JP6119509B2 - 液体吐出装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、圧電素子を用いてキャビティ内のインクに振動を与え、その残留振動に対するインクの挙動を検知することによって、吐出状態を判定する手法が開示されている。
しかしながら、駆動信号は大振幅であるのに対して、残留振動による圧電素子の起電力は小振幅である。圧電素子は容量性の負荷であるので、駆動信号の供給を止めても、駆動信号に応じた電位が圧電素子に保持される。このため、駆動信号の印加から起電力の検出に切り替え直後にヘッド異常検出手段に供給される圧電素子の電位は、切り替え直前の駆動信号の電位となる。よって、ヘッド異常検出手段のダイナミックレンジを大きくせざるを得ず、ヘッド異常検出手段に必要とされる電源電圧は、駆動信号を出力するドライバーと同様に高電圧が必要となるといった問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、残留振動に従った圧電素子の起電力の変化を検出する残留振動検出部の電源電圧を低下させることが可能な液体吐出装置を提供すること等を解決課題とする。
この液体吐出装置の一態様によれば、第1キャパシターを含む第1ハイパスフィルターを通過した第1出力信号が残留振動検出部に供給される。第1ハイパスフィルターは、低域周波数を除去するので、第2スイッチがオン状態となっても圧電素子と残留振動検出部は交流結合することになる。このため、残留振動検出部の電源電圧は、駆動信号のダイナミックレンジに対応しなくても、圧電素子の起電力に対応すればよい。よって、残留振動検出部の電源電圧を下げることが可能となり、さらに残留振動検出部は低電圧で動作すればよいので、その構成を簡素化できる。より具体的には、残留振動検出部の電源電圧は、駆動信号の振幅の最大値より低いことが好ましい。
この態様によれば、第2ハイパスフィルターに駆動信号が供給される場合には、第3抵抗の両端の電圧を差動増幅できる。一方、第2ハイパスフィルターに圧電素子に供給される固定電位が入力される場合には、当該固定電位に重畳する電源ノイズを差動増幅でキャンセルことができる。
この態様によれば、第2状態において第2スイッチを介して駆動信号の電位に第3ノードがバイアスされた後、第3状態において第1スイッチがオン状態からオフ状態へ変化する。このため、第3ノードの電位は殆ど変化しない。よって、スイッチングノイズを大幅に低減することができる。
また、第2状態において第1スイッチを介して駆動信号の電位を圧電素子に供給した後、第1状態において第2スイッチがオン状態からオフ状態へ変化する。このため、第1ノードの電位は殆ど変化しない。よって、圧電素子に供給する駆動信号にスイッチングノイズが重畳することを抑圧できる。
この態様によれば、第1状態及び第2状態ではクランプし、第3状態においてクランプを解除するので、第1状態においてハイパスフィルターから入力される大振幅のノイズをカットし、第2状態において第2スイッチを介して駆動信号の電位に第3ノードがバイアスされた後、第3状態において第1スイッチがオン状態からオフ状態へ変化すると共に、クランプを解除する。このため、第3ノードの電位は殆ど変化せず、スイッチングノイズを大幅に低減して、正確に残留振動を検出することが可能となる。
図1は、本発明の第1実施形態における液体吐出装置の一種であるインクジェットプリンター1の構成を示す概略図である。なお、以下の説明では、図1中、上側を「上部」、下側を「下部」という。まず、このインクジェットプリンター1の構成について説明する。
図1に示すインクジェットプリンター1は、装置本体2を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ21と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口22と、上部面に操作パネル7とが設けられている。
また、装置本体2の内部には、主に、往復動する印字手段(移動体)3を備える印刷装置(印刷手段)4と、記録用紙Pを印刷装置4に対し供給・排出する給紙装置(液滴受容物搬送手段)5と、印刷装置4及び給紙装置5を制御する制御部(制御手段)6とを有している。
印字部3は、複数のヘッドユニット35と、各ヘッドユニット35にインクを供給するインクカートリッジ(I/C)31と、各ヘッドユニット35及びインクカートリッジ31を搭載したキャリッジ32とを有している。なお、インクの消費量が多いインクジェットプリンターの場合には、インクカートリッジ31がキャリッジ32に搭載されず別な場所に設置され、チューブでヘッドユニット35と連通されインクが供給されるように構成してもよい(図示せず)。
キャリッジ32は、往復動機構42のキャリッジガイド軸422に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト421の一部に固定されている。
