JP6102599B2 - 放射線画像検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、可撓性の向上したシンチレータ層を有する放射線画像検出器に関する。
従来、放射線画像検出器として、放射線を光に変換するシンチレータパネルと光電変換素子との間に光学結合層を設けることで、光の散乱を防止したものが知られている。光学結合層としては、感圧性接着剤や、液体状の樹脂接着剤、及び光学オイル等が使われているが、シンチレータパネルと光電変換素子とを貼り合わせる場合に以下のような課題があった。すなわち、感圧性接着剤の場合、シンチレータ層の膜厚分布や、光電変換素子の凹凸によって、隙間が生じ、密着不良や、それに伴う剥離帯電や画像欠陥などの問題を発生させる。また、液体状の樹脂接着剤及び光学オイルの場合は、シンチレータ層の膜厚分布や、光電変換素子の凹凸によって、樹脂やオイルの厚みが不均一となり、画質の面内均一性が得られない。特にシンチレータ層の膜厚分布が大きい場合や、複数の光電変換素子パネルを組み合わせる場合は上記課題が顕著だった。
上記課題を解決するため、シンチレータ層を支持する支持体に高分子フィルムを採用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。高分子フィルムはフレキシブル性を有するため、高分子フィルムを支持体として採用することで、支持体及びシンチレータ層を受光素子の受光面の形状に合うように変形させることが可能となる。特許文献1では、放射線フラットパネルディテクターを構成する支持体及びシンチレータ層を変形させることで、シンチレータ層と受光面との間隔を均一化し、放射線検出に係る解像度の向上を図っている。
しかしながら、この放射線フラットパネルディテクターにおいては、シンチレータ層の膜厚分布や、受光面側の形状変化が大きい場合、柔軟性に乏しいシンチレータ層が剥がれたり、結晶が折れたりする等の不具合が生じるおそれがあった。
上記課題を解決するため、フレキシブル支持体上に形成した柱状結晶シンチレータ層と、シンチレータ層を覆うと共に、柱状結晶の間に充填される防湿性保護層(ポリパラキシリレン)を備えることで、結晶の破損を防止しているものもある(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、柱状結晶の間に防湿保護層を設けても、シンチレータ層自体の柔軟性が向上するわけではなく、根本的な解決には至っていない。
特許第4983911号公報 特開2012−47487号公報
本発明は、シンチレータ層自体の柔軟性を向上させ、結晶の破損防止を図りつつ、シンチレータ層と光電変換素子とを欠陥なく、均一な厚みで貼り合わせることができる放射線画像検出器を提供することを目的とする。
シンチレータ層の柔軟性を向上させるには、蛍光体柱状結晶の独立性を向上させる必要がある。柱状結晶が融着している場合は、シンチレータ層を構成する材料の弾性率以上の柔軟性は得られないが、柱状結晶が独立していれば、結晶の破損なく、変形することが可能となる。
本発明者らは、以下に示す手段により、柱状結晶の独立性を向上させ、シンチレータ層の柔軟性を向上させ、結晶の破損防止を図りつつ、シンチレータ層と光電変換素子とを欠陥なく、均一な厚みで貼り合わせることができることを見出した。
すなわち、本発明は以下の手段からなる。
本発明の放射線画像検出器は、支持体と、該支持体上に形成された柱状結晶構造のシンチレータ層と、光学結合層と、光電変換素子とを有する放射線画像検出器において、該支持体上に形成された柱状結晶構造のシンチレータ層について、該柱状結晶構造の面を凸にした状態で等分布荷重を掛けたときの片持ち梁状態シンチレータ層の曲げ弾性率Escが下記式(I)で表される関係を満たすことを特徴とする。
Esc≦−0.43M+372 かつ Esc≧−0.16M+98 ・・・(I)
上記式(I)中、Escは、シンチレータ層の曲げ弾性率(kg/mm2)を表し、Mは、シンチレータ層の膜厚(μm)を表す。
前記シンチレータ層は下地層と蛍光体層とからなり、前記支持体上に、該下地層と該蛍光体層とがこの順で積層されていることが好ましい。
前記蛍光体層を構成する蛍光体原料に含まれる、該蛍光体原料よりも高い融点を有する賦活剤以外の不純物の含有総量は2.5ppm以上、35ppm以下であることが好ましい。
前記蛍光体原料はヨウ化セシウム(CsI)であり、前記不純物は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びタンタル(Ta)から選ばれる一種以上の元素を含むことが好ましい。
前記光学結合層は、熱硬化樹脂からなることが好ましい。
前記光学結合層は、ホットメルトシートであることが好ましい。
前記光学結合層は、感圧接着材からなることが好ましい。
本発明によれば、シンチレータ層の柔軟性を向上させることにより、シンチレータパネルと光電変換素子とを、蛍光体柱状結晶の破損欠陥を生じさせることなく、光学結合層を介して均一な厚みで、且つ気泡を生じさせずに貼り合わせることができ、高画質で、且つ画質の面内均一性の高い放射線画像検出器を得ることができる。
本発明によれば、シンチレータ層中に蛍光体層に加えて、さらに下地層を設けることにより、柱状結晶の1本1本の独立性がさらに高くなり、シンチレータパネルの柔軟性が一層向上する。その結果、下地層を有しない場合と比べて、シンチレータ層と光電変換素子とを貼り合わせる光学結合層の膜厚をより均一にすることができる。
本発明によれば、蛍光体原料として、該蛍光体原料よりも高い融点を有する賦活剤以外の不純物の含有総量が特定の量であるものを用いることにより、加熱時に該不純物が加熱した蛍光体原料に内包される形で、支持体に供給される。その結果、不活性ガスの効果と同様に蒸着用基板の面内方向には一定以上融着せずに、独立性の高い柱状結晶を形成させることができる。
よって、本発明によれば、高速欠陥検査や品質管理に使用されているC型X線ラインカメラのようなセンサ部が湾曲した形状となっているX線検出器用シンチレータにも好適である。
図1(a)は、本発明に係る放射線画像変換パネルを構成する支持体とシンチレータ層を示す模式断面図である。図1(b)は、従来の放射線画像変換パネルを構成する支持体とシンチレータ層を示す模式断面図である。 図2は、放射線画像変換パネルの基本構成を示す模式断面図である。 図3は、蒸着装置の概略構成を示す図である。 図4は、放射線画像変換パネルの製造装置を示す断面図である。 図5は、シンチレータ層である片持ち梁に等分布加重が作用した場合の梁(シンチレータ層)のたわみを求める方法を示す図である。 図6は、シンチレータ層の膜厚に対するシンチレータ層の曲げ弾性率Escを表すグラフを示す図である。
本発明の放射線画像検出器は、支持体と、該支持体上に形成された柱状結晶構造のシンチレータ層と、光学結合層と、光電変換素子とを有する。
以下に、上記支持体と、該支持体上に形成された柱状結晶構造のシンチレータ層とからなる構成(以下「放射線画像変換パネル」又は「シンチレータパネル」という。)と、光学結合層と、光電変換素子とについてそれぞれ詳細に説明する。
本発明に係る放射線画像変換パネル10の基本構成を図1(a)に示す。図1(a)に示すように、放射線画像変換パネル10において、放射線画像変換パネルのシンチレータ層12は、蛍光体を含有する複数の柱状結晶120から構成されており、この複数の柱状結晶120が、支持体11と接する根元部同士が互いに独立した形態で存在するような構造を有している。
そして、より具体的な実施態様において、放射線画像変換パネル10は、図2に示すように、支持体11とシンチレータ層との間の反射層13などその他の層をさらに備えることができる。このような放射線画像変換パネル10は、シンチレータパネルとして用いることができ、図2に示すように、光電変換素子20パネルと組み合わせることによって、電気信号の形で画像データを取り出し可能な放射線画像検出器30として用いることができる。
以下、各構成部分について順に説明する。
支持体
本発明に係る放射線画像変換パネル10において、支持体11は、シンチレータ層12を形成する柱状結晶120の土台として用いられるとともに、シンチレータ層12の構造を保持する役割を有する。
支持体11の材料としては、X線等の放射線を透過させることが可能な、各種のガラス、高分子材料、金属等が挙げられる。具体的には、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラス等の板ガラス;サファイア、窒化珪素、炭化珪素等のセラミック;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等の半導体;セルロースアセテートフィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム);アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シート又はこれらの金属の酸化物の被覆層を有する金属シート;バイオナノファイバーフィルム等を用いることができる。これらは一種単独で用いても積層して用いてもよい。
上記支持体11の材料の中でも、高分子フィルムが好ましく、厚さ50〜500μmの可撓性を有する高分子フィルムがより好ましく、その中でも蒸着時の耐熱性の観点から、ポリイミドフィルムが特に好ましい。市販品として、例えば、UPILEX−125S(宇部興産(株)製)を用いてもよい。
