JP6108399B2 - 加水分解酵素の反応効率を高める酵素反応方法 - Google Patents

加水分解酵素の反応効率を高める酵素反応方法 Download PDF

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Description

本発明は、グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素を用いた酵素反応において、酵素反応効率を向上させる技術に関する。
グルコシダーゼは、グルコシド結合を加水分解する反応を触媒する酵素であり、様々な分野で産業的に利用されている。グルコシダーゼは、糖のα−グルコシド結合を加水分解するα−グルコシダーゼと、糖のβ−グルコシド結合を加水分解するβ−グルコシダーゼに大別される。α−グルコシダーゼは、デンプンの液化や糖化、デンプンの改変、洗剤、織物の脱サイズ等の処理に使用されており、産業上、不可欠な酵素である。また、β−グルコシダーゼは、植物系バイオマスに含まれるセルロースを糖化できるため、近年、植物系バイオマスの有効利用が注目されると共に脚光を浴びている。
また、アルカリホスファターゼは、リン酸エステル化合物を加水分解して脱リン酸化させる反応を触媒する酵素であり、NBT/BCIP(nitroblue tetrazolium and 5−bromo−4−chloro−2−indolylphosphate)等の基質を加水分解して発色・発光させることができるため、ELISA、ウエスタンブロッティング、生体組織片の染色等に使用される標識酵素として汎用されている。
また、スルファターゼは、硫酸エステル化合物を加水分解する酵素であり、ヘパリンやコンドロイチン硫酸などの硫酸化多糖における硫酸エステルの加水分解等に使用され、化粧品、医療分野において利用されている。
また、リパーゼは、脂肪酸エステル化合物を加水分解する酵素であり、食品用フレーバーや香料の製造、食品中の油脂の除去等の食品工業分野、製紙工程における原木からの脂肪(ピッチ)の除去、洗剤等に広く利用されている。
更に、プロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であり、タンパク質の低分子化、タンパク質の除去、繊維の加工・改質、洗剤等に利用され、食品、医薬品、繊維等の幅広い分野で使用される酵素である。
一方、一般に、グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素を用いた酵素反応では、生成物やエフェクター分子との結合によって反応過程で反応速度が頭打ちになる場合が多い。このような頭打ちとなる現象を改善して酵素反応の効率を高めることができれば、前述の加水分解酵素を利用する様々な技術分野で多大なメリットをもたらすことになる。例えば、グルコシダーゼの酵素反応効率の向上は、植物系バイオマスに含まれるセルロースの糖化率を高め、ひいてはバイオマスエタノールの生成効率の向上に資することになる。また、アルカリホスファターゼの酵素反応効率の向上は、臨床検査薬、ELISAやウエスタンブロッティング等を利用した目的物質の検出法において、目的物質の検出感度を高め、更には目的物質の検出時間を短縮することも可能にする。また、スルファターゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等の酵素反応効率の向上は、これらの酵素反応が利用される各種分野において製造効率の向上や品質向上に寄与し得ることが期待される。
従来、酵素反応において、酵素活性を高める技術は報告されている。例えば、非特許文献1及び2には、糖を含むアルコール、ポリオール類を酵素反応溶液に添加することにより酵素活性を向上させる方法が開示されている。また、非特許文献3及び4には、ポリエチレングリコールや牛血清アルブミンのようなタンパク質を酵素反応溶液に添加することによって、酵素活性を向上できることが開示されている。また、非特許文献5には、グリシンが酵素活性を向上させることも開示されている。しかしながら、これらの非特許文献の技術でも、依然として、酵素の反応効率の向上効果を十分に満足させるものではない。
また、特定構造のベタイン誘導体が酵素反応効率を向上させることが報告されている(特許文献1)。特許文献1の技術は、酵素の反応効率の向上の点で、優れた技術を開示しているが、グルコシダーゼやアルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素を使用する技術分野では、酵素反応の効率が高い程、前述する利点も大きくなるため、これらの酵素の反応効率をより一層高めることが実現できれば、これらの酵素を利用する産業に多大なる技術進歩をもたらすと考えられている。
特開2010−220607号公報
S. N. Timasheff,Adv. Protein Chem., 51, 355 (1998) M. Mejri, et al.,Carbohydr. Polym., 45, 161 (2001) K. Hayashi, etal., Nucleic Acids Res., 14, 7817 (1986) K. Totani, etal., J. Am. Chem. Soc., 130, 2101 (2008) V. Vathipadiekal,et al., Biol. Chem., 388, 61 (2007)
本発明は、グルコシダーゼやアルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素を用いた酵素反応において、酵素反応効率を向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、特定のベタイン誘導体には、加水分解酵素の酵素反応効率を格段顕著に向上させる作用があり、当該ベタイン誘導体を低濃度で存在させるだけでも、これらの酵素反応効率を飛躍的に向上させ得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.一般式(1)に示すベタイン誘導体の存在下で、加水分解酵素による酵素反応を行うことを特徴とする、酵素反応方法。
[一般式(1)中、R1〜R3の内、少なくとも2つの基は、同一又は異なって、炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基を示し、且つR1〜R3の内、残りの1つの基は、炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。nは1〜5の整数を示す。]
項2.R1〜R3が同一又は異なって炭素数5又は6の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1である、項1に記載の酵素反応方法。
