JPH10258768A - 自動車車体部品およびその製造方法 - Google Patents

自動車車体部品およびその製造方法

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JPH10258768A
JPH10258768A JP9065103A JP6510397A JPH10258768A JP H10258768 A JPH10258768 A JP H10258768A JP 9065103 A JP9065103 A JP 9065103A JP 6510397 A JP6510397 A JP 6510397A JP H10258768 A JPH10258768 A JP H10258768A
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hat
panel
body part
ridge
shaped
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Application number
JP9065103A
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English (en)
Inventor
Takakuni Iwase
瀬 孝 邦 岩
Osamu Niikura
倉 治 新
Hironori Sakamoto
元 宏 規 坂
Hiroshi Tarui
井 大 志 樽
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲げ強度の維持ないし向上を図ったうえで、
重量の軽減化を図り、また、高い曲げ強度を有する自動
車車体部品の製造を簡単なものとする。 【解決手段】 断面が略ハット形状をなしかつその稜部
11a,11aに曲率半径Rの丸みをつけたアウタパネ
ル11と、断面が略ハット形状をなしかつその稜部12
a,12aに曲率半径Rの丸みをつけたインナパネル1
2とからなり、アウタパネル11およびインナパネル1
2の合計4つの稜部11a,12aおよび各々の稜部1
1a,12aの両側でかつ丸みの始終端Rs,Reから
それぞれ幅dが5mm以内の範囲に、高エネルギビーム
の照射による焼き入れをそれぞれ施した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、センター
ピラーのような自動車車体を構成する自動車車体部品お
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上記した自動車車体を構成する自
動車車体部品としては、例えば、図11に示すセンター
ピラー101があった。
【0003】図11に示すように、このセンターピラー
101は、鋼板あるいはアルミニウム合金板をプレス成
形してなる断面が略ハット形状をなすアウタパネル10
2と、これと同じく鋼板あるいはアルミニウム合金板を
プレス成形してなる断面が略ハット形状をなすインナパ
ネル103を備えており、アウタパネル102およびイ
ンナパネル103の鍔部分102a,103a同士を接
合して、全体で略角筒状をなすものとなっている。
【0004】このセンターピラー101では、曲げ荷重
を受けた場合に、曲がり部分の断面が図12(a)に示
す状態から図12(b)に示す状態になるのを防ぐため
に、すなわち、アウタパネル102およびインナパネル
103の各稜部102b,103bが広げられて大きく
潰れるのを防ぐために、アウタパネル102およびイン
ナパネル103の間に、断面が略ハット形状をなす鋼板
よりなる補強パネル104や、断面が略溝形状をなす鋼
板よりなる補強パネルを設けるようにしており、補強パ
ネル104は、図13に示すように、その鍔部分104
aをアウタパネル102およびインナパネル103の鍔
部分102a,103aの間に挟み込ませた状態で固定
され、図14に示すように、補強パネル105は、その
側縁部105cとインナパネル103の立壁部103c
とを溶着して固定されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のセン
ターピラー101(自動車車体部品)にあっては、曲げ
強度を高く維持するための補強パネル104,105を
設けていることから、その分だけ、重量が増してしま
い、すなわち、車体重量が増加してしまうという問題が
あった。
【0006】また、断面が略溝形状をなす補強パネル1
05を用いた場合には、断面が略ハット形状をなす補強
パネル104を用いた場合よりも若干の重量軽減がなさ
れるものの、補強パネル105の側縁部105cとイン
ナパネル103の立壁部103cとを溶接により固定す
る際には、補強パネル105の内側に中子を入れて外側
からインナパネル103の立壁部103cを押圧して、
補強パネル105の側縁部105cとインナパネル10
3の立壁部103cとを密着させなくてはならず、作業
性が良いとは言えないという問題も有しており、これら
の問題を解決することが従来の課題であった。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記した従来の課題に着目し
てなされたもので、曲げ強度の維持ないし向上を図った
うえで、車体重量の軽減に寄与することができる自動車
車体部品を提供することを目的とし、また、高い曲げ強
度を有する自動車車体部品を簡単に製造することが可能
である自動車車体部品の製造方法を提供することを目的
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係わ
る発明は、略角筒状をなし複数の稜部に丸みをつけた自
動車車体部品であって、複数の稜部のうちの少なくとも
一つの稜部およびその近傍は、曲げ荷重を受けた状態で
その形状を略維持可能としてある構成としており、この
自動車車体部品の構成を前述した従来の課題を解決する
ための手段としている。
【0009】本発明の請求項2に係わる発明は、略角筒
状をなし複数の稜部に丸みをつけた鋼板よりなる自動車
車体部品であって、複数の稜部のうちの少なくとも一つ
