JP6110253B2 - ロータリジョイント - Google Patents

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Description

本発明は、固定部の流路と、回転部の流路との接続に用いられるロータリジョイントに関するものである。
例えば、半導体ウエハの表面研磨処理を行うCMP装置(Chemical Mechanical Polishing装置)において、この装置の回転側部材(ターンテーブル又はトップリング)と、これを支持する固定側部材(CMP装置本体)との間を、研磨液、加圧用空気、洗浄水、純水、エアーブロー用空気、研磨残渣液等の流体が流れる。
このような流体が混ざることなく回転側部材と固定側部材との間を流れるために、これら部材間を接続するジョイント部には、独立した流体通路が複数必要である。そこで、このようなジョイント部として、例えば特許文献1に開示されているロータリジョイントが用いられる。
図11は、従来のロータリジョイントの断面図である。このロータリジョイントは、筒形のケース体80と、このケース体80内に回転可能として設けられている軸体83と、これらケース体80と軸体83との間の空間84に設けられている複数のメカニカルシール86とを備えている。そして、ケース体80及び軸体83の軸方向が上下方向となるようにして、ロータリジョイントは設置されている。
メカニカルシール86は、軸体83と一体回転する第一密封環91と、ケース体80に取り付けられている第二密封環92とを有している。そして、このロータリジョイントには、複数(図11では3つ)の独立した流体通路85が設けられている。
軸体83は、軸本体87と、この軸本体87に外嵌しているスリーブ89とを有している。スリーブ89は、メカニカルシール86の第一密封環91と、軸方向に沿って交互に配置されている。そして、押し付け部材90がボルト90aによって軸本体87に締め付けられることにより、スリーブ89及び第一密封環91は、軸本体87の上部側に設けられている大径部100に向かって軸方向に押し付けられる。なお、図11の場合、最も上に位置する第一密封環91は、補助用のスリーブ99を間に挟んで大径部100に対して押し付けられる。各第一密封環91は、その軸方向隣りにあるスリーブ89と接触し、スリーブ89は、第一密封環91,91間のスペーサとして機能する。そして、押し付け部材90の押し付け力により、第一密封環91とスリーブ89(99)とを相互に押し付けた状態とし、相互間の摩擦力によって全てのスリーブ89,99、及び第一密封環91が、軸本体87と一体回転可能となる。
図12は、図11に示すロータリジョイントの上部を示す断面図である。ケース体80には、外周側及び内周側で開口する第一流路81が形成されている。そして、軸本体87及びスリーブ89を含む軸体83には、外周側で開口する第二流路82が形成されている。なお、軸本体87に、前記第二流路82の一部となる流路孔87aが形成されており、スリーブ89の軸方向中央部に、前記第二流路82の他部となる貫通孔88が形成されている。この貫通孔88は、流路孔87aと繋がっており、第二流路82の外周側の開口孔となる。
一つの第一流路81と一つの第二流路82とは、軸方向同じ高さ位置で開口しており、これら第一流路81と第二流路82とにより一つの独立した流体通路85が構成される。このために、前記空間84にメカニカルシール86が設けられている。すなわち、スリーブ89の径方向外側であってそのスリーブ89を挟んで隣り合う第一密封環91,91の間に、メカニカルシール86の第二密封環92,92が設けられており、これら第二密封環92,92同士の間には、第二流路82(貫通孔88)と第一流路81とを繋ぐ環状の流路96が形成されている。
そして、これら第二密封環92,92の一部が、その軸方向両側(上下)にある第一密封環91,91に接触し、この接触している面の間から流体が漏れるのを防止する。つまり、第一密封環91と第二密封環92との間の接触面がシール面97となる。また、第二密封環92,92の外周側と、ケース体80との間には、Oリング95が設けられており、これらの間(環状の流路96)から流体が漏れるのを防いでいる。
以上の構成により、ケース体80に対して、軸本体87、スリーブ89,99、及び第一密封環91は一体となって回転可能となり、回転する第一密封環91が、静止側となる第二密封環92に摺接してメカニカルシール86としての機能が発揮され、これにより、独立した流体通路85を形成することができる。
特開2009−275910号公報
前記のとおり、スリーブ89(図12参照)には貫通孔88が形成されており、この貫通孔88が第二流路82の外周側の開口孔となる。このようにスリーブ89に貫通孔88が形成されていると、そのスリーブ89の軸方向の力に対する剛性が周方向に沿って変動する。つまり、貫通孔88が形成されている周方向位置では剛性が比較的低くなり、それ以外の周方向位置では剛性が比較的高くなる。このため、前記押し付け部材90(図11参照)の押し付け力によって、このようなスリーブ89が第一密封環91の環状側面91aを軸方向に押した状態になると、大径部100に近い側に位置する第一密封環91は、このスリーブ89からの軸方向の押し付け力、及びこの力による大径部100側からの軸方向の反力を受け、第一密封環91は周方向に沿って波打つように僅かに変形する(歪む)。
第一密封環91の環状側面91aは、第二密封環92と摺接する摺接面(シール面)となることから、この第一密封環91に意図しない変形が生じていると、環状側面91aにおける摺接状態が不良となり、密封性能を低下させてしまうおそれがある。
