JP6111847B2 - 板材の溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱によりガスが発生する被覆層によって表面処理された板材を含む少なくとも二枚の板材同士を重ね合わせて溶接する際に、重ねた板材同士の間にガスを逃がすための微細な隙間を確保する板材の溶接方法に関する発明である。
従来、亜鉛メッキ鋼板のような加熱によってガスが発生する被覆層により表面処理された板材を重ね合わせて溶接する際、まず、二枚の板材を重ね合わせた状態でプレス加工し、必要形状に変形する。次に、溶接部位を加熱して一方の板材のみを熱膨張させ、重ねた板材同士の間に微細な隙間を形成する。その後、溶接部位を溶融溶接し、二枚の板材を接合する、といった板材の溶接方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005-144537号公報
ところで、従来の板材の溶接方法では、重ねた板材同士の間に隙間を形成する前に、板材を重ね合わせた状態でプレス加工して必要形状に変形している。すなわち、一方の板材を熱膨張させるための溶接部位の加熱は、プレス加工品に対して実施することとなっていた。
しかしながら、プレス加工品は三次元形状を有することが一般的である。そのため、溶接部位の位置に応じて、加熱する際の焦点位置等の加工条件を設定したり、加熱装置の姿勢を変更したりする必要があった。また、溶接部位によっては、加熱することが難しい場合があり、専用治具を用いたり、治具の大幅な変更が必要となったりして、加熱作業に手間がかかるという問題が発生していた。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、加熱によって被覆層から発生するガスを逃がすための微細な隙間を、重ねた板材同士の間に容易に確保することができる板材の溶接方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、加熱によりガスが発生する被覆層によって表面処理された板材を含む少なくとも二枚の板材同士を重ね合わせて溶接する際に、前記板材同士の間に微細な隙間を確保する板材の溶接方法において、焼入れ工程と、加圧工程と、溶接工程と、を備えている。
前記焼入れ工程は、平板状の第1の板材に対し、溶接予定部位の近傍位置に焼入れ加工することで焼入れ硬化部を形成する。
前記加圧工程は、前記焼入れ工程によって前記焼入れ硬化部が形成された前記第1の板材をプレス加工することにより、前記焼入れ硬化部の周囲に減肉部を形成する。
前記溶接工程は、前記加圧工程によって形成された前記減肉部に第2の板材を重ね合わせ、前記減肉部によって板材間の微細な隙間を確保してから前記溶接予定部位を溶融溶接する。
本発明の板材の溶接方法では、焼入れ工程において、平板状の第1の板材に焼入れ加工を行い、焼入れ硬化部が形成される。そして、加圧工程において、第1の板材がプレス加工されて焼入れ硬化部の周囲に減肉部が形成される。そして、溶接工程において第1の板材に第2の板材を重ね合わせて溶融溶接する際、減肉部によって板材間の微細な隙間が確保される。
すなわち、焼入れ加工は、平板状(2次元)の第1の板材に対して行われるため、焼入れ加工機の移動方向が平面的になり、焼入れ硬化部の形成部位に応じて加工機の姿勢を変更することが不要となる。また、加工機の姿勢が一定であるので、専用治具等の特殊な設備が必要ない。さらに、加工機の移動量を抑えることもできる。しかも、加圧工程におけるプレス加工も、平板状の第1の板材に対して行うため、容易にプレス加工を行うことができる。
また、焼入れ硬化部では、焼入れを行ったことにより焼入れをしていない部分よりも伸び(展延性)が失われている。このため、加圧工程においてプレス加工すると、焼入れ硬化部の周囲は伸びて減肉するが、焼入れ硬化部では硬く伸びないために、減肉せずに凸形状となる。このため、焼入れ硬化部の周囲に減肉部が形成され、第2の板材を重ね合わせた際に、板材間に隙間が生じることとなる。
この結果、加熱によって被覆層から発生するガスを逃がすための微細な隙間を、重ねた板材同士の間に容易に確保することができる。
