JP6103164B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、電流指令値によってモータを駆動し、車両の操舵系にアシスト力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特に粘弾性モデルを規範モデルとし、ラックエンド近傍で電流指令値を絞ることによりアシストトルクを減少させ、端当て時の勢いを減衰して衝撃エネルギーを低くし、運転者の不快に感じる打音(異音)を抑制し、操舵フィーリングを向上した電動パワーステアリング装置に関する。
車両の操舵系にモータの回転力でアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置(EPS)は、モータの駆動力で減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸にアシスト力を付与するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、アシスト力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、電流指令値とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティの調整で行っている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)30には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Velとに基づいて、アシストマップを用いてアシスト指令の電流指令値の演算を行い、演算された電流指令値に補償等を施した電圧制御値Vrefによってモータ20に供給する電流を制御する。
コントロールユニット30には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)40が接続されており、車速VelはCAN40から受信することも可能である。また、コントロールユニット30には、CAN40以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN41も接続可能である。
このような電動パワーステアリング装置において、コントロールユニット30は主としてCPU(MPUやMCUを含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと、例えば図2に示されるような構成となっている。
図2を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10からの操舵トルクTh及び車速センサ12からの車速Velは電流指令値を演算するトルク制御部31に入力され、演算された電流指令値Iref1は減算部32Bに入力され、モータ電流検出値Imと減算される。減算部32Bでの減算結果である偏差I(=Iref1−Im)はPI制御等の電流制御部35で制御され、電流制御された電圧制御値VrefがPWM制御部36に入力されてデューティを演算され、PWM信号でインバータ37を介してモータ20をPWM駆動する。モータ20のモータ電流値Imはモータ電流検出器38で検出され、減算部32Bに入力されてフィードバックされる。モータ20にはレゾルバ等の回転角センサ21が連結されており、回転角θが検出されて出力される。
このような電動パワーステアリング装置では、操舵系の最大舵角(ラックエンド)の近傍で大きなアシストトルクがモータにより付加されると、操舵系が最大舵角に至った時点で大きな衝撃が生じ、打音(異音)が発生して、運転者が不快に感じる可能性がある。
そのため、特公平6−4417号公報(特許文献1)には、操舵系の操舵角が最大操舵角より所定値手前になったことを判定する操舵角判定手段を備えると共に、操舵角が最大操舵角より所定値手前になったときにモータへ供給する電力を減少させて、アシストトルクを減少させる補正手段を備えた電動式パワーステアリング装置が開示されている。
また、特許第4115156号公報(特許文献2)には、調節機構が端位置に近づいているかどうかを決定し、調節機構が端位置に近づいていることがわかった場合、ステアリング補助を減少するように駆動手段を制御し、調節機構が端位置に近づく速度を決定するため、位置センサによって決定された調節速度が評価される電動パワーステアリング装置が示されている。
特公平6−4417号公報 特許第4115156号公報
しかしながら、特許文献1に開示された電動式パワーステアリング装置では、操舵角が最大操舵角より所定値手前になったことで電力を減少させており、操舵速度等を全く考慮していないので、微細な電流低減制御ができない。また、モータのアシストトルクを減少させる特性が全く示されておらず、具体的な構成となっていない。
また、特許文献2に開示された電動パワーステアリング装置では、アシスト量が終端に向かうに従って減少していくが、終端に近づく速度に応じてアシスト量低減の速さを調整し、終端での速度を十分に落とすようにしている。しかし、特許文献2では、速度に応じて低減する特性を変化させることのみを示しており、物理的なモデルには基づいていない。また、フィードバック制御していないため、路面状況(負荷状態)によっては特性或いは結果が変化する恐れがある。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、物理モデルに基づいた制御系を構成し、規範モデルに制御対象の出力(ラックエンドまでの距離)が追従するようなモデルフォローイング制御を構成し、運転者に操舵違和感を与えずに端当て時の異音の発生を抑制し、衝撃力を減衰する電動パワーステアリング装置を提供することにある。また、微小なトルク変動やモータ角変化によって電流指令値や制御量が変動した場合、これらがフィードバックされることで運転者が継続して感じるおそれがある不快な振動の低減を図ること、モデルフォローイング制御前後でのアシスト力の変化により、運転者に違和感を与えないようにすること、車速に応じて制御範囲を可変とすることにより、よりスムーズな操舵を可能とすることも目的とする。
本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて電流指令値1を演算し、前記電流指令値に基づいてモータを駆動することにより、操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記電流指令値1をラック軸力1に変換する第1の変換部と、前記モータの回転角から判定用ラック位置に変換するラック位置変換部と、前記判定用ラック位置に基づいてラックエンドに接近したことを判定し、ラック変位及び切替信号を出力するラックエンド接近判定部と、モデルフォローイング制御の構成で、前記ラック軸力1、前記ラック変位及び前記切替信号に基づいて、粘弾性モデルを規範モデルとしたラック軸力2を生成する粘弾性モデル追従制御部と、前記ラック軸力2を電流指令値2に変換する第2の変換部とを具備し、前記粘弾性モデル追従制御部が、前記ラック変位及び前記ラック軸力1に基づいてフィードバック制御してラック軸力2を出力するフィードバック制御部と、前記切替信号により前記ラック軸力2の出力をON/OFFする切替部と、ノイズ低減の機能により前記ラック変位又は前記ラック軸力1に含まれるノイズを低減する少なくとも1つのノイズ低減部とを具備しており、前記電流指令値2を前記電流指令値1に加算して前記アシスト制御を行い、ラックエンド端当て時の衝撃力を抑制することにより達成される。
また、本発明の上記目的は、前記電流指令値1をラック軸力1に変換する第1の変換部と、前記モータの回転角から判定用ラック位置に変換するラック位置変換部と、前記判定用ラック位置に基づいてラックエンドに接近したことを判定し、ラック変位及び切替信号を出力するラックエンド接近判定部と、モデルフォローイング制御の構成で、前記ラック軸力1、前記ラック変位及び前記切替信号に基づいて、粘弾性モデルを規範モデルとしたラック軸力2を生成する粘弾性モデル追従制御部と、前記ラック軸力2の変化量が所定値を超えたとき、前記変化量が前記所定値となるように、前記ラック軸力2を変更する変化量制限部と、前記ラック軸力2を電流指令値2に変換する第2の変換部とを具備し、前記電流指令値2を前記電流指令値1に加算して前記アシスト制御を行い、ラックエンド端当て時の衝撃力を抑制することにより達成される。
更に、本発明の上記目的は、前記電流指令値1をラック軸力1に変換する第1の変換部と、前記モータの回転角から判定用ラック位置に変換するラック位置変換部と、前記判定用ラック位置に基づいてラックエンドに接近したことを判定し、ラック変位及び切替信号を出力するラックエンド接近判定部と、モデルフォローイング制御の構成で、前記ラック軸力1、前記ラック変位及び前記切替信号に基づいて、粘弾性モデルを規範モデルとしたラック軸力2を生成する粘弾性モデル追従制御部と、前記ラック軸力2を電流指令値2に変換する第2の変換部とを具備し、前記粘弾性モデル追従制御部が、前記ラック変位及び前記ラック軸力1に基づいてフィードバック制御してラック軸力3を出力するフィードバック制御部と、前記切替信号により前記ラック軸力3の出力をON/OFFする第1の切替部とを具備し、前記第1の切替部からの出力を前記ラック軸力2として出力し、前記ラックエンド接近判定部は、ラックエンド手前の所定位置以内に前記判定用ラック位置があるか否かで前記ラックエンドに接近したことを判定し、前記所定位置を前記車速に応じて変更し、前記電流指令値2を前記電流指令値1に加算して前記アシスト制御を行い、ラックエンド端当て時の衝撃力を抑制することにより達成される。
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、物理モデルに基づいた制御系を構成しているので、定数設計に見通しが立て易くなり、規範モデルに制御対象の出力(ラックエンドまでの距離)が追従するようなモデルフォローイング制御を構成しているので、負荷状態(外乱)や制御対象の変動にロバスト(頑健)な端当て抑制制御が可能となる利点がある。
また、フィードバック経路にノイズ低減部を設けることにより、微小な電流指令値の変化やモータ角の変化があっても、運転者に不快な振動を感じさせることを抑制することができる。
更に、モデルフォローイング制御によりアシスト力が急変しないように、制御量の変化量に制限を設けることにより、運転者が操舵トルクの変動を感じることを抑えることができる。
ラックエンド手前の所定角度等を車速に応じて可変とすることにより、状況に応じたスムーズな操舵も行うことができる。
