JP6120571B2 - フッ素ゴム成形品 - Google Patents

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    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F214/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen
    • C08F214/18Monomers containing fluorine
    • C08F214/22Vinylidene fluoride

Description

(関連出願への相互参照)
本願は、本明細書において全体にわたって参照として組み込まれた2010年8月25日出願の米国仮特許出願第61/376,976号の35U.S.C.§119(e)に基づく利益を請求する。
本発明は、高温時の機械物性に優れたフッ素ゴム成形品に関する。
フッ素ゴムは耐薬品性、耐油性、耐熱性に優れて、高温において良好な耐圧縮永久歪み性を有することが知られているが、高温時の機械物性、たとえば熱時強度、熱時伸びなどの向上が近年望まれており、たとえば100℃を超える高温環境下でフッ素ゴム架橋物を使用する場合、耐熱性だけではなく、高温時の機械特性にも優れた耐久性に富むことが求められる。
たとえば、圧縮永久歪み改善の観点からは、特許文献1に示されるような組成物が提案されているが、室温伸びが小さいので、熱時伸びについては更に小さくなると予想される。また、熱時伸びの改善としては、特許文献2に示されているが、更に苛酷な使用環境下では耐えうるような物性ではない。高温時強度の改善例としては、特許文献3に示されているように、フッ素ゴムと含フッ素熱可塑性エラストマーの組合せが例示されているが、室温伸びが小さいので、熱時伸びについては更に小さくなると予想される。
特開昭60−55050号公報 特開2008−184496公報 特開平06−25500号公報
本発明は、耐熱性だけではなく、高温時の機械物性にも優れたフッ素ゴム成形品を提供することを目的とする。
本発明は、フッ素ゴム(A)およびカーボンブラック(B)を含むフッ素ゴム組成物を架橋して得られるフッ素ゴム架橋物を有し、フッ素ゴム(A)は、全単量体成分に由来する構造単位の総量100モル%に対し、フッ化ビニリデン由来の構造単位を48〜88モル%、テトラフルオロエチレン由来の構造単位を0〜10モル%含み、かつ、一般式(1):
CY1 2=CY2f 11 (1)
(式中、Y1、Y2は、同一又は異なって、フッ素原子、水素原子または−CH3;Rf 1は1個以上のエーテル結合性酸素原子を有していてもよく水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基;X1はヨウ素原子または臭素原子)で示される化合物に由来する構造単位、及び、ビスオレフィン由来の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有するフッ化ビニリデン系フッ素ゴムであり、フッ素ゴム架橋物が、動的粘弾性試験(測定温度:160℃、引張歪み:1%、初期加重:157cN、周波数:10Hz)において、損失弾性率E”が、400kPa以上6000kPa以下である成形品に関する。
また本発明は、フッ素ゴム(A)およびカーボンブラック(B)を含み、
フッ素ゴム(A)は、全単量体成分に由来する構造単位の総量100モル%に対し、フッ化ビニリデン由来の構造単位を48〜88モル%、テトラフルオロエチレン由来の構造単位を0〜10モル%含み、かつ、一般式(1):
CY1 2=CY2f 11 (1)
(式中、Y1、Y2は、同一又は異なって、フッ素原子、水素原子または−CH3;Rf 1は1個以上のエーテル結合性酸素原子を有していてもよく水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基;X1はヨウ素原子または臭素原子)で示される化合物に由来する構造単位、及び、ビスオレフィン由来の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有するフッ化ビニリデン系フッ素ゴムであり、ラバープロセスアナライザ(RPA)による動的粘弾性試験(測定周波数:1Hz、測定温度:100℃)において、未架橋時の動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)および動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、120kPa以上3,000kPa以下であるフッ素ゴム組成物にも関する。
本発明によれば、耐熱性だけではなく、高温時の機械物性にも優れたフッ素ゴム成形品を提供することができる。
本発明の成形品は、フッ素ゴム(A)およびカーボンブラック(B)を含むフッ素ゴム組成物を架橋して得られるフッ素ゴム架橋物を有し、フッ素ゴム(A)は、フッ素ゴム(A)を形成するために用いられる全単量体成分に由来する構造単位の総量100モル%に対し、フッ化ビニリデン由来の構造単位を48〜88モル%、テトラフルオロエチレン由来の構造単位を0〜10モル%含み、かつ、一般式(1):
CY1 2=CY2f 11 (1)
(式中、Y1、Y2は、同一又は異なって、フッ素原子、水素原子または−CH3;Rf 1は1個以上のエーテル結合性酸素原子を有していてもよく水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基;X1はヨウ素原子または臭素原子)で示される化合物に由来する構造単位、及び、ビスオレフィン由来の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有するフッ化ビニリデン系フッ素ゴムであり、フッ素ゴム架橋物が、動的粘弾性試験(測定温度:160℃、引張歪み:1%、初期加重:157cN、周波数:10Hz)において、損失弾性率E”が、400kPa以上6000kPa以下である。
以下、各要件について説明する。
(A)フッ素ゴム
本発明におけるフッ素ゴム(A)は、フッ素ゴム(A)を形成するために用いられる全単量体成分に由来する構造単位の総量100モル%に対し、フッ化ビニリデン(VdF)に由来する構造単位(VdF単位)を48〜88モル%含むフッ化ビニリデン系フッ素ゴム(VdF系ゴム)であり、かつ、一般式(1):
CY1 2=CY2f 11 (1)
(式中、Y1、Y2は、同一又は異なって、フッ素原子、水素原子または−CH3;Rf 1は1個以上のエーテル結合性酸素原子を有していてもよく水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基;X1はヨウ素原子または臭素原子)で示される化合物に由来する構造単位、及び、ビスオレフィン由来の構造単位からなる群より選択される少なくとも1種を含有するフッ化ビニリデン系フッ素ゴムである。テトラフルオロエチレン(TFE)単位を含む場合は、TFE単位は10モル%以下である。
VdF単位の含有量は85〜70モル%が好ましく、85〜75モル%がより好ましい。また、TFE単位の含有量は0〜3モル%が好ましい。また、VdF単位及びTFE単位以外のその他の構造単位の含有量は、フッ素ゴム(A)を形成するために用いられる全単量体成分に由来する構造単位の総量100モル%に対し、2〜52モル%であることが好ましい。
上記VdF系ゴムは、VdFに由来する構造単位が48〜88モル%、テトラフルオロエチレンに由来する構造単位が10モル%以下であればよく、共単量体としてはVdFと共重合可能であれば特に限定されず、たとえば、TFE、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテル、一般式(2):
CH=CFR (2)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖または分岐したフルオロアルキル基)で表される含フッ素単量体などのフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体、架橋性基(キュアサイト)を与える単量体、および反応性乳化剤などがあげられ、これらの単量体や化合物のなかから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が好ましく、特にPMVEが好ましい。
また、前記PAVEとして、式(3):
CF=CFOCFOR (3)
(式中、R は炭素数1〜6の直鎖または分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖または分岐状パーフルオロオキシアルキル基である)で表されるパーフルオロビニルエーテルを用いてもよく、CF=CFOCFOCF、CF=CFOCFOCFCF、または、CF=CFOCFOCFCFOCFを用いることが好ましい。
上記式(2)で表される含フッ素単量体としては、Rが直鎖のフルオロアルキル基である単量体が好ましく、Rが直鎖のパーフルオロアルキル基である単量体がより好ましい。Rの炭素数は1〜6であることが好ましい。上記式(2)で表される含フッ素単量体としては、CH=CFCF、CH=CFCFCF、CH=CFCFCFCF、CH=CFCFCFCFCFなどがあげられ、なかでも、CH=CFCFで示される2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンが好ましい。
