JP6112709B2 - ブレーキシステム及びブレーキ制御方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、この種の電動式バキュームポンプを用いたブレーキシステムの一例が開示されており、負圧の検出値が下限値に到達するタイミングで電動バキュームポンプを始動制御することで、真空度を適切な範囲に維持している。
この態様によれば、真空度が所定下限値になるタイミングで電動バキュームポンプによる負圧供給を開始することで、真空度を適切な範囲に維持できる。また、電動バキュームポンプの作動開始と共に連続運転時間計測手段により計測を開始することによって、電動バキュームポンプの動作期間を効率的に短縮して、ポンプ寿命の長期化を図ることができる。
この態様では、電動バキュームポンプの作動開始後、連続運転時間が所定時間以上に達したにもかかわらず、真空度が予定下限値未満である場合には、当該ブレーキシステムに何らかの不具合(例えば電動バキュームポンプの故障や、負圧を蓄積する真空タンクの漏れなど)が考えられるため、警報を出力することによってオペレータに迅速に報知し、重大な不具合に発展することを防止することができる。
この態様では、電動バキュームポンプから供給された負圧を蓄える真空タンクを複数有することによって、蓄積可能な負圧容量を増加し、より大きな制動力を発生することが可能となる。特に真空タンクを複数有することにより、一つの大きな真空タンクを有する場合に比べてレイアウト上の自由度を上げることができる。
このブレーキ制御方法は、上記ブレーキシステム(上述の各種態様を含む)によって好適に実施することが可能である。
ブレーキシステム1は、車両の運転席においてオペレータによるブレーキペダル(不図示)の踏み込み力に対して、電動バキュームポンプ7から供給される負圧を倍力源として助勢力を付加するブレーキブースタ3を備えている。ブレーキブースタ3はブレーキペダルの踏み込み力を真空タンク2内に供給された負圧によって増大した後、マスタシリンダ4に伝達することによって助勢力を付加してブレーキASSY5を駆動する。
尚、真空タンク2内にはブレーキペダルの踏み込みに応じて外気が導入されることによって負圧が消費されるが、該外気の取り込み口にはエアフィルタ6が設けられている。
尚、2つのサブタンク2a及び2bは互いに連通しており、それぞれの真空度が同じになるように構成されている。
コントローラ10は端子10a乃至10fを有しており、各端子にて授受される電気信号に基づいて電動バキュームポンプ7の動作制御が実施される。
端子10aは高電位線11(+12V)に接続されており、コントローラ10の駆動用電力が入力される。
端子10b及び端子10cは、それぞれ第1圧力スイッチ8a及び第2圧力スイッチ8bを介して高電位線11に接続されている。第1圧力スイッチ8a及び第2圧力スイッチ8bは初期状態において閉状態に設定されており、真空タンク2の真空度がそれぞれの閾値未満に達すると開状態に切り換わる。すると、端子10b及び端子10cは高電位線11に短絡される。このように、コントローラ10は端子10b及び端子10cにおける電位検知に基づいて、第1圧力スイッチ8a及び第2圧力スイッチ8bの開閉状態が把握できるようになっている。
尚、端子10dは接地端子である。
端子10fには電動バキュームポンプ7をON/OFFするための制御リレー12が接続されている。コントローラ10は端子10fから電動バキュームポンプ7の制御信号(制御電流)を出力し、当該端子10fに接続された制御リレー11のコイル部12aを励磁されることによってスイッチ12bがON/OFF切換制御される。制御リレー12がONされると、電動バキュームポンプ7に高電位線11から駆動用の電力が供給され、始動する。
時刻0で電動バキュームポンプ7が始動すると、真空タンク2の真空度Pは増加する(ここで真空度が増加するというのは、負圧が増加する意味である)。図3に示す閾値P1はブレーキペダルに十分な助勢力を付加するために必要な真空度の下限値として規定されたものであり、例えば法定基準で要求される制動力を発生させるために必要な真空度に、安全のための一定のマージンを持って規定したものである。
真空度Pは時間に対して対数的に増加しており、ある程度時間が経過すると真空度Pはある一定値に向かって収束する。このように電動バキュームポンプ7の負圧供給効率は、真空タンク2の真空度Pが高くなると低くなる傾向にあり、図3に示す閾値P2は良好な負圧供給効率が得られる範囲の上限真空度として規定されたものであり、例えば収束値の70%程度の値を採用するとよい。
