以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態は変更可能である。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。画像形成装置10は、入力された画像データに基づいて印刷用紙などのシートに画像を印刷するプリンターである。なお、画像形成装置10は印刷機能のみを有するプリンターに限られない。例えば、プリンターやファクシミリ、複写機、或いはこれらの各機能を兼ね備えた複合機などであっても、本発明は適用可能である。なお、以下の説明においては、画像形成装置10が使用可能に設置された状態(図1に示す状態)を基準として上下方向6を定義し、図1において右側を前面側(正面側)として前後方向7を定義し、画像形成装置10を正面から見て左右方向8を定義する。
図2に示されるように、画像形成装置10は、主として、電子写真方式の画像形成部18と、定着装置19と、給紙部15と、排紙部21と、画像形成装置10を統括的に制御する制御部(不図示)とを備えている。これらは、画像形成装置10の外枠のカバーや内部フレームを構成する筐体14に設けられている。
給紙部15は、画像形成装置10の最下部に設けられている。給紙部15は、給紙トレイ50と、ピックアップローラー51と、給紙ローラー52とを備えている。画像形成装置10に対してシートの給送動作を開始する指示が入力されると、搬送用モーター(不図示)によってピックアップローラー51及び給紙ローラー52が回転駆動される。これにより、シートが給紙トレイ50から給送される。
画像形成部18は、トナーなどの印刷材料を用いてシートにトナー像を転写する。画像形成部18は、感光体ドラム31(本発明の回転体の一例)と、帯電部32と、現像部33と、転写部35と、クリーニング部36と、LSU(Laser ScanningUnit)34とを備えている。感光体ドラム31は、後述の駆動伝達機構70とともにユニット化されてドラムユニット60(図2参照)を構成している。転写部35は、ローラー状の回転体であり、感光体ドラム31の下側に設けられている。転写部35は、感光体ドラム31に対して接触しており、感光体ドラム31との間で、シートを挟持しつつ搬送するニップ部39を形成する。
画像形成動作が開始されると、帯電部32によって感光体ドラム31の表面が一様の電位に帯電される。また、LSU34から感光体ドラム31に対して画像データに応じたレーザー光が走査される。これにより、感光体ドラム31に静電潜像が形成される。その後、現像部33によって前記静電潜像にトナーが付着されて、感光体ドラム31にトナー像が現像される。給紙トレイ50からニップ部39にシートが到達して、ニップ部39をシートが通過すると、転写部35は、感光体ドラム31からシートにトナー像を転写する。トナー像が転写されたシートは、画像形成部18から定着装置19までの間に設けられた搬送路27へ送り出されて、画像形成部18よりも搬送方向下流側(つまり後方側)に配置された定着装置19に搬送される。
図1に示されるように、感光体ドラム31の近傍には分離ブレード38が設けられている。分離ブレード38は、転写部35と感光体ドラム31との間のニップ部39よりもシート搬送方向の下流側に設けられている。分離ブレード38の先端は、先細り形状に形成されている。分離ブレード38は、感光体ドラム31にシートが巻き付かないようにするものであり、その先端部は感光体ドラム31の外周面に接触している。分離ブレード38は、ニップ部39を通過したシートと感光体ドラム31との間に入り込んで、感光体ドラム31から剥がすようにしてシートを分離させる。
定着装置19は、シートに転写されたトナー像を熱と圧力によってそのシートに定着させる。定着装置19は、加熱ローラー41と、加圧ローラー42と、加熱部43と、を備える。加熱ローラー41は、定着動作時にヒーターなどの加熱部43によって高温に加熱される。シートが定着装置19を通過する際に定着装置19の加熱ローラー41がシートに接触して、シートに熱が加えられる。これにより、シートのトナーが加熱溶融され、また、加圧ローラー42によって加圧される。これにより、トナー像がシートに定着して、シートに画像が形成される。定着装置19によって画像が定着されたシートは、定着装置19から上方へ搬送された後、排紙ローラー対23によって用紙排出口22から排紙部21へ排出される。