給紙ローラ52は、記録用紙Pの搬送経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ52aと駆動ローラ52bとで構成され、駆動ローラ52bは給紙モーター51に連結されている。これにより、給紙ローラ52は、トレイ21に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置4に向かって1枚ずつ送り込んだり印刷装置4から1枚ずつ排出したりするようになっている。なお、トレイ21に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
さらに給紙モーター51は、印字部3の往復動作と連動して、画像の解像度に応じた記録用紙Pの紙送りも行う。給紙動作と紙送り動作については、それぞれ別のモーターで行うことも可能であり、また、電磁クラッチなどのトルク伝達の切り替えを行う部品によって同じモーターで行うことも可能である。
回復機構24は、ヘッドユニット35からインク滴を吐出不能となった場合に、ヘッドユニット35が正常に動作するように機能を回復させるための機構である。具体的には、回復機構24はフラッシング動作やワイピング動作を実行する。フラッシング動作は、ヘッドユニット35のキャップの装着時や、記録用紙にインク滴がかからない場所において、ヘッドユニット35のすべてのあるいは対象となるノズル110からインク滴を吐出するヘッドクリーニング動作である。また、ワイピング動作では、ノズルプレートをクリーニングするためにヘッド面に付着している付着物(紙粉やごみなど)を、ワイパで拭き取る。このときノズル110内が負圧になって、他の色のインクを引込んでしまう可能性がある。そこで、ワイピング動作後に、ヘッドユニット35のすべてのノズル110から一定量のインク滴を吐出させフラッシング動作が実施される。
なお、吐出異常検出部10及び駆動信号生成部33については、詳細を後述する。
制御部6は、インターフェース部9を介して、ホストコンピューター8から印刷データを入手すると、その印刷データを記憶部62に格納する。そして、CPU61は、この印刷データに所定の処理を実行して、この処理データ及び各種センサーからの入力データに基づいて、駆動信号生成部33、各ドライバー43、53及びヘッドユニット35に制御信号を出力する。各ドライバー43、53を介してこれらの制御信号が入力されると、印刷装置4のキャリッジモーター41及び給紙装置5がそれぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷処理が実行される。
液滴の吐出によりキャビティ245内で減少した液量は、リザーバ246からインクが供給されて補給される。また、リザーバ246へは、インクカートリッジ31からインク供給チューブ311を介してインクが供給される。
る。
u={p/(ω・m)}e−ωt・sinωt
ω={1/(m・Cm)−α2}1/2
α=r/2m
まず、ドット抜けの1つの原因であるキャビティ245内への気泡の混入について検討する。図9は、図3のキャビティ245内に気泡Bが混入した場合のノズル241付近の概念図である。この図9に示すように、発生した気泡Bは、キャビティ245の壁面に発生付着しているものと想定される(図9では、気泡Bの付着位置の一例として、気泡Bがノズル241付近に付着している場合を示す)。
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、音響抵抗r、イナータンスmを共に小さく設定して、気泡混入時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図10のような結果(グラフ)が得られた。図8及び図10のグラフから分かるように、キャビティ245内に気泡が混入した場合には、正常吐出時に比べて周波数が高くなる特徴的な残留振動波形が得られる。なお、音響抵抗rの低下などにより、残留振動の振幅の減衰率も小さくなり、残留振動は、その振幅をゆっくりと下げていることも確認することができる。
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、残留振動を解析して吐出異常を検知するものである。
駆動信号COMは圧電素子200を駆動する必要があるため、例えば42Vの電源電圧で動作する。これに対して、残留振動検出部356Aや吐出異常検出部10は、例えば3.3Vの電源電圧で動作する。
選択ユニットU1は、第1スイッチSWa1と第2スイッチSW2とを備える。これらのスイッチSWa1及びSW2は、トランスファーゲートで構成される。この例のトランスファーゲートは、同図に示すように並列に接続されたPチャネルトランジスターとNチャネルトランジスターとを備えるが、いずれか一方のチャネルのトランジスターで構成してもよい。