の稜部およびその近傍に、焼き入れが施してある構成と
しており、この自動車車体部品の構成を従来の課題を解
決するための手段としている。
【0010】本発明の請求項3に係わる自動車車体部品
は、稜部および稜部の両側でかつ丸みの始終端からそれ
ぞれ幅が5mm以内の範囲に焼き入れが施してある構成
とし、本発明の請求項4に係わる自動車車体部品におい
て、焼き入れは高エネルギビームの照射によりなされて
いる構成としている。
【0011】本発明の請求項5に係わる発明は、略角筒
状をなし複数の稜部に丸みをつけた鋼板よりなる自動車
車体部品であって、複数の稜部のうちの少なくとも一つ
の稜部およびその近傍に、長手方向に沿う複数本の溶融
ビードを3〜4mmの間隔で略平行に配置してある構成
としている。
【0012】本発明の請求項6に係わる発明は、略角筒
状をなし複数の稜部に丸みをつけた鋼板よりなる自動車
車体部品であって、複数の稜部のうちの少なくとも一つ
の稜部およびその近傍に、長手方向と略直交する方向に
沿う複数本の溶融ビードを5〜10mmの間隔で略平行
に配置してある構成としている。
【0013】本発明の請求項7に係わる自動車車体部品
は、稜部および稜部の両側でかつ丸みの始終端からそれ
ぞれ幅が5mm以内の範囲に溶融ビードを配置してある
構成とし、本発明の請求項8に係わる自動車車体部品に
おいて、溶融ビードは高エネルギビームの照射により形
成してある構成とし、本発明の請求項9に係わる自動車
車体部品において、溶融ビードは0.5〜2.0mmの
幅を有しかつ深さが鋼板板厚の半分を越える部位に達し
ている構成としている。
【0014】本発明の請求項10に係わる自動車車体部
品は、断面が略ハット形状の鋼板よりなる2枚のハット
形パネルの鍔部分同士を接合して形成されている構成と
している。
【0015】本発明の請求項11に係わる自動車車体部
品の製造方法は、略角筒状をなす自動車車体部品を製造
するに際して、鋼板にプレス加工を行って断面が略ハッ
ト形状をなしかつ稜部に丸みをつけた2枚のハット形パ
ネルを形成し、2枚のハット形パネルにおける複数の稜
部のうちの少なくとも一つの稜部およびその近傍に焼き
入れを施した後、2枚のハット形パネルの鍔部分同士を
接合する構成としており、この自動車車体部品の製造方
法の構成を従来の課題を解決するための手段としてい
る。
【0016】本発明の請求項12に係わる自動車車体部
品の製造方法は、略角筒状をなす自動車車体部品を製造
するに際して、鋼板にプレス加工を行って断面が略ハッ
ト形状をなしかつ稜部に丸みをつけた2枚のハット形パ
ネルを形成し、2枚のハット形パネルにおける複数の稜
部のうちの少なくとも一つの稜部およびその近傍に長手
方向に沿う溶融ビードあるいは長手方向と略直交する方
向に沿う溶融ビードを略平行に並べて複数本形成した
後、2枚のハット形パネルの鍔部分同士を接合する構成
としている。
【0017】本発明の請求項13に係わる発明は、断面
が略ハット形状の鋼板よりなる2枚のハット形パネルの
鍔部分同士を接合して略角筒状に形成されかつ複数の稜
部に丸みをつけた自動車車体部品であって、中空部分に
は断面が略溝形状の鋼板よりなる補強パネルを備え、補
強パネルの側縁部と一方のハット形パネルの稜部とを溶
接により固定すると共に、補強パネルの稜部と他方のハ
ット形パネルの稜部とを溶接により固定した構成とし、
本発明の請求項14に係わる自動車車体部品は、補強パ
ネルの側縁部に、一方のハット形パネルの稜部につけた
丸みの曲率よりも大きい曲率の丸みをつけた構成として
いる。
【0018】本発明の請求項15に係わる発明は、断面
が略ハット形状の鋼板よりなる2枚のハット形パネルの
鍔部分同士を接合して略角筒状に形成されかつ複数の稜
部に丸みをつけた自動車車体部品であって、中空部分に
略角筒状をなしかつ複数の稜部に丸みをつけた鋼板より
なる補強パネルを備え、補強パネルの稜部と両ハット形
パネルの各稜部とを溶接によりそれぞれ固定した構成と
し、本発明の請求項16に係わる自動車車体部品は、長
手方向と略直交する方向に沿う溶接が3〜4mmの間隔
で略平行してなされている構成とし、本発明の請求項1
7に係わる自動車車体部品は、高エネルギビームの照射
による溶接により補強パネルとハット形パネルとを固定
した構成としている。
【0019】本発明の請求項18に係わる自動車車体部
品の製造方法は、略角筒状をなす自動車車体部品を製造
するに際して、鋼板にプレス加工を行って、断面が略ハ
ット形状をなしかつ稜部に丸みをつけた2枚のハット形
パネルおよび断面が略溝形状をなしかつ稜部に丸みをつ
けた補強パネルを形成し、補強パネルの側縁部と一方の
ハット形パネルの稜部とを高エネルギビームの照射によ
る溶接により固定するのに続いて、2枚のハット形パネ
ルの鍔部分同士を接合した後、補強パネルの稜部と他方
のハット形パネルの稜部とを高エネルギビームの照射に
よる溶接により固定する構成とし、本発明の請求項19
に係わる自動車車体部品の製造方法は、補強パネルの側
縁部に、一方のハット形パネルの稜部につけた丸みの曲
率よりも大きい曲率の丸みをつけてある構成としてい
る。
【0020】本発明の請求項20に係わる自動車車体部
品の製造方法では、略角筒状をなす自動車車体部品を製
造するに際して、鋼板にプレス加工を行って断面が略ハ
ット形状をなしかつ稜部に丸みをつけた2枚のハット形
パネルを形成すると共に、鋼管に内圧を加えて断面が略
口形状をなしかつ稜部に丸みをつけた補強パネルを形成
し、補強パネルの隣り合う2個の稜部と一方のハット形
パネルの稜部とを高エネルギビームの照射による溶接に
より固定するのに続いて、2枚のハット形パネルの鍔部
分同士を接合した後、補強パネルの他の2個の稜部と他
方のハット形パネルの稜部とを高エネルギビームの照射
による溶接により固定する構成としている。
【0021】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わる自動車車体部
品では、曲げ荷重を受けた場合、複数の稜部のうちの少
なくとも一つの稜部およびその近傍がその形状を略維持
することとなり、この際、稜部およびその近傍の肉厚を
増したり、補強部材を設けたりしないので、曲げ強度を
