JP6103089B2 - Iii族窒化物結晶の製造方法およびiii族窒化物結晶 - Google Patents

Iii族窒化物結晶の製造方法およびiii族窒化物結晶 Download PDF

Info

Publication number
JP6103089B2
JP6103089B2 JP2016021509A JP2016021509A JP6103089B2 JP 6103089 B2 JP6103089 B2 JP 6103089B2 JP 2016021509 A JP2016021509 A JP 2016021509A JP 2016021509 A JP2016021509 A JP 2016021509A JP 6103089 B2 JP6103089 B2 JP 6103089B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystal
group iii
plane
nitride crystal
ave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016021509A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016117646A (ja
Inventor
創 松本
創 松本
訓任 洲崎
訓任 洲崎
健史 藤戸
健史 藤戸
哲 長尾
哲 長尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Publication of JP2016117646A publication Critical patent/JP2016117646A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6103089B2 publication Critical patent/JP6103089B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、加工性と結晶品質に優れたIII族窒化物結晶とそのような特性を備えたIII族窒化物結晶の製造方法に関する。
III族窒化物結晶は、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)といった発光素子の基板等として種々利用されている。なかでも、GaN結晶は、青色発光ダイオードや青色半導体レーザなど青色発光素子の基板として有用であり、活発な研究がなされている。
III族窒化物結晶を基板として用いる際には、結晶成長させたIII族窒化物結晶を基板の形状に加工する必要がある。例えば、円盤状の基板を作製する際には、成長させたIII族窒化物結晶の外周を結晶用砥石などで研磨して断面を円形にしている。また、所望のサイズにするために、スライス加工も頻繁に行われている。
一方で、従来からIII族窒化物結晶においては、結晶成長に伴って結晶内部に残留応力が発生し、その結果として、結晶のそりを引き起こすことが知られている。特に、異種基板上に成長させたIII族窒化物結晶を異種基板から分離すると、そりが顕著に認められることがある。そこで、このようなそりを低減するために、熱処理を行うことが提案されている(特許文献1参照)。ここでは、III族窒化物結晶の基板側面とその反対面との間の転位密度の差を熱処理によって小さくすることによって、そりを低減することが記載されている。具体的には、GaN層を1200℃で24時間熱処理することや、1400℃で10分間熱処理することや、1600℃で2時間熱処理することが記載されている。
特開2003−277195号公報
例えばc軸方向に成長させたGaN結晶などを外周加工したりスライス加工したりすると、結晶の外縁や側壁が脆いために外周部が欠けたり、小さなクラックを生じたりしやすいという問題がある。また、そのような外周部の損傷が発端となって、外周部から内側へ向かう比較的大きなクラックが入りやすいという問題があることが明らかになってきた。そこで、このような問題に対処するために、例えば結晶にワックスを塗布したり、砥石の粒径を調整したり、あるいは加工速度を調整したりするなどの工夫がなされている。しかしながら、いずれも外周加工やスライス加工時の損傷やクラック発生の問題を十分に解決するには至っていない。
さらに、本発明者らの検討において、加工時に外周部から内側へ向かうクラックが入りやすいのは、結晶全体に残留応力が存在していることも一因となっていると考えられた。
特許文献1にはそりを低減するための手段は記載されているものの、本発明が着目している基底面転位については何も記載されておらず、本発明者らが特許文献1に記載の手段を検討したところ、いずれも外周加工やスライス加工時の損傷やクラック発生の問題を十分に解決するには至っていないことが明らかになった。
また、結晶品質という点でもなお改良の必要性があることが判明した。このような従来技術の問題点に鑑みて、本発明者らは、加工性に優れていて品質が高いIII族窒化物結晶とその製造方法を提供することを課題として鋭意検討を重ねた。
その結果、本発明者らは結晶の基底面転位を好ましい状態へ制御することが課題を解決するために極めて重要であることを見出した。そしてさらに検討を進めた結果、従来とは異なる条件でIII族窒化物結晶を熱処理すれば、III族窒化物結晶の転位を好ましい状態へ制御することが可能になり、それによって結晶外周部の脆弱性と結晶基板全体に分布する残留応力に起因する問題を一挙に解決することができるという画期的な成果を上げるに至った。また、それによって転位の分布状態が従来とは異なり、結晶品質が極めて優れているIII族窒化物結晶を提供しうることも見出すに至った。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、その内容は以下に示すとおりである。
[1] 下記の(1)および(2)の工程を含むことを特徴とするIII族窒化物結晶の製造方法。
(1)III族窒化物単結晶を1000℃以上で熱処理することによりIII族元素を含む化合物からなる被膜を形成する被膜形成工程。
(2)該被膜を除去する被膜除去工程。
[2] 前記被膜がIII族元素を含む酸化物を含むことを特徴とする[1]に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
[3] 前記被膜がIII族元素を含む水酸化物ないしオキシ水酸化物を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
[4] 前記被膜が前記単結晶上に直接形成されることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
