以下、図面を参照して本発明に係る実施例を説明する。まず、実施例に係る基板処理装置の基本的な構成および動作を説明した後、熱処理プレートの試験に関連する構成および動作を説明する。
なお、以下の説明において、「基板」とは、半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、プラズマディスプレイ用の基板、光ディスク用の基板、磁気ディスク用の基板、光磁気ディスク用の基板など(以下、単に基板と称する)をいう。
[1.基板処理装置の基本的な構成]
図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。図2は、基板処理装置の内部を側方(y方向)からみたときの液処理ユニットの配置を示す基板処理装置の概略側面図である。図3は、熱処理ユニットの配置を示す基板処理装置の概略側面図である。図4は、基板処理装置の内部を側方(y方向)からみたときの搬送機構の配置を示す概略側面図である。
基板処理装置1は、基板Wに処理を行う。本実施例では、基板処理装置1は、基板Wにレジスト膜を形成し、かつ、基板Wを現像する処理を行う。
基板処理装置1は、インデクサ部(以下、「ID部」と記載する)11と処理部13とインターフェイス部(以下、「IF部」と記載する)17とを備える。処理部13は、ID部11およびIF部17とそれぞれ接している。IF部17はさらに、基板処理装置1とは別体の露光機EXPと接している。ID部11、処理部13、IF部17及び露光機EXPは、水平な一方向(図では「x」方向である)に並ぶように配置されている。なお、x方向と直交する水平方向を「y」方向とし、上下方向を「z」方向とする。以下、ID部11、処理部13、IF部17に分けて説明する。
[1−1 ID部11]
ID部11は、キャリア載置部21と搬送スペース22を備えている。
キャリア載置部21にはキャリアCが載置される。キャリアCは、例えば不図示の外部搬送機構によって搬送される。キャリアCは、複数枚の基板Wを収容する。キャリアCとしては、FOUP(front opening unified pod)が例示される。キャリアCは、本発明における収容器に相当する。
搬送スペース22には、ID部内搬送機構(以下では、適宜に「搬送機構」と略記する)TAが設置されている。搬送機構TAは、キャリアCから基板Wを搬出し、かつ、キャリアCに基板Wを搬入する。また、搬送機構TAは、処理部13に基板Wを渡し、かつ、処理部13から基板Wを受け取る。
搬送機構TAは、いわゆる搬送ロボットである。具体的には、搬送機構TAは、基板Wを保持する1又は2以上のハンドHと、ハンドHを移動させるための各種の駆動機構(不図示)を備えている。各種駆動機構によって、ハンドHは、y方向に平行移動可能であり、z方向に昇降可能であり、搬送機構TAの縦軸心回りに回転移動可能であり、縦軸心の径方向に前進・後退移動可能である。これらの移動によって、ハンドH(搬送機構TA)の位置が変わる。
[1−2 処理部13]
処理部13は、第1ブロック14と第2ブロック15に分離可能に構成されている。第1ブロック14と第2ブロック15は、x方向に並ぶように配置されている。ID部11には第1ブロック14が接しており、IF部17には第2ブロック15が接している。以下では、第1ブロック14と第2ブロック15に分けて説明する。
[1−2−1 処理部13〜第1ブロック14]
第1ブロック14は、搬送スペース30と液処理部40と熱処理部50を備えている。搬送スペース30は、平面視で第1ブロック14のy方向(幅方向)における略中央を通り、x方向に延びる帯状の領域である。搬送スペース30の両端はそれぞれ、ID部11および第2ブロック15に面している。搬送スペース30のy方向一側方には液処理部40が配置されており、搬送スペース30のy方向他側方には熱処理部50が配置されている。
図4に示すように、搬送スペース30は、搬送スペース30の上部にあたる上部搬送スペース31と、搬送スペース30の下部にあたる下部搬送スペース32を有する。上部搬送スペース31には、処理部内搬送機構(以下では、適宜に「搬送機構」と略記する)TB1cが設置されている。下部搬送スペース32には、処理部内搬送機構(以下では、適宜に「搬送機構」と略記する)TB2cが設置されている。搬送機構TB1cの可動域は、上部搬送スペース31に限られ、搬送機構TB2cの可動域は下部搬送スペース32の下部に限られている。
ID部11と上部搬送スペース31との間には、載置部P1S、P1Rが設置されている。ID部11と下部搬送スペース32との間には、載置部P2S、P2Rが設置されている。載置部P1S、P1R、P2S、P2Rは、上下方向(z方向)に並ぶように配置されている。
載置部P1S、P1Rは、搬送機構TAと搬送機構TB1cとの間で基板Wを双方向に送るために使用される。載置部P2S、P2Rは、搬送機構TAと搬送機構TB2cとの間で基板Wを双方向に送るために使用される。たとえば、搬送機構TAから搬送機構TB1cに基板Wを送るときは、搬送機構TAが基板Wを載置部P1Sに載置し、載置部P1Sに載置された基板Wを搬送機構TB1cが受け取る。逆に、搬送機構TB1cから搬送機構TAに基板Wを送るときは、搬送機構TB1cが基板Wを載置部P1Rに載置し、載置部P1Rに載置された基板Wを搬送機構TAが受け取る。
図2を参照する。液処理部40には、4つの塗布処理室41、42、43、44が設置されている。これら塗布処理室41乃至44は、上下方向(z方向)に並ぶように配置されている。各塗布処理室41乃至44内の雰囲気は、隔壁等によって互いに遮断されている。上側の塗布処理室41、42はそれぞれ、上部搬送スペース31に面している。塗布処理室41、42に対しては、搬送機構TB1cが基板Wを搬入、搬出する。下側の塗布処理室43、44はそれぞれ、下部搬送スペース32に面している。塗布処理室43、44に対しては、搬送機構TB2cが基板Wを搬入、搬出する。
各塗布処理室41乃至44には、複数の塗布処理ユニット60が搬送スペース30に沿って一列に並ぶように設置されている。各塗布処理ユニット60はそれぞれ、保持部61とカップ62とノズル63とノズル搬送機構64を備える。ノズル63とノズル搬送機構64は、図1に示される。搬送機構TB1c/TB2cは、保持部61上に基板Wを載置する。保持部61は載置された基板Wを水平姿勢で保持する。保持部61は不図示のモータに連結されており、回転可能である。カップ62は保持部61の周囲に配置され、基板Wから飛散する処理液を回収する。複数のノズル63は、平面視でカップ62の側方の待機位置に設置されている。各ノズル63はそれぞれ、処理液供給源に連通接続されており、処理液を吐出可能である。ノズル搬送機構64は、いずれかのノズル63を保持して、待機位置と基板Wの上方にあたる処理位置との間にわたって搬送する。
塗布処理室41、43内の各塗布処理ユニット60は、レジスト塗布処理ユニットREである。レジスト塗布処理ユニットREは、ノズル63からレジスト膜用の処理液を基板Wに塗布し、基板W上にレジスト膜を形成する処理を行う。塗布処理室42、44内の各塗布処理ユニット60は、反射防止膜材料塗布処理ユニットBAである。塗布処理ユニットBAは、ノズル63から反射防止膜用の処理液を基板Wに塗布し、基板W上に反射防止膜を形成する処理を行う。
図3を参照する。熱処理部50には、複数の熱処理ユニットHUが設置されている。各熱処理ユニットHUは、側面視で行列状(例えば、x方向に3列、z方向に10段)に配置されている。ここで、上側5段に配置される複数の熱処理ユニットHUを熱処理ユニット群51と呼び、下側5段に配置される複数の熱処理ユニットHUを熱処理ユニット群52と呼ぶ。上側の熱処理ユニット群51は、上部搬送スペース31に面している。熱処理ユニット群51に対しては、搬送機構TB1cが基板Wを搬入、搬出する。下側の熱処理ユニット群52は、下部搬送スペース32に面している。熱処理ユニット群52に対しては、搬送機構TB2cが基板Wを搬入、搬出する。
各熱処理ユニットHUは、複数のカテゴリー(種類)に分類される。一部の熱処理ユニットHUは、加熱冷却ユニットPHPであり、他の熱処理ユニットHUは冷却ユニットCPである。加熱冷却ユニットPHPは、加熱処理と冷却処理を続けて行う。冷却ユニットCPは冷却処理を行う。熱処理ユニット群51、52の間で、加熱冷却ユニットPHPおよび冷却ユニットCPの数および配置は、略同じである。
本明細書では、各熱処理ユニットHUを区別するときには、図3に示す符号を用いて、「熱処理ユニットHU01」等と記載する。
搬送機構TB1cを具体的に説明する。図5を参照する。図5は、搬送機構TB1cの斜視図である。なお、搬送機構TB2cも搬送機構TB1cと同様に構成されている。
搬送機構TB1cは、一対の第1ガイドレール81と、第2ガイドレール82と、ベース部83と、回転台84と、2つのハンドHを備えている。
第1ガイドレール81は、上部搬送スペース31の四隅のうち、液処理部40側の2つの角隅部にそれぞれ固定されている(図1参照)。第1ガイドレール81はそれぞれ、上下方向(z方向)に延びるように設置されている。各第1ガイドレール81には、第2ガイドレール82の両端部がそれぞれ摺動可能に接続されている。第1ガイドレール81は第2ガイドレール82をz方向に案内する。
第2ガイドレール82は、x方向に延びるように設置されている。第2ガイドレール82には、ベース部83が摺動可能に接続されている。第2ガイドレール82はベース部83をx方向に案内する。
ベース部83には回転台84が接続されている。回転台84は、ベース部83に対して縦軸心Q周りに回転可能である。
2本のハンドHは、回転台84に接続されている。各ハンドHはそれぞれ、回転台84に対して水平1方向に前進後退移動可能である。
搬送機構TB1cはさらに、第2ガイドレール82、ベース部83、回転台84およびハンドHをそれぞれ移動させるための各種の駆動機構を備えている。これら各種の駆動機構によって、搬送機構TB1cの位置が変わる。すなわち、第2ガイドレール82はz方向に昇降し、ベース部83はx方向に移動し、回転台84は縦軸心Q回りに回転する。これらの移動に伴って、ハンドHおよびハンドHに保持された基板Wは、z方向およびx方向に平行移動し、縦軸心Q回りに旋回する。さらに、各ハンドHが回転台84に対して進退移動することによって、ハンドHに保持された基板Wは縦軸心Qの径方向に平行移動する。
搬送スペース30の他の設備について説明する。搬送スペース30内には、給気ユニット85、86と排気ユニット87、88が配置されている。給気ユニット85は、上部搬送スペース31に清浄な気体を供給する。排気ユニット87は、上部搬送スペース31から気体を排出する。給気ユニット86は、下部搬送スペース32に清浄な気体を供給する。排気ユニット88は、下部搬送スペース32から気体を排出する。
図5では、排気ユニット87が有する複数の排気口eoを図示する。排気口eoは、排気ユニット87の上面に形成されている。排気口eoを通じて、排気ユニット87の上方の気体は排気ユニット87内に吸引される。
また、排気ユニット87と給気ユニット86とは、上部搬送スペース31の雰囲気と下部搬送スペース32の雰囲気を遮断している。
[1−2−2 処理部13〜第2ブロック15]
第2ブロック15の構成について説明する。なお、第1ブロック14と同じ構成については、同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図1を参照する。第2ブロック15は、搬送スペース35と液処理部45と熱処理部55を備えている。これらのレイアウトは、基本的に第1ブロック14と同様である。
図4を参照する。搬送スペース35は、上部搬送スペース36と下部搬送スペース37を有する。上部搬送スペース36には、処理部内搬送機構(以下では、適宜に「搬送機構」と略記する)TB1dが設置されている。下部搬送スペース37には、処理部内搬送機構(以下では、適宜に「搬送機構」と略記する)TB2dが設置されている。搬送機構TB1d、TB2dは、搬送機構TB1c、TB2cと同様に構成されている。
上部搬送スペース36の一端は、上部搬送スペース31に面している。上部搬送スペース31、36の間には載置部P3S、P3Rが設置されている。搬送機構TB1dは、載置部P3Rを介して、搬送機構TB1cに基板Wを渡す。また、搬送機構TB1dは、載置部P3Sを介して、搬送機構TB1cから基板Wを受け取る。
同様に、下部搬送スペース37の一端は、下部搬送スペース32に面している。下部搬送スペース32、37の間には載置部P4S、P4Rが設置されている。搬送機構TB2dは、載置部P4S/P4Rを介して、搬送機構TB2cに基板Wを渡し、かつ、搬送機構TB2cから基板Wを受け取る。
図2を参照する。液処理部45は、4つの現像処理室46、47、48、49を備えている。これら現像処理室46乃至49は、上下方向(z方向)に並ぶように配置されている。現像処理室46、47は上側に配置され、現像処理室48、49は下側に配置されている。現像処理室46、47はそれぞれ、上部搬送スペース36に面している。現像処理室46、47に対しては、搬送機構TB1dが基板Wを搬入、搬出する。現像処理室48、49はそれぞれ、下部搬送スペース37に面している。現像処理室48、49に対しては、搬送機構TB2dが基板Wを搬入、搬出する。
各現像処理室46乃至49には、それぞれ複数の現像処理ユニット65が搬送スペース35に沿って一列に並ぶように設置されている。各現像処理ユニット65は、保持部66とカップ67とノズル68とノズル搬送機構69を備える。搬送機構TB1d/TB2dは、保持部66上に基板Wを載置する。保持部66は載置された基板Wを水平姿勢で保持する。保持部66は不図示のモータに連結されており、回転可能である。カップ67は保持部66の周囲に配置され、基板Wから飛散する現像液を回収する。ノズル68は基板Wに現像液を吐出する。ノズル68は、ノズル移動機構69に接続されており、x方向に移動可能である。ノズル移動機構69は、基板Wの上方の位置と基板Wの上方から外れた位置との間にわたってノズル68を移動させる。
図3を参照する。熱処理部55には、複数の熱処理ユニットHUとエッジ露光ユニットEEWと載置部P5S、P5R、P6S、P6Rが設置されている。これら熱処理ユニット等は、行列状に配置されている。ここで、上側に配置される熱処理ユニット等を熱処理ユニット群56と呼ぶ。下側に配置される熱処理ユニット等を熱処理ユニット群57と呼ぶ。
熱処理ユニット群56に含まれる熱処理ユニットHUは、加熱冷却ユニットPHPと、冷却ユニットCPと、露光後加熱処理ユニットPEBである。熱処理ユニット群56の加熱冷却ユニットPHPおよび冷却ユニットCPに対しては、搬送機構TB1dが基板Wを搬送する。露光後加熱処理ユニットPEBに対しては、IF部17が基板Wを搬入・搬出する。
熱処理ユニット群57に含まれる熱処理ユニットHUは、加熱冷却ユニットPHPと、冷却ユニットCPと、露光後加熱処理ユニットPEBである。熱処理ユニット群57の加熱冷却ユニットPHPおよび冷却ユニットCPに対しては、搬送機構TB2dが基板Wを搬送する。露光後加熱処理ユニットPEBに対しては、IF部17が基板Wを搬入・搬出する。
露光後加熱処理ユニットPEBは、熱処理ユニット群56、57の列のうち、最もIF部17側の列のみに配置されている。露光後加熱処理ユニットPEBは、加熱冷却ユニットPHPと同じ構造である。露光後加熱処理ユニットPEBは、露光処理後の基板Wに露光後熱処理(Post Exposure Bake)を行う。
エッジ露光ユニットEEWは、基板Wの周縁部を露光する。熱処理ユニット群56のエッジ露光ユニットEEW01に対しては、搬送機構TB1dが基板Wを搬送する。熱処理ユニット群57のエッジ露光ユニットEEW02に対しては、搬送機構TB2dが基板Wを搬送する。
載置部P5S、P5R、P6S、P6Rは、それぞれ露光後加熱処理ユニットPEBの上方に積層されている。載置部P5S/P5Rは、搬送機構TB1dとIF部17の間で基板Wを搬送するときに使用される。載置部P6S/P6Rは、搬送機構TB2dとIF部17の間で基板Wを搬送するときに使用される。
上述した処理部13の構造によれば、処理部13は、基板Wを処理する複数の階層K1、K2を備えていると考えることができる。ここで、上側の階層である上層K1は、上部搬送スペース31、36と、塗布処理室41、42と、現像処理室46、47と、熱処理ユニット群51、56等によって構成されている。下側の階層である下層K2は、下部搬送スペース32、37と、塗布処理室43、44と、現像処理室48、49と、熱処理ユニット群52、57等によって構成されている。
[1−3 IF部17]
図1を参照する。IF部17は基板Wを搬送するIF部内搬送機構(以下、適宜に「搬送機構」と略記する)TCを備えている。本実施例では、搬送機構TCは、2基の搬送機構TCa、TCbで構成されている。搬送機構TCaは、z方向に昇降可能であり、搬送機構TCaの縦軸心回りに回転移動可能であり、縦軸心の径方向に前進・後退移動可能である。搬送機構TCbも、搬送機構TCaと同様に構成されている。
搬送機構TCaは、載置部P5Sを介して搬送機構TB1dから基板Wを受け取り、載置部P5Rを介して搬送機構TB1dに基板Wを渡す。搬送機構TCaは、載置部P6Sを介して搬送機構TB2dから基板Wを受け取り、載置部P6Rを介して搬送機構TB2dに基板Wを渡す。また、各搬送機構TCaは、熱処理ユニット群56/57の両方に設けられる露光後加熱処理ユニットPEBに対して基板Wを搬入、搬出する。搬送機構TCaは、さらに、搬送機構TCbに基板Wを渡し、搬送機構TCbから基板Wを受け取る。搬送機構TCbは、さらに、基板Wを露光機EXPに搬送し、かつ、露光機EXPから基板Wを受け取る。