上記VdF系ゴムとしては、VdF/HFP共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/PAVE/TFE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/プロピレン(Pr)共重合体、VdF/エチレン(Et)/HFP共重合体及びVdF/式(2)で表される含フッ素単量体の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が好ましく、また、VdF以外の他の共単量体として、TFE、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種の共単量体を有するものであることがより好ましい。このなかでも、VdF/HFP共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体の共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/PAVE/TFE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体及びVdF/HFP/TFE/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が好ましく、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体の共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体がより好ましく、VdF/HFP共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体の共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が特に好ましい。
VdF/HFP共重合体は、VdF/HFPの組成が、(45〜85)/(55〜15)(モル%)であることが好ましく、より好ましくは(50〜80)/(50〜20)(モル%)であり、更に好ましくは(60〜80)/(40〜20)(モル%)である。
VdF/HFP共重合体はまた、VdF/HFPの組成が、(48〜85)/(52〜15)(モル%)であることも好ましく、より好ましくは(50〜78)/(50〜22)(モル%)であり、更に好ましくは(55〜77)/(45〜23)(モル%)である。
VdF/PAVE共重合体としては、VdF/PAVEの組成が(65〜90)/(35〜10)(モル%)のものが好ましい。
VdF/PAVE共重合体としてはまた、VdF/PAVEの組成が(48〜85)/(52〜15)(モル%)であるものも好ましく、より好ましくは(50〜78)/(50〜22)(モル%)であり、更に好ましくは(55〜77)/(45〜23)(モル%)である。
VdF/HFP/TFE共重合体としては、VdF/HFP/TFEの組成が(48〜85)/(52〜15)/(1〜10)(モル%)であるものが好ましく、より好ましくは(50〜78)/(50〜22)/(1〜9)(モル%)であり、更に好ましくは(55〜77)/(45〜23)/(1〜8)(モル%)である。
VdF/PAVE/TFE共重合体としては、VdF/PAVE/TFEの組成が(40〜80)/(15〜35)/(3〜40)(モル%)のものが好ましい。
VdF/PAVE/TFE共重合体としてはまた、VdF/PAVE/TFEの組成が(48〜85)/(52〜15)/(1〜10)(モル%)であるものも好ましく、より好ましくは(50〜78)/(50〜22)/(1〜9)(モル%)であり、更に好ましくは(55〜77)/(45〜23)/(1〜8)(モル%)である。
VdF/HFP/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/PAVEの組成が(65〜90)/(3〜25)/(3〜25)(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/PAVE共重合体としてはまた、VdF/HFP/PAVEの組成が(48〜85)/(15〜52)/(1〜25)(モル%)のものも好ましく、より好ましくはVdF/HFP/PAVEの組成が(50〜78)/(22〜50)/(1〜20)(モル%)、更に好ましくはVdF/HFP/PAVEの組成が(55〜77)/(45〜23)/(1〜15)(モル%)である。
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合としては、VdF/HFP/TFE/PAVEの組成が(40〜90)/(0〜25)/(0〜40)/(3〜35)(モル%)のものが好ましく、(40〜80)/(3〜25)/(3〜40)/(3〜25)(モル%)のものがより好ましい。
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合としてはまた、VdF/HFP/TFE/PAVEの組成が(48〜85)/(15〜52)/(1〜10)/(1〜25)(モル%)のものも好ましく、より好ましくは(50〜78)/(22〜50)/(1〜9)/(1〜20)(モル%)であり、更に好ましくは(55〜77)/(23〜45)/(1〜8)/(1〜15)(モル%)である。
VdF/式(2)で表される含フッ素単量体(2)系共重合体としては、VdF/含フッ素単量体(2)単位のモル%比が85/15〜20/80であり、VdFおよび含フッ素単量体(2)以外の他の単量体単位が全単量体単位の0〜50モル%のものが好ましく、VdF/含フッ素単量体(2)単位のモル%比が80/20〜20/80であることがより好ましい。またVdF/含フッ素単量体(2)単位のモル%比が85/15〜50/50であり、VdFおよび含フッ素単量体(2)以外他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%であるものも好ましい。また、VdF/含フッ素単量体(2)単位のモル%比が48/52〜85/15であるものも好ましい。より好ましくは、VdF/含フッ素単量体(2)単位のモル%比が50/50〜78/22であり、VdFおよび含フッ素単量体(2)以外他の単量体単位が全単量体単位の0〜50モル%であるものである。更に好ましくは、VdF/含フッ素単量体(2)単位のモル%比が55/45〜77/23であり、VdFおよび含フッ素単量体(2)以外他の単量体単位が全単量体単位の0〜45モル%であるものである。VdFおよび含フッ素単量体(2)以外の他の単量体としては、TFE、HFP、PMVE、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、PPVE、CTFE、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル、架橋性基を与える単量体、および反応性乳化剤などの上記VdFの共単量体として例示した単量体が好ましく、なかでもPMVE、CTFE、HFP、TFEであることがより好ましい。
なお、VdFおよび含フッ素単量体(2)以外他の単量体がTFEである場合、TFE単位の含有量は、全単量体単位の総量100モル%に対して0〜10モル%であり、好ましくは0〜9モル%であり、より好ましくは0〜8モル%である。
また、フッ素ゴム(A)は数平均分子量Mn5000〜500000のものが好ましく、10000〜500000のものが更に好ましく、特に20000〜500000のものが好ましい。
以上説明したフッ素ゴムは、乳化重合、懸濁重合、溶液重合などの常法により製造することができる。特にヨウ素(臭素)移動重合として知られるヨウ素(臭素)化合物を使用した重合法によれば、分子量分布が狭いフッ素ゴムを製造できる。
また、たとえばフッ素ゴム組成物の粘度を低くしたい場合などでは、上記のフッ素ゴム(A)に他のフッ素ゴムをブレンドしてもよい。他のフッ素ゴムとしては、低分子量液状フッ素ゴム(数平均分子量1000以上)、数平均分子量が10000程度の低分子量フッ素ゴム、更には数平均分子量が100000〜200000程度のフッ素ゴムなどが挙げられる。
また、フッ素ゴムとして例示したものは主単量体の構成であり、本発明のフッ素ゴムは
式(1):
CY1 2=CY2f 11 (1)
(式中、Y1、Y2は、同一又は異なって、フッ素原子、水素原子または−CH3;Rf 1は1個以上のエーテル結合性酸素原子を有していてもよく、芳香環を有していてもよい、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基;X1はヨウ素原子または臭素原子)で示される化合物、及び、ビスオレフィン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を、架橋性基を与える単量体として共重合したものである。このように特定の架橋性基を有することから、熱時強度、熱時伸びなどに加えて、後述する高温引張繰り返し試験(永久伸び測定)にて良好な物性(クリープ特性)を期待することができる。
式(1)で示される化合物(1)単位は、フッ素ゴム全量に対して、0.05〜5質量%含まれることが好ましい。化合物(1)単位の含有量の下限は、フッ素ゴム全量に対して、好ましくは0.3質量%、更に好ましくは0.5質量%であり、好ましい上限は4質量%、更には3質量%、特に2質量%、なかでも1.5質量%である。
