JP6112285B1 - セミipn型複合体の製造方法、及び、合成皮革の製造方法 - Google Patents

セミipn型複合体の製造方法、及び、合成皮革の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートを原料としたポリウレタン(A)溶液中で、親水性単官能アクリレート(b1)及び多官能アクリレート(b2)を重合することを特徴とするセミIPN型複合体の製造方法に関する。また、本発明は、前記製造方法により得られるセミIPN型複合体を乾燥させて得られた層を有することを特徴とする合成皮革の製造方法に関する。本発明が解決しようとする課題は、防汚性に優れるセミIPN型複合体の製造方法を提供することである。本発明の製造方法により得られるセミINP型複合体は防汚性に優れるものである。よって、前記セミIPN型複合体は、特に車輌用の合成皮革の表皮層やトップコート層として特に好適に使用することができる。

Description

本発明は、防汚性に優れるセミIPN型複合体の製造方法に関する。
ポリウレタンは良好な機械的強度、及び弾性を有することから、コーティング剤、成型材料、塗料、光学フィルム等様々な分野で広く利用されており、合成皮革用の材料としても盛んに研究がなされている。
前記合成皮革の材料としては、表面の高い防汚性(特に、防油性)が求められる。前記防汚性のある合成皮革用材料としては、例えば、ポリウレタン溶液にフッ素化合物を添加した組成物が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
しかしながら、フッ素化合物は、コストが高く、またその選択によっては人体への影響も指摘されている。よって、フッ素化合物を用いずに、優れた防汚性を発現する材料の開発が求められている。
特開2001−279583号公報
本発明が解決しようとする課題は、防汚性に優れるセミIPN型複合体の製造方法を提供することである。
本発明は、脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートを原料としたポリウレタン(A)溶液中で、親水性単官能アクリレート(b1)及び多官能アクリレート(b2)を重合することを特徴とするセミIPN型複合体の製造方法に関する。
また、本発明は、前記製造方法により得られたセミIPN型複合体を乾燥させることにより形成された表皮層及び/又はトップコート層を有することを特徴とする合成皮革の製造方法に関する。
本発明の製造方法により得られるセミINP型複合体は防汚性に優れるものである。よって、前記セミIPN型複合体は、合成皮革の表皮層やトップコート層として好適に使用することができ、特に車輌用の合成皮革の表皮層やトップコート層として特に好適に使用することができる。
本発明のセミIPN型複合体の製造方法は、脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートを原料としたポリウレタン(A)溶液中で、親水性単官能アクリレート(b1)及び多官能アクリレート(b2)を重合することが必須である。
前記セミIPN(Interpenetrating polymer Network)型複合体とは、非架橋性のポリマーに異種架橋高分子が侵入した網目構造を有する複合体であり、前記製造方法により非架橋性のポリウレタン(A)に対し、親水性単官能アクリレート(b1)及び多官能アクリレート(b2)の重合物が絡み合った複合体が生成される。
前記ポリウレタン(A)は脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートを原料としたものを用いることが必須である。前記ポリウレタン(A)に代わり、芳香族ポリイソシアネートを原料としたポリウレタンを用いた場合には、所望の防汚性を得ることができない。この理由としては、防汚性を付与する親水性のアクリル成分が表面に偏在するのではなく、膜中に均一に分布するためと考えられる。
前記ポリウレタン(A)は、具体的には、ポリオールと脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートとの反応物を用いることができる。なお、本発明においては、親水性単官能アクリレート(b1)及び多官能アクリレート(b2)の重合によるセミIPN型構造の形成により優れた防汚性を発現することができるため、耐久性等のその他の物性に併せて、前記ポリオールの種類を自由に設計することができる。
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、車輌用の合成皮革の表皮層やトップコート層として使用される場合には、優れた耐久性を有する点から、ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
前記ポリオールの数平均分子量としては、目的の物性に応じて、500〜8,000の範囲で適宜決定することができる。なお、前記ポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定して得られた値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
前記ポリオールには、必要に応じて、数平均分子量が50〜450の範囲の鎖伸長剤を併用してもよい。なお、前記鎖伸長剤の数平均分子量は、前記ポリオールの数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