以下、図2〜図7を参照して感光体ドラム31及びこれを備えるドラムユニット60の構成について説明する。
画像形成装置10は、ドラムユニット60を備えている。ドラムユニット60は、図2及び図3に示されるように、感光体ドラム31と、駆動伝達機構70と、駆動入力ギヤ69(本発明の駆動入力部の一例)と、回転軸62(本発明の回転軸の一例)と、を備える。ドラムユニット60は、感光体ドラム31を回転可能に支持するものであり、感光体ドラム31、駆動伝達機構70、駆動入力ギヤ69、及び回転軸62とともに一体的に画像形成装置10の筐体14に着脱可能とされる。ドラムユニット60は、一方向に長い箱型形状からなるユニットである。ドラムユニット60は、図1において、その長手方向が画像形成装置10の左右方向8に一致するように筐体14内に設けられている。なお、以下において、ドラムユニット60が筐体14内に装着された状態を基準にして、ドラムユニット60に対する上下方向6、前後方向7、左右方向8を定義する。
図2に示されるように、ドラムユニット60は、ハウジング61を備える。ハウジング61は、ドラムユニット60の筐体である。ハウジング61は、その長手方向が左右方向8に一致する状態で、筐体14の内部フレームなどに取り付けられる。ハウジング61は、回転軸62を支持するとともに、感光体ドラム31を回転軸62の周りに回転可能に支持する。また、ハウジング61は、駆動伝達機構70を収容する。
感光体ドラム31は、駆動伝達機構70から伝達された回転駆動力を受けて回転する回転体である。感光体ドラム31は、円筒形状に形成されている。感光体ドラム31は、画像形成部18における画像形成処理の際に用いられる像担持体である。具体的には、感光体ドラム31は、前記画像形成処理の際に現像部33(現像装置)によってトナー像が担持される。感光体ドラム31は、回転駆動されつつ、その外周面に形成された静電潜像に応じたトナー像を担持する。感光体ドラム31の表層には、アモルファスシリコン(a−Si)系の材料を用いた薄層が形成されている。
図3に示されるように、感光体ドラム31の一方側(左側)の端部にフランジ65が設けられている。フランジ65は、感光体ドラム31の側端部の内孔に嵌合されて一体的に固定(連結)される。感光体ドラム31の他方側(右側)の端部にフランジ75が設けられている。フランジ75は、駆動伝達機構70の一部を構成する部材である。フランジ75は、感光体ドラム31の側端部の内孔に嵌合されて一体的に固定(連結)される。フランジ65の中央部に軸孔(不図示)が形成されており、フランジ75の中央部に軸孔75F(図4参照)が形成されている。フランジ65の軸孔及びフランジ75の軸孔75Fそれぞれに回転軸62が挿通されている。各軸孔と回転軸62との間にはクリアランスが設けられている。これにより、感光体ドラム31が回転軸62に回転可能に支持されるとともに、感光体ドラム31が軸方向へ移動可能に回転軸62に支持される。つまり、回転軸62は、感光体ドラム31を回転可能に支持するとともに感光体ドラム31を軸方向へ移動可能に支持する。
感光体ドラム31は、左右方向8に隔てられた支持部63,64によって支持されている。支持部63は、筐体14を構成する内部フレームなどに設けられており、前記内部フレームから上下方向6に延びるプレート状の部材である。支持部63に軸受け孔63Aが形成されており、その軸受け孔63Aに回転軸62の一方側(左側)の端部62Aが支持されている。支持部64は、ハウジング61に設けられている。支持部64は、ハウジング61における左右方向8(長手方向)の他方側(右側)の端部の近傍に設けられている。支持部64は、ハウジング61の内壁から突出するプレート状の部材である。なお、図2では、支持部63だけが示されている。図3では、支持部63,64が示されているが、ハウジング61の全体は示されていない。
