これに応じて、少なくとも1つの薬学的に許容可能な経口賦形剤とともに、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターを含む経口送達用の医薬組成物が本明細書で提供される。
特定の実施形態では、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターは、本明細書で開示される化合物である。
特定の実施形態では、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターは、当該技術分野で知られたものである。
同様に、少なくとも1つの経口の薬学的に許容可能な賦形剤とともに、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターを含む経口の医薬組成物が本明細書で提供され、これは、被験体に経口で投与されると、治療上有効な体内の血漿ポリアミンアナログレベルまたはポリアミン生合成インヒビターレベルをもたらす。
同様に、少なくとも1つの経口の薬学的に許容可能な賦形剤とともに、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターを含む経口の医薬組成物が本明細書で提供され、これは、被験体に経口で投与されると、疼痛の処置のために治療上有効な体内の血漿ポリアミンアナログレベルまたはポリアミン生合成インヒビターレベルをもたらす。
特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、36、または、48時間の間にわたって、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの治療上有効な体内の血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも6時間にわたって、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの治療上有効な体内の血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも12時間にわたって、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの治療上有効な体内の血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも18時間にわたって、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの治療上有効な体内の血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも24時間にわたって、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの治療上有効な体内の血漿レベルをもたらす。
特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも25、50、55、60、65、75、80、85、90または95%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも6時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも8時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも8時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも50%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも12時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも50%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも18時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも50%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも18時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも25%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、ピーク血漿濃度は治療上有効な濃度である。またさらなる実施形態では、ピーク血漿濃度のパーセンテージは、与えられた時間の間、治療上有効である。
特定の実施形態では、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターを含む医薬組成物は、少なくとも10、20、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55または60%の経口バイオアベイラビリティを有している。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10%、20%、25%、30%、35%、40%または45%の経口バイオアベイラビリティを有している。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、または、少なくとも45%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも20%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも30%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも35%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも40%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも45%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、1日に一回の投与を受ける被験体において、少なくとも24時間にわたって、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの治療上有効な血漿レベルをもたらす経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、1日に二回の投与を受ける被験体において、少なくとも24時間にわたって、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの治療上有効な血漿レベルをもたらす経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、1日に三回の投与を受ける被験体において、少なくとも24時間にわたって、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの治療上有効な血漿レベルをもたらす経口バイオアベイラビリティを有している。
特定の実施形態では、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターを含む医薬組成物は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30または36時間の半減期を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は少なくとも12時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、医薬組成物は少なくとも18時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、医薬組成物は少なくとも20時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、医薬組成物は少なくとも24時間の半減期を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は少なくとも48、72、96、または120時間の半減期を有する。
さらに、少なくとも1つの薬学的に許容可能な経口賦形剤とともにMGBGを含む経口送達用の医薬組成物が本明細書で提供される。
同様に、少なくとも1つの経口の薬学的に許容可能な賦形剤とともにMGBGを含む経口の医薬組成物が本明細書で提供され、これは、被験体に経口で投与されると、治療上有効な体内の血漿MGBGレベルをもたらす。
同様に、少なくとも1つの経口の薬学的に許容可能な賦形剤とともにMGBGを含む経口の医薬組成物が本明細書で提供され、これは、被験体に経口で投与されると、疼痛の処置のための治療上有効な体内の血漿MGBGレベルをもたらす。
特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、36または48時間の間にわたって、治療上有効な体内の血漿MGBGレベルをもたらす。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも6時間にわたって、治療上有効な体内の血漿MGBGレベルをもたらす。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも12時間にわたって、治療上有効な体内の血漿MGBGレベルをもたらす。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも18時間にわたって、治療上有効な体内の血漿MGBGレベルをもたらす。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも24時間にわたって、治療上有効な体内の血漿MGBGレベルをもたらす。
特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも25、50、55、60、65、75、80、85、90または95%のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも4時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも6時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも8時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも8時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも50%のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも12時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも50%のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも18時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも50%のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも18時間にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも25%のMGBGの血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、ピーク血漿濃度は治療上有効な濃度である。また、さらなる実施形態では、ピーク血漿濃度の割合は、与えられた時間の間、治療上有効である。
特定の実施形態では、MGBGを含む医薬組成物は、少なくとも10、20、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55または60%の経口バイオアベイラビリティを有している。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも10%、20%、25%、30%、35%、40%または45%の経口バイオアベイラビリティを有している。さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、または、少なくとも45%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも20%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも30%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも35%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも40%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも45%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、1日に一回の投与を受ける被験体において、24時間にわたって、MGBGの治療上有効な血漿レベルをもたらす経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、1日に二回の投与を受ける被験体において、24時間にわたって、MGBGの治療上有効な血漿レベルをもたらす経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、医薬組成物は、1日に三回の投与を受ける被験体において、24時間にわたって、MGBGの治療上有効な血漿レベルをもたらす経口バイオアベイラビリティを有している。
特定の実施形態では、MGBGを含む医薬組成物は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30または36時間の半減期を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は少なくとも12時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、医薬組成物は少なくとも18時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、医薬組成物は少なくとも20時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、医薬組成物は少なくとも24時間の半減期を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は少なくとも48、72、96、または120時間の半減期を有する。
同様に、少なくとも1つの経口の薬学的に許容可能な賦形剤とともに、MGBGを含む医薬組成物が本明細書で提供され、これは、被験体に経口で投与されると、治療上有効な体内の血漿MGBGレベルをもたらし、用量を制限する副作用がほとんどない。特定の実施形態では、前記副作用は胃腸に関連するものである。さらなる実施形態では、前記胃腸に関連する副作用は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、口腔粘膜炎、口腔潰瘍、咽頭炎、口内炎、および、胃腸の潰瘍から選択される。さらなる実施形態では、前記胃腸に関連する副作用は、胃腸の粘膜増殖の阻害、進行性の上皮管腔細胞の遊走の阻害、および、幹細胞または前駆細胞の上皮管腔細胞への分化の阻害から選択される。特定の実施形態では、前記副作用は、血小板減少症、白血球減少症、静脈炎、喉頭炎、蜂巣炎、皮膚炎および低血糖症から選択される。
同様に、治療上有効な量のMGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、慢性的な送達のための低用量の経口医薬組成物が本明細書で提供され、これは胃腸の副作用がほとんどない。特定の実施形態では、治療上有効な量のMGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含み、胃腸の副作用がほとんどない、慢性的な送達のための低用量の経口医薬組成物は、1日に一回の投与を受ける被験体において、少なくとも24時間にわたって、MGBGの治療上有効な血漿レベルをもたらす。
特定の実施形態において、医薬組成物は錠剤またはカプセルとして処方される。例えば、特定の実施形態では、医薬組成物は次のものを含む。
0.1−50%のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビター;
0.1−99.9%の増量剤(filler);
0−10%の崩壊剤;
0−5%の潤滑剤;および、
0−5%の流動促進剤(glidant)。
特定の実施形態では、医薬組成物は次のものを含む。
0.1−50%のMGBG;
0.1−99.9%の増量剤;
0−10%の崩壊剤;
0−5%の潤滑剤;および、
0−5%の流動促進剤。
さらなる実施形態では、
前記増量剤は、砂糖、でんぷん、セルロースおよびポロクサマーから選択され;
前記崩壊剤はポビドンとクロスポビドン(crospovidone)から選択され;
前記潤滑剤はステアリン酸マグネシウムであり;および、
前記流動促進剤は二酸化ケイ素である。
さらなる実施形態では、
前記増量剤はラクトースと微結晶性セルロースから選択され;
前記崩壊剤はポビドンとクロスポビドンから選択され;
前記潤滑剤はステアリン酸マグネシウムであり;および、
前記流動促進剤は二酸化ケイ素である。
特定の実施形態では、医薬組成物は次のものを含む。
錠剤の含量またはカプセルの増量含量の2−50%を構成する、10−300mgのポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビター;
0−10%の崩壊剤;
0−5%の潤滑剤;
0−5%の流動促進剤;および、
30−98%の増量剤。
特定の実施形態では、医薬組成物は次のものを含む。
錠剤含量またはカプセル十分含量の2−50%を構成する、10−300mgのMGBG;
0−10%の崩壊剤;
0−5%の潤滑剤;
0−5%の流動促進剤;および、
30−98%の増量剤。
さらなる実施形態では、医薬組成物は、
0.1−10%の結合剤;
0−5%の界面活性剤;
0−10%の顆粒内崩壊剤(intergranular disintegrant);および、
0−10%の顆粒外崩壊剤(extragranular disintegrant)を含む。
さらなる実施形態では、医薬組成物は、
0−10%の結合剤;
0−5%の界面活性剤;
0−10%の顆粒内崩壊剤;および、
0−10%の顆粒外崩壊剤をさらに含む。
さらなる実施形態では、
前記結合剤は、コポリビドン(copolyvidone)、ヒドロキシプロピル−セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および、ポビドンから選択され、
前記界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポロクサマー、および、ラウリル硫酸ナトリウムから選択され、
前記顆粒内崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、デンプングルコン酸ナトリウム(sodium starch glyconate)、および、クロスポビドンから選択され、
および、前記顆粒外崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、デンプングルコン酸ナトリウム、および、クロスポビドンから選択される。
同様に、MGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療上有効な量の経口医薬組成物の投与を含む、必要としている被験体の疾病の発症または進行を処置するかまたは遅らせる方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、経口医薬組成物は治療上有効な量で送達される。特定の実施形態では、前記経口医薬組成物は、少なくとも30%の経口バイオアベイラビリティを有している。特定の実施形態では、前記経口医薬組成物には用量を制限する副作用がほとんどない。特定の実施形態では、MGBGの血漿レベルは4時間以上にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%である。さらなる実施形態では、被験体に経口で投与されると、前記経口医薬組成物は、少なくとも12時間にわたって、治療上有効な体内の血漿MGBGレベルをもたらす。特定の実施形態では、前記疾病は、増殖性疾患、炎症性疾患、および、自己免疫性疾患、および、神経障害から選択される。特定の実施形態では、前記疾病は、関節リウマチ、変形性関節症、多発性硬化症、HIV神経障害、および、HIVに関連する認知症から選択される。
特定の実施形態では、前記増殖性疾患は、癌、乾癬、乾癬性関節炎、および、アトピー性皮膚炎から選択される。特定の実施形態では、神経障害は、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、絞扼性ニューロパチー(手根管症候群)、ヘルペス後神経痛(PHN)、化学療法に誘発された神経障害およびHIV神経障害から選択される。
特定の実施形態では、疾病は、増殖性疾患、関節リウマチ、変形性関節症、多発性硬化症、HIV神経障害、および、HIVに関連する認知症から選択される。特定の実施形態では、増殖性障害は、例えば、癌、乾癬、乾癬性関節炎、および、アトピー性皮膚炎から選択することができる。特定の実施形態では、処置は、オステオポンチンのレベルまたは活性の減少をもたらす。特定の実施形態では、方法は、オステオポンチンレベルをアッセイする工程、オステオポンチンのレベルに基づいて、MGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、追加の治療上有効な量の経口医薬組成物を投与する工程をさらに含む。
同様に、少なくとも1つの経口の薬学的に許容可能な賦形剤とともに、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターを含む経口医薬組成物が提供され、これは、被験体に経口で投与されると、疼痛の処置のために、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターの治療上有効な体内の血漿レベルをもたらす。同様に、少なくとも1つの経口の薬学的に許容可能な賦形剤とともにMGBGを含む経口医薬組成物が提供され、これは、被験体に経口で投与されると、疼痛の処置のために、MGBGの治療上有効な体内の血漿レベルをもたらす。
同様に、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビター、あるいは、その塩または保護誘導体の投与を含む、必要としている被験体の疼痛の処置の方法が本明細書で提供される。同様に、MGBGの投与を含む、必要としている被験体の疼痛の処置の方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、MGBGは治療上有効な量で投与される。さらに、MGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む治療上有効な量の医薬組成物の投与を含む、必要としている被験体の疼痛の処置の方法が提供される。
特定の実施形態では、疼痛は、炎症性疼痛、神経損傷による疼痛、慢性的疼痛、難治性癌の疼痛、複合性局所疼痛症候群、神経障害性疼痛、手術のまたは手術後の疼痛、歯痛、皮膚損傷に起因する疼痛、腰痛、頭痛、片頭痛、接触性アロディニア、および、痛覚過敏から選択される。特定の実施形態において、疼痛は慢性的である。他の実施形態において、疼痛は急性である。特定の実施形態では、疼痛は炎症性疼痛である。
特定の実施形態では、MGBGまたはその医薬組成物の投与は経口である。他の実施形態において、投与は静脈内である。
特定の実施形態では、投与は経口で静脈内の組み合わせである。特定の実施形態では、第1の投与は経口であり、第2の投与は静脈内(IV)であり、他の実施形態では、第1の投与は静脈内(IV)であり、第2の投与は経口であり、いずれの場合も、追加の経口または静脈内投与が続いてもよい。特定の実施形態では、疼痛は手術のまたは手術後の疼痛である。例えば、特定の実施形態では、手術前の投与は経口であり、手術前後(peri−surgical)の投与は静脈内であり、他の実施形態では、手術前の投与は静脈内であり、手術前の投与も静脈内であり、手術後の投与は経口である。いずれの場合も、追加の経口または静脈内投与が続いてもよい。特定の実施形態では、手術前、手術前後、および、手術後の投与は静脈内である。
同様に、MGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、治療上有効な量の経口医薬組成物の投与を含む、必要としている被験体のHIV神経障害の処置の方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、MGBGの血漿レベルは4時間以上にわたって、ピーク血漿濃度の少なくとも75%である。
同様に、MGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む経口医薬組成物、および、別の治療剤の投与を含む、それを必要としている被験体の疾病の処置の方法が提供される。
特定の実施形態では、MGBGは治療上有効な量で送達される。他の実施形態において、MGBGは治療量以下で送達される。特定の実施形態では、他の治療剤は治療上有効な量で送達される。他の実施形態では、他の治療剤は治療量以下で送達される。特定の実施形態では、MGBGおよび他の治療剤は、それぞれでは治療量以下であるが、一緒にすると治療上有効な量でともに送達される。他の実施形態では、MGBGおよび他の治療剤は、それぞれが治療上有効な量でともに送達される。
さらに、以下の方法が本明細書で提供される:
被験体のオステオポンチンのレベルまたは活性の増加に関連した疾病を処置または予防するための、および、被験体のオステオポンチン活性またはレベルの制御の方法;S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ(「AMD−I」)を阻害する、または、ポリアミン生合成を阻害する、有効な量の薬剤に細胞を接触させる工程を含む、細胞のオステオポンチンのレベルまたは活性を減少させる方法;有効な量のMGBG、MGBGの塩、または、MGBGの保護誘導体に細胞を接触させる工程を含む、細胞のオステオポンチンのレベルまたは活性を減少させる方法;S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼを阻害する、または、被験体のポリアミン生合成を阻害する有効な量の薬剤を、処置を必要としている被験体に投与する工程を含む、オステオポンチンのレベルまたは活性の増加に関連する疾病を処置または予防する方法。
さらに、疾病を処置する方法が本明細書で提供される。該方法は、有効な量のMGBG、MGBGの塩、MGBGの保護誘導体、または、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビター、または、その塩、保護誘導体、または、立体異性体を、そのような処置を必要としている被験体に投与する工程を含み、該疾病は、クローン病、パーキンソン病、炎症性腸疾患、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、肝炎、HBY、HCV、腎炎、脳炎、糸球体腎炎、関節リウマチ、2型糖尿病、心臓繊維症およびアンギオテンシンII型に関連する高血圧、骨粗鬆症、マスト細胞が生成したIgE媒介性の過敏性免疫反応、HIV感染または糖尿病に関連する末梢性感覚ニューロパチー、喘息、自閉症、皮膚筋炎、虚弱、肥満、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、放射線照射後症候群、乾癬性関節炎、サルコイドーシス、肺線維症を伴うかまたは伴わない強皮症、腎臓に関連する自己免疫性疾病、糖尿病性腎症、糖尿病性の血管合併症、および、リンパ球増殖に関連する自己免疫性疾病から選択される。
さらに、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼを阻害するか、または、単球またはマクロファージ中のポリアミン生合成を阻害する有効な量の薬剤に、単球またはマクロファージを接触させる工程を含む、単球またはマクロファージからのオステオポンチン分泌を減少させる方法が本明細書で提供される。さらに、有効な量のMGBGまたはその塩あるいは保護誘導体に、単球またはマクロファージを接触させる工程を含む、単球またはマクロファージからのオステオポンチン分泌を減少させる方法が本明細書で提供される。
さらに、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼを阻害するか、または、単球中のポリアミン生合成を阻害する有効な量の薬剤に、単球を接触させる工程を含む、単球からのマクロファージの分化を減少させる方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、薬剤はMGBGまたはその塩あるいは保護誘導体である。
本発明は、オステオポンチンのレベルまたは活性の増加に関連した疾病を処置または予防する方法を提供する。方法は、そのような処置を必要としている被験体に、オステオポンチンの活性を制御するのに有効な量の薬剤を投与する工程を含む。疾病は、オステオポンチンのレベルまたは活性の増加に関連する、任意の既知の疾病かまたは後に発見される疾病であってもよい。オステオポンチンの活性の増加に関連した疾病の例は、限定されないが、自己免疫性の疾病、炎症性の疾病、腫瘍性成長、および、腫瘍転移を含む。1つの実施形態では、オステオポンチンのレベルまたは活性の増加に関連した疾病は、影響を受けた領域への免疫細胞の浸潤、または、被験体のCD14/CD16マクロファージのレベルの増加である。
別の実施形態では、オステオポンチンの活性の増加に関連した疾病は、限定されないが、多発性硬化症(MS)、アテローム性動脈硬化および関連する冠状動脈疾病、関節リウマチ、狼瘡、腎炎、脳炎、クローン病、骨粗しょう症、炎症性腸疾患、乳癌、卵巣癌、膵癌、膀胱癌、肺癌、結腸癌、胃癌、食道癌、頭部または頚部の扁平上皮癌、前立腺癌、甲状腺癌、黒色腫、腎臓癌、腎細胞癌、子宮内膜癌、小腸癌、十二指腸癌、胆管細胞癌、星状細胞腫、AIDSリンパ腫、濾胞性リンパ腫、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、増殖性網膜症、硝子体網膜症、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、非HIVに関連する認知症、HIVとAIDSに関連する認知症、巣状分節性糸球体硬化症、細胞膜増殖性糸球体腎症、乾癬、ヘルペスウイルスに関連する疾患、カストルマン病、カポジ肉腫、アルツハイマー病、2型糖尿病、心臓繊維症およびアンギオテンシンII型に関連する高血圧、マスト細胞が生成するIgEを媒介とした過敏性免疫反応、前リンパ球(prelymphomatic)またはリンパ球増殖に関連する自己免疫性疾患、血管免疫芽細胞性リンパ節腫脹(lymphadenophathy)(AILD)、糸球体腎炎および他の糸球体疾患、免疫グロブリンA(IgA)腎症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、HBVおよびHCVを含む肝炎、HIV感染または糖尿病に関連する末梢性感覚ニューロパチー、喘息、自閉症、皮膚筋炎、虚弱、肥満、パーキンソン病、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、放射線照射後症候群、乾癬性関節炎、サルコイドーシス、肺線維症を伴う、または、肺線維症を伴わない強皮症、腎臓に関連する自己免疫性疾患、糖尿病性腎症、および、他の糖尿病性の血管合併症を含む。
さらに別の態様によると、本発明は、単球またはマクロファージからのオステオポンチン分泌を減少させる方法を提供する。方法はオステオポンチンの活性を制御する有効な量の薬剤に、単球またはマクロファージを接触させる工程を含む。