項3.R1〜R3の内、少なくとも2つの基は、同一又は異なって、炭素数5又は6の直鎖状のアルキル基であり、残りの1つの基は、炭素数5〜8の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1である、項1に記載の酵素反応方法。
項4.一般式(1)に示すベタイン誘導体及び下記一般式(2)に示すベタイン誘導体の存在下で酵素反応を行う、項1〜3のいずれかに記載の酵素反応方法。
[一般式(2)中、R4〜R6は、同一又は異なって、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、又は水素原子を示し、nは1〜5の整数を示す。]
項5.一般式(1)に示すベタイン誘導体が0.00001〜0.04Mの濃度で存在する、項1乃至4のいずれかに記載の酵素反応方法。
項6.加水分解酵素が、グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ及びプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、項1乃至5のいずれかに記載の酵素反応方法。
項7.加水分解酵素がα−グルコシダーゼである項1乃至5のいずれかに記載の酵素反応方法。
項8.一般式(1)に示すベタイン誘導体を有効成分として含む、加水分解酵素の反応効率の向上剤。
[一般式(1)中、R1〜R3及びnは前記と同じ。]
項9.一般式(1)に示すベタイン誘導体が0.00001〜0.04Mの濃度で使用される、項8に記載の向上剤。
項10.更に、下記一般式(2)に示すベタイン誘導体を含む項8又は9に記載の向上剤。
[一般式(2)中、R4〜R6及びnは前記と同じ。]
項11.加水分解酵素が、グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ及びプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、項8乃至10のいずれかに記載の向上剤。
項12.項1乃至7のいずれかに記載の酵素反応方法を行うためのキットであって、下記一般式(1)に示すベタイン誘導体と、加水分解酵素と、を含むことを特徴とする、キット。
[一般式(1)中、R1〜R3及びnは前記と同じ。]
項13.一般式(1)に示すベタイン誘導体が0.00001〜0.04Mの濃度で使用されることを示す実験手順書を含む、項12に記載のキット。
項14.加水分解酵素が、グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ及びプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、項12又は13に記載のキット。
本発明によれば、特定のベタイン誘導体を使用することにより、グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素を用いた酵素反応において、酵素反応効率を格段顕著に向上させることができる。また、本発明では、特定のベタイン誘導体を酵素反応液中に低濃度で存在させるだけでも、加水分解酵素の反応効率を著しく向上させることが可能になっている。
実施例1において、α−グルコシダーゼを用いた酵素反応において、ベタイン誘導体の添加による酵素反応効率を評価した結果を示す。 実施例2において、β−グルコシダーゼを用いた酵素反応において、ベタイン誘導体の添加による酵素反応効率を評価した結果を示す。 実施例3において、α−グルコシダーゼを用いた酵素反応において、ベタイン誘導体の混合物の添加による酵素反応効率を評価した結果を示す。 実施例4において、アルカリホスファターゼを用いた酵素反応において、ベタイン誘導体の添加による酵素反応効率を評価した結果を示す。 実施例5において、スルファターゼを用いた酵素反応において、ベタイン誘導体の添加による酵素反応効率を評価した結果を示す。 実施例6において、リパーゼを用いた酵素反応において、ベタイン誘導体の添加による酵素反応効率を評価した結果を示す。 実施例7において、プロテアーゼを用いた酵素反応において、ベタイン誘導体の添加による酵素反応効率を評価した結果を示す。
1.酵素反応方法
本発明は、一般式(1)に示すベタイン誘導体の存在下で、加水分解酵素による酵素反応を行うことを特徴とする。以下、本発明について、詳細に説明する。
ベタイン誘導体
本発明で使用するベタイン誘導体は、以下の一般式(1)に示す構造である。
一般式(1)中、R1〜R3の内、少なくとも2つの基は、同一又は異なって、炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基を示し、且つR1〜R3の内、残りの1つの基は、炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。一般式(1)中、R1〜R3は、好ましくは、同一又は異なって、炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基;或いは少なくとも2つの基は、同一又は異なって、炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基であり、残りの1つの基は、炭素数5〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基である。更に好ましくは、R1〜R3は、炭素数5又は6の直鎖状のアルキル基;或いは少なくとも2つの基は、同一又は異なって、炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基であり、残りの1つの基は、炭素数5〜8の直鎖状のアルキル基である。
また、一般式(1)中、nは、1〜5、好ましくは1〜3、更に好ましくは1の整数を示す。
本発明に使用される一般式(1)に示すベタイン誘導体の好適な具体例として、R1〜R3が同一又は異なって炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基であり、且つnが1〜3の整数;更に好ましくはR1〜R3が同一又は異なって炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基であり、且つnが1又は2であるもの;特に好ましくはR1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1であるもの、或いは特に好ましくはR1〜R3が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1であるものが例示される。
本発明においては、これらのベタイン誘導体から1種を選択して単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
