JP6100782B2 - 緑内障および高眼圧症を治療するための活性剤の徐放送達 - Google Patents

緑内障および高眼圧症を治療するための活性剤の徐放送達 Download PDF

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Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2011年8月29日に出願された米国仮特許出願第61/528,736号、および2012年5月8日に出願された米国仮特許出願第61/644,397号に基づく優先権を主張するものであり、これら各々の開示は全ての目的についてその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、一般的に、眼性疾患、特に緑内障を治療する方法に関する。
緑内障は、視神経損傷による進行性の視野損失により特徴付けられる障害群である。緑内障は米国における失明の最たる原因であり、60歳以上の人々の1〜2%において発症する。緑内障の発生に関連付けられる多くのリスク因子が存在するが(年齢、人種、近視、家族歴、および負傷)、眼内圧亢進(高眼圧症としても知られる)は、制御することが成功し緑内障視神経症の低減に相関が見られている唯一のリスク因子である。公衆衛生の数字によれば250万人のアメリカ人が高眼圧症を示していると見積もられる。
眼圧の上昇に関連する緑内障において、流出に対する抵抗性の源は線維柱帯網にある。線維柱帯網の組織は「房水」がシュレム管に入ることを可能にし、それはその後シュレム管の後壁にある房水回収路に、そして続いて房水静脈に、放出される。房水(aqueousあるいはaqueous humor)は、眼の前部の角膜と水晶体との間の領域を満たす透明な液体である。房水は水晶体周辺の毛様体によって常時分泌され、従って、毛様体から眼の前房への房水の継続的な流れが存在する。眼圧は、房水の産生と、線維柱帯網(主要経路)またはブドウ膜強膜流出(非主要経路)を通じたその排出との間のバランスにより決まる。線維柱帯網は、虹彩の外縁と角膜の内周辺との間に位置する。シュレム管に隣接する線維柱帯網の部分が、房水流出に対する抵抗性のほとんどを引き起こす(傍小管網)。
緑内障は大きく2つのカテゴリーに分類される。すなわち、閉塞隅角緑内障および開放隅角緑内障である。閉塞隅角緑内障は、虹彩と線維柱帯網の内表面との間の接触による前房隅角の閉鎖により引き起こされる。解剖学的隅角のこの閉鎖は、眼の前房からの房水の正常な排液を妨げる。開放隅角緑内障は、前房の隅角は開いたままであるが線維柱帯網を通した房水の排出が減少している緑内障である。開放隅角緑内障のほとんどの事例において、濾過の減少の正確な原因は知られていない。しかしながら、線維柱帯間隙の浮腫もしくは膨張(ステロイド剤使用によるもの)、異常色素分散、または、血管うっ滞を生じる甲状腺機能亢進症のような疾患を含み得る二次的開放隅角緑内障が存在する。
緑内障に関する全ての現行の療法は、眼内圧の低減に向けられたものである。これは、最初は、房水の産生を減少させるかまたは房水の流出を増加させる、液滴剤または丸剤を用いた医学療法によるものである。開放隅角緑内障に関する外科的療法は、レーザー(線維柱帯形成術)、線維柱帯切除術、および、線維柱帯切除術の失敗後または線維柱帯切除術の成功が期待できない場合の房水シャント移植からなる。線維柱帯切除術は最も広く使われる主要な手術であり、瘢痕を減少させ手術成功度を上昇させるために5-フルロウラシルまたはマイトマイシンCのような抗癌剤の局所適用により補強される。
緑内障および高眼圧症を治療する他の手段は、眼に薬剤を投与することが関わる。薬剤送達の従来方法は、眼の表面への局所的液滴適用である。局所的点眼剤は、有効ではあっても、非効率であり得る。例えば、点眼剤を眼に滴下した場合、しばしば結膜嚢(すなわち、眼と瞼との間のポケット)をいっぱいにしてしまい、眼瞼縁から溢れ頬へとこぼれることにより点眼剤のかなりの部分が失われる。さらに、眼表面に残った液滴の大部分は、涙小管の中へ、および涙小管を介して、洗い流され、そのことによって、薬剤が眼を治療できる前にその濃度が希釈され得る。さらに、多くの場合、局所適用された医薬は約2時間以内に眼性効果のピークを有し、その後に治療的有益性を維持させるためにはその医薬の追加適用を実施しなければならない。参照によりその全体が本明細書に組み入れられるPCT公報WO 06/014434(Lazar)は、点眼剤に関連するこれらおよびその他の問題に関連し得る。
眼的なマネジメントの困難さをさらに悪化させることに、患者らは、多くの場合、点眼剤を処方された通りに使用しない。少なくとも25%の服薬非遵守率が報告されている。この遵守率の乏しさは、不快感、および眼を護るための正常な反射行動によるものであり得る。それゆえに1滴以上の点眼剤が眼に入ることを逃れ得る。より高齢の患者は、関節炎、震え、および視力低下により、点眼剤を滴下することにさらなる問題を有し得る。小児科および精神医科の個体群もまた困難をはらんでいる。
涙管インプラント(Lacrimal implant)は、眼の涙点および付随する涙小管に挿入される装置であって、(ドライアイのような状態を防止するために)涙の排液を遮断させるか、または眼の中に放出させる一定量の薬剤を含有させるためのものである。
図1〜2は、眼100に付随する解剖学的組織構造の例示的な図を示している。示されている解剖学的組織構造のうちのいくつかが、本明細書で論じられる様々な涙管インプラントおよび方法を使用した処置に適し得る。眼100は、外部強膜102、中央部脈絡膜層104、および網膜内層106という3つの層を有する壁を含む、球状の構造である。強膜102は、より内部にある層を保護する堅い繊維性コーティングを含む。それはほとんどが白色であるが、ただし、角膜108として一般的に知られる前部領域だけは透明であり、この領域が眼100に光が入ることを可能にする。
脈絡膜層104は、強膜102の内側に位置しており、多数の血管を含んで、眼100の前部においては色素を有する虹彩110として改変されている。両凸レンズ112は瞳孔のすぐ後ろに位置している。レンズ112の後ろのチェンバー114は、ゼラチン状物質である硝子体液で満たされている。前房および後房116は、角膜108と虹彩110の間にそれぞれ位置しており、房水により満たされている。眼100の後部には光を検出する網膜106がある。
角膜108は、映像を眼100の後部に伝達する光学的に透明な組織である。それは血管組織を含み、そこに、涙液および房水への含浸を介して、ならびに、角膜108と強膜102との間の接合部を裏打ちする血管から、栄養分と酸素とが供給される。角膜108は、眼100への薬剤浸透のための経路を含む。
図2には、涙排液系(分泌系230、分配系、および排出系を含む)を含む、眼100に付随するその他の解剖学的組織構造が示されている。分泌系230は、まばたきと涙蒸発による温度変化とによって刺激される分泌細胞、および、遠心性副交感神経分布を有し物理的または感情的刺激に応答して涙を分泌する反射性分泌細胞を含む。分配系は、瞼202、および開いた目の瞼周縁の涙液メニスカスを含み、これがまばたきによって眼表面に涙を拡散させ、従って乾燥領域の発生を減少させる。
涙排液系の排出系は、流れの順序に従って、排水路、涙点、涙小管、涙嚢204、および涙管206を含む。涙およびその他の可流性物質は、涙管206から、鼻涙系の通過路へと排出される。涙小管には、上(上位)涙小管208および下(下位)涙小管210が含まれ、これらはそれぞれ上涙点212および下涙点214にて終結する。上涙点212および下涙点214は、結膜嚢218付近の毛様体と涙嚢部との接合部216にて、眼瞼縁の中央側末端からわずかに持ち上がっている。上涙点212および下涙点214は、概して丸いかまたはわずかに長円形である開口であり、結合性の組織環により囲まれている。涙点212および214の各々は、それぞれの小管の垂直部分220、222につながり、その後、小管湾曲250にてより水平になり、涙嚢204の入口において互いに接続する。小管208、210は形が概して管状であり、弾性組織に囲まれた重層扁平上皮により裏打ちされており、これによって小管が拡張することが可能となる。示されているように、各々の小管湾曲250の外縁付近に涙小管膨大部252が存在する。
多くの理由(例えば、従来の涙管インプラントのサイズ、形状、配置、および材料、ならびに涙点の大きさおよび形の多様性)により、インプラントを涙点および付随の涙小管に保持することには一貫性が得られてこなかった。涙管インプラントの使用者は、目をこすることによりうっかり涙管インプラントを外してしまい得る。さらに、涙管インプラントの構成によっては、例えば使用者がくしゃみをしたり過剰な涙を流したりした場合に勝手に外れてしまうものもある。
従って、これらの問題を解決し、様々な大きさの涙点について向上された保持を提供する涙管インプラントが望まれる。
典型的な実施態様において、本発明は、眼において眼内圧(IOP)を低減させる方法を提供する。典型的な実施態様において、本発明の方法は、2つのラタノプロスト溶出涙点インプラントを利用する。ラタノプロスト溶出涙点インプラントを使用して眼にラタノプロストを送達する従来の方法は、ばらつきがありかつ最小限度の成功しか得られていなかった。例えば、図16に示すように、単一のラタノプロスト溶出プラグが移植された眼においては、IOPの低減がごくわずかであり、かつ、3.5μgから95μgまでのラタノプロスト充填量の範囲にわたって実質的に同一であり、ラタノプロスト充填量のより大きいプラグではより多量のラタノプロストが送達されているにも関わらずIOPが減少していない。図17を参照。従って、眼の上涙点および下涙点の両方にラタノプロスト溶出涙点インプラントを持たせる本発明の方法が、約2週間後に統計学的に有意なIOPの低下を生じたことは、驚くべきことである。
典型的な実施態様において、本発明の方法は、2つの涙点プラグが移植される処置期間中、ベースラインから少なくとも約5 mm Hg、少なくとも約6 mm Hg、または少なくとも約7 mm HgのIOP低減を提供する。
様々な実施態様において、本発明の方法は、患者の眼の第1の涙点を通して第1の涙小管中に第1の涙管インプラントを移植することを含む。第1の涙管インプラントは、患者の眼に眼内圧低減治療剤を持続的に放出するよう構成されている。典型的な実施態様において、第1のインプラントは約46μgのラタノプロストを含有し、第2のインプラントは約95μgのラタノプロストを含有する。典型的な実施態様において、第1のインプラントは上涙点中に設置され、第2のインプラントは下涙点中に設置される。様々な実施態様において、インプラントの位置は逆にされる。
本発明の方法は、1つ以上の眼の複数の涙点に複数のインプラントを移植することを含み得る。従って、様々な実施態様において、本方法は、患者の眼の第2の涙点を通して第2の涙小管中に第2の涙管インプラントを移植することをも含み、この第2の涙管インプラントは、患者の眼に眼内圧低減治療剤を持続的に放出するよう構成されている。
様々な実施態様において、インプラントは、点眼剤形態における眼内圧低減治療剤の推奨1日総投与量以上である、第1の涙管インプラントと第2の涙管インプラントとの組合せからの眼内圧低減治療剤の合計量を、選定された時間に渡って持続的に眼に放出し、第1の涙管インプラントおよび第2の涙管インプラントの移植後少なくとも2週間の連続的な期間に渡って眼の眼内圧をベースラインから少なくとも5 mm Hg低減させるよう構成される。
典型的な実施態様において、本発明は、必要とする対象者の眼の眼内圧を低減させる方法を提供する。典型的な方法は、対象者の眼の第1の涙点を通して第1の涙小管中に第1の涙管インプラントを移植することを含む。第1の涙管インプラントは、患者の眼に眼内圧低減治療剤の治療的有効量を持続的に放出するよう構成される。様々な実施態様において、第2のインプラントが、第2の涙点または第2の眼に設置される。従って、上述した通りの方法であって、対象者の眼の第2の涙点を通して第2の涙小管中に第2の涙管インプラントを移植することをさらに含むものが提供される。第2の涙管インプラントは、患者の眼に眼内圧低減治療剤を持続的に放出するよう構成される。この方法は、1つ以上のインプラントが眼に設置された後、選択された時間に渡って、第1の涙管インプラントと第2の涙管インプラントとの組合せから眼内圧低減治療剤の合計量を持続的に眼に放出することも含む。放出される治療剤の合計量は眼内圧を低減させるために十分である。
インプラントは、あらゆる有用な形態、構造、または組成のものであり得る。典型的な実施態様において、インプラントは、第1軸を規定しその第1軸に第1末端を有する、第1部材を含む。インプラントはまた、第2軸を規定しその第2軸に第2末端を有する第2部材、および、第1部材の第1末端と第2部材の第2末端とを、第1角度にて接続して角度付き交差を形成する、第3部材を含み、この第3部材は、第3軸および第2角度により特徴付けられる穿孔を含む。一般的に、第1角度は第2軸に対する関係で第1軸によって規定され、第2角度は第3軸に対する関係で第1軸によって規定され、穿孔は、インプラントの挿入を促進するための挿入ツールが入れるように構成される。
少なくとも1つのインプラントを含むキットも提供される。典型的なキットは、対象者の眼の涙点に装置を移植することに使用する移植ツールと操作可能に係合される、1つ以上のインプラントを含む。
本明細書に記載される装置および方法は、取外し可能で、任意で薬剤放出性である、涙管インプラントを含み、このインプラントは、涙点を通して涙小管中に移植することができる。様々な実施態様において、本明細書に記載される涙管インプラントは、鼻涙管排液系の特徴を利用(例えば、涙小管の形状を模倣することにより)して、患者の快適度の改善および眼の解剖学的形態におけるインプラントの保持を提供する。このようにして、本明細書に記載される典型的な涙管インプラントは、現在のインプラントに付随する欠点を克服する。本明細書に記載される涙管インプラントは、涙点または付随する涙小管を大きく片寄らせることなく容易に移植され取り外され、移植後は涙小管中に確実に保持され、任意で、特定の涙点または涙小管の直径に事前にサイズ合わせをすることが省かれる。様々な実施態様において、インプラントは薬剤送達システムであり、長期間に渡って所望の治療レベルにおいて1つ以上の薬剤その他の治療剤の持続的局所的放出を提供する。
典型的実施態様において、本発明は、涙小管に挿入するためのインプラントを提供する。典型的なインプラントは、第1軸を規定しその第1軸に第1末端を有する、第1部材を含む。インプラントはまた、第2軸を規定しその第2軸に第2末端を有する、第2部材を含む。インプラントはさらに、第1部材の第1末端と第2部材の第2末端とを、第1角度にて接続して角度付き交差を形成する、第3部材を含む。この第3部材は、第3軸および第2角度により特徴付けられる穿孔を含む。穿孔は、インプラントの挿入を促進するための挿入ツールが入れるように構成される。様々な実施態様において、第1角度は第2軸に対する関係で第1軸によって規定され、第2角度は第3軸に対する関係で第1軸によって規定される。
様々な実施態様において、本発明は、本発明のインプラント、およびそのインプラントを涙点に挿入するための挿入ツールを有する、キットを含む。
1つ以上の涙点インプラントを使用して眼疾患を治療する方法も提供される。
本明細書に開示される方法のこれらおよびその他の実施態様、利点、および側面は、部分的に、以下の詳細な説明に記載される。
図面では、複数の図面を通じて同様である構成要素は同様の番号で記載する。同様の番号であって異なる接尾文字を有するものは、同様の構成要素の異なる例を表す。これらの図面は、本明細書に開示される様々な実施態様を、限定としてではなく例示として、一般的に説明するものである。
図1は、眼に付随する解剖学的組織構造の例を図示しており、これらの組織構造のいくつかは、涙管インプラントを使用できる適切な環境を提供する。
図2は、眼に付随する解剖学的組織構造の別の例を図示しており、これらの組織構造のいくつかは、涙管インプラントを使用できる適切な環境を提供する。
図3Aは、本発明の一実施態様によるインプラントの斜視図を提示する。
図3Bは、本発明の一実施態様によるインプラントの側面図である。
図3Cは、本発明の一実施態様によるインプラントの第2部材および第3部材を示す側面図である。
図3Dは、本発明の一実施態様によるインプラントの背面図である。
図3Eは、図3Dの線III(E)-III(E)についての断面図であり、本発明の一実施態様による穿孔を有するインプラントを描写している。
図3Fは、図3Eの円III(F)についての部分的拡大図であり、本発明の一実施態様によるインプラントの第2部材、第3部材、および、第3部材に形成された穿孔を描写している。
図4Aは、本発明の一実施態様によるインプラントの斜視図を提示する。
図4Bは、本発明の一実施態様による、第2部材に形成された空洞を有するインプラントを描写する断面図である。
図4Cは、図4Bの円IV(C)についての部分的拡大図であり、本発明の一実施態様によるインプラントの、第2部材における空洞および第3部材における穿孔を描写している。
図5は、本発明の一実施態様によるインプラントの部分的断面図を提示する。
図6は、本発明の別の実施態様によるインプラントの部分的断面図を提示する。
図7は、本発明の一実施態様によるインプラントと挿入ツールの係合を描写する。
図8Aは、本発明の様々な実施態様による様々な典型的インプラントについての初期保持データを提示する。
図8Bは、本発明の様々な実施態様による様々な典型的インプラントの1日間保持データを列記している。
図8Cは、本発明の様々な実施態様による様々な典型的インプラントの1週間保持データを列記している。
図8Dは、本発明の様々な実施態様による様々な典型的インプラントの2週間保持データを列記している。
図8Eは、本発明の様々な実施態様による様々な典型的インプラントの4週間保持データを列記している。
図8Fは、本発明の様々な実施態様による様々な典型的インプラントの8週間保持データを列記している。
図8Gは、本発明の様々な実施態様による様々な典型的インプラントの12週間保持データを列記している。
図9は、本発明のインプラント(下涙点)と市販のインプラント(上涙点)の保持率を比較したプロットである。この2個のインプラントは患者の同じ眼に移植されている。
図10Aは、本明細書における比較研究のために使用された市販インプラントの側面図を示す。
図10Bは、本明細書における比較研究のために使用された市販インプラントの平面図を示す。
図10Cは、図10Aの線A-Aについての断面図であり、本明細書における比較研究のための市販インプラントにおいて形成されている改変空洞を示している。を示す。
図10Dは、図10Cの円Bについての部分的拡大図であり、本明細書における比較研究のための市販インプラントの改変空洞の開口部における唇状構造を示す。
図11は、本明細書における比較研究のベースライン人口統計を提示する。
図12は、本発明の様々な実施態様による様々な典型的インプラントの4週間保持データを列記している。
図13は、本発明の一実施態様による徐放眼薬送達システムを用いた4週間に渡る処置のあいだの、ベースラインからの平均眼内圧(IOP)変化を示す。
図14は、本発明の一実施態様による徐放眼薬送達システムを用いた4週間に渡る処置のあいだにベースラインからカテゴリー別の絶対的眼内圧(IOP)低下を達成した被検者のパーセンテージを示す。
図15は、本発明の一実施態様による徐放眼薬送達システムを用いた4週間に渡る処置のあいだの、IOPのベースラインからのパーセント変化を示す。
図16は、単一の涙点インプラントからラタノプロストを投与した場合における眼内圧低下の用量依存性の欠如を示す。
図17は、図16の涙点インプラントにより送達されたラタノプロストの投与量を示す。
本発明の典型的な一実施態様において、必要とする患者の眼における眼内圧を低減させるための方法が提供される。この方法は、眼に移植された装置から、徐放的態様において、眼内圧低減治療剤を放出することを含む。本発明の方法は、ヒトにおける使用および獣医学的使用の両方に適用可能である。
典型的な一実施態様において、本発明は、眼における眼内圧(IOP)を低減させる方法を提供する。典型的な一実施態様において、本発明の方法は、2個のラタノプロスト溶出涙点インプラントを利用する。ラタノプロスト溶出涙点インプラントを使用して眼にラタノプロストを送達する従来の方法は、ばらつきがありかつ最小限度の成功しか得られていなかった。例えば、図16に示すように、単一のラタノプロスト溶出プラグが移植された眼においては、IOPの低減が、ごくわずかであり、かつ、3.5μgから95μgまでのラタノプロスト充填量の範囲にわたって実質的に同一であり、ラタノプロスト充填量のより大きいプラグではより多量のラタノプロストが送達されているにも関わらずIOPが減少していない。図17を参照。従って、眼の上涙点および下涙点の両方にラタノプロスト溶出涙点インプラントを持たせる本発明の方法が、約2週間後に統計学的に有意なIOPの低下を生じたことは、驚くべきことである。
典型的な実施態様において、本発明の方法は、2つの涙点プラグが移植される処置期間中、ベースラインから少なくとも約5 mm Hg、少なくとも約6 mm Hg、または少なくとも約7 mm HgのIOP低減を提供する。
本明細書ではさらに、本発明の方法において使用する眼インプラントの典型的構造であって、様々な疾患および障害を治療するためのものが開示される。典型的な構造としては、涙点を通して、涙点に付随する涙小管に少なくとも部分的に挿入するための、涙管インプラントが含まれる。様々な実施態様はさらに、涙点中に涙管インプラントを設置するための挿入ツールを提供する。本明細書ではさらに、装置全体に、装置の1つ以上の区域に、または治療剤コア(例えば局所的治療剤コア)に組み込まれた治療剤を含む、典型的インプラントが開示される。本発明の装置は、様々な疾患を治療することに使用される。
本発明の方法の様々な実施態様では、涙点を通して、涙点に付随する涙小管に本発明の涙管インプラントを移植することは、そこを通る涙流を抑制または遮断する。様々な実施態様において、涙流を抑制または遮断する装置は、ドライアイを治療することに使用される。典型的な一実施態様において、涙管インプラントの挿入は治療剤の送達を可能にする。様々な実施態様において、この送達は持続的な送達である。本発明のインプラントに組み込まれる典型的な治療剤は、眼を治療することに使用するものであるか、あるいは、より広く全身的な療法に使用するものでもあり得る。例えば、本発明の装置を使用して、治療剤を、鼻孔に、内耳系に、またはその他の通過路もしくは系に、様々な疾患の治療のために送達することができ、その疾患としては、眼感染、眼炎、緑内障、その他の眼性疾患、その他の眼性障害、副鼻腔障害もしくはアレルギー障害、眩暈、または偏頭痛が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の装置は、1つ以上の治療剤を治療的有効性を有する量において全身送達することに使用される。