電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。 電動パワーステアリング装置の制御系の構成例を示すブロック図である。 本発明の構成例を示すブロック図である。 ラック位置変換部の特性例を示す図である。 粘弾性モデル追従制御部の構成例(実施形態1)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の構成例(実施形態2)を示すブロック図である。 本発明の動作例(全体)を示すフローチャートである。 粘弾性モデル追従制御部の動作例を示すフローチャートである。 粘弾性モデルの模式図である。 粘弾性モデル追従制御部の詳細原理を説明するためのブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の詳細原理を説明するためのブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の詳細原理を説明するためのブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の詳細原理を説明するためのブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例(実施例1)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例(実施例2)を示すブロック図である。 ラック変位によって規範モデルのパラメータを変更する例を示す特性図である。 粘弾性モデル追従制御部の動作例(実施例2)を示すフローチャートである。 本発明の構成例(実施例3)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の構成例(実施例3)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例(実施例3)を示すブロック図である。 ノイズ低減部の周波数特性(振幅特性)の例を示す図である。 本発明の動作例(全体)(実施例3)を示すフローチャートである。 粘弾性モデル追従制御部の動作例(実施例3)を示すフローチャートである。 粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例(実施例4)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の動作例(実施例4)を示すフローチャートである。 粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例(実施例5)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の動作例(実施例5)を示すフローチャートである。 本発明の構成例(実施例6)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の構成例(実施例6)を示すブロック図である。 本発明の構成例(実施例7)を示すブロック図である。 ラック変位に対する所定値の特性例を示す図である。 本発明の動作例(全体)(実施例7)を示すフローチャートである。 粘弾性モデル追従制御部の動作例(実施例7)を示すフローチャートである。 本発明の構成例(実施例8)を示すブロック図である。 回転角に対する所定値の特性例を示す図である。 ラック軸力の差の符号により変更する所定値の特性例を示す図である。 本発明の構成例(実施例10)を示すブロック図である。 車速に対する所定位置の特性例を示す図である。 本発明の動作例(実施例10)を示すフローチャートである。 ラック変位によって制御パラメータを変更する例を示す特性図である。 粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例(実施例11)を示すブロック図である。 パラメータ設定部の構成例(実施例11)を示すブロック図である。 車速によって停車時車速ゲインを変更する例を示す特性図である。 車速によって走行時車速ゲインを変更する例を示す特性図である。 制御パラメータ設定部の構成例(実施例11)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の動作例(実施例11)を示すフローチャートである。 パラメータ設定部の動作例(実施例11)を示すフローチャートである。 粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例(実施例12)を示すブロック図である。 フィードバック要素(N/F)の構成例(実施例12)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の動作例(実施例12)を示すフローチャートである。 フィードバック要素(N/F)の動作例(実施例12)を示すフローチャートである。 車速によって車速ゲインを変更する例を示す特性図である。 粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例(実施例13)を示すブロック図である。 粘弾性モデル追従制御部の動作例(実施例13)を示すフローチャートである。
本発明は、ラックエンド近傍の物理モデルに基づいた制御系を構成し、粘弾性モデル(バネ定数、粘性摩擦係数)を規範モデルとし、その規範モデルに制御対象の出力(ラックエンドまでの距離)が追従するようなモデルフォローイング制御を構成し、運転者に操舵違和感を与えずに端当て時の異音の発生を抑制し、衝撃力を減衰する電動パワーステアリング装置である。
モデルフォローイング制御は粘弾性モデル追従制御部で構成し、粘弾性モデル追従制御部をフィードフォワード制御部若しくはフィードバック制御部或いはその両者で構成し、ラックエンド手前の所定角度外では通常のアシスト制御を行い、ラックエンド手前の所定角度内でモデルフォローイング制御を行い、ラックエンドに当たる時の衝撃力を減衰する。
また、本発明では、振動(ノイズ)低減のための処理(以下、「ノイズ低減処理」とする)、制御量の変化量を抑えるための処理(以下、「変化量制限処理」とする)及びラックエンド手前の所定角度(開始舵角)を変更する処理(以下、「開始舵角変更処理」とする)を行う。
ノイズ低減処理では、微小な操舵トルクの変化やモータ角の変化により発生する振動(ノイズ)を抑制するためのノイズ低減部を設ける。これらの変化は粘弾性モデル追従制御部を介してフィードバックされ、振動が継続することになるので、ノイズ低減部は粘弾性モデル追従制御部内に設ける。運転者は特に高周波数の振動を不快な振動として感じやすいので、ノイズ低減部は高周波数成分を低減するような特性を有する。ノイズ低減部の特性は、モータ角速度やラック変位速度等のステアリング速度情報に応じて変化する。即ち、運転者が不快な振動を感じるのは保舵しているときや操舵速度が遅いときであるから、ステアリング速度情報が小さいときはノイズの抑制効果が大きい特性とし、ステアリング速度情報が大きいときは、制御の応答性を高くしなければ端当て防止の効果が薄れるので、ノイズの抑制効果が小さい特性となるように調整される。更に、ノイズ低減部の特性が急激に変化し、モータトルクが急変すると、運転者に不快な振動として伝わるおそれがあるので、特性が急激に変化しないように、ステアリング速度情報の変化に合わせて特性が徐々に変化するように調整される。
変化量制限処理では、モデルフォローイング制御の開始時点や通常のアシスト制御に戻る時点等でアシスト力が急変し、運転者に操舵トルクの変動を感じることがないように、そのような時点付近で、モデルフォローイング制御により変化する制御量の変化量を抑えるようにしている。具体的には、変化量制限部において、制御量に相当する粘弾性モデル追従制御部からの出力をトレースし、出力の変化量が所定値より大きくなった場合、変化量が所定値になるように出力を変更している。電流指令値を算出するためのパラメータを調整することよりアシスト力の急変を抑えることも可能であるが、操舵速度、タイヤや路面状況等の様々な要因の中で最適なパラメータを求めるのは、調整の自由度が少なく、調整に時間がかかる可能性があるので、本発明ではアシスト力に直結する制御量に制限をかけることにより、調整の自由度を増し、調整時間の短縮も図っている。変化量制限部で使用する所定値は、モデルフォローイング制御が開始或いは終了するラックエンド手前の所定角度の近辺とラックエンドの近辺とでは大きさを変え、ラックエンドの近辺で大きくなるように設定される。ラックエンド近辺では、第1の目的である端当て時の異音発生防止のために、粘弾性モデル追従制御部からの出力の変化量を抑えすぎないように所定値を大きくする。ラックエンド手前の所定角度近辺では、アシスト力の急変を抑えるべく、可能な範囲で所定値を小さくする。これを実現するために、後述で説明するラック変位、モータの回転角、舵角等の操舵情報に基づいて所定値を変更する。即ち、操舵情報の値が大きくなるにつれ、ラックエンドに接近するので、所定値が大きくなるように設定する。また、ラックエンド手前の所定角度の範囲に入る場合と出る場合とでは、通常、粘弾性モデル追従制御部からの出力の変化の向き(±)が逆であるから、出力の変化の向きによって所定値を変更することにより、入る場合と出る場合とで異なる特性の所定値を使用するようにし、より柔軟な調整ができるようにする。
開始舵角変更処理では、ラックエンド手前の所定角度(開始舵角)を車速に応じて変更するようにしている。ラックエンドの位置は変わらないので、開始舵角が変更されることにより制御範囲(モデルフォローイング制御を行う範囲)が変わることになり、例えば、パーキングでは制御範囲を大きくして滑らかな操舵トルク変化としてトーションバー当たりをなるべく避けるようにし、極低速(例えばクリーピング)以上では制御範囲を小さくして操舵変化のない舵角範囲を大きくすることが可能となる。開始舵角の変更に合わせて、規範モデル、規範モデルのパラメータ(以下、「モデルパラメータ」とする)及びフィードバック制御部の制御パラメータも車速に応じて変更することにより、スムーズで柔軟な制御が可能となる。具体的には、停車時及び走行時の規範モデル、モデルパラメータ及び制御パラメータを用意し、車速に応じて停車時と走行時の間を遷移させるようにする。
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図3は本発明の実施形態の一例を図2に対応させて示しており、電流指令値Iref1は変換部101でラック軸力fに変換され、ラック軸力fは粘弾性モデル追従制御部120に入力される。ラック軸力fはコラム軸トルクと等価であるが、以下の説明では便宜的にラック軸力として説明する。なお、図2に示される構成と同一構成には同一符号を付して説明は省略する。
電流指令値Iref1からラック軸力fへの変換は、下記数1に従って行われる。
(数1)
f=G1×Iref1
ここで、Ktをトルク定数[Nm/A]、Grを減速比、Cfを比ストローク[m/rev.]として、G1=Kt×Gr×(2π/Cf)である。
回転角センサ21からの回転角θはラック位置変換部100に入力され、判定用ラック位置Rxに変換される。判定用ラック位置Rxはラックエンド接近判定部110に入力され、ラックエンド接近判定部110は図4に示すように、判定用ラック位置Rxがラックエンド手前の所定位置x以内にあると判定したときに端当て抑制制御機能を働かせ、ラック変位xを出力すると共に切替信号SWSを出力する。切替信号SWS及びラック変位xは、ラック軸力fと共に粘弾性モデル追従制御部120へ入力され、粘弾性モデル追従制御部120で制御演算されたラック軸力ffは変換部102で電流指令値Iref2に変換され、電流指令値Iref2は加算部103で電流指令値Iref1と加算されて電流指令値Iref3となる。電流指令値Iref3に基づいて、上述したアシスト制御が行われる。
なお、図4に示すラックエンド近接領域を設定する所定位置xは、適宜な位置に設定可能である。所定位置xはラック比ストローク、車種、フィール等により一義的には定まらず、通常ラックエンド手前1〜50mm程度に設定される。また、回転角θをモータに連結された回転角センサ21から得ているが、舵角センサから取得するようにしても良い。
変換部102でのラック軸力ffから電流指令値Iref2への変換は、下記数2に従って行われる。
(数2)
Iref2=ff/G1

粘弾性モデル追従制御部120の詳細を、図5又は図6に示す。