図6を参照する。図6は、IF部17の内部をx方向から見た正面図である。搬送機構TCaと搬送機構TCbとの間には、載置部PASS−CPと、載置部P7Rと、バッファ部BFが設けられている。これら載置部PASS−CP等は、上下に並ぶように積層されている。載置部PASS−CPは基板Wを載置し、かつ、基板Wを冷却する。載置部PASS−CPは、搬送機構TCaが搬送機構TCbに基板Wを渡すときに使用される。載置部P7Rは、搬送機構TCbが搬送機構TCaに基板Wを渡すときに使用される。バッファ部BFは複数枚の基板Wを載置可能である。
[1−4 制御系の構成]
図1を参照する。基板処理装置1は、制御部91と記憶部93と入出力部95を備えている。
制御部91は、例えば、ID部11に設置されている。制御部91は、ID部11、処理部13およびIF部17を統括的に制御する。具体的には、各種の搬送機構および各種の処理ユニットの動作を制御する。
記憶部93も、例えば、ID部11に設置されている。記憶部93は、処理レシピ(処理プログラム)など各種情報を記憶している。
入出力部95は、ID部11の外壁面に取り付けられている。入出力部95には、ユーザーが各種の命令や情報を入力することができる。また、入出力部95は、ユーザーに各種の情報を表示する。入出力部95は、例えば、タッチパネルディスプレイである。入出力部95は、本発明における出力部に相当する。
[2.基板処理装置1の動作]
次に、実施例に係る基板処理装置1の動作について説明する。以下では、ID部11からIF部17への搬送と、IF部17からID部11への搬送とに分けて説明する。
[2−1 ID部11からIF部17への搬送]
搬送機構TAは、キャリアCから基板Wを搬出し、搬出した基板Wを搬送機構TB1c、TB2cに交互に搬送する。すなわち、ID部11は、上層K1、下層K2に交互に基板Wを渡す。
上層K1では、次のように動作する。搬送機構TB1cは、搬送機構TAから基板Wを受け取り、塗布処理室41、42および熱処理ユニット群51に設置される各種の処理ユニットに所定の順番で搬送する。例えば、加熱冷却ユニットPHP、冷却ユニットCP、反射防止膜用の塗布処理ユニットBA(60)、加熱冷却ユニットPHP、冷却ユニットCP、レジスト膜用の塗布処理ユニットRE(60)、加熱冷却ユニットPHPの順番に基板Wを搬送する。これにより、基板Wに各種の処理が連続的に施され、基板W上に反射防止膜およびレジスト膜が形成される。搬送機構TB1cは、一連の処理が施された基板Wを搬送機構TB1dに渡す。
搬送機構TB1dは、搬送機構TB1cから基板Wを受け取って、熱処理ユニット群56に設置されるエッジ露光ユニットEEW01に搬送する。これにより、基板Wの周縁部が露光される。搬送機構TB1dは、処理が施された基板Wを搬送機構TCaに渡す。すなわち、上層K1はIF部17に基板Wを渡す。
下層K2では、上層K1と同様に動作する。搬送機構TB2cは、搬送機構TAから基板Wを受け取り、塗布処理室43、44および熱処理ユニット群52における各種の処理ユニットに所定の順番で搬送する。その後、基板Wを搬送機構TB2dに渡す。搬送機構TB2dは、搬送機構TB2cから基板Wを受け取って、熱処理ユニット群57に設置されるエッジ露光ユニットEEW02に搬送する。その後、搬送機構TB2dは、基板Wを搬送機構TCaに渡す。すなわち、下層K2はIF部17に基板Wを渡す。
搬送機構TCaは、搬送機構TB1d、TB2dから基板Wを交互に受け取って、搬送機構TCbに渡す。搬送機構TCbは、搬送機構TCaから基板Wを受け取って、露光機EXPに送る。露光機EXPは基板Wに露光処理を行う。
[2−2 ID部11からIF部17への搬送]
搬送機構TCbは、露光機EXPから基板Wを受け取って搬送機構TCaに渡す。
搬送機構TCaは、搬送機構TCbから基板Wを受け取って、露光後加熱処理ユニットPEBに搬送する。これにより、基板Wに露光後加熱処理を行う。その後、搬送機構TCaは、露光後加熱処理が行われた基板Wを搬送機構TB1d、TB2dに渡す。すなわち、IF部17は上層K1および下層K2に基板Wを渡す。
ここで、搬送機構TB1dからIF部17に払い出された基板Wについては、熱処理ユニット群56に設置される露光後加熱処理ユニットPEBで処理し、搬送機構TB1dに渡すようにしてもよい。また、搬送機構TB2dからIF部17に払い出された基板Wについては、熱処理ユニット群57に設置される露光後加熱処理ユニットPEBで処理し、搬送機構TB2dに渡すようにしてもよい。
上層K1では、次のように動作する。すなわち、搬送機構TB1dは、搬送機構TCaから基板Wを受け取って、現像処理室46、47および熱処理ユニット群56における各種の処理ユニットに所定の順番で搬送する。例えば、冷却ユニットCP、現像処理ユニット65、加熱冷却ユニットPHPの順番で基板Wを搬送する。これにより、基板Wを現像する。その後、搬送機構TB1dは、現像された基板Wを搬送機構TB1cに渡す。搬送機構TB1cは、搬送機構TB1dから基板Wを受け取り、搬送機構TAに渡す。すなわち、上層K1はID部11に基板Wを渡す。
下層K2では、上層K1と同様に動作する。搬送機構TB2dは、搬送機構TCaから基板Wを受け取って、現像処理室48、49および熱処理ユニット群57における各種の処理ユニットに所定の順番で搬送する。そして、搬送機構TB2dは、現像された基板Wを搬送機構TB2cに渡す。搬送機構TB2cは、搬送機構TB2dから基板Wを受け取り、搬送機構TAに渡す。すなわち、下層K2はID部11に基板Wを渡す。
搬送機構TAは、搬送機構TB1c、TB2cから基板Wを受け取って、キャリアCに搬入する。
このように、ID部11とIF部17との間で基板Wを往復搬送させる。処理部13においては、基板Wを往復搬送させながら、基板Wにレジスト膜を形成し、かつ、基板Wを現像する。
特に、処理部13では、上層K1および下層K2が互いに独立して基板Wを搬送し、基板Wを処理する。これにより、処理部13における処理能力を約倍増させることができる。
[3.熱処理プレートPLを試験するための構成]
次に、本実施例の特徴的な構成を説明する。
[3−1 熱処理ユニットHUの構成]
カテゴリーが同じ熱処理ユニットHU同士であっても、その構成が同じであるとは限らない。以下では、加熱冷却ユニットPHPの一構成例を説明し、その後、加熱冷却ユニットPHPのバリエーションを説明する。
図7(a)乃至7(c)を参照する。図7(a)は、加熱冷却ユニットPHPの平面図であり、図7(b)、(c)はそれぞれ、加熱冷却ユニットPHPの内部をy方向から見た側面図である。図7(b)は、ローカル搬送機構が熱処理プレートの上方に位置しているときを示している。図7(c)は、熱処理プレートが熱処理を行っているときを示している。なお、図7(b)、(c)において、熱処理プレートについては断面図で示す。
加熱冷却ユニットPHPは、載置部PAとローカル搬送機構TLと熱処理プレートPLとを備えている。
載置部PAと熱処理プレートPLはy方向に並ぶように配置されている。載置部PAは、搬送スペース30/35に面するように設置され、熱処理プレートPLと搬送スペース30/35の間に位置する。
載置部PAは、基板Wを支持する支持ピン103を備える。支持ピン103は、上下動可能である。支持ピン103が上下動することによって、支持ピン103は搬送機構TB1c/TB2c/TB1d/TB2d(以下、これらを「搬送機構TB」と総称する)から基板Wを受け取ったり、搬送機構TBに基板Wを渡す。また、支持ピン103が上下動することによって、支持ピン103はローカル搬送機構TLに基板Wを渡したり、ローカル搬送機構TLから基板Wを受け取る。
ローカル搬送機構TLは、載置部PAと熱処理プレートPLとの間で基板Wを搬送する。ローカル搬送機構TLは、ハンドHと駆動部104とを備えている。ハンドHは、基板Wを載置する。駆動部104はハンドHをy方向に平行移動させる。
ハンドHは、その内部に形成される流路(不図示)を有している。この流路に冷却水を流すことによって、ローカル搬送機構TLは、ハンドHに載置された基板Wを冷却する。
熱処理プレートPLは、基板Wを載置するための上面Fを有する。上面Fは略平坦である。上面Fは、平面視で基板Wより若干大きい円形状を有する。
加熱冷却ユニットPHPは、さらに、昇降ピン105と支持部材107とヒータ109と温度センサ111とユニット側アンテナAUと上蓋115を備えている。
昇降ピン105は、熱処理プレートPLに形成された貫通孔に上下動可能に挿入されている。昇降ピン105が上下動することによって、ローカル搬送機構TLから基板Wを取って熱処理プレートPLに載置したり、熱処理プレートPLから基板Wを取ってローカル搬送機構TLに渡す。図7(b)、(c)では、退避位置にある昇降ピン105を実線で示している。昇降ピン105が退避位置に位置するとき、昇降ピン105の先端は熱処理プレートPLの上面Fよりも低い。図7(b)では、突出位置にある昇降ピン105を破線で示している。また、図7(b)では、突出位置にある昇降ピン105によって支持される基板Wを破線で示している。昇降ピン105が突出位置に位置するとき、昇降ピン105の先端はローカル搬送機構TLのハンドHよりも高い。
支持部材107は、熱処理プレートPLに載置される基板Wの裏面と直接的に接し、基板Wと熱処理プレートPLの上面Fとの間に僅かな隙間(空間)を形成する。この隙間を通じて熱処理プレートPLから基板Wに熱が伝達される。支持部材107は、熱処理プレートPLの上面Fに固定されている。支持部材107は、例えば、球形状を有する。
ヒータ109は、熱処理プレートPLの内部又は下部に設置され、熱処理プレートPLを加熱する。熱処理プレートPLは、ヒータ109の熱を基板Wに伝達する。
温度センサ111は、熱処理プレートPLの温度(以下、「プレート温度」という)を測定する。温度センサ111は、加熱プレートPLの上面F付近に埋め込まれている。
ユニット側アンテナAUは、アーム113を介して、熱処理プレートPLに固定されている。ユニット側アンテナAUは、熱処理プレートPLの上方かつ側方の位置に配置されている。熱処理プレートPLに基板Wが載置されたとき、その基板Wの周縁部の側方が、ユニット側アンテナAUに近接する。
図8を参照する。図8は、熱処理プレートPLに載置される温度測定用基板WTの平面図である。図示するように、ユニット側アンテナAUは、複数のユニット側コイルUCを備えている。各ユニット側コイルUCはそれぞれ、所定の位置に所定の向きでそれぞれ配置されている。
再び、図7(a)乃至7(c)を参照する。上蓋115は、上下動可能に熱処理プレートPLの上方に設置されている。上蓋115は、熱処理プレートPLの上方を覆う。上蓋115は、下方に向かって広がる円錐形状(傘形状)を有する。
加熱冷却ユニットPHPは、上述した各構成を収容するためのチャンバー117を備えている。さらに、加熱冷却ユニットPHPは、上部排気管121と圧力計122と側部給気ダクト123と側部排気ダクト125と排気用ダンパー126を備えている。
上部排気管121は、チャンバー117内の気体をチャンバー117外に強制的に排出する。上部排気管121の一端は、上蓋115の上部中央に連通接続されている。上部排気管121が気体を排出することによって、熱処理プレートPLの上方には、熱処理プレートPLの周縁部から中央部に上昇しながら進む気流が形成される。図7(c)では、この気流を1点鎖線で示す。上蓋115および上部排気管121により、基板Wから昇華物が発生する場合であっても、昇華物は的確に回収され、チャンバー117外に捨てられる。
圧力計122は、上部排気管121の途中に設置されている。圧力計122は、上部排気管121内の流量を監視する。
側部給気ダクト123は、チャンバー117内に気体を供給する。側部給気ダクト123は供給口123aを有する。供給口123aは、チャンバー117内の一側部に配置され、横方向に気体を吹き出す。
側部排気ダクト125は、チャンバー117内の気体をチャンバー117外へ排出する。側部排気ダクト125は排気口125aを有する。排気口125aは、平面視で熱処理プレートPLを挟んで供給口123aと向かい合う位置に配置されている。排気口125aは、横方向から気体を吸い込む。
これら側部給気ダクト123および側部排気ダクト125によって、熱処理プレートPLの上方を略水平方向(x方向)に流れる気流が形成される。図7(a)、(c)では、この気流を2点鎖線で示す。側部給気ダクト123および側部排気ダクト125によって、チャンバー117内は換気され、熱処理プレートPLから放出された熱もチャンバー117外に排出される。
排気用ダンパー126は、側部排気ダクト125の途中に設置されている。排気用ダンパー126は、側部排気ダクト125内の流量を調節する。
以上が、加熱冷却ユニットPHPの一構成例である。ただし、加熱冷却ユニットPHPの中には、上蓋115や上部排気管121を備えていないものもある。また、加熱冷却ユニットPHPの中には、側部給気ダクト123や側部排気ダクト125を備えていないものもある。このため、加熱冷却ユニットPHP同士であっても、熱処理プレートPLの上方や周囲に形成される気流が同じとは限らない。
ここで、上部排気管121、側部給気ダクト123、および、側部排気ダクト125をそれぞれ、「気流形成設備」と呼ぶ。気流形成設備は、気流を強制的に形成する。また、圧力計122を、「気流監視設備」と呼ぶ。気流監視設備は、気流形成設備の流量を監視する。排気用ダンパー126を、「気流調節設備」と呼ぶ。気流調節設備は、気流監視設備の流量を調節する。
また、加熱冷却ユニットPHP同士で、ユニット側アンテナAUの位置が同じとは限らない。例えば、加熱冷却ユニットPHP間で、ユニット側アンテナAUのレイアウトを意図的に変えている場合がある。また、レイアウトが共通する加熱冷却ユニットPHP間であっても、取付誤差等によりユニット側アンテナAUの位置が多少ずれている場合がある。
上述した同一カテゴリーの熱処理ユニットHU間における違いは、加熱冷却ユニットPHPだけではなく、他のカテゴリーCP、PEBについても存在する。ちなみに、冷却ユニットCPは、上述した載置部PAやローカル搬送機構TL等を備えていない。また、冷却ユニットCPは、ヒータ109に代えて熱処理プレートPLを冷却するための温調器具等を備えている。
なお、以下では、各熱処理ユニットHUに設置される載置部PA、熱処理プレートPL、ローカル搬送機構TLまたはユニット側アンテナAUを区別する場合には、各熱処理ユニットHUを識別する番号(図3参照)と同じ番号を使う。例えば、「熱処理プレートPL01」と記載したときは、熱処理ユニットHU01に設置されている熱処理プレートPLを指す。
[3−2 温度測定用基板WTの構成]
図8を参照する。温度測定用基板WTは、通常の生産処理に使用される基板Wを模擬したものであり、熱処理プレートPLによる処理温度を検出する。温度測定用基板WTは、基板本体BWと、複数のセンサユニットSUと、センサ側アンテナASとを備えている。
基板本体BWの材質は、基板Wと同じ(例えば、シリコン)であり、基板Wと同じ形状を有する。
センサユニットSUは、基板本体BWの温度を検出する。各センサユニットSUは、基板本体BWの上面に設置されている。各センサユニットSUは、基板本体BWの各位置の温度を検出する。
本実施例では、16個のセンサユニットSUが基板本体BWに設置されている。1のセンサユニットSUは、基板本体BWの中心に配置されている。他の8のセンサユニットSUは、温度測定用基板WTの半径の約2分の1の半径を有し、基板本体BWの中心軸Pcと同心の円周上に、周方向に一定の間隔を空けて配置されている。残りの7のセンサユニットSUは、温度測定用基板WTの周縁部に、周方向に一定の間隔を空けて配置されている。
センサ側アンテナASは、ユニット側アンテナAUと非接触で(無線で)通信する。センサ側アンテナASは、ブロック131と複数のセンサ側コイルSCを備えている。
ブロック131は、基板本体BWの上面の周縁部に固定されている。ブロック131の材質は、例えば、石英である。本実施例では、ブロック131(センサ側アンテナAS)を、基板本体BWの周縁部の全周ではなく、一部のみに設置している。具体的には、センサ側アンテナASの周方向の長さは、基板本体BWの全周の4分の1以下である。このようにセンサ側アンテナASの外形をコンパクトにすることによって、センサ側アンテナASの熱容量を低減している。その結果、センサ側アンテナASが基板本体BWの温度に与える影響を小さくでき、温度測定用基板WTの検出結果の信頼性を高めることができる。
各センサ側コイルSCは、ブロック131の内部に設置されている。各センサ側コイルSCには、1のセンサユニットSUが電気的に接続されている。各センサ側コイルSCはそれぞれ、1のセンサユニットSUによって得られた検出信号を送信する。各センサ側コイルSCはそれぞれ、所定の位置に所定の向きで配置されている。
温度測定用基板WTが熱処理プレートPLに載置されているとき、温度測定用基板WTの向きが所定方向であれば、各センサ側コイルSCの軸心がそれぞれ1のユニット側コイルUCの軸心と完全に一致する。すなわち、ユニット側アンテナAUはそれぞれ1のセンサ側アンテナASと正対する。本明細書では、この所定方向を、「第1目標方向」という。なお、温度測定用基板WTの向きは、温度測定用基板WTの中心軸Pc回りにおける温度測定用基板WTの向き(角度)をいう。第1目標方向は、360度に対して1つ存在し、90度ごとや180度ごとに存在する方向ではない。第1目標方向は、熱処理プレートPLとユニット側アンテナAUの位置関係に依存するので、熱処理プレートPLごとに固有の値をとる。