このように摺接状態が不良である場合、これを解消するためには、第一密封環91の変形を調整すべく、ロータリジョイントを分解して再組立したり、スリーブ89等の仕様を変更して再組立したりすることが行われるが、この場合、生産性が著しく低下する。
そこで、本発明では、メカニカルシールの第一密封環と第二密封環との間の摺接状態を、容易な手段によって調整可能とすることを目的とする。
本発明は、内周側で開口する第一流路が形成されている筒形のケース体と、前記ケース体内に相対回転可能として設けられ外周側で開口する第二流路が形成されている軸体と、前記ケース体と前記軸体との間に設けられ一つの前記第一流路と一つの前記第二流路とにより一つの流体通路を構成するためのメカニカルシールと、を備え、
前記軸体は、前記第二流路の一部として外周面で開口する流路孔が形成されている軸本体と、当該軸本体に外嵌しかつ前記第二流路の他部として周壁を貫通する部分流路が形成されている円筒状のスリーブと、を有し、
前記メカニカルシールは、前記スリーブと交互に前記軸本体に外嵌し当該スリーブの前記周壁の軸方向端面と接触する環状側面を有する第一密封環と、前記スリーブの径方向外側であって当該スリーブを挟んで隣り合う前記第一密封環の間に設けられ当該第一密封環それぞれの前記環状側面と摺接する第二密封環と、を有し、
前記軸体は、更に、大径部と、前記軸本体に外嵌している前記スリーブ及び前記第一密封環を前記大径部に向かって軸方向に押し付ける押し付け部材と、前記大径部に軸方向の歪を部分的に生じさせることによって当該大径部に近い側に位置する前記第一密封環の変形を調整する調整部材と、を有している。
本発明によれば、スリーブにはその周壁を貫通する部分流路が形成されていることで、そのスリーブの軸方向の力に対する剛性は周方向に沿って変動する。このようなスリーブによって第一密封環の環状側面が軸方向に押されると、大径部に近い側に位置する第一密封環では、当該スリーブからの軸方向の押し付け力、及びこの力による大径部側からの軸方向の反力を受け、第一密封環は周方向に沿って波打つように僅かに変形する(歪む)。
このように第一密封環は変形するが、調整部材が大径部に軸方向の歪を部分的に生じさせることによって、当該大径部から受ける前記軸方向の反力に変化を与え、この第一密封環における前記変形の程度を調整することができる。つまり、ロータリジョイントを再組立することなく、第一密封環の変形を調整することができる。このため、この第一密封環と第二密封環との間の摺接状態を、容易な手段によって調整することが可能となる。
また、前記調整部材は、前記大径部とは別部材である固定部材に対して当該大径部を部分的に軸方向に締め付けるボルトからなるのが好ましい。
このように、ボルトによって固定部材に対して大径部を部分的に軸方向に締め付けることで、この大径部に軸方向の歪を部分的に生じさせることができる。さらに、このボルトの締め付けトルクを変更することによって、大径部に部分的に生じさせる軸方向の歪を調整することができ、大径部に近い側の第一密封環の変形を容易に調整することが可能となる。
また、前記調整部材は、前記大径部に近い側に位置する前記スリーブの前記部分流路と、同じ周方向位置に設けられているのが好ましい。
この場合、部分流路が形成されているスリーブが接触することによって生じる第一密封環の環状側面における面圧は、この部分流路が形成されている周方向位置で低くなり、それ以外の周方向位置で高くなる。
そこで、スリーブの部分流路と、同じ周方向位置に設けられている調整部材によって、大径部に部分的に生じさせる軸方向の凹歪(圧縮方向の歪)を大きく設定することにより、当該周方向位置において大径部から第一密封環へと生じさせる反力を小さくすることが可能となる。この結果、この第一密封環の環状側面において前記周方向位置に作用する面圧は、表面側と裏面側とで(ほぼ)吊り合うようにすることができ、第一密封環における当該周方向位置での変形が小さくなるように調整することが可能となる。
これに対して、調整部材によって、大径部に部分的に生じさせる軸方向の凹歪(圧縮方向の歪)を小さく設定すると、前記第一密封環の環状側面において前記周方向位置に作用する面圧は、表面側と裏面側とでアンバランスな状態となり、第一密封環における当該周方向位置での変形が大きくなるように調整することが可能となる。
また、前記ケース体及び前記軸体は、その軸方向が上下方向となるようにして設置され、前記大径部は、当該軸体の上部側に設けられており、前記大径部に近い側の前記スリーブに形成されている流体が流れる前記部分流路は、当該大径部に近い側の前記第一密封環の前記環状側面と接触する前記周壁の上端を切り欠いて形成した切り欠き部からなるのが好ましい。
この場合、大径部に近い側のスリーブに形成されている部分流路は、当該スリーブの周壁の上端を切り欠いて形成した切り欠き部からなるため、このスリーブによって軸方向に押される大径部に近い側の第一密封環の環状側面では、面圧が変動しやすく、周方向に沿って波打つように変形しやすい。そこで、このような第一密封環の変形の程度を前記調整部材によって調整することにより、この第一密封環とこれに摺接する第二密封環との間のシール面における摺接状態を、良好な状態に調整することが可能となる。
また、この大径部に近い側の第一密封環の環状側面に第二密封環が摺接することで、この摺接する面(摺接面)において液体が漏れるのを防ぐことができる。そして、大径部に近い側のスリーブに形成されている流体が流れる部分流路は、前記環状側面と接触するスリーブの周壁の上端を切り欠いて形成した切り欠き部からなるため、この切り欠き部(部分流路)を流れる液体は、当該周壁が接触する第一密封環の環状側面に沿って流れることができる。このため、この液体の流れによって前記摺接面の近傍のエアを排出することができ、そして、この摺接面にその液体による潤滑膜を形成することが可能となる。この結果、第一密封環と第二密封環との摺動がドライ摺動となるのを抑制することができる。
