モノアルカノールアミン(モノエタノールアミン等)、ヒドラジンまたはその誘導体(アジピン酸ジヒドラジド等)、およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらのうち好ましいのは多価アルコールであり、特に好ましいのはEGおよびTMGである。
また、停止剤(a5)としては特に限定されず、例えば、1価脂肪族アルコール(a5−1)、脂肪族モノアミン(a5−2)等が挙げられる。
1価脂肪族アルコール(a5−1)としては、例えば、C1〜18の飽和脂肪族1価アルコール(エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、2−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等)、C1〜18の不飽和1価脂肪族アルコール(オレイルアルコール等)が挙げられる。
脂肪族モノアミン(a5−2)としては、例えば、C1〜18の脂肪族モノアミン[オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ドデシルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン等]、C1〜18の不飽和脂肪族モノアミン(オレイルアミン等)、C1〜16のヒドロキシアルキル基含有モノアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等)が挙げられる。
これらのうち好ましいのは1価脂肪族アルコールである。
(B1)および(B2)を含有してなる界面活性剤(B)のMnは、(B)の乳化力およびエマルションの貯蔵安定性の観点から好ましくは6,000〜120,000、さらに好ましくは10,000〜50,000である。
(B)のHLBは、乳化力の最適化の観点から好ましくは14〜18、さらに好ましくは15〜17である。
(B)を構成する(B1)と(B2)の重量比は、乳化力の最適化の観点から好ましくは30/70〜95/5、さらに好ましくは35/65〜90/10である。
本発明において、界面活性剤(B1)、(B2)の合計は、活性水素を有しないエポキシ樹脂(A)の重量に基づいて、乳化力および貯蔵安定性の観点から好ましくは1〜20%、さらに好ましくは2〜15%である。
[硬化剤(C)]
硬化剤(C)としては、エポキシ基と反応し得る官能基を1分子中に2個[酸無水物基の場合は該官能基(カルボキシル基)を2個有するものとする]またはそれ以上(耐水性および貯蔵安定性の観点から好ましくは2〜10個)有する化合物であれば特に限定されることはなく、例えば、酸無水物(C1)、フェノール化合物(C2)、ヒドラジド化合物(C3)、グアニジン化合物(C4)、チオール化合物(C5)、イミダゾリン化合物(C6)が挙げられる。これらのうち、反応性の観点から好ましいのは酸無水物およびフェノール化合物である。次の例示では、エポキシ基と反応し得る異種の官能基を1分子中に2個またはそれ以上有するものも含まれる。
上記酸無水物(C1)としては、C4〜12のもの、例えば、芳香環含有(無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水−3および−4−クロロフタル酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等)、脂環含有(無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルナジック酸、無水クロレンデック酸等)、脂肪族(無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水ジメチルコハク酸、無水ジクロールコハク酸、無水ドデシルコハク酸、無水マレイン酸等)が挙げられる。
上記フェノール化合物としては、C13以上かつMn1,000以下のもの、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック等が挙げられる。
上記ヒドラジド化合物としては、C4〜16のもの、例えば、脂肪族(コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド等)、芳香環含有(オルト−、イソ−およびテレフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、フェニルアミノプロピオン酸ヒドラジドが挙げられる。
上記グアニジン化合物としては、C2〜15のもの、例えば、ジシアンジアミド、メチルグアニジン、エチルグアニジン、プロピルグアニジン、ブチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トルイルグアニジン等が挙げられる。
上記チオール化合物としてはC3以上かつMn500以下のもの、例えば、多価アルコールとチオール基を有する有機酸とのエステル化反応によって得られるチオール化合物[TMPトリスチオグリコレート、PEテトラキスチオグリコレート、EGジチオグリコレート、TMPトリス(β−チオプロピオネート)、PEテトラキス(β−チオプロピオネート)、ジPEポリ(β−チオプロピオネート)等]、アルカンポリチオール[1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール等]、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオールとエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物が挙げられる。