図5の実施形態1では、ラック軸力fはフィードフォワード制御部130及びフィードバック制御部140に入力され、ラック変位xはフィードバック制御部140に入力される。フィードフォワード制御部130からのラック軸力FFは切替部121に入力され、フィードバック制御部140からのラック軸力FBは切替部122に入力される。切替部121及び122は切替信号SWSによってON/OFFされ、切替信号SWSによってOFFされているときは、各出力u及びuはゼロである。切替信号SWSによって切替部121及び122がONされたとき、切替部121からのラック軸力FFがラック軸力uとして出力され、切替部122からのラック軸力FBがラック軸力uとして出力される。切替部121及び122からのラック軸力u及びuが加算部123で加算され、加算値のラック軸力ffが粘弾性モデル追従制御部120から出力される。ラック軸力ffは、変換部102で電流指令値Iref2に変換される。
また、図6の実施形態2では、ラック変位xはフィードフォワード制御部130及びフィードバック制御部140に入力され、ラック軸力fはフィードバック制御部140に入力される。以下は図5の実施形態1と同様に、フィードフォワード制御部130からのラック軸力FFは切替部121に入力され、フィードバック制御部140からのラック軸力FBは切替部122入力される。切替部121及び122は切替信号SWSによってON/OFFされ、切替信号SWSによってOFFされているときは、各出力u及びuはゼロである。切替信号SWSによって切替部121及び122がONされたとき、切替部121からのラック軸力FFがラック軸力uとして出力され、切替部122からのラック軸力FBがラック軸力uとして出力される。切替部121及び122からのラック軸力u及びuが加算部123で加算され、加算値のラック軸力ffが粘弾性モデル追従制御部120から出力される。ラック軸力ffは変換部102で電流指令値Iref2に変換される。
このような構成において、先ず本発明の動作例全体を図7のフローチャートを参照して、次いで粘弾性モデル追従制御(実施形態1及び2)の動作例を図8のフローチャートを参照して説明する。
スタート段階においては、切替部121及び122は切替信号SWSによってOFFされている。そして、動作がスタートすると先ず、トルク制御部31は操舵トルクTh及び車速Velに基づいて電流指令値Iref1を演算し(ステップS10)、ラック位置変換部100は回転角センサ21からの回転角θを判定用ラック位置Rxに変換する(ステップS11)。ラックエンド接近判定部110は判定用ラック位置Rxに基づいてラックエンド接近か否かを判定し(ステップS12)、ラックエンド接近でない場合には、粘弾性モデル追従制御部120からラック軸力ffは出力されず、電流指令値Iref1に基づく通常の操舵制御が実行され(ステップS13)、終了となるまで継続される(ステップS14)。
一方、ラックエンド接近判定部110でラックエンド接近が判定された場合には、粘弾性モデル追従制御部120による粘弾性モデル追従制御が実行される(ステップS20)。即ち、図8に示すように、ラックエンド接近判定部110から切替信号SWSが出力されると共に(ステップS201)、ラック変位xが出力される(ステップS202)。また、変換部101は、前記数1に従って電流指令値Iref1をラック軸力fに変換する(ステップS203)。図5の実施形態1では、フィードフォワード制御部130はラック軸力fに基づいてフィードフォワード制御を行い(ステップS204)、フィードバック制御部140はラック変位x及びラック軸力fに基づいてフィードバック制御を行う(ステップS205)。また、図6の実施形態2では、フィードフォワード制御部130はラック変位xに基づいてフィードフォワード制御を行い(ステップS204)、フィードバック制御部140はラック変位x及びラック軸力fに基づいてフィードバック制御を行う(ステップS205)。なお、いずれの場合も、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の順番は、逆であっても良い。
ラックエンド接近判定部110からの切替信号SWSは切替部121及び122に入力され、切替部121及び122がONされる(ステップS206)。切替部121及び122がONされると、フィードフォワード制御部130からのラック軸力FFがラック軸力uとして出力され、フィードバック制御部140からのラック軸力FBがラック軸力uとして出力される。ラック軸力u及びuは加算部123で加算され(ステップS207)、加算結果としてのラック軸力ffが変換部102で、前記数2に従って電流指令値Iref2に変換される(ステップS208)。
ここで、本発明の粘弾性モデル追従制御部120は、ラックエンド近辺の物理モデルに基づいた制御系となっており、ラックエンド手前の所定角度以内で粘弾性モデル(バネ定数k[N/m]、粘性摩擦係数μ[N/(m/s)])を規範モデル(入力:力、出力:変位で記述された物理モデル)としたモデルフォローイング制御を構成し、ラックエンドに当たる時の衝撃力を減衰している。
図9はラックエンド近傍の模式図を示しており、質量mと力F,Fの関係は数3である。粘弾性モデルの方程式の算出は、例えば関西大学理工学会誌「理工学と技術」Vol.17(2010)の「弾性膜と粘弾性の力学の基礎」(大場謙吉)に示されている。
Figure 0006103164
そして、ラック変位x、xに対して、k、kをバネ定数とすると、数4〜数6が成立する。
Figure 0006103164
Figure 0006103164
Figure 0006103164
従って、上記数3に上記数4〜数6を代入して数7となる。
Figure 0006103164
上記数7を微分すると、下記数8となり、μ/kを両辺に乗算すると数9となる。
Figure 0006103164
Figure 0006103164
そして、数7と数9を加算すると、数10となる。
Figure 0006103164
数10に上記数4及び数6を代入すると、下記数11となる。
Figure 0006103164
ここで、μ/k=τ,k=E,μ(1/k+1/k)=τδとすると、上記数11は数12となり、ラプラス変換すると数13が成立する。
Figure 0006103164
Figure 0006103164
上記数13をX(s)/F(s)で整理すると、下記数14となる。
Figure 0006103164
数14は入力力fから出力変位xまでの特性を示す3次の物理モデル(伝達関数)となり、バネ定数k=∞のバネとするとτ→0であり、τδ=μ・1/kであるので、2次関数の下記数15が導かれる。
Figure 0006103164

本発明では、数15で表される2次関数を規範モデルGmとして説明する。即ち、数16を規範モデルGmとしている。ここで、μ=μとしている。
Figure 0006103164

次に、電動パワーステアリング装置の実プラント146を下記数17で表わされるPとし、本発明の規範モデル追従型制御を2自由度制御系で設計すると、Pn及びPdを実際のモデルとして図10の構成となる。ブロック143(Cd)は制御要素部を示している。(例えば朝倉書店発行の前田肇、杉江俊治著「アドバンスト制御のためのシステム制御理論」参照)
Figure 0006103164
実プラントPを安定な有理関数の比で表わすために、N及びDを下記数18で表わす。Nの分子はPの分子、Dの分子はPの分母となる。ただし、αは(s+α)=0の極が任意に選択できる。
Figure 0006103164

図10の構成を規範モデルGmに適用すると、x/f=Gmとなるためには、1/Fを下記数19のように設定する必要がある。なお、数19は、数16及び数18より導かれる。
Figure 0006103164
フィードバック制御部のブロックN/Fは下記数20である。
Figure 0006103164
フィードフォワード制御部のブロックD/Fは下記数21である。
Figure 0006103164

2自由度制御系の一例を示す図10において、実プラントPへの入力(ラック軸力若しくはコラム軸トルクに対応する電流指令値)uは、下記数22で表される。
Figure 0006103164
また、実プラントPの出力(ラック変位)xは下記数23である。
Figure 0006103164
数23を整理し、出力xの項を左辺に、fの項を右辺に揃えると、数24が導かれる。
Figure 0006103164
数24を入力fに対する出力xの伝達関数として表わすと、数25となる。ここで、3項目以降ではP=Pn/Pdとして表現している。
Figure 0006103164

実プラントPを正確に表現できたとすれば、Pn=N、Pd=Dとすることができ、入力fに対する出力xの特性は、Pn/F(=N/F)として表わされるので、数26が成立する。
Figure 0006103164
入力fに対して出力xの特性(規範モデル(伝達関数))を、下記数27のようにすると考えるとき、
Figure 0006103164
1/Fを下記数28のようにすることで達成できる。
Figure 0006103164

図10において、フィードフォワード制御系をブロック144→実プラントPの経路で考えると、図11となる。ここで、P=N/Dとすると、図11(A)は図11(B)となり、数20より図11(C)が得られる。図11(C)より、f=(m・s+μ・s+k0)xとなるので、これを逆ラプラス変換すると、下記数29が得られる。
Figure 0006103164

一方、図12に示すようなフィードフォワード制御系の伝達関数ブロックを考えると、下記数30が入力f及び出力xにおいて成立する。
Figure 0006103164
数30を整理すると下記31となり、数31を入力fについて整理すると、数32が得られる。
Figure 0006103164
Figure 0006103164
数32を逆ラプラス変換すると上記数29となり、結果的に図13に示すように2つのフィードフォワード制御部A及びBは等価である。
上記前提を踏まえ、以下に本発明の具体的な構成例を図14及び図15に示して説明する。図14の実施例1は図5の実施形態1に対応し、ラック軸力fがフィードフォワード制御部130内のフィードフォワード要素144(数21で示されるD/F)及びフィードバック制御部140に入力され、ラック変位xがフィードバック制御部140に入力される。また、図15の実施例2は図6の実施形態2に対応し、ラック変位xがフィードフォワード制御部130内のバネ定数項131及び粘性摩擦係数項132に入力され、ラック軸力fがフィードバック制御部140に入力される。
図14の実施例1ではフィードフォワード要素144からのラック軸力FFは切替部121のb1接点に入力される。また、図15の実施例2では、フィードフォワード制御部130内のバネ定数項131及び粘性摩擦係数項132の出力を減算部133で減算し、減算部133の減算結果であるラック軸力FFが切替部121のb1接点に入力される。切替部121のa1接点には、固定部125から固定値「0」が入力されている。
図14の実施例1及び図15の実施例2のいずれにおいても、フィードバック制御部140はフィードバック要素(N/F)141、減算部142、制御要素部143で構成され、フィードバック制御部140からのラック軸力FB、つまり制御要素部143の出力は切替部122のb2接点に入力される。切替部122のa2接点には、固定部126から固定値「0」が入力されている。
図14の実施例1では、ラック軸力fはフィードフォワード制御部130内のフィードフォワード要素144に入力されると共に、フィードバック制御部140のフィードバック要素(N/F)141に入力される。ラック変位xはフィードバック制御部140の減算部142に減算入力されると共に、パラメータ設定部124に入力される。パラメータ設定部124はラック変位xに対して、例えば図16に示すような特性のバネ定数k及び粘性摩擦係数μを出力し、バネ定数k及び粘性摩擦係数μは、フィードフォワード制御部130内のフィードフォワード要素144及びフィードバック制御部140内のフィードバック要素(N/F)141に入力される。