尚、後述するように本実施例にかかるブレーキシステム1では、電動バキュームポンプ7がP1<P<P2の範囲で作動するように制御されるが、この範囲はオペレータがブレーキペダルを複数回操作可能な幅が確保できる程度に設定するとよいが、具体的には電動バキュームポンプの特性等を考慮して決定するとよい。
まずコントローラ10(真空度検出手段14)は、第2圧力スイッチ8bが閉状態であるか否かを判断する(ステップS101)。上述したように、第2圧力スイッチ8bは真空タンク2の真空度Pが閾値P2以上である場合に開状態に切り換わるため、ステップS101では実質的に真空度Pが閾値P2より低いか否かを判定することができる。
第2圧力スイッチ8bが閉状態であると判定した場合(ステップS101:YES)、コントローラ10(真空度検出手段14)は更に、第1圧力スイッチ8aが閉状態であるか否かを判断する(ステップS102)。上述したように、第1圧力スイッチ8aは真空タンク2の真空度Pが閾値P1以上である場合に開状態に切り換わるため、ステップS102では実質的に真空度Pが閾値P1以下であるか否かを判定することができる。
このようにステップS101及びステップ102では、第1圧力スイッチ8a及び第2圧力スイッチ8bの開閉状態を検出することによって、真空タンク2の真空度Pが適切な範囲(P1<P<P2)にあるか否かを判定するロジックが形成されている。
尚、所定時間T1の設定例としては、オペレータによるブレーキペダルの踏み込み動作が少なくとも1回行われつつ、電動バキュームポンプ7によって真空度を閾値P1からP2に増加させるのに必要な期間として設定するとよい。
その後、ステップS105において連続運転時間Tが所定時間T1に達したと判定された場合(ステップS105:NO)、コントローラ10は制御リレー12をOFFに切り換えることにより電動バキュームポンプ7を停止させると共に、連続運転時間Tの計測を初期化する(ステップS106)。
その後、連続運転時間Tが所定時間T1に達すると(ステップS110:NO)、コントローラ10は制御リレー12をOFFすることにより電動バキュームポンプ7を停止すると共に連続運転時間Tを初期化する(ステップS112)。
真空度Pはブレーキペダルが踏み込まれる毎に真空タンク2に外気が導入されることによって略階段状に低下する。そして真空度Pが閾値P1に達すると電動バキュームポンプ7が始動し、真空タンク2への負圧供給が開始される(図4のステップS104)。その後、仮にブレーキペダルの踏み込みがない場合には真空度Pは対数的に増加するが(図3を参照)、図5では電動バキュームポンプ7の作動中にもブレーキペダルの踏み込みが行われているため、パルス状の波形で増加している。そして真空度が閾値P2に達すると電動バキュームポンプ7が停止する(図4のステップS107を参照)。
また,真空度Pが閾値P3に達するとブザー9aが始動される。
この例では、ブレーキペダルの踏み込みによって真空度Pが閾値P1に達すると、図5と同様に電動バキュームポンプ7が作動し、その後もブレーキペダルの踏み込みタイミングに応じてパルス状に真空度が増加する。上述したように図6ではブレーキペダルの踏み込み量が大きいため、真空度が閾値P2に達する前に連続運転時間Tが所定時間T1に達することによって、電動バキュームポンプが停止される(図4のステップS110を参照)。
この例では、ブレーキペダルの踏み込みによって真空度Pが閾値P1に達すると、図5と同様に電動バキュームポンプ7が作動するものの、真空タンク2の真空度Pは上昇しておらず、閾値P1未満の状態が所定時間T1継続している。このような場合、電動バキュームポンプ7の故障や真空タンク2の漏れのような異常が存在する可能性が高く、コントローラ10の警告出力手段16はブザー9bを作動させることによってオペレータに報知する。尚、警告出力手段16は、オペレータの視界に入る位置に設けられたランプを作動させても良い(図4のステップS106を参照)。
また、電動式バキュームポンプは電気的エネルギーで動作可能であるため、エンジンの動力によって駆動される機械式バキュームポンプのように常時ONである必要がないため効率が高く、配線の脱着等によって容易に後付けできるので、レイアウト上の自由度も高い。また電気的に制御可能であるため、制御性にも優れている。
2 真空タンク
3 ブレーキブースタ
4 マスタシリンダ
5 ブレーキASSY
6 エアフィルタ
7 電動バキュームポンプ
8 圧力スイッチ