当業者は、以下の本発明の詳細な説明が、説明のためのものにすぎず、決して限定的であることを意図するものではないことを理解するであろう。本発明の他の実施態様は、この開示を参照した当業者には容易に明らかになるであろう。ここで、添付の図面に示された本発明の実施態様を詳細に述べていく。各図面および以下の詳細な説明を通して、同一または同様の部分を指すために同じ参照記号が使用される。
[定義]
本明細書で使用される場合、「a」または「an」という語は、特許文献では一般的なように、「少なくとも1つ」あるいは「1つ以上」という他の例または用法とは独立して、1つまたは複数を包含して用いられる。
本明細書で使用される場合、「または」という語は非排他的な「または」を表して用いられ、従って「AまたはB」は、特に示されない限り、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、ならびに「AおよびB」を包含する。
本明細書で使用される場合、「約」という語は、言及された量とおおよそ等しい、ほぼ等しい、ほとんど等しい、もしくは等しいに近い、またはその量と等しい量を表し、例えば、言及された量プラスマイナス約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%を表す。
本明細書で使用される場合、「軸」とは、部材が延在する全般的な方向を表す。この定義によれば、その部材は、軸に関して完全にあるいは部分的に対称的である必要はなく、軸の方向に沿って真っ直ぐである必要もない。従って、この定義による文脈において、本出願で開示され軸で特徴付けられるあらゆる部材は、対称的または真っ直ぐである構造に限定されない。
本明細書において、「近位」という用語は眼の角膜に相対的に近い位置を表し、「遠位」という用語は角膜から相対的に遠く涙小管中により深く挿入された位置を表す。
添付の特許請求の範囲において、「including(含む)」および「in which(そこでは)」という用語が、対応する用語である「comprising」および「wherein」の平易英語相当語句として使用される。また、下記特許請求の範囲において、「including」および「comprising」という用語はオープンエンド的であり、すなわち、特許請求の範囲において、そのような用語の後に記載されたものの他に追加的に要素を含むシステム、複合体、装置、物品、または方法であっても、やはりその特許請求の範囲に含まれるものと考える。さらに、下記特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」等の用語は、標識としてのみ使用されるものであって、それらの対象物に数的な要件を課すことを意図するものではない。
本明細書で使用される場合、「有害事象」という用語は、臨床試験であるかあるいは臨床診療であるかに関わらず、治療的処置(薬剤および/または医療装置を含む)を受けている患者が経験するあらゆる望ましくない臨床的事象を表す。有害事象には、患者の健康または安寧に有害な作用を有するかまたは有し得る、患者状態または検査結果における変化が含まれる。例えば、有害事象として、設置前に見出される装置不調、装置位置異常、設置後の装置不調、持続的炎症、眼内炎、角膜合併症(角膜浮腫、不透明化、または、移植代償不全)、慢性痛、虹彩色素変化、結膜充血、睫毛成長(睫毛の長さ、太さ、色素、および数の増加)、眼瞼皮膚黒化、眼内炎症(虹彩炎/ブドウ膜炎)、嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、かすみ目、ヒリヒリ感およびチクチク感、異物感、かゆみ、涙点上皮角膜症、ドライアイ、過剰な涙、眼痛、瞼硬化、瞼の不快感/痛み、瞼浮腫、瞼紅斑、羞明、VA減少、結膜炎、二重視、めやに、網膜動脈塞栓、網膜剥離、糖尿病性網膜症による硝子体出血、上気道感染/感冒/流感、胸部痛/狭心症、筋肉/関節/背部の痛み、ならびに発疹/アレルギー性皮膚反応、眼そう痒、流涙の増加、眼充血、および点状角膜炎が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な一実施態様において、本発明の装置および方法の使用は、点眼剤形態の治療剤の使用(例えば、治療剤を、本明細書記載の装置による送達と実質的に同じユニット投与量の液滴として投与する場合)で生じるものと比べて、次のうちの1つ以上をもたらす:(i)有害事象の発生数の減少;または(ii)有害事象の重症度の低下。
本明細書で使用される場合、「〜から本質的になる」という語句は、組成物を、特定された物質または工程、およびその組成物の基本的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響しない追加的な不特定成分に限定する。
本明細書で使用される場合、「連続的」または「連続的に」という用語は、本質的に途切れていない、または中断されていないことを意味する。例えば、連続的に投与される活性剤は、本質的に中断されることなく一定期間に渡って投与される。
本明細書で使用される場合、「直径」という用語は広い意味を包含する。例えば、円形の断面を有する部材に関しては、「直径」という用語は通常の意味を有し、円の中心を通って外周上の2点を接続する直線を表す。断面が円形でない場合は、本開示における「直径」という用語は、その断面の特性直径を表す。「特性直径」とは、その要素の断面と同じ表面積を有する円の直径を表す。本出願において、「直径」は「特性直径」と互換される。
本明細書で使用される場合、「眼」という用語は、眼に付随するあらゆる全ての解剖学的組織および構造を表す。眼は、球状の構造であり、外部強膜、中央部脈絡膜層、および網膜内層という3つの層を有する壁を有する。強膜は、より内部にある層を保護する堅い繊維性コーティングを含む。それは、前部にある透明な領域すなわち角膜以外はほとんどが白色であり、角膜は眼に光が入ることを可能にする。脈絡膜層は、強膜の内側に位置しており、多数の血管を含んで、眼の前部においては色素を有する虹彩として改変されている。両凸レンズは瞳孔のすぐ後ろに位置している。レンズの後ろのチェンバーは、ゼラチン状物質である硝子体液で満たされている。前房および後房は、角膜と虹彩の間にそれぞれ位置しており、房水により満たされている。眼の後部には光を検出する網膜がある。角膜は、映像を眼の後部に伝達する光学的に透明な組織である。それは無血管組織を含み、そこに、涙液および房水への含浸を介して、ならびに、角膜と強膜との間の接合部を裏打ちする血管から、栄養分と酸素とが供給される。角膜は、眼への薬剤浸透のための一経路を含む。眼に付随する他の解剖学的組織構造としては、涙排液系が含まれ、これは分泌系、分配系、および排出系を含む。分泌系は、まばたきと涙蒸発による温度変化とによって刺激される分泌細胞、および、遠心性副交感神経分布を有し物理的または感情的刺激に応答して涙を分泌する反射性分泌細胞を含む。分配系は、瞼、および開いた目の瞼周縁の涙液メニスカスを含み、これがまばたきによって眼表面に涙を拡散させ、従って乾燥領域の発生を低減させる。
本明細書で使用される場合、「インプラント」という用語は、薬剤を含有または含浸する(例えば、本特許文献、および参照によりその全体が本明細書に組み入れられるWO 07/115,261に開示されているもののような、薬剤コアまたは薬剤マトリックスを介して)ように構成することができる構造体であって、患者の涙液の通路沿いの標的位置に移植された場合に、持続的な放出期間に渡って、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)のような活性剤の一定量を涙液に放出する能力を有するものを表す。「インプラント」、「プラグ」、「涙点プラグ」、および「涙点インプラント」という用語は、本明細書において類似の構造体を表すことが意図される。同様に、「インプラント体」および「プラグ体」という用語は本明細書において類似の構造体を表すことが意図される。本明細書に記述されるインプラントは、対象者の涙点中に、あるいは、涙点を通して涙小管中に、挿入され得る。インプラントはまた、薬剤コアまたは薬剤マトリックスそのものであってもよく、これは、涙点インプラント遮断体のような担体に収容されることなく涙点に挿入されるよう構成されており、例えば、ポリマー成分およびラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)成分を有して、これらの成分を囲む追加的な構造を有さない。
本明細書の典型的実施態様において使用される場合、「有効性の減少(LoE)」とは、第0日目から連続的にラタノプロスト涙点プラグ送達システム(L-PPDS)を装着するあいだ、片目または両目においてIOPがベースライン(洗い流し後)IOPまで上昇することとして定義される。対象者らはLoEにより調査を完了する前に少なくとも4週間経過観察され、LoE は2回の連続した訪問において確認された。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される媒体」とは、薬学組成物を製剤することに有用な、当業者に知られるあらゆる生理的に許容される媒体である。適切な媒体としては、ポリマー性マトリックス、無菌蒸留水または精製水、等張性塩化ナトリウム溶液またはホウ酸溶液のような等張性溶液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、プロピレングリコール、およびブチレングリコールが挙げられる。その他の適切な媒体成分としては、硝酸フェニル水銀、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびリン酸一ナトリウムが挙げられる。その他の適切な媒体成分のさらなる例としては、アルコール、脂肪および油、ポリマー、界面活性剤、脂肪酸、シリコーンオイル、湿潤剤、保水剤、粘度調整剤、乳化剤、および安定化剤が含まれる。組成物はまた、補助的物質、すなわち、クロロブタノール、パラバン、または有機水銀化合物のような抗微生物剤;水酸化ナトリウム、塩酸、または硫酸のようなpH調節剤;およびメチルセルロースのような増粘剤をも含有し得る。典型的な最終組成物は無菌であり、実質的に異物粒子を含んでおらず、薬剤安定の至適化のために望ましいpHとのバランスで患者の快適性および忍容性を可能とするpHを有する。典型的な「薬学的に許容される媒体」は、「眼科的に許容される媒体」であり、本明細書で使用される場合、上記化合物に対して非反応性であって患者への投与に適した、あらゆる物質または複数物質の組合せを表す。典型的な一実施態様において、媒体は、患者の眼への局所適用に適した水性媒体である。様々な実施態様において、媒体は、本発明の眼科組成物において使用することが望まれ得るその他の成分(抗微生物剤、保存剤、共溶媒、界面活性剤、および増粘剤を含む)をさらに含む。
様々な実施態様において、「薬学的に許容される媒体」は、1つ以上の治療剤を含む。
本明細書で使用される場合、「涙点」という用語は、眼瞼の縁上の涙小管の外側末端において見出される、涙小管の終端の開口部を表す。涙点(puncta;punctumの複数形)は、涙腺により産生される涙を再吸収して機能する。涙排液系の排出部分は、排液の流れの順序に従って、涙点、涙小管、涙嚢、および涙管を含む。涙およびその他の可流性物質は、涙管から、鼻系の通過路へと排出される。涙小管には、上(上位)涙小管および下(下位)涙小管が含まれ、これらはそれぞれ上涙点および下涙点にて終結する。上涙点および下涙点は、結膜嚢付近の毛様体と涙嚢部との接合部にて、眼瞼縁の中央側末端からわずかに持ち上がっている。上涙点および下涙点は、概して丸いかまたはわずかに長円形である開口であり、結合性の組織環により囲まれている。各々の涙点は、それぞれの小管の垂直部分につながり、その後、小管湾曲にてより水平になり、涙嚢の入口において互いに接続する。小管は形が概して管状であり、弾性組織に囲まれた重層扁平上皮により裏打ちされており、これによって小管が拡張することが可能となる。
「対象者」および「患者」という用語は、例えば哺乳類のような動物を表し、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等を含むが、これらに限定されない。多くの実施態様において、対象者または患者はヒトである。
「眼内圧低減治療剤」は、薬剤を含み得、以下のもののいずれかまたはその等価物、誘導体、もしくは類似体であり得る:抗緑内障医薬(例えば、アドレナリン作動薬、アドレナリン拮抗薬(ベータ遮断薬)、炭酸脱水酵素阻害薬(CAI、全身性および局所性))、例えばプロスタグランジン、抗プロスタグランジン剤、プロスタグランジン前駆体のような治療剤(複数可)、例えばチモロール、ベタキソロール、レボブノロール、アテノロールのようなベータ遮断剤を含む抗緑内障薬剤(米国特許第4,952,581号参照);例えばアプラクロニジンまたはブリモニジンのようなクロニジン誘導体を含むアドレナリン作動薬(米国特許第5,811,443号参照);ならびに、例えばビマトプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト、ラタノプロスト等のようなプロスタグランジン類似体。典型的な一実施態様において、治療剤は、緑内障用に既に商品化されているものであり、その市販の調製物を使用することができる。さらなる治療剤としては、例えばアセタゾラミド、ドルゾラミド、ブリンゾラミド、メタゾラミド、ジクロフェナミド、ダイアモックス等のような炭酸脱水酵素阻害剤が挙げられる。
「局所的」という用語は、身体組織または器官のあらゆる表面を表す。局所的製剤とは、身体表面(例えば眼)に適用されてその表面または器官を処置するものである。本明細書で使用される局所的製剤は、治療剤を涙中に放出して眼への局所投与をもたらすことができる製剤も含む。
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語、または状態、疾患、障害、損傷、または異常の「治療」という用語は、(1)状態、疾患、障害、損傷、もしくは異常を有しているかもしくは有しやすい状態であり得るが、まだその状態、疾患、障害、損傷、もしくは異常の臨床的もしくは準臨床的な症状を経験もしくは表出していない哺乳類において、発生する状態、疾患、障害、損傷、もしくは異常の臨床的症状の発現を防止もしくは遅延すること、(2)状態、疾患、障害、損傷、もしくは異常を抑制すること、すなわち、疾患の発生、もしくはその臨床的もしくは準臨床的な少なくとも1つの症状を、抑止もしくは低減させること、または、(3)状態、疾患、障害、損傷、もしくは異常を軽減すること、すなわち、状態、疾患、障害、損傷、もしくは異常またはその臨床的もしくは準臨床的な少なくとも1つの症状の退縮を引き起こさせること、のうちの1つ以上を意味するものと理解される。典型的な一実施態様において、本発明は、緑内障または高眼圧症を治療する方法であって、眼圧を低下させ、低下したレベルの圧力を持続的な期間(例えば少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12週間)に渡って維持するために、眼内圧低減有効量の組成物を眼と接触させることを含む方法を提供する。
「送達する」という用語は、本明細書で使用される場合、薬学的活性剤の治療的有効量を、宿主内の特定の位置に提供し、その特定位置において薬学的活性剤の治療的有効濃度を生じさせることを意味するものと理解される。
本明細書で使用される場合、「直径」という用語は広い意味を包含する。例えば、円形の断面を有する部材に関しては、「直径」という用語は通常の意味を有し、円の中心を通って外周上の2点を接続する直線を表す。断面が円形でない場合は、本開示における「直径」という用語は、その断面の特性直径を表す。「特性直径」とは、その要素の断面と同じ表面積を有する円の直径を表す。本出願において、「直径」は「特性直径」と互換される。
本発明のいくつかの実施態様は、糖尿病性網膜症、ブドウ膜炎、眼内炎症、角膜炎、ドライアイ、黄斑浮腫(嚢胞様黄斑浮腫を含む)、感染症、黄斑変性症、かすみ目、疱疹性結膜炎、眼瞼炎、網膜または脈絡膜の新生血管形成、およびその他の増殖性眼疾患の治療のための、ラタノプロストまたは別の活性剤(複数可)の使用を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、上記疾患の治療のための抗緑内障薬の使用を提供する。いくつかの実施態様では、上記疾患の治療のためのプロスタグランジンまたはプロスタグランジン類似体の使用が提供される。
「プロスタグランジン誘導体」とは、本明細書で使用される場合、20個の炭素原子を有し5員炭素環を有する基本的なプロスタグランジン構造を有する化合物を表す。本発明で使用される典型的なプロスタグランジン誘導体は、PGI2、PGE2、およびPGF2α型のものである。この構造は、官能基(例えばHO、カルボニル、エーテル、エステル、カルボン酸、ハライド)を組み入れるかもしくは取り除くことによって、または、炭素原子に基づくラジカル(Me、Et、i-Pr等)を追加することによって、増強することができる。例えば米国特許第7,910,767号を参照。いくつかの実施態様において、プロスタグランジン誘導体は、PGA、PGB、PGD、PGE、およびPGFの誘導体であり、これらは、環構造を含む共通特徴を有しながらオメガ鎖が修飾されたものである。米国特許第5,296,504号を参照。本発明で使用されるプロスタグランジン誘導体は、新規に合成されるか、または、天然プロスタグランジンの改変に由来するものである。
[涙管インプラント]
図3〜6は、本発明の方法に使用される涙管インプラントの典型的な実施態様を示す。典型的なインプラントは、涙点212、214を通して、それに付随する涙小管208、210に挿入することができる。本発明において使用される典型的な涙管インプラントは、第1部材、第2部材、およびヒール部を含み、例えば、図3Aに描かれている第1部材305、第2部材310、および第3部材あるいはヒール部330を含む。典型的な涙管インプラントは、ヒール部に形成される穿孔をさらに含み、例えば、図3Aの第3部材あるいはヒール部330において形成されている穿孔385を含む。いくつかの実施態様において、典型的な涙管インプラントは、空洞458をさらに含む(例えば図4Aに示されている涙管インプラント)。
図3Aを参照すると、本方法において使用される典型的な涙管インプラント300の斜視図が描かれており、第1部材305は第1の軸Aにより特徴付けられ、第2部材310は第2の軸Bにより特徴付けられる。
第3部材あるいはヒール部330は、第1部材305と第2部材310とを、第1の角度θ1にて接続するよう構成されており、θ1は、第2の軸Bとの関係において第1の軸Aにより規定される。例えば、図3Aにおいて、第1の角度θ1は、第1の軸Aを基準にしてそこから第2の軸Bに反時計回りに転じた角度を表す。いくつかの実施態様では、第1の軸Aおよび第2の軸Bは同じ平面上にあって互いに交差する。いくつかの実施態様では、第1の軸Aは第2の軸Bの平面とは異なる平面上にあり、第1の軸Aおよび第2の軸Bは交差しない。そのような実施態様では、第1の角度θ1は、第2の軸Bとの関係において、第1の軸Aの平行線により規定される角度を表す。この第1の軸Aの平行線は、第2の軸と同じ平面にあり、第2の軸と交差する。
いくつかの実施態様において、第1の角度θ1は、約30度〜約150度、約45度〜約135度、または約75度〜約105度である。例えば、いくつかの実施態様において、第1の角度θ1は約90度である。
いくつかの実施態様において、インプラントの第1軸に沿った全体的寸法は、約4 mm〜約8 mmである。典型的な一実施態様において、第1軸に沿った全体的寸法は、約5 mm〜約7 mmである。様々な実施態様において、第1軸に沿った全体的寸法は、約6.3 mmである。
様々な実施態様において、第2軸Bに沿った全体的寸法は、約1 mm〜約3 mmであり、例えば約1.2 mm〜約1.9 mmである。
いくつかの実施態様では、第1軸に沿った全体的寸法は約6.3 mmであって、第2軸に沿った全体的寸法は約1.2 mmである。様々な実施態様において、第1軸に沿った全体的寸法は約6.3 mmであって、第2軸に沿った全体的寸法は約1.9 mmである。いくつかの実施態様では、第1軸に沿った全体的寸法は約4.8 mmであって、第2軸に沿った全体的寸法は約1.9 mmである。
[第1部材305]
いくつかの実施態様では、第1部材305は涙小管中に延在するように構成され、第2部材310は涙小管の垂直部分220、222に位置して、付随する涙点の開口部まで、あるいは開口部の外へ、延在するように構成される。そのような構成の涙管インプラント300が涙小管に挿入された場合、第1軸Aと第2軸Bの交差点は、概して涙小管の湾曲部(例えば図2の涙小管湾曲部250)に位置する。いくつかの実施態様では、第1部材305と第2部材310とは第1の角度にて接続され、その角度は少なくとも約45度であり、そのようにして第1部材と第2部材との間に角度付き交差を形成する。様々な実施態様において、涙管インプラント300が涙小管に設置された場合に、角度付き交差の少なくとも一部分が涙小管の湾曲部に対して片寄っている。この実施態様において、涙管インプラント300は、解剖学的構造を利用して、移植された涙管インプラント300の保持を促進する。
図3Bは、本発明の典型的な涙管インプラント300の側面図を描いている。いくつかの実施態様では、第1部材305は、中間区域315、先端区域あるいは先端325、および、前方区域と先端区域との間に前方区域320を含む。中間区域315は、第3部材あるいはヒール部330によって第2部材310と接続するよう構成される一方、先端区域あるいは先端325は、第1部材305の他の2つの区域より先に、かつ、涙管インプラント300の他の部材よりも先に、涙点を通して挿入されるように構成される。
いくつかの実施態様では、中間区域315、前方区域320、および先端区域あるいは先端325は、概してその形状によりお互いから区別することができる。例えば、いくつかの実施態様では、中間区域315は、概して円柱状の形状を有しており、直径が先端区域あるいは先端325の直径より大きい。様々な実施態様において、前方区域320は先細りして円錐形の形状を有しており、そのようにして前方区域320は、中間区域315と先端区域あるいは先端325とを各末端において接続する。いくつかの実施態様では、中間区域315から前方区域320への移行、または前方区域320から先端区域あるいは先端325への移行は、漸進的かつ滑らかであり、従って移行部において識別可能な境界が存在しない。