図15の実施例2では、ラック変位xはフィードフォワード制御部130内のバネ定数項131及び粘性摩擦係数項132に入力されると共に、フィードバック制御部140の減算部142に入力され、更にパラメータ設定部124に入力される。ラック軸力fはフィードバック制御部140のフィードバック要素(N/F)141に入力される。パラメータ設定部124はラック変位xに対して、上述と同様なバネ定数k及び粘性摩擦係数μを出力し、バネ定数kはバネ定数項131及びフィードバック要素(N/F)141に入力され、粘性摩擦係数μは粘性摩擦係数項132及びフィードバック要素(N/F)141に入力される。
また、切替信号SWSは、実施例1及び2においていずれも切替部121及び122に入力され、切替部121及び122の接点は通常時はそれぞれ接点a1及びa2に接続されており、切替信号SWSによってそれぞれ接点b1及びb2に切替えられるようになっている。
このような構成において、図15の実施例2の動作例を図17のフローチャートを参照して説明する。
ラックエンド接近判定部110から切替信号SWSが出力されると共に(ステップS21)、ラック変位xが出力される(ステップS22)。ラック変位xはバネ定数項131、粘性摩擦係数項132、パラメータ設定部124及び減算部142に入力される。パラメータ設定部124は、ラック変位xに応じて図16の特性に従って求められたバネ定数k及び粘性摩擦係数μを、バネ定数項131、粘性摩擦係数項132及びフィードバック要素(N/F)141に設定する(ステップS23)。また、変換部101は電流指令値Iref1をラック軸力fに変換し(ステップS23A)、ラック軸力fはフィードバック要素(N/F)141に入力され、N/F演算される(ステップS24)。N/F演算値は減算部142に加算入力され、ラック変位xが減算され(ステップS24A)、その減算値が制御要素部143でCd演算される(ステップS24B)。制御要素部143から、演算されたラック軸力FBが出力されて切替部122の接点b2に入力される。
フィードフォワード制御部130内の粘性摩擦係数項132は、粘性摩擦係数μに基づいて“(μ−η)・s”の演算を行い(ステップS25)、バネ定数項131にバネ定数kを設定し(ステップS25A)、減算部でバネ定数k及び“(μ−η)・s”の減算を行い(ステップS25B)、演算結果としてラック軸力FFを出力する。ラック軸力FFは切替部121の接点b1に入力される。なお、フィードフォワード制御部130及びフィードバック制御部140の演算の順番は、逆であっても良い。
ラックエンド接近判定部110からの切替信号SWSは切替部121及び122に入力され、切替部121及び122の各接点がa1からb1へ、a2からb2へ切替えられ、切替部121及び122からのラック軸力u及びuが加算部123で加算され(ステップS26)、加算結果としてのラック軸力ffが変換部102で電流指令値Iref2に変換される(ステップS26A)。電流指令値Iref2は加算部103に入力され、電流指令値Iref1に加算され(ステップS27)、操舵制御が実行され、ステップS14へとつながる。
なお、制御要素部143(Cd)は任意のPID(比例積分微分)制御、PI制御、PD制御の構成のいずれでも良い。また、図14の実施例1の動作も、ラック軸力f及びラック変位xが入力する部分(要素)が異なるだけで、同様である。また、図14の実施例1及び図15の実施例2では、フィードフォワード制御部130及びフィードバック制御部140の両方の制御演算を実行しているが、フィードフォワード制御部130のみの構成でも良く、フィードバック制御部140のみの構成でも良い。
次に、ノイズ低減処理を行う本発明の実施例(実施例3〜6)について説明する。
図18は本発明の実施例(実施例3)を図3に対応させて示しており、図3に示される実施形態に対してモータ角速度演算部150が追加され、粘弾性モデル追従制御部120が粘弾性モデル追従制御部220に代わっている。他の構成は図3に示される実施形態と同じであるから、説明は省略する。
回転角センサ21からの回転角(モータ角)θはラック位置変換部100の他にモータ角速度演算部150に入力され、モータ角速度演算部150でモータ角速度ωに変換される。モータ角速度ωは、切替信号SWS、ラック変位x及びラック軸力fと共に粘弾性モデル追従制御部220へ入力される。
粘弾性モデル追従制御部220の構成例を、図6に対応させて図19に示す。
粘弾性モデル追従制御部220にはノイズ低減部127及び128が追加されており、粘弾性モデル追従制御部220に入力されたモータ角速度ωはノイズ低減部127及び128に入力される。ノイズ低減部127は、モータ角速度ωと共にラック軸力fを入力し、ノイズを低減したラック軸力f’をフィードバック制御部140に出力する。ノイズ低減部128は、切替部122から出力されるラック軸力uをモータ角速度ωと共に入力し、ノイズを低減したラック軸力u’を加算部123に出力する。
粘弾性モデル追従制御部220をさらに詳細にした構成例を、図15に対応させて図20に示す。
図19に示される構成例と同様に、ノイズ低減部127及び128が追加された点が図15の構成例との違いであり、ノイズ低減部127から出力されるラック軸力f’はフィードバック制御部140のフィードバック要素(N/F)141に入力される。
ノイズ低減部127は例えばローパスフィルタとして構成されており、例えば図21に示されるような周波数特性(振幅特性)を有し、下記数33で表わされる1次の伝達関数H(s)により高域の周波数成分を低減する。
Figure 0006103164
ここで、Kはゲイン(利得)、Tcは時定数である。また、ノイズ低減部127の特性はモータ角速度ωが小さいほど、図21の破線で示されるように遮断周波数が低くなる特性となり、さらにモータ角速度ωの変化に対して略一定の割合で特性が変化するように、モータ角速度ωに基づいてゲインK及び時定数Tが設定される。ノイズ低減部127は、数33に従ってラック軸力fの高域の周波数成分を低減し、ラック軸力f’を出力する。
ノイズ低減部128は、ノイズ低減部127と同様な構成及び動作により、ラック軸力uの高域の周波数成分を低減し、ラック軸力u’を出力する。
このような構成において、全体の動作例及び粘弾性モデル追従制御の動作例を、図22及び図23のフローチャートを参照して説明する。
図22に全体の動作例をフローチャートで示しており、図7のフローチャートと比べると、ステップS11Aが追加され、粘弾性モデル追従制御の動作が後述のように変更されている(ステップS20A)。その他の動作は同じである。
ステップS11Aでは、モータ角速度演算部150が、回転角センサ21からの回転角θよりモータ角速度ωを算出する。
粘弾性モデル追従制御の動作例は、図23にフローチャートで示されている。
粘弾性モデル追従制御では、まず、図17に示される実施例2での動作と同様に、ラックエンド接近判定部110から切替信号SWS及びラック変位xが出力され(ステップS21、S22)、ラック変位xはバネ定数項131、粘性摩擦係数項132、パラメータ設定部124及び減算部142に入力される。パラメータ設定部124はバネ定数k及び粘性摩擦係数μを、バネ定数項131、粘性摩擦係数項132及びフィードバック要素(N/F)141に設定し(ステップS23)、変換部101は電流指令値Iref1をラック軸力fに変換する(ステップS23A)。ラック軸力fはモータ角速度ωと共にノイズ低減部127に入力される。ノイズ低減部127は、前記数33の伝達関数に基づいて、ラック軸力fのノイズを低減する(ステップS23B)。ノイズを低減されたラック軸力f’はフィードバック要素(N/F)141に入力され、N/F演算される(ステップS24)。その後、実施例2でのステップS24A及びS24Bと同様の動作がフィードバック制御部140で実行され、ラック軸力FBが切替部122の接点b2に入力される。
フィードフォワード制御部130では、実施例2でのステップS25〜S25Bと同様の動作が実行され、ラック軸力FFが切替部121の接点b1に入力される。
ラックエンド接近判定部110からの切替信号SWSにより、切替部121及び122の各接点がa1からb1へ、a2からb2へ切替えられ、切替部121からのラック軸力uは加算部123に入力され、切替部122からのラック軸力uはノイズ低減部128に入力される。ラック軸力uはノイズ低減部128でノイズを低減され(ステップS25C)、ラック軸力u’として加算部123に出力され、ラック軸力uと加算され(ステップS26)、加算結果としてのラック軸力ffが変換部102で電流指令値Iref2に変換される(ステップS26A)。電流指令値Iref2は加算部103に入力され、電流指令値Iref1に加算され(ステップS27)、操舵制御が実行され、ステップS14へとつながる。
なお、図5に示される実施形態1及び図14に示される実施例1に対して、図19及び図20と同様の態様で、即ちフィードバック制御部140へのラック軸力fの入力の前段及び切替部122からのラック軸力uの出力の後段にノイズ低減部をそれぞれ設けることも可能である。この場合の動作は、ラック軸力f及びラック変位xが入力する部分(要素)が異なるだけで、上記の動作と同じである。
本発明の実施例4について説明する。
実施例3では、ノイズ低減部はフィードバック制御部140へのラック軸力の入力の前段及び切替部122からの出力の後段に設けられているが、実施例4では、切替部122からの出力の後段に代わって、フィードバック制御部140へのラック変位の入力の前段に設けられる。モータ角の変化はラック変位の変化としてフィードバック要素(N/F)との偏差をとる減算部に入力され、偏差は制御要素部(Cd)に入力される。よって、モータ角の変化は制御要素部(Cd)の出力として現れるので、実施例3ではその流れの最後段にノイズ低減部を設けているが、実施例4では前段にノイズ低減部を設ける。
図24は実施例4での粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例を示しており、図20に示される実施例3での粘弾性モデル追従制御部の構成例と比べると、ノイズ低減部128Aが、切替部122の後段ではなく、減算部142へのラック変位の入力の前段に設けられている。ノイズ低減部128Aは、ノイズ低減部127と同様な構成及び動作により、ラック変位xの高域の周波数成分を低減し、ラック変位x’を出力し、ラック変位x’は減算部142に減算入力される。
実施例4の全体の動作は図22に示される実施例3の動作例と同様であるが、粘弾性モデル追従制御の動作において、ノイズ低減部の設置位置の違いによる動作の違いがある。
実施例4での粘弾性モデル追従制御の動作例を図25に示す。粘弾性モデル追従制御では、実施例3と同様のステップS21及びS22が実行され、ラック変位xはパラメータ設定部124、ノイズ低減部128A及びフィードフォワード制御部130に入力される。パラメータ設定部124では、実施例3と同様に、ステップS23が実行される。その後、実施例3と同様のステップS23A〜S24が実行される。ノイズ低減部128Aは、ラック変位xと共にモータ角速度ωを入力し、ラック変位xに含まれるノイズを低減する(ステップS24a)。ノイズを低減されたラック変位x’は減算部142に減算入力され、加算入力されたN/F演算値からラック変位x’が減算され(ステップS24A)、その減算値が制御要素部143でCd演算され(ステップS24B)、制御要素部143からのラック軸力FBが切替部122の接点b2に入力される。
フィードフォワード制御部130では、実施例3でのステップS25〜S25Bと同様の動作が実行され、ラック軸力FFが切替部121の接点b1に入力される。