上述したように、左右方向8の一方側(左側)に位置する支持部63は、回転軸62を直接に支持している。他方側(右側)に位置する支持部64は、駆動伝達機構70が備える後述のプーリー76を支持している。プーリー76は、駆動伝達機構70の一部を構成する部材である。本実施形態では、支持部64は、回転軸62の軸方向(左右方向8)へプーリー76が移動しないように、且つ、後述するように回転軸62の周りをプーリー76が回転可能なようにプーリー76を支持している。更にプーリー76は、フランジ75に設けられた筒部75Aに回転可能に支持されている。上述したように、フランジ75は感光体ドラム31に固定されており、フランジ75が回転軸62に支持されている。この構成において、支持部64は、感光体ドラム31のフランジ75、及びこの筒部75Aに支持されたプーリー76を介して、回転軸62を間接的に支持している。
図3に示されるように、フランジ65と支持部63との間にコイルバネ66(本発明の弾性部材の一例)が設けられている。コイルバネ66は、所定のバネ力によって、感光体ドラム31を軸方向に沿って支持部63から遠ざかる方向(右方向)へ付勢する役割を担う。本実施形態では、コイルバネ66は圧縮バネとして作動するものであり、回転軸62の端部62A側に挿通された状態で保持されている。ドラムユニット60が筐体14に装着されると、回転軸62の端部62Aが支持部63の軸受け孔63Aに挿入され、その状態で、ハウジング61が筐体14の内部の所定の装着位置で固定される。ドラムユニット60が筐体14の前記装着位置に装着された状態で、支持部63は、コイルバネ66を軸方向に沿ってフランジ65側へ押圧して、コイルバネ66を圧縮する。これにより、コイルバネ66が圧縮された状態でフランジ65と支持部63との間に介在する。このとき、コイルバネ66には、伸張方向のバネ力(弾性力)が生じる。圧縮されたコイルバネ66は、フランジ65とともに感光体ドラム31を軸方向において他方側(右側)へ弾性的に付勢する。コイルバネ66のバネ力は、駆動伝達機構70から受ける後述の左方向の分力よりも小さい力に設定されている。このため、前記分力が存在しない場合は、コイルバネ66のバネ力によって感光体ドラム31が反対側の方向(右方向)へ弾性的に付勢される。
駆動伝達機構70および駆動入力ギヤ69は、回転軸62の他方側(右側)の端部62Bに取り付けられている。図3に示されるように、端部62Bに駆動入力ギヤ69が設けられている。駆動伝達機構70は、回転軸62において駆動入力ギヤ69よりも感光体ドラム31側(左側)に設けられている。駆動伝達機構70および駆動入力ギヤ69は、いずれも、回転軸62に回転可能に支持されている。
図4及び図5に示されるように、駆動入力ギヤ69は、図示しないモーターなどの駆動源から伝達された回転駆動力を受ける部分である。前記回転駆動力は、感光体ドラム31を矢印D1(以下、回転方向D1という)に示す一方向へ回転させる力として駆動伝達機構70に伝達される。駆動入力ギヤ69は、ギヤ部69Aと、伝達部69Bとを有する。ギヤ部69Aは、円盤形状の基体の外周面に歯が形成された所謂平歯車である。ギヤ部69の一方の側面から筒形状の伝達部69Aが形成されている。駆動入力ギヤ69の中央部に軸孔69Cが形成されている。軸孔69Cに回転軸62が挿通されている。これにより、駆動入力ギヤ69が回転軸62に回転可能に支持される。
伝達部69Aは、ギヤ部69に一体に形成されている。伝達部69Aは内部が空洞の筒形状に形成されている。伝達部69Aの内部は軸孔69Cよりも大きな内径の空洞となっており、軸孔69Cに連通している。伝達部69Aの軸方向の先端部には、後述のジョイント74の係合溝74D1と係合可能な爪状の係合爪69D(図4参照)が形成されている。係合爪69Dは、伝達部69Aの先端部から部分的に突出した形状に形成されている。本実施形態では、係合爪69Dは、回転軸62に垂直な方向であって回転軸62側へ突出している。係合爪69Dは回転軸62まで達しておらず、係合爪69Dと回転軸62との間には隙間が設けられている。なお、係合爪69は、ジョイント74の係合溝74D1と回転軸62の周方向へ係合可能に構成されていればよく、爪状のものに限られない。また、係合溝74D1に係合可能であれば、係合爪69Dは一つであっても複数であってもよい。
