以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1を参照し、本発明の液体吐出装置の一実施形態としてのインクジェットプリンタ101の全体構成について説明する。
プリンタ101は、直方体形状の筐体101aを有する。筐体101aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体101aの内部空間には、ブラックインクを吐出するヘッド1、搬送機構8、キャップ機構40、用紙センサ32、加湿動作に用いられる加湿機構50(図7参照)、プラテン10、プラテン昇降機構30(図10参照)、ヘッド昇降機構70(図10参照)、ワイパユニット80(図12参照)、及び、制御装置100等が収容されている。
また、筐体101aの内部空間には、給紙トレイ33から排紙部31に向けて、図1に示す黒太矢印に沿って、用紙Pが搬送される搬送経路が形成されている。プリンタ101は、ヘッド1が固定された状態で記録を行う、ライン方式のものである。
筐体101a内には、ブラックのインクを収容するカートリッジ4が筐体101aに対して着脱可能に配置されている。カートリッジ4は、チューブ(不図示)及びポンプ1P(図10参照)を介してヘッド1に接続されている。なお、ポンプ1Pは、ヘッド1にインクを強制的に送るとき(すなわち、パージ時やインクの初期導入時)に駆動される。ポンプ1Pは、これら以外は停止状態にあり、ヘッド1へのインク及び水の供給を妨げない。
ヘッド1は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有し、駆動信号に基づいてインクを吐出し画像を形成する。ヘッド1は、ヘッドホルダ13を介して筐体101aに支持されている。また、ヘッド1は、ヘッド本体3(図2参照)に加えて、リザーバユニット12(図4参照)、フレキシブルプリント配線基板(FPC)等が積層された積層体である。上流側流路部材としてのリザーバユニット12には、リザーバを含む上流側インク流路(ともに不図示)が形成されており、カートリッジ4からインクが供給される。リザーバは、インクを一時的に貯留する。
下流側流路部材としての流路ユニット11は、アクチュエータユニット19と共にヘッド本体3を構成し、リザーバユニット12のインクが供給される。流路ユニット11の下面は、複数の吐出口108が形成された吐出面1aである。吐出口108からは、アクチュエータユニット19の駆動により、インクが吐出される。なお、ヘッド1は、後に詳述する。
制御装置100からの信号は、FPC上のドライバIC19a(図10参照)で駆動信号に変換され、さらにヘッド本体3のアクチュエータユニット19に出力される。アクチュエータユニット19は、駆動信号が供給されると、流路ユニット11内のインクに圧力を加える。
ヘッドホルダ13には、ヘッド1に加えて、キャップ機構40を構成するキャップ41が取り付けられている。キャップ41は、ヘッド1に配設された環状部材であって、平面視でヘッド1を内包する。キャップ機構40の構成、動作、機能等は、後に詳述する。
プラテン10は、平板状の部材であり、ヘッド1と鉛直方向(主走査方向及び副走査方向と直交する方向であって吐出面に垂直な方向)に対向している。プラテン10の上面10aと吐出面1aとの間には、記録に適した所定の間隙が形成されている。また、プラテン10は、吐出面1a及びキャップ41よりも一回り大きな平面サイズを有する。ここで、主走査方向とは、用紙Pの搬送方向Dと直交する方向であり、副走査方向とは、水平面に平行且つ主走査方向に直交する方向である。
プラテン昇降機構(切換機構)30は、プラテン10を昇降させ、プラテン10が第1位置から第4位置の間で移動する。第1位置は、図1及び図9(a)に示すように、プラテン10が最も吐出面1aに近づく位置であって、画像記録の際にプラテン10が配置される位置である。また、第1位置は、図9(b)に示すように、リップ部材42(後述する)の当接位置と対応し、キャッピング動作にも関連する。第2位置は、図9(b)及び図9(c)に示すように、上面10aと吐出面1aとの離隔距離が第1位置よりも大きく、リップ部材42の当接位置と対応し、切換動作(後述)に関連する。第3位置では、図9(c)に示すように、この離隔距離が第2位置よりも大きく、ワイパ81bによるワイピング動作に関連する。第4位置では、図9(c)に示すように、この離隔距離が第3位置よりも大きく、基部82の待機位置への帰還に関連する。なお、第3位置及び第4位置は、図中二点鎖線で示されている。
用紙センサ32は、ヘッド1よりも搬送方向上流側に配置されている。用紙センサ32は、用紙Pの先端を検知し、検知信号を制御装置100に出力する。
給紙トレイ33は、上面が開口した箱であり、筐体101aに対して着脱可能である。給紙トレイ33は、複数の用紙Pを収容可能である。