一般式(1)に示すベタイン誘導体は、例えば、特開2009−96766号公報等に記載の方法で製造することができ、更に後述する合成例1−2を参照して公知の有機合成法を用いて製造することもできる。
また、上記一般式(1)に示されるベタイン誘導体と、下記一般式(2)に示すベタイン誘導体とを組み合わせ、これらのベタイン誘導体の存在下で酵素反応を行ってもよい。
一般式(2)中、R4〜R6は、同一又は異なって、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、又は水素原子を示す。一般式(2)中、好ましくは、R4〜R6の少なくとも1つ、より好ましくは2つ、更に好ましくはR4〜R6の全てが炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基を示す。一般式(2)中、特に好ましくはR4〜R6は、炭素数4の直鎖状アルキル基である。
また、一般式(1)中、nは、1〜5、好ましくは1〜3、更に好ましくは1の整数を示す。
一般式(2)に示される化合物は、例えば、特開2009−96766号公報等に記載の方法及び後述する参考合成例1の記載を参照して公知の有機合成法を用いて製造することができる。
上記一般式(1)に示されるベタイン誘導体と一般式(2)に示されるベタイン誘導体の組み合わせは、各一般式を満たしていれば特に制限されるものではない。ここでは、一般式(1)においてR1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1であるベタイン誘導体と、一般式(2)においてR4〜R6が炭素数4の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1であるベタイン誘導体を例示する。これらのベタイン誘導体を組み合わせて用いる場合であっても、後述する酵素の少なくとも1種が使用される酵素反応に適用され得る。後述する実施例においては、これらのベタイン誘導体の存在下でα−グルコシダーゼによる酵素反応を行うことによって反応効率が顕著に向上する結果が例示されている。
酵素
本発明の酵素反応方法に使用される酵素は、加水分解酵素である。本発明で使用される加水分解酵素としては、具体的には、グルコシダーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、セロビナーゼ、キシラナーゼ、ガラクトシダーゼ、マンノシダーゼ、マンナーゼ、キチナーゼ等の糖加水分解酵素;アルカリホスファターゼ、リン酸ホスファターゼ、スルファターゼ、ヌクレオチダーゼ、リボヌクレアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ等のエステル加水分解酵素;エーテル加水分解酵素;ペプチダーゼ、サブチリン、ペクチナーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プラスミン、カルボキシペプチダーゼ、サーモライシン等のペプチド(アミド)加水分解酵素等が挙げられる。本発明においては、これらの加水分解酵素から1種を選択して単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明で使用される加水分解酵素の由来についても、特に制限されず、微生物、植物、動物等の如何なる由来であってもよい。
上記加水分解酵素の中でも、酵素反応効率をより一層向上せしめるという観点から、好ましくはグルコシダーセ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ及プロテアーゼが挙げられ、更に好ましくはグルコシダーゼが挙げられる。
本発明で使用されるグルコシダーセとしては、α−グルコシダーゼ及びβ−グルコシダーゼのいずれであってもよいが、α−グルコシダーゼがより好適な加水分解酵素として挙げられる。また、本発明で使用されるグルコシダーセの由来についても特に制限されず、微生物、植物、動物等の如何なる由来であってもよい。
本発明で使用されるグルコシダーセの好適な例として、Bacillus Stearothermophilus由来のα−グルコシダーゼ、及びアーモンド由来のβ−グルコシダーゼが例示される。
本発明で使用されるアルカリホスファターゼとしては、その由来については特に制限されず、微生物、植物等の如何なる由来であってもよい。本発明で使用されるアルカリホスファターゼの好適な一例として、Escherichia coli由来のものが例示される。
本発明で使用されるスルファターゼは、その由来については特に制限されず、微生物、植物等の如何なる由来であってもよい。本発明で使用されるスルファターゼの好適な一例として、Helix Pomatia由来のものが例示される。
本発明で使用されるリパーゼとしては、その由来については特に制限されず、微生物、植物、動物組織等の如何なる由来であってもよい。本発明で使用されるリパーゼの好適な一例として、Candida由来のものが例示される。
本発明で使用されるプロテアーゼとしては、いずれのプロテアーゼを使用してもよく、例えば、プラスミン、トリプシン、キモトリプシン、サブチリン、ペクチナーゼ、カルボキシペプチダーゼ、サーモライシン等が挙げられ、これらのうちでも好適なプロテアーゼとしてプラスミン、トリプシンが例示される。また、本発明で使用されるプロテアーゼの由来も特に制限されず、微生物、植物、動物由来のいずれであってもよい。本発明で使用されるプロテアーゼの好適な例としては、ヒト血漿由来プラスミン、動物由来トリプシン等が例示される。
基質
本発明の酵素反応に使用される基質は、採用する加水分解酵素の種類や酵素反応の目的等に応じて適宜設定すればよい。
例えば、α−グルコシダーゼを使用する場合であれば、基質としては、α−グルコシド結合を有する化合物であればよく、具体的には、澱粉、アミロペクチン、麦芽糖、マルトオリゴ糖、アルキル又はアリール−α−グルコシド(例えば、メチル−α−D−グルコピラノシド、α−p−ニトロフェニル−D−グルコピラノシド)等が挙げられる。
β−グルコシダーゼを使用する場合であれば、基質としては、β−グルコシド結合を有する化合物であればよく、具体的には、セルロース、セロオリゴ糖、セロビオース、ゲンチオビオース、アルキル又はアリール−β−グルコシド(例えば、メチル−β−D−グルコピラノシド、β−p−ニトロフェニル−D−グルコピラノシド)等が挙げられる。
アルカリホスファターゼを使用する場合であれば、基質としては、NBT/BCIP(nitroblue tetrazolium and. 5−bromo−4−chloro−2−indolyl phosphate)(ロッシュ)やファーストレッド(シグマ)等の発色基質;アトフォス(商標)(ロッシュ社製)やHNPP(hydroxy−3−naphthoic acid−2’−phenylanilidephosphate)等の蛍光発光基質;ジオキセタン等の化学発光基質が挙げられる。