駆動伝達機構70は、上述したように、回転軸62に設けられている。駆動伝達機構70は、ジョイント74(本発明の第1伝達部の一例)、フランジ75(本発明の第2伝達部の一例)、及びプーリー76(本発明の調整部の一例)の3つの部材で構成されている。これらの各部材が連携して作動することによって、駆動入力ギヤ69に回転方向D1の回転駆動力が入力されたことに応じて、前記軸方向において予め定められた2つの設定位置(後述の第1位置又は第2位置)のいずれか一つに感光体ドラム31を移動させることができる。更に、移動後の前記設定位置において感光体ドラム31に前記回転駆動力を伝達して感光体ドラム31を回転方向D1へ回転させることができる。以下、ジョイント74、フランジ75、プーリー76の各部材について説明する。
図4に示されるように、ジョイント74は、回転軸62に回転可能に支持されている。このジョイント74は、駆動入力ギヤ69に入力された回転方向D1の回転駆動力を受けてフランジ75にその回転駆動力を伝達するものである。更に、ジョイント74は、前記回転駆動力の一部をコイルバネ66の付勢方向とは反対の方向、つまり、コイルバネ66側(左側)の分力F1を生じさせるものである。
具体的に、ジョイント74は、図5及び図6に示されるように、円盤状の基体74Aと、複数の突起74B(本発明の第1突起の一例)と、筒部74C(本発明の第1筒部の一例)と、筒部74Dと、を有する。なお、図6(A)では、プーリー76の図示が省略されている。
図6に示されるように、基体74Aの駆動入力ギヤ69側の側面74A1に筒部74Dが設けられている。また、基体74Aのプーリー76側の側面74A2に筒部74Cが設けられている。ジョイント74の中央部に軸孔74Eが形成されている。軸孔74Eに回転軸62が挿通されている。これにより、ジョイント74が回転軸62に回転可能に支持される。
筒部74Dは、側面74A1から軸方向の右側へ延びている。筒部74Dの外周面には、軸方向に延びる3つの係合溝74D1が形成されている。筒部74Dは、駆動入力ギヤ69の伝達部69Bの内孔に挿入可能なサイズに形成されている。本実施形態では、筒部74Dが伝達部69Bに挿入されて、ジョイント74と駆動入力ギヤ69とが連結される。筒部74Dが伝達部69Bに挿入された状態で、係合溝74D1に駆動入力ギヤ69の係合爪69D(図4参照)が挿入される。これにより、係合溝74D1と係合爪69Dとが回転方向D1に対して係合する。
図5及び図6に示されるように、係合溝74D1は、対向する一方の溝側面81が傾斜している。具体的には、溝側面81は、側面74A1から軸方向に沿って右側へ向けて係合溝74D1が末広がりとなるように傾斜している。このため、係合溝74D1に係合爪69Dが挿入された状態で回転方向D1の回転駆動力が駆動入力ギヤ69に伝達されると、係合爪69Dが係合溝74D1の溝側面81に当接して押圧する。これにより、前記回転駆動力が筒部74Dを介してジョイント74に伝達されて、ジョイント74が回転方向D1へ回転する。このとき、溝側面81は、傾斜カムとして作用する。このため、係合爪69Dが溝側面81を押圧することにより、溝側面81の傾斜角に応じた前記分力F1が生じる。この分力F1は、軸方向において左側へ作用する。本実施形態では、前記分力F1は、コイルバネ66のバネ力よりも大きな力となるように、溝側面81の傾斜角や前記回転駆動力などが設定されている。したがって、ジョイント74は、前記回転駆動力が駆動入力ギヤ69に入力されると、回転方向D1へ回転しつつ、コイルバネ66の付勢に抗して、前記分力F1によって軸方向の左側へ移動する。なお、係合溝74D1は、係合爪69が挿入されて回転軸62の周方向の係合可能に構成されていればよく、溝状のものに限られない。また、係合爪69Dが挿入可能であれば、係合溝74D1は一つであっても複数であってもよい。
