JP6101897B2 - 焼成体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板上に凹凸パターンを有する焼成体を製造する方法に関する。
携帯電話には、特定の周波数を通し、雑音となる周波数成分を除去するために、軽薄短小で高性能かつ安価である表面弾性波(SAW)フィルタが用いられている。特定の高周波信号だけを取り出すためには、線幅の短い電極が必用である。また、SAWフィルタに限らず電子部品に用いられる電極は、微細化に伴い、すなわち線幅が短くなるにつれて断線や短絡が生じやすくなり、かつ抵抗値が増大する。そこで、マイグレーションを抑制でき低抵抗率である材料の研究が進められ、材料としてAgCuなどが開発されている。また、ナノインプリントリソグラフィは凹凸パターンを有するモールドを材料に直接押圧するため、簡便かつ安価に微細加工を行うことができる技術である。非特許文献1、2に開示されているように、ナノインプリントリソグラフィは、金属に直接凹凸パターンを形成できることから、EUVリソグラフィーやEBリソグラフィーに較べて、レジストは不要となる利点がある。
特開2011−146661
H. Masuda et al., Appl. Phys. Lett., vol. 71, p2770-2772,1997 Seung H. Ko et al., Nano Lett., vol. 7,p1869-1877, 2007
上述したように金属を直接微細加工するためには、例えば、Alに硬度が高いSiC製モールドを約4.9×10Paで押圧する必要があり、直接モールドを押し込むため金属に欠陥が生じる問題がある。
そこで、ナノ粒子と有機物を含有するペースト(以下、「ナノ粒子ペースト」とも言う。)に対して直接モールドを押圧して、微細な凹凸パターンを転写した後、電気炉で焼成が行われている。
しかしながら、微細な凹凸パターンを有するナノ粒子ペーストを電気炉で焼成すると、焼成体に形成された凹凸パターンの表面(より詳しく言えば、表面自体の凸凹)が粗面化し、表面を緻密にすることが難しいという問題がある。
特許文献1に開示された焼成体の製造方法では、ナノインプリント装置で感光性金属有機物前駆体溶液を加熱してパターンを形成した後、焼成工程を含むことを特徴としており、パターン及び残留層の厚さを制御することができるとしている。従って、ナノインプリント装置を用いた加熱工程では有機物の除去はできておらず、ナノインプリント装置では、焼成体を作製するための焼成工程は行われていない。また、有機物の除去手段、熱膨張を考慮に入れていないため、加熱工程でモールド及び基板が破壊されるおそれもある。
本発明は、上記実情を考慮して創作されたものであり、焼成体に形成される凹凸パターンの表面が焼成時に粗面化するのを抑制し、表面をより緻密なものとすることの可能な焼成体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、基板上にナノ粒子、有機物が含有されたペーストを塗布して乾燥させることによりペースト膜を形成する塗布乾燥工程と、凹凸パターンが表面に設けられたモールドを前記ペースト膜に押圧することにより前記凹凸パターンが転写された転写膜を形成する押圧工程と、前記モールドを前記転写膜に密接させながら焼成することにより前記凹凸パターンが転写された焼成体を作製する焼成工程と、前記モールドが前記焼成体から離型される離型工程と、を含み、前記押圧工程は、その温度を、前記ナノ粒子の外側を構成する有機被覆の分解温度以下である20℃〜400℃の範囲内にするものであり、前記ペースト膜と前記基板と前記モールドの少なくとも一つには前記ペースト膜から発生するガスの排出路が形成された状態で行われ、前記焼成工程は、その焼成温度を、前記押圧工程よりも上昇する温度であって、前記ナノ粒子の外側を構成する前記有機被覆と前記有機物の分解温度以上、かつ融点降下現象が現れる前記ナノ粒子の内側を構成する核の焼結温度以上である100℃〜1500℃の範囲内にすると共に、前記転写膜と前記基板と前記モールドの少なくとも一つには前記転写膜から発生するガスの排出路が形成された状態とし、前記押圧工程よりも押圧力を減少させて前記モールドを前記転写膜に密接させながら焼成することを特徴とする焼成体の製造方法である。
また、前記焼成工程は、ナノインプリント装置の前記モールドの押圧力を0.0MPaに設定した状態で行われることが望ましい
更に、前記押圧工程及び前記焼成工程において、前記基板上に形成された前記ペースト膜及び前記転写膜には前記モールドの外周に通じる溝が形成されており、前記溝がガスの排出路となることが望ましい。
塗布乾燥工程で用いられるペーストに含有された全数のナノ粒子のうち少なくとも一つは、10nm以下であることが望ましい。