搬送機構8は、給紙ローラ34、5つの送りローラ対35〜39及び4つのガイド61〜64を含む。給紙ローラ34は、制御装置100による制御の下、給紙モータ34M(図10参照)の駆動により回転し、給紙トレイ33内で最も上方にある用紙Pを送り出す。5つの送りローラ対35〜39は、搬送経路に沿って、搬送方向上流側からこの順で配置されている。各送りローラ対35〜39のうちの一方のローラは、制御装置100による制御の下、送りモータ35M〜39M(図10参照)の駆動により回転する駆動ローラである。他方のローラは、上記駆動ローラの回転に伴って回転する従動ローラである。4つのガイド61〜64は、搬送経路に沿って、搬送方向上流側からこの順で、送りローラ対35〜39と交互に配置されている。各ガイド61〜64は、対向して配置された一対の板からなる。
ヘッド昇降機構70は、ヘッドホルダ13及びキャップ機構40の一部(プラテン10及びプラテン昇降機構30を除く)を昇降させることにより、ヘッド1を記録位置と退避位置との間で移動させる。記録位置では、図1に示すように、ヘッド1が移動範囲の下端に位置し、プラテン10と画像記録に適した間隔で対向する。退避位置(図12(c)参照)では、ヘッド1が移動範囲の上端に位置し、プラテン10から大きく離隔する。ワイピング位置(図12(b)参照)は、記録位置と退避位置との間にある。ワイピング位置及び退避位置では、ヘッド1とプラテン10との間の空間を、後述するワイパ81a,81bが移動可能である。
ワイパユニット(払拭機構)80は、図12に示すように、吐出面1a及びプラテン10の上面10aを主走査方向に払拭する。そのため、ワイパユニット80は、2つのワイパ81a,81bを有し、これを支持する基部82及びワイパ移動機構83を含む。ワイパ81aは、基部82の上面側に立設され、吐出面1aを払拭する。ワイパ81bは、基部82の下面側に立設され、上面10aを払拭する。ワイパ移動機構83は、一対のガイド84と駆動モータ80M(図10参照)とから構成される。制御装置100の制御の下、駆動モータ80Mが駆動されると、基部82がガイド84に沿って往復移動する。図12(a)に示すように、ヘッド1の左端部側が、基部82の待機位置である。ワイピング動作において、ワイパ81a,81bは、図中右方に移動しつつ面を払拭する。基部82の待機位置への帰還は、ヘッド1が退避位置に、プラテン10が第4位置に移動するのを待って行われる。
加湿機構50は、吐出面1aに対向する吐出空間S1に加湿空気を供給する。吐出空間S1に開口する吐出口108は、内部のインクに水分が補給されることになり、増粘や乾燥が抑制される。
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、プリンタ各部の動作を制御して、プリンタ101全体の動作を司る。制御装置100は、外部装置(プリンタ101と接続されたPC等)97から供給された記録指令(画像データなど)に基づいて、画像記録動作を制御する。記録指令を受けると、制御装置100は、給紙ローラ34用の給紙モータ34M、各送りローラ対35〜39用の送りモータ35M〜39Mを駆動する。給紙トレイ33から送り出された用紙Pは、送りローラ対35〜39に挟持されつつ、ガイド61〜64の板間を通って、搬送方向に搬送される。用紙Pがプラテン10の上面10aに支持されつつヘッド1の真下を通過する際に、制御装置100の制御により、吐出口108(図2参照)から用紙Pに向けてインクが吐出される。吐出口108からのインク吐出動作は、用紙センサ32から出力された検知信号に基づいて行われる。画像が形成された用紙Pは、筐体101a上部に形成された開口から排紙部31に排出される。
また、制御装置100は、メンテナンス動作によって、ヘッド1のインク吐出特性の回復・維持を行う。メンテナンス動作には、例えば、パージやフラッシング動作、吐出面1a及びプラテン10の上面10aのワイピング動作、キャッピング動作や加湿動作等が含まれる。
パージ動作では、ポンプ1Pが駆動されて、すべての吐出口108からインクが強制的に排出される。このとき、アクチュエータは駆動されない。フラッシング動作では、アクチュエータが駆動されて、吐出口108からインクが吐出される。フラッシング動作は、フラッシングデータ(画像データと異なるデータ)に基づいて行われる。ワイピング動作では、吐出面1aがワイパ81aに、プラテン10の上面10aがワイパ81bによって払拭される(図12(b)参照)。ワイピング動作は、パージ動作後に行われ、吐出面1a上の残留インクや異物が取り除かれる。吐出口108の吐出特性が回復され、吐出面1aが清浄化される。なお、上面10aのワイピング動作は、フラッシング動作が行われた後も実行される。
キャッピング動作では、図5及び図7に示すように、キャップ41により吐出空間(吐出面1aとプラテン10との間の隙間)S1が外部空間S2から隔離される(区画状態)。キャッピングによりインクメニスカスの乾燥が抑制される。
加湿動作では、図7に示すように、区画状態の吐出空間S1に加湿空気が供給される。このとき、吐出空間S1内には、水蒸気が留まることになり、インクの乾燥がさらに抑制される。本実施形態における加湿動作では、加湿空気を供給するための所定時間が経過するまでに、加湿空気の供給先を供給口25aから供給口61へと切り換える(切換動作)。この切換動作は、区画状態において、プラテン昇降機構30がプラテン10を昇降させることで行われる。