上記イミダゾリン化合物としては、C10〜32のもの、例えば、脂肪族(テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等)、芳香環含有(1,2−、1,3−および1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等)が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂エマルション(X)を構成する、硬化剤(C)とエポキシ樹脂(A)の当量比は、耐水性および貯蔵安定性の観点から、好ましくは0.3〜1.0、さらに好ましくは0.5〜0.9である。
[水性媒体(D)]
本発明における水性媒体(D)としては、水、メタノール、エタノール等が挙げられる。
これらのうち、VOC低減の観点から好ましいのは水である。
(D)の含有量は、(A)、(B)、(C)、(D)の合計重量に基づいて、貯蔵安定性およびレベリング性の観点から好ましくは30〜60%、さらに好ましくは40〜50%である。
[添加剤(E)]
本発明のエポキシ樹脂エマルション(X)には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により前記(B)以外の界面活性剤、充填剤、防腐剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、着色剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、粘弾性調整剤および動的表面張力調整剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(E)を含有させることができる。
添加剤(E)全体の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常30%以下、好ましくは0.1〜20%、さらに好ましくは0.2〜10%である。
前記(B1)、(B2)、(B3)以外の界面活性剤(E1)としては、公知のノニオン、アニオンおよび/またはカチオン界面活性剤が挙げられる。
(E1)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.1〜3%である。
充填剤(E2)としては、炭酸ナトリウム、シリカ等が挙げられる。
(E2)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.1〜3%である。
防腐剤(E3)としては、メチルパラベン、エチルパラベン等が挙げられる。
(E3)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.1〜3%である。
耐熱安定剤(E4)としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオナート等が挙げられる。
(E4)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.1〜3%である。
耐候安定剤(E5)としては、紫外線吸収剤、例えばサリチル酸化合物(フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等)、ベンゾフェノン(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)、ベンゾトリアゾール化合物[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等]、シアノアクリレート化合物(2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等);光安定剤、例えばヒンダードアミン[オクチル化ジフェニルアミン等]が挙げられる。
(E5)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.5〜3%である。
着色剤(E6)には顔料および染料が含まれる。顔料のうち、無機顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、酸化クロム、フェライト等;有機顔料としてはアゾ顔料(アゾレーキ系、モノアゾ系、ジスアゾ系、キレートアゾ系等)、多環式顔料(ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、チオインジゴ系、ペリレン系、キノフタロン系、アンスラキノン系等)が挙げられる。
染料としては、ニグロシン系、アニリン系等が挙げられる。
(E6)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常30%以下、好ましくは1〜10%である。
増粘剤(E7)としては、モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等が挙げられる。
(E7)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.1〜5%である。
レベリング剤(E8)としては、Mnが好ましくは100〜1,000の、ポリオレフィン樹脂[ポリエチレン、ポリプロピレン等]、オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体[エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等]、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
(E8)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常6%以下、好ましくは0.5〜3%である。
消泡剤(E9)としては、ミネラルオイル消泡剤、シリコーンオイル消泡剤等が挙げられる。
(E9)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常6%以下、好ましくは0.5〜3%である。
