JP6111651B2 - 画像記録装置、および画像記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主として布帛に印刷(捺染)を行う画像記録装置、および画像記録方法に関する。
従来、布帛にインク吐出による印刷を行う画像記録装置として、インクジェット記録装置が知られている(特許文献1を参照)。
このインクジェット記録装置は、布帛を水平になるように下側から支持するプラテンと、布帛をプラテンに沿って搬送する一対の搬送ローラーと、プラテンの上方において水平に延在するガイドレールと、ガイドレールにスライド自在に取り付けたキャリッジと、キャリッジに搭載した記録ヘッドと、を備えている。ガイドレールは、布帛の搬送方向に直交する方向に延在しており、記録ヘッドは、キャリッジを介して搬送方向に直交する方向に走査され、適宜インクの吐出が行われる。また、キャリッジには、記録ヘッドに対して搬送方向の下流側に位置して、布帛の反射光強度を検出する光センサーが搭載されている。
光センサーは、記録ヘッドと共に走査され、布帛の表面に検出光を照射すると共にその反射光強度を測定して、布帛のつなぎ目や布帛に施された前処理剤の多少を検出する。これにより、後の不要部分となる布帛のつなぎ目へのインク吐出を行わないようにすると共に、前処理剤の多少に応じてインクの濃度を制御するようにしている。
特開2005−349751号公報
ところで、布帛には、絹のような極めて薄いものからカーペットのような極めて厚いものまで、各種厚みの異なるものがある。印刷を行う際のプラテンに支持された布帛と記録ヘッドとのギャップは小さい距離で管理されており、このギャップは、高精細な画像の記録が要求されるほど小さく管理する必要がある。したがって、厚みの異なる材料をつなげた記録媒体を用いた場合は、記録媒体のつなぎ目で搬送を停止し、記録媒体と吐出ヘッドとのギャップを最適に調整して画像の記録を行う必要がある。このため、特許文献1に記載のインクジェット記録装置により布帛に印刷(捺染)を行うと、光センサーにより布帛のつなぎ目を検知してインク吐出を停止しても、記録媒体と吐出ヘッドとのギャップの調整が行われず、画質が劣化する虞がある。また、布帛のつなぎ目は、布帛の端部同士を重ね合せて繋いだものであるため、生地が厚手になるほど、つなぎ目も厚くなるため、布帛を搬送してつなぎ目が記録ヘッドを通過するときに、つなぎ目が記録ヘッドのノズル面に干渉して吐出特性を劣化させたり、記録ヘッドを破損させたりする虞があるという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る画像記録装置は、搬送経路に沿って搬送される記録媒体を支持する支持部材と、前記支持部材の上の前記記録媒体に液体を吐出して画像を記録する吐出ヘッドと、前記記録媒体を前記搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記支持部材上の前記吐出ヘッドより前記搬送経路の上流側に配置され、前記記録媒体の画像記録面の高さを検出する検出部と、前記支持部材に対する前記吐出ヘッドの鉛直方向の位置を変えるヘッド昇降機構と、前記検出部が、前記画像記録面の高さが変化する部分である厚み変化部分を検出したときに、高さの変化の方向や量に応じて前記吐出ヘッドの前記画像記録面に対する位置を変化させるように前記ヘッド昇降機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する高さまでは達しておらず、且つ、前記厚み変化部分の前記記録媒体の搬送方向に沿った長さが所定の長さを超えて続いていることを前記検出部が検出した場合に、前記厚み変化部分の前記画像記録面と前記吐出ヘッドのノズル面とのギャップが画像の記録に最適なギャップとなるように前記ヘッド昇降機構を制御して前記吐出ヘッドの位置を調整して画像の記録することを特徴とする。
本適用例によれば、記録媒体の端部同士を重ねて繋げたつなぎ目などの厚手部分や、布帛の捲くれや皺を検出部により厚み変化部分としてその高さを検出して、その検出結果に基づいて、記録媒体の画像記録面に対する吐出ヘッドのノズル面の高さ、即ち、記録媒体と吐出ヘッドとのギャップを調整することができる。これにより、例えば、厚みの異なる材料をつなげた記録媒体を用いた場合でも、記録媒体のつなぎ目で搬送を停止することなく、記録媒体と吐出ヘッドとのギャップを最適に調整して画像の記録を連続して行うことができる。また、検出部が、厚み変化部分の高さが吐出ヘッドに干渉する高さに達することを検知した場合に、厚み変化部分が吐出ヘッドを通過する間は吐出ヘッドを厚み変化部分と干渉しない高さに上昇させるとともに、厚み変化部分が吐出ヘッドの下方を通過した後で、吐出ヘッドを所定の画像記録位置まで下降させ、画像の記録を継続することができる。
したがって、生産性を低下させることなく、記録媒体のつなぎ目や捲れ、あるいは皺などが吐出ヘッドに干渉することによる吐出ヘッドの吐出特性の劣化や破損を防止したり、厚みの異なる材料をつなげた記録媒体に対して安定した画質の画像を記録することが可能な画像記録装置を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の画像記録装置において、前記制御部は、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する位置まで達していることを前記検出部が検出したときに、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドを通過する間、前記厚み変化部分と干渉しない高さに前記吐出ヘッドを上昇させるように前記ヘッド昇降機構を制御するとともに、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドの下方を通過した後で、前記吐出ヘッドを所定の画像記録位置まで下降させるように前記ヘッド昇降機構を制御することが好ましい。
例えば、記録媒体として布帛を用いて画像記録(捺染)を行う場合に、布帛の端部同士を重ねて繋げたつなぎ目などの厚手部分や、布帛の捲くれや皺を検出部により厚み変化部分としてその高さを検出し、厚み変化部分の高さが吐出ヘッドに干渉する高さに達した場合に、厚み変化部分が吐出ヘッドを通過する間は吐出ヘッドを厚み変化部分と干渉しない高さに上昇させるとともに、厚み変化部分が吐出ヘッドの下方を通過した後で、吐出ヘッドを所定の画像記録位置まで下降させ、画像の記録を継続することができる。したがって、生産性を低下させることなく、布帛のつなぎ目などの厚手部分や布帛の捲れや皺などが吐出ヘッドに干渉することによる吐出ヘッドの吐出特性の劣化や破損を防止することができる。
[適用例3]上記適用例に記載の画像記録装置において、前記制御部が行う制御は、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドの下方を通過する間、前記吐出ヘッドの液体の吐出を停止する制御を含むことが好ましい。