筒部74Cは、側面74A2(本発明の第1面)から軸方向の左側へ延出している。筒部74Cの外周面には、軸方向に長い3つの長溝74C1が形成されている。この長溝74C1に、後述のフランジ75が備えるリブ75Eが挿入される。リブ75Eが長溝74C1に挿入された状態で、リブ75Eと係合溝74D1とが回転方向D1に対して係合する。なお、長溝74C1は、リブ75Eが挿入可能に構成されていればよく、爪状のものに限られない。また、係合溝74D1に係合可能であれば、係合爪69Dは一つであっても複数であってもよい。
図6に示されるように、複数の突起74Bは、基体74Aの側面74A2に設けられている。本実施形態では3つの突起74Bが側面74A2に設けられている。突起74Bは、側面74A2において、筒部74Cと側面74A2の外周縁との間に設けられており、周方向に均等な角度を隔てて配置されている。3つの突起74Bは、いずれも、同じ形状であり同じ大きさに形成されており、したがって、側面74A2からの突出高さも同じサイズにされている。突起74Bの形状は、側面74A2から突出していれば特に限定されないが、後述のプーリー76に形成された複数の切り欠き溝82(第1切り欠き部)に挿入可能な形状であれば如何なる形状であってもよい。本実施形態では、突起74Bは、切り欠き溝82に対応する形状、具体的には側面74A2を底辺とする直角三角形状に形成されている。
図4に示されるように、フランジ75は、回転軸62に回転可能に支持されている。フランジ75は、感光体ドラム31の右側の端部に取り付けられている。フランジ75は、軸方向へ移動可能なようにジョイント74の筒部74Cに連結するとともに回転方向D1に対してジョイント74と係合するように構成されている。これにより、フランジ75は、ジョイント74から回転方向D1の回転駆動力を受ける。
具体的に、フランジ75は、図5及び図6に示されるように、円盤状の基体75Aと、複数の突起75B(本発明の第2突起の一例)と、筒部75C(本発明の第2筒部の一例)と、圧入部75Dと、リブ75E(本発明の突条部の一例)と、を有する。
図6に示されるように、基体75Aのジョイント74側の側面75A1(本発明の第2面)に筒部75Cが設けられている。また、基体75Aの感光体ドラム31側に圧入部75Dが設けられている。上述したように、フランジ75の中央部、具体的には圧入部75Dの中央部に軸孔75Fが形成されている。軸孔75Fに回転軸62が挿通されている。これにより、フランジ75が回転軸62に回転可能に支持される。
圧入部75Dは、基体75Aから軸方向の左側に突出される円筒部分である。圧入部75Dは、感光体ドラム31の内孔に嵌合される。これにより、圧入部75Dが感光体ドラム31に固定される。図4に示されるように、圧入部75Dの内部には、軸受円筒部75D1が形成されている。軸受円筒部75D1に軸孔75Fが形成されている。
筒部75Cは、側面75A1から軸方向の右側へ延びている。筒部75Cは、内部が空洞の筒形状に形成されている。筒部75Cの内径はジョイント74の筒部74Cの外径よりも大きくなっている。このため、筒部75Cの内孔に筒部74Cが挿入可能である。本実施形態では、筒部75Cに筒部74Cが挿入されて、フランジ75とジョイント74とが連結される。つまり、駆動伝達機構70において、筒部75Cは、側面75A1から軸方向へ延出しており、ジョイント74の筒部74Cを覆うように設けられている。
筒部75Cの内周面には、軸方向に長い3つのリブ75Eが形成されている。このリブ75Eは、ジョイント74の長溝74C1に挿入される。具体的には、筒部75Cに筒部74Cが挿入されたときに、リブ75Eが長溝74C1に挿入される。言い換えると、リブ75Eが長溝74C1に挿入するように、筒部75Cに筒部74Cが挿入される。リブ75Eが長溝74C1に挿入された状態で、リブ75Eと係合溝74D1とが回転方向D1に対して係合する。これにより、ジョイント74に伝達された回転方向Dの回転駆動力は、筒部74Cの長溝74C1から筒部75Cのリブ75Eに伝達されて、フランジ75に伝達される。更に、前記回転駆動力は、フランジ75を介して感光体ドラム31に伝達され、感光体ドラム31を回転方向D1へ回転させる。なお、リブ75Eは、長孔74D1に挿入可能に構成されていればよく、その形状は限定されない。また、長溝74C1に挿入されて係合可能であれば、リブ75Eは一つであっても複数であってもよい。