維持したうえでの重量の軽減が図られることとなる。
【0022】本発明の請求項2〜4に係わる自動車車体
部品では、焼き入れを施した複数の稜部のうちの少なく
とも一つの稜部およびその近傍の降伏強度が高くなって
いるので、曲げ荷重を受けた場合には、稜部およびその
近傍の肉厚を増したり、補強部材を取付けたりしなくて
も、焼き入れを施した部位がその形状を略維持すること
となり、したがって、曲げ強度の維持ないし向上を図り
つつ、車体重量の軽減に寄与することとなる。
【0023】本発明の請求項5〜9に係わる自動車車体
部品では、溶融ビードを配置した部位が焼き入れを施し
た場合と同等の強度を有していることから、すなわち、
溶融ビードを配置した複数の稜部のうちの少なくとも一
つの稜部およびその近傍の降伏強度が高くなっているこ
とから、稜部およびその近傍の肉厚を増したり、補強部
材を取付けたりしなくても、高い曲げ強度を有すること
となり、重量の軽減化が図られることとなる。
【0024】本発明の請求項10に係わる自動車車体部
品では、2枚のハット形パネルにおける複数の稜部のう
ちの少なくとも一つの稜部およびその近傍に焼き入れを
施す、あるいは、溶融ビードを配置するようになせば、
鋼板に対するプレス加工が降伏強度の低い時点でなされ
ることとなり、プレス成形が容易なものとなる。
【0025】本発明の請求項11および12に係わる自
動車車体部品の製造方法では、プレス加工を行って成形
された2枚のハット形パネルにおける複数の稜部のうち
の少なくとも一つの稜部およびその近傍に対して、焼き
入れを施す、あるいは、溶融ビードを配置するようにし
ているので、プレス加工は鋼板の降伏強度が低い段階で
なされることとなり、プレス成形が簡単になされること
となる。
【0026】本発明の請求項13に係わる自動車車体部
品では、溶接による補強パネルの側縁部と一方のハット
形パネルの稜部との接合部位および補強パネルの稜部と
他方のハット形パネルの稜部との接合部位が焼き入れを
施した場合と同等の強度を有していることから、全体で
は高い曲げ強度を有することとなり、これとほぼ同じ曲
げ強度を有する従来の補強パネル付き自動車車体部品と
比較した場合には、ハット形パネルおよび補強パネルが
いずれも薄肉でよいこととなり、その結果、重量の軽減
化が図られることとなる。
【0027】本発明の請求項14に係わる自動車車体部
品では、補強パネルの側縁部と、一方のハット形パネル
の稜部とが線接触するので、パネルが、例えば、亜鉛メ
ッキ鋼板である場合には、溶接時に発生するガスが逃げ
やすくなり、溶接状態が良好なものとなる。
【0028】本発明の請求項15および16に係わる自
動車車体部品において、請求項13に係わる自動車車体
部品と同じく、全体で高い曲げ強度を有することから、
これとほぼ同じ曲げ強度を有する従来の補強パネル付き
自動車車体部品よりも軽量になり、本発明の請求項17
に係わる自動車車体部品では、ハット形パネルの外側か
ら高エネルギビームを照射すれば、補強パネルとハット
形パネルとの固定がなされることとなる。
【0029】本発明の請求項18に係わる自動車車体部
品の製造方法では、請求項11および12に係わる自動
車車体部品の製造方法と同様に、プレス加工は鋼板の降
伏強度が低い段階でなされることから、プレス成形が簡
単になされることとなり、本発明の請求項19に係わる
自動車車体部品の製造方法において、補強パネルの側縁
部と一方のハット形パネルの稜部とを接合する際には、
補強パネルを一方のハット形パネル側に押圧するだけで
補強パネルの側縁部と一方のハット形パネルの稜部とが
互いに密着することから、従来のように中子を必要とす
ることなく、補強パネルと一方のハット形パネルとの溶
接がなされることとなる。
【0030】本発明の請求項20に係わる自動車車体部
品の製造方法において、請求項18に係わる自動車車体
部品の製造方法と同様に、2枚のハット形パネルを形成
するプレス加工および鋼管に内圧を加えて補強パネルを
形成する加工、例えば、液圧加工がいずれも降伏強度が
低い段階でなされることから、プレス成形および液圧成
形が簡単になされることとなる。
【0031】
【発明の効果】本発明の請求項1に係わる自動車車体部
品では、稜部およびその近傍の肉厚を大きくしたり、補
強部材を設けたりすることなく、曲げ強度の維持ないし
向上を実現でき、その結果、車体重量の軽減化に大いに
寄与することが可能であるという非常に優れた効果がも
たらされる。
【0032】本発明の請求項2〜4に係わる自動車車体
部品では、稜部およびその近傍の肉厚を増したり、補強
部材を取付けたりしなくても、複数の稜部のうちの少な
くとも一つの稜部およびその近傍の降伏強度を高くする
ことができるので、したがって、曲げ強度の維持ないし
向上を実現したうえで、車体の軽量化に貢献することが
できるという非常に優れた効果がもたらされる。
【0033】本発明の請求項5〜9に係わる自動車車体
部品では、請求項2〜4に係わる自動車車体部品と同じ
く、複数の稜部のうちの少なくとも一つの稜部およびそ
の近傍の降伏強度を高くすることが可能であり、すなわ
ち、稜部およびその近傍の肉厚を増したり、補強部材を
取付けたりしなくても、高い曲げ強度を維持ないし向上
させることができ、その結果、重量の軽減化を実現する
ことが可能であるという非常に優れた効果がもたらされ
る。
【0034】本発明の請求項10に係わる自動車車体部
品では、2枚のハット形パネルにおける複数の稜部のう
ちの少なくとも一つの稜部およびその近傍に焼き入れを
施す、あるいは、溶融ビードを配置するようになせば、
鋼板に対するプレス加工を降伏強度の低い時点で行う、
すなわち、プレス成形を簡単に行うことができるという
非常に優れた効果がもたらされる。
【0035】本発明の請求項11および12に係わる自
動車車体部品の製造方法では、プレス成形を簡単に行う
ことができるので、高い曲げ強度を有する自動車車体部
品を簡単に製造することが可能であるという非常に優れ
た効果がもたらされる。
【0036】本発明の請求項13に係わる自動車車体部
品では、補強パネルの側縁部と一方のハット形パネルの
稜部との接合部位および補強パネルの稜部と他方のハッ