次に、図2〜図6を参照し、ヘッド本体3及びサイドカバー20の構成について説明する。なお、図3(a)では、アクチュエータユニット19の下側にあって破線で示すべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で示している。
ヘッド本体3は、図2に示すように、流路ユニット11の上面に4つのアクチュエータユニット19が固定された積層体である。上面には、圧力室110が開口している。アクチュエータユニット19は、この開口を封止し、圧力室110の側壁を構成している。
流路ユニット11は、図3(b)に示すように、9枚のステンレス製プレート122〜130を積層した積層体である。流路ユニット11の内部には、インク流路が形成されている。インク流路は、上流側の共通インク流路と下流側の個別インク流路132とから構成される。共通インク流路は、マニホールド流路105及びこれから分岐した副マニホールド流路105aからなる。マニホールド流路105は、一端に上面のインク供給口105bを持つ。個別インク流路132は、副マニホールド流路105aの出口から、アパーチャ112及び圧力室110を経て、吐出面1aの吐出口108に至る。吐出口108は、吐出面1aにおいて、主走査方向に600dpiに相当する間隔で配列している。
ヘッド1は、サイドカバー20を有している。サイドカバー20は、図2に示すように、ヘッド本体3の全周を取り囲む環状部材である。サイドカバー20は、樹脂の成型部材であって、図4及び図6に示すように、流路ユニット11及びリザーバユニット12の両側面に跨って固定されている。サイドカバー20は、環状の固定部23を有する。固定部23は、主走査方向に延在する一対の長尺部23a,23bと、副走査方向に延在する一対の短尺部24a,24bとを有する。
サイドカバー20は、外側に向かって水平に延びた突出部であって、固定部23の下端に接続された鍔部25,28を有する。鍔部25(第2鍔部)は、図2及び図6に示すように、長尺部23a,23bのそれぞれから副走査方向に突出している。鍔部28(第1鍔部)は、図2及び図4に示すように、短尺部24a,24bのそれぞれから主走査方向に突出している。鍔部25の主走査方向の両端と鍔部28の副走査方向の両端は、互いに接続されている。
長尺部23aと鍔部25は、図6に示すように、L字形状の断面を構成している。なお、長尺部23bと鍔部25も、同様にL字形状の断面を構成している。各鍔部25は、図2に示すように、主走査方向の中央に形成され、厚み方向に貫通する供給口25aを有する。供給口25aは、主走査方向に関して、最も外側にある2つの吐出口108の中央と重なる位置に配置されている。また、長尺部23a及び鍔部25と、長尺部23b及び鍔部25のそれぞれには、隔壁26が固定されている。隔壁26は、鍔部25の主走査方向中央近傍であって供給口25aよりも図2中上方に配置されている。隔壁26は、図6に示すように、傾斜面26aを有する。傾斜面26aは、固定部23の上方部分から鍔部25の先端に向かって傾斜している。
各短尺部24a,24bは、図4に示すように、上端部分に上突出部29を有し、短尺部24a,24b及び鍔部28は、略コの字形状の断面を構成している。各上突出部29は、外側に向かって水平に延びた突出部であって、貫通孔51を有する。上突出部29の外側への突出は、各短尺部24a,24bにおいて、同じである。一方、図4中左側にある鍔部28aの外側への突出は、図中右側の鍔部28bよりも大きい。鍔部28bと上突出部29の外側への突出は、ほぼ同じである。つまり、鍔部28aは外側への突出が上突出部29より大きい。これら鍔部28a,28bの突出量は、後述する供給口61及び排出口62の開口状態に関係する。上突出部29の上面には、副走査方向中央部に、円筒状の接続部29aが立設され、接続部29aの中空部29bが貫通孔51と連通している。このようにサイドカバー20は、ヘッド1の側面の一部を構成する。
次に、アクチュエータユニット19について説明する。図2に示すように、4つのアクチュエータユニット19は、それぞれ台形の平面形状を有しており、インク供給口105bを避けるよう主走査方向に千鳥状に配置されている。さらに、各アクチュエータユニット19の平行対向辺は主走査方向に沿っており、隣接するアクチュエータユニット19の斜辺同士は副走査方向に沿って重なっている。
図3(c)に示すように、アクチュエータユニット19は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系セラミックスであり、3枚の圧電層141〜143から構成されている。最上層の圧電層141は、上面に複数の個別電極135が形成され、厚み方向に分極されている。圧電層142の上面には、共通電極134が全体的に形成されている。両電極134、135間に分極方向の電界が生じると、間の圧電層141(駆動活性部)が面方向に縮む。圧電層142、143は、自発的に変形しないので、圧電層141との間に歪み差が生じる。これにより、個別電極135と圧力室110とに挟まれた部分が、圧力室110に向かって突出(ユニモルフ変形)する。このとき圧力室110内のインクは加圧され、インク滴として吐出される。