本発明によれば、ロータリジョイントを再組立することなく、メカニカルシールの第一密封環における変形の程度を調整することができ、この第一密封環と第二密封環との間の摺接状態を、容易な手段によって調整することが可能となる。
ロータリジョイントの一例を示す縦断面図である。 最も上に位置するスリーブを周面側から見た断面図である。 図2に示すスリーブの斜視図である。 図1に示すロータリジョイントの上部を示す断面図である。 第一密封環の説明図である。 調整ボルトを説明するためのロータリジョイントの一部を示す断面図である。 ロータリジョイントの平面図である。 調整ボルトの機能を説明する説明図である。 調整ボルトの機能を説明する説明図である。 調整ボルトの機能を説明する説明図である。 従来のロータリジョイントの断面図である。 図11に示すロータリジョイントの上部を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〔全体構成について〕
図1は、ロータリジョイント1の一例を示す縦断面図である。このロータリジョイント1(以下、ジョイント1ともいう。)は、回転機器の固定側部材(例えば、CMP装置本体)に取り付けられる筒形のケース体2と、この回転機器の回転側部材(例えば、CMP装置のトップリング又はターンテーブル)に取り付けられる軸体5とを備えている。このジョイント1は、図1に示すように、ケース体2及び軸体5の軸方向が上下方向となるようにして設置される。このため、図1に示す上側が、ジョイント1の「上」となり、図1に示す下側が、ジョイント1の「下」となる。
このジョイント1には、N個(N=1以上の整数であり、図例ではN=3)の流体通路8が形成されている。各流体通路8は、ケース体2に設けられている一つの第一流路33と、軸体5に設けられている一つの第二流路18とが繋がって構成される。一つの流体通路8は、他の流体通路8と独立して設けられており、これら流体通路8それぞれを流れる流体が、他の流体通路8を流れる流体と混ざることがないように、後述するメカニカルシール7が軸体5に沿ってN個設けられている。本実施形態では、最も上に位置する第一流路33を有する流体通路8を純水が流れ、その他の流体通路8を冷却水が流れる。そして、これら純水と冷却水とが混ざることが無いように、各流体通路8は独立して構成されている。
〔ケース体2について〕
ケース体2は、上下の端部フランジ30,31と、これら端部フランジ30,31間に設けられているN個の流路フランジ32とを有している。これらフランジ30,31,32は円環状であり、ボルト9によって連結固定されており、ケース体2は、全体として筒形の構造体となる。隣り合う流路フランジ32,32の間、及び、隣り合う端部フランジ30(31)と流路フランジ32との間には、それぞれOリング6が設けられている。
流路フランジ32それぞれは、軸方向の寸法が大きい環状の本体部36と、この本体部36よりも軸方向寸法が小さく本体部36から径方向内側へ突出している突出部35とを有している。そして、各流路フランジ32に、径方向に貫通する第一流路33が形成されている。第一流路33は、内周側と外周側とで開口しており、本実施形態では、外周側の開口部が、前記固定側部材の複数の配管それぞれが接続される接続ポート33aとなる。以上より、ケース体2には、第一流路33が複数形成された構成となる。
〔軸体5について〕
軸体5は、上下方向に長い直線状の軸本体10と、この軸本体10に外嵌する筒形のスリーブ11とを有している。本実施形態では、軸体5は、更に、軸本体10の上側部において外嵌する筒形の補助用のスリーブ52を有している。このスリーブ52は、Oリング17を設けるための部材であり、スリーブ11よりも軸方向に短い。
軸本体10には、スリーブ11,52の他に、メカニカルシール7を構成するための円環形の第一密封環15が外嵌しており、スリーブ11(52)と第一密封環15とは、軸方向に沿って交互に配置されている。スリーブ11は、N個設けられており、第一密封環15は、N+1個設けられている。そして、軸本体10の下部には、押し付け部材14がボルト34によって固定されている。
軸本体10の上部側(軸方向一方側)には直径が大きくなっている大径部19が設けられている。この大径部19は、軸本体10に外嵌するスリーブ11,52、及び第一密封環15が上側へ移動するのを規制する。
また、軸本体10内には、N本の流路孔42が形成されており、これら流路孔42それぞれは軸本体10の外周面10aで開口しており、しかも、軸方向(上下方向)で異なる高さ位置で開口している。流路孔42の他方側は軸本体10の端面(上端面)で開口しており、この端面の開口に、前記回転側部材の複数の配管それぞれが接続される。
図2は、最も上に位置するスリーブ11(以下、上スリーブ11という。)を周面側(軸に対して垂直な方向)から見た断面図である。なお、この図2では、第一密封環15を二点鎖線で示している。図3は、図2に示す上スリーブ11の斜視図である。上スリーブ11には、複数の切り欠き部12が周方向等間隔で形成されている。本実施形態では、4つの切り欠き部12が周方向に90°離れて形成されている。切り欠き部12は、上スリーブ11の周壁11aの上端を切り欠くことにより形成されており、周壁11aを径方向に貫通している。
図2において、軸本体10に形成されている流路孔42が、第二流路18の一部となり、上スリーブ11に形成されている切り欠き部12が、第二流路18の他部(部分流路)となる。