実施例1の板材の溶接方法によって、亜鉛メッキ鋼板を溶接するレーザ溶接加工機を示す概略図である。 実施例1の板材の溶接方法の手順を示すフローチャートである。 実施例1の板材の溶接方法における焼入れ工程を示す説明図であり、(a)は焼入れ加工前のブランク材を示し、(b)は焼入れ加工状態を示し、(c)は焼入れ加工後のブランク材を示す。 実施例1の板材の溶接方法において、溶接部位と焼入れ部位の位置関係を示す図である。 実施例1の板材の溶接方法における加圧工程を示す説明図であり、(a)はプレス加工前状態を示し、(b)はプレス加工状態を示し、(c)はプレス加工後のブランク材の要部を示す。 実施例1の板材の溶接方法における溶接工程を示す説明図であり、(a)は溶接加工前状態を示し、(b)は溶接加工状態を示し、(c)は溶接加工後の板材を示す。 実施例1の板材の溶接方法におけるプレス成型工程を示す説明図であり、(a)はプレス加工前状態を示し、(b)はプレス加工状態を示し、(c)はプレス加工後のプレス加工品を示す。 比較例の板材の溶接方法の手順を示すフローチャートである。 比較例の板材の溶接方法における加熱装置とプレス加工品との位置関係を示す説明図である。 実施例2の板材の溶接方法における焼入れ工程を示す要部説明図である。 実施例2の板材の溶接方法における加圧工程を示す要部説明図である。 本発明の板材の溶接方法における焼入れ加工機の他の例を示す説明図である。 本発明の板材の溶接方法における、溶接部位と焼入れ部位の位置関係の他の例を示す図である。
以下、本発明の板材の溶接方法を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の板材の溶接方法によって、亜鉛メッキ鋼板を溶接するレーザ溶接加工機を示す概略図である。
本実施例1の板材の溶接方法では、まず、第1の板材である第1亜鉛メッキ鋼板1に対し、レーザ溶接加工機3によってレーザ光4を照射して焼入れ加工し、続いて、図示しないプレス加工機によって第1亜鉛メッキ鋼板1を加圧加工する。そして、図1に示すように、第2の板材である第2亜鉛メッキ鋼板2を第1亜鉛メッキ鋼板1に重ね合わせ、レーザ溶接加工機3によってレーザ光4を照射して溶接を行う。
前記レーザ溶接加工機3は、例えば図外の溶接ロボットのロボットアームの先端に装着され、任意の位置に移動及び保持が可能となっている。このレーザ溶接加工機3は、図示しないレーザ発振器から出力されたレーザ光4を、光ファイバケーブル5を介して導入した上で、第1亜鉛メッキ鋼板1上の焼入れ部位Y(図3参照)や第2亜鉛メッキ鋼板2上の溶接部位(溶接予定部位)Rを焦点位置としてレーザ光4を照射する加工ヘッド6を有している。この加工ヘッド6の内部には、コリメーションズレンズやフォーカスレンズ等からなるレーザ光学系が設けられている。
なお、このレーザ溶接加工機3では、レーザ発振器から出力される際のレーザ光4のエネルギー密度を変更することで、第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2の加熱温度を調整することができる。
前記第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2は、例えば自動車の車体を構成する鋼板であり、防錆のために亜鉛メッキ層が鋼板に表面処理されている。鋼板部分の主な素材は、例えば鉄である。この第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2は、メッキ成分である亜鉛の沸点が鋼板の融点よりも低い。このため、溶接時の加熱によって亜鉛メッキ層から亜鉛ガスが発生する。つまり、この第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2は、加熱によりガスが発生する被覆層により表面処理された板材の一例である。
図2は、実施例1の板材の溶接方法の手順を示すフローチャートである。以下、図2に基づいて、実施例1の溶接方法の詳細構成を説明する。
ステップS1では、平板状の第1亜鉛メッキ鋼板1及び第2亜鉛メッキ鋼板2を、それぞれ図示しないブランク加工機によってブランク加工し、輪郭形状を形成する(ブランク工程)。このとき、第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2は、いずれも平板状のままである。
ステップS2では、ステップS1でのブランク加工に続き、図1に示すレーザ溶接加工機3によって、第1亜鉛メッキ鋼板1上の焼入れ部位Yにレーザ光4を照射するレーザ加工を行い、焼入れ硬化部7を形成する(焼入れ工程)。
つまり、図3(a)に示すように、平板状のブランク材である第1亜鉛メッキ鋼板1をレーザ溶接加工機3にセットし、加工ヘッド6を第1亜鉛メッキ鋼板1上の焼入れ部位Yに正対させる。
次に、図3(b)に示すように、レーザ溶接加工機3からレーザ光4を出射し、焼入れ部位Yを加熱する。
そして、図3(c)に示すように、焼入れを行った第1亜鉛メッキ鋼板1を冷却し、焼き戻し等の熱処理を行うことで、焼入れ部位Yに焼入れ硬化部7を形成する。
