JP6100096B2 - マスクブランク、位相シフトマスク、これらの製造方法、および半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

マスクブランク、位相シフトマスク、これらの製造方法、および半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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本発明は、マスクブランク、およびこれを加工して得られる位相シフトマスク、さらにはマスクブランクの製造方法、位相シフトマスクの製造方法、および半導体デバイスの製造方法に関する。
半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィ法を用いて微細パターンの形成が行われている。フォトリソグラフィ法における微細パターンの転写工程では、転写用マスクが用いられる。近年、半導体装置の微細化の要求にともない、転写用マスクの一つとしてハーフトーン位相シフトマスク(以下、単に位相シフトマスクと記す)が実用化されている。位相シフトマスクは、透光性基板の主表面上に薄膜として位相シフト膜が設けられたマスクブランクを中間体とし、このマスクブランクの位相シフト膜に転写パターンを形成したものである。
位相シフト膜は、転写工程で用いられる露光光に対して所定の透過率を有し、かつ位相シフト膜を透過した露光光と、位相シフト膜の厚さと同じ距離だけ大気中を透過した露光光とが、所定の位相差となるような光学特性を有する膜である。このような位相シフト膜としては、例えば窒化シリコン(SiN)が用いられている(下記特許文献1参照)。また位相シフト膜の別の例として、MoSiONのような遷移金属、ケイ素、酸素、および窒素を含有させた材料を用いたものも知られている(下記特許文献2参照)。
ここで一般的なマスクブランクの製造においては、枚葉式スパッタ装置によって透光性基板の主表面に位相シフト膜のような薄膜を成膜している。特に、透光性基板上に位相シフト膜を有するマスクブランクおよび位相シフトマスクにおいては、位相シフト膜の透過率および位相シフト量が透光性基板面内において均一性を保っていることが重要である。このため、透光性基板の主表面上への位相シフト膜の成膜においては、回転させた透光性基板の主表面に対して、スパッタリングターゲットのスパッタ面を傾斜させて対向配置した斜入射回転スパッタ法を適用した成膜が行われている(下記特許文献3参照)。
特開平8−220731号公報 特開2012−58593号公報 特開2002−90978号公報
ところで、上述したマスクブランクの製造に際しては、透光性基板の主表面に微小な傷(欠陥部分)が有っても、この欠陥部分の位置が転写パターンの形成に大きな障害とならなければ、この透光性基板を使用可能と判断して、薄膜を成膜してマスクブランクを作製する場合がある。これは、その透光性基板における欠陥部分の平面座標と欠陥種類(凸欠陥または凹欠陥)とに係る情報を、対応するマスクブランクに添付して引き渡せば、薄膜に転写パターンを形成するときに、その欠陥部分が露光転写に影響がないような位置に調整できるためである。
しかしながら、上述した斜入射回転スパッタ法を適用した位相シフト膜の成膜においては、透光性基板の主表面に微小な凹欠陥部が存在すると、この凹欠陥部に成膜される位相シフト膜には、部分的に周囲よりも密度の低い低密度領域が形成されることが分かった。これは、斜入射回転スパッタ法による成膜においては、スパッタリングターゲットから飛散したスパッタ粒子が、透光性基板の主表面に対して垂直方向から傾斜した方向から侵入すること、凹欠陥部の断面の形状が丸みを帯びていることが多いことなどから、透光性基板に到達する粒子の侵入角度や速度にバラツキが生じるためであると推測される。
そしてこのような低密度領域は、周囲の領域よりも透過率が高く光学特性が異なる領域となる。このような透光性基板に凹欠陥部が存在するマスクブランクから位相シフトマスクを製造する場合、上述した位相差を利用することのない大面積の位相シフト膜で凹欠陥部を覆うことで、凹欠陥部が微細パターンの露光転写に影響を及ぼすことのないパターン設計とするように一見思われる。しかし、凹欠陥部における透過率を周囲の転写パターンが存在する部分における透過率と同程度に抑えることが困難であることから、完成した位相シフトマスクを用いて、転写対象物(半導体基板上のレジスト膜等)に対してパターンの露光転写を行った場合、その凹欠陥部上の位相シフト膜の透過率が高いことに起因してその部分が転写対象物に露光されてしまう転写不良が発生する場合があり、問題となっていた。
そこで本発明は、透光性基板が微小な凹欠陥部を有する場合であっても、周囲よりも透過率が高い白欠陥を有さず、これにより転写不良の発生を抑えることが可能なマスクブランクおよび位相シフトマスクを提供すること、さらにはこのマスクブランクの製造方法、位相シフトマスクの製造方法、および半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上述の課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(構成1)
透光性基板の主表面上に位相シフト膜が設けられたマスクブランクであって、
前記透光性基板は、前記位相シフト膜が形成されている側の主表面に凹欠陥部を有し、
前記位相シフト膜は、透光性基板側から、高透過層とこれよりも光透過率が低い低透過層とをこの順に積層した構造を含み、
前記凹欠陥部上に形成された部分の前記高透過層の内部領域が低密度領域を有し、
前記低密度領域における密度が、前記凹欠陥部のない主表面上に形成された部分の前記高透過層の内部領域における密度よりも相対的に低い
ことを特徴とするマスクブランク。
(構成2)
前記高透過層および低透過層は、ケイ素および窒素を含有する材料で形成され、
前記高透過層は、前記低透過層に比べて窒素含有量が相対的に多い
ことを特徴とする構成1のマスクブランク。
(構成3)
前記高透過層および低透過層は、ケイ素および窒素からなる材料、または前記材料に半金属元素、非金属元素および希ガスから選ばれる1以上の元素を含有する材料で形成されている
ことを特徴とする構成1または2記載のマスクブランク。
(構成4)