本適用例によれば、布帛のつなぎ目部分などの画像の記録が不要な部分への液体の吐出を停止することにより、液体の無駄な使用を回避して画像形成のコスト低減をはかることができる。
[適用例4]上記適用例に記載の画像記録装置において、前記制御部は、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する高さまでは達しておらず、且つ、前記厚み変化部分の前記記録媒体の搬送方向に沿った長さが所定の長さを超えて続いていることを前記検出部が検出した場合に、前記厚み変化部分の前記画像記録面と前記吐出ヘッドのノズル面とのギャップが画像の記録に最適なギャップとなるように前記ヘッド昇降機構を制御して前記吐出ヘッドの位置を調整することが好ましい。
本適用例によれば、厚みの異なる記録媒体をつなげてあった場合でも、画像記録装置を停止させずに、記録媒体と吐出ヘッドとのギャップを最適に調整して画質の安定した画像の記録を連続して行うことができる。
[適用例5]本適用例に係る画像記録方法は、搬送経路に沿って搬送される記録媒体を支持する支持部材と、前記支持部材の上の前記記録媒体に液体を吐出して画像を記録する吐出ヘッドと、前記記録媒体を前記搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記支持部材上の前記吐出ヘッドより前記搬送経路の上流側に配置され、前記記録媒体の画像記録面の高さを検出する検出部と、前記支持部材に対する前記吐出ヘッドの鉛直方向の位置を変えるヘッド昇降機構と、前記検出部の検出結果に基づいて前記ヘッド昇降機構を制御する制御部と、を備えた画像記録装置を用いた画像記録方法であって、前記検出部が、前記画像記録面の高さが変化する部分である厚み変化部分を検出したときに、前記制御部により、高さの変化の方向や量に応じて前記吐出ヘッドの前記画像記録面に対する位置を変化させるように前記ヘッド昇降機構を制御し、前記制御部は、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する高さまでは達しておらず、且つ、前記厚み変化部分の前記記録媒体の搬送方向に沿った長さが所定の長さを超えて続いていることを前記検出部が検出した場合に、前記厚み変化部分の前記画像記録面と前記吐出ヘッドのノズル面とのギャップが画像の記録に最適なギャップとなるように前記ヘッド昇降機構を制御して前記吐出ヘッドの位置を調整して画像の記録することを特徴とする。
本適用例によれば、記録媒体の端部同士を重ねて繋げたつなぎ目などの厚手部分や、布帛の捲くれや皺を検出部により厚み変化部分としてその高さを検出して、その検出結果に基づいて、記録媒体と吐出ヘッドとのギャップを調整することができる。これにより、例えば、検出部が、厚み変化部分の高さが吐出ヘッドに干渉する高さに達することを検知した場合に、厚み変化部分が吐出ヘッドを通過する間は吐出ヘッドを厚み変化部分と干渉しない高さに上昇させるとともに、厚み変化部分が吐出ヘッドの下方を通過した後で、吐出ヘッドを所定の画像記録位置まで下降させ、画像の記録を継続することができる。また、厚みの異なる材料をつなげた記録媒体を用いた場合でも、記録媒体のつなぎ目で搬送を停止することなく、記録媒体と吐出ヘッドとのギャップを最適に調整して画像の記録を連続して行うことができる。
したがって、生産性を低下させることなく、記録媒体のつなぎ目や捲れ、あるいは皺などが吐出ヘッドに干渉することによる吐出ヘッドの吐出特性の劣化や破損を防止したり、厚みの異なる材料をつなげた記録媒体に対して安定した画質の画像を記録することができる。
[適用例6]上記適用例に記載の画像記録方法において、前記制御部により、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する位置まで達したことを前記検出部が検出したときに、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドを通過する間、前記厚み変化部分と干渉しない高さに前記吐出ヘッドを上昇させるように前記ヘッド昇降機構を制御するとともに、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドの下方を通過した後で、前記吐出ヘッドを所定の画像記録位置まで下降させるように前記ヘッド昇降機構を制御することが好ましい。
本適用例によれば、記録媒体の厚み変化部分の高さが吐出ヘッドに干渉する高さに達した場合に、厚み変化部分が吐出ヘッドを通過する間は吐出ヘッドを厚み変化部分と干渉しない高さに上昇させるとともに、厚み変化部分が吐出ヘッドの下方を通過した後で、吐出ヘッドを所定の画像記録位置まで下降させ、画像の記録を継続することができる。したがって、生産性を低下させることなく、記録媒体のつなぎ目などの厚手部分や、記録媒体の捲れや皺などが吐出ヘッドに干渉することによる吐出ヘッドの吐出特性の劣化や破損を防止することができる。
[適用例7]上記適用例に記載の画像記録方法において、前記制御部により、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドの下方を通過する間、前記吐出ヘッドの液体の吐出を停止する制御を行うことが好ましい。
本適用例によれば、布帛のつなぎ目部分などの画像の記録が不要な部分への液体の吐出を停止することにより、液体の無駄な使用を回避して画像形成のコスト低減をはかることができる。
[適用例8]上記適用例に記載の画像記録方法において、前記制御部は、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する高さまでは達しておらず、且つ、前記厚み変化部分の前記記録媒体の搬送方向に沿った長さが所定の長さを超えて続いていることを前記検出部が検出した場合に、前記厚み変化部分の前記画像記録面と前記吐出ヘッドのノズル面とのギャップが画像の記録に最適なギャップとなるように前記ヘッド昇降機構を制御して前記吐出ヘッドの位置を調整することが好ましい。
本適用例によれば、厚みの異なる記録媒体をつなげてあった場合でも、画像記録装置を停止させずに、記録媒体と吐出ヘッドとのギャップを最適に調整して画質の安定した画像の記録を連続して行うことができる。
実施形態に係る画像記録装置としてのインクジェット記録装置を模式的に表した断面構造図。 実施形態に係る検出部のセンサー本体廻りを模式的に示す説明図であり、(a)は図1の繰り出し側からみた拡大平面図、(b)は(a)のB−B矢視図。 実施形態に係るヘッド昇降機構を拡大して模式的に示すものであり、図1の巻取部側からみた部分正面図。 検出部としての媒体検出部の全体構成図。
〔インクジェット記録装置〕
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る画像記録装置であるインクジェット記録装置について説明する。このインクジェット記録装置は、いわゆるリール・ツー・リールの形式で除給材される記録媒体としての布帛(原反)に、専用に染料インクを用いインクジェット方式で文様等を印刷(捺染)するものである。なお、以下の説明では、布帛である記録媒体の正逆送り方向をX軸方向と、X軸方向に直交する方向をY軸方向と、X軸方向およびY軸方向に直交する方向をZ軸方向と、規定する。