ここで、焼入れ部位Yは、図4に示すように、溶接部位(溶接予定部位)Rの近傍位置に適宜設定される。なお、図4では線状に延在した溶接部位Rに対し、溶接部位Rから離れた位置で、溶接部位Rよりも短いが平行に延びるように焼入れ部位Yが設定されている。また、図4では、複数の焼入れ部位Yが、線状の溶接部位Rを挟んで交互に設定されている。
ステップS3では、ステップS2でのレーザ加工に続き、焼入れ硬化部7が形成された第1亜鉛メッキ鋼板1をプレス加工機8(図5参照)に挟み込んでプレス加工を行い、減肉部9を形成する(加圧工程)。
つまり、図5(a)に示すように、平板状の第1亜鉛メッキ鋼板1をプレス加工機8にセットする。このとき、プレス加工機8の下型8a及び上型8bは、平坦なプレス面を有するものとする。
次に、図5(b)に示すように、プレス加工機8の下型8a及び上型8bの型締めを行い、第1亜鉛メッキ鋼板1を加圧する。ここで、焼入れ硬化部7は、焼入れを行ったことで、焼入れを行っていない被焼入れ部分(焼入れ部位Y以外の部分)よりも硬くなり、伸び(展延性)が失われている。そのため、プレス加工機8によって加圧された際、焼入れ硬化部7以外の部分は加圧によって伸びて肉厚が薄くなる(減肉する)が、焼入れ硬化部7では伸びが少なく肉厚変化が少ない。
これにより、図5(c)に示すように、焼入れ硬化部7の周囲に減肉部9が形成され、焼入れ硬化部7は周囲に比べて突出した凸形状になる。
なお、実施例1では、焼入れ硬化部7が第1亜鉛メッキ鋼板1の表裏のいずれにも露出するように形成されているので、減肉部9も第1亜鉛メッキ鋼板1の両面に形成される。
ステップS4では、ステップS3でのプレス加工に続き、ステップS1においてブランク加工した第2亜鉛メッキ鋼板2を、ステップS3で減肉部9が形成された第1亜鉛メッキ鋼板1に重ね合わせ、レーザ溶接加工機3によって、溶接部位Rにレーザ光4を照射して溶接部位Rを溶融溶接する(溶接工程)。
つまり、図6(a)に示すように、平板状の第1亜鉛メッキ鋼板1上に、平板状の第2亜鉛メッキ鋼板2を重ね合わせ、レーザ溶接加工機3にセットし、加工ヘッド6を溶接部位Rに正対させる。このとき、第1亜鉛メッキ鋼板1には、焼入れ硬化部7の周囲に減肉部9が形成されている。そのため、焼入れ硬化部7が第2亜鉛メッキ鋼板2と接触しても、減肉部9は第2亜鉛メッキ鋼板2に接触しない。これにより、この減肉部9の分だけ、第1亜鉛メッキ鋼板1と第2亜鉛メッキ鋼板2との間にごく僅かな隙間が生じる。
次に、図6(b)に示すように、レーザ溶接加工機3からレーザ光4を出射し、溶接部位Rを加熱する。このとき、溶接熱によって第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2の亜鉛メッキ層から亜鉛ガスが発生するが、この亜鉛ガスは、減肉部9によって生じた第1亜鉛メッキ鋼板1と第2亜鉛メッキ鋼板2との間の隙間に流れ込む。
これにより、亜鉛ガスが第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2の溶融部分に吸収することが防止され、図6(c)に示すように、溶接部位Rには高品質の接合部Sが形成される。
ステップS5では、ステップS4での溶接加工に続き、溶接により一体化された第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2をプレス加工機8(図7参照)に挟み込んでプレス成型(ドロー加工)を行い、所望の形状に変形したプレス加工品とする(プレス成型工程)。
つまり、図7(a)に示すように、溶接により一体化した平板状の第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2をプレス加工機8にセットする。このとき、プレス加工機8の下型8c及び上型8dは、所望のプレス加工品に応じた凹凸形状となったプレス面を有する。
次に、図7(b)に示すように、プレス加工機8の下型8c及び上型8dの型締めを行い、第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2をプレス成型する。
これにより、図7(c)に示すように、所望のプレス加工品Pが形成される。なお、このときの加圧力によって、第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2は密着し、鋼板間に生じていたごく僅かな隙間はなくなる。
次に、作用を説明する。