その後は、図17に示される実施例2でのステップS26〜S27と同様の動作が実行され、ステップS14へとつながる。
なお、実施例3の場合と同様に、図14に示される実施例1に対して、図24と同様の態様でノイズ低減部を設けることも可能である。
本発明の実施例5について説明する。
実施例5では、ノイズ低減部は、実施例3での切替部122からの出力の後段に代わって、フィードバック制御部140の中に、具体的には減算部142からの出力の後段に設けられる。
図26は実施例5での粘弾性モデル追従制御部の詳細な構成例を示しており、図20に示される実施例3での粘弾性モデル追従制御部の構成例と比べると、ノイズ低減部128Bが、切替部122の後段ではなく、減算部142からの出力の後段に設けられている。ノイズ低減部128Bは、ノイズ低減部127と同様な構成及び動作により、減算部142からの出力の高域の周波数成分を低減し、制御要素部143に出力する。
実施例5の全体の動作も図22に示される実施例3の動作例と同様であるが、粘弾性モデル追従制御の動作において、ノイズ低減部の設置位置の違いによる動作の違いがある。
実施例5での粘弾性モデル追従制御の動作例を図27に示す。粘弾性モデル追従制御では、ステップS24Aまでは実施例3と同様の動作が実行される。減算部142でラック変位xが減算されたN/F演算値はノイズ低減部128Bに入力され、ノイズを低減され(ステップS24b)、制御要素部143でCd演算される(ステップS24B)。その後は、図17に示される実施例2でのステップS25〜S27と同様の動作が実行され、ステップS14へとつながる。
なお、実施例3の場合と同様に、図14に示される実施例1に対して、図26と同様の態様でノイズ低減部を設けることも可能である。
本発明の実施例6について説明する。
実施例3ではノイズ低減部の特性をモータ角速度に応じて変化させているが、実施例6ではラック変位速度に応じて変化させる。ラック変位速度は、モータ角速度と同様な変化をするので、ノイズ低減部の特性を変化させるパラメータとして使用することができ、パラメータの選択肢を増やすことにより、装置の構造や使用状況等に応じてパラメータを選択することができるようになる。
実施例6の構成例を図28に、その構成例中の粘弾性モデル追従制御部の構成例を図29に示す。図18に示される実施例3と比較すると、実施例6ではモータ角速度演算部150の代わりにラック変位速度演算部160が設けられている。ラック変位速度演算部160は、ラックエンド接近判定部110から出力されるラック変位xよりラック変位速度vを算出し、粘弾性モデル追従制御部320に出力する。粘弾性モデル追従制御部320では、図29に示されるように、ラック変位速度vはノイズ低減部327及び328に入力される。ノイズ低減部327及び328は、図21に示されるような周波数特性(振幅特性)と同様な特性を有する例えば1次のローパスフィルタで構成されており、モータ角速度ωではなくラック変位速度vに基づいて特性が変化するように、ゲインK及び時定数Tが設定される。
実施例6の動作は、モータ角速度演算部150でモータ角速度ωを算出し、ノイズ低減部でモータ角速度ωを使用する代わりに、ラック変位速度演算部160でラック変位速度vを算出し、ノイズ低減部でラック変位速度vを使用する以外は、実施例3の動作例と同様である。
なお、実施例3の場合と同様に、図5に示される実施形態1に対して、図29と同様の態様でノイズ低減部を設けることも可能である。
上述の実施例3〜6では、ノイズ低減部の特性は1次の伝達関数で表わされているが、ローパスフィルタの伝達関数であれば、2次以上の伝達関数でも、他の形式の伝達関数でも良い。
また、各実施例は2つのノイズ低減部を備えているが、ノイズ低減部は1つでも3つ以上を備えていても良く、発生する振動の要因や大きさに応じて、適宜、設置するノイズ低減部の数や位置を決めて良い。
さらに、実施例3〜6では、フィードフォワード制御部及びフィードバック制御部の両方の制御演算を実行しているが、フィードバック制御部のみの構成でも良い。
次に、変化量制限処理を行う本発明の実施例(実施例7〜9)について説明する。
図30は本発明の実施例7を図3に対応させて示しており、図3に示される実施形態に対して変化量制限部170が追加されている。ラックエンド接近判定部110から出力されるラック変位x及び粘弾性モデル追従制御部120から出力されるラック軸力ffが変化量制限部170に入力され、変化量制限部170から出力されるラック軸力ffmが変換部102に入力される。
変化量制限部170では、時刻tでのラック軸力ff(t)とT時刻前(1サンプル時間前、Tはサンプリング時間)の時刻t−Tでのラック軸力ffm(t−T)の差Δffm(t)=ff(t)−ffm(t−T)の絶対値|Δffm(t)|(変化量)が所定値THfより大きい場合、変化量が所定値THfと同じになるように、下記数34によりラック軸力ff(t)を変更し、ラック軸力ffmとして出力する。
Figure 0006103164
ここで、sign(X)は符号関数で、実数Xの符号(−1,0,1)を返す。変化量が所定値THf以下の場合は、ラック軸力ff(t)がそのままラック軸力ffmとして出力される。ラック軸力ffm(t)は、次の時刻での変化量算出で使用されるので、変化量制限部170に保持される。
上記の所定値THfとして、ラック変位xに対して、例えば図31に示すような比例する値を使用する。つまり、変化量制限部170は、入力されるラック変位xより所定値THfを決定し、決定された所定値THfを用いてラック軸力ffに制限をかけて、ラック軸力ffmとして出力する。なお、図31において、所定値THfとして実際に使用されるのは、ラックエンド手前の所定角度の範囲に相当する、ラック変位xがゼロからラックエンドに対応する値までの範囲である。
このような構成において、本実施例の動作例を、図32及び図33のフローチャートを参照して説明する。
図32に全体の動作例をフローチャートで示しており、図7のフローチャートと比べると、通常操舵(ステップS13)及び粘弾性モデル追従制御(ステップS20)に変化量制限部170での処理が加わるので、変更が生じている(ステップS13B、S20B)。
通常操舵(ステップS13B)では、まず、ラックエンド接近判定部110からラック変位xが出力される。粘弾性モデル追従制御部120からは値がゼロのラック軸力ffが出力される。変化量制限部170はラック変位x及びラック軸力ffを入力し、ラック変位xより図31に従って所定値THfを決定する。そして、ラック軸力ffの値(ゼロ)及びT時刻前のラック軸力ffmの値の変化量と所定値THfの比較からラック軸力ffmを算出し、出力する。ラック軸力ffmは変換部102で電流指令値Iref2に変換され、加算部103で電流指令値Iref1に加算される。粘弾性モデル追従制御から通常操舵に変わった直後はT時刻前のラック軸力ffmはゼロ以外の値である可能性が高く、その結果、電流指令値Iref2がゼロ以外の値となる可能性があるが、時間の経過と共にラック軸力ffmはゼロに近づいていき、その結果、電流指令値Iref2もゼロとなるので、電流指令値Iref1に基づいて操舵制御されることとなる。
粘弾性モデル追従制御(ステップS20B)での動作は、図33のフローチャートで示されている。図8のフローチャートと比べると、ステップS207Aが追加されている。ステップS207Aでは、上記の通常操舵での変化量制限部170の動作と同様の動作が実行される。つまり、ラック変位xより図31に従って所定値THfを決定し、ラック軸力ffの値及びT時刻前のラック軸力ffmの値の変化量と所定値THfの比較からラック軸力ffmを算出し、出力する。そして、ラック軸力ffmは変換部102で電流指令値Iref2に変換され(ステップS208A)、加算部103で電流指令値Iref1に加算される。
本発明の実施例8について説明する。
実施例7では、変化量制限部で使用する所定値はラック変位に基づいて変更しているが、本実施例ではモータの回転角に基づいて変更する。ラック位置変換部100において回転角θが判定用ラック位置Rxに変換されているように、ラック位置と回転角は連動しているので、回転角に基づいて所定値を変更しても、実施例7と同等の効果を得ることができる。
図34に実施例8の構成例を示しており、図30に示される実施例7の構成例と比べると、変化量制限部にラック変位xではなく回転角θが入力されている。
変化量制限部270では、実施例7の場合と同様に、時刻tでのラック軸力ff(t)及びT時刻前の時刻t−Tでのラック軸力ffm(t−T)の変化量と所定値THfの比較からラック軸力ffmが算出されるが、所定値THfとして、図35に示されるように、回転角θに比例する値が使用される。つまり、変化量制限部270は、入力される回転角θより所定値THfを決定し、決定された所定値THfを用いてラック軸力ffに制限をかけて、ラック軸力ffmとして出力する。なお、図35において、所定値THfとして実際に使用されるのは、回転角θがラックエンド手前の所定位置に対応する回転角とラックエンドに対応する回転角との間の範囲である。
実施例8の動作は、変化量制限部270での所定値THfの決定が回転角センタ21から出力された回転角θに基づいて実行される点が異なるだけで、他は実施例7の動作と同様である。
実施例7及び実施例8での変化量制限部では、時刻tでのラック軸力ff(t)と時刻t−Tでのラック軸力ffm(t−T)の差Δffm(t)の絶対値を変化量として所定値THfと比較しているので、Δffm(t)の符号が違っても絶対値が同じならば、同じ所定値THfが使用されるが、Δffm(t)の符号により使用する所定値THfを変えることも可能である。つまり、Δffm(t)の絶対値が同じでも符号が違う場合、違う所定値THfを使用する。通常、ラックエンド手前の所定角度の範囲に入る場合と出る場合とではΔffm(t)の符号が逆であるから、Δffm(t)の符号により所定値THfを変えることにより、より柔軟な調整ができるようになる。
このような場合の実施例(実施例9)での変化量制限部で使用される所定値の特性の例を図36に示す。図36に示されるように、Δffm(t)がプラスの場合は実線で示される特性を使用し、マイナスの場合は点線で示される特性を使用する。
実施例7〜9では、時刻tでのラック軸力ff(t)と時刻t−Tでのラック軸力ffm(t−T)の差Δffm(t)の絶対値を変化量としているが、比率を変化量としても良い。例えば、Δffm(t)の絶対値がラック軸力ffm(t−T)に対する割合を変化量とし、そのような変化量に対して所定値を設定する。また、所定値は操舵情報(ラック変位、回転角)に比例する特性となっているが、操舵情報の増加に従い増加する特性であれば、曲線的に変化する特性やステップ関数のような特性等でも良い。さらに、ラックエンド接近判定部から出力される切替信号SWSを変化量制限部にも入力するようにし、切替信号SWSのON/OFFによりラックエンド手前の所定角度の範囲に入る場合と出る場合の判別を行い、ラックエンド手前の所定角度の範囲内及び範囲から出た次のタイミングまででしか変化量の制限を行わないようにしても良い。これにより、通常操舵での処理量を軽減することができる。また、上記判別を行い、ラックエンド手前の所定角度の範囲に入る場合と出る場合とで、実施例9のように所定値THfを変えても良い。これにより、実施例9と同様な効果を得ることができる。
なお、実施例7〜9でも、粘弾性モデル追従制御部を、フィードフォワード制御部のみの構成やフィードバック制御部のみの構成としても良い。
次に、開始舵角変更処理を行う本発明の実施例(実施例10〜13)について説明する。
