JP6100098B2 - 還元装置及び還元方法 - Google Patents

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本発明は、還元装置及び還元方法に関する。
従来の還元装置としては、例えば非特許文献1に記載されているように、LSP(Laser Sustained Plasma:レーザ維持プラズマ)を利用して、酸化アルミニウムを還元するものが知られている。当該酸化アルミニウムの還元装置では、炭酸ガスレーザがレンズによって超音速ノズルの上流部に集光され、アルゴンガスに酸化アルミニウムの粉末を混合した作動ガスが加熱・電離され、焦点付近にLSPが生成されている。そしてLSPからの強い輻射を受けた酸化アルミニウムが、熱解離により酸素とアルミニウムとに分離されている。
荒川 義博、外5名,"アルミニウムを用いたエネルギー循環システムの技術開発",Journal оf IAPS,(日本),プラズマ応用科学学会,June 2012,Vol.20,No.1,p.3
しかしながら、上記従来の酸化アルミニウムの還元装置では、酸素とアルミニウムとの分離性に改善の余地があった。すなわち、酸化アルミニウムからアルミニウムを効率よく回収するなどのように、材料から対象の物質を更に効率よく回収することが求められていた。
そこで本発明は、材料を還元し、材料中の物質を効率よく回収することができる還元装置及び還元方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る還元装置は、所定の物質を含む材料を還元する還元装置であって、材料を配置可能な材料配置部と、材料配置部に配置される材料にプラズマを照射する圧力勾配型のプラズマ供給部と、材料にプラズマが照射されることにより生成される中性粒子及び所定の物質のイオンを分離する分離部と、を備え、材料配置部とプラズマ供給部とは、材料の表面上にプラズマ領域を保持可能に配置されていることを特徴とする。
本発明の還元装置では、圧力勾配型のプラズマ供給部が、材料配置部に配置される所定の物質を含む材料にプラズマを照射することによって、中性粒子及び所定の物質のイオンを生成することができる。また、分離部が、中性粒子及び所定の物質のイオンを分離することによって、材料中の物質を回収することが可能となる。ここで、プラズマ供給部として圧力勾配型のプラズマ供給部を用いているため、材料には高密度なプラズマを照射することができる。また、材料配置部とプラズマ供給部とは、材料の表面上にプラズマ領域を保持可能に配置されているため、材料の表面から飛び出した所定の物質の蒸発粒子は直ちにプラズマ領域を通過する。これによって、所定の物質のイオン化の確実性を向上することができる。以上より、材料中の物質を効率よく回収することができる。
また、材料は、少なくとも金属酸化物を含むことが好ましい。圧力勾配型のプラズマ供給部を用いた場合、金属と酸素とはイオン化のし易さに差があるため、金属と酸素との分離性を高めることができる。よって、本還元装置の材料として金属酸化物を適用した場合、好適に還元を行うことができる。
また、金属酸化物は、少なくとも酸化アルミニウムを含むことが好ましい。圧力勾配型のプラズマ供給部の電子温度領域では、アルミニウムはイオン化し易く、酸素はイオン化し難い。従って、圧力勾配型のプラズマ供給部を用いることで、アルミニウムと酸素との分離性を高めることができる。以上のように、圧力勾配型のプラズマ供給部を備える還元装置を用いることにより、酸化アルミニウムを還元してアルミニウムを効率よく回収することができる。
また、金属酸化物は、少なくとも酸化マグネシウムを含むことが好ましい。圧力勾配型のプラズマ供給部の電子温度領域では、マグネシウムはイオン化し易く、酸素はイオン化し難い。従って、圧力勾配型のプラズマ供給部を用いることで、マグネシウムと酸素との分離性を高めることができる。以上のように、圧力勾配型のプラズマ供給部を備える還元装置を用いることにより、酸化マグネシウムを還元してマグネシウムを効率よく回収することができる。
本発明に係る還元方法は、所定の物質を含む材料を還元する還元方法であって、材料を配置する材料配置工程と、材料配置工程において配置される材料に圧力勾配型のプラズマ供給部によってプラズマを照射するプラズマ供給工程と、材料にプラズマを照射することにより生成される中性粒子及び所定の物質のイオンを分離させる分離工程と、を含み、少なくともプラズマ供給工程において、材料の表面上にプラズマ領域が保持されることを特徴とする。