さらに別の態様によると、本発明は、単球からのマクロファージの分化を減少させる方法を提供する。方法はオステオポンチンの活性を制御する有効な量の薬剤に、単球を接触させる工程を含む。特定の実施形態では、オステオポンチンの活性を制御する薬剤は、MGBG、またはその塩あるいは保護誘導体である。
同様に、免疫不全ウイルスに感染した被験体に、治療上有効な量のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビターを投与する工程を含み、それによって、免疫不全ウイルスに感染した被験体のウイルス負荷を軽減させるような、感染した被験体のウイルス負荷を軽減する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、ポリアミン生合成インヒビターは、MGBG、またはその塩、あるいは、保護誘導体である。
同様に、免疫不全ウイルスに感染した被験体に、治療上有効な量のポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビター、および、少なくとも1つの抗ウイルス剤を投与する工程を含む、免疫不全ウイルス感染を処置するための方法が本明細書で提供される。同様に、ヒト免疫不全ウイルスに感染した被験体に、治療上有効な量のポリアミンアナログを投与する工程を含む、HIV感染に付随するAIDSまたは疾病の発症を予防するための方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、ポリアミン生合成インヒビターは、MGBGまたはその塩あるいは保護誘導体である。
同様に、ポリアミンアナログまたはポリアミン生合成インヒビター、抗ウイルス剤、および、キットとして任意で提供される薬学的に許容可能な担体を含む医薬製剤が本明細書で提供される。特定の実施形態では、この医薬製剤は、そのような処置を必要とする被験体に投与されるのに適切な単回投与量である。特定の実施形態では、前記処置はウイルス感染のためのものである。
本発明の方法に役立つ薬剤は、オステオポンチンの活性を減少させる任意の薬剤であってもよい。1つの実施形態では、薬剤は、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ(「AMD−I」)、または、AMDを含む任意の経路(例えば、AMD−Iを含む任意の実体上流または下流)、とりわけ、AMD−Iを含み、アデノシン産生に関連した任意の経路を阻害することができる。別の実施形態では、薬剤は、ポリアミン生合成、または、ポリアミン生合成に関与する任意の経路を阻害することができる。一般に、AMD−Iまたはアデノシンを含む経路は、AMD−Iまたはアデノシンのいずれかが、例えば、基質、触媒、生成物、または、副産物として関与するような経路のことを指すものと理解される。
薬剤は、酵素S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼの活性を阻害可能な、例えば細胞中のポリアミン生合成を阻害可能な既知の任意のものであるか、または、今後発見されるものであってもよい。1つの実施形態では、薬剤は、有機分子およびその塩、保護誘導体および立体異性体、無機分子または様々なイオンあるいは基本的な実体(elemental entities)を含むが、これらに限定されない化学薬剤である。
本明細書で開示される方法および組成物で使用される化合物は、ポリアミンアナログおよびポリアミン生合成インヒビターだけでなく、その塩、プロドラッグ、溶媒和物、無水形態物、保護誘導体、構造異性体、立体異性体、アミノ酸抱合体、および、ポルフィリン抱合体を含む。任意のポリアミンアナログは本発明の方法で使用するのに適している。
本発明の方法で使用される典型的なポリアミンアナログは、構造式1、2、3、4、5、6、7、並びに、それらの対応する立体異性体、塩、および、化合物を含む。
式1は以下の構造を有する。
ここで、R1、R2、R4、R6、および、R7は、水素、アルキル、および、アリールから独立して選択され、
R3およびR5はアルキル基である。
式2は以下の構造を有する。
ここで、R1、R2、R4、R6、R8およびR9は、水素、アルキル、アリールから独立して選択され、
R3、R5およびR7はアルキル基である。
式3は以下の構造を有する。
ここで、R1、R2、R4、R6、R10およびR11は、水素、アルキル、アリールから独立して選択され、
R3、R5、R7およびR9はアルキル基である。
式4は以下の構造を有する。
ここで、R1とR5は、メチル、エチル、n−プロピル、および、イソプロピルから独立して選択され、
R2、R3、および、R4は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルキル−C3−C6シクロアルキル−C1−C6アルキル、C3−C10アリール、および、C1−C6アルキル−C3−C10アリール−C1−C6アルキルから独立して選択され、
R6、R7、R8およびR9は、水素、メチル、および、エチルから独立して選択される。
式5は以下の構造を有する。
ここで、R1とR6は、メチル、エチル、n−プロピル、および、イソプロピルから独立して選択され、
R2、R3、R4、および、R5は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルキル−C3−C6シクロアルキル−C1−C6アルキル、C3−C10アリール、および、C3−C10アリール−C1−C6アルキルから独立して選択され、
R7、R8、R9、R10、および、R11は、水素、メチルおよびエチルから独立して選択される。
別の実施形態では、ポリアミンアナログは、構造2および3の化合物であり、
ここで、R3、R5、R7およびR9は、独立して(CH2)x基であり、
xは、2乃至6の整数であり、
R4、R6およびR8は水素原子である。
さらに別の実施形態では、ポリアミンアナログは、構造2および3の化合物であり、
ここで、R3、R5、R7およびR9は、独立して(CH2)x基であり、
xは、2乃至6の整数であり、
R4、R6およびR8は水素原子であり、
R1とR10はアルキル基であり、
R2とR11は水素原子である。
さらに別の実施形態では、ポリアミンアナログは構造2および3の化合物であり、
ここで、R3、R5、R7およびR9は、独立して(CH2)x基であり、
xは、2乃至6の整数であり、
R4、R6およびR8は水素原子であり、
R1とR10はアルキル基であり、
R2とR11は水素原子であり、
ポリアミンアナログは500未満の分子量を有する。
構造4の化合物のさらなる実施形態は、R6、R7、R8およびR9が水素であるものを含む。
別の実施形態において、R1およびR5はエチルである。
またさらなる実施形態では、R6、R7、R8およびR9は水素であり、R1とR5はエチルである。
またさらなる実施形態では、R2とR4は、C1−C6アルキルから独立して選択され、
R3は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルキル−C3−C6シクロアルキル−C1−C6アルキル、C3−C10アリール、および、C1−C6アルキル−C3−C10アリール−C1−C6アルキルから選択される。
本発明において有用な追加のポリアミンアナログは、式6の化合物、および、その対応する立体異性体、塩、および、保護誘導体を含み、
ここで、R4は、C2−C6 n−アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6シクロアルケニル、および、C3−C6アリールから選択され、
R3とR5は、単結合、C1−C6アルキル、および、C1−C6アルケニルから独立して選択され、
R2とR6は、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6シクロアルケニル、および、C3−C6アリールから独立して選択され、
R1とR7は、水素、C1−C6アルキル、および、C2−C6アルケニルから独立して選択され、
R8、R9、R10およびR11は水素である。
式6の化合物の特定の実施形態では、R1とR7は、C1−C6アルキルおよびC2−C6アルケニルから独立して選択される。
本発明で役立つ追加のポリアミンアナログは、式7の化合物、および、その対応する立体異性体、塩、保護誘導体を含み、
ここで、R4はC1−C6n−アルキル、および、C1−C6分岐アルキルであり、
R3とR5は、単結合またはC1−C6アルキルから独立して選択され、
R2とR6は、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6シクロアルケニル、または、C3−C6アリールから独立して選択され、
R1とR7は、H、C1−C6アルキル、または、C2−C6アルケニルから独立して選択され、
R8、R9、R10およびR11は水素である。
式7の化合物の特定の実施形態では、R2およびR7は、C1−C6アルキルまたはC2−C6アルケニルから独立して選択され、
R4はC1−C6飽和n−アルキル、および、C1−C6飽和分岐アルキルから選択され、
R3とR5は、単結合、および、C1−C6飽和n−アルキルから独立して選択される。
本発明の別の実施形態によると、薬剤は、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼの活性を阻害するか、ポリアミン生合成を阻害するか、および/または、アデノシンの活性を増加させる、化学的部分である。
そのような部分の例は、限定されないが、表1に列挙されたものを含む。表1に列挙された部分の形態に関係なく、該部分は、適用可能なものとして、その塩、保護誘導体、および、立体異性体を含むことが理解される。
さらに別の実施形態では、薬剤は、MGBG、MDL73811、CGP48664、ベレニル(Berenil)、ペンタミジン、SL47、および、SL93から選択された化合物、または、その2以上の組み合わせである。さらに別の実施形態では、薬剤は、MGBG、SL47またはSL93である。さらに別の実施形態では、2つ以上の薬剤がオステオポンチンの活性を制御するために本発明の方法で使用される。2つ以上の薬剤は、連続してまたは同時に使用することができる。
MGBGは、1,1’[メチルエタンジイリデン]ジニトリロジグアニジン(dinitrilodiguanidine)であり、メチルグリオキサル ビス(グアニルヒドラゾン)、メチル−GAG、Me−G、および、ミトグアゾンとしても知られている。本明細書で使用されているように、MGBGは遊離塩基およびその塩を含む。MGBGは、必ずしもそうである必要はないが、二塩化水素化物として使用されるのが一般的である。MGBGは、以下の異性体、または、互変異性体、および/または、そのシン/抗異性体、その1つ以上の混合物の任意の1つとして存在してもよい。
特定の実施形態では、MGBGは、以下の異性体、または、互変異性体および/またはそのシン/抗異性体、その1つ以上の混合物の任意の1つとして存在してもよい。
特定の実施形態では、化合物は式8a−8cから選択される構造を有し、
R1−R6は、式(8a)でR1およびR6が水素でないという条件で、1〜12の炭素原子を有する水素、アルキルおよびアラルキルから選択され、
R7は1〜12の炭素原子を有する水素、アルキル、アリールおよびアラルキルから選択され、
m、nは、各々独立して3から6までの整数を含み、
v、w、x、y、および、zは、各々独立して3から10までの整数を含む。
追加の開示は、WO98/10766(つまり、あたかも全体として本明細書に書かれたかのように、引用によって組み込まれる開示)の例えば3−4ページに見られる。
特定の実施形態において、化合物は、式9a:E−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−Eの構造、および、そのすべての塩、水化物、溶媒和物、並びに、立体異性体を有し、
ここで、Aは、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、および、C3−C6シクロアルケニルからなる群から独立して選択され、
Bは、単結合、C1−C6アルキル、および、C2−C6アルケニルからなる群から独立して選択され、
少なくとも1つのA部分が、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、および、C3−C6シクロアルケニルからなる群から選択されるか、または、少なくとも1つのB部分がC2−C6アルケニルからなる群から選択されるという条件で、
Eは、水素、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、および、C3−C6シクロアルケニルからなる群から独立して選択される。
別の実施形態では、配座固定された(conformationally restricted)ポリアミンアナログは、式9b:E−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH(−B−A−B−NH)x−Eの化合物、および、そのすべての塩、水化物、溶媒和物、並びに、立体異性体の群の中から選択され、
ここで、AはC1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、および、C3−C6シクロアルケニルからなる群から選択され、
Bは、単結合、C1−C6アルキル、および、C2−C6アルケニルからなる群から独立して選択され、
少なくとも1つのA部分が、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、および、C3−C6シクロアルケニルからなる群から選択されるか、または、少なくとも1つのB部分が、C2−C6アルケニルからなる群から選択されるという条件で、
Eは、水素、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、および、C3−C6シクロアルケニルからなる群から独立して選択され、
xは、2乃至16の整数である。
別の実施形態において、xは、4、6、8、または10である。
別の実施形態では、Xは4である。別の実施形態では、Xは6である。
別の実施形態では、xは8である。
別の実施形態では、xは10である。
別の実施形態では、配座固定されたポリアミンアナログは、式9c:E−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH(−B−A−B−NH)x−Eの化合物、および、そのすべての塩、水化物、溶媒和物、並びに、立体異性体の群の中から選択され、
ここで、Aは、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、および、C3−C6シクロアルケニルからなる群から選択され、
Bは、単結合、C1−C6アルキル、および、C2−C6アルケニルからなる群から選択され、
少なくとも1つのEの部分がC1−C6アルカノール、C3−C6シクロアルカノール、および、C3−C6ヒドロキシアリールからなる群から選択されるという条件で、Eは、C1−C6アルキル、C1−C6アルカノール、C3−C6シクロアルカノール、および、C3−C6ヒドロキシアリールからなる群から独立して選択され、
xは、0乃至16の整数である。
別の実施形態では、配座固定されたポリアミンアナログは、式9d:E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−Eの化合物、および、そのすべての塩、水化物、溶媒和物、並びに、立体異性体の群の中から選択され、
ここで、Aは、C2−C6アルケン、および、C3−C6シクロアルキル、シクロアルケニル、および、アリールからなる群から選択され、
Bは、単結合、および、C1−C6アルキル、および、アルケニルからなる群から独立して選択され、
Dは、C1−C6アルキルおよびアルケニル、および、C3−C6シクロアルキル、シクロアルケニル、および、アリールからなる群から独立して選択され、
Eは、水素、C1−C6アルキル、および、アルケニルからなる群から独立して選択される。
別の実施形態では、配座固定されたポリアミンアナログは、式9eの大環状ポリアミン、 および、そのすべての塩、水化物、溶媒和物、および、立体異性体から選択され、
ここで、A1、各々のA2(存在すれば)、および、A3は、C1−C8アルキルから独立して選択され、
各々のYは、水素またはC1−C4アルキルから独立して選択され、
MはC1−C4アルキルから選択され、
kは0、1、2、または3であり、および、
RはC1−C32アルキルから選択される。
追加の実施形態では、Y基は水素または−CH3である。
別の実施形態では、A1、各々のA2(存在すれば)、および、A3は、C2−C4アルキルから独立して選択される。
さらに別の実施形態において、Mは−CH2−である。
別の実施形態では、配座固定されたポリアミンアナログは、式9fの大環状ポリアミンアナログ、および、そのすべての塩、水化物、溶媒和物、並びに、立体異性体から選択され、
ここで、A1、各々のA2(存在すれば)、および、A3は、C1−C8アルキルから独立して選択され、
A4はC1−C8アルキルから選択されるかまたはゼロであり、
Xは、A4がゼロのとき、Xが水素、−C(=O)−C1−C8アルキル、または、−Zであるという条件で、−水素、−Z、−CN、−NH2、−C(=O)−C1−C8アルキル、または、−NHZから選択され、
Zは、アミノ保護基、アミノキャッピング基(amino capping group)、アミノ酸、および、ペプチドからなる群から選択され、
各々のYは、水素またはC1−C4アルキルから独立して選択され、
MはC1−C4アルキルから選択され、
kは0、1、2、または3であり、および、
RはC1−C32アルキルから選択される。
特定の実施形態において、A4はゼロである。
他の実施形態では、Xは−Zであり、−Zは水素である。
他の実施形態では、Xは−Zであり、−Zは4−モルホリノカルボニル(morpholinocarbonyl)である。
他の実施形態では、Xは−Zであり、−Zはアセチルである。
他の実施形態では、Xは−Zであり、−Zはt−BocまたはFmocである。
幾つかの実施形態において、Yは−CH3である。
幾つかの実施形態において、Mは−CH2である。
さらなる実施形態において、kは1である。
さらなる実施形態において、AおよびA3は、−CH2CH2CH2−である。
またさらなる実施形態では −CH2CH2CH2CH2−である。
またさらなる実施形態において、RはC13H27である。
またさらなる実施形態では、A4、X、Z、Y、M、k、A1、A3、および、Rに対する特定の制限の1つ以上が組み合わされる。
大環状ポリアミンアナログ化合物のさらなる実施形態では、
A4はC1−C8アルキルであり、
Xは−NHZであり、および、
Zは、20の遺伝的に符号化されたアミノ酸(アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン)、式:アセチル−SKLQL−のペプチド、式:アセチル−SKLQ−I3−アラニン−のペプチド、または、式:アセチル−SKLQ−のペプチドの1つから選択される。
これらのケースにおいて、Zがアミノ酸またはペプチドである場合、使用される治療剤はポリアミン−アミノ酸抱合体またはポリアミン−ペプチド抱合体である。
1つの実施形態では、ポリアミンアナログの唯一の配座固定は、分子中の炭素炭素二重結合(エテニル基,C=C))による。
別の実施形態では、ポリアミンアナログの唯一の配座固定は、分子中のシクロプロピル基などのシクロアルキル基による。
化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない。
追加の開示はWO2007/040535で見られ、その開示は、あたかも全体として本明細書で書かれるかのように、引用によって組み込まれる。
追加のアナログおよび誘導体は、下記の式10a:R−X−ポリアミンによって包含されるものを含み、
ここで、Rは、Hから、または、直線あるいは分岐したCl−50飽和または不飽和の脂肪族、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル(carbalkoxyalkyl)、あるいは、アルコキシ、C1−8脂環式、単環または多重環(multiring)のアリール置換した脂肪族、脂肪族置換した単環または多重環芳香族、単環または多重環複素環式、単環または多重環複素環式25脂肪族、Cl−10アルキル、アリールスルホニル、または、シアノの群から選択され、
Xは、−CO−、−SO2、または、−CH2−であり、
「ポリアミン」は、プトレシン、スペルミン、または、スペルミジンなどの天然に存在するものであるか、または、合成的に生成されたポリアミンであってもよい。
好ましくは、Rは、少なくとも約C5、少なくとも約C10、少なくとも約C11、少なくとも約C12、少なくとも約C13、少なくとも約C14、少なくとも約C15、少なくとも約C16、少なくとも約C17、少なくとも約C18、少なくとも約C19、少なくとも約C20、または、少なくとも約C22である。
Xとポリアミンとの間の結合は直接的であってもよく、Xと、ポリアミンのアミン基の窒素との間に原子は存在せず、あるいは、該結合は間接的であってもよく、Xと、ポリアミンのアミン基の窒素との間には1つ以上の原子が存在してもよい。第一のアミノ基は本発明の好ましい実施形態で使用されるが、Xとポリアミンとの間の結合は、ポリアミン内の任意のアミノ基を介して生じてもよい。
Xとポリアミンとの間の結合が間接的なものである本発明の好ましい実施形態では、1つ以上の介在原子は、アミノ酸またはその誘導体のものが好ましい。このタイプの特に好ましい実施形態では、1つ以上の介在原子は、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、オルニチン、または、2,4−ジアミノ酪酸のものである。このタイプの好ましい化合物は式10b:R−X−L−ポリアミンのように表わされ、
ここで、Rは、直線または分岐したC10−50飽和あるいは不飽和の脂肪族、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、あるいは、アルコキシ、C1−8脂環式;単環または多重環のアリール置換または非置換脂肪族、脂肪族置換または非置換の単環または多重環芳香族、単環または多重環複素環式、単環または多重環複素環式脂肪族、アリールスルホニルであり、および、
Xは−CO−、−SO2−、または、−CH2−であり、
Lは共有結合または天然に存在するアミノ酸、オルニチン、2,4−ジアミノ酪酸、または、その誘導体である。
本発明のアナログおよび誘導体は、随意にポリアミンの1つ以上の他の位置でさらに置換されてもよい。これらは、限定されないが、内部窒素および/または内部炭素原子を含む。本発明の1つの態様では、好ましい置換基は、ポリアミン輸送の阻害、結合親和性を増加させるか、または、さもなければ、ポリアミン輸送体、酵素またはDNAなどのポリアミン結合分子への化合物の結合の不可逆性を強化する構造である。そのような追加の置換基は、アジリジン基、および、様々な他の脂肪族、芳香族、混合した脂肪族芳香族、または、複素環式多重環構造を含む。アジリジンのように、ポリアミン輸送体または別のポリアミン結合分子に共有結合する反応的な部分も、この本発明の範囲内である。共有結合を形成するために求核試薬と反応する反応基の例は、クロロ−、ブロモ−、および、ヨード−アセトアミド、フッ化スルホニル、エステル、ナイトロジェンマスタードなどを含む。そのような反応的な部分は、診断または研究の文脈で親和標識に使用され、ポリアミン輸送またはポリアミン合成を阻害する際の薬理活性に貢献する。反応基は、アジドまたはベンゾフェノン基などの反応性の光親和性基であってもよい。光親和性標識用の化学薬品は、当該技術分野で周知である(Flemming, S.A.,Tetrahedron 1995,51, 12479−12520)。
本発明の好ましい態様は、抗癌性化学療法薬としての医薬品有用性を兼ね備えた、高度に特異的なポリアミン輸送インヒビターであるポリアミンアナログまたは誘導体に関する。分子のポリアミン結合部位に結合するか、および/または、ポリアミン輸送を阻害する、本発明のポリアミンアナログまたは誘導体のクラスは、以下の式10cによって記載される。
ここで、a、bおよびcは、独立して1乃至10までで変動し、
dとeは、独立して0乃至30までで変動し、
各々のXは、独立して炭素(C)または硫黄(S)原子のいずれかであり、R1およびR2は以下に記載される通りであり、または、R1X(O)n−とR2X(O)n−の各々はHによって独立して置き換えられ、
および、※はキラル炭素位置を示し、
XがCならばnが1であり、
XがSならばnは2であり、
および、XがCならば、X(O)基は、nがoであるように、CH2であってもよい。
上記の式では、R1とR2は、H、または、直線または分岐したC1−50飽和あるいは不飽和の脂肪族、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、あるいは、アルコキシ、C1−8脂環式、単環または多重環のアリール置換した脂肪族、脂肪族置換した単環または多重環芳香族、単環または多重環芳香族または置換複素環式、単環または多重環複素環式脂肪族、C1−10アルキル、アリールスルホニル、または、シアノの群から選択される。
本明細書で使用される複素環式の例は、限定されないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、3−ピロリン、ピロリジン、ピリジン、ピリミジン、プリン、キノリン、イソキノリン、および、カルバゾールを含む。
上記の脂肪族、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシ、30脂環式、アリール、芳香族、および、複素環式部分のすべては、当然、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、または、ヨード)、低級アルキル(l−6C)、および、低級アルコキシ(1−6C)から独立して選択された1−3の置換基により随意に置換されてもよい。
本明細書で使用されているように、カルボキシアルキルは、R’がアルキレンである置換基−R’−COOHを指し、アルコキシカルボニルアルキルは、R’とRがそれぞれアルキレンとアルキルである、−R’−COORを指す。好ましい実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシルなどの1−6の炭素原子の飽和した直鎖または分岐鎖ヒドロカルビルラジカルを指す。基が二価であるという点を除けば、アルキレンはアルキルと同じでアラルキルまたはスルホニル部分は式:SO2Rを有し、アルコキシ部分は式:−ORを有し、ここで、Rは、上に定義されるように、アルキルであるか、または、アリールであり、ここで、アリールは、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、または、ヨード)、低級アルキル(1−6C)、および、低級アルコキシ(1−6C)から独立して選択された1−3の置換基により随意に置換されたフェニルである。
上記によって包含される好ましい化合物群は、dが4であり、eは0である。
分子のポリアミン結合部位に結合するか、および/または、ポリアミン輸送を阻害する、本発明のポリアミンアナログまたは誘導体の追加クラスは、以下の式10dによって記載され、
ここで、a、bおよびcは、独立して1乃至10まで変動し、
dとeは、独立して0乃至30まで変動し、
R1とR2は式8cについて上記のように定義され、R3とR4は、−CH3を含む有機置換基から独立して選択され、上記8cの式でR1とR2について上のように定義される。アナログのこの分類は、ケトンを有する遊離アミノ前駆物質の還元的アミノ化によってもたらされる。
本発明の1つの好ましい実施形態では、R1とR2は同一であり、式8cについて記載される通りである。位置R3およびR4も同一であってもよく、R1からR4のすべても同一であってもよい。さらに、式8dでの位置R1、R2、R3およびR4の各々は、独立してHであってもよい。
本発明の追加の態様では、ポリアミン(スペルミンなど)に対する近位および/または遠位アミノ基は、三級アミンを形成するためにジアルキル化可能である。これらの物質は、過剰なカルボニル成分の還元的アミノ化によって合成することができる。さらに、これらの物質は、α,β−不飽和カルボニルまたはα,β−不飽和ニトリルに対する、アミン前駆物質の共役付加によってもたらされてもよい。
R1、R2、R3およびR4の各々は、独立して変化することができ、式IIIについて上記のように定義される。R1、R2、R3およびR4の各々は独立してHであってもよい。a、b、c、dおよびeの値は、式8dに関して上記の通りである。本発明のこの態様は下式10eで表される。
本発明のさらなる態様では、分子のアシル位置で近位または遠位のアミノ基を欠く化合物も提供される。これらは、式10fによって表わされ、
ここで、Z1はNR1R3であり、Z2は、−R1、−CHR1R2、または、−CR1R2R3(ここで、R1、R2およびR3は、式8cについて先に定義した通りである)から選択され、または、Z2はNR2R4であり、Z1は、−R1、−CHR1R2、または、−CR1R2R3(ここで、R1、R2およびR3は式8dについて上に定義された通りである)から選択される。a、bおよびcの値は、独立して1乃至10までで変動し、dとeは、独立して0乃至30までで変動する。式Vによって包含される化合物は、まずポリアミンにアミノ酸誘導体(X基を含むように修正された)を結合させること、および、その後のZ基を含むアミンの適切な誘導体化によって、調製されてもよい。そのような反応のための化学は技術分野で知られており、本明細書で開示される。
本発明の好適な実施形態において、先に説明された全ての式の位置R1、R2、R3およびR4は以下から独立して選択され、g、h、i、j、および、kの各々は独立して0乃至15までで選択され、
ここで、Eは「entgegen」を指し、Zは「zusammen」を指す。
化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない。
追加の開示は、WO2002/053519で見られ、この開示は、あたかも全体として本明細書に書かれるかのように、引用によって組み込まれる。
追加のアナログおよび誘導体は、元々のポリアミンの合成誘導体を含み、前記の元々のポリアミンの炭素原子はアミド基を含み、前記合成誘導体は、前記元々のポリアミンのための細胞輸送体と特異的に結合することにより、天然のポリアミンの細胞の取り込みを阻害する。
特定の実施形態では、前記アミド基が配される炭素は、前記元々のポリアミンの2つの内部窒素原子間にある。
特定の実施形態では、合成誘導体は、前記元々のポリアミンの二量体を含み、前記二量体のモノマーは、各々のモノマーのアミド基に固定されたスペーサー側鎖によって一緒に結合される。
特定の実施形態では、元々のポリアミンは、プトレシン、スペルミジンおよびスペルミンからなる群から選択される。
特定の実施形態では、オリジナルのポリアミンはスペルミンである。
特定の実施形態では、前記合成誘導体が下記一般式11aを有し、
ここで、R1とR1 1は、水素原子、または、1〜2つの炭素原子を有するアルキル基を独立して表し、R2、R1 2、または、R3およびR1 3は、水素原子またはメチル基を独立して表し、wおよびzは、2または3の整数を独立して表し、xは0からnまでの整数を表し、nは3から6の整数を表し、xとyの和はnに等しく、Sは前記天然のポリアミン輸送体によっては捕らえることができない水素原子または分子を表わす。
特定の実施形態では、前記モノマーは下記一般式11bを有しており、
ここで、R1とR1 1は、水素原子、または、1〜2つの炭素原子を有するアルキル基を独立して表し、R2、R1 2、または、R3およびR1 3は、水素原子またはメチル基を独立して表し、wおよびzは、2または3の整数を独立して表し、xは0からnまでの整数を表し、nは3から6の整数を表し、xとyの和はnと等しく、スペーサー側鎖は、3〜8つの原子の線状の炭化水素を含有する骨格(backbone)を含む。
特定の実施形態では、前記骨格は、硫黄、酸素または窒素を含む。
特定の実施形態ではw=2、z=2 x=oおよびy=3である。
特定の実施形態ではw=2、z=2、x=oおよびy=3である。
特定の実施形態ではw=2、z=2、x=oおよびy=4である。
化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない。
追加の開示はWO98/17632で見られ、その開示は、あたかも全体として本明細書に書かれるかのように、引用によって組み込まれる。