図37は本発明の実施例(実施例10)を図3に対応させて示しており、図3に示される実施形態に対して、ラックエンド接近判定部110が車速Velも入力するラックエンド接近判定部210に代わっている。つまり、ラックエンド接近判定部210は判定用ラック位置Rx及び車速Velを入力し、ラック変位x及び切替信号SWSを出力する。他の構成は図3と同じであるから、説明は省略する。
ラックエンド接近判定部210は、ラックエンド接近判定部110と同様に、判定用ラック位置Rxがラックエンド手前の所定位置x以内にあると判定したときに端当て抑制制御機能を働かせるが、所定位置xを車速Velに応じて変更する。例えば図38に示すように所定位置xを変更することにより、停車時には所定位置xをラックエンドから離して制御範囲が広くなるようにし、走行時には所定位置xをラックエンドに近付けて制御範囲が狭くなるようにする。
このような構成において、本実施例の動作例を、図39のフローチャートを参照して説明する。
図39は全体の動作例をフローチャートで示しており、図7のフローチャートと比べると、ラック位置変換部100が回転角θを判定用ラック位置Rxに変換するステップS11の後に、ステップS11Aが挿入されている。ステップS11Aでは、ラックエンド接近判定部210が、入力した車速Velに基づいて図38に示される特性を用いて所定位置xを決定する。決定された所定位置x及び判定用ラック位置Rxに基づいてラックエンド接近か否かが判定される(ステップS12)。その他の動作は図7のフローチャートで示される動作と同じである。
なお、車速Velに対する所定位置xの特性は、図38のような直線的な特性に限られず、曲線的な特性でも良い。
本発明の実施例11について説明する。
実施例10では車速Velに応じて所定位置xを変更しているが、実施例11では、それに加えて、モデルパラメータであるバネ定数k及び粘性摩擦係数μ並びにフィードバック制御部の制御パラメータも車速Velに応じて変更する。
実施例11では、フィードバック制御部の制御要素部(Cd)はPD(比例微分)制御の構成とし、伝達関数は下記数35で表わされる。
Figure 0006103164
kpは比例ゲイン、kdは微分ゲインであり、kp及びkdがフィードバック制御部の制御パラメータとなる。そして、制御パラメータはラック変位に基づいて可変となっている。例えば、図40に示されるように、開始舵角付近では制御ゲインが小さくなるような制御パラメータを設定し、ラックエンドに近付くにつれて制御ゲインが大きくなるような制御パラメータを設定する。これにより、開始舵角付近の制御量が小さくなり、制御範囲内外でのアシスト力の変化量が小さくなるので、運転者にアシスト力変化による反力違和感を与えるのを抑えることができる。また、ラックエンドに近い領域では制御量を大きくすることができるので、ラックエンドに到達する時の衝撃力を減衰できる。
実施例11での粘弾性モデル追従制御部の構成例を、図15に示される実施例2での粘弾性モデル追従制御部の構成例に対応させて図41に示す。実施例11では、制御パラメータ設定部325が追加されており、パラメータ設定部324及びフィードバック制御部150の制御要素部153に入力されるデータが増えている。他の構成は実施例2と同じであるから、説明は省略する。
パラメータ設定部324は、パラメータ設定部124と同様に、ラック変位xに対してモデルパラメータ(バネ定数k、粘性摩擦係数μ)を出力するが、車速Velも入力し、車速Velに応じてモデルパラメータを変更する。パラメータ設定部324は、停車時(車速が0のとき)に使用するモデルパラメータ(停車時モデルパラメータ)と走行時(クリーピングでの走行のように車速が極低速のとき)に使用するモデルパラメータ(走行時モデルパラメータ)を持っており、この2つのモデルパラメータを加算する割合を車速に応じて変更することにより、車速に応じたモデルパラメータを設定する。停車時モデルパラメータ及び走行時モデルパラメータは、停車時及び走行時それぞれの制御範囲(ラックエンドの位置−所定位置x)に合わせて設定する。つまり、制御範囲で止まる制御量となるように、モデルパラメータの特性を設定する。具体的には、停車時には制御範囲が広くなるようにバネを弱く設定し、走行時には制御範囲が狭くなるようにバネを強く設定する。
パラメータ設定部324の構成例を図42に示す。パラメータ設定部324は、停車時モデルパラメータ設定部324A、走行時モデルパラメータ設定部324B、停車時車速ゲイン部324C、走行時車速ゲイン部324D及び加算部324E、324Fより構成される。パラメータ設定部324に入力されるラック変位xは停車時モデルパラメータ設定部324A及び走行時モデルパラメータ設定部324Bに入力され、車速Velは停車時車速ゲイン部324C及び走行時車速ゲイン部324Dに入力される。停車時モデルパラメータ設定部324Aは停車時モデルパラメータを持っており、入力されたラック変位xに対してバネ定数ks及び粘性摩擦係数μsを決定し、停車時車速ゲイン部324Cに出力する。走行時モデルパラメータ設定部324Bは走行時モデルパラメータを持っており、入力されたラック変位xに対してバネ定数kr及び粘性摩擦係数μrを決定し、走行時車速ゲイン部324Dに出力する。停車時車速ゲイン部324C及び走行時車速ゲイン部324Dは、車速Velに対してそれぞれ図43及び図44に示されるような対称的な特性を有する車速ゲイン(停車時車速ゲイン、走行時車速ゲイン)を決定する。そして、停車時車速ゲイン部324Cはバネ定数ks及び粘性摩擦係数μsに停車時車速ゲインを乗算し、バネ定数ksg及び粘性摩擦係数μsgを出力する。走行時車速ゲイン部324Dはバネ定数kr及び粘性摩擦係数μrに走行時車速ゲインを乗算し、バネ定数krg及び粘性摩擦係数μrgを出力する。バネ定数ksg及びkrgは加算部324Eで加算され、バネ定数kが出力され、粘性摩擦係数μsg及びμrgは加算部324Fで加算され、粘性摩擦係数μが出力される。
制御パラメータ設定部325は、ラック変位xに対して制御パラメータ(比例ゲインkp、微分ゲインkd)を出力するが、パラメータ設定部324と同様に、停車時に使用する制御パラメータ(停車時制御パラメータ)と走行時に使用する制御パラメータ(走行時制御パラメータ)を持っており、この2つの制御パラメータを加算する割合を車速に応じて変更することにより、車速に応じた制御パラメータを設定する。停車時制御パラメータ及び走行時制御パラメータは、停車時及び走行時それぞれの制御範囲に合わせて設定する。つまり、制御範囲が狭くなるに応じて制御応答性を上げ、狭い範囲で端当て抑制効果を高められるように、制御パラメータの特性を設定する。具体的には、停車時には制御範囲が広くなるように制御パラメータを弱く設定し、走行時には制御範囲が狭くなるように制御パラメータを強く設定する。
図45に制御パラメータ設定部325の構成例を示す。制御パラメータ設定部325は、停車時制御パラメータ設定部325A、走行時制御パラメータ設定部325B、停車時車速ゲイン部325C、走行時車速ゲイン部325D及び加算部325E、325Fより構成される。制御パラメータ設定部325に入力されるラック変位xは停車時制御パラメータ設定部325A及び走行時制御パラメータ設定部325Bに入力され、車速Velは停車時車速ゲイン部325C及び走行時車速ゲイン部325Dに入力される。停車時制御パラメータ設定部325Aは停車時制御パラメータを持っており、入力されたラック変位xに対して比例ゲインkps及び微分ゲインkdsを決定し、停車時車速ゲイン部325Cに出力する。走行時制御パラメータ設定部325Bは走行時制御パラメータを持っており、入力されたラック変位xに対して比例ゲインkpr及び微分ゲインkdrを決定し、走行時車速ゲイン部325Dに出力する。停車時車速ゲイン部325Cは、停車時車速ゲイン部324Cでの図43に示される特性と同等の特性により停車時車速ゲインを決定し、比例ゲインkps及び微分ゲインkdsに乗算し、比例ゲインkpsg及び微分ゲインkdsgを出力する。走行時車速ゲイン部325Dは、走行時車速ゲイン部324Dでの図44に示される特性と同等の特性により走行時車速ゲインを決定し、比例ゲインkpr及び微分ゲインkdrに乗算し、比例ゲインkprg及び微分ゲインkdrgを出力する。比例ゲインkpsg及びkprgは加算部325Eで加算され、比例ゲインkpが出力され、微分ゲインkdsg及びkdrgは加算部325Fで加算され、微分ゲインkdが出力される。
フィードバック制御部150の制御要素部153は、制御パラメータ設定部325から出力される制御パラメータ(比例ゲインkp、微分ゲインkd)を用いて、減算部142からの出力を変換し、ラック軸力FBを出力する。
このような構成において、実施例11の動作例を、図46及び図47のフローチャートを参照して説明する。
図46は、図39に示されるフローチャート中の粘弾性モデル追従制御(ステップS20)の実施例11での動作例を示すフローチャートで、図17に示される実施例2での動作例と比べると、ステップS23がステップS23aに代わり、その後にステップS23bが挿入されている。その他の動作は図17のフローチャートで示される動作と同じである。
ステップS23aでは、パラメータ設定部324がモデルパラメータを設定する。図47はモデルパラメータ設定の動作例を示すフローチャートである。停車時モデルパラメータ設定部324Aは、ラック変位xを入力し、ラック変位xに対する停車時モデルパラメータとしてバネ定数ks及び粘性摩擦係数μsを出力する(ステップS231)。走行時モデルパラメータ設定部324Bも、ラック変位xを入力し、ラック変位xに対する走行時モデルパラメータとしてバネ定数kr及び粘性摩擦係数μrを出力する(ステップS232)。なお、ステップS231とステップS232の順番は逆でも良い。停車時車速ゲイン部324Cは、バネ定数ks及び粘性摩擦係数μsと共に車速Velを入力し、図43に示される特性を用いて車速Velに対する停車時車速ゲインを決定し(ステップS233)、バネ定数ks及び粘性摩擦係数μsに停車時車速ゲインを乗算し、バネ定数ksg及び粘性摩擦係数μsgを出力する(ステップS234)。走行時車速ゲイン部324Dは、バネ定数kr及び粘性摩擦係数μrと共に車速Velを入力し、図44に示される特性を用いて車速Velに対する走行時車速ゲインを決定し(ステップS235)、バネ定数kr及び粘性摩擦係数μrに走行時車速ゲインを乗算し、バネ定数krg及び粘性摩擦係数μrgを出力する(ステップS236)。なお、ステップS233、S234とステップS235、S236の順番は逆でも良い。出力されたバネ定数ksg及びkrgは加算部324Eに入力され、加算結果がバネ定数kとして出力される(ステップS237)。出力された粘性摩擦係数μsg及びμrgは加算部324Fに入力され、加算結果が粘性摩擦係数μとして出力される(ステップS238)。ステップS237とステップS238の順番も逆でも良い。
ステップS23bでは、制御パラメータ設定部325が、パラメータ設定部324がモデルパラメータを設定する上記の動作と同様の動作により、制御パラメータ(比例ゲインkp、微分ゲインkd)を設定する。
なお、モデルパラメータに乗算する車速ゲイン(停車時車速ゲイン、走行時車速ゲイン)と制御パラメータに乗算する車速ゲインは同じ特性でなくても良く、停車時車速ゲイン及び走行時車速ゲインは、停車時には停車時車速ゲインが100%、走行時は走行時車速ゲインが100%となるようになっておれば、図43及び図44に示される特性とは違う特性でも良い。また、モデルパラメータ及び制御パラメータはラック変位に基づいて可変となっているが、可変でなくても良い。
本発明の実施例12について説明する。
車速Velに応じて、実施例10では所定位置xを変更し、実施例11ではそれに加えてモデルパラメータ及び制御パラメータを変更しているが、実施例12では、更に規範モデルも変更する。