図1は、インクジェット記録装置の断面構造図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置1は、ロール状に巻回された記録媒体Wを繰り出して送る繰出部2と、繰り出された記録媒体Wを送り経路3に沿って印刷のために送る装置本体4と、装置本体4の上側に配設され、装置本体4と協働して記録媒体Wにインクジェット方式で印刷を行う印刷部5と、印刷部5により印刷された記録媒体Wを、装置本体4の送り方向下流側において巻き取って回収する巻取部6と、これら構成装置を統括制御する制御部7と、を備えている。
装置本体4は、鋼材を組んで構成した本体用機台11と、本体用機台11に支持され、記録媒体Wをベルト搬送によりX軸方向に間欠送りする媒体送り機構12と、を有している。印刷部5は、吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッド15を有するキャリッジユニット14と、キャリッジユニット14をY軸方向に往復動させるヘッド移動機構16と、を有している。一方、繰出部2は、記録媒体Wを繰り出す繰出しユニット18と、繰り出され記録媒体Wの弛みを取る弛取りユニット19と、を有している。また、巻取部6は、記録媒体Wを巻き取る巻取りユニット21と、巻取りユニット21に間紙Pを供給する間紙ユニット22と、記録媒体Wを巻き取る前に記録媒体Wに浸み込んだ染料インクの溶剤(水分)を気化させるヒーターユニット23とを有し、これらを巻取部用機台24に搭載して構成されている。
繰出しユニット18から繰り出されて記録媒体W(布帛)は、弛取りユニット19により張られるようにして弛みが取られ、媒体送り機構12に送り込まれる。媒体送り機構12に送り込まれた記録媒体Wは、表面に粘着されるようにしてベルト搬送される。このベルト搬送では、記録媒体WがX軸方向に間欠送りされる(副走査)一方、これに同期してキャリッジユニット14がY軸方向に往復動し、インクジェットヘッド15からインク吐出が行われる(主走査)。
このようにして、印刷が行われた後、記録媒体Wの印刷済み部分(捺染済み部分)は、媒体送り機構12から巻取部6に送り出される。巻取部6では、媒体送り機構12から送り出された記録媒体Wに、間紙ユニット22から間紙Pが連続的に供給され、記録媒体Wと間紙Pとが重なってヒーターユニット23に送られる。ヒーターユニット23では、間紙Pと共に記録媒体Wが加熱され、染料インクの溶剤(水分)が気化される。このようにして、乾燥処理された捺染済みの記録媒体Wは、間紙Pと共に巻取りユニット21に巻き取られる。
繰出しユニット18は、上記の本体用機台11に固定された左右(Y軸方向)一対のT字状フレーム32、および一対のT字状フレーム32間に渡した複数本の棒状フレーム33から成る繰出しフレーム31と、一対のT字状フレーム32に両持ちで支持され、Y軸方向に延在する2本の繰出し側ロッドベース34と、2本の繰出し側ロッドベース34にスライド自在に支持された一対の繰出し軸突起35と、を有している。各繰出し軸突起35の先端部は円錐台形状に形成されており、一対の繰出し軸突起35は、記録媒体Wの幅に対応させた相互の幅寄せにより、それぞれの先端部をロール状の記録媒体Wのコアに嵌入させて、記録媒体Wを水平に支持している。
一対の繰出し軸突起35には、それぞれモーター駆動の幅移動ユニット36が組み込まれており、記録媒体Wに軸方向の巻ズレが生じている場合(検出)に、一対の繰出し軸突起35を2本の繰出し側ロッドベース34上において微小移動させ、記録媒体Wの媒体送り機構12に対する幅方向の位置ズレ、すなわち媒体送り機構12において記録媒体Wが蛇行(斜行)するのを防止している。
また、一対の繰出し軸突起35の一方には、モーター駆動の回転ユニット37が組み込まれており、この回転ユニット37により、一対の繰出し軸突起35を繰出し回転させて記録媒体Wを繰り出すようにしている。本実施形態では、記録媒体Wに一定のテンションを与えつつ繰り出すテンションモードと、可能な限りテンションを少なくして繰り出す弛みモードとがあり、記録媒体W別にモード切替えを行うようにしている。
テンションモードは、伸縮性の低い通常の布帛(記録媒体W)を対象とするものであり、この場合に制御部7は、回転ユニット37の制御系において、負荷(テンション)を取得し、この負荷が所定の値になるように回転ユニット37を制御するようにしている。
一方、弛みモードは、例えばストッキング地のように伸縮性の高い布帛(記録媒体W)を対象とするものであり、この場合には、繰り出した記録媒体Wがいったん下方に弛んでから(図1では破線で示す)、弛取りユニット19に送り込まれるように制御する。具体的には、弛ませた記録媒体Wの下端位置を検出するようにし、下端位置が所定の位置を越え弛みが大きくなったところで、回転ユニット37による記録媒体Wの繰出し動作を停止させるようにしている。
弛取りユニット19は、後述する媒体送り機構12のサイドフレーム62に固定された左右(Y軸方向)一対のL字状フレーム42、および一対のL字状フレーム42間に渡したロッドフレーム43から成る弛取りフレーム41と、一対のL字状フレーム42に両持ちで回転自在に支持されたローラー群44と、を有している。ローラー群44は、繰出しユニット18から送り込まれた記録媒体Wの送り経路3を複数個所で屈曲させるべく、送り方向の上流側から第1ローラー45、第2ローラー46、第3ローラー47および第4ローラー48の順で配設されている。
第1ローラー45は、摩擦係数の高いローラーで構成されており、その両端部を各L字状フレーム42の内側に取り付けた一対の傾斜ブロック49に載置されている。上流側が弛んだ状態の記録媒体Wは、この第1ローラー45の部分で第2ローラー46に向かって斜め外方に経路変更される。媒体送り機構12の間欠送りにより記録媒体Wが引かれる(送り)と、記録媒体Wと第1ローラー45との間の摩擦力により、第1ローラー45は、一対の傾斜ブロック49を上るように移動する。また、記録媒体Wの送りが停止すると、第1ローラー45は自重により一対の傾斜ブロック49を下って元の位置に戻る。これにより、送られてゆく記録媒体Wに適度なテンションが付与されると共に、間欠送りのショックが吸収される。
第1ローラー45を通過した記録媒体Wは、第2ローラー46でUターンするようにして第3ローラー47および第4ローラー48に達する。第3ローラー47および第4ローラー48は、上下に近接して配設されており、両端部を一体に形成した一対の軸受部51に回転自在に支持されている。また、各軸受部51は、L字状フレーム42に回動自在に支持され、一方の軸受部51には、第3ローラー47および第4ローラー48の上下の配置角度を調整する角度調整ユニット52が組み込まれている。