[5] 酸素源の存在下で熱処理を行うことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
[6] アルミナ、ジルコニア、チタニア、またはこれらの少なくとも一種を含む焼結体の存在下で熱処理を行うことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
[7] アルミナまたはアルミナを含む焼結体の存在下で熱処理を行うことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
[8] さらに加圧工程を有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
[9] M面に基底面転位が50〜500nmの間隔で並ぶ転位集合体を含み、該転位集合体の最大長が5μm以上であることを特徴とするIII族窒化物結晶。
[10] 前記転位集合体がM面に8×103個/cm2以上存在することを特徴とする[9]に記載のIII族窒化物結晶。
[11] M面における転位集合体の個数密度(A)と孤立転位の個数密度(B)の比で表される転位集積度(A/B)が1%以上であることを特徴とする[9]または[10]に記載のIII族窒化物結晶。
[12] 下記のΔd/d(ave)が4×10-5以下であることを特徴とするIII族窒化物結晶。
Δd/d(ave)=[d(max)-d(min)]/d(ave)
[上式において、d(max)、d(min)およびd(ave)は、エピタキシャル成長方向に直交する結晶面の格子面間隔を成長方向に沿って測定したときの、その最大値、最小値、および平均値を表す。]
本発明のIII族窒化物結晶は、加工性に優れていて、品質が高いという優れた特徴を有する。また、本発明のIII族窒化物結晶は、従来のIII族窒化物結晶に見られる結晶外周部の脆弱性と結晶基板全体に分布する残留応力の問題を軽減している。本発明の製造方法によれば、このような特徴を有するIII族窒化物結晶を簡便に製造することができる。
結晶製造装置の一例を示す断面図である。 熱処理装置の一例を示す断面図である。 台座上に固定した結晶サンプルをワイヤーで切断する態様を説明する側面図(a)と上面図(b)である。 ワイヤーを揺動させながら結晶サンプルを切断する態様を説明する側面図である。 基底面転位の分布を示すカソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡像である。 (30−30)面における格子面間隔測定の結果を示すグラフである。 図6をa軸長の変化曲線に変換したグラフである。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。例えば、III族窒化物結晶の代表例としてGaN結晶を例に挙げて説明がなされることがあるが、本発明はGaN結晶およびその製造方法に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鋼型結晶構造)における{0001}面と等価な面である。III族窒化物結晶では、C面はIII族面であり、窒化ガリウムではGa面に相当する。また、本明細書において「M面」とは、{1−100}面、{01−10}面、{1−100}面、{−1100}面、{0−110}面、または{10−10}面として包括的に表される面であり、具体的には(1−100)面、(01−10)面、(−1010)面、(−1100)面、(0−110)面、および(10−10)面を意味する。さらに、本明細書において「A面」とは、{2−1−10}面、{−12−10}面、{−1−120}面、{−2110}面、{1−210}面、または{11−20}面として包括的に表される面であり、具体的には(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、および(11−20)面を意味する。
[III族窒化物結晶の製造方法]
(基本構成)
本発明のIII族窒化物結晶の製造方法は、下記の(1)および(2)の工程を含むことを特徴とする。本発明の製造方法では、(1)の被膜形成の工程を実施してから(2)の被膜除去工程を実施するステップを少なくとも1回含むものであり、(1)および(2)の工程を含むステップは繰り返して行ってもよい。また、(1)の工程の前、(1)と(2)の工程の間、(2)の工程の後に、(1)や(2)以外の工程を含むものであってもよい。
(1)III族窒化物単結晶を1000℃以上で熱処理することによりIII族元素を含む化合物からなる被膜を形成する被膜形成工程。
(2)該被膜を除去する被膜除去工程。
(被膜形成工程)
本発明の製造方法における被膜形成工程では、III族窒化物単結晶にIII族元素を含む化合物からなる被膜が形成されるような条件で熱処理を行う。
被膜形成工程で用いるIII族窒化物単結晶は、本発明で製造しようとしているIII族窒化物結晶と同じ種類のIII族窒化物からなる単結晶とする。たとえば、GaN結晶を製造しようとしている場合はGaN単結晶を用いる。被膜形成工程で用いるIII族窒化物単結晶としては、種々の成長法により成長させた単結晶を用いることができる。結晶成長法としては公知のいずれの結晶成長方法を適用してもよく、例えば、HVPE法、MOCVD法、フラックス法、アモノサーマル法などが挙げられる。具体的には、サファイアなどの異種基板上に成長させたIII族窒化物単結晶を下地基板として、HVPE法で成長させたIII族窒化物単結晶を好ましく用いることができる。ここで採用するHVPE法の詳細は特に制限されず、例えば、後述する実施例に記載される条件を参考にすることができる。
熱処理の温度は1000℃以上とする。熱処理温度は熱処理時間との関係で決定されるべきものであるが、概して熱処理温度は1100℃以上であることが好ましく、1200℃以上であることがより好ましく、1300℃以上であることがさらに好ましい。また、熱処理温度の上限値については、2500℃以下であることが好ましく、2220℃以下であることがより好ましく、1600℃以下であることがさらに好ましく、1400℃以下であることがまたさらに好ましい。
熱処理時間は、熱処理温度が高い場合は短くし、熱処理温度が低い場合は長くすることが好ましい。概して熱処理時間は15分以上にすることが好ましく、30分以上にすることがより好ましく、1時間以上にすることがさらに好ましい。熱処理時間の上限値は200時間以下にすることが好ましく、100時間以下にすることがより好ましく、24時間以下にすることがさらに好ましい。
例えば、1275〜1375℃の範囲内の熱処理温度を採用する場合は、0.25〜24時間熱処理することが好ましく、1.0〜10時間熱処理することがより好ましい。また、1150〜1250℃の範囲内の熱処理温度を採用する場合は、1.0〜200時間熱処理することが好ましく、24〜100時間熱処理することがより好ましい。
