本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
まず、図1、2を参照して本発明の第1実施形態の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100の回路構成図である。図2は、図1の電流検出回路130と電圧変換回路140の詳細図である。
ワイヤレス電力伝送装置100は、図1に示すように、ワイヤレス給電装置110とワイヤレス受電装置180を含む。ワイヤレス給電装置110は給電コイルL1と電源回路120を含む。
給電コイルL1は、電源回路120に直接接続されている。本実施形態においては、給電コイルL1と電源回路120との間には他の回路素子は介在しないこととなる。給電コイルL1は、品質係数Qを高めるために、絶縁された複数の細い導体素線を集めて撚合わせたリッツ線を用いて形成され、平面コイルやソレノイドコイルといった種々の形状が適用できる。
電源回路120は、電源VGと電流検出回路130と電圧変換回路140とインバータINVとを含む。この電源VGから直流電力が出力される。電源VGとしては、例えば、安定化電源や二次電池などが挙げられる。
電流検出回路130は、電源VGに接続されている。この電流検出回路130は、電源VGと電圧変換回路140の間、すなわち電圧変換回路140の入力側を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に応じた検出電圧が出力される。
電圧変換回路140は、電圧変換部150と変圧制御部160を含む。電圧変換部150は、図2に示されるように、昇圧型DC/DCコンバータ151と、抵抗152、153、154を含む。これら昇圧型DC/DCコンバータ151、抵抗152、153、154によって、電源から供給される入力電圧を所望の値に昇圧する昇圧回路が形成される。すなわち、電圧変換回路140は、電圧変換部150によって入力電圧を昇圧させる昇圧型の変換回路として機能することとなる。昇圧型DC/DCコンバータ151は入出力端子とFB(FeedBack)端子を有する。昇圧型DC/DCコンバータ151の入力端子は、電流検出回路130を介して電源VGに接続され、昇圧型DC/DCコンバータ151の出力端子は、インバータINVに接続されている。抵抗152は、一端が昇圧型DC/DCコンバータ151の出力に接続され、他端が抵抗153に接続されている。抵抗153は、一端が抵抗152に接続され、他端がGNDに接続されている。抵抗154は、一端が抵抗152と抵抗153の中点を介して昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に接続され、他端が変圧制御部160に接続されている。
変圧制御部160は、図2に示されるように、ヒステリシス付き反転コンパレータ161と、FET(Field Effect Transistor)162を含む。ヒステリシス付き反転コンパレータ161の入力端子は、電流検出回路130の出力に接続され、ヒステリシス付き反転コンパレータ161の出力端子は、FET162のゲート端子に接続されている。FET162のソース端子は、GNDに接続され、ドレイン端子が抵抗154に接続されている。
ここで、電流検出回路130と電圧変換回路140の機能について詳細に説明する。電流検出回路130は、電源VGと電圧変換回路140の間、すなわち電圧変換回路140の入力側を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に応じた検出電圧を変圧制御部160のヒステリシス付き反転コンパレータ161の入力端子に出力する。
ヒステリシス付き反転コンパレータ161は、入力端子に入力された検出電圧と、予め設定されている閾値電圧を比較する。その結果、検出電圧が第1の閾値以下の場合、FET162がON状態となり、抵抗152、抵抗153、及び抵抗154の合成抵抗で分圧された電圧値が昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に入力される。
一方、検出電圧が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上の場合、FET162がOFF状態となり、抵抗152と抵抗153の合成抵抗で分圧された電圧値が昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に入力される。昇圧型DC/DCコンバータ151は、FB端子に入力された電圧値と内部に持つ基準電圧を比較し、その差がゼロとなるように出力する電圧値を制御する。
具体的には、検出電圧が第1の閾値以下になると、FB端子に入力される電圧値が基準電圧よりも低くなるため、昇圧型DC/DCコンバータ151によって昇圧させる電圧値を上げるように動作する。一方、検出電圧が第2の閾値以上になると、FB端子に入力される電圧値が基準電圧よりも高くなるため、昇圧型DC/DCコンバータ151によって昇圧させる電圧値を下げるように動作する。このように、本実施形態では、変圧制御部160が電流検出回路130によって検出した検出電流値に応じた検出電圧と閾値電圧との比較結果を基に、電圧変換部150において変圧する電圧値を制御している。
インバータINVは、直流電力を交流電力に変換する機能を有する。インバータINVは、一端が電圧変換部150に接続され、他端が給電コイルL1に接続されている。本実施形態におけるインバータINVは、電圧変換部150によって昇圧された直流電力を交流電力に変換し、給電コイルL1に交流電力を供給する。インバータINVとしては、フルブリッジ回路やハーフブリッジ回路などが挙げられる。
ワイヤレス受電装置180は、受電共振回路RESと、負荷回路RLを含む。受電共振回路RESは、受電コイルL2と、受電コンデンサC2を含む。
受電コイルL2は、給電コイルL1と所定の距離を空けて配置され、給電コイルL1から伝送される電力を受電可能に構成されている。この受電コイルL2は、品質係数Qを高めるために、絶縁された複数の細い導体素線を集めて撚合わせたリッツ線を用いて形成され、平面コイルやソレノイドコイルといった種々の形状が適用できる。
受電コンデンサC2は、受電コイルL2に直列接続されている。受電コンデンサC2としては、誘電正接tanδが小さい方が電力伝送効率向上に望ましく、低誘電率系のコンデンサが挙げられる。
このように、受電コイルL2と受電コンデンサC2が接続されて共振回路が構成され、共振周波数f0が決定される。なお、本実施形態に係るワイヤレス電力装置100は、ワイヤレス受電装置180のみが共振回路を構成している。
負荷回路RLは、受電共振回路RESに接続されている。負荷回路RLとしては、整流器、DC/DCコンバータに加え、二次電池などが挙げられる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100では、給電コイルL1と、受電コイルL2と、受電コイルL2と共振回路を構成する受電コンデンサC2を備えている。つまり、受電側のみが共振回路を構成している。そのため、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても電力伝送効率の良い周波数の変化を低減することができる。
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100では、電源VGから供給される入力電圧を変圧する電圧変換部150と電圧変換部150に接続される変圧制御部160を備えた電圧変換回路140と、電圧変換回路140の入力側を流れる電流の電流値を検出する電流検出回路130とを有し、変圧制御部160が電流検出回路130によって検出された電流値に基づいて、電圧変換部150の変圧する電圧値を制御している。そのため、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても、所望の受電電圧を維持することができる。