また、ビスオレフィン単位は、ビスオレフィン以外の単量体の全量に対して、0.01〜2.0モル%含まれていることが好ましい。ビスオレフィン単位の含有量の下限は、ビスオレフィン以外の単量体の全量に対して、好ましくは0.03モル%、更に好ましくは0.05モル%であり、好ましい上限は1.0モル%、更には0.8モル%、特に0.5モル%である。
好ましい架橋性基を与える単量体としては、具体的には、たとえば、式(4):
CY1 2=CY2f 3CHR1−X1 (4)
(式中、Y1、Y2、X1は前記同様であり、Rf 3は1個以上のエーテル結合性酸素原子を有していてもよく水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基、すなわち水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素オキシアルキレン基、または水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素ポリオキシアルキレン基;R1は水素原子またはメチル基)
で示されるヨウ素含有モノマー、臭素含有モノマー、一般式(5)〜(22):
CY4 2=CY4(CF2n−X1 (5)
(式中、Y4は、同一又は異なり、水素原子またはフッ素原子、nは1〜8の整数)
CF2=CFCF2f 4−X1 (6)
(式中、
Figure 0006120571
であり、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2m
(OCH2CF2CF2nOCH2CF2−X1 (7)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2m
(OCF(CF3)CF2nOCF(CF3)−X1 (8)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2n−X1 (9)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m−X1 (10)
(式中、mは1〜5の整数)
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2nCF(−X1)CF3 (11)
(式中、nは1〜4の整数)
CF2=CFO(CF2nOCF(CF3)−X1 (12)
(式中、nは2〜5の整数)
CF2=CFO(CF2n−(C64)−X1 (13)
(式中、nは1〜6の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)−X1 (14)
(式中、nは1〜2の整数)
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)−X1 (15)
(式中、nは0〜5の整数)、
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X1 (16)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数)
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)−X1 (17)
CH2=CFCF2OCH2CF2−X1 (18)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)−X1 (19)
(式中、mは0以上の整数)
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2n−X1 (20)
(式中、nは1以上の整数)
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3)OCF2−X1 (21)
CH2=CH−(CF2n1 (22)
(式中、nは2〜8の整数)
(一般式(5)〜(22)中、X1は前記と同様)で表されるヨウ素含有モノマー、臭素含有モノマーなどがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
式(4)で示されるヨウ素含有モノマーまたは臭素含有モノマーとしては、一般式(23):
Figure 0006120571
(式中、mは1〜5の整数であり、nは0〜3の整数)で表されるヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルが好ましくあげられ、より具体的には、
Figure 0006120571
などが挙げられるが、これらの中でも、ICH2CF2CF2OCF=CF2が好ましい。
式(5)で示されるヨウ素含有モノマーまたは臭素含有モノマーとしてより具体的には、ICF2CF2CF=CH2、I(CF2CF22CF=CH2が好ましく挙げられる。
式(9)で示されるヨウ素含有モノマーまたは臭素含有モノマーとしてより具体的には、I(CF2CF22OCF=CF2が好ましく挙げられる。
式(22)で示されるヨウ素含有モノマーまたは臭素含有モノマーとしてより具体的には、CH2=CHCF2CF2I、I(CF2CF22CH=CH2が好ましく挙げられる。
また、ビスオレフィンとしては、式:
C=CR−Z−CR=CR
(式中、R、R、R、R、RおよびRは同じかまたは異なり、いずれもH、または炭素数1〜5のアルキル基;Zは、直鎖もしくは分岐状の、酸素原子を含んでいてもよい、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、または(パー)フルオロポリオキシアルキレン基)で示されるビスオレフィン化合物が、架橋性基を与える単量体として好ましい。なお、本明細書において、「(パー)フルオロポリオキシアルキレン基」とは、「フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基」を意味する。
Zは好ましくは炭素数4〜12の(パー)フルオロアルキレン基であり、R、R、R、R、RおよびRは好ましくは水素原子である。
Zが(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である場合、
−(Q)−CFO−(CFCFO)−(CFO)−CF−(Q)
(式中、Qは炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、pは0または1であり、m及びnはm/n比が0.2〜5となり且つ該(パー)フルオロポリオキシアルキレン基の分子量が500〜10000、好ましくは1000〜4000の範囲となるような整数である。)で表される(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であることが好ましい。この式において、Qは好ましくは、−CHOCH−及び−CHO(CHCHO)CH−(s=1〜3)の中から選ばれる。
好ましいビスオレフィンは、
CH=CH−(CF−CH=CH
CH=CH−(CF−CH=CH
式:CH=CH−Z−CH=CH
(式中、Zは−CHOCH−CFO−(CFCFO)−(CFO)−CF−CHOCH−(m/nは0.5))などが挙げられる。
なかでも、CH=CH−(CF−CH=CHで示される3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ドデカフルオロ−1,9−デカジエンが好ましい。
また、加工性の観点から、フッ素ゴム(A)は100℃におけるムーニー粘度が20〜200、更には30〜180の範囲にあることが好ましい。ムーニー粘度は、ASTM−D1646およびJIS K6300に準拠して測定する。
(B)カーボンブラック
本発明において、カーボンブラック(B)として、上記範囲の損失弾性率E”、更には上記範囲の貯蔵弾性率E’を与えるカーボンブラックであれば特に制限されない。
そうしたカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどがあげられ、具体的にはたとえば、SAF−HS(NSA:142m/g、DBP:130ml/100g)、SAF(NSA:142m/g、DBP:115ml/100g)、N234(NSA:126m/g、DBP:125ml/100g)、ISAF(NSA:119m/g、DBP:114ml/100g)、ISAF−LS(NSA:106m/g、DBP:75ml/100g)、ISAF−HS(NSA:99m/g、DBP:129ml/100g)、N339(NSA:93m/g、DBP:119ml/100g)、HAF−LS(NSA:84m/g、DBP:75ml/100g)、HAS−HS(NSA:82m/g、DBP:126ml/100g)、HAF(NSA:79m/g、DBP:101ml/100g)、N351(NSA:74m/g、DBP:127ml/100g)、LI−HAF(NSA:74m/g、DBP:101ml/100g)、MAF−HS(NSA:56m/g、DBP:158ml/100g)、MAF(NSA:49m/g、DBP:133ml/100g)、FEF−HS(NSA:42m/g、DBP:160ml/100g)、FEF(NSA:42m/g、DBP:115ml/100g)、SRF−HS(NSA:32m/g、DBP:140ml/100g)、SRF−HS(NSA:29m/g、DBP:152ml/100g)、GPF(NSA:27m/g、DBP:87ml/100g)、SRF(NSA:27m/g、DBP:68ml/100g)、SRF−LS(NSA:23m/g、DBP:51ml/100g)、FT(NSA:19m/g、DBP:42ml/100g)、MT(NSA:8m/g、DBP:43ml/100g)などが挙げられる。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。