いくつかの実施態様において、中間区域315は円柱状の形状を有する。様々な実施態様において、中間区域は円形の断面、楕円形の断面、または多角形の断面を有する。中間区域315は、あらゆる有用な長さと直径の組合せのものである。
いくつかの実施態様において、中間区域315は約0.4 mm〜約0.8 mmの直径を有する。例えば、いくつかの実施態様において、中間区域315の直径は約0.53 mm〜約0.63 mmである。いくつかの実施態様において、中間区域315は、第1軸Aに沿った長さが約0.5 mm〜約3.5 mmである。例えば、いくつかの実施態様において、中間区域315の長さは約1 mm〜約2.8 mmである。
いくつかの実施態様において、先端区域あるいは先端325は実質的に半球状であり、または半球の一部分である。典型的な実施態様において、前記半球またはその一部分は、約0.05 mm〜約0.3 mmの半径を有する。例えばいくつかの実施態様において、先端区域あるいは先端325の半径は、約0.20 mmである。
いくつかの実施態様において、前方区域320は円錐状の構成を有し、中間区域315の直径から、先端区域あるいは先端325に近付くにつれ、先細りする。いくつかの実施態様において、前方区域320は短く、急に先細りし、従ってより広い先細り角度を形成する。前方区域320はまた、長くてより漸進的に先細りして、より狭い先細り角度を形成することもできる。先細り角度θ3は図3Eに示されている。いくつかの実施態様において、先細り角度θ3は約2°〜約10°である。例えば、いくつかの実施態様では、先細り角度θ3は約3.8°〜約7.8°である。いくつかの実施態様では、θ3は約7.8°である。いくつかの実施態様では、前方区域320は、第1軸Aに沿った長さが約1 mm〜約5 mmである。例えば、いくつかの実施態様では、前方区域320の長さは約1.7 mm〜約3.5 mmである。
[第2部材310]
図3Bを参照すると、本方法において使用されるインプラントのいくつかの実施態様において、第2部材310は、第3部材あるいはヒール部330から概して第2軸Bの方向に沿って延在する直立区域335を含む。様々な実施態様において、第2部材310は、第3部材あるいはヒール部330とは反対の端において直立区域335に結合する頭部区域340をさらに含む。いくつかの実施態様では、第2部材310は、涙管インプラント300が涙小管に設置されたときに、直立区域335が涙小管の垂直部分に位置しながら頭部区域340が涙点外部を囲む組織に接触するように構成される。図3A〜3Fに示された典型的な一実施態様では、直立区域335は円柱状の形状を有し、頭部区域340は長円形または長方形の構成を有する。しかしながら、あらゆる他の適切な形状または構成が使用可能であって本発明の範囲に含まれることが理解されるであろう。例えば、様々な実施態様において、直立区域335が円錐状に構成され、頭部区域340は円形、楕円形、または多角形の断面を有するように構成される。
いくつかの実施態様において、直立区域335は約0.7 mm〜約0.9 mmの特性直径を有する。例えば、いくつかの実施態様において、直立区域335の特性直径は約0.8 mmである。
いくつかの実施態様において、直立区域335は、第2軸Bの方向の長さが約0.7 mm〜約1.5 mmである。例えば、いくつかの実施態様において、第2軸Bの方向に沿った直立区域335の長さは約0.9 mmである。
一般的に、頭部区域340は、短軸および長軸により特徴付けられる断面を有する。短軸および長軸は、それぞれ、断面の最も短い特性直径および最も長い特性直径を表す。従って、短軸は長軸以下である。例えば、頭部区域340が円形の断面を有するいくつかの実施態様では、短軸および長軸は同じ長さである。様々な実施態様において、頭部区域340は、長円形または長方形の断面を有し、短軸が長軸より短い。いくつかの実施態様では、頭部区域340は、第1軸Aと平行な方向に細長い。長軸は第1部材305の延在方向を指し示し、涙点および涙小管における涙管インプラント300の配置を促進させる。いくつかの実施態様において、長軸は約1.5 mm〜約2.5 mmである。様々な実施態様において、短軸は約1 mm〜約1.5 mmである。例えば、いくつかの実施態様において、頭部区域340の長軸および短軸は、それぞれ約1.9 mmおよび1.3 mmである。いくつかの実施態様において、頭部区域340は、第2軸の方向における厚さが約0.2 mm〜約0.4 mmである。例えば、いくつかの実施態様において、第2軸の方向における頭部区域340の厚さは約0.3 mmである。
さらに図3Bを参照すると、典型的な頭部区域340は、第3部材あるいはヒール部330の方に向いた下表面350、および、第3部材あるいはヒール部330とは逆方向に向いた外表面355を含む。典型的な頭部区域340はさらに、下表面350と外表面355とをつなげる縁表面345を含む。下表面350と外表面355との間の距離は容易に変動させ得る。いくつかの実施態様において、その距離は約0.2 mm〜約0.4 mmである。
いくつかの実施態様において、外表面355は、下表面350よりも小さく、実質的に平坦である。様々な実施態様において、縁表面345は、漸減的であるか、湾曲しているか、角張っているか、または多面的である。いくつかの実施態様において、縁表面345は、約0.2 mm〜約0.7 mmの半径の湾曲を有する。いくつかの実施態様において、下表面350は概して平坦であり、涙管インプラント300が涙小管に設置されたときに、涙点を囲む外部組織に接触するように構成される。
[第3部材あるいはヒール部330]
いくつかの実施態様において、第3部材あるいはヒール部330は、上部表面360、下部表面365、および側表面370を含む。図示された実施態様において、穿孔385が上部表面360から第3部材あるいはヒール部330中へと延在する。いくつかの実施態様において、上部表面360と下部表面365とは実質的に平坦であり、一定距離により互いに隔離されている。そのような距離は容易に変動させることができ、典型的には約0.3 mm〜約0.7 mmである。例えば、いくつかの実施態様では、上部表面360と下部表面365とは約0.4 mm〜0.6 mm(例えば約0.53 mm)の距離で隔離される。いくつかの実施態様では、上部表面360は、第2部材310との交差点を越えて延在する。いくつかの実施態様では、上部表面360は、約0.3〜約0.6 mmの距離に渡って第2部材310との交差点を越えて延在する。上部表面360はまた、側表面370とも連結され得る。様々な実施態様において、上部表面360と側表面370とは、湾曲交差部380により連結される。いくつかの実施態様では、湾曲交差部380は、約0.04 mm〜約0.08 mmの湾曲半径を有する。
ここで図3Dおよび3Fを参照すると、いくつかの実施態様において、第3部材あるいはヒール部330は、第3部材あるいはヒール部330を第1部材305に、あるいは第1部材305の中間区域315に連結するように構成された、ヒール接続区域375を含む。ヒール接続区域375の形状は容易に変動させることができ、平坦な構造または湾曲した構造を含む。図3Fにおいて、第2軸Bの方向におけるヒール接続区域375の幅は、第1軸Aの方向に沿って変動している。例えば、ヒール接続区域375は、側表面370においてまたはその付近において、第1部材305の中間区域315の直径よりも小さな幅を有する。いくつかの実施態様では、ヒール接続区域375は、中間区域315との交差点においてまたはその付近において、幅が増加し、従って図3Fに描かれているように切れ込みを形成する。この切れ込みは、第1部材305または第2部材310に達するまで、第1軸Aおよび第2軸Bの両方に沿ってより深くまたはより浅くなり得ることが理解されるであろう。
切れ込みは、本発明のインプラントにおいて必要な特徴ではない。いくつかの実施態様では、ヒール接続区域375は、中間区域315の直径と同じ寸法を有する。例えば、第2軸Bに沿った第3部材あるいはヒール部330の厚さは、第1部材305の中間区域315の直径と同等である。例えば、いくつかの実施態様では、第2軸Bの方向における第3部材あるいはヒール部330の厚さと、中間区域315の直径とは、どちらも約0.53 mm〜約0.63 mmである。そのような構成において、第3部材あるいはヒール部330は、図6における代替的ヒール接続区域675により示されているように、切れ込みを形成することなく中間区域315と連結する。
例示として、図3A〜3Fに描かれた第3部材あるいはヒール部330は、第1部材305の第1軸Aに実質的に平行である。このことが必要ではないことは理解されるであろう。いくつかの実施態様では、第3部材あるいはヒール部330は、第1軸Aに対して角度を形成し得る。
[穿孔385]
穿孔385の典型的な構造は図3Eおよび3Fにおいて詳細に示されており、そこでは、涙管インプラント300の断面図および部分的拡大断面図が提供されている。穿孔385は、涙点中への涙管インプラント300の挿入を促進させるための外部挿入ツールの先端またはその他の突起を受け入れるように構成される。ヒール部における穿孔の大きさ、形状、角度(θ2)、および位置を含む構成は、挿入ツールと穿孔との適合、ヒール部の融通性、または涙管インプラントの保持を促進させるために、容易に調節することができる。インプラントの目的または用途、およびヒール部を製造するために使用される材料に依存して、上記で言及された穿孔の特性は容易に変えられる。本明細書で開示される穿孔385の構成は例示であり、他のあらゆる適切な構成が本発明の範囲に含まれる。
図3Fにおいて、典型的な穿孔385は、第3の軸C、および、第1の角度θ1の場合と同様に第3軸Aとの関係で第1の軸によって規定される第2の角度θ2によって特徴付けられる。いくつかの実施態様では、第2の角度θ2は約15°〜約90°である。例えば、いくつかの実施態様では、第2の角度θ2は約45°である。
いくつかの実施態様において、穿孔385は、第3軸Cの方向に沿って約0.3 mm〜約0.7 mmの深さを有する。例えば、いくつかの実施態様では、穿孔385の深さは約0.4 mmであり、いくつかの実施態様では、約0.6 mmである。穿孔385は、概して円筒状であって、円形、楕円形、長円形、または多角形の断面を有する、穿孔シャフト390を含み得る。穿孔385は、穿孔シャフト390が終結する穿孔先端395をさらに含み得る。典型的な穿孔先端395は概して半球状の構成を有する。いくつかの実施態様では、穿孔シャフト390は約0.1 mm〜約0.3 mmの特性直径を有する。いくつかの実施態様では、穿孔の特性直径は約0.17 mmである。理解されるように、本願で開示される形状、大きさ、方向は例示であり、あらゆるその他の適切な形状、大きさ、または方向が本願の範囲に含まれる。さらに、穿孔の開口は、第2部材により近く、またはヒール部の縁により近く、位置付けられ得ることが理解されるであろう。
[空洞458]
図4A〜4Cは、涙点212、214を通して、それに付随する涙小管208、210中に挿入可能な、典型的な涙管インプラント400を示している。図4Aにおいて、涙管インプラント400は、様々な眼性、副鼻腔性、またはその他の疾患の治療のために眼または周辺組織に放出するための、治療剤コアまたはその他の物質を収容するように構成された、空洞458を含む。
図示された典型的実施態様において、空洞458は頭部区域340に形成され、外表面355を通した開口を有する。空洞458は、頭部区域340内にとどまるような浅いものであり得る。空洞458は、より深く、頭部区域340を越えて直立区域335へと延在するものでもあり得る。図示された典型的な空洞458は、概して、実質的に円筒状であって円形の断面を有する。あらゆる他の適切な構成が本願の範囲に含まれる。例えば、いくつかの実施態様では、空洞458は、切断された球状の構成を有し、または、長方形もしくは多角形の断面を有する円柱状構成を有する。
いくつかの実施態様において、空洞458は、第2軸Bの方向において約0.2 mm〜約1.4 mmの深さを有する。例えば、いくつかの実施態様では、空洞458の深さは約1.2 mmである。いくつかの実施態様では、空洞458は、約0.3 mm〜約0.7 mmの直径を有する。例えば、いくつかの実施態様では、空洞458の直径は約0.42 mm〜約0.55 mmである。典型的な一実施態様において、空洞458は直立区域335中へと延在し、その空洞458の直径は直立区域335の直径よりも小さい。
図4Cを参照すると、空洞458は底部482を含む。様々な実施態様において、底部482は丸くなっている。様々な実施態様において、丸い底部は、約0.03 mm〜約0.07 mmの半径の湾曲を有する。
図5は、空洞458の典型的な構成を描写している。図5において、空洞458は、唇部584、または、空洞458の開口部に位置するその他の保持構造を含む。唇部584またはその他の保持構造は、任意で、空洞458を部分的に封じる(例えば、治療剤コアまたはその他の物質が空洞458から出ることを防ぐ)ように構成される。いくつかの実施態様では、唇部584は、外表面355から空洞458内へと下向きに延在し、空洞458の開口の中心に向かって内向きに延在する、断面が四角形である環である。いくつかの実施態様では、唇部584はタブ構成のものであり、空洞458の開口中に内向きに延在する、間隔をおいた複数の唇を含む。唇部584は、下向きに約0.02 mm〜約0.1 mm、内向きに約0.02 mm〜約0.1 mm延在し得る。例えば、いくつかの実施態様では、唇部584は、下向きまたは内向きに約0.05 mm延在する。
[涙管インプラントの形成]
本発明の方法において使用する典型的な涙管インプラントは、プラスチック、ゴム、ポリマー、または複合材料を含む様々な材料から作られる。本発明の典型的な涙管インプラントは、プラスチック、ゴム、ポリマー、複合材料、またはその他の適切な材料を含む1つ以上の材料から形成される。いくつかの実施態様では、涙管インプラントは、液状シリコーンゴムから形成される。例えば、典型的な実施態様において、涙管インプラントは、NuSil 4840液状シリコーンゴムとして市販されている材料、NuSil 4870、またはそのような液状シリコーンゴムを含む混合物から形成される。そのような混合物の例としては、6-4800として市販されている材料が含まれ、これは、約1%〜約5%(例えば約2%〜約4%)の6-4800を有するNuSil 4840を含む。
いくつかの実施態様において、涙管インプラントは生分解性材料から形成され、例えば、ポリ(ビニルアルコール)のような架橋ポリマーを含む生分解性弾性材料から形成される。いくつかの実施態様では、涙管インプラントは、例えばシリコーン/ポリウレタン共重合体、シリコーン/ウレタン、シリコーン/ポリ(エチレングリコール)(PEG)、およびシリコーン/2ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のような、コポリマーを含み得る。2008年9月5日出願の「DRUG CORES FOR SUSTAINED RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS」と題するUtkhedeらの共有に係る米国特許出願第12/231,986号(同出願はその全体が参照により本明細書に組み入れられる)において論じられているように、ウレタンベースのポリマー材料およびコポリマー材料は、様々な加工方法を許容し、互いによく結合する。
材料の硬さは、涙点およびそれに付随する涙小管内における涙管インプラントの保持を促進または改変するよう選択される。従って、いくつかの実施態様では、デュロメータ評点が約20D〜約80D、例えば約30D〜約70D、例えば約40D〜約60Dである材料を使用して、患者の快適性および保持のようなパラメータを調節する。例えば、いくつかの実施態様では、涙管インプラントを形成するために使用される材料のデュロメータ評点は約40Dである。上記で例示したもの以外の材料であって、上述の範囲内における涙管インプラントのデュロメータ評点、特に約40Dのデュロメータ評点を提供する材料も使用することができる。いくつかの実施態様では、涙管インプラントの全体について、またはその部分について、より硬いまたはより柔らかい材料が利用される。そのような場合において、約70Dのデュロメータ評点を提供する材料から涙管インプラントが形成される。
いくつかの実施態様では、本方法において使用される涙管インプラントは、複数の材料から形成され、涙管インプラントの特定の部材または部分が、異なる特性を有する材料を用いて形成される。例えば、いくつかの実施態様では、第1部材305がより硬いデュロメータ評点の材料で形成される一方で、第2部材310はより柔らかいデュロメータ評点の材料で形成される。いくつかの実施態様では、第1部材305がより柔らかいデュロメータ評点の材料で形成される一方で、第2部材310はより硬いデュロメータ評点の材料で形成される。いくつかの実施態様では、第3部材あるいはヒール部330は、第2部材310の残部にある1つ以上の部分よりも硬いデュロメータ評点の材料で形成される。様々な実施態様において、第3部材あるいはヒール部330は、第2部材310の残部よりも柔らかいデュロメータ評点の材料で形成される。
本発明において使用される典型的なインプラントは、当技術分野で知られる方法によって形成することができ、そのような方法としては、ブランクを機械で所望の形状および大きさにすること、ならびに、インプラントを形成する材料を型取りすることが含まれるが、これらに限定されない。
インプラントは、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)を持続的な時間に渡って放出する、多数の異なる設計のうちの1つであり得る。本発明の実施態様の方法において使用するための例示的なインプラント構造または方法的実施態様、およびそれらのインプラントを作る方法を記述している、以下の特許文献の開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる:米国出願第60/871,864号(2006年12月26日に出願され、「Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Therapy」と題される)、米国出願第11/695,537号(2007年4月2日に出願され、「Drug Delivery Methods, Structures, and Compositions for Nasolacrimal System」と題される)、米国出願第12/332,219号(2008年12月10日に出願され、「Drug Delivery Methods, Structures, and Compositions for Nasolacrimal System」と題される)、米国出願第60/787,775号(2006年3月31日に出願され、「Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Therapy」と題される)、米国出願第11/695,545号(2007年4月2日に出願され、「Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Therapy」と題される)、米国出願第60/585,287号(2004年7月2日に出願され、「Treatment Medium Delivery Device and Methods for Delivery of Such Treatment Mediums to the Eye Using Such a Delivery Device」と題される)、米国出願第11/571,147号(2006年12月21日に出願され、「Treatment Medium Delivery Device and Methods for Delivery of Such Treatment Mediums to the Eye Using Such a Delivery Device」と題される)、米国出願第60/970,696号(2007年9月7日に出願され、「Expandable Nasolacrimal Drainage System Implants」と題される)、米国出願第60/974,367号(2007年9月21日に出願され、「Expandable Nasolacrimal Drainage System Implants」と題される)、米国出願第60/970,699号(2007年9月7日に出願され、「Manufacture of Drug Cores for Sustained Release of Therapeutic Agents」と題される)、米国出願第60/970,709号(2007年9月7日に出願され、「Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Delivery」と題される)、米国出願第60/970,720号(2007年9月7日に出願され、「Manufacture of Expandable Nasolacrimal Drainage System Implants」と題される)、米国出願第60/970,755号(2007年9月7日に出願され、「Prostaglandin Analogues for Implant Devices and Methods」と題される)、米国出願第60/970,820号(2007年9月7日に出願され、「Multiple Drug Delivery Systems and Combinations of Drugs with Punctal Implants」と題される)、米国出願第61/066,223号(2008年2月18日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/049,347号(2008年4月30日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/033,211号(2008年3月3日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/049,360号(2008年4月30日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/052,595号(2008年5月12日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/075,309号(2008年6月24日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/154,693号(2009年2月23日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/209,036号(2009年3月2日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/209,630号(2009年3月9日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/036,816号(2008年3月14日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/271,862号(2009年7月27日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/252,057号(2009年10月15日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第12/710,855号(February 