ここで、「可撓性を有する」とは、120℃での弾性率(E120)が、0.1〜300GPaであることをいう。「弾性率」とは、引張試験機を用い、JIS−C2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めた値である。これがヤング率と呼ばれる値であり、本明細書においては、かかるヤング率を弾性率と定義する。
支持体11の120℃での弾性率(E120)は、通常0.1〜300GPa、好ましくは1〜100GPaである。
可撓性を有する高分子フィルムとしては、具体的には、ポリエチレンナフタレート(7GPa)、ポリエチレンテレフタレート(4GPa)、ポリカーボネート(2GPa)、ポリイミド(7GPa)、ポリエーテルイミド(3GPa)、アラミド(12GPa)、ポリスルホン(2GPa)、ポリエーテルスルホン(2GPa)等が挙げられる(カッコ内は弾性率を示す)。なお、弾性率の値は、同種の高分子フィルムでも変動しうるので、必ずしも弾性率が括弧内の値になるわけではないが、目安として一例を示したものである。上記高分子材料は、いずれも高い耐熱性を有し、蛍光体の蒸着に耐えうる点でも好ましい。なかでも、ポリイミドは特に耐熱性に優れ、CsI(ヨウ化セシウム)を原材料として気相法にて蛍光体(シンチレータ)の柱状結晶を形成する場合に好適である。
可撓性を有する高分子フィルムは単独であってもよいし、上記高分子の混合物のフィルムであってもよいし、同種又は異種の二層以上の積層体であってもよい。
また支持体11がバイオナノファイバーフィルムである場合は、バイオナノファイバーフィルムが、(i)軽い、(ii)鉄の5倍以上の強度がある(高強度)、(iii)熱で膨張しにくい(低熱膨張性)、(iv)フレキシブルである(可撓性に優れる)、(v)混ぜる、塗る、フィルム状にするなど様々な処理ができる、(vi)植物繊維が材料で燃やすことができるなど、既存のガラスやプラスチックでは得られない特性を有することから、支持体の特性や環境上のメリットを享受できる。
支持体11は、上記材料からなる層の他に、例えば、その反射率を調整する目的で、遮光層及び/又は光吸収性の顔料層を有していてもよいし、支持体自体に光吸収性又は光反射性を付与してもよいし、上記材料自体に着色してもよい。
なお、遮光層や顔料層は、別途のフィルムに設けられたものであってもよい。これについては後述の「その他の層」の項目で説明する。
遮光性又は光反射性の支持体としては、各種金属板及びアモルファスカーボン板などが挙げられ、金属板を支持体として使用する場合は、X線の透過性及び取扱性の観点から、厚みが0.2mm以上2.0mm以下のアルミニウム板が好ましい。
着色された支持体としては、顔料などの色材(顔料がより好ましい)が混入されたフィルムや、支持体上に顔料などの色材(顔料がより好ましい)をバインダー樹脂中に分散させてなる反射層を設けることが、支持体の反射率を調整する観点より好ましい。
上記バインダー樹脂としては、本発明の目的を損なわない限り、特に制限されず、市販品を用いてもよいし、製造してもよい。具体的には、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、シリコン樹脂;塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニル共重合体;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ブタジエン・スチレン共重合体等、各種の合成ゴム系樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、尿素・ホルムアミド樹脂等の熱硬化樹脂等が挙げられる。これらの中では、蒸着により形成される蛍光体の柱状結晶及び支持体に対する膜付性に優れる点で、疎水性樹脂であるポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が好ましい。
上記顔料としては、例えば、ファーストエロー、ジスアゾエロー、ピラゾロンオレンジ、レーキレッド4R、ナフトールレッド等の不溶性アゾ顔料;クロモフタルエロー、クロモフタルレッド等の縮合アゾ顔料;リソールレッド、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー10B等のアゾレーキ顔料;ナフトールグリーンB等のニトロソ顔料;ナフトールエローS等のニトロ顔料;フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン顔料;アントラピリミジンエロー、ペリノンオレンジ、ペリレンレッド、チオインジゴレッド、インダントロンブルー等のスレン顔料;キナクリドンレッドキナクリドンバイオレット等のキナクリドン顔料;ジオキサジンバイオレット等のジオキサジン顔料;イソインドリノンエロー等のイソインドリノン顔料;ピーコックブルーレーキ、アルカリブルーレーキ等の酸性染料レーキ;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ、マラカイトグリーンレーキ等の塩基性染料レーキ等が挙げられる。
上記顔料は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.01 〜10重量部含有させることが好ましい。顔料の含有量が上記範囲にあると、充分な塗膜色が得られ、それ以上着色度が変化しないにもかかわらず過剰に顔料を添加してしまい、支持体の樹脂の伸びや強度等の機械的物性が劣化することを防止できる。
シンチレータ層
本発明に係る放射線画像変換パネル10において、シンチレータ層は、外部から入射された放射線であるX線のエネルギーを、可視光に変換する役割を有する。
シンチレータ層を構成する蛍光体原料としては、外部から入射してきたX線のエネルギーを効率よく光に変換でき、かつ、柱状結晶を形成可能な材料である限り特に制限されない。したがって、この条件を満たす限り、従来公知の種々の蛍光体を蛍光体原料として用いることができ、その中でも、ヨウ化セシウム(CsI)、酸硫化ガドリニウム(GOS)、タングステン酸カドミウム(CWO)、ケイ酸ガドリニウム(GSO)、ゲルマニウム酸ビスマス(BGO)、ケイ酸ルテチウム(LGO)、タングステン酸鉛(PWO)などを好適に用いることができる。なお、放射線画像変換パネルの用途によっては、CsIなどの瞬間発光の蛍光体に限られず、臭化セシウム(CsBr)などの輝尽性蛍光体であってもよい。
本発明においては、これらの蛍光体原料の中でも、CsIが、X線から可視光への変換率が比較的高く、蒸着によって容易に柱状結晶を形成し、該結晶構造に起因する光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、その分蛍光体層の厚さを大きくすることができる点から好ましい。
ここで、蛍光体原料としてCsIのみを用いることを妨げるものではないが、CsIのみからなる蛍光体原料では、充分に高い発光効率が得られない場合がある。そこで、シンチレータ層は、CsIを蛍光体母体とし、これと共に各種の賦活剤を含むことが好ましい。そのようなシンチレータ層としては、例えば、特公昭54−35060号公報に開示されているような、CsIと、ヨウ化ナトリウム(NaI)とを任意のモル比で含有するシンチレータ層が挙げられる。その他、例えば、特開2001−59899号公報に開示されているような、CsIとタリウム(Tl)、ユーロピウム(Eu)、インジウム(In)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)又はナトリウム(Na)等の元素を含む賦活剤とを任意のモル比で含有するシンチレータ層が挙げられる。
本発明に係る放射線画像変換パネル10においては、特に、CsIと、一種類以上のタリウム化合物を含む賦活剤とを原材料とするシンチレータ層が好ましい。
上記タリウム化合物としては種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。例えば、ヨウ化タリウム(TlI)、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、フッ化タリウム(TlF、TlF3)等が挙げられ、なかでもCsIの賦活度に優れる観点から、ヨウ化タリウム(TlI)が好ましい。
本発明においては、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)が、300nm〜750nmまでの広い発光波長をもつことから好ましい。
上記シンチレータ層における賦活剤の相対含有量は、蛍光体母材100モル%としたとき、0.1〜5モル%であることが好ましい。
賦活剤の融点は、通常300〜800℃、好ましくは400〜700℃であり、タリウム化合物の融点は400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。タリウム化合物の常圧下(約0.101MPa)における融点が上記範囲内であると、蒸着により形成されたシンチレータ層において、賦活剤が柱状結晶内に均一に分布し、発光効率が向上する。
また、蛍光体柱状結晶の結晶径の変動係数は通常50%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