このように構成される温度測定用基板WTは、平面視では基板Wと略同じ外形状を有する。すなわち、温度測定用基板WTと基板Wとで、平面視における輪郭の寸法は略同じである。センサ側アンテナAS等は、平面視で基板本体BW内に収まっており、基板本体BWからはみ出していない。温度測定用基板WTは非接触型であり、温度測定用基板WTにケーブルや機器等を接続しない。よって、温度測定用基板WTを搬送したり、載置する際、温度測定用基板WTを、基板Wと同様に取り扱うことができる。
本実施例では、各センサユニットSUはそれぞれ、水晶振動子と容器(いずれも不図示)とを備えている。水晶振動子は、温度に応じて水晶振動子の固有振動数が変化する。水晶振動子は、適宜な切り出し角度でカットされている。容器は、水晶振動子を気密に封止している。容器の材質は、例えばセラミックである。
温度を検出する際には、まず、ユニット側コイルUCに所定周波数の電流を流す。センサ側コイルSCには電磁誘導によって起電力が生じる。この起電力によって水晶振動子が共振する。その後、ユニット側コイルUCの電流を停止する。水晶振動子が減衰振動する。センサ側コイルSCが減衰振動に応じた周波数を含む検出信号を送信する。この検出信号をユニット側コイルUCが受信する。
このようにセンサユニットSUが水晶振動子で構成され、ユニット側アンテナAUがセンサユニットSUに電磁誘導により無線で給電する。給電は、検出信号を受信する都度、行えば足りる。このため、温度測定用基板WT自体は電源部を備えなくてもよいし、蓄電部を備えなくてもよい。また、温度測定用基板WTを給電したり充電するための設備を別途に準備しなくてもよい。
温度測定用基板WTの格納スペースは、たとえばキャリアC内や基板処理装置1内である。基板処理装置1内の場合、熱処理部50、55内の一画を格納スペースとして活用してもよいし、バッファ部BF内の1つの棚に温度測定用基板WTを載置してもよい。格納スペースに充電設備を設置しなくてもよいので、いずれの場所であっても温度測定用基板WTを適切に保管することができる。
[3−3 エッジ露光ユニットEEWの構成]
図9(a)、(b)を参照する。図9(a)は、エッジ露光ユニットの側面図であり、図9(b)は、エッジ露光ユニットの平面図である。
エッジ露光ユニットEEWは、保持部141とモータ143と露光ヘッド145とエッジ検出部147(アンテナ位置検出センサ)とを有する。
保持部141は載置された基板Wを水平姿勢で保持する。なお、図9(a)、9(b)では、温度測定用基板WTを図示している。モータ143は、保持部141と連結しており、保持部141を回転させる。これにより、保持部141に保持されている基板Wは、基板Wの中心軸Pc回りに回転する。モータ143にはエンコーダやポテンショメータ(いずれも不図示)が取り付けられており、モータ143の回転位置や回転量を検出可能に構成されている。
露光ヘッド145は、基板Wの周縁部に露光用の光(例えば紫外線)を照射して、基板W上に形成されたレジスト膜を露光する。露光ヘッド145は、保持部141に保持された基板Wの周縁部の上方に配置される。露光ヘッド145は、不図示の露光ヘッド用駆動機構によって水平方向(x方向およびy方向)に移動可能である。
エッジ検出部147は、基板Wの周縁部(輪郭)の位置を検出する。エッジ検出部147は、光照射部148と受光部149と備える。
光照射部148は、保持部141に保持された基板Wの周縁部の上方に配置される。受光部149は、基板Wの周縁部を挟んで光照射部148と対向する位置に配置される。
光照射部148は、下方に向けてエッジ検出用の光を照射する。光照射部148の光の一部は基板Wの周縁部に遮られ、その他は受光部149に入射する。すなわち、受光部149には、基板Wの周縁部が投影される。エッジ検出用の光は、平行光であることが好ましい。
受光部149は、光を受光し、受光した光の光量(受光量)に応じた検出信号を出力する。すなわち、受光部149は、基板Wの周縁部を撮像する。受光部149は、たとえば、CCD(電荷結合素子)ラインセンサである。
上述した保持部141、モータ143、露光ヘッド145、エッジ検出部147等は制御部91によって制御される。
エッジ露光ユニットEEWが基板Wの周縁部を露光する動作は、次の通りである。
搬送機構TB1d/TB2dが基板Wを保持部141に載置する。保持部141が基板Wを水平姿勢で保持する。モータ143が基板Wを回転し、エッジ検出部147が基板Wの周縁部の位置を検出する。エッジ検出部147が基板Wの周縁部全周の位置を検出すると、モータ143が停止する。
制御部91は、エッジ検出部147の検出結果(受光部149の検出信号)に基づいて、基板Wの周縁部の位置を計算する。基板Wの周縁部の位置は、具体的には、基板Wの向きや基板Wの偏心量である。ここで、基板Wの向きは、基板Wの中心軸Pc回りの基板Wの角度である。基板Wの向きは適宜に定義できる。例えば、基板Wの向きを、基板Wの中心軸Pcから基板Wの周縁部に形成されている切り欠きVに向かう方向としてもよい。切り欠きVは、たとえば、ノッチまたはオリエンテーションフラットである。
制御部91は、モータ143を制御して基板Wを回転させ、エッジ露光処理のために予め決められている方向に基板Wの向きを調整する。また、制御部91は、基板Wの偏心量に基づいて露光ヘッド用駆動機構を制御し、露光ヘッド145の位置を調整する。
続いて、モータ143が基板Wを回転させながら、露光ヘッド145が露光用の光を基板Wの周縁部に照射する。これにより、基板Wにエッジ露光処理が行われる。
エッジ露光処理が終了すると、搬送機構TB1d/TB2dは保持部141に保持された基板Wを取り、エッジ露光ユニットEEWから搬出する。
このように、エッジ露光ユニットEEWは、エッジ検出部147を備えているので、基板Wの向きを適切に調整した上で、エッジ露光処理を行うことができる。
[3−4 制御系の構成]
図10を参照する。図10は、実施例に係る基板処理装置の制御ブロック図である。
制御部91は、順番設定部161と、試験実行部163と、分析処理部169とに機能的に分けられる。
順番設定部161は、試験を実際に行う前に、複数の試験の予定(スケジュール)に関する試験予定情報を作成する。試験実行部163は、試験予定情報に従って複数の試験を行う。分析処理部169は、試験結果を分析する。試験実行部163は、さらに、搬送制御部164と、向き制御部165と、熱処理ユニット制御部166と、温度計測部167とに機能的に分けられる。以下、詳細に説明する。
順番設定部161は、試験予定情報を作成する。試験予定情報は、具体的には、各試験に一連の順番を関連づけたテーブルである。順番は、具体的には、「1番目」、「2番目」、…、「n番目」である。試験予定情報を生成するタイミングは、試験を実際に行う前である。
順番を設定すべき複数の試験は、試験リスト情報に規定されている。試験リスト情報は、記憶部93に予め記憶されている。また、試験リスト情報は、入出力部95を操作することによって、新規に作成されたり、修正される。このような試験リスト情報を順番設定部161が参照することによって、順番設定部161は複数の試験を特定する。
ここで、試験とは、熱処理プレートPLによって処理されている基板Wの温度(以下、「処理温度」という)を測定することである。熱処理ユニットPHP、CPおよびPEBに設置される任意の熱処理プレートPLを試験の対象とすることができる。
試験では、温度測定用基板WTを使用する。すなわち、熱処理プレートPLに載置された温度測定用基板WTの処理温度を測定し、測定された処理温度を熱処理プレートPLによる基板Wの処理温度とみなす。試験予定情報は、同じ温度測定用基板WTを使う複数の試験に対して、1つ生成される。1つの温度測定用基板WTを用いて複数の試験を同時に行うことができず、1つの試験が終了しなければ、他の試験を始められない。
試験は、熱処理プレートPLと試験温度を定めて行われる。より具体的には、試験は、熱処理プレートPLによる処理温度が試験温度となるように、試験の対象である熱処理プレートPLのプレート温度を所定の目標値に制御した状態で行われる。なお、試験温度は、基板Wの処理温度の目標値であり、プレート温度の目標値とは厳密には異なる。本明細書では、プレート温度の目標値を、「設定温度」と呼び、試験温度と区別する。
1回の試験につき、試験温度は1つに限られる。たとえば、同じ熱処理プレートPLにおいて2以上の試験温度で試験を行った場合、2回以上の試験を行ったとことになる。
搬送制御部164は、各搬送機構TA、TB1c、TB1d、TB2c、TB2d、TC1a、TC1b、ローカル搬送機構TLを制御し、温度測定用基板WTを搬送させる。
本明細書では、各搬送機構TA、TB1c、TB1d、TB2c、TB2d、TC1a、TC1b、ローカル搬送機構TLを、「搬送部」と総称する。搬送部は、温度測定用基板WTを搬送する。
向き制御部165は、温度測定用基板WTの向きを調整する。具体的には、温度測定用基板WTが熱処理プレートPLに載置されたときに温度測定用基板WTが第1目標方向を向くように温度測定用基板WTの向きを調整する。この調整を「プレート用調整」と呼ぶ。
また、温度測定用基板WTが格納スペースに搬入されたときに温度測定用基板WTの向きが第2目標方向となるように、温度測定用基板WTの向きを調整する。この調整を「格納用調整」と呼ぶ。ここで、第2目標方向は、格納スペースにおける温度測定用基板WTの適切な向きであり、予め設定されている。第2目標方向については、後述する。
調整は、エッジ露光ユニットEEWに設置されている保持部141、モータ143およびエッジ検出部147を制御することによって行う。これら保持部141、モータ143およびエッジ検出部147は、基板Wの向きのみならず、温度測定用基板WTの向きを変更できる。すなわち、保持部141、モータ143およびエッジ検出部147は、温度測定用基板WTの向きを変える調整機構MDを構成する。なお、エッジ露光ユニットEEW01、EEW02に設置される各調整機構MDを区別するときには、「調整機構MD01」、「調整機構MD02」と記載する。
熱処理ユニット制御部166は、各熱処理ユニットHUのヒータ109等を制御する。なお、ローカル搬送機構TLは熱処理ユニットHUの一要素であるが、本実施例では、ローカル搬送機構TLについては、熱処理ユニット制御部166ではなく、搬送制御部164が制御する。
温度計測部167は、温度測定用基板WTの検出信号を処理する。具体的には、温度計測部167は、ユニット側アンテナAUと有線で電気的に接続されている。温度計測部167は、ユニット側アンテナAUが受信した検出信号に基づいて、複数(例えば16)の温度データTDを生成する。
分析処理部169は、温度計測部167によって生成された温度データTDを分析する。
記憶部93は、上述した試験リスト情報のほか、プレート性能情報、試験レシピ情報、受け渡し位置情報、目標方向情報、気流形成設備情報、分析用情報等を予め記憶している。プレート性能情報は、熱処理プレートPLの性能に関する情報が規定されている。試験レシピ情報は、試験の要領(条件)に関する情報が規定されている。受け渡し位置情報は、搬送部の位置に関する情報が規定されている。目標方向情報は、第1目標方向および第2目標方向に関する情報が規定されている。気流形成設備情報は、気流形成設備に関する情報が規定されている。分析用情報は、原因および対策に関する情報が規定されている。
また、記憶部93は、順番設定部161が生成した試験予定情報を適宜に記憶する。
入出力部95は、試験リスト情報の作成や修正に関する命令を受け付ける。その際、入出力部95は、試験リスト情報を編集するための編集画面を表示してもよい。また、入出力部95は、試験結果や、分析処理部169による分析結果等を表示する。
基板処理装置1は、本発明における基板処理装置に相当するのみならず、本発明における分析装置に相当し、本発明における試験予定作成装置に相当する。
[4. 熱処理プレートPLを試験するための動作]
次に、基板処理装置1の熱処理プレートPLを試験する動作について説明する。図11は、熱処理プレートの試験の概略的な手順を示すフローチャートである。
<ステップS1> 試験予定作成過程
試験の実施に先立って、試験予定情報を生成する。試験予定作成過程は、本発明における試験予定作成方法に相当する。
<ステップS2、S3> 試験連続実施過程
試験予定情報に規定される一連の試験を実施する。具体的には、試験予定情報に従って温度測定用基板WTを熱処理プレートPLに搬送し、1番目の試験から順に試験を1つずつ行う。このようにして一連の試験を全て終了するまで試験を連続的に行う。なお、ステップS3の過程は、ステップS2の過程に含まれる1つ1つの試験のみを意味する。
<ステップS4> 分析
試験の結果を分析する。
<ステップS5> 出力
試験の結果および/または分析の結果を出力する。
以下では、ステップS1乃至S4の各動作について詳細に説明する。
[4−1 S1(試験予定作成過程の作成)の詳細な動作例]
図12は、試験予定作成過程の詳細な手順を示すフローチャートである。
<ステップS11> 試験特定過程
順番設定部161は、記憶部93に記憶されている試験リスト情報または入出力部95に入力された試験リスト情報を参照し、順番を割り当てるべき試験を特定する。試験リスト情報には、複数の試験が規定されている。試験リスト情報は、試験対象である熱処理プレートPLや試験温度を特定するための情報を含む。
図13は、試験リスト情報の一例を示す模式図である。図13に示す試験リスト情報は、試験識別情報とユニット識別情報とカテゴリー識別情報とプレート識別情報と試験温度とを関連付けたテーブルである。この試験リスト情報には、7つの試験(TeA乃至TeG)が規定されている。ここで、試験識別情報は、各試験を識別するための情報である。ユニット識別情報は、熱処理ユニットHUを識別するための情報である。カテゴリー識別情報は、熱処理ユニットHUのカテゴリーを識別するための情報である。プレート識別情報は、熱処理プレートPLを識別するための情報である。
<ステップS12> 負担量比較過程
順番設定部161は、各熱処理プレートPLの初期負担量を比較し、初期負担量が最も大きな熱処理プレートPLを特定する。
初期負担量は、試験特定過程によって特定された全ての試験が各熱処理プレートPLに与える負担を数値化したものである。初期負担量は、熱処理プレートPLに対する試験数、プレート温度を変更するのに要する変更時間、および、プレート温度の温度変化速度の少なくともいずれかを基礎とする数値である。
試験数は、試験リスト情報によって与えられる。同じ熱処理プレートPLに対して2以上の試験温度が設定されている場合、その熱処理プレートPLの試験数は2以上になる。図13の試験リスト情報では、熱処理プレートPL03、PL11の試験数はそれぞれ「2」であり、熱処理プレートPL18の試験数は「3」である。
変更時間と温度変化速度はそれぞれ、熱処理プレートPLの性能を示す指標であり、熱処理プレートPLの材質、使用温度域または使用環境等に依存する。これら変更時間や温度変化速度のような熱処理プレートPLの性能に関する情報は、プレート性能情報に規定されている。プレート性能情報は、記憶部93に予め記憶されている。
図14は、プレート性能情報の一例を示す模式図である。図14に示すプレート性能情報は、プレート識別情報と変更時間とを関連付けたテーブルである。図14では変更時間の欄が空欄になっているが、実際には各欄に一つの値、具体的には、各熱処理プレートPLの変更時間を代表する値が設定されている。なお、熱処理プレートPLごとに設定されている1つの変更時間のみによっても、各熱処理プレートPLの性能の相対的な関係(性能比)を十分に表すことができる。このため、このような変更時間を基礎とする場合であっても適切な初期負担量を算出できる。
初期負担量は、負担が大きいほど大きな値をとるように定義することが好ましい。具体的には、初期負担量は、試験数が多いほど大きくなる傾向、変更時間が長いほど大きくなる傾向、温度変化速度が遅いほど大きくなる傾向の少なくともいずれかを示すことが好ましい。
初期負担量は、例えば、試験数そのものであってもよい。これによれば、試験リスト情報のみに基づいて各熱処理プレートPLの初期負担量を特定できる。また、初期負担量は、各熱処理プレートPLの変更時間を基準となる時間で除した値でもよい。これによれば、その後の演算処理において扱い易い数値に整えることができる。あるいは、初期負担量は、例えば、試験数と変更時間の積でもよい。この場合、順番設定部161は、試験リスト情報とプレート性能情報を参照することによって、各熱処理プレートPLの初期負担量を算出する。
<ステップS13> 1番目割当過程
順番設定部161は、負担量比較過程によって特定された熱処理プレートPLに対する1の試験に、「1番目」の順番を割り当てる。「1番目」は最初の順番である。「1番目」の順番が割り当てられた試験は、割当済試験となる。なお、「割当済試験」以外の試験、すなわち、未だ順番が割り当てられていない試験を「未割当試験」と呼ぶ。
特定された熱処理プレートPLの試験数が2以上である場合、いずれの試験に順番を割り当ててもよい。
<ステップS14> タイミング推定過程
順番設定部161は、割当済試験の全てを行う場合を仮想する。本ステップS14を開始する時点を基準とすると、既にいずれかの試験に「1番目」が割り当てられているので、少なくとも1以上の割当済試験が必ず存在する。このような仮定のもとで、割当済試験を行った後に、未割当試験の中で最も早く開始できる未割当試験を推定する。推定をする際、順番設定部161はプレート性能情報を参照し、各熱処理プレートPLの性能を考慮する。そして、割当済試験の終了時を基準として、各未割当試験を開始できるタイミング(時刻)をそれぞれ計算する。
<ステップS15> 2番目以降割当過程
タイミング推定過程によって推定された未割当試験に、次の順番を割り当てる。なお、「次の順番」は、割当済試験の数をnとすると、「(n+1)番目」である。これにより、「2番目」、「3番目」等、「2番目」以降の順番を未割当試験に割り当てる。
<ステップS16> 全ての試験に順番を割り当てたか?