実施例12での粘弾性モデル追従制御部の構成例を図48に示す。図41に示される実施例11での粘弾性モデル追従制御部の構成例と比べると、実施例12では、フィードバック要素(N/F)141がフィードバック要素(N/F)161に代わり、フィードバック要素(N/F)161には、パラメータ設定部324からのモデルパラメータ(バネ定数k、粘性摩擦係数μ)の入力はなく、代わりに車速Velが入力されている。他の構成は実施例11と同じであるから、説明は省略する。
フィードバック制御部160のフィードバック要素(N/F)161は、フィードバック要素(N/F)141と同様に規範モデルを有するが、停車時に使用する規範モデル(停車時規範モデル)と走行時に使用する規範モデル(走行時規範モデル)を有しており、この2つの規範モデルを使用してN/F演算値(目標ラック変位)を演算する。使用する割合は車速Velに応じて変更する。停車時規範モデル及び走行時規範モデルは、停車時及び走行時それぞれの制御範囲に合わせて設定する。つまり、制御範囲が狭くなるに応じて目標ラック変位が小さくなるように、規範モデルの特性を調整する。具体的には、停車時には制御範囲が広くなるようにバネを弱く設定し、走行時には制御範囲が狭くなるようにバネを強く設定する。
フィードバック要素(N/F)161の構成例を図49に示す。フィードバック要素(N/F)161は、停車時フィードバック要素161A、走行時フィードバック要素161B、停車時車速ゲイン部161C、走行時車速ゲイン部161D及び加算部161Eより構成される。停車時フィードバック要素161Aは、停車時規範モデルを用いてラック軸力fに対してN/F演算し、目標ラック変位xtsを出力する。走行時フィードバック要素161Bは、走行時規範モデルを用いてラック軸力fに対してN/F演算し、目標ラック変位xtrを出力する。停車時車速ゲイン部161Cは図43に示される特性と同等の特性により車速Velに対して停車時車速ゲインを決定し、目標ラック変位xtsに乗算し、目標ラック変位xtsgを出力する。走行時車速ゲイン部161Dは図44に示される特性と同等の特性により車速Velに対して走行時車速ゲインを決定し、目標ラック変位xtrに乗算し、目標ラック変位xtrgを出力する。目標ラック変位xtsg及びxtrgは加算部161Eで加算される。
このような構成において、実施例12の動作例を、図50及び図51のフローチャートを参照して説明する。
図50は粘弾性モデル追従制御の実施例12での動作例を示すフローチャートで、図46に示される実施例11での動作例と比べると、ステップS24がステップS24bに代わっている。その他の動作は同じであるが、ステップS23bでは、パラメータ設定部324から出力されたモデルパラメータはフィードフォワード制御部130だけに入力される。
ステップS24bでは、フィードバック要素(N/F)161がラック軸力fをN/F演算する。図51はN/F演算の動作例を示すフローチャートである。停車時フィードバック要素161Aは、予め設定された停車時規範モデルを用いて、入力したラック軸力fに対してN/F演算し、目標ラック変位xtsを出力する(ステップS241)。同様に、走行時フィードバック要素161Bは、予め設定された走行時規範モデルを用いてラック軸力fに対してN/F演算し、目標ラック変位xtrを出力する(ステップS242)。なお、ステップS241とステップS242の順番は逆でも良い。停車時車速ゲイン部161Cは、目標ラック変位xtsと共に車速Velを入力し、図43に示される特性を用いて車速Velに対する停車時車速ゲインを決定し(ステップS243)、目標ラック変位xtsに停車時車速ゲインを乗算し、目標ラック変位xtsgを出力する(ステップS244)。同様に、走行時車速ゲイン部161Dは、目標ラック変位xtr及び車速Velを入力し、図44に示される特性を用いて車速Velに対する走行時車速ゲインを決定し(ステップS245)、目標ラック変位xtrに走行時車速ゲインを乗算し、目標ラック変位xtrgを出力する(ステップS246)。なお、ステップS243、S244とステップS245、S246の順番は逆でも良い。出力された目標ラック変位xtsg及びxtrgは加算部161Eに入力され、加算結果が最終的なN/F演算値(目標ラック変位)として出力される(ステップS247)。
なお、目標ラック変位に乗算する車速ゲイン(停車時車速ゲイン、走行時車速ゲイン)は、モデルパラメータ及び制御パラメータに乗算する車速ゲインと同じ特性でなくても良い。
本発明の実施例13について説明する。
実施例11では、ラック変位xに応じて変更されるモデルパラメータ及び制御パラメータを、更に車速Velに応じて変更しているが、実施例13では、車速Velにより設定される車速ゲインをラック変位xに乗算して算出される制御変位x’に応じてモデルパラメータ及び制御パラメータを変更する。車速Velに応じて所定位置x(開始舵角)が変わるので、開始舵角の変化に応じてラック変位xのレンジを変えてモデルパラメータ及び制御パラメータを設定するのである。車速Velに応じて開始舵角が変化するが、基準となる目標の制御範囲で制御変位x’が動作するようにラック変位xに対して車速ゲインを乗算するので、目標のラックエンド舵角は一定となる。車速ゲインの設定では、停車時は開始舵角を小さくして制御範囲が広くなるので、ラック変位xに対する制御変位x’のレンジが大きくなるように、走行時は開始舵角を大きくして制御範囲が狭くなるので、ラック変位xに対する制御変位x’のレンジが小さくなるように、例えば図52(A)に示される特性のように、制御範囲の車速に対するゲインと変位xに対する制御変位x’のゲインとが比例の関係となるように、開始舵角の車速ゲインを設定する。例えば、停車時の所定位置xに対する舵角が520deg、走行時の所定位置xに対する舵角が530deg、ラックエンドに対する舵角が550degである場合、停車時の制御範囲は30deg、走行時の制御範囲は20degとなる。よって、モデルパラメータ及び制御パラメータが停車時の特性に合わせてあるならば、停車時の車速ゲインを1倍として、走行時の車速ゲインは2/3倍とし、モデルパラメータ及び制御パラメータが走行時の特性に合わせてあるならば、走行時の車速ゲインを1倍として、停車時の車速ゲインは3/2倍とする。
実施例13での粘弾性モデル追従制御部の構成例を図53に示す。図41に示される実施例11での粘弾性モデル追従制御部の構成例と比べると、実施例13では、車速ゲイン部427が追加され、制御パラメータ設定部325が制御パラメータ設定部425に代わっている。また、パラメータ設定部324は実施例2でのパラメータ設定部124に代わっているが、ラック変位xではなく、車速ゲイン部427から出力される制御変位x’が入力される。他の構成は実施例11と同じであるから、説明は省略する。
車速ゲイン部427は、図52(A)に示される特性を用いて車速Velに対する車速ゲインを決定し、ラック変位xに乗算して、制御変位x’を出力する。制御パラメータ設定部425は、車速Velに依存しない制御パラメータ(比例ゲインkp、微分ゲインkd)を持っており、制御パラメータは、例えば図40に示されるような特性(但し、横軸はラック変位xではなく、制御変位x’に置き換える)を有し、制御変位x’に対する制御パラメータを設定する。パラメータ設定部124は、ラック変位xの入力が制御変位x’の入力に代わるだけで、構成や動作は実施例2でのパラメータ設定部124と同じである。
このような構成において、実施例13の動作例を、図54のフローチャートを参照して説明する。
図54は粘弾性モデル追従制御の実施例13での動作例を示すフローチャートで、図46に示される実施例11での動作例と比べると、ステップS22の後にステップS22Aが挿入されており、ステップS23aがステップS23に、ステップS23bがステップS23cにそれぞれ代わっている。その他の動作は同じである。
ステップS22Aでは、車速ゲイン部427がラック変位x及び車速Velを入力し、図52(A)に示される特性を用いて車速Velに対する車速ゲインを決定し、ラック変位xに車速ゲインを乗算し、制御変位x’を算出する。制御変位x’はパラメータ設定部124及び制御パラメータ設定部425に入力される。パラメータ設定部124は、制御変位x’に応じて図16に示される特性と同等の特性に従って求められたモデルパラメータ(バネ定数k、粘性摩擦係数μ)をバネ定数項131、粘性摩擦係数項132及びフィードバック要素(N/F)141に設定する(ステップS23)。制御パラメータ設定部425は、制御変位x’に応じて図40に示される特性と同等の特性に従って求められた制御パラメータ(比例ゲインkp、微分ゲインkd)を制御要素部153に設定する(ステップS23c)。
なお、車速Velに対する車速ゲインの特性は図52(A)に示されるような特性に限られず、停車時の車速ゲインが走行時の車速ゲインより大きければ、例えば図52(B)に示されるような曲線的な特性でも良い。
実施例11〜13では、制御要素部153はPD制御の構成であるが、PID(比例積分微分)制御或いはPI制御の構成でも良い。PID制御の構成とした場合、伝達関数は下記数36で表わされ、比例ゲインkp、微分ゲインkd及び積分ゲインkiが制御パラメータとなり、積分ゲインkiは比例ゲインkp及び微分ゲインkdに近似した特性を有する。
Figure 0006103164
PI制御の構成とした場合の伝達関数は下記数37となる。
Figure 0006103164
PD制御での制御要素部153の伝達関数として、微分ゲインkdの代わりに微分時間Tdを用いた下記数38を使用しても良い。
Figure 0006103164
この場合、比例ゲインkp及び微分時間Tdが制御パラメータとなる。同様に、PID制御又はPI制御において、積分ゲインkiの代わりに積分時間Tiを用いても良い。
また、図14に示される実施例1での粘弾性モデル追従制御部に対しても、実施例11〜13において実施例2での粘弾性モデル追従制御部に対して行った追加及び変更を、同様の態様で行うことが可能である。
実施例10〜実施例13において、粘弾性モデル追従制御部を、フィードフォワード制御部及びフィードバック制御部を具備した構成ではなく、フィードバック制御部のみの構成としても良い。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
12 車速センサ
13 バッテリ
14 舵角センサ
20 モータ
21 回転角センサ
30 コントロールユニット(ECU)
31 トルク制御部
35 電流制御部
36 PWM制御部
100 ラック位置変換部
110、210 ラックエンド接近判定部
120、220、320 粘弾性モデル追従制御部
121、122 切替部
124、324 パラメータ設定部
127、128、128A、128B、327、328 ノイズ低減部
130 フィードフォワード制御部
140 フィードバック制御部
150 モータ角速度演算部
160 ラック変位速度演算部
161A 停車時フィードバック要素
161B 走行時フィードバック要素
161C、324C、325C 停車時車速ゲイン部
161D、324D、325D 走行時車速ゲイン部
170、270 変化量制限部
324A 停車時モデルパラメータ設定部
324B 走行時モデルパラメータ設定部
325、425 制御パラメータ設定部
325A 停車時制御パラメータ設定部
325B 走行時制御パラメータ設定部
427 車速ゲイン部

Claims (30)

  1. 少なくとも操舵トルクに基づいて電流指令値1を演算し、前記電流指令値1に基づいてモータを駆動することにより、操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング装置において、