まず、比較例の板材の溶接方法とその課題を説明し、続いて、実施例1の板材の溶接方法における「加工容易化作用」説明する。
[比較例の板材の溶接方法とその課題]
図8は、比較例の板材の溶接方法の手順を示すフローチャートである。以下、図8に基づいて、比較例の溶接方法を説明する。
ステップS11では、平板状の第1亜鉛メッキ鋼板1及び第2亜鉛メッキ鋼板2を、それぞれブランク加工機によってブランク加工し、輪郭形状を形成する。
ステップS12では、ステップS11でのブランク加工に続き、平板状の第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2を重ね合わせた上で、プレス加工機に挟み込んでプレス成型(ドロー加工)を行い、所望の形状に変形したプレス加工品P1(図9参照)とする。このとき、第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2は密着している。
ステップS13では、ステップS12でのプレス成型に続き、ステップS12で成型したプレス加工品P1上の溶接部位R1に、レーザ溶接加工機3´(図9参照)によってレーザ光4を照射し、第2亜鉛メッキ鋼板2のみを加熱する。これにより、第2亜鉛メッキ鋼板2が熱膨張し、第1亜鉛メッキ鋼板1に対して浮き上がる。つまり、第1亜鉛メッキ鋼板1と第2亜鉛メッキ鋼板2の間に隙間が生じることとなる。
ステップS14では、ステップS13でのレーザ加工に続き、レーザ溶接加工機3´によって、溶接部位R1にレーザ光4を照射して溶接部位R1を溶融溶接する。
このように、比較例の板材の溶接方法では、プレス成型を行った後にレーザ加工を行うことで、第1亜鉛メッキ鋼板1と第2亜鉛メッキ鋼板2の間に隙間を生じさせ、その後溶融溶接している。
ここで、レーザ加工及び溶接加工を行う場合には、溶接部位R1に対してレーザ溶接加工機3´を正対させる必要がある。これに対し、プレス加工品P1は図9に示すように3次元形状であることが一般的である。
そのため、図9に示すように、溶接部位R1の位置に応じてレーザ溶接加工機3´の姿勢を変更したり、レーザ溶接加工機3´の焦点位置等の加工条件を設定したりしなければならなかった。なお、図9では、3つのレーザ溶接加工機3´が配置されている図となっているが、実際には一つのレーザ溶接加工機3´を様々な姿勢に変更してレーザ加工等を行う。
そして、溶接部位R1によっては、レーザ光4を照射することが難しく、容易に加熱できない場合があった。さらに、溶接部位R1の形状に応じて、レーザ溶接加工機3´の移動方向が決まるが、プレス加工品P1の形状によってレーザ溶接加工機3´の移動方向や移動量が制限されることも考えられる。
そのときには、専用治具を用いたり、治具の大幅な変更が必要となったりしていた。そのため、レーザ光4を照射する作業に手間がかかる上、汎用性に乏しいという問題があった。
[加工容易化作用]
実施例1の板材の溶接方法において、第1亜鉛メッキ鋼板1と第2亜鉛メッキ鋼板2を溶接する場合では、まず、図2に示すフローチャートのステップS1で、第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2をブランク加工し、平板状のまま輪郭形状を形成する。
そして、ステップS2へと進んで、第1亜鉛メッキ鋼板1のみにレーザ光4を照射するレーザ加工を行い、焼入れ部位Yに焼入れ硬化部7を形成する。このとき、第1亜鉛メッキ鋼板1はブランク加工のみを行ったいわゆるブランク材であるため、平板状(2次元部品)である。そのため、焼入れ部位Yがどの位置に設定されていても、レーザ溶接加工機3を焼入れ部位Yに容易に正対させることができ、専用治具等の特殊な設備が必要ない。また、複数の焼入れ部位Yが存在しても、レーザ溶接加工機3の姿勢は一定であり、水平方向に移動するのみである。そのため、加工点である加工ヘッド6の移動量を抑制することができる。
また、この焼入れ硬化部7は、被焼入れ部分(第1亜鉛メッキ鋼板1のうち焼入れ硬化部7以外の部分)よりも硬度が高く、材料の伸び(展延性)が失われている。
次に、ステップS3へと進んで、焼入れ硬化部7が形成された第1亜鉛メッキ鋼板1をプレス加工機8によって加圧する。これにより、被焼入れ部分は伸びて減肉するが、焼入れ硬化部7は硬く伸びが少ないため減肉しない。この結果、焼入れ硬化部7がその周囲に比べて突出した凸形状となる。
そして、ステップS4へと進んで、第1亜鉛メッキ鋼板1の減肉部9に第2亜鉛メッキ鋼板2を重ね合わせ、溶接加工を行う。このとき、第1亜鉛メッキ鋼板1には焼入れ硬化部7が凸形状となり、その周囲に減肉部9が形成されている。このため、第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2は密着せず、その間に減肉部9の分だけごく僅かな隙間が生じる。