上記の引用文献1においてもIII族窒化物単結晶に対して熱処理を行っているが、いずれも本発明の被膜形成工程に該当するものではない。引用文献1の実施例では、GaN層を1200℃で24時間熱処理しているが、当該条件で熱処理を行ってもIII族窒化物単結晶にIII族元素を含む化合物からなる被膜は形成されない。また、引用文献1の別の実施例では、SiO2をCVD形成させたGaN基板に対して、大気環境下において1600℃で2時間熱処理したりしているが、本発明者らの検討において、1400℃以上に昇温したところGaN単結晶がすべて酸化ガリウムに変化してしまい再現することができなかった。III族元素を含む化合物からなる被膜を形成することは引用文献1の目的に反することであるため、引用文献1には本発明の被膜形成工程をまったく示唆していない。
本発明において、熱処理後のIII族窒化物単結晶を降温する速度は、通常は100℃/時間以上に設定し、1000℃/時間以上にすることが好ましく、3000℃/時間以上にすることがより好ましい。また、例えば氷水などを用いて1×106 ℃/時間以上の速度で急冷することもできる。
昇温速度や降温速度は、常に一定にしておいてもよいし、時間により変化させてもよい。
本発明における熱処理は、高圧下で行ってもよい。高圧下で行う場合の圧力は1MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましく、5GPa以上であることがさらに好ましい。圧力は、熱処理中は一定に維持してもよいし、変動させてもよい。好ましいのは一定に維持する場合である。加圧は結晶全体に行ってもよいし、結晶の一部にだけ行ってもよい。また、結晶の部分によって加圧の程度を変えてもよい。例えば、中央部と外周部で加圧条件を変えてもよい。部分的に加圧条件を変えることによって、その部分の熱処理による軽元素の侵入の程度を調整することができるため、例えば結晶の転位密度に応じて領域ごとに加圧条件を決定することができる。なお、本発明では熱処理後に加圧しても構わない。例えば、熱処理後に加圧してから後述する被膜除去工程を行ってもよいし、被膜除去工程まで行った後に加圧してもよいし、熱処理後の結晶と被膜除去後の結晶を重ねて加圧してもよい。
本発明における熱処理は、酸素源の存在下で行うことも好ましい。ここでいう酸素源とは、熱処理時の被膜形成に用いられる酸素原子を供給する材料を意味する。例えば、III族酸化物やIII族水酸化物ないしオキシ水酸化物を含む被膜が形成する場合であれば、当該III族酸化物やIII族水酸化物ないしオキシ水酸化物を構成する酸素原子を供給する材料を指す。酸素源は、酸素原子を含むガスとして供給してもよいし、反応によって酸素原子を含む化合物を生成することにより供給してもよい。酸素原子を含むガスとしては酸素分子、水分子、二酸化炭素分子、一酸化炭素分子などを挙げることができる。また、反応によって酸素原子を含む化合物を生成する態様として、例えば、反応容器内壁を構成するアルミナがアンモニアガスと反応して水分子ガスを生成する例を挙げることができる。反応容器内壁を構成する材料としては、他にシリカ、ジルコニア、チタニア、及びこれらの少なくとも一種を含む焼結体などを挙げることができる。
反応容器の形状は特に制限されず、例えば筒状の容器を挙げることができ、例えば筒状のアルミナ管を挙げることができる。筒状の反応容器を用いる場合は、熱処理するIII族窒化物単結晶は複数の結晶を重ねたり、並べたりしながら縦置き、横置きすることができる。本発明では、反応容器内壁をアルミナ等で構成する他に、反応容器内に設置される基板ホルダー等の表面をアルミナ等で構成する態様や、アルミナ棒やアルミナ粉を反応容器内に設置する態様も採用することができる。
本発明の被膜形成工程によって、III族窒化物単結晶にIII族元素を含む化合物からなる被膜が形成されたことは、XRD分析を行ったり、硝酸で洗浄した後の洗浄液を分析したりすることにより容易に確認することができる。III族元素を含む化合物からなる被膜は、III族元素を含んでいるものであればその種類は特に制限されない。例えばIII族メタル、III族酸化物、III族水酸化物ないしオキシ水酸化物などを挙げることができ、これらの混合物であってもよい。具体的にはIII族元素がGaである場合は、ガリウムメタル、酸化ガリウム、オキシ水酸化ガリウムを挙げることができる。本発明の被膜形成工程を実施した後は、通常はガリウムメタル、酸化ガリウム、オキシ水酸化ガリウムが混在した被膜が形成され、最表面が黒色となるため被膜形成を目視で確認することができる。
III族元素を含む化合物からなる被膜は、III族窒化物単結晶上に直接形成してもよいし、III族窒化物単結晶上に中間層として他の層を形成したうえでさらにその層の上に形成してもよいが、本発明の効果がより顕著であるので、III族窒化物単結晶上に直接形成することが好ましい。
(被膜除去工程)
本発明の被膜除去工程では、被膜形成工程において形成した被膜を除去する。
被膜除去方法としては、結晶を酸溶液中に浸漬する方法や機械研磨法を挙げることができる。好ましいのは、効率性と簡便性に優れている点から、結晶を酸溶液ないし混酸溶液中に浸漬する方法である。結晶を浸漬する際に用いる酸種は、硝酸が適当で、他に硫酸、塩酸が挙げられる。濃度が10%以上であるものが好ましく、30%以上であるものがより好ましい。高濃度の酸溶液ないし混酸溶液を用いれば、被膜除去が効率的になるという傾向がある。酸溶液ないし混酸溶液への浸漬時には、酸溶液ないし混酸溶液を攪拌したり、超音波振動を与えて攪拌したりするなどの付加的な制御を適宜選択して行うことが可能である。酸溶液ないし混酸溶液を用いた被膜除去工程は、加熱しながら行うことが好ましい。具体的には、60℃以上で行うことが好ましく、80℃以上で行うことがより好ましい。
被膜除去工程における被膜の除去は、被膜形成工程において形成した被膜を完全に除去するものでなくてもよい。例えば、被膜除去工程実施後の結晶表面にはIII族元素を含む水酸化物やオキシ水酸化物が残っていてもよいし、これらを含む被膜が完全に除去されていてもよい。被膜除去工程では、少なくともIII族メタルを除去するものであることが好ましく、特にガリウムメタルを除去するものであることが好ましい。III族メタルは、上記の酸溶液ないし混酸溶液中への浸漬により除去することができる。
本発明における被膜除去工程は、被膜形成工程を実施した後に直ちに行ってもよいし、時間をおいた後に行ってもよいし、他の工程を実施した後に行ってもよい。他の工程としては、例えば研磨盤による粗加工、後述するスライス工程、外周加工などを挙げることができる。
[III族窒化物結晶]
(特徴)