シンチレータ層12を構成する蛍光体柱状結晶の結晶径について、支持体11が存在する面を基準として、高さ1μmの位置における柱状結晶の平均結晶径aと高さ3μmの位置における柱状結晶の平均結晶径bとが、1≦(b/a)≦3の関係を満たすことが好ましく、1≦(b/a)≦2の関係を満たすことがより好ましい。(b/a)の値が3以下であると、放射線画像変換パネルの膜厚方向に押圧が掛かったときに押圧が一点に集中しすぎることにより柱状結晶が変形する場合がなく、シンチレータ層の強度を保つ上で有利である。一方、(b/a)を1以上とすることは、製造工程上一般に容易である。
また、(b/a)が上記範囲にあると共に、平均結晶径bが3μm以下であると、放射線画像変換パネルの膜厚方向に押圧が掛かったときの強度の点でより好ましい。このとき、シンチレータ層12が下地層122を有しなくてもある程度の強度が得られるが、蛍光体層121のほかに下地層122を有すると、強度、鮮鋭性、輝度を総合的に見たときのバランスに優れる。
さらに、鮮鋭性を確保する点で、シンチレータ層12を構成する柱状結晶のシンチレータ層の最表部における平均結晶径cは通常10μm以下、好ましくは8μm以下である。
なお、本発明において「平均結晶径」は、平均円相当径を指す。この「平均円相当径」は、形成された柱状結晶からなるシンチレータ層を導電性の物質(白金、パラジウム、金、カーボンなど)でコーティングした後に、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(日立製作所製S−800)にて観察し、個々の柱状結晶断面に外接する円の直径である円相当径を、30本の柱状結晶について測定し、これらの円相当径の平均値として得られる平均結晶径である。
ここで、高さ1μmの位置における柱状結晶の平均結晶径a及び高さ3μmの位置における前記柱状結晶の平均結晶径bは、それぞれ、結晶内をエポキシ樹脂などの適当な樹脂で埋め、結晶膜表面を研磨により支持体側からそれぞれ1μm及び3μmになるまで削って得られた結晶面を観察して得られる平均結晶径である。
上記シンチレータ層を構成する蛍光体原料に含まれる、該蛍光体原料よりも高い融点を有する、賦活剤以外の不純物の含有総量は2.5ppm以上、35ppm以下であることが好ましい。
蛍光体原料よりも高い融点を有する不純物は、蛍光体原料を加熱する温度で加熱しても溶融せず、蒸発しないが、溶融又は蒸発した蛍光体原料に内包される形で、支持体11に供給される。支持体11上に到達した加熱溶融された蛍光体原料は、シャドウイング効果(飛び出した粒子が基板への輸送過程でさまざまな角度に散乱されて、一度蒸着用基板上に形成された粒子の陰には飛来粒子が到達しにくい)と蒸着装置40中の不活性ガスの影響により蒸着用基板の面内方向には一定以上融着せずに、蛍光体柱状結晶を形成する。すなわち、蛍光体原料よりも高い融点を有する不純物は、蛍光体原料を加熱する温度で加熱しても、柱状結晶表面に析出した不純物は、固体粒子の状態であるため、不活性ガスの効果と同様に蛍光体原料同士が付着するのを防止する効果を果たす。これにより、蛍光体柱状結晶の独立性が効果的に維持される。なお、本明細書において、「蒸着用基板」とは、支持体、或いは該支持体上に反射層又は顔料層等のその他の層が設けられたものをいう。
このため、蛍光体原料として、賦活剤以外の不純物の含有総量が2.5ppm以上、35ppm以下である蛍光体原料を用いて、支持体11上に蒸着を行うと、形成される柱状結晶の独立性が高いため、シンチレータ層12の柔軟性をより向上させることができる。
上記不純物として、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びタンタル(Ta)から選ばれる一種以上の元素を含む化合物がある。
なお、本明細書において、「蛍光体母体」とは、賦活剤によって賦活されていないCsIなどの蛍光体そのものをいい、蛍光体母体及び賦活剤などシンチレータ層を形成する原料となるものを総じて「蛍光体原料」という。
本発明において、シンチレータ層12は、上記したように、蛍光体層121一層であってもよいし、上記蛍光体層121に加えて、さらに下地層122を有していてもよい。すなわち、シンチレータ層12は、蛍光体層121のみからなるものであってもよいし、下地層122と蛍光体層121とからなり、支持体11上に、下地層122と蛍光体層121とがこの順で積層された構造を有するものであってもよい。シンチレータ層12が下地層122と蛍光体層121との二層からなる場合、下地層122は、蛍光体層121と同じ材質からなるものであってもよい。すなわち、シンチレータ層12は、全体が蛍光体母材のみからなる一層であってもよく、全体が結晶体母材と賦活剤とを含む一層であってもよく、蛍光体母材のみからなる下地層122と、蛍光体母材と賦活剤とを含む蛍光体層121とからなるものであってもよく、蛍光体母材と第一の賦活剤とを含む下地層122と、結晶体母材と第一の賦活剤とは別の第二の賦活剤とを含む蛍光体層121とからなるものであってもよい。
本発明においては、シンチレータ層12は、下地層122と蛍光体層121とがこの順で積層された構造であって、蛍光体母体と賦活剤とからなる蛍光体層121と、蛍光体母体及び賦活剤からなり、根元部の空隙率が該蛍光体層121よりも低い値を示す下地層122とからなることが好ましい。
上記シンチレータ層について、該柱状結晶構造の面を凸にした状態で等分布荷重を掛けたときの片持ち梁状態のシンチレータ層の曲げ弾性率Escは下記式(I)で表される関係を満たす。
Esc≦−0.43M+372 かつ Esc≧−0.16M+98 ・・・(I)
ただし、上記式(I)中、Escはシンチレータ層の曲げ弾性率(kg/mm2)を表し、Mはシンチレータ層の厚さ(μm)を表す。
具体的な測定方法を以下に示す。図5に示すように、シンチレータ層の曲げ弾性係数Escは、シンチレータパネルの曲げ弾性係数Esp及び支持体の曲げ弾性係数Esbをそれぞれ求め、これらの測定値と、シンチレータ層(Isc)、シンチレータパネル(Isp)及び支持体(Isb)のそれぞれの断面二次モーメントとを用いて、曲げ剛性の式から求められる。
曲げ剛性の式 Esc Isc = Esp Isp−Esb Isb
Esc = (Esp Isp−Esb Isb) / Isc
断面二次モーメント
I=bh3/12 (b:サンプルの幅(mm)、h:サンプルの厚さ(mm))
Isc:シンチレータ層の断面二次モーメント
Isp:シンチレータパネルの断面二次モーメント
Isb:支持体の断面二次モーメント
賦活剤以外の不純物の含有総量は2.5ppm以上、35ppm以下であるとき、好ましくは、賦活剤以外の不純物の含有総量が当該範囲内の量であることに加えて、シンチレータ層が蛍光体層121と下地層122とからなるとき、シンチレータ層の曲げ弾性率を上記式(I)に示す範囲内にすることができる。
なお、本明細書において、「空隙率」とは、シンチレータ層を支持体の面に対して平行に切断した断面において、蛍光体柱状結晶の断面積及び空隙の総和面積に対する、空隙の総和面積の比率をいう。空隙率は、シンチレータパネルの蛍光体層121又は下地層122を支持体11平面に平行に切除し、断面の走査型電子顕微鏡写真を、画像処理ソフトを使用して蛍光体部分及び空隙部を2値化することにより求めることができる。下地層121における空隙率を蛍光体層の厚さ方向に傾斜させることにより、鮮鋭性を保持しながら、耐衝撃性及び輝度を向上させることができる。
本発明において、蛍光体柱状結晶の空隙率の変動係数は通常50%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
また、「根元部」とは、シンチレータ層12における支持体11の近傍にある部分をいい、具体的には、シンチレータ層12における、支持体11が存在している面側の末端を基準として、通常0μmを超え3μm以下の範囲の部分をいう。
下地層122における賦活剤の相対含有量は、蛍光体母体化合物を100モル%としたとき、通常0.01〜1モル%、好ましくは0.1〜0.7モル%である。特に、下地層122の賦活剤の相対含有量が上記範囲内であると、シンチレータパネルの発光輝度の向上及び保存性の点で非常に好ましい。
本発明において、シンチレータ層12が蛍光体層121と下地層122とからなる場合、下地層122における賦活剤の相対含有量は蛍光体層121における賦活剤の相対含有量よりも低いことが非常に好ましく、蛍光体層121における賦活剤の相対含有量に対する下地層122における賦活剤の相対含有量の比((下地層における賦活剤の相対含有量)/(蛍光体層における賦活剤の相対含有量))は、0.1〜0.7であることが好ましい。
なお、その場合、蛍光体層121面内の賦活剤成分である、ヨウ化タリウム(Tl)濃度の変動係数は通常40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下である。
シンチレータ層12を構成する、例えばCsI等の成分の下側からX線が照射されると、これにより発光した光は、CsIの光ガイド効果によって効率的に蛍光体柱状結晶の先端側へ伝搬される。結晶先端に到達した光は結晶の外へ取り出されるが、結晶先端に到達した光の向きによって結晶内で全反射を起こし、この結果、結晶先端より取り出す光の量は減少する。このように柱状結晶先端角度を制御することで、光の取り出し効率は大きく変化する。以上の観点より、光の取出し効率を向上させるために、蛍光体柱状結晶の先端角度は40〜80°とすることが好ましい。
