JP6107702B2 - 鋳鋼、およびスラグ収容器 - Google Patents

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本発明は、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性に優れた鋳鋼に係り、特に、製鋼プロセスにおいて発生するスラグを受けるためのスラグ収容器の材料として好適な鋳鋼に関する。
ここで、スラグは、例えば高炉、転炉、電気炉等の金属製錬炉から排出される溶融鉱滓ならびに溶鋼より浮上する介在物である。
スラグ収容器は、製鋼プロセスにおいて発生するスラグを収容し、運搬する容器である。スラグ収容器は、鋳鋼からなり、例えば転炉で用いられる場合には数トンから数十トンの容量を有する。また、スラグ収容器は、温度が最高1700℃以上にも及ぶスラグを収容し、1日に数回から数十回に及ぶ使用回数でスラグを受ける。このような使用環境のため、スラグ収容器は、スラグ収容時においては急熱により発生する熱負荷、熱応力、荷重を受け、またスラグが排出された後には冷却により発生する熱応力を受ける。特に、冬季においては外気温が低く、発生する熱応力が増大するため、容器の弱点部位や応力集中部において亀裂が発生、進展し、最終的に破断に至る場合がある。
このような破断が発生してしまうと、スラグ収容器に収容されたスラグが周辺に漏洩するなどの問題が起こる。このため、スラグ収容器は、亀裂が発生した場合、亀裂が発生した個所が溶接により補修されることで長期間に渡って使用される。しかし、溶接による補修は、補修費用の増加を招き、さらに補修中のスラグ収容器の代替として多くの予備のスラグ収容器を必要とする。このため、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性に優れたスラグ収容器が求められている。
上記のスラグ収容器の亀裂の発生に関する問題に対して、耐熱衝撃性などを向上させるため、容器形状や肉厚、リブ形状などの構造を工夫することによる熱負荷軽減対策や、容器内部への耐火物ライニング、スラグを受ける前での保温などの熱衝撃軽減対策が従来から考えられてきた。
しかし、これらの熱負荷軽減対策や熱衝撃軽減対策は、重量増加による製造コストの増加、耐用性の問題やランニングコスト等の増加などの理由から、実用化されていないものが多い。
また、上記のスラグ収容器の問題に対して、スラグ収容器の素材である鋳鋼を工夫することで、耐熱亀裂性や耐熱衝撃性を向上させる対策が考えられてきた。
スラグ収容器に用いられる鋳鋼としては、SC410、SC450などの炭素鋼鋳鋼や、SCW410、SCW450などの溶接構造用鋳鋼が主に用いられる。しかし、スラグ収容器はスラグを受ける時や冷却時に発生する熱応力が大きいため、これらの規格の炭素鋼鋳鋼や溶接構造用鋳鋼では、十分な耐熱亀裂性や耐熱衝撃性を有していない場合がある。このため、スラグ収容器に亀裂が発生、進展し、最終的に破断に至る場合があった。
これらの規格の鋳鋼に対し、例えば、特許文献1〜7には、耐亀裂性に優れた鋳鋼として、Cr、Ni、Moなどが添加された低合金鋳鋼が開示されている。
また、例えば、特許文献8には、耐熱亀裂性に優れたスラグ収容器用の鋳鋼として、C、Mn、Alの組成が規定された鋳鋼が開示されている。
特開平5−179406号公報 特開昭63−121639号公報 特公平5−48290号公報 特公平5−24225号公報 特開平11−236643号公報 特開平6−200356号公報 特開昭62−270749号公報 特開昭55−34619号公報
しかし、特許文献1〜7に開示された鋳鋼は、Cr、Ni等の合金成分の添加により、製造コストの増加を招くことになる。特に、容量および重量の大きなスラグ収容器においては、製造コスト増加による影響が大きいため、これらの鋳鋼は実用的ではない。
また、特許文献8に開示された鋳鋼では、Cr、Ni等の合金成分の添加量を抑えつつ耐熱亀裂性の向上を図っているが、P、Mnによって発生する焼戻し脆化等により耐熱亀裂性を示す衝撃値が著しく低下する懸念がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、合金成分の含有量を抑え、且つ耐熱亀裂性および耐熱衝撃性に優れた、鋳鋼およびスラグ収容器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性の低下、つまり低・高温における衝撃値の低下要因について、鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者らは、衝撃値の低下が材質の硬化を伴う脆化により生じることを見出した。さらに、本発明者らは、スラグ収容器に用いる鋳鋼の材質の脆化に影響する炭素当量CE等の成分組成を限定することにより、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性に優れた鋳鋼およびスラグ収容器の製造が可能となることを見出した。