追加のアナログおよび誘導体は、以下の式12aによって包含されるものを含み、
ここで、nは0〜8であり、アミノメチル官能性は、オルト、メタ、または、パラ置換され、Rは、水素、−CH3、−CH2CH3、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、5−アミノペンチル、6−アミノヘキシル、7−アミノヘプチル、8−アミノオクチル、N−メチル−2−アミノエチル、N−メチル−3−アミノプロピル、N−メチル−4−アミノブチル、N−メチル−5−アミノペンタニル、N−メチル−6−アミノヘキシル、N−メチル−7−アミノヘプチル、N−メチル−8−アミノオクチル、N−エチル−2−アミノエチル、N−エチル−3−ミノプロピル、N−エチル−4−アミノブチル、N−エチル−5−アミノペンチル、N−エチル−6−アミノヘキシル、N−エチル−7−アミノヘプチル、または、N−エチル−8−アミノオクチルであり、Rは、水素、または、直線あるいは分岐したCI−20飽和または不飽和脂肪族、R=H、n=1、および、アミノメチル官能性がパラ置換される場合、プロピルアミンではなく脂肪族アミン、脂環式、単環または多重環芳香族、単環または多重環のアリール置換した脂肪族、脂肪族置換した単環または多重環芳香族、単環または多重環複素環、単環または多重環複素環置換した脂肪族、脂肪族置換した芳香族、および、それらのハロゲン化した形態からなる群から選択された部分である。
特定の実施形態では、本開示によって使用可能なアナログおよび誘導体は、式12bに記載されているようにさらに修正することができ、
ここで、nは0〜8でありえ、RおよびR1は上記のように記載され、R2は、水素、−CH3、−CH2CH3から独立して選択され、R3とR4は同じでも異なってもよく、水素またはフッ素(flourine)から選択される。
特定の実施形態では、この開示に従って使用可能な化合物が式12cに記載され、
ここで、mとnは独立して0〜7であるが、R1がR2と等しく、R3がR4と等しいとき、mはnとは等しくなりえず、oは2〜4であり、Rは、H、−CH3、−CH2CH3から独立して選択され、R1とR2は水素、−CH3、−CH2CH3から独立して選択され、R3とR4は同じでも異なってもよく、水素またはフッ素から独立して選択される。
特定の実施形態において、化合物は式12dを有し、
ここで、Rは水素、−−CH3、−CH2CH3であり、mおよびnは独立して0〜7である。
oは2〜4であり、R2は、水素、−CH3、−CH2CH3から独立して選択され、R3とR4は同じであっても異なってもよく、水素またはフッ素から独立して選択される。
特定の実施形態では、本発明の化合物は式12eによって表わされ、
ここで、Rは水素、−CH3、−CH2CH3であり、mは0〜7であり、nは0〜8であり、oは2〜4であり、R2は、水素、−CH3、−CH2CH3から独立して選択され、R3とR4は同じでも異なってもよく、水素またはフッ素から独立して選択される。
化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない。
追加の開示はWO05/105729で見られ、その開示は、あたかも全体として本明細書に書かれるかのように、引用によって組み込まれる。
追加のアナログおよび誘導体は、式13a−dの化合物、および、そのすべての塩、水化物、溶媒和物、および、立体異性体、並びに、ラセミ混合物を含むその立体異性体のすべての混合物を含み、
ここで、R1とR2は、−C1−C10アルキル、−C3−C10シクロアルキル、−C1−C10アルキレン−シクロアルキル、−C6−C10アリール、および、−C1−C10アルキレン−アリールからなる群から独立して選択され、R1とR2は両方ともアリールであり、R1とR2の少なくとも1つは−C2−C10アルキルであり、R1とR2は両方ともtert−ブチルではない。1つの実施形態では、シクロプロピル環上の置換基は互いに対するトランスである。別の実施形態では、シクロプロピル環上の置換基は互いに対するシスである。
1つの実施形態で、R1とR2の両方がアルキルであるとき、R1とR2の少なくとも1つは直鎖アルキルである。別の実施形態で、R1とR2の両方がアルキルであるとき、R1とR2の両方は直鎖アルキルである。1つの実施形態では、R1とR2のうちの1つは−C1−C10アルキルであり、もう一方は−C2−C10アルキルである。1つの実施形態では、R1とR2のうちの1つは−C1−C10アルキルであり、もう一方は−C4−C10アルキルである。1つの実施形態では、R1とR2の両方が−C4−C10アルキルである。1つの実施形態では、R1とR2のうちの1つが−C6−C10アルキルである。1つの実施形態では、R1とR2の両方は−C6−C10アルキルである。1つの実施形態では、R1とR2のうちの1つは、−C1−C10アルキルであり、もう一方は、−C2−C4直鎖アルキルおよび−C4−C10アルキルからなる群から選択される。別の実施形態では、もしR1とR2の両方が−CH3でなければ、R1とR2は、−CH3、−(CH2)3CH3、および、−(CH2)sCH3からなる群から独立して選択される。
1つの実施形態では、R1とR2のうちの1つは、−C1−C10アルキルであり、もう一方は、−C3−C10シクロアルキル、−C1−C10アルキレン−シクロアルキル、−C6−C10アリール、または、−C1−C10アルキレン−アリールである。1つの実施形態では、R1とR2のうちの1つは、−C1−C10アルキルであり、もう一方は、−C3−C10シクロアルキルまたは−C1−C10アルキレン−シクロアルキルである。1つの実施形態では、R1とR2のうちの1つは、−C1−C10アルキルであり、もう一方は−C3−C10シクロアルキルである。1つの実施形態では、R1とR2のうちの1つは、−C1−C10アルキルであり、もう一方は、−C6−C10アリールまたは−C1−C10アルキレン−アリールである。1つの実施形態では、R1とR2のうちの1つは、−C1−C10アルキルであり、もう一方は、−C6−C10アリールである。別の実施形態では、R1とR2の両方は−C6−C10アリールである。別の実施形態では、R1とR2の両方は−C3−C10シクロアルキルである。1つの実施形態では、アリール基がベンゼンである。1つの実施形態では、シクロアルキル基がアダマンチルである。1つの実施形態では、アダマンチル基がl−アダマンチルである。別の実施形態では、アダマンチル基が2−アダマンチルである。別の実施形態では、もしR1とR2の両方が−CH3でなければ、R1とR2は、−CH3、フェニル、および、アダマンチルからなる群から独立して選択される。
化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない。
追加の開示はWO2008/112251で見られ、その開示は、あたかも全体として本明細書に書かれるかのように、引用によって組み込まれる。
追加のアナログおよび誘導体は、以下の式14a:R1−X−R2の化合物を含み、
ここで、R1はHであるか、または、直線あるいは分岐したC1−10脂肪族、脂環式、単環または多重環芳香族、単環または多重環のアリール置換した脂肪族、脂肪族置換した単環または多重環芳香族、単環または多重環複素環、単環または多重環の複素環置換した脂肪族、および、脂肪族置換した芳香族からなる群から選択された頭部基であり、
R2はポリアミンであり、
XはCO、NHCO、NHCS、または、SO2である。
上記の組成物の別の実施形態では、R2は式:NH(CH2)nNH(CH2)pNH(CH2)qNHR3 を有し、
ここで、n、pおよびqは独立して変化し、n=p=q=1〜12であり、
R3はH、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、C1−10アルキニル、脂環式、アリール、アリール置換したアルキル、アルケニルまたはアルキニル、アルキル、アルケニル、あるいはアルキニル置換されたアリール、グアニジノ(gauanidino)、複素環、複素環置換したアルキル、アルケニルまたはアルキニル、および、アルキル−、アルケニル−、または、アルキニル−置換した複素環である。
上記の組成物は、XとR2との間で結合されたリンカーLと追加の基Yを含み、前記組成物は式14b:R1−X−L−Y−R2を有するようになり、
ここで、
LはC1−10アルキル、C1−10 アルケニル、 C1−10アルキニル、脂環式、または、複素環式であり、
XはCO、SO2、NHCO、または、NHCSであり、
および、Yは、CONH、SO2NH、NHCO、NHCONH、NHCSNH、NHSO2、SO2、OまたはSである。
前述の組成物では、R1は以下の式を有し、
ここで、R4、R5、R6、R7およびR8は独立して、H、OH、ハロゲン、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、N(CH)n(CH3)2、CN、(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3、または、CO−O(CH)nCH3であり、n=0乃至10である。
代替的に、R1は以下の式を有し、
ここで、R4とR5は独立して、H、OH、ハロゲン、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、N((CH)nCH3)2、CN、(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3、または、CO−O(CH)nCH3であり、n=0乃至10である。
さらに別の実施形態では、R1は以下の式を有し、
ここで、rとsは独立して変化し、r=s=0乃至6であり、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は独立して、H、OH、ハロゲン、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、N((CH)nCH3)2、CN、(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3、または、CO−O(CH)nCH3であり、n=0乃至10であり、
Qは、CONH、SO2NH、NHCO、NHCONH、NHCSNH、NHSO2、SO2、OまたはSである。
さらに、R1は以下の式を有し、
ここで、rとsは独立して変化し、0乃至6であり、
R4、R5、R6およびR7は独立して、H、OH、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、N((CH)nCH3)2、CN、(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3−、または、CO−O(CH)nCH3であり、n=0乃至10であり、
Qは、CONH、SO2NH、NHCO、NHCONH、NHCSNH、NHSO2、SO2、O、または、Sである。
前述の組成物では、R1は、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ジベンゾフラン、アクリジン、2,1,3−ベンゾチオジアゾール(benzothiodiazole)、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、インドール、カルバゾール、フルオレン、1,3−ベンゾジアジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、アダマンタン、カンファー(camphor)、ピピリジン(pipiridine)、アルキルピペラジン(alkylpiperazine)、モルホリン、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、チオフェン、フラン、ピロール、アルキル−1,2−ジアゾール、アルキルイミダゾール、アルキル−1H−1,2,3−トリアゾル(triazol)、アルキル−1H−1,2,3,4−テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、1,3,4−チアジアゾール、ピリジニル、ピリミジン、1,2−ジアジン、1,4−ジアジン、および、1,3,5−トリアジン、4−ジメチルアミノアゾベンゼン、3−フェニル−5−メチルイソオキサゾール(methylisooxazole)、3−(2−クロロフェニル)−5−メチルイソオキサゾール、2−(4−クロロフェニル)−6−メチル−7−クロロキノリン、および、6−クロロイミダゾ[2,1−β]チアゾール、α−メチル桂皮酸、および、2−[1,2−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾジオキセピニル(benzodioxepinyl)]チアゾールからなる群から選択されてもよい。
R1がD−またはL−アミノ酸であってもよい。
同様に、R1は以下の群から選択された式を有する上記組成物が提供され、
ここで、R12とR13は、独立して、H、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ジベンゾフラン、アクリジン、2,1,3−ベンゾチオジアゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、インドール、カルバゾール、フルオレン、1,3−ベンゾジアジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、アダマンタン、カンファー、ピピリジン、アルキルピペラジン、モルホリン、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、チオフェン、フラン、ピロール、アルキル−I,2−ジアゾール、アルキルイミダゾール、アルキル−1H−1, 2,3−トリアゾル、アルキル−1H−1,2,3,4−テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、1,3,4−チアジアゾール、ピリジニル、ピリミジン、1,2−ジアジン、1,4−ジアジン、および、1,3,5−トリアジン、4−ジメチルアミノアゾベンゼン、3−フェニル−5−メチルイソオキサゾール、3−(2−クロロフェニル)−5−メチルイソオキサゾール、2−(4−クロロフェニル)−6−メチル−7−クロロキノリン、6−クロロイミダゾ[2,l−β]チアゾール、α−メチル桂皮酸、または、2−[1, 2−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾジオキセピニル]チアゾールであり、
さらに、ここで、R12、R13、または、式(A)、(B)、および(D)でのその両方の環は、随意に、OH、ハロゲン、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、N((CH)n(CH3)2、CN,(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3、または、CO−O(CH)nCH3の1つ以上により置換され、ここでn=0乃至10であり、
R14とR15、および、式(C)におけるR13は、独立して、(CH2)n、(CH2)nCH=CH、(CH2)n(CH=CH)mCO、または、(CH2)nCOであり、n=0乃至5、および、m=1乃至3であり、
Y1およびZ1は、独立して、CONH、SO2NH、NHCO、NHCONH、NHCSNH、NHSO2、SO2−NHSO2、SO2、O、S、または、COOであり、
または、
R1が式(A)または(B)のものであるとき、Y1は、R12のCまたはNの原子間の、および、R13のCまたはNの原子間の単結合を表わし、および、Z1は、R13のCまたはNの原子間の、および、R14のCまたはNの原子の間の単結合を表わし、または、
R1が式(C)のものであるとき、Y1は、R13のCとCまたはNの原子間の単結合を表わし、および、Z1は、R14のCとCまたはNの原子間の単結合を表わし、または、
R1が式(D)のものであるとき、Y1は、R12のCまたはN原子間の、および、R14のCまたはN原子間の単結合を表わし、Z1は、R13のCまたはNの原子間の、および、R15のCまたはNの原子間の単結合を表わす。
上記の組成物では、R2は好ましくは以下の式:NHCH(Z1)(CH2)nNH(CH2)pNH(CH2)qCH(Z1)NHR3を有し、
ここで、n、pおよびqは独立して変化し、および、n=p=q=1乃至12であり、
R3はH、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、C1−10アルキニル、脂環式、アリール、アリール置換されたアルキル、アルケニル、または、アルキニル、アルキル、アルケニル、あるいは、アルキニル置換されたアリール、グアニジンまたは複素環式であり、および、Zは、CH3、CH2CH3、または、シクロプロピルである。
別の実施形態では、R2は以下の式を有し、
ここで、x=1乃至4、y=1乃至3であり、
R10およびR11は独立して、H、(CH2)nNHR12、または、(CH2)kNH(CH2)1NHR12であり、このとき、n=k=l=1乃至10、および、R12はHまたはC(N=H)NH2である。
上記の組成物では、R2は、好ましくは、N1−アセチルスペルミン、N1−アセチルスペルミジン、N8−アセチルスペルミジン、N’−グアニジノスペルミジン(guanidinospermine)、カダベリン、アミノプロピルカダベリン、ホモスペルミジン、カルジン(ホルスペルミジン)(horspermidine)、7−ヒドロキシスペルミジン、テルミン(thermine)(ノルスペルミン)、サーモスペルミン、カナバルミン、アミノプロピルホモスペルミジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)カダベリン、アミノペンチルノルスペルミジン、N4−アミノプロピルノルスペルミジン、N4−アミノプロピルスペルミジン、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン、N4−ビス(アミノプロピル)ノルスペルミジン(3つのアミノプロピル)、サーモペンタミン、N4−ビス(アミノプロピル)スペルミジン、カルドヘキサミン、ホモサーモヘキサミン(homothermohexamine)、ホモカルドヘキサミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、tris(3−アミノプロピル)アミン、および、tris(アミノエチル)アミン、からなる群から選択される。
化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない。
追加の開示はWO99/03823で見られ、その開示は、あたかも全体として本明細書に書かれるかのように、引用によって組み込まれる。
さらなる化合物は、以下のものを含むが、これらに限定されない。
追加の開示は、「Ackermann,JM;Pegg,AE;McCloskey, DE;Progress in Cell Cycle Research,2003, Vol.5,461−468」、「Ekelund,S;Nygren,P;Larsson,R;Biochemical Pharmacology,2001,61,1183−1193」、「Huang,Y;Pledgie,A;Casero Jr,RA;Davidson,NE;Anti−Cancer Drugs,2005,16,229−241」、および、「Marton,JL;Annu.Rev.Pharmacol Toxicol.1995,35,55−91」において見られ、その開示は、あたかも全体として本明細書に書かれるかのように、引用によって組み込まれる。
上に示されたポリアミンアナログは、塩として、および、遊離塩基として調製されてもよい。特定の実施形態では、塩は塩酸塩である。特定の実施形態では、配位イオン対(例えば、H+Cl−)の数は、ポリアミン中のアミノ基の数に比例する。そのような配位は、例えば、NH3+Cl−基を形成する前記アミノ基で生じるのが一般的である。しかしながら、すべてのアミノ基が配位するわけではない。例えば、アミノ基がカルボニルまたはスルホニルなどの電子求引性基に隣接しているとき、アミノ基はイオンを配位させる十分な電子密度を保持していない。さらなる実施形態では、配位イオンの数は、ポリアミン中の一級および/または二級アミノ基の数に比例する。
本明細書に記載されている方法および組成物で使用される追加の化合物は、原核生物と真核細胞において見られる天然のポリアミン、ポリアミンアナログ、ポリアミン生合成インヒビター、および、ポリアミン輸送インヒビターを含む。
原核生物と真核細胞において見られる天然のポリアミンは、限定されないが、プトレシン、スペルミジン、スペルミン、ジアミノプロパン、カダベリン、ノルスペルミジン、アミノプロピルカダベリン、ホモスペルミン、ノルスペルミン、サーモスペルミン、アミノペンチルノルスペルミジン、ビス(アミノプロピル)カダベリン、アミノプロピルホモスペルミン、30カナバルミン、ホモスペルミン、カルドペンタミン、アミノプロピルカナバリン、ビス(アミノプロピル)ホモスペルミジン、ビス(アミノブチル)ノルスペルミジン、アミノブチルカナバルミン、アミノプロピルホモスペルミン、ホモペンタミン、N5−アミノブチルホモスペルミン、カルドヘキサミン、サーモヘキサミン、ホモサーモヘキサミン、アグマチン、および、N6−メチルアグマチンを含む。例えば、「Morgan D.M.L.,1999,Molecular Biotechnology 11:229」を参照のこと。
ポリアミンアナログは、限定されないが、BE−4444[1,19−ビス(エチルアミノ)−5,10,15−トリアザノナデカン(triazanonadecane)]、BE−3−3−3[N1,N11−ジエチルノルスペルミン;DENSPM;1,11−ビス(エチルアミノ)−4,8−ジアザウンデカン;テルミン;Warner−Parke−Davis]、BE−3−3[N1,N7−ビス(エチル)ノルスペルミジン]、BE−3−4[N1,N8−ビス(エチル)スペルミジン]、BE44[N1,N9−ビス(エチル)ホモスペルミジン]、BE−343[N1,N12−ビス(エチル)スペルミン;ジエチルスペルミン−N1−N12;DESPM]、BE−373[N,N’−ビス(3−エチルアミノ)プロピル]−1,7−ヘプタンジアミン;Merrell−Dow]、BE−4−4−4[N1,N14−ビス(エチル)ホモスペルミン)、ジエチルホモスペルミン−Nl−Nl−l]、BE−3−4−4−3[1,17−ビス(エチルアミノ)−4,9,14トリアザヘプタデカン(triazaheptadecane)]、BE−4−3−3−4[1,17−ビス(エチルアミノ)−5,9,13−トリアザヘプタデカン]、および、1,12−Mez−SPM[1,12−ジメチルスペルミン]を含む(WO2007/040535)。
ポリアミン合成インヒビターは、限定されないが、以下を含む。Zollner H.の「Handbook of Enzyme Inhibitors,2nd Ed(1993).Weinheim:Basel(Switzerland)」で議論されているような、DFMO、アセチレンプトレシン(aceylenic putrescine)、1−アミノオキシ−3−アミノプロパン、抗酵素、2−ブチルプトレシン(butylputrescine)、カダベリン、L−カナリン、5’−デオキシ−5’[N−メチル−N−[3(アミノオキシ)エチル]アミノ]アデノシン、5’−デオキシ−5’−[N−メチル−N−[3−(ヒドラジノプロピル)アミノ]アデノシン、ジアミノプロパン、1, 3−ジアミノ−2−プロパノール、2−ジフルオロメチルプトレシン、ジフルオロフェニルエチル(4−アミノプロピルアミジノヒドラゾン)、2,3−ジメチルプトレシン、N−ジメチルプトレシン、2−エチルプトレシン(+または−)、−アルファフルオロメチルオルニチン、2−フルオロメチルプトレシン、2−ヘキシルプトレシン、2−ヒドラジノオルニチン(hydrazinoornithine)、イブプロフェン、D−メチルアセチレンプトレシン、メチルグリオキサル ビス(3アミノプロピルアミジノヒドラゾン(amininohydrazone)、2−メチルオルニチン、2−メチルプトレシン、2−モノフルオロメチル−trans−デヒドロオルニチン、2−モノフルオロメチルデヒドロプトレシン、モノフルオロメチルオルニチン、2−モノフルオロメチルプトレシン、ネオマイシン、D−オルニチン、2−ペンチルプトレシン、パラフェニレンジアミン、ホスホペプチドMG25000、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、2−プロピルプトレシン、プトレシン、アロ(allo)−S−アデノシル−L−メチオニン、S−エチルチオアデノシン、メチルチオアデノシン、および、5’−メチル−チオアデノシンといった、オルニチンデカルボキシラーゼのインヒビター、Zollner H.の「Handbook of Enzyme Inhibitors,2nd Ed(1993)」で議論されるような、SAM486A(4−アミノインダノン−1(2’アミジノ)ヒドラゾンジヒドロクロリド一水和物(hydrazone dihydrochloride monohydrate))、S−アデノシル−1,8−ジアミノ−3チオオクタン、S−(5’−アデノシル)メチルチオ−2−アミノオキシエタン、S−アデノシル−3−メチルチオ−i−プロピルアミン、5’−{[(Z)−4−アミノ−2−ブテニル]メチルアミノ}−5’−デオキシアデノシン、5’−アミノ−5’デオキシアデノシン、5’−[(アミノイミノメチル)アミノ]−5’]デオキシアデノシンジヒドロゲンサルフェート(dihydrogensulphate)、1−アミノオキシ−3−アミノプロパン、[2−(アミノオキシ)エチル](5’−デオキシアデノシン−5’イル)(メチル)スルホニウム、5’−[(3−アミノプロピル]−アミノ)−5’−デオキシアデノシン、5’−[(3アミノプロピル]−メチルアミノ)−5’−デオキシアデノシン、9−[6(RS)−5,6, 7−トリデオキシ−ベータ−D−リボ−オクトフルラノシル(octofuranosyl)]−9H−プリン−6−アミン、水酸化ホウ素、n−ブチルグリコキサール ビス(グアニルヒドラゾン)、9−[6(RS)−c−カルボキシアミド−5,6,7−トリデオキシ−ベータ−D−リボ−オクトフルラノシル]−9H−プリン−6−アミン、シアン化物、シアノ水素化ホウ素、S−(5’デオキシ−5’アデノシル)メチオニルエチルヒドロキシアミン、S−(5’デオキシ−5’アデノシル)メチオニルチオヒドロキシアミン、5’−デオキシ−5’−[N−メチル−N−[2(アミノオキシ)エチル]アミノ]アデノシン、9−[6(S)−ジアミノ−5,6,7,8,9−ペンタデオキシ−ベータ−D−リボ−ナノフラノシル(nanofuranosyl)]9H−プリン−6−アミン、ジエチルグリオキサール ビス(グアニルヒドラゾン)、ジフルオロフィニルエチル(difIuorophynylethyl)(4−アミノプロピルアミジノヒドラゾン)、ジメチル(5’−アデノシルスルホニウム,ジメチルグリオキサール ビス(グアニルヒドラゾン)、エチルグリオキサール ビス(グアニルヒドラゾン)、ヒドロキシルアミン、4−ヒドロキシペネナル(hydroxypenenal)、MDL73811、5’[[3−メチルアミノ)プロピル]アミノ]−5’−デオキシアデノシン(1,1’−(メチルエタンジイリジン(methylethanediylidine))ジニトロ)ビス (3−アミノグアニジン(aminoguanididne))、メチルグリオキサール ビス(3−アミノプロピルアミジノヒドラゾン)、メチルグリオキサール ビス(シクロヘキシルアミジノヒドラゾン)、ペンタンジアルデヒド ビス(グアニルヒドラゾン)、フェニルヒドラジン、プロパンジアルデヒド ビス(グアニルヒドラゾン)、セミカルバジド、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、および、スペルミンといった、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼのインヒビターを含む。追加の開示は、WO2002/053519で見られ、その開示は、あたかも全体として本明細書に書かれるかのように、引用されることによって組み込まれる。
追加のスペルミンアナログは、N−(2−メルカプトエチル)スペルミン−5−カルボキサミド(MESC)、それからのジスルフィド、すなわち、2,2,1−ジチオビス(N−エチル−スペルミン−5−カルボキサミド)(DESC)、および、N−[2,2,1−ジチオ(エチル1,1−アミノエチル)]スペルミン−5−カルボキサミド(DEASC)を含む(WO98/17623)。
ポリアミン生合成経路中の重要な酵素の小分子インヒビターまたはモジュレーターであるポリアミンエフェクターは、限定されないが、ジフルオロメチルオミチン(difluoromethylomithine)(DFMO)、アルファ−モノフルオロメチルオミチン(monofluoromethylomithine)(MFMO)、および、メチルアセチレンプトレシン(MAP)などのODCインヒビター、S−(5−デオキシ−5アデノキシル)メチルチオエチルヒドロキシアミン(AMA)、5−デオキシ−5−[(2アミノオキシエチル)メチルアミノ]アデノシン(MAOEA)、および、メチルグリオキサール ビス(グアニルヒドラゾン)(MGBG)などのAdometDCインヒビター、S−アデノシル1,8−ジアミノ−3−チオオクタン(AdoDATO)、シクロヘキシルアミン、および、ブチルアミンなどのスペルミジン合成酵素インヒビター、S−アデノシル−1,12−ジアミノ−3−チオ−9−アザドデカン(AdoDATAD)、および、N−(n−ブチル)−1,3−ジアミノプロパン(BDAP)などのスペルミン合成酵素インヒビターを含む。
特定の実施形態では、ポリアミンエフェクターは、分子に対して細胞またはDNAの保護効果を与えるか、あるいは、ポリアミンの生合成または異化代謝経路を調節する官能基を運ぶポリアミンまたはアルギニンのアナログである。この性質の化合物は、限定されないが、アミホスチン、NG−ヒドロキシ−アルギニン(NORA)、N1,N11−ビス(エチル)ノルスペルミン(BE−3−3−3)、N12−ビス(エチル)スペルミン(BE−3−4−3)、N,N−ビス[3−(エチルアミノ)−プロピル]−1,7ヘプタンジアミン(BE−3−7−3)、BE−3−3−3、BE−3−4−3、BE−3−7−3,N1−エチル−N11−プロパルギル、4,8−ジアザウンデカン、および、アナログSL−11141並びにSL−II050(米国特許第5,889,061号、Valasinas et aI.,2001、supra,WO 00/66587、および、WO 02/38105の1つ以上で述べられた構造)を含む。追加の開示は、WO03/013245で見られ、その開示は、あたかも全体として本明細書に書かれるかのように、引用によって組み込まれる。
本明細書で使用されるように、下記の用語は、示された意味を有する。
「サイトカイン(cytokine)」という用語は、本明細書で使用されるように、単独でまたは組み合わせて、局所的な免疫調節効果を有する免疫システムの細胞によって分泌されたシグナリング分子を意味する。サイトカインは、制限なく、IL−1、IL1−Ra、IL−2、IL−6、IL8、IFNγ、IP−10、IL−17、MCP−1、MMP−9、MIP−lβ、TNF−α、TGFβ、CRP、OPN、および、RANTESを含む。
「オステオポンチン(osteopontin)」という用語は、「OPN」「SPP1」、「Eta−1」、サイアロプロテインI、または、44K BPP(骨リン酸化タンパク質)と交互に使用される。一般的に、オステオポンチンとは、任意の全長オステオポンチン、または、全長オステオポンチンの部分的な断片を指す。オステオポンチンとは、任意の修正した、例えば、グリコシル化したオステオポンチンのことを指す。
オステオポンチンに関連して本明細書で使用される「活性(activity)」という用語は、ポリペプチドの生物的活性と、細胞中に存在するオステオポンチンの量またはレベルの両方を指す。1つの実施形態では、活性という用語は、例えば、細胞に存在する、細胞で発現した、または、細胞で生成されるオステオポンチンの量のことを指す。別の実施形態では、活性という用語は、細胞によって、例えば、単核細胞によって、分泌されたオステオポンチンのレベルのことを指す。