このように、アクチュエータユニット19には、個別電極135毎にアクチュエータが作り込まれており、独立してインクに吐出エネルギーを付与できる。ここで、共通電極134は、常にグランド電位にある。また、駆動信号は、個別ランド136から個別電極135に選択的に供給される。個別ランド136は、個別電極135の先端部にある。
本実施形態では、インクの吐出に際して、引き打ち法が採用されている。個別電極135は、予め所定の電位にあり、アクチュエータはユニモルフ変形している。駆動信号が供給されると、個別電極135は、一旦共通電極134と同電位となり、所定時間後に所定電位に復帰する。同電位となるタイミングで、アクチュエータがユニモルフ変形を解消して、圧力室110にインクが吸い込まれる。電位の復帰タイミングで、アクチュエータが再びユニモルフ変形して、吐出口108からインク滴が吐出される。
次に、図4〜図6を参照し、ヘッドホルダ13及びキャップ機構40の構成について説明する。
ヘッドホルダ13は、金属等からなる剛体の枠状フレームであり、ヘッド1の側面を全周に亘って支持している。ヘッドホルダ13には、キャップ機構40のキャップ41が取り付けられている。ヘッドホルダ13とヘッド1との当接部は、全周に亘って封止剤で封止されている。ヘッドホルダ13とキャップ41との当接部も、全周に亘って接着剤で固定されている。ヘッドホルダ13には、図4に示すように、貫通孔13aが形成されており、接続部29aが挿通されている。貫通孔13aは、接続部29aより一回り大きく、接続部29aと作る隙間に封止剤が充填されている。これにより、キャップ41が吐出空間S1を外部空間S2から隔離したとき、空間S1内の水分の発散経路が確実に遮断されることになる。
キャップ機構40は、キャップ41、キャップ41を昇降させるキャップ昇降機構48に加えて、プラテン10、プラテン昇降機構30も含む。キャップ41は、ヘッド1とともにサイドカバー20及び吐出空間S1を内包可能で、主走査方向に長い。キャップ41は、図4及び図6に示すように、リップ部材42、及び、ダイアフラム44を含む。
リップ部材42は、ゴム等の環状弾性材料からなり、平面視でヘッド1を囲んでいる。つまり、リップ部材42は、サイドカバー20の外側に配置されている。リップ部材42は、図4に示すように、基部42x、及び、基部42xの下方にある断面三角形の突出部42aを含む。基部42xの上面には、後述の付勢部46が固定されている。
ダイアフラム44も、ゴム等の環状弾性材料からなり、平面視でヘッド1を囲んでいる。より具体的には、ダイアフラム44は、可撓性を有した薄膜部材であって、外周端(一端)がリップ部材42の内周面に接続されている。リップ部材42とダイアフラム44とは一体である。また、ダイアフラム44の内周端は、密着部44aである。密着部44aの上面は、ヘッドホルダ13と接着剤で固定されている。密着部44aの下面は、全長に亘って、固定部33の上面に接着剤で固定されている。
キャップ昇降機構(リップ移動機構)48は、可動体43、付勢部46、複数のギア45、昇降モータ48M(図10参照)を有している。可動体43は、図4に示すように、複数のギア45と接続されている。付勢部46は、鉛直方向に伸縮可能な弾性部材から構成されており、可動体43の下端とリップ部材42の上端とに接続されている。制御装置100による制御の下、昇降モータ48Mが駆動されると、ギア45が回転して可動体43、付勢部46及び基部42xが昇降する。これにより、突出部42aの先端と吐出面1aとの相対位置が、鉛直方向に変化する。
リップ部材42は、可動体43、付勢部46の昇降に伴って、その先端(突出部42a)がプラテン10の上面10aに当接する当接位置(図5、図6(b)及び図6(c)に示す位置)と、上面10aから離隔した離隔位置(図4及び図6(a)に示す位置)とを選択的に取る。当接位置には、第1当接位置と第2当接位置とがある。第1当接位置は、付勢部46が最も縮んだ状態で、リップ部材42が第1位置にあるプラテン10の上面10aに当接可能な位置である。第2当接位置は、付勢部46が第1当接位置におけるよりも伸びた状態で、リップ部材42が第2位置にある上面10aに当接可能な位置である。なお、リップ部材42による上面10aに対する当接力は、付勢部46が縮んでいる分だけ、第2当接位置よりも第1当接位置の方が大きいが、いずれの位置にあるときでも、吐出空間S1が密閉空間となるだけの当接力となっている。離隔位置では、付勢部46が最も伸びた状態で、突出部42aが吐出面1aよりも上方に位置し、吐出空間S1が外部空間S2に対して開放状態となる。