前記鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトー、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の水酸基を有する鎖伸長剤;エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミノ基を有する鎖伸長剤などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記鎖伸長剤を用いる場合の使用量としては、機械的強度及び風合いの点から、前記ポリオール100質量部に対して、0.1〜30質量部の範囲であることが好ましい。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートは、必要に応じて、その他のポリイソシアネートを併用してもよい。なお、その場合の脂肪族及び脂環式ポリイソシアネートの含有量としては、用いるポリイソシアネート全量中50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
前樹その他のポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,6−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−2,5−フェニレンジイソシアネート、1−メチル−3,5−フェニレンジイソシアネート、1−エチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1−イソプロピル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−ジメチル−4,6−フェニレンジイソシアネート、1,4−ジメチル−2,5−フェニレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート、1−メチル−3,5−ジエチルベンゼンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ジエチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3,5−トリエチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、1−メチル−ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−2,7−ジイソシアネート、1,1−ジナフチル−2,2’−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3−3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4−ジイソシアネート等を用いることができる。これらの芳香族ポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリウレタン(A)の製造方法としては、例えば、前記ポリオールと前記脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートと有機溶剤と、必要に応じて前記鎖伸長剤とを仕込み、ウレタン化反応させることによってポリウレタン(A)溶液を製造する方法が挙げられる。これらの反応は、例えば、50〜100℃の温度で3〜10時間行うことが挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソブチル、酢酸第2ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記有機溶剤の使用量としては、前記ポリウレタン(A)100質量部に対し、10〜1,000質量部の範囲であることが好ましく、20〜600質量部の範囲であることがより好ましい。
前記ポリオール及び前記鎖伸長剤が有する水酸基及びアミノ基の合計と、前記脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートが有するイソシアネート基とのモル比[イソシアネート基/水酸基及びアミノ基]としては、製造安定性、及び機械的強度の点から、0.8〜1.2の範囲であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。
前記ポリウレタン(A)の重量平均分子量としては、目的の物性に応じて、500〜500,000の範囲で適宜決定することができる。なお、前記ポリウレタン(A)の重量平均分子量は、前記ポリオールの数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
次に、親水性単官能アクリレート(b1)及び多官能アクリレート(b2)について説明する。本発明においては、優れた防汚性を得る上で、前記親水性単官能アクリレート(b1)及び多官能アクリレート(b2)を用いることが必須である。前記親水性単官能アクリレート(b1)により塗膜が親水化され優れた防汚性を発現することができ、更に前記多官能アクリレート(b2)によりセミIPN型構造を形成できることから防汚性の更なる向上が可能となる。
なお、前記親水性単官能アクリレート(b1)の「親水性」とは、水との間に親和性を示すことを表し、具体的には、100gの水(20℃)への溶解度が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であるものを示す。
前記親水性単官能アクリレート(b1)としては、例えば、アミド基を有するアクリルモノマー(b1−1)、オキシエチレン基を有するアクリルモノマー(b1−2)、スルホン酸基を有するアクリルモノマー、4級アンモニウム基を有するアクリルモノマー、カルボキシル基を有するアクリルモノマー、アミノ基を有するアクリルモノマー、シアノ基を有するアクリルモノマー、水酸基を有するアクリルモノマー、イミド基を有するアクリルモノマー、メトキシ基を有するアクリルモノマー等を用いることができる。