値域が開示され、「n1から・・・n2まで」、または、「n1と・・・n2の間で」という表記法が使用されるとき、n1とn2が数字である場合、特に指定のない限り、この表記法は、数字そのものと、その間の範囲を含むように意図される。この範囲は整数であるか、または、終値の間でまたは終値を含んで連続的であってもよい。一例として、「2乃至6の炭素」という範囲は、炭素が整数の数で生ずるので、2つ、3つ、4つ、5つ、および6つの炭素を含むように意図される。一例として、1μM、3μM、および、その間の全てを含むように意図される「1乃至3μM(マイクロモル)」という範囲を、有効な数字の任意の数(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)と比較する。
本明細書に使用されるように、「約(about)」という用語は、それが修正する数値を定量化するように意図され、そのような値を許容誤差内の変数として示している。データの図または表で与えられた平均値に対する標準偏差などの特定の許容誤差が何も詳述されていないとき、「約(about)」という用語は、有効数字を考慮に入れつつ、詳述された値を包含するその範囲、および、その数字を四捨五入することによって含まれる範囲を意味するということを理解されたい。
本明細書に使用されるように、「ほとんど、ほぼ(substantially)」という用語は、任意の対立する特性または減少する特性が意味のないレベルに到達するようになることをもっぱら意味するか、または、そのような主要な特性を有することを意図している。一例として、水を「ほとんど」含まない組成物は、すべての水の痕跡を絶対的に含まないわけではないが、任意の残り水が組成物に著しい影響を与えない程度には十分に無水である。さらなる例として、「ほとんど用量を制限するような副作用」とは、治療上の有効性に必要なレベル以下のレベルにまで投与量を限定した副作用である。
本明細書に使用されるように、「疾患(disease)」という用語は、「障害」、「症候群」、および、(医学的状態における)「疾病」と一般的に同じ意味で、かつ、これらと交互に使用される。なぜなら、これらはすべて、正常な機能を損ない、兆候および症状を見分けることによって典型的に明らかとなり、そして、ヒトまたは動物の寿命または生活の質を下げるような、ヒトまたは動物の身体の異常な状態、その身体の一部の異常状態を反映するためである。
「増殖性疾患」は調節異常の細胞増殖によって特徴付けられる任意の障害であってもよい。その例としては、癌、乾癬およびアトピー性皮膚炎を含む。
本明細書で使用されているように、「痛覚過敏」は、痛みに対する感受性の増大を意味し、疼痛の一種、または、疼痛に関連する行為の基準と考えられる。本明細書で使用されるように、患者の「処置」への言及は、予防を含むように意図されている。処置は同様に、本来先制するものであってもよい。すなわち、処置は、疾患の予防を含んでもよい。疾患の予防は、例えば、病原体による感染の予防の場合のように疾患からの完全な保護を含んでもよく、または、疾患進行の予防を含んでもよい。例えば、疾患の予防は、任意のレベルでの疾患に関連する任意の効果の完全な差し押さえ(foreclosure)を意味せず、その代わりに、臨床的に有意なレベルまたは検知可能なレベルに至る疾患の症状の予防を意味してもよい。疾患の予防は、同様に、疾患の後期段階への進行を予防することも意味してもよい。
「併用療法(combination therapy)」という用語は、本開示中に記載される治療する疾病または障害を処置するための2つ以上の治療剤の投与を意味する。このような投与は、有効成分の固定比率を有する単一のカプセルで、または、各有効成分のための多数の別々のカプセルでなどといったように、ほとんど同時に、これらの治療剤の同時投与を包含する。さらに、このような投与は連続的な各タイプの治療剤の使用を包含する。いずれの場合においても、処置計画は、本明細書に記載される疾病または障害を処置する際に、複合薬の有益な効果を提供する。
「患者」という用語は、「被験体」という用語と同じ意味であり、すべての哺乳動物とヒトを含む、本明細書に記載の方法に基づいて処置可能な疾患、障害、または、疾病に苦しむ動物を意味する。患者の例は、ヒト、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、および、ウサギなどの家畜、並びに、イヌ、ネコ、ウサギ、および、ウマなどのペットを含む。好ましくは、患者はヒトである。
「有効な量」または「治療上有効な量」とは、処置を受ける被験体で所望の効果を達成するのに十分な化合物(例えば、MGBG、ポリアミンアナログ、ポリアミン生合成インヒビター、または、任意の薬剤)の量である。例えば、これは、疾患、障害、疾病、または、有害な状態(疼痛または炎症など)を処置するか、あるいは、疾患、障害、疾病、またはさもなければ、有害な状態の症状、標識、または、メカニズムを測定可能な程度に変えるか、あるいは、緩和するのに必要な量であってもよい。一例として、疼痛の処置のための有効な量は、当該技術分野で知られている既知の方法によって測定されるような、被験体の疼痛または1以上の疼痛に関連する症状の発症を予防するか、遅らせ、または、該疼痛あるいは1以上の疼痛に関連する症状を減らすのに十分な量である。多くの疾患の処置に対する反応を評価する同様の方法は、当該技術分野で周知である。本発明の有効な量の化合物は、投与経路と剤形に依存して変化する。加えて、特効薬は、被験体の疾患の状態、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および、食事、薬剤の投与間隔、投与経路、排出率、および、組み合わせに依存して調節される。
「低用量」という用語は、低用量処方の薬物、または、「低用量」の薬物を特異的に採用する処置の方法に関連し、その少なくとも1つの指標が治療量以下であるか、または、少なくとも1つの指標のために典型的には与えられるその用量の一部である用量を意味する。例えば、増殖性障害の処置の薬物の場合を考えると、例えば、慢性の乾癬の処置のための低用量製剤は、攻撃的な癌の処置のための用量の一部であってもよい。このように、ある疾患のための用量が別の疾患では治療量以下であることもある。代替的に、異なる用量で異なる個体または個体群において治療効果があり、かつ、様々な用量で入手可能な薬物については、低用量とは、単に、認識された治療効果の終わり頃の用量であってもよい。慢性疾患は低用量の製剤と方法によって治療可能な実施形態を表す。さらに、治療量以下の量の薬物が、1つ以上の他の薬物(それ自体が治療上効果のある量、または、治療下以下の量で)と組み合わせて使用されることによって、強化される、すなわち、単独で与えられた薬物の合計の期待効果よりも効果的な複合製剤または処置をもたらすことがあってもよい。1つの指標の処置のための低用量は、異なる指標のための治療用量の2倍未満、3倍未満、4倍未満、5倍未満、6倍未満、7倍未満、8倍未満、9倍未満、10倍未満、15倍未満、20倍未満、30倍未満、40倍未満、50倍未満、100倍未満、であってもよい。
「治療上有効な」というフレーズは、疾患または障害の処置で使用される有効成分の量、または、臨床エンドポイントの遂行で使用される有効成分の量を定量化するように意図される。
「治療上許容可能な(therapeutically acceptable)」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応を伴うことなく、被験体の組織に接触して使用するのに適するとともに、合理的な利点/リスク比に相応で、それらの意図された使用に有効な化合物(または、塩、プロドラッグ、互変異性体、両性イオン形態など)のことを指す。
「薬物」という用語は、「化合物」および「薬剤」と交互に使用される。
本明細書で使用されるように、「ポリアミン」は、アミノ酸から生合成的に生じる脂肪族の直鎖アミンの任意の基であり、ポリアミンはMartonらの「Ann.Rev.Pharm.Toxicol.35:55−91(1995)」で検討されている。「ポリアミン」によって、一般的に、真核細胞で天然に生成される天然のポリアミンまたはポリアミンを意味する。ポリアミンの例は、プトレシン、スペルミジン、スペルミン、および、カダベリンを含む。
本明細書で使用されるように、「ポリアミンアナログ」は、スペルミンおよび/またはスペルミジンおよびそれらの前駆物質、ジアミンプトレシンなどといった天然のポリアミンと構造上類似しているが同一ではない有機カチオンである。ポリアミンアナログは、分岐しても分岐しなくてもよく、または、環式の部分を組みこんでもよい。ポリアミンは一級、ニ級、三級、または、四級アミノ基を含んでもよい。1つの実施形態では、ポリアミンアナログの窒素原子はすべて独立してニ級、三級、または、四級アミノ基であるが、そのように限定されるわけではない。ポリアミンアナログは、アミン基の代わりに、イミン、アミジン、および、グアニジン基を含んでもよい。「ポリアミンアナログ」という用語は、ポリアミンアナログの立体異性体、塩、および、保護誘導体を含む。
「立体異性体」はエナンチオマーとジアステレオマーを含む化合物の任意の光学異性体である。他に指定のない限り、化合物の構造式は、あらゆる可能性のある立体異性体を含むように意図される。
「塩」または「薬学的に許容可能な塩」は、1つ以上の水素原子の、通常は水中でイオン化するアニオンとカチオンからなる元素または基への置換によって形成される化合物であり、塩は、例えば、塩基による酸の中和によって形成される。塩の例は、限定されないが、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、または、ヨウ化物)、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチアニン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、および、パモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩)塩を含む。
「保護誘導体」は保護基で保護される化合物を指すために使用される。「保護基」は、以下の特性を示す化学基のことを指す。1)保護が望ましい予想された反応に対して安定的な保護基質を与えるために、高収率で(好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%)所望の官能性に選択的に反応する、2)所望の官能性をもたらすために、保護基質から選択的に除去可能である、および、3)そのように予想された反応中に存在するか反応で発生した他の官能基と適合する試薬によって、高収率で(好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%)除去可能である。適切な保護基の例は、Greene らの「Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd Ed. (John Wiley & Sons, Inc., New York) (1991)」で見ることができる。アミノ官能性のための典型的な保護基は、限定されないが、メシチレンスルホニル(MesS02)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、t−ブチルジメチルシリル(TBDIMS)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、または、6−ニトロベラチルオキシカルボニル(Nvoc)などの適切な感光性の保護基を含む。
本明細書で単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アシル」は、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロ環、又は任意の他の部分に付けられるカルボニルを指し、この場合、カルボニルに付けられる原子は炭素である。「アセチル」基は、−C(O)CH3基を指す。「アルキルカルボニル」又は「アルカノイル」基は、カルボニル基によって親分子の部分に付けられたアルキル基を指す。そのような基の例は、メチルカルボニル及びエチルカルボニルを含む。アシル基の例は、ホルミル、アルカノイル及びアロイルを含む。
本明細書で単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アルケニル」は、1以上の二重結合を有し、且つ2〜20の炭素原子を含んでいる直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを指す。特定の実施形態において、前記アルケニルは2〜6の炭素原子を含む。用語「アルケニレン」は、エテニレン[(−CH=CH−),(−C::C−)]のような2つ以上の位置に付けられた炭素−炭素二重結合系を指す。適切なアルケニルラジカルの例は、エテニル、プロペニル、2−メチルプロペニル、1,4−ブタジエニル等を含む。別段の定めがない限り、用語「アルケニル」は「アルケニレン」基を含み得る。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アルコキシ」は、アルキルエーテルラジカルを指し、ここで、用語アルキルは、以下に定義される通りである。適切なアルキルエーテルラジカルの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等を含む。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アルキル」は、1から20の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルをを指す。特定の実施形態において、前記アルキルは1〜10の炭素原子を含む。更なる実施形態において、前記アルキルは1〜6の炭素原子を含む。アルキル基は、本明細書に定義されるように随意に置換され得る。アルキルラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−アミル、ヘキシル、オクチル、ノニル等を含む。本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アルキレン」は、メチレン(−CH2−)などの2つ以上の位置に付けられた直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素由来の飽和脂肪族基を指す。別段の定めがない限り、用語「アルキル」は「アルキレン」基を含み得る。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アルキルアミノ」は、アミノ基によって親分子の部分に付けられるアルキル基を指す。適切なアルキルアミノ基はモノアルキル化又はジアルキル化され(mono− or dialkylated)、例えばN−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−エチルメチルアミノなどの基を形成する。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アミド」及び「カルバモイル」は、カルボニル基により親分子の部分に付けられる、以下に記載のアミノ基、又はその逆を指す。本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「Cアミド」は、本明細書に定義されるように、又は明確に列挙された指定される「R」基によって定義されるような、R及びR’を有するC(O)N(RR’)基を指す。本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「Nアミド」は、本明細書に定義されるように、又は明確に列挙された指定される「R」基によって定義されるような、R及びR’を有するRC(O)N(R’)基を指す。本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アシルアミノ」は、アミノ基によって親部分に付けられるアシル基を包含する。「アシルアミノ」基の一例は、アセチルアミノ(CH3C(O)NH−)である。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アミノ」は−−NRR’を指し、ここで、R及びR’は、水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから成る基から独立して選択される、それらの何れかは、それ自体に随意に置換され得る。さらに、R及びR’は、ヘテロシクロアルキルを形成するために結合し、そのどちらかは随意に置換され得る。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アリル」は、1、2又は3つの環を含んでいる炭素環式の芳香族系(aromatic system)を意味し、ここで、そのような多環式の環系は共に融合される。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフェナントリルなどの芳香族基を包含する。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、アルキル基によって親分子の部分に付けられるアリール基を指す。本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「カルボキシル」又は「カルボキシ」は、カルボン酸塩にあるような、−C(O)OH又は対応する「カルボキシラート」アニオンを指す。「O−カルボキシ」基は、RC(O)O−基を指し、ここで、Rは本明細書に定義される通りである。「Cカルボキシ」基は、−C(O)OR基を指し、この場合、Rは本明細書に定義される通りである。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「シアノ」は、−CNを指す。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「シクロアルキル」、又は代わりに「炭素環式化合物」、或いは「脂環式」は、飽和される又は部分的に飽和される単環式、二環式又は三環式アルキル基を指し、ここで、各々の環式部分は、3〜12の炭素原子環員を含み、これらは本明細書に定義されるように随意に置換されるベンゾ融合環構造であり得る。特定の実施形態において、前記シクロアルキルは、5〜7の炭素原子を含む。そのようなシクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル(tetrahydronapthyl)、インダニル、オクタヒドロナフチル(octahydronaphthyl)、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル、アダマンチルなどを含む。本明細書に使用されるように、「二環式」及び「三環式」は、多重環式(多中心化した)飽和される又は部分的に不飽和のタイプと同様に、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンのような、両方の融合した環系を含むように意図される。異性体の後者のタイプは、一般に、ビシクロ[1,1,1]ペンタン、カンファー、アダマンタン、及びビシクロ[3,2,1]オクタンによって例証される。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「ハロ」、又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を指す。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「ヘテロアルキル」は、完全に飽和されている又は1〜3つの不飽和度を含み、定まった数の炭素原子とO、N、及びSから成る基から選択された1〜3のヘテロ原子から成る、安定した直鎖又は分岐鎖の、或いは環式炭化水素ラジカル、又はそれらの組み合わせを指し、ここで、窒素原子と硫黄原子は随意に酸化され、窒素ヘテロ原子は随意に4分割され得る。ヘテロ原子O、N及びSは、ヘテロアルキル基の任意の内部の位置に配され得る。2つまでのヘテロ原子は、例えば−CH2NH−OCH3のように連続してもよい。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「ヘテロアリール」は、3〜15員環の不飽和のヘテロ単環式環、又は融合した単環式、二環式、又は三環式環系を指し、ここで、少なくとも1つの融合した環は芳香性であり、O、S、及びNから成る基から選択される少なくとも1つの原子を含んでいる。特定の実施形態において、前記ヘテロアリールは5〜7の炭素原子を含む。この用語はまた、融合した多環式の基を含み、ここで、複素環はアリール環と融合し、ヘテロアリール環は他のヘテロアリール環と融合し、ヘテロアリール環はヘテロシクロアルキル環と融合し、又はヘテロアリール環はシクロアルキル環と融合する。ヘテロアリール基の例は、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、ピラニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、クロモニル(chromonyl)、クマリニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾロピリダジニル、テトラヒドロイソキノリニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル等を含む。典型的な三環式複素環基は、カルバゾリル、ベンゾイドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル(phenanthrolinyl)、ジベンゾフラニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニル等を含む。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「ヘテロシクロアルキル」及び、互換的に、「ヘテロ環」は各々、環員として少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいる、飽和した、部分的に不飽和の、又は完全に不飽和の単環式、二環式、又は三環式複素環基を指し、ここで、各々の前記ヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄から成る基から独立して選択され得る。特定の実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、環員として1〜4のヘテロ原子を含む。更なる実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、環員として1〜2のヘテロ原子を含む。特定の実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、各々の環において3〜8の環員を含む。更なる実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、各々の環において3〜7の環員を含む。また更なる実施形態において、前記ヘテロシクロアルキルは、各々の環において5〜6の環員を含む。「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロ環」は、スルホン、スルホキシド、ターシャリ窒素環員のN−酸化物、及び炭素環式融合及びベンゾ融合環系を含むように意図される。さらに、両方の用語はまた、複素環(heterocycle ring)が本明細書に定義されるように、アリール基、又は追加の複素環基に融合される場合、系を含む。複素環基の例は、アジリジニル、アゼチジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル(dihydrobenzodioxinyl)、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル(dihy−dropyridinyl)、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、イソインドリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルホリニル等を含む。複素環基は、明確に禁止されない限り随意に置換され得る。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「より低い(lower)」は、そうでなくとも明確に定義されない場合、1から6の炭素原子を含むことを意味する。
本明細書に単独又は組み合わせて使用されるように、用語「スルホニル」は、−S(O)2−を指す。
本明細書における任意の定義は、合成構造の基を記載するために任意の他の定義と組み合わせて使用され得る。慣習によって、任意のそのような定義の背向要素(trailing element)は、親部分に付いているものである。例えば、合成基アルキルアミドは、アミド基によって親分子に付けられるアルキル基を表し、用語アルコキシアルキルは、アルキル基によって親分子に付けられるアルコキシ基を表す。
基が「ゼロである」と定義されるとき、意味するものは前記基が存在しないということである。
用語「随意に置換される」は、先行する基が置換される又は置換されないことを意味する。置換される時、「随意に置換される」基の置換基は、以下の基又は基の特定の指定されたセットから、単独でまたは組み合わせて独立して選択される1以上の置換基を含むが、これらに限定されない:低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ぺルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホナート、スルホン酸、3分子置換性のシリル、N3、SH、SCH3、C(O)CH3、CO2CH3、CO2H、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバマート、及び低級尿素を含む。2つの置換基は、0〜3つのヘテロ原子から成る、融合した5員環、6員環、又は7員環の炭素環又は複素環を形成するために共に連結され得、例えばメチレンジオキシ又はエチレンジオキシを形成する。随意に置換される基は、置換されない(例えば、−CH2CH3)、完全に置換される(例えば、−CF2CF3)、一置換される(例えば、−CH2CH2F)、又は完全に置換及び一置換される間のあらゆるレベルにて置換される(例えば、−CH2CF3)。置換基が置換に関する能力なしで列挙される場合、置換された形態又は置換されない形態の両方が包含される。置換基が「置換される」ものとして資格を得ると、置換された形態は明確に意図される。さらに、特定の部分に対する随意の置換基の異なるセットは、必要とされるように定義され得る。これらの場合において、随意の置換は、定義されるようにしばしば「随意に置換される」というフレーズの直ぐ次に来る。
他の方法で定義されない限り、単独で及び数の指定無しで現われる用語R又は用語R’は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルから成る基から選択された部分を指し、そのいずれかは随意に置換される。そのようなR及びR’基は、本明細書に定義されるように随意に置換されることを理解されるべきである。R基が数の指定を有していようがいまいが、R、R’及びRn(n=(1、2、3、…n))を含む、全てのR基、全ての置換基、及び全ての用語は、基からの選択に関して言えば、全ての他のものとは無関係であることを理解されるべきである。任意の変数、置換基、又は用語(例えばアリール、ヘテロ環、R等)が、式又は総括的な構造において1度以上生じれば、各々の発生でのその定義は、全ての他の発生での定義とは無関係である。当業者は、特定の基が、親分子に付けられ得る又は記載どおりどちらかの端からの要素の鎖における位置を占め得ることをさらに認識する。したがって、ほんの一例として、−C(O)N(R)−などの非相称の基は、炭素又は窒素のいずれかにて、親部分に付けられ得る。
不斉中心は、本明細書開示の化合物中に存在する。これらの中心は、記号「R」又は「S」で示され、キラル炭素原子の周りの置換基の配置に依存する。本発明が、D−異性体及びl−異性体、及びそれらの混合物と同様に、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマーの形態を含む、全ての立体化学の異性体の形態を包含することを理解されたい。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含む市販の出発物質から合成的に調製され得、又はエナンチオマー生成物の混合物の調製後、ジアステレオマーの混合物への転換などの分離を行い、その後、分離或いは再結晶、クロマトグラフ法、キラルクロマトグラフィーカラム上のエナンチオマーの直接分離、又は当該技術分野に公知の任意の他の適切な方法によって合成的に調製され得る。特定の立体化学の出発化合物は、市販であるか、当該技術分野に公知の技術によって作られ解決され得るかのいずれかである。さらに、本明細書開示の化合物は、幾何異性体として存在し得る。本発明は、すべてのシス、トランス、合成、抗、エントゲーゲン(E)、及びツザメン(Z)の異性体に加え、それらの適切な混合物を含む。さらに、化合物は、互変異性体として存在し得る。すべての互変異性体は、本発明によって提供される。さらに、本明細書開示の化合物は、非溶媒和の形態に加え、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を有する溶媒和の形態に存在し得る。一般に、溶媒和の形態は、非溶媒和の形態と等価であると考えられる。
用語「結合(bond)」は、結合によって連結された原子がより大きな下部構造の一部であると考えられるとき、2つの原子の間、又は2つの部分間の共有結合を指す。結合は、特に指定のない限り、単一、二重又は三重であり得る。分子の図面における2つの原子の間の破線は、さらなる結合がその位置で存在し得るまたは存在し得ないことを示す。
「マクロファージ」は食細胞であり、いくつかは固定され、他のものは血流で循環する。マクロファージは、免疫反応の調節細胞及び効果細胞である。これらの細胞は、ウイルスによる感染に弱い。本明細書で使用されるように、用語「マクロファージ」及び「単球」は、当該技術分野において用語「単球」が、CD14細胞表面マーカーを発現する循環単核細胞を記載するためにしばしば使用されると理解されるように、且つ組織においてこの細胞がまた、マクロファージとして分類される時、交互に使用される。
「マクロファージに関連する疾病」は、対照サンプルと比較したマクロファージ増殖又は活性化の上昇した或いは異常なレベルに関連する疾病、障害、又は指標である。そのような障害は、エイズに関連する認知症、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)エイズリンパ腫、濾胞性リンパ腫、菌状息肉腫、著しいマクロファージ区画を有するT細胞及びB細胞リンパ腫、年齢に関係する黄斑変性(ARMD)、湿潤及び乾季型、アテローム性動脈硬化、巣状分節性糸球体硬化症などの腎臓病、および細胞膜増殖の糸球体腎症、狼瘡、乾癬状の(psoriaform)皮膚炎、エイズに関連する下痢、
AILD(タンパク異常血症を伴う血管免疫芽細胞性リンパ障害)、慢性肝炎ウイルス病(HBV及びHCV)、HIV感染又は糖尿病に関連した末梢性感覚ニューロパチー及びカストルマン病とカポジ肉腫のようなヘルペスウイルス関連疾患などの前リンパ腫の(prelymphomatic)自己免疫性疾患を含むが、これらに限定されない。1つの実施形態において、それらは侵襲的な乳癌及び膵癌を含む。用語「疾病」、「障害」、及び「疾患」は、本明細書において交互に使用される。「マクロファージに関連する認知症」は、対照サンプルと比較して、マクロファージ増殖又は活性化の高い、又は異常なレベルに関係している認知症である。このような認知症は、ADを含むが、これに限定されない。マクロファージに関連する障害、疾患又は認知症は、HIV媒介性又は非HIV媒介性、或いはHIV関連性又は非HIV関連性である。「非HIV媒介性」の疾患又は認知症は、直接的又は間接的にHIVによって引き起こされない疾患又は認知症である。「非HIV関連性」の疾患又は認知症は、HIV感染と通常関係ない又はそれに付随しない。「HIV媒介性」の疾患、認知症又は指標は、HIV感染によって直接的又は間接的に引き起こされる(及び/又は関連付けられる)。「HIV関連性」の疾患、認知症又は指標は、HIV感染に一般に関連する、又はHIV感染に付随するといったように、より広く定義される。「HIV媒介性」の疾患は、例えば、「HIV関連性」であると考えられるものに含まれる。用語「HIV神経障害」及び「HIV関連性神経変性」(「HAND」)は、本明細書に交互に使用され得る。HIV関連性の認知症も、HAD、HIV認知症、エイズ認知症、エイズ認知症複合体、ADC、及び神経エイズ(neuroAIDS)と交互に使用され得る。