スルファターゼを使用する場合であれば、基質としては、硫酸エステル化合物であればよく、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸等のグリコサミノグリカン;ニトロフェノール硫酸塩等が挙げられる。スルファターゼの基質として、より具体的にはp−ニトロフェニルサルフェートカリウム塩が例示される。
リパーゼを使用する場合であれば、基質としては、脂肪酸とグリセロールとのエステル化合物であればよく、例えば、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド等が挙げられる。また、脂肪酸に限らず、芳香族酸やアルコール、フェノール類のエステルでもよく、例えば、p−ニトロフェニルエステル等が挙げられる。リパーゼの基質としてより具体的には、4−ニトロフェニルブチレートが例示される。
プロテアーゼを使用する場合であれば、基質としては、ペプチド結合を有する化合物であればよく、例えば、タンパク質、ペプチド等が挙げられる。プロテアーゼの基質としてより具体的には、Z−Gly−Pro−Arg−p−ニトロアニリドが例示される。
酵素反応の条件
本発明の酵素反応では、上記加水分解酵素を上記基質に作用させる従来の酵素反応系に、上記一般式(1)に示すベタイン誘導体を添加することにより行われる。
本発明の酵素反応において、加水分解酵素及び基質の濃度については、特に制限されず、使用する加水分解酵素や基質の種類、酵素反応の目的等に応じて適宜設定される。一例として、加水分解酵素の濃度として、通常0.0001〜50000ng/mLが挙げられ、基質の濃度として、通常0.000001〜1Mが挙げられる。
また、本発明の酵素反応において、一般式(1)に示すベタイン誘導体の酵素反応溶液中での使用濃度としては、例えば、0.000001〜1M程度、好ましくは0.00001〜1M程度が挙げられる。特に、本発明では、一般式(1)に示すベタイン誘導体の使用濃度が、0.00001〜0.04M、特に0.00001〜0.02Mという低濃度であっても、格段顕著に酵素反応効率を向上させることができる。このような本発明の利点に鑑みれば、本発明の酵素反応における一般式(1)に示すベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.00001〜0.04M、更に好ましくは0.00001〜0.02Mが挙げられる。より具体的には、一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合であれば、好ましくは0.0001〜0.04M、更に好ましくは0.001〜0.04Mが挙げられる。また、一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合であれば、好ましくは0.00001〜0.04M、更に好ましくは0.00001〜0.01Mが挙げられる。また、一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1及びR2が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、R3が炭素数4の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合であれば、好ましくは0.0001〜0.04M、更に好ましくは0.0005〜0.01Mが挙げられる。また、一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1及びR2が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、R3が炭素数8の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合であれば、好ましくは0.000001〜0.001M、更に好ましくは0.00001〜0.0005Mが挙げられる。
ベタイン誘導体を2種以上組み合わせて使用する場合、各ベタイン誘導体の使用濃度は、各ベタイン誘導体による反応効率の向上効果を考慮して、上記の濃度範囲に基づいて適宜設定することができる。
また、前記一般式(1)に示されるベタイン誘導体と、前記一般式(2)に示されるベタイン誘導体とを組み合わせて使用する場合の各ベタイン誘導体の使用濃度は、例えば、一般式(1)に示されるベタイン誘導体0.000001M〜0.04Mに対し、一般式(2)に示されるベタイン誘導体0.001〜0.2Mが挙げられる。
本発明の酵素反応において、加水分解酵素と一般式(1)に示すベタイン誘導体の種類に応じた当該ベタイン誘導体の特に好適な使用濃度として、下記の範囲が挙げられる。
α−グルコシダーゼを使用する場合
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.0001〜0.02M、更に好ましくは0.001〜0.01Mが挙げられる。
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.00001〜0.02M、より好ましくは0.0001〜0.01M、更に好ましくは0.0002〜0.001Mが挙げられる。
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1及びR2が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、R3が炭素数4の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.00001〜0.04M、より好ましくは0.0001〜0.02M、更に好ましくは0.0005〜0.005Mが挙げられる。
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1及びR2が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、R3が炭素数8の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.00001〜0.0005M、更に好ましくは0.00001〜0.00025Mが挙げられる。
また、αグルコシダーゼを用いた加水分解反応において、前記一般式(1)に示されるベタイン誘導体と、前記一般式(2)に示されるベタイン誘導体とを組み合わせて使用する場合の各ベタイン誘導体の使用濃度は、例えば、一般式(1)に示されるベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物であり、一般式(2)に示されるベタイン誘導体がR4〜R6が炭素数4の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1である化合物であるとき、一般式(1)に示されるベタイン誘導体0.000001M〜0.04M、好ましくは0.00001M〜0.01Mに対し、一般式(2)に示されるベタイン誘導体0.0001〜0.5M、好ましくは0.001M〜0.2Mが挙げられる。