本発明に係る還元方法では、プラズマ供給工程において、圧力勾配型のプラズマ供給部が、材料配置工程で配置される所定の物質を含む材料にプラズマを照射することによって、中性粒子及び所定の物質のイオンを生成することができる。また、分離工程において、中性粒子及び所定の物質のイオンを分離することによって、材料中の物質を回収することが可能となる。ここで、プラズマ供給工程において圧力勾配型のプラズマ供給部を用いているため、材料には高密度なプラズマを照射することができる。また、少なくともプラズマ供給工程において、材料の表面上にプラズマ領域が保持されるため、材料の表面から飛び出した所定の物質の蒸発粒子は直ちにプラズマ領域を通過する。これによって、所定の物質のイオン化の確実性を向上することができる。以上より、材料中の物質を効率よく回収することができる。
本発明によれば、材料を還元し、材料中の物質を効率よく回収することができる還元装置及び還元方法を提供するができる。
第1実施形態に係る還元装置の構成を示す概略断面図である。 アルミニウム、マグネシウム、及び酸素のイオン化率の違いを説明するグラフである。 図1に示す分離部の詳細な構成を示す概要図である。 図1に示す還元装置を用いた還元方法の動作の一例を示すフローチャートである。 図1に示す還元装置における中性粒子及び金属イオンが生成される様子を説明する図である。 第2実施形態に係る還元装置の構成を示す概略図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る還元装置及び還元方法について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る還元装置の構成を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の還元装置1は、所定の物質を含む材料Maを還元する還元装置1であって、材料配置部2、圧力勾配型のプラズマガン3、分離部4、及び真空チャンバー5を備えている。なお、説明の便宜上、図1には、XYZ座標系を示す。Y軸方向は、プラズマガン3がプラズマビームを出射する方向である。Z軸方向は、材料配置部2と分離部4とが対向する方向である。X軸方向は、Y軸方向とZ軸方向とに直交する方向である。なお、還元装置1の向きは特に限定されず、Z軸方向が鉛直方向であってもよく、水平方向であってもよい。
真空チャンバー5は、材料Maを還元するための還元室5aと、プラズマガン3から照射されるプラズマビームPbを真空チャンバー5に受け入れるプラズマ口5bとを有している。還元室5a、及びプラズマ口5bは互いに連通している。また、真空チャンバー5は、導電性の材料からなり接地電位に接続されている。
材料配置部2は、真空チャンバー5の還元室5a内に設けられ、Z軸方向の負方向に配置されており、還元の対象となる材料Maを配置可能に構成されている。
本実施形態では、材料配置部2は、プラズマガン3から出射されたプラズマビームPbを材料Maに導く主陽極又はプラズマガン3から出射されたプラズマビームPbが導かれる主陽極である主ハースによって構成されている。材料配置部2は、材料Maが充填されたZ軸方向の正方向に延びた筒状の充填部2aと、充填部2aから突出したフランジ部2bとを有している。材料配置部2は、真空チャンバー5が有する接地電位に対して正電位に保たれているため、プラズマガン3から出射されたプラズマビームPbを吸引する。このプラズマビームPbが入射する充填部2aには、材料Maを充填するための貫通孔2cが形成されている。そして、材料Maの先端部分が、この貫通孔2cの一端において還元室5aに露出している。