順番設定部161は、全ての試験に順番を割り当てたか否かを判断する。割り当てたと判断した場合には、試験予定情報が完成したことになり、終了する。そうでないと判断した場合には、ステップS14に戻る。これにより、全ての試験に順番を割り当てるまでステップS14、S15の処理を繰り返す。
完成した試験予定情報は、記憶部93に適宜に記憶される。また、完成した試験予定情報は、試験実行部163に与えられる。
上述したステップS12、S13は、本発明における1番目作成過程に相当する。また、ステップS14、S15は、本発明における2番目以降作成過程に相当する。
ここで、2つのケースを例にとって、ステップS1(試験予定情報の作成)の処理を具体的に説明する。
[ケース1]
図15(a)は、ケース1における試験リスト情報であり、図15(b)は、ケース1におけるプレート性能情報である。図15(a)では、ユニット識別情報等が省略された簡素な試験リスト情報を例示している。なお、初期負担量は、試験数と変更時間の積とする。各試験の試験時間を10分と仮定する。
<ステップS11> 試験特定過程
試験リスト情報を参照して、試験TeA、TeB、TeCを特定する。
<ステップS12> 負担量比較過程
試験リスト情報およびプレート性能情報を参照して、以下の事項を特定する。
・(熱処理プレートPL01に対する試験数)=1
・(熱処理プレートPL02に対する試験数)=2
・(熱処理プレートPL01の変更時間)=3[min]
・(熱処理プレートPL02の変更時間)=3[min]
・(熱処理プレートPL01の初期負担量)=3
・(熱処理プレートPL02の初期負担量)=6
・(熱処理プレートPL01の初期負担量)<(熱処理プレートPL02の初期負担量)
・(初期負担量が最も大きな熱処理プレートPL)=熱処理プレートPL02
<ステップS13> 1番目割当過程
熱処理プレートPL02に対する1の試験に「1番目」を割り当てる。このとき、試験TeB、TeCのいずれに「1番目」を割り当ててもよい。ここでは、試験TeBを1番目に割り当てたとする。試験TeBは、割当済試験になる。
<ステップS14> タイミング推定過程(1回目)
試験TeBを行うと仮定して、以下の事項を推定する。
・未割当試験=試験TeA、TeC
・(試験TeAの開始タイミング)=試験TeBの終了時から0分後
・(試験TeCの開始タイミング)=試験TeBの終了時から3分後
・(試験TeBの終了後に最も早く開始できる未割当試験)=試験TeA
ここでは、試験TeBの終了時までに熱処理プレートPL01のプレート温度を約100度に変更し終えるものとして、試験TeAの開始タイミングを推定している。また、試験TeBの終了時に、熱処理プレートPL02のプレート温度を約100度から約150度に変更し始めるものとして、試験TeCの開始タイミングを推定している。なお、熱処理プレートPL02から熱処理プレートPL01に温度測定用基板WTを搬送する時間については無視している。
<ステップS15> 2番目以降割当過程(1回目)
試験TeAに「2番目」を割り当てる。試験TeAは割当済試験となる。
<ステップS16> 全ての試験に順番を割り当てたか?
未割当試験TeCが残っているので、ステップS14に戻る。
<ステップS14> タイミング推定過程(2回目)
試験TeB、TeAを行うと仮定して、以下の事項を推定する。
・未割当試験=試験TeC
・(試験TeCの開始タイミング)=試験TeAの終了時から0分後
・(試験TeB、TeAの終了後に最も早く開始できる未割当試験)=試験TeC
<ステップS15> 2番目以降割当過程(2回目)
試験TeCに「3番目」を割当てる。試験TeCは割当済試験となる。
<ステップS16> 全ての試験に順番を割り当てたか?
全ての試験が割当済試験であるので、ステップS1(試験予定作成過程)の処理を終了する。
これにより、図16に例示するような試験予定情報が作成される。図16は、ケース1における試験予定情報を例示する模式図である。
図17(a)、(b)を参照する。図17(a)、(b)は、ケース1における一連の試験の工程表である。図17(a)は、本実施例によって作成された試験予定情報に基づく工程表である。図17(b)は、試験TeA、TeB、TeCの順に試験を行う場合(比較例)の工程表である。なお、図17(a)、(b)では、温度測定用基板WTを熱処理プレートPL01、PL02間で搬送するための時間を無視している。
一連の試験の開始時から終了時までの期間を、「総試験時間」とする。図17(a)に示すように、本実施例では、総試験時間が30分である。図17(b)に示すように、比較例では、総試験時間が33分である。このように、本実施例によれば、比較例よりも総試験時間を3分短縮できる。
[ケース2]
図18(a)は、ケース2における試験リスト情報であり、図18(b)は、ケース2におけるプレート性能情報である。なお、初期負担量は、試験数と変更時間の積とする。各試験の試験時間を10分と仮定する。
<ステップS11> 試験特定過程
試験リスト情報を参照して、試験TeA、TeB、TeC、TeDを特定する。
<ステップS12> 負担量比較過程
リスト情報およびプレート性能情報を参照して、以下の事項を特定する。
・(熱処理プレートPL01の初期負担量)=6
・(熱処理プレートPL03の初期負担量)=60
・(熱処理プレートPL01の初期負担量)<(熱処理プレートPL03の初期負担量)
・(初期負担量が最も大きな熱処理プレートPL)=熱処理プレートPL03
<ステップS13> 1番目割当過程
熱処理プレートPL03に対する1の試験に「1番目」を割り当てる。ここでは、試験TeCを「1番目」に割り当てたとする。試験TeCは割当済試験になる。
<ステップS14> タイミング推定過程(1回目)
試験TeCを行うと仮定して、以下の事項を推定する。
・(試験TeAの開始タイミング)=試験TeCの終了時から0分後
・(試験TeBの開始タイミング)=試験TeCの終了時から0分後
・(試験TeDの開始タイミング)=試験TeCの終了時から30分後
・(試験TeAの終了後に最も早く開始できる未割当試験)=試験TeA、TeB
<ステップS15> 2番目以降割当過程(1回目)
試験TeA、TeBのいずれかに「2番目」を割り当てる。ここでは、試験TeAに「2番目」を割り当てたとする。試験TeAは割当済試験となる。
<ステップS16> 全ての試験に順番を割り当てたか?
未割当試験TeB、TeDが残っているので、ステップS14に戻る。
<ステップS14> タイミング推定過程(2回目)
試験TeC、TeAを行うと仮定して、以下の事項を推定する。
・(試験TeBの開始タイミング)=試験TeAの終了時から3分後
・(試験TeDの開始タイミング)=試験TeAの終了時から20分後
・(試験TeAの終了後に最も早く開始できる未割当試験)=試験TeB
<ステップS15> 2番目以降割当過程(2回目)
試験TeBに「3番目」を割り当てる。試験TeBは割当済試験となる。
<ステップS16> 全ての試験に順番を割り当てたか?
未割当試験TeDが残っているので、ステップS14に戻る。
<ステップS14> タイミング推定過程(3回目)
試験TeC、TeA、TeBを行うと仮定して、以下の事項を推定する。
・(試験TeDの開始タイミング)=試験TeBの終了時から7分後
・(試験TeBの終了後に最も早く開始できる未割当試験)=試験TeD
<ステップS15> 2番目以降割当過程(3回目)
試験TeDに「4番目」を割り当てる。試験TeDは割当済試験となる。
<ステップS16> 全ての試験に順番を割り当てたか?
全ての試験が割当済試験であるので、ステップS1(試験予定作成過程)の処理を終了する。
これにより、図19に例示するような試験予定情報が作成される。図19は、ケース2における試験予定情報を例示する模式図である。
図20(a)、(b)を参照する。図20(a)、(b)は、ケース2における一連の試験の工程表である。図20(a)は、本実施例によって作成された試験予定情報に基づく工程表である。図20(b)は、試験TeA、TeC、TeB、TeDの順に試験を行う場合(比較例)の工程表である。なお、図20(a)、(b)では、温度測定用基板WTを熱処理プレートPL01、PL03間で搬送するための時間を無視している。
図20(a)、(b)に示すように、本実施例では、総試験時間は50分である。比較例では総試験時間は60分である。このように、本実施例によれば、比較例よりも総試験時間を10分短縮できる。
ステップS1(試験予定作成過程)の効果
試験予定作成過程は、1番目作成過程と2番目以降作成過程を備えているので、試験を実際に行う前に試験予定情報を好適に作成できる。すなわち、各試験に最適な順番をそれぞれ設定することができる。この試験予定情報に従えば、複数の試験を効率良く実施できる。
また、1番目作成過程は、負担量比較過程と1番目割当過程を備え、初期負担量が最も大きい熱処理プレートPLに対する試験を「1番目」とする。これにより、「1番目」が割り当てられた試験の対象である熱処理プレートPLに対して試験温度を変えて複数の試験を行う場合であっても、その熱処理プレートPLのプレート温度を変更している間に他の熱処理プレートPLに対する試験を行うようなスケジュールを作成し易い。よって、総試験時間が比較的に短い試験予定情報を作成できる。
また、2番目以降作成過程は、タイミング推定過程と2番目以降割当過程を備えているので、総試験時間が比較的に短い試験予定情報を作成できる。特に、タイミング推定過程を備えているので、試験と試験の間の待ち時間を最小にできる。
また、タイミング推定過程は変更時間を考慮して未割当試験の開始タイミングを推定するので、変更時間に起因する試験と試験の間の待ち時間を最小にできる。
ステップS1(試験予定作成過程)の変形実施例
上述したステップS11〜S16の各処理を適宜に変更してもよい。以下、変形実施例を説明する。
(1)1番目作成過程について
1番目作成過程は、負担量比較過程と1番目割当過程を備えていたが、これに限られない。例えば、1番目作成過程は、さらに、特定結果判定過程と補助比較過程を備えるように変更してもよい。この変形実施例によれば、負担量比較過程が2以上の熱処理プレートPLを特定した場合であっても、その中から熱処理プレートPLをさらに選別することができ、最適な試験に「1番目」を割り当てることができる。
図21を参照する。図21は、変形実施例にかかる試験予定作成過程の詳細な手順を示すフローチャートである。図21に示すフローチャートにおいては、ステップS112乃至S115が、本発明における1番目作成過程に相当する。
まず、負担量比較過程は、負担量が最も大きい熱処理プレートPLを特定する(ステップS112)。続いて、負担量比較過程の処理結果に、2以上の熱処理プレートPLが含まれているか否かを判定する(ステップS113)。その結果、含まれていると判定した場合には、補助比較過程(ステップS114)に進む。そうでない場合には、1番目割当過程(ステップS115)に進む。ステップS113が、特定結果判定過程である。
補助比較過程は、負担量比較過程が特定した2以上の熱処理プレートPLの中で、補助初期負担量が最も大きな熱処理プレートPLを特定する(ステップS114)。
ここで、補助初期負担量は、初期負担量とは別の観点から熱処理プレートPLの負担を数値化したものである。すなわち、補助初期負担量は、熱処理プレートPLに対する試験数、プレート温度を変更するのに要する変更時間、および、プレート温度の温度変化速度の少なくともいずれかであって、初期負担量の基礎と異なるものを基礎とする数値である。例えば、初期負担量が試験数および変更時間を基礎とする数値である場合には、試験数のみを基礎とする補助初期負担量を採用してもよい。
補助比較過程が熱処理プレートPLを特定した場合には、1番目割当過程は、負担量比較過程の処理結果に関係無く、補助比較過程が特定した熱処理プレートPLを対象とする1の試験に「1番目」を割り当てる(ステップS115)。他方、補助比較過程が熱処理プレートPLを特定しなかった場合(すなわち、含まれていると特定結果判定過程によって判定されなかった場合)、1番目割当過程は、負担量比較過程が特定した熱処理プレートPLを対象とする1の試験に「1番目」を割り当てる(ステップS115)。
このような変形実施例によれば、初期負担量が最も大きい熱処理プレートPLが2以上存在する場合であっても、初期負担量とは異質な指標である補助初期負担量を用いて、負担のより大きな熱処理プレートPLを的確に特定できる。よって、総試験時間が一層短い試験予定情報を作成できる。
(2)2番目以降作成過程について
2番目以降作成過程は、タイミング推定過程と2番目以降割当過程を例示したが、これに限られない。以下、3つの変形実施例を説明する。
(2−1)2番目以降作成過程は、さらに、推定結果判定過程と補助推定過程を備えるように変更してもよい。推定結果判定過程は、タイミング推定過程の推定結果に、異なる熱処理プレートPLを対象とする複数の未割当試験が含まれているか否かを判定する。含まれていると推定結果判定過程が判定した場合には、補助推定過程は、タイミング推定過程が推定した未割当試験の対象となっている複数の熱処理プレートPLの中で、各熱処理プレートPLの残負担量が最も大きな熱処理プレートPLを推定する。
そして、補助推定過程が熱処理プレートPLを推定した場合には、2番目以降割当過程は、タイミング推定過程の推定結果に関わらず、補助推定過程によって推定された熱処理プレートPLを対象とする未割当試験に、次の順番を割り当てる。他方、補助推定過程が熱処理プレートPLを推定しなかった場合(すなわち、含まれていると推定結果判定過程が判定しなかった場合)には、2番目以降割当過程は、タイミング推定過程が推定した未割当試験に次の順番を割り当てる。
ここで、残負担量は、未割当試験が各熱処理プレートPLに与える負担を表す数値であって、残数、変更時間、および、温度変化速度の少なくともいずれかを基礎とする数値である。「残数」とは、熱処理プレートに対する未割当試験の数である。
残負担量は、負担が大きいほど大きな値をとるように定義することが好ましい。具体的には、残負担量は、残数が多いほど大きくなる傾向、変更時間が長いほど大きくなる傾向、および、温度変化速度が遅いほど大きくなる傾向の少なくともいずれかを示すことが好ましい。
このような変形実施例によれば、タイミング推定過程が、異なる熱処理プレートPLを対象とする複数の未割当試験を推定した場合であっても、複数の未割当試験をさらに絞り込むことができる。具体的には、熱処理プレートPLの残負担量がより大きい熱処理プレートPLを対象とする未割当試験を選別することができる。そして、選別されなかった未割当試験よりも選別された未割当試験に優先的に次の順番を割り当てることができる。このため、総試験時間が一層短い試験予定情報を作成できる。
(2−2)タイミング推定過程に代えて、残負担量推定過程を採用してもよい。残負担量推定過程は、残負担量が最も大きな熱処理プレートPLを推定する。この変形実施例では、2番目以降割当過程は、残負担量推定過程が推定した未割当試験に次の順番を割り当てる。
さらに、この変形実施例において、2番目以降作成過程は、推定結果判定過程と補助推定過程を備えるように変更してもよい。推定結果判定過程は、残負担量推定過程の推定結果に、2以上の熱処理プレートPLが含まれているか否かを判定する。補助推定過程は、含まれていると推定結果判定過程が判定した場合には、残負担量推定過程が推定した2以上の熱処理プレートPLの中で、熱処理プレートPLの補助残負担量が最も大きな熱処理プレートPLを推定する。
ここで、補助残負担量は、残負担量とは別の観点から熱処理プレートPLの負担を数値化したものである。すなわち、補助残負担量は、残数、変更時間、および、温度変化速度の少なくともいずれかであって、残負担量の基礎と異なるものを基礎とする数値である。
(2−3)2番目以降作成過程は、さらに、未割当試験判定過程と候補限定過程を備えるように変更してもよい。未割当試験判定過程は、異プレート未割当試験が存在するか否かを判定する。異プレート未割当試験が存在すると判定された場合には、候補限定過程は、次の順番を割り当てる試験の候補を異プレート未割当試験に限定する。
ここで、「異プレート未割当試験」は、直近に順番が割り当てられた割当済試験の対象である熱処理プレートPLとは異なる熱処理プレートPLを対象とする未割当試験である。未割当試験のうち異プレート未割当試験以外は全て、「同プレート未割当試験」である。同プレート未割当試験は、直近に順番が割り当てられた割当済試験と同じ熱処理プレートPLに対する未割当試験である。候補限定過程が候補を限定すると、仮に同プレート未割当試験が存在していても、同プレート未割当試験は候補から外れる。なお、「直近に順番が割り当てられた割当済試験」とは、割当済試験の中で、最後に順番が割り当たられた割当済試験をいう。
上記(2−2)、(2−3)について、図21を参照して具体的に説明する。図21に示すフローチャートにおいて、ステップS116乃至S121が、本発明における2番目以降作成過程に相当する。
ステップS116は、未割当試験判定過程である。未割当試験判定過程は、直前に順番が割り当てられた割当済試験の対象である熱処理プレートPLを特定する。そして、特定された熱処理プレートPLとは異なる熱処理プレートPLを対象とした未割当試験、すなわち、異プレート未割当試験が存在するか否かを判定する(S116)。その結果、存在すると判定した場合には、候補限定過程(ステップS117)に進む。そうでない場合には、残負担量推定過程(ステップS118)に進む。
候補限定過程は、全ての未割当試験のうち、異プレート未割当試験のみを、次の順番を割り当てる試験の候補に決定する(ステップS117)。
候補限定過程によって候補が限定された場合、残負担量推定過程は、異プレート未割当試験の対象となっている熱処理プレートPLの中で残負担量が最も大きな熱処理プレートPLを推定する(ステップS118)。他方、候補限定過程によって候補が限定されなかった場合、残負担量推定過程は、全ての熱処理プレートPLの中で、残負担量が最も大きな熱処理プレートPLを推定する(ステップS118)。
ステップS119は、推定結果判定過程である。推定結果判定過程は、残負担量推定過程によって2以上の熱処理プレートPLが推定されたか否かを判定する(ステップS119)。その結果、2以上の熱処理プレートPLが推定されたと推定結果判定過程が判定した場合には、補助推定過程(ステップS120)に進む。そうでない場合には、2番目以降割当過程(ステップS121)に進む。