一方、第2スイッチSW2は、制御信号S1がハイレベルでオン状態となり、第1ハイパスフィルターHPF1を介して圧電素子200の起電力を残留振動検出部356Aに供給する一方、制御信号S1がローレベルでオフ状態となり、圧電素子200の起電力を残留振動検出部356Aに供給しない。即ち、第2スイッチSW2は、圧電素子200の起電力の変化を残留振動検出部356Aに印加するか否かを切替可能に配置されている。
なお、本実施形態では、第1スイッチSWa1と第2スイッチSW2とは、排他的にオン状態になるのではなく、第1スイッチSWa1がオン状態になる期間と、第2スイッチSW2がオン状態になる期間が、一部重複する。動作の詳細は後述する。
くわえて、第2ノードN2と第3ノードN3との間には、第3抵抗R3が設けられている。第3抵抗R3は、第3ノードN3に駆動信号COMの電圧を供給するバイアス抵抗として機能する。
ローパスフィルター37は、第1出力信号OUT1の高域周波数成分を減衰させる。この例のローパスフィルター37は、オペアンプを用いた多重帰還型であるが、残留振動の周波数帯域よりも高域周波数成分を減衰させるのであれば、どのような形式であってもよい。ローパスフィルター37によって、検出する周波数範囲を限定することでノイズ成分を除去することが可能となる。
バッファ38は、インピーダンスを変換してローインピーダンスの検出信号Vdを出力する。この例のバッファ38は、オペアンプを用いたボルテージフォロアで構成されている。
なお、制御信号A2〜Anはハイレベル、制御信号S2〜Snはローレベルになるので、検査対象以外のノズル241に対応する圧電素子120に微振動パルスP1が印加され、検査対象以外のノズル110に対応するキャビティ内のインクについて増粘が抑制される。
第1スイッチSWa1がオン状態となって検査パルスP2が圧電素子200に印加されると、圧電素子200は、検査パルスP2の立ち下がりに同期してインク滴をキャビティ内に引き込む方向に撓み、検査パルスP2の立ち上がりに同期してインク滴をキャビティから押し出す方向に撓む。
ここで、検査パルスP2は、インク滴がノズル241から吐出しないように振幅、位相及び立ち上がり時間が調整されていてもよいし、あるいは、検査パルスP2によってインク滴がノズル241から吐出されてもよい。検査パルスP2が非吐出に対応する波形である場合には、通常の印刷中に残留振動を検出することができる。一方、検査パルスP2が吐出に対応する波形である場合には、ヘッドユニット35を記録用紙からはずれた位置に移動させ、インク滴を吐出させればよい。
この第2状態から第3状態へ遷移すると、第1スイッチSWa1がオフ状態に遷移するが、第2ノードN2→第3抵抗R3の経路は残され、第3ノードN3には第3抵抗R3によって駆動信号COMの所定電位Vxがバイアスされる。よって、第1状態から第3状態へ遷移する際に第3ノードN3の電位が大きく変化しないので、スイッチングノイズを低減できる。くわえて、第1状態→第2状態→第3状態といったシーケンスで第1スイッチSWa1及び第2スイッチSW2を制御することにより、圧電素子200からの電流を連続的に流すことができるので、コイルの逆起電力のような切替時のサージ電圧の発生を無くすことができる。この結果、第4期間T4が開始されると同時に残留振動の検出を行うことが可能となる。
なお、計測部12の動作は、マスク信号Mが無効になった後、最初に検出信号Vdが閾値電圧Vth_cをよぎる場合に、検出信号Vdの立ち上がり中に閾値電圧Vth_cをよぎる正エッジ検出モードと、検出信号Vdの立ち下がり中に閾値電圧Vth_cをよぎる逆エッジ検出モードとがある。
具体的には、正エッジ検出モードにおいて、NTfフラグ生成回路131は、マスク信号Mが無効になった後であって、検出信号Vdが最初に閾値電圧Vth_cを上回ってから下回るまでの期間に、検出信号Vdが閾値電圧Vth_oを上回った場合に、NTfフラグf1を有効にする(例えば、図24に示す例)。一方、逆エッジ検出モードにおいて、NTfフラグ生成回路131は、マスク信号Mが無効になった後であって、検出信号Vdが最初に閾値電圧Vth_cを下回ってから上回るまでの期間に、検出信号Vdが閾値電圧Vth_uを下回った場合に、NTfフラグf1を有効にする。
具体的には、正エッジ検出モードにおいて、NTcフラグ生成回路135は、ラッチ信号Lcが有効になった後であって、2番目に検出信号Vdが閾値電圧Vth_cとなる信号M1の立ち上がりエッジから次の立ち下がりエッジまでの期間に、検出信号Vdが閾値電圧Vth_oを上回った場合に、NTcフラグf2を有効にする。一方、逆エッジ検出モードにおいて、NTcフラグ生成回路135は、ラッチ信号Lcが有効になった後であって、2番目に検出信号Vdが閾値電圧Vth_cとなる信号M1の立ち下がりエッジから次の立ち上がりエッジまでの期間に、検出信号Vdが閾値電圧Vth_uを下回った場合に、NTcフラグf2を有効にする。