本発明のIII族窒化物結晶は、基底面転位が50nm〜500nmの間隔で並んだ転位集合体をM面に含み、該転位集合体の最大長が5μm以上であることを特徴とする。
本発明でいう基底面転位は、GaN結晶等で広く知られている貫通転位(threading dislocation)とは異なるものである。貫通転位は、サファイア基板などの異種基板上にGaN結晶を気相成長した際に、格子定数が大きく異なるために発生するGaN結晶中の109個/cm2程度の相当数の転位である。これに対して本発明でいう基底面転位は、応力誘起で底面上すべりが生じた際に導入する転位であり、その伝幡方向がGaNの結晶成長方向と垂直であることからbasal dislocationとも呼ばれているものである(Koji Maeda, Kunio Suzuki, Masaki Ichihara, Satoshi Nishiguchi, Kana Ono, Yutaka Mera and Shin Takeuchi, Physica B; Condensed Matter, Volumes 273-274, 1999, Pages 134-139参照)。本発明者らは、SEM−CL観察と透過型電子顕微鏡観察によって基底面上で弧を描きながら伝幡している形態を捉えている。なお、基底面は、例えばC面成長GaN結晶であれば(0001)面である。
本発明でいう転位集合体は、基底面転位が50nm〜500nmの間隔で並んだ構造体である。従来のIII族窒化物結晶では、このような狭い間隔で基底面転位が並列に並んだ転位集合体が5μm以上の範囲にわたって観察されることはなかった。本発明のIII族窒化物結晶において観察される転位集合体は、基底面転位が10個以上並列に並んでいることが好ましく、100個以上並列に並んでいることがより好ましく、1000個以上並列に並んでいることがさらに好ましい。転位集合体のサイズは、最大長が5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。
本発明のIII族窒化物結晶における転位集合体の個数密度は、5×103個/cm2以上であることが好ましく、8×103個/cm2以上であることがより好ましく、1×104個/cm2以上であることがさらに好ましい。本発明における転位集合体の個数密度を測定する面は、M面である。
(転位の制御)
本発明者らが従来のIII族窒化物結晶を詳細に顕微鏡観察したところ、結晶の外周部に1×108cm-2もの高い転位密度を有する領域が点在していることが確認された。同種の転位は結晶中心まで106cm-2〜107cm-2もの低い密度であるものの広く分布していることも確認された。本発明者らは、このように基底面転位が外周部に局所集中していることが外周部の脆弱化に繋がっているとともに、外周部の局所集中に対して中心部では均一に分散している状態が、結晶全体に分布する残留応力の一因になっていることを見出した。そして、基底面転位を制御することによりIII族窒化物結晶の加工性を向上させることに成功したものである。
具体的には、本発明の製造方法にしたがってIII族窒化物単結晶を1000℃以上で熱処理してIII族元素を含む化合物からなる被膜を形成することにより、中心部において孤立分散している転位(孤立転位)を同一面内に集積することに成功した。これによって、結晶の中心部には、上記の条件を満たす転位集合体が多数観察されるようになる。例えば、GaN結晶などのIII族窒化物結晶を本発明の製造方法にしたがって熱処理することによって、中心部における転位集合体の数を2〜10倍に増やすことが可能である。このようにして結晶の中心部において転位集合体へ転位を集積することにより、それ以外の領域では孤立転位の数が減ることになる。具体的には、M面において観察される転位集合体の個数密度(A)と孤立転位の個数密度(B)の比で表される転位集積度(A/B)が好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上であり、さらに好ましくは3%以上である。その結果、結晶全体にわたって存在していた残留応力が小さくなり、脆性が低い外周部で生じた小さなクラックなどの損傷が発端となって発生する比較的大きなクラックが生じにくくなる。このような基底面転位の集積は、結晶内部の残留応力を下げる駆動力がアシストするかたちで基底面転位が最安定配置を呈した結果であると考えられる。
本発明の製造方法にしたがって熱処理して被膜を形成し、形成した被膜を除去すれば、上記の効果に加えて、結晶の外周部の脆弱な領域を容易に除去することができるようになる。いかなる理論にも拘泥するものではないが、これは、酸素、窒素、炭素、水素またはそれらからなる分子が転位芯の原子結合が切れた隙間に導入され、それによって転位周辺のウルツ鉱型結晶構造の完全性が損なわれることによるものであると考えられる。その結果、極めて脆い状態になり、力学的には外周加工よりも遙かに低い衝撃を与えれば当該箇所のみが粉砕するレベルになる。このため、外周部の損傷が発端となって中心部に向かうクラックが伝播することも大幅に抑制されるようになる。また、極めて脆い部分を除去してしまえば、外周部の脆弱さは大幅に改善される。このように、中心部の残留応力と外周部の脆弱性の二つの問題を一挙に解決することができる点で、本発明の製造方法は優れている。また、それにより提供される本発明のIII族窒化物結晶は、外周部の脆性が改良されていて、残留応力が小さく、クラックが入りにくくて、結晶品質が優れているという特徴を有する。
(結晶の特性)
本発明のIII族窒化物結晶は、機械加工損傷抵抗の値が低い。また、本発明のIII族窒化物結晶は、転位伝播最大距離が長い。ここでいう転位伝播最大距離は、ビッカース試験によって導入されたビッカース圧痕周辺で観察される転位のうち最長のものをいう。
本発明の別の態様に係るIII族窒化物結晶は、Δd/d(ave)が4×10-5以下であることを特徴とする。本発明者らは、III族窒化物結晶のΔd/d(ave)を4×10-5以下にすることで、その残留応力を低減できることを見いだし、それによってIII族窒化物結晶の加工性を向上させることに成功した。
ここでいう格子定数の変化Δd/d(ave)は、エピタキシャル成長方向に直交する結晶面の格子面間隔を成長方向へ沿って測定したときの変化の大きさを示す尺度であり、
Δd/d(ave)=[d(max)-d(min)]/d(ave)
によって導かれたパラメーターである。ここで、d(max)は測定範囲における格子面間隔の最大値、d(min)は測定範囲における格子面間隔の最小値、d(ave)は測定範囲における格子面間隔の平均値を表す。Δd/d(ave)を小さくすることで残留応力を低減させることが出来る。