補助推定過程は、残負担量推定過程によって推定された2以上の熱処理プレートPLの中で、補助残負担量の最も大きな熱処理プレートPLを推定する(ステップS120)。
補助推定過程が熱処理プレートPLを推定した場合には、2番目以降割当過程は、残負担量推定過程の処理結果に関係無く、補助推定過程によって推定された熱処理プレートPLを対象とする1の試験に次の順番を割り当てる(ステップS121)。他方、補助推定過程が熱処理プレートPLを推定しなかった場合には、2番目以降割当過程は、残負担量推定過程によって推定された熱処理プレートPLを対象とする1の試験に次の順番を割り当てる(ステップS121)。
ステップS122は、全ての試験に順番を割り当てたか否かを判断する。割り当てたと判断した場合には、試験予定情報が完成したことになり、終了する。そうでないと判断した場合には、ステップS116に戻る。これにより、全ての試験に順番を割り当てるまでステップS116乃至S121の処理を繰り返す。
このように、2番目以降作成過程は、残負担量推定過程と2番目以降割当過程を備え、残負担量の最も大きい熱処理プレートPLを対象とする試験に次の順番を割り当てる。一部の熱処理プレートPLのプレート温度を変更している間に他の熱処理プレートPLに対する試験を行うようなスケジュールを作成し易い。よって、総試験時間が比較的に短い試験予定情報を作成できる。
また、2番目以降作成過程は、推定結果判定過程と補助推定過程を備えている。このため、残負担量が最も大きい熱処理プレートPLが2以上存在する場合であっても、残負担量とは異質な指標である補助残負担量を用いて、負担がより大きい熱処理プレートPLを的確に特定できる。よって、総試験時間がより短い試験予定情報を作成できる。
また、2番目以降作成過程は、未割当試験判定過程と候補限定過程を備えているので、同プレート未割当試験よりも異プレート未割当試験に優先的に次の順番を割り当てることができる。これにより、試験と試験の間の待ち時間がより短い試験予定情報を作成できる。
(3)試験特定過程について
試験特定過程(ステップS11、S111)については詳しく説明しなかったが、試験特定過程を適宜に選択、設計することができる。例えば、試験特定過程において、ユーザーが入出力部95に入力した情報、及び、記憶部93に記憶されている情報の少なくともいずれかに基づいて試験リスト情報を作成・修正してもよい。
(4)温度測定用基板WTの数について
上述した実施例では、1枚の温度測定用基板WTを使用して複数の試験を行う場合における動作を例示したが、これに限られない。たとえば、複数の温度測定用基板WTを用いて試験を行う場合であっても、試験予定作成過程を適用できる。この場合、各温度測定用基板WTについて試験予定作成過程をそれぞれ実行し、温度測定用基板WTごとに1つの試験予定情報を作成する。
(5)複数の試験について
上述した実施例では、複数の試験は、熱処理プレートPLおよび試験温度の双方が異なる試験であったが、これに限られない。複数の試験は、熱処理プレートPLおよび試験温度の一方のみが異なる試験であってもよい。
(6)試験の対象について
上述した実施例では、試験の対象については特に説明しなかったが、次のように変更してもよい。たとえば、複数の試験を、上層K1に含まれる熱処理プレートPLを対象とする試験で構成される上層試験グループと、下層K2に含まれる熱処理プレートPLを対象とする試験で構成される下層試験グループに区分し、上層試験グループに含まれる試験のみについて1の試験予定情報を作成し、下層試験グループに含まれる試験のみについて別の試験予定情報を作成してもよい。あるいは、試験が属するグループに関係なく、上層試験グループおよび下層試験グループに含まれる各試験について1つの試験予定情報を作成してもよい。
(7)プレート性能情報について
プレート性能情報は、プレート識別情報と変更時間とを関連付けたテーブルであったが、これに限られない。たとえば、熱処理プレートPLの性能によって熱処理プレートPLをプレートカテゴリーに分類できる場合には、プレートカテゴリー識別情報とプレート性能情報(例えば、変更時間に関する情報)とを関連付けたテーブルに変更してもよい。ここで、プレートカテゴリー識別情報は、熱処理プレートPLが属するプレートカテゴリーを識別するための情報である。これによれば、1のプレートカテゴリー識別情報によって複数の熱処理プレートPLを一括して特定できるので、プレート性能情報をより簡素にできる。
また、プレート性能情報は、変更時間に関する情報および温度変化速度に関する情報の少なくともいずれかを含むように変更してもよい。これによれば、変更時間に関する情報および温度変化速度に関する情報の少なくともいずれかに基づいて、未割当試験を開始できるタイミングを好適に計算できる。また、種々の負担量を好適に求めることができる。
[4−2 S2(試験連続実施過程)の詳細な動作例]
図22は、試験連続実施過程の詳細な手順を示すフローチャートである。図23は、温度測定用基板WTの搬送経路の一例を模式的に示す図である。
ここでは、図23に示すように、温度測定用基板WTの格納スペースをキャリアC内とする。説明の便宜上、上層K1(熱処理ユニット群51、56)に設置されている熱処理プレートPLのみを各試験の対象とする。また、上層K1(熱処理ユニット群56)に設置されているエッジ露光ユニットEEW01において温度測定用基板WTの向きを調整するものとする。
<ステップS21> 搬出過程
搬送制御部164は、搬送機構TAを制御して、ID部11に載置されているキャリアCから温度測定用基板WTを搬出する。なお、キャリアCは、専ら温度測定用基板WTを収容するための専用キャリアであってもよいし、基板Wも収容可能な兼用キャリアであってもよい。
<ステップS22> 温度測定用基板をエッジ露光ユニットに搬送する
搬送制御部164は、搬送機構TA、TB1c、TB1dを制御して、エッジ露光ユニットEEW01に温度測定用基板WTを搬送する。温度測定用基板WTは、保持部141に載置される。
<ステップS23> プレート用調整
向き制御部165は、エッジ露光ユニットEEW01に設置される調整機構MD01を制御することによって、プレート用調整を行う。これにより、調整機構MD01は、温度測定用基板WTの向きを変える。
より詳しくは、向き制御部165は、試験予定情報を参照して、「1番目」の試験の対象となっている熱処理プレートPLを特定する。そして、特定した熱処理プレートPLに温度測定用基板WTが載置されたときに温度測定用基板WTの向きが第1目標方向となるように、エッジ露光ユニットEEWにおいて温度測定用基板WTの向きを調整する。
第1目標方向は、記憶部93に記憶されている目標方向情報に予め規定されている。向き制御部165は、目標方向情報を参照して第1目標方向を特定する。
図24は、目標方向情報の一例を示す模式図である。図24に示す目標方向情報は、第1目標方向のみならず第2目標方向に関する情報が規定されている。具体的には、目標方向情報は、プレート識別情報と第1目標方向とを関連付けたテーブルと、格納スペース識別情報と第2目標情報とを関連付けたテーブルを含む。ここで、格納スペース識別情報は、格納スペースを識別するための情報である。
温度測定用基板WTの向きを調整する際、向き制御部165は、第1向き変動量を考慮する。第1向き変動量は、搬送部がエッジ露光ユニットEEW(調整機構MD)から熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを搬送する間に温度測定用基板WTの向きが変動する量である。
図25(a)、(b)、(c)を参照する。図25(a)、(b)、(c)は、エッジ露光ユニットEEWにおける温度測定用基板WTの向きと熱処理プレートPLにおける温度測定用基板WTの向きとの関係を模式的に示す図である。各図において、左側の図は、搬送機構TB1dがエッジ露光ユニットEEW01から温度測定用基板WTを取るときを示し、右側の図は、搬送機構TB1dが熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを渡すときを図示する。図25(a)、(b)、(c)に示す熱処理プレートPL15、PL16、PL17はいずれも、冷却ユニットCPに設置されている。
図25(a)、(b)、(c)では、温度測定用基板WTの向きDE、DHを、便宜上、温度測定用基板WTの中心軸Pcからセンサ側アンテナASの一端に延びる向きによって示している。向きDEは、エッジ露光ユニットEEWにおける温度測定用基板WTの向きである。向きDHは、熱処理プレートPL上に載置された温度測定用基板WTの向きである。図25(a)、(b)、(c)の右側の図では、向きDEを重ねて図示している。
第1向き変動量は、向きDEと向きDHのなす角度ACである。各図では、第1向き変動量ACa、ACb、ACcが異なっている場合を示している。このように、第1向き変動量ACは一律とは限らない。すなわち、第1向き変動量は、熱処理プレートPLごとに固有の値をとる。
また、図25(a)、(b)、(c)に明示するように、温度測定用基板WTが熱処理プレートPLに載置されたとき、センサ側アンテナASはユニット側アンテナAUの真正面に位置している。すなわち、向きDHa、DHb、DHcはそれぞれ、熱処理プレートPL15、PL16、PL17における第1目標方向であり、各温度測定用基板WTはそれぞれ、第1目標方向DHa、DHb、DHcを向いた状態で載置されている。したがって、向きDEa、DEb、DEcは、エッジ露光ユニットEEWにおいて調整すべき温度測定用基板WTの向きである。なお、各図では、第1目標方向DHa、DHb、DHcが互いに異なっている場合を示している。
各図から明らかなように、向きDEa、DEb、DEcは、第1目標方向DHに第1向き変動量ACを加減算することによって求められる。
ここで、第1向き変動量ACの特定方法を例示する。
第1向き変動量ACは、搬送部の受け渡し位置によって決まる。例えば、図25(a)の場合、向き変動量ACaは、エッジ露光ユニットEEW(調整機構MD)から温度測定用基板WTを取るときの搬送機構TB1dの位置と、熱処理プレートPL15に温度測定用基板WTを渡すときの搬送機構TB1dの各位置によって決まる。
搬送部の受け渡し位置は、受け渡し位置情報に規定されている。受け渡し位置情報は、搬送部がエッジ露光ユニットEEW(調整機構MD)から温度測定用基板WTを取るときの搬送部の位置に関する情報、および、搬送部が熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを渡すときの搬送部の位置に関する情報を少なくとも含む。
図26は、受け渡し位置情報の一例を示す模式図である。図26に示す受け渡し位置情報は、搬送部識別情報と、ユニット等識別情報と、位置情報とを関連付けたテーブルである。搬送部識別情報は、搬送部を識別するための情報である。ユニット等識別情報は、処理ユニット、載置部、キャリアC等(以下、「ユニット等」という)を識別するための情報である。位置情報は、搬送部がユニット等から温度測定用基板WTを取るときの搬送部の位置に関する情報であり、搬送部がユニット等に温度測定用基板WTを渡すときの搬送部の位置に関する情報である。位置情報は、x方向の位置、y方向の位置、z方向の位置、角度θ、および、距離rに関する各情報を含む。これらx方向の位置等の情報によって、搬送機構の位置は一意に特定される。なお、角度θは、各搬送機構の縦軸心回りの角度である。距離rは、縦軸心の径方向における搬送機構(ハンドH)の位置である。
位置情報は、1の搬送部と1のユニット等の組み合わせの全てに関して、規定されている。搬送部がユニット等に温度測定用基板WTを渡すときの搬送部の位置と、搬送部がユニット等から温度測定用基板WTを取るときの搬送部の位置とが同じである場合、両者を特に区別しなくてもよい。例えば、図26に示すように、1の搬送部と1のユニット等の各組み合わせに関連付けられる位置情報の数を、1つとしてもよい。
なお、搬送機構TB1c等は、y方向に移動する機構を備えていないので、y方向の位置を与えなくても搬送機構TB1c等の位置を一意に特定できる。このため、図26では、搬送機構TB1c等に、「y方向の位置」が関連付けられていない。他の搬送機構TA等についても、同様に、受け渡し位置の特定に不要な位置情報は関連づけられていない。
なお、本実施例では、搬送部は、基板Wと同じように、温度測定用基板WTを扱うことができる。すなわち、搬送部は、基板Wと同じように、温度測定用基板WTを取ったり、渡すことができる。よって、いわゆるティーチングデータを、受け渡し位置情報として活用してもよい。ティーチングデータは、搬送部が基板Wをユニット等に受け渡しするときの搬送部の位置を設定・調整するティーチング作業によって作成される。ティーチング作業は、基板処理装置1の出荷時のみならずメンテナンス時等に行われる。これに伴い、ティーチングデータも、随時更新される。
上述したとおり、第1向き変動量ACは、基本的に、エッジ露光ユニットEEW(調整機構MD)から温度測定用基板WTを取るときの搬送機構の位置情報と、熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを渡すときの搬送機構の位置情報に基づいて特定できる。ただし、エッジ露光ユニットEEWから熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを搬送する際に、1の搬送機構が他の搬送機構に温度測定用基板WTを渡す場合には、そのときの各搬送機構の位置情報を併せて考慮する。
例えば、熱処理プレートPLが熱処理ユニット群56における冷却ユニットCPに設置されている場合、第1向き変動量は以下の情報によって与えられる。
IP1:エッジ露光ユニットEEWから温度測定用基板WTを取るときの搬送機構TB1dの位置情報
IP2:熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを渡すときの搬送機構TB1dの位置情報
例えば、熱処理プレートPLが熱処理ユニット群56における加熱冷却ユニットPHPに設置されている場合、第1向き変動量は以下の情報によって与えられる。
IP1:エッジ露光ユニットEEWから温度測定用基板WTを取るときの搬送機構TB1dの位置情報
IP3:載置部PAに温度測定用基板WTを渡すときの搬送機構TB1dの位置情報
IP4:載置部PAから温度測定用基板WTを取るときのローカル搬送機構TLの位置情報
IP5:熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを渡すときのローカル搬送機構TLの位置情報
例えば、熱処理プレートPLが熱処理ユニット群51における加熱冷却ユニットPHPに設置されている場合、向き制御部165は、以下の情報に基づいて第1向き変動量によって与えられる。
IP1:エッジ露光ユニットEEWから温度測定用基板WTを取るときの搬送機構TB1dの位置情報
IP6:載置部P3Rに温度測定用基板WTを渡すときの搬送機構TB1dの位置情報
IP7:載置部P3Rから温度測定用基板WTを取るときの搬送機構TB1cの位置情報
IP8:載置部PAに温度測定用基板WTを渡すときの搬送機構TB1cの位置情報
IP9:載置部PAから温度測定用基板WTを取るときのローカル搬送機構TLの位置情報
IP10:熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを渡すときのローカル搬送機構TLの位置情報
IP1は、本発明における「搬送部が調整機構から温度測定用基板を取るときの搬送部の位置に関する情報」に相当する。IP2、IP5、IP10は、本発明における「搬送部が熱処理プレートに温度測定用基板を渡すときの搬送部の位置に関する情報」に相当する。IP3、IP4、IP6乃至IP9は、本発明における「一の搬送機構から他の搬送機構に温度測定用基板を渡すときの各搬送機構の位置に関する情報」に相当する。
なお、位置情報IP1等に含まれる全部の情報が、第1向き変動量ACを特定するために必要であるとは限らない。本実施例のように、ローカル搬送機構TLが温度測定用基板WTを搬送しても第1向き変動量ACが変わらない場合には、位置情報IP3、IP4等に含まれる全部の情報が不要である。また、本実施例のように、搬送機構TB1dが温度測定用基板WTをz方向に搬送しても第1向き変動量ACが変わらない場合には、位置情報IP1、IP2に含まれる一部の情報(「z方向の位置」)が不要である。その結果、最も単純な場合には、列挙した各位置情報IPに含まれる角度θのみに基づいて、第1向き変動量ACを特定できる。
向き制御部165は、目標方向情報に規定される第1目標方向に基づき、かつ、第1向き変動量ACを考慮することによって、プレート用調整を行う。これにより、熱処理プレートPL上における温度測定用基板WTの向きを第1目標方向に精度よく一致させることができる。
<ステップS24> プレート搬送過程
搬送制御部164は、試験予定情報を参照して、エッジ露光ユニットEEW(調整機構MD)から温度測定用基板WTを取り、取った温度測定用基板WTを「1番目」の試験の対象である熱処理プレートPLに載置する。この際、載置部P3R等を経由してもよいが、他の熱処理プレートPLや液処理ユニット60、65に温度測定用基板WTを搬送することなく、調整機構MDから「1番目」の熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを直接的に搬送する。
ここで、図27(a)、(b)、(c)を参照して、比較例を例示する。図27(a)、(b)、(c)は、比較例における温度測定用基板WTの向きの関係を模式的に示す図である。図27(a)、27(b)、27(c)では、エッジ露光ユニットEEWにおいて温度測定用基板WTの向きを一律の方向DEsに調整する場合を示している。
図示するように、この比較例では、熱処理プレートPL上における温度測定用基板WTの向きを第1目標方向に精度よく調整できず、センサ側アンテナASとユニット側アンテナAUを精度よく正対させることができない。この結果、比較例によれば、センサ側アンテナASとユニット側アンテナAUは、適切に通信できない。
これに対して、図25(a)、(b)、(c)に示すように、本実施例によれば、いずれの熱処理プレートPLに温度測定用基板WTを載置するときであっても、センサ側アンテナASがユニット側アンテナAUに正対する。このため、実施例によれば、センサ側アンテナASとユニット側アンテナAUは、適切に通信できる。
<ステップS3> 試験
「1番目」の試験を行う。この処理について、後述する。
<ステップS25> 全ての試験が終わったか?
