JP6102047B2 - 洗い落し式便器 - Google Patents
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Description
また、従来の洗い落し式便器において、汚物を受ける汚物受け面と、この上縁に位置するリム部と、リム部の後方側に設けられ前方向に洗浄水を吐水するリム吐水部を備え、リム吐水部から吐水された洗浄水により、汚物受け面に旋回流を形成し洗浄を行うものが知られている。このような便器では、汚物受け面に旋回流を形成するため、洗浄水を旋回させながら排水トラップ部及び排水ソケットから床下の排水管側へ排出する。この際に、排水ソケット部を通過する洗浄水は旋回しながら通過するため、排水ソケットの管路の内周面に沿って流れることとなる。これにより、排水ソケットから床下の排水管側に流入する際には、床下の排水管の通水方向と直角の断面において、洗浄水が排水管の内周面に偏った状態で入り込むことになる。したがって、床下の排水管が屈曲部分を有している場合には、床下の排水管の内周面に偏った洗浄水が屈曲部分をシールしてしまい、床下の排水管内で負圧が発生し、便器の封水までも引き込んでしまい、基本的に封水の補給を行わない洗い落し便器の封水不足になってしまうという問題がある。
そこで、このような問題の対策として、例えば、特許文献1に記載されているように、水洗大便器の排水ソケットの屈曲管路内で発生する上流側の排水を下流側に引き込もうとする負圧を抑制する負圧抑制手段が、排水ソケットの屈曲管路部材に設けられているものも知られている。
このように構成された本発明においては、吐水部からボウル部に洗浄水を吐水して形成した旋回流で便器を洗浄した洗浄水が、排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回しながら流入するとき、ボウル部において形成される旋回流が反時計周りの旋回流である場合、棚部の反時計周り側領域が高くなるように形成され、ボウル部において形成される旋回流が時計周りの旋回流である場合、棚部の時計周り側領域が高くなるように形成されているので、その管路の内周面に沿って旋回しようとする洗浄水を受ける棚部により、洗浄水の旋回方向の流速成分を抑制させることができ、且つ洗浄水を排水ソケットの管路の中央方向に導くことができる。よって、洗浄水が排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回することを抑制することができ、洗浄水が排水ソケットから床下排水管へ偏った状態で流入すること防ぐことができる。したがって、床下排水管が屈曲部分を有している場合に、排水ソケットから床下排水管に偏って流入した洗浄水が床下排水管の屈曲部分をシールして負圧が発生することを防ぐことができ、洗い落し式便器の封水を引き込み封水水位が低下することを防ぐことができる。
このように構成された本発明においては、吐水部からボウル部に洗浄水を吐水して形成した旋回流で便器を洗浄した洗浄水が排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回しながら流入するとき、排水ソケットの流出口部に向けて下り傾斜している棚部により、洗浄水の旋回方向の流速成分を抑制させることができ、且つ洗浄水を排水ソケットの流出口部の中央方向に導くことができる。よって、洗浄水が排水ソケットの流出口部の内周面に沿って旋回することを抑制することができ、洗浄水が排水ソケットから床下排水管へ偏った状態で流入すること防ぐことができる。また、洗浄水が、棚部が流出口部に向かう下り傾斜に形成されているので、棚部に滞留されにくく、スムーズに流出口部に排出されることができる。
このように構成された本発明においては、排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回しながら流入する洗浄水が、螺旋軌道に沿って形成された棚部の傾斜面により、洗浄水の旋回方向の流速成分が抑制され、排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回することを抑制することができ、洗浄水が排水ソケットから床下排水管へ偏った状態で流入すること防ぐことができる。また、洗浄水が、棚部の傾斜面の螺旋軌道に沿った傾斜により、棚部に滞留されにくく、スムーズに流出口に排出されることができる。
このように構成された本発明においては、排水ソケットの内周面に沿って旋回しながら流入する洗浄水が、排水ソケットの流出口部の中心軸線を中心とした螺旋軌道に沿って傾斜された棚部により、洗浄水の旋回方向の速度成分が抑制され、排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回することを抑制することができ、洗浄水が排水ソケットから床下排水管へ偏った状態で流入すること防ぐことができる。また、洗浄水が、棚部の排水ソケットの流出口部の中心軸線を中心とした螺旋軌道に沿った傾斜により、棚部に滞留されにくく、スムーズに流出口に排出されることができる。