β−グルコシダーゼを使用する場合
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.00001〜0.04M、更に好ましくは0.0001〜0.04Mが挙げられる。
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.0001〜0.04M、更に好ましくは0.0005〜0.015Mが挙げられる。
アルカリホスファターゼを使用する場合
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.00001〜0.01M、より好ましくは0.00005〜0.005M、更に好ましくは0.0002〜0.0005Mが挙げられる。
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数6の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.000001〜0.01M、より好ましくは0.000001〜0.002M、更に好ましくは0.00001〜0.0006Mが挙げられる。
スルファターゼを使用する場合
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.00001〜0.04M、更に好ましくは0.0001〜0.02Mが挙げられる。
リパーゼを使用する場合
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.00001〜0.04M、更に好ましくは0.0001〜0.02Mが挙げられる。
プロテアーゼを使用する場合
一般式(1)に示すベタイン誘導体が、R1〜R3が炭素数5の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1の化合物である場合、当該ベタイン誘導体の使用濃度として、好ましくは0.00001〜0.04M、更に好ましくは0.0001〜0.02Mが挙げられる。
本発明の酵素反応は、使用する加水分解酵素や基質、酵素反応の目的等を踏まえて、酵素反応を行うのに適した溶媒(例えば、緩衝液)中で行われる。
本発明の酵素反応の反応温度については、使用する加水分解酵素が作用できる範囲、好ましくは使用する酵素の至適温度範囲に設定すればよい。
また、本発明の酵素反応を行う反応系(反応液)のpHについても、使用する加水分解酵素が作用できる範囲、好ましくは使用する酵素の至適pH範囲に設定すればよい。
本発明の酵素反応における反応時間については、使用する加水分解酵素や基質の種類、酵素反応の進行具合、酵素反応の目的等を踏まえて、適宜設定すればよい。
酵素反応の適用対象
本発明の酵素反応は、使用する酵素や基質の種類に応じて、様々な分野で使用することができる。
例えば、加水分解酵素としてα−グルコシダーゼを使用する場合、本発明の酵素反応は、デンプンの液化や糖化、デンプンの改変、織物の脱サイズ等に適用することができる。
また、加水分解酵素としてβ−グルコシダーゼを使用する場合、本発明の酵素反応は、セルロースの糖化等に適用することができる。
また、加水分解酵素として、アルカリホスファターゼを使用する場合、アルカリホスファターゼを標識酵素として用いることにより、本発明の酵素反応は、臨床検査薬、ELISA、ウエスタンブロッティング、生体組織片の染色等における化学発光検出又は発色検出のために使用することができる。
また、加水分解酵素としてスルファターゼを使用する場合、本発明の酵素反応は、ヘパリンやコンドロイチン硫酸などの硫酸化多糖における硫酸エステルの加水分解等に適用することができ、化粧料や医薬品の製造において利用することができる。
また、加水分解酵素としてリパーゼを使用する場合、本発明の酵素反応は、食品用フレーバーや香料の製造、食品中の油脂の除去、製紙工程における原木からの脂肪(ピッチ)の除去等に適用することができる。また、本発明の酵素反応を油汚れの除去等の洗浄の目的に利用することもできる。
また、加水分解酵素としてプロテアーゼを使用する場合、本発明の酵素反応は、タンパク質の低分子化、タンパク質の除去、繊維の加工・改質等に適用することができる。また、本発明の酵素反応を、タンパク質汚れ除去等の洗浄の目的に利用することができる。
2.加水分解酵素の反応効率の向上剤
また、本発明は、一般式(1)に示すベタイン誘導体を有効成分として含む、加水分解酵素の反応効率の向上剤を提供する。当該向上剤は、前記一般式(1)に示されるベタイン誘導体に加え、前記一般式(2)に示されるベタイン誘導体を更に含んでいてもよい。
当該剤は、加水分解酵素を基質に作用させる酵素反応系で、当該酵素の反応効率を向上させるために使用されるものであり、その使用態様は、前記「1.酵素反応方法」の欄に記載の通りである。
3.キット
更に、本発明は、上記酵素反応方法を行うためのキットをも提供する。本発明のキットは、一般式(1)に示すベタイン誘導体、及び加水分解酵素を含むものである。
本発明のキットは、加水分解酵素としてアルカリホスファターゼを含む場合には、必要に応じて、酵素反応に供される発光基質又は発色基質を含んでいてもよく、また、アルカリホスファターゼは、抗体やタンパク質に連結された状態であってもよい。
また、本発明のキットは、前述する酵素反応についてのプロトコールを示した実験手順書が含まれていてもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
合成例1 N,N,N−トリ−n−ペンチルグリシネート(ベタイン1)の合成(同定)
300mlの三ツ口フラスコにトリペンチルアミン25mlを加え、酢酸エチル250mlに溶解させた。窒素気流下、ブロモ酢酸エチル8.64mLを6分間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温で5日間攪拌した。5日後、反応を止め、溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、褐色油状物の前駆体を得た。
得られた前駆体を蒸留水50mlに溶解した。この溶液を陰イオン交換カラム(アンバーライト:登録商標IRA−402、ローム アンド ハース社製)を充填したカラムに通した。溶離液をエバポレーターで減圧濃縮し、五酸化二リンの共存下、減圧乾燥し、ベタイン(N,N,N−トリ−n−ペンチルグリシネート)(以下、ベタイン1と表記する)を得た(収量19.20g、収率86%)。得られたベタイン1について、H NMR、ATR−IR、及びESI−MSにより分析した結果を表1〜3に示す。また、ベタイン1の構造式を以下に示す。