材料Maは、例えば所定長さの円柱形状に形成された固形物である。材料配置部2の充填部2aには一度に複数の材料Maが充填されている。材料Maは、その消費に応じて、フランジ部2b側から充填部2a側へ向かって、充填部2aから順次押し出される。材料Maとしては、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硫化物等が例示される。また、金属酸化物として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マンガン等が例示される。また、材料Maとしては酸化金属以外のもの(例えば酸化ケイ素)を用いることもできる。材料Maが絶縁性物質からなる場合、主ハースである材料配置部2にプラズマビームPbが照射されると、プラズマビームPbからの電流によって材料配置部2が加熱され、材料Maの先端部分が蒸発し、蒸発粒子Mbが還元室5a内で広がりつつ分離部4側へ進行する。また、材料Maが導電性物質からなる場合、主ハースである材料配置部2にプラズマビームPbが照射されると、プラズマビームPbが材料Maに直接入射し、材料Maの先端部分が加熱されて蒸発し、蒸発粒子Mbが還元室5a内で広がりつつ分離部4側へ進行する。なお、蒸発粒子Mbとは、材料Maから蒸発した粒子全般を指し、中性粒子もイオン化した粒子も含むものとして、以下の説明を行う。
なお、真空チャンバー5には不図示の圧力調整装置が接続されていてもよく、これにより真空チャンバー5内の圧力を調整することができる。圧力調整装置は、例えばターボ分子ポンプやクライオポンプ等の減圧部と、真空チャンバー5内の圧力を測定する圧力測定部とを有している。
また、真空チャンバー5の還元室5a内に、輪ハース7を備えてもよい。輪ハース7は、プラズマビームPbを誘導するための電磁石を有する補助陽極である。輪ハース7は、材料Maを配置する材料配置部2の充填部2aの周囲に配置されている。輪ハース7は、環状のコイル8と環状の永久磁石9と環状の容器10とを有し、コイル8及び永久磁石9は容器10に収容されている。輪ハース7は、コイル8に流れる電流の大きさに応じて、材料Maに入射するプラズマビームPbの幅・太さを制御する。
圧力勾配型のプラズマガン3は、材料配置部2に配置される材料Maに高密度のプラズマビームPbを供給する圧力勾配型のプラズマ供給部であり、真空チャンバー5におけるプラズマ口5bに固定されている。プラズマガン3は、真空チャンバー5のY軸方向の負方向における壁部に設けられる。
圧力勾配型のプラズマガン3は、第1中間電極15及び第2中間電極16からなる中間電極17と、陰極管18が固定されたカソードフランジ19とを備え、中間電極17とカソードフランジ19との間には、陰極管18を包囲するガラス管20が配置されている。
第2中間電極16は環状であり、真空チャンバー5のプラズマ口5bにシールカラーを介して固定されている。第2中間電極16の後側には、シールカラーを介して環状の第1中間電極15が同心状に重ねて固定されている。第2中間電極16には、空芯コイル16aが内蔵されており、第1中間電極15には、磁極軸が陰極管18の中心線に平行になるように永久磁石15aが内蔵されている。空芯コイル16aや永久磁石15aは、プラズマビームPbを収束させる。なお、真空チャンバー5のプラズマ口5bの周囲には、発生したプラズマビームPbを真空チャンバー5内に導くステアリングコイル21が設けられている。
ステアリングコイル21により真空チャンバー5内に導かれたプラズマビームPbは、上述のように、材料配置部2により吸引され、材料Maに導かれる。以上のような構成により、材料Maの表面上にはプラズマ領域Pが形成されている。すなわち、材料配置部2と圧力勾配型のプラズマガン3とは、材料Maの表面上にプラズマ領域Pを保持可能な位置関係となるように配置されている。なお、「プラズマ領域Pを保持可能な位置関係」とは、輪ハース7やステアリングコイル21を用いることによって、材料Maの表面上にプラズマ領域Pを保持可能な位置関係も含まれる。よって、材料Maの蒸発粒子Mbが当該プラズマ領域Pにおけるプラズマと反応することにより、中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2が生成される。これらの中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2は、還元室5a内で広がりつつ分離部4側へ進行する。
圧力勾配型のプラズマガン3は、電子温度領域1〜10eVにおいて動作が可能であり、ガン駆動装置23によってその動作が制御されている。ガン駆動装置23により、陰極管18への給電をオン・オフしたり、陰極管18への印加電圧を調整したりでき、さらに第1中間電極15、第2中間電極16、空芯コイル16aまたはステアリングコイル21への給電を調整することができる。ガン駆動装置23によって、真空チャンバー5内に供給されるプラズマビームPbの強度や分布状態が制御されている。