このように構成された本発明においては、便器を洗浄した洗浄水が排水トラップ管路から排水されるピーク時に、排水ソケットの流入口部の中心軸線より後側領域に流れ込む洗浄水が増大した場合に、この後側領域に流れ込む洗浄水の、旋回方向の速度成分が抑制され、洗浄水が排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回することを抑制することができる。従って、洗浄水が排水ソケットから床下排水管へ偏った状態で流入すること防ぐことができる。
このように構成された本発明においては、排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回しながら流入する洗浄水が、その上面が連続した曲面により形成されている棚部により、洗浄水の旋回方向の流速成分が抑制され、排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回することを抑制することができ、洗浄水が排水ソケットから床下排水管へ偏った状態で流入すること防ぐことができる。また、洗浄水が、棚部の上面が連続した曲面により形成される傾斜を有しているので、棚部に滞留されにくく、スムーズに流出口部に排出されることができる。
このように構成された本発明においては、ガイド部材が排水ソケットの流出口部において、下方向へ延びるので、洗浄水を排水ソケットの流出口部の下流付近においてその流出口部の中央方向に導くことができ、洗浄水が排水ソケットから床下排水管の内周面へ偏った状態で流入することを防ぐことができる。
このように構成された本発明においては、ガイド部材がその下流端が内側且つ下方に向かって傾斜しているので、洗浄水を排水ソケットの流出口部の下流付近においてその流出口部の中央方向により確実に導くことができ、洗浄水が排水ソケットから床下排水管の内周面へ偏った状態で流入することをより確実に防ぐことができる。
図1は、本発明の一実施形態による洗い落し式便器において便座及び便蓋を省略した状態の側面断面図である。図1に示すように、本発明の一実施形態による洗い落し式便器1は、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す水洗大便器であり、陶器製の便器本体2と、この便器本体2の後部に取り付けられ、便器洗浄に使用される洗浄水を貯水して便器本体2へ給水する洗浄水源である重力給水式の貯水タンク4とを備えている。
なお、便器本体2へ洗浄水を供給する洗浄水源としては、本実施形態で示した重力給水式の貯水タンク4のようなタンク式のものに限定されず、水道水の給水圧を直接利用した水道直圧式のものや、フラッシュバルブ式のものや、ポンプの補圧を利用して洗浄水を供給するものであってもよい。
さらに、導水路8は、貯水タンク4の排水口4aに接続される入口部8aからボウル部6の背面側近傍まで延びる共通導水路8bと、この共通導水路8bのボウル部6の背面側近傍においてそれぞれ分岐するゼット導水路8c及びリム導水路8dを備えている。
また、リム導水路8dは、ボウル部6の背面側近傍で共通導水路8bから分岐し、便器本体2の前方側から見て左側に配置されているリム吐水口22まで延びており、共通導水路8bからリム導水路8dを経てリム吐水口22に導水された洗浄水は、リム吐水口22から吐水され、ボウル部棚部16上を流れて汚物受け面12を反時計回りに旋回する旋回流を形成し、凹部18内に流れ込むようになっている。
なお、リム部14については、リム吐水口22を設けるかわりに、リム導水路8dの下面の一部を開いた、いわゆる、「オープンリム」の形態であってもよいし、リム導水路8dの横断面を閉じた経路に設定して下方に開口した吐水孔を複数設けた、いわゆる、「ボックスリム」の形態であってもよい。
さらに、排水ソケット24の下方側(下流側)の流出口部24bには、床下排水管26が接続されており、この床下排水管26の管路26aは、排水ソケット24の流出口部24bに接続された上端部(床下排水管26の入口部)から下方に所定長さ延びた後、便器本体2の前側方向に屈曲する屈曲部26bを備えている。
図2は本発明の一実施形態による洗い落し式便器の排水ソケットの側面図であり、図3は本発明の一実施形態による洗い落し式便器の排水ソケットの側面断面図であり、図4は図2のIV−IV線に沿って見た断面図であり、図5は図4の断面を、便器本体の前方上方から見た斜視図であり、図6は本発明の一実施形態による洗い落し式便器の排水ソケットの上面図であり、図7は本発明の一実施形態による洗い落し式便器の排水ソケットの下面図であり、図8は本発明の一実施形態による洗い落し式便器の排水ソケットの棚部の上面の傾斜の様子を説明する図である。
