JP6108975B2 - ガスクラスターイオンビーム装置 - Google Patents
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Description
図5に示すように、従来のガスクラスターイオンビーム装置101は、第1及び第2の真空槽102、103を有している。
スキマー105は、生成されたクラスタービームの中心部分を切り出すもので、スキマー105によって切り出されたクラスタービームが、第2の真空槽103内のビーム進行方向下流側に設けられたイオン化室106に導かれる。
第2の真空槽103内において、イオン化室106のビーム進行方向下流側には、クラスターイオンビームを加速・収束するための静電レンズ109が設けられている。
このため、従来技術では、構成部品の精度、組み立てを行う作業者の熟練度によりガスクラスターイオンビームの性能(形状再現性、安定性)のばらつきが大きかった。
これに対し、機械加工精度を向上させた部品でガスクラスターイオンビーム装置を構成することも考えられるが、機械加工精度を向上させた部品を組み立てただけでは、ガスクラスターイオンビームの再現性と安定性がそれほど向上しない。
また、本発明の他の目的は、作業者の熟練度によらず、ビーム軸の調整作業を短時間で容易に行うことができる技術を提供することにある。
本発明では、前記ノズル部材が弾性部材を介して前記ノズル保持部材に保持され、当該弾性部材の弾性力に抗して前記ノズル部材が移動するように構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記弾性部材が、エラストマーからなる場合にも効果的である。
本発明では、前記弾性部材が、Oリングによって構成されている場合にも効果的である。
図1は、本発明に係るガスクラスターイオンビーム装置の実施の形態の構成を示す模式図である。
ここで、ノズル部材60とノズル保持部材70とスキマー3は、第1の真空排気系11に接続された第1の真空槽12内に配置され、イオン化室4は、第2の真空排気系13に接続された第2の真空槽14内に配置されている。
スキマー3は、生成されたガスクラスタービームの中心部分を切り出すもので、スキマー3によって切り出されたガスクラスタービームがビーム軸方向Pの下流側に設けられたイオン化室4に導かれる。
熱フィラメント40からは熱電子が放出され、この熱電子がアノードグリッド41によって数100Vに加速されてガスクラスタービームに照射され、これにより中性のガスクラスタービームが電子衝撃によってイオン化され、ガスクラスターイオンビームが形成される。
静電レンズユニット5は、ガスクラスターイオンビームを加速・収束するためのもので、ここでは複数の静電レンズ50がビーム軸方向Pに沿って配置されている。
本発明では、静電レンズユニット5の代わりに引き出し電極(図示せず)を設けてガスクラスターイオンビームを取り出すように構成してもよい。
このアパーチャー51は、その開口部52の中心部が静電レンズ50の中心部と一致するように配置構成されている。
具体的には、ノズル保持部材70と、スキマー3と、イオン化室4が、一般的な隙間はめ公差に基づいて、一体的に組み立てられるように構成されている。
図2(a)に示すように、本実施の形態のノズル部材60は、外径dの細長円筒形状に形成されたノズル61を有し、このノズル61のガス導入側に一体的に設けられたフランジ部62を有している。
そして、ノズル部材60のフランジ部62には、ノズル61の中心軸Mと平行に延びる、ねじ孔64が複数設けられている。
ノズル保持部材70のフランジ部72の本体部71と反対側には、本体部71の円筒の中心軸Nに対して直交する方向に延びる平面が形成されたガイド面73が設けられている。
さらに、ノズル保持部材70には、本体部71のフランジ部72側の端部に、本体部71の内周面71aと連続するように例えば円形状の溝部75が設けられている。
本発明の場合、Oリング76としては、通常のエラストマーからなるものを用いることができる。
上述した構成を有する本実施の形態においては、図3に示すように、ノズル部材60、ノズル保持部材70、スキマー3、イオン化室4を位置決め構造体10に組み付けた状態でノズル61のビーム軸の調整を行う。
また、イオン化室4に対し、静電レンズユニット5のアパーチャー51の開口部52の中心部を、図示しない治具を用いて位置合わせをしておく。
そして、CCDカメラ91によって検出されたレーザ光90の光軸のビーム軸直交方向についての位置ずれが予め定めた範囲内である場合には、ノズル部材60の位置決めが終了したものとしてボルト80とナット81を完全に締結し、ノズル部材60の位置調整作業を終了する。
これによりノズル部材60に対する外力が解除され、Oリング76の弾性力によってノズル部材60は元の位置に戻るから、この位置を基準としてノズル部材60を再度移動させる。そして、上述したように、ボルト80とナット81を仮締結し、レーザ光90の照射及び位置ずれの検出作業を行う。
この作業は、CCDカメラ91によって検出されたレーザ光90の光軸のビーム軸直交方向についての位置ずれが予め定めた範囲となるまで繰り返し行う。
特に本実施の形態では、ノズル部材60とノズル保持部材70との間に弾性部材であるOリング76が介在しているため、Oリング76の弾性力に抗してノズル部材60を移動させた後にノズル部材60に対して外力を解除することによりOリング76の弾性力によってノズル部材60は元の位置に戻る。
さらに、本実施の形態によれば、Oリング76を用いることにより、大がかりな調整機構を必要とせず、装置の小型化を達成することができる。
例えば、弾性部材としてOリングの他に種々の部材を用いることもできる。
ただし、Oリングを用いれば、既存の部品を用いて安定してノズル部材を保持することができ、またコスト的にも安価である。
また、ノズル部材及びノズル保持部材の形状についても上記実施の形態には限られず、種々の変更を行うこともできる。
3……スキマー
4……イオン化室
5……静電レンズユニット
10……位置決め構造体
12……第1の真空槽
14……第2の真空槽
60……ノズル部材
61……ノズル
63……被ガイド面
70……ノズル保持部材
73……ガイド面
76……Oリング(弾性部材)
Claims (4)
- ノズルから放出され、スキマーによって切り出されたガスクラスタービームをイオン化室内でイオン化して射出するガスクラスターイオンビーム装置であって、
前記ノズルを有するノズル部材を保持するとともに、前記ガスクラスターイオンビームのビーム軸方向に対して直交する方向に延びるガイド面を有するノズル保持部材と、
前記ノズル保持部材と、前記スキマーと、前記イオン化室とが所定の位置に位置決めされた状態で一体的に組み立てられる位置決め構造体とを有し、
前記ノズル部材を前記ノズル保持部材のガイド面に沿って移動することにより、前記ガスクラスターイオンビームのビーム軸方向に対して直交する方向に関して前記ノズルの位置を調整するように構成されているガスクラスターイオンビーム装置。 - 前記ノズル部材が弾性部材を介して前記ノズル保持部材に保持され、当該弾性部材の弾性力に抗して前記ノズル部材が移動するように構成されている請求項1記載のガスクラスターイオンビーム装置。
- 前記弾性部材が、エラストマーからなる請求項2記載のガスクラスターイオンビーム装置。
- 前記弾性部材が、Oリングによって構成されている請求項3記載のガスクラスターイオンビーム装置。
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