ト形パネルの稜部との接合部位に焼き入れを施した場合
と同等の強度を持たせて、全体で高い曲げ強度を保有さ
せることができるので、これとほぼ同じ曲げ強度を有す
る従来の補強パネル付き自動車車体部品よりも、ハット
形パネルおよび補強パネルの厚みを薄くでき、その結
果、重量の軽減化を実現することが可能であるという非
常に優れた効果がもたらされる。
【0037】本発明の請求項14に係わる自動車車体部
品では、補強パネルの側縁部と、一方のハット形パネル
の稜部とを線接触させることができるので、パネルが、
例えば、亜鉛メッキ鋼板である場合には、溶接時に発生
するガスを逃がすことが可能であり、溶接状態を良好な
ものとすることができるという非常に優れた効果がもた
らされる。
【0038】本発明の請求項15および16に係わる自
動車車体部品において、請求項13に係わる自動車車体
部品と同じく、これとほぼ同じ曲げ強度を有する従来の
補強パネル付き自動車車体部品よりも軽くすることが可
能であり、本発明の請求項17に係わる自動車車体部品
では、ハット形パネルの外側から高エネルギビームを照
射するだけで、補強パネルとハット形パネルとを固定す
ることができ、したがって、溶接作業の向上を実現でき
るという非常に優れた効果がもたらされる。
【0039】本発明の請求項18に係わる自動車車体部
品の製造方法では、請求項11および12に係わる自動
車車体部品の製造方法と同様に、プレス成形を簡単に行
うことができるので、高い曲げ強度を有する自動車車体
部品を簡単に製造することが可能であるという非常に優
れた効果がもたらされ、本発明の請求項19に係わる自
動車車体部品の製造方法において、補強パネルの側縁部
と一方のハット形パネルの稜部とを接合する際には、従
来のように中子を用いる必要がないので、溶接作業性の
向上を実現できるという非常に優れた効果がもたらされ
る。
【0040】本発明の請求項20に係わる自動車車体部
品の製造方法において、2枚のハット形パネルを形成す
るプレス加工および鋼管に内圧を加えて補強パネルを形
成する加工、例えば、液圧加工を簡単に行うことができ
るので、高い曲げ強度を有する自動車車体部品を簡単に
製造することが可能であるという非常に優れた効果がも
たらされる。
【0041】
【実施例】以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0042】[第1実施例]図1は本発明に係わる自動
車車体部品の一実施例を示しており、この実施例では、
本発明に係わる自動車車体部品が車体を構成するセンタ
ーピラーである場合を示す。
【0043】図1に示すように、自動車車体1を構成す
るセンターピラー10は、鋼板をプレス成形してなる断
面が略ハット形状をなしかつその稜部11a,11aに
曲率半径Rの丸みをつけたアウタパネル11と、これと
同じく鋼板をプレス成形してなる断面が略ハット形状を
なしかつその稜部12a,12aに曲率半径Rの丸みを
つけたインナパネル12とからなり、アウタパネル11
およびインナパネル12の鍔部分11b,12b同士を
スポット溶接により接合して、全体で略角筒状をなすも
のとなっている。
【0044】このセンターピラー10において、曲げ荷
重を受けた場合に、アウタパネル11およびインナパネ
ル12の各稜部11a,12aが押し広げられて中空部
分が大きく潰れるのを防ぐために、アウタパネル11お
よびインナパネル12の合計4つの稜部11a,12a
および各々の稜部11a,12aの両側でかつ丸みの始
終端Rs,Reからそれぞれ幅dが5mm以内の範囲
(図1(c)においてドットで塗り潰した範囲)に、高
エネルギビームの照射による焼き入れがそれぞれ施して
ある。
【0045】この略角筒状をなすセンターピラー10を
製造するに際しては、まず、鋼板にプレス加工を行って
断面が略ハット形状をなしかつ稜部11a,12aに曲
率半径Rの丸みをつけたアウタパネル11およびインナ
パネル12を形成する。
【0046】次いで、アウタパネル11およびインナパ
ネル12の合計4つの稜部11a,12aおよび各々の
稜部11a,12aの両側でかつ丸みの始終端Rs,R
eからそれぞれ幅dが5mm以内の範囲に、レーザビー
ムなどの高エネルギビームを照射して焼き入れをそれぞ
れ施した後、アウタパネル11およびインナパネル12
の鍔部分11b,12b同士をスポット溶接により接合
する。
【0047】このセンターピラー10では、図2に示す
グラフ(焼き入れによる鋼板の特性を示すグラフ)から
わかるように、焼き入れを施した4つの稜部11a,1
2aおよび各々の稜部11a,12aの両側でかつ丸み
の始終端Rs,Reからそれぞれ幅dが5mm以内の範
囲の降伏強度が高くなるため、曲げ荷重を受けた場合に
は、焼き入れを施した部位がそれぞれ形状を略維持する
こととなる。
【0048】つまり、稜部11a,12aおよびその近
傍の肉厚を大きくしたり、補強部材を必要としたりする
ことなく、曲げ強度の維持ないし向上が図られ、その結
果、車体1の重量軽減に寄与することとなる。
【0049】また、このセンターピラー10を製造する
際には、プレス加工を行って成形されたアウタパネル1
1およびインナパネル12の稜部11a,12aおよび
それらの近傍に対して、焼き入れを施すようにしている
ことから、アウタパネル11およびインナパネル12を
成形するプレス加工は鋼板の降伏強度が低い段階でなさ
れることとなり、プレス成形が簡単になされることとな
る。
【0050】ここで、図3に示すように、センターピラ
ー10を模した略角筒状をなすモデルM(長さL=90
0mm,幅W=70mm,高さH=60mm)の外力を
受ける側(図示右側)に位置するパネルM11(アウタ
パネル11に相当)の2つの稜部Ma,Maに焼き入れ
を施し、2つの稜部Ma,Ma近傍に焼き入れ時に得ら
れる材料特性値を用いて、剛体Sを矢印方向に押し込
み、曲げ部の進入量(mm)を比較する数値解析を実施
したところ、図4のグラフに示す結果を得た。
【0051】図4の検証結果から、剛体SがモデルMの
パネルM11に接触して20msecの時間が経過した
時点における進入量と、剛体SがモデルMの焼き入れを
施していないパネルに接触して20msecの時間が経