分離部4は、真空チャンバー5の還元室5aと接続され、還元室5a内で広がりつつ分離部4側へ進行した中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2を分離する。例えば、材料Maが金属酸化物である場合には、分離部4により、酸素などの中性粒子PT1と金属イオンPT2とが分離される。なお、中性粒子PT1には、イオン化しなかった金属の中性粒子も含まれるものとする。このようにして分離された金属イオンPT2を、例えば電場(または磁場)を利用して析出させることにより金属を回収する。なお、分離部4の詳細な構成は後述する。
ここで、材料Maとして金属酸化物(酸化アルミニウム及び酸化マグネシウム)を採用した場合を例にして、金属のイオン化の様子について、図2及び図5を参照して説明する。
図2は、アルミニウム、マグネシウム、及び酸素のイオン化率の違いを説明するグラフである。図2のグラフの横軸は電子エネルギー[eV]、縦軸は電離断面積[cm]を示す。曲線a〜cは、それぞれアルミニウム、マグネシウム、及び酸素に関し、電子エネルギーに対する電離断面積の値を示している。ここで、電離断面積とは、イオン化率を面積の次元で表わしたものである。
図2に示すように、アルミニウム及びマグネシウムのイオン化が進み始める電子エネルギー(5eV以上)と、酸素のイオン化が進み始める電子エネルギー(13eV以上)とには差がある。なお、イオン化が進み始める電子エネルギーとは、グラフが立ち上がっている箇所における電子エネルギーである。よって、圧力勾配型のプラズマガン3が動作可能な電子温度領域1〜10eVにおいて、電子エネルギーが5〜13eV領域であり、アルミニウム及びマグネシウムはイオン化し易く、酸素はイオン化し難い。このため、金属酸化物の蒸発粒子Mbがプラズマ領域Pにおけるプラズマと反応すると、金属のイオン化が進む一方で酸素のイオン化は進まない結果、酸素などの中性粒子PT1及び金属イオンPT2が生成される。
図5は、図1に示す還元装置における中性粒子及び金属イオンが生成される様子を説明する図である。ただし、図5は理解を容易にするために模式的に示したものである。また、図5中、黒塗りの丸は酸素を示し、白抜きの丸はアルミニウムを示す。まず、プラズマビームPbからの電流によって加熱されて材料Maの表面から飛び出した蒸発粒子Mb(図では、アルミニウムの中性粒子と酸素の中性粒子とが飛び出したものとしている)は、直ちにプラズマ領域Pに曝される(図5の(a)参照)。当該プラズマ領域Pを通過しながら、蒸発粒子Mbがプラズマと反応することにより、蒸発粒子Mbの一部がイオン化される(図5の(b)参照)。このとき、上述のように金属のイオン化率と酸素とのイオン化率には差があるため、金属の一部はイオン化が進む一方で、酸素は中性粒子の状態が維持される。そして、プラズマ領域Pを通過した金属イオンPT2及び酸素などの中性粒子PT1が還元室5a内で広がりつつ分離部4側へ進行する(図5の(c)参照)。
次に、図3を参照して、分離部4の構成について詳細に説明する。図3は、図1に示す分離部4の詳細な構成を示す概要図である。図3に示すように、分離部4は、所定の物質のイオンPT2を取り出すための取出部4aと、中性粒子PT1を排出するための排出部4bと、を有している。
取出部4aは、互いに対向する電極11及び電極12と、電極11及び電極12の間に電位差を生じさせる電位発生部13を含む。電極11及び電極12は平板型で互いに平行である。電位発生部13により電極11及び電極12の間に電位差を生じさせることにより、電極11を陰極、電極12を陽極として機能させることができる。還元室5a内で広がりつつ分離部4側へ進行した中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2は、電極11及び電極12の間を通過する。還元室5a内で広がりつつ分離部4側へ進行した所定の物質のイオンPT2が正イオンである場合には、所定の物質のイオンPT2は、電極11及び電極12の間に生じる電場によりその軌道を曲げられて、陰極である電極11に付着する。一方、中性粒子PT1は、軌道を曲げられることなく電極11及び電極12の間をそのまま通過する。なお、還元室5a内で広がりつつ分離部4側へ進行した所定の物質のイオンPT2が負イオンである場合には、所定の物質のイオンPT2は、電極11及び電極12の間に生じる電場によりその軌道を曲げられて、陽極である電極12に付着する。このようにして、所定の物質のイオンPT2を取り出すことができる。