シンチレータ層12を構成するCsI等の成分の一定の面指数を有する面のX線回折スペクトルに基づく配向度は、層厚み方向の位置に関わらず、80〜100%の範囲内であることが、シンチレータ層の発光効率などの観点から好ましい。例えば、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)の柱状結晶における面指数は、(100)、(110)、(111)、(200)、(211)、(220)、(311)等のうちのいずれかであり得るが、(200)であることが好ましい。
ここで、本明細書における「一定の面指数を有する面のX線回折スペクトルに基づく配向度」とは、ある面指数の強度Ixが他の面指数の面を含めた全体の総強度Iに占める割合のことを指す。例えば、X線回折スペクトルにおける(200)面の強度I200の配向度は、「配向度=I200/I」である。
配向度決定のための面指数の測定方法としては、例えば、X線回折(XRD)が挙げられる。X線回折は結晶X線回折でも粉末X線回折でもよい。X線回折は、特定波長の固有X線を結晶性物質に照射し、Braggの式を満足する回折が起こることを利用して、物質の同定、結晶相の構造などに関する知見を得ることができる汎用性の高い分析手法である。照射系のターゲットにはCu、Fe、Coなどが用いられ、装置能力によるが、一般的に照射時の出力は0〜50mA、0〜50kV程度である。
本発明に係る放射線画像変換パネル10では、シンチレータ層12を構成する複数の柱状結晶の根元部同士がそれぞれ独立して存在している。根元部がこのように独立して成長すると、(200)面の配向度が高くなり、その上の蛍光体層も、柱状結晶も互いに引っ付くことなく、離れた状態で上層方向に成長しやすい。このようにして、柱状結晶の独立性が高く、放射線画像変換パネル10のシンチレータ層の柔軟性を高めることができる。
本発明に係る放射線画像変換パネル10において、シンチレータ層の膜厚は、通常80〜800μm、好ましくは100〜600μmである。
蛍光体層121の膜厚は、シンチレータパネルの輝度と得られる放射線画像の鮮鋭性とのバランスの点から、通常50〜1000μm、好ましくは80〜800μm、より好ましくは100〜600μmである。
下地層121の膜厚は、シンチレータパネルの輝度の高さ、得られる放射線画像の鮮鋭性の維持の点から、通常0.1μm〜50μm、好ましくは3μm〜50μm、より好ましくは5μm〜40μmである。
蛍光体層121の膜厚分布が±20%以下となるよう蛍光体層121の膜厚を均一化することで、感度ムラを低減させることができ、高画質な放射線画像を撮影することが可能となる。
シンチレータ層12の耐湿性向上のために保護膜を設ける場合は、高温高湿下で蛍光体柱状結晶が保護膜に刺さりにくく、また、蛍光体柱状結晶から保護膜への光の拡散が抑制されるという観点から、蛍光体柱状結晶の先端部の形状は、保護膜に対して、(a)凸な曲面、(b)平面、又は(c)90°以上の角度(鈍角)となっていることが好ましい。
柱状結晶径は蛍光出射側で太く、支持体側では細く形成されている。これにより、柱状部における蛍光体の充填率は支持体側よりも蛍光出射側で高く、支持体側の空隙が比較的大きくなっている。 また、各柱状結晶の柱側面には孔構造が形成される場合がある。孔構造が直径が1μm以下で、且つ、複数の小孔からなる場合、100000個/mm2未満の密度で分布していることが好ましい。孔構造の分布が100000個/mm2以上である場合は、鮮鋭性の低下等、放射線画像の光学特性に影響が出る場合がある。
その他の層
本発明に係る放射線画像変換パネル10は、図2に示すように、上記支持体11及びシンチレータ層12のほか、従来公知のシンチレータパネルと同様に、上記支持体11及びシンチレータ層12の間に、反射層13、上記した保護層(図示しない)、耐湿保護膜、遮光層、顔料層等を有していてもよい。
・反射層
上記したように、本発明に係る放射線画像変換パネル10は、シンチレータ層12に光学結合層を設けた後、光電変換素子パネル20を組み合わせることにより、放射線画像検出器30として用いることができる。
したがって、放射線画像変換パネル10は、シンチレータ層12で発生した蛍光を効率よく光電変換素子パネル20に導くことができるよう、支持体11とシンチレータ層12との間に反射層13をさらに有することが好ましい。反射層13とは、シンチレータ層12で発せられた蛍光のうち、支持体11方向に放射進行するものを反射しうる層である。
本発明において、反射層13として用いることができる材質は、従来公知のシンチレータプレートで用いられているものと同様のものであればよく、反射率の高い金属で形成することが好ましい。反射率の高い金属膜層としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、白金(Pt)及び金(Au)からなる群の中の金属元素を含む材料が挙げられる。金属としては、電気伝導率で通常6.0S/m(ジーメンス毎メートル)以上、好ましくは30S/m以上である。具体的にはAl(40S/m)、Ag(67S/m)、Au(46S/m)が反射率及び電気伝導率の点で好ましい。また、反射層13は、二酸化チタンなどの光反射性粒子と適当なバインダー樹脂とからなるものであってもよい。
上記反射層13は一層で形成されていてもよく、又は二層以上で形成されていてもよい。
反射層13は、真空蒸着、スパッタ蒸着又はメッキにより支持体上に直接付着することができるが、生産性の観点からスパッタ蒸着が好ましい。反射層の膜厚については、付着方法にもよるが、真空蒸着の場合は通常50nm〜400nm、スパッタ蒸着の場合は通常20nm〜200nmである。
・保護層
シンチレータ層12の構成成分による反射層13の腐食等を防止するため、反射層13とシンチレータ層12との間に保護層を形成してもよい。
保護層はシンチレータ層の表面に、溶剤に溶解した樹脂溶液を塗布及び乾燥して形成することが好ましい。樹脂としては、ガラス転位点が30〜100℃のポリマーであることが蒸着結晶と基板との膜付の点で好ましい。
具体的には、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、シリコン樹脂及びアクリル系樹脂の他、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体及び塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニル共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体及びスチレン・ブタジエン共重合体等、各種の合成ゴム系樹脂、並びにフェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂及び尿素ホルムアミド樹脂等の熱硬化樹脂等が挙げられるが、特にポリエステル樹脂が好ましい。
保護層の膜厚は、接着性の点で通常0.1μm以上であり、保護層表面の平滑性確保の点で好ましくは0.1μm以上、3.0μm以下、より好ましくは0.2〜2.5μmの範囲である。
保護層作製に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール;メチレンクロライド、エチレンクロライド等の塩素原子含有炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の脂環式又は芳香族化合物;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステル等のエステル化合物;ジオキサン等を挙げることができる。
上記保護層は一層で形成されていてもよく、又は二層以上で形成されていてもよい。
・耐湿保護膜
本発明に係る放射線画像変換パネル10は、外周を覆うように耐湿保護膜をさらに有していることが好ましい。耐湿保護膜は、放射線画像変換パネル全体を防湿し、シンチレータ層12の劣化を抑制する役割を有する。
耐湿保護膜には、透湿度の低いフィルム保護フィルム、ポリパラキシリレンのような耐湿膜等が挙げられる。
例えば、保護フィルムの場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムその他、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等が挙げられる。また、必要とされる防湿性にあわせて、前記保護フィルムに金属酸化物等を蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層させた構成とすることもできる。
金属酸化物には、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、ITO等が挙げられる。
また、放射線画像変換パネル10の支持体11側とシンチレータ層12側との間には双方を熱融着を封止するための熱融着性の樹脂を用いることが好ましい。