本発明のIII族窒化物結晶はΔd/d(ave)が、通常、4×10-5以下であり、3×10-5以下であることが好ましく、2×10-5以下であることがより好ましい。Δd/d(ave)を4×10-5以下にすることで、III族窒化物結晶における残留応力を低減することができ、加工時におけるクラックの発生を抑制することができる。
また、上記d(max)、d(min)およびd(ave)の測定範囲は、測定対象であるIII族窒化物結晶の大きさによって任意に決めればよい。なお、本発明では測定距離としては3.5mm、測定間隔としては100μmとして上記格子面間隔を測定した。
また、III族窒化物結晶を用いた場合には、上記Δd/d(ave)は、測定した結晶面をa軸長の変化に変換してもよい。例えば、{10−10}面、{30−30}面、{2−1−10}面、{4−2−20}面の格子面間隔の成長方向への格子定数の変化を求めた場合には、それぞれ2/√3、2√3、1、2を乗ずればa軸長が求まる。
(結晶性の制御)
Δd/d(ave)を4×10-5以下にするには、本発明の製造方法にしたがってIII族窒化物単結晶を1000℃以上で熱処理して基底面転位を最適な位置に制御すればよい。ここで基底面転位の辷り面(C面)に直交する方向の歪み分布は一様であるので、熱処理によって容易に転位間の吸収挙動が生じる。縦に並ぶ配列まで吸収挙動が進むと、個々の基底面転位が持つ歪み分布は相殺され、系内の内部歪みの低減は進む。基底面転位の吸収挙動は温度に依存する。例えば、Δd/d(ave)を4×10-5以下にするには1000℃以上の温度で熱処理すればよいし、Δd/d(ave)を3×10-5以下にするには1100℃以上の温度で熱処理すればよいし、Δd/d(ave)を2×10-5以下にするには1200℃以上の温度で熱処理すればよい。
(結晶の種類)
本発明のIII族窒化物結晶は、III族元素の窒化物からなる。具体的には、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム、またはこれらが混ざった単結晶を挙げることができる。例えば、C面成長させたGaN単結晶を本発明の製造方法にしたがって熱処理して被膜を形成し、その被膜を除去したGaN結晶やAlGaN結晶を好ましい例として挙げることができる。
また、本発明の製造方法によれば、大型なIII族窒化物結晶を容易に製造することができるため、本発明のIII族窒化物結晶は大サイズとすることができる。例えば3インチ以上の大型III族窒化物結晶とすることが可能である。また、本発明のIII族窒化物結晶は必要に応じて適宜加工することにより基板として有用に用いられる。本発明によれば、例えば基底面基板、非極性基板、半極性基板を安価に提供することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(1)熱処理と加工歩留まりの評価
直径76mmΦのサファイア基板上にMOCVDでGaNを成長したC面を主面とするテンプレート基板を準備し、これを下地基板110として、直径85mm、厚さ20mmのSiCコーティングしたカーボン製の基板ホルダー108上に置いてHVPE装置のリアクター100内に配置した(図1参照)。リアクター100内を1020℃まで加熱後、導入管103を通してHClガスを供給し、リザーバー106中のGaと反応して発生したGaClガスG3を導入管104を通してリアクター内へ供給した。このような下地基板110の上でのGaN層成長工程において、リアクター温度1020℃を29時間保持し、また、成長圧力を1.01×105Paとし、GaClガスG3の分圧を6.52×102Paとし、NH3ガスG4の分圧を7.54×103Paとし、塩化水素(HCl)の分圧を3.55×101Paとした。GaN層成長工程終了後、リアクター内を室温まで降温し、III族窒化物結晶であるC面成長GaN結晶を得た。得られたGaN結晶は、成長面表面状態は鏡面であり、触針式の膜厚計で測定した厚さは3.5mmであった。
得られたGaN結晶は洗浄、エッチング、キャップ等の前処理を行わずに、次の熱処理(高温腐食アニール)を行った。
熱処理は、アルミナ管(Al23 99.7%)200内にGaN結晶201を設置して、アンモニア・窒素混合ガスを200ml/minの流量でガス導入管203から導入しながら実施した。アンモニア・窒素混合ガス(NH38.5%+N291.5%)は、4.9MPaの47リットルボンベ中でアンモニアガスと窒素ガスを配合した後、均一な混合ガスになるまで45日以上放置してから用いた。昇温時には、ヒーター202を用いて室温から600℃を300℃/時間で昇温させ、600℃から1300℃が250℃/時間で昇温させた。その後、1300℃で6時間にわたって熱処理を行った。その後、1300℃から600℃まで100℃/時間で冷却した。熱処理後の結晶表面は黒色を呈しており、XRDによる同定を行った結果、水酸化ガリウム、酸化ガリウム、ガリウムメタルが混在していることが判明した。このことから、アンモニアと炉心管部材のアルミナが反応して生じた水分子により、GaN結晶の加水分解反応が生じていることが確認された。
得られた結晶を120℃の濃硝酸(HNO369%含有)に浸漬し、表面に付着したガリウムメタルを除去し、クリーム色を呈するオキシ水酸化ガリウムと白色の酸化ガリウムが表面に存在する結晶サンプルを得た(実施例1)。このように、熱処理後の結晶表面にはIII属元素からなる被膜が形成されており、その内部にはGaN結晶が存在することが確認された。
上記の熱処理を行なわずに製造した結晶サンプル(比較例1)と、熱処理を1200℃で96時間行って製造した結晶サンプル(比較例2)も用意した。比較例1および比較例2の結晶サンプルには、III族元素を含む化合物からなる被膜の形成は認められなかった。
得られた結晶サンプルの加工性を評価するために、結晶をウエハー形状の円形に加工する外周加工とウエハー厚みに調整するスライス加工を下記の手順にしたがって実施した。
<外周加工>
結晶研削用砥石として、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が25μm、ボンド剤がビトリファイドの砥石を用い、砥石加工面を結晶の(0001)面と垂直になるように配置した。砥石回転速度は2500m/minとし、結晶回転速度は5mm/secとした。また、砥石加工面が結晶1回転あたり0.02〜0.04mm結晶中心に近づくよう制御した。
<スライス加工>
直径50mm、厚み3.5mmの円盤状の(0001)面を主面とする結晶サンプル1を用意し、図3に示すように台座2上にエポキシ系接着剤を用いて固定した。ここで、図3(a)は正面図であり、図3(b)は側面図である。結晶切断用ワイヤーWとして、平均粒径12〜25μmのダイヤモンド砥粒を表面に電着したワイヤーを70本並列に配置した装置を用意し、そのうちの6本を結晶サンプルの切削に寄与させた。並列に配置した各ワイヤーWは、図4(a)に示すようにローラーR1とローラーR2が同じ向きに回転することにより走行し、2つのローラーR1,R2は図4(b)に示すように互い違いに上下へ移動することにより揺動するように制御した。動作中は、ローラーR1とローラーR2の間に形成されるワイヤー直線状部の中点が揺動しないように設定した。揺動の最大振れ角度φは10°、ワイヤーの最大走行速度は330m/min、ワイヤーの揺動周期は800回/minに制御した。