合成例2 N,N,N−トリ−n−ヘキシルグリシネート(ベタイン2)の合成(同定)
300mlの三ツ口フラスコにトリヘキシルアミン25mlを加え、酢酸エチル100mlに溶解させた。窒素気流下、ブロモ酢酸エチル7.4mLを3分間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温で5日間攪拌した。5日後、反応を止め、溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、褐色油状物の前駆体を得た。
得られた前駆体を蒸留水50mlに溶解した。この溶液を陰イオン交換カラム(アンバーライト:登録商標IRA−402、ローム アンド ハース社製)を充填したカラムに通した。溶離液をエバポレーターで減圧濃縮し、五酸化二リンの共存下、減圧乾燥し、ベタイン(N,N,N−トリ−n−ヘキシルグリシネート)(以下、ベタイン2と表記する)を得た(収量12.23g、収率56%)得られたベタイン2について、H NMR、ATR−IR、及びESI−MSにより分析した結果を表4〜6に示す。また、ベタイン2の構造式を以下に示す。
参考合成例1 N,N,N−トリ−n−ブチルグリシネート(ベタイン3)の合成(同定)
トリペンチルアミンの代わりにトリブチルアミンを使用し、合成時の諸条件を適宜変更した以外は、上記実施例1と同様の方法によってベタイン(N,N,N−トリ−n−ブチルグリシネート)(以下、ベタイン3と表記する)を得た。得られたベタイン3について、H NMR、ATR−IR、及びESI−MSにより分析した結果を表7〜9に示す。また、ベタイン3の構造式を以下に示す。
合成例3 N,N,−ジ−n−ヘキシル−N−n−ブチルグリシネート(ベタイン4)の合成(同定)
100mlの三ツ口フラスコにN,N,−ジ−n−ヘキシル−N−n−ブチルアミン3.07gを加え、酢酸エチル30mlに溶解させた。窒素気流下、ブロモ酢酸エチル1.26mLを3分間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温で5日間攪拌した。2日後、反応を止め、溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=50:1→クロロホルム→クロロホルム:メタノール=20:1)で精製し、淡黄色油状物の前駆体を得た。
得られた前駆体を蒸留水20mlに溶解した。この溶液を陰イオン交換カラム(アンバーライト:登録商標IRA−402、ローム アンド ハース社製)を充填したカラムに通した。溶離液をエバポレーターで減圧濃縮し、五酸化二リンの共存下、減圧乾燥し、ベタイン(N,N,−ジ−n−ヘキシル−N−n−ブチルグリシネート)(以下、ベタイン4と表記する)を得た(収量1.10g、収率32%)得られたベタイン4について、H NMR、ATR−IR、及びESI−MSにより分析した結果を表10〜12に示す。また、ベタイン4の構造式を以下に示す。
合成例5 N,N,−ジ−n−ヘキシル−N−n−オクチルグリシネート(ベタイン5)の合成(同定)
300mlの三ツ口フラスコにN,N,−ジ−n−ヘキシル−N−n−オクチルアミン6.79gを加え、酢酸エチル68mlに溶解させた。窒素気流下、ブロモ酢酸エチル2.24mLを5分間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温で5日間攪拌した。7日後、反応を止め、溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=50:1→クロロホルム→クロロホルム:メタノール=20:1)で精製し、褐色油状物の前駆体を得た。
得られた前駆体を蒸留水20mlに溶解した。この溶液を陰イオン交換カラム(アンバーライト:登録商標IRA−402、ローム アンド ハース社製)を充填したカラムに通した。溶離液をエバポレーターで減圧濃縮し、五酸化二リンの共存下、減圧乾燥し、ベタイン(N,N,−ジ−n−ヘキシル−N−n−オクチルグリシネート)(以下、ベタイン5と表記する)を得た(収量0.34g、収率5%)得られたベタイン5について、H NMR、ATR−IR、及びESI−MSにより分析した結果を表13〜15に示す。また、ベタイン5の構造式を以下に示す。
実施例1 α−グルコシダーゼの反応速度に及ぼすベタイン誘導体の効果
得られたベタイン誘導体(ベタイン1〜5)の添加による酵素活性向上効果を評価、検討するため、ベタイン誘導体存在下でのα−グルコシダーゼの加水分解速度を測定した。α−グルコシダーゼ(Bacillus Stearothermophilus由来)(型番G3651−250un、シグマアルドリッチ製)の基質としては、紫外可視分光測定から加水分解をモニターできるα−p−ニトロフェニル−D−グルコピラノシド(型番325−34671、和光純薬製)を用いた。
基質であるα−p−ニトロフェニル−D−グルコピラノシドは350nmに極大吸収波長を持つが、α−グルコシダーゼによってグルコースとp−ニトロフェノールに加水分解されると、pH7.0においてはp−ニトロフェノールは水酸基のプロトンが解離してp−ニトロフェノラートとなる。結果として、極大吸収波長は長波へシフトし、405nmの吸光度が上昇する。405nmのp−ニトロフェノラートのモル吸光係数(pH7.0、37℃)である7660M-1cm-1を利用すれば、加水分解によって生成するp−ニトロフェノールの濃度を見積もることができ、反応速度を算出することができる。
加水分解速度の測定は、酵素反応溶液(100mM リン酸緩衝溶液(pH7.0),2mM α−p−ニトロフェニル−D−グルコピラノシド,2.5×10-5mg/mL α−グルコシダーゼ)を用いて、37℃で行った。ベタイン誘導体は、最終濃度0〜1000mMとなるように上記酵素反応溶液に添加した。
α−グルコシダーゼの反応速度は反応時間に対する405nmの吸光度変化のグラフの初期の傾きから算出し、加水分解産物であるp−ニトロフェノールのモル吸光係数(pH7.0、37℃)7660M-1cm-1を用いて加水分解速度を算出した。
また、酵素活性の誤差を最小限とするため、ベタイン誘導体添加による効果を活性比で表した。当該「活性比」とは、「ベタイン誘導体の非存在下での酵素の反応速度」に対する「ベタイン誘導体の存在下での酵素の反応速度」の比を指す。