9 ブザー(又はランプ)
10 コントローラ
11 高電位線
12 制御リレー
13 ポンプ制御手段
14 真空度検出手段
15 連続運転時間計測手段
16 警告出力手段
Claims (8)
- オペレータによるブレーキ操作力を補助するように構成されたブレーキブースタと、
前記ブレーキブースタに負圧を供給するように構成された電動バキュームポンプと、
前記ブレーキブースタにおける真空度を検出するように構成された真空度検出手段と、
前記電動バキュームポンプの連続運転時間を計測するように構成された連続運転時間計測手段と、
前記真空度検出手段によって検出された真空度、及び、前記連続運転時間計測手段によって計測された連続運転時間に基づいて、前記電動バキュームポンプを制御するように構成されたポンプ制御手段と
を備えるブレーキシステムであって、
前記ポンプ制御手段は、前記真空度が予め設定された所定上限値(P2)より大きくなった場合と、前記連続運転時間が予め設定された所定時間より長くなった場合とのいずれか早い方のタイミングで、前記電動バキュームポンプを停止させるように構成され、
前記電動バキュームポンプと前記ブレーキブースタとの間に、前記電動バキュームポンプから供給された負圧を蓄えるように構成された複数の真空タンクを有し、
前記複数の真空タンクの各々は、真空度が同じになるように連通されており、
前記複数の真空タンクの内の少なくとも一つの真空タンク(2a)に取り付けられた、前記真空タンク(2a)の真空度(P)が予め設定された真空度であって、前記所定上限値(P2)よりも低い真空度である所定下限値(P1)以上になると閉状態から開状態に切り替わるように構成された第1圧力スイッチ(8a)と、
前記複数の真空タンクの内の少なくとも一つの真空タンク(2b)に取り付けられた、前記真空タンク(2b)の真空度(P)が前記所定上限値(P2)以上になると閉状態から開状態に切り替わるように構成された第2圧力スイッチ(8b)と、をさらに備え、
前記真空度検出手段は、前記第1圧力スイッチおよび前記第2圧力スイッチの開閉状態に基づいて前記ブレーキブースタにおける真空度を検出するように構成されていることを特徴とするブレーキシステム。 - 前記ポンプ制御手段は、前記真空度が前記所定下限値未満になった時に、前記電動バキュームポンプを作動させると共に、前記連続運転時間計測手段による前記連続運転時間の計測を開始させるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。
- 前記連続運転時間計測手段によって計測された前記連続運転時間が前記所定時間以上に達した際に、前記真空度が前記所定下限値未満である場合、警告を出力するように構成された警告出力手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のブレーキシステム。
- 前記第1圧力スイッチおよび前記第2圧力スイッチは、前記複数の真空タンクの各々に夫々取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載のブレーキシステムを備えることを特徴とする産業車両。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載のブレーキシステムにおけるブレーキ制御方法であって、
オペレータによるブレーキ操作力を補助するブレーキブースタにおける真空度を検出する工程と、
前記ブレーキブースタに負圧を供給する電動バキュームポンプの連続運転時間を計測する工程と、
前記真空度が予め設定された所定上限値より大きくなった場合と、前記連続運転時間が予め設定された所定時間より長くなった場合とのいずれか早い方のタイミングで、前記電動バキュームポンプを停止させる工程と、を備えることを特徴とするブレーキ制御方法。 - 前記真空度が予め設定された所定下限値未満になった時に、前記電動バキュームポンプを作動させると共に、前記連続運転時間の計測を開始する工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のブレーキ制御方法。
- 前記連続運転時間が前記所定時間以上に達した際に、前記真空度が前記所定下限値未満である場合に警告を出力する工程をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のブレーキ制御方法。
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