図5及び図6に示されるように、複数の突起75Bは、基体75Aの側面7451に設けられている。本実施形態では3つの突起75Bが側面75A1に設けられている。突起75Bは、側面75A1において、筒部75Cと側面75A1の外周縁との間に設けられており、周方向に均等な角度を隔てて配置されている。3つの突起75Bは、いずれも、同じ形状であり同じ大きさに形成されており、したがって、側面75A1からの突出高さも同じサイズにされている。突起75Bの形状は、側面75A1から突出していれば特に限定されないが、後述のプーリー76に形成された複数の切り欠き溝83(第2切り欠き部)に挿入可能な形状であれば如何なる形状であってもよい。本実施形態では、突起75Bは、切り欠き溝83に対応する形状、具体的には側面75A1を底辺とする直角三角形状に形成されている。
図4に示されるように、プーリー76は、ジョイント74とフランジ75との間に介在されている。本実施形態では、プーリー76は、回転軸62の軸方向への移動が制限された状態で、回転軸62の周方向へ回転可能なように設けられている。このプーリー76は、駆動入力ギヤ69に回転方向D1の回転駆動力が入力される度にフランジ75の位置を予め設定された感光体ドラム31の設定位置(後述の第1位置及び第2位置)に応じた位置に調整する。
具体的に、プーリー76は、円筒形状の筒部76A(本発明の第3筒部の一例)と、切り欠き溝82(本発明の第1切り欠き部の一例)と、切り欠き溝83(本発明の第2切り欠き部の一例)と、を有する。
筒部76Aの内孔は、フランジ75の筒部75Cに挿入可能なサイズに形成されている。駆動伝達機構70において、筒部76Aの内孔に筒部75Cが挿入されている。筒部75Cが筒部76Aの内孔に挿入された状態で、筒部76Aはフランジ75の筒部75Cに回転可能に支持される。これにより、プーリー76は、回転軸62の周方向へ回転可能となる。
筒部76Aの軸方向の中央には、周方向に延びる環状リブ76Dが形成されている。環状リブ76Dは、プーリー76を回転軸62の軸方向へ移動することを規制するためのものである。具体的には、環状リブ76Dは、支持部64の凹溝64A(図3参照)に係合される部分である。環状リブ76Dが凹溝64Aに挿入されることにより、環状リブ76Dが軸方向に固定される。これにより、プーリー76の軸方向の移動が制限される。
図6(B)に示されるように、切り欠き溝82は、筒部76Aのジョイント74側(右側)の端部76A1(本発明の第1端部)に形成されている。本実施形態では、6つの切り欠き溝82が端部76A1に形成されている。6つの切り欠き溝82は、周方向に均等な角度を隔てて配置されている。切り欠き溝82に突起74Bが挿入される。切り欠き溝82に突起74Bが挿入可能なように、切り欠き溝82は、端部76A1から軸方向の左側へ凹まされた形状に形成されている。
6つの切り欠き溝82は、いずれも、傾斜面82A(本発明の第1傾斜面)と、垂直面82B(本発明の第1垂直面)とを有する。傾斜面82Aは、端部76A1から回転方向D1へ向けて切り欠き溝82の深さ方向へ傾斜する面である。垂直面82Bは、切り欠き溝82において回転方向D1側に設けられた面であり、端部76A1に対して垂直な面である。ジョイント74が軸方向の左側へ移動すると、突起74Bが切り欠き溝82のいずれかに挿入される。この状態でジョイント74が回転方向D1へ回転駆動することにより、突起74Bが垂直面81Bを押圧する。このときの押圧力を受けて、プーリー76はジョイント74とともに同方向へ回転する。