本発明は、以上の知見に基いてなされたものである。すなわち、本発明の一態様に係る鋳鋼は、質量%で、C:0.1〜0.16、Si:0.3〜0.5、Mn:1.0以下、P:0.02以下、S:0.015以下、Cr:0.1以下、Mo:0.05以Cr:0.05以上0.1以下、Mo:0.02以上0.05以下、Cu:0.24以下、Al:0.75以下、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下記(1)式で示される炭素当量CEが0.40以下であることを特徴とする。
CE=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
・・・(1)
ここで、上記鋳鋼の添加合金にNi、Vの元素は記載されていないが、不可避的不純物としてNi、Vの元素が鋳鋼中に存在していても、上記(1)式を満足することを意味する。
また、本発明の一態様である耐熱亀裂性および耐熱衝撃性を有するスラグ収容器は、上記一態様の鋳鋼からなることを特徴とする。
本発明によれば、合金成分の添加量を抑え、且つ耐熱亀裂性および耐熱衝撃性に優れた、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性を有する鋳鋼およびスラグ収容器を提供することが可能となる。
鋼材の炭素当量(CE)と衝撃値との関係を示すグラフである。 鋼材の合金元素の含有量と硬さとの関係を示すグラフである。 鋼材の合金元素の含有量と遷移温度の上昇量との関係を示すグラフである。 焼戻し脆化比に与えるMn量の影響を示すグラフである。 絞りまたはひずみに与えるMn量の影響を示すグラフである。 衝撃値に与えるMn量の影響を示すグラフである。 衝撃値とCr量との関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、詳細に説明する。
本発明に先立ち、本発明者らは、転炉で使用され破断に至ったスラグ収容器の破断面のサンプルについて調査を行った。サンプルの外観調査の結果、破断面は脆性破面を呈しており、使用時の熱応力に耐えられずに一度の熱衝撃で破断に至ったことが明らかになった。
また、サンプルの機械的特性について調査した結果、サンプルの衝撃値が使用前の衝撃値よりも低下し、サンプルの引張強度および降伏点が共に使用前の値よりも高くなっていることが明らかになった。
以上の調査結果から、本発明者らは、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性を示す衝撃値の低下の要因として、疲労のほか、引張強度および降伏点の上昇に伴う材質硬化が発生したことを見出した。さらに、発明者らは、これらの調査結果から、材質硬化に伴う衝撃値の低下に注目し、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性を向上させるべく鋭意研究を重ね、鋳鋼を下記の所定成分とすることで、これを改善できることを知見した。
本実施形態の鋳鋼は、下記(2)式で示される炭素当量CEが0.40以下からなる低炭素鋳鋼(C:0.20質量%以下)である。具体的には、本実施形態の鋳鋼は、C:0.1〜0.16質量%、Si:0.3〜0.5質量%、Mn:1.0質量%以下、P:0.02質量%以下、S:0.015質量%以下、Cr:0.1質量%以下、Mo:0.05質量%以下、Cu:0.24質量%以下、Al:0.75質量%以下、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋳鋼であり、下記(2)式で示される炭素当量CEが0.40以下となるように調整されている。
CE=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
・・・(2)
上記(2)式で示される炭素当量CEは、質量%を単位として、JISで規定されているものである(JISG0203:2009番号4103)。この式には、NiおよびVが規定されているが、本実施形態の鋳鋼にNiおよびVが添加されていることを示すものでは無い。
ここで、鋳鋼の衝撃値の低下は材質の硬化を伴って発生する。このため、材料の硬さに対して影響の大きい元素が多く含まれることで、材質硬化を伴う脆化が発生しやすくなると考えられる。ここで、材料の硬さに対して影響の大きい要素としては、(2)式で示される炭素当量CEが知られている。
炭素当量CEは、質量%を単位として、JISで規定されているものである。炭素当量CEは、C以外の合金元素の影響度をC量に換算して評価する指標であるが、この炭素当量CEが大きいほど、材料の引張強度および硬さを向上させるが、一方で破壊靱性を低下させる。
表1に、上記(2)式に含まれる元素である、C、Si、Mn、Cr、Moについて鋼材の機械的性質に与える影響をまとめる。表1では、各元素の機械的性質に及ぼす影響のうち、特に材質の硬化に影響する因子として靱性への影響が大きい項目について右欄に丸印を付している。