さらに、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100においては、電圧変換回路140が電源VGから供給される入力電圧を昇圧させる昇圧型の変換回路であって、電流検出回路130が電圧変換回路140の入力側を流れる電流の電流値を検出している。すなわち、昇圧型の電圧変換回路140の場合に、電流の増減が大きくなる電圧変換回路140の入力側の電流が検出されるため、電圧変換回路140の出力電圧の制御の精度が向上する。その出力電圧がインバータINVによって交流電圧に変換され、給電電圧として給電コイルL1に供給される。そのため、所望の受電電圧をより正確に維持することができる。
続いて、図3を参照して、給電コイルL1と受電コイルL2の距離を変化させた場合の本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100の具体的な動作について詳細に説明する。図3aは、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離変化させた場合における検出電圧を示したグラフである。図3bは、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離変化させた場合における、電源VGから電圧変換回路140へ供給される入力電圧と給電電圧を示したグラフである。図3cは、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離変化させた場合における受電電圧を示したグラフである。なお、図3おいて横軸は、原点から離れるにつれて給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が大きくなるものとする。
電源VGから電圧変換回路140へ供給される入力電圧をVe1、所望の受電電圧の範囲をVlo1とVhi1との間の範囲、第1の閾値をVth1a、第2の閾値をVth1bとする。
まず、給電コイルL1と受電コイルL2との距離がD1aの場合、電源VGから電圧変換回路140へ供給される入力電圧Ve1が、電圧変換回路140の電圧変換部150によって昇圧され、出力される。その出力電圧がインバータINVによって交流電圧に変換され、給電電圧Vt1aとして給電コイルL1に供給される。給電コイルL1に給電電圧Vt1aが供給されると、受電電圧はVlo1とVhi1との間にあるVr1aとなり、所望の受電電圧の範囲に維持される。また、電流検出回路130が検出した電流値に応じた検出電圧も第1の閾値Vth1aと第2の閾値Vth1bの間にあるVdet1aとなり、電圧変換部150によって昇圧される出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧はVt1aに維持される。
次に、給電コイルL1と受電コイルL2との距離が離れ、給電コイルL1と受電コイルL2との距離がD1aからD1bに変化すると、給電コイルL1から発生する電力伝送に寄与する磁界が減少するため、受電電圧がVr1aから所望の受電電圧の範囲の下限値であるVlo1を若干上回るVr1bにまで低下する。このとき、給電コイルL1と受電コイルL2で形成される相互インダクタンスが減少、すなわち、漏れインダクタンスが増加する。この為、給電電流が減少し、電流検出回路130が検出した電流値に応じた検出電圧がVdet1aから第1の閾値Vth1aを下回る電圧値まで低下する。
このように、検出電圧が第1の閾値Vth1a以下になると、変圧制御部160のFET162がON状態となり、昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に入力される電圧が低下する。そして、昇圧型DC/DCコンバータ151は、FB端子に入力された電圧と内部に持つ基準電圧とを比較し、その差がゼロとなるよう、昇圧型DC/DCコンバータ151の出力電圧を上昇させる。その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧はVt1aからVt1bに上昇する。
その結果、電力伝送に寄与する磁界が増加するため、受電電圧がVr1bから所望の受電電圧の範囲の下限値であるVlo1を十分に上回る電圧値に上昇する。また、給電電圧を上昇させると、給電電流が増大するため、電流検出回路130が検出した電流値に応じた検出電圧も第1の閾値Vth1aを十分に上回るVdet1bに上昇する。そのため、本実施形態におけるワイヤレス電力伝送装置100では、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても所望の受電電圧を維持することができる。
続いて、給電コイルL1と受電コイルL2との距離が近づき、給電コイルL1と受電コイルL2との距離がD1bからD1cに変化すると、給電コイルL1から発生する電力伝送に寄与する磁界が増加するため、受電電圧が所望の受電電圧の範囲の上限値であるVhi1を若干下回るVr1cにまで上昇する。このとき、給電コイルL1と受電コイルL2で形成される相互インダクタンスが増大、すなわち、漏れインダクタンスが減少する。この為、給電電流が増大し、電流検出回路130が検出した電流値に応じた検出電圧がVdet1bから第2の閾値Vth1bを上回る電圧値まで上昇する。
このように、検出電圧が第2の閾値Vth1b以上になると、変圧制御部160のFET162がOFF状態となり、昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に入力される電圧が上昇する。そして、昇圧型DC/DCコンバータ151は、FB端子に入力された電圧と内部に持つ基準電圧を比較し、その差がゼロとなるよう、昇圧型DC/DCコンバータ151の出力電圧を低下させる。その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧はVt1bからVt1aに低下する。
その結果、電力伝送に寄与する磁界が減少するため、受電電圧がVr1cから所望の受電電圧の範囲の上限値であるVhi1を十分に下回る電圧値に低下する。また、給電電圧を低下させると、給電電流が減少するため、電流検出回路130が検出した電流値に応じた検出電圧も第2の閾値Vth1bを十分に下回るVdet1cに低下する。そのため、本実施形態におけるワイヤレス電力伝送装置100では、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても所望の受電電圧を維持することができる。
[第2実施形態]
次に、図4、5を参照して本発明の第2実施形態の構成について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置200の回路構成図である。図5は、図4の電流検出回路230と電圧変換回路240の詳細図である。第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置200は、電流検出回路の接続箇所と電圧変換回路が電源から供給される入力電圧を降圧させる降圧型の変換回路である点において、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
ワイヤレス電力伝送装置200は、図4に示すように、ワイヤレス給電装置210とワイヤレス受電装置180を含む。なお、ワイヤレス受電装置180の構成については、第1実施形態と同様のため、説明は省略する。