更に、前記塗布乾燥工程で用いられる前記ペーストに含有された前記ナノ粒子の内側を構成する核の材料は、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、カーボン(C)、酸素(O)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、砒素(As)、セレン(Se)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、テルリウム(Te)、バリウム(Ba)、ネオジム(Nd)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ハフ二ウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、金(Au)から選択されたいずれか一つまたは二つ以上からなる化合物であることが望ましい。
また、前記焼成工程の雰囲気は、大気、真空、水素(H2)、ヘリウム(He)、窒素(N2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)、アンモニア(NH3)から選択されたいずれかであることが望ましい。
本発明の焼成体の製造方法は、ナノ粒子と有機物が含有されたペーストを基板上に塗布乾燥させてペースト膜を形成し、このペースト膜に対して直接モールドを押圧して、凹凸パターンが転写された転写膜を作製した後、転写膜にモールドを押し当てながら焼成するため、有機物の蒸発及びナノ粒子(ナノ粒子の内側を構成する核)の凝集により生じる焼成体の表面の粗面化が抑制され、表面が緻密な焼成体を作製することが可能である。
また、本発明の焼成体の製造方法は、直接モールドを小さな圧力でペーストに押し込んで凹凸パターンを形成できるため、硬度の高いモールドは必用なく、かつ、モールドは繰り返して使用することができ、従来のフォトリソグラフィーやEBリソグラフィーに較べて、レジストは不要となり、凹凸パターンを形成する工程が著しく簡便化される効果がある。
更に、約10nm以下のナノ粒子は融点降下現象が顕著になるため、低温焼成で融解したナノ粒子が、ナノ粒子の接合剤の役割を果たす。すなわち、有機物の蒸発により生じた孔(ポア)を埋めるため緻密で低抵抗率な焼成体を作製できる。
また、凹凸パターンを有する焼成体を作製した後、エッチング工程を行うことにより、基板上に複数の焼成体を分離した状態で形成でき、電極あるいはマスクの機能を持たせることができる。
本発明の焼成体の製造方法を示す模式図である。 (a)(b)図は、本発明の焼成体の製造方法における焼成工程において、ペーストに残留している有機物から発生するガスを大気中に短時間で拡散させるために作製した溝の模式図である。 実施例で得られたAgCuナノ粒子ペーストの断面SEM観察結果である。 比較例6の室温転写による転写膜を電気炉で焼成した焼成体の鳥瞰SEM像である。 本発明の焼成体の製造方法による焼成体の鳥瞰SEM像である。 本発明の焼成体の製造方法による焼成体と、比較例1〜4のX線回折測定結果である。
以下、図面を参照して、本発明の焼成体の製造方法の実施形態について、詳細に説明する。
図1は、熱ナノインプリント装置(図示省略)が用いられた本発明の焼成体の製造方法を、模式的に示したものである。
0)準備工程。予め微細な凹凸パターンを有するモールド1を準備し、モールド1には離型剤を塗布しておく。
1)塗布乾燥工程。基板2の上に2種類のナノ粒子(ナノ粒子3、ナノ粒子4)、有機物5を含有するナノ粒子ペーストを薄く塗布して乾燥させる。これによって、ペースト膜6を形成する。
2)押圧工程。このペースト膜6とモールド1を加熱した上で、ペースト膜6に対してモールド1を所望の力で押圧することにより、ペースト膜6にモールド1の微細な凹凸パターンを転写し、転写膜7を形成する。より詳しくは、基板2を載せるナノインプリント装置のステージ、及びモールド1を取り付けるステージを加熱しながら、基板2側のステージに対してモールド1側のステージを相対的に接近させた上で、更に接近させようとする状態を保つことで、モールド1をペースト膜6に押し込み、転写膜7を形成する。
3)焼成工程。引き続き、ナノインプリント装置で転写膜7及びモールド1の押圧及び温度を制御することにより微細な凹凸パターンを有する焼成体8を作製する。
4)離型工程。焼成体8を冷却し、焼成体8の焼成温度以下で、焼成体8からモールド1を離型させる。
5)エッチング工程。基板2の上に焼成体8を作製した後、エッチングを行うことにより、基板2の上に複数の焼成体8を分離した形状で形成できる。
ナノ粒子3、4は、図2(a)に示すように、内側を構成する核9と、核9の外側を構成する(核9の表面に結合している)有機被覆10とから構成される。