なお、第1及び第2当接位置にあっては、リップ部材42の主走査方向に沿う長尺部は、図6(b)及び図6(c)に示すように、内周面が鍔部25の先端と接触する。このとき、ダイアフラム44の主走査方向に沿う長尺部と固定部23a,23b及び鍔部25との間のそれぞれに所定の隙間18が構成される。この隙間18は、隔壁26の傾斜面26aとダイアフラム44との接触により、2つの隙間18a,18bに分断される。また、このとき、リップ部材42の副走査方向に沿う短尺部は、図5に示すように、鍔部28の先端と離隔し、この間に供給口61及び排出口62が構成される。これら供給口61及び排出口62は、主走査方向に関して、吐出面1a及び供給口25aを挟む位置に配置されている。ダイアフラム44の副走査方向に沿う短尺部は、図5(a)に示すように、第1当接位置では、U字状に湾曲してサイドカバー20から離隔し、供給口61及び排出口62を閉ざさない。一方、ダイアフラム44の副走査方向に沿う短尺部は、第2当接位置では、図5(b)に示すように、鍔部28aの先端と接触して供給口61を閉ざすものの、鍔部28bの先端とは離隔したままとなり、排出口62が維持される。
次に、加湿機構50の構成について説明する。
加湿機構50は、図7に示すように、キャップ41及びサイドカバー20に加え、チューブ55,57、ポンプ56及びタンク54などを含む。チューブ55の一端は図中左側接続部29aに嵌合し、他端はタンク54に接続されている。一方、チューブ57の一端は図中右側接続部29aに嵌合し、他端はタンク54に接続されている。このように、チューブ55、57は、吐出空間S1とタンク54とを連通させている。
タンク54は、下部空間に加湿用の水を貯留し、且つ、上部空間に加湿された加湿空気を貯蔵している。チューブ57は、タンク54の下部空間(水中)と連通している。一方、チューブ55は、タンク54の上部空間と連通している。また、チューブ55の途中部位には、ポンプ56が設けられている。なお、チューブ57のタンク54近傍には、タンク54内の水がチューブ57側に流れ込まないように、図示しない逆止弁が取り付けられている。また、タンク54内の水が少なくなった場合には、図示しない水補給タンクより水がタンク54に補給される。
このような構成において、制御装置100の制御により、ポンプ56が駆動されると、図7に示すように、タンク54内の空気が白抜き矢印に沿って循環する。タンク54の上部空間の加湿空気は、開口51a、供給口25a,61を通って吐出空間S1に供給される。このとき、吐出空間S1が区画状態であると、内部の空気が加湿空気と置換されながら排出口62を通って開口51bに流れる。チューブ57はタンク54と水中で連通しているため、吐出空間S1内の空気は、タンク54で加湿される。生成された加湿空気は、ポンプ56の駆動が続く間、吐出空間S1に供給される。
本実施形態において、リップ部材42が第1及び第2当接位置にあるとき(すなわち、区画状態であるとき)に、サイドカバー20とキャップ41との間には、図8に示すように、4つの空気流路R1〜R4が構成される。空気流路R1(第2空気流路)は、図5に示すように、短尺部24a及び鍔部28aとキャップ41とで囲まれて形成され、一端が開口51aに連通し、他端に供給口61を有する。空気流路R2,R3(第3空気流路)は、図8に示すように、各長尺部23a,23b及び鍔部25とキャップ41との間にそれぞれ形成された隙間18aであり、一端が空気流路R1に連通し他端に供給口25aを有する。空気流路R4は、図5に示すように、短尺部24b及び鍔部28bとキャップ41とで囲まれて形成され、一端が開口51bに連通し、他端に排出口62を有する。なお、空気流路R1は、チューブ55、図5中左側接続部29aの中空部29b、貫通孔51を含む空気流路(第1空気流路)と連通している。空気流路R4は、チューブ57、図5中右側接続部29aの中空部29b、貫通孔51を含む空気流路と連通している。
また、リップ部材42が第1当接位置にある場合、供給口61及び排出口62は閉ざされず、開口状態となる。供給口61は、図8(a)に示すように、鍔部28aの副走査方向両端部まで延在している。排出口62も、鍔部28bの副走査方向両端部まで延在している。一方、図5(b)に示すように、リップ部材42が第2当接位置にある場合、供給口61が閉ざされ、排出口62だけが開口状態となる。供給口61は、図5(b)及び図8(b)に示すように、鍔部28aとダイアフラム44とが接触することで閉ざされる。排出口62は、ダイアフラム44が第1当接位置のときよりも鍔部28bに近づくことで若干開口面積が小さくなっているが、その開口は維持されている。
次に、キャップ41内での空気の流れについて説明する。封止状態において、リップ部材42が第1当接位置にある場合、ポンプ56が駆動されると、図5(a)及び図8(a)中白抜き矢印で示すように、加湿空気が開口51aから空気流路R1に流入する。このとき、供給口61は、開口面積が供給口25aよりも大きいため、空気流路R1の流路抵抗が空気流路R2,R3よりも小さくなる。このため、加湿空気は、空気流路R2,R3へはほとんど流れずに、供給口61全体から吐出空間S1に流れ込み、排出口62に向かう。より詳細には、加湿空気は、供給口61からリップ部材42の供給口61側の部分に沿って流れ、吐出面1aとプラテン10との間に領域を通って、リップ部材42の排出口62側の端部に沿って流れる。そして、排出口62を介して空気流路R4に流れて、開口51bから排出される。