得られた結果を図1及び表16に示す。なお、図1には、低濃度のベタイン誘導体での本発明の効果を明らかにするために、ベタイン1、2、4及び5が5mMまでの濃度範囲での測定結果を示す。3つのブチル基を有するベタイン3では、100mM付近に活性比の極大が存在するが、3つのペンチル基を有するベタイン1では7mM付近に、3つのヘキシル基を有するベタイン2では、0.5mM付近にシフトし、活性化に必要となるベタイン誘導体濃度が有意に低下することが示された。特に、表16から明らかなように、少なくとも2つのペンチル基又はヘキシル基を有するベタイン誘導体(ベタイン1、2、4、及び5)は、3つのブチル基を有するベタイン誘導体(ベタイン3)に比して、14〜2000倍も低濃度で反応速度6.5×10-7〜7.8×10-7M min-1程度を達成することができていた。なお、ベタイン3は、100mMの濃度で酵素に対する活性化効果が最大になることが知られている(特開2010−220607号公報参照)。
実施例2 β−グルコシダーゼの反応速度に及ぼすベタイン誘導体の効果
β−グルコシダーゼに与えるベタイン誘導体の添加効果を比較した。β−グルコシダーゼとしては、市販のβ−グルコシダーゼ(Almond由来(型番306−50981)和光純薬製)を用いて評価し、ベタイン誘導体としてはベタイン1、2及び3を用いた。β−グルコシダーゼの反応速度は、反応時間に対する405nmの吸光度変化のグラフの初期の傾きから算出し、加水分解物であるp−ニトロフェノールのモル吸光係数(pH7.0, 37℃)7660M-1cm-1を用いて加水分解速度を算出した。
測定条件は、酵素反応溶液(100mM リン酸緩衝溶液(pH7.0), 2mM β−p−ニトロフェニル−D−グルコピラノシド, 1.3×10-3mg/mL β−グルコシダーゼ)を用いて、37℃で行った。ベタイン1、2及び3はそれぞれ、最終濃度0〜1000mMとなるように上記酵素反応溶液に添加し、反応時間(分)に対して産生されたp−ニトロフェノールの濃度を測定した結果を図2に示す。
図2から明らかなように、3つのペンチル基又はヘキシル基を有するベタイン誘導体(ベタイン1及び2)は、3つのブチル基を有するベタイン誘導体(ベタイン3)に比して、β−グルコシダーゼによる酵素反応を顕著に向上させていた。とりわけ、3つのペンチル基を有するベタイン誘導体(ベタイン1)では1〜40mMの範囲で、また3つのヘキシル基を有するベタイン誘導体(ベタイン2)は0.5〜15mMの範囲で、酵素反応効率を顕著に向上できることが明らかになった。
実施例3 α−グルコシダーゼの反応速度に及ぼすベタイン誘導体の混合物による効果
ベタイン誘導体(ベタイン1及び3)の混合物の反応速度に対する効果について検討するため、ベタイン1とベタイン3の混合物を添加して、α−グルコシダーゼの活性比測定を行った。
測定条件は、酵素反応溶液(100mM リン酸緩衝溶液(pH7.0),2mM α−p−ニトロフェニル−D−グルコピラノシド,2.5×10-4mg/mL α−グルコシダーゼ)を用いて、37℃で行った。ベタイン1、ベタイン3又はベタイン1及び3の混合物を酵素反応溶液に添加して反応時間60分の間に産生されたp−ニトロフェノールの濃度を測定し、活性比を算出した。p−ニトロフェノールの濃度の測定及び活性比の算出は、前記実施例1に記載の方法に従って行った。
ここで、酵素反応溶液に添加するベタイン1の濃度は、極大活性化濃度付近の3mMとし、ベタイン3の濃度を25mMとした。また、ベタイン1及び3の混合物については、ベタイン1を3mM、ベタイン3を25mMとした。得られた結果を図3に示す。
ベタイン誘導体を混合物として添加すると、ベタイン誘導体が相互作用し合うことによって、酵素反応に対する活性化効果が互いに干渉して活性比はほとんどかわらない、もしくは、低下することが予想された。また、前記試験例1の結果からも明らかなように、ベタイン3は、他のベタイン誘導体に比して酵素に対する活性化効果は劣ることが示されている。しかし、本発明のベタイン誘導体(ベタイン1及び3)を混合して使用すると、図3から明らかなように、ベタイン1又はベタイン3単独の場合と比較して活性比が顕著に上昇することが示された。
実施例4 アルカリフォスファターゼの反応速度に及ぼすベタイン誘導体の効果
グルコシダーゼ以外の加水分解酵素に与えるベタイン誘導体の添加効果を調べるため、リン酸エスエル加水分解酵素であるアルカリホスファターゼを用いて実験を行った。アルカリホスファターゼとしては、市販のアルカリホスファターゼ(E.coli由来(型番012−10691)、和光純薬製)を用いて評価し、ベタイン誘導体としてはベタイン1、2及び3を用いた。アルカリホスファターゼの反応速度は、反応時間に対する405nmの吸光度変化のグラフの初期の傾きから算出し、加水分解物であるp−ニトロフェノールのモル吸光係数(pH7.0, 37℃)7660M-1cm-1を用いて加水分解速
度を算出した。
測定条件は、酵素反応溶液(100mM Tris−HCl緩衝溶液(pH7.5), 2mM p−ニトロフェニルホスフェート, 1.0×10-3mg/mL アルカリホスファターゼ)を用いて、37℃で行った。ベタイン1、2及び3はそれぞれ、最終濃度0〜50mMとなるように上記酵素反応溶液に添加し、反応時間(分)に対して産生されたp−ニトロフェノールの濃度を測定した結果を図4示す。
図4から明らかなように、3つのペンチル基又はヘキシル基を有するベタイン誘導体(ベタイン1及び2)は、3つのブチル基を有するベタイン誘導体(ベタイン3)に比して、アルカリホスファターゼによる酵素反応を顕著に向上させていた。とりわけ、3つのペンチル基を有するベタイン誘導体(ベタイン1)では0.2〜0.5mMの範囲で、また3つのヘキシル基を有するベタイン誘導体(ベタイン2)は0.1〜0.6mMの範囲で、アルカリホスファターゼによる酵素反応効率を顕著に向上できることが明らかになった。
実施例5 スルファターゼの反応速度に及ぼすベタイン誘導体の効果
エステル加水分解酵素であるスルファターゼに対するベタインの添加効果を検討するため、ベタイン非存在下、ベタイン1(5mM)、ベタイン3(100mM)の存在下においてリパーゼによる基質の加水分解反応を行った。
スルファターゼとしては、市販のスルファターゼ(Helix Pomatia由来)(型番S9926−10KU、シグマアルドリッチ製)を使用した。また、基質としては、加水分解によってα−p−ニトロフェニル−D−グルコピラノシドと同じ生成物(即ち、p−ニトロフェノ−ル)を生成し、紫外可視分光測定から加水分解をモニターできるp−ニトロフェニルサルフェートカリウム塩(型番P4903−10MG、シグマアルドリッチ製)を使用した。従って、本実施例5においても、実施例1と同様の方法により反応速度を算出して活性比を求めることができる。
加水分解速度の測定は、酵素反応溶液(100mM リン酸緩衝溶液(pH7.0),2.0mM p−ニトロフェニルサルフェートカリウム塩,1.25×10-2mg/mL スルファターゼ)を用いて、37℃で行った。前記酵素反応溶液にベタイン1又はベタイン3を添加して応時間0〜60分間で産生されたp−ニトロフェノールの濃度を測定し、活性比を算出した。結果を図5に示す。