粘弾性調整剤(E10)としては、高分子型(Mn10,000〜500,000のもの、例えばポリカルボン酸、ポリスルホン酸、ポリエーテル変性カルボン酸、ポリエーテル)、会合型(Mn10,000〜500,000のもの、例えばウレタン変性ポリエーテル)が挙げられる。
(E10)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.1〜5%である。
動的表面張力調整剤(E11)としては、アセチレングリコール、フッ素含有化合物シリコーン含有化合物等が挙げられる。なお、動的表面張力調整剤とは、表面張力を低下させる機能を有するものである。
(E11)の含有量は、添加剤添加後のエポキシ樹脂エマルション全重量に基づいて、通常20%以下、好ましくは0.1〜10%である。
[エポキシ樹脂エマルション(X)]
本発明のエポキシ樹脂エマルション(X)は、水性媒体中に、前記活性水素を含有しないエポキシ樹脂(A)、界面活性剤(B)および硬化剤(C)を含有してなる。
エポキシ樹脂エマルション(X)の製造方法としては次の[1]、[2]の方法等が挙げられる。
[1]エポキシ樹脂(A)の有機溶剤溶液に、界面活性剤(B)の水性溶媒溶液を加え、例えば35〜45℃で撹拌しながら、さらに水を滴下等により徐々に加え転相させてエマルション化しておき、ここに硬化剤(C)の水性溶媒溶液を加えて撹拌し、さらに加熱しながら減圧することで、水以外の溶剤を留去してエマルション(X)を製造する方法。
前記添加剤(E)は、上記(X)の製造工程の任意の段階で添加することができる。
[2]上記[1]におけるエポキシ樹脂(A)のエマルション化と同様にして、硬化剤(C)も別にエマルション化しておき、これらを後混合してエマルション(X)を製造する方法。
該製造方法における有機溶剤としては、C2〜10のもの、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル等が挙げられる。これらのうち、脱溶剤の観点から好ましいのはテトラヒドロフランおよび酢酸エチルである。
また、水性溶剤としては、水または水混和性溶媒[アルコール(C1〜3のもの、例えばメタノール、イソプロパノール)、ケトン(C3〜5のもの、例えばアセトン)等]と水との混合溶媒が挙げられる。これらのうち、脱溶媒の観点から好ましいのはメタノールおよびアセトンである。
(X)中の、(A)、(B)、(C)の合計の含有量(重量%)は、(X)の貯蔵安定性および粘度の観点から、好ましくは20〜75%、さらに好ましくは20〜60%である。
(X)の25℃における粘度(mPa・s)は、タレ防止性およびハンドリング性の観点から、好ましくは2,000〜100,000、さらに好ましくは3,000〜5,000である。
また、(X)中のエポキシ樹脂のメジアン径(μm)は、粘度および貯蔵安定性の観点から、好ましくは0.1〜50、さらに好ましくは0.2〜20である。
[水性塗料]
本発明の水性塗料は、前記エポキシ樹脂エマルション(X)を含有してなる。該水性塗料は、従来の水性塗料用塗装設備、または溶剤塗料用塗装設備である、スプレー塗装機を使用して塗装することができ、新規の設備を必要としない。
塗膜形成方法としては、被塗装物に対して、該水性塗料を、ウェット膜厚(塗布直後の膜厚)が、塗装効果および工業上の観点から好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜100μmとなるようにスプレー塗布する方法が挙げられる。
塗装された被塗装物は、塗膜硬化性および工業上の観点から好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは120〜180℃の硬化温度条件で、また、同様の観点から好ましくは5〜60分、さらに好ましくは8〜30分、とくに好ましくは10〜20分の硬化時間で塗膜を形成させることができる。
硬化後塗膜の膜厚は、塗装効果および工業上の観点から好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは15〜50μmである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
製造例1[界面活性剤(B1)の製造]
反応容器に4−α−クミルフェノール25.5部およびルイス酸触媒「Galleon
Earth」[商品名、水澤化学工業(株)製、以下同じ。]2.3部を仕込み、撹拌下、系内を窒素ガスで置換し90℃に昇温した。同温度にてスチレン89.5部を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて5時間反応(フリーデルクラフツ反応)させた。生成物を30℃に冷却後、触媒を濾別して、4−α−クミルフェノールのスチレン5モル付加物(B0−1)(Mnは940)100部を得た。
次に、耐圧反応容器に(B0−1)100部を仕込み、これにEO152部を公知の方法により付加反応させて(B0−1)のEO付加物(B2−1)(Mn2,000、EO含量57%)を得た。
別の反応容器に上記(B2−1)16.6部、PEG(a3−1)(Mn8,650)71.4部、リン酸0.024部を仕込み、110℃に昇温し、撹拌して釜内を均一とした。同温度にて減圧して水分が0.04%になるまで脱水した後、HDI 2.1部を仕込み、130℃で5時間反応させた。その後、100℃となったところで水210部を10分で投入することで界面活性剤(B1−1)の水溶液(濃度30%)を得た。(B1−1)は、Mn16,000であった。
製造例2〜5
製造例1において、使用原料を表1に従って変更したこと以外は製造例1と同様にして、製造例2〜5の各界面活性剤(B1−2)〜(B1−5)の各水溶液(いずれも濃度30%)を得た。結果を表1に示す。
製造例6〜8
反応容器にPEG(a3−1)(Mn8,650)71.4部、HDI 2.1部を仕込み、130℃で3時間反応させてプレポリマー(NCO0.2%)を得た。その後、(B2−1)16.6部を仕込み、同温度でさらに3時間反応させた、その後、100℃となったところで水210部を10分間で投入することで界面活性剤(B1−6)の水溶液(濃度30%)を得た。