ワイヤレス給電装置210は、第1実施形態に係るワイヤレス給電装置110と同様に、給電コイルL1と電源回路220を含む。電源回路220は、電源VGと電流検出回路230と電圧変換回路240とインバータINVを含む。但し、本実施形態では、電流検出回路230が、電圧変換回路240の出力側を流れる電流の電流値を検出する点及び電圧変換回路240が電源VGから供給される入力電圧を降圧させる降圧型の変換回路である点において、第1実施形態と相違する。
電流検出回路230は、電圧変換回路240とインバータINVの間、すなわち電圧変換回路240の出力側を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に応じた検出電圧が出力される。
電圧変換回路240は、電圧変換部250と変圧制御部160を含む。電圧変換部250は、図5に示されるように、降圧型DC/DCコンバータ251と、抵抗152、153、154を含む。これら降圧型DC/DCコンバータ251、抵抗152、153、154によって電源から供給される入力電圧を所望の値に降圧する降圧回路が形成される。すなわち、電圧変換回路240は、電圧変換部250によって入力電圧を降圧させる降圧型の変換回路として機能することとなる。降圧型DC/DCコンバータ251は、入出力端子とFB端子を有する。降圧型DC/DCコンバータ251の入力端子は、電源VGに接続され、降圧型DC/DCコンバータ251の出力端子は、電流検出回路230を介してインバータINVに接続されている。抵抗152は、一端が降圧型DC/DCコンバータ251の出力に接続され、他端が抵抗153に接続されている。抵抗153は、一端が抵抗152に接続され、他端がGNDに接続されている。抵抗154は、一端が抵抗152と抵抗153の中点を介して降圧型DC/DCコンバータ251のFB端子に接続され、他端が変圧制御部160に接続されている。
ここで、電流検出回路230と電圧変換回路240の機能について詳細に説明する。電流検出回路230は、電圧変換回路240とインバータINVの間、すなわち電圧変換回路240の出力側を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に応じた検出電圧を変圧制御部160のヒステリシス付き反転コンパレータ161の入力端子に出力する。
ヒステリシス付き反転コンパレータ161は、入力端子に入力された検出電圧と、予め設定されている閾値電圧を比較する。その結果、検出電圧が第1の閾値以下の場合、FET162がON状態となり、抵抗152、抵抗153、及び抵抗154の合成抵抗で分圧された電圧値が降圧型DC/DCコンバータ251のFB端子に入力される。
一方、検出電圧が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上の場合、FET162がOFF状態となり、抵抗152と抵抗153の合成抵抗で分圧された電圧値が降圧型DC/DCコンバータ251のFB端子に入力される。降圧型DC/DCコンバータ251はFB端子に入力された電圧値と内部に持つ基準電圧を比較し、その差がゼロとなるように出力する電圧値を制御する。
具体的には、検出電圧が第1の閾値以下になると、FB端子に入力される電圧値が基準電圧よりも低くなるため、降圧型DC/DCコンバータ251によって降圧させる電圧値を上げるように動作する。一方、検出電圧が第2の閾値以上になると、FB端子に入力される電圧値が基準電圧よりも高くなるため、降圧型DC/DCコンバータ251によって降圧させる電圧値を下げるように動作する。このように、本実施形態では、変圧制御部160が電流検出回路230によって検出した検出電流値に応じた検出電圧と閾値電圧との比較結果を基に、電圧変換部250において変圧する電圧値を制御している。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置200では、給電コイルL1と、受電コイルL2と、受電コイルL2と共振回路を構成する受電コンデンサC2を備えている。つまり、受電側のみが共振回路を構成している。そのため、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても電力伝送効率の良い周波数の変化を低減することができる。
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置200では、電源VGから供給される入力電圧を変圧する電圧変換部250と電圧変換部250に接続される変圧制御部160を備えた電圧変換回路240と、電圧変換回路240の出力側を流れる電流の電流値を検出する電流検出回路230を有し、変圧制御部160が電流検出回路230によって検出された電流値に基づいて、電圧変換部250の変圧する電圧値を制御している。そのため、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても、所望の受電電圧を維持することができる。
さらに、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置200においては、電圧変換回路240が電源VGから供給される入力電圧を降圧させる降圧型の変換回路であって、電流検出回路230が電圧変換回路240の出力側を流れる電流の電流値を検出している。すなわち、降圧型の電圧変換回路240の場合に、電流の増減が大きくなる電圧変換回路240の出力側の電流が検出されるため、電圧変換回路240の出力電圧の制御の精度が向上する。その出力電圧がインバータINVによって交流電圧に変換され、給電電圧として給電コイルL1に供給される。そのため、所望の受電電圧をより正確に維持することができる。
続いて、図6を参照して、給電コイルL1と受電コイルL2の距離を変化させた場合の本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置200の具体的な動作について詳細に説明する。図6aは、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離変化させた場合における検出電圧を示したグラフである。図6bは、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離変化させた場合における電源VGから電圧変換回路240へ供給される入力電圧と給電電圧を示したグラフである。図6cは、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離変化させた場合における受電電圧を示したグラフである。なお、図6おいて横軸は、原点から離れるにつれて給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が大きくなるものとする。
電源VGから電圧変換回路240へ供給される入力電圧をVe2、所望の受電電圧の範囲をVlo2とVhi2との間の範囲、第1の閾値をVth2a、第2の閾値をVth2bとする。
まず、給電コイルL1と受電コイルL2との距離がD2aの場合、電源VGから電圧変換回路240へ供給される入力電圧Ve2が、電圧変換回路240の電圧変換部250によって降圧され、出力される。その出力電圧がインバータINVによって交流電圧に変換され、給電電圧Vt2aとして給電コイルL1に供給される。給電コイルL1に給電電圧Vt2aが供給されると、受電電圧はVlo2とVhi2との間にあるVr2aとなり、所望の受電電圧の範囲に維持される。また、電流検出回路230が検出した電流値に応じた検出電圧も第1の閾値Vth2aと第2の閾値Vth2bの間にあるVdet2aとなり、電圧変換部250によって降圧される出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧はVt2aに維持される。