なかでも、カーボンブラックの好ましいものとしては、窒素吸着比表面積(NSA)が5〜180m/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであるカーボンブラックが挙げられる。なお、カーボンブラックとして、NSAやDBPの値の高いものを用いるときは、前述した損失弾性率E”や貯蔵弾性率E’の値が高くなる。
窒素吸着比表面積(NSA)が5m/gよりも小さくなると、ゴムに配合した場合の機械物性が低下する傾向にあり、この観点から、窒素吸着比表面積(NSA)は10m/g以上が好ましく、20m/g以上がより好ましく、25m/g以上が特に好ましい。上限は、一般的に入手しやすい観点から180m/gが好ましい。
ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40ml/100gよりも小さくなると、ゴムに配合した場合の機械物性が低下する傾向にあり、この観点から、50ml/100g以上、更には60ml/100g以上、特には80ml/100g以上が好ましい。上限は一般的に入手しやすい観点から、175ml/100g、更には170ml/100gが好ましい。
カーボンブラック(B)の配合量は、フッ素ゴム(A)100質量部に対して5〜50質量部が好ましい。カーボンブラック(B)が多くなりすぎると機械物性が低下する傾向にあり、また、少なくなりすぎると機械物性が低下する傾向にある。更に好ましい配合量は、物性バランスが良好な点から、フッ素ゴム(A)100質量部に対して6質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、物性バランスが良好な点から49質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましい。
本発明における成形品を得るには、フッ素ゴム組成物として、たとえばラバープロセスアナライザ(RPA)による未架橋ゴムでの動的粘弾性試験(測定温度:100℃、測定周波数:1Hz)における動的歪み1%時のせん断弾性率G’(1%)および動的歪み100%時のせん断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、120kPa以上3,000kPa以下であるものを好適に用いることができる。
差δG’は、ゴム組成物の補強性という性質を評価する指標として用い、ラバープロセスアナライザによる動的粘弾性試験で測定算出される。
差δG’が120kPa以上3,000kPa以下の範囲にあるフッ素ゴム組成物は、常態物性および高温時の機械物性などの点で有利である。
差δG’は、常態物性および高温時の機械物性などが良好な点から、好ましくは150kPa以上、更には160kPa以上であり、常態物性、硬度、押出成形時の粘度および高温時の機械物性などが良好な点から、好ましくは2,800kPa以下、更に好ましくは2,500kPa以下である。
差δG’が120kPa以上3,000kPa以下のフッ素ゴム組成物は、たとえば混練機やロール練り機などを用いて調製できる。
より具体的には、つぎの各方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
(1)密閉式混練機にフッ素ゴム(A)とカーボンブラック(B)、要すれば後述する有機アミン化合物および/または受酸剤を所定量投入し、ローターの平均剪断速度を50〜1000(1/秒)、好ましくは100〜1000(1/秒)、更に好ましくは200〜1000(1/秒)に調整して、混練の最高温度Tmが80〜220℃(好ましくは120〜200℃)となる条件で混練する方法(つまり、混練時の混練物の最高温度Tm80℃〜220℃とし、その温度で排出する条件にて混練することが好ましい。以下同様)。なお、密閉式混練機としては、加圧ニーダーやバンバリーミキサー、一軸混練機、二軸混練機などが挙げられる。
(2)ロール練り機にフッ素ゴム(A)とカーボンブラック(B)、要すれば後述する有機アミン化合物および/または受酸剤を所定量投入し、ローターの平均剪断速度を50(1/秒)以上、混練の最高温度Tmが80〜220℃(好ましくは120〜200℃)となる条件で混練する方法。
上記(1)、(2)の方法で得られるフッ素ゴム組成物は架橋剤(C)や架橋促進剤(D)などを含んでいない。また、上記(1)、(2)の方法の混練を複数回行ってもよい。複数回行う場合、2回目以降の混練条件は、混練の最高温度Tmを140℃以下とする以外は上記(1)、(2)の方法と同じ条件でよい。
本発明で用いる架橋性のフッ素ゴム組成物の調製法の1つは、たとえば、上記(1)、(2)の方法で得られた、あるいは上記(1)、(2)の方法を複数回繰り返して得られたフッ素ゴム組成物に、更に架橋剤(C)および架橋促進剤(D)を配合し混練する方法である。
架橋剤(C)と架橋促進剤(D)は同時に配合し混練してもよいし、まず架橋促進剤(D)を配合混練し、ついで架橋剤(C)を配合混練してもよい。架橋剤(C)と架橋促進剤(D)の混練条件は、混練の最高温度Tmが130℃以下であるほかは、上記(1)、(2)の方法と同じ条件でよい。
架橋性のフッ素ゴム組成物の別の調製法は、たとえばロール練り機にフッ素ゴム(A)とカーボンブラック(B)、架橋剤(C)および/または架橋促進剤(D)を適切な順序で所定量投入し、ローターの平均剪断速度を50(1/秒)以上、混練の最高温度Tmが130℃以下の条件で混練する方法が挙げられる。
上記差δG’の範囲は、架橋剤(C)および/または架橋促進剤(D)を配合する前のフッ素ゴム組成物において満たされていることが好ましい。また、架橋剤(C)および/または架橋促進剤(D)を配合したフッ素ゴム組成物でも、上記差δG’は上記の範囲に入っていることが好ましい。
上述した特定の損失弾性率E”や貯蔵弾性率E’を備えたフッ素ゴム架橋物を得る観点からは、平均剪断速度は50(1/秒)以上が好ましい。平均剪断速度を50(1/秒)以上にすることで、所望の常態物性および高温時の機械物性を得ることができる。
平均剪断速度(1/秒)は、つぎの式により算出される。
平均剪断速度(1/秒)=(π×D×R)/(60(秒)×c)
(式中、
D:ローター径またはロール径(cm)
R:回転速度(rpm)
c:チップクリアランス(cm。ローターとケーシングとの間隙の距離、またはロール同士の間隙の距離)
架橋剤(C)および/または架橋促進剤(D)は、架橋系、架橋するフッ素ゴム(A)の種類(たとえば共重合組成、架橋性基の有無や種類など)、得られる架橋物の具体的用途や使用形態、そのほか混練条件などに応じて、適宜選択することができる。
架橋系としては、たとえば過酸化物架橋系を採用できる。
過酸化物架橋系の架橋剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る過酸化物であればよく、具体的には、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−m−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどの有機過酸化物を挙げることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又は2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3が好ましい。
また、過酸化物架橋系では、通常、架橋促進剤を含むことが好ましい。過酸化物系架橋剤、特に有機過酸化物系架橋剤の架橋促進剤としては、たとえば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどが挙げられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
また、架橋性の観点から、過酸化物架橋系に好適なフッ素ゴム(A)としては、架橋点としてヨウ素原子および/または臭素原子を含むフッ素ゴムが好ましい。ヨウ素原子および/または臭素原子の含有量としては、0.001〜10質量%、更には0.01〜5質量%、特に0.1〜3質量%が、物性のバランスが良好な点から好ましい。
過酸化物架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜9質量部、特に好ましくは0.2〜8質量部である。過酸化物架橋剤が、0.01質量部未満であると、フッ素ゴム(A)の架橋が充分に進行しない傾向があり、10質量部を超えると、物性のバランスが低下する傾向がある。
また、架橋促進剤の配合量は、通常、フッ素ゴム(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜9質量部である。架橋促進剤が、0.01質量部より少ないと、アンダーキュアとなる傾向があり、10質量部を超えると、架橋時間が速くなり過ぎることに加え、物性バランスが低下する傾向がある。
本発明のフッ素ゴム組成物には、必要に応じて通常のゴム配合物、たとえば充填材、加工助剤、可塑剤、着色剤、粘着付与剤、接着助剤、受酸剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンなどの他の重合体などを本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