図24に示す、正エッジ検出モードの例では、出力信号M1の2番目の立ち上がりエッジは時刻t14で発生し、次の立ち下がりエッジは時刻t16で発生する。時刻t14から時刻t16までの期間に、検出信号Vdが閾値電圧Vth_oを上回り、時刻t15において出力信号M2の立ち上がりエッジが発生する。このため、NTcフラグf2は時刻t15から有効になる。
まず、周期データNTcは、時間Ta1から時間Ta2までの範囲を正常とすると、Ta1>NTcの場合に短い、Ta2≧NTc≧Ta1の場合に正常、NTc>Ta2の場合に長いと判定される。
また、位相データNTfは、時間Tb1から時間Tb2までの範囲を正常とすると、Tb1>NTf又はNTf>Tb2の場合に長短、Tb2≧NTf≧Tb1の場合に正常と判定される。
NTcフラグf2及びNTfフラグf1が共に有効な場合は、位相データNTf及び周期データNTcの判定結果に基づいて、吐出状態を判定する。
周期データNTc及び位相データNTfが正常である場合は、吐出状態は正常と判定する(状態番号2)。周期データNTcが正常であり、且つ位相データNTfが長短である場合には、キャビティ内に気泡があると判定する(状態番号3)。
一方、周期データNTcが長い場合は、位相データNTfの判定結果に拘わらずインクが増粘していると判定する(状態番号4又は5)。これは、残留振動が過減衰であり、ノズル241付近のインクが乾燥により増粘しているもの(乾燥)と考えられるからである。
さらに、判定閾値Ta3を想定し、NTc≧Ta3の場合にインクの増粘と判定し、Ta3>NTc>Ta2の場合にはノズル241出口付近に紙粉が付着しているもの(紙粉付着)と判定してもよい。
図26に示す等価回路によれば、n個の静電容量Ccが並列に接続される。ここで、n個の第2スイッチSW2のうち、1個がオン状態なると、時定数Tは、以下の式で与えられる。
T=n・Cc・Ron
ここで、「n」は、残留振動周期(NTc)よりも時定数Tが短くなるように設定することが好ましい。このように設定することによって、残留振動周期の周波数成分を大きく減衰させること無く、ハイパスフィルターHPF1に供給することができる。
そこで、1つのユニットに割り当てる圧電素子200の数である「n」は、ハイパスフィルターHPF1に供給される圧電素子200の残留振動のSN比が適切に確保されるように設定すればよい。
仮に、「n」がインクジェットプリンター1全体のノズル241の数より小さい場合には、ハイパスフィルターHPF1及びその後段の残留振動検出部356A及び吐出異常検出部10を多重化すればよい。多重化しても選択部352Aのチップサイズは小さくなるので、性能を確保しつつ、装置全体のコストの増加を抑制することが可能となる。
第2実施形態に係るインクジェットプリンター1は、選択部352Aの替わりに選択部352Bを用いる点、及び残留振動検出部356Aの替わりに残留振動検出部356Bを用いる点を除いて、第1実施形態のインクジェットプリンター1と同様に構成されている。
G=OUT3/(OUT1−OUT2)
=(1+2*R4/R3)*(R6/R5)
出力信号OUT3は、ローパスフィルター37において高域周波数成分が減衰され、ゲイン調整部36においてゲインが調整され、バッファ38においてインピーダンスが変換されて、検出信号Vdとして吐出異常検出部10に供給される。
第3実施形態に係るインクジェットプリンター1は、選択部352Aの替わりに選択部352Dを用いる点、並びに駆動信号生成部33が第1駆動信号COMa及び第1駆動信号COMbを生成する点を除いて、第1実施形態に係るインクジェットプリンター1と同様に構成されている。
第3実施形態では、2種類の駆動信号を用いて圧電素子200を駆動する。これによって、多様な駆動パルスを圧電素子200に印加して、大きさの異なるインク滴をノズル241から吐出させることも可能となる。
即ち、最初の単位期間Taの第1駆動信号COMaと次の単位期間Tbの第2駆動信号COMbは同じであり、次の単位期間Tbの第1駆動信号COMaと最初の単位期間Taの第2駆動信号COMbは同じである。
従って、単位期間Tbでは、選択ユニットU2’において第2駆動信号COMbを選択して、検査パルスP2を圧電素子200−2に印加し、圧電素子200−2を用いて残留振動を検出する。
また、第1実施形態では、1種類の駆動信号COMを用いるため、1の単位期間に微振動パルスP1と検査パルスP2とを含ませる必要があったが、本実施形態では、各単位期間において第1駆動信号COMa及び第2駆動信号COMbの一方に、微振動パルスP1を含ませ、他方に検査パルスP2を含ませればよい。この結果、単位期間Ta、Tbを短くすることができる。
なお、上述した実施形態では、期間T10では、第1駆動信号COMaに検査パルスP2を含ませ、第2駆動信号COMbに微振動パルスP1を含ませたが、微振動パルスP1の替わりにインク滴を吐出させる吐出パルスを含ませてもよい。この場合には、インク滴と吐出させるノズル241とインク滴を非吐出として残留振動を検出するノズル241とを混在させることが可能となる。