次に、給電コイルL1と受電コイルL2との距離が離れ、給電コイルL1と受電コイルL2との距離がD2aからD2bに変化すると、給電コイルL1から発生する電力伝送に寄与する磁界が減少するため、受電電圧がVr2aから所望の受電電圧の範囲の下限値であるVlo2を若干上回るVr2bにまで低下する。このとき、給電コイルL1と受電コイルL2で形成される相互インダクタンスが減少、すなわち、漏れインダクタンスが増加する。この為、給電電流が減少し、電流検出回路230が検出した電流値に応じた検出電圧がVdet2aから第1の閾値Vth2aを下回る電圧値まで低下する。
このように、検出電圧が第1の閾値Vth2a以下になると、変圧制御部160のFET162がON状態となり、降圧型DC/DCコンバータ251のFB端子に入力される電圧が低下する。そして、降圧型DC/DCコンバータ251は、FB端子に入力された電圧と内部に持つ基準電圧とを比較し、その差がゼロとなるよう、降圧型DC/DCコンバータ251の出力電圧を上昇させる。その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧はVt2aからVt2bに上昇する。
その結果、電力伝送に寄与する磁界が増加するため、受電電圧がVr2bから所望の受電電圧の範囲の下限値であるVlo2を十分に上回る電圧値に上昇する。また、給電電圧を上昇させると、給電電流が増大するため、電流検出回路230が検出した電流値に応じた検出電圧も第1の閾値Vth2aを十分に上回るVdet2bに上昇する。そのため、本実施形態におけるワイヤレス電力伝送装置200では、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても所望の受電電圧を維持することができる。
続いて、給電コイルL1と受電コイルL2との距離が近づき、給電コイルL1と受電コイルL2との距離がD2bからD2cに変化すると、給電コイルL1から発生する電力伝送に寄与する磁界が増加するため、受電電圧が所望の受電電圧の範囲の上限値であるVhi2を若干下回るVr2cにまで上昇する。このとき、給電コイルL1と受電コイルL2で形成される相互インダクタンスが増大、すなわち、漏れインダクタンスが減少する。この為、給電電流が増大し、電流検出回路230が検出した電流値に応じた検出電圧がVdet2bから第2の閾値Vth2bを上回る電圧値まで上昇する。
このように、検出電圧が第2の閾値Vth2b以上になると、変圧制御部160のFET162がOFF状態となり、降圧型DC/DCコンバータ251のFB端子に入力される電圧が上昇する。そして、降圧型DC/DCコンバータ251は、FB端子に入力された電圧と内部に持つ基準電圧を比較し、その差がゼロとなるよう、降圧型DC/DCコンバータ251の出力電圧を低下させる。その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧はVt2bからVt2aに低下する。
その結果、電力伝送に寄与する磁界が減少するため、受電電圧がVr2cから所望の受電電圧の範囲の上限値であるVhi2を十分に下回る電圧値に低下する。また、給電電圧を低下させると、給電電流が減少するため、電流検出回路230が検出した電流値に応じた検出電圧も第2の閾値Vth2bを十分に下回るVdet2cに低下する。そのため、本実施形態におけるワイヤレス電力伝送装置200では、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても所望の受電電圧を維持することができる。
[第3実施形態]
次に、図7、8を参照して本発明の第3実施形態の構成について説明する。図7は、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置300の回路構成図である。図8は、図7の電流検出回路330、331と電圧変換回路340の詳細図である。第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置300は、電流検出回路の個数及び接続箇所と電圧変換回路が電源から供給される入力電圧を昇降圧させる昇降圧型の変換回路である点において、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
ワイヤレス電力伝送装置300は、図7に示すように、ワイヤレス給電装置310とワイヤレス受電装置180を含む。なお、ワイヤレス受電装置の構成については、第1実施形態と同様のため、説明は省略する。
ワイヤレス給電装置310は、第1実施形態に係るワイヤレス給電装置100と同様に、給電コイルL1と電源回路320を含む。電源回路320は、電源VGと第1の電流検出回路330と第2の電流検出回路331と電圧変換回路340とインバータINVを含む。但し、本実施形態では、電圧変換回路340の入力側を流れる電流の電流値を検出する第1の電流検出回路330に加え、電圧変換回路340の出力側を流れる電流の電流値を検出する第2の電流検出回路331を備える点及び電圧変換回路340が電源VGから供給される入力電圧を昇降圧させる昇降圧型の変換回路である点において、第1実施形態と相違する。
第1の電流検出回路330は、電源VGと電圧変換回路340の間、すなわち電圧変換回路340の入力側を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に応じた検出電圧が出力される。第2の電流検出回路331は、電圧変換回路340とインバータINVの間、すなわち電圧変換回路340の出力側を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に応じた検出電圧が出力される。ここで、第1の電流検出回路330は、第1実施形態の電流検出回路130に相当し、第2の電流検出回路331は、第2実施形態の電流検出回路230に相当するものである。
電圧変換回路340は、電圧変換部350と変圧制御部360を含む。電圧変換部350は、図8に示されるように、昇降圧型DC/DCコンバータ351と、抵抗152、153、154を含む。これら昇降圧型DC/DCコンバータ351、抵抗152、153、154によって電源から供給される入力電圧を所望の値に昇降圧する昇降圧回路が形成される。すなわち、電圧変換回路340は、電圧変換部350によって入力電圧を昇降圧させる昇降圧型の変換回路として機能することとなる。昇降圧型DC/DCコンバータ351は、入出力端子とFB端子を有する。昇降圧型DC/DCコンバータ351の入力端子は、第1の電流検出回路330を介して電源VGに接続され、昇降圧型DC/DCコンバータ351の出力端子は、第2の電流検出回路331を介してインバータINVに接続されている。抵抗152は、一端が昇降圧型DC/DCコンバータ351の出力に接続され、他端が抵抗153に接続されている。抵抗153は、一端が抵抗152に接続され、他端がGNDに接続されている。抵抗154は、一端が抵抗152と抵抗153の中点を介して昇降圧型DC/DCコンバータ351のFB端子に接続され、他端が変圧制御部360に接続されている。