試験予定情報に規定される一連の試験が終了したか否かを判断する。この結果、全ての試験が終わったと判断した場合には、ステップS27に進む。そうでない場合には、ステップS26に進む。
<ステップS26> 次の試験の対象は同じ熱処理プレートか?
試験予定情報において次の順番が割り当てられている試験が、引き続き同じ熱処理プレートPLに対する試験であるか否かを判断する。この結果、同じ熱処理プレートPLに対する試験であると判断した場合には、ステップS3に戻る。
そうでない場合には、ステップS22に戻る。これにより、温度測定用基板WTを1の熱処理プレートPLから別の熱処理プレートPLに搬送する場合には、その都度、温度測定用基板WTにプレート用調整を行ってから温度測定用基板WTを別の熱処理プレートPLに搬送する。
そして、ステップS22からステップS24、および、ステップS3の処理を再び行う。この際、ステップS23、S24、S3に関する上記説明において、「1番目」を繰り返し回数に応じた「n番目」に適宜に読み替えて、ステップS23、S24の処理を行う。
<ステップS27> 温度測定用基板をエッジ露光ユニットに搬送する
搬送制御部164は、温度測定用基板WTをエッジ露光ユニットEEWに搬送する。
<ステップS28> 格納用調整
向き制御部165は、調整機構MD01を制御することによって、格納用調整を行う。これにより、調整機構MD01は、温度測定用基板WTの向きを変える。
より詳しくは、向き制御部165は、温度測定用基板WTがキャリアCに搬入されたときに温度測定用基板WTの向きが第2目標方向となるように、温度測定用基板WTの向きを調整する。第2目標方向は、目標方向情報に規定されている。向き制御部165は、目標方向情報を参照して第2目標方向を特定する。
第2目標方向は、キャリアCの構造等を考慮して設定されることが好ましい。キャリアCの構造等とは、具体的には、キャリアC内に設置され、温度測定用基板WTを載置するスロット(棚)の配置や、スロットに載置される温度測定用基板WTの存否を検知するための基板検知センサの検知領域などである。例えば、センサ側アンテナASがスロットと干渉しないような温度測定用基板WTの向きを第2目標方向とすることが好ましい。また、例えば、センサ側アンテナASが基板検知センサの検知領域から外れるような温度測定用基板WTの向きを第2目標方向とすることが好ましい。
格納用調整を行う際、向き制御部165は、第2向き変動量を考慮する。第2向き変動量は、搬送部が調整機構MDからキャリアCに温度測定用基板WTを搬送する間に温度測定用基板WTの向きが変動する量である。第2向き変動量を考慮することにより、エッジ露光ユニットEEWにおいて調整すべき温度測定用基板WTの向きを精度よく特定できる。
第2向き変動量は、例えば、以下に列挙する位置情報IPによって特定される。
IP1:エッジ露光ユニットEEWから温度測定用基板WTを取るときの搬送機構TB1dの位置情報
IP6:載置部P3Rに温度測定用基板WTを渡すときの搬送機構TB1dの位置情報
IP7:載置部P3Rから温度測定用基板WTを取るときの搬送機構TB1cの位置情報
IP11:載置部P1Rに温度測定用基板WTを渡すときの搬送機構TB1cの位置情報
IP12:載置部P1Rから温度測定用基板WTを取るときの搬送機構TAの位置情報
IP13:キャリアCに温度測定用基板WTを渡すときの搬送機構TAの位置情報
IP6、IP7、IP11乃至IP12は、本発明における「搬送部が一の搬送機構から他の搬送機構に温度測定用基板を渡すときの各搬送機構の位置に関する情報」に相当する。IP13は、本発明における「搬送部が格納スペースに温度測定用基板を渡すときの搬送部の位置に関する情報」に相当する。
<ステップS29> 格納過程
搬送制御部164は、搬送機構TB1d、TB1c、TAを制御して、エッジ露光ユニットEEWから温度測定用基板WTを搬出して、キャリアC内に搬入する。
ステップS2(試験連続実施過程)の効果
試験連続実施過程によれば、複数の試験を自動的に続けて行うことができる。これにより、複数の試験を一括して実行できる。
プレート用調整過程とプレート搬送過程とを備え、プレート搬送過程を実行するときには、その都度、プレート用調整過程を事前に行う。これにより、温度測定用基板WTの向きを好適に管理できる。
プレート用調整過程では、熱処理プレートPLに載置されたときの温度測定用基板WTの向きを考慮して、温度測定用基板WTの向きを調整する。このため、温度測定用基板WTを適切な向きで熱処理プレートPL上に載置できる。よって、熱処理プレートPLに対する試験(ステップS3)を適正に行うことができる。
また、向き制御部165と搬送制御部164が連携することによって、プレート搬送過程の前にプレート用調整過程を常に実行できる。
また、プレート用調整過程は、温度測定用基板WTが熱処理プレートPLに載置されたときに温度測定用基板WTの向きが第1目標方向となるように、温度測定用基板WTの向きを調整する。これにより、センサ側アンテナASとユニット側アンテナAUとが正確に向かい合い、両者は品質よく無線通信を行うことができる。
また、プレート用調整過程は、第1向き変動量を考慮して温度測定用基板WTの向きを調整するので、温度測定用基板WTの向きを精度よく調整できる。
また、向き制御部165は、受け渡し位置情報に基づいて第1向き変動量を特定するので、いずれの熱処理プレートPLに搬送するときであっても第1向き変動量を精度よく特定できる。
また、格納用調整過程と格納過程とを備え、格納過程を実行するときには、その都度、格納用調整過程を事前に行う。これにより、温度測定用基板WTの向きを好適に管理できる。
格納用調整過程では、キャリアCに搬入されたときの温度測定用基板WTの向きを考慮して、温度測定用基板WTの向きを調整する。このため、温度測定用基板WTを適切な向きでキャリアCに搬入できる。よって、温度測定用基板WTを適切に保管できる。
また、向き制御部165と搬送制御部164が連携することによって、格納過程の前に格納用調整過程を常に実行できる。
また、格納用調整過程は、温度測定用基板WTがキャリアCに搬入されたときに温度測定用基板WTの向きが第2目標方向となるように、温度測定用基板WTの向きを調整する。これにより、温度測定用基板WTを適切に保管できる。
また、格納用調整過程は、第2向き変動量を考慮して温度測定用基板WTの向きを調整するので、温度測定用基板WTの向きを精度よく調整できる。
また、向き制御部165は、受け渡し位置情報に基づいて第2向き変動量を特定するので、第2向き変動量を精度よく特定できる。
また、試験予定情報に規定される試験が終了すると、格納過程を実行するので、温度測定用基板WTを自動的に格納できる。すなわち、試験が終了すれば、温度測定用基板WTを自動的に撤去できる。
また、搬出過程を備えているので、試験予定情報に規定される試験の実施に先立って、格納スペースから温度測定用基板WTを自動的に搬出できる。すなわち、試験を行うときに、温度測定用基板WTを自動的に準備できる。
また、キャリアC内が温度測定用基板WTの格納スペースであるので、温度測定用基板WTを基板処理装置1の外部に適切に搬送できる。
また、調整機構MDは、本来、基板Wの向きを変えるために設置されている既存設備である。このような調整機構MDを温度測定用基板WTの向きを変えるために使用するので、基板処理装置1の大型化や高コスト化を招くことがない。
ステップS2(試験連続実施過程)の変形実施例
上述した調整機構MD等の構成や、ステップS21〜S29の各処理を適宜に変更してもよい。以下、変形実施例を説明する。
(1)調整機構MDについて
調整機構MDの設置場所は、エッジ露光ユニットEEW内であったが、これに限られない。エッジ露光ユニットEEW以外に設置されている調整機構を変更してもよい。たとえば、エッジ露光ユニットEEW以外の処理ユニット(例えば、液処理ユニット60、65や熱処理ユニットHU)に温度測定用基板WTの向きを変える調整機構が設置されていてもよい。基板処理装置1が基板Wを検査するための検査ユニットを備える場合には、その検査ユニットに設置される調整機構を使用してもよい。検査ユニットとしては、例えば、基板W上の異物の検出、エッジリンス処理の幅の測定、または、塗布膜の膜厚の測定を行う検査ユニットなどが例示される。また、基板処理装置1が基板Wの向きを調整するための調整ユニットを備える場合には、その調整ユニットを使用するように変更してもよい。
(2)格納スペースについて
温度測定用基板WTの格納スペースとして、基板処理装置1とは別体のキャリアC内を例示したが、これに限られない。例えば、基板処理装置1内に格納スペースを設置してもよい。これによれば、任意の時間に試験を自動的に実施できる。例えば、通常の生産処理(基板Wに所定の処理が施された製品を製造するための処理)を行っていないときに試験を容易に実施できる。また、定期的に試験を実施することも容易である。また、基板処理装置1内に格納スペースを設置することによって、温度測定用基板WTの準備および撤去も容易に実施できる。よって、試験に伴うユーザーの作業およびユーザーの介入を低減することができる。
(3)第1向き変動量、第2向き変動量の特定について
向き制御部165は、受け渡し位置情報を参照して、第1向き変動量および第2向き変動量を特定したが、これに限られない。たとえば、第1向き変動量の値自体を含む情報を予め準備しておき、向き制御部165がこの情報を参照することによって第1向き変動量を特定してもよい。これによれば、向き制御部165の処理を簡素化することができる。第2向き変動量の特定に関しても、同様に変更してもよい。
あるいは、エッジ露光ユニットEEWにおいて調整すべき温度測定用基板WTの向き自体を含む情報を予め準備しておき、向き制御部165がこの情報を参照することによってプレート用調整や格納用調整を行ってもよい。これによれば、向き制御部165の処理をさらに簡素化することができる。
(4)試験対象の熱処理プレートPLについて
上述した動作例では、熱処理ユニット群51、56に設置されている熱処理プレートPLのみを試験対象としたが、これに限られない。熱処理ユニット群51、52、56、57に設置されている任意の熱処理プレートPLを試験対象とするように変更してもよい。
(5)上層K1および下層K2の動作について
上述した動作例では、処理部13の上層K1の動作のみを例示し、下層K2の動作については特に説明しなかったが、下層K2を適宜に動作させてもよい。たとえば、上層K1および下層K2の一方において試験連続実施過程を行い、他方において通常の生産処理を実行してもよい。また、上層K1および下層K2の双方において、それぞれ別の温度測定用基板WTを用いた試験連続実施過程を別個独立に実行してもよい。あるいは、上層K1および下層K2の双方において、同じ温度測定用基板WTを用いた1の試験連続実施過程を実行してもよい。
(6)試験の数について
上述したステップS2(試験連続実施過程)による搬送方法は、複数の試験を連続的に実施できるが、単一の試験を行う場合にも好適に適用できる。たとえば、試験予定情報に規定される試験の数が単一であっても、ステップS2(試験連続実施過程)による搬送方法を支障なく実行できる。具体的には、プレート用調整(ステップS23)およびプレート搬送過程(ステップS24)を備えているので、熱処理プレートPL上における温度測定用基板WTの向きを好適に管理できる。また、格納用調整(ステップS28)および格納過程(ステップS29)を備えているので、格納スペースにおける温度測定用基板WTの向きを好適に管理できる。
[4−3 S3(試験)の詳細な動作例]
図28は、試験の詳細な手順を示すフローチャートである。図29(a)は、熱処理プレートのプレート温度の経時変化を示すグラフであり、図29(b)は、温度測定用基板WTの処理温度(各温度データTDの総合平均値)の経時変化を示すグラフである。
<ステップS30> プレート温度の変更(時刻t1〜時刻t2)
熱処理ユニット制御部166は、温度測定用基板WTが熱処理プレートPLに載置される前に、熱処理プレートPLのプレート温度を変更する。以下、「1番目」の試験を行う場合を例にとって、詳細に説明する。
熱処理ユニット制御部166は、試験予定情報と試験リスト情報を参照して、「1番目」の試験の対象である熱処理プレートPLと試験温度TWeを特定する。また、熱処理ユニット制御部166は、その熱処理プレートPLに取り付けられている温度センサ111の検出結果に基づいて、プレート温度の変更を開始する時点におけるプレート温度TPiを特定する。以下では、このプレート温度TPiを「初期温度」と呼ぶ。
続いて、熱処理ユニット制御部166は、試験レシピ情報を参照して、試験温度TWeと初期温度TPiに対応した変更時間を特定する。試験レシピ情報には、熱処理プレートPLごとに変更時間が規定されている。
図30を参照する。図30は、試験レシピ情報を例示する模式図である。図示する試験レシピ情報は、プレート識別情報と、温度変更条件に関する情報と、変更時間等に関する情報とを関連付けたテーブルである。温度変更条件は、初期温度域と試験温度域の組み合わせである。図示の試験レシピ情報では、熱処理プレートPL01に関する温度変更条件は、3つの初期温度域と2つの試験温度域によって6通りに分けられている。各温度変更条件にはそれぞれ、変更時間等が関連付けられている。変更時間等とは、たとえば、変更時間のほかに、待ち時間と測定時間と微調整時間と乖離幅の閾値と測定回数の上限値である。
変更時間は、プレート温度を変更するのに要する時間である。より詳細には、変更時間は、プレート温度が初期温度TPiから、試験温度TWeに対応する設定温度TPr0に達するまでの時間のみならず、プレート温度が設定温度TPr0で安定するまでの時間を含む。変更時間は、予め実験等によって求められている。
熱処理ユニット制御部166は、変更時間を特定すると、ヒータ109を制御して、熱処理プレートPLのプレート温度を変更する。プレート温度の変更を開始した時刻から変更時間が経過すると、本ステップS30の処理(プレート温度の変更)を終了する。このように、熱処理ユニット制御部166は、変更時間によってプレート温度を管理する。
なお、試験レシピ情報に規定されている変更時間は、プレート性能情報に規定されている変更時間と基本的に同義である。ただし、試験レシピ情報では温度変更条件に応じて複数の変更時間が設定されているので、本ステップS30の処理を効率良く、かつ、確実に行うことができる。
このステップS30の処理は、図22に示すステップS21乃至S24の処理が終了する前に開始してもよい。たとえば、ステップS21乃至S24の各処理と並行して実行してもよいし、あるいは、ステップS21乃至S24の処理を行う前に実行してもよい。
<ステップS31> 温度測定用基板を熱処理プレートに載置する(時刻t2)
熱処理ユニット制御部166は、昇降ピン105等を制御して、搬送部から温度測定用基板WTを受け取って、熱処理プレートPLに載置する。温度測定用基板WTが載置されると、センサ側アンテナASはユニット側アンテナAUに正対する。
<ステップS32> 温度測定用基板をなじませる(時刻t2〜時刻t3)
測定を開始することなく、温度測定用基板WTが熱処理プレートPLに載置された状態を保つ。温度測定用基板WTが熱処理プレートPLに載置された時刻t2から待ち時間が経過する時刻t3において、本ステップS32の処理を終了する。待ち時間は、試験レシピ情報に規定されている。
本ステップS32の処理により、温度測定用基板WTの処理温度が熱処理プレートPLの温度に十分になじみ、温度測定用基板WTの処理温度が十分に安定する。ここで、「十分に安定する」目安としては、例えば、1分間の前後における各処理温度の温度差が0.01度以下になる程度である。このように、待ち時間は、温度測定用基板WTの処理温度を安定させるための時間であり、予め実験等によって求められている。
<ステップS33> 測定(時刻t3〜時刻t4)
温度測定用基板WTの処理温度を測定する。より詳しくは、熱処理プレートPLに載置された温度測定用基板WTから得られた検出信号に基づいて温度データTDを生成する。測定は、測定時間にわたって行われる。本ステップS33は、熱処理プレートPLに載置された温度測定用基板WTから得られた検出信号に基づいて温度データTDを生成する。測定を開始した時刻t3から測定時間が経過する時刻t4において、本ステップS33の処理を終了する。測定時間は、試験レシピ情報に規定されている。
具体的には、センサユニットSUが温度を検知し、センサユニットSUの検知結果に応じた検出信号をセンサ側アンテナASに出力する。センサ側アンテナASは、検出信号を無線で送信する。ユニット側アンテナAUは、センサ側アンテナAS(温度測定用基板WT)に接触することなく、送信された検出信号を受信する。受信された検出信号は、有線で温度計測部167に送られる。これにより、温度計測部167は、16個のセンサユニットSUのそれぞれに対応する、互いに独立した複数の検出信号を取得する。
本実施例では、ユニット側コイルUCに所定周波数の電流を流して水晶振動子が共振させる動作と、ユニット側コイルUCが検出信号を受信する動作を繰り返し切り替える。
温度計測部167は、取得した各検出信号に基づいて温度を計算し、16個の温度データTDを生成する。各温度データTDはそれぞれ、1のセンサユニットSUによって検出された結果に基づく。各温度データTDはそれぞれ、1のセンサユニットSUが設置されている基板本体BWの部位における温度を示す。各温度データTDはそれぞれ、時刻t3から時刻t4の測定時間の間に測定された複数の計測値の集合であり、これら計測値が計測時刻の順に並んだ時系列データである。
測定時間としては、温度データTDが測定時間に依存しない程度に長いことが好ましい。あるいは、測定時間としては、温度データTDのばらつきや誤差が十分小さくなる程度に長いことが好ましい。このように、測定時間は、温度測定用基板WTの処理温度を測定するための時間であり、予め実験等によって求められている。
本ステップS33は、本発明における測定過程に相当する。
<ステップS34> 乖離幅が閾値以上か?