23, 2010に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第60/871,867号(2006年12月26日に出願され、「Drug Delivery Implants for Inhibition of Optical Defects」と題される)、米国出願第12/521,543号(2009年12月31日に出願され、「Drug Delivery Implants for Inhibition of Optical Defects」と題される)、米国出願第61/052,068号(2008年5月9日に出願され、「Sustained Release Delivery of Latanoprost to Treat Glaucoma」と題される)、米国出願第61/052,113号(2008年5月9日に出願され、「Sustained Release Delivery of Latanoprost to Treat Glaucoma」と題される)、米国出願第61/108,777号(2008年10月27日に出願され、「Sustained Release Delivery of Latanoprost to Treat Glaucoma」と題される)、米国出願第12/463,279号(2009年5月8日に出願され、「Sustained Release Delivery of Active Agents to Treat Glaucoma and Ocular Hypertension」と題される)、米国出願第61/049,337号(2008年4月30日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第12/432,553号(2009年4月29日に出願され、「Composite Lacrimal Insert and Related Methods」と題される)、米国出願第61/049,317号(2008年4月30日に出願され、「Drug-Releasing Polyurethane Lacrimal Insert」と題される)、米国出願第12/378,710号(2009年2月17日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/075,284号(2008年6月24日に出願され、「Combination Treatment of Glaucoma」と題される)、米国出願第12/490,923号(2009年6月24日に出願され、「Combination Treatment of Glaucoma」と題される)、米国出願第61/134,271号(2008年7月8日に出願され、「Lacrimal Implant Body Including Comforting Agent」と題される)、米国出願第12/499,605号(2009年7月8日に出願され、「Lacrimal Implant Body Including Comforting Agent」と題される)、米国出願第61/057,246号(2008年5月30日に出願され、「Surface Treatment of Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/132,927号(2008年6月24日に出願され、「Surface Treated Implantable Articles and Related Methods」と題される)、米国出願第12/283,002号(2008年9月5日に出願され、「Surface Treated Implantable Articles and Related Methods」と題される)、米国出願第12/231,989号(2008年9月5日に出願され、「Lacrimal Implants and Related Methods」と題される)、米国出願第61/049,317号(2008年4月30日に出願され、「Drug-Releasing Polyurethane Lacrimal Insert」と題される)、米国出願第12/231,986号(2008年9月5日に出願され、「Drug Cores for Sustained Release of Therapeutic Agents」と題される)、米国出願第61/050,901号(2008年5月6日に出願され、「Punctum Plug Detection」と題される)、米国出願第12/231,987号(2008年9月5日に出願され、「Lacrimal Implant Detection」と題される)、米国出願第61/146,860号(2009年1月23日に出願され、「Sustained Release Delivery of One or More Anti-Glaucoma Agents」と題される)、米国出願第61/152,909号(2009年2月16日に出願され、「Sustained Release Delivery of One or More Anti-Glaucoma Agents」と題される)、米国出願第61/228,894号(2009年7月27日に出願され、「Sustained Release Delivery of One or More Anti-Glaucoma Agents」と題される)、米国出願第61/277,000号(2009年9月18日に出願され、「Drug Cores for Sustained Ocular Release of Therapeutic Agents」と題される)、米国出願第12/692,452号(2010年1月22日に出願され、「Sustained Release Delivery of One or More Agents」と題される)、米国出願第61/283,100号(2009年11月27日に出願され、「Lacrimal Implants Including Split and Insertable Drug Core」と題される)、国際出願第PCT/US2010/058129号(2010年11月26日に出願され、WO 2011/066479として公開され、「Lacrimal Implants Including Split and Insertable Drug Core」と題される)、米国出願第61/139,456号(2008年12月19日に出願され、「Substance Delivering Punctum Implants and Methods」と題される)、米国出願第12/643,502号(2009年12月21日に出願され、「Substance Delivering Punctum Implants and Methods」と題される)、 米国出願第10/825,047号(2004年4月15日に出願され、「Drug Delivery via Punctal Plug」と題される)、米国出願第12/604,202号(2009年10月22日に出願され、「Drug Delivery via Ocular Implant」と題される)、国際出願第PCT/US2005/023848号(2005年7月1日に出願され、WO 2006/014434として公開され、「Treatment Medium Delivery Device and Methods for Delivery」と題される)、国際出願第PCT/US2007/065792号(2007年4月2日に出願され、WO 2007/115261として公開され、「Drug Delivery Methods, Structures, and Compositions for Nasolacrimal System」と題される)、および国際出願第PCT/US2007/065789号(2007年4月2日に出願され、WO 2007/115259として公開され、「Nasolacrimal Drainage System Implants for Drug Therapy」と題される)。
図7を参照すると、ピン760の接触を通じて本発明のインプラントと係合し、涙点への涙管インプラントの挿入に従事している、典型的な挿入ツールが示されている。この涙管インプラントは、上記で開示された典型的な実施態様、その変形、またはあらゆる類似構造を含む。
[保持]
本発明の方法の様々な実施態様において、インプラントを涙点または涙小管に保持するために、保持構造を含むインプラントが利用される。保持構造は、インプラント本体に付着しているか、またはそれと一体化している。保持構造は、インプラントが所望の組織位置(例えば涙点または涙小管)に容易に位置付けられるように大きさおよび形状が決められた、適切な材料を含む。いくつかの実施態様では、少なくとも部分的に鞘(sheath)を介して、薬剤コアが保持構造に付着され得る。いくつかの実施態様では、保持構造は、保持構造が涙点に設置されたときに拡張するよう構成されたハイドロゲルを含む。保持構造は、軸方向に向けられた表面を有する付着部材を含み得る。いくつかの実施態様では、軸方向に向けられた表面に対してハイドロゲルが拡張され、ハイドロゲルが水和するあいだハイドロゲルが保持される。いくつかの実施態様では、付着部材は、少なくとも1つの突出部、フランジ、周縁部、または保持構造の一部分を通した開口部を含み得る。いくつかの実施態様では、保持構造は、インプラント本体部分の大きさおよび形状を含み、涙点および涙小管の解剖学的形態に実質的に一致する。
保持構造は、涙小管内腔に少なくとも部分的にフィットするために適した大きさを有し得る。保持構造は、挿入に適した小輪郭構成と、内腔中に保持構造を係留する大輪郭構成との間で拡張可能とすることができ、そして保持構造は、薬剤コアの遠位端付近に結合させ得る。特定の実施態様において、保持構造は、小輪郭構成から大輪郭構成へと拡張する際に、近位端付近にて薬剤コアに沿ってスライドし得る。薬剤コアに沿った保持構造の長さは、小輪郭構成よりも大輪郭構成においてより短くなり得る。
いくつかの実施態様では、保持構造は、弾性的に拡張可能である。小輪郭は約0.2 mm以下の断面を有し得、大輪郭は約2.0 mm以下の断面を有し得る。保持構造は、溝により分離された腕を有する管状体を含み得る。保持構造は、少なくとも部分的に薬剤コアを覆って配置され得る。
いくつかの実施態様では、保持構造は、機械的に展開可能であり、典型的には、(例えばニチノール(登録商標)のような超弾性形状記憶合金を含みながら)所望の断面形状に拡張する。ニチノール(登録商標)の他に、その他の材料、例えば弾性の金属またはポリマー、可塑的に変形可能な金属またはポリマー、形状記憶ポリマー等を使用して、所望の拡張を提供することができる。いくつかの実施態様では、カリフォルニア州サンディエゴのバイオジェネラル社から入手可能なポリマーおよび被覆繊維を使用し得る。ステンレス鋼および非形状記憶合金のような多くの金属が使用可能であり、所望の拡張を提供することができる。この拡張能力は、インプラントが様々な大きさの中空組織構造(例えば0.3 mmから1.2 mmまでに渡る涙小管)にフィットすることを可能とする(すなわち、1つのサイズで全てにフィットする)。単一の保持構造が直径0.3〜1.2 mmの涙小管にフィットするようにすることもできるが、所望ならば、例えば、第1の保持構造は0.3〜約0.9 mmの涙小管用、第2の保持構造は約0.9 mm〜1.2 mmの涙小管用というように、この範囲にフィットするような複数の代替選択可能な保持構造を使用することもできる。保持構造は、それが結合する解剖学的構造に適した長さを有し、例えば、涙小管の涙点付近に配置される保持構造は約3 mmの長さを有する。様々な解剖学的構造に関して、長さは、十分な保持力を提供するために適切なものであり得る(例えば、適宜、1 mm〜15 mmの長さ)。
上記のように、インプラント本体を保持構造の一端に結合させ得るが、多くの実施態様では、保持構造のもう1つの端はインプラント本体に結合されず、保持構造が、拡張するあいだ、鞘体および薬剤コアを含めインプラント本体上をスライドするようにすることができる。保持構造の幅が拡張して所望の断面幅となる際に、保持構造の長さは縮小し得るので、一端におけるこのスライド能力は望ましいものである。しかしながら、多くの実施態様では、コアに対してスライドしない鞘体が採用され得ることは留意すべきである。
多くの実施態様において、保持構造は、組織から回収され得る。突起、例えばフック、ループ、または輪がインプラント本体の一部から延在して、保持構造の除去を促進させ得る。
いくつかの実施態様において、鞘と保持構造とは2つの部品を含み得る。
本発明の涙管インプラントは傑出した保持特性を有し、インプラントが移植された眼のうち選ばれた期間に渡ってインプラントを保持したもののパーセンテージに基づけば、市販のプラグと比べて増強された期間に渡って涙点および涙小管に保持される(図9)。
典型的な一実施態様において、本発明の方法は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または少なくとも約12週間以上、涙点に移植されたまま残るように構成された涙管インプラントを使用する。典型的な一実施態様において、涙管インプラントは、治療剤の意図される持続放出期間に渡って涙点によって保持されるように構成される。様々な実施態様において、治療剤の意図される持続放出期間は少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または少なくとも約12週間以上である。様々な実施態様において、移植されたインプラントの少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、または少なくとも約80%が、治療剤の意図される徐放期間に渡って保持される。典型的な一実施態様では、インプラントは、治療的効力が示されるだけの長さの時間に渡って、涙点によって保持される。
様々な実施態様において、本発明は、涙点におけるインプラントの保持を増強する構造的特徴を有するインプラントの使用を提供する。複数ある特徴の中で、本発明のインプラントのヒール部(例えば330)は、涙小管膨大部(例えば252)において静止するように構成され、結果的にインプラントを定位置に固定する。しかしながら、移植された装置の回転および相対的移動(これは装置が外れる一因となる)を防ぐためには、ヒール部を膨大部に維持する第1部材が必要とされることを本発明者らは認識した。従って、第1部材(例えば305)は、涙点プラグを涙小管内で安定化させ、回転を防止し、周囲組織が動くときにプラグの位置を維持するように構成される。
[閉塞要素]
典型的な一実施態様において、本発明の方法は、閉塞要素を有するインプラントを使用する。閉塞要素は、保持構造に積載され保持構造とともに拡張して、涙流を抑制し得る。閉塞要素は、内腔を通じた涙流を抑制し得、また、保持構造の少なくとも一部分を被覆して、内腔を保持構造から保護し得る。閉塞要素は、中空組織構造を通じた液(例えば涙小管を通じた涙液)の流れをインプラントが少なくとも部分的に抑制し、あるいは阻止すらできるように、大きさと形状とが決められた適切な材料を含む。閉塞材料は、保持構造と共に拡張し収縮することができる、生体適合性材料(例えばシリコーン)の薄壁膜であり得る。閉塞要素は、別個の細いチューブとして形成され、保持構造の端上にスライドし、上述のように保持構造の一端に係留される。あるいは、閉塞要素は、保持構造を生体適合性ポリマー(例えばシリコーンポリマー)中で浸漬コーティングすることにより形成され得る。閉塞要素の厚さは約0.01 mm〜約0.15 mmの範囲内であり得、多くの場合は約0.05 mm〜0.1 mmである。
[挿入ツール]
本発明で使用される涙管インプラントの設置は、挿入ツールの使用により促進され得る。例えば、いくつかの実施態様では、涙管インプラントおよび/または挿入ツールは、米国特許出願公開公報第2009/0104248号、米国特許出願公開公報第2010/0274204号、米国特許出願公開公報第2009/0105749号、および国際特許出願公開公報第WO 2011/066479(これらの全体が参照により本明細書に組み入れられる)に見出される特徴または構成要素を含み得る。
[治療剤および治療剤コア]
高頻度周期的投与に関する従来の薬剤送達法は、多くの場合、理想的でないかまたは実践的でない。例えば、より毒性の高い薬剤を用いる場合に、従来型周期的投与法では、投与時において、好ましくないほど高い初期薬剤レベルが引き起こされ、その後、投与と投与の間の薬剤レベルが低くなって、治療的意義のあるレベルより低くなってしまうことがしばしば起こり得る。同様に、治療を要する薬学的療法標的領域が例えば網膜のような眼内部や脳であるような一定の場合において、従来型の周期的投与法では実践的でなかったり治療的有効性がなかったりし得る。従って、いくつかの実施態様において、本涙管インプラントは、その構造内に1つ以上の治療剤をさらに含む。様々な実施態様において、その薬剤は装置全体に分散される。いくつかの実施態様では、その薬剤は、装置の1つ以上の明確な位置または領域に配置される。典型的な一実施態様において、治療剤は装置の空洞中に配置され、その薬剤を保持する構成要素はコアと呼ばれる。
薬剤が装置全体に分散される様々な実施態様において、薬剤の放出の速度および位置は、装置の少なくとも1つの構成要素を、その薬剤に対して不透過性である材料でコーティングすることによって制御される。典型的な一実施態様では、薬剤がそこを通って眼または周囲組織に溶出することができるような1つ以上の間隙を除き、本質的に装置全体がその材料でコーティングされる。1つの典型的なコーティングはパリレンコーティングである(参照により本明細書に組み入れられる2008/0181930を参照)。
典型的な一実施態様において、本発明の涙管インプラントは徐放装置として構成され、組み込まれた治療剤を、治療的に有効な態様において、例えば少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または少なくとも約12週間以上に渡って治療的有効投与量を提供する速度において、放出する。典型的な一実施態様において、涙管インプラントは、治療剤の意図される制御放出期間に渡って、涙点によって保持されるように構成される。様々な実施態様において、治療剤の意図される制御放出期間は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または少なくとも約12週間以上である。様々な実施態様において、移植されたインプラントの少なくとも95%が、治療剤の意図される制御放出期間に渡って保持される。典型的な一実施態様において、インプラントは、治療的有効性を示すのに十分な長さの時間に渡って、涙点により保持される。
典型的な一実施態様において、インプラントは、治療剤のユニット投与量としての構成とされる。様々な実施態様において、インプラントは、抗緑内障剤のユニット投与量としての構成とされる。典型的な一実施態様において、抗緑内障剤はプロスタグランジンである。
[眼内圧亢進]
高眼圧症(OH)および原発開放隅角緑内障(POAG)は、主に眼が房水を適切に排液する能力を失うことによる、前房における房水の蓄積によって引き起こされる。虹彩の根元に位置する毛様体は、連続的に房水を産生する。房水は前房に流入した後、角膜と虹彩との間の角を介して線維柱帯網を通り、強膜中の通過路へと排液される。正常な眼においては、産生される房水の量は排出される量と同等である。しかし、この機序が損なわれている眼においては、眼内圧(IOP)が上昇する。上昇したIOPは、緑内障性視野喪失についての主要なリスク因子である。複数の研究の結果によれば、眼内圧を低下させることを狙った早期介入が、視覚低下および失明へとつながる視神経損傷および視野喪失の進行を遅延させることが示されている。
[ラタノプロスト]
プロスタグランジンは強力な高眼圧剤と考えられている。しかしながら、いくつかのプロスタグランジンは非常に有効な眼圧降下剤であって緑内障の長期医学的管理に理想的に適していることを示す証拠が過去10年間に蓄積されてきた(例えば、Bito, L. Z.「Biological Protection with Prostaglandins」、Cohen, M. M.編、Boca Raton, Fla., CRC Press Inc., 1985, pp. 231-252;ならびにBito, L. Z.「Applied Pharmacology in the Medical Treatment of Glaucomas」、Drance, S. M.およびNeufeld, A. H.編、New York, Grune & Stratton, 1984, pp. 477-505を参照)。そのようなプロスタグランジンとしては、PGF2α、PGF、PGE2、および、そのような化合物のC1〜C5アルキルエステル(例えば1-イソプロピルエステル)のような一定の脂溶性エステルが含まれる。
従って、典型的な一実施態様において、治療剤はプロスタグランジン(その誘導体を含む)である。プロスタグランジンはプロスタン酸の誘導体である。プロスタン酸骨格上の脂環式環の構造および置換基に依存して様々な種類のプロスタグランジンが知られている。さらなる分類は、一般的種類のプロスタグランジンの後の下付き数字により示される、側鎖における不飽和結合の数に基づくもの(例えば、プロスタグランジンE1(PGE1)、プロスタグランジンE2(PGE2))、および、αまたはβにより示される、脂環式環上の置換基の配置に基づくものである(例えば、プロスタグランジンF2α(PGF2α))。これらのプロスタグランジンはいずれも本発明において使用され得る。
本明細書に記述される方法において使用するための典型的な1つの治療剤はラタノプロストである。ラタノプロストはプロスタグランジンF類似体である。その化学名は、イソプロピル-(Z)-7 [(1R,2R,3R,5S)3,5-ジヒドロキシ-2-[(3R)-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル]シクロペンチル]-5-ヘプテノエートである。その分子式はC26H40O5であってその化学構造は下記の通りである。
Figure 0006100782