なお、電極(または、電極に対して電気的に接続した回収用の部材)に所定の物質が一定量付着したら、新たな電極(または、回収用の部材)に交換してよい。または、電極11及び電極12の間に、所定の物質のイオンPT2を受け止めるための部材(電極と電気的に接続されている)を、コンベア等で連続的に供給及び搬送させることにより、所定の物質のイオンPT2を取出してもよい。これによって、部材交換のために分離部4内の真空が破られることなく、また運転を中断することなく、連続的に所定の物質を回収することができる。
排出部4bは、取出部4aに連通され、ポンプの機能を有している。排出部4bは、取出部4aにより所定の物質のイオンPT2が取り出された後、残る中性粒子PT1をポンプの機能により吸入して排出する。
次に、還元装置1による還元方法の動作について、図4を参照して説明する。図4は、図1に示す還元装置を用いた還元方法の動作の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、まず、材料配置部2に所定の物質を含む材料Maが配置される(S1:材料配置工程)。次に、圧力勾配型のプラズマガン3を用いて、材料Maに高密度のプラズマビームPbが照射される(S2:プラズマ供給工程)。このとき、材料Maの表面上にプラズマ領域Pが保持されるため、当該プラズマ領域Pにおいて材料Maの蒸発粒子が反応することにより、中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2が生成される(S3)。そして、生成された中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2が分離部4により分離される(S4:分離工程)。
次に、本実施形態に係る還元装置1の作用・効果について説明する。
まず、比較例としてLSP(Laser Sustained Plasma:レーザ維持プラズマ)を利用して、酸化アルミニウムを還元するものを挙げる(前述の非特許文献1に示す還元装置)。当該酸化アルミニウムの還元装置では、炭酸ガスレーザがレンズによって超音速ノズルの上流部に集光され、アルゴンガスに酸化アルミニウムの粉末を混合した作動ガスが加熱・電離され、焦点付近にLSPが生成されている。そしてLSPからの強い輻射を受けた酸化アルミニウムが、熱解離により酸素とアルミニウムとに分離されている。比較例に係る還元装置では、LSPの生成に伴う衝撃により、新たに供給される酸化アルミニウムの粉末が飛ばされてプラズマ領域を通過することなく回避してしまう場合がある。従って、酸化アルミニウムから効率よくアルミニウムを回収できない場合があった。例えば、酸化アルミニウムからアルミニウムを回収する場合、酸化アルミニウム中に含有されるアルミニウムのうち、数%の量のアルミニウムを回収することが可能となる。
一方、本実施形態に係る還元装置1によれば、圧力勾配型のプラズマガン3が、材料配置部2に配置される所定の物質を含む材料MaにプラズマビームPbを照射することによって、中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2を生成することができる。また、分離部4が、中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2を分離することによって、材料Ma中の物質を回収することが可能となる。ここで、プラズマ供給部として圧力勾配型のプラズマガン3を用いているため、材料Maには高密度なプラズマビームPbを照射することができる。また、材料配置部2とプラズマガン3とは、材料Maの表面上にプラズマ領域Pを保持可能に配置されているため、材料Maの表面から飛び出した所定の物質の蒸発粒子Mbは直ちにプラズマ領域Pを通過する。すなわち、比較例に係る還元装置とは異なり、材料Maには好適にプラズマビームPbが照射され、飛び出した蒸発粒子Mbも好適にプラズマ領域Pを通過する。これによって、所定の物質のイオン化の確実性を向上することができる。以上より、材料Ma中の物質を効率よく回収することができる。例えば、酸化アルミニウムからアルミニウムを回収する場合、酸化アルミニウム中に含有されるアルミニウムのうち、30%以上の量のアルミニウムを回収することが可能となる。