また、上スリーブ11の内周側の上部には、内周面が径方向外側に拡大している拡径面11bが形成されており、図2に示すように、軸本体10の外周面10aとの間に環状の隙間39が形成される。各切り欠き部12は、この環状の隙間39と繋がっており、また、この環状の隙間39は、軸本体10の流路孔42と繋がっている。これにより、軸本体10内の流路孔42と、上スリーブ11内の環状の隙間39と、上スリーブ11の複数の切り欠き部12とにより、一つの第二流路18が構成される。
本実施形態では、上スリーブ11以外のスリーブ11(中スリーブ11、下スリーブ11)には、図1に示すように、周壁を貫通する貫通孔54が形成されている。中スリーブ11及び下スリーブ11の内周側には、上スリーブ11と同様に、拡径面が形成されており、軸本体10の外周面10aとの間に環状の隙間が形成される。各貫通孔54は、この環状の隙間と繋がっており、また、この環状の隙間は、軸本体10の流路孔42と繋がっている。貫通孔54の貫通方向(孔の向き)は、下スリーブ11のように、その内周面及び外周面に対して直角方向であってもよいし、中スリーブ11のように、斜め方向であってもよい。これにより、軸本体10内の流路孔42と、中(下)スリーブ11内の環状の隙間と、中(下)スリーブ11の貫通孔54とにより、一つの第二流路18が構成される。
なお、図1に示す実施形態では、上スリーブ11と、中(下)スリーブ11とを異なる構成としたが、中(下)スリーブ11は、上スリーブ11と同じ構成であってもよい。中スリーブ11を上スリーブ11と同じ構成とする場合、図1に示す中スリーブ11とその上に位置する第一密封環15との間に設けられているOリング17については、この第一密封環15の上側へと位置を変更して設けられ、このOリング17についても図1に示す構成と同様にする。
また、軸本体10とスリーブ11(52)と第一密封環15との間に、Oリング17が適宜設けられており、各第二流路18を流れる流体(純水、冷却水)が他の流路へ侵入したり外部へ漏れたりするのを防いでいる。
以上より、軸体5には、外周側で開口する第二流路18がN本形成された構成となる。図2に示す上スリーブ11に関して説明すると、この上スリーブ11に形成されている切り欠き部12は、第二流路18の外周側の開口孔となる。また、中(下)スリーブ11に形成されている貫通孔54(図1参照)は、第二流路18の外周側の開口孔となる。
そして、これら第二流路18それぞれは、ケース体2の内周側に向かって開口しており、しかも、軸方向(上下方向)で異なる位置で開口している。
軸本体10及びスリーブ11,52を含む軸体5と、メカニカルシール7の第一密封環15との組立構造について説明する。図2において、最も上に位置する第一密封環15は、その軸方向両側(上下)に環状の側面(環状側面16,16)を有しており、下側の環状側面16の一部(内径側の一部)に、上スリーブ11の周壁11aの軸方向上側の端面13が接触する。また、上側の環状側面16の一部(内径側の一部)に、スリーブ52の周壁の軸方向の端面53が接触する。
そして、上スリーブ11の周壁11aの軸方向下側の端面13が、その下に位置する第一密封環15の環状側面16に接触し、また、他のスリーブ11と第1密封環15についても同様に接触する。
このため、図1に示すように、各スリーブ11は、第一密封環15,15間のスペーサとして機能し、補助用のスリーブ52は、第一密封環15と大径部19との間のスペーサとして機能する。
そして、図1において、押し付け部材14は、ボルト34によって軸本体10に対して軸方向に締め付けられている有底円筒状の部材であり、この締め付けにより、全てのスリーブ11,52及び全ての第一密封環15を、軸本体10の大径部19に向かって軸方向に押し付けている。なお、押し付け部材14による、押し付け力(軸方向の締め付け力)は、周方向で均等となるようにする。この押し付け力により、第一密封環15の環状側面に、スリーブ11,52の軸方向の端面が押し付けられた状態となり、全てのスリーブ11,52及び全ての第一密封環15を、軸本体10と一体とすることができ、相互間の摩擦力によって全てのスリーブ11,52及び全ての第一密封環15を、軸本体10と一体回転可能とする。
そして、押し付け部材14と端部フランジ31との間に転がり軸受20が設けられており、軸本体10の大径部19と端部フランジ30との間に転がり軸受21が設けられている。これにより、スリーブ11,52及び軸本体10を含む軸体5は、第一密封環15と共に、ケース体2に対して回転可能となる。
〔メカニカルシール7について〕
図1において、ケース体2と軸体5との間には、環状空間4が形成されており、この環状空間4にメカニカルシール7が設けられている。メカニカルシール7は、軸体5に沿ってN個並べて設けられている。本実施形態のジョイント1は、メカニカルシール7を上下方向に複数配置したシリアル型(直列型)の多流路ロータリジョイントとなる。
各メカニカルシール7は、以下に説明するように、一つの第一流路33と一つの第二流路18とにより一つの流体通路8を構成するために設けられている。なお、複数のメカニカルシール7それぞれの機能は同様であり、ここでは、最も上に位置するメカニカルシール7を代表として説明する。
図4は、図1に示すジョイントの上部を示す断面図である。図4に示すように、一つのスリーブ(上スリーブ)11と一つの流路フランジ32とが径方向に対向した配置となっており、これらの間に一つのメカニカルシール7が設けられている。
メカニカルシール7は、第一密封環15、第二密封環25、及び弾性部材27を有している。前記のとおり、第一密封環15は軸本体10と一体回転することから、この第一密封環15は、メカニカルシール7の回転環(回転側密封環)となる。これに対して、第二密封環25は、ケース体2と共に静止した状態となり、メカニカルシール7の静止環(静止側密封環)となる。