第3ローラー47および第4ローラー48を通過する記録媒体Wは、「S」字状に経路変更されるが、記録媒体Wの種別に応じてこの「S」字カーブを変形調整し、記録媒体W別に適度なテンションを付与できるようにしている。これにより、記録媒体Wは、部分的な弛みや皺が解消されて、媒体送り機構12に送り込まれる。なお、これらのローラー45,46,47,48は、記録媒体Wに中心から外側に向かう分力が作用するよう、中高の形状とすることが好ましい。
図1に示すように、媒体送り機構12は、上記の本体用機台11上に載置固定した左右(Y軸方向)一対のサイドフレーム62を有する本体フレーム61と、一対のサイドフレーム62に支持され、無端の搬送ベルト64を有するベルト搬送ユニット63と、ベルト搬送ユニット63の下側に配設したベルト洗浄ユニット65と、を備えている。また、媒体送り機構12は、上流側においてベルト搬送ユニット63に上側から臨む押圧ローラー66と、下流側においてベルト搬送ユニット63に対し斜め上方に配設された分離ローラー67と、を備えている。
本体フレーム61は、厚手の板材で構成された一対のサイドフレーム62と、一対のサイドフレーム62を連結する前後(X軸方向)一対の連結フレーム71と、を有しており、一対のサイドフレーム62の部分で本体用機台11に載置固定されている。また、本体フレーム61は、一対の連結フレーム71間に位置して、一対のサイドフレーム62を連結すると共に、上記のベルト洗浄ユニット65を支持する支持フレーム72を有している。各サイドフレーム62には、ベルト搬送ユニット63を取り付けるための切欠き部や、印刷部5を取り付けるための切欠き部が適宜設けられ、またベルト洗浄ユニット65を点検するための開口部が形成されている。
ベルト搬送ユニット63は、送り方向の下流側に位置する駆動プーリー81と、送り方向の上流側に位置する従動プーリー82と、駆動プーリー81および従動プーリー82間に架け渡した無端の搬送ベルト64と、を有している。また、ベルト搬送ユニット63は、従動プーリー82の近傍に位置して、搬送ベルト64の走行をガイドする第1ガイドプレート83と、印刷部5の直下に位置して、搬送ベルト64の走行をガイドする第2ガイドプレート84と、上記の支持フレーム72の直上に位置して、裏側に回り込んだ搬送ベルト64の走行をガイドする第3ガイドプレート85と、を有している。
第1ガイドプレート83および第2ガイドプレート84は、相互の表面が面一(同一水平面)となるように配設した状態で、一対のサイドフレーム62間に架け渡されており、本体フレーム61の一部としても機能している。また、第1ガイドプレート83は、従動プーリー82から離れた直後の搬送ベルト64(の上側)が水平に走行するようにガイドし、第2ガイドプレート84は、印刷領域に位置する搬送ベルト64(の上側)に、弛みが生じないようにガイドしている。したがって、第2ガイドプレート84の直上に位置する搬送ベルト64は、支持部材としてのプラテンとして機能する。さらに、第3ガイドプレート85は、ベルト洗浄ユニット65により突き上げ力を受ける搬送ベルト64を、押さえるようにガイドしている(詳細は後述する)。
駆動プーリー81および従動プーリー82は、専用の軸受を介して、一対のサイドフレーム62に回転自在に支持されており、駆動プーリー81の一方の軸端には、搬送ベルト64を間欠で走行させる搬送モーター86が連結されている。搬送ベルト64は、外周面(表面)に粘着性を有する(粘着処理)幅広の特殊なベルトで構成され、記録媒体Wを貼着してこれをX軸方向に送る。これにより、記録媒体Wは、印刷部5の直下において、捲れ等を生ずることなく印刷送り(間欠送り)される。
従動プーリー82の上側には、弛取りユニット19から送り込まれた記録媒体Wを、搬送ベルト64に貼着する押圧ローラー66が配設されている。押圧ローラー66は、サイドフレーム62に回動自在に支持された一対の支持アーム87の先端部に、回転自在に支持されている。また、押圧ローラー66は、所定の弾力性と自重を有しており、その自重により、従動プーリー82の直上において記録媒体Wを搬送ベルト64に押し付ける。すなわち、押圧ローラー66と従動プーリー82とは、搬送ベルト64を挟んでニップローラーとして機能し、走行する搬送ベルト64に記録媒体Wを連続的に貼着する。なお、各支持アーム87の中間位置には、支持アーム87を回動させるためのエアーシリンダー88が連結されており、一対のエアーシリンダー88を同期駆動させることにより、押圧ローラー66が搬送ベルト64から引き離される。
一方、駆動プーリー81の斜め上方には、印刷後の記録媒体Wを搬送ベルト64から引き剥がして、巻取部6に送り込む分離ローラー67が配設されている。分離ローラー67は、サイドフレーム62から延びる一対のサブフレーム89に回動自在に支持されている。この場合、分離ローラー67は、駆動プーリー81を周回して裏側に回り込む搬送ベルト64から記録媒体Wを相対的に引き剥がすものであるが、実際の動作では、搬送ベルト64からの引き剥がし力は、記録媒体Wの種別で異なるものとなる。このため、記録媒体Wの種別により、搬送ベルト64が周回を開始する位置で剥がれ始めるものと、ある程度周回が進んだ位置で剥がれ始めるものとがある。但し、引き剥がしのポイントが裏側に回り込むと、記録媒体Wが搬送ベルト64に巻き込まれるおそれが生ずる。
そこで、本実施形態では、搬送ベルト64から分離ローラー67に送られてゆく記録媒体Wの角度を位置検出し、この位置検出の検出結果に基づいて巻取りユニット21を巻取り駆動し、引き剥がしのポイントが搬送ベルト64の裏側に回り込むのを防止している。
図1に示すように、ベルト洗浄ユニット65は、搬送ベルト64の下側において上記の支持フレーム72に支持され、搬送ベルト64を横断するようにY軸方向に延在している。ベルト洗浄ユニット65は、支持フレーム72に載置されるユニットベース91と、ユニットベース91に立設するように設けた昇降シリンダー92と、昇降シリンダー92により昇降される洗浄ユニット本体93と、洗浄ユニット本体93の昇降をガイドする一対の昇降ガイド94と、を備えている。
また、洗浄ユニット本体93は、Y軸方向に延在すると共に洗浄液を貯留する箱状の洗浄容器96と、洗浄容器96に収容した回転ブラシ97と、回転ブラシ97を回転させる洗浄モーター98と、搬送ベルト64に付着した洗浄液を相対的に掻き取るワイパー99と、を有している。ワイパー99は、洗浄容器96の内側に取り付けられ、「V」字状に配設した2枚のワイピングブレード99aで構成され、走行する搬送ベルト64に接触して洗浄液を掻き取るようにしている。なお、最終的に搬送ベルト64に残った洗浄液は、ウエスで拭き取るようにしている。また、洗浄液は、外部タンクとの間でフィルタリングしながら循環させることが好ましい。