充填材としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填材、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、シリカ、セライト、クレーなどが例示できる。また、受酸剤として、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどがあげられ、これらの単独または2種以上を適宜配合してもよい。これらは、先述した混練方法で、どの工程で添加するかは任意であるが、密閉式混練機やロール練り機でフッ素ゴムとカーボンブラックを混練する際に添加するのが好ましい。
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル;カルナバワックス、セレシンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、界面活性剤、スルホン化合物、フッ素系助剤、有機アミン化合物などが例示できる。
なかでも有機アミン化合物や受酸剤は、フッ素ゴム(A)とカーボンブラック(B)を密閉式混練機やロール練り機で混練する際に共存させることにより、補強性が向上する点から好ましい配合剤である。混練は、混練時の最高温度Tmが80℃〜220℃となるように行うことが好ましい。
有機アミン化合物としては、RNHで示される1級アミン、RNHで示される2級アミン、RNで示される3級アミンが好ましく挙げられる。R、R、Rは同じかまたは異なり、いずれも炭素数1〜50のアルキル基が好ましく、アルキル基は官能基としてベンゼン環を含んでいてもよいし、二重結合、共役二重結合を含んでいてもよい。尚、アルキル基は直鎖型であってもよいし、分岐型でもあってもよい。
1級アミンとしては、たとえばココナッツアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン、17−フェニル−ヘプタデシルアミン、オクタデカ−7,11−ジエニルアミン、オクタデカ−7.9−ジエニルアミン、オクタデック−9−エニルアミン、7−メチル−オクタデック−7−エニルアミンなどがあげられ、2級アミンとしては、たとえばジステアリルアミンなどが、3級アミンとしては、たとえばジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミンなどが挙げられる。なかでも炭素数が20個程度のアミン、特に1級アミンが入手の容易性や補強性が増大する点から好ましい。
有機アミン化合物の配合量は、フッ素ゴム(A)100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。有機アミン化合物が多くなりすぎると混練しにくくなる傾向にあり、また、少なくなりすぎると補強性が低下する傾向にある。更に好ましい配合量は、補強性の観点から、フッ素ゴム(A)100質量部に対して0.1質量部以上であり、補強性の観点と混練しやすさの観点から4質量部以下である。
受酸剤としては、先述したもののうち、たとえば、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、ハイドロタルサイトなどが、補強性の観点から好ましく、特に酸化亜鉛が好ましい。
受酸剤の配合量は、フッ素ゴム(A)100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。受酸剤が多くなりすぎると物性が低下する傾向にあり、また、少なくなりすぎると補強性が低下する傾向にある。更に好ましい配合量は、補強性の観点から、フッ素ゴム(A)100質量部に対して0.1質量部以上であり、物性の観点と混練しやすさの観点から8質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
本発明において、フッ素ゴム組成物の架橋方法又は成形方法は、適宜選択すればよいが、たとえば架橋缶などを用いた架橋方法等、通常の架橋方法が採用される。また、押出成形、巻蒸し成形などの成形方法を採用することもできる。また、架橋物の使用目的によって二次架橋が必要な場合は、更にオーブン架橋を施してもよい。
得られるフッ素ゴム架橋物はまた、動的粘弾性試験(測定モード:引張、チャック間距離:20mm、測定周波数:10Hz、初期加重:157cN、測定温度:160℃)において、引張歪み1%時の損失弾性率E”が、400kPa以上6000kPa以下であるとき、常態物性および高温時の機械物性などに特に優れたものとなる。
損失弾性率E”が上記範囲であるとき、常態物性および高温時の機械物性などに特に優れたものとなる。下限としては好ましくは420kPa、より好ましくは430kPaであり、上限としては好ましくは5900kPa、より好ましくは5800kPaである。
また、得られるフッ素ゴム架橋物は、動的粘弾性試験(測定モード:引張、チャック間距離:20mm、測定温度:160℃、引張歪み:1%、初期加重:157cN、周波数:10Hz)において、貯蔵弾性率E’が1500kPa以上20000kPa以下であることが、高温時の機械物性の向上の点から更に好ましい。下限としては、好ましくは1600kPa、より好ましくは1800kPaであり、上限としては、好ましくは19000kPa、より好ましくは18000kPaである。
また、フッ素ゴム架橋物は、160℃において、100〜700%、更には110%以上、特に120%以上、また680%以下、特に650%以下の引張破断伸びを有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
また、フッ素ゴム架橋物は、160℃において、1MPa以上、更には1.5MPa以上、特に2MPa以上、また30MPa以下、特に28MPa以下の引張破断強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。引張破断強度および引張破断伸びは、JIS−K6251に準じて、6号ダンベルを用いて測定する。
また、フッ素ゴム架橋物は、160℃において、3〜30kN/m、更には4kN/m以上、特に5kN/m以上、また29kN/m以下、特に28kN/m以下の引裂き強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
また、フッ素ゴム架橋物は、200℃において、100〜700%、更には110%以上、特に120%以上、また680%以下、特に650%以下の引張破断伸びを有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
また、フッ素ゴム架橋物は、200℃において、1〜30MPa、更には1.5MPa以上、特に2MPa以上、また29MPa以下、特に28MPa以下の引張破断強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
また、フッ素ゴム架橋物は、200℃において、3〜30kN/m、更には4kN/m以上、特に5kN/m以上、また29kN/m以下、特に28kN/m以下の引裂き強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
本発明のフッ素ゴム成形品は、種々の用途に利用できるが、特にたとえばつぎのような各種の用途に好適に使用できる。
(1)ホース
ホースとしては、本発明のフッ素ゴム組成物を架橋して得られるフッ素ゴム架橋物のみからなる単層構造のホースであってもよいし、他の層との積層構造の多層ホースであってもよい。
単層構造のホースとしては、たとえば排気ガスホース、EGRホース、ターボチャージャーホース、燃料ホース、ブレーキホース、オイルホースなどが例示できる。
多層構造のホースとしても、たとえば排気ガスホース、EGRホース、ターボチャージャーホース、燃料ホース、ブレーキホース、オイルホースなどが例示できる。
ターボシステムはディーゼルエンジンに多く装備され、エンジンからの排気ガスをタービンに送って回転させることによりタービンに連結されているコンプレッサーを動かし、エンジンに供給する空気の圧縮比を高め、出力を向上させるシステムである。エンジンの排気ガスを利用し、かつ高出力を得るこのターボシステムは、エンジンの小型化、自動車の低燃費化および排気ガスのクリーン化にも繋がる。
ターボチャージャーホースは、圧縮空気をエンジンに送り込むためのホースとしてターボシステムに用いられている。狭いエンジンルームの空間を有効活用するためには、可撓性や柔軟性に優れたゴム製のホースが有利であり、典型的には、耐熱老化性や耐油性に優れたゴム(特にフッ素ゴム)層を内層とし、シリコーンゴムやアクリルゴムを外層とする多層構造のホースが採用されている。しかし、エンジンルームなどのエンジン周りは高温に曝されており、しかも振動も加えられる過酷な環境にあり、耐熱老化性だけでなく、高温時の機械特性が優れたものが必要になっている。
ホースは、単層および多層構造のゴム層として、本発明のフッ素ゴム組成物を架橋して得られる架橋フッ素ゴム層を用いることにより、これらの要求特性を高い水準で満たすものであり、優れた特性を有するターボチャージャーホースを提供することができる。
ターボチャージャーホース以外の多層構造のホースにおいて、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、金属箔層などが挙げられる。