Figure 0006107702
表1に示すように、Cは、鋼中含有量の増加に伴い、鋼材の強度・硬度を向上させ、伸び・絞り・靱性を低下させる(脆化させる)。図1は、表2の成分からなる4つの鋼材a〜dの炭素当量と衝撃値との関係を示す。表2の各鋼材は、主にCの鋼中含有量が異なり、Cの鋼中含有量の増加に伴い炭素当量CEも増加する。図1に示すように、炭素当量の増加に伴い衝撃値が低下していることから、Cの鋼中含有量の増加によって衝撃値が低下する。
Figure 0006107702
Mnは、鋼中含有量の増加に伴い、図2に示すように鋼材の硬化能を向上させ、図3に示すように遷移温度を上昇させ、図5および図6に示すように断面収縮率を示す絞りを低下させるため、鋼材の靱性および延性を低下させる。ここで、遷移温度は、鋼材の破断において、温度の低下と共に破面が延性破面から脆性破面に変化する温度であり、一般的に遷移温度が低いほど鋼材の靱性が優れることを示す。また、Mnは、Cの鋼中含有量の増加に伴い非常に多くの炭化物を生成させるため、靱性を低下させる。さらに、Mnは、含有量の増加に伴い粒界偏析を促進させるため、鋼材の靱性を低下させる。図4に示すように、Mnの鋼中含有量が増加するに従い、焼戻し温度が600℃付近における鋼材の焼戻し脆化比が増加する。この焼戻し脆化は、P等の不純物の粒界偏析が原因となって発生する。さらに、Mnは、鋼中含有量の増加により不純物の偏析を促進させるため、Mn量が0.8質量%以上で焼き戻し脆化を発生させる。この焼戻し脆化は、Mn量が1.0質量%超えになることで顕著となる。
Siは、Cと同様に、鋼中含有量の増加に伴い鋼材の強度・硬度を向上させ、伸び・絞り・靱性を低下させる。また、Siは、Mnと同様に、鋼中含有量の増加に伴いP等の不純物の粒界偏析を促進させるため、鋼材の焼戻し脆化の原因となる。
Crは、鋼中含有量の増加によって炭化物を微細化させるため、炭化物の析出による鋼材の靱性の低下を抑制することができる。一方、Crは、鋼中含有量の増加に伴い、図2に示すように鋼材の硬化能を向上させ、図3に示すように遷移温度を上昇させるため、鋼材の靱性を低下させる。さらに、Crは、図7に示すように、鋼中含有量の増加に伴い焼戻し温度が400℃以上における鋼材の衝撃値を低下させる。また、Crは、鋼中含有量の増加に加え、Mnと共存することにより、粒界偏析を促進させるため、高温焼戻し脆化を発生させる。
Moは、鋼中含有量の増加に伴い図2に示すように鋼材の硬化能を向上させ、遷移温度を上昇させるが、鋼材の靱性低下に対する影響は少なく、むしろ鋼中含有量の増加に伴い焼戻し時のP等の不純物の粒界偏析速度を小さくするため、焼戻し脆化傾向を防止する。しかし、Moの鋼中含有量の増加は、製造コストの増加を招くことになる。
以上、炭素当量CEの算出式である上記(2)式に含まれる元素C、Mn、Si、Cr、Moの靱性に与える影響について説明した。C、Si、Mn、Crは、鋼中含有量の増加によって、鋼材の靱性を低下させる。このため、炭素当量CEを相対的に下げることで、鋳鋼の靱性を向上させることができる。また、Si、Mn、Crの鋼中含有量を低下させることで、鋼材の各種脆化を防止することができる。
次に、鋳鋼の成分組成を上記本実施形態の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.1〜0.16質量%
Cは、炭素当量CEへの影響が大きく、硬さを著しく増大させる。また、Cは、鋼中にMnが共存することに加え、鋼中含有量の増加に伴い多くの炭化物を生成する。このため、C量は、0.16質量%以下とする。また、引張強度の必要以上の低下を防ぐため、C量は、0.1質量%以上とする。
Si:0.3〜0.5質量%
Siは、脱酸元素として作用し、さらに鋼中含有量の増加に伴い硬度を上昇させ、靱性を低下させる。また、Siは、不純物の粒界偏析を促進させる。このため、Si量は、0.5質量%以下とする。また、Siは、脱酸のために0.3質量%以上とする。
Mn:1.0質量%以下
Mnは、鋼中含有量の増加に伴い硬度を上昇させ、靱性および延性を低下させる。また、Mnは、鋼中含有量の増加に伴い不純物の粒界偏析を促進させ、焼戻し脆化の原因となる。焼戻し脆化は、Mn量が0.8質量%以上で発生し、1.0質量%超えで顕著となる。このため、Mn量は、1.0質量%以下とし、より好ましくは0.8質量%以下とする。
P:0.02質量%以下
Pは、鋼中含有量の増加に伴い強度・硬度を向上させ、伸び・絞り・靱性を低下させる。また、Pは、粒界に偏析し、焼戻し脆化の原因となるため、極力少ない方が望ましい。このため、P量は、0.02質量%以下とする。
S:0.020質量%以下
Sは、鉄と反応すると有害なFeSを生じ、また含有量が多い場合には偏析を生じ部分的な強度低下を招くため、極力少ない方が望ましい。このため、S量は、0.02質量%以下とし、より好ましくは0.015質量%以下とする。
Cr:0.1質量%以下