変圧制御部360は、図8に示されるように、比較器361と、ヒステリシス付き反転コンパレータ362、363と、FET365、366、367と、ExOR(排他的論理和)素子364を含む。ヒステリシス付き反転コンパレータ362の入力端子は、第1の電流検出回路330に接続され、ヒステリシス付き反転コンパレータ362の出力端子は、FET365のドレイン端子に接続されている。ヒステリシス付き反転コンパレータ363の入力端子は、第2の電流検出回路331に接続され、ヒステリシス付き反転コンパレータ363の出力端子は、FET366のドレイン端子に接続されている。ExOR素子364の一方の入力端子は、FET365のソース端子に接続され、ExOR素子364の他方の入力端子は、FET366のソース端子に接続されている。また、ExOR素子364の出力端子は、FET367のゲート端子に接続されている。比較器361の一方の入力端子は、昇降圧型DC/DCコンバータ351の入力に接続され、比較器361の他方の入力端子は、昇降圧型DC/DCコンバータ351の出力に接続されている。また、比較器361の一方の出力端子は、FET365のゲート端子に接続され、比較器361の他方の出力端子は、FET366のゲート端子に接続されている。FET367のソース端子は、GNDに接続され、ドレイン端子が抵抗154に接続されている。
ここで、第1及び第2の電流検出回路330、331と電圧変換回路340の機能について詳細に説明する。第1の電流検出回路330は、電源VGと電圧変換回路340の間、すなわち電圧変換回路340の入力側を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に応じた検出電圧を変圧制御部360のヒステリシス付き反転コンパレータ362の入力端子に出力する。
ヒステリシス付き反転コンパレータ362は、入力端子に入力された検出電圧と、予め設定されている閾値電圧を比較する。第2の電流検出回路331は、電圧変換回路340とインバータINVの間、すなわち電圧変換回路340の出力側を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に応じた検出電圧を変圧制御部360のヒステリシス付き反転コンパレータ363の入力端子に出力する。ヒステリシス付き反転コンパレータ363は、入力端子に入力された検出電圧と、予め設定されている閾値電圧を比較する。
比較器361は、昇降圧型DC/DCコンバータ351の入力電圧と出力電圧を比較する。その結果、出力電圧が高い場合、すなわち昇降圧型DC/DCコンバータ351が昇圧回路として機能している場合は、FET365がON状態、FET366がOFF状態となる。そして、第1の電流検出回路330の検出電圧が第1の閾値以下になると、ヒステリシス付き反転コンパレータ362が出力したHighレベルは、FET365を介してExOR素子364の一方の入力端子に入力される。このとき、ExOR素子364の他方の入力端子には、Lowレベルが入力されているため、ExOR素子364は、Highレベルを出力する。それにより、FET367がON状態となり、抵抗152、抵抗153、及び抵抗154の合成抵抗で分圧された電圧値が昇降圧型DC/DCコンバータ351のFB端子に入力される。一方、検出電圧が第2の閾値以上になると、ヒステリシス付き反転コンパレータ362が出力したLowレベルは、FET365を介してExOR素子364の一方の入力端子に入力される。このとき、ExOR素子364の他方の入力端子には、Lowレベルが入力されているため、ExOR素子364がLowレベルを出力する。それにより、FET367がOFF状態となり、抵抗152と抵抗153の合成抵抗で分圧された電圧値が昇降圧型DC/DCコンバータ351のFB端子に入力される。昇降圧型DC/DCコンバータ351は、FB端子に入力された電圧値と内部に持つ基準電圧を比較し、その差がゼロとなるように出力する電圧値を制御する。
逆に、昇降圧型DC/DCコンバータ351の入力電圧と出力電圧を比較した結果、入力電圧が高い場合、すなわち昇降圧型DC/DCコンバータ351が降圧回路として機能している場合は、FET365がOFF状態、FET366がON状態となる。そして、第2の電流検出回路331の検出電圧が第1の閾値以下になると、ヒステリシス付き反転コンパレータ363が出力したHighレベルは、FET366を介してExOR素子364の一方の入力端子に入力される。このとき、ExOR素子364の他方の入力端子には、Lowレベルが入力されているため、ExOR素子364がHighレベルを出力する。それにより、FET367がON状態となり、抵抗152、抵抗153、及び抵抗154の合成抵抗で分圧された電圧値が昇降圧型DC/DCコンバータ351のFB端子に入力される。一方、検出電圧が第2閾値以上になると、ヒステリシス付き反転コンパレータ363が出力したLowレベルは、FET366を介してExOR素子364の一方の入力端子に入力される。このとき、ExOR素子364の他方の入力端子には、Lowレベルが入力されているため、ExOR素子364は、Lowレベルを出力する。それにより、FET367がOFF状態となり、抵抗152と抵抗153の合成抵抗で分圧された電圧値が昇降圧型DC/DCコンバータ351のFB端子に入力される。昇降圧型DC/DCコンバータ351はFB端子に入力された電圧値と内部に持つ基準電圧を比較し、その差がゼロとなるように出力する電圧値を制御する。
具体的には、検出電圧が第1の閾値以下になると、FB端子に入力される電圧値が基準電圧よりも低くなるため、昇降圧型DC/DCコンバータ351によって昇圧又は降圧させる電圧値を上げるように動作する。一方、検出電圧が第2の閾値以上になると、FB端子に入力される電圧値が基準電圧よりも高くなるため、昇降圧型DC/DCコンバータ351によって昇圧又は降圧させる電圧値を下げるように動作する。このように、本実施形態では、変圧制御部360が第1の電流検出回路330又は第2の電流検出回路331によって検出した検出電流値に応じた検出電圧と閾値電圧との比較結果を基に、電圧変換部350において変圧する電圧値を制御している。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置300では、給電コイルL1と、受電コイルL2と、受電コイルL2と共振回路を構成する受電コンデンサC2を備えている。つまり、受電側のみが共振回路を構成している。そのため、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても電力伝送効率の良い周波数の変化を低減することができる。
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置300では、変圧制御部360は、検出電流値が第1の閾値以下の場合に、電圧変換部350の変圧する電圧値を上げ、検出電流値が第1の閾値よりも大きい第2の閾値以上の場合に、電圧変換部350の変圧する電圧値を下げている。そのため、給電コイルと受電コイルとの間の距離が変化しても、所望の受電電圧を維持することができる。
さらに、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置300においては、第1の電流検出回路330と、第2の電流検出回路331をさらに備え、第1の電流検出回路330は、電圧変換回路340の入力側を流れる電流の電流値を検出し、第2の電流検出回路331は、電圧変換回路340の出力側を流れる電流の電流値を検出し、電圧変換部350が電源VGから供給される入力電圧を昇圧させる昇圧型の変換回路の場合に、第1の電流検出回路330によって検出された検出電流値に基づいて、変圧制御部360の昇圧する電圧値を制御し、電圧変換部350が電源VGから供給される入力電圧を降圧させる降圧型の変換回路の場合に、第2の電流検出回路331によって検出された検出電流値に基づいて、変圧制御部360の降圧する電圧値を制御している。すなわち、昇降圧の動作に応じて第1の電流検出回路330と第2の電流検出回路331を使い分けている。電圧変換回路340が昇圧型の変換回路の場合、電流の増減が大きくなる電圧変換回路340の入力側を流れる電流が検出され、電圧変換回路340が降圧型の変換回路の場合、電流の増減が大きくなる電圧変換回路340の出力側を流れる電流が検出され、電圧変換回路340の出力電圧の制御の精度が向上する。その出力電圧がインバータINVによって交流電圧に変換され、給電電圧として給電コイルL1に供給される。そのため、所望の受電電圧をより正確に維持することができる。