「ウイルス」は、生細胞の内部で再生する微視的な感染性の有機体である。ウイルスは、タンパク膜に囲まれた単一の核酸のコアから本質的に成り、生細胞の内部で複製する能力を有している。用語ウイルスは、ウイルスゲノムがRNAであるRNAウイルスであるレトロウイルス、及び逆転写酵素を含んでいるウイルスの属を記載する分類であるレンチウイルスを含む。
HIVは、ヒトに免疫抑制を引き起こし(HIV疾患)、後天性免疫不全症候群(AIDS)として知られている疾患複合体(disease complex)に導くレトロウイルスである。「HIV疾患」は、HIVウイルスによって感染したヒトにおける兆候及び症状のよく認識された群を指す。
「ウイルス負荷」は、ウイルス感染の重症度の測標であり、体液又は感染細胞中のウイルスの量の計算により評価することができる。ウイルス負荷は、疾患進行のためのサロゲートマーカーとして利用する。ウイルス負荷は、PCRとbDNAの試験によって典型的に測定され、1ミリリッター当たりのウイルスの複写又は同等物の数で一般に発現される。例えば、「HIVウイルス負荷」は、HIVに感染した被験体の血漿中のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって検知可能なHIV−RNAのレベルを決定することにより測定され得る(ml当たりの複写において測定される)。
HIVウイルス負荷の「臨床的に有意な」低下は、基線値に相対的な約80%(半分の対数(half log))より高い又は等しい低下を含む。同様に、HIVに感染したCD14/CD16+血液マクロファージの数で「臨床的に有意な」低下は、基線値に相対的な少なくとも約80%の低下を含む。
用語「プロドラッグ」は、インビボにてより活性になる化合物を指す。本明細書開示の特定の化合物はまた、「Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry, Biochemistry, and Enzymology(Testa, Bernard and Mayer, Joachim M. Wiley−VHCA, Zurich, Switzerland 2003)」に記載の通り、プロドラッグとして存在し得る。本明細書記載の化合物のプロドラッグは、化合物を提供するために生理学的条件下で化学変化を容易に受ける、化合物の構造上修正される形態である。さらに、プロドラッグは、エクスビボ(ex vivo)の環境において化学的又は生化学的な方法によって化合物に変換される。例えば、適切な酵素又は化学試薬を有する経皮貼布貯蔵庫に置かれた時、プロドラッグはゆっくりと化合物へ変換される。幾つかの状況において、プロドラッグは、化合物、又は親薬物よりも投与しやすいため、しばしば役に立つ。プロドラッグは、例えば、経口投与により生物学的に入手可能であり得る一方で、親薬物はそうならない。プロドラッグはまた、親薬物以上に医薬組成物において改善された溶解度を有する。多岐にわたるプロドラッグ誘導体は、プロドラッグの加水分解又は酸化の活性化に依存するものなど、当該技術分野において知られている。プロドラッグの例は、制限なしで、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、カルボン酸、活性実体(active entity)へ代謝的に加水分解される化合物である。追加の例は、化合物のペプチジル誘導体を含む。
本明細書開示の化合物は、治療上許容可能な塩として存在し得る。本発明は、酸付加塩を含む塩の形態で上記に記載された化合物を含む。適切な塩は、有機酸及び無機酸の両方で形成されるものを含む。そのような酸付加塩は通常、薬学的に許容可能である。しかしながら、薬学的に許容可能ではない塩の塩は、問題の化合物の調製及び精製において有用性であり得る。塩基付加塩も形成され、薬学的に許容可能であり得る。塩の調製及び選択のより十分な議論に関しては、「Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use(Stahl, P. Heinrich. Wiley−VCHA, Zurich, Switzerland, 2002)」を参照する。
本明細書に使用されるように、用語「治療上許容可能な塩」は、本明細書に定義されるように水溶性又は油溶性或いは分散性及び治療上許容可能である、本明細書開示の化合物の塩又は双性イオン性の形態を表わす。塩は、化合物の最終的な分離および精製の間に調製され、又は遊離塩基の形態における適切な化合物を適切な酸と反応させることにより別々に調製される。代表的な酸付加塩は、酢酸塩、アジパート、アルギン酸塩、L−アスコルビン酸塩、アスパルテート、安息香酸塩、ベンゼンスルフォナート(ベシレート)、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンファースルホネート、シトラート、ジグルコン酸、ぎ酸塩、フマル酸、ゲンチジン酸塩、グルタラート、グリセロリン酸塩、グリコレート、ヘミ硫酸、ヘプタノアート、ヘキサノアート、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシエタンスルフォナート(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロナート、DLマンデル酸塩、メチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフチレンスルフォナート、ニコチネート、2−ナフタレンスルフォナート、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、フォスフォン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸、琥珀酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L−酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸、重炭酸塩、パラ−トルエンスルフォン酸塩(para−toluenesulfonate)(p−トシラート)、及びウンデカノアートを含む。また、本明細書開示の化合物中の塩基性の基は、メチル、エチル、プロピル、及び塩化ブチル、臭化物、及びヨウ化物;ジメチル、ジエチル、ジブチル、及び硫酸ジアミル;デシル、ラウリル、ミリスチル、及び塩化ステリル、臭化物、及びヨウ化物;及びベンジル並びに臭化フェネチルにより四級化される。治療上許容可能な付加塩を形成するために利用することができる酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、及びリン酸のような無機酸、並びにシュウ酸、マレイン酸、琥珀酸、及びクエン酸のような有機酸を含む。塩はまた、アルカリ金属又はアルカリ土類イオンを有する化合物の整合によって形成することができる。故に、本発明は、本明細書開示の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩などを熟慮する。
塩基付加塩は、カチオンの水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩などの適切な塩基、或いはアンモニアまたは有機的な一級、二級、又は三級アミンをカルボキシ基と反応させることにより、化合物の最終的な分離及び精製中に調製することができる。治療上許容可能な塩のカチオンは、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、及びN,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどの無毒な四級アミンカチオンと同様に、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウムを含む。塩基付加塩の形成に役立つ他の代表的な有機アミンは、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、及びピペラジンを含む。
本明細書開示の化合物が未加工の化学物質として投与されることは可能である一方で、それらを医薬製剤として提供することも可能である。従って、本明細書には、本明細書開示の1以上の特定の化合物、又はその1以上の薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、アミド、又は溶媒和物を、1以上の薬学的に許容可能な担体及び随意に1以上の他の治療成分と一緒に含む、医薬製剤が提供される。担体(複数)は、製剤の他の成分との適合性があり、そのレシピエントに有害でないという意味において、「許容可能」でなければならない。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。周知の技術、担体及び賦形剤のいずれかは、適切なものとして、及び当該技術分野;例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」において理解されるように使用される。本明細書開示される医薬組成物は、当該技術分野において公知の任意の方法で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、ドラゼー製法、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、又は圧縮のプロセスの手段によって製造される。
薬剤、即ちポリアミンアナログ、ポリアミン生合成インヒビター、ポリアミン輸送インヒビター、又はS−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼを阻害する薬剤はまた、1以上の実体と組み合わせて投与される。1つの実施形態において、実体は、抗ウイルス性の又は抗レトロウイルス性の薬剤、ステロイド性又は他の抗炎症性の薬剤を含むが、これらに限定されない治療上の実体である。別の実施形態において、実体は、薬学的に許容可能な担体である。
例えば、細胞又は被験体における、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼを阻害するのに効果的な量の薬剤は、オステオポンチンのレベル又は活性を減少するのに十分である任意の量、例えば、細胞又は被験体において、典型的には約25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれより多い量である。1つの実施形態において、効果的な量の薬剤は、オステオポンチンの活性を70%以上減少させるのに十分な量である。別の実施形態において、効果的な量の薬剤は、オステオポンチンの活性を80%以上減少させるのに十分な量である。また別の実施形態において、薬剤は、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼを阻害し、効果的な量は、アデノシンデアミナーゼ(「ADA」)を活性化するのに十分な量である。
被験体における薬剤での処置の適量、投与の頻度、及び持続時間は、処置される疾患、達成される臨床エンドポイント(例えば、オステオポンチンのレベル又は活性の減少、組織に対するマクロファージの浸潤の阻害、又は疼痛の緩和)、被験体の疾病、被験体の年齢、体重、処置に対する反応、及び治療上の実体の性質に依存して、被験体ごとに変化する。最適用量及び処置の持続時間の決定は、1つの当業者の範囲内にある。最適用量及び処置の持続時間は、処置の期間中に被験体の反応を監視することにより、最良に決定される。いくつかの例において、より高い用量の投与は、あまり頻繁でない投与を可能にし、及びより低い用量は、被験体の疾病における臨床的に著しい改善を達成するため、より頻繁な投与を必要とする。本発明の薬剤は、一回量として、又は複数回投与で投与される。
一般的に、現在の方法に従った薬剤の治療上効果的な量は、約10から約1100mg/m2までの、1以上の用量となる。低用量の投与は、10−200、10−100、10−50及び20−200mg/m2の用量を含む。高用量の投与は、200−400、250−500、400−600、500−800、600−1000及び800−1100mg/m2を含む。1つの実施形態において、用量の投与は200−400mg/m2の範囲である。別の実施形態において、用量の投与は250−500mg/m2の範囲である。また別の実施形態において、用量の投与は、600−1000mg/m2の範囲である。幾つかの実施形態において、薬剤は毎日、週に一度、隔週に一度、又は1か月に一度投与される。1つの実施形態において、200−400mg/m2の範囲である投与量は、週に一度投与される。別の実施形態において、250−500mg/m2の範囲の投与量は、隔週に一度投与される。
用量は、全処置期間の間じゅう一定であり、又は処置の期間中に増加或いは減少してもよい。1つの実施形態において、薬剤は、週に一度投与され、200mg/m2の投与で始まり、及び第2並びに第3週において各々300mg/m2および400mg/m2まで増加する。別の実施形態において、薬剤は、隔週に一度投与され、250mg/m2の投与での処置の全期間中、一定に保たれる。薬剤の用量は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、又は少なくとも8週間投与される。特定の被験体のためのこれら範囲内の薬剤の用量の調節は、十分通常の臨床医の技術の範囲内にある。
薬剤は、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、及び髄内を含む)、腹腔内、経粘膜(経鼻を含む)、経皮、直腸及び局所(皮膚、口腔、舌下及び眼内を含む)経路を含むが、これらに限定されない薬を投与するために通常使用される任意の従来の経路を介して投与される。静脈内の送達は、大量注射、又は注入を介して行われ;注入は1分未満から数時間までにわたる期間じゅう、連続的に行われる。特定の実施形態において、処置の方針は、経路の組み合わせによる投与を含む。
例えば、薬剤は、疼痛又は別の障害の処置のための静脈内経路及び経口経路の組み合わせを介して投与される。1つの実施形態において、「充填(loading)」用量は、薬物の濃度を所望の治療上のレベルにもたらすためIV投与され、その後、その場で保つために経口経路を介して1つ以上の維持量を投与する。更なる実施形態において、経口及びIV送達の組み合わせは、外科手術患者の痛みを緩和するために使用される。薬剤は、IVと経口経路の組み合わせによって、事前に、前後に(peri−)、又は事後に 外科的に送達される。1つの実施形態において、患者は手術前に薬物を投与される又は経口的に自己投与し、手術中及びその直後にIV注入を介して薬物を投与され、及び手術後に薬物を投与される又は経口的に自己投与する。別の実施形態において、患者は、手術前に薬物IVを投与され、手術中及びその直後にIV注入を介して薬物を投与され、及び手術後に薬物を投与される又は経口的に自己投与する。
薬剤は、液体、粉末、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、スプレー及びエアゾール剤を含むが、これらに限定されない様々な形態の医薬組成物として投与される。医薬組成物は、担体、賦形剤、結合剤、安定剤、抗菌剤、酸化防止剤、希釈剤及び/又は支持物(supports)を含むが、これらに限定されない様々な薬学的に許容可能な添加剤を含む。適切な賦形剤及び担体の例は、例えば、「“Remington’s Pharmaceutical Sciences,” Mack Pub Co., New Jersey(1991)」に記載されている。いくつかの実施形態において、薬剤は、水性の砂糖水中のIV注入を介して投与される。薬剤はまた、薬剤送達を促進する別の物質に関連している。例えば、薬剤はリポソームに関連付けられる。リポソームは次に、IgGFc受容体などの標的物質(複数)と接合する。
経口投与に適した本明細書開示の化合物の製剤は、各々が活性成分の所定量を含む、カプセル剤、カシェ剤又は錠剤などの別々のユニットとして、粉末又は果粒剤として、水性の液体又は非水性の液体中の溶液または懸濁液として、或いは水中油の液体乳濁液又は油中水の乳濁液として提示され得る。活性成分はまた、ボーラス、舐剤又はペースト剤として提示され得る。
経口に入手可能な医薬製剤は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル剤、同様にグリセロール又はソルビトールなどの、ゼラチン及び可塑剤で作られた軟性の密閉カプセル剤を含む。錠剤は、随意に1以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られる。圧縮錠剤は、結合剤、不活性希釈剤、又は平滑剤、界面活性剤又は分散剤と随意に混合され、粉末又は果粒剤などの自由流動形態で、活性成分を適切な機械において圧縮することによって調製され得る。成形の錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末化合物の混合物を適切な機械において成形することにより作られ得る。錠剤は、随意にコーティング又はスコア化され、錠剤の活性成分の徐放又は制御放出を提供するように処方され得る。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した投与量であるべきである。押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク或いはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び随意に安定剤との混合において、活性成分を含み得る。軟カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体において溶解される又は懸濁され得る。さらに、安定剤が加えられ得る。ドラゼーコアは、適切なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮された糖溶液が使用され得、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合液を随意に含み得る。色素又はピグメントは、同定のために、又は活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤又はドラゼーのコーティングに加えられ得る。
化合物は、注射、例えば、大量注射又は持続注入による非経口投与のために処方され得る。注射のための製剤は、単位剤形、例えば、アンプル又は複数用量容器において、加えられた防腐剤と共に提示され得る。組成物は、油性又は水溶性のビヒクルにおいて、懸濁液、溶液又は乳濁液のような形態をとり、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤化剤(formulatory agents)を含み得る。製剤は、単一用量又は複数用量の容器、例えば密閉されたアンプル及びバイアルにおいて提示され、使用の直前に、無菌の液体担体、例えば、食塩水又は無菌の発熱性物質を含まない蒸留水の付加のみを必要とする、粉末形態又は冷凍乾燥(凍結乾燥)された状態で貯蔵され得る。即席の注射液及び懸濁液は、以前に記載された種類の無菌の粉末剤、果粒剤及び錠剤から処方され得る。
非経口投与のための製剤は、指定されたレシピエントの血液によって製剤を等張性にする、酸化防止剤、緩衝液、静菌薬及び溶質を含み得る活性化合物の水性及び非水性(油性)の無菌の注射溶液、及び懸濁剤並びに増粘剤を含み得る、水性及び非水性の無菌の懸濁液を含む。適切な親油性溶媒又はビヒクルは、胡麻油などの脂肪油、オレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームを含む。水溶性の注射懸濁液は、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘性を増加させる物質を含み得る。随意に、懸濁液はまた、化合物の溶解度を増加させることで高濃縮溶液の調製を可能にする、適切な安定剤又は薬剤を含み得る。
以前に記載された製剤に加えて、化合物はまたデポー製剤として処方され得る。このような長時間作用する製剤は、(例えば皮下又は筋肉内の)注入によって、又は筋肉内注射によって投与され得る。従って、例えば、化合物は、適切なポリマー又は(例えば許容可能な油内の乳濁液のような)疎水性材料或いはイオン交換樹脂と共に、又は難溶性の誘導体、例えば、難溶性の塩として調製され得る。
口腔内又は舌下投与のために、組成物は、従来の方法で調製された錠剤、ロゼンジ、香錠、又はゲルの形態をとり得る。このような組成物は、ショ糖及びアカシア又はトラガカントゴムなどの香料ベース(flavored basis)の活性成分を含み得る。
化合物はまた、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含む、坐剤又は停留浣腸剤などの直腸の組成物において処方され得る。
本明細書開示の特定の化合物は、局所的に、すなわち非全身性の投与によって投与され得る。これは、本明細書開示の化合物が著しく血流に入らないように、表皮又は口腔の外側への化合物の塗布、及びそのような化合物の耳、目並びに鼻への注入を含む。対照的に、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内及び筋肉内の投与を指す。
局所投与に適した製剤は、ゲル剤、塗布剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤又はペースト剤などの、皮膚を通じた炎症の部位への浸透に適した液体又は半液体の製剤、及び目、耳又は鼻への投与に適した点滴剤を含む。局所投与用の活性成分は、例えば、0.001%から10%w/w(重量)までの製剤を含み得る。特定の実施形態において、活性成分は10%w/wを含み得る。他の実施形態において、活性成分は5%未満のw/wを含み得る。特定の実施形態において、活性成分は、2%のw/wから5%のw/wまで含み得る。他の実施形態において、活性成分は、0.1%から1%のw/wまでの製剤を含み得る。
吸入による投与のために、化合物は、注入器、噴霧器で加圧されたパック、又はエアロゾルスプレーを送達する他の便利な手段から都合良く送達され得る。加圧されたパックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスなどの適切な噴霧剤を含み得る。加圧されたエアロゾルの場合、投与ユニットは、測定された量を送達するため弁を提供することによって決定され得る。代わりに、吸入又は空気混入による投与のため、本発明に従った化合物は、乾燥粉末組成物、例えば化合物の粉末混合の形態、及びラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤の形態をとり得る。粉末組成物は、単位剤形で、例えば、カプセル剤、カートリッジ、ゼラチン又はブリスターパックにおいて提示され、そこから粉末剤は、吸入器または注入器の助けにより投与され得る。
典型的な単位投与の製剤は、本明細書の下記に詳述されるような有効量、またはその適切なわずかな活性成分を含んでいる製剤である。
本明細書の組成物において使用される充填材は、今後開発されるものと同様に、使用される既知のものをすべて含む。充填剤、又は希釈剤の例は、ラクトース、マンニトール、キシリトール、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、圧縮可能な糖、微結晶性セルロース(MCC)、粉末セルロース、コーンスターチ、事前にゼラチン化されたデンプン(pregelatinized starch)、デキストラート(dextrates)、デキストラン、デキストリン、デキストロース、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレンオキシドなどのポロクサマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むが、これらに限定されない。充填剤は、使用されるラクトースがラクトース一水和物である場合のように、複雑化された溶媒分子を有し得る。充填材はまた、充填剤PROSOLV(登録商標)(JRS Pharmaから入手可能)の場合のように、独占的に所有されたものであり得る。PROSOLVは独占的に所有されたものであり、随意に98%の微結晶性セルロース及び2%のコロイド状二酸化ケイ素からなる高密度のケイ酸化された微結晶性セルロースである。微結晶性セルロースの珪化作用は、特許取得のプロセスによって達成され、コロイド状二酸化ケイ素と微結晶性セルロースの間の密接な関連性をもたらす。ProSolvは、粒度に基づいた異なる等級で生じ、水、アセトン、エタノール、トルエン及び希酸、並びに50g/l溶液の水酸化ナトリウムにおいて実質的に溶けない、白色又は略白色の、微粉又は粒状粉末である。
本明細書の組成物において使用される崩壊剤は、今後開発されるものと同様に、使用される既知のものをすべて含む。崩壊剤の例は、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、クロスポビドン(ポリビニルポリピロリドン)、メチルセルロース、微結晶性セルロース、粉末セルロース、低置換のヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、事前にゼラチン化されたデンプン及びアルギン酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。
本明細書の組成物において使用される潤滑剤は、今後開発されるものと同様に、使用される既知のものをすべて含む。潤滑剤の例は、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化した植物油、軽油、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク及びステアリン酸亜鉛を含むが、これらに限定されない。
本明細書の組成物において使用される滑剤は、今後開発されるものと同様に、使用される既知のものをすべて含む。滑剤の例は、二酸化ケイ素(SiO2)、タルクコーンスターチ、及びポロクサマーを含むが、これらに限定されない。ポロクサマー(又はLUTROLR、BASF Corporationから入手可能)は、Aセグメントが親水性のポリエチレングリコールホモポリマーであり、Bセグメントが疎水性のポリプロピレングリコールホモポリマーである、A−B−Aブロックコポリマーである。
本明細書の組成物において使用される錠剤結合剤は、今後発達されるものと同様に、使用において既知のものをすべて含む。錠剤結合剤の例は、アカシア、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、水素化した植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポリビドン(copolyvidone)、メチルセルロース、液状グルコース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポビドン、事前にゼラチン化されたデンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプン、ショ糖、トラガカントゴム、及びゼインを含むが、これらに限定されない。
界面活性剤の例は、脂肪酸及びスルホン酸アルキル;塩化ベンゼタニウム(benzethanium chloride)(HYAMINE(登録商標)1622,ニュージャージー州フェアローンのLonza, Inc.から入手可能);DOCUSATE SODIUM(登録商標)(ミズーリ州セントルイスのMallinckrodt Spec. Chem.から入手可能);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(TWEEN(登録商標)、デラウェア州ウィルミントンのICI Americas Inc.から入手可能;LIPOSORB(登録商標)P−20,ニュージャージー州パターソンのLipochem Inc.から入手可能;CAPMUL(登録商標)POE−0,ウィスコンシン州ジェーンズビルのAbitec Corp.から入手可能)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレイン酸塩(TWEEN80(登録商標)、デラウェア州ウィルミントンのICI Americas Inc.から入手可能)などの商用の界面活性剤;及びタウロコール酸ナトリウム、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、レシチン、及び他のリン脂質並びにモノ−およびジグリセリド等の天然の界面活性剤を含むが、これらに限定されない。そのような物質は、湿潤の促進により溶解速度を増加させ、それにより最大の溶解濃度を増加させるために、及び、複合体形成、包接体の形成、ミセルの形成又は固形薬剤の表面へ吸着することなどのメカニズムによって溶かされた薬物と相互に作用することにより、薬物の結晶化又は沈殿を阻害するために好都合に使用することができる。
本明細書の組成物において使用される薬物錯化剤及び溶解剤は、今後開発されるものと同様に、使用される既知のものをすべて含む。薬物錯化剤又は溶解剤の例は、ポリエチレングリコール、カフェイン、キサンテン、ゲンチシン酸及びシクロデキストリン(cylodextrins)を含むが、これらに限定されない。
酸、塩基又はバッファなどのpH修飾因子の付加も効果的であり、組成物の溶解速度を遅らせる又は増強させる、又はその代わりに、組成物の化学的安定性を改善する助けとなる。本明細書の組成物において使用される適切なpH修飾因子は、今後開発されるものと同様に、使用される既知のものをすべて含む。
特に上述された成分に加えて、本明細書提供の製剤が、問題の製剤の種類を考慮する当該技術分野において従来の他の薬剤を含み得ることは理解されるべきである。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。良く知られた技術、担体及び賦形剤のいずれかは、適切なものとして、及び当該技術分野;例えば「Remington, supra」
において理解されるように用いられる。医薬組成物は、それ自体公知の方法、例えば、従来の混合、溶解、造粒、ドラゼー製法、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、又は圧縮のプロセスで製造され得る。
化合物は、1日当たり0.1〜500mg/kgの用量で経口又は注射を介して投与され得る。成人のヒトのための用量の範囲は、一般に、5mg〜2g/日までである。別々のユニットで提供される錠剤又は他の提示の形態は、そのような投与に有効な、または複数回の同じ投与として有効な1以上の化合物の量(例えば、5mg〜500mg、通常約10mg〜200mgまでを含んでいるユニット)を、好都合に含み得る。
被験体に投与される化合物の正確な量は、担当する医師の責任となる。任意の特定の被験体のための具体的な用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与の時間、投与の経路、分泌の速度、薬物の複合、処置される正確な障害、及び処置される指標又は疾病の重症度を含む、様々な要因に依存する。また、投与の経路は、疾病及びその重症度に依存して変化し得る。投与の頻度はまた、送達された化合物の製剤と同様、上述のものを含む因子にも基づいて選択される又は調節され得る。投与が、例えば毎日1回、毎日2回、毎日3又は4回、1日おきに、毎週、隔週、又は毎月;又は持続した投与期間、その後の非投与期間を含むサイクルで;或いは必要に応じて生じる。