第一密封環15は、軸本体10に外嵌し軸体5と共に回転する。第一密封環15の上下それぞれの環状側面16は、押し付け部材14(図1参照)による押し付け力が作用する前の状態で、平面(水平面)に沿った円環面からなる。
第二密封環25は上下一対で一組とされ、この一組の第二密封環25,25が、環状空間4において一つの流体通路8を区画するために必要となる一つのメカニカルシール7の構成部材となる。第二密封環25は、ケース体2に回り止めされている。例えば、流路フランジ32には軸方向に延びるピン37が固定されており、第二密封環25の一部に、このピン37を周方向両側から挟む爪部(凹部)38が形成されている。爪部38がピン37に周方向両側から当接することで、第二密封環25は回り止めされる。
弾性部材27は、上下一対の第二密封環25,25を軸方向に離反させる方向に付勢する。弾性部材27は、圧縮コイルばねからなり、流路フランジ32(突出部35)に形成されている孔に挿入され、この孔により保持されている。
一組の第二密封環25,25は、スリーブ11の径方向外側であってこのスリーブ11を上下挟んで隣り合う第一密封環15,15の間に設けられている。前記のとおり、第一密封環15の環状側面16の一部(内径側の一部)には、スリーブ11の軸方向端面13が接触している。そして、この環状側面16の他部(外径側の他部)に、第二密封環25が接触している。つまり、一組の第二密封環25,25は、その軸方向両側(上下)に存在している第一密封環15,15の環状側面16,16に接触する環状のシール面26,26を有している。第一密封環15は軸体5と共に回転することから、この第一密封環15の環状側面16の前記他部(外周側の他部)が、第一の摺接面となり、第二密封環25のシール面26が第二の摺接面となる。
第二密封環25は、断面L字形の環状の部材からなり、筒状の第一部25aと、この第一部25aの端部から径方向外側へ延びている円環状の第二部25bとを有しており、第二部25bの軸方向外側の一部に円環状となる前記シール面26が形成されている。
そして、弾性部材27が、第二密封環25,25を軸方向両側(上下)に向かって押し、この押す力によって、第二部25bのシール面26を、第一密封環15の環状側面16に押し付けることができる。シール面26と環状側面16とが軸方向に押し付けあった状態で接触することができ、回転する環状側面16にシール面26が摺接して、これら面16,26の間から流体が漏れるのを防止するシール機能が発揮される。つまり、静止側の第二密封環25のシール面26と回転側の第一密封環15の環状側面16との相対回転に伴う摺接作用によりメカニカルシール7のシール機能が発揮される。
一組の第二密封環25,25は、スリーブ11の外周面との間に隙間を有して設けられており、これら第二密封環25,25とスリーブ11との間には、円筒状の流路(円筒空間)55が形成されている。この円筒状の流路55は、スリーブ11に形成されている切り欠き部12と繋がっている。そして、シール面26と環状側面16とによる前記シール機能、及びOリング17によるシール機能によって、この流路55の流体が外部(他の流体通路8を含む)へ漏れるのを防止している。
更に、一組の第二密封環25,25同士の間には、環状の流路(環状空間)28が形成されており、この環状の流路28は、円筒状の流路55と繋がっている。そして、第二密封環25,25の第一部25aの外周面と、流路フランジ32の突出部35の内周面との間には、Oリング24が設けられており、このOリング24によるシール機能によって、環状の流路28の流体が外部(他の流体通路8を含む)へ漏れるのを防いでいる。なお、第二密封環25,25は、Oリング24を介して流路フランジ32の突出部35に対して軸方向に移動可能な状態で嵌合保持されている。
以上より、第一流路33と第二流路18との間には、密封された環状の流路28及び円筒状の流路55が介在しており、これら流路55,28は、第二流路18(切り欠き部12)と第一流路33とを繋ぐ流路となる。なお、切り欠き部12を部分流路としている第二流路18は、第一流路33よりも、上となる位置で開口した構成となっている。このように、メカニカルシール7により構成される流路28,55によって、第一流路33と第二流路18とが連結され、第一流路33、環状の流路28、円筒状の流路55、及び第二流路18により、一つの独立した流体通路8が構成される。
〔ジョイント1の機能について〕
以上の構成を備えているジョイント1によれば、ケース体2に対して、軸本体10、スリーブ11,52、及び第一密封環15は一体となって回転可能となり、そして、ケース体2に固定されている第二密封環25のシール面26に、第一密封環15の環状側面16が摺接する。これにより、メカニカルシール7のシール機能が発揮され、独立した流体通路8を複数形成することができる。
そして、図4に示す、純水が流れる流体通路8に関して説明すると、軸体5の軸本体10には、第二流路18の一部として、軸本体10の外周面10aで開口する流路孔42が形成されている。そして、この軸本体10の最も上に位置して当該軸本体10に外嵌しているスリーブ11(上スリーブ11)には、前記流路孔42と繋がる第二流路18の他部として、図2と図3とにより説明したように、周壁11aを径方向に貫通する部分流路が形成されている。この部分流路は、図2に示すように、上側の第一密封環15の環状側面16と接触する周壁11aの上端を切り欠いて形成した切り欠き部12からなる。したがって、図4に示すように、最も上に位置する第一密封環15に接触する上スリーブ11に形成された前記切り欠き部12による部分流路と、この第一密封環15と第二密封環25との摺接面(環状側面16及びシール面26)とは、高さ位置が同じとなる。