そして、ナノ粒子3及びナノ粒子4の核9の材料としては、例えば、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、カーボン(C)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、砒素(As)、セレン(Se)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、テルリウム(Te)、バリウム(Ba)、ネオジム(Nd)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ハフ二ウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、金(Au)から選択されたいずれか一つまたは二つ以上からなる化合物が挙げられる。
焼成工程の雰囲気は、大気、真空、水素(H)、ヘリウム(He)、窒素(N)、酸素(O)、アルゴン(Ar)、アンモニア(NH)から選択されたいずれかである。また、押圧工程の雰囲気は、転写のし易い雰囲気が望ましい。但し、押圧工程と焼成工程で雰囲気を大幅に変えることは、製造時間の延長とコストの増加に繋がるので、両工程は同一雰囲気で行われることが好ましい。
塗布乾燥工程では、基板2の表面上に塗布したナノ粒子ペーストの乾燥温度は、ナノ粒子3及びナノ粒子4の核9を保護する有機被覆10の分解温度以下である20℃〜400℃とする。
押圧工程の温度は、ペースト膜6に含有されるナノ粒子3及びナノ粒子4の核9を保護する有機被覆10の分解温度以下である20℃〜400℃とすることで、ナノ粒子3及びナノ粒子4の凝集は抑制される。好ましくは、押圧工程の温度を100℃〜250℃として、押圧工程と焼成工程の温度差を小さくすることで、有機物5の残留量が少ない微細な凹凸パターンを有する転写膜7を形成して、押圧工程から焼成工程への温度上昇に伴うモールド1、基板2及び転写膜7の熱膨張による体積増加を小さくするのが良い。
ペースト膜6にモールド1を約50.0MPaで押圧して微細な凹凸パターンを形成させる。有機物5は、押圧工程における、ナノ粒子3及びナノ粒子4の流動性を向上させている。
焼成工程において、転写膜7に含有される有機物5(有機溶剤、分散剤、樹脂成分)及び有機被覆10の分解温度以上、かつ融点降下現象が現れる核9の焼結温度以上である100℃〜1500℃で焼成を行うことで、有機物5及び有機被覆10は分解する。このとき生じたH、C及びOなどの原子及びその化合物分子は、転写膜7あるいはモールド1及び基板2を構成する原子と衝突しながら、拡散して大気中に蒸発する。また、有機物5及び有機被覆10は、気相に相転移するため体積が大きくなる。
このような製造方法では、原子及びその化合物分子の平均自由行程が短いので、転写膜7から熱分解した有機物5及び有機被覆10を取り除くのには時間がかかり、かつモールド1及び基板2には熱膨張により大きな圧力が働くため破損する恐れがある。
そこで、図2に示すように焼成工程前(より詳しくは、押圧工程前)のペースト膜6に予め1つ以上の溝11を形成している。この溝11は、モールド1の外周に通じるものとし、ペースト膜6から発生するガスの排出路となる。すなわち、気相に相転移したガスは原子密度が低い溝11を経由して大気中に拡散するので、転写膜7に含有される有機物5及び有機被覆10が除去される時間を短縮できる。更に、転写膜7に残留する有機物5及び有機被覆10を減少することで、焼成工程における熱膨張は抑制されるため、短い焼成時間でナノ粒子3及びナノ粒子4の核9から形成される焼成体8を作製できる。好ましくは、離型剤の分解温度以下である200℃〜400℃で焼成を行い、ナノ粒子ペーストには融点降下現象が顕著となる10nm以下のナノ粒子3あるいはナノ粒子4を含有させて、焼成工程において融解していない核9の接合剤とさせるのが良い。すなわち、液相に相転移した核9は、有機物5及び有機被覆10の蒸発により生じたポアを埋めるため、緻密で低抵抗率な焼成体8を作製できる。更に好ましくは、10nm以下のナノ粒子3及びナノ粒子4だけで構成されるのが良い。
焼成工程において、転写膜7にモールド1を0.5MPa以下で密接させながら焼成することで、微細な凹凸パターンを有する焼成体8が形成され、凹凸パターンの表面の粗面化がナノメートルオーダ(1〜100nm)で抑制されたものとなる。
また、モールド1に付着する離型剤は、核9がモールド1に吸着するのを抑制させている。
離型工程において、焼成温度以下である20℃〜1500℃でモールド1を離型させることで、微細な凹凸パターンを有する焼成体8を作製できる。