特定の例において、別の治療剤と組み合わせた本明細書記載の化合物(又は薬学的に許容可能な塩、エステル又はそのプロドラッグ)の少なくとも1つを投与することは適切であり得る。ほんの一例ではあるが、本明細書の化合物の1つを受ける被験体が受ける副作用の一つが高血圧である場合、その後、最初の治療剤と併用して抗昇圧薬を投与するのが適切であり得る。又は、ほんの一例として、本明細書記載の化合物の1つの治療効果は、アジュバントの投与によって増強され得る(すなわち、アジュバント自体は最小の治療的有用性を有し得るだけであるが、別の治療剤と併用することで、被験体に対する全体的な治療的有用性が高まる)。又は、ほんの一例として、被験体にもたらされた有用性は、本明細書記載の化合物の1つを、同様に治療的有用性を有する別の治療剤剤(同様に治療計画を含む)と併用することで高まり得る。ほんの一例として、本明細書記載の化合物の1つの投与を含む神経病の処置において、本明細書記載の治療効果の増加は、神経病のため別の治療剤を被験体に提供することによってももたらされ得る。いかなる場合でも、処置される疾病、障害、疾病にかかわらず、被験体が受ける全体的な効果は、2つの治療剤を単に添加しただけのものであり、又は被験体は相乗効果を受け得る。
特定の実施形態において、他の治療剤は抗ウイルス剤である。1つの実施形態において、抗ウイルス剤は、抗レトロウイルス剤、例えば、ヌクレオシド系逆転写酵素インヒビター、ヌクレオチド系逆転写酵素インヒビター、非核酸系逆転写酵素インヒビター、プロテアーゼインヒビター、侵入インヒビター、インテグラーゼインヒビター又はgp41、CXCR4、又はgp120インヒビターである。HIV感染の処置用のヌクレオシド系逆転写酵素インヒビターの例は、アムドキソビル、エルブシタビン(elvucitabine)、アロブジン、ラシビル(racivir)(± − FTC)、ホスファジド(phosphazide)、ホジブジンチドキシル(fozivudine tidoxil)、アプリシタビン(apricitibine)(AVX754)、アムドキソビル、ジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ラミブジン(3TC)、スタブジン(d4T)、ザルシタビン(ddC)、エムトリシタビン(FTC)、及びアバカビル(ABC)を含む。ヌクレオチド系逆転写酵素インヒビターの例は、テノホビル(TDF)及びアデフォビルを含む。非核酸系逆転写酵素インヒビターの例は、カプラビリン、エミビリン、カラノリドA(calanolide A)、エトラビリン、エファビレンツ(EFV)、ネビラピン(NVP)及びデラビルジン(DLV)を含む。プロテアーゼインヒビターの例は、アンプレナビル(APV)、チプラナビル(TPV)、ロピナビル(LPV)、ホスアンプレナビル(FPV)、アタザナビル(ATV)、ダルナビル、ブレカナビル、モゼナビル(mozenavir)、インジナビル(IDV)、ネルフィナビル(NFV)、リトナビル(RTV)、及びサキナビル(SQV)を含む。侵入インヒビターの例はSPOIAを含む。HIVインテグラーゼインヒビターの例は、クルクミン、クルクミンの誘導体、チコリ酸、チコリ酸の誘導体、3,5−ジカフェオイルキナ酸(dicaffeoylquinic acid)、3,5−ジカフェオイルキナ酸の誘導体、アウリントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸の誘導体、コーヒー酸フェネチルエステル、コーヒー酸フェネチルエステルの誘導体、チルホスチン、チルホスチンの誘導体、ケルセチン、ケルセチンの誘導体、S−1360、ジンター(zintevir)(AR−177)、L−870812、及びL−25 870810、MK−0518(BMS−538158)、GSK364735Cを含み、gp41インヒビターの例は、エンフビルチド(ENF)を含む。CXCR4インヒビターの例はAMD−070を含み、gp120インヒビターの例はBMS−488043を含む。
別の実施形態において、ポリアミンアナログは、高活性の抗ウイルス薬多剤併用療法(HAART)、すなわち、プロテアーゼインヒビター、非核酸系逆転写酵素インヒビター及びヌクレオシド系逆転写酵素インヒビターの組み合わせ、又は2つの非核酸系逆転写酵素インヒビター及び1つのヌクレオシド系逆転写酵素インヒビターの組み合わせと同時に投与される。一般に、ポリアミンアナログは、抗ウイルス剤又は抗レトロウイルス剤の投与により同時に又は連続して(すなわち、前後に)投与され得る。それを必要とする被験体への抗ウイルス剤の及び抗レトロウイルス剤の投与は、当該技術分野において周知の計画及び投与に従って作ることができる。
また他の実施形態において、抗ウイルス剤は、T細胞内の免疫不全ウイルス負荷を軽減することができる薬剤である。T細胞(特にCD4+T細胞)はまた、HIVなどの免疫不全ウイルスのためのウイルスの貯蔵庫として役立つ。したがって、T細胞内の免疫不全ウイルス負荷を軽減する薬剤とのポリアミンアナログの併用療法は、免疫不全ウイルスの貯蔵庫を洗い流す又は破壊することに特に望ましい。T細胞内の免疫不全ウイルス負荷を軽減する適切な薬剤は、「Pierson et al.(Annu. Rev. Immunol. (2000), 18:665−708)」で検討され、T細胞活性化サイトカイン(T−cell activating cytokine)、抗CD3抗体、及び抗−CD45RO−毒素接合体(toxin conjugates)を含むが、これらに限定されない。例えば、IL−2、IL−6、TNF−αなどのT細胞活性化サイトカイン、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせは、現在の方法において使用され得る。
いくつかの実施形態において、他の治療剤はTNFインヒビターである。TNFインヒビターは、例えばインフリキシマブ(Remicade)、アダリムマブ(Humira)、セルトリズマブペゴール(Cimzia)、又はゴリムマブ(Simponi)などのモノクローナル抗体;エタネルセプト(Enbrel)などの循環する受容体融合タンパク質;又はペントキシフィリン或いはブプロピオン(Zyban, Wellbutrin)などの小分子であり得る。
他の実施形態において、別の治療剤は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)である。DMARDの例は、アザチオプリン、シクロスポリン(シクロスポリンA)、D−ペニシラミン金塩、水酸化クロロキン、レフルノミド、メトトレキサート(MTX)、ミノサイクリン、スルファサラジン(SSZ)、及びシクロホスファミドを含む。
更なる実施形態において、他の治療剤はメトトレキサートである。
併用において使用されるための他の薬剤は、アナキンラ(Kineret)などのインターロイキン1(IL−1)遮断薬、アバタセプト(Orencia)などのT細胞共刺激遮断薬、トシリズマブ(抗−IL−6受容体抗体;RoActemra,Actemra)などのインターロイキン6(IL−6)遮断薬、リツキシマブ(リツキサン)などのB細胞に対するモノクローナル抗体、及び他の生物製剤(例えば、オクレリズマブ、オファツムマブ、ゴリムマブ、及びセルトリズマブペゴール)を含む。
他の実施形態において、他の治療剤は、グルココルチコイド又は非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である。NSAIDSは、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、及びオキサプロジンなどのプロピオン酸誘導体;インドメタシン、スリンダク、エトドラク、及びジクロフェナクなどの酢酸誘導体;ピロキシカム及びメロキシカムなどのエノール酸(enolic acid)(oxicam)誘導体;メフェナム酸及びメクロフェナム酸などのフェナム酸誘導体;セレコキシブ(Celebrex)、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、及びエトリコキシブなどの選択的なCOX−2インヒビター(Coxibs)を含む。
いかなる場合も、複数の治療剤(その少なくとも1つは本明細書記載の化合物である)は、任意の順に、または同時にも投与され得る。同時の場合、複数の治療剤は、単回の統一された形状で、又は複数回の形状で(ほんの一例ではあるが、1つの丸薬又は2つの別の丸薬のいずれかで)提供され得る。治療剤の1つは、複数回の用量で与えられ、又は両方の治療剤は複数回の用量で与えられ得る。同時でない場合、複数の治療剤の投与間のタイミングは、数分から4週までの範囲に及ぶ任意の持続時間であり得る。
したがって、別の態様において、特定の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト又は動物の被験体における障害を処置するための方法を提供し、当該処置は、随意に当該技術分野において公知である前記障害の処置のための少なくとも1つの追加の薬剤と組み合わせて、被験体において前記障害を低減又は予防するのに効果的である、本明細書開示の化合物の量を前記被験体に投与する工程を含む。本明細書開示の化合物、組成物、及び方法によって処置される特異的な疾患は、単独に又は組み合わせで、疼痛;神経病;炎症及び関連する障害;関節炎;代謝の炎症性障害;呼吸器障害;自己免疫障害;神経学的障害;及び癌疾患並びに非癌疾患を含む増殖障害を含むが、これらに限定されない。
本明細書開示の化合物は、神経病及び/又は神経障害性疼痛を含む疼痛、及び炎症性疼痛を患う患者を処置するのに役立つ。疼痛の指標は、切断を含む様々な外科手術手順のための手術中又は手術後の痛み、心臓手術後の痛み、歯痛/歯の抜歯、癌から生じる痛み、筋肉痛、乳腺痛、皮膚の損傷から生じる痛み、腰痛、片頭痛を含む様々な病因の頭痛、月経性痙攣などの処置又は予防を含むが、これらに限定されない。化合物はまた、触覚異痛症および痛覚過敏症などの、疼痛に関連した障害の処置に役立つ。疼痛は、体因性の(侵害受容又はニューロパチー性の)、急性及び/又は緩性であり得る。本明細書記載の化合物により処置できる末梢神経障害は、単神経障害、単多重神経障害(mono−multiplex neuropathies)、及び軸索の神経病並びに脱髄性神経病を含むポリ神経病を含む。感覚性及び運動性の神経病の両方が包含される。神経病又は神経障害性疼痛は、以下のものを含むがこれらに限定されない、様々な病因の多くの末梢神経障害に関連し得る:
・身体的損傷(鈍的外傷、擦り傷、又は熱傷など)又は疾患の状態、脳への物理的ダメージ、脊髄への物理的ダメージ、又は脳損傷に関連した卒中によって引き起こされるものを含む、外傷により誘発される神経病;神経変性と関係する神経学的障害;及び手術後の神経病並びに神経障害性疼痛(腫瘍切除、乳房切除などからのもの)
・ハンセン病、ライム病、ヘルペスウイルス(及び特に、ヘルペス後神経痛を引き起こす帯状疱疹ウイルスによるもの)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV神経病に通じるHIV)、又は乳頭腫ウイルスによって引き起こされたものを含む伝染性及びウイルス性の神経病、また任意の他の病原体により誘発された神経損傷;
・毒素により誘発される神経病(アルコール中毒、ビタミンB6中毒、ヘキサカルボン(hexacarbon)中毒、アミオダロン、クロラムフェニコール、ジスルフィラム、イソニアジド、金、リチウム、メトロニダゾール、ミソニダゾール、ニトロフラントインによって誘発された神経病を含むが、これらに限定されない);
・治療剤により誘発された神経病、特にa)タキソール、タキソテール、シスプラチン、ノコダゾール、ビンクリスチン、ビンデシン及びビンブラスチンなどの抗癌剤によって引き起こされる、化学療法により誘発された神経病、及びb)ddI、DDC、d4T、ホスカルネット、ダプソン、メトロニダゾール、及びイソニアジドなどの抗ウイルス剤によって引き起こされる、抗ウイルスの神経病を含む、薬物により誘発される神経病;
・ビタミンB12欠乏、ビタミンB6欠乏、及びビタミンE欠乏から結果として生じるものを含む、ビタミン欠乏症により誘発された神経病;
・遺伝性の神経病(フリードライヒ運動失調症、家族性アミロイドポリニューロパチー、タンジール病、ファブリ病を含むが、これらに限定されない);
・腎不全と甲状腺機能低下症などの代謝障害によって引き起こされる糖尿病性神経障害及び神経病;
・腫瘍浸潤後の神経病、
・ギラン・バレー症候群、慢性の炎症性脱ミエリン形成多発性神経障害(chronic inflammatory de−myelinating polyneuropathy)、未確定の重要性及び多発性神経障害の単クローン性免疫グロブリン血症、及び多発性硬化症から生じるものを含む自己免疫の神経病;
・炎症に誘発された神経損傷、神経変性、外傷後の神経痛、幻肢痛など中枢の神経障害性疼痛症候群、疼痛、複合性局所疼痛症候群(反射性交感神経性ジストロフィー、灼熱痛を含むが、これらに限定されない)、新形成に関連する疼痛、血管炎性の/血管障害性の神経病、及び坐骨神経痛を含む他の神経病並びに神経障害性疼痛症候群;および
・特発性の神経病
特定の実施形態において、神経障害性疼痛は、異痛症、痛覚過敏の疼痛、温熱性痛覚過敏、又は幻肢痛として代わりに明示され得る。別の実施形態において、神経病は代わりに、疼痛感受性の損失を引き起こし得る。神経障害性疼痛の追加の下位のカテゴリは、「Dworkin, Clin J Pain(2002)vol. 18(6)pp. 343−9」において議論される。
更に、本明細書開示の化合物は、長期間オピエイト鎮痛剤を必要とする患者におけるオピエイト耐性、及びベンゾジアゼピンを摂取する患者におけるベンゾジアゼピン耐性、及び他の常習行為、例えば、ニコチン中毒、アルコール中毒、摂食障害の処置又は予防において使用することができる。さらに、本明細書記載の化合物は、投薬中止の症状の処置または予防、例えば、オピエイト、アルコール又はタバコ中毒からの退薬の症状の処置又は予防に役立つ。
本明細書開示の化合物は、以下のものを含む呼吸器疾患又は疾病を予防及び処置するための薬に役に立つ治療方法を含む、呼吸器疾患又は疾病を処置又は予防する治療方法に役立つ:アレルゲンに誘発された喘息、運動誘発性喘息、汚染に誘発された喘息、寒冷誘発性喘息、及びウイルス誘発性喘息を含む喘息性の疾病;正常の気流を伴う慢性気管支炎、気道閉塞(慢性閉塞性気管支炎)を伴う慢性気管支炎、肺気腫、喘息性気管支炎、及び水疱性疾患を含む慢性閉塞性肺疾患;及び気管支拡張(bronchioectasis)嚢胞性繊維症、過敏性肺炎、農夫肺、急性呼吸窮迫症候群、肺炎、吸引又は吸入損傷、肺の脂肪塞栓症、肺のアシドーシス炎症、急性肺水腫、急性高山病、急性肺高血圧症、新生児の持続性肺高血圧症、周産期の吸引症候群、ヒアリン膜症、急性肺血栓性塞栓症、ヘパリン−プロタミン反応、敗血症、喘息持続状態(status asthamticus)、低酸素症、過酸素症の肺損傷、及び肺癌などのそれらの合併症を引き起こす、タバコの煙を含む特定の有害な薬剤の吸入によって誘発された損傷を含む、炎症を伴う他の肺疾患を含む。
本明細書開示の化合物によって好都合に処置される他の障害又は疾病は、炎症及び炎症性疾病を含む。炎症性疾病は、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、骨関節炎、全身性紅斑性狼瘡、若年性関節炎、急性リウマチ性関節炎、腸炎性関節炎、神経障害性関節炎、乾癬性関節炎、及び化膿性関節炎などの亜型及び関連する疾病を含む関節炎;骨粗しょう症、腱炎、滑液包炎、及び他の関連する骨の障害及び関節障害;逆流性食道炎、下痢、炎症性大腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、膵臓の急性慢性炎症などの胃腸の疾病;ウイルス感染及び嚢胞性繊維症に関連するものなどの肺性の炎症;乾癬、湿疹、熱傷、日焼け、皮膚炎(接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、及びアレルギー性皮膚炎など)、及び蕁麻疹などの皮膚関連の疾病;膵臓炎、肝炎、そう痒症及び白斑を含むがこれらに限定されない。加えて、本発明の化合物はまた、単独で又は従来の免疫調節物質と組み合わせて、臓器移植患者において役立つ。
自己免疫障害は、本明細書開示の化合物での処置によって改善され得る。自己免疫障害は、クローン病、潰瘍性大腸炎、皮膚炎、皮膚筋炎、1型糖尿病、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、自己免疫性脳脊髄炎、橋本病、特発性血小板減少性紫斑病、紅斑性狼瘡、混合性結合組織病、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、ナルコレプシー、尋常性天疱瘡、悪性貧血、乾癬、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変症、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」としても知られている)、血管炎、及びヴェーゲナー肉芽腫症を含む。本明細書開示の化合物は、TH−17(インターロイキン17を産出するヘルパーT細胞)細胞又はIL−17レベルを調節し得る。
加えて、本明細書開示の化合物は、インスリン耐性、糖尿病(I型又はII型)、メタボリック症候群、非アルコール性の脂肪性肝炎、アテローム性動脈硬化、心疾患、うっ血性心不全、心筋炎、アテローム性動脈硬化、及び大動脈瘤などの、肥大した炎症性のシグナル伝達に典型的に関連する代謝障害を処置するために使用することができる。
本明細書開示の化合物はまた、重度の熱傷、敗血症、外傷、創傷、及び出血又は蘇生により誘発される低血圧症に関連した臓器の損傷及び組織の損傷を処置するのに役立ち、また、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、スクレロドーマ(sclerodoma)、リウマチ熱、I型糖尿病、重症筋無力症を含む神経筋接合部の疾患、多発性硬化症を含む白質、サルコイドーシス、腎炎、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、歯周炎(periodontis)、損傷の後に生じる膨張、心筋虚血、心臓血管の虚血、及び心拍停止に付随して起こる虚血を含む虚血などにも役立つ。
主題の発明の化合物はまた、特定の疾患及び神経系の障害の処置に役立つ。一酸化窒素阻害が役立つような中枢神経系障害は、アルツハイマー病を含む皮質痴呆、卒中、脳虚血を含む虚血(両方の局所虚血、血栓性脳卒中及び全虚血(例えば、心拍停止に付随して起こる))、及び外傷から生じる中枢神経系損傷を含む。一酸化窒素阻害が役立つような神経変性障害は、低酸素症、低血糖症、てんかんなどの障害における神経変性又は神経壊死を含み、更に中枢神経系(CNS)外傷(脊髄及び頭部の損傷など)の場合、高圧酸素に誘発された痙攣及び毒性、認知症、例えば初老認知症、及びエイズ関連認知症、悪態症、シデナム舞踏病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、コルサコフ病、大脳の道管障害に関係のある認知障害、過敏性、睡眠病、統合失調症、うつ病、月経前症候群(PMS)に関連したうつ病又は他の症状、及び不安を含む。
主題の発明の化合物によって好都合に処置されるまた他の障害又は疾病は、単独で又は特に悪性細胞中の異常なアポトーシスの仕組みを再度付かせる(re−instating)ことによって腫瘍の増殖を標的とする薬剤を用いる標準的な治療と組み合わせた、(過剰な)増殖性疾患、特に癌の予防又は処置を含む。処置される又は予防される血液及び非血液悪性腫瘍は、脳、頭及び首、胸、肺、生殖器系、上部消化管、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺及び結腸直腸の固形腫瘍並びに悪性腫瘍と同様に、多発性骨髄腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、及び慢性骨髄白血病(CLL)を含む急性及び慢性白血病、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫(低度、中度、及び高度)を含むリンパ腫を含むが、これらに限定されない。本化合物及び方法はまた、例えば放射線療法により生じるようなものといった、繊維症を処置するために使用することができる。本化合物及び方法は、家族性大腸腺腫症(FAP)を患う人々を含む、腺腫性ポリープができた被験体を処置するために使用することができる。さらに、本化合物及び方法は、FAPの危険性のある患者にポリープが形成されるのを防ぐために使用することができる。非癌の増殖性障害はさらに、乾癬、湿疹、及び皮膚炎を含む。
本明細書開示の化合物はまた、腎機能障害の他の疾患と同様に、腎嚢胞の処置において使用され得る。
主題の発明の化合物は、緑内障、網膜の神経節悪化、眼の虚血、角膜血管新生、視神経炎、網膜炎、緑内障性の網膜症及び/又は糖尿病性網膜症などの網膜症、ブドウ膜炎、眼の光恐怖症、ドライアイ、シェーグレン症候群、季節性及び慢性のアレルギー性結膜炎などの眼の疾患の処置、及び目の組織に対する慢性の眼障害及び急性損傷に関連した炎症及び疼痛の処置において使用することができる。化合物はまた、白内障手術及び屈折矯正手術などの眼科手術からのような、手術後の炎症又は疼痛を処置するために使用することができる。
本化合物はまた、ステロイド、NSAID、COX−2選択的インヒビター、5−リポキシゲナーゼインヒビター、LTB4アンタゴニスト及びLTA4加水分解酵素インヒビターと合わせてといったように、他の従来の抗炎症性の治療の代わりに、共同治療において部分的に又は完全に使用され得る。主題の発明の化合物はまた、抗菌剤又は抗ウイルス剤と治療上組み合わせた場合、組織損傷を予防するために使用され得る。
オステオポンチン(「OPN」)は、AMD−I、ポリアミン生合成、アデノシン又はAMD−Iまたはアデノシンのいずれかを含む経路の調節によって調節されることが示されてきた。分泌されたリンタンパク質1(「SPP1」)、初期のTリンパ球活性化マーカー(「Eta−I」)、サイアロプロテインI又は44K BPP(骨リンタンパク質)としても知られる、オステオポンチンは、血漿、他の体液、及び細胞外マトリックスにおいて見出されるグリコシル化したリンタンパク質である。タンパク質は、およそ300のアミノ酸残基からなり、それに付けられて、10のシアル酸残基を含む約30の炭水化物残基を有する。OPNは、7〜9のAsp又はGlu残基の範囲を含むいくつかの保存された要素により、種(例えばマウス、ラット、ヒト及びブタ)の間の高いアミノ酸ホモロジーを示す、酸性タンパク質である。
オステオポンチンは、前骨芽細胞、骨芽細胞、骨細胞、内耳中の骨外の細胞、脳、腎臓、脱落膜、胎盤、造歯細胞、いくつかの骨髄細胞、肥厚性の軟骨細胞、マクロファージ、平滑筋及び内皮細胞を含む、様々な組織の種類によって生合成される。骨において、タンパク質は、骨芽細胞の系列の細胞によって主として作られ、鉱化されたマトリックスに堆積する。タンパク質は、骨塩機質マトリックスが豊富であり、骨の再生及び再造形を促進する。オステオポンチンは、タンパク質CD44のインテグリンタンパク質及び変種を含む、いくつかのタンパク質を結合する能力を有する多機能タンパク質である。
オステオポンチンは、多くの疾患の調節及び進行に関連し、及びその役割を果たす。OPNは多くの自己免疫障害で増加すると知られており、様々な癌において過剰発現される。OPNの血漿レベルはまた、冠動脈疾患を患う個体において上昇し、OPNのレベルの上昇は、関節リウマチを患う個体の関節液において見られる。OPNの調節は、それ故、これらの疾病を患う被験体に対する著しい治療上の効果を与え得る。従って、本明細書に開示されるものは、本発明の化合物、例えばOPNを調節するのに十分なMGBGの量を被験体に投与する工程を含む、被験体のOPNレベルを調節する方法である。そのような調節は、全身又は血漿OPNであり、又は標的器官或いは組織におけるOPNであり得る。特定の実施形態において、前記調節は下方であり、すなわち、OPNのレベルの低下又はOPNの活性の低下を引き起こす。
さらに、MGBGは、HIV神経病及びHIV認知症などの、HIV及び関連する慢性並びに進行性の疾病において検査されてきた。HIV及び関連する障害並びに合併症の場合において、MGBGなどのポリアミンアナログ又はポリアミン生合成インヒビターは、追加の機構を介して作用し得る。HIVは、RNAレトロウイルスであり、それは宿主細胞の感染に成功した直後、DNAにそのゲノムのRNAを逆転写し、その後、DNAは2本鎖の形態で、感染しやすい宿主細胞に統合する。インビボでの感染の主要な標的は、T細胞及びマクロファージを発現するCD4である。T細胞は、感染性RNA形態へのHIV DNAの活性化に際して、一般に死滅するが、一方でウイルスを発現するマクロファージは、感染後に持続し、インビボでの長期のHIV DNA貯蔵庫としておそらく機能する。
様々な研究は、インビボにてHIVに感染したマクロファージの長寿命の性質、及びAIDS関連の神経性の疾病を患う被験体に関する結果を確認してきた。HIV貯蔵庫に関する少なくとも1つの研究は、感染した血液マクロファージに関しては4年の推定の半減期を、及び感染したT細胞に関しては2年未満の推定の半減期を与えてきた。両方の値は、インビボのウイルスを取り除くため、高活性の抗ウイルス薬多剤併用療法(HAART)の失敗の理由についての説明を支援する。さらに、インビボのHIV DNA塩基配列に関する研究は、HAARTでのHIV血漿ウイルス負荷が陰性の被験体において、HIV複製がT細胞ではなくマクロファージ内にインビボで生じ続けたことを示した。それ故、インビボのHIVの最も寿命の長い貯蔵庫はマクロファージである。更に、1つの研究は、AIDSに関連する認知症で死んだ被験体のインビボでのHIVの祖先型が、脳(髄膜の層)をカバーする外膜中のマクロファージ内に存在したことを示した。この長寿命の長い生かされた貯蔵庫に存在するウイルスの配列は、周辺に位置付けられた精嚢及びリンパ節と同様に、脳の他の部分に属する配列のすべてをもたらした。しかし、別の研究は、HIVの長寿命の性質に関するメカニズムがマクロファージを感染させたことを示唆してきた。この研究は、後期のAIDSを患う被験体からの組織におけるマクロファージ内のHIV DNA挿入部位をマッピングした。全ての挿入部位は、HIVの挿入のプロセスを通じて活性化されれば、絶え間なく活性化され、本質的に不滅の状態で感染したマクロファージを維持する活性化遺伝子座(activation genetic loci)の近くの遺伝子内に存在した。
理想としては、薬物は単にHIVに感染したマクロファージ及び余分の正常なマクロファージを標的とする。実際、エイズ認知症の被験体において、感染したマクロファージがCD14と同様にCD16、及び増殖マーカー、増殖性細胞核抗原(PCNA)と同様に活性化マーカー、HLA−DRのレベルの上昇を発現することが示されてきた。MGBGなどのポリアミンアナログ及びポリアミン生合成インヒビターは、プロウイルスの貯蔵庫として作用するマクロファージを破壊することにより、被験体のプロウイルスの負荷を減少させるために使用することができる。
本方法の典型的な実施形態は以下の実施例において提供される。以下の実施例は、本発明の方法を示し、及び同じ物の使用において当業者を支援するために提示され、本発明の範囲を限定するように解釈されるものではない。
〈MGBG経口活性アッセイ〉
下記標準の略字は、関連する薬物動態学のパラメーターを表わすために使用される。
AUC 最後の測定可能な濃度(Clast at tlast)から無限距離(infinity)を推測したAUCと最後の測定可能な濃度までの曲線の下の領域:AUCINFobs=AUC0−tlast+Clast/Lambda z(λzは、曲線の末端(対数線形)部分に関連する一次速度定数である)
AUC0−12 投与の時間と12時間の時点との間の曲線の下の領域
AUC0−24 投与の時間と24時間の時点との間の曲線の下の領域
F 入手可能なフラクション(Fraction available)(バイオアベイラビリティ):F=[AUCoral]・doseiv/[AUCiv]・doseoral
Clobs 観察されたクリアランス
Vssobs 分布の定常状態の量
Vd 分布の量(経口でよく使用される)
Cl/Fobs バイオアベイラビリティの機能としての明らかな全身のクリアランス
t1/2 末端の半減期(HLλz)
Cmax 最大の観測された濃度
Tmax Cmaxが生じた時間
〈アカゲザルへの一回用量〉
3匹のオスのアカゲザルの2つのグループを、1mg/kgの単回のボーラス静脈内用量(single bolus intravenous dose)(グループ1)、又は10mg/kgの単回の経口の胃管栄養用量(グループ2)のいずれかとして、被験物質であるMGBGを投与する前に一晩絶食させた。用量製剤分析は、投与された用量の溶液(administered dose solutions)を、グループ1及びグループ2に関して1及び10mg/kgの標的濃度(targeted concentration)の14%内にあるものとして、それぞれ実証した。
血液サンプルを、投与前及び投与後のおよそT=0.083時間(5分)、0.25時間(15分)、0.5時間(30分)、1、2、4、8、及び24時間にて、すべての静脈内に投薬した動物からの血漿MGBG濃度の測定のため、大腿静脈/動脈から、リチウムヘパリンを含む管へと集めた(およそ1.0mL)。血漿MGBG濃度の測定のための血液サンプルを、投与前及び投与のおよそT=1、2、4、8、12、24、及び36時間後に、すべての経口的に投与された動物から集めた。餌をまた、血液サンプル収集の最初の4時間を通じて抑えた。
サンプルを、各々の間隔でのサンプル収集の完了後、冷却された状態で遠心分離した。結果として生じる血漿を分離し、分析までおよそ−70℃で冷凍して保存した。
PK分析を、WinNonlinの区画されていない手法(AUC計算のための線形の台形法(liner trapezoidal rule))を使用して、MGBGのための個々の血漿濃度時間プロファイル上で行なった。公称の用量値及びサンプリング時間を計算に使用した。BQL(<2.51ng/mL)として報告された全てのMGBG血漿濃度の測定値を、分析の目的のため0に等しくした。MGBGのIV及びPO投与の後、血漿PK素因パラメーターを、ラムダZの選択のためのWinNonlinのデフォルト選択基準を使用して計算した。
全身的な血漿MGBG曝露の証拠を、MGBGのIV及びPO投与後の全ての集められた血漿時点にて観察した。溶血が単一の時点にてグループ1の1匹の動物において見られ、このことはこの動物に関するMGBG血漿濃度分析に否定的に影響を与えたかもしれない。結果的に、モデル依存性の2つに区画された分析を、バイオアベイラビリティを計算するために使用した。
〈イヌの一回用量〉
重さ9.0−10.7kg、及び8−30か月齢の3匹のオスのビーグル犬の2つのグループを、1mg/kgの単回のボーラスの静脈内の用量(グループ1)、又は10mg/kgの単回の経口の胃管栄養用量(グループ2)のいずれかとして、被験物質であるMGBGを投与する前に一晩絶食させる。用量製剤分析は、グループ1及びグループ2に関して1及び10mg/kgの標的濃度の17%内にあるものとして、投与された用量の溶液をそれぞれ実証した。
血液サンプル(およそ2.0mL)を、投与前及び投与後のおよそT=0.083時間(5分)、0.25時間(15分)、0.5時間(30分)、1、2、4、8、及び24時間にて、すべての静脈内に投与した動物からの血漿MGBG濃度を測定するため集めた。投与後のT=1、2、4、8、12、24、及び36時間に収集を行なうことを除き、同じ手順を、使用される経口的に投与された動物で使用した。各々の間隔でのサンプル収集の完了後、サンプルを冷却された状態で遠心分離した。結果として生じる血漿を分離し、分析までおよそ−70℃で冷凍して保存した。
分析をLC/MS/MSによって行い、血漿PK素因パラメーターを、Lambda Zの選択のために、IV(1−24時間)及びPO(4−36時間)投与に関する最後の5つの血漿濃度を使用して計算した。動物間の変異性及び制限のある終末過程のデータのために、これらの結果は注意して解釈されるべきである。
いかなる臨床的に異常な発見物も、IV又は経口投与に付随しなかった。全身性の曝露を全ての時点にて観察した。
〈ラットの一回用量〉
重さ217−263g、及び生後8−9週の18匹のオスのスプラーグドーリーラットに、1mg/kgの単回のボーラスの静脈内の用量(グループ1)、又は10mg/kgの単回の経口の胃管栄養用量のいずれかとして、被験物質であるMGBGを投与した。3匹の動物の群を、投薬のT=2、4、12、24、36、及び48時間後の各々での最終の血液収集の後、CO2吸入麻酔を介して犠牲にした。用量製剤分析は、投薬量溶液を10mg/kgの標的濃度の17%内にあると実証した。