以上より、第一密封環15の環状側面16に第二密封環25が摺接することで、この摺接する面において純水が漏れるのを防ぐことができ、そして、上スリーブ11に形成されている部分流路は、前記環状側面16と接触する周壁11aの上端を切り欠いて形成した切り欠き部12からなるため、この切り欠き部12(部分流路)を流れる純水は、この周壁11aが接触する第一密封環15の環状側面16の近傍をその環状側面16に沿って流れることができる(図4参照)。このため、この純水の流れによって、環状側面16とシール面26との間(摺接面)の近傍のエアを排出することができ、また、これら環状側面16とシール面26との間(摺接面)に、その純水が浸入して、この純水による潤滑膜を形成することが可能となる。この結果、メカニカルシール7の第一密封環15と第二密封環25との摺動がドライ摺動となるのを抑制することができる。
仮に、メカニカルシール7がドライ摺動となる場合、環状側面16及びシール面26における摩耗が促進されたり、これら面16,26が荒れた状態となって密封性能が低下したりすることで、メカニカルシール7の寿命が短くなってしまうおそれがある。しかし、本実施形態では、ドライ摺動となるのを抑制することができるため、メカニカルシール7の寿命が短くなるのを防ぐことが可能となる。
〔第一密封環15に生じる歪について〕
前記のとおり、最も上に位置する上スリーブ11の周壁11aには、第二流路18を構成するための部分流路として、切り欠き部12が形成されており(図3、図4参照)、それ以外の中スリーブ11、及び下スリーブ11には、第二流路18を構成するための部分流路として、貫通孔54が形成されている(図1参照)。
そして、これらスリーブ11それぞれは、押し付け部材14によって、その隣に位置する第一密封環15の環状側面16に押し付けられる。このため、例えば、第一密封環15の一部が下へ凸となるように変形し(歪み)、他部が上へ凸となるように変形する(歪む)ことがある。つまり、この第一密封環15は、周方向に沿って波打つように僅かに変形する(僅かな歪を生じさせる)ことがある。このような第一密封環15の変形は、以下の理由によって生じる。なお、ここでは、最も上に位置する第一密封環15(以下、上第一密封環15という。)に関して説明する。なお、この変形のメカニズムは、全ての第一密封環15で共通する。
すなわち、上スリーブ11には周方向等間隔で切り欠き部12が四つ形成されていることで、この上スリーブ11の軸方向の力に対する剛性は周方向に沿って変動する。つまり、切り欠き部12が形成されている周方向位置では、軸方向の力に対する剛性が比較的低くなり、周方向で隣り合う切り欠き部12,12の周方向の中間位置では、軸方向の力に対する剛性が比較的高くなる。
このため、図5に示すように、押し付け部材14(図1参照)によって、上スリーブ11を、その上に位置している上第一密封環15の下側の環状側面16に対して軸方向に押し付けると、その環状側面16における面圧は、周方向に沿って周期的に変動する。なお、図5は、上第一密封環15の説明図であり、図5中の上下方向の矢印は、上下の環状側面16,16に作用する面圧を示している。なお、このような面圧の変動は、ステンレス鋼のような金属材よりも、樹脂のようなヤング率が比較的低い部材の場合に、顕著に表れる。
つまり、下側の環状側面16に生じる面圧は、切り欠き12が形成されている周方向の位置と同じ周方向の位置で極小(ゼロ)となり、周方向で隣り合う切り欠き部12,12の周方向の中間位置と同じ周方向の位置で極大となる。
これに対して、上第一密封環15の上側の環状側面16は、補助用のスリーブ52を挟んで大径部19に押し付けられており、この上側の環状側面16には、補助用のスリーブ52が全周にわたって均等に接触している。このため、図5に示すように、上側の環状側面16に作用する面圧は、周方向に沿って一定(ほぼ一定)になると考えられる。
このため、上第一密封環15に対して軸方向両側から作用する面圧は上下でつり合わず、上第一密封環15の一部(切り欠き部12に対応する位置)が下へ凸となるように変形し、他部が上へ凸となるように変形する。この変形した上第一密封環15を、図5では破線により示している。以上より、上第一密封環15は、周方向に沿って波打つように僅かに変形する。
そして、この上第一密封環15の下側の環状側面16は、前記のとおり、第二密封環25と摺接する摺接面となり、液体(純水)の漏れを防止するメカニカルシール7として機能させるための部分である。このため、この上第一密封環15に意図しない変形が生じていると、環状側面16における摺接状態が不良となり、密封性能を低下させてしまうおそれがある。
そこで、ジョイント1は、この上第一密封環15の変形を調整する調整部材を備えている。
〔調整部材について〕
本実施形態では、この調整部材は、ボルト60(以下、調整ボルト60という。)からなる(図6参照)。図6は、ジョイント1の一部(上部)を示す断面図である。図7は、ジョイント1の平面図である。なお、図6は、図7のA−A矢視の断面図である。
ジョイント1は、軸体5を、回転機器の回転側部材(図示せず)に取り付けるための固定部材3を備えている。固定部材3は円環板状のフランジ部材であり、複数の取り付け孔3aが設けられている。これら取り付け孔3aを挿通させた固定ボルト3bによって、固定部材3は前記回転側部材に固定される。
この固定部材3の径方向内側部には、調整ボルト60を挿通させるための貫通孔3c(図6参照)が形成されている。本実施形態では、調整ボルト60は周方向に沿って四本設けられており(図7参照)、この数は、上スリーブ11に形成されている切り欠き部12(図3参照)の数と同じである。