続いて、図9を参照して、給電コイルL1と受電コイルL2の距離を変化させた場合の本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置300の具体的な動作について詳細に説明する。図9aは、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離変化させた場合における検出電圧を示したグラフである。図9bは、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離変化させた場合における電源VGから電圧変換回路340へ供給される入力電圧と給電電圧を示したグラフである。図9cは、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離変化させた場合における受電電圧を示したグラフである。なお、図9おいて横軸は、原点から離れるにつれて給電コイルと受電コイルとの間の距離が大きくなるものとする。また、電圧変換部350が昇圧動作のみ行う場合は、第1実施形態と同様であり、電圧変換部350が降圧動作のみ行う場合は、第2実施形態と同様のため、説明は省略する。
電源VGから電圧変換回路340へ供給される入力電圧をVe3、所望の受電電圧の範囲をVlo3とVhi3との間の範囲、第1の閾値をVth3a、第2の閾値をVth3bとする。
まず、給電コイルL1と受電コイルL2との距離がD3aの場合、電源VGから電圧変換回路340へ供給される入力電圧Ve3が、電圧変換回路340の電圧変換部350によって降圧され、出力される。その出力電圧がインバータINVによって交流電圧に変換され、給電電圧Vt3aとして給電コイルL1に供給される。このとき、昇降圧型DC/DCコンバータ351が降圧回路として機能しており、比較器361によって、昇降圧型DC/DCコンバータ351の出力電圧よりも入力電圧が高いと判断され、FET365がOFF状態、FET366がON状態となる。給電コイルL1に給電電圧Vt3aが供給されると、受電電圧はVlo3とVhi3との間にあるVr3aとなり、所望の受電電圧の範囲に維持される。また、第2の電流検出回路331が検出した電流値に応じた検出電圧も第1の閾値Vth3aと第2の閾値Vth3bの間にあるVdet3aとなり、電圧変換部350によって降圧され、給電電圧はVt3aに維持される。
次に、給電コイルL1と受電コイルL2との距離が離れ、給電コイルL1と受電コイルL2との距離がD3aからD3bに変化すると、給電コイルL1から発生する電力伝送に寄与する磁界が減少するため、受電電圧がVr3aから所望の受電電圧の範囲の下限値であるVlo3を若干上回るVr3bにまで低下する。このとき、給電コイルL1と受電コイルL2で形成される相互インダクタンスが減少、すなわち、漏れインダクタンスが増加する。この為、給電電流が減少し、第2の電流検出回路331が検出した電流値に応じた検出電圧がVdet3aから第1の閾値Vth3aを下回る電圧値まで低下する。
このように、検出電圧が第1の閾値Vth3a以下になると、ヒステリシス付き反転コンパレータ363が出力したHighレベルがFET366を介してExOR素子364の一方の入力端子に入力され、ExOR素子364がHighレベルを出力する。それにより、FET367がON状態となり、昇降圧型DC/DCコンバータ351のFB端子に入力される電圧が低下する。そして、昇降圧型DC/DCコンバータ351は、FB端子に入力された電圧と内部に持つ基準電圧とを比較し、その差がゼロとなるよう、昇降圧型DC/DCコンバータ351の出力電圧を上昇させる。その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧はVt3aからVt3bに上昇する。このタイミングで、昇降圧型DC/DCコンバータ351が降圧回路から昇圧回路として機能が切替る。比較器361によって、昇降圧型DC/DCコンバータ351の入力電圧よりも出力電圧が高いと判断され、FET365がON状態、FET366がOFF状態となるが、ヒステリシス付き反転コンパレータ362が出力したHighレベルがFET365を介してExOR素子364の一方の入力端子に入力され、ExOR素子364がHighレベルを出力し、FET367のON状態が維持されるため、給電電圧はVt3bに維持される。また、検出電圧も第1の電流検出回路330が検出した電流値に応じた検出電圧に切替る。
その結果、電力伝送に寄与する磁界が増加するため、受電電圧がVr3bから所望の受電電圧の範囲の下限値であるVlo3を十分に上回る電圧値に上昇する。また、給電電圧を上昇させると、給電電流が増大するため、第1の電流検出回路330が検出した電流値に応じた検出電圧も第1の閾値Vth3aを十分に上回るVdet3bに上昇する。そのため、本実施形態におけるワイヤレス電力伝送装置300では、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても所望の受電電圧を維持することができる。
続いて、給電コイルL1と受電コイルL2との距離が近づき、給電コイルL1と受電コイルL2との距離がD3bからD3cに変化すると、給電コイルL1から発生する電力伝送に寄与する磁界が増加するため、受電電圧が所望の受電電圧の範囲の上限値であるVhi3を若干下回るVr3cにまで上昇する。このとき、給電コイルL1と受電コイルL2で形成される相互インダクタンスが増大、すなわち、漏れインダクタンスが減少する。この為、給電電流が増大し、第1の電流検出回路330が検出した電流値に応じた検出電圧がVdet3bから第2の閾値Vth3bを上回る電圧値まで上昇する。
このように、検出電圧が第2の閾値Vth3b以上になると、ヒステリシス付き反転コンパレータ362が出力したLowレベルがFET365を介してExOR素子364の一方の入力端子に入力され、ExOR素子364がLowレベルを出力する。それにより、FET367がOFF状態となり、昇降圧型DC/DCコンバータ351のFB端子に入力される電圧が上昇する。そして、昇降圧型DC/DCコンバータ351は、FB端子に入力された電圧と内部に持つ基準電圧とを比較し、その差がゼロとなるよう、昇降圧型DC/DCコンバータ351の出力電圧を低下させる。その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧はVt3bからVt3aに低下する。このタイミングで、昇降圧型DC/DCコンバータ351が昇圧回路から降圧回路として機能が切替る。比較器361によって、昇降圧型DC/DCコンバータ351の出力電圧よりも入力電圧が高いと判断され、FET365がOFF状態、FET366がON状態となるが、ヒステリシス付き反転コンパレータ363が出力したLowレベルがFET366を介してExOR素子364の一方の入力端子に入力され、ExOR素子364がLowレベルを出力し、FET367のOFF状態が維持されるため、給電電圧はVt3aに維持される。また、検出電圧も第2の電流検出回路331が検出した電流値に応じた検出電圧に切替る。