リップ部材42が第2当接位置にある場合は、供給口61が閉ざされるため、空気流路R1の流路抵抗が空気流路R2,R3よりも大きくなる。このため、加湿空気は、図5(b)及び図8(b)中白抜き矢印で示すように、空気流路R2,R3へと流れて、供給口25aから吐出空間S1に流入する。供給口25aから供給された加湿空気は、吐出面1aの中央近傍部分とプラテン10との間に領域を通って、リップ部材42の排出口62側の端部に沿って流れる。そして、排出口62を介して空気流路R4に流れて、開口51bから排出される。
次に、図9を参照しつつ、制御装置100について説明する。制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )94等を含む。ROM92には、CPU91が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM93には、プログラム実行時に必要なデータ(画像データ等)が一時的に記憶される。つまり、RAM93は、画像データ記憶部151を含む。ASIC94は、ヘッド制御回路152、搬送制御回路153及びメンテナンス制御回路154を含む。また、ASIC94は、入出力I/F(Interface)96を介して、PC(Personal Computer)等の外部装置97とデータ通信可能に接続されている。
画像データ記憶部151は、外部装置97からの画像データ(記録指令)を記憶する。ヘッド制御部152は、画像データに基づいて、ドライバIC19aを制御する。
搬送制御回路153は、画像データ(記録指令)に基づいて、用紙Pが搬送方向に沿って所定速度で搬送されるように、給紙モータ34M及び送りモータ35M〜39Mを制御する。
メンテナンス制御回路154は、メンテナンス動作において、昇降モータ48M、駆動モータ80M、ヘッド昇降機構70、プラテン昇降機構30、及び、ポンプ1P,56を制御する。
なお、本実施形態では、1つのCPU91が各種制御に係る処理を行うが、これに限定されない。例えば、複数のCPUが各種制御に係る処理を分担する形態、ASICが各種制御に係る処理を行う形態、1又は複数のCPUと1又は複数のASICとが協働して各種制御に係る処理を行う形態、等であってもよい。
次に、図11を参照しつつ、制御装置100が実行するパージ動作及び加湿動作の制御内容について、説明する。
制御装置100は、図11に示すように、先ず、パージ指令の受信の有無を判定する(F1)。パージ指令の受信前、プラテン10は第1位置にあり、ヘッド1は記録位置にあり、リップ部材42は離隔位置にある。制御装置100は、パージ指令を受信すると(F1:YES)、パージ動作を実行する。このとき、メンテナンス制御回路154は、ポンプ1Pを制御し、図12(a)に示すように、ヘッド1のパージ動作を行う(F2)。パージ動作では、ポンプ1Pによって、カートリッジ4内の所定量のインクがヘッド1に強制的に送液される。吐出口108からは、プラテン10に向けてインクが排出される。
次に、メンテナンス制御回路154は、図12(b)に示すように、ヘッド昇降機構70を制御してヘッド1をワイピング位置に移動させ、プラテン昇降機構30を制御してプラテン10を第3位置に移動させる。この後、メンテナンス制御回路154は、駆動モータ80Mを制御して、吐出面1aをワイパ81aで払拭し、プラテン10の上面10aをワイパ81bで払拭する(F3:ワイピング動作)。これにより、吐出面1a及び上面10aに付着したインクなどの異物が除去される。払拭後は、メンテナンス制御回路154が、図12(c)に示すように、ヘッド昇降機構70を制御してヘッド1を退避位置に移動させ、プラテン昇降機構30を制御してプラテン10を第4位置に移動させ、駆動モータ80Mを制御して、基部82(ワイパ81a,81b)を待機位置に戻す。次に、メンテナンス制御回路154は、ヘッド昇降機構70を制御して、ヘッド1を記録位置に移動させ、プラテン昇降機構30を制御して、プラテン10を第1位置に移動させる。
続けて、制御装置100は、キャッピング指令の受信の有無を判定する(F4)。キャッピング指令の受信前、プラテン10は第1位置にあり、ヘッド1は記録位置にあり、リップ部材42は離隔位置にある。制御装置100は、キャップ信号を受信すると(F4:YES)、キャッピングを実行する。このとき、メンテナンス制御回路154は、昇降モータ48Mを駆動し、リップ部材42の先端をプラテン10の上面10aに当接(離隔位置から第1当接位置に移動)させる(F5)。これにより、吐出空間S1が、吐出面1aと上面10aとの間で、外部空間S2から隔離された区画状態となる(図5(a)参照)。この後、メンテナンス制御回路154は、プラテン昇降機構30を制御し、プラテン10を第2位置に移動させる(F6)。このプラテン10の移動に伴って、図5(b)に示すように、リップ部材42が下方に移動する。このとき、付勢部46は、プラテン10の移動分だけ最も縮んだ状態から伸びる。また、このとき、ダイアフラム44が鍔部28aに接触し、供給口61を閉ざす。つまり、空気流路R1の流路抵抗が空気流路R2,R3よりも大きな状態となる。