ラタノプロストは、無色ないしはやや黄色がかったオイルであり、アセトニトリル中で非常に溶解性であって、アセトン、エタノール、酢酸エチル、イソプロパノール、メタノール、およびオクタノール中に容易に溶解する。水には事実上不溶性である。
ラタノプロストは、房水の流出を増加させることによって眼内圧(IOP)を低減すると考えられている。動物およびヒトにおける研究によれば、主たる作用機序は、眼からの房水のブドウ膜強膜路流出増加であることが示されている。ラタノプロストは角膜を通して吸収され、そこでイソプロピルエステルプロドラッグが加水分解されて酸の形態となり生物学的に活性となる。ヒトにおける研究によれば、房水におけるピーク濃度は局所投与の約2時間後に達成されることが示されている。
キサラタン(登録商標)ラタノプロスト点眼液は、開放隅角緑内障または高眼圧症の患者におけるIOP上昇の低減に適応とされる市販製品である。キサラタン(登録商標)市販製品中におけるラタノプロストの量はおよそ1.5マイクログラム/滴であり、これは1つの眼についてのラタノプロストの推奨1日総投与量である。上述したように、点眼剤は、有効ではあるが、非効率であって、治療的利益を維持するために複数回の適用が必要となり得る。これらの結果は患者遵守率の低さによってさらに悪化される。
様々な実施態様において、プロスタグランジンはラタノプロストである。例示的な実施態様では、ユニット投与量構成は40μg〜100μgの治療剤を含む。典型的な一実施態様において、インプラントは、約46μgまたは約95μgのラタノプロストを含む。
典型的な一実施態様において、本発明のインプラントは、一対のインプラントの一員である。様々な実施態様において、一対のインプラントが、ユニット投与量として構成される。様々な実施態様において、インプラントは、抗緑内障剤のユニット投与量として構成される。典型的な一実施態様において、抗緑内障剤はプロスタグランジンである。様々な実施態様において、プロスタグランジンはラタノプロストである。例示的な実施態様では、ユニット投与量構成は40μg〜100μgの治療剤を含む。典型的な一実施態様において、ユニット投与量は141μgのラタノプロストである。典型的な一実施態様において、1つのインプラントは約46μgのラタノプロストを含み、他のものは約95μgのラタノプロストを含む。典型的な一実施態様において、ユニット投与量は両眼に対するユニット投与量であり、本明細書に記述されるインプラント4個を含む。
典型的な一実施態様において、本発明のインプラントは、一対のインプラントの一員である。様々な実施態様において、一対のインプラントは、ユニット投与量として構成される。様々な実施態様において、インプラントは、抗緑内障剤のユニット投与量として構成される。典型的な一実施態様において、抗緑内障剤はプロスタグランジンである。様々な実施態様において、プロスタグランジンはラタノプロストである。例示的な実施態様では、ユニット投与量構成は40μg〜100μgの治療剤を含む。典型的な一実施態様において、ユニット投与量は190μgのラタノプロストである。典型的な一実施態様では、各インプラントが約95μgのラタノプロストを含む。典型的な一実施態様において、ユニット投与量は両眼に対するユニット投与量であり、本明細書に記述されるインプラント4個を含む。
[治療剤コア]
典型的な一実施態様において、本発明の方法は、インプラント本体の第1部材305もしくは第2部材310のうちの少なくとも1つに設置された個別の治療剤コア、または統合された薬剤その他の作用物を含むインプラントを利用して、治療剤の持続的放出(徐放)を提供する。例えば、設置されている薬剤コアまたは統合された薬剤その他の作用物は、涙管インプラント400の空洞458に配置されて、持続的な薬剤その他の治療剤の放出を提供し得る。
本発明の方法において使用する1つの典型的なインプラントは、眼、鼻孔、または内耳系のうちの1つ以上に治療剤を送達するように構成される。様々な実施態様において、薬剤は、眼を通じて対象者に全身送達される。治療剤コアは、1つ以上の治療剤を、そしていくつかの例では1つ以上のマトリックス材料を含んで、薬剤その他の作用物の持続的放出を提供し得る。
様々な実施態様において、治療剤コアは空洞458に挿入される。
様々な例において、個別の薬剤コアまたは統合された薬剤その他の作用物は、少なくとも約20マイクログラム、少なくとも約40マイクログラム、少なくとも約45マイクログラム、少なくとも80マイクログラム、または少なくとも95マイクログラムの薬剤(例えばラタノプロスト)を含み、これは例えば、2009年5月8日に出願され「SUSTAINED RELEASE DELIVERY OF ACTIVE AGENTS TO TREAT GLAUCOMA AND OCULAR HYPERTENSION」と題される、Butunerらの共有にかかる米国特許出願第12/463,279号、および2009年9月18日に出願され「IMPROVED DRUG CORES FOR SUSTAINTED OCULAR RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS」と題される、Utkhedeらの共有にかかる米国特許出願第61/277,000号(これらの文献はどちらも、薬剤その他の作用物の濃度の記述を含めその全体が参照により本明細書に組み入れられる)においてさらに論じられている通りである。
薬剤コアは、1つ以上の薬剤または作用物の持続的放出を提供する能力を有する1つ以上の生体適合性材料を含み得る。薬剤コアは、実質的に非生分解性のシリコーンマトリックスであって、その中に薬剤または作用物の可溶性含有物が配置されているものを含む、マトリックスを含み得る。薬剤コアには、薬剤または作用物の持続的放出を提供する他の構造、例えば生体適合性マトリックス、多孔性薬剤コア、液状薬剤コア、または固形薬剤コアが含まれ得る。薬剤または作用物を含むマトリックスは、生分解性または非生分解性のポリマーから形成され得る。いくつかの実施態様において、非生分解性薬剤コアは、シリコーン、アクリレート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ハイドロゲル、ポリエステル(例えば、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー社のダクロン(登録商標))、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、押出コラーゲン、ポリマー発泡材、シリコーンゴム、ポリエチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネートウレタン、ポリウレタン、ポリイミド、ステンレス鋼、ニッケル・チタン合金(例えばニチノール)、チタン、ステンレス鋼、コバルト・クロム合金(例えばイリノイ州エルジンのエルジンスペシャルティメタルズ社のエルジロイ(登録商標)、ペンシルバニア州ワイオミッシングのカーペンターメタルズ社のコニクローム(登録商標))を含み得る。いくつかの実施態様において、生分解性薬剤コアは、例えばタンパク質、ハイドロゲル、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(L-グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコリド、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、ポリ(アミノ酸)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリグルコネート、ポリ乳酸・ポリエチレンオキシド共重合体、変性セルロース、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酸無水物、ポリホスホエステル、ポリ(アルファヒドロキシ酸)、およびこれらの組合せのような、1つ以上の生分解性ポリマーを含み得る。いくつかの例では、薬剤コアは、ハイドロゲルポリマーを含み得る。
表1は、本発明の実施態様に従った、使用され得る典型的な薬剤挿入シリコーンおよび関連する硬化特性を示す。薬剤コア挿入マトリックス材料は、MED-4011、MED 6385、およびMED 6380(これらは各々NuSil社から市販されている)のようなジメチルシロキサンを含む基材ポリマーを含み得る。基材ポリマーは、白金・ビニル水素化物硬化系またはスズ・アルコキシ硬化系(どちらもNuSil社から市販されている)のような硬化系を用いて硬化させ得る。多くの実施態様において、硬化系は、既知材料のために市販されている既知硬化系、例えば既知MED-4011についての既知白金・ビニル水素化物硬化系を含み得る。表1に示された特定の実施態様では、90部のMED-4011を10部の架橋剤と組み合せて、架橋剤が混合物の10%を占めるようにすることができる。MED-6385を有する混合物は2.5%の架橋剤を含み得、MED-6380の混合物は2.5%ないし5%の架橋剤を含み得る。
Figure 0006100782
本発明により、硬化系およびシリコーン材料の種類が、固形薬剤コア挿入物の硬化特性に影響し得、そして薬剤コアマトリックス材料からの治療剤の産出量にも潜在的に影響し得ることが明らかになった。特定の実施態様では、白金・ビニル水素化物系を用いたMED-4011の硬化が、高濃度の薬剤/プロドラッグ(例えば20%超の薬剤)によって抑制され、固形薬剤コアが形成されなくなり得る。特定の実施態様では、スズ・アルコキシ系を用いたMED-6385またはMED 6380の硬化が、例えば20%というような高濃度の薬剤/プロドラッグによりわずかに抑制され得る。硬化のこのわずかな抑制は、硬化過程の時間または温度を増加(上昇)させることにより補うことができる。例えば、本発明の実施態様は、適切な硬化時間および温度を使用して、40%の薬剤と60%のMED-6385とを含む薬剤コアをスズ・アルコキシ系により作製することができる。スズ・アルコキシ系ならびに適切な硬化時間および温度により、MED-6380系でも同様の結果を得ることができる。スズ・アルコキシ系は非常に優れた結果を示すものの、スズ・アルコキシ硬化系ですら固形薬剤コアを生産できない上限(例えば50%以上の薬剤/プロドラッグ)が存在し得ることが本発明により見出された。多くの実施態様において、固形薬剤コア中のラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)は、重量にして薬剤コアの少なくとも約5%、例えば約5%〜50%の範囲であり得、約20%〜約40%であり得る。
特定の一実施態様において、2つの異なるラタノプロスト濃度を有する薬剤コアが本発明の方法において利用される。
本発明の方法の一実施態様において、46μgのラタノプロストを有する薬剤コアを有する移植物が、涙点インプラントに挿入された。表Aを参照。
Figure 0006100782
別の実施態様において、95μgのラタノプロストを有する薬剤コアが作製され涙点プラグに挿入された。表Bを参照。
Figure 0006100782
薬剤を放出する、またはその他の作用物を放出する薬剤コアのさらなる考察は、2008年9月5日出願の「DRUG CORES FOR SUSTAINED RELEASE OF THERAPEUTIC AGENTS」と題するUtkhedeらの共有に係る米国特許出願第12/231,986号において見出すことができ、同出願はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
[鞘体]
典型的な一実施態様において、本発明の方法において使用するインプラントは、鞘体に包まれた治療剤コアを含む。鞘体は、適切な形状および材料を含んで、ラタノプロストまたはその他の抗緑内障剤の薬剤コアからの移出を制御し得る。いくつかの実施態様では、鞘体は、薬剤コアを収容し、コアにぴったりとフィットし得る。鞘体は、ラタノプロストまたはその他の抗緑内障剤に対して実質的に不透過性である材料から作られ、従って、薬剤の移出の速度は、薬剤コアのうち鞘体によって被覆されていない露出表面積によって大部分制御され得る。多くの実施態様において、鞘体を通したラタノプロストまたはその他の抗緑内障剤の移出は、薬剤コアの露出表面を通したそれらの移出の約10分の1以下であり、多くの場合100分の1以下であり得る。換言すると、鞘体を通したラタノプロストまたはその他の抗緑内障剤の移出は、薬剤コアの露出表面を通したそれらの移出よりも少なくとも約1桁少ない。適切な鞘体材料としては、ポリイミド、リエチレンテレフタレート(以下、「PET」という)が含まれる。鞘体は厚さを有し、その厚さは、コアに隣接する鞘表面からコアから離れた反対の鞘表面までとして定義され、約0.00025''〜約0.0015''である。コアを横切って延在する鞘の総直径は、約0.2 mm〜約1.2 mmである。コアは、そのコアを鞘材料で浸漬コーティングすることによって形成し得る。それに代えて、またはそれと合わせて、鞘体は、チューブおよび鞘中に導入されたコア(例えば、鞘体チューブ中にスライド、注入、または押出することができる液体または固体としてのもの)を含み得る。鞘体は、コアの周りに浸漬コーティングすることもでき、例えば予備形成されたコアの周りに浸漬コーティングし得る。
鞘体には、インプラントの臨床的使用を促進する追加的な構成要素を提供することができる。例えば、鞘は、インプラント本体、保持構造、および鞘体が対象者中に移植されたままの状態で交換することができる、薬剤コアを受け入れることができる。鞘体は、上述したように、多くの場合、保持構造に強固に結合されており、保持構造が鞘体を保持するあいだコアを交換することができる。特定の実施態様において、鞘体には、圧迫されると鞘体に力を適用して鞘体からコアを排出させる、外部突起が提供され得る。その後、別の薬剤コアを鞘体に設置することができる。多くの実施態様において、鞘体または保持構造は、例えば識別色のような、設置を示すための識別性の構成要素を有することができ、それによって、涙小管またはその他の身体組織構造における鞘体または保持構造の設置が、対象者によって容易に検出されることができる。保持要素または鞘体は、涙小管中の設置深度を示す少なくとも1つの標識を含み得、その少なくとも1つの標識に基づいて、涙小管中の所望の深さに保持要素または鞘体を配置することができる。
[治療剤]
一般的に、本発明の方法において有用な薬学的活性剤または薬剤は、インプラント(例えば本明細書に記述されたもの)から送達することができて、例えば眼に有益かつ有用な結果をもたらす、あらゆる化合物、物質の組成物、またはこれらの混合物であり得、特に、局所的または全身的に所望の生理的または薬理的効果を得ることにおいて有効な薬剤であり得る。
そのような薬剤の例としては、例えばリドカインおよびその関連化合物のような麻酔剤および鎮痛剤、ベンゾジゼパンおよびその関連化合物等;5-フルオロウラシル、アドリアマイシン、およびその関連化合物等のような抗癌剤;フルコナゾールおよびその関連化合物等のような抗真菌剤;トリソディウムホスフォモノホルメート、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、DDI、AZT等のような抗ウイルス剤;コルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシンB、およびその関連化合物等のような細胞輸送/移動妨害剤;抗緑内障剤(例えばアドレナリン作動剤、アドレナリン拮抗剤(ベータ遮断剤)、炭酸脱水酵素阻害剤(CAI、全身性および局所性)、副交感神経刺激剤、プロスタグランジンおよび降圧性脂質、ならびにこれらの組合せ)、抗微生物剤(例えば抗生剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗真菌剤等)、副腎皮質ステロイドまたはその他の抗炎症剤(例えばNSAIDその他の鎮痛化合物および疼痛管理化合物)、うっ血除去剤(例えば血管収縮剤)、アレルギー性応答を防止または改変する薬剤(例えば抗ヒスタミン剤、サイトカイン阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、IgE阻害剤、免疫調節剤)、マスト細胞安定化剤、調節麻痺剤、散瞳剤等が含まれるが、これらに限定されない。
本発明において使用される装置に組み入れることができるその他の薬剤としては、降圧剤;フェニレフリン、ナファゾリン、テトラヒドラゾリン等のようなうっ血除去剤;ムラミルジペプチドおよびその関連化合物等のような免疫応答改変剤;シクロスポリン、インスリン、成長ホルモン、インスリン関連成長因子、ヒートショックタンパク質およびその関連化合物等のようなペプチドおよびタンパク質;デキサメタゾン、プレドニゾロンおよびその関連化合物等のようなステロイド性化合物;フルオシノロンアセトニドおよびその関連化合物等のような低溶解性ステロイド;炭酸脱水酵素阻害剤;診断剤;抗アポトーシス剤;遺伝子治療剤;封鎖剤;グルタチオン等のような還元剤;抗浸透性剤;アンチセンス化合物;抗増殖性剤;抗体複合物;抗うつ剤;血流増強剤;抗喘息薬;抗寄生生物剤;イブプロフェン等のような非ステロイド性抗炎症剤;栄養素およびビタミン;酵素阻害剤;抗酸化剤;抗白内障薬剤;アルドース還元酵素阻害剤;細胞保護剤;サイトカイン、サイトカイン阻害剤、およびサイトカイン保護剤;uv遮断剤;マスト細胞安定化剤;たとえばマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤等のような抗血管新生剤のような抗新生血管剤が含まれる。
本発明において使用されるさらなる薬学活性剤の代表的例としては、ニモジピンおよびその関連化合物等のような神経保護剤;テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン等のような抗生剤;抗感染剤;スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム等のような抗細菌剤;アンタゾリン、メタピリリン、クロルフェニラミン、ピリラミン、プロフェンピリダミン等のような抗アレルギー剤;ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン21-リン酸、フルオシノロン、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21-リン酸、酢酸プレドニゾロン、フルオロメタロン、ベタメタゾン、トリミノロン等のような抗炎症剤;縮瞳剤;ピロカルピン、サリチル酸エゼリン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロホスフェート、フォスフォリンアイオダイド、臭化デメカリウム等のような抗コリンエステラーゼ剤;縮瞳剤;硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、ヒドロキシアンフェタミン等のような散瞳剤;エピネフリン等のような交感神経様作用剤;および、例えばHans Bundgaard編「Design of Prodrugs」、Elsevier Scientific Publishing Co.刊、アムステルダム、1985に記述されているもののようなプロドラッグが含まれるが、これらに限定されない。上記薬剤に加えて、哺乳類生物における状態を治療し、管理し、または診断することに適した他の薬剤をコポリマー中に封入して、本発明の薬剤送達システムを使用して投与することができる。薬学的活性剤については、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」のような標準的な薬学テキストをやはり参照することができる。
上記治療活性剤の、薬学的に許容されるあらゆる形態、例えば、遊離塩基;遊離酸;薬学的に許容されるそれらの塩、エステル、またはアミド、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、グルコヘプトン酸、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩等のような酸付加塩;ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等のようなアルカリ塩もしくはアルカリ土類金属塩;水和物;エナンチオマー;異性体;立体異性体;ジアステレオ異性体;互変異性体;多形;これらの混合物、これらのプロドラッグ、またはラセミ体もしくはこれらのラセミ混合物を、本発明の実施において利用することができる。
涙管インプラントを利用する本発明の方法において使用することができるさらなる薬剤としては、合衆国連邦食品・医薬品・化粧品法のセクション505下または公衆衛生法下で承認された薬剤(それらの内のいくつかは合衆国食品医薬品局(FDA)のウェブサイトhttp://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/indexで見出すことができる)が挙げられるが、これらに限定されない。本涙管インプラントはまた、本特許書面の出願日と同じ日付、それより早い日付、またはそれより遅い日付を有するかまたは記載している、紙版または電子版のオレンジブック(FDAのオレンジブックのウェブサイト(http://www.fda.gov/cder/ob/)において見出すことができる)に記載された薬剤と共に使用することもできる。例えば、これらの薬剤には、ドルゾラミド、オロパタジン、トラボプロスト、ビマトプロスト、シクロスポリン、ブリモニジン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、ブリンゾラミド、アシクロビル マレイン酸チモロール、ケトロラクトロメタミン、酢酸プレドニゾロン、ヒアルロン酸ナトリウム、ネパフェナク、ブロムフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、スプロフェナク、ビノキサン、パタノール、デキサメタゾン/トブラマイシンの組合せ、モキシフロキサシン、またはアシクロビルが含まれ得るが、他のものも含まれ得る。
薬剤またはその他の作用物についてのさらなる考察は、共有にかかる米国特許出願公報第2009/0104248号、米国特許出願公報第2010/0274204号、および米国特許出願公報第2009/0105749号に見出すことができ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