過した時点における進入量とを比較すると、焼き入れを
施したパネルM11の進入量が焼き入れを施していない
パネルの進入量よりも15%低く抑えられ、焼き入れを
施した場合に曲げ強度が向上することがわかり、このこ
とから、上記センターピラー10が高い曲げ強度を有し
ていることが実証できた。
【0052】[第2実施例]図5は本発明に係わる自動
車車体部品の他の実施例を示しており、この実施例にお
いても、本発明に係わる自動車車体部品が先の実施例に
おけるセンターピラー10と同一の部位に配置されるセ
ンターピラーである場合を例示する。
【0053】図5に示すように、このセンターピラー2
0が第1実施例におけるセンターピラー10と相違する
ところは、アウタパネル11の2つの稜部11a,11
aおよび各々の稜部11a,11aの両側でかつ曲率半
径Rの丸みの始終端Rs,Reからそれぞれ幅dが5m
m以内の範囲に、高エネルギビームの照射による溶融ビ
ードBを長手方向に沿って複数本形成した点にあり、他
の構成は第1実施例におけるセンターピラー10と同じ
である。
【0054】この場合、複数本の溶融ビードBは、3〜
4mmの間隔Pをおいて互いに略平行をなすようにして
配置してある。また、溶融ビードBは0.5〜2.0m
mの幅wを有しかつ深さがアウタパネル11の板厚の半
分を越える部位に達するように形成してある。
【0055】このセンターピラー20を製造するに際し
ても、まず、鋼板にプレス加工を行って断面が略ハット
形状をなしかつ稜部11a,12aに丸みをつけたアウ
タパネル11およびインナパネル12を形成する。
【0056】次いで、アウタパネル11の2つの稜部1
1a,11aおよび各々の稜部11a,11aの両側で
かつ丸みの始終端Rs,Reからそれぞれ幅dが5mm
以内の範囲に、レーザビームなどの高エネルギビームを
照射して溶融ビードBを長手方向に沿って複数本形成し
た後、アウタパネル11およびインナパネル12の鍔部
分11b,12b同士をスポット溶接により接合する。
【0057】このセンターピラー20では、複数本の溶
融ビードBを配置した部位が焼き入れを施した場合と同
等の強度を有していることから、すなわち、複数本の溶
融ビードBを配置したアウタパネル11の2つの稜部1
1a,11aおよびそれらの近傍の降伏強度が高くなる
ことから、稜部11a,11aおよびそれらの近傍の肉
厚を増したり、補強部材を取付けたりしなくても、高い
曲げ強度を有することとなり、したがって、重量の軽減
化が図られることとなる。
【0058】また、このセンターピラー20を製造する
際には、プレス加工を行って成形されたアウタパネル1
1の稜部11a,11aおよびそれらの近傍に対して、
溶融ビードBを長手方向に沿って複数本形成するように
しているので、アウタパネル11を成形するプレス加工
は鋼板の降伏強度が低い時点でなされ、プレス成形が容
易なものとなる。
【0059】[第3実施例]図6は本発明に係わる自動
車車体部品のさらに他の実施例によるセンターピラー3
0を示しており、このセンターピラー30が第2実施例
におけるセンターピラー20と相違するところは、アウ
タパネル11の2つの稜部11a,11aおよび各々の
稜部11a,11aの両側でかつ曲率半径Rの丸みの始
終端Rs,Reからそれぞれ幅dが5mm以内の範囲
に、高エネルギビームの照射による溶融ビードBを長手
方向と略直交する方向に沿って複数本形成した点にあ
り、他の構成は第2実施例におけるセンターピラー20
と同じである。
【0060】この場合、複数本の溶融ビードBは、5〜
10mmの間隔Pをおいて互いに略平行をなすようにし
て配置してある。また、この実施例においても、溶融ビ
ードBは0.5〜2.0mmの幅wを有しかつ深さがア
ウタパネル11の板厚の半分を越える部位に達するよう
に形成してある。
【0061】このセンターピラー30においても、複数
本の溶融ビードBを配置したアウタパネル11の2つの
稜部11a,11aおよびそれらの近傍の降伏強度が高
くなるので、第2実施例におけるセンターピラー20と
同じく、曲げ強度の維持ないし向上を図りつつ、重量の
軽減に寄与することとなる。
【0062】また、このセンターピラー30を製造する
に際しても、鋼板にプレス加工を行って形成されたアウ
タパネル11の2つの稜部11a,11aおよび各々の
稜部11a,11aの近傍に、高エネルギビームを照射
して溶融ビードBを長手方向と略直交する方向に沿って
複数本形成した後、アウタパネル11およびインナパネ
ル12の鍔部分11b,12b同士をスポット溶接によ
り接合するようにしているので、プレス成形が容易なも
のとなる。
【0063】[第4実施例]図7は本発明に係わる自動
車車体部品のさらに他の実施例を示しており、この実施
例においても、本発明に係わる自動車車体部品がセンタ
ーピラーである場合を示す。
【0064】図7に示すように、このセンターピラー4
0は、鋼板をプレス成形してなる断面が略ハット形状を
なしかつその稜部41a,41aに曲率半径R1の丸み
をつけたアウタパネル(他方のハット形パネル)41
と、これと同じく鋼板をプレス成形してなる断面が略ハ
ット形状をなしかつその稜部42a,42aに曲率半径
R2の丸みをつけたインナパネル(一方のハット形パネ
ル)42を備え、アウタパネル41およびインナパネル
42の鍔部分41b,42b同士をスポット溶接により
接合して、全体で略角筒状をなすものとなっている。
【0065】また、このセンターピラー40は、その中
空部分に断面が略溝形状の鋼板よりなる補強パネル43
を備えており、この補強パネル43の側縁部43bは、
インナパネル42の稜部42aに高エネルギビームの照
射による溶接により固定してあると共に、補強パネル4
3の稜部43aは、アウタパネル41の稜部41aに同
じく高エネルギビームの照射による溶接により固定して
ある。
【0066】この場合、補強パネル43の稜部43aに
は、アウタパネル41の稜部41aにつけた丸みの曲率
半径R1よりも小さい曲率半径R4の丸みがつけてあ
り、一方、補強パネル43の側縁部43bには、図7
(b)に拡大して示すように、インナパネル42の稜部