製造例6において、使用原料を表1に従って変更したこと以外は製造例6と同様にして、各プレポリマー(NCO0.2%)を得た後、製造例7、8の各界面活性剤(B1−7)および(B1−8)の各水溶液(濃度30%)を得た。結果を表1に示す。
Figure 0006121825
製造例9[エポキシ樹脂(A−2)の製造]
反応容器にキシレン400部を仕込み、窒素雰囲気下、80℃に昇温し、ビスフェノールAジグリシジルエーテル67部/コハク酸27部の混合物を6時間にわたって滴下した。滴下終了後、同温度にて5時間反応を継続させ、反応終了後、有機溶剤を減圧留去しエポキシ樹脂(A−2)を得た。(A−2)はMn2,500、水酸基価(mgKOH/g)125であった。
実施例1
反応容器に酢酸エチル9.1部を仕込み、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(A−1)[商品名「EOCN−104S」、日本化薬(株)製、Mn1,700]43.8部を加えて溶解させ、これに界面活性剤(B2−1)2.5部を添加し、40℃で30分間撹拌した。その後、界面活性剤(B1−1)の水溶液(濃度30%)12.3部を添加して同温度で1時間撹拌した。その後、同温度で水41.4部を2時間で滴下して転相乳化させたものを50℃、減圧下(30kPa以下)で2時間脱溶剤してエマルション(X0−1)を得た。(X0−1)中の粒子のメジアン粒子径は0.2μmであった。
該(X0−1)100部に30%無水マレイン酸(C−1)水溶液24.8部を添加し、室温(25℃)で10分間撹拌混合してエポキシ樹脂エマルション(X−1)を得た。(X−1)中の粒子のメジアン径は0.2μmであった。
実施例2〜13、比較例1〜17
実施例1において、使用原料を表2、3に従って変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜13、比較例1〜17の各エポキシ樹脂エマルション(X−2)〜(X−13)、(比X−1)〜(比X−17)を得た。
得られたエポキシ樹脂エマルションについて以下の方法に従って評価を行った。結果を表2、3に示す。
<評価方法>
(1)エマルション粒子のメジアン径
エマルション粒子のメジアン径は、光散乱理論を応用したレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置[商品名「LA−700」、(株)堀場製作所製]を用いて測定した値である。
(2)エマルションの貯蔵安定性
JIS K5600−2−7の常温貯蔵安定性の操作に準拠して貯蔵安定性を評価した。すなわち、容量225ml、内径5cmの密閉できるガラス容器に180ml充填し、25℃で10日間静置したエポキシ樹脂エマルションについて、試験前後のメジアン粒子径の増加(単位:%)程度で評価した。
<評価基準>
○:メジアン粒子径の増加が50%未満
△:メジアン粒子径の増加が50%以上100%未満
×:メジアン粒子径の増加が100%以上
(3)塗膜の耐水性
試験鋼板[JIS G3141に規定する0.5mm×80mm×150mmの冷間圧延鋼板(SPCC−SD)]の表面をメタノールで脱脂後、焼付け後の塗膜の厚さが30
〜40μmとなるようにエポキシ樹脂エマルションを塗布し、180℃、60分で焼付けて試験片を作製し、JIS K5600−6−2の浸せき手順に準拠して耐水性を目視による外観にて評価した。
<評価基準>
◎:膨れなし
○:膨れごくわずか
×:膨れ多くあり
Figure 0006121825
Figure 0006121825
表2、3から、実施例のエポキシ樹脂エマルションは、比較のものに比べ、貯蔵安定性に優れ、かつ該エマルションの硬化塗膜は耐水性に優れていることが分かる。
本発明のエポキシ樹脂エマルションは、貯蔵安定性に優れ、その硬化塗膜は耐水性に優れることから、特に自動車の塗装用途、あるいは建築物や家電製品等、種々の製品の塗装用途等に塗料として幅広く好適に用いることができ、極めて有用である。

Claims (4)

  1. 水性媒体中に、活性水素を含有しないエポキシ樹脂(A)、界面活性剤(B)および硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂エマルションにおいて、(B)が下記一般式(1)で表される界面活性剤(B1)、および下記一般式(2)で表される界面活性剤(B2)を含有してなる界面活性剤(B)であるエポキシ樹脂エマルション。

    Q-OCONH-G-(NHCOO-J-OCONH-G)m-NHCOO-Q (1)

    Z−O−T (2)

    [式(1)中、Qは1価の(多環)フェノール(a1)もしくはそのアルキレンオキシド付加物(a2)からOH基を除いた残基、Gはジイソシアネート(b)からNCO基を除いた残基、Jはポリアルキレングリコール(a3)からOH基を除いた残基、mは1〜3の数;式(2)中、Zは1価の(多環)フェノール(a1)からOH基を除いた残基、Tはポリアルキレングリコール(a3)から1個のOH基を除いた残基を表し、式(1)、(2)における(a1)および(a3)はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。]
  2. (B1)と(B2)の合計が、(A)の重量に基づいて1〜20%である請求項1記載のエマルション。
  3. (B1)と(B2)の重量比が、30/70〜95/5である請求項1または2記載のエマルション。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載のエマルションを含有してなる水性塗料。
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