他のゴムとしては、耐薬品性や柔軟性が特に要求される場合は、アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、EPDMおよびアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるゴムが好ましく、アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムからなることがより好ましい。
また、熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂が好ましく、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂がより好ましい。
また、多層構造のホースを作製する場合、必要に応じて表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、接着を可能とする処理方法であれば、その種類は特に制限されるものではなく、例えばプラズマ放電処理やコロナ放電処理等の放電処理、湿式法の金属ナトリウム/ナフタレン液処理などが挙げられる。また、表面処理としてプライマー処理も好適である。プライマー処理は常法に準じて行うことができる。プライマー処理を施す場合、表面処理を行っていないフッ素ゴムの表面を処理することもできるが、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、金属ナトリウム/ナフタレン液処理などを予め施したうえで、更にプライマー処理すると、より効果的である。
本発明の架橋物を用いるホースは、そのほか以下に示す分野で好適に用いることができる。
半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体製造関連分野では、高温環境に曝されるCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置などのホースに用いることができる。
自動車分野では、エンジンならびに自動変速機の周辺装置に用いることができ、ターボチャージャーホースのほか、EGRホース、排気ガスホース、燃料ホース、オイルホース、ブレーキホースなどとして用いることができる。
そのほか、航空機分野、ロケット分野および船舶分野、化学プラント分野、分析・理化学機分野、食品プラント機器分野、原子力プラント機器分野などのホースにも用いることができる。
(2)シール材
シール材としては、以下に示す分野で好適に用いることができる。
たとえば、自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、滑剤・冷却系、燃料系、吸気・排気系;駆動系のトランスミッション系;シャーシのステアリング系;ブレーキ系;電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品などの、耐熱性・耐油性・燃料油耐性・エンジン冷却用不凍液耐性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型および接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシールなど)などのシール材などが挙げられる。
自動車用エンジンのエンジン本体に用いられるシール材としては、特に限定されないが、たとえば、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、Oリング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール材などが挙げられる。
自動車用エンジンの主運動系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなどが挙げられる。
自動車用エンジンの動弁系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エンジンバルブのバルブステムオイルシール、バタフライバルブのバルブシートなどが挙げられる。
自動車用エンジンの滑剤・冷却系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エンジンオイルクーラーのシールガスケットなどが挙げられる。
自動車用エンジン燃料系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、燃料ポンプのオイルシール、燃料タンクのフィラーシール、タンクパッキンなど、燃料チューブのコネクターOリンクなど、燃料噴射装置のインジェクタークッションリング、インジェクターシールリング、インジェクターOリングなど、キャブレターのフランジガスケットなど、EGRのシール材などが挙げられる。
自動車用エンジンの吸気・排気系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、マニホールドの吸気マニホールドパッキン、排気マニホールドパッキン、スロットルのスロットルボディパッキン、ターボチャージのタービンシャフトシールなどが挙げられる。
自動車用のトランスミッション系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、Oリング、パッキンなど、オートマチックトランスミッションのOリング、パッキン類などが挙げられる。
自動車用のブレーキ系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、オイルシール、Oリング、パッキンなど、マスターシリンダーのピストンカップ(ゴムカップ)など、キャリパーシール、ブーツ類などが挙げられる。
自動車用の装備電装品に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、カーエアコンのOリング、パッキンなどが挙げられる。
シール材としては、特にセンサー用シール材(ブッシュ)に適し、更には酸素センサー用シール材、酸化窒素センサー用シール材、酸化硫黄センサー用シール材などに適する。Oリングは角リングであってもよい。
自動車分野以外の用途としては、特に限定されず、航空機分野、ロケット分野、船舶分野、油田掘削分野(たとえばパッカーシール、MWD用シール、LWD用シール等)、プラント等の化学品分野、医薬品等の薬品分野、現像機等の写真分野、印刷機械等の印刷分野、塗装設備等の塗装分野、分析・理化学機分野、食品プラント機器分野、原子力プラント機器分野、鉄板加工設備等の鉄鋼分野、一般工業分野、電気分野、燃料電池分野、電子部品分野、現場施工型の成形などの分野で広く用いることができる。
たとえば、船舶、航空機などの輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチームまたは耐候用のパッキン、Oリング、その他のシール材;油田掘削における同様のパッキン、Oリング、シール材;化学プラントにおける同様のパッキン、Oリング、シール材;食品プラント機器および食品機器(家庭用品を含む)における同様のパッキン、Oリング、シール材;原子力プラント機器における同様のパッキン、Oリング、シール材;一般工業部品における同様のパッキン、Oリング、シール材などが挙げられる。
(3)ベルト
本発明のフッ素ゴム成形品は、以下に示すベルトに好適に用いることができる。
動力伝達ベルト(平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、歯付きベルトなどを含む)や搬送用ベルト(コンベアベルト)のベルト材に用いることができる。また、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、プラズマパネル製造装置、プラズマアドレス液晶パネル、フィールドエミッションディスプレイパネル、太陽電池基板等の半導体製造関連分野では、高温環境に曝されるCVD装置、ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置、酸化拡散装置、スパッタリング装置、アッシング装置、洗浄装置、イオン注入装置、排気装置などのベルト材に用いることができる。
平ベルトとしては、たとえば農業用機械、工作機械、工業用機械などのエンジン周りなど各種高温となる部位に使用される平ベルトが挙げられる。コンベアベルトとしては、たとえば石炭、砕石、土砂、鉱石、木材チップなどのバラ物や粒状物を高温環境下で搬送するためのコンベアベルトや、高炉などの製鉄所などで使用されるコンベヤベルト、精密機器組立工場、食品工場などで、高温環境下に曝される用途におけるコンベアベルトが挙げられる。VベルトおよびVリブドベルトとしては、たとえば農業用機械、一般機器(OA機器、印刷機械、業務用乾燥機など)、自動車用などのVベルト、Vリブドベルトが挙げられる。歯付きベルトとしては、たとえば搬送ロボットの伝動ベルト、食品機械、工作機械の伝動ベルトなどの歯付きベルトが挙げられ、自動車用、OA機器、医療用、印刷機械などで使用される歯付きベルトが挙げられる。特に、自動車用歯付きベルトとしては、タイミングベルトが挙げられる。
なお、多層構造のベルト材において、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、帆布、金属箔層などが挙げられる。
他のゴムとしては、耐薬品性や柔軟性が特に要求される場合は、アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、EPDMおよびアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるゴムが好ましく、アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムからなることがより好ましい。