本発明で使用する薬剤送達システムにおける薬学的活性剤(複数可)の実際の投与量レベルは、具体的なシステムおよび投与方法について、望まれる治療的応答を得るために有効な薬学的活性剤(複数可)の量を得るために変動させ得る。従って、選ばれる投与量レベルは、例えば、望まれる治療効果、投与の経路、望まれる処置期間等のような因子に依存する。単一の、または分割された投与において宿主に投与される薬学的活性剤(複数可)の合計1日投与量は、例えば、体重、全般的健康状態、性別、食生活、投与の時間および経路、吸収および排泄の速度、他の薬剤との組合せ、処置される具体的な状態の重症度等を含む、様々な因子に依存して大きく変動し得る。一般的に、本発明の薬剤送達システム中に存在する薬学的活性剤(複数可)の量は、約0.1% w/w〜約60% w/wに渡り得、好ましくは約1% w/w〜約50% w/wである。
上記薬剤を用いて本発明の方法によって処置し得る疾患または障害の例としては、緑内障、手術前および手術後の眼処置、ドライアイ、抗眼アレルギー、抗感染症、手術後の炎症もしくは痛み、アレルギーのような呼吸関連障害、眩暈もしくは片頭痛のような内耳障害、または、高血圧症、コレステロール管理、肺障害、もしくは免疫疾患のようなその他の全身性障害が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、治療剤は、潤滑剤または界面活性剤を含むことができ、例えばドライアイを治療するための潤滑剤を含み得る。他の実施態様では、治療剤は、眼からの涙を吸収することができる吸収剤を含み得る。
本発明の方法により治療し得るさらなる疾患を含め、広範な治療的応用において、本発明のマトリックス制御拡散薬剤送達システムを使用することができる。本発明のマトリックス制御拡散薬剤送達システムは、眼性疾患、障害、および/または損傷の治療において特に有用である。そのような眼性疾患、障害、または損傷の例としては、糖尿病性網膜症、緑内障、黄斑変性症、網膜色素変性症、網膜裂孔もしくは網膜円孔、網膜剥離、網膜虚血、外傷関連の急性網膜症、炎症媒介性変性症、手術後合併症、光線力学療法(PDT)を含むレーザー療法に関連する損傷、手術光誘発性の医原性網膜症、薬剤誘発性の網膜症、常染色体優性視神経萎縮症、毒性/栄養性弱視、レーバーの遺伝性視神経症(LHOP)、眼性の徴候もしくは合併症を有するその他のミトコンドリア性疾患、血管新生、非定型性RP、バルデ・ビードル症候群、青錐体色盲、白内障、中心性輪紋状脈絡膜萎縮、コロイデレミア、錐体ジストロフィー、桿体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、桿体錐体ジストロフィー、先天性停止性夜盲、サイトメガロウイルス網膜炎、糖尿病性黄斑浮腫、優性ドルーゼン、巨細胞性動脈炎(GCA)、ゴールドマン・フェイバージストロフィー、グレーブス眼症、脳回転状萎縮症、ヒドロキシクロロキン、虹彩炎、若年性網膜分離症、カーンズ・セイヤー症候群、ローレンス・ムーン・バルデ・ビードル症候群、レーバー先天黒内障、ループス誘発性綿花状白斑、乾性黄斑変性症、湿性黄斑変性症、黄斑ドルーゼン、黄斑ジストロフィー、ドインの蜂巣状網膜変性、眼ヒストプラズマ症候群、小口病、酸化的損傷、増殖性硝子体網膜症、レフサム病、白点状網膜炎、未熟児網膜症、桿体単色性色覚、RPおよびアッシャー症候群、強膜炎、セクターRP、シェーグレン・ラルソン症候群、ソースビー眼底変性症、シュタルガルト病、ならびにその他の網膜疾患が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の方法は、様々な経路によって、処置を必要とする哺乳類に投与することができる。例えば、薬剤送達システムを、局所的薬剤送達を必要とする身体の部分(例えば眼の内部)に移植することにより使用することができる。しかしながら、典型的なマトリックス制御拡散薬剤送達システムは、眼科分野の当業者に知られるその他の外科的手順によって同様に使用することができる。例えば、この技術分野で知られる器具(例えば米国特許出願公報第2002/0002362号に開示されている柔軟性マイクロカテーテルシステムもしくはカニューレ、または米国特許第5,273,530号および第5,409,457号(これら各々の内容は参照により本明細書に組み入れられる)に開示されている網膜内送達・回収システムを利用して、処置を必要とする眼の領域に薬剤送達システムを投与することができる。薬学的活性剤は、持続的かつ長期の期間に渡って薬剤送達装置から放出され得る。任意で、薬剤放出速度は、不活性拡散障壁を付着させること(例えば薬剤送達装置の表面処理による)を通じて制御することもできる。この表面処理は当技術分野で知られる様々な表面処理技術、例えば酸化的プラズマ、蒸着、浸漬コーティング、または押出し技術によって適用することができる
治療剤は、薬学的に許容される担体(例えば賦形剤、懸濁剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、溶解剤、溶媒、分散媒、コーティング、等張剤、および当技術分野で知られるその他の物質)を伴った製剤として装置内に存在し得る。薬学製剤は、任意で、増強剤、錯化剤、標的指向化剤、安定化剤、共溶媒、加圧化ガス、または可溶化コンジュゲートを含有する。
典型的な賦形剤としては、乳糖、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールのような糖;トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のようなセルロース調製物が含まれる。好ましい賦形剤としては、乳糖、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および低分子量デンプン製品が含まれる。
加圧パック吸入器システムにおいて弁潤滑剤として作用することができる典型的な懸濁剤が望ましい。そのような物質としては、オレイン酸、単純なカルボン酸誘導体、およびトリオレイン酸ソルビタンが含まれる。
典型的な希釈剤としては、水、食塩水、リン酸緩衝のクエン酸溶液または生理食塩水、および粘液溶解性調製物が含まれる。考慮され得るその他の希釈剤としては、アルコール、プロピレングリコール、およびエタノールが含まれ、これらの溶媒または希釈剤は経口エアロゾル製剤においてより一般的である。肺胞器と適合する浸透圧またはpHを有する、薬学的に許容される希釈剤が望ましい。好ましい希釈剤としては、等張性生理食塩水、塩化ナトリウムまたはショ糖またはブドウ糖またはマンニトールで浸透圧が調節されたリン酸緩衝等張液が含まれる。
典型的な充填剤としては、液体または流体調製物におけるグリセリン、プロピレングリコール、エタノールが挙げられる。乾燥粉末吸入システム用に適した充填剤としては、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、適切なアミノ酸、および乳糖の誘導体が含まれる。好ましい充填剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、乳糖、および特定のアミノ酸が含まれる。
典型的な塩としては、生理適合性であって望まれる浸透圧調節を提供するものが含まれる。強酸または弱酸の一価塩および二価塩が望ましい。好ましい塩としては、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、リン酸ナトリウムが含まれる。
典型的な緩衝剤としては、リン酸バッファーもしくはクエン酸バッファー、または低緩衝能の混合バッファー系が含まれる。好ましい緩衝剤としては、リン酸バッファーおよびクエン酸バッファーが含まれる。
[インプラントの作製]
当業者は、本明細書で開示される方法において使用されるものとして記載されているインプラントを作製するために有用な、様々な方法に精通しているであろう。具体的な方法は上記の特許文献に記述されており、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
例えば、上述した薬剤コアは、0.006インチ、0.012インチ、および0.025インチという異なる断面サイズで製造することができる。コアの薬剤濃度は、シリコーンマトリックス中5%、10%、20%、30%であり得る。これらの薬剤コアは、注射器チューブおよびカートリッジアセンブリを用いて、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)をシリコーンと混合し、その混合物をポリイミドチューブに注入して、チューブを所望の長さに切って密閉することにより作製することができる。薬剤コアの長さは約0.80〜0.95 mmであり得、これは、直径が0.012インチ(0.32 mm)ならば、薬剤コア中のラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)総含量が、濃度が5%、10%、20%、および30%である場合にそれぞれ約3.5マイクログラム、7マイクログラム、14マイクログラム、および21マイクログラムであることに相当する。
注射器チューブおよびカートリッジアセンブリ:1. 様々な直径(例えば0.006インチ、0.0125インチ、および0.025インチ)のポリイミドチューブを15 cm長に切断することができる。2. ポリイミドチューブを注射器アダプターに挿入することができる。3. ポリイミドチューブをルアーアダプターに接着することができる(ロックタイト、低粘度UV硬化)。4. それからアセンブリの端を切り詰めることができる。5. カートリッジアセンブリを、蒸留水を用いて、続いてメタノールによって、洗浄し、それからオーブンで60℃にて乾燥させることができる。
ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)をシリコーンと混合することができる。ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)は、酢酸メチル中の1%溶液として提供し得る。適当な量の溶液をディッシュに入れ、窒素流を使用して、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)だけが残るまで溶液を蒸発させることができる。ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)のオイルの入ったディッシュを30分間真空下に置くことができる。それからこのラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)をシリコーンと組み合せ、シリコーンNuSil 6385中の3つの異なる濃度(5%、10%、および20%)のラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)を、異なる直径(0.006インチ、0.012インチ、および0.025インチ)のチューブに注入し、3x3のマトリックスを作ることができる。シリコーンに対するラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)のパーセントは、薬剤マトリックスの総重量によって決定される。計算:ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の重量/(ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の重量+シリコーンの重量)×100=薬剤のパーセント。
それからチューブに注入することができる:1. カートリッジおよびポリイミドチューブのアセンブリを1 ml注射器に挿入することができる。2. 一滴の触媒(MED-6385硬化剤)を注射器に添加することができる。3. 過剰な触媒をきれいな空気でポリイミドチューブから押し出すことができる。4. それから注射器をシリコーン薬剤マトリックスで充填することができる。5. それから、チューブがいっぱいになるまで、または注射器プランジャーが押せなくなるまで、チューブに薬剤マトリックスを注入することができる。6. ポリイミドチューブの遠位端を閉じて、シリコーンが硬くなり始めるまで圧力を維持することができる。7. 室温で12時間硬化させる。8. 真空下に30分間置く。9. それからチューブを正しいサイズの切詰め固定器(異なるサイズのチューブを保持できるような自家製のもの)に入れ、薬剤挿入物を所定の長さ(0.80〜0.95 mm)に切断することができる。
[有効レベルにおけるラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の放出]
ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の放出の速度は、薬剤コア中に溶解されたラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の濃度に関係し得る。いくつかの実施態様では、薬剤コアは、その薬剤コア中におけるラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の望ましい溶解性を提供するために選択される非治療剤を含む。薬剤コアの非治療剤は、本明細書に記載されるポリマー、および添加剤を含み得る。薬剤コアのポリマーは、マトリックス中におけるラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の望ましい溶解性を提供するように選択し得る。例えば、コアは、親水性治療剤の溶解性を促進させ得るハイドロゲルを含み得る。いくつかの実施態様では、ポリマーに官能基を加えて、マトリックス中におけるラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の望ましい溶解性を提供することができる。例えば、シリコーンポリマーに官能基を付けることができる。
添加剤を使用して、薬剤コアにおけるラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の溶解性を上昇または減少させることにより、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の濃度を制御し、それによってラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の放出動態を制御することができる。マトリックス中におけるラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の含量を増加または減少させる適切な分子または物質を提供することにより、溶解性を制御し得る。ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の含量は、マトリックスおよびラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の疎水性または親水性特性に関係し得る。例えば、界面活性剤および塩をマトリックスに添加することができ、これらはマトリックス中の疎水性ラタノプロストの含量を増加させ得る。さらに、油および疎水性分子をマトリックスに添加することができ、これらはマトリックス中の疎水性治療剤の溶解性を上昇させ得る。
マトリックス中で溶解したラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の濃度に基づく移出速度を制御することに代えて、またはそのことに加えて、薬剤コアの表面積を制御して、コアから標的部位への薬剤移動の所望速度を達成することもできる。例えば、コアのより大きな露出表面積は、薬剤コアから標的部位への治療剤の移動速度を上昇させ、薬剤コアのより小さな露出表面積は、薬剤コアから標的部位へのラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の移動速度を減少させる。薬剤コアの露出表面積は多くの方法で増加させることができ、例えば、露出表面のキャスタレーション、涙もしくは涙膜と接続する露出チャンネルを有する多孔性表面、露出表面の湾入、露出表面の突出のうちのいずれかによって増加させ得る。露出表面は、溶解性の塩であって溶解後に多孔性の空洞を残すものを添加することによって多孔性にすることができる。ハイドロゲルを使用することもでき、これは、サイズが膨張してより大きな表面積を露出させることができる。そのようなハイドロゲルを多孔性のものとして、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の移動速度をさらに上昇させ得る。
さらに、例えば米国特許第4,281,654号に開示されている構造のように、2つ以上の薬剤の組合せを放出する能力を有するインプラントを使用し得る。例えば、緑内障の治療の場合には、複数のプロスタグランジン、またはプロスタグランジンとコリン作用剤もしくはアドレナリン拮抗剤(ベータ遮断剤)(例えばアルファガン(登録商標))、またはラタノプロストと炭酸脱水酵素阻害剤を用いて患者を処置することが望ましくなり得る。
さらに、米国特許公報第2002/0055701号に開示されているもののような薬剤含浸メッシュ、または米国特許公報第2005/0129731に記載されているような生体安定性ポリマーの積層を使用することもでき、これらの開示はその全体が本明細書に組み入れられる。ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)を本発明の装置に組み入れるためにある種のポリマー過程を使用することができ、例えば、いわゆる「自己送達薬剤」あるいはポリマードラッグズ(PolymerDrugs)(ポリメリックス社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)は、治療的に有用な化合物と生理的に不活性なリンカー分子とだけに分解するように設計されており、これは米国特許公報第2005/0048121号にさらに詳細に記述されていてその全体が参照により本明細書に組み入れられる。そのよな送達ポリマーを本発明の装置において活用して、ポリマーの浸食および分解の速度と同等であり治療期間に渡って一定である放出速度を提供することができる。そのような送達ポリマーは、装置のコーティングとして、または薬剤貯蔵注入物(例えば本発明の貯蔵器としてのもの)のための微小球体の形態において、使用され得る。米国特許公報第2004/0170685号に記載されているもの、およびメディバス社(カリフォルニア州サンディエゴ)から利用可能となっている技術のように、さらなるポリマー送達技術を本発明の装置に構成することができる。
特定の実施態様において、薬剤コアマトリックスは、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の含有物を封入する固形材料(例えばシリコーン)を含む。薬剤は、水中では非常に不溶性であって、封入薬剤コアマトリックス中ではわずかに可溶性である分子を含む。薬剤コアに封入される含有物は、直径が約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである寸法を有する微小粒子であり得る。薬剤含有物はオイル、例えばラタノプロストオイルの液滴を含み得る。薬剤含有物は固形薬剤コアマトリックス中に溶解して、薬剤コアマトリックスを薬剤で実質的に飽和させることができ、例えば固形薬剤コアマトリックス中にラタノプロストオイルが溶解する。薬剤コアマトリックスに溶解した薬剤は、多くの場合は拡散によって、薬剤コアの露出表面から涙膜へと輸送される。薬剤コアは薬剤によって実質的に飽和しているので、多くの実施態様では、涙膜に晒された薬剤コアマトリックスの表面からの薬剤の移動が、薬剤送達の律速段階である。薬剤コアマトリックスは薬剤によって実質的に飽和しているので、マトリックス内の薬剤濃度の勾配は最小限であり、薬剤送達の速度に有意な貢献はしない。涙膜に晒された薬剤コアの表面積はほぼ一定なので、薬剤コアから涙膜への薬剤移動の速度は実質的に一定であり得る。天然に存在する界面活性剤がラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の水中における溶解性に影響し得、薬剤の分子量が固形マトリックスから涙への薬剤の移動に影響し得る。多くの実施態様では、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)は水にほぼ不溶性であり、重量にして約0.03%〜0.002%の水中溶解性、および約400グラム/モル〜約1200グラム/モルの分子量を有する。
多くの実施態様において、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)は、例えば約0.03重量%〜約0.002重量%という非常に低い水中溶解性、および、約400グラム/モル(g/mol)〜約1200 g/molの分子量を有し、有機溶媒中では容易に可溶性である。ラタノプロストは室温において液状油であり、25℃にける水中の水溶性が50マイクログラム/mLあるいは約0.005重量%であり、分子量が432.6 g/molである。
涙膜中の天然に存在する界面活性剤、例えば界面活性物質Dおよびリン脂質は、固形マトリックス中に溶解した薬剤の、コアから涙膜への輸送に影響を与え得る。いくつかの実施態様では、薬剤コアは、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の涙膜中への治療的レベルにおける持続的送達を提供するために、涙膜中の界面活性剤に応じて構成することができる。例えば、患者群から経験的データを得ることができ、例えば10人の患者から涙を採取して界面活性剤含量について分析する。水中ではわずかしか溶解性でない薬剤について、採取した涙における溶出プロファイルを測定して、バッファーおよび界面活性剤における溶出プロファイルと比較し、涙界面活性物質のインビトロモデルを開発することもできる。この経験的データに基づく界面活性剤のインビトロ溶液を使用して、涙膜の界面活性物質に応じた薬剤コアを調節することができる。
薬剤コアは、送達する分子のサイズに依存してナノ粒子またはマイクロ粒子のようなキャリアー媒体、例えば複合体およびナノテクスチャー化表面のための潜伏反応性ナノ繊維組成物(イノベイティブサーフェイステクノロジーズ社、ミネソタ州セントポール)、バイオシリコン(登録商標)として知られるナノ構造多孔性シリコン(ミクロンサイズの粒子、膜、織り繊維または微細機械加工インプラント装置を含む)(pSividia社、英国)、および、選ばれた細胞を標的として薬剤を送達するタンパク質ナノケージシステム(キメラコア社)を利用するように改変することもできる。