加工後に得られた各結晶に対して加工評価を行った。外周加工を行った10結晶については、クラックや割れが生じなかった場合を「可」と判定し、クラックや割れが生じた場合を「不可」と判定した。また、スライス加工の評価は外周加工で「可」と判定された結晶に対して行い、ここでもクラックや割れが生じなかった場合を「可」と判定し、クラックや割れが生じた場合を「不可」と判定した。「可」と判定された個数の割合(単位%)を加工歩留まりとし、結果を以下の表1に示す。
表1に示すとおり、GaN結晶に対して熱処理を実施することにより、加工性が向上し、歩留まりが飛躍的に高まることが確認された。
また、実施例1で製造したGaN結晶について機械加工損傷抵抗を測定したところ、8.9J/m2であった。また、実施例1で製造したGaN結晶の基板中心近傍における転位伝播最大距離を測定したところ25.9μmであった。
(2)熱処理と転位集合体の個数密度測定
(1)と同じ方法により、厚さ3.5mmのC面成長GaN結晶を得た。この結晶を1/4サイズになるようM面とA面で劈界した後、(1)と同じ方法により1300℃で6時間の熱処理処理を行って黒色表面の結晶を得た。これを120℃の硝酸(99.9%)に浸漬することにより、Gaメタルを除去し、クリーム色を呈する水酸化ガリウムと白色の酸化ガリウムが結晶表面に存在する結晶サンプルを得た。
上記の熱処理を施した結晶サンプル(実施例11)の他に、熱処理を施さなかった比較用結晶サンプル(比較例11)も得た。
得られた各結晶サンプルからM面スライス板片を切り出し、蛍光顕微鏡観察およびSEM−CL観察に適した表面状態になるまで一方のM面に化学研磨を施して、3.0mm±0.05mmの一様な厚みを有するM面片面研磨サンプルを得た。また、これとは別に、C面表裏の水酸化ガリウム層、酸化ガリウム層を除去するためにC面表裏を500μm以上研削研磨した後、SEM−CL観察に適した表面状態になるまで化学研磨を施して、1.3mm±0.05mmの一様な厚みを有するC面両面研磨サンプルも得た。
M面片面研磨サンプルの研磨表面を蛍光顕微鏡(倍率5倍)を用いて観察したところ、熱処理を行った実施例11のサンプルには、基底面転位が集積した転位集合体が10μm〜50μmの大きさで観察された。M面片面研磨サンプルの外縁から25mm、20mm、15mmの各部位において、同じ蛍光顕微鏡を用いて約0.0054cm2の面積中に存在する転位集合体の個数を数えた。その個数を測定面積で除することにより、転位集合体の個数密度を算出した。カソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡を用いて、0.0017cm2の面積中に存在する孤立転位(転位集合体を形成していない孤立した転位)の個数を数えて、孤立転位の個数密度を算出した。結果を以下の表2に示す。また、カソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡の観察結果を図5に示す。
表2から明らかなように、熱処理を行うことにより転位集合体の個数密度が増加するとともに孤立転位の個数密度が減少し、転位が転位集合体へ集積されることが確認された。
熱処理を行った実施例11のサンプルにおける転位集合体の一つを、走査型電子顕微鏡カソードルミネッセンスを用いてさらに詳細に観察した。使用した走査型電子顕微鏡カソードルミネッセンスの空間分解能は3nmであり、電子線の加速電圧は3kVに設定した。入射電子線はm軸方向と平行とした。観察した結果、基底面転位がc軸方向に50〜500nm間隔で並ぶ構造がc軸方向およびa軸方向にそれぞれ5μm以上の範囲にわたって観察された。
一方、熱処理を行わなかった比較例11のサンプルにおける転位集合体についても同様に走査型電子顕微鏡カソードルミネッセンスを用いて観察した。その結果、50〜500nm間隔で並ぶ構造からなることは確認されたが、その範囲はc軸方向およびa軸方向とも5μm以下であった。
(3)格子面間隔測定
結晶全体の歪みの分布を定量的に調べるために、(2)の熱処理を行った実施例11のサンプル、及び熱処理を行わなかった比較例11のサンプルに対して以下のようにX線回折により格子面間隔測定を行った。
これらサンプルの格子面間隔の測定は高分解能X線回折装置を用いて行った。
X線ビームはX線管球によるCuKα1線を用い、モノクロメータとピンホール型スリットにより絞り、サンプル表面でガウシアンビーム近似の半値全幅(full width at half maximum:FWHM)で水平方向100μm、鉛直方向200μmとなるようにした。サンプルはc軸方向が水平方向に平行になるようにサンプルステージに固定した。結晶成長方向(c軸方向)に沿って、当該ライン上で成長方向に直交する結晶面である(30−30)面の2θ-ωスキャンを100μm間隔で33点連続的に行い、格子面間隔の変化を調べた。2θ-ωスキャンの際、受光側にはアナライザー結晶と比例検出器を用いた。X線装置筐体内の温度は24.5±1℃以内に制御し、温度変動の測定への影響の抑制に努めた。
実施例11と比較例11の各サンプル基板の中心部において(30−30)面の格子面間隔の変化を測定した結果を図6に示す。格子面間隔の最大値d(max)、最小値d(min)、平均値d(ave)、及び[d(max)-d(min)]/d(ave)の値は以下の表3に示すとおりであった。(30−30)面の間隔に2√3を積してa軸長の変化に変換することにより、図6をa軸長の変化のデーターに変換した結果を図7に示す。
表3から明らかなように、本発明にしたがって熱処理を行うことにより格子面間隔の変化が抑制されることが確認された。
本発明は、III族窒化物系半導体からなる青色発光ダイオード(LED)や青色半導体レーザ(LD)など青色発光素子の基板として利用できる単結晶窒化ガリウム(GaN)基板、および単結晶窒化ガリウム基板(GaN)の成長方法、単結晶窒化ガリウム基板(GaN)の製造方法に関する。
1 結晶サンプル
2 台座
W ワイヤー
φ 揺動の最大振れ角度
R1,R2 ローラー
100 リアクター
101〜105 ガス導入管
106 Ga用リザーバー
107 ヒーター
108 基板ホルダー
109 排気管
110 下地基板
200 アルミナ管
201 結晶
202 ヒーター
203 ガス導入管
204 ガス排出管