また、熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂が好ましく、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂がより好ましい。
また、多層構造のベルト材を作製する場合、必要に応じて表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、接着を可能とする処理方法であれば、その種類は特に制限されるものではなく、例えばプラズマ放電処理やコロナ放電処理等の放電処理、湿式法の金属ナトリウム/ナフタレン液処理などが挙げられる。また、表面処理としてプライマー処理も好適である。プライマー処理は常法に準じて行うことができる。プライマー処理を施す場合、表面処理を行っていないフッ素ゴムの表面を処理することもできるが、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、金属ナトリウム/ナフタレン液処理などを予め施したうえで、更にプライマー処理すると、より効果的である。
(4)防振ゴム
本発明のフッ素ゴム成形品は、防振ゴムにおける単層および多層構造のゴム層として用いることにより、防振ゴムへの要求特性を高い水準で満たすものであり、優れた特性を有する自動車用防振ゴムを提供することができる。
自動車用防振ゴム以外の多層構造の防振ゴムにおいて、他の材料からなる層としては、他のゴムからなる層や熱可塑性樹脂からなる層、各種繊維補強層、金属箔層などが挙げられる。
他のゴムとしては、耐薬品性や柔軟性が特に要求される場合は、アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、EPDMおよびアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるゴムが好ましく、アクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはその水素添加ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムからなることがより好ましい。
また、熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂が好ましく、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂がより好ましい。
また、多層構造の防振ゴムを作製する場合、必要に応じて表面処理を行ってもよい。この表面処理としては、接着を可能とする処理方法であれば、その種類は特に制限されるものではなく、例えばプラズマ放電処理やコロナ放電処理等の放電処理、湿式法の金属ナトリウム/ナフタレン液処理などが挙げられる。また、表面処理としてプライマー処理も好適である。プライマー処理は常法に準じて行うことができる。プライマー処理を施す場合、表面処理を行っていないフッ素ゴムの表面を処理することもできるが、プラズマ放電処理、コロナ放電処理、金属ナトリウム/ナフタレン液処理などを予め施したうえで、更にプライマー処理すると、より効果的である。
(5)ダイヤフラム
本発明のフッ素ゴム成形品は、以下に示すダイヤフラムに好適に用いることができる。
例えば、自動車エンジンの用途としては、耐熱性、耐酸化性、耐燃料性、低ガス透過性などが求められる、燃料系、排気系、ブレーキ系、駆動系、点火系などのダイヤフラムが挙げられる。
自動車エンジンの燃料系に用いられるダイヤフラムとしては、例えば燃料ポンプ用ダイヤフラム、キャブレター用ダイヤフラム、プレッシャレギュレータ用ダイヤフラム、パルセーションダンパー用ダイヤフラム、ORVR用ダイヤフラム、キャニスター用ダイヤフラム、オートフューエルコック用ダイヤフラムなどが挙げられる。
自動車エンジンの排気系に用いられるダイヤフラムとしては、例えばウェイストゲート用ダイヤフラム、アクチュエータ用ダイヤフラム、EGR用ダイヤフラムなどが挙げられる。
自動車エンジンのブレーキ系に用いられるダイヤフラムとしては、例えばエアーブレーキ用ダイヤフラムなどが挙げられる。
自動車エンジンの駆動系に用いられるダイヤフラムとしては、例えばオイルプレッシャー用ダイヤフラムなどが挙げられる。
自動車エンジンの点火系に用いられるダイヤフラムとしては、例えばディストリビューター用ダイヤフラムなどが挙げられる。
自動車エンジン以外の用途としては、耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐スチーム性、低ガス透過性などが求められる、一般ポンプ用ダイヤフラム、バルブ用ダイヤフラム、フィルタープレス用ダイヤフラム、ブロワー用ダイヤフラム、空調用機器用ダイヤフラム、制御機器用ダイヤフラム、給水用ダイヤフラム、給湯用の熱水を送液するポンプなどに用いられるダイヤフラム、高温蒸気用ダイヤフラム、半導体装置用ダイヤフラム(例えば製造工程などで使用される薬液移送用ダイヤフラム)、食品加工処理装置用ダイヤフラム、液体貯蔵タンク用ダイヤフラム、圧力スイッチ用ダイヤフラム、石油探索・石油掘削用途で用いられるダイヤフラム(例えば石油掘削ビットなどの潤滑油供給用ダイヤフラム)、ガス瞬間湯沸かし器やガスメーター等のガス器具用ダイヤフラム、アキュムレーター用ダイヤフラム、サスペンションなどの空気ばね用ダイヤフラム、船舶用のスクリューフィダー用ダイヤフラム、医療用の人工心臓用ダイヤフラムなどが挙げられる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
本発明で採用した各種の物性の測定方法は、以下のとおりである。
(1)動的粘弾性試験
(A)未架橋時動的粘弾性測定(剪断弾性率G’)
動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’の測定方法
アルファテクノロジーズ社製のラバープロセスアナライザ(型式:RPA2000)を用いて、100℃、1Hzで動的粘弾性を測定する。
(B)架橋物の動的粘弾性測定(貯蔵弾性率E’および損失弾性率E”)
測定装置:アイティー計測制御(株)製の動的粘弾性測定装置DVA−220
測定条件
試験片: 幅3mm×厚さ2mmサイズの長方体の架橋済みゴム
測定モード:引張
チャック間距離:20mm
測定温度:160℃
引張歪み:1%
初期加重:157cN
周波数:10Hz
(2)引張破断強度、引張破断伸び
試験機は、オリエンテック社製のRTA−1T、(株)島津製作所製のAG−Iを用いる。JIS−K6251に準じ、チャック間50mmに設定、引張速度500mm/min、6号ダンベルを用いて引張破断強度、引張破断伸びを測定する。測定温度は、25℃、160℃とする。
(3)引張繰り返し試験(永久伸び測定)
試験機は(株)島津製作所製のAG−Iを用いる。引張条件は、JIS−K6251に準じ、6号ダンベルを用い、チャック間を50mmに、チャック移動速度を500mm/minに設定する。測定温度を25℃、160℃とする。100%伸張を10サイクル繰り返す。試験後の試験片の処置は、測定温度が25℃の場合、24時間放置し、標線間距離を測定する。測定温度が160℃の場合、試験片を160℃で30分静置し、その後、試験片を25℃へ戻し、1時間後に標線間距離を測定する。伸張率については、200%、300%でも測定する。
尚、永久伸びを下記の式より算出した。
永久伸び(%)=((試験後の試験片の標線間距離、mm)−20(mm))/20(mm) X 100
(4)ムーニー粘度(ML1+10(100℃))
ムーニー粘度は、ASTM−D1646およびJIS K6300に準拠して測定した。測定温度は100℃である。
実施例では、つぎのフッ素ゴム、カーボンブラック、架橋剤、架橋促進剤、加工助剤、及び、受酸剤を使用した。
(フッ素ゴムA1)
3Lのステンレススチール製のオートクレーブに純水1.7L、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONHの50%水溶液を0.17g、F(CFCOONHの50%水溶液12gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。600rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、初期槽内モノマー組成をVdF/HFP=47/53モル%、1.52MPaとなるようにモノマーを圧入した。ついでAPS60mgを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が1.42MPaに降下した時点で追加モノマーであるVdF/HFP=78/22モル%の混合モノマーを内圧が1.52MPaとなるまで圧入した。このとき、ジヨウ素化合物I(CFIの1.0gを圧入した。以後、昇圧、降圧を繰り返し、3時間ごとにAPSの60mg/純水5ml水溶液を窒素ガスで圧入して、重合反応を継続した。混合モノマーを43g追加した時点で、ICHCFCFOCF=CF1.5gを圧入した。混合モノマーを600g追加した時点で、未反応モノマーを放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.4質量%のフッ素ゴムのディスパージョン626gを得た。重合時間は7.6時間であった。このフッ素ゴムのディスパージョンを1質量%硫酸アルミ水溶液で凝析させ、水で洗浄後、乾燥機を用い、80℃で8時間、120℃で12時間乾燥した。得られたフッ素ゴムをNMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/HFP=76/24(モル%)であり、ムーニー粘度(ML1+10(100℃))は103であった。このフッ素ゴムをフッ素ゴムA1とする。