前記アミド基を有するアクリルモノマー(b1−1)としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記オキシエチレン基を有するアクリルモノマー(b1−2)としては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記スルホン酸基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記4級アンモニウム基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記カルボキシル基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、プロピル(メタ)アクリル酸、イソプロピル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記アミノ基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記シアノ基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、シアノメチルアクリレート、2―シアノエチルアクリレート、シアノプロピルアクリレート、1―シアノメチルエチルアクリレート、2―シアノプロピルアクリレート、1―シアノシクロプロピルアクリレート、1―シアノシクロヘプチルアクリレート、1、1―ジシアノエチルアクリレート、2―シアノフェニルアクリレート、3―シアノフェニルアクリレート、4―シアノフェニルアクリレート、3―シアノベンジルアクリレート、4―シアノベンジルアクリレート等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記水酸基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記イミド基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルイミド、N−メチロールマレイミド、N−ヒドロキシエチルマレイミド、N−グリシジルマレイミド、N−4−クロロメチルフェニルマレイミド、N−アセトキシエチルマレイミド等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記メトキシ基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート)、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート等を用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記親水性単官能アクリレート(b1)としては、前記した中でも、親水性の高いアルキル置換された窒素原子を有するアミド基、及びポリオキシエチレングリコールを側鎖に有するため、優れた防汚性が得られることから、アミド基を有するアクリルモノマー(b1−1)、及び、オキシエチレン基を有するアクリルモノマー(b1−2)を用いることが好ましい。前記アミド基を有するアクリルモノマー(b1−1)及びオキシエチレン基を有するアクリルモノマー(b1−2)の合計量としては、前記親水性単官能アクリレート(b1)中70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
また、前記オキシエチレン基を有するアクリルモノマー(b1−2)のオキシエチレン基の平均付加モル数としては、防汚性及び耐水膨潤性の点から、5〜13モルの範囲であることが好ましく、8〜10モルの範囲であることがより好ましい。
前記多官能アクリレート(b2)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1、10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)ジ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)トリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等を用いることができる。なお、前記「多官能」とは、(メタ)アクリロイル基を2個以上有することを示し、好ましくは2〜3個の(メタ)アクリロイル基を有することを示す。
前記多官能アクリレート(b2)としては、前記したものの中でも、その非晶性により優れたポリウレタン(A)との相溶性と柔軟性が得られることから、オキシアルキレン基を有するものを用いることが好ましく、オキシプロピレン基を有するものを用いることがより好ましい。
また、前記多官能アクリレート(b2)のオキシアルキレン基の平均付加モル数としては、ポリウレタン(A)との相溶性の点から、2〜10モルの範囲であることが好ましく、2〜4モルの範囲であることがより好ましい。
前記親水性単官能アクリレート(b1)と前記多官能アクリレート(b2)との重合比率(モル比)としては、一層優れた防汚性が得られる点から、99.5/0.5〜90/10の範囲であることが好ましく、99/1〜95/5の範囲であることがより好ましい。
また、前記アミド基を有するアクリルモノマー(b1−1)、オキシエチレン基を有するアクリルモノマー(b1−2)、及び前記多官能アクリレート(b2)の重合比率(モル比)としては、一層優れた防汚性が得られる点から、(b1−1)/(b1−2)/(b2)=50/49.5/0.5〜89/1/10の範囲であることが好ましく、70/29/1〜88/7/5の範囲であることがより好ましい。
前記親水性単官能アクリレート(b1)及び前記多官能アクリレート(b2)の合計量としては、一層優れた防汚性が得られる点から、前記ポリウレタン(A)100質量部に対して、10〜70質量部の範囲であることが好ましく、20〜50質量部の範囲であることがより好ましい。
前記親水性単官能アクリレート(b1)及び前記多官能アクリレート(b2)には、必要に応じて、その他のラジカル重合性モノマーを併用してもよい。