Crは、0.2質量%以上で鋼材の衝撃値を急激に低下させる。また、Crは、鋼中含有量が増加するに伴い、400℃以上の焼戻しで衝撃値を低下させる。さらに、Crは、Mnと共存することに加え、鋼中含有量の増加に伴い550℃以上からの徐冷で高温焼戻し脆化を発生させる。このため、Cr量は、0.1質量%以下とする。
Mo:0.05質量%以下
Moは、クリープ強度を大きく向上させ、P等の不純物の粒界偏析速度を小さくし、焼戻し脆化傾向を防止する。しかし、Moは、鋼中含有量が多い場合には鋼材の硬さを向上させる。このため、Mo量は、0.05質量%以下とする。
Cu:0.24質量%以下
Cuは、スクラップ等を使用することで混入する元素である。また、Cuは、過剰に混入すると、鋼材の強度を向上させ、靱性を低下させる。このため、Cu量は、0.24質量%以下とし、より好ましくは0.2質量%以下とする。
Al:0.75質量%以下
Alは、脱酸元素として作用する。しかし、Alの添加量が0.75質量%超となると製造コストの増加を招く。このため、Al量は、0.75質量%以下とするのが好ましい。
Ni,Vについて
Ni,Vは、添加量の増加に伴い靱性や強度、耐熱性等を向上させる効果があるが、高価な材料であるため添加量を少なくしてこれらの機械的特性を向上させることが望ましい。本実施形態の鋳鋼において、Ni,Vは添加されないが、スクラップ等の使用により不可避生的に含有される場合については、(1)式で考慮される。
上記成分からなる鋳鋼の機械的性質は、実験によって確認したところ、以下の結果を得ている。
降伏点[N/mm]:255より大きい
引張強度[N/mm]:450より大きい
伸び[%]:20より大きい
衝撃値[0℃J]:40より大きい
上記の成分組成に調整された鋳鋼は、耐熱亀裂特性および耐熱衝撃性に優れる。また、上記の成分組成に調整された鋳鋼からなるスラグ収容器は、耐熱亀裂特性および耐熱衝撃性に優れるため、スラグ収容時や冷却時の亀裂の発生を防止することができる。さらに、本実施形態に係る鋳鋼およびスラグ収容器は、従来よりも合金の添加量を抑制できるため、製造コストを抑えることができる。
次に、本発明者らが行った実験とその結果を、実施例として説明する。
本発明者らは、表3に記載の成分からなる鋳鋼の各試験片を製造し、その試験片について各種機械的強度試験を実施した。表2に記載の各元素の化学成分の数字は、質量%であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋳鋼である。
Figure 0006107702
表3の、No.1〜No.4の試験片は、本実施例の比較例であり、C,Mn等の合金元素が従来の成分組成からなる鋳鋼である。また、表3の、No.5〜No.7の試験片がそれぞれ本実施形態に係る鋳鋼を適用した試験片である。
表3に示すように、No.5〜No.7の本実施例の試験片の衝撃値(平均で92〜120[0℃J])は、No.1〜No.4の比較例の試験片の衝撃値(平均で31〜38[0℃J])に比べ大幅に向上することが明らかになった。また、本実施例の試験片のうち、炭素当量CEが0.298質量%と最も低いNo.5の試験片の衝撃値が最も高い結果となった。衝撃値は、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性を示す指標となる。したがって、本発明の成分組成からなる鋳鋼は、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性に優れることが確認できた。
また、表3のNo.1〜No.7の各成分からなるスラグ収容器を製作し、5年以上の長期間に渡って亀裂の発生状況を調査した。調査の結果、No.1〜No.4の鋳鋼を使用した場合は、1〜5年で亀裂が発生したのに対し、No.5〜No.7の鋳鋼を使用した場合には、5年経過後も亀裂の発生が見られず、良好な結果が得られた。このことから、本実施例のスラグ収容器は、焼戻し脆化等による衝撃値の低下が発生せず、耐熱亀裂性および耐熱衝撃性に優れることが確認できた。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.1〜0.16、Si:0.3〜0.5、Mn:1.0以下、P:0.02以下、S:0.020以下、Cr:0.05以上0.1以下、Mo:0.02以上0.05以下、Cu:0.24以下、Al:0.75以下、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下記(1)式で示される炭素当量CEが0.40以下であることを特徴とする鋳鋼。
    CE=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
    ・・・(1)
  2. 請求項1に記載の鋳鋼からなることを特徴とするスラグ収容器。
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