熱融着層としては、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムを使用できる。例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等が挙げられるが、これに限られたものではない。
未封止の放射線画像変換パネルを上下の保護フィルムで挟み、減圧雰囲気中で上下の保護フィルムが接触する端部をこれらの熱融着性の樹脂で融着することにより封止することができる。
保護フィルムの厚さは5〜100μmであることが好ましい。
保護フィルムは防湿性が付与されているが、具体的には透湿度(水蒸気透過率ともいう)が通常50g/m2・day以下、好ましくは10g/m2・day以下、より好ましくは1g/m2・day以下である。ここで、保護フィルムの透湿度はJIS Z 0208に準拠して、以下の方法で測定することができる。40℃において、保護フィルムを境界面とし、一方の側を90%RH(相対湿度)、他方の側を吸湿剤を用いて乾燥状態に保つ。この状態で24時間にこの保護フィルムを通過する水蒸気の質量(g)(保護フィルムを1m2に換算する)を保護フィルムの透湿度と定義する。
保護フィルムの透湿度を上記の範囲に調節し、防湿性を向上させる観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸化アルミナ薄膜を蒸着した蒸着フィルムが好ましく用いられる。
保護フィルムの光透過率とは、空気だけの場合の光透過率を100%として、各保護フィルムの光透過率を相対値で表したものである。上記の光透過率は下記式に従って求められる。
光透過率(%)=(透過光/入射光)×100
保護膜としては、ポリパラキシリレンなどの耐湿膜が用いられる。ポリパラキシリレンは、シンチレータ層が形成された支持体をCVD装置の蒸着室に入れ、ジパラキシリレンが昇華した蒸気中に露出させておくことにより、シンチレータ層12と支持体11の全表面がポリパラキシリレン膜で被覆された放射線画像変換パネル10を得ることができる。
・遮光層
本発明に係る放射線画像変換パネルは、支持体11とシンチレータ層12との間に遮光層を有していてもよい。
遮光層は、遮光性を有する材料を含む。
遮光性を有する材料としては、支持体の反射率を調節する観点から、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ステンレス鋼等のうち一種又は二種以上の物質を含む金属材料を用いて形成されたものが挙げられ、優れた遮光性及び耐食性を付与できるという観点から、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)を主成分とする金属材料が特に好ましい。
遮光層は、上記金属材料一層からなっていてもよいし、二層以上からなっていてもよい。
このような金属材料による遮光層は、帯電防止層としても機能することができるため、帯電防止目的でも好適に使用することができ、帯電防止層を形成する方法として、前述の反射層13内に帯電防止剤を添加する方法に代えて又は共に採用することもできる。この場合、反射層13の、支持体と接している面とは反対側の表面で測定した表面抵抗値は、蒸着用基板の帯電防止の観点から、通常1.0×1012Ω/□以下、好ましくは1.0×1011Ω/□以下、より好ましくは1.0×1010Ω/□以下である。(Ω/□の□は平方メートル。)
遮光層を支持体11上に被覆する方法としては、蒸着、スパッタ又は金属箔の貼り合わせ等、特に制約は無いが、遮光層の支持体への密着性の観点からスパッタが最も好ましい。
支持体11と遮光層の密着性を向上させるため、支持体11と反射層13との間に中間層を設けることが好ましい。中間層を構成する材料としては、例えば、エポキシ樹脂等の一般的な易接着性のポリマーの他、遮光層の金属とは異なる金属(異種金属)が挙げられる。異種金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)が挙げられる。中間層は、これら異種金属を一種単独で含んでいても二種以上を含んでいてもよく、なかでもニッケル(Ni)又はクロム(Cr)を単独又は両方を含んでいることが、高い遮光性を付与する観点より好ましい。
遮光層、又は遮光層及び中間層の厚さは、発光光取り出し効率の観点から、通常0.005〜0.3μm、好ましくは0.01〜0.2μmである。
・顔料層
顔料層は、光吸収性で、且つ、着色されていれば特に制限されず、例えば、顔料及びバインダー樹脂を含む層が用いられる。
上記顔料には、従来公知の顔料を特に制限なく使用可能である。顔料は、より光散乱しやすい赤色の長波長領域の成分を吸収するものの方がよく、青色の着色材が好ましい。このような青色の着色材としては、例えば、ウルトラマリン青、プロシア青(フェローシアン化鉄)等が好ましい。また、有機青色顔料としては、フタロシアニン、アントラキノン、インジゴイド、カルボニウム等を用いることができる。これらの中でも、光吸収性の顔料層の放射線耐久性、紫外線耐久性などの観点から、フタロシアニンが好ましい。
上記バインダー樹脂には、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、シリコン樹脂及びアクリル系樹脂の他、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体及び塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニル共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体及びスチレン・ブタジエン共重合体等、各種の合成ゴム系樹脂、並びにフェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂及び尿素ホルムアミド樹脂等の熱硬化樹脂等が挙げられ、これらの中では、蒸着により形成される蛍光体の柱状結晶及び支持体に対する膜付性に優れる点で、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等の疎水性樹脂が好ましい。また上記した樹脂を2種類以上用いても良い。特にガラス転移温度(Tg)が5℃以上異なる2種類以上の樹脂を用いることで塗膜物性を容易に制御することができて好ましい。この場合用いる樹脂はガラス転移温度が異なれば同種類であっても、異なる種類であっても良い。
顔料は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部の量であることが、顔料層の光吸収性の観点から好ましい。顔料の量が上記範囲にあると、充分な塗膜色が得られ、それ以上着色度が変化しないにもかかわらず過剰に顔料を添加してしまい、支持体の樹脂の伸びや強度等の機械的物性が劣化することを防止できる。
顔料層の厚さは、断裁性の観点から、1〜500μmが好ましい。
光学結合層
本発明の放射線画像検出器は、放射線画像変換パネルと光電変換素子とを密接に貼り合わせるための光学結合層23を有している。
光学結合層23は、その屈折率n23が、シンチレータ層12の柱状結晶の屈折率n12と光電変換素子パネル20の最表層の屈折率n20のうち、小さい方の屈折率以上、かつ大きい方の屈折率以下の屈折率となるように形成されている。
本実施形態では、前述したようにシンチレータ層12の柱状結晶としてCsI:Tlが用いられており、その屈折率n12は約1.8である。また、光電変換素子パネル20の最表層を形成するアクリル樹脂の屈折率n20は約1.5である。そこで、本実施形態では、光学結合層23は、その屈折率n23が1.5〜1.8の範囲になるように形成されている。屈折率はフィラーを混合することで調整する事が出来る。
光学結合層23は、放射線の照射によりシンチレータ層12で発光した光が光学結合層23や光電変換素子パネル20の最表層を介して光電変換素子に到達するようにするために透明であり、光の透過率が90%以上の高透過率であることが好ましい。
なお、光学結合層23を形成する樹脂が、例えば、硬化する際に収縮し易いものであったり、温度が高くなると膨張し易いものであるような場合、光学結合層23が収縮したり膨張したりする際に、シンチレータ層12の柱状結晶に対して面方向に力が加わる状態になる。そして、その力によって柱状結晶が破壊されてしまう可能性が生じる。
そこで、光学結合層23を形成する樹脂としては、硬化収縮率や線膨張係数が低いものを用いることが好ましい。
また、光学結合層の厚さは、蛍光体層からの発光を拡散させないためには薄くする必要があり、好ましくは50μm以下が好適であるが、より好ましくは30μm以下である。
光学結合層を構成する成分としては、本発明の目的を損なわない限り特に制限はないが、熱硬化樹脂、ホットメルトシート、感圧性接着シートが好ましい。
熱硬化樹脂としては、例えば、アクリル系やエポキシ系、シリコーン系等を主成分とする樹脂が挙げられる。なかでもアクリル系及びシリコン系等を主成分とする樹脂が低温熱硬化の観点より好ましい。市販品では、例えば、東レダウコーニング(株)製 メチルシリコーン系 JCR6122等が挙げられる。