図3において流出管路32bの中心軸線をA1により示し、流入管路32aの中心軸線をA2により示している。
また、排水ソケット24は、流入管路32aの下部において、その流入管路32aの流入管路内周面32cに沿って形成され、その流入管路32aの流入管路内周面32cに沿って旋回しようとする洗浄水を受ける棚部34を備えている。
より具体的には、棚部34の上面34aは、図5に示すように、便器本体2の前方の斜め上方から見て、螺旋形状に沿うような湾曲したスロープを形成し、図6に示すように、上面視で円の一部が流出管路32b側において欠けたような三日月形状を形成し、図3に示すように、その前後方向中央断面において後方から前方に向けて下り傾斜する傾斜面を形成し、図3及び図8等に示すように、流出口部24bの中心点C1から見て放射状に上昇するような傾斜面を形成している。このように、棚部34の上面34aは、旋回流の旋回方向の流れを抑制できるような滑らかに連続した曲面により形成されている。
前後方向においては、より詳細には、棚部34の上面34aは、排水ソケット24の流入管路32aの中心軸線A2と流出管路32bの中心軸線A1とを通る鉛直方向断面において、流出口部24bに向けて下り傾斜している。
左右方向においては、より詳細には、図4に示すように、棚部34の上面34aは、流出管路32bの中心軸線A1から中心軸線A2を見て反時計周り側の反時計周り側領域R1が時計周り側の時計周り側領域R2よりも高くなるような傾斜面を形成している。図4において、反時計周り側領域を仮想領域R1により例示し、時計周り側領域を仮想領域R2により例示している。
すなわち、本実施形態において、反時計周り側領域R1は、排水ソケット24が便器本体2に取り付けられた使用状態において、便器本体2の前方側(便器本体2のボウル部6が形成されている側)から見て中心軸線A2に対して左側領域であり、時計周り側領域R2は、前方から見て中心軸線A2に対して右側領域である。
なお、棚部34は、流入管路32aに別部材として取り付けられてもよいし、製造段階において流入管路32aと一部材として形成されてもよい。
例えば、排水トラップ管路10の流入管路32aの中心軸線A2が排水ソケット24の流出管路32bの中心軸線A1(及び床下排水管26の管路26aの中心軸線A1)よりも前側に位置する場合、又は、排水ソケット24の流出管路32bの中心軸線A1(及び床下排水管26の管路26aの中心軸線A1)が排水トラップ管路10の流入管路32aの中心軸線A2から見て便器の左右側にずれて配置される場合にも、棚部34の上面34aが、排水ソケット24の流出管路32bの中心軸線A1を中心とした螺旋軌道に沿って反時計回りに上昇するような傾斜面により形成されることができ、旋回流で便器を洗浄した洗浄水が排水ソケット24の管路32の内周面に沿って旋回することを確実に抑制することができ、洗浄水が床下排水管26の管路26a内の特定の領域へ偏った状態で流入すること防ぐことができる。
要するに、排水トラップ管路10の流入管路32aの中心軸線A2と排水ソケット24の流出管路32bの中心軸線A1(及び床下排水管26の管路26aの中心軸線A1)との互いの関係がどのような態様であっても、排水ソケット24に対する棚部34の上面34aの配置を適宜変更することにより、旋回流で便器を洗浄した洗浄水が排水ソケット24の管路32の内周面に沿って旋回することを確実に抑制することができる。
図7は、本発明の一実施形態による洗い落し式便器の排水ソケットから床下排水管に流れ込む排水の流れの様子を示す図であり、
ボウル部内において形成される旋回流の方向を矢印F1で示し、排水トラップ管路10内において形成される旋回流の方向を矢印F2及びF3で示し、排水ソケットの管路の内周面に沿って旋回しながら流入する旋回流の方向を矢印F4で示し、棚部34の上面34aに衝突した洗浄水の流れの方向を矢印F5で示している。
これによって、旋回流で便器を洗浄して排水トラップ管路10から排水ソケット24の流入管路32a内に流入した洗浄水が、排水ソケット24の流出管路32bの流出管路内周面32dに沿って旋回することが抑制される。
また、洗浄水が、棚部34が流出口部24bに向かう下り傾斜に形成されているので、棚部34に滞留されにくく、スムーズに流出口部24bに排出されることができる。
また、洗浄水が、棚部34の螺旋軌道Sに沿った傾斜により、棚部34に滞留されにくく、スムーズに流出口部24bに排出されることができる。