42aにつけた丸みの曲率半径R2よりも小さい曲率半
径R3の丸みがつけてある。
【0067】このセンターピラー40を製造するに際し
ては、まず、鋼板にプレス加工を行って、アウタパネル
41,インナパネル42および補強パネル43を形成す
る。
【0068】次いで、補強パネル43の側縁部43bと
インナパネル42の稜部42aとを高エネルギビームの
照射による溶接により固定するのに続いて、アウタパネ
ル41およびインナパネル42の鍔部分41b,42b
同士をスポット溶接により接合した後、補強パネル43
の稜部43aとアウタパネル41の稜部41aとを高エ
ネルギビームの照射による溶接により固定する。
【0069】このセンターピラー40において、溶接に
よる補強パネル43の側縁部43bとインナパネル42
の稜部42aとの接合部位および補強パネル43の稜部
43aとアウタパネル41の稜部41aとの接合部位
は、いずれも焼き入れを施した場合と同等の強度を有し
ていることから、全体では高い曲げ強度を有することと
なる。
【0070】ここで、アウタパネル41およびインナパ
ネル42の鍔部分41b,42b同士を接合したセンタ
ーピラーの稜部41a,42aに溶融ビードを形成した
場合と、溶融ビードを形成しない場合とでは、曲げ強度
を等価にした重量比較において、溶融ビードを形成した
センターピラーの方が溶融ビードを形成しないセンター
ピラーよりも約17%軽くなり、また、稜部41a,4
2aに溶融ビードを有するセンターピラーと、従来の補
強パネル付きセンターピラー(図13および図14に示
したセンターピラー101)とでは、曲げ強度を等価に
した重量比較において、溶融ビードを形成したセンター
ピラーの方が従来の補強パネル付きセンターピラーより
も約15%軽くなる。
【0071】つまり、この実施例におけるセンターピラ
ー40において、上記した構成とすることにより、前述
した2つの重量軽減効果を相乗的に得られることとな
り、このセンターピラー40では、図8に示すように、
これとほぼ同じ曲げ強度を有する従来の補強パネル付き
センターピラーと比較して、約25%の重量の軽減化が
実現することとなる。
【0072】また、このセンターピラー40では、補強
パネル43の側縁部43bに、インナパネル42の稜部
42aにつけた丸みの曲率半径R2よりも小さい曲率半
径R3の丸みをつけているので、補強パネル43の側縁
部43bと、インナパネル42の稜部42aとが線接触
することとなり、パネルが、例えば、亜鉛メッキ鋼板か
らなっている場合には、溶接時に発生するガスが逃げや
すくなって、溶接状態が良好なものとなり、この際、ア
ウタパネル41およびインナパネル42に対する補強パ
ネル43の固定を高エネルギビームの照射による溶接に
よって行っているので、アウタパネル41およびインナ
パネル42の外側から高エネルギビームを照射するだ
け、補強パネル43の固定がなされることとなり、した
がって、溶接作業も簡単なものとなる。
【0073】さらに、このセンターピラー40を製造す
る際には、アウタパネル41およびインナパネル42を
成形するプレス加工が鋼板の降伏強度が低い段階でなさ
れることから、プレス成形が簡単になされることとな
り、加えて、補強パネル43の側縁部43bとインナパ
ネル42の稜部42aとを接合する際には、補強パネル
43をインナパネル42側に押圧するだけで補強パネル
43の側縁部43bとインナパネル42の稜部42aと
が互いに密着することから、従来のように中子を必要と
することなく、補強パネル43とインナパネル42との
溶接がなされることとなる。
【0074】[第5実施例]図9は本発明に係わる自動
車車体部品のさらに他の実施例を示しており、この実施
例におけるセンターピラー(自動車車体部品)50が第
4実施例におけるセンターピラー40と相違するところ
は、アウタパネル41およびインナパネル42の鍔部分
41b,42b同士をスポット溶接により接合して形成
される中空部分に、略角筒状をなしかつ4つの稜部53
aに丸みをつけた鋼板よりなる補強パネル53を備え、
この補強パネル53の稜部53aとアウタパネル41お
よびインナパネル42の各々の稜部41a,42aとを
高エネルギビームの照射による溶接によりそれぞれ固定
した点にあり、他の構成は第4実施例におけるセンター
ピラー40と同じである。
【0075】この場合、補強パネル53の図示上側に位
置する2つの稜部53aには、アウタパネル41の稜部
41aにつけた丸みの曲率半径R1よりも小さい曲率半
径R4の丸みがつけてあり、一方、補強パネル53の図
示下側に位置する2つの稜部53aには、インナパネル
42の稜部42aにつけた丸みの曲率半径R2よりも小
さい曲率半径R3の丸みがつけてある。
【0076】このセンターピラー50を製造するに際し
ては、まず、鋼板にプレス加工を行って、アウタパネル
41およびインナパネル42を形成すると共に、鋼管に
内圧を加えて補強パネル53を形成する。
【0077】次いで、補強パネル53の隣り合う2個の
稜部53aとインナパネル42の稜部aとを高エネルギ
ビームの照射による溶接により固定するのに続いて、ア
ウタパネル41およびインナパネル42の鍔部分41
b,42b同士をスポット溶接により接合した後、補強
パネル53の他の2個の稜部53aとアウタパネル41
の稜部41aとを高エネルギビームの照射による溶接に
より固定する。
【0078】このセンターピラー50において、溶接に
より補強パネル53の稜部53aと接合するアウタパネ
ル41およびインナパネル42の各稜部41a,42a
は、いずれも焼き入れを施した場合と同等の強度を有し
ていることから、第4実施例におけるセンターピラー4
0と同じく、全体で高い曲げ強度を有することとなり、
これとほぼ同じ曲げ強度を有する従来の補強パネル付き
センターピラーよりも軽量になる。
【0079】また、このセンターピラー50を製造する
に際しても、アウタパネル41およびインナパネル42
を形成するプレス加工ならびに鋼管に内圧を加えて補強
パネル53を形成する加工(例えば、液圧加工)がいず
れも降伏強度が低い段階でなされるので、プレス成形お
よび液圧成形がどちらも簡単になされることとなる。
【0080】[第6実施例]図10は本発明に係わる自