粘着性を有する搬送ベルト64には、経時的に糸くずや塵埃が付着するため、ベルト洗浄ユニット65により、搬送ベルト64の定期的な洗浄を実施する。この洗浄作業では、回転ブラシ97およびワイパー99が搬送ベルト64に接触する位置まで洗浄ユニット本体93を上昇させた後、搬送ベルト64を走行させると共に走行に対し逆方向となるよう回転ブラシ97を回転させる。このとき、搬送ベルト64は、上記の第3ガイドプレート85により押さえられ、水平姿勢を維持したまま回転ブラシ97と接触する。これにより、搬送ベルト64(の粘着面)は、連続的にブラッシング洗浄される。なお、洗浄後の搬送ベルト64には、粘着力を回復させるべく粘着処理を行うことが好ましい。
図1に示すように、印刷部5は、送り経路3(ベルト搬送ユニット63)を跨ぐようにY軸方向に延在するプリンターフレーム101と、プリンターフレーム101に支持されたヘッド移動機構16と、ヘッド移動機構16に搭載されてY軸方向に往復動するキャリッジユニット14と、これらを覆うプリンターカバー102と、を備えている。また、特に図示しないが、印刷部5には、インクジェットヘッド15を保守するキャップユニットやクリーニングユニットが搭載されている。なお、印刷部5における、いわゆるペーパーギャップ(ワークギャップ)は、各種の記録媒体Wにおいてその厚みに幅があるため、装置本体4(媒体送り機構12)に対し、印刷部5全体を昇降させることにより調整される。すなわち、キャップユニットやクリーニングユニットも装置本体4に対して昇降する構成となっている。
図1に示すように、プリンターフレーム101は、Y軸方向に延在する板金製の梁状フレーム104と、梁状フレーム104を両端部で支持する板金製の一対の立設フレーム105とを有し、一対の立設フレーム105の部分で、上記のサイドフレーム62に支持されている。なお、プリンターカバー102は、このプリンターフレーム101に取り付けられている。
キャリッジユニット14は、カラープリント用の複数色のノズル列を有するインクジェットヘッド15と、ノズル面が下向きになるようにインクジェットヘッド15を保持するキャリッジ107と、を有している。なお、各ノズル列に供給される各色の染料インクは、いわゆるオフキャリッジのインクタンクから供給される。
ヘッド移動機構16は、キャリッジユニット14を片持ちでY軸方向にスライド自在に支持するキャリッジガイド111と、キャリッジガイド111を往復動させるベルト伝導機構112と、ベルト伝導機構112を駆動させるキャリッジモーター113と、を有している。キャリッジガイド111は、下側のメインガイド114と上側のサブガイド115とから成り、メインガイド114およびサブガイド115は、その両端部で、ヘッド昇降機構220を有する一対のキャリッジユニット支持部211に支持されている(キャリッジユニット支持部211によるキャリッジユニット14の支持構造の詳細については後述する)。ベルト伝導機構112は、タイミングベルト116を有し、タイミングベルト116の一部がキャリッジユニット14(キャリッジ107)に固定されている。
キャリッジモーター113によりタイミングベルト116を正逆走行させると、キャリッジユニット14が、キャリッジガイド111に案内されてY軸方向に往復動する。キャリッジガイド111の移動位置は、リニアエンコーダーにより検出され、この検出結果と印刷データに基づいて、インクジェットヘッド15から各色の染料インクが選択的に吐出される。これにより、記録媒体Wへの印刷(捺染)が行われる。なお、詳細は後述するが、記録媒体Wに捲り等の浮き上がり等の凹凸が生じていると、良好な印刷が行われなくなる。そこで、印刷部5の上流側において、この凹凸(厳密には、凸部)を検出できるようになっている。
図1に示すように、巻取部6は、X軸方向において本体用機台11に着脱自在に連結した巻取部用機台24と、巻取部用機台24の上部に支持されたヒーターユニット23と、巻取部用機台24の下部に支持された巻取りユニット21および間紙ユニット22と、を備えている。捺染された記録媒体Wは、インクが裏移りしない厚手の記録媒体Wをそのまま巻き取る方式と、インクが裏移りしやすい薄手の記録媒体Wに間紙Pを重ねて巻き取る方式があり、実施形態の巻取部6は、いずれの方式にも対応可能な設計となっている。以下、後者の方式を採用した場合について説明する。
巻取部用機台24は、上水平フレーム部121と、下水平フレーム部122と、上水平フレーム部121および下水平フレーム部122を連結する鉛直フレーム部123とを有し、アルミニウムの押出し形材を縦横に組んで構成されている。そして、鉛直フレーム部123の部分で、本体用機台11に着脱自在に連結されている。
ヒーターユニット23は、円弧状の放熱面125aを有する放熱プレート125と、放熱プレート125に内貼りしたヒーター126と、を有している。また、ヒーターユニット23は、その上半部を上水平フレーム部121に載置した状態で、上水平フレーム部121に設けた左右の固定部材127により、上水平フレーム部121に取り付けられている。放熱プレート125の上端部は、上記の分離ローラー67に近接し且つ分離ローラー67より僅かに低い位置に配設されている。また、放熱プレート125の上端部は、この部分に下方から導入される間紙Pを経路変更するために、下向きの円弧状に折曲げ形成されている。
分離ローラー67を通過した記録媒体Wは、放熱プレート125の上端部で下方から送られてくる間紙Pと重なり、放熱プレート125の円弧状の外面(放熱面125a)に添って下方に送られる。放熱面125aに摺接しながら上下方向に送られてゆく記録媒体Wおよび間紙Pは、ヒーター126により連続的に加熱される。この加熱により、記録媒体Wに浸み込んだ染料インクの溶剤(水分)が気化し、布帛に染料が定着する。
間紙ユニット22は、ロール状の間紙Pを繰り出す間紙ローラー131と、繰り出された間紙Pを放熱プレート125の上端部に向かって経路変更するガイドバー132と、を有している。ガイドバー132は、下水平フレーム部122と鉛直フレーム部123とを連結する斜材の部分に固定されている。また、間紙ローラー131は、制動機構を組み込んだ一対の軸受ユニット133を介して、下水平フレーム部122の前部に支持されている。この一対の軸受ユニット133により、間紙Pは、弛みを生ずることなく繰り出される。
巻取りユニット21は、上記の繰出しユニット18と同様に、下水平フレーム部122の後部に支持され、Y軸方向に延在する2本の巻取り側ロッドベース135と、2本の巻取り側ロッドベース135にスライド自在に支持された一対の巻取り軸突起136と、を有している。また、巻取りユニット21は、放熱プレート125の下端部と一対の巻取り軸突起136との間の送り経路3に位置して、記録媒体Wおよび間紙Pに張りを与えるテンションローラー137を有している。
各巻取り軸突起136の先端部は円錐台形状に形成されており、一対の巻取り軸突起136は、記録媒体Wの幅に対応させた相互の幅寄せにより、それぞれの先端部を、記録媒体Wを巻き取る巻取りコアに嵌入させて、これを水平に支持している。一対の巻取り軸突起136の一方には、モーター駆動の回転ユニット138が組み込まれており、一対の巻取り軸突起136を巻取り回転させて、記録媒体Wおよび間紙Pを同時に巻き取るようにしている。そして、回転ユニット138は、上述のように、分離ローラー67の近傍において、分離ローラー67に送られてゆく記録媒体Wの角度検出に基づいて、制御される。