その結果、電力伝送に寄与する磁界が減少するため、受電電圧がVr3cから所望の受電電圧の範囲の上限値であるVhi3を十分に下回る電圧値に低下する。また、給電電圧を低下させると、給電電流が減少するため、第2の電流検出回路331が検出した電流値に応じた検出電圧も第2の閾値Vth3bを十分に下回るVdet3cに低下する。そのため、本実施形態におけるワイヤレス電力伝送装置300では、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても所望の受電電圧を維持することができる。
[第4実施形態]
次に、図10を参照して本発明の第4実施形態の構成について説明する。図10は、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置400の回路構成図である。第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置400は、電源回路に給電制御部を含み、負荷回路に整流部と、スイッチ部と、蓄電部と、充電監視部と、スイッチ制御部とを含む点において第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
ワイヤレス電力伝送装置400は、図10に示すように、ワイヤレス給電装置410とワイヤレス受電装置480を含む。
ワイヤレス給電装置410は、第1実施形態に係るワイヤレス給電装置100と同様に、給電コイルL1と電源回路420を含む。
電源回路420は電源VGと、給電制御部470と、電流検出回路430と、電圧変換回路140と、インバータINVを含む。但し、本実施形態では、電源回路420が給電制御部470を備えている点において、第1実施形態と相違する。
給電制御部470は、電源VGと電流検出回路430に接続されている。給電制御部470は、電流検出回路430が検出した電流値に応じた検出電圧に基づいて、電源VGの電力の出力動作を制御する。具体的には、検出電圧と第1の閾値よりも小さい第3の閾値を比較し、検出電圧が第3の閾値以下の場合に、電源VGの電力の出力動作を停止させる。
ワイヤレス受電装置480は、受電共振回路RESと、負荷回路RL2を含む。負荷回路RL2は、整流部490と、スイッチ部491と、蓄電部492と、充電監視部493と、スイッチ制御部494を含む。
整流部490は、受電共振回路RESに接続されている。整流部490は交流電力を直流電力に変換する機能を有する。整流部490としては、例えば、半波整流回路や全波整流回路などが挙げられる。
スイッチ部491は、整流部490と蓄電部492との間に接続されている。スイッチ部491は、整流部490から出力された直流電力を蓄電部492へ供給するか停止するか制御する機能を有する。スイッチ部491としては、例えば、半導体スイッチなどが挙げられる。
蓄電部492は、スイッチ部491に接続されている。蓄電部492としては、電力が充電可能であれば特に制限されず、例えば、リチウムイオン二次電池やリチウムポリマー二次電池などが挙げられる。
充電監視部493は、蓄電部492とスイッチ制御部494に接続されている。充電監視部493は、蓄電部492の充電状態を常に監視しており、蓄電部492の充電状態に応じてスイッチ部491をON又はOFF状態に制御するようにスイッチ制御部494に指示を出している。
スイッチ制御部494は、充電監視部493とスイッチ部491に接続されている。スイッチ制御部494は、充電監視部493の指示に基づいて、スイッチ部491のON・OFF動作を制御する。
ここで、充電監視部493とスイッチ制御部494の具体的な動作について詳細に説明する。充電監視部493によって、蓄電部492に充電が必要と判定されたときは、充電監視部493はスイッチ制御部494に指示を出し、スイッチ制御部494がスイッチ部491をON状態にする。一方、蓄電部492に充電が必要ない、すなわち、満充電のときは、充電監視部493はスイッチ制御部494に指示を出し、スイッチ制御部494がスイッチ部491をOFF状態にする。これにより、蓄電部492の充電状態に応じた給電制御を実現することができる。
次に、給電制御部470の具体的な動作について詳細に説明する。給電制御部470は、充電監視部493によって、蓄電部492に充電が必要と判定されたとき、すなわちスイッチ部491がON状態のときは、電源VGからの電力の出力を継続する。逆に、蓄電部492に充電が必要ない満充電のとき、すなわちスイッチ部491がOFF状態のときは、給電コイルL1と受電コイルL2で形成される相互インダクタンスが減少、すなわち、漏れインダクタンスが増加する。この為、給電電流が大きく減少し、電流検出回路430の検出電圧が第1の閾値よりも小さい第3の閾値を下回る。この場合、給電制御部470は電源VGからの電力の出力を停止させる。これにより、蓄電部492が満充電である状態での不要な給電を停止することができる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置400では、負荷回路RL2は、充電可能な蓄電部492と、蓄電部492の充電状態を監視する充電監視部493と、受電コイルL2が受電した交流電力を直流電力に変換して出力する整流部490と、整流部490と蓄電部492との間に配置されたスイッチ部491と、スイッチ部491のON・OFF動作を制御するスイッチ制御部494とを含み、スイッチ制御部494が、充電監視部493により蓄電部492が満充電と判定された場合に、スイッチ部491をOFFに制御している。このため、蓄電部492への必要以上の充電を停止することができる。
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置400においては、電源回路420は、給電動作を制御する給電制御部470をさらに備え、給電制御部470は、検出電流値が第1の閾値よりも小さい第3の閾値以下の場合に、給電動作を停止させている。このため、蓄電部492の充電状態に応じた給電制御を実現することができる。
[第5実施形態]
次に、図11を参照して本発明の第5実施形態の構成について説明する。図11は、本発明の第5実施形態の構成の電流検出回路530と電圧変換回路540の詳細図である。第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置500は、電圧変換部の抵抗の個数、変圧制御部のFETの個数、及び変圧制御部にマイコンを有する点において、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100と異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
ワイヤレス電力伝送装置500は、ワイヤレス給電装置510とワイヤレス受電装置180を含む。なお、ワイヤレス受電装置180の構成については、第1実施形態と同様のため、説明は省略する。ワイヤレス給電装置510は、第1実施形態に係るワイヤレス給電装置100と同様に、給電コイルL1と電源回路520を含む。電源回路520は電源VGと電流検出回路530と電圧変換回路540とインバータINVを含む。