分析をLC/MS/MSによって行った。薬物動態的な分析を、区画されていない手法(AUC計算のための線形の台形法)を使用して、平均のMGBG血漿濃度対時間データに基づいて行なった。WinNonlinのまばらなサンプリングツールをPK計算に使用した。BQL(定量化の限界以下、血漿2.50ng/mLにおいて)として報告された全てのサンプルを、分析の目的のため0.00ng/mLに変更した。用量製剤分析は、製剤が10mg/kgの標的用量濃度の15%内にあったことを明らかにした。
異常な臨床所見は、投与後に示されなかった。MGBGの10mg/kgの単一のPO投与は、12時間の時点を通じて血漿中の測定可能なMGBGレベルの証拠をもたらした;12時間の時点を越えて、特定のサンプルがBLQを測定し始めた。
〈マウスの一回用量〉
重さ19.5−24.7g、及び生後7−9週である24匹のオスのDBA/1マウスに、1mg/kg(グループ1、n=12)の外側の尾の静脈を介した単一のボーラスの静脈内の用量、又は10mg/kgの単一の経口の経管栄養用量(グループ2、n=12)のいずれかとして、被験物質であるMGBGを投与した。各々の用量グループは、各々3匹の動物の4つのグループから成った。グループ1を、投与後の5、15、および30分後に;及び投与後の1、2、4、8、及び24時間にてサンプリングした。グループ2を、投与後の1、2、4、8、12、24、及び36時間にてサンプリングした。第1の時点で始め、新しいグループを、1時間(グループ1)又は12時間(グループ2)の時点までの各々の連続の時点にてサンプリングした。グループ間でサンプリングする順番を、その次の時点のために繰り返した(いくつかのグループは、一回だけ出血していた)。各々のグループの第2の出血が終了した(terminated)。動物を、最終の血液収集の後にCO2吸入麻酔を介して犠牲にした。
サンプルを、各々の間隔でのサンプル収集の完了の後、冷却した状態で遠心分離した。結果として生じる血漿を分離し、分析までおよそ−70℃で冷凍して保存した。分析をLC/MS/MSによって行った。薬物動態的な分析を、区画されていない手法(AUC計算のための線形の台形法)を使用して、平均のMGBG血漿濃度対時間データについて行なった。WinNonlinのまばらなサンプリングツールをPK計算に使用した。用量製剤分析は、IVおよびPOの製剤がそれらの標的濃度の15%以内にあることを明らかにした。
異常な臨床所見は、投与後に示されなかった。全身的な血漿MGBG曝露の証拠が、MGBGのIV及びPO投与後の全ての集められた血漿時点にて観察された。
前述のアッセイの結果を、以下の表2及び3に示す。報告された値は、標準偏差のない処置グループにわたる平均である。
上記表2において、二つのアスタリスクは、報告されたラットのAUCが0時間から最後の血漿濃度測定の時間まで計算され、AUCallであることを示す。これらの値の各々は、最終の測定値が外挿法の異なる方法にかけられる、例外をもたらす(carries)。
〈複数用量のラットに関する薬物動態学及び耐性研究〉
この研究の目的は、ラットにおけるMGBGの薬物動態学の(PK)特性及び耐性を測定することであった。さらに、任意の毒作用からの回復を、7日の非投与期間の後に評価した。耐性は、対照グループと同じ体重の変化及び逆の臨床観察の欠如により、被験物質で処置された動物において実証された。
体重222.7−252.0g、生後7−9週のグループあたり3匹のオスのスピローグドーリー(CD(登録商標)IGS,Charles River)を、7日間連続で毎日二回、10、20、又は30mg/kg/用量(20、40、又は60mg/kg/日)にて、経口の(PO)胃管栄養によって投与した。7日の休薬期間が続いた。全血のおよそ200μLの収集を、6つの時点(1日目)、7つの時点(7日目)、又は1つの時点(9日目〜15日目)で出血した、グループ5、6、及び7におけるすべての動物の尾の静脈から集めた。全血サンプルをリチウムヘパリンマイクロテイナ(microtainer)に集め、遠心分離によって血漿へと加工した。血漿を−70℃で冷凍した。薬物動態的な分析を、WinNonlin(AUC計算のための線形の台形法)を使用して、MGBGに関する個々の動物の血漿濃度対時間データについて行なった。公称の用量値及びサンプリング時間を計算に使用した。研究7日目に関しては、ゼロ時間のMGBG濃度のため報告された値を、AUCの計算で使用した。研究1日目の素因パラメーターは、適当にこれらのパラメーターを適切に特徴づけるための終末過程データが不十分なため報告されなかった。研究7日目のMGBGのPO投与の後、血漿PK素因パラメーターを、半減期、AUCINFobs、及びCl/Fobsが基準にした、ラムダZ、即ち消失速度定数の選択のためにWinNonlinのデフォルト選択基準を使用して、第2の投与量(T=12−192時間)の後に得られる血漿濃度に基づいて計算した。動物間の変異性に注目した。
1日目と7日目に被験物質で処置された動物から集めた血漿サンプルを、バイオ分析にさらし、すべての時点で被験物質への全身曝露を確認した。評価された用量の範囲にわたり、Tmax値は用量依存性であり、3.33から14.0時間までの範囲に及び、吸収が研究の1日目と比較して研究の7日目にわずかに遅れることを示した。(CmaxとAUCallによって評価されるように)全身曝露は用量の増加に伴って増加し、両方のパラメーターの増加は、各々の評価の間隔では僅かに用量依存性未満であった。MGBGの毎日2回のPO投与の繰り返しは、各々20、40、及び60mg/kg/日の用量のグループに関し、研究の1日目と比較して、平均AUCall値で3.77−、4.03−、及び3.68倍の増加に関連した。研究の7日目に、Cl/Fobs及び排泄半減期に関する用量依存性の素因の証拠が、用量レベルの増加に伴い、Cl/Fobs及び排泄半減期に関する平均パラメーター値が各々増加及び減少する中で観察された。
対照グループと60mg/kg/日の用量グループの間の違いは、少数の血液学パラメーター(より低い網赤血球数及びパーセンテージ)、及びいくつかの血清化学パラメーター(例えば、わずかな脱水と一致する重量オスモル濃度及び電解質の変化)で顕著だった。しかしながら、それらが明白な毒性の他の兆候と一致せず、血清化学の変化が可逆的であることを実証されたため、これらの違いは有害ではないと思われた。肉眼的な病変又は微視的な病変は、最終的な犠牲にて被験物質で処置された動物で観察されず、肉眼的な病変は回復段階で犠牲になった、被験物質で処置された動物では観察されなかった。
この探索的試験の発見物に基づき、オスのスプラーグドーリーラットに、7日間連続で1日2回、PO胃管栄養によって投与されるMGBGに関する顕著な副作用のレベルは、30mg/kg/用量(60mg/kg/日)ではなかった(NOAEL)。
〈対比スケール(ALLOMETRIC SCALING)及び予測されたヒトの効果〉
表2及び3において開示された薬物動態学のパラメーターに基づいた複数種(Multi−species)の対比スケールを、当技術分野において既知の方法に従い、ヒトにおいて予測された薬物動態学のパラメーターを計算するために利用した。例えば、「Ings RM, “Interspecies scaling and comparisons in drug development and toxicokinetics,” Xenobiotica, 1990 Nov;20(11):1201−31」及び「Khor, SP et al., “Dihydropyrimidine dehydrogenase inactivation and 5−fluorouracil pharmacokinetics:allometric scaling of animal data, pharmacokinetics and toxicodynamics of 5−fluorouracil in humans,” Cancer Chemother Pharmacol(1997)39(3):833−38」を参照。期待値を、以下の表6及び7に記載する。
ネズミカラギーナンにより誘発された足の浮腫(murine carrageenan−induced paw edema)及び痛覚過敏症のモデルの両方において、MGBGの上位の効果的な用量は、30mg/kg PO BID(合計60mg/kg/日)である。マウスにおけるこの投与パラダイムに基づき、ヒトにおける同等の投与を評価するための少なくとも2つの方法を使用し得る。
第1の方法は、体表面積(BSA)正規化(「Reagen−Shaw et al. (2007)FASEB J. 22, 659−661」に記載)に基づいており、著者は、基礎代謝率、血液量、カロリーの消費量、血漿蛋白質レベル、及び腎機能を含む様々な生物学的パラメーターに関して種にわたって、BSAが十分に相関すると述べている。この方法を使用して、マウスにおける60mg/kg/日の用量は、ヒトにおける約4.9mg/kg/日に切り替えられる。
マウスにおいて効果的な60mg/kg/日の用量を、ヒトにおける同等の用量に切り替えるために使用される第2の方法は、より直接的に対比スケーリングに基づいた。マウスにおける10mg/kgの経口量から成るMGBG薬物動態研究からのデータを、9050h*ng/mLであった30mg/kgのPO BIDの投与量に関する理論的なAUCINF値を決定するために、模擬実験でモデル化した。次に、単種及び複数種の対比スケーリングによって決定されるように、予想されたヒトクリアランス値を、マウスにおける60mg/kg/日のものに類似するヒト(AUCINF)における曝露をもたらし得る用量を推定するために使用した。単種の対比スケーリング及び広範な予想されたヒトクリアランス値を使用すると、ヒトの同等な用量は、1.73mg/kg/日から4.51mg/kg/日の範囲にある。複数種の対比スケーリングを使用すると、予想されたヒトの同等な用量は約4.2mg/kg/日である。
ネズミのカラギーナンモデルにおいて、我々はまた、〜0.42mg/kg/日および〜1.2mg/kg/日のヒトの用量に比例的に切り替える、3mg/kgのPO BID及び10mg/kgのPO BIDを含む低用量にて、MGBGの効果を観察した。
正常な男性のヒトの平均体重は、しばしば70kgであると推定される。したがって、上記の予測に基づいた日用量を、約25mg/日から約350mg/日まで変動すると推測することができる。
適切な用量は、多くの因子にもちろん依存する。患者は、体重が十分にある又はあまり無い、或いは、女性、高齢、又は若年齢であり、低用量又は高用量を必要とする。患者は、シトクロムP450(CYP)などの代謝酵素の低い発現レベル又は活性といった、低用量又は高用量に関して助言する薬物代謝特性を示し得る。この低い発現又は活動レベルは、多くの因子によるものであり得る。1以上のCYP(例えば、CYP2C19及びCYP2D6だが、多形性はほぼすべてのCYPに関して記載されてきた)の多形性の発現は、全個体群と比較して、低用量を必要とする「不全代謝者」表現型を引き起こし、「欠損」するいくつかの個体群の原因であると知られている。さらに、感染因子又は生体異物への曝露は、CYP発現の抑制又は既存のCYPの阻害を引き起こし得る。代わりに、患者は身体上弱く、負傷している、又は免疫無防備であり、その全部は低用量を助言し得るものである。患者は、処分のため代謝系(上述されるようなCYPを含む)と競合する多くの他の薬物を摂取している。この公知のポリ製薬効果(polypharmaceutical effect)は、低用量を要求し得る。用量はまた、上述されるように、疾病及びその重症度に依存する。1つの疾患又は臨床的なエンドポイントのための効果的な用量は、別のもののための用量と同じである必要はなく、重度、慢性、又はそうでなければ深刻な場合は、高用量を要求してもよい。しかしながら、慢性の場合はまた、より長い時間又は無期限にわたり、投与されるより低い用量を要求し得る。これら全ては、一例として、理想的な投与の変異性を示すために議論される。疾患、個体群、又は個体に適切な投与範囲を選択することは、当業者の能力内にある。
これらの要因を念頭において、毎日のヒトの用量が、1mg/日と同じくらい低い、及び1g/日と同じぐらい高いことは可能であるということは、明らかであるべきである。特定の実施形態において、ヒトの用量は、10mg/日から500mg/日まで、20mg/日から400mg/日まで、又は25mg/日から350mg/日まで及ぶ。更なる実施形態において、ヒトの用量は、120mg/日から350mg/日まで、150mg/日から350mg/日まで、200mg/日から350mg/日まで、又は250mg/日から350mg/日まで及ぶ。特定の実施形態において、ヒトの用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70 75、80、85、90、95、100、110、120、125、130、140、150、160、170、175、180、190、200、210、220、225、230、240、250、260、270、275、280、290、300、310、320、325、330、240又は350mg/日のいずれか1つである。
特定の実施形態において、ヒトの用量は、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、350、355、360、365、370、又は375mg/日のいずれか1つである。1つの実施形態において、用量は275mg/日である。別の実施形態において、用量は300mg/日である。別の実施形態において、用量は305mg/日である。別の実施形態において、用量は310mg/日である。別の実施形態において、用量は315mg/日である。別の実施形態において、用量は320mg/日である。別の実施形態において、用量は325mg/日である。別の実施形態において、用量は330mg/日である。別の実施形態において、用量は335mg/日である。別の実施形態において、用量は340mg/日である。別の実施形態において、用量は345mg/日である。別の実施形態において、用量は350mg/日である。
特定の実施形態において、ヒトの用量は、350、375、400、425、450、475、500、525、550又は600mg/日のいずれか1つである。1つの実施形態において、用量は375mg/日である。別の実施形態において、用量は400mg/日である。別の実施形態において、用量は450mg/日である。別の実施形態において、用量は500mg/日である。
特定の実施形態において、ヒトの用量は、25、50、75、100、又は125mg/日のいずれか1つである。1つの実施形態において、用量は375mg/日である。別の実施形態において、用量は25mg/日である。別の実施形態において、用量は50mg/日である。別の実施形態において、用量は75mg/日である。別の実施形態において、用量は100mg/日である。別の実施形態において、用量は125mg/日である。
〈インビボでのカラギーナン試験〉
〈浮腫及び痛覚過敏に関するカラギーナン足試験〉
ラット又はマウスの後足(足)へのカラギーナンの皮下注射は、激しい炎症及び疼痛を誘発する。炎症反応は、カラギーナン注射の1−2時間後に始まり、接種後少なくとも5時間存続する。加えて、動物の炎症を起こした後足は、反対側の後足と比較すると、有害(痛覚過敏(hyperaglesia))又は無害である(異痛)刺激に対して敏感である。化合物を、抗痛覚過敏及び抗炎症作用に関するモデルにおいて評価することができる。閾値又は薬物投与後に応答する時間の一般的な増加は、鎮痛性の効果を示唆する。薬物投与後の足の腫れの一般的な減少は、抗炎症の効果を示唆する。いくつかの化合物が、炎症を起こした足に影響を与えて、反対側の足の反応に影響を与えないことは可能である。
カラギーナン足浮腫試験の実施形態を、「Winter, et al., (Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 111, 544(1962))」に記載されるような物質、試薬及び手順により根本的に行なう。予防的及び治療上の実施形態は発達しており、当該技術分野において知られている。動物を、有害(足ピンチ(paw pinch)、足底試験)又は無害である(冷却板、フォンフレイフィラメント)刺激に対する反応性に関して評価する。以下のプロトコルにおいて、マウスを使用した。
動物、化合物、及び投与。マウスの重量偏差が平均の±20%を超えない健康な若いオスのスイスウェブスターマウスを、研究に使用した。動物を40の4つのグループに分け、各々のグループに、MGBG(BID、5mL/kgの通常生理食塩溶液中30mg/kgで12時間別々に)、陽性対照としてのデキサメタゾン(QD、5mL/kg、0.5%のメチルセルロース中1mg/kg)、又は塩性のビヒクル(BID、5mL/kg)のいずれかで、経口の胃管栄養によって投与した。第4グループは、未処置の対照(カラギーナン無し、処置無し)として機能した。MGBGでの処置は、カラギーナンの3日前、カラギーナンの1時間前、及びカラギーナンの11時間後に各々行った。足の浮腫は、食塩水中1%のカラギーナンの50μlの用量(w/v)で、マウスの右の足の底下の領域(subplantar region)におけるカラギーナン(シグマ:λ−カラギーナン)の皮下注入により進行する。反対側の足(残された足)は、同じ容量(50μl)の食塩水を受け、対照として機能する。マウスに、カラギーナン注射の前に軽用量のケタミンを使用して麻酔をかける。
足の浮腫。カラギーナンのサブ足底(sub−plantar)の投与の直前、及びカラギーナンの2、3、5並びに24時間後、マウスの足の容積(paw volume)を、プレスチモメーター(Ugo Basile)を使用して測定した。浮腫の評価を、対照に対する足の容積の平均増加として表示した。
足引っ込め潜伏期(Paw Withdrawal Latency)の事前評価。カラギーナンのサブ足底の投与前に、及びカラギーナンの0.5、2、3、5並びに24時間後に、引っ込み反応の潜伏期を、51℃で維持された表面温度のホットプレート式鎮痛効果測定装置(hot plate analgesia meter)にマウスを配置することにより測定した。30のカットオフ期間を、足への任意の熱損傷を回避するために維持した。試験の直後、全ての足を、ケージに戻す前に氷水に浸した。足引っ込め潜伏期を、Δt=右足−左足の引っ込みとして計算する。
血清、血漿、及び組織の収集。0日目及びピーク疾患時(0日目及び研究の終結での第1の薬物の投与の前、血清のためのカラギーナンの負荷(challenge)の5及び24時間後)の第1の薬物の投与の前に、血清又は血漿を1つのグループ(各々)当たり8つのマウスから集め、サイトカインレベルの測定又はMGBG薬物濃度の測定まで−70℃で保存した。血清収集のため、全血サンプルを血清セパレーター管に集め、遠心分離によって加工し、−70℃で冷凍する。薬物濃度の測定のため、全血サンプルをリチウムヘパリンマイクロメータに集め、遠心分離によって血漿に加工し、血漿を−70℃で冷凍した。さらに、足を集め、組織学のための10%のホルマリンに保存する。
代替のプロトコル。このアッセイの代替の実施例において、MGBGを、3、10、及び30mg/kgにて、PO,BIDで投与した(陽性対照としてのデキサメタゾン、陰性としての食塩水、及び処置/カラギーナン−未処置のグループ、各々n=16である)。
結果。結果を図1及び2に示す。足の容積の統計上有意な減少が、MGBGで処置されたマウスにおいて観察された。足の浮腫の統計上有意な減少が、各々いくつかの時点での全ての用量にて見出された。足引っ込め潜伏期の統計上有意な増加が、各々少なくとも1つの時点に関する全ての用量にて見出された。
〈カラギーナン空気嚢モデル〉
空気の皮下注射は、滑膜表層に似ており、及びそのように機能する細胞が並べられた結合組織腔の形成を誘発する。この方法は、空気嚢モデルとして一般に知られており、比較的短期間で生成され得る炎症の有用な動物モデルである。空気嚢は、背面の頸部における多くの無菌空気の皮下の(SQ)注射によって作られ得る。モデルは、経口の(PO)胃管栄養投与として投与される際、炎症の様々な細胞及び生化学の指標を低減する際にMGBGなどのポリアミンアナログ及びポリアミン生合成インヒビターのような、化合物の効果及び効能を試験するために使用され得る。
動物、化合物、及び投与。生後7−9週であり、体重が少なくとも30gの健康なオスのスイスウェブスターマウスを使用した。動物を、30匹の6つのグループに分けた。各々のグループに、4及び7日目に下記に述べられるように、6mLの空気を皮下に投与した。グループ1−5に、経口の胃管栄養によって被験物質又は対照を投与する:MGBG(3、10、及び30mg/kg/用量、BIDの用量レベルにて、12時間別々に、6、20、及び60mg/kg/日の1日用量をもたらす)、陽性対照としてのデキサメタゾン(QD、10mL/kg、0.5%のメチルセルロース中1mg/kg)、又はビヒクル(BID、10 mL/kg)のいずれか。第6グループは、未処置の制御(カラギーナン無し、薬物無し)として機能した。10日目の最終的な用量を、カラギーナンの負荷の1時間前に与えた。グループ1−5は、1mLのビヒクル中15mgのカラギーナンを皮下に受けた。グループ6はビヒクルのみを受けた。試験化合物投与の耐性は、体位、被毛状態、活性、排出物などにおいて検査された変化のような物理的変化及び行動変化の毎日の目視検査により、マウスにおいてモニタリングされ、及び投与は負の発見物で再評価された。マウスに、研究の全体にわたって、ピューリナげっ歯類の餌と水を与える。
MGBGの適正量を、0.3、1.0または3.0mg/mlの濃度の製剤を投与するPO胃管栄養を調製するため、適切な容量の生理食塩水に溶解することにより、各々の投与(1日2回)のため新しく作る。同様に、適正量のデキサメタゾンを、0.1mg/mLの濃度を有する用量製剤を調製するために、0.5%の用量のメチルセルロースに溶かす。カラギーナンに関しては、0.025%のTween 20を有する0.5%のメチルセルロース中のλ−カラギーナンの1.5%(重量/容積)の溶液を、投与前の日に調製する。カラギーナン粉末を、0.025%のTween20の溶液(最終的な容量のおよそ90%)を有する0.5%のメチルセルロースに徐々に加え、製剤をゆっくり一晩撹拌する(泡立ち及び起泡を回避する)。翌朝、溶液が調製されていたことを確認するために製剤を検査し、もし溶液が調製されていれば、製剤をその最終的な容積までにする。
空気の嚢窩形成及び維持:マウスに、イソフルランの吸入によって麻酔をかけた。首の項部を、70%のエタノール及び適切な局所消毒剤(すなわちNolvasan、ポビドンなど)で表皮をぬぐうことにより削り、洗浄した。23ゲージの注射針を、6mLの空気で充満し、0.22urnのフィルタに適した、適切に大きさを合わせられた注射器に付けた。6mLの無菌空気をその後皮下注射し、空気嚢を再膨張させるため、4日目の投与及び再び7日目の投与後に、マウスをケージに戻した。7日目に、空気の容量を、空気嚢の過剰膨張を回避するために減少させる。
カラギーナンの負荷:10日目の朝のPO被験物質投与の1時間後に、各々のグループの生き残っているマウスに麻酔をかけ、各々の動物の空気嚢に注入し、マウスをケージに戻す。
滲出液、血漿、及び組織の収集。被験物質の全身曝露を以下のように評価した。血漿サンプルを以下のように調製し、評価した。200μLの全血を、4日目(全ての動物、同齢集団A、B、C;午前と午後の投与の間でほぼ中間である)及び10日目(同齢集団C;朝のMGBG投与の24時間後に)に、2つの時点でのグループ1−6から、イソフルラン麻酔下で後眼窩に集めた。サンプルをリチウムヘパリンに集め、遠心分離によって血漿に加工し、−70℃で冷凍した。10日目(同齢集団C)の朝のMGBG投与の24時間後の時点からの血漿サンプルを、被験物質レベル(およそ60のサンプル)のためLC/MS/MSによって分析した。
空気嚢滲出液を以下のように調製し、評価した。全てのグループから1つのグループ当たり10匹の動物の同齢集団を、3つの時点のうちの1つにてサンプリングする:10日目のカラギーナン注射及びMGBG投与の前(同齢集団A)、及び10日目のカラギーナン注射のおよそ6時間及び24時間後(各々、同齢集団B及びC)。各々の用量グループは、各々10匹の動物の3つの同齢集団から成った。第1時点から始めて、新しい同齢集団を各々の連続した時点にてサンプリングした。動物にCO2吸入によって麻酔をかけ、10μMインドメタシンを含んでいる2mLの無菌のPBSを、上記に示された時点にて、それぞれの同齢集団における各々のマウスの空気嚢に注入する。注射の後、嚢を数秒間、穏やかにマッサージした。嚢をその後、外科用ばさみで開き、プラスチックの使い捨てのホールピペットで嚢から滲出液を吸い込み、氷上の試験管に入れた。滲出液で満ちた各々の試験管の重量を測定し、この値を、1000xgで10分間の遠心分離の前に、管内の滲出液の容量を決定する(各々の管の重量は差し引く)ために使用した。遠心分離の後、上清及び細胞小球を以下のように分け、扱った。
嚢滲出液の上清を、4つのアリコートA、B、C、及びDに分けた。回復可能な容量が許容するように、500μLの上清をアリコートA、B、及びCに割り当て、残る滲出液の上清をアリコートDに割り当てた。アリコートをLC MS/MS(被験物質分析)によって分析した;必要に応じて多重アッセイ又はELISA(バイオマーカー分析)で分析した。全てのアリコートを−70℃で冷凍した。アリコートAを、PGE2及び6−ケト−PGF1alphaに関して分析する。アリコートBを、オステオポンチン、IL−10、IL−12(p70)、MMP−9、TNFα、IL−1α、IL−1β、IL−6、MCP1、MCP3、MIP−1β、MIP−2、ランテス、IFNγ、IL−17、及びCRPのいずれか1つ以上に関して随意に分析する。アリコートCを、IL−12(p40)、IFNα、IFNβ、IP10、MCP2、PGE2、6−ケト−PGFlalpha、及びTGFβ1に関して随意に分析する。アリコートDを、MGBGに関して随意に分析する。
細胞小球を1.5mLのPBSで穏やかに再懸濁し、各々0.5mLの3つのアリコートへ各々を等分した。1つのアリコートを細胞数/示差分析のために分析した。
嚢の裏打ち(pouch lining)を集め、ほぼ半分に分けた。前半を、潜在性の組織学のため10%の中性緩衝ホルマリンに保存した。後半を、免疫組織化学を介するオステオポンチンレベルの潜在性の分析のために、冷凍保存し、ほぼ−70℃で保存した。
プロトコルを、当該技術分野では既知の方法に従って変える。追加の組織を集める及び/又は重さを量り、追加の分割法、染色法、及び顕微鏡検査法を処す。
炎症の減少を示す対照に関する変化によって示されるように、MGBGはこのモデルにおいて効果的だった。本明細書記載の他のポリアミンアナログ及びポリアミン生合成インヒビター並びに化合物は、同様に活性であることが期待される。
〈インビボのネズミのコラーゲンにより誘発された関節炎〉
〈関節炎及び関節リウマチのコラーゲンにより誘発された関節炎モデル〉
コラーゲンにより誘発された関節炎(CIA)モデルは、ヒト関節リウマチ(RA)との多くの免疫学上及び病理学上の類似性、局所的な主要組織適合の関与、完全な第二種制限化(class−II−restricted)Tヘルパ−リンパ球活性化、及び組織学の病変の類似性のため、ヒト関節炎において活性な潜在性の薬物の研究のための適切なモデルと考えられる。例えば、「Rosloneic EF et al., “Collagen−Induced Arthritis,” Current Protocols in Immunology, Unit 15.5(1993)」を参照。また、「Issekutz, A.C. et al., Immunilogy(1996)88:569」に記載のCD18及びVLA−4インテグリンに対するモノクローナル抗体を使用するモデルも参照。RA患者に見出されたものに類似するこのCIAのモデルの特徴は、以下のものを含むがこれらに限定されない:関節炎の軟骨および硬骨の浸食(放射線写真で見ることができるように)、増殖性滑液膜炎、四肢の軸ではなく骨格の小型及び中型の周辺継目の対称的な関与を含む。以下の手順は、関節炎疾患の処置におけるMGBGの効果を評価するために従った。
動物及び投与。少なくとも生後7週の同系交配のオスDBA/1マウス(DBA/1OlaHsd, Harlan Laboratories)を、以下のコラーゲンにより誘発された関節炎モデルにおいて使用する。化合物又はビヒクル当たり20匹の動物を、関節炎グループ及び食塩水グループ、対照グループに対して4つに割り当てる。関節炎の状態を誘発するために、マウスにイソフルランで麻酔をかけ、フロインド完全アジュバント注射剤中の1501μlのウシのII型コラーゲンを与える(0日目及び21日目)。マウスを、研究7日目に処置グループへと体重によって無作為化する。処置は、25mg/kgのMGBG、陽性対照としての0.2mg/kgのデキサメタゾン、又はビヒクル対照としての食塩水からなり、これら全ては、研究0日目に始まり、及び毎日続く、経口の胃管栄養として与えられる(PO、BID、毎日2回/12時間別々に)。1つのグループ当たり20匹のマウスを使用し、血清を15匹の動物から集め、血漿を5匹の動物から集める。4匹の追加の動物が標準の(未処置、非関節炎)対照グループとして機能する。研究の生前部分(in−life portion)は、35日間続く。
化合物。MGBG溶液を、水和型二塩化水素化物塩から作る。他の塩を使用することができ、どんな場合も、塩/水化物の補正因子を実施すべきである。固体のMGBGを室温に保存することができるが、用量製剤を各々の投与のために新しくするべきである。デキサメタゾンは市販で入手可能である。
データ。21−35日目に、関節炎の発症が典型的に生じる。この間、足の浮腫及び腫れに関する臨床的なスコアを、足(右前部、左前部、右後部、左後部)の各々に与えた。血漿の採取を、薬物動態学を評価するために0、14、及び25日目に行い、採血を疾患の分析のために0および28日目に行う。浮腫を18−20日目、22−27日目、及び29−34日目に測定する。炎症を、炎症細胞と浮腫の浸潤によって評価する。安楽死の後、最終的な採血を集め、ヘパリン処理し、及びオステオポンチン、TNFalpha、IL−1、CRP、MCP1、MIP−1beta、RANTES、IFNgamma、TGFbeta、IP−10、IL−17、及びMMP9などのサイトカインに関して分析するまで−70℃で冷凍する。前足及び膝並びに後足及び膝を集め、固定剤において1−2日及びその後脱灰装置において4−5日、組織学の分析のために加工し、組み込み、区分し、トルイジンブルーで染色した。骨吸収を、破骨細胞の存在、骨髄柱又は皮質骨の欠損或いは損失によって定量する。軟骨損傷を、軟骨の損失及びコラーゲン破壊の重症度及び広がりの検査により評価する。パンヌス組織形成及び関節構造の破壊の他の証拠の重症度並びに広がりが続く。
統計分析。足のスコアに関する臨床データ(動物に関する平均)を、1−15日間、用量曲線下の領域(AUC)を決定することにより分析する。AUCの計算については、各々のマウスに関する毎日の平均スコアをマイクロソフトエクセルに入力し、疾患の発症の数日後から終了日までの処置の間の領域を計算する。各々のグループの平均を決定し、処置された動物及び正常な動物に関する値を比較することにより、関節炎の対象からの%阻害を計算する。各々のグループの脚のスコア及び組織学パラメータ(平均±SE)を、スチューデントのt試験を使用して、違いに関して分析する。重要性はp0.05に置かれる。組織学パラメーター及びAUCのパーセント阻害を、[(平均疾患対照(mean disease control)−平均標準)−(平均処置(mean treated)−平均標準)]/[[(平均疾患対照−平均標準)*(平均処置−平均標準)]*100として計算する。
期待値。本明細書開示の他のポリアミンアナログ及びポリアミン生合成インヒビター並びに化合物と同様、MGBGは、上記で議論されるような関節炎症状の発症の予防、低下、又は遅れ、炎症の減少及び上記で議論されるような関連する測定、疼痛の測定の減少、及び他の関連する後遺症によって示されるようなこのモデルにおいて効果的であるということが期待される。上記のプロトコルは、当該技術分野において既知の方法に従って変えられる。
〈治療上の効果の追加のインビボモデル〉
一例として提示される以下のモデルを、多くの疾患の処置及び指標における効果のため、本明細書開示の化合物を評価するために使用する。研究の必要性に適するこれらのモデルを修正することは、当業者の能力内にある。加えて、当業者は、利用され得る疾患の追加のモデルに精通する。本明細書開示の他のポリアミンアナログ及びポリアミン生合成インヒビター並びに化合物と同様、MGBGは、これらのモデルにおいて効果的であることが期待される。
〈神経病と神経障害性疼痛のモデル〉
〈神経障害性疼痛のベネットモデル:〉