    前記電流指令値1をラック軸力1に変換する第1の変換部と、
    前記モータの回転角から判定用ラック位置に変換するラック位置変換部と、
    前記判定用ラック位置に基づいてラックエンドに接近したことを判定し、ラック変位及び切替信号を出力するラックエンド接近判定部と、
    モデルフォローイング制御の構成で、前記ラック軸力1、前記ラック変位及び前記切替信号に基づいて、粘弾性モデルを規範モデルとしたラック軸力2を生成する粘弾性モデル追従制御部と、
    前記ラック軸力2を電流指令値2に変換する第2の変換部とを具備し、
    前記粘弾性モデル追従制御部が、
    前記ラック変位及び前記ラック軸力1に基づいてフィードバック制御してラック軸力2を出力するフィードバック制御部と、
    前記切替信号により前記ラック軸力2の出力をON/OFFする切替部と、
    ノイズ低減の機能により前記ラック変位又は前記ラック軸力1に含まれるノイズを低減する少なくとも1つのノイズ低減部とを具備しており、
    前記電流指令値2を前記電流指令値1に加算して前記アシスト制御を行い、ラックエンド端当てを抑制するようにしたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記ノイズ低減部が、前記フィードバック制御部への前記ラック軸力1の入力の前段に設けられている請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記ノイズ低減部が、前記切替部からの前記ラック軸力2の出力の後段に設けられている請求項3又は4に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記ノイズ低減部が、前記フィードバック制御部への前記ラック変位の入力の前段に設けられている請求項3乃至5のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記ノイズ低減部が、前記フィードバック制御部の内部に設けられている請求項3乃至6のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記ノイズ低減部がステアリング速度情報に応じて変化する特性を有する請求項3乃至7のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記ノイズ低減部の特性が、前記ステアリング速度情報が小さいほど、ノイズを低減する割合が大きくなる請求項8に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記ノイズ低減部の特性が、前記ステアリング速度情報の変化に合わせて徐々に変化する請求項8又は9に記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 前記ラック変位によって、前記フィードバック制御部のパラメータを変更する請求項3乃至10のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  10. 少なくとも操舵トルクに基づいて電流指令値1を演算し、前記電流指令値1に基づいてモータを駆動することにより、操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング装置において、
    前記電流指令値1をラック軸力1に変換する第1の変換部と、
    前記モータの回転角から判定用ラック位置に変換するラック位置変換部と、
    前記判定用ラック位置に基づいてラックエンドに接近したことを判定し、ラック変位及び切替信号を出力するラックエンド接近判定部と、
    モデルフォローイング制御の構成で、前記ラック軸力1、前記ラック変位及び前記切替信号に基づいて、粘弾性モデルを規範モデルとしたラック軸力2を生成する粘弾性モデル追従制御部と、
    前記ラック軸力2の変化量が所定値を超えたとき、前記変化量が前記所定値となるように、前記ラック軸力2を変更する変化量制限部と、
    前記ラック軸力2を電流指令値2に変換する第2の変換部とを具備し、
    前記電流指令値2を前記電流指令値1に加算して前記アシスト制御を行い、ラックエンド端当てを抑制するようにしたことを特徴とする記載の電動パワーステアリング装置。
  11. 前記粘弾性モデル追従制御部が、
    前記ラック軸力1に基づいてフィードフォワード制御してラック軸力3を出力するフィードフォワード制御部と、
    前記ラック変位及び前記ラック軸力1に基づいてフィードバック制御してラック軸力4を出力するフィードバック制御部と、
    前記切替信号により前記ラック軸力3の出力をON/OFFする第1の切替部と、
    前記切替信号により前記ラック軸力4の出力をON/OFFする第2の切替部と、
    前記第1及び第2の切替部の出力を加算して前記ラック軸力2を出力する加算部とで構成されている請求項17に記載の電動パワーステアリング装置。
  12. 前記粘弾性モデル追従制御部が、
    前記ラック変位に基づいてフィードフォワード制御してラック軸力3を出力するフィードフォワード制御部と、
    前記ラック変位及び前記ラック軸力1に基づいてフィードバック制御してラック軸力4を出力するフィードバック制御部と、
    前記切替信号により前記ラック軸力3の出力をON/OFFする第1の切替部と、
    前記切替信号により前記ラック軸力4の出力をON/OFFする第2の切替部と、
    前記第1及び第2の切替部の出力を加算して前記ラック軸力2を出力する加算部とで構成されている請求項17に記載の電動パワーステアリング装置。
  13. 前記ラック変位によって、前記フィードバック制御部及びフィードフォワード制御部のパラメータを変更する請求項18又は19に記載の電動パワーステアリング装置。
  14. 前記変化量制限部の前記所定値を前記ラック軸力2の変化量の符号によって変更する請求項17乃至20のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  15. 前記変化量制限部の前記所定値をラックエンド接近判定のON/OFFによって変更する請求項17乃至20のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  16. 前記変化量制限部の前記所定値を操舵情報に基づいて変更する請求項17乃至22のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  17. 前記変化量制限部の前記所定値をラックエンド近辺では大きくなるように変更する請求項23に記載の電動パワーステアリング装置。
  18. 少なくとも操舵トルクに基づいて電流指令値1を演算し、前記電流指令値1に基づいてモータを駆動することにより、操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング装置において、
    前記電流指令値1をラック軸力1に変換する第1の変換部と、
    前記モータの回転角から判定用ラック位置に変換するラック位置変換部と、
    前記判定用ラック位置に基づいてラックエンドに接近したことを判定し、ラック変位及び切替信号を出力するラックエンド接近判定部と、
    モデルフォローイング制御の構成で、前記ラック軸力1、前記ラック変位及び前記切替信号に基づいて、粘弾性モデルを規範モデルとしたラック軸力2を生成する粘弾性モデル追従制御部と、
    前記ラック軸力2を電流指令値2に変換する第2の変換部とを具備し、
    前記粘弾性モデル追従制御部が、
    前記ラック変位及び前記ラック軸力1に基づいてフィードバック制御してラック軸力3を出力するフィードバック制御部と、
    前記切替信号により前記ラック軸力3の出力をON/OFFする第1の切替部とを具備し、
    前記第1の切替部からの出力を前記ラック軸力2として出力し、
    前記ラックエンド接近判定部は、ラックエンド手前の所定位置以内に前記判定用ラック位置があるか否かで前記ラックエンドに接近したことを判定し、前記所定位置を前記車速に応じて変更し、
    前記電流指令値2を前記電流指令値1に加算して前記アシスト制御を行い、ラックエンド端当てを抑制するようにしたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  19. 前記粘弾性モデル追従制御部が、
    前記ラック軸力1に基づいてフィードフォワード制御してラック軸力4を出力するフィードフォワード制御部と、
    前記切替信号により前記ラック軸力4の出力をON/OFFする第2の切替部と、
    前記第1及び第2の切替部の出力を加算して前記ラック軸力2を出力する加算部とを更に具備する請求項25に記載の電動パワーステアリング装置。
  20. 前記粘弾性モデル追従制御部が、
    前記ラック変位に基づいてフィードフォワード制御してラック軸力4を出力するフィードフォワード制御部と、
    前記切替信号により前記ラック軸力4の出力をON/OFFする第2の切替部と、
    前記第1及び第2の切替部の出力を加算して前記ラック軸力2を出力する加算部とを更に具備する請求項25に記載の電動パワーステアリング装置。
  21. 前記粘弾性モデル追従制御部は、前記規範モデルとして停車時規範モデル及び走行時規範モデルを有し、前記車速に応じて前記停車時規範モデル及び前記走行時規範モデルを使用する割合を変更する請求項25に記載の電動パワーステアリング装置。
  22. 前記粘弾性モデル追従制御部は、前記ラック変位に応じて前記規範モデルのパラメータを変更する請求項25又は35に記載の電動パワーステアリング装置。
  23. 前記粘弾性モデル追従制御部は、前記規範モデルのパラメータとして停車時モデルパラメータ及び走行時モデルパラメータを有し、前記車速に応じて前記停車時モデルパラメータと前記走行時モデルパラメータとの間で前記規範モデルのパラメータを変更する請求項25又は35又は36に記載の電動パワーステアリング装置。
  24. 前記粘弾性モデル追従制御部は、前記車速により設定される車速ゲインを前記ラック変位に乗算して算出される制御変位に応じて、前記規範モデルのパラメータを変更する請求項25又は35に記載の電動パワーステアリング装置。
  25. 前記フィードバック制御部は、前記ラック変位に応じて制御パラメータを変更する請求項25に記載の電動パワーステアリング装置。
  26. 前記フィードバック制御部は、前記制御パラメータとして停車時制御パラメータ及び走行時制御パラメータを有し、前記車速に応じて前記停車時制御パラメータと前記走行時制御パラメータとの間で前記制御パラメータを変更する請求項25又は40に記載の電動パワーステアリング装置。
  27. 前記フィードバック制御部は、前記制御変位に応じて前記制御パラメータを変更する請求項25に記載の電動パワーステアリング装置。
  28. 前記ラック軸力1及び前記ラック軸力2はそれぞれコラム軸トルク1及びコラム軸トルク2と等価である請求項3又は17に記載の電動パワーステアリング装置。
  29. 前記ラック軸力1、前記ラック軸力2、前記ラック軸力3及び前記ラック軸力4はそれぞれコラム軸トルク1、コラム軸トルク2、コラム軸トルク3及びコラム軸トルク4と等価である請求項18又は19に記載の電動パワーステアリング装置。
  30. 前記ラック軸力1、前記ラック軸力2及び前記ラック軸力3はそれぞれコラム軸トルク1、コラム軸トルク2及びコラム軸トルク3と等価である請求項25に記載の電動パワーステアリング装置。
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