動車車体部品のさらに他の実施例を示しており、この実
施例におけるセンターピラー(自動車車体部品)60が
第4実施例におけるセンターピラー40と相違するとこ
ろは、中空部分に位置する断面が略溝形状の鋼板よりな
る補強パネル63の側縁部63bとインナパネル42の
稜部42aとの固定を長手方向と略直交する方向に沿う
高エネルギビームの照射による溶接により行っていると
共に、補強パネル63の稜部63aと、アウタパネル4
1の稜部41aとの固定を同じく長手方向と略直交する
方向に沿う高エネルギビームの照射による溶接により行
っている点にあり、他の構成は第4実施例におけるセン
ターピラー40と同じである。
【0081】この場合、長手方向と略直交する方向に沿
う溶接は、3〜4mmの間隔Pで略平行して行うように
してある。
【0082】このセンターピラー60においても、長手
方向と略直交する方向に沿いかつ3〜4mmの間隔Pで
略平行して行う溶接による補強パネル63の側縁部63
bとインナパネル42の稜部42aとの接合部位および
補強パネル63の稜部63aとアウタパネル41の稜部
41aとの接合部位は、いずれも焼き入れを施した場合
と同等の強度を有していることから、全体では高い曲げ
強度を有することとなり、これとほぼ同じ曲げ強度を有
する従来の補強パネル付きセンターピラーと比較して、
軽量化が図られることとなる。
【0083】また、このセンターピラー60では、第4
実施例におけるセンターピラー40と同じく、補強パネ
ルの側縁部63bと、インナパネル42の稜部42aと
が線接触することとなり、パネルが、例えば、亜鉛メッ
キ鋼板からなっている場合には、溶接時に発生するガス
が逃げやすくなって、溶接状態が良好なものとなるう
え、アウタパネル41およびインナパネル42に対する
補強パネル63の固定を高エネルギビームの照射による
溶接によって行っているため、アウタパネル41および
インナパネル42の外側から高エネルギビームを照射す
るだけ、補強パネル43の固定がなされることとなり、
溶接作業が簡単なものとなる。
【0084】さらに、このセンターピラー60を製造す
る際には、プレス成形が簡単になされることとなるのに
加えて、補強パネル63の側縁部63bとインナパネル
42の稜部42aとを接合する際には、補強パネル63
をインナパネル42側に押圧すれば補強パネル63の側
縁部63bとインナパネル42の稜部42aとが互いに
密着するので、従来のように中子を用いなくてもよく、
その結果、溶接作業性が向上することとなる。
【0085】上記した各実施例では、本発明に係わる自
動車車体部品が車体を構成するセンターピラーである場
合を示したが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる自動車車体部品の一実施例によ
るセンターピラーの配置状況を示す自動車車体の全体斜
視説明図(a),センターピラーの分解斜視説明図
(b)およびセンターピラーの断面説明図(c)であ
る。
【図2】焼き入れによる鋼板の特性を示すグラフであ
る。
【図3】本発明に係わる自動車車体部品の効果を検証す
る状況を示すセンターピラーを模したモデルおよび剛体
の斜視説明図である。
【図4】図2におけるセンターピラーを模したモデルお
よび剛体による効果の検証結果を示すグラフである。
【図5】本発明に係わる自動車車体部品の他の実施例に
よるセンターピラーの部分斜視説明図である。
【図6】本発明に係わる自動車車体部品のさらに他の実
施例によるセンターピラーの部分斜視説明図である。
【図7】本発明に係わる自動車車体部品のさらに他の実
施例によるセンターピラーの断面説明図(a)および図
7(a)における円内部分を拡大して示す部分断面説明
図(b)である。
【図8】図7におけるセンターピラーと従来における補
強パネル付きセンターピラーとを等価性能で比較した場
合の重量比を示すグラフである。
【図9】本発明に係わる自動車車体部品のさらに他の実
施例によるセンターピラーの断面説明図である。
【図10】本発明に係わる自動車車体部品のさらに他の
実施例によるセンターピラーの部分斜視説明図である。
【図11】従来における自動車車体部品としてのセンタ
ーピラーを示す分解斜視説明図である。
【図12】従来における補強パネルのないセンターピラ
ーが曲げ荷重を受けて変形する状況を簡略的に示す挙動
説明図である。
【図13】断面が略ハット形状をなす補強パネルを備え
たセンターピラーの断面説明図である。
【図14】断面が略溝形状をなす補強パネルを備えたセ
ンターピラーの断面説明図である。
【符号の説明】
1 自動車車体 10,20,30,40,50,60 センターピラー
(自動車車体部品) 11 アウタパネル(ハット形パネル) 11a,12a,41a,42a 稜部 12 インナパネル(ハット形パネル) 41 アウタパネル(他方のハット形パネル) 41b,42b 鍔部分 42 インナパネル(一方のハット形パネル) 43,53,63 補強パネル 43a,53a,63a 補強パネルの稜部 43b,63b 補強パネルの側縁部 B 溶融ビード Rs,Re 丸みの始終端
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樽 井 大 志 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略角筒状をなし複数の稜部に丸みをつけ
    た自動車車体部品であって、複数の稜部のうちの少なく
    とも一つの稜部およびその近傍は、曲げ荷重を受けた状
    態でその形状を略維持可能としてあることを特徴とする
    自動車車体部品。
  2. 【請求項2】 略角筒状をなし複数の稜部に丸みをつけ
    た鋼板よりなる自動車車体部品であって、複数の稜部の
    うちの少なくとも一つの稜部およびその近傍に、焼き入
    れが施してあることを特徴とする自動車車体部品。
  3. 【請求項3】 稜部および稜部の両側でかつ丸みの始終
    端からそれぞれ幅が5mm以内の範囲に焼き入れが施し
    てある請求項2に記載の自動車車体部品。
  4. 【請求項4】 焼き入れは高エネルギビームの照射によ