これにより、溶接熱によって亜鉛メッキ層から亜鉛ガスが生じても、亜鉛ガスが隙間に流れ込み、第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2の溶融部分に吸収されることを防止できる。すなわち、加熱によって亜鉛メッキ層から発生する亜鉛ガスを逃がすための微細な隙間を、重ねた第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2同士の間に容易に確保することができる。そして、亜鉛ガスが溶融部分に入り込まないため、溶接部位Rに高品質の接合部Sを形成することができる。
さらに、実施例1の板材の溶接方法では、ステップS4の溶接加工によって第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2が一体化した後、ステップS5へと進んでプレス成型を行い、プレス加工品Pを成型する。つまり、プレス成型工程は、焼入れ硬化部7を形成する焼入れ工程、及び、減肉部9を形成する加圧工程の後に実行される。
このため、焼入れ硬化部7や減肉部9を形成することによるプレス加工品Pの精度低下を防止し、高精度のプレス加工品Pを形成することができる。
特に、実施例1では、溶接加工した後にプレス成型しているので、熱加工によるプレス加工品Pの精度低下をさらに防止することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の板材の溶接方法にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 加熱によりガス(亜鉛ガス)が発生する被覆層(亜鉛メッキ層)によって表面処理された板材を含む少なくとも二枚の板材(第1亜鉛メッキ鋼板1、第2亜鉛メッキ鋼板2)同士を重ね合わせて溶接する際に、前記板材(第1亜鉛メッキ鋼板1、第2亜鉛メッキ鋼板2)同士の間に微細な隙間を確保する板材の溶接方法において、
平板状の第1の板材(第1亜鉛メッキ鋼板)1に対し、溶接部位Rの近傍位置に焼入れ加工することで焼入れ硬化部7を形成する焼入れ工程(ステップS2)と、
前記焼入れ工程(ステップS2)によって前記焼入れ硬化部7が形成された前記第1の板材(第1亜鉛メッキ鋼板)1をプレス加工し、前記焼入れ硬化部7の周囲に減肉部9を形成する加圧工程(ステップS3)と、
前記加圧工程(ステップS3)によって形成された前記減肉部9に第2の板材(第2亜鉛メッキ鋼板)2を重ね合わせ、前記減肉部9によって板材間の微細な隙間を確保してから前記溶接部位Rを溶融溶接する溶接工程(ステップS4)と、
を備えた構成とした。
これにより、溶接熱によって亜鉛メッキ層から発生する亜鉛ガスを逃がすための微細な隙間を、重ねた第1,第2亜鉛メッキ鋼板1,2同士の間に容易に確保することができる。
(2) 前記焼入れ工程(ステップS2)及び前記加圧工程(ステップS3)は、少なくとも前記第1の板材(第1亜鉛メッキ鋼板)1をプレス成型して任意の形状に変形するプレス成型工程(ステップS5)よりも前に実行する構成とした。
これにより、焼入れ硬化部7や減肉部9を形成することによるプレス加工品Pの精度低下を防止し、高精度のプレス加工品Pを形成することができる。
(実施例2)
実施例2は、焼入れ硬化部の形成位置を、実施例1とは異なる構成とした例である。
図10は、実施例2の板材の溶接方法における焼入れ工程を示す要部説明図である。図11は、実施例2の板材の溶接方法における加圧工程を示す要部説明図である。以下、図10及び図11に基づき、実施例2の溶接方法を説明する。なお、実施例1と同等の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
実施例2の板材の溶接方法では、実施例1の場合と同様に、ブランク工程→焼入れ工程→加圧工程→溶接工程→プレス成型工程の順に行う。
ここで、レーザ溶接加工機3によって、第1亜鉛メッキ鋼板1上の焼入れ部位Yにレーザ光4を照射し、焼入れ硬化部7を形成する焼入れ工程では、図10に示すように、第1亜鉛メッキ鋼板1の表面のうち、減肉部9を形成したい面(図10では上面1a)に対してレーザ光4を照射して焼入れ加工を行う。このとき、レーザ光4のエネルギー密度を調整し、焼入れ範囲が第1亜鉛メッキ鋼板1の表面のうち、減肉部9を形成したくない面(図10では下面1b)にまで至らないようにする。そして、減肉部9を形成したい面(上面1a)の表面に焼入れ硬化部7を形成する。