テンションローラー137は、下水平フレーム部122の後部に回動自在に支持された一対の回動アーム139の先端部に、回転自在に支持されている。そして、テンションローラー137は、巻取りコアに巻き取られる記録媒体Wおよび間紙Pの間紙P側に転接し、その自重により記録媒体Wおよび間紙Pを下方に回動付勢している。これにより、記録媒体Wおよび間紙Pに適度なテンションが付与され、記録媒体Wおよび間紙Pは、巻き締めるようにして巻取りコアに巻き取られる。
(媒体検出部)
次に、図2ないし図4を参照して、記録媒体Wの搬送ベルト64からの浮き上がり等の凹凸(厚み変化部分)を検出する媒体検出部140(検出部)について、詳細に説明すると共に、この媒体検出部140の検出結果に基づいてこれに関連するインクジェットヘッド15のペーパーギャップ(記録媒体Wとインクジェットヘッド15とのギャップ)を調整するヘッド昇降機構220について、簡単に説明する。図2は、本実施形態に係る検出部のセンサー本体廻りを模式的に示すものであり、(a)は図1の繰り出し側からみた拡大平面図であり、(b)は(a)のB−B矢視図である。また、図3は、本実施形態に係るヘッド昇降機構を拡大して模式的に示すものであり、図1の巻取部側からみた部分正面図である。また、図4は、検出部としての媒体検出部の全体構成図である。
上述のように、記録媒体Wは、押圧ローラー66の自重により、搬送ベルト64に貼着されて送られるが、貼着力の低下や記録媒体Wの性状により、特に両端部において、捲れ等の浮き上がりが生ずるおそれがある。また、記録媒体W(布帛)は、端部同士を重ね合せて繋いだ厚手の継ぎ目を有している。一方、印刷部5におけるペーパーギャップは、後述するように、印刷部5における記録媒体Wに対してキャリッジガイド111を昇降させることにより調整される。
図2に示すように、媒体検出部140は、検出部支持機構171と、その検出部支持機構171に取り付けられたセンサー本体172およびアンプ部173と、を備えている。センサー本体172は、いわゆるレーザーセンサーで構成され、そのレーザー光の光路175は、記録媒体Wに添って、言い換えれば記録媒体Wの配置面である送り経路3に添って、これを横断するように設定されている。また、アンプ部173は、上記の制御部7に接続されている。
検出部支持機構171は、本実施形態では、記録媒体Wを紙幅方向(搬送方向と直交する方向)に挟んだ両側に設けられた一対の支柱161A,161Bと、その一対の支柱161A,161Bに略水平に架設された検出部支持梁181と、センサー本体172の投光部172aおよび受光部172bを検出部支持梁181にそれぞれた取り付ける取付板183a,183bと、により構成されている。
センサー本体172は、レーザーセンサーで構成されており、記録媒体Wを紙幅方向に挟んだ一端側に配置された投光部172aと、投光部172aから投じられたレーザー光を紙幅方向の他端側で受けるように配置された受光部172bとを有する。すなわち、投光部172aから放射されたレーザー光(検出光)は、光路175を経て受光部172bに受光される。そして、受光部172bに受光されたレーザー光の光量(実際には、電流値)が、所定の閾値を下回る場合に、記録媒体Wに浮き上がりが生じていることが検出される。なお、センサー本体172により、記録媒体Wの捲れや貼着不良による浮き上がりや継ぎ目を検出できる他、異物等の付着も検出できることは、言うまでもない。
一方、図1に示すように、X軸方向において、媒体検出部140は、印刷部5の上流側に配設されている。すなわち、印刷部5のインクジェットヘッド15に対し、媒体検出部140におけるレーザー光の光路175が、記録媒体Wの送り方向上流側において、間欠送りの数ピッチ分の間隙を存して配設されている。これにより、記録媒体Wに浮き上がりなどの厚み変化が検出された場合、後述するヘッド昇降機構220により記録媒体Wに対するインクジェットヘッド15の位置を調整したり、印刷部5や媒体送り機構12等の構成装置を停止させ、オペレーターによる浮き上がり部分の修正等を可能としている。なお、媒体検出部140を、インクジェットヘッド15に対し、記録媒体Wの送り方向上流側と下流側とに配設してもよい。
(ヘッド昇降機構)
図3(a)に示すように、ヘッド昇降機構220は、上述のヘッド移動機構16のキャリッジガイド111の両端部を支持する一対のキャリッジユニット支持部211とキャリッジガイド111との間に配置されている。ヘッド昇降機構220は、例えば、サーボモーター、あるいはステッピングモーターを備え、キャリッジガイド111を水平に昇降させることができる。これにより、印刷部5において、記録媒体Wに対するインクジェットヘッド15の位置(高さ)を所望の位置に変位させて、記録媒体Wの画像記録面とインクジェットヘッド15のノズル面(図中、記録媒体Wと対向する面)との間のギャップ(ペーパーギャップ)を調整することができる。図3(b)は、記録媒体Wのつなぎ目W´の厚みに応じて、ヘッド昇降機構220を上昇させて記録媒体W(つなぎ目W´)とインクジェットヘッドとが干渉しない位置に調整した状態を図示している。
〔画像記録方法〕
次に、上記インクジェット記録装置1を用いた画像記録方法において、媒体検出部140が記録媒体Wの閾値を超えた厚みの変化を検出した場合の動作について説明する。
図4に示すように、媒体検出部140のセンサー本体172の受光部172bに受光されたレーザー光は、光電変換され、アンプ部173により増幅されて制御部7に入力する。制御部7では、光電変換されたレーザー光の受光量がモニター201に表示されると共に、検出回路202によりこの受光量(電流値)と上記の閾値とが比較される。そして、受光量(電流値)が閾値を下回った場合(浮き上がりを検出)に、制御部7は、印刷部5や媒体送り機構12等に所定の制御を実施する。ここで、所定の制御とは、媒体検出部140により検出された記録媒体Wの厚みの変化量や、厚み変化部分の長さに応じて決定される。以下、記録媒体Wの厚み変化の態様に応じた制御方法のいくつかの実施例について説明する。
例えば、記録媒体Wの厚み変化部分の画像記録面の高さがインクジェットヘッド15に干渉する位置まで達して、且つ、その高さが、ヘッド昇降機構220によるキャリッジガイド111の高さ調整によりインクジェットヘッド15に干渉しない高さに調整可能な範囲であることを媒体検出部140が検出した場合には、その厚み変化部分がインクジェットヘッド15を通過する間、厚み変化部分と干渉しない高さにインクジェットヘッド15を上昇させるようにヘッド昇降機構220を制御するとともに、インクジェットヘッド15が上昇している間(厚み変化部分がインクジェットヘッド15の下方を通過する間)は、液体の吐出を停止する。これにより、厚み変化部分がインクジェットヘッド15に干渉してインクジェットヘッド15にダメージを与えることを回避できるとともに、記録媒体Wのつなぎ目など画像の記録が不要な厚み変化部分への液体の吐出が停止され、液体の無駄な消費を回避することができる。