第4実施形態に係るインクジェットプリンター1は、選択部352Dの替わりに選択部352Eを用いる点を除いて、第3実施形態のインクジェットプリンター1と同様に構成されている。
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に述べる各種の変形例が可能である。また、各変形例は、変形例同士を適宜組み合わせてもよく、更に、上述した各実施形態と適宜組み合わせてもよい。
上述した各実施形態では、選択部352A〜352Fと残留振動検出部356A、356Bとを1個のICチップに収納したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第3抵抗R3の前段を1チップに集積化してヘッドユニット35に搭載し、第3抵抗R3を含む後段の構成を別基板に設けてもよい。
例えば、第4実施形態に示す選択部352Eに適用した場合、図34に示すものとなる。同図に示すように、ヘッドユニット35には選択ユニットU1’〜 Un’の各々に対応して設けた端子X1〜Xnと、第5スイッチSW5及び第6スイッチSW6が接続された端子Yが設けられている。一方、回路基板500には、第3抵抗R3、図示せぬフレキシブル基板などを介して端子X1〜端子Xnに接続される端子Z1、及び端子Yと接続される端子Z2などが設けられている。
なお、第1実施形態で説明したように、静電容量Ccの影響から、ハイパスフィルターHPF1及びHPF2を兼用する圧電素子200の数「n」を制限する場合には、第3抵抗R3を含む後段の構成を多重化すればよい。
上述した各実施形態では、第1スイッチSWa1(SWb1)をオン状態からオフ状態に遷移させるのと同時に、第3スイッチSW3(第4スイッチSW4)をオン状態からオフ状態に遷移させてクランプを解除したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1スイッチSWa1(SWb1)をオン状態からオフ状態に遷移させた後に、第3スイッチSW3(第4スイッチSW4)をオン状態からオフ状態に遷移させてクランプを解除してもよい。
また、第1スイッチSWa1(SWb1)をオフ状態からオン状態に遷移させるのと同時に、第3スイッチSW3(第4スイッチSW4)をオフ状態からオン状態に遷移させてクランプをしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第3スイッチSW3(第4スイッチSW4)をオフ状態からオン状態に遷移させてクランプを動作させた後に、第1スイッチSWa1(SWb1)をオフ状態からオン状態に遷移させてもよい。
このように制御することによって、駆動信号COMが第3抵抗R3を介することなく、直接、残留振動検出部に供給されることを確実に防止することができる。
本発明は、上述した各実施形態で説明したインクジェットヘッドに限定されるものではなく、他の構成例であってもよいことは勿論である。図35〜図38は、それぞれ、インクジェットヘッド(ヘッドユニット)の他の構成例の概略を示す断面図である。以下、これらの図に基づいて説明するが、前述した実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
各圧電素子200の一方の面および他方の面には、それぞれ、一対の電極224が設置されている。即ち、1つの圧電素子200に対し、4つの電極224が接合されている。これらの電極224のうち所定の電極間に所定の駆動電圧波形を印加することにより、圧電素子200がシェアモード変形して振動し(図35において矢印で示す)、この振動によりキャビティ221の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ221内に充填されたインク(液体)がノズル223より液滴として吐出する。即ち、インクジェットヘッド100Bでは、圧電素子200自体が振動板として機能する。
上述した各実施形態では、ヘッドの主走査方向と紙送りの副走査方向が異なるシリアルプリンタを一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヘッドの幅が用紙の幅となるラインプリンタであってもよい。残留振動による吐出状態の判定は、インクを用紙に吐出することなく実行できるので、ラインプリンタにおいて印刷中に吐出状態の検査を行うことが可能となる。
上述した各実施形態では、第3ノードN3をバイアスする第3抵抗R3を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第3抵抗R3を設けなくてもよい。この場合にも、第1キャパシターC1によって直流成分はカットされるので、後段の残留振動検出部356Aを低電圧で動作させることが可能となる。