本発明の実施例について説明する。ここで用いたAgCuナノ粒子ペーストは、スクリーン印刷用AgCuナノ粒子インク(大研化学工業製)と有機溶剤:α‐テルピネオールを混合することで得た。なお、スクリーン印刷用AgCuナノ粒子インクは、銀ナノ粒子:44〜50(wt%)(より詳しくは、銀:42〜48(wt%)、有機被覆:残余(wt%))、銅ナノ粒子:31〜35(wt%)(より詳しくは、銅:28〜32(wt%)、有機被覆:残余(wt%))、分散剤:2〜3(wt%)、樹脂成分:<1(wt%)、テルピネオール:11〜23(wt%)である。これら分散剤、樹脂成分、テルピネオールが有機物に相当する。
有機溶剤の混合により希釈されたAgCuナノ粒子ペーストをガラス基板上に滴下し、スピンコートした後、大気中70℃で乾燥を行った。
乾燥により形成されたペースト膜に対して、その中央部から放射状に1つの溝を形成し、ペースト膜を二つの小さな小ペースト膜に分離した。
引き続き、微細な凹凸パターンが表面に設けられたSi製のモールドを大気中100℃、約50.0MPaで10分間押圧することにより、微細な凹凸パターンが転写されたAgCuナノ粒子が含まれる転写膜を形成した。
モールドの押圧力を0.0MPaに設定して圧力を減少させた後、温度を上昇させて、350℃で30分間焼成した。焼成中、モールドが押圧する圧力値を目視していたところ、0.0MPaを中心に、圧力値が上下動した(最大値約0.5MPa)。これは、モールド、基板、転写膜が膨張することによるものと思われる。なお、0.0MPaに設定してあるということは、凹凸パターンが形成された転写膜にモールドを密接させながら焼成しているということに、他ならない。
その後、温度を50℃以下にした後、モールドを焼成体から離型し、ガラス基板上に焼成体を作製した。
(比較例)
なお、本発明の製造方法による焼成体と比較するために、比較例1〜5を作製した。
比較例1は、本発明の製造方法の塗布乾燥工程によって作製されたペースト膜(AgCuナノ粒子を含有する)である。
比較例2〜4は、比較例1の製造条件で得られたペースト膜を電気炉で大気中300℃、350℃、400℃の条件下で30分間焼成した焼成体である。
比較例5は、ペースト膜にモールドを室温、約50.0MPaで10分間押圧することにより形成した微細な凹凸パターンを有する転写膜(「室温転写による転写膜」という。)である。
比較例6は、比較例5の作製条件で得られた転写膜を電気炉で大気中350℃、30分間焼成した焼成体である。
図3(a)は、比較例5の室温転写による転写膜を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した断面図を示している。図3(a)の一部(白丸内の部分)を拡大させた図3(b)から、室温転写による転写膜は、その表面自体の凸凹がナノメートルオーダで緻密な構造を持つことが分かった。
図4は、比較例6の室温転写による転写膜を電気炉で焼成した焼成体の鳥瞰SEM像を示している。電気炉で焼成すると、焼成前よりも凹凸パターンの表面が粗くなり、凹凸パターンの凹溝の幅が広くなることが分かった。これは、微細な凹凸パターンを有する転写膜に残留する有機被覆及び有機物が蒸発して金属が凝集したためであると考えられる。
本発明の製造方法による焼成体の鳥瞰SEM像を図5に示す。熱ナノインプリント装置でモールドを押し当てながら作製した焼成体は、図4に示す比較例6の焼成体よりも、凹凸パターンの表面の粗面化が抑制され、凹凸のうち凸の側面及び底面が平坦な構造となることが明らかとなった。これは、焼成工程において、モールド、転写膜(金属及び気体(有機被覆及び有機物が分解後に浮上して残留))が熱膨張することで、転写膜の凹凸のうち凸の側面及び底面が加圧された状態で焼成が行われているためであると推測される。
更に、本発明の製造方法により作製された焼成体と、比較例1のペースト膜と、比較例2〜4の焼成体に対して、X線回折測定装置(ブルカーAXS社製D8DISCOVER with GADDS)で結晶構造解析を行った結果を図6に示す。比較例1のペースト膜の特性を示す図6中の(a)からは、Ag及びCuに由来するピークが観察された。一方、比較例2〜4の焼成体の特性を示す図6中の(b)−(e)からは、Cuのピークを観察できなくなるが、Agのピークは鋭くなり、焼成温度が300℃〜400℃の範囲でほとんど変化がないことが分かった。これは、ペースト膜を300℃以上で焼成することで、有機被覆が分解して酸化が促進されたことと、有機物が除去されたことを示唆している。また、本発明の製造方法により作製された焼成体の特性を示す図6(e)からは、結晶性については、比較例2〜4の焼成体とほぼ同程度であることが分かる。