これにより、加圧工程において、第1亜鉛メッキ鋼板1をプレス加工機(ここでは図示せず)によって加圧した際、焼入れ硬化部7が上面1aの表面に形成されているので、下面1b側では、全面が均一に伸びることとなる。そのため、図11に示すように、上面1aには焼入れ硬化部7によって生じた凸形状と、その周囲に形成される減肉部9が生じる。一方、下面1bは均一に伸びるので平坦面となる。
このように、実施例2の溶接方法では、焼入れ硬化部7を第1亜鉛メッキ鋼板1の表面のうち、減肉部9を形成したい面(上面1a)の表面に形成することで、減肉部9を形成したくない反対側の面(下面1b)は、平坦面とすることができる。
このため、下面1b側の見栄えを損なうことがなくなり、プレス加工品の外観悪化を防止することができる。
すなわち、実施例2の板材の溶接方法にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(3) 前記焼入れ工程では、前記第1の板材(第1亜鉛メッキ鋼板)1の表面のうち、前記減肉部9を形成したい面(上面)1aに対して前記焼入れ加工を行い、前記減肉部9を形成したい面(上面)1aの表面に前記焼入れ硬化部7を設ける構成とした。

これにより、減肉部9を形成したくない反対側の面(下面1b)の見栄えを損なうことがなくなり、プレス加工品の外観悪化を防止することができる。
以上、本発明の板材の溶接方法を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
上記各実施例では、レーザ溶接加工機3から照射するレーザ光4は、加工ヘッド6から一方向(直進方向)のみに照射される例を示したが、これに限らない。図12に示すように、加工ヘッド6から任意の方向に対してレーザ光4を照射するものであってもよい。この場合では、レーザ溶接加工機3の移動量をさらに抑制することができ、短時間での加工を可能とすることができる。
また、実施例1では、直線状の溶接部位Rに対して、複数の焼入れ部位Yを設定する例を示したが、これに限らない。図13に示すように、一部が途切れた円環状の溶接部位Rに対し、この溶接部位Rの中心位置に焼入れ部位Yを設定するものであってもよい。なお、溶接部位Rに対して設定される焼入れ部位Yの位置は適宜設定されるものであり、これらの例に限らない。
また、実施例1では、第1亜鉛メッキ鋼板1と第2亜鉛メッキ鋼板2を同一のものとしているが、一方は亜鉛メッキ層を有していない鋼板であってもよい。なお、上記各実施例では亜鉛メッキ鋼板について記載しているが、本発明は、加熱によりガスが発生する被覆層が形成されている板材の溶接一般に適用可能である。
1 第1亜鉛メッキ鋼板(第1の板材)
2 第2亜鉛メッキ鋼板(第2の板材)
3 レーザ溶接加工機
4 レーザ光
5 光ファイバケーブル
6 加工ヘッド
7 焼入れ硬化部
8 プレス加工機
9 減肉部
R 溶接部位(溶接予定部位)
Y 焼入れ部位
S 接合部
P プレス加工品

Claims (3)

  1. 加熱によりガスが発生する被覆層によって表面処理された板材を含む少なくとも二枚の板材同士を重ね合わせて溶接する際に、前記板材同士の間に微細な隙間を確保する板材の溶接方法において、
    平板状の第1の板材に対し、溶接予定部位の近傍位置に焼入れ加工することで焼入れ硬化部を形成する焼入れ工程と、
    前記焼入れ工程によって前記焼入れ硬化部が形成された前記第1の板材をプレス加工することにより、前記焼入れ硬化部の周囲に減肉部を形成する加圧工程と、
    前記加圧工程によって形成された前記減肉部に第2の板材を重ね合わせ、前記減肉部によって板材間の微細な隙間を確保してから前記溶接予定部位を溶融溶接する溶接工程と、
    を備えたことを特徴とする板材の溶接方法。
  2. 請求項1に記載された板材の溶接方法において、
    前記焼入れ工程では、前記第1の板材の表面のうち、前記減肉部を形成したい面に対して前記焼入れ加工を行い、前記減肉部を形成したい面の表面に前記焼入れ硬化部を設ける
    ことを特徴とする板材の溶接方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された板材の溶接方法において、
    前記焼入れ工程及び前記加圧工程は、少なくとも前記第1の板材をプレス成型して任意の形状に変形するプレス成型工程よりも前に実行する
    ことを特徴とする板材の溶接方法。
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