Claims (8)

  1. エピタキシャル成長方向がc軸方向であり、下記のΔd/d(ave)が4×10-5以下である部分を有することを特徴とする窒化ガリウム結晶。
    Δd/d(ave)=[d(max)-d(min)]/d(ave)
    [上式において、d(max)、d(min)およびd(ave)は、(30−30)面の格子面間隔を、エピタキシャル成長方向に沿って100μmおきに33点で測定したときの、その最大値、最小値、および平均値を表す。]
  2. M面の0.0054cm2の面積を観察したときに、基底面転位が50〜500nmの間隔で並んでなる最大長5μm以上の転位集合体の密度が8×103個/cm2以上であることを特徴とする窒化ガリウム結晶。
  3. M面の0.0054cm2の面積を観察したときの前記転位集合体の個数密度(A)とM面の0.0017cm2の面積を観察したときの孤立転位の個数密度(B)の比で表される転位集積度(A/B)が1%以上であることを特徴とする、請求項2に記載の窒化ガリウム結晶。
  4. 下記のΔd/d(ave)が4×10-5以下である部分を有することを特徴とする窒化ガリウム結晶。
    Δd/d(ave)=[d(max)-d(min)]/d(ave)
    [上式において、d(max)、d(min)およびd(ave)は、(30−30)面の格子面間隔を、c軸方向に沿って100μmおきに33点で測定したときの、その最大値、最小値、および平均値を表す。]
  5. 前記のΔd/d(ave)が3×10-5以下である部分を有することを特徴とする、請求項1または4に記載の窒化ガリウム結晶。
  6. 前記のΔd/d(ave)が2×10-5以下である部分を有することを特徴とする、請求項1または4に記載の窒化ガリウム結晶。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の窒化ガリウム結晶からなる単結晶基板。
  8. 下記の(1)および(2)の工程を含むことを特徴とする窒化ガリウム結晶の製造方法。
    (1)窒化ガリウム単結晶を、アルミナ、ジルコニア、チタニア、またはこれらの少なくとも一種を含む焼結体の存在下、1300℃以上で熱処理することにより、該窒化ガリウム単結晶の表面に、ガリウムメタル、ガリウム酸化物、ガリウム水酸化物およびガリウムオキシ水酸化物から選ばれる一以上を含む被膜を形成する被膜形成工程。
    (2)該被膜を除去する被膜除去工程。
JP2016021509A 2011-04-15 2016-02-08 Iii族窒化物結晶の製造方法およびiii族窒化物結晶 Active JP6103089B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011091586 2011-04-15
JP2011091586 2011-04-15