上述した各実施形態では、第3スイッチSW3を用いて第4ノードN4の電位をアナロググランドGNDにクランプしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第3スイッチSW3(及び第4スイッチSW4)を用いなくてもよい。即ち、後段の残留振動検出部356Aが大振幅の信号の入力を許容するのであれば、残留振動を検出する期間以外でのクランプは、必須ではない。例えば、残留振動検出部356Aの入力段に入力信号の振幅を制限するリミッタ回路を設ける場合には、第3スイッチSW3を用いてクランプしなくても残留振動検出部356Aを正常に動作させることができる。
Claims (8)
- 液滴を吐出するノズルと、
前記ノズルに連通する圧力室と、
前記圧力室に対応して液滴を吐出するために設けられた圧電素子と、
前記圧電素子を駆動するため駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
第1キャパシターと第1抵抗とを含む第1ハイパスフィルターと、
前記駆動信号の印加後に起きる前記圧力室内の残留振動に従った前記圧電素子の起電力の変化を検出する残留振動検出部と、
前記駆動信号を前記圧電素子に印加するか否かを切替可能に配置された第1スイッチと、
前記起電力の変化を前記第1ハイパスフィルターに供給するか否かを切替可能に配置された第2スイッチと、
前記圧電素子と前記第1スイッチと前記第2スイッチとを電気的に接続する第1ノードと、
前記駆動信号生成部と前記第1スイッチとを電気的に接続する第2ノードと、
前記第2スイッチと前記第1ハイパスフィルターとを電気的に接続する第3ノードと、
を備え、
前記残留振動検出部で検出される前記起電力の変化は、前記第1ハイパスフィルターを通過した第1出力信号に基づき、
前記第2ノードと前記第3ノードとの間に電気的に接続される第3抵抗を備える
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 前記第1抵抗の一方の端子には前記第1キャパシターが電気的に接続され、
前記第1抵抗の他方の端子には固定電位が供給され、
前記第1抵抗と並列に設けられる第3スイッチを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記残留振動検出部は、前記第1出力信号の高域周波数成分を減衰させるローパスフィルターを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
- 前記残留振動検出部は、前記第1出力信号の振幅を調整するゲイン調整部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の液体吐出装置。
- 前記残留振動検出部は、前記第1出力信号が供給され、インピーダンスを変換してローインピーダンスの検出信号を出力するバッファアンプを備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体吐出装置。
- 第2キャパシターと第2抵抗とを含む第2ハイパスフィルターを有し、
前記残留振動検出部は、正入力端子と負入力端子とを有する差動増幅部を備え、
前記差動増幅部の正入力端子には、前記第1出力信号と前記第2ハイパスフィルターを通過した第2出力信号とのうち一方が供給され、前記差動増幅部の負入力端子には、前記第1出力信号と前記第2出力信号とのうち他方が供給され、
前記第2ハイパスフィルターには、前記駆動信号又は前記圧電素子に供給される固定電位が入力される、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの状態には、
前記第1スイッチがオン、且つ前記第2スイッチがオフとなる第1状態、
前記第1スイッチがオン、且つ前記第2スイッチがオンとなる第2状態、
前記第1スイッチがオフ、且つ前記第2スイッチがオンとなる第3状態が有り、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態の順、又は、前記第3状態、前記第2状態、前記第1状態の順に、制御されることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチに状態には、
前記第1スイッチがオン、前記第2スイッチがオフ且つ前記第3スイッチがオンとなる第1状態、
前記第1スイッチがオン、前記第2スイッチがオン且つ前記第3スイッチがオンとなる第2状態、
前記第1スイッチがオフ、前記第2スイッチがオン且つ前記第3スイッチがオフとなる第3状態が有り、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチは、前記第1状態、前記第2状態、前記第3状態の順、又は前記第3状態、前記第2状態、前記第1状態の順に、制御されることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
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