温度計測部167は、各温度データTDの値の総和を温度データTDの個数で除することにより、総合平均値を算出する。なお、温度データTDの値は、例えば、各温度データTDに含まれる計測値の平均値である。さらに、総合平均値と試験温度TWeとの差である乖離幅DFを算出する。
温度計測部167は、試験レシピ情報を参照して乖離幅の閾値を特定し、特定した閾値を、乖離幅DFと比較する。そして、温度計測部167は、乖離幅DFが閾値以上であるか否かを判断する。その結果、閾値以上であると判断した場合には、ステップS35に進む。そうでない場合には、ステップS37に進む。
<ステップS35> 測定回数が上限値以下か?
測定回数が上限値以下であるか否かを判断する。測定回数の上限値は、試験レシピ情報に規定されている。その結果、上限値以下であると判断した場合には、ステップS36に進む。そうでない場合には、ステップS39に進む。
<ステップS36> 微調整(時刻t4〜時刻t5)
温度計測部167は、乖離幅DFに基づいて、オフセット値OSを決定する。オフセット値OSは、設定温度TPr0を補正するための値である。オフセット値OSは、例えば、約2度以下である。熱処理ユニット制御部166は、プレート温度を、設定温度TPr0からオフセット値OSの分だけ変更する微調整を行う。微調整を開始した時刻t4から微調整時間が経過する時刻t5において、本ステップS36の処理(微調整)を終了する。そして、ステップS33に戻る。
微調整時間は、プレート温度を微調整するのに要する時間である。より詳細には、微調整時間は、プレート温度が微調整前の設定温度TPr0から微調整後の設定温度に達するまでの時間のみならず、プレート温度が微調整後の設定温度で安定するまでの時間を含む。微調整時間は、予め実験等によって求められている。
ちなみに、図29(a)、29(b)では、次のような場合を例示している。1回目の測定(時刻t3〜t4)の結果、乖離幅DF1が閾値より大きかった。このため、オフセット値OS1によって微調整を行った(時刻t4〜t5)。2回目の測定(時刻t5〜t6)の結果、乖離幅DF2が閾値より大きかった。このため、オフセット値OS2によって微調整を行った(時刻t6〜t7)。3回目の測定(時刻t7〜t8)の結果、乖離幅DF3が閾値以下であった。このため、試験を終了した(時刻t8)。
<ステップS37> 微調整をしたか?
温度計測部167は、微調整を少なくとも1回以上実行したか否かを判定する。微調整を実行したと判定した場合は、ステップS38に進む。そうでない場合には、ステップS39に進む。
<ステップS38> 補正
オフセット値OSに基づいて設定温度TPr0を補正する。この結果、設定温度TPr0から設定温度TPr1に更新される。これにより、設定温度TPr1が試験温度TWeに対応付けられ、その後の熱処理プレートPLの制御に設定温度TPr1が使用される。
<ステップS39> 温度測定用基板を搬送部に渡す(時刻t8)
熱処理ユニット制御部166は、昇降ピン105等を制御して、熱処理プレートPLに載置された温度測定用基板WTを搬送部に渡す。これにより、1の試験が終了する。
時刻t8の後に、同じ熱処理プレートPLに対して、試験温度TWeの異なる他の試験が予定されている場合には、熱処理プレートPLのプレート温度の変更を開始する。ちなみに、図29(a)では、時刻t8から、他の試験のためにプレート温度を上昇させる様子(すなわち、新たなステップS30を開始する様子)を示している。
ステップS3(試験)の効果
記憶部93は予め試験レシピ情報を記憶しており、熱処理ユニット制御部166は試験レシピ情報を参照しながら試験を実行するので、試験を適正に実行できる。
また、試験レシピ情報が予め設定されているので、ユーザーは熱処理プレートPLと試験温度TWeのみを入出力部95に入力するだけで足り、その他の試験の要領(条件)を入力する手間を省くことができる。よって、試験を簡易にかつ適切に実施できる。
また、試験レシピ情報は、変更時間、待ち時間、測定時間および微調整時間に関する各情報を含むので、試験を適正に行うことができる。また、これらの情報は、複数の温度変更条件ごとに設定されているので、試験をより適正に行うことができる。
また、ステップS32の処理を備えているので、温度測定用基板WTの処理温度を安定させることができ、処理温度の測定を適正に行うことができる。
また、ステップS34の処理を備えているので、処理温度に関する試験を好適に実施できる。本実施例では、特に、温度データTDの総合平均値(すなわち、処理温度の面内平均値)が適正であるかに関する試験を好適に実施できる。
また、試験レシピ情報は、乖離幅の閾値に関する情報を含むので、温度データTDの総合平均値が適正か否かを的確に判定できる。
また、ステップS35の処理を備えているので、試験が長時間に及ぶことを回避できる。
また、オフセット値OSによって設定温度TPr0を補正するので、熱処理プレートPLの処理品質を自動的に向上させることができる。
ステップS3(試験)の変形実施例
上述した試験レシピ情報の構成や、ステップS30〜S39の各処理を適宜に変更してもよい。以下、変形実施例を説明する。
(1)試験レシピ情報について
試験レシピ情報には、乖離幅の閾値や測定回数の上限値に関する各情報が予め設定されていたが、これに限られない。例えば、これらの情報を含まないように試験レシピ情報を変更してもよい。あるいは、ユーザーが乖離幅の閾値や測定回数の上限値を設定・修正できるように変更してもよい。
(2)ステップS34の処理について
ステップS34の処理では、乖離幅DFが乖離幅の閾値以上か否かを判定したが、これに限られない。たとえば、処理温度の面内均一性を示す指標(以下、「均一性指標」という)が、所定の範囲内にあるか否かを判定してもよい。均一性指標としては、例えば、各温度データTDの標準偏差などの統計量が例示される。これによれば、処理温度の面内均一性が適正であるかについて好適に判定できる。
この変形例では、均一性指標の閾値または均一性指標の許容範囲に関する情報を含むように試験レシピ情報を変更してもよい。
(3)設定温度TPr0の補正について
ステップS37、S38の処理によって、設定温度TPr0を自動的に補正したが、これに限られない。例えば、ユーザーが補正を許可する命令を与えたときだけ、設定温度TPr0を補正するように変更してもよい。あるいは、制御部91(温度計測部167)が設定温度TPr0を自動的に補正する自動補正モードと、ユーザーが設定温度TPr0を手動で補正する手動補正モードとを備えて、これら自動補正モードと手動補正モードとのいずれかに適宜に切り替えるように変更してもよい。
(4)試験レシピ情報について
試験レシピ情報において、温度変更条件は初期温度域と試験温度域の組み合わせであったが、これに限られない。例えば、初期温度域とプレート設定温度域との組み合わせに変更してもよい。
(5)温度データTD等について
温度計測部167によって生成された温度データTDを、適宜に記憶部93に記憶させてもよい。また、温度計測部167によって計算された総合平均値や乖離幅DFを、適宜に記憶部93に記憶させてもよい。
[4−4 S4(分析)の動作]
図31は、分析の詳細な手順を示すフローチャートである。
上述したとおり、測定(ステップS33)において、温度計測部167は、熱処理プレートPLに載置された温度測定用基板WTによって得られた検出信号に基づいて温度データTDを生成する。生成された温度データTDは温度計測部167から分析処理部169に送られる。
分析処理部169は、この温度データTDに基づいて、現象判定過程と推定過程を行う。現象判定過程は、所定の現象が起きたか否かを判定する。推定過程は、起こっていると判定された現象の原因、および、その原因を解消するための対策を推定する。図31に示すように、現象判定過程は、ステップS401、S402、S411、S421、S431、S432の各処理を含む。推定過程は、ステップS402、S404、S412、S422、S433の各処理を含む。以下、各ステップの処理について説明する。
<ステップS401> 全部欠損?
「全部欠損」は、あるべき温度データTDがないことをいう。本実施例では、各センサユニットSUに対して1の温度データTDが存在するはずである。分析処理部169は、少なくとも1の温度データTDが全部欠損であるか否かを判定する。その結果、全部欠損であると判定した場合、全部欠損の温度データTDが発生したと判定して、ステップS402に進む。そうでない場合には、各センサユニットSUに対して温度データTDが1つずつ存在すると判定して、ステップS403に進む。
なお、「全部欠損の温度データTDが発生した」、および、「各センサユニットSUに対して温度データTDが1つずつ存在した」はそれぞれ、本ステップS401によって判定された現象である。現象判定過程に含まれる他のステップS403等においても同様である。
<ステップS402> 原因1、対策1
分析処理部169は、分析用情報を参照する。分析用情報は、図示を省略するが、現象、原因、および、対策に関する各情報が関連付けられた情報である。分析用情報は、予め記憶部93に記憶されている。分析処理部169は、「全部欠損の温度データTDが発生した」という現象に関連付けられた原因1および対策1を抽出する。そして、抽出された原因1によってその現象が引き起こされたと分析処理部169が推定し、抽出された対策1によって原因1を解消可能であると分析処理部169が推定する。
以下、原因1と対策1は、具体的には、以下の事項を含む。
原因1
A.温度測定用基板WTの故障
B.ユニット側アンテナAUの故障
C.温度計測部167の故障
D.ユニット側アンテナAUと温度計測部167の接続不良
対策1
a.温度測定用基板WTの点検
b.ユニット側アンテナAUの点検
c.温度計測部167の点検
d.ユニット側アンテナAUと温度計測部167の接続確認
このように、本明細書では、対策は、ユーザーに推奨したり促す作業や点検、ユーザーに有益なアドバイスやコメント等を含む。
<ステップS403> 一部欠損?
「一部欠損」は、温度データTDに含まれる計測値の一部が欠けていることをいう。あるいは、「一部欠損」は、温度データTDに含まれる計測値が一定の割合以上欠けていることをいう。分析処理部169は、少なくとも1の温度データTDが一部欠損であるか否かを判定する。一部欠損であると判定した場合、一部欠損の温度データTDが発生したと判定して、ステップS404に進む。そうでない場合には、温度データTDが正常に取得されたと判断して、欠損に関する推定過程を実行しない。
<ステップS404> 原因2、対策2
分析処理部169は、現象の原因2と、原因2を解消するための対策2を推定する。具体的には、以下の事項を推定する。
原因2
A.温度測定用基板WTの故障
B.ユニット側アンテナAUの故障
C.温度計測部167の故障
D.ユニット側アンテナAUと温度計測部167の接続不良
対策2
a.温度測定用基板WTの点検
b.ユニット側アンテナAUの点検
c.温度計測部167の点検
d.ユニット側アンテナAUと温度計測部167の接続確認
なお、上述した例では、原因2に含まれる事項は、原因1に含まれる事項と同じであるが、これに限られない。すなわち、原因2と原因1の各内容は異なっていてもよい。対策1、2についても同様である。
<ステップS411> 温度データが外れ値であるか?
他の温度データTDに比べて値が大きく異なる温度データTDを外れ値という。外れ値は、「特異点」とも言われる。分析処理部169は、少なくともいずれかの温度データTDが外れ値であるか否かを判定する。この際、有意差検定など各種の検定によって外れ値を検出してもよい。また、全ての温度データTDに対する個々の温度データTDの相対的なばらつきを示す指標(以下、「ばらつき指標」という)を計算し、ばらつき指標が異常な温度データTDを外れ値として抽出してもよい。ばらつき指標としては、例えば、総合平均値と各温度データTDとの差や、各温度データTDの偏差値(T Score)等の統計量が例示される。
外れ値であると判定した場合には、外れ値である温度データTDが発生したと判定して、ステップS412に進む。そうでない場合には、外れ値である温度データTDが発生しなかったと判定して、外れ値に関する推定過程を実行しない。
<ステップS412> 原因3、対策3
分析処理部169は、現象の原因3と、原因3を解消するための対策3を推定する。具体的には、以下の事項を推定する。
原因3
E1.熱処理プレートPLの汚損
E2.熱処理プレートPLに付着する異物
F1.温度測定用基板WTの汚損
F2.温度測定用基板WTに付着する異物
対策3
e.熱処理プレートPLの清掃
f.温度測定用基板WTの清掃
図32を参照する。図32(a)は熱処理プレートPL上に付着する異物G1を模式的に示す図であり、図32(b)は温度測定用基板WTの裏面に付着する異物G2を模式的に示す図である。
図示するように、熱処理プレートPLおよび温度測定用基板WTの少なくともいずれかに異物G1、G2が付着する場合がある。異物G1、G2はいずれも、熱処理プレートPLから温度測定用基板WTへの熱の伝達を妨げるので、異物G1、G2が付着した位置の温度データTDが外れ値となる可能性が高い。
<ステップS421> 異常値?
処理温度の目標値である試験温度TWeに比べて値が大きく異なる温度データTDを異常値と呼ぶ。分析処理部169は、少なくともいずれかの温度データTDが異常値であるか否かを判断する。この際、各温度データTDを所定の閾値と比較することによって異常値を検出してもよい。また、1の温度データTDと試験温度TWeとの差を乖離幅dfとして、各温度データTDに関する乖離幅dfをそれぞれ所定の閾値と比較することによって異常値を検出してもよい。乖離幅dfを、後述する図35(b)に図示する。
異常値であると判定した場合には、異常値である温度データTDが発生したと判定して、ステップS422に進む。そうでない場合には、異常値である温度データTDが発生しなかったと判定して、異常値に関する推定過程を実行しない。
<ステップS422> 原因4、対策4
分析処理部169は、現象の原因4と、原因を解消するための対策4を推定する。具体的には、以下の事項を推定する。
原因4
A.温度測定用基板WTの故障
B.ユニット側アンテナAUの故障
C.温度計測部167の故障
D.ユニット側アンテナAUと温度計測部167の接続不良
対策4
a.温度測定用基板WTの点検
b.ユニット側アンテナAUの点検
c.温度計測部167の点検
d.ユニット側アンテナAUと温度計測部167の接続
<ステップS431> 気流?
分析処理部169は、熱処理プレートPLの上方に気流が強制的に形成されているか否かを判断する。この際、分析処理部169は、気流形成設備情報を参照して、試験(測定)の対象である熱処理プレートPLに関連して設けられる気流形成設備を特定する。
気流形成設備情報は、気流形成設備に関する情報が規定されている。気流形成設備情報は、予め記憶部93に記憶されている。
図33は、気流形成設備情報の一例を示す模式図である。図33に示す気流形成設備情報は、プレート識別情報と、上部排気管121、側部給気ダクト123および側部排気ダクト125に関する各情報とを関連付けたテーブルである。このテーブルでは、各気流形成設備の存否に関する情報が熱処理プレートPLごとに規定されている。
たとえば、熱処理プレートPLの周囲に上部排気管121が設置されていることが特定された場合、図7(c)に示すように、熱処理プレートPLの上面Fの周縁部近傍から上面Fの中央部上方に向かって上昇する気流が強制的に形成されているとみなすことができる。よって、この場合には、熱処理プレートPLの上方に気流が形成されていると判断する。
また、熱処理プレートPLの周囲に側部給気ダクト123および側部排気ダクト125の少なくともいずれかが設置されていることが特定された場合、図7(a)、(c)に示すように、熱処理プレートPLの上方において一方側から他方側に向かって略水平方向に流れる気流が強制的に形成されているとみなすことができる。よって、この場合にも、熱処理プレートPLの上方に気流が形成されていると判断する。
なお、図7(a)乃至(c)の場合、熱処理プレートPLの上方に経路の異なる2つの気流が強制的に形成されていると判断される。
他方、熱処理プレートPLの周囲に気流形成設備が設置されていないことが特定された場合、気流は強制的に形成されないとみなすことができる。よって、この場合には、熱処理プレートPLの上方に気流が形成されていると判断しない。
強制的に形成されていると判定した場合には、ステップS432に進む。そうでない場合には、温度分布と気流との間に関連性が無かった(温度分布は気流の影響を受けなかった)と判定して、温度分布と気流との関連性に関する推定過程を実行しない。
<ステップS432> 温度分布と気流との関連性?