    りなされている請求項2または3に記載の自動車車体部
    品。
  5. 【請求項5】 略角筒状をなし複数の稜部に丸みをつけ
    た鋼板よりなる自動車車体部品であって、複数の稜部の
    うちの少なくとも一つの稜部およびその近傍に、長手方
    向に沿う複数本の溶融ビードを3〜4mmの間隔で略平
    行に配置してあることを特徴とする自動車車体部品。
  6. 【請求項6】 略角筒状をなし複数の稜部に丸みをつけ
    た鋼板よりなる自動車車体部品であって、複数の稜部の
    うちの少なくとも一つの稜部およびその近傍に、長手方
    向と略直交する方向に沿う複数本の溶融ビードを5〜1
    0mmの間隔で略平行に配置してあることを特徴とする
    自動車車体部品。
  7. 【請求項7】 稜部および稜部の両側でかつ丸みの始終
    端からそれぞれ幅が5mm以内の範囲に溶融ビードを配
    置してある請求項5または6に記載の自動車車体部品。
  8. 【請求項8】 溶融ビードは高エネルギビームの照射に
    より形成してある請求項5ないし7のいずれかに記載の
    自動車車体部品。
  9. 【請求項9】 溶融ビードは0.5〜2.0mmの幅を
    有しかつ深さが鋼板板厚の半分を越える部位に達してい
    る請求項5ないし8のいずれかに記載の自動車車体部
    品。
  10. 【請求項10】 断面が略ハット形状の鋼板よりなる2
    枚のハット形パネルの鍔部分同士を接合して形成されて
    いる請求項1ないし9のいずれかに記載の自動車車体部
    品。
  11. 【請求項11】 略角筒状をなす自動車車体部品を製造
    するに際して、鋼板にプレス加工を行って断面が略ハッ
    ト形状をなしかつ稜部に丸みをつけた2枚のハット形パ
    ネルを形成し、2枚のハット形パネルにおける複数の稜
    部のうちの少なくとも一つの稜部およびその近傍に焼き
    入れを施した後、2枚のハット形パネルの鍔部分同士を
    接合することを特徴とする自動車車体部品の製造方法。
  12. 【請求項12】 略角筒状をなす自動車車体部品を製造
    するに際して、鋼板にプレス加工を行って断面が略ハッ
    ト形状をなしかつ稜部に丸みをつけた2枚のハット形パ
    ネルを形成し、2枚のハット形パネルにおける複数の稜
    部のうちの少なくとも一つの稜部およびその近傍に長手
    方向に沿う溶融ビードあるいは長手方向と略直交する方
    向に沿う溶融ビードを略平行に並べて複数本形成した
    後、2枚のハット形パネルの鍔部分同士を接合すること
    を特徴とする自動車車体部品の製造方法。
  13. 【請求項13】 断面が略ハット形状の鋼板よりなる2
    枚のハット形パネルの鍔部分同士を接合して略角筒状に
    形成されかつ複数の稜部に丸みをつけた自動車車体部品
    であって、中空部分には断面が略溝形状の鋼板よりなる
    補強パネルを備え、補強パネルの側縁部と一方のハット
    形パネルの稜部とを溶接により固定すると共に、補強パ
    ネルの稜部と他方のハット形パネルの稜部とを溶接によ
    り固定したことを特徴とする自動車車体部品。
  14. 【請求項14】 補強パネルの側縁部に、一方のハット
    形パネルの稜部につけた丸みの曲率よりも大きい曲率の
    丸みをつけた請求項13に記載の自動車車体部品。
  15. 【請求項15】 断面が略ハット形状の鋼板よりなる2
    枚のハット形パネルの鍔部分同士を接合して略角筒状に
    形成されかつ複数の稜部に丸みをつけた自動車車体部品
    であって、中空部分に略角筒状をなしかつ複数の稜部に
    丸みをつけた鋼板よりなる補強パネルを備え、補強パネ
    ルの稜部と両ハット形パネルの各稜部とを溶接によりそ
    れぞれ固定したことを特徴とする自動車車体部品。
  16. 【請求項16】 長手方向と略直交する方向に沿う溶接
    が3〜4mmの間隔で略平行してなされている請求項1
    3ないし15のいずれかに記載の自動車車体部品。
  17. 【請求項17】 高エネルギビームの照射による溶接に
    より補強パネルとハット形パネルとを固定した請求項1
    3ないし16に記載の自動車車体部品。
  18. 【請求項18】 略角筒状をなす自動車車体部品を製造
    するに際して、鋼板にプレス加工を行って、断面が略ハ
    ット形状をなしかつ稜部に丸みをつけた2枚のハット形
    パネルおよび断面が略溝形状をなしかつ稜部に丸みをつ
    けた補強パネルを形成し、補強パネルの側縁部と一方の
    ハット形パネルの稜部とを高エネルギビームの照射によ
    る溶接により固定するのに続いて、2枚のハット形パネ
    ルの鍔部分同士を接合した後、補強パネルの稜部と他方
    のハット形パネルの稜部とを高エネルギビームの照射に
    よる溶接により固定することを特徴とする自動車車体部
    品の製造方法。
  19. 【請求項19】 補強パネルの側縁部に、一方のハット
    形パネルの稜部につけた丸みの曲率よりも大きい曲率の
    丸みをつけてある請求項18に記載の自動車車体部品の
    製造方法。
  20. 【請求項20】 略角筒状をなす自動車車体部品を製造
    するに際して、鋼板にプレス加工を行って断面が略ハッ
    ト形状をなしかつ稜部に丸みをつけた2枚のハット形パ
    ネルを形成すると共に、鋼管に内圧を加えて断面が略口
    形状をなしかつ稜部に丸みをつけた補強パネルを形成
    し、補強パネルの隣り合う2個の稜部と一方のハット形
    パネルの稜部とを高エネルギビームの照射による溶接に
    より固定するのに続いて、2枚のハット形パネルの鍔部
    分同士を接合した後、補強パネルの他の2個の稜部と他
    方のハット形パネルの稜部とを高エネルギビームの照射
    による溶接により固定することを特徴とする自動車車体
    部品の製造方法。
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