多くの実施態様において、薬剤挿入物は、薬剤送達のためのマトリックスとして作用する医学グレード固形シリコーンであるNusil 6385(MAF 970)中に分散されたラタノプロストを含む薬剤コアを伴った薄壁ポリイミドチューブ鞘を含む。薬剤挿入物の遠位末端は、固形ロックタイト4305医学グレード接着剤の硬化フィルムによって密封される。薬剤挿入物は涙点インプラントの穿孔内に配置することができ、ロックタイト4305接着剤は組織にも涙膜にも接触することはない。薬剤挿入物の内径は0.32 mmであり得、長さは0.95 mmであり得る。仕上げられた薬剤製品において少なくとも4つのラタノプロスト濃度を採用することができる。すなわち、薬剤コアは、3.5、7、14、または21マイクログラムのラタノプロストを含むことができ、重量パーセント濃度はそれぞれ5、10、20、または30%となる。約100 ng/日の全体的溶出速度を仮定すると、14マイクログラムのラタノプロストを含む薬剤コアは、およそ少なくとも100日間、例えば120日間に渡って薬剤を送達するように構成される。ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)を含む薬剤コアの全体的重量は約70マイクログラムであり得る。ポリイミドスリーブを含めた薬剤挿入物の重量は約100マイクログラムであり得る。一実施態様において、薬剤コアは46マイクログラムのラタノプロストを含むことができ、別の実施態様では、薬剤コアは95マイクログラムのラタノプロストを含むことができる。
多くの実施態様において、薬剤コアは、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の初期上昇レベルを溶出した後に、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の実質的に一定な溶出をし得る。多くの場合、コアから1日に放出されるラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の量は、治療的レベルより下であってなおかつ患者に利益をもたらし得る。ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の上昇された溶出レベルは、ラタノプロストもしくはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の残留量またはラタノプロストもしくはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の残留効果をもたらし得、これが治療量に満たないラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)と組み合わさって、患者に寛解を提供する。治療的レベルが1日当たり約80 ngである実施態様では、装置は、初期送達期間については1日当たり約100 ngを送達し得る。1日当たり20 ngの剰余送達分は、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)が治療的レベルより下のレベル(例えば1日当たり60 ng)で放出される際に有益な効果を有し得る。送達される薬剤の量は正確に制御できるので、初期の上昇投与量が患者に合併症や有害事象を引き起こさないようにすることができる。
特定の実施態様では、本発明の方法は、ベースラインから約24%の眼内圧のパーセンテージ低減をもたらす。いくつかの実施態様では、本発明の方法は、ベースラインから約23%、約22%、約21%、または約20%の眼内圧のパーセンテージ低減あるいは減少をもたらす。特定の実施態様では、本発明の方法は、ベースラインから少なくとも24%、少なくとも23%、少なくとも22%、少なくとも21%、少なくとも20%、少なくとも15%、または少なくとも10%の眼内圧のパーセンテージ低減あるいは減少をもたらす。
特定の実施態様では、本発明の方法は、処置期間に渡ってベースラインから約2 mm Hg、約3 mm Hg、約4 mm Hg、約5 mm Hg、約6 mm Hg、または約7 mm Hgの眼内圧低減をもたらす。特定の実施態様では、本発明の方法は、ベースラインから少なくとも2 mm Hg、少なくとも3 mm Hg、少なくとも4 mm Hg、少なくとも5 mm Hg、少なくとも6 mm Hg、または少なくとも7 mm Hgの眼内圧低減をもたらす。いくつかの実施態様では、眼内圧は、24 mm Hg以下、23 mm Hg以下、22 mm Hg以下、21 mm Hg以下、20 mm Hg以下、19 mm Hg以下、18 mm Hg以下、17 mm Hg以下、または16 mm Hg以下、15 mm Hg以下、14 mm Hg以下、もしくは13 mm Hg以下に低減される。
一実施態様において、本発明のインプラントおよび方法は、90日コースの処置を提供する。別の実施態様では、本発明のインプラントおよび方法は、60日コースの処置を提供する。さらに別の実施態様では、本発明のインプラントおよび方法は、45日コースの処置を提供する。さらに別の実施態様では、本発明のインプラントおよび方法は、処置される疾患および送達される治療剤に依存して、30日コースの処置を提供する。その他の実施態様は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、または12週間の処置を含む。いくつかの実施態様では、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の有効レベルが処置の全期間のあいだ放出される。さらなる実施態様では、処置期間のあいだの眼内圧の変動性は約1 mm Hg未満である。別の実施態様では、処置期間のあいだの眼内圧の変動性は約2 mm Hg未満である。別の実施態様では、処置期間のあいだの眼内圧の変動性は約3 mm Hg未満である。
本明細書に記述されるインプラントは、上涙点、下涙点、または両方に挿入することができ、対象者の片目または両目に挿入することができる。
本発明の実施態様は、下記の非限定的な実施例により記述され得る。
[患者非遵守]
様々な眼性障害の治療のために点眼薬を使用している患者による高い非遵守率を示す数多くの研究が刊行されている。1つの研究は、指示されたように点眼薬を使用したのはわずか64%の患者にすぎなかったことを示した(Winfield AJら、「A study of the causes of non-compliance by patients prescribed eyedrops.」Br J Ophthalmol. 1990年8月;74(8):477-80)。別の研究は、緑内障のために点眼薬を使用している患者の41%が、30日の期間のあいだに6回以上の投与を怠ったことを示した(Norell SEおよびGranstrom PA「Self-medication with pilocarpine among outpatients in a glaucoma clinic.」Br J Ophthalmol. 1980年2月;64(2):137-41)。
典型的な一実施態様において、本明細書に記述される発明は、点眼薬投与に関連する非遵守の問題を回避する、緑内障を治療する方法を提供する。いくつかの実施態様では、本発明の方法は、点眼薬投与と比較して、患者非遵守率を有意に低下させ、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%低下させる。いくつかの実施態様では、本明細書に記述される方法による全体的患者非遵守率は、約5%、約10%、約15%、約20%、または約25%である。
患者非遵守は、本発明のインプラントが患者によって意図的に取り除かれた場合、または、患者の涙点からそのインプラントが意図せず失われたときに患者がインプラントの再挿入を求めなかった場合に起こり得る。インプラントが意図的に取り外され、約48時間経過前に患者が再挿入を求めた場合には、患者遵守が充足されたとみなされる。インプラントが意図的に取り外され、患者がインプラントの取外しまたは喪失から約24時間経過前に再挿入を求めた場合にも、患者遵守が充足されたとみなされる。
[治療方法]
様々な実施態様において、本明細書に記述される発明は、治療剤を用いて緑内障、眼内圧亢進、および緑内障関連眼内圧亢進を治療する方法を提供する。本発明により治療可能な緑内障の例としては、原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、過分泌緑内障、高眼圧症、急性閉塞隅角緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、混合型緑内障、副腎皮質ステロイド緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障、嚢性緑内障、プラトー虹彩症候群等が含まれる。
一実施態様において、本発明は、緑内障および/または高眼圧症に対して有効な治療剤を徐放態様にて送達する涙点プラグを用いてこれらの状態を治療する方法を提供する。放出は、治療的に有用であるために十分な速度および量において起こる。様々な実施態様において、治療剤はプロスタグランジンであり、例えばラタノプロストである。
典型的な一実施態様において、処置される状態は原発開放隅角緑内障(POAG)および高眼圧症(OH)であり、プロスタグランジン誘導体の徐放製剤が提供される本発明の涙点プラグを用いて処置される。この方法では、患者当たり1〜4個の涙点プラグが挿入され得る。典型的な涙点プラグは、約40μg〜約115μgのプロスタグランジンと共に製剤される。様々な実施態様において、プロスタグランジンはラタノプロストである。様々な実施態様において、プラグは46μgまたは95μgのラタノプロストと共に製剤され、従って、46μg、92μg、95μg、141μg、または190μgから選択される投与量が各眼に投与される。一実施態様では、141μgのラタノプロストが1つの眼に投与された。別の実施態様では、190μgのラタノプロストが1つの眼に投与された。患者は各眼に同じ量のラタノプロストの投与を受けることもできるし、各眼に異なる量の投与を受けることもできる。
いくつかの実施態様では、持続的な期間に渡って治療剤が眼に放出される。一実施態様では、その持続的な期間は、少なくとも約14日間、約21日間、約28日間、約45日間、約60日間、または少なくとも約90日間である。いくつかの実施態様では、本方法は、本体および薬剤コアを有するインプラントを、涙点を通して挿入し、薬剤コアが涙点付近に保持されるようにすることを含む。いくつかの実施態様では、本方法は、治療剤が全体に分散された本体を有するインプラントを、涙点を通して挿入することを含む。いくつかの実施態様では、インプラントの近位端付近に位置する薬剤コアまたは薬剤分散本体の露出表面が、涙または涙膜液と接触して、持続的期間に渡ってラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)がその露出表面から眼に移動し、そのあいだ薬剤コアおよび本体は少なくとも部分的に涙点内に保持される。典型的な一実施態様において、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)を用いて眼を治療する方法が提供され、その方法は、任意で保持構造を有するインプラントを涙点を通して涙小管内腔中へ挿入することを含み、インプラント本体は保持構造によって内腔の壁に係留される。インプラントは、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の有効量を、薬剤コアまたはその他の薬剤供給部から眼の涙または涙膜の液へと放出する。いくつかの実施態様では、保持構造が内腔に係留され続けているあいだ、薬剤コアが保持構造から取り外され得る。それから、保持構造が係留されたままで、換えの薬剤コアを保持構造に装着することができる。換えの薬剤コアの少なくとも1つの露出表面が、持続的期間に渡って、治療的レベルにおけるラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)を放出する。
換えのインプラント、あるいは他の実施態様では換えの薬剤コア(これは、いくつかの実施態様では、保持構造に装着されるかまたはそれ自体に保持構造を含み得る)は、約30日ごと、約60日ごと、または約90日ごとに保持構造に装着されて、約180日間、約270日間、約360日間、約450日間、約540日間、約630日間、約720日間、約810日間、または約900日間の期間に渡って、眼への薬剤の連続的放出をもたらし得る。いくつかの実施態様では、換えのインプラントは、約30日ごと、約60日ごと、または約90日ごとに涙点に挿入されて、長期間に渡る眼への薬剤の放出を達成し、その期間としては、約180日間まで、約270日間まで、約360日間まで、約450日間まで、約540日間まで、約630日間まで、約720日間まで、約810日間まで、または約900日間までの期間が含まれ得る。
別の実施態様では、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)を用いて眼を治療するための方法が提供され、その方法は、眼の少なくとも1つの涙点に、薬剤コアまたはその他のインプラント体を少なくとも部分的に挿入することを含む。薬剤コアは、別個のインプラント体構造に付随していてもしていなくてもよい。薬剤コアまたは薬剤含浸インプラント体は、治療的レベルにおけるラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の徐放送達を提供する。いくつかの実施態様では、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の徐放送達は、90日間までに及んで継続する。
典型的な一実施態様において、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)を用いて眼を治療するための方法が提供され、その方法は、インプラントの遠位端を、眼の少なくとも1つの涙点および少なくとも1つの涙小管に挿入することを含む。いくつかの実施態様では、インプラントの保持構造をフィットさせて、インプラントが外れることを防止する。保持構造の拡張は、涙点を通した涙液の流れを遮断することを助け得る。いくつかの実施態様では、インプラントは、移植された際に、インプラントが外れることを防止するために、インプラントの近位端により規定される第1軸とインプラントの遠位端により規定される第2軸との間に少なくとも45度の角度の交差が存在するように構成される。ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)は、インプラントの近位端から、隣接する眼の涙液に送達される。ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の送達は、近位端から遠位では抑制される。
本発明の方法は、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の持続的放出を提供する。いくつかの実施態様では、活性剤は、インプラントから少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、少なくとも12週間、少なくとも13週間、少なくとも14週間、少なくとも15週間、または少なくとも16週間放出される。いくつかの実施態様では、活性剤はラタノプロストである。一実施態様では、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)は少なくとも12週間放出される。典型的な一実施態様において、本発明による治療方法は、ラタノプロスト送達点眼溶液を用いた補助的療法を含む(例えばキサラタン(登録商標))。
インプラントに付随するラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の量は、望まれる治療的利益、および装置が治療物を送達することが意図される時間に依存して、変動させることができる。本発明の装置は様々な形状、大きさ、および送達機構であるので、装置に付随する薬剤の量は、処置される具体的な疾患または状態、ならびに、治療的効果を達成することが望まれる投与量および時間に依存する。一般的に、ラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の量は、少なくとも、装置から放出された際に局所的または全身的に所望の生理的または薬理的効果を達成する上で有効な薬剤の量である。
本発明のインプラントの特定の実施態様は、互いに組み合わせて、または別個に、治療的に有効な液滴形態の治療と同等以上の日率においてラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の送達を提供するよう構成され得る。本発明のインプラントの別の実施態様は、互いに組み合わせて、または別個に、点眼薬の1日当たりの投与に相当する臨床的結果を可能とする日率においてラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の送達を提供するよう構成され得る。本発明のインプラントの別の実施態様は、治療的に有効な液滴形態の治療を超える日率においてラタノプロストまたはその他の眼内圧低減治療剤(複数可)の送達を提供するよう構成され得る。
比較のために、標準的治療すなわち点眼薬(例えばキサラタン(登録商標)液滴)の推奨1日総投与量は、約1.5マイクログラムのラタノプロストを全て一度に眼に送達する(35マイクロリットルの液滴体積を仮定)。本発明の実施態様では、1日当たり少なくとも1.5マイクログラムのラタノプロストの持続的放出を投与することができる。例えば、一実施態様では、徐放眼科薬剤送達システムは、眼の下涙点に位置する第1の涙管インプラントと、同じ眼の上涙点に位置する第2の涙管インプラントとの組合せから、キサラタン(登録商標)液滴(すなわち点眼薬形態)におけるラタノプロストの推奨1日総投与量と同等以上の総量のラタノプロストを、24時間に渡って持続的に眼に放出するように構成され得る。別の実施態様では、キサラタン(登録商標)液滴におけるラタノプロストの推奨1日総投与量の少なくとも2倍が、同じ眼の下涙点および上涙点にそれぞれ存在する第1の涙管インプラントおよび第2の涙管インプラントの組合せから放出され得る。一実施態様では、2つの涙管インプラントで患者の両目が同時に処置され得る。
インプラントを挿入し取り外す方法は当業者に知られている。例えば、インプラントの挿入および除去/摘出のためのツールが米国特許出願第60/970,840号(2007年9月7日に出願され、「Insertion and Extraction Tools for Punctal Implants」と題される)に記述されており、その開示はその全体が本明細書に組み入れられる。一般的に、設置に関しては、使用するべき涙点インプラントのサイズは、適切な拡大率を使用して、あるいは、もし提供されるならば、涙点インプラントに付随するサイズ決定ツールを使用して、決定することができる。患者の涙点は、涙点インプラントをはめるために、必要ならば拡張することができる。涙点へのインプラントの設置を促進するために、必要ならば、一滴の潤滑剤を適用することができる。適切な設置器具を使用して、インプラントを眼の上涙点または下涙点に挿入することができる。設置後、インプラントのキャップが視認され得る。患者のもう一方の眼についてこの過程を繰り返すことができる。インプラントの除去のためには、小さな手術用鉗子を使用して、キャップ下のチューブ区域にてインプラントをしっかりと捕捉することができる。緩やかな引っ張る動きを使用して、インプラントを穏やかに回収することができる。
[キット]
本発明はまた、典型的な実施態様において本発明の方法において使用するインプラントを1つ、2つ、3つまたは4つ含む、キットを利用する方法を提供する。典型的な一実施態様において、インプラントは滅菌される。様々な実施態様では、挿入ツールも提供される。この実施態様において使用される典型的な挿入ツールは本明細書において提示される。様々な実施態様において、ツールのピン(760)をインプラントの穿孔(385)に係合させることにより、少なくとも1つのインプラントが挿入ツールと係合される。様々な実施態様において、ツールは滅菌される。典型的な一実施態様において、キットの構成要素は、涙点にインプラントを装着することについての説明書、局所用麻酔、局所麻酔用の投与装置、または涙点へのインプラントの装着において使用する別の構成要素のうちの、1つ以上と共にパッケージ化される。
以下の実施例は、本発明の典型的実施態様を説明するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解するべきではない。
[実施例1―ラタノプロストを含有するラタノプロスト涙点プラグ送達システム(L-PPDS)の安全性および有効性の評価]
高眼圧症(OH)または開放隅角緑内障(OAG)を有するヒト被験者において、ラタノプロスト涙点プラグ送達システム(L-PPDS)の安全性および有効性を評価するためのフェーズII非盲検臨床試験を行った。
このフェーズII治験は、日毎に投与されるキサラタン(登録商標)点眼薬に相当する臨床的結果を可能とすることを目標とする、日毎の薬剤負荷量を送達するために、上涙点および下涙点の両方に涙点プラグを同時に設置することを行うものであった。全体的な目標は、IOPを平均5 mm Hg 以上低減させることであった。このフェーズII試験の一次的な評価項目は、2週間における、ベースラインからのIOPの平均変化(mm Hgとして測定される)であった。二次的な評価項目は、4週間における、ベースラインからのIOPの平均変化、ならびに、2週間および4週間におけるIOPの平均パーセンテージ変化であった。この試験では、合計95人のITT(治療意図)被験者がL-PPDS処置に含められた。この群について、ベースラインとしての平均IOPは25.8 mm HGであった(ベースラインの範囲は22.5 mm Hg〜33 mm Hgであった)。
2週間のL-PPDS処置後、IOPは、-6.2 mm Hgという、統計学的に有意な、ベースラインからの平均変化を示した(95% C.I. -6.8、-5.6)。第2週の最後において、73%の被験者が、5 mm Hg以上の、ベースラインに対するIOP低減を示し、51%の被験者が、6 mm Hg以上の低減を示した。2週間における、ベースラインからのIOPの平均パーセンテージ変化は-24.3%であり、これは統計学的に有意であった(95% C.I. -26.7、-21.9)。
4週間のL-PPDS処置後、IOPは、-5.7 mm Hgという、統計学的に有意な、ベースラインからの平均変化を示した(95% C.I. -6.5、-4.9)。第4週の最後において、60%の被験者が、5 mm Hg以上の、ベースラインに対するIOP低減を示し、47%の被験者が、6 mm Hg以上の低減を示した。4週間における、ベースラインからのIOPの平均パーセンテージ変化も22.3%にて統計学的に有意であった(95% C.I. -25.4、-19.2)。
被験者らには、上L-PPDS(46μg)および下L-PPDS(95μg)において特定されたラタノプロスト濃度を含むL-PPDSが取り付けられた。