辺縁の単発神経障害を、共通の坐骨神経の周りに収縮性の結さく帯を緩く置くことにより、成体のラットにおいて生成する。これらのラットの術後の行動は、痛覚過敏、異痛症、及び恐らくは自発痛(又は知覚不全)が生成されたことを示す。有害な放射熱に対する痛覚過敏反応は、術後2日目には典型的に明白であり、2か月以上の間続く。化学物質誘発性の疼痛に対する痛覚過敏反応も存在した。異痛症の存在は、無害の冷やされた金属床の上に立つことにより、又は無害の機械刺激(例えば、フォンフレイフィラメント(von Frey filaments)での)によって、及び保護された位置で後足を保持することにおけるラットの持続性により引き起こされた侵害防御機構の反応から推量され得る。自発痛の存在は、食欲の抑制、及び明らかに自発性の侵害防御機構の反応の頻繁な発生によって示唆される。影響を受けた後足は、ラットの三分の一に関して典型的には、異常に暖かい又は冷たい。ラットの2分の1に関しては、影響を受けた部位の大いに成長し過ぎた爪を発達させる。化合物の効果のモデルにおいて、試験化合物は、典型的には刺激の前に送達され、ビヒクルは対照として機能する。この動物モデルでの実験は、ヒトにおける神経障害性疼痛障害の神経のメカニズムについての理解を助ける。「Bennett GJ, Xie YK, 1988 “A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man.,” Pain, Apr;33(1):87−107 (PMID:2837713)」を参照。
〈神経障害性疼痛のチャン(Chung)モデル〉
1992年のその創始以来、神経障害性疼痛の脊髄神経連結反応(SNL)モデルは、新しい鎮痛性の薬物の開発のためのスクリーニング試験と同様に、神経障害性疼痛メカニズムに関する様々な調査作業のため広く使用されてきた。このモデルを、ラットにおける1(L5)又は2(L5及びL6)分節の脊髄神経を堅く結紮することにより成長させた。この操作は、機械的な異痛症、熱痛覚過敏症、冷たい異痛症(cold allodynia)、及び進行中の疼痛の永続的な行動の兆候を結果としてもたらす。広範囲の使用法の工程において、SNLモデルの様々な変化が、異なる調査者によって、故意に又は無作為に作られてきた。これらの変化自体を引き起こす要因は、研究のための関心をそそる重要な項目であるが、これらの変化に関係する疼痛メカニズムは、本来のモデルとは恐らく異なる。これら変化の一因となり得る潜在的な要因を最小限に誘発する脊髄神経連結反応モデルを生成する方法は、「Chung JM, Kim HK, and Chung K, “Segmental spinal nerve ligation model of neuropathic pain,” Methods Mol Med.;2004 99:35−45(PMID:15131327)」に詳しく記載されている。
〈NHPにおけるチャンモデル〉
霊長類(カニクイザル)の痛ましい神経病のモデルにおいて、神経障害の状態は、L7後根神経節に対してちょうど遠位である、L7脊髄神経の堅い連結反応によって誘発される。官能検査を、足の腹側表面、L7皮膚知覚帯を含む領域の上で行う。外科手術後1週間以内に、霊長類に典型的には機械刺激(例えばフォンフレイ毛(von Frey hairs)での)に対する著しい感受性を発達させ、機械的な異痛症の存在を示す。機械刺激に対する感受性の増加も、時に腹の反対側にて観察する。熱刺激に対する引っ込みに関する閾値は減少し、熱痛覚過敏症の存在を示す。アセトン及び水風呂などの、様々な冷却刺激の提示は、冷たい異痛症も発症することを示す。観察された行動の現象は、末梢の神経障害性疼痛と診断されたヒトに見られたものに類似する。したがって、このモデルは、ヒト神経病及び神経障害性疼痛障害に関連する多くのパラメーターを評価するのに役立ち、及び関連する障害の処置として薬物の候補の効果を評価するのに役立つ。「Carlton SM et al., “Behavioral manifestations of an experimental model for peripheral neuropathy produced by spinal nerve ligation in the primate,” Pain 1994 Feb;56(2):155−66(PMID:8008406)」を参照。
〈フォンフレイフィラメントでの接触性異痛症の事前評価〉
以下の量的な異痛症の事前評価技術は、神経障害性疼痛の様々な動物モデルのいずれかにおける接触性異痛症を測定するために修正され得る。以下の要約は、一例として与えられ、ラット外科神経障害モデルを指し、侵害防御機構の行動は、光が足に触れることによって引き起こされる。0.41から15.1gまでのフォンフレイ毛を利用して、各々の刺激の強度のパーセント反応を最初に特徴付ける。滑らかな対数線形関係が典型的に観察される。加えて又は代わりに、反応の閾値の周りの刺激振動を使用するパラダイムを使用し、それはより多くの急速で効果的な測定を可能にする。2つの方法の間の相関係数は、典型的に高い。神経障害のラットにおいて、十分な観察者内の(intra−)及び観察者間の再現性が、アップダウンパラダイム(up−down paradigm)に見出される。いくつかの変異性は、正常なラットに見られ、広範囲の試験に起因する。神経障害のラットの相当な大きさのグループにおける閾値が20日にわたって、及び50日後に些細な変異性を示し、61%はまだ厳密な神経病基準を満たしていた(生存率分析を使用して)という事実は、神経障害性疼痛モデルと組み合わせた、アップダウンパラダイムを使用する閾値の測定が、神経障害性疼痛状態の操作の効果を分析するための強力な手法を表わすことを示す。例えば、「Chaplan SR et al., “Quantitative assessment of tactile allodynia in the rat paw.,” J Neurosci Methods, 1994 Jul;53(1):55−63(PMID:7990513)」を参照。
〈温痛覚を評価するハーグリーヴスの方法〉
代わりに、無制限の動物における熱刺激に対する皮膚の痛覚過敏を測定する方法が記載されてきた。試験パラダイムは、行動のエンドポイントの自動検知を使用する。繰り返された試験は、観察された痛覚過敏症の進行に寄与しない。カラギーナンにより誘発された炎症は、食塩水で処置された足及びこれらの潜伏期の変化と比較して、著しくより短い足引っ込め潜伏期を結果として生じ、温痛覚の減少の閾値に相当する。この敏感な熱的方法は、試験化合物によって用量相関性の痛覚過敏症及びその遮断を検出し、痛覚の閾値に加えて、他の行動のパラメーターの測定を可能にする。例えば、「Hargreaves K, et al., “A new and sensitive method for measuring thermal nociception in cutaneous hyperalgesia,” Pain, 1988 Jan;32(1):77−88(PMID:3340425)」を参照。
〈HIV認知症モデル〉
〈HIV認知症マカク(Macaque)モデル〉
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、後天性免疫不全症候群(AIDS)を引き起こすウイルスはまた、神経性の合併症を明示する。HIVに関連する認知症(HAD)は、HIVに誘発された神経認識的な障害の最も重度な形態である。HIV脳炎(HIVE)、HADの病理学の相関現象は、多核巨細胞と小膠細胞性小結節の形成、星状膠細胞増多症、及び神経細胞の損傷並びに損失を特徴とする。ヒトにおけるHAD疾患進行の病理学の評価は、障害で倒れた個体から集まったデータ、最善の状態で最終段階の疾患のスナップショットのみでは不可能である。それ故、適切な動物モデルは、神経ウイルス学(neurovirology)と神経炎症(neuroinflammation)の分野における知識のこのずれを緩和するために発達してきた。一般に、最も広く使用された動物モデルは、サル免疫不全ウイルス(SIV)及びキメラ的なサル/ヒト免疫不全ウイルス(SHIV)マカクモデル系である。SIV及びSHIVモデル系の両方は、神経侵襲、およびヒト症候群に見られるものに類似する随伴の神経病理学を強めることができるが、疾患の病因論における2つの間の先天性の違い及び進行は、HIVに関連する神経病理学に関する研究に関する、別々であるが有効なシステムに役立つ。これら2つのモデルの完全な比較については、「Williams R et al., “Nonhuman primate models of NeuroAIDS,” J Neurovirol. 2008 Aug;14(4):292−300(PMID:18780230)」を参照。典型的なSIVモデルを以下に記載する。
〈サル免疫不全ウイルス(SIV)モデル〉
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関連する認知症の神経病発生は、病因としてのHIVの同定にもかかわらず、捉えがたいままであった。多くの要因は確認されてきたが、中枢神経系(CNS)のHIV感染の後の運動障害及び認知障害で最高潮に達する一連の発症は、まだ知られていない。サル免疫不全ウイルス(SIV)に感染したアカゲザルは、病理学的に[L. R. Sharer et al.(1991)J. Med. Primatol. 20, 211−217]及び行動的に[E. A. Murray et al.(1992)Science 255, 1246−1249]ヒトに類似する、免疫抑制及びCNS疾患を示す。HIVに関連する認知症(HAD、HIV認知症、エイズ認知症、エイズ認知症複合体、ADC、神経エイズ(neuroAIDS)、HIVに関連する神経変性、HAND)のSIVモデルは、神経病因を調べるのに高度に適切なモデルとして広く認められる。神経病因のよりよい理解と共に、進行を妨げ、及びHADのよりよい処置を設計する機会が生ずる。患者がまだまだより長く生きているにつれ、これはますます重要になる、CNS中の湾HIV感染細胞(harvor HIV−infected cells)を依然として抱えた。SIVモデルの使用は、HADだけでなく、他の炎症性の神経系疾患にとっても重要な神経病発生の神経化学のマーカーの同定を可能にしてきた。
SIVモデルは、HADの神経病発生を調べるのに理想的な機会を提示する。SIVは、HIVに遺伝学的に、抗原性的に、及び形態学的に類似する。CNSにおいて、SIVは主にミリガウス/MPを感染させる一方で、生産的にニューロンを感染させない。SIVで接種を受けたアカゲザル(Rhesus monkeys)(アカゲザル)は、いくつかの病理学上の違いはあるが、HAD、即ちSIV、白質病変、及び星状膠細胞増多症を含む多核巨細胞で見られたものに類似する、神経病理学の特徴を表示する。猿における疾患進行のパターンは、ヒトのパターンに似ており、ウイルス複製の初期バーストを備え、その後の免疫抑制、日和見感染、及び死の進行の前の潜在期を含む。疾患進行の時間的経過は、ヒトにおいて観察されたものより速く、したがって、実験的解析を早める。HADの研究のためのSIVモデルの主たる利点は、ヒトに近い行動レパートリーを有する、ヒト以外の霊長類における行動障害(behavioral impairment)の発症に関しての神経化学及び神経病理学の変化を調べる機会である。そのような臨床検査を、特に初期段階にて、疾患進行中の様々なポイントで動物を死滅させることにより達成する。SIVモデルのさらなる利点は、最終段階の疾患にてHIVに感染した個体の処置の交絡因子の除去である。手短に言えば、SIVモデルは、HADの神経病発生を決定する感染によって誘発されたCNS変化の一時的、及び根本的に因果的な配列のプロービングに役立つ。このモデルによって明らかにされた障害(impairments)の神経病理学の相関物は、HAD、及び他の神経系疾患のための有用性を有する。例えば、「Rausch DM et al., “The SIV−infected rhesus monkey model for HIV−associated dementia and implications for neurological diseases,” J Leukoc Biol. 1999 Apr;65(4):466−74(PMID: 10204575)」を参照。
〈SIVモデルにおけるHIV認知症及びHIV脳症の測定〉
一連の作業は、SIVモデルにおける脳症及び認知症を評価するために、当業者によって選ばれ得る。この作業は、例えば、HIVに感染したヒトに記載されるものを含む、神経心理学的な障害を捕らえる際のそれらの幅のために、及び霊長類に障害を与える実験において十分に特徴づけられ、並びにHADに密接に結び付けられた神経基質を標的とするそれらの能力のために、選択され得る。
〈HIV認知症〉
例えば、上記の「Rausch et el.」において、その作業は認識機能及び運動機能を評価し、及び以下のものを含んだ:(1)視覚的な認識記憶を試験するすべての実験上の新しい刺激による見本合わせの遅延;(2)近似記憶を試験するための2つの繰り返し使用された刺激による遅延見本合わせの遅延、(3)刺激反応共生(stimulus−response association)を試験するための視覚的な識別学習及び保持作業、及び(4)空間的場面学習作業を含み、それらは空間的位置に関する長期記憶を測定した。運動作業(motor task)は、回転テーブル(動物が実験の50%でうまく食物を回収した回転テーブルの速度を介して)から各々の猿が食物を回収する能力を評価した。
1つのパラダイムにおいて、動物の同齢集団にバッテリー作業を受けさせ、SIV(神経毒性などの特性のため選択された、随意に1以上の分離された株、又は分子でクローンを作られた株)を接種し、その後、定められた期間にわたる性能の変化を検出するための作業にて評価する。代わりに、別々の動物の同齢集団にまず予防接種をし、その後、作業を学習するそれらの能力に関して訓練し、及び評価する。神経反応の試験に関するSIV接種のタイミングを変えることは、作業の獲得及び保持を区別する。例えば、それらのスコアが感染していない対照動物の平均スコアからの2つの標準偏差より大きかった場合、感染動物は害されたと考え、偽物接種を受ける(sham−inoculated)。動物が生きている間、それらの臨床状態、血液、及びCSFを、疾患進行、免疫状態、及びウイルス負荷を決定するために周期的に分析する。神経化学と神経病理学を、死亡時に行なう。認知障害及び運動障害の範囲、程度、及び変異性は、HIVに感染したヒトでの発見物に似ている。
〈HIV脳症〉
HIV脳症の代替のモデルは、脳におけるHIV感染の病理学へのより焦点した探求を可能にする。SIVの接種及び中度から重度の脳炎の進行の後、ウイルス負荷を、全身の神経系及び中枢神経系(CNS)ウイルス複製の脳炎の進行との関係を検査する検死にて、エイズの発症に対し長期的に検査された脳脊髄液(CSF)及び脳組織において測定する。脳炎の進行と関連がある感染の急性期の後のCSFウイルスRNAの持続的な高レベル、及び脳におけるウイルスRNA並びに抗原の両方のレベルは、CNS病変の重症度に関連する。対照的に、ウイルスRNAの血漿レベルは、脳炎(enceplalitis)の進行又は重症度に関連しない。したがって、SIV感染の後急性期におけるCSFウイルス負荷測定は、脳炎及びCNSウイルス複製のためのマーカー、HIV脳炎及び関連する障害を予防する又は弱める際の試験化合物の有効性を測定するための効果的な方法として役立つ。例えば、「Zink MC et al., “High viral loadvin the cerebrospinal fluid and brain correlates with severity of simian immunodeficiency virus encephalitis,”:J Virol. 1999 Dec;73(12):10480−8(PMID:10559366)」を参照。
さらに、NAA/Crなどの代謝マーカーも、脳炎のSIV/マカクモデルにおける疾患重症度を定量化するために使用する。インビボのMR分光法(MRS)研究は、神経エイズ(neuroAIDS)としても知られるエイズ認知症複合体(ADC)のため、重度の神経認識的な欠乏を患うヒト患者において、NAA/Crレベルの低下を示してきた。高電界の陽子MRSを、29匹のアカゲザル(6匹は健康、23匹はエイズにより瀕死)の前頭皮質組織サンプルから抽出された代謝物質上で行なった。各々の動物の脳炎の重症度の神経病理学的な測定を達成し、NAA/Crレベルに関連すると見出した。Glu/Cr及びGABA/Crの減少は、興奮性及び抑制性ニューロンの両方が影響を受けることを示し得る。NAA/CrとGlu/CrおよびGABA/Crの間の高度に有意な相関作用を観察した。これらの神経細胞の代謝物質も、古典的なSIV脳炎(SIVE)の不在下で減少した。これらの研究は、代謝マーカーが、疾患進行の指標として、及び神経エイズ(NauroAIDS)の進行を予防する又は遅らせることでの処置の効果として役立つことを示す。「Lentz MR et al., “Metabolic markers of neuronal injury correlate with SIV CNS disease severity and inoculum in the macaque model of neuroAIDS,” Magn Reson Med. 2008 Mar;59(3):475−84(PMID:18306400)」を参照。
〈HIV認知症のFIVモデル〉
ネコ免疫不全ウイルス(FIV)は、ネコにおいて免疫不全及び脳症の持続性状態をもたらす神経向性のレンチウイルスである。最近の証拠は、中枢神経系及び末梢神経系に対する退行性の効果に関連する、ヒト免疫不全ウイルス感染(HIV−1型)の自然な進行との様々な類似点を示してきた。HIV−1に類似するため、FIVに誘発された脳障害の神経毒性は株依存性(strain dependent)であり、進行性の免疫不全を結果としてもたらし、及び脳ウイルス負荷ではなく初期の末梢ウイルス負荷を増加させ、優先的に神経系の発達に影響を与え、神経細胞の伝染性に直接関連づけられない定量化できる行動障害及び神経生理学の障害をもたらし、インビボ及びインビトロの両方にて、神経細胞の損傷及び損失を誘発する。FIVは、ヒト研究者に非伝染性の、追加の利点(benefir)を有する。これらの理由に関して、FIVモデルは、HIV認知症及び関連する障害の処置における化合物の効果を評価するためのプラットホームとして役立つ。例えば、「Podell M et al., “The feline model of neuroAIDS:understanding the progression towards AIDS dementia,” J Psychopharmacol. 2000;14(3):205−13(PMID:11106298)」を参照。
〈炎症性及び自己免疫性のモデル〉
〈接触性皮膚炎および関連する障害〉
接触過敏症は、細胞を媒介とした免疫機能のインビボのアッセイにおいて、単純な遅延型過敏症であり、それは炎症性の成分及び/又は自己免疫性の成分を有する多くの障害における潜在性の治療上の効果を評価するために使用することができる。そのような疾患は、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、アレルギー性皮膚炎及び皮膚の過敏を含む。化合物は、随意に局所用の製剤において局所的に適用され、又は非局所用の(例えば、経口、IVなど)経路によって送達され得る。
〈ネズミのモデル〉
1つの手順において、外因性のハプテンへの皮膚の曝露は、測定され、定量される遅延型過敏反応を生じさせる。接触過敏症は、初期の感作相(sensitizing phase)、その後の惹起相(elicitation phase)を包含している。Tリンパ球が、以前に接触した抗原に遭遇するとき、惹起相が生じる。腫れと炎症が生じ、これをヒトアレルギー性接触皮膚炎の優れたモデルにする。ネズミのモデルはまた、走るのに経済的な追加の利益を典型的に有する。適切な手順は、「Gaspari AA and Katz SI, “Contact Hypersensitivity,” Current Protocols in Immunology, Unit 4.2, John Wiley & Sons, Inc.(1994)」に詳細に記載されている。また、「Grabbe S and Schwarz T, “Immunoregulatory mechanisms involved in elicitation of allergic contact hypersensitivity,” Immun. Today 19(1):37−44(1998)」も参照。
〈ブタのモデル〉
動物の選択は、ヒト反応を予測すると意図される皮膚科学的な(dematological)研究において重要である。この理由に関して、ブタ、及び特にミニブタは、ヒト及びブタの皮膚の間の類似点(特に小胞の密度)のために恵まれる。例えば、「Bilski AJ and Thomson DS, “Allergic contact dermatitis in the domestic pig」における典型的なモデルを参照。薬物の局所用の抗炎症作用及びそれらの製剤を評価するための新しいモデルについては、「Br J Dermatol, 1984 Jul;111 Suppl 27:143(PMID:6743545)」を参照。
〈無毛のモルモットモデル〉
アレルギー性及び刺激性の接触反応もまた、最近確認された無毛のモルモットである、Crl:IAF(HA)BR、ハートレー株からの突然変異体において評価されてきた。刺激性接触皮膚炎は、クロトン油、2,4−ジニトロクロロベンゼン(DNCB)、又はアントラリンによって誘発され得る。無毛及び有毛のモルモットの両方は、これらの化学物質に対して同様の反応を進行させる。光線過敏性の接触感作も、テトラクロロサリチルアニリドで、又はトリブロモサリチルアニリド(TBS)での感作の前にシクロホスファミドで誘発され得る。皮膚の変化は、当該技術分野に知られる方法に従い、巨視的に及び微視的に観察される。したがって、無毛のモルモットは、免疫学の及び非免疫学の接触反応並びに関連する障害の処置において、試験化合物の事前評価のための動物モデルとして使用することができる。例えば、「Miyauchi H and Horio T, “A new animal model for contact dermatitis:the hairless guinea pig,” J Dermatol. 1992 Mar;19(3):140−5(PMID:1640019)」を参照。
単純な皮膚の過敏も、無毛のモルモットにおいて研究され得る。典型的なモデルにおいて、試験化合物は4日間、毎日30分間の曝露のための1以上の局所用の製剤において送達される。スコアリングを毎日行なう。蒸発測定法(evaporimetry)(合計の表皮の水分損失(TEWL))、水和及び測色法を、処置の中間における基線(0日目)、及び処置の終わりに測定する。試験化合物を毎日2回塗布する。例えば、「Andersen F et al., “The hairless guinea−pig as a model for treatment of cumulative irritation in humans,” Skin Res Technol. 2006 Feb;12(1):60−7(PMID:16420540)」を参照。
〈乾癬のネズミのキメラモデル〉
さらに、本明細書開示の化合物は、乾癬のような疾患に関し、動物モデルにおいて試験することができる。乾癬性(psoriatric)皮膚病変の基礎をなす原因と病態生理学のメカニズムの発現についての研究は、この一般で不可解な皮膚の疾患のための適正な動物モデルの不足によって中止されてきた。適切な1つのモデルは、「Nickoloff BJ et al., “Severe combined immunodeficiency mouse and human psoriatic skin chimeras. Validation of a new animal model,” Am J Pathol., 1995 Mar;146(3):580−8(PMID:7887440)」によって記載されるように調製されたヒト皮膚/scidマウスキメラである。その中に記載される方法は、重症複合免疫不全症マウスに移植された正常な皮膚、前乾癬皮膚、及び乾癬性局面皮膚サンプルを特徴づける。正常な、前乾癬の、又は乾癬プラークの角膜切開刀皮膚サンプルのいずれかは、移植片生着の高い割合(>85%)で、及び移植の長期間にわたって一貫して観察される再生可能な変化と共に重症複合免疫不全症マウスに確実に移植される。移植後、臨床的な事前評価及び所定の光顕微鏡検査によって、正常な皮膚は本質的に正常なままである一方で、前乾癬皮膚はより厚くなり、乾癬プラークの皮膚は、その特有のプラーク型の高さ及び規模を保持する。抗体と免疫組織学的分析のパネルの使用によって、移植皮膚に生き残るヒト細胞タイプ(免疫細胞を含む)の全体的な表現型は、あらかじめ移植された皮膚サンプルの免疫表現型に著しく似ていた。さらに、表皮と皮膚の区画内のヒト及びネズミの皮膚の間の明白に認識されたインターフェースゾーン(interface zone)は、キメラ現象の焦点の領域での所定の顕微鏡検査、及び免疫染色によって確認することができる。重症複合免疫不全症マウスに移植される、正常な及び乾癬皮膚の前移植並びに後移植されたヒトサンプル間の多くの類似点は、乾癬および関連する障害の処置における効果のための試験化合物を評価するのに使用するため、この動物モデルを適切にする。
〈乾癬マウスscid/scidモデル〉
代わりに、本明細書開示の化合物は、「Schon MP et al., “Murine psoriasis−like disorder induced by naive CD4+ T cells,” Nat Med., 1997 Feb;3(2):183−8(PMID:9018237)」により記載されるscid/scidマウスモデルにおいて試験される。このモデルにおいて、下位の組織適合性が不適正である未処置のCD4+Tリンパ球を有するscid/scidマウスの再構成は、臨床的に、組織病理学的に、及びサイトカイン発現において、ヒト乾癬に著しく似ている皮膚の変質を結果としてもたらす。
〈喘息〉
化合物は、喘息及び関連する肺障害の処置における効果に関してさらに評価され得る。1匹の喘息のネズミモデルにおいて、野生型の対照(wild−type control)[C57BL/6J,(+/+)]、及びICAM−1(細胞間接着分子−1)ノックアウト[C57BL/6J−ICAM−1,(−/−)]マウスは、オバルブミン(OVA)に感作され、喘息性の反応と一致する表現型を誘発するためにエアロゾル(OVA−OVA)によって送達されたOVAで検証した(challenged)。メタコリンに対する気管支の反応性、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の菌体数の計算、好酸性含量及びサイトカインレベルの測定を行う。さらに、抗原に応じたリンパ球増殖、気道への好酸性の遊走、及びアレルゲンに感作され、検証されたマウスにおける気道過敏性(AHR)の進行はすべて、当該技術分野において既知の方法に従って、インビボ又はエクスビボ(ex vivio)にて測定される。「Wolyniec WW et al., “Reduction of antigen−induced airway hyperreactivity and eosinophilia in ICAM−1−deficient mice,” Am J Respir Cell Mol Biol., 1998 Jun;18(6):777−85(PMID:9618382)」を参照。
〈炎症性大腸疾患、クローン病、及び潰瘍性大腸炎〉
本明細書開示の化合物はまた、炎症性大腸疾患、クローン病、及び潰瘍性大腸炎の動物モデルにおける活性に関して評価される。「Scheiffele F, Fuss IJ, “Induction of TNBS colitis in mice,” Curr Protoc Immunol, 2002 Aug;Chapter 15:Unit 15.19(PMID:18432874)」により記載されるプロトコルは、これらの疾患の免疫病原性を研究するために使用されてきたものの1つである。このモデルは、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の使用を利用し、それは、SJL/Jマウスにおいて直腸内に投与された時、重度の結腸の炎症を誘発する。この手順から結果として生じる大腸炎は、クローン病において見られたものに似ている、臨床的な及び組織病理学の発見物を提示する。ScheiffleleとFussは、疾患レベルの監視及びグレード分けのための方法と同様、TNBS大腸炎の好結果の誘発に必要とされた重大なパラメーターについて議論し、マウスの結腸から基底膜単核細胞を分離するために支持プロトコルを与える。また、「Morris GP et al., “Hapten−induced model of chronic inflammation and ulceration in the rat colon,” Gastroenterology, 1989 Mar; 96(3):795−803(PMID:2914642)」を参照し、その中では、「障壁ブレーカー」(例えば0.25mlの50%エタノール)及びハプテン(例えばTNBS、5−30mg)を含んでいる溶液の腔内注入による、慢性の結腸の炎症の元来のラットモデルが記載される。30mgの用量で、トリニトロベンゼンスルホン酸/エタノールに誘発された潰瘍及び腸壁の著しい濃密化は、少なくとも8週間続いた。組織学的に、炎症反応は、多形核白血球、マクロファージ、リンパ球、結合組織マスト細胞、及び繊維芽細胞による粘膜及び粘膜下の浸潤を含んだ。肉芽腫(炎症の誘発の3週間後)、ラングハンス巨細胞、帯状の潰瘍および炎症。これらのモデルにおいて誘発された炎症と潰瘍の特性、および比較的長い持続時間は、明確に制御された方法で結腸の炎症性疾患の病態生理学を研究する機会、及びヒトにおける炎症性大腸疾患に対し潜在的に適用可能な新しい処置を評価する機会を与える。
〈典型的な経口医薬製剤〉
以下は、カプセルとして本明細書開示の化合物を経口的に送達するために使用され得る組成物の例である。
式VIの化合物の固体形態は、一致した粒径を生産するために1つ以上のこし器スクリーンを通じて通過される。賦形剤も、こし器を通じて通過される。カプセル1つ当たりの標的投与を達成するのに十分な化合物の適切な重さを測定し、混合用の容器又は装置に加え、混合物をその後均一になるまで混合する。混合物の均一性は、例えば、容器内の3つの点(上部、真中および底部)をサンプリングすること、及び効能に関して各々のサンプルを試験することによって行われる。標的の95−105%の試験結果は、5%のRSDにより、理想的と考えられる。随意に、付加的な混合時間を、均一の混合を達成するために許容する。許容可能な混合物の均一性の結果に関して、測定されるこのストック製剤のアリコートを、低強度を製造するために分離する。ステアリン酸マグネシウムをこし器に通し、収集し、重さを量り、潤滑剤としてブレンダーに加え、分散するまで混合した。最終的な混合物の重さを量り、一致させる。カプセルをその後開封し、混合物を、スパーテルを使用して、カプセルの本体に溢れさせながら供給する。トレー中のカプセルを、均一の標的を確実に十分な重量するため、各々のカプセルにおける混合物を安定させるように突き固め、その後、キャップと中を満たした本体を結合させることにより密閉する。
〈組成物の実施例1〉
300mgのカプセル:カプセルの総合の十分な重量は500mgであるが、カプセルの重量を含まない。標的の化合物の用量は、カプセル1つ当たり300mgであるが、それらの塩又は溶媒和された多形体として与えられる場合、対イオン及び/又は溶媒和物の重量を占めるために調節され得る。そのような場合において、他の賦形剤の重量、典型的には、充填剤が減らされる。
〈組成物の実施例2〉
150mgのカプセル:カプセルの総合の十分な重量は300mgであるが、カプセルの重量を含まない。標的の化合物の用量は、カプセル1つ当たり150mgであるが、それらの塩又は溶媒和された多形体として与えられる場合、対イオン及び/又は溶媒和物の重量を占めるために調節され得る。そのような場合において、他の賦形剤の重量、典型的には、充填剤が減らされる。
前述の記載から、当業者はこの発明の本質的な特質を確認することができ、その精神及び範囲から逸脱することなく、様々な使用法及び状況にそれを適応させるため、本発明の様々な変更及び修正を行うことができる。