図5から明らかなように、他の加水分解酵素と同様に、ベタイン1はベタイン3の20分の1の濃度でもスルファターゼによる加水分解を促進していることが明らかとなった。
実施例6 リパーゼの反応速度に及ぼすベタイン誘導体の効果
エステル加水分解酵素であるリパーゼに対するベタインの添加効果を検討するため、ベタイン非存在下、ベタイン1(5mM)、ベタイン3(100mM)の存在下においてリパーゼによる基質の加水分解反応を行った。
リパーゼとしては、市販のリパーゼAYSアマノ(型番329−58371、和光純薬製)を使用した。また、リパーゼの基質としては、加水分解によってα−p−ニトロフェニル−D−グルコピラノシドと同じ生成物(即ち、p−ニトロフェノ−ル)を生成し、紫外可視分光測定から加水分解をモニターできる4−ニトロフェニルブチレート(型番N9876−1G、シグマアルドリッチ製)を用いた。従って、本実施例6においても、実施例1と同様の方法により反応速度を算出して活性比を求めることができる。
加水分解速度の測定は、酵素反応溶液(100mM リン酸緩衝溶液(pH7.0),0.5mM 4−ニトロフェニルブチレート,5.0×10-3mg/mLリパーゼ)を用いて、37℃で行った。前記酵素反応溶液にベタイン1又はベタイン3を添加して反応時間0〜30分間で産生されたp−ニトロフェノールの濃度を測定し、活性比を算出した。結果を図6に示す。
図6から明らかなように、ベタイン3はわずかに活性化をもたらしたが、ベタイン1はベタイン3の20分の1の濃度でもリパーゼによる加水分解を大幅に促進していることが明らかとなった。
実施例7 プロテアーゼの反応速度に及ぼすベタイン誘導体の効果
ペプチド結合(アミド結合)の加水分解酵素であるプロテアーゼに対するベタインの添加効果を検討するため、ベタイン非存在下、ベタイン1(5mM)、ベタイン3(100mM)の存在下においてプロテアーゼによる加水分解反応を行った。
プロテアーゼとしては、市販のプラスミン(Human plasma由来)(型番P1867−150MG、シグマアルドリッチ製)又はトリプシン(型番203−11302、和光純薬製)を用いた。また、基質としては、加水分解によってp−ニトロアニリンを生成し、紫外可視分光測定から加水分解をモニターできるZ−Gly−Pro−Arg−p−ニトロアニリド(型番C2276−25MG、シグマアルドリッチ製)を用いた。
プロテアーゼの反応速度は反応時間に対する405nmの吸光度変化のグラフの初期の傾きから算出し、加水分解産物であるp−ニトロアニリンのモル吸光係数(pH7.0、37℃)6123M-1cm-1を用いて加水分解速度を算出した。
加水分解速度の測定は、酵素反応溶液(100mM リン酸緩衝溶液(pH7.0),0.4mM Z−Gly−Pro−Arg−p−ニトロアニリド,1.25×10-3mg/mLプラスミン又は5.0×10-4mg/mLトリプシン)を用いて、37℃で行った。反応時間0〜60分間で産生されたp−ニトロフェノールの濃度を測定し、活性比を算出した。結果を図7に示す。
図7から明らかなように、他の加水分解酵素と同様に、ベタイン1はベタイン3の20分の1の濃度でもアミド結合の加水分解を促進していることが示された。

Claims (13)

  1. 一般式(1)に示すベタイン誘導体の存在下で、加水分解酵素による酵素反応を行うことを特徴とする、酵素反応方法。
    [一般式(1)中、R1〜R3は、同一又は異なって、炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。nは1〜3の整数を示す。]
  2. R1〜R3が同一又は異なって炭素数5又は6の直鎖状のアルキル基であり、且つnが1である、請求項1に記載の酵素反応方法。
  3. 一般式(1)に示すベタイン誘導体及び下記一般式(2)に示すベタイン誘導体の存在下で酵素反応を行う、請求項1又は2に記載の酵素反応方法。
    [一般式(2)中、R4〜R6は、同一又は異なって、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、又は水素原子を示し、nは1〜5の整数を示す。]
  4. 一般式(1)に示すベタイン誘導体が0.00001〜0.04Mの濃度で存在する、請求項1乃至3のいずれかに記載の酵素反応方法。
  5. 加水分解酵素が、グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ及びプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1乃至4のいずれかに記載の酵素反応方法。
  6. 加水分解酵素がα−グルコシダーゼである請求項1乃至4のいずれかに記載の酵素反応方法。
  7. 一般式(1)に示すベタイン誘導体を有効成分として含む、加水分解酵素の反応効率の向上剤。
    [一般式(1)中、R1〜R3は、同一又は異なって、炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。nは1〜3の整数を示す。]
  8. 一般式(1)に示すベタイン誘導体が0.00001〜0.04Mの濃度で使用される、請求項7に記載の向上剤。
  9. 更に、下記一般式(2)に示すベタイン誘導体を含む請求項7又は8に記載の向上剤。
    [一般式(2)中、R4〜R6は、同一又は異なって、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、又は水素原子を示し、nは1〜5の整数を示す。]
  10. 加水分解酵素が、グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ及びプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7乃至9のいずれかに記載の向上剤。
  11. 請求項1乃至6のいずれかに記載の酵素反応方法を行うためのキットであって、下記一般式(1)に示すベタイン誘導体と、加水分解酵素と、を含むことを特徴とする、キット。
    [一般式(1)中、R1〜R3は、同一又は異なって、炭素数5又は6の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。nは1〜3の整数を示す。]
  12. 一般式(1)に示すベタイン誘導体が0.00001〜0.04Mの濃度で使用されることを示す実験手順書を含む、請求項11に記載のキット。
  13. 加水分解酵素が、グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、スルファターゼ、リパーゼ及びプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項11又は12に記載のキット。
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