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011151709A Division JP2012231103A (ja) 2011-04-15 2011-07-08 Iii族窒化物結晶の製造方法およびiii族窒化物結晶

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016117646A JP2016117646A (ja) 2016-06-30
JP6103089B2 true JP6103089B2 (ja) 2017-03-29

Family

ID=56243664

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016021509A Active JP6103089B2 (ja) 2011-04-15 2016-02-08 Iii族窒化物結晶の製造方法およびiii族窒化物結晶

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6103089B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4943132B2 (ja) * 2005-12-28 2012-05-30 日本碍子株式会社 AlN系III族窒化物エピタキシャル膜の転位低減方法
JP4816277B2 (ja) * 2006-06-14 2011-11-16 日立電線株式会社 窒化物半導体自立基板及び窒化物半導体発光素子
WO2009047894A1 (ja) * 2007-10-09 2009-04-16 Panasonic Corporation Iii族窒化物結晶基板の製造方法、iii族窒化物結晶基板、iii族窒化物結晶基板を用いた半導体装置
JP2011006304A (ja) * 2009-06-29 2011-01-13 Hitachi Cable Ltd 窒化物半導体基板およびその製造方法
JP5170030B2 (ja) * 2009-08-11 2013-03-27 日立電線株式会社 窒化物半導体自立基板、窒化物半導体自立基板の製造方法、及び窒化物半導体デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016117646A (ja) 2016-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101488545B1 (ko) Iii 족 질화물 반도체 결정의 제조 방법, iii 족 질화물 반도체 기판 및 반도체 발광 디바이스
KR101749781B1 (ko) 단결정 기판, 이를 이용하여 얻어지는 ⅲ족 질화물 결정 및 ⅲ족 질화물 결정의 제조방법
JP4877712B2 (ja) 窒化アルミニウム単結晶積層基板および窒化アルミニウム単結晶膜の製造方法
JP6784871B1 (ja) 半導体膜
WO2012141317A1 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法およびiii族窒化物結晶
Zhang et al. Growth of high quality GaN on a novel designed bonding-thinned template by HVPE
KR102130289B1 (ko) 주기표 제 13 족 금속 질화물 결정 및 주기표 제 13 족 금속 질화물 결정의 제조 방법
JP2013203653A (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法、iii族窒化物結晶およびiii族窒化物結晶基板
JP7410009B2 (ja) 半導体膜
JP6103089B2 (ja) Iii族窒化物結晶の製造方法およびiii族窒化物結晶
JP5812151B2 (ja) 窒化物基板の製造方法
JP2005343722A (ja) AlN結晶の成長方法、AlN結晶基板および半導体デバイス
JP2008230868A (ja) 窒化ガリウム結晶の成長方法および窒化ガリウム結晶基板
JP5440636B2 (ja) GaN単結晶体およびその製造方法
JP2013212945A (ja) 第13族窒化物結晶の製造方法及び第13族窒化物結晶
Woo et al. Novel in situ self-separation of a 2 in. free-standing m-plane GaN wafer from an m-plane sapphire substrate by HCl chemical reaction etching in hydride vapor-phase epitaxy
JP6094243B2 (ja) 複合基板およびそれを用いた半導体ウエハの製造方法
JP4957751B2 (ja) GaN単結晶体およびその製造方法、ならびに半導体デバイスおよびその製造方法
JP2013227208A (ja) Iii族窒化物結晶およびiii族窒化物結晶基板
Sharofidinov et al. On a reduction in cracking upon the growth of AlN on Si substrates by hydride vapor-phase epitaxy

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161115

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170213

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6103089

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350