[試験手順]
スクリーニング訪問のあいだ、被験者らには約15分間〜2時間に渡って試用涙点プラグが取り付けられ、取付けおよび適格性を評価した。患者の各眼において、洗い流し前のIOP測定値が決定され、有害装置事象(ADE)も監視された。試用取付けの後、被験者らは洗い流し期間を開始し、そこでは被験者らはIOP適格性を評価するために最短4週間、最長6週間に渡って局所的プロスタグランジン療法を中断した。
洗い流し後、2〜4日の間隔を置いた2回の別々の訪問(第-2日および第0日試験訪問)で、患者の各眼においてベースラインIOPを測定し、これは患者が以前の局所的プロスタグランジン療法を洗い流した後であった。
試験の開始時(第0日)において、各患者は、各眼の各涙点にL-PPDSが両側挿入され、その後各訪問時に調べられた。L-PPDSが自発的に外れた場合には、患者当たり1つの換えL-PPDSが許された。第4週の訪問においてL-PPDSは除去された。
L-PPDSの設置後、被験者らは、4週間の処置期間のあいだ処置下発現事象または有害事象(Ae)について監視された。被験者らは週ごとの経過観察訪問をし、第4週において最終試験訪問をした。第0日および最終訪問において、5分間の麻酔を伴うシルマー検査によって涙体積を測定した。毎回の訪問において、スネレン表を使用して最善の矯正で視力を測定した。毎回の訪問で、各眼において、L-PPDS設置の検査を含む生体顕微鏡検査を行った。標準化された質問技法を用いて、処置下発現の眼性および全身性Aeならびに併用の薬物が毎回の訪問において監視された。最終訪問において、自動化視野測定を行って視野を測定した。最終訪問において眼底検査を実施した。
毎回の訪問で、各眼においてゴールドマンIOP測定値(平均3回の測定)を測定した。ベースラインIOPは、少なくとも48時間隔てられた2つの別々の日に採られた。具体的には、IOP測定は各訪問の午前8:30(±30分)に行った。
[L-PPDS]
上涙点の各L-PPDSは専売的涙点プラグのデザインのものであり、46μgのラタノプロスト強度を有していた。不活性成分は、医学グレードシリコーン、ポリイミドチューブ、DMPC、シアノアクレレート医学グレード接着剤、および2%緑着色料であった。各L-PPDSは、別々の滅菌マイラーフォイルパウチ中に供給された。
下涙点の各L-PPDSは専売的涙点プラグのデザインのものであり、95μgのラタノプロスト強度を有していた。不活性成分は、医学グレードシリコーン、ポリイミドチューブ、DMPC、シアノアクレレート医学グレード接着剤、および2%緑着色料であった。下涙点のL-PPDSは挿入ツールに事前装填された。各L-PPDSおよび挿入ツールは、滅菌マイラーフォイルパウチに入れられたトレーにて供給された。
図13は、処置期間中の週ごとのベースラインからの眼内圧(IOP)平均低減値を示す。図14は、ベースラインから≧5 mm Hg、ベースラインから≧6 mm Hg、およびベースラインから≧7 mm HgのIOP低減を記録した被験者のパーセントを週ごとにを示す。
本試験における二次的な評価項目は、2週間および4週間のL-PPDS処置における、ベースラインからの平均IOPのパーセンテージ変化であった。図15は、処置期間のあいだの週ごとの、ベースラインからのIOPの平均低減値を示す。2週間の時点において、ベースラインから-24.3%というパーセンテージ変化(95% C.I. -26.7、-21.9)は統計学的に有意であり、4週間の時点において、ベースラインから-22.3%というパーセンテージ変化(95% C.I. -25.4、-19.2)も統計学的に有意であった。
IOP低減結果を表2に要約する。
Figure 0006100782
[プラグ保持結果]
下涙点プラグは、4週間の試験の期間全体で、被験者あたり94%以上の保持を達成した。上涙点プラグは、試験期間全体で、被験者あたり40%の保持率を示した。
[処置の安全性および忍容性の評価]
L-PPDSは試験期間中、良好に忍容された。Aeの大部分は眼性の性質のものであったが、しかしいずれも深刻なAeではなかった。最も頻繁に報告されたAEは軽度から中程度の流涙であった。涙点プラグに関係した不快感を経験した被験者はほとんどいず、大部分の被験者は、第4週までには涙点プラグについて自覚がないかまたは少しの自覚があるだけであった。
[実施例2―異なる投与量におけるL-PPDSの臨床試験の比較]
OHまたはOAGを有する300人を超えるヒト被験者において、いくつかの臨床試験を行なって、L-PPDS処置についての安全性、有効性、および投与量を評価した。これらの試験は、主に下涙点に位置するL-PPDSを介して送達される、眼あたり3.5〜95μgの投与量範囲に渡るL-PPDSの予備的安全性および有効性を調査した。例えば、ClinicalTrials.govの識別番号NCT00967811、「高眼圧症(OH)または開放隅角緑内障(OAG)を有する被験者におけるラタノプロスト涙点プラグ送達システム(L-PPDS)の異なる製剤(E1およびE2)の非盲検フェーズ2試験」、試験開始日2009年8月(他の試験ID番号:PPL GLAU 07)(参照により本明細書に組み入れられる);および、ClinicalTrials.govの識別番号NCT01037036、「高眼圧症(OH)または開放隅角緑内障(OAG)を有する被験者における、付属的キサラタン(登録商標)点眼薬を伴うラタノプロスト涙点プラグ送達システム(L-PPDS)の非盲検フェーズ2試験」、試験開始日2009年12月17日(他の試験ID番号:PPL GLAU 08)(参照により本明細書に組み入れられる)を参照。刊行されている臨床的結果に基づけば、キサラタン(登録商標)点眼薬に関連するIOP低減の平均IOP低減値の規模は、期待される程度に満たないものであった。しかしながら、L-PPDSについての結果は、一定の被験者においてキサラタン(登録商標)に期待されるであろうIOP低減が得られたことを示している。全ての試験は、眼あたり1つの涙点だけを閉塞させた。L-PPDSについての全体的な平均IOP低減は、ラタノプロスト濃度が眼あたり3.5μg〜95μgであったことに関わらず、大部分の試験のあいだで似通ったものであった(-3〜-5 mmHgの範囲)。具体的には、実施例1に記述された臨床試験、ならびに、44μgおよび81μgのラタノプロスト濃度を含有するL-PPDSの臨床試験(ClinicalTrials.govの識別番号NCT00820300、「高眼圧症(OH)または開放隅角緑内障(OAG)を有する被験者における、ラタノプロスト涙点プラグ送達システム(L-PPDS)の非盲検フェーズ2試験」、試験開始日2009年1月(他の試験ID番号:PPL GLAU 03)(参照により本明細書に組み入れられる)と2つの異なる95μg製剤のものとによる平均IOP低減値が比較され、ここで、その2つの95μg製剤(E1およびE2)は、異なる平均1日投与量を送達するように開発されたものであった(ClinicalTrials.govの識別番号NCT00967811、「高眼圧症(OH)または開放隅角緑内障(OAG)を有する被験者におけるラタノプロスト涙点プラグ送達システム(L-PPDS)の異なる製剤(E1およびE2)の非盲検フェーズ2試験」、試験開始日2009年8月(他の試験ID番号:PPL GLAU 07)(参照により本明細書に組み入れられる)を参照)。表3は、これら臨床試験におけるL-PPDS処置の最初の4週間のあいだの、ベースラインからの平均IOP変化の範囲を要約する。表4は、第2週および第4週におけるIOP変化(mm Hg)を被験者の数(パーセント)により要約している。
Figure 0006100782
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44μg、81μg、および95μgの濃度のラタノプロストを含有するL-PPDSの処置の4週間の期間中に、≧5 mm Hgの平均IOP変化は観察されなかった。実施例1に記述される臨床試験で記録された141μgの合計ラタノプロスト濃度を含有するL-PPDSによるものでは、より低いラタノプロスト投与量を含むL-PPDSと比較して、平均IOP低減が有意に大きかった。141μgの合計ラタノプロスト濃度を有するL-PPDSにおけるベースラインからの平均IOP変化は、-5.7 mm Hg〜-6.8 mm Hgという大きなものであった。
[実施例3―L-PPDS(95μg)コアの調製方法]
NuSilシリコーンMED6385部分Aを最低5分間撹拌し、その63 mgを秤量してガラススライド上に移した。その同じガラススライドに、ラタノプロスト(台湾、台北のエバーライトケミカル社から入手)(48 mg)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)(9 mg)、およびNuSil Med6382架橋剤(2.4 mL)を添加した。0.5μLのハミルトン注射器を使用して、Nusil MED6385部分B(0.348μL)を直接ミニスパチュラ上に移した。ラタノプロスト、NuSil MED6382架橋剤、NuSilシリコーンMED-6385部分B、およびDMPCを2〜5分間一緒に混合し、均質な混合物を形成した。得られた混合物をNuSilシリコーンMED6385部分Aと組み合せ、さらに2分間混合して均質な混合物を形成し、事前に調製された注射器アセンブリにこれを直ちに移した。それから注射器をアダプターによってポリイミドチューブ(0.024" OD)に取り付けた。ポリイミドチューブは冷却ジャケットにより4℃の温度に維持された。2分後、システムの圧力を2.5分間に渡って40 psiまで上昇させることによって、混合物をポリイミドチューブに注入した。いったん混合物がポリイミドチューブを通って端まで押し出されたら、チューブを切断して両末端を留めた。40℃、80%相対湿度の加湿チェンバー内に24〜96時間チューブを置いてシリコーンを硬化させ、そしてチューブを1.0 mm長に切断した。切断されたチューブの底末端にロックタイト4305(ヘンケルアドヒーシブテクノロジーズ社)を適用して、100W UV硬化チェンバー内で20秒間硬化させた。それからこれらのコアを、接着された末端が空洞の底に位置するように、涙点プラグの空洞に挿入した。
[実施例4―PP DEV 05:プロトタイプ涙点プラグ設計反復の物理的および臨床的特性をさらに評価するための装置評価調査]
[調査目的]
涙点プラグ設計反復の物理的および臨床的な性能特性を評価すること。
[調査デザイン]
これは、プロトタイプ涙点プラグの物理的および臨床的な性能特性を評価するための、複数施設・装置評価・実現可能性調査である。およそ500人に及ぶ被験者が米国内の5〜15箇所において参加登録する。薬剤処置は投与されない。本調査は、涙点プラグプロトタイプの物理的(取り扱い)および臨床的(快適性、流涙、保持)特性を評価する。この調査は反復性であり、データを継続的に監視して、さらなる改良が示唆される場合には涙点プラグに設計変更がなされる。調査用プラグ検出補助器も評価され得る。
被験者らは2つの群のうちの1つに登録される。第1群は2回の12週間プラグ設置期間を受ける。第2群は、2回の2週間プラグ設置期間を経た後に、1回の12週間プラグ設置期間を受ける。プラグ設置は両眼の下および上涙点において試みられる。被験者が本調査に適格とされるためには、少なくとも1つの眼の上および下涙点の両方で設置が成功しなければならない。スポンサーは、各設置期間に各被験者がどのプラグ反復設計物を使用するべきかを事前に書面にて施設に通知する。第1群については、調査のための訪問(来診)は第0日目ならびに第4週目、第8週目、第12週目、第16週目、第20週目、および第24週目になされ、プラグ設置は第0日目および第12週目の訪問において行なわれる。第2群については、調査のための訪問は第0日目ならびに第1週目、第2週目、第3週目、第4目、第8目、第12週目、および第16週目になされ、プラグ設置は第0日目、第2週目、および第4週目の訪問において行なわれる。
第1群または第2群の処置スケジュールを完了した被験者またはそのスケジュールから退出した被験者は、調査(第1群または第2群のいずれか)に再参加することができる。再参加した被験者には新しい被験者番号が割り当てられ、再びスクリーニング手順が行われる。
調査期間全体に渡って安全性が評価される。
[調査群]
被験者は50歳以上の男性および女性のボランティアである。主な除外基準としては以下のものが含まれる。
・瞼スクラブを要する過去または現在の瞼の疾患(すなわち、中程度または重度の眼瞼炎、涙嚢炎、瞼板腺炎)
・構造的な瞼の異常(すなわち眼瞼外反、眼瞼内反)
・進行中の前部炎症疾患
・眼性アレルギー
・眼をこする習癖
・過去における涙点プラグの不忍容(すなわち、涙点プラグ装着による炎症反応、肉芽腫、涙嚢炎等)
・過去3ヶ月以内のレーザー眼手術または過去6ヶ月以内の切開性眼手術
[調査の装置]
涙点プラグは、プラグと共に提供される研究用挿入ツールまたは眼科用鉗子を使用して、上涙点および下涙点の両側に設置される。挿入および除去のための技術は、他の市販涙点プラグについての手順と同様である。
[調査の可変因子]
装置性能:
・保持率
・挿入成功率
・使用の容易さ
忍容性
・快適さ
・流涙
安全性
・有害装置事象(ADE)
・生体顕微鏡
[調査の手順および評価]
装置性能:
・追加的な同意を得た被験者については、設置後に涙点プラグの写真を撮って、眼瞼縁におけるその位置を観察することができ、将来の医師訓練のために涙点プラグの設置および除去の手順のビデオ撮影を行うことができる。立会い観察による涙点プラグの設置および除去の手順の医師訓練も行い得る。
忍容性:
・被験者らは、毎回の訪問において、流涙および快適性の忍容性を視覚的アナログ尺度によって評点する。
安全性:
・各眼において生体顕微鏡観察を行い、毎回の訪問においてADEを採取する。
[標本サイズおよび統計学的解析]
・標本サイズは臨床的判断に基づき、調査の目的を達成するために十分であると考えられる。全ての調査可変因子は記述的に要約される。ADEは医薬規制用語集(MedDRA)を使用してコード化され、器官別大分類および基本語により記述的に要約される。
[実施例5―涙点プラグ保持の臨床的試験]
[保持試験]
本発明の典型的な実施態様を、改変された市販インプラントとの比較において評価するために、臨床的試験を実施した。この市販インプラント1000は図10Aおよび10Bに示されており、それぞれ側面図および平面図が、対応する主要な寸法値と共に描かれている。市販インプラント1000は空洞を有さない。比較試験の目的のために、図10Cおよび10Dに示すように、空洞1002を構築することによって市販インプラント1000を改変する。空洞1002は、比較試験のために選ばれた本願の典型的実施態様における空洞458と本質的に同じ形状および同じ大きさを有するように構成されている。
比較試験には、96人の被験者が関わり、そのベースライン人口統計は図11に提供されている。各被験者には、示された2つの改変市販インプラントおよび本願の選ばれた2つの典型的実施態様が取り付けられた。改変市販インプラントは上部インプラントとされ、本願の選ばれた典型的実施態様は下部インプラントとされる。上部インプラントは46μgのラタノプロストを含有し、下部インプラントは95μgのラタノプロストを含有し、総ラタノプロストの合計投与量は141μgである。141μgの総ラタノプロスト薬剤量は、キサラタン液滴の3ヶ月分と一致する。
試験は4週間に渡って実施された。試験中、被験者らは週ごとに検査され眼内圧がチェックされた。観察された保持率を図9にグラフ化して示す。この試験および本願において、保持率は、一定期間に渡ってインプラントを保持する眼のパーセンテージとして定義される。図9のグラフに示されているように、本願の選ばれた典型的実施態様は、改変された市販インプラントよりも高い保持率を達成する。例えば、改変された市販インプラントの保持率は第3週目には60%未満の率に低下するが、本願の選ばれた典型的実施態様の保持率は、この臨床治験全期間に渡って、おおよそ95%以上という比較的高い率で維持される。より長い期間に渡ってより高い保持率を有することは、本願の実施態様の様々な有利点の1つである。
上記の詳細な説明は、限定的ではなく例示的なものであることが意図される。例えば、上述の実施例(またはその1つ以上の構成要件)は、互いに組み合わせて使用され得る。一例として、示されているまたは記述されている様々なインプラント実施態様の1つ以上の寸法値は、所望の薬剤濃度を提供することができるインプラント実施態様を形成するために組み合わせることができる。例えば上記説明を精査した当業者によって、他の実施態様も使用され得る。また、上記の詳細な説明において、様々な構成要件を組み合わせて開示を合理化することができる。これは、特許請求の範囲に記載されていない開示構成要件がいずれかの請求項にとって必須であることを意図するものとしては解釈するべきでない。むしろ、発明に係る対象物は、具体的な開示実施態様の全構成要件未満のものであり得る。従って、以下の特許請求の範囲は発明の詳細な説明に組み入れられ、各請求項は別個の実施態様として自立している。発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその特許請求の範囲に許される均等物の全範囲に関して決定されるべきである。
要約書は、米国連邦規則集第37巻§1.72(b)を遵守するように提供され、読者が技術的開示の属性を迅速に確認することを可能にする。これは、特許請求の範囲の範囲または意義を解釈または限定するためには使用されないという理解のもと提出される。

Claims (15)

  1. 涙小管挿入用のインプラントであって、
    第1軸を規定してその第1軸に第1末端を有する第1部材(305)であって、涙小管中に延在するように構成された第1部材(305)と、
    第2軸を規定してその第2軸に第2末端を有する第2部材(310)であって、涙小管の垂直部分(220、222)に位置して、付随する涙点の開口部まで、あるいは開口部の外へ、延在するように構成される第2部材(310)と、
    前記第1部材の第1末端と前記第2部材の第2末端とを、第1角度にて接続して角度付き交差を形成する第3部材(330)であって、第3軸および第2角度により特徴付けられる穿孔(385)を含む第3部材と
    を含み、
    前記穿孔(385)は、前記インプラントの挿入を促進するための挿入ツールが入れるように構成され、前記第1角度は前記第2軸に対する関係で前記第1軸によって規定され、前記第2角度は前記第3軸に対する関係で前記第1軸によって規定され、
    前記第1角度は30度〜150度であり、
    前記第2角度は15度〜90度であり、
    前記穿孔(385)は、上部表面(360)から第3部材(330)中へと延在し、前記上部表面は前記第2部材(310)との交差点を越えて延在する、
    インプラント。
  2. プラスチック、ゴム、ポリマー、および複合材料からなる群から材料から選択される材料から作られる、請求項1に記載のインプラント。
  3. 前記第1角度が略90度である、請求項1または2に記載のインプラント。
  4. 前記第1部材(305)は、中間区域(315)、先端区域(325)、および、前記中間区域(315)と前記先端区域(325)との間に前方区域(320)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインプラント。
  5. 前記前方区域(320)は、前記中間区域(315)と前記先端区域(325)とを各末端において接続するように、先細りして円錐形の形状を有している、請求項4に記載のインプラント。
  6. 前記中間区域(315)は円柱状の形状を有する、請求項4または5に記載のインプラント。
  7. 前記先端区域(325)は略半球状であり、または半球の一部分である、請求項4〜6のいずれか1項に記載のインプラント。
  8. 前記中間区域(315)の長さは1 mm〜2.8 mmであり、前記先端区域(325)の半径は略0.20 mmであり、前記前方区域(320)の長さは1.7 mm〜3.5 mmである、請求項7に記載のインプラント。
  9. 前記第3部材(330)は、前記第3部材(330)を前記第1部材(305)に連結するように構成されたヒール接続区域(375)を含み、前記第2軸の方向における前記ヒール接続区域(375)の幅は、前記第1軸の方向に沿って前記第1部材(305)との交差点に向かって増加している、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインプラント。
  10. 前記第2角度が略45度である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインプラント。
  11. 前記穿孔(385)は、前記第3軸の方向に沿って0.3 mm〜0.7 mmの深さを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインプラント。
  12. 治療剤コアを収容するように構成された空洞(458)をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のインプラント。
  13. 抗緑内障剤のユニット投与量として構成される、請求項12に記載のインプラント。
  14. 前記抗緑内障剤はラタノプロストである、請求項13に記載のインプラント。
  15. 眼における眼内圧低減用の涙管インプラントであって、
    第1軸を規定してその第1軸に第1末端を有する第1部材(305)であって、涙小管中に延在するように構成された第1部材(305)と、
    第2軸を規定してその第2軸に第2末端を有する第2部材(310)であって、涙小管の垂直部分(220、222)に位置して、付随する涙点の開口部まで、あるいは開口部の外へ、延在するように構成される第2部材(310)と、
    前記第1部材の第1末端と前記第2部材の第2末端とを、第1角度にて接続して角度付き交差を形成する第3部材(330)であって、第3軸および第2角度により特徴付けられる穿孔(385)を含む第3部材と
    を含み、
    前記穿孔(385)は、前記涙管インプラントの挿入を促進するための挿入ツールが入れるように構成され、前記第1角度は前記第2軸に対する関係で前記第1軸によって規定され、前記第2角度は前記第3軸に対する関係で前記第1軸によって規定され、
    前記第1角度は30度〜150度であり、
    前記第2角度は15度〜90度であり、
    前記穿孔(385)は、上部表面(360)から第3部材(330)中へと延在し、前記上部表面は前記第2部材(310)との交差点を越えて延在する、
    涙管インプラント。
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