電圧変換回路540は、電圧変換部550と変圧制御部560を含む。電圧変換部550は、図11に示されるように、昇圧型DC/DCコンバータ151と、抵抗152、153、154、155を含む。これら昇圧型DC/DCコンバータ151、抵抗152、153、154、155によって電源から供給される入力電圧を所望の値に変圧する昇圧回路が形成される。すなわち、電圧変換回路540は、電圧変換部550によって入力電圧を昇圧させる昇圧型の変換回路として機能することとなる。昇圧型DC/DCコンバータ151は、入出力端子とFB端子を有する。昇圧型DC/DCコンバータ151の入力端子は、電流検出回路530を介して電源VGに接続され、昇圧型DC/DCコンバータ151の出力端子は、インバータINVに接続されている。抵抗152は、一端が昇圧型DC/DCコンバータ151の出力に接続され、他端が抵抗153に接続されている。抵抗153は、一端が抵抗152に接続され、他端がGNDに接続されている。抵抗154は、一端が抵抗152と抵抗153の中点を介して昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に接続され、他端が変圧制御部560に接続されている。抵抗155は、一端が抵抗152と抵抗153の中点を介して昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に接続され、他端が変圧制御部560に接続されている。
変圧制御部560は、図11に示されるように、マイコン561と、FET562、563を含む。マイコン561の入力端子は、電流検出回路530の出力に接続され、マイコン561の一方の出力端子は、FET562のゲート端子に接続され、マイコン561の他方の出力端子は、FET563のゲート端子に接続されている。FET562のソース端子はGNDに接続され、ドレイン端子が抵抗154に接続されている。FET563のソース端子はGNDに接続され、ドレイン端子が抵抗155に接続されている。
ここで、電流検出回路530と電圧変換回路540の機能について詳細に説明する。電流検出回路530は、電源VGと電圧変換回路540の間、すなわち電圧変換回路540の入力側を流れる電流の電流値を検出し、その電流値に応じた検出電圧を変圧制御部560のマイコン561の入力端子に出力する。
マイコン561は、入力端子に入力された検出電圧と、予め設定されている閾値電圧を比較する。その結果、FET562、FET563ともにOFF状態、かつ、検出電圧が第1の閾値以下の場合、FET562のみがON状態となり、抵抗152、抵抗153、及び抵抗154の合成抵抗で分圧された電圧値が昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に入力される。ここで、昇圧型DC/DCコンバータ151は、FB端子に入力された電圧値と内部に持つ基準電圧を比較し、その差がゼロとなるように出力する電圧値を制御する。そのため、FET562、FET563ともにOFF状態の場合よりも、昇圧型DC/DCコンバータ151の出力電圧は上昇し、その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧も同様に上昇する。続いて、FET562がON状態、FET563がOFF状態において、検出電圧が再度第1の閾値以下となった場合、FET563がON状態となり、抵抗152、抵抗153、抵抗154、及び抵抗155の合成抵抗で分圧された電圧値が昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に入力される。そのため、FET562がON状態、FET563がOFF状態の場合よりも、昇圧型DC/DCコンバータ151の出力電圧はさらに上昇し、その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧も同様にさらに上昇する。すなわち、変圧制御部560は、電圧変換部550の変圧する電圧値を制御する動作を連続的に実行している。
一方、FET562、FET563ともにON状態の場合、かつ、検出電圧が第2の閾値以上の場合、FET563のみがOFF状態となり、抵抗152、抵抗153、及び抵抗154の合成抵抗で分圧された電圧値が昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に入力される。そのため、FET562、FET563ともにON状態の場合よりも、昇圧型DC/DCコンバータ151の出力電圧は低下し、その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧も同様に低下する。続いて、FET562がON状態、FET563がOFF状態において、検出電圧が再度第2の閾値以下となった場合、FET562もOFF状態とし、抵抗152、抵抗153で分圧された電圧値が昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子に入力される。そのため、FET562がON状態、FET563がOFF状態の場合よりも、昇圧型DC/DCコンバータ151の出力電圧はさらに低下し、その出力電圧をインバータINVによって交流電圧に変換した給電電圧も同様にさらに低下する。すなわち、変圧制御部560は、電圧変換部550の変圧する電圧値を制御する動作を連続的に実行している。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置500では、電源から供給される入力電圧を変圧する電圧変換部550と電圧変換部550に接続される変圧制御部560を備えた電圧変換回路540と、電圧変換回路540の入力側を流れる電流の電流値を検出する電流検出回路530を有し、変圧制御部560が電流検出回路530によって検出された検出電流値に基づいて、電圧変換部550の変圧する電圧値を制御している。そのため、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても、所望の受電電圧を維持することができる。
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置500においては、変圧制御部560は、電圧変換部550の変圧する電圧値を制御する動作を連続的に実行している。このため、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても、所望の受電電圧をより一層正確に維持することができる。
ここで、図12を参照して本発明の第5実施形態の変形例について説明する。図12に示されるように、変圧制御部560はマイコン661のみから構成してもよい。具体的には、電流検出回路530から出力された検出電圧をマイコン661へ入力する。マイコン661はその検出電圧と予め設定されている閾値電圧を比較し、その結果を昇圧型DC/DCコンバータ151のFB端子へ出力する。これにより、抵抗やFETを用いることなく、電圧変換部650の変圧する電圧値を制御することができる。そのため、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても、所望の受電電圧を維持することができる。また、本変形例のように、変圧制御部560をマイコン661から構成することで、電圧変換部550の変圧する電圧値を制御する動作を連続的に実行することもできる。この場合、給電コイルL1と受電コイルL2との間の距離が変化しても、所望の受電電圧をより一層正確に維持することができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
例えば、ワイヤレス受電装置に含まれる受電共振回路は受電コイルと受電コンデンサの直列共振回路には限らず、並列共振回路としてもよい。また、直列共振回路と並列共振回路の組合せとしてもよい。
また、本発明の第5実施形態において、抵抗153に並列に接続される抵抗とFETの組合せを追加し、その抵抗の抵抗値をそれぞれ異なる値としてもよい。さらに、FETのON・OFF状態の組合せをマイコンで任意に制御してもよい。この場合、より多様な給電電圧を出力することが可能となり、給電コイルと受電コイルとの間の距離が変化しても、所望の受電電圧をより正確に維持することができる。