光学結合層はホットメルトシートであってもよい。本発明におけるホットメルトシートとは、水や溶剤を含まず、室温では固形であり、不揮発性の熱可塑性材料からなる接着性樹脂(以下、ホットメルト樹脂)をシート状に成形したものである。被着体の間にホットメルトシートを挿入し、融点以上の温度でホットメルトシートを溶融後、融点以下の温度で固化させることにより、ホットメルトシートを介して被着体同士を接合する事が出来る。ホットメルト樹脂は極性溶媒、溶剤、および水を含んでいないため、潮解性を有する蛍光体層(例えば、ハロゲン化アルカリからなる柱状結晶構造を有する蛍光体層)に接触しても蛍光体層を潮解させないため、光電変換素子と蛍光体層の接合に適している。 また、ホットメルトシートは残留揮発物を含んでいないことで、乾燥による収縮が小さく、間隙充填性や寸法安定性にも優れている。
ホットメルトシートとしては、具体的には主成分により、例えばポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系、EVA系等の樹脂をベースにしたものが挙げられる。なかでも光透過性、接着性の観点から、ポリオレフィン系、EVA系、アクリル系樹脂をベースにしたものが好ましい。
光学結合層が、感圧性接着シートであってもよい。感圧性接着シートとしては、具体的には、アクリル系、ウレタン系、ゴム系及びシリコン系等を主成分としたものが挙げられる。なかでも光透過性、接着性の観点から、アクリル系及びシリコン系等を主成分としたものが好ましい。

光学結合層は、熱硬化樹脂の場合、シンチレータ層又は光電変換素子の上にスピンコート、スクリーン印刷、及びディスペンサー等の手法により、塗布される。
ホットメルトシートの場合、シンチレータ層と光電変換素子の間にホットメルトシートを挿入し、減圧下で、加熱することによって、光学結合層が形成される。
感圧性接着シートは、ラミネーション装置等により貼り合せる。
光電変換素子
本発明の放射線画像検出器を構成する光電変換素子は、透明電極と、透明電極を透過して入光した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層と、透明電極に対しての対極になる対電極とから構成されており、シンチレータパネル10と光電変換素子とを分離するために光電変換素子パネル表面に隔膜が設けられている。それらは隔膜側から透明電極、電荷発生層、対電極の順で配置される。
上記透明電極とは、光電変換される電磁波を透過させる電極であり、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SNO2及びZnOなどの導電性透明材料からなる。
上記電荷発生層は、透明電極の隔膜と接触している面とは反対側の表面上に薄膜状に形成されている。電荷発生層は、光電変換可能な化合物として光によって電荷分離する有機化合物を含有する。電荷を分離する有機化合物は、電荷を発生し得る電子供与体及び電子受容体としての導電性化合物である。電荷発生層に放射線のような電磁波が入射されると、電子供与体が励起して電子を放出し、放出した電子が電子受容体に移動して、電荷発生層内に電荷、すなわち、正孔と電子のキャリアが発生する。
ここで、電子供与体としての導電性化合物としては、p型導電性高分子化合物が挙げられ、p型導電性高分子化合物としては、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p−フェニレン)又はポリアニリンの基本骨格を持つ化合物が好ましい。
また、電子受容体としての導電性化合物としては、n型導電性高分子化合物が挙げられ、n型導電性高分子化合物としては、ポリピリジンの基本骨格を持つ化合物が好ましく、特にポリ(p−ピリジルビニレン)の基本骨格を持つ化合物が好ましい。
電荷発生層の膜厚は、光吸収量を確保する観点から、10nm以上(特に100nm以上)が好ましく、また電気抵抗が大きくなりすぎることを防止する観点から、1μm以下(特に300nm以下)が好ましい。
上記対電極は、電荷発生層の電磁波入光される側の面と反対側に配置されている。対電極は、例えば、金、銀、アルミニウム、クロムなどの一般の金属電極や、透明電極と同様の透明電極の中から選択できるが、良好な特性を得る観点より、仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物から選択される材料から形成される電極が好ましい。
また、電荷発生層と各電極(透明電極及び対電極)との間には、電荷発生層とこれら電極が反応しないように、緩衝地帯として作用させるためのバッファー層を設けてもよい。バッファー層は、例えば、フッ化リチウム及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホナート)、2,9−ジメチル4,7−ジフェニル[1,10]フェナントロリンなどを用いて形成される。
また、光電変換素子は、覆う樹脂製の保護膜層36と、複数のスペーサ37が散在され、保護膜層36上に積層されたスペーサ部38と、保護膜層36上、かつ、スペーサ部38の周囲に配置された電極部39と、を備えている。
本発明では、例えば、PaxScan(バリアン(株)製FPD:2520)等が用いられる。
放射線画像変換パネル
本発明に係る放射線画像変換パネルは、上記したとおり、支持体11と、該支持体上に形成されたシンチレータ層12とを有し、該シンチレータ層12は、下地層122と蛍光体層121とがこの順で積層された構造であり、蛍光体柱状結晶を複数含み、且つ、複数の柱状結晶が、該支持体と接する根元部同士が互いに独立した形態で存在している(第一の形態)。根元部がこのように成長すると、(200)面の配向度が高いため、その上の蛍光体層も上層方向に成長しやすく、柱状結晶も互いに引っ付くことなく、独立した状態で成長しやすい。これにより、柱状結晶の独立性が高く、放射線画像変換パネル10のシンチレータ層の柔軟性を高めることができる。
第一の形態のより好ましい形態として、蛍光体原料よりも高い融点を有する賦活剤以外の不純物の含有総量が2.5ppm以上、35ppm以下である蛍光体原料を用いることで、シンチレータ層12を構成する複数の柱状結晶が、支持体と接する根元部同士で互いに独立せずに、非柱状結晶形状で存在し、根元部より上層の蛍光体層では、柱状結晶同士が互いに独立した形態で存在している形態となり、柱状結晶の融着が発生しにくい。(第二の形態)。したがって、第二の形態では、これにより、柱状結晶の独立性が高く、放射線画像変換パネル10のシンチレータ層の柔軟性をより高めることができる。
また、第二の形態のより好ましい形態として、支持体11と、該支持体上に形成されたシンチレータ層12とを有し、該シンチレータ層12は、下地層122と蛍光体層121とがこの順で積層された構造であり、かつ蛍光体原料よりも高い融点を有する賦活剤以外の不純物の含有総量が2.5ppm以上、35ppm以下である蛍光体原料を用いることで、シンチレータ層12を構成する複数の柱状結晶が、支持体と接する根元部同士で互いに独立した形態で存在し、根元部より上層の蛍光体層でも、柱状結晶同士が互いに独立した形態で存在している形態であってもよい(第三の形態)。
放射線画像変換パネルの製造方法
本発明に係る放射線画像変換パネル10は、例えば、シンチレータ層12を構成する蛍光体の柱状結晶を形成する際に、柱状結晶の根元部同士が互いに独立した形態で存在できるようにして製造することができる。
例えば、支持体11に対して、必要に応じて、従来公知の方法に従って、反射層13及び保護層の形成を行い、その後、シンチレータ層12の形成を行い、さらに、必要に応じて、従来公知の方法に従って、耐湿保護膜の形成を行うことにより、放射線画像変換パネル10を得ることができる。ここで、反射層13、保護層及び耐湿保護膜等の形成は、上記「その他の層」の項中の「反射層」、「保護層」、「耐湿保護膜」等の項に記載した方法により行うことができる。
シンチレータ層12の形成方法は、蛍光体原料を、柱状結晶の形態とすることができ、且つ、柱状結晶の根元部同士が互いに独立した形態で存在できるように柱状結晶を形成することができる方法であれば特に制限はないが、気相法、具体的には蒸着法が好ましい。
蒸着法に用いる装置としては特に限定はないものの、例えば、図3に示されるような蒸着装置を用いることが好ましい。
図3に示す通り、蒸着装置40は箱状の真空容器41を有しており、真空容器41の内部には蒸着源47が配されている。この蒸着源47は、加熱装置を備えた容器に収められた状態で置かれており、加熱装置を作動させることにより、蒸着源47の加熱が行われる。シンチレータ層12を形成する際には、蛍光体原料、又は蛍光体母材としての蛍光体と賦活剤とを含む混合物が加熱装置を備えた容器に充填され、加熱装置を作動させることで、上記蛍光体原料又は混合物が蒸着源47として加熱・蒸発することができるようになっている。蒸発源47の加熱温度は、通常650〜800℃、好ましくは680〜750℃である。蒸着源47は、図4に示すように複数存在していてもよい。図4においては、蒸着源47として、蒸着源47a,47b,47cの3つが備えられているが、シンチレータ層12を構成する材料毎にその個数を変えてもよい。各々の蒸発源は等間隔に配置してもよく、間隔を変えて配置してもよい。また、蒸着用基板43に垂直な中心線を中心とした円の半径は任意に定めることができる。このように蒸発源の配置を工夫することにより大面積の蒸着を蒸着用基板43の面内に均一に行うことが可能となる。すなわち、大面積の面内分布を満たす蒸着を行うことにより、前述した賦活剤濃度、結晶径、膜厚分布を満たすことが可能となる。また、この方法によれば、一回の蒸着から一枚の多面取りの蒸着を行うだけでなく、複数の基板を同時にセットすることによる多面取りや、一枚の大きな基板に蒸着を行った後に、複数枚切り出すことができるようになり、効率的な生産を行うことが可能となる。