また、材料Maが金属酸化物を含む場合には、金属のイオン化のし易さと酸素のイオン化のし易さとは差があるため、金属と酸素との分離性を高めることができる。よって、本還元装置1の材料として金属酸化物を適用した場合、好適に還元を行うことができる。
また、金属酸化物が酸化アルミニウムを含む場合には、圧力勾配型のプラズマガン3の電子エネルギー領域では、アルミニウムはイオン化し易く、酸素はイオン化し難い。従って、圧力勾配型のプラズマガン3を用いることで、アルミニウムと酸素との分離性を高めることができる。以上のように、圧力勾配型のプラズマガン3を備える還元装置1を用いることにより、酸化アルミニウムを還元してアルミニウムを効率よく回収することができる。
また、金属酸化物が酸化マグネシウムを含む場合には、圧力勾配型のプラズマガン3の電子エネルギー領域では、マグネシウムはイオン化し易く、酸素はイオン化し難い。従って、圧力勾配型のプラズマガン3を用いることで、マグネシウムと酸素との分離性を高めることができる。以上のように、圧力勾配型のプラズマガン3を備える還元装置1を用いることにより、酸化マグネシウムを還元してマグネシウムを効率よく回収することができる。
また、圧力勾配型のプラズマガン3を用いて還元を行うことにより、次のような効果を得ることができる。例えば、レーザを用いた還元装置にあっては、装置内で複雑な光学系を構築する必要があり、当該光学系を有することによって制御も複雑になる場合がある。それに対し、本実施形態に係る還元装置1は、光学系の構築が不要であるため、レーザを用いて同程度のエネルギー投入を得ようとした場合の還元装置に比して、構造及び制御を容易にすることができる。また、圧力勾配型のプラズマガン3は、同程度の消費電力である電子ビーム放電装置(〜2A)に比して、大電流(10〜250A)をとることができるため、反応に寄与できる電子数が多く高イオン化率という効果が得られる。また、圧力勾配型のプラズマガン3は、イオンを磁場によってフィラメントから遠ざけ、酸化に寄与する酸素を圧力勾配によってフィラメント室から追いやることによって寿命を長くすることができる。そして、圧力勾配型のプラズマガン3は、同じ量の物質を回収するものとした場合、ホロカソードガンに比して長い運転が可能である。
また、本実施形態に係る還元方法によれば、プラズマ供給工程S2において、圧力勾配型のプラズマガン3が、材料配置工程S1で配置される所定の物質を含む材料MaにプラズマビームPbを照射することによって、中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2を生成することができる。また、分離工程S4において、中性粒子PT1及び所定の物質のイオンPT2を分離することによって、材料Ma中の物質を回収することが可能となる。ここで、プラズマ供給工程S2において圧力勾配型のプラズマガン3を用いているため、材料Maには高密度なプラズマビームPbを照射することができる。また、少なくともプラズマ供給工程S2において、材料Maの表面上にプラズマ領域Pが保持されるため、材料Maの表面から飛び出した所定の物質の蒸発粒子Mbは直ちにプラズマ領域Pを通過する。これによって、所定の物質のイオン化の確実性を向上することができる。以上より、材料Ma中の物質を効率よく回収することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
図6は、第2実施形態に係る還元装置100の構成を示す概略図である。図6に示すように、本実施形態の還元装置100が上記還元装置1と異なる点は、ステアリングコイル21を備えておらず、圧力勾配のプラズマガン3の配置が異なる点である。
還元装置100における圧力勾配型のプラズマガン3は、プラズマビームPbが出射される方向が、ステアリングコイル21により制御されていなくても、材料Maに向けられるように配置されている。すなわち、材料配置部2と圧力勾配型のプラズマガン3の位置関係が、プラズマ領域Pが材料Maの表面上に形成されるように、配置されている。
よって、本実施形態の還元装置100においても、還元装置1と同様の効果を奏することができる。
以上、本実施形態の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、材料Maから回収する物質は、生成される所定の物質のイオンから回収される物質に限られず、生成される中性粒子から回収される物質であってもよい。また、イオン化する物質と中性粒子に係る物質を両方回収することとしてもよい。