前記その他のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニル化合物などを用いることができる。これらのモノマーは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記親水性単官能アクリレート(b1)及び前記多官能アクリレート(b2)の重合方法としては、公知のラジカル重合を使用することができ、例えば、前記ポリウレタン(A)溶液中に前記親水性単官能アクリレート(b1)、前記多官能アクリレート(b2)、重合開始剤、及び必要に応じて前記その他のラジカル重合性モノマー、有機溶剤を添加し、例えば40〜90℃の範囲の温度下で混合撹拌、又は静置し、例えば1〜20時間でラジカル重合を進行させる方法が挙げられる。
前記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス−(2−アミノジプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル吉草酸ニトリル)等のアゾ化合物などを用いることができる。これらの重合開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記重合開始剤の使用量としては、例えば、親水性アクリルモノマー(b1)及び前記多官能アクリレート(b2)100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲である。
以上の方法により得られるセミIPN型複合体は、後述する合成皮革の表皮層やトップコート層を形成する際には、必要に応じて、他の添加剤を併用してもよい。
前記他の添加剤としては、例えば、顔料、難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
次に、前記セミIPN型複合体により合成皮革を製造する方法について説明する。
前記透湿フィルムを製造する方法としては、例えば、前記セミIPN型複合体を離型紙上又は離型紙上に形成されたトップコート層上に塗布し、例えば40〜150℃の範囲の温度で、例えば1〜30分間乾燥させた後、得られた乾燥物を公知の接着剤を用いて、合成皮革の中間層、又は表皮層上に貼り付ける方法が挙げられる。
前記セミIPN型複合体を前記離型紙上に塗布する方法としては、例えば、グラビアコーター法、ナイフコーター法、パイプコーター法、コンマコーター法等が挙げられる。
前記セミIPN型複合体の乾燥物層の厚さとしては、使用される用途に応じて決定することができ、例えば、0.01〜10mmの範囲である。
以上、本発明の製造方法により得られるセミINP型複合体は防汚性に優れるものである。よって、前記セミIPN型複合体は、合成皮革の表皮層やトップコート層として好適に使用することができ、特に車輌用の合成皮革の表皮層やトップコート層として特に好適に使用することができる。
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
[実施例1]
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、イソホロンジイソシアネートを原料としたポリカーボネート系ウレタンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液(DIC株式会社製「クリスボンNY−393」、固形分;25質量%、以下「脂環式Pu1」と略記する。)100質量部に、N,N−ジメチルアクリルアミド(以下、「DMAA」と略記する。)を2.97質量部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業株式会社製「AM−90G」、オキシエチレン基の平均付加モル数が9モル)を4.53質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「APG−200」)を0.68質量部、(以上、DMAA/AM−90G/APG−200の重合比率(モル比)=71/24/5、小数点第1位を四捨五入。)、和光純薬工業株式会社製アゾ系重合開始剤「V−601」をモノマー総量に対し2質量%加え、均一に混合した後、60℃で15時間静置してラジカル重合を行うことでセミIPN型複合体を得た。
[実施例2]
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、イソホロンジイソシアネートを原料としたポリカーボネート系ウレタンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液(DIC株式会社製「クリスボンNY−331」、固形分;25質量%、以下「脂環式系Pu2」と略記する。)100質量部に、DMAAを2.97質量部、AM−90Gを4.53質量部、APG−200を0.68質量部、(以上、DMAA/AM−90G/APG−200の重合比率(モル比)=71/24/5、小数点第1位を四捨五入。)、和光純薬工業株式会社製アゾ系重合開始剤「V−601」をモノマー総量に対し2質量%加え、均一に混合した後、60℃で15時間静置してラジカル重合を行うことでセミIPN型複合体を得た。
[実施例3]
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、脂環式系Pu1を100質量部に、DMAAを2.97質量部、AM−90Gを4.53質量部、APG−200を0.08質量部、(以上、DMAA/AM−90G/APG−200の重合比率(モル比)=74/25/1、小数点第1位を四捨五入。)、和光純薬工業株式会社製アゾ系重合開始剤「V−601」をモノマー総量に対し2質量%加え、均一に混合した後、60℃で15時間静置してラジカル重合を行うことでセミIPN型複合体を得た。
[実施例4]
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、脂環式系Pu1を100質量部に、DMAAを4.95質量部、AM−90Gを7.55質量部、APG−200を1.13質量部、(以上、DMAA/AM−90G/APG−200の重合比率(モル比)=71/24/5、小数点第1位を四捨五入。)、和光純薬工業株式会社製アゾ系重合開始剤「V−601」をモノマー総量に対し2質量%加え、均一に混合した後、60℃で15時間静置してラジカル重合を行うことでセミIPN型複合体を得た。