また、洗浄水が、棚部34の排水ソケット24の流出口部24bの中心軸線を中心とした螺旋軌道Sに沿った傾斜により、棚部34に滞留されにくく、スムーズに流出口部24bに排出されることができる。
また、洗浄水が、棚部34の上面34aが連続した曲面により形成される傾斜を有しているので、棚部34に滞留されにくく、スムーズに流出口部24bに排出されることができる。
具体的には、本発明の一実施形態による洗い落し式便器1の排水ソケット24の棚部34では、流出口部24bの中心点C1を頂点として、流出管路32bの中心軸線A1を中心とした螺旋軌道(螺旋を形成する巻き上がり線)Sに沿って反時計回り(左上がり)に上昇するような曲面により形成され、棚部34の上面34aが、流出管路32bの中心軸線A1から見て反時計周り側の反時計周り側領域(左側領域)R1が時計周り側の時計周り側領域(右側領域)R2よりも高くなるように傾斜面を形成している。
これに対し、他の実施形態では、棚部が、流出口部24bの中心点C1を頂点として、流出管路32bの中心軸線A1を中心とした螺旋軌道(螺旋を形成する巻き上がり線)に沿って時計回り(右上がり)に上昇するような曲面により形成され、棚部の上面が、流出管路32bの中心軸線A1から見て時計周り側の時計周り側領域(右側領域)R2が反時計周り側の反時計周り側領域(左側領域)R1よりも高くなるような傾斜面を形成することにより、時計回りの旋回流により便器を洗浄して排水ソケットに時計回りに旋回しながら流入した洗浄水の旋回方向の流速成分を抑制させることができ、且つ洗浄水を排水ソケットの流出管路32bの中央方向に導くことができる。したがって、洗浄水が排水ソケットから床下排水管26へ偏った状態で流入すること防ぐことができ、床下排水管26が屈曲部26bを有している場合に、排水ソケットから床下排水管26に偏って流入した洗浄水が床下排水管26の屈曲部26bをシールして負圧が発生することを防ぐことができ、洗い落し式便器の封水を引き込み封水水位が低下することを防ぐことができ、節水化することができる。
2 便器本体
6 ボウル部
10 排水トラップ管路
10b 上昇管路
10c 下降管路
12 汚物受け面
14 リム部
22 リム吐水口
24 排水ソケット
24a 流入口部
24b 流出口部
26 床下排水管
26b 屈曲部
32 管路
32a 流入管路
32b 流出管路
32c 流入管路内周面
32d 流出管路内周面
34 棚部
34a 上面
36 ガイド部材
A1 中心軸線
A2 中心軸線
C1 中心点
Claims (8)
- 水の落差による流水作用で汚物を押し流す洗い落し式便器であって、
ボウル形状の汚物受け面と、上縁に位置するリム部と、を備えたボウル部と、
このボウル部に洗浄水を吐水して旋回流を形成する吐水部と、
上記ボウル部の下方に入口が接続され、後方且つ上方へ延びる上昇管路と、この上昇管路と接続し且つ下方へと延びる下降管路と、を備えた排水トラップ管路と、
この排水トラップ管路の出口部と床下に設けられた床下排水管の入口部とを連結する管路を形成する排水ソケットと、を有し、
上記排水ソケットは、上記ボウル部で形成された旋回流が管路に流入し、この管路の内周面に沿って旋回しようとする洗浄水を受けるように、上記管路の内周面に沿って形成された棚部を備え、
上記棚部は、上記ボウル部で形成された旋回流が反時計周りの旋回流である場合、上記棚部の反時計周り側領域(R1)が時計周り側領域(R2)よりも高くなるように形成され、上記ボウル部で形成された旋回流が時計周りの旋回流である場合、上記棚部の時計周り側領域(R2)が反時計周り側領域(R1)よりも高くなるように形成されていることを特徴とする洗い落し式便器。 - 上記棚部は、上記排水ソケットの流入口部の中心軸線と上記排水ソケットの流出口部の中心軸線とを通る鉛直方向断面において、流出口部に向けて下り傾斜している請求項1記載の洗い落し式便器。
- 上記棚部は、螺旋軌道に沿って形成された傾斜面を備えている請求項1又は2に記載の洗い落し式便器。
- 上記棚部は、上記排水ソケットの流出口部の中心軸線を中心とした螺旋軌道に沿って傾斜面を形成している請求項1乃至3の何れか1項に記載の洗い落し式便器。
- 上記棚部は、上面視で、上記排水ソケットの流入口部の中心軸線より後側領域の全領域に設けられている請求項1乃至4の何れか1項に記載の洗い落し式便器。
- 上記棚部は、その上面が連続した曲面により形成されている請求項1乃至5の何れか1項に記載の洗い落し式便器。
- 上記排水ソケットは、その流出口部において、下方向へ延びるガイド部材を備えている請求項1乃至6の何れか1項に記載の洗い落し式便器。
- 上記ガイド部材は、その下流端が内側に向かって傾斜している請求項7記載の洗い落し式便器。
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