上述の実施形態では、分離部として、電極間に中性粒子PT1及びイオンPT2を通過させ、イオンPT2を電極に引き寄せて析出させる方式を採用していた。これに代えて、磁場によりイオンPT2の軌道を曲げることで中性粒子PT1とイオンPT2とを分離するような方式を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、プラズマガン3と主ハース(材料配置部)の組がチャンバー内に一組だけ設けられていたが、複数組設けてもよい。また、一の材料に対して複数のプラズマガン3からプラズマを供給してもよい。また、材料配置部2として主ハースが適用され、筒状の充填部2aに材料Maを配置する構成が適用されていたが、プラズマを材料Maの表面に導くことができる態様であれば特に限定されず、大きな材料に複数のプラズマガン3からプラズマを照射するような構成を採用してもよい。この場合、成膜材料の下に陽極を配置すれば、プラズマが陽極上の成膜材料に照射される。例えば、一定範囲に広がる材料Maを配置し、当該材料Maの表面の各領域に対して複数のプラズマガン3からそれぞれプラズマビームPbを照射してよい。この際、材料Maの周りに複数のプラズマガン3を所定間隔で設け、材料Maに所定間隔毎にプラズマビームPbを照射してもよい。また、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、輪ハース7が設けられていたが、プラズマガン3の向きと材料配置部2による材料の位置や向きを工夫することで、輪ハース7を省略してもよい。
1,100…還元装置、2…材料配置部、3…圧力勾配型のプラズマガン(圧力勾配型のプラズマ供給部)、4…分離部、Pb…プラズマビーム(プラズマ)、PT1…中性粒子、PT2…所定の物質のイオン、Ma…材料、P…プラズマ領域、S1…材料配置工程、S2…プラズマ供給工程、S4…分離工程。

Claims (5)

  1. 所定の物質を含む材料を還元する還元装置であって、
    固形物である前記材料を配置可能な材料配置部と、
    前記材料配置部に配置される前記材料にプラズマを照射する圧力勾配型のプラズマ供給部と、
    前記材料に前記プラズマが照射されることにより生成される中性粒子及び前記所定の物質のイオンを分離する分離部と、を備え、
    前記材料配置部と前記プラズマ供給部とは、前記材料の表面上にプラズマ領域を保持可能に配置され
    前記プラズマ供給部は、
    前記所定の物質のイオン化が進む電子エネルギーであって、且つ、酸素のイオン化が進まない電子エネルギーの前記プラズマを生成し、
    前記材料配置部と前記分離部との間に前記プラズマを生成していることを特徴とする還元装置。
  2. 前記材料は、少なくとも金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の還元装置。
  3. 前記金属酸化物は、少なくとも酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項2に記載の還元装置。
  4. 前記金属酸化物は、少なくとも酸化マグネシウムを含むことを特徴とする請求項2に記載の還元装置。
  5. 所定の物質を含む材料を還元する還元方法であって、
    固形物である前記材料を配置する材料配置工程と、
    前記材料配置工程において配置される前記材料に圧力勾配型のプラズマ供給部によってプラズマを照射するプラズマ供給工程と、
    前記材料に前記プラズマを照射することにより生成される中性粒子及び前記所定の物質のイオンを分離させる分離工程と、を含み、
    少なくとも前記プラズマ供給工程において、前記材料の表面上にプラズマ領域が保持され
    前記プラズマ供給工程では、
    前記所定の物質のイオン化が進む電子エネルギーであって、且つ、酸素のイオン化が進まない電子エネルギーの前記プラズマが生成され、
    前記材料配置工程で前記材料が配置された位置と前記分離工程で分離が行われる位置との間に前記プラズマが生成されることを特徴とする還元方法。
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