(フッ素ゴムA2)
3Lのステンレススチール製のオートクレーブに純水1.7L、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONHの50%水溶液を0.17g、F(CFCOONHの50%水溶液12gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。600rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、初期槽内モノマー組成をVdF/HFP=49/51モル%、1.52MPaとなるようにモノマーを圧入した。ついでAPS60mgを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が1.42MPaに降下した時点で追加モノマーであるVdF/HFP=78/22モル%の混合モノマーを内圧が1.52MPaとなるまで圧入した。このとき、ジヨウ素化合物I(CFIの1.0gを圧入した。以後、昇圧、降圧を繰り返し、3時間ごとにAPSの60mg/純水5ml水溶液を窒素ガスで圧入して、重合反応を継続した。混合モノマーを184g追加した時点で、ICHCFCFOCF=CF1.5gを圧入した。混合モノマーを600g追加した時点で、未反応モノマーを放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.3質量%のフッ素ゴムのディスパージョン620gを得た。重合時間は7.6時間であった。このフッ素ゴムのディスパージョンを1質量%硫酸アルミ水溶液で凝析させ、水で洗浄後、乾燥機を用い、80℃で8時間、120℃で12時乾燥した。得られたフッ素ゴムをNMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/HFP=77/23(モル%)であり、ムーニー粘度(ML1+10(100℃))は112であった。このフッ素ゴムをフッ素ゴムA2とする。
(フッ素ゴムA3)
3Lのステンレススチール製のオートクレーブに純水1.7L、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONHの50%水溶液を0.17g、F(CFCOONHの50%水溶液12gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。600rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、初期槽内モノマー組成をVdF/HFP=50/50モル%、1.52MPaとなるようにモノマーを圧入した。ついでAPS60mgを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が1.42MPaに降下した時点で追加モノマーであるVdF/HFP=78/22モル%の混合モノマーを内圧が1.52MPaとなるまで圧入した。このとき、ジヨウ素化合物I(CFIの1.0gを圧入した。以後、昇圧、降圧を繰り返し、3時間ごとにAPSの60mg/純水5ml水溶液を窒素ガスで圧入して、重合反応を継続した。混合モノマーを362g追加した時点で、ICHCFCFOCF=CF1.5gを圧入した。混合モノマーを600g追加した時点で、未反応モノマーを放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.6質量%のフッ素ゴムのディスパージョン631gを得た。重合時間は7.7時間であった。このフッ素ゴムのディスパージョンを1質量%硫酸アルミ水溶液で凝析させ、水で洗浄後、乾燥機を用い、80℃で8時間、120℃で8時間乾燥した。得られたフッ素ゴムをNMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/HFP=77/23(モル%)であり、ムーニー粘度(ML1+10(100℃))は146であった。このフッ素ゴムをフッ素ゴムA3とする。
(カーボンブラック)
ISAF(NSA=119m/g、DBP吸油量=114ml/100g)。東海カーボン(株)製の「シースト6」(商品名)
(架橋剤)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン。日油(株)製の「パーヘキサ25B」(商品名)
(架橋促進剤)
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)。日本化成(株)製の「タイク」(商品名)
(加工助剤)
ステアリルアミン(ファーミン86T)(花王(株)製)
(受酸剤)
酸化亜鉛(一種)(堺化学工業(株)製)
実施例1
混練機((株)モリヤマ製のMixLabo0.5L、ローター直径:6.6cm、チップクリアランス:0.05cm)を用いて、フロントローター回転数:60rpm、バックローター回転数:50rpmの混練条件で、フッ素ゴム(A1)100質量部にカーボンブラック20質量部、ステアリルアミン0.5質量部、酸化亜鉛1.0質量部を混練し、各フッ素ゴムプレコンパウンド(B1)を調製した。なお、排出された混練物の最高温度(Tm)は163℃であった。
得られたフッ素ゴムプレコンパウンド(B1)に動的粘弾性試験(1)−(A)を実施し、δG’を求めた。結果を表1に示す。
次に、フッ素ゴムプレコンパウンド(B1)121.5質量部に、8インチオープンロール(関西ロール(株)製)を用いて、フロントロール回転数21rpm、バックロール回転数19rpm、ロール間隙0.1cmの混練条件で、架橋剤1.0質量部、架橋促進剤(TAIC)を0.5質量部、ステアリルアミン0.5質量部を30分間かけて混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(C1)を調製した。なお、排出された混練物の最高温度は71℃であった。
得られたフッ素ゴムフルコンパウンド(C1)を160℃で30分間プレスして架橋を行い、厚さ2mmのシート状試験片を作製した。このシートを用いて、室温及び160℃における引張破断強度および引張破断伸び、クリープ特性を測定した。結果を表1に示す。
更に、この得られた架橋フッ素ゴムに動的粘弾性試験(1)−(B)を実施し、損失弾性率E”および貯蔵弾性率E’を求めた。結果を表1に示す。
実施例2
フッ素ゴム(A1)をフッ素ゴム(A2)にした以外は、実施例1と同様にして、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例3
フッ素ゴム(A1)をフッ素ゴム(A3)にした以外は、実施例1と同様にして、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006120571

Claims (5)

  1. フッ素ゴム(A)およびカーボンブラック(B)を含むフッ素ゴム組成物を架橋して得られるフッ素ゴム架橋物を有し、
    フッ素ゴム(A)は、全単量体成分に由来する構造単位の総量100モル%に対し、フッ化ビニリデン由来の構造単位を48〜88モル%、ヘキサフルオロプロピレンに由来する構造単位を2〜52モル%含み、テトラフルオロエチレン由来の構造単位を含まず、かつ、一般式(4):
    CY =CY CHR −X (4)
    (式中、Y 、Y は、同一又は異なって、フッ素原子、水素原子または−CH ;R は1個以上のエーテル結合性酸素原子を有していてもよく水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状の含フッ素アルキレン基;R は水素原子またはメチル基;X はヨウ素原子または臭素原子)で示される化合物に由来する構造単位をフッ素ゴム全量に対して0.05〜5質量%含有するフッ化ビニリデン系フッ素ゴムであり、
    カーボンブラック(B)は、窒素吸着比表面積(NSA)が10m/g以上であるカーボンブラックであり、
    フッ素ゴム架橋物が、動的粘弾性試験(測定温度:160℃、引張歪み:1%、初期加重:157cN、周波数:10Hz)において、損失弾性率E”が、430kPa以上5800kPa以下である成形品。
  2. フッ素ゴム架橋物が、動的粘弾性試験(測定温度:160℃、引張歪み:1%、初期加重:157cN、周波数:10Hz)において、貯蔵弾性率E’が1800kPa以上18000kPa以下である請求項1記載の成形品。
  3. フッ素ゴム(A)100質量部に対してカーボンブラック(B)を5〜50質量部含む請求項1または2記載の成形品。
  4. カーボンブラック(B)が、窒素吸着比表面積(NSA)が10〜180m/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであるカーボンブラックである請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形品。
  5. 前記フッ素ゴム組成物が、架橋剤(C)を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形品。
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