そして、厚み変化部分がインクジェットヘッド15の下方を通過した後で、インクジェットヘッド15を、媒体検出部140による厚み変化部分から後方の記録媒体Wの高さ検出結果に基づいて、記録媒体Wとインクジェットヘッド15とが所定のペーパーギャップを形成するようにヘッド昇降機構220を制御してインクジェットヘッド15を下降させ、液体の吐出を開始する制御を行なって画像の形成を再開する。このとき、媒体検出部140を、インクジェットヘッド15に対して、記録媒体Wの送り方向下流側にも配設することで、より確実に厚み変化部分の通過を検出することができ、インクジェットヘッド15と厚み変化部分との干渉を回避することができる。なお、インクジェットヘッド15が厚み変化部分に対し、Y軸方向に離間可能な場合は、高さ調整を行うことなくインクジェットヘッド15と厚み変化部分との干渉を回避することができる。
また、例えば、記録媒体Wの厚み変化部分の画像記録面の高さがインクジェットヘッド15に干渉する位置まで達して、且つ、その高さが、ヘッド昇降機構220によるキャリッジガイド111の高さ調整によりインクジェットヘッド15に干渉しない高さに調整可能な範囲を超えていることを媒体検出部140が検出した場合には、その厚み変化部分がインクジェットヘッド15を通過する前までに、搬送および液体の吐出を停止させる。ここで、オペレーターは、浮き上がりを修正する(或いは、継ぎ目の空送り)などの作業を行い、マニュアル操作で印刷を再開することが好ましい。すなわち、制御部7は、印刷領域と光路175との離間距離内に、継ぎ目などの厚み変化部分の手前まで或いは文様の終端までの印刷データが納まるか否かを判断し、納まる場合には、これらの印刷を完了してから停止制御し、納まらない場合には、検出直後に停止制御するようにする。また同時に、その旨、モニター201に表示する。なお、インクジェットヘッド15が厚み変化部分に対し、Y軸方向に離間可能な場合は、搬送を停止させることなくインクジェットヘッド15と厚み変化部分との干渉を回避することができる。
また、例えば、記録媒体Wの厚み変化部分の画像記録面の高さがインクジェットヘッド15に干渉する位置まで達しておらず、且つ、厚み変化部分の記録媒体Wの搬送方向に沿った長さが所定の長さを超えて続いていることを媒体検出部140が検出した場合には、例えば、厚みの異なる記録媒体Wが繋げられていると判断することができる。このような場合には、厚み変化部分以降(例えばつなぎ目よりも後方の記録媒体W)の記録媒体Wの画像記録面とインクジェットヘッド15のノズル面とのギャップが画像の記録に最適なペーパーギャップを形成するように、ヘッド昇降機構220を制御してインクジェットヘッド15の位置を調整して、画像の記録を継続する制御を行う。なお、厚み変化部分のうち、特に厚手となるつなぎ目部分は画像の記録が不要な部分であるので、そのつなぎ目がインクジェットヘッド15の下方を通過する期間は液体の吐出を停止することがより好ましい。
本適用例によれば、記録媒体の厚み変化部分の高さが吐出ヘッドに干渉する高さに達した場合に、厚み変化部分が吐出ヘッドを通過する間は吐出ヘッドを厚み変化部分と干渉しない高さに上昇させるとともに、厚み変化部分が吐出ヘッドの下方を通過した後で、吐出ヘッドを所定の画像記録位置まで下降させ、画像の記録を継続することができる。したがって、生産性を低下させることなく、記録媒体のつなぎ目などの厚手部分や、記録媒体の捲れや皺などが吐出ヘッドに干渉することによる吐出ヘッドの吐出特性の劣化や破損を防止することができる。
上記実施形態のインクジェット記録装置1、および、それを用いた画像記録方法によれば、記録媒体Wの端部同士を重ねて繋げたつなぎ目などの厚手部分や、布帛の捲くれや皺を媒体検出部140により厚み変化部分としてその高さや長さを検出して、その検出結果に基づいて、記録媒体Wとインクジェットヘッド15とのギャップをヘッド昇降機構220により調整したり、液体の吐出を停止したり、あるいは、搬送も停止したりする制御を行うことができる。これにより、例えば、媒体検出部140が、厚み変化部分の高さがインクジェットヘッド15に干渉する高さに達することを検知した場合に、厚み変化部分がインクジェットヘッド15を通過する間はインクジェットヘッド15を厚み変化部分と干渉しない高さに上昇させて、厚み変化部分がインクジェットヘッド15に干渉することを回避することができるとともに、厚み変化部分がインクジェットヘッド15下方を通過した後で、インクジェットヘッド15を厚み変化部分以降の記録媒体Wの厚みに適したペーパーギャップを確保できる位置まで下降させて、画像の記録を継続することができる。また、厚みの異なる材料をつなげた記録媒体Wを用いた場合でも、記録媒体Wのつなぎ目で搬送を停止することなく、記録媒体Wとインクジェットヘッド15とのペーパーギャップを最適に調整して画像の記録を連続して行うことができる。
したがって、生産性を低下させることなく、記録媒体Wのつなぎ目や捲れ、あるいは皺などがインクジェットヘッド15に干渉することによるインクジェットヘッド15の吐出特性の劣化や破損を防止したり、厚みの異なる材料をつなげた記録媒体Wに対して安定した画質の画像を記録することができる。
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、ヘッド昇降機構220によりキャリッジガイド111(ヘッド移動機構16)全体の高さを調整することにより、記録媒体Wとインクジェットヘッド15とのギャップを調整する構成を説明した。これに限らず、例えば、キャリッジガイド111に対して、インクジェットヘッド15を搭載したキャリッジ107が上下に移動する構成のヘッド昇降機構であってもよい。
また、上記実施形態では、搬送ベルト64の支持面が有する粘着力によって記録媒体Wを保持する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、静電吸着や真空吸着によって記録媒体Wを保持する構成であっても良い。
また、上記実施形態では、記録媒体Wを搬送する際に搬送ベルト64を用いる構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
例えば、搬送ベルト64に代えて、長尺状のシートを移動させつつ記録媒体Wを搬送させる構成であっても良い。
この場合、両端がそれぞれ軸部に巻かれた状態のシートを記録媒体Wの搬送経路上に配置し、シートがインクジェットヘッド15の直下を搬送方向に移動するように一方の軸部からシートを送り出すと共に他方の軸部でシートを巻き取るようにする。記録媒体Wに画像を記録する場合には、シートの移動に応じて記録媒体Wがインクジェットヘッド15を通り過ぎるタイミングで、インクジェットヘッド15から記録媒体Wにインクを噴射させれば良い。