なお、本発明は前記した実施例等に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能である。例えば、押圧工程や焼成工程で発生するガスの排出路は、ペースト膜に対して放射状に形成された溝によって構成してあったが、これに限らない。具体的には例えば、基板自体をモールドよりも小さくして、モールドに対して複数の基板を互いに間隔をあけて配置することにより、その間隔をガスの排出路とするものであっても良い。また、モールドについても同様である。
また、ナノ粒子ペーストは、ナノ粒子の内側を構成する核の材料、ナノ粒子の外側を構成する有機被覆、分散剤、樹脂成分及び有機溶剤のすべてを含有する必要はなく、例えば核の材料と有機溶剤だけであっても良い。更に、AgCuナノ粒子ペーストを大気中で焼成したが、酸化を抑制するためには窒素雰囲気で焼成を行えば良い。また、ガラス基板に焼成体を形成したが、SAWフィルタを作製するためにはLiTaO3あるいはLiNbO3等を基板として用いる。
1 モールド
2 基板
3 ナノ粒子
4 ナノ粒子
5 有機物
6 ペースト膜
7 転写膜
8 焼成体
9 核
10 有機被覆
11 溝

Claims (6)

  1. 基板上にナノ粒子、有機物が含有されたペーストを塗布して乾燥させることによりペースト膜を形成する塗布乾燥工程と、凹凸パターンが表面に設けられたモールドを前記ペースト膜に押圧することにより前記凹凸パターンが転写された転写膜を形成する押圧工程と、前記モールドを前記転写膜に密接させながら焼成することにより前記凹凸パターンが転写された焼成体を作製する焼成工程と、前記モールドが前記焼成体から離型される離型工程と、を含み、
    前記押圧工程は、その温度を、前記ナノ粒子の外側を構成する有機被覆の分解温度以下である20℃〜400℃の範囲内にするものであり、前記ペースト膜と前記基板と前記モールドの少なくとも一つには前記ペースト膜から発生するガスの排出路が形成された状態で行われ、
    前記焼成工程は、その焼成温度を、前記押圧工程よりも上昇する温度であって、前記ナノ粒子の外側を構成する前記有機被覆と前記有機物の分解温度以上、かつ融点降下現象が現れる前記ナノ粒子の内側を構成する核の焼結温度以上である100℃〜1500℃の範囲内にすると共に、前記転写膜と前記基板と前記モールドの少なくとも一つには前記転写膜から発生するガスの排出路が形成された状態とし、前記押圧工程よりも押圧力を減少させて前記モールドを前記転写膜に密接させながら焼成することを特徴とする焼成体の製造方法。
  2. 前記焼成工程は、ナノインプリント装置の前記モールドの押圧力を0.0MPaに設定した状態で行われることを特徴とする請求項1記載の焼成体の製造方法。
  3. 前記押圧工程及び前記焼成工程において、前記基板上に形成された前記ペースト膜及び前記転写膜には前記モールドの外周に通じる溝が形成されており、前記溝がガスの排出路となることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼成体の製造方法。
  4. 前記塗布乾燥工程で用いられる前記ペーストに含有された全数の前記ナノ粒子のうち少なくとも一つは、10nm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の焼成体の製造方法。
  5. 前記塗布乾燥工程で用いられる前記ペーストに含有された前記ナノ粒子の内側を構成する前記核の材料は、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、カーボン(C)、酸素(O)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、砒素(As)、セレン(Se)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、テルリウム(Te)、バリウム(Ba)、ネオジム(Nd)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ハフ二ウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、金(Au)から選択されたいずれか一つまたは二つ以上からなる化合物であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の焼成体の製造方法。
  6. 前記焼成工程の雰囲気は、大気、真空、水素(H)、ヘリウム(He)、窒素(N)、酸素(O)、アルゴン(Ar)、アンモニア(NH)から選択されたいずれかであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の焼成体の製造方法。
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