加熱装置を備えた容器として、抵抗加熱ルツボ等を用いることができる。ここで、容器を構成する材質は、アルミナであっても高融点金属であってもよい。
真空容器41の内部であって蒸着源47の直上には、蒸着用基板43を保持するホルダ44が配されている。ここで、蒸着用基板43として、支持体11自体を用いてもよく、あるいは、支持体11に反射層13や保護層等を形成させてなる積層体を用いてもよい。
ホルダ44にはヒーター(図示略)が配されており、当該ヒータを作動させることでホルダ44に装着した蒸着用基板43を加熱することができるようになっている。蒸着用基板43を加熱した場合には、表面の吸着物を離脱・除去したり、その表面に形成されるシンチレータ層12との間に不純物層が形成されるのを防止したり、その表面に形成されるシンチレータ層12との密着性を強化したり、表面に形成されるシンチレータ層12の膜質の調整を行うことができるようになっている。
ホルダ44には当該ホルダ44を回転させる回転機構45が配されている。回転機構45は、ホルダ44に接続された回転軸46とその駆動源となるモータ(図示略)から構成されたもので、当該モータを駆動させると、回転軸46が回転してホルダ44を蒸着源47に対向させた状態で回転させることができるようになっている。
蒸着装置40では、上記構成の他に、真空容器41に真空ポンプ42が配されている。真空ポンプ42は、真空容器41の内部の排気と真空容器41の内部へのガスの導入とを行うもので、当該真空ポンプ42を作動させることにより、真空容器41の内部を一定圧力のガス雰囲気下に維持することができるようになっている。真空ポンプ42は、真空容器の内部に存在する気体の排気を行うもので、高真空領域まで排気するために、作動圧力領域の異なる真空ポンプを二種類もしくはそれ以上配置してもよい。真空ポンプとしては、ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、ディフュージョンポンプ、メカニカルブースタ等を用いることができる。
本発明に係るシンチレータ層12は、加熱装置を備えた容器に蛍光体原料を充填し、装置内を排気すると同時に窒素等の不活性なガスを導入口から導入して1.333Pa〜1.33×10-3Pa程度の真空とし、次いで、蛍光体原料を加熱蒸発させて、必要に応じて、反射層13、保護層などを有する蒸着用基板43の表面に蛍光体の蒸着結晶を堆積し、シンチレータ層12を形成させる。ここで、蛍光体母体と賦活剤との混合物からなる結晶を形成する際には、図4に示すような蒸着装置40を用い、加熱装置を備えた容器に蛍光体母材としての蛍光体を、第二の加熱装置を備えた容器に賦活剤をそれぞれ充填し、それぞれ蒸発源47a及び47bとして、蒸着を行うことができる。
また、下地層122と蛍光体層121とを有するシンチレータ層12を形成する場合、下地層122形成用の蛍光体原料、蛍光体層121形成用の蛍光体原料、蛍光体層121形成用の賦活剤を、それぞれ別々の加熱装置を備えた容器に充填し、それぞれの蒸着源の充填量を加減し、シャッター48を蒸着源毎に個別に開閉しながら蒸着を行うことができる。
蒸着用基板43に形成される蛍光体柱状結晶の結晶径は、蒸着用基板43の温度を変えることにより制御することができ、蒸着用基板43の温度を高くするほど結晶径を大きくすることができる。蛍光体層蒸着時の蒸着用基板の温度は、通常150〜250℃、好ましくは180〜220℃である。前記蛍光体柱状結晶の平均結晶径bを3μm以下とするためには、蛍光体原料の蒸着速度や蒸着時の真空容器41内の圧力にもよるが、例えば、蒸着速度が3μm/分以下で真空度が0.01〜1Paの場合、下地層及び蛍光体層の蒸着用基板の温度は5℃〜250℃に設定することが好ましい。高さ1μmの位置における前記蛍光体柱状結晶の平均結晶径aに対する高さ3μmの位置における前記蛍光体柱状結晶の平均結晶径bの比率(b/a)を適度に小さくするためには、蒸着初期における蒸着用基板43の昇温速度を適度に小さくすることが好ましく、例えば、根元部3μmを蒸着するまでの基板温度差を100℃以内とすることが好ましい。なお、蒸着用基板43の昇温速度を高くしすぎると、シンチレータ層12において、蛍光体柱状結晶の結晶径が不連続に変化する箇所が生じる場合があるが、本発明に係る放射線画像変換パネル10は、このような箇所が生じていても、放射線画像変換パネル10として機能しうる。
シンチレータ層12が下地層122と蛍光体層121とからなる場合、下地層122の膜厚を上記「シンチレータ層」の項で規定する範囲とするには、下地層122蒸着用の加熱装置を備えた容器(抵抗るつぼ)に充填する量又はシャッター48の開閉を調整して蒸着を行えばよい。ここで、根元部が互いに独立した柱状結晶を得つつ、輝度や鮮鋭性といったX線特性に優れた放射線画像変換パネルを得るには、下地層122を形成する間は、蒸着用基板43の温度を15℃〜50℃とすることが好ましく、蒸着用基板43は加熱しないでおくことが特に好ましい。
また蛍光体層121は、加熱装置を備えた容器に蛍光体母材及び賦活剤の混合物を充填するか、あるいは、蛍光体母材及び賦活剤をそれぞれ別々の加熱装置を備えた容器に充填し、上記と同様にして、下地層122の上に蒸着結晶を堆積させることにより形成される。蛍光体層121の膜厚の調整は、蛍光体層121形成用の加熱装置を備えた容器に充填する蛍光体母材(及び賦活剤)の量又はシャッターを開閉することにより行うことができる。蒸着用基板43の加熱は、蛍光体層121を形成するときから開始することが好ましく、蛍光体層121を形成する際には、蒸着用基板43について、蛍光体層121形成開始時の基板温度を100℃以上、その後蒸着終了までの間は、蒸着用基板43の温度を150℃〜250℃に維持することが好ましい。
下地層122を形成する場合、根元部を独立した形態とするために、根元部に賦活剤を含まないように蛍光体を蒸着させることが重要である。また、根元部を形成した後に蒸着された、根元部を含む蒸着用基板43全体を加熱し、蛍光体及び賦活剤を蒸着させることで、賦活剤は根元部側へも拡散する。これにより、根元部を独立した形態としながら輝度と鮮鋭性を確保することができる。すなわち、シンチレータ層の柔軟性を十分に確保しながら輝度と鮮鋭性を確保することのできる放射線画像変換パネルとして機能する構造となる。根元部を形成させる際に、蛍光体だけでなく賦活剤を同時に蒸着させると、根元部が柱状とならず、独立した形態とならない。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
[実施例1A]
(支持体)
支持体として、厚さ125μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製UPILEX−125S)を用いた。
(シンチレータ層の形成)
支持体へのシンチレータ層の形成を、図4に示す蒸着装置を使用して次のように行った。
まず、蛍光体原料であるヨウ化セシウム(CsI)よりも高い融点を有する賦活剤以外の不純物の含有総量が2.5ppm未満である蛍光体原料Xを蒸着材料として2つの抵抗加熱ルツボに充填し、賦活剤(TlI)を1つの抵抗加熱ルツボに充填した。ここで、蛍光体原料Xが充填された抵抗加熱ルツボのうちの一方を第一の抵抗加熱ルツボとし、他方を第二の抵抗加熱ルツボとした。また、賦活剤が充填された抵抗加熱ルツボを第三の抵抗加熱ルツボとした。これら第一の抵抗加熱ルツボ、第二の抵抗加熱ルツボ、第三の抵抗加熱ルツボの内容物を、それぞれ、蒸着源47a,47b,47cとした。また、回転可能なホルダ44に蒸着用基板43として上記支持体を設置し、蒸着用基板43と蒸着源47a,47b,47cとの間隔を400mmに調節した。
次いで、蒸着装置40の真空容器41内部にある空気を一旦排気し、Arガスを導入して蒸着装置40の真空容器41内における真空度を0.5Pa(絶対圧)に調整した後、10rpmの速度でホルダ44と共に蒸着用基板43を回転させた。
そして、第一の抵抗加熱ルツボを加熱して蛍光体を蒸着用基板43のシンチレータ層形成予定面に蒸着して、下地層部分を3μm形成した。このとき、蒸着開始時の蒸着用基板43の温度は5℃とし、徐々に昇温させて下地層部分が3μm形成された際の蒸着用基板43の温度を25℃とした。
引き続き、蒸着用基板43の温度を200℃とし、第二の抵抗加熱ルツボと第三の抵抗加熱ルツボを加熱して蛍光体及び賦活剤を蒸着用基板のシンチレータ層形成予定面に蒸着して、蛍光体層部分を形成した。シンチレータ層内の賦活剤濃度が0.3mol%となるように調整した。
シンチレータ層の膜厚が100μmとなったところで蒸着を終了し、蒸着用基板のシンチレータ層形成予定面上に所定膜厚のシンチレータ層を有するシンチレータパネルを得た。
[実施例2A]
支持体へのシンチレータ層の形成を、図4に示す蒸着装置を使用して次のように行った。
まず、蛍光体原料であるヨウ化セシウム(CsI)よりも高い融点を有する賦活剤以外の不純物の含有総量が2.5ppm以上、35ppm以下である蛍光体原料Yを蒸着材料として、第一の抵抗加熱ルツボに充填し、賦活剤(TlI)を第二の抵抗加熱ルツボに充填し、それぞれの内容物を、それぞれ蒸着源47a、47bとした。また、回転可能なホルダ44に蒸着用基板43として上記支持体を設置し、蒸着用基板43と蒸着源47との間隔を400mmに調節した。