[実施例5]
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、脂環式系Pu1を100質量部に、DMAAを2.30質量部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学工業株式会社製「AM−130G」、オキシエチレン基の平均付加モル数が13モル)を5.20質量部、APG−200を0.45質量部、(以上、DMAA/AM−130G/APG−200の重合比率(モル比)=71/24/5、小数点第1位を四捨五入。)、和光純薬工業株式会社製アゾ系重合開始剤「V−601」をモノマー総量に対し2質量%加え、均一に混合した後、60℃で15時間静置してラジカル重合を行うことでセミIPN型複合体を得た。
[実施例6]
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、脂環式系Pu1を100質量部に、DMAAを2.97質量部、AM−90Gを4.53質量部、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「APG−400」、オキシプロピレン基の平均付加モル数;7)を1.05質量部、(以上、DMAA/AM−90G/APG−400の重合比率(モル比)=71/24/5、小数点第1位を四捨五入。)、和光純薬工業株式会社製アゾ系重合開始剤「V−601」をモノマー総量に対し2質量%加え、均一に混合した後、60℃で15時間静置してラジカル重合を行うことでセミIPN型複合体を得た。
[比較例1]
攪拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ジフェニルメタンジイソシアネートを原料としたポリエステル系ウレタンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液(DIC株式会社製「クリスボンMP−856」、固形分;20質量%、以下「芳香族系Pu」と略記する。)を100質量部に、DMAAを2.37質量部、AM−90Gを3.63質量部、APG−200を0.54質量部、(以上、DMAA/AM−90G/APG−400の重合比率(モル比)=71/24/5、小数点第1位を四捨五入。)、和光純薬工業株式会社製アゾ系重合開始剤「V−601」をモノマー総量に対し2質量%加え、均一に混合した後、60℃で15時間静置してラジカル重合を行うことでセミIPN型複合体を得た。
[比較例2]
前記脂環式系Pu1単独で以下の評価を行った。
[比較例3]
前記脂環式系Pu2単独で以下の評価を行った。
[接触角の評価方法]
実施例及び比較例で得たセミIPN型複合体又はポリウレタン溶液を、乾燥後の厚さが15μmとなるようにガラスに塗布し、乾燥機を使用して70℃で2分間、次いで120℃で2分間乾燥させることで試験片を作成し、協和界面科学株式会社製の温度計測ユニット(DM)付きの「DropMaster700」(固液界面解析システムオプション)を使用して水に対する接触角を測定した。
[防汚性の評価方法]
実施例及び比較例で得たセミIPN型複合体又はポリウレタン溶液を、乾燥後の厚さが5μmとなるように合成皮革の表皮層上に塗布し、乾燥機を使用して70℃で2分間、次いで120℃で2分間乾燥させることで塗工片を得た。
得られた塗工片を学振磨耗試験機の摩擦面に貼り付け、摩擦子には黒染み試験布(Swissatest社製「EMPA104」)を貼り付け、1kg荷重で100回往復試験を行った。次いで試験片を純水で湿らせたBEMCOTでふき取った際の黒染みの有無で以下のように評価した。
「○」;黒染みが完全にふき取られている
「△」;黒染みが一部残っている
「×」;黒染みが全くふき取れない
Figure 0006112285
本発明のセミIPN型複合体である実施例1〜6は、水に対する接触角が低く塗膜が親水化しており、優れた防汚性が得られることが分かった。
一方、比較例1は、芳香族系ポリウレタンを用いた態様であるが、セミIPN型複合体としても良好な防汚性が得られなかった。
比較例2〜3は、一般的なポリウレタンにより形成された塗工片であるが、防汚性が不良であった。

Claims (6)

  1. 脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートを原料としたポリウレタン(A)溶液中で、親水性単官能アクリレート(b1)及び多官能アクリレート(b2)を重合することを特徴とするセミIPN型複合体の製造方法。
  2. 前記親水性単官能アクリレート(b1)が、アミド基を有するアクリルモノマー(b1−1)、及び、オキシエチレン基を有するアクリルモノマー(b1−2)を含有するものである請求項1記載のセミIPN型複合体の製造方法。
  3. 多官能アクリレート(b2)が、オキシアルキレン基を有するものである請求項1記載のセミIPN型複合体の製造方法。
  4. 前記アミド基を有するアクリルモノマー(b1−1)、前記オキシエチレン基を有するアクリルモノマー(b1−2)、及び、前記多官能アクリレート(b2)の重合比率(モル比)が、(b1−1)/(b1−2)/(b2)=50/49.5/0.5〜89/1/10の範囲である請求項2記載のセミIPN型複合体の製造方法。
  5. 前記親水性単官能アクリレート(b1)及び前記多官能アクリレート(b2)の合計量が、前記ポリウレタン(A)100質量部に対して、10〜70質量部の範囲である請求項1記載のセミIPN型複合体の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか1項記載の製造方法により得られたセミIPN型複合体を乾燥させることにより形成された表皮層及び/又はトップコート層を有することを特徴とする合成皮革の製造方法。
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