次に、メンテナンス制御回路154は、ポンプ56を駆動し、加湿動作を実行する(F7)。このとき、タンク54からの加湿空気は、開口51aから空気流路R1に流れ込み、空気流路R2,R3へと流れて、供給口25aから吐出空間S1に流入する。そして、加湿空気は排出口62から開口51bへと流れて、再びタンク54へと循環する。このとき、主走査方向に関して、供給口25aと排出口62との間にあるすべての吐出口108のインクに水分を供給することが可能となる。また、このとき、加湿空気が空気流路R2,R3に流れるため、当該空気流路R2,R3に入り込んだインクを供給口25aからプラテン10へと排出することが可能となる。また、加湿空気によって、排出したインクに対しても水分を供給することが可能となる。これらより、空気流路R2,R3(隙間18a)に残留するインクが乾燥することで生じる吐出口108のインク乾燥を抑制することが可能となる。
加湿動作が終了する前(本実施形態においては、加湿動作の開始から所定時間が経過する前であって開始から当該所定時間の半分の時間が経過したとき)に、メンテナンス制御回路154は、プラテン昇降機構30を制御し、プラテン10を第1位置に移動させる(F8:切換動作)。このプラテン10の移動に伴って、図5(a)に示すように、リップ部材42が上方に移動する。このとき、付勢部46は、最も縮んだ状態となり、ダイアフラム44が鍔部28aから離隔する。つまり、閉ざされた供給口61が開き、空気流路R1の流路抵抗が空気流路R2,R3よりも小さい状態となる。このため、加湿空気の空気流路R2,R3への流れが止まり、加湿空気が、空気流路R1を通って供給口61から吐出空間S1に流入する。そして、加湿空気は排出口62から開口51bへと流れて、再びタンク54へと循環する。このようにプラテン10の上昇により、加湿空気の供給先が切り換えられる。供給口61から加湿空気が供給されることで、図5(a)に示すように、加湿空気がリップ部材42の主走査方向の一端(図中左端)から他端(図中右端)にかけて流れる。このため、主走査方向に関して、供給口25a,61間にあるすべての吐出口108のインクに水分を供給することが可能となる。
メンテナンス制御回路154は、加湿動作の開始から所定時間が経過すると、ポンプ56の駆動を停止して、加湿動作を終了する(F9)。この後、外部装置97から記録指令などの信号を受信すると、制御装置100は、リップ部材42を上面10aから離隔(第1当接位置から離隔位置に移動)させる。そして、ヘッド1を退避位置に、プラテン10を第3位置に移動させ、上面10aのワイピング動作を実行する。そして、プラテン10を第1位置に、ヘッド1を記録位置に戻し、上述したように画像記録動作が制御装置100の制御によって行われる。
以上に述べたように、本実施形態によるプリンタ101によると、吐出空間S1が区画状態のとき、供給口25aから吐出空間S1に加湿空気が供給された後、供給口61から吐出空間S1に加湿空気が供給される。各供給口25a,61から吐出空間S1に供給された加湿空気は、排出口62に向かって流れる。このとき、供給口25aは、主走査方向に関して、供給口61よりも排出口62に近い位置に配置されるため、当該供給口25aからの加湿空気によって排出口62近傍の吐出口108のインク乾燥を抑制することが可能となる。このため、複数の吐出口108のインク乾燥のばらつきを抑制することが可能となる。
区画状態において、プラテン昇降機構30によってプラテン10が第1位置に配置されることで、空気流路R1が空気流路R2,R3よりも流路抵抗が小さくなり、プラテン10が第2位置に配置されることで、空気流路R1が空気流路R2,R3よりも流路抵抗が大きくなる。このため、供給口61及び供給口25aへの加湿空気の供給先の切り換えを簡単な構成で実現できる。また、ダイアフラム44は、プラテン10が第1位置に配置されているときに、鍔部28aから離隔して供給口61が開放状態となり、プラテン10が第2位置に配置されているときに、鍔部28aと当接し供給口61を閉ざす。このようにダイアフラム44が、プラテン10の位置に応じて供給口61を開閉することで、供給口61及び供給口25aへの加湿空気の供給先の切り換えを実現できる。このため、加湿空気の供給先を切り換えるためだけの機構(例えば、弁機構)を別途設ける必要がなくなる。また、供給口61は、鍔部28aとキャップ41との間の隙間によって構成され、排出口62は、鍔部28bとキャップ41との間の隙間によって構成され、供給口25aは、各鍔部25に形成された厚み方向に貫通した貫通孔によって構成されている。これにより、プラテン10の位置を変化させることで、ダイアフラム44が鍔部28aに離接し、供給口25a及び供給口61への加湿空気の供給先を切り換えることができる。このため、加湿空気の供給先の切換機構を、簡単な構成で実現できる。
また、空気流路R2,R3が、ダイアフラム44とヘッド1の側面(固定部23a,23b及び鍔部25)との間の隙間18aから構成されている。これにより、供給口25aから吐出空間S1に加湿空気を供給する際に、加湿空気が隙間18aを通って供給口25aに流れる。このため、隙間18aにインクが残留していても当該インクを供給口25aから排出することが可能になるとともに、インク自体に水分を供給することができる。したがって、隙間18aに残留するインクが乾燥することで生じる吐出口108のインク乾燥を抑制することが可能となる。