本実施形態では、6つの切り欠き溝82は、隣接する切り欠き溝82の深さが異なるように形成されている。具体的には、深さの浅い切り欠き溝821が3つ設けられており、切り欠き溝821よりも深さの深い切り欠き溝822が3つ設けられている。切り欠き溝821は、端部76A1において周方向に均等な角度を隔てて配置されており、切り欠き溝822は、切り欠き溝821の間に配置されている。
切り欠き溝83は、筒部76Aのフランジ75側(左側)の端部76A2(本発明の第2端部)に形成されている。本実施形態では、6つの切り欠き溝83が端部76A2に形成されている。切り欠き溝83に突起75Bが挿入される。本実施形態では、切り欠き溝83に突起75Bが挿入可能なように、切り欠き溝83は、端部76A2から軸方向の右側へ凹まされた形状に形成されている。6つの切り欠き溝83は、いずれも、傾斜面83A(本発明の第2傾斜面)と、垂直面83Bとを有する。傾斜面83Aは、端部76A2から回転方向D1へ向けて切り欠き溝83の深さ方向へ傾斜する面である。垂直面83Bは、切り欠き溝83において回転方向D1側に設けられた面であり、端部76A2に対して垂直な面である。前記回転駆動力が入力されていない状態で、コイルバネ66のバネ力を受けて感光体ドラム31が軸方向の右側へ押されると、フランジ75がジョイント74側(軸方向の右側)へ移動する。このとき、突起75Bが同方向へ移動して、切り欠き溝83に挿入される。突起75Bが切り欠き溝83に挿入すると、突起75Bは傾斜面83Aを軸方向の右側へ押圧する。このとき、傾斜面83Aは、傾斜カムとして作用する。このため、突起75Bが傾斜面83Aを押圧することにより、傾斜面83Aの傾斜角に応じた分力F2(図7参照)が生じる。この分力F2は、回転方向D1とは反対の方向D2へ作用する。この分力F2を受けて、プーリー76は方向D2へ移動される。
以下、図7及び図8を参照して、駆動伝達機構70の動作について説明する。
図7(A)は、駆動入力ギヤ69に回転駆動力が入力されていない状態を示す。回転駆動力が駆動入力ギヤ69に入力されていない場合、コイルバネ66のバネ力だけが感光体ドラム31に作用する。このため、感光体ドラム31は軸方向の右側へ押圧され、フランジ75も同方向へ押圧される。これにより、フランジ75の突起75Bが切り欠き溝83に挿入する。このとき、突起75Bは傾斜面83Aを軸方向の右側へ押圧する。これにより、傾斜面83Aの傾斜角に応じた分力F2が生じる。この分力F2によって、プーリー76は方向D2へ移動される。方向D2への移動により、切り欠き溝821,822も方向D2へ移動する。これにより、切り欠き溝821,822と、突起74Bとの周方向の相対位置が変化する。例えば、移動前の状態では突起74Bが切り欠き溝821に挿入可能な位置関係にあった場合でも、プーリー76に移動によって、突起74Bが切り欠き溝822に挿入可能な位置に変化する。この状態で、駆動入力ギヤ69に回転方向D1の回転駆動力が入力されると、図7(B)に示されるように、この回転駆動力によってジョイント74が回転方向D1へ回転され、且つ、軸方向の左側へ移動する。ジョイント74の軸方向の移動により、突起74Bが切り欠き溝822に挿入される。図8の上段図は、突起74Bが切り欠き溝822に挿入された状態を示す。切り欠き溝822は切り欠き溝821に対して深いため、突起74Bの全体が切り欠き溝822に埋没している。ジョイント74が軸方向へ移動すると、ジョイント74の筒部74Cがコイルバネ66のバネ力に抗してフランジ75を押圧する。これにより、フランジ75とともに感光体ドラム31も軸方向の左側へ移動する。このときの感光体ドラム31の位置を第1位置とする。感光体ドラム31は、前記第1位置において回転駆動される。