次いで、蒸着装置40の真空容器41内部にある空気を一旦排気し、Arガスを導入して蒸着装置40の真空容器41内における真空度を0.5Pa(絶対圧)に調整した後、10rpmの速度でホルダ44と共に蒸着用基板43を回転させた。そして、蒸着用基板43の温度を、蒸着開始時には200℃とし、第一の抵抗加熱ルツボと第二の抵抗加熱ルツボの両方を加熱して蛍光体原料を蒸着用基板43のシンチレータ形成予定面に蒸着した。シンチレータ層内の賦活剤濃度は、0.3mol%となるように調整した。ここで、蒸着用基板43の加熱は、ホルダ44を加熱することにより行った。
シンチレータ層の膜厚が100μmとなったところで蒸着を終了し、蒸着用基板のシンチレータ層形成予定面上に所定膜厚のシンチレータ層を有するシンチレータパネルを得た。
[実施例3A]
蛍光体原料であるヨウ化セシウム(CsI)よりも高い融点を有する賦活剤以外の不純物の含有総量が2.5ppm以上、35ppm以下である蛍光体原料Yを蒸着材料として使用した以外は、実施例1Aと同様の方法により、蒸着用基板のシンチレータ層形成予定面上に膜厚100μmのシンチレータ層を有するシンチレータパネルを得た。
[比較例A]
蛍光体原料が蛍光体原料Xであることを除き、実施例2Aと同様の方法により膜厚100μmのシンチレータ層を有するシンチレータパネルを得た。
[実施例1B]
シンチレータ層の膜厚が300μmとなったところで蒸着を終了したことを除き、実施例1Aと同様の方法によりシンチレータパネルを得た。
[実施例2B]
シンチレータ層の膜厚が300μmとなったところで蒸着を終了したことを除き、実施例2Aと同様の方法によりシンチレータパネルを得た。
[実施例3B]
シンチレータ層の膜厚が300μmとなったところで蒸着を終了したことを除き、実施例3Aと同様の方法によりシンチレータパネルを得た。
[比較例B]
シンチレータ層の膜厚が300μmとなったところで蒸着を終了したことを除き、比較例Aと同様の方法によりシンチレータパネルを得た。
[実施例1C]
シンチレータ層の膜厚が600μmとなったところで蒸着を終了したことを除き、実施例1Aと同様の方法によりシンチレータパネルを得た。
[実施例2C]
シンチレータ層の膜厚が600μmとなったところで蒸着を終了したことを除き、実施例2Aと同様の方法によりシンチレータパネルを得た。
[実施例3C]
シンチレータ層の膜厚が600μmとなったところで蒸着を終了したことを除き、実施例3Aと同様の方法によりシンチレータパネルを得た。
[比較例C]
シンチレータ層の膜厚が600μmとなったところで蒸着を終了したことを除き、比較例Aと同様の方法によりシンチレータパネルを得た。
[シンチレータパネルの評価]
実施例及び比較例で得られたシンチレータパネルにつき、輝度、MTF(変調伝達関数(Modulation Transfer Function))及び画像ムラの評価を行った。
輝度及びMTFの評価は、上記シンチレータパネルを、以下に示す光学結合層を介して、PaxScan(バリアン(株)製FPD:2520)表面の光電変換素子に貼り合わせたものを使用して行った。
(光学結合層)
光学結合層を形成する材料には、以下の三種類を使用した。
・熱硬化樹脂:東レダウコーニング(株)製 メチルシリコーン系 JCR6122 粘度340mPa・s
・ホットメルトシート:DIC株式会社製 ポリエステル系 DAITAC LT6003W
・感圧性接着剤:リンテック株式会社製 アクリル系 TL-450S-16
(シンチレータパネルの評価)
シンチレータ層の曲げ弾性係数Esc
各シンチレータ層の曲げ弾性係数Escは、各シンチレータパネル(Esp)及び各支持体(Esb)の曲げ弾性係数(いずれも測定値)と、シンチレータ層(Isc)、シンチレータパネル(Isp)及び支持体(Isb)のそれぞれの断面二次モーメントとを用いて、曲げ剛性の式から求められる。
曲げ剛性の式 Esc Isc=Esp Isp−Esb Isb
断面二次モーメント
I=bh3/12 (b:サンプルの幅(mm)、h:サンプルの厚さ(mm))
Isc:シンチレータ層の断面二次モーメント
Isp:シンチレータパネルの断面二次モーメント
Isb:支持体の断面二次モーメント
なお、シンチレータパネル(Esp)及び支持体(Esb)の曲げ弾性係数は、図5に示す片持ち梁(等分布加重)の実験から、以下の式を用いて計算される。
E=Pl4/(8δI)
E:曲げ弾性係数(kg/mm2
l:はりの長さ(mm)
δ:最大たわみ量(mm)
I:断面二次モーメント(mm4
輝度
フラットパネルディスプレイ(FPD)に管電圧80kVpのX線を照射し、得られた画像データの平均シグナル値を発光量とした。
シンチレータパネルは、シンチレータ層の膜厚に依存して、特性が大きく変わるため、シンチレータ層の膜厚が同じもの同士の相対評価とした。表1では、比較例A〜Cの発光量を輝度1.0とし、その1.0倍(同等)以上1.2倍未満のものを「△」、その1.2倍以上1.4倍未満のものを「○」、1.4倍以上のものを「◎」と評価した。
MTF
鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線をFPDの放射線入射面側に照射し、画像データを検出し、ハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像のMTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。MTFが高い値であるほど鮮鋭性に優れていることを意味する。
MTF値は放射線変換パネル内の9箇所を測定し、その平均値によって評価を行った。シンチレータパネルは、シンチレータ膜厚に依存して、特性が大きく変わるため、シンチレータ層の膜厚が同じもの同士の相対評価とした。表1では、使用可能レベルの特性である比較例1〜3を基準として、その1.0倍(同等)以上1.2倍未満のものを「△」、1.2倍以上1.4倍未満のものを「○」、1.4倍以上のものを「◎」と評価した。
画像ムラ
表1中の画像ムラは輝度撮影時に得られた画像(フラット補正前)において、輝度バラツキが20%以上を「×」、10%以上20%未満を「△」、5%以上10%未満を「○」、5%未満を「◎」と評価した。
Figure 0006102599
本発明は、高速欠陥検査や品質管理に使用されているC型X線ラインカメラのようなセンサ部が湾曲した形状となっているX線検出器用シンチレータにも好適である。
10 ・・・本発明に係る第1の放射線画像変換パネル
10’ ・・・本発明に係る第2の放射線画像変換パネル
90 ・・・従来の放射線画像変換パネル
11,91 ・・・支持体
12,92 ・・・シンチレータ層
120,920 ・・・柱状結晶
121 ・・・蛍光体層
122 ・・・下地層
13 ・・・反射層
20 ・・・光電変換素子パネル
23 ・・・光学結合層
30 ・・・放射線画像検出器
40 ・・・蒸着装置
41 ・・・真空容器
42 ・・・真空ポンプ
43 ・・・蒸着用基板
44 ・・・ホルダ
45 ・・・回転機構
46 ・・・回転軸
47,47a,47b,47c ・・・蒸着源
48 ・・・シャッター

Claims (7)

  1. 支持体と、該支持体上に形成された柱状結晶構造のシンチレータ層と、光学結合層と、光電変換素子とを有する放射線画像検出器において、
    該支持体上に形成された柱状結晶構造のシンチレータ層について、該柱状結晶構造の面を凸にした状態で等分布荷重を掛けたときの片持ち梁状態のシンチレータ層の曲げ弾性率Escが下記式(I)で表される関係を満たすことを特徴とする放射線画像検出器;
    Esc≦−0.43M+372 かつ Esc≧−0.16M+98 ・・・(I)
    (式(I)中、Escは、シンチレータ層の曲げ弾性率(kg/mm2)を表し、Mは、シンチレータ層の膜厚(μm)を表す。)。
  2. 前記シンチレータ層が下地層と蛍光体層とからなり、前記支持体上に、該下地層と該蛍光体層とがこの順で積層されている、請求項1に記載の放射線画像検出器。
  3. 前記シンチレータ層を構成する蛍光体原料に含まれる、該蛍光体原料よりも高い融点を有する賦活剤以外の不純物の含有総量が2.5ppm以上、35ppm以下である、請求項1又は2に記載の放射線画像検出器。
  4. 前記蛍光体原料がヨウ化セシウム(CsI)であり、
    前記不純物が、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、マンガン、クロム、モリブデン及びタンタルから選ばれる一種以上の元素を含むことを特徴とする請求項3に記載の放射線画像検出器。
  5. 前記光学結合層が、熱硬化樹脂からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像検出器。
  6. 前記光学結合層が、ホットメルトシートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像検出器。
  7. 前記光学結合層が、感圧接着材からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像検出器。
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