図6において、大径部19は、軸本体10の一部として構成されており、この軸本体10(大径部19)に、調整ボルト60を螺合させるボルト孔61が形成されている。ボルト孔61は、周方向に等間隔で四つ形成されており、各ボルト孔61は、軸本体10の上面10bから下へと向かって軸方向に延びて形成されており、その先端は、大径部19の下部に届く位置まで形成されている。つまり、ボルト孔61は、大径部19を上下完全に貫通しておらず、大径部19の下面(段差端面)19aの手前位置19bまで届くようにして形成されている。なお、この下面19aは、補助用のスリーブ52の軸方向の端面53が当接する面である。
調整ボルト60は、この大径部19(軸本体10)とは別部材である固定部材3に形成されている貫通孔3cを挿通し、かつ、前記ボルト孔61に螺合し、固定部材3に対して大径部19を部分的に軸方向に締め付けることができる。なお、上スリーブ11の切り欠き部12(図9参照)が、このボルト孔61と、同じ周方向位置となるようにして、上スリーブ11は組み立てられる。このため、調整ボルト60は、上スリーブ11の切り欠き部12と、同じ周方向位置に設けられる。
この調整ボルト60を、図8(A)に示すように、大径部19の下部に届くボルト孔61に螺合させて、固定部材3に対して大径部19を軸方向に締め付けることで、この大径部19に軸方向の歪(凹歪:圧縮方向の歪)を生じさせることができる。すなわち、調整ボルト60を締め付けることにより、この調整ボルト60に軸力が作用し、図8(B)の拡大断面図に示すように、大径部19にせん断力が働くことで、大径部19を持ち上げるように僅かに変形させる(大径部19の下面19aを上に引っ張るように当該大径部19を僅かに変形させる)ことが可能となる。この変形した大径部19の下面19aを、図8(A)では破線により示している。さらに、この調整ボルト60の締め付けトルクを変更することによって、大径部19に部分的に生じさせる軸方向の歪(凹歪)の大きさを調整することができる。なお、大径部19におけるこの歪の発生は周方向について部分的であり、調整ボルト60が設けられている部分において歪が生じる。
ここで、前記のとおり(図5参照)、上スリーブ11によって上第一密封環15が軸方向に押されると、この上第一密封環15では、上スリーブ11からの軸方向の押し付け力、及びこの力による大径部19側からの軸方向の反力を受け、上第一密封環15は周方向に沿って波打つように僅かに変形する。特に、切り欠き部12が形成されている上スリーブ11に押される上第一密封環15においては、この切り欠き部12の影響により面圧が周方向に沿って変動し、変形しやすい。
このように上スリーブ11からの押し付け力に起因して上第一密封環15は変形しやすいが、調整ボルト60(図8参照)が大径部19に軸方向の歪を部分的に生じさせることによって、この大径部19から受ける前記軸方向の反力に変化を与えることができる。この結果、上第一密封環15における前記変形の程度を、この調整ボルト60によって調整することが可能となる。
さらに、本実施形態では、図5に示すように、切り欠き部12が形成されている上スリーブ11が接触することによる上第一密封環15の環状側面16における面圧は、この切り欠き部12が形成されている周方向位置で低くなり(ゼロとなり)、それ以外の周方向位置で高くなる。そこで、図9に示すように、調整ボルト60は、この切り欠き部12と、同じ周方向位置に設けられており、この調整ボルト60によって、大径部19に部分的に生じさせる軸方向の凹歪(圧縮方向の歪)を大きく設定する(つまり、締付けトルクを強める)。これにより、切り欠き部12と同じ周方向位置において大径部19から、スリーブ52を通じて、上第一密封環15へと生じさせる反力を小さくすることが可能となる。この結果、上第一密封環15において、切り欠き部12に対応する位置に作用する面圧は、上面側と下面側とでほぼ吊り合うようにすることができ、この上第一密封環15の変形が小さくなるようにすることが可能となる。
これに対して、図10に示すように、調整ボルト60によって、大径部19に部分的に生じさせる軸方向の凹歪(圧縮方向の歪)を小さく設定すると、つまり、締付けトルクを弱めると、上第一密封環15において、切り欠き部12と同じ周方向位置に作用する面圧は、上面側と下面側とでアンバランスな状態となり、この上第一密封環15の変形が大きくなるように調整することが可能となる。
以上のように、本実施形態のジョイント1は、大径部19に軸方向の歪を部分的に生じさせる調整ボルト60を備えており、これによって、大径部19に近い側に位置する上第一密封環15の変形を調整することができる。さらに、この上第一密封環15の変形の調整は、調整ボルト60の締付けトルクを変化させる(調整する)ことで実現可能となり、上第一密封環15と第二密封環25との間の摺接状態を、容易な手段によって調整することが可能となる。そして、この摺接状態を好ましい状態とすることによって、ジョイント1が有するメカニカルシール7の密封性能を維持することができる。
特に、従来のように第一密封環15と第二密封環との摺接状態を調整するためにジョイント1を再組立する必要がなく、組立が完了しているジョイント1の上面側から(ジョイント1の外部から)、工具を用いて調整ボルト60の締め付けを行うことで、上第一密封環15における変形の程度、つまり、上第一密封環15と第二密封環25との間の摺接状態を調整することが可能となる。
また、このジョイント1が半導体製造装置(CMP装置)に取り付けられた状態であっても、ジョイント1の上面側が露出していれば、その上面側から、工具を用いて調整ボルト60の締め付けを行うことで、前記調整を行うことが可能となる。