また、供給口25aは、主走査方向に関して、最も外側にある一方(供給口61側)の吐出口108から他方(排出口62側)の吐出口108までの中央と重なる位置に配置されている。これにより、供給口25aからの加湿空気によって、主走査方向に関して、中央にある吐出口108から最も外側であって排出口62側にある吐出口108までの吐出口108内のインクに水分を効果的に供給することが可能となる。このため、複数の吐出口108のインク乾燥のばらつきをより一層抑制することが可能となる。
また、加湿動作においては、供給口25aから吐出空間S1に加湿空気を供給した後、供給口61から吐出空間S1に加湿空気を供給する。これにより、空気流路R2,R3(隙間18a)に残留したインクを排出し、当該インク自体に水分を供給してから、供給口61から加湿空気を吐出空間S1に供給される。このため、残留したインクに加湿空気の水分が吸収されにくくなって、吐出口108のインク乾燥を効果的に抑制することができる。
変形例として、図13に示すように、供給口25aが、主走査方向に関して、吐出面1aの排出口62側の端部と重なる位置に配置されていてもよい。この場合、隔壁26は、固定部24bの副走査方向の両端に形成される。これにより、ダイアフラム44の主走査方向に沿う長尺部と固定部23a,23b及び鍔部25との間のそれぞれに構成される隙間18が隔壁によって分断されず、各隙間18が空気流路R2,R3となる。
この構成において、上述の実施形態と同様に、加湿動作中にプラテン10を第1当接位置に移動させると、加湿空気が供給口61から吐出空間S1に流れる。つまり、図13(a)中白抜き矢印で示すように、加湿空気は、供給口61からリップ部材42の供給口61側の部分に沿って流れる。そして、吐出面1aとプラテン10との間に領域を通って、リップ部材42の排出口62側の端部に沿って流れて排出口62から排出される。
プラテン10を第2当接位置に配置した状態で加湿動作を実行すると、図13(b)中白抜き矢印で示すように、加湿空気は、空気流路R2,R3へと流れて、供給口25aから吐出空間S1に流入する。このとき、空気流路R2,R3が分断されていない隙間18からなるため、上述の実施形態における隙間18bに残留するインクまでも供給口25aから排出することが可能となる。つまり、ヘット1の主走査方向に沿う側面とダイアフラム44との間の隙間全体から残留したインクを排出し、インク自体に水分を供給することができる。このため、隙間18に残留するインクが乾燥することで生じる吐出口108のインク乾燥をより一層抑制することが可能となる。供給口25aから供給された加湿空気は、吐出面1aの排出口62近傍部分とプラテン10との間に領域を通って、リップ部材42の排出口62側の端部に沿って流れて排出口62から排出される。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態及び変形例においては、プラテン10を移動させることで、ダイアフラム44を鍔部28aに離接させて加湿空気の供給先を切り換えているが、空気流路R1と空気流路R2,R3との接続箇所に切換機構としての切換弁を設け、供給口25a及び供給口61のいずれか一方から加湿空気を吐出空間S1に供給してもよい。この場合、空気流路R2,R3の流路抵抗が空気流路R1よりも小さいことが望ましい。また、空気流路R2,R3は、ヘッド1の側面とキャップ41との間の隙間ではなく、配管部材で構成されていてもよい。また、空気流路R1も配管部材で構成されていてもよい。また、供給口25aの開口面積が隙間18の断面積よりも大きければ、隔壁26が形成されていなくてもよい。これにおいても、隙間18側に流れてきた加湿空気が供給口25aから吐出空間S1側に供給される。
供給口61及び排出口62は、主走査方向に関して、すべての吐出口108を挟むことが可能であれば、吐出面1aに形成されていてもよい。また、供給口25aは、主走査方向に関して、中央にある吐出口108と供給口61との間に配置されていてもよい。これにおいても、供給口25aは供給口61よりも排出口62側に配置されているため、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、リップ部材42は、第1当接位置で生じるダイアフラム44の折り畳み部分による外側へ拡大する力によって、第2当接位置におけるよりも外側に広がってもよい。換言すると、リップ部材42は、第1当接位置で生じるダイアフラム44の折り畳み部分が第2当接位置で伸びることで、第1当接位置よりも第2当接位置における方が内側に縮んでもよい。このようなキャップを採用しても、上述と同様な効果を得ることができる。
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能であり、さらに、インク以外の液体を吐出させることで記録を行う液体吐出装置にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。さらに、本発明は、インクの吐出方式にかかわらず適用できる。例えば、本実施の形態では、圧電素子を用いたが、抵抗加熱方式でも、静電容量方式でもよい。