分析処理部169は、温度分布と気流との間に関連性があるか否かを判定する。温度分布は、温度測定用基板WTの各位置における処理温度の分布であり、温度データTDと測定位置との関係を示す。
判定の結果、関連性があると判定した場合には、温度分布と気流との間に関連性が有ったと判定して、ステップS433に進む。そうでない場合には、温度分布と気流との間に関連性が無かったと判断して、温度分布と気流との関連性に関する推定過程を実行しない。
図34(a)、(b)を参照して、関連性に関する判定を具体的に説明する。図34(a)は熱処理プレートPLに載置される温度測定用基板WTの平面図であり、図34(b)は、x軸方向における温度分布である。
図34(a)に示すように、熱処理プレートPLの上方には、側部給気ダクト123から側部排気ダクト125へ向かう気流が形成されている。気流の向きは、平面視でx軸と略平行である。より具体的には、図34(a)において、気流の向きは、左側から右側に向かう方向である。なお、図34(a)には、x軸の右側および左側をそれぞれ、「RIGHT」、「LEFT」によって示す。
他方、図34(b)に示すように、温度データTDはx軸方向に沿って変化している。すなわち、温度勾配はx軸と略平行であり、気流の向きと略一致する。より厳密には、x軸方向の左側から右側に向かって温度データTDは高くなっている。
このように、気流の向きと温度勾配の向きを特定し、両者が略一致している場合には、温度分布と気流との間に関連性があると判定する。
また、次のような処理によって関連性に関する判定を行ってもよい。すなわち、温度測定用基板WTの表面を、上流側の気流に晒される上流側区域JUと、下流側の気流に晒される下流側区域JDに区画する。図34(a)では、温度測定用基板WTの左側部分が上流側区域JUに相当し、温度測定用基板WTの右側部分が下流側区域JDに相当する。
他方、図34(b)に示すように、上流側区域JUの温度データTDは、下流側区域JDの温度データTDに比べて低い。
このように、温度測定用基板WTを、上流側区域JUと下流側区域JDに区画した場合に、上流側区域JUの温度データTDが下流側区域JDの温度データTDに比べて低いときには、温度分布と気流との間に関連性があると判定する。
あるいは、次のような処理によって関連性に関する判定を行ってもよい。すなわち、温度測定用基板WTを、上流側区域JUと下流側区域JDに区画する。ここで、1の温度データTDと、処理温度の目標値である試験温度TWeの差を乖離幅dfとすると、図34(b)に示すように、上流側区域JUにおける乖離幅dfは、下流側区域JDにおける乖離幅dfよりも総じて大きい。
このように、温度測定用基板WTを、上流側区域JUと下流側区域JDに区画した場合に、上流側区域JUにおける乖離幅dfが、下流側区域JDにおける乖離幅dfに比べて大きいときには、温度分布と気流との間に関連性があると判定する。
上述した判定は、複数の気流が形成されている場合には、気流ごとに行われる。ちなみに、上部排気管121によって形成される気流の場合、気流の向きは、熱処理プレートPLの上面F(温度測定用基板WTの表面)の周縁部から中央部に向かう方向となる。このため、上流側区域JUは温度測定用基板WTの表面の周縁部(環形状)となり、下流側区域JDは温度測定用基板WTの表面の中央部(円形状)となる(図35(a)参照)。
<ステップS433> 原因5、対策5
分析処理部169は、現象の原因5と、原因を解消するための対策5を推定する。具体的には、以下の事項を推定する。
予測される原因5
G1.上部排気管121の故障
G2.上部排気管121の流量異常
H1.側部給気ダクト123の故障
H2.側部給気ダクト123の流量異常
I1.側部排気ダクト125の故障
I2.側部排気ダクト125の流量異常
復旧のための対策5
g1.上部排気管121の点検
g2.上部排気管121の流量確認
h1.側部給気ダクト123の点検
h2.側部給気ダクト123の流量確認
j1.側部排気ダクト125の点検
j2.側部排気ダクト125の流量確認
なお、g2、h2、j2については、「気流監視設備による流量確認」や「気流調節設備による流量確認、流量変更」を適宜に含んでもよい。具体的には、g2については、圧力計122による流量確認を適宜に含んでもよい。また、j2については、排気用ダンパー126による流量確認や流量変更を含んでもよい。
上述したステップS401〜、S411〜、S421〜、S431〜の各処理を、同じ測定結果に対して並列的に行う。すなわち、1の測定結果を異なる観点から分析する。その結果、1の測定結果に対して、多角的な分析結果が得られる。
図35(a)、(b)を参照する。図35(a)は、熱処理プレートPLに載置される温度測定用基板WTの平面図であり、図35(b)は、x軸方向における温度データTDの温度分布である。
図35(b)に示す1の温度データTDkが、外れ値、および、異常値の双方であると判定される場合がある(ステップS411、S421)。この場合、原因3、4の双方が推定され、対策3、4の双方が推定される。さらに、図35(b)に図示する温度分布と上部排気管121によって形成される気流との間に関連性があると判定される場合がある(ステップS432)。この場合、原因3、4等と併せて原因5と対策5が推定される。
ステップS431の処理は、本発明における気流判定過程に相当する。ステップS432の処理は、本発明における関連性判定過程に相当する。
[4−5 S5(出力)の動作]
引き続き、出力(ステップS5)の動作を説明する。
図11を参照する。入出力部95は、ステップS3における試験の結果を出力する。例えば、温度データTDの総合平均値や、総合平均値と試験温度TWeとの乖離幅DF等を表示する。また、入出力部95は、温度測定用基板WTの現在の温度データTDや、オフセット値OSなどを表示してもよい。表示態様としては、グラフ、数字、文字等などが適宜に採用される。
また、入出力部95は、ステップS2における試験連続実施過程の進行状況を出力する。たとえば、温度測定用基板WTの現在の位置や現在の測定回数等を表示する。
また、入出力部95は、ステップS4における分析の結果を出力する。具体的には、現象判定過程によって起こったと判定された現象を表示する。また、推定過程によって推定された原因および対策を表示する。
ステップS4(分析)とステップS5(出力)の効果
ステップS4の分析は、現象判定過程と推定過程とを備えているので、起きた現象を判定するのみならず、その現象について原因と対策を的確に予測できる。
推定過程では分析用情報を参照するので、推定過程の処理を好適に実行できる。
ステップS4はステップS401乃至S404の処理を備えているので、欠損した温度データTDの発生という現象について原因と対策を的確に推定できる。また、原因および対策が潜む設備(すなわち、原因および対策の所在)は、温度測定用基板WT、温度計測部167、および、ユニット側アンテナAUを含むので、広範囲かつ網羅的に推定できる。よって、的確なアドバイスや処置をユーザーに伝えることができる。
ステップS4はステップS411、S412の処理を備えているので、外れ値である温度データTDの発生という現象について原因と対策を的確に推定できる。また、原因および対策の所在は、温度測定用基板WT、および、熱処理プレートPLを含むので、広範囲かつ網羅的に推定できる。よって、的確なアドバイスや処置をユーザーに伝えることができる。
ステップS4はステップS421、S422の処理を備えているので、異常値である温度データTDの発生という現象について原因と対策を的確に推定できる。また、原因および対策の所在は、温度測定用基板WT、温度計測部167、および、ユニット側アンテナAUを含むので、広範囲かつ網羅的に推定できる。よって、的確なアドバイスや処置をユーザーに伝えることができる。
ステップS4はステップS431乃至S433の処理を備えているので、温度分布と気流との間に関連性が有った(温度分布が気流の影響を受けた)という現象について原因と対策を的確に推定できる。また、原因および対策の所在は、気流形成設備、気流監視設備および気流調節設備を含むので、広範囲かつ網羅的に推定できる。よって、的確なアドバイスや処置をユーザーに伝えることができる。
気流判定過程では、気流形成設備情報を参照するので、気流が強制的に形成されているか否かを熱処理プレートPLごとに好適に判定できる。
入出力部95は、現象判定過程による判定結果に関する情報を出力するので、ユーザーは基板処理装置1の状態を適時に認識できる。また、入出力部95は、推定過程による推定結果に関する情報を出力するので、ユーザーは、速やかに適切な処置を採ることができる。これにより、ユーザーの初動を迅速化させ、時間的損失を低減でき、基板処理装置1の稼働率の低下を抑制できる。
また、入出力部95は、ステップS3における試験の結果を出力するので、ユーザーは試験の結果を適切に認識できる。
さらに、入出力部95は、ステップS2における試験連続実施過程の進行状況をリアルタイムに表示するので、ユーザーは、試験の進行状況を適切に認識できる。
ステップS4(分析)の変形実施例
上述したステップS401〜S433の各処理を適宜に変更してもよい。以下、変形実施例を説明する。
(1)現象判定過程について
現象判定過程が判定する現象として、4つの現象(欠損、外れ値、異常値、温度分布と気流との関連性)を例示したが、これに限られない。たとえば、4つの現象のうち、少なくともいずれかの現象を判定するように変更してもよい。また、これら4つの現象以外の現象を判定するように変更してもよい。
(2)推定過程および分析用情報について
推定過程は、原因と対策の双方を推定したが、これに限られない。原因と対策のいずれか一方を推定するように変更してもよい。また、分析用情報は、現象、原因、および、対策に関する各情報が関連付けられた情報であったが、これに限られない。例えば、原因および対策の少なくともいずれかに関する情報と、現像に関する情報と、を関連付けた分析用情報に変更してもよい。
(3)推定過程について
ステップS402の処理では、原因1としてA乃至Dの全部の事項を推定したが、これに限られない。たとえば、A乃至Dの一部を原因1として推定するように変更してもよい。他のステップS404、S412、S422、S433も同様である。
(4)推定過程について
ステップS402の処理では、対策1としてa乃至dの全部の事項を推定したが、これに限られない。たとえば、a乃至dの一部を対策1として推定するように変更してもよい。他のステップS404、S412、S422、S433も同様である。
(5)分析の対象
ステップS4の分析は、測定(ステップS33)によって得られた温度データTDの全部を対象としたが、これに限られない。例えば、測定(ステップS33)によって得られた温度データTDの一部を対象とするように変更してもよい。
例えば、次のようにステップS4(分析)を変更してもよい。すなわち、ステップS4(分析)は、さらに、温度データTDが所定の基準を満たしているか否かを判定する合否判定過程を備え、基準を満たしていないと合否判定過程が判定した場合のみ、現象判定過程と推定過程を行ってもよい。ここで、所定の基準としては、例えば、総合平均値と試験温度TWeの乖離幅DFが、閾値以下であること等が例示される。閾値としては、試験レシピ情報に規定されている乖離幅の閾値を用いてもよい。これによれば、分析処理部169の処理量を抑制しつつ、速やかに対処する必要がある現象について効率良く分析できる。
(6)現象判定過程について
現象判定過程における処理は、熱処理プレートPLの種類等によって変わらなかったが、これに限られない。すなわち、熱処理プレートPLによる処理温度によって、熱処理プレートPLと熱処理プレートPLの周囲の気体との間で熱が移動する方向が変わる場合には、熱処理プレートPLの処理温度に応じて現象判定過程における処理を変更してもよい。
例えば、熱処理プレートPLが加熱冷却ユニットPHPまたは露光後加熱処理ユニットPEBに設置されている場合(前者)と、熱処理プレートPLが冷却ユニットCPに設置されている場合(後者)とで、ステップS411、ステップS421、ステップS432の処理を変更してもよい。
具体的には、ステップS411の処理に関して、前者の場合には、外れ値である温度データTDが他の温度データTDに比べて低いときにのみ、外れ値である温度データTDが発生したと判定してもよい。後者の場合には、外れ値である温度データTDが他の温度データTDに比べて高いときにのみ、外れ値である温度データTDが発生したと判定してもよい。
また、ステップS421の処理に関して、前者の場合には、異常値である温度データTDが試験温度TWeに比べて低いときにのみ、異常値である温度データTDが発生したと判定してもよい。後者の場合には、異常値である温度データTDが試験温度TWeに比べて高いときにのみ、異常値である温度データTDが発生したと判定してもよい。
また、ステップS432の処理に関して、前者の場合には、上流側から下流側へ向かう気流の向きと、温度データTDが低い測定位置から温度データTDが高い測定位置に向かう温度勾配の向きが略一致しているときにのみ、温度分布と気流との間に関連性が有ったと判定してもよい。後者の場合には、上流側から下流側へ向かう気流の向きと、温度データTDが高い測定位置から温度データTDが低い測定位置に向かう温度勾配の向きが略一致しているときにのみ、温度分布と気流との間に関連性が有ったと判定してもよい。
あるいは、ステップS421の処理に関して、前者の場合には、上流側区域JUの温度データTDが下流側区域JDの温度データTDに比べて高いときにときにのみ、温度分布と気流との間に関連性が有ったと判定してもよい。後者の場合には、上流側区域JUの温度データTDが下流側区域JDの温度データTDに比べて低いときにのみ、温度分布と気流との間に関連性が有ったと判定してもよい。
(7)現象判定過程について
現象判定過程における処理は、ステップS33の試験において定められていた試験温度TWeによって変わらなかったが、これに限られない。試験温度TWeによって、熱処理プレートPLと熱処理プレートPLの周囲の気体との間で熱が移動する方向が変わる場合には、試験温度TWeに応じて現象判定過程における処理を変更してもよい。
例えば、試験温度TWeが熱処理プレートPLの周囲の雰囲気温度に比べて高い場合(前者)と、試験温度TWeが熱処理プレートPLの周囲の雰囲気温度に比べて低い場合(後者)とで、ステップS411、ステップS421、ステップS432の処理を変更してもよい。具体的には、上記(5)の変形実施例と同様に変更することができる。
(8)試験の数について
上述したステップS4(分析)は、複数の試験結果(測定結果)を分析できるが、単一の試験結果(測定結果)を分析する場合にも好適に適用できる。たとえば、試験予定情報に規定される試験の数が単一であっても、ステップS4(分析)を支障なく実行できる。また、ステップ5(出力)も、同様である。
(9)温度分布について
関連性判定過程(ステップS432)において、1次元の温度分布を例示したが、これに限られない。2次元の温度分布に変更してもよい。
(10)気流形成設備、気流監視設備および気流調節設備について
気流形成設備として、上部排気管121、側部給気ダクト123および側部排気ダクト125等を例示したが、これに限られない。チャンバー117内に気体を供給する適宜な設備や、チャンバー117から気体を排出する適宜な設備に変更してもよい。また、チャンバー117内の気体を攪拌する設備に変更してもよい。
気流監視設備として、圧力計122を例示したが、これに限られない。流量計や流速計など適宜な機器に変更してもよい。また、気流調節設備として、排気用ダンパー126を例示したが、これに限られない。開閉弁や流量調節弁など適宜な機器に変更してもよい。
[5. 基板処理装置1の変形実施例]
(1)上述した実施例では、基板処理装置1は、温度計測部167、分析処理部169、入出力部95等を備えていたが、これに限られない。温度計測部167、分析処理部169、入出力部95等が、基板処理装置1の外部に設置されていてもよい。
図36を参照する。図36は、変形実施例に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。なお、実施例と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。図示するように、基板処理システムは、基板処理装置1と分析装置171と計測装置181を備えている。分析装置171および計測装置181はそれぞれ、基板処理装置1に電気的に接続されている。
分析装置171は、順番設定部161と分析処理部169と入出力部173と記憶部175を備えている。入出力部173は、ユーザーからの命令を受け付けるとともに、分析結果を表示する。記憶部175は、試験リスト情報、プレート性能情報、気流形成設備情報等を記憶する。順番設定部161は、入出力部173に入力された命令や記憶部175に記憶されている情報を参照して、試験予定情報を作成する。また、分析処理部169は、記憶部175に記憶されている情報を参照して、基板処理装置1から受信した試験結果(測定結果)を分析する。分析装置171は、例えば、パーソナルコンピュータ等によって実現される。
基板処理装置1は、分析装置171から受信した試験予定情報に沿って試験を実施する。そして、ユニット側アンテナAUが受信した検出信号を計測装置181に送信する。
計測装置181は、温度計測部167と記憶部183を備えている。記憶部183は、試験レシピ情報、試験予定情報等を記憶している。温度計測部167は、試験レシピ情報等を参照して、基板処理装置1から受信した検出信号に基づいて温度データTDを生成する。そして、計測装置181は、生成した温度データTDを基板処理装置1に送信する。
このような基板処理システムによっても、上述したステップS1乃至S4における処理を好適に実行できる。
なお、分析装置171は、本発明における分析装置に相当するのみならず、本発明における試験予定作成装置に相当する。
(2)上述した実施例では、入力機能と出力機能を兼ね備えた入出力部95を例示したが、これに限られない。たとえば、入力機能のみを有する入力部と、入力部とは別体に構成され、出力機能のみを有する出力部に変更してもよい。
(3)上述した実施例では、上層K1には、2基の搬送機構TB1c、TB1dが設置されていたが、これに限られない。例えば、上層K1における搬送機構の台数を1基に変更してもよいし、3基以上に変更してもよい。下層K2についても、同様に変更してもよい。また、上述した実施例では、処理部13は、第1処理ブロック14と第2処理ブロック15とによって構成されていんたが、これに限られない。例えば、1つの処理ブロックによって処理部13を構成してもよい。あるいは、3以上の処理ブロックによって処理部13を構成してもよい。
(4)上述した実施例では、各種の液処理ユニット60、65や熱処理ユニットHUは、基本的に、基板Wを1枚ずつ処理する処理ユニット(いわゆる「枚葉式処理ユニット」)であったが、これに限られない。例えば、複数枚の基板Wを一括して処理する処理ユニット(いわゆる「バッチ式処理ユニット」)に変更してもよい。
(5)上述した実施例では、上層K1において基板Wに行う処理と、下層K2において基板Wに行う処理は、同じであったが、これに限られない。すなわち、上層K1における処理と下層K2における処理が互いに異なるように変更してもよい。
(6)上述した実施例では、一連の処理は、基板Wにレジスト膜等を形成し、かつ、基板Wを現像する処理であったが、これに限られない。例えば、一連の処理の内容を、処理対象の基板Wに応じて適宜に変更してもよい。
(7)上述した実施例では、熱処理ユニットHUとして、加熱冷却ユニットPHP、冷却ユニットCPおよび露光後加熱処理ユニットPEBを例示したが、これらに限られない。たとえば、熱処理ユニットHUの種類は、適宜に選択、変更できる。例えば、熱処理ユニットHUは、アドヒージョン処理ユニットAHLであってもよい。アドヒージョン処理ユニットAHLは、基板Wと被膜の密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルシラザン)の蒸気雰囲気で熱処理する。
(8)上述した実施例では、処理部13に形成される階層の数は、2つであったが、これに限られない。すなわち、処理部13に形成される階層の数を、1に変更してもよいし、3以上に変更してもよい。
(9)上述した各実施例および各変形実施例の各構成を適宜に組み合わせるように変更してもよい。