そして、前記のとおり、上第一密封環15における変形の程度を調整することによって、この上第一密封環15と第二密封環25との間の摺接状態を、良好な状態に調整することが可能となる。つまり、上第一密封環15において適度な変形を伴わせることで、その環状側面16と第二密封環25のシール面26との間に微小な隙間を生じさせ、この隙間に、流体通路8を流れる流体(純水)を浸入させて潤滑膜を形成することができる。
ここで、調整ボルト60による大径部19の歪の調整をより行いやすくするために、大径部19(軸本体10)と、上スリーブ11との材質は、同じであるのが好ましい。同じ材質とすることにより、同じ力によって同程度の歪が発生するためである。さらに、歪を生じさせやすくするために、これらの材質を樹脂製とするのが好ましい。例えば、大径部19(軸本体10)、及び上スリーブ11を、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)とすることができる。
また、ジョイント1に含まれる各部は、流体通路8を流れる流体に対して不活性なものとするのが好ましい。例えば、流体通路8を流れる流体に金属イオンが溶出するのを防ぐために、流体通路8を構成する各部は、樹脂製又はセラミックス製とするのが好ましい。例えば、第二密封環25は、SiC(シリコンカーバイド)やカーボンとするのが好ましく、第一密封環15は、SiCとするのが好ましい。
〔その他について〕
図3に示す上スリーブ11では、周壁11aの上端を矩形状に切り欠くことにより、切り欠き部12を形成した場合について説明したが、切り欠き形状は矩形に限らず、その他の形状であってもよく、例えば、円弧形状に切り欠いて形成した切り欠き部12であってもよい。
また、前記実施形態では、上スリーブ11の部分流路を、切り欠き部12によって形成した場合について説明したが、部分流路は、これ以外であってもよく、中(下)スリーブ11のように貫通孔であってもよい。
また、前記実施形態では、補助用のスリーブ52を用いてOリング17を設ける構成を説明したが、この補助用のスリーブ52を省略してもよい。この場合、最も上に位置する第一密封環15の厚さを大きくして、これにOリング17用の溝を形成すればよい。
また、本発明のロータリジョイント1は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、前記実施形態では、N=3としたが(スリーブ11及びメカニカルシール7の数を「3」としたが)、流体通路8の本数に応じて適宜変更可能であり、例えばN=1であってもよい。また、一つのスリーブ11に形成する切り欠き部12の数を「4」としたが、これ以外であってもよい。
また、本実施形態では、調整ボルト60(図6参照)が上に位置し、押し付け部材14用のボルト34(図1参照)が下に位置する場合を説明したが、調整ボルト60(大径部19)は軸方向の一方側に位置すればよく、ボルト60,34の位置を上下反対としてもよい。つまり、調整ボルト60が下に位置し、押し付け部材14用のボルト34が上に位置する構成であってもよい。
また、ロータリジョイント1を半導体製造装置(CMP装置)に用いる場合について説明したが、これ以外の装置に用いることができる。
1: ロータリジョイント 2:ケース体 3: 固定部材
5:軸体 7:メカニカルシール 8:流体通路
10:軸本体 10a:外周面 11:スリーブ
11a:周壁 12:切り欠き部(部分流路) 13:端面
14:押し付け部材 15:第一密封環 16:環状側面
18:第二流路 19:大径部 25:第二密封環
33:第一流路 42:流路孔 60:調整ボルト(調整部材)

Claims (4)

  1. 内周側で開口する第一流路が形成されている筒形のケース体と、前記ケース体内に相対回転可能として設けられ外周側で開口する第二流路が形成されている軸体と、前記ケース体と前記軸体との間に設けられ一つの前記第一流路と一つの前記第二流路とにより一つの流体通路を構成するためのメカニカルシールと、を備え、
    前記軸体は、前記第二流路の一部として外周面で開口する流路孔が形成されている軸本体と、当該軸本体に外嵌しかつ前記第二流路の他部として周壁を貫通する部分流路が形成されている円筒状のスリーブと、を有し、
    前記メカニカルシールは、前記スリーブと交互に前記軸本体に外嵌し当該スリーブの前記周壁の軸方向端面と接触する環状側面を有する第一密封環と、前記スリーブの径方向外側であって当該スリーブを挟んで隣り合う前記第一密封環の間に設けられ当該第一密封環それぞれの前記環状側面と摺接する第二密封環と、を有し、
    前記軸体は、更に、大径部と、前記軸本体に外嵌している前記スリーブ及び前記第一密封環を前記大径部に向かって軸方向に押し付ける押し付け部材と、前記大径部に軸方向の歪を部分的に生じさせることによって当該大径部に近い側に位置する前記第一密封環の変形を調整する調整部材と、を有していることを特徴とするロータリジョイント。
  2. 前記調整部材は、前記大径部とは別部材である固定部材に対して当該大径部を部分的に軸方向に締め付けるボルトからなる請求項1に記載のロータリジョイント。
  3. 前記調整部材は、前記大径部に近い側に位置する前記スリーブの前記部分流路と、同じ周方向位置に設けられている請求項1又は2に記載のロータリジョイント。
  4. 前記ケース体及び前記軸体は、その軸方向が上下方向となるようにして設置され、前記大径部は、当該軸体の上部側に設けられており、
    前記大径部に近い側の前記スリーブに形成されている流体が流れる前記部分流路は、当該大径部に近い側の前記第一密封環の前記環状側面と接触する前記周壁の上端を切り欠いて形成した切り欠き部からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のロータリジョイント。
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