また、本発明は、いわゆるラインプリンターや、インクジェットヘッド15をXY方向(主走査方向および副走査方向)に移動させるタイプのプリンターにも、適用することが可能である。
1…画像記録装置としてのインクジェット記録装置、2…繰出部、3…送り経路、4…装置本体、5…印刷部、6…巻取部、7…制御部、11…本体用機台、12…媒体送り機構、14…キャリッジユニット、15…吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッド、16…ヘッド移動機構、18…繰出しユニット、19…弛取りユニット、21…巻取りユニット、22…間紙ユニット、23…ヒーターユニット、24…巻取部用機台、61…本体フレーム、62…サイドフレーム、63…ベルト搬送ユニット、64…搬送ベルト、65…ベルト洗浄ユニット、66…押圧ローラー、67…分離ローラー、71…連結フレーム、72…支持フレーム、86…搬送モーター、91…ユニットベース、93…洗浄ユニット本体、94…昇降ガイド、96…洗浄容器、101…プリンターフレーム、102…プリンターカバー、104…梁状フレーム、105…立設フレーム、107…キャリッジ、111…キャリッジガイド、112…ベルト伝導機構、113…キャリッジモーター、114…メインガイド、115…サブガイド、116…タイミングベルト、125…放熱プレート、125a…放熱面、126…ヒーター、131…間紙ローラー、132…ガイドバー、137…テンションローラー、138…回転ユニット、140…媒体検出部、161A,161B…支柱、171…検出部支持機構、172…センサー本体、172a…投光部、172b…受光部、173…アンプ部、175…光路、181…検出部支持梁、183a,183b…取付板、201…モニター、202…検出回路、211…キャリッジユニット支持部、220…ヘッド昇降機構、W…記録媒体。

Claims (6)

  1. 搬送経路に沿って搬送される記録媒体を支持する支持部材と、
    前記支持部材の上の前記記録媒体に液体を吐出して画像を記録する吐出ヘッドと、
    前記記録媒体を前記搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
    前記支持部材上の前記吐出ヘッドより前記搬送経路の上流側に配置され、前記記録媒体の画像記録面の高さを検出する検出部と、
    前記支持部材に対する前記吐出ヘッドの鉛直方向の位置を変えるヘッド昇降機構と、
    前記検出部が、前記画像記録面の高さが変化する部分である厚み変化部分を検出したときに、高さの変化の方向や量に応じて前記吐出ヘッドの前記画像記録面に対する位置を変化させるように前記ヘッド昇降機構を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する高さまでは達しておらず、且つ、前記厚み変化部分の前記記録媒体の搬送方向に沿った長さが所定の長さを超えて続いていることを前記検出部が検出した場合に、前記厚み変化部分の前記画像記録面と前記吐出ヘッドのノズル面とのギャップが画像の記録に最適なギャップとなるように前記ヘッド昇降機構を制御して前記吐出ヘッドの位置を調整して画像の記録を継続することを特徴とする画像記録装置。
  2. 請求項1に記載の画像記録装置において、
    前記制御部は、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する位置まで達していることを前記検出部が検出したときに、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドを通過する間、前記厚み変化部分と干渉しない高さに前記吐出ヘッドを上昇させるように前記ヘッド昇降機構を制御するとともに、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドの下方を通過した後で、前記吐出ヘッドを所定の画像記録位置まで下降させるように前記ヘッド昇降機構を制御することを特徴とする画像記録装置。
  3. 請求項2に記載の画像記録装置において、
    前記制御部が行う制御は、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドの下方を通過する間、前記吐出ヘッドの液体の吐出を停止する制御を含むことを特徴とする画像記録装置。
  4. 搬送経路に沿って搬送される記録媒体を支持する支持部材と、
    前記支持部材の上の前記記録媒体に液体を吐出して画像を記録する吐出ヘッドと、
    前記記録媒体を前記搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
    前記支持部材上の前記吐出ヘッドより前記搬送経路の上流側に配置され、前記記録媒体の画像記録面の高さを検出する検出部と、
    前記支持部材に対する前記吐出ヘッドの鉛直方向の位置を変えるヘッド昇降機構と、
    前記検出部の検出結果に基づいて前記ヘッド昇降機構を制御する制御部と、を備えた画像記録装置を用いた画像記録方法であって、
    前記検出部が、前記画像記録面の高さが変化する部分である厚み変化部分を検出したときに、前記制御部により、高さの変化の方向や量に応じて前記吐出ヘッドの前記画像記録面に対する位置を変化させるように前記ヘッド昇降機構を制御し、
    前記制御部は、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する高さまでは達しておらず、且つ、前記厚み変化部分の前記記録媒体の搬送方向に沿った長さが所定の長さを超えて続いていることを前記検出部が検出した場合に、前記厚み変化部分の前記画像記録面と前記吐出ヘッドのノズル面とのギャップが画像の記録に最適なギャップとなるように前記ヘッド昇降機構を制御して前記吐出ヘッドの位置を調整して画像の記録することを特徴とする画像記録方法。
  5. 請求項に記載の画像記録方法において、
    前記制御部により、前記厚み変化部分の前記画像記録面の高さが前記吐出ヘッドに干渉する位置まで達したことを前記検出部が検出したときに、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドを通過する間、前記厚み変化部分と干渉しない高さに前記吐出ヘッドを上昇させるように前記ヘッド昇降機構を制御するとともに、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドの下方を通過した後で、前記吐出ヘッドを所定の画像記録位置まで下降させるように前記ヘッド昇降機構を制御することを特徴とする画像記録方法。
  6. 請求項に記載の画像記録方法において、
    前記制御部により、前記厚み変化部分が前記吐出ヘッドの下方を通過する間、前記吐出ヘッドの液体の吐出を停止する制御を行うことを特徴とする画像記録方法。
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