駆動入力ギヤ69に対する回転駆動力の入力が無くなると、図7(C)に示されるように、再び、コイルバネ66のバネ力だけが感光体ドラム31に作用する状態となる。このとき、フランジ75の突起75Bが切り欠き溝83に再び挿入して、突起75Bが傾斜面83Aを軸方向の右側へ押圧する。これにより、傾斜面83Aの傾斜角に応じた分力F2が再び生じる。この分力F2によって、プーリー76は再び方向D2へ移動される。方向D2への移動により、切り欠き溝821,822も方向D2へ移動する。これにより、移動前は突起74Bが切り欠き溝822に挿入可能な位置関係にあったが、プーリー76の移動後は、突起74Bが切り欠き溝821に挿入可能な位置に変化する。この状態で、駆動入力ギヤ69に再び回転方向D1の回転駆動力が入力されると、回転駆動力によってジョイント74が回転方向D1へ回転され、且つ、軸方向の左側へ移動する。ジョイント74の軸方向の移動により、突起74Bが切り欠き溝821に挿入される。図8の下段図は、突起74Bが切り欠き溝821に挿入された状態を示す。切り欠き溝821は切り欠き溝822に対して浅いため、突起74Bの全体が切り欠き溝821に埋没せずに、突起74Bの先端部分だけが切り欠き溝821に埋没している。ジョイント74が軸方向へ移動すると、ジョイント74の筒部74Cがコイルバネ66のバネ力に抗してフランジ75を押圧し、フランジ75とともに感光体ドラム31を軸方向の左側へ移動させる。しかしながら、このときの感光体ドラム31に移動量は、突起74Bが切り欠き溝822に挿入された場合に比べて少ない。したがって、感光体ドラム31は、前記第1位置まで移動せずに、前記第1位置よりもΔL(図8参照)だけ軸方向の右側の位置(以下、第2位置という)までしか移動しない。このため、感光体ドラム31は、前記第2位置において回転駆動される。
そして、再び駆動入力ギヤ69に対する回転駆動力の入力が無くなり、その後に回転駆動力が入力されると、上述した動作が繰り返されて、突起74Bが切り欠き溝822に挿入して、感光体ドラム31が前記第1位置(図8の上段図に示す位置)に移動し、その第1位置で回転される。
このように、本実施形態の画像形成装置10では、駆動伝達機構70が設けられているため、駆動入力ギヤ69に回転方向D1の回転駆動力が入力される度に感光体ドラム31の位置が前記第1位置と前記第2位置との間で変化する。このため、分離ブレード38が感光体ドラム31に接触する位置が回転駆動力の入力の度に変えられる。その結果、感光体ドラム31に形成される分離ブレード38による磨り跡が軽減されるため、磨り跡による画質低下が防止される。また、感光体ドラム31が前記第1位置又は前記第2位置のいずれかに移動した後は、その位置で回転駆動される。そのため、画像形成中に感光体ドラム31が軸方向に移動しなくなり、画像形成中における感光体ドラム31に軸方向の移動に伴う画質低下が生じなくなる。つまり、本実施形態によれば、前記磨り跡による画質低下および画像形成中の軸方向の移動による画質低下の両方を防止することが可能である。
なお、上述の実施形態では、感光体ドラム31を回転体の一例として説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、定着装置19の加熱ローラー41にシートが巻き付くことを防ぐために分離ブレード38と同様の役割を有する部材が加熱ローラー41の外周面に接触されている場合、駆動伝達機構70を加熱ローラー41の回転駆動に適用してもよい。この場合も、加熱ローラー41における前記磨り跡による画質低下および画像形成中に加熱ローラー41が軸方向へ移動することによる画質低下(定着不良)の両方を防止することができる。
また、上述の実施形態では、深さの異なる2つの切り欠き溝82(821,822)を設けた例について説明したが、深さの異なる3つ以上の切り欠き溝82がプーリー76に設けられていてもよい。
また、上述の実施形態では、回転体としての感光体ドラム31、駆動入力部としての駆動入力ギヤ69、回転軸62、及び駆動伝達機構70を備えた画像形成装置10を例示するが、本発明はこれに限られない。例えば、感光体ドラム31、駆動伝達機構70、駆動入力ギヤ69、及び回転軸62を備えたドラムユニット60として本発明を捉えることも可能である。また、感光体ドラム31を含む構成に限られず、本発明は、種々の用途に用いられる回転体、駆動伝達機構70、駆動入力ギヤ69、及び回転軸62を備えた回転装置として構成されたものであってもよい。