前記高透過層および低透過層は、同じ構成元素からなる
ことを特徴とする構成1から3の何れかに記載のマスクブランク。
(構成5)
前記位相シフト膜は、前記高透過層と低透過層との積層構造の組み合わせを2組以上有する
ことを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成6)
前記高透過層および低透過層は、ケイ素および窒素からなる材料で形成される
ことを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成7)
前記高透過層は、前記低透過層よりも膜厚が大きい
ことを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成8)
前記位相シフト膜は、前記透光性基板から最も離れた位置に、ケイ素および酸素を含有する材料で形成された最上層を備える
ことを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成9)
前記位相シフト膜は、前記透光性基板から最も離れた位置に、ケイ素および酸素からなる材料、ケイ素、窒素および酸素からなる材料、またはこれらの材料に半金属元素、非金属元素および希ガスから選ばれる1以上の元素を含有する材料のいずれかで形成された最上層を備える
ことを特徴とする構成1から8のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成10)
前記位相シフト膜に対し、5分以上の温水洗浄を行った後においても、前記凹欠陥部上に形成された前記位相シフト膜が残存している
ことを特徴とする構成8または9に記載のマスクブランク。
(構成11)
構成1から10のいずれかに記載のマスクブランクの前記位相シフト膜に転写パターンが形成されている
ことを特徴とする位相シフトマスク。
(構成12)
透光性基板の主表面上に位相シフト膜が設けられたマスクブランクの製造方法であって、
前記透光性基板を主表面の中心を通る回転軸で回転させることと、スパッタリングターゲットのスパッタ面を、前記透光性基板の凹欠陥部を有する主表面に対向させて斜めに配置することとを含むスパッタリング法によって、前記透光性基板の凹欠陥部を有する主表面上に前記位相シフト膜を成膜する工程を備え、
前記位シフト膜を成膜する工程は、前記透光性基板における凹欠陥部を有する主表面上に、高透過層を形成する高透過層形成工程と、前記高透過層よりも光透過率が低い低透過層を前記高透過層上に形成する低透過層形成工程とを含み、
前記高透過層形成工程で形成された前記高透過層は、前記凹欠陥部上に形成された部分の前記高透過層の内部領域が低密度領域を有し、前記低密度領域における密度が、前記凹欠陥部のない主表面上に形成された部分の前記高透過層の内部領域における密度よりも相対的に低い
ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成13)
前記高透過層形成工程は、ケイ素を含有する材料からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素系ガスと希ガスを含むスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記高透過層を形成するものであり、
前記低透過層形成工程は、ケイ素を含有する材料からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素系ガスと希ガスとを含み前記高透過層形成工程のときよりも窒素系ガスの混合比率が低いスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記低透過層を形成するものである
ことを特徴とする構成12記載のマスクブランクの製造方法。
(構成14)
前記高透過層形成工程は、ケイ素またはケイ素に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有する材料からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素系ガスと希ガスを含むスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記高透過層を形成するものであり、
前記低透過層形成工程は、ケイ素またはケイ素に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有する材料からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素系ガスと希ガスを含み前記高透過層形成工程のときよりも窒素系ガスの混合比率が低いスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記低透過層を形成するものである
ことを特徴とする構成12または13記載のマスクブランクの製造方法。
(構成15)
前記高透過層形成工程は、ケイ素からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素ガスと希ガスからなるスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記高透過層を形成するものであり、
前記低透過層形成工程は、ケイ素からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素ガスと希ガスからなり前記高透過層形成工程のときよりも窒素系ガスの混合比率が低いスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記低透過層を形成するものである
ことを特徴とする構成12から14のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成16)
前記高透過層形成工程は、ポイズンモードでの反応性スパッタリングによって前記高透過層を形成するものであり、
前記低透過層形成工程は、メタルモードでの反応性スパッタリングによって前記低透過層を形成するものである
ことを特徴とする構成12から15のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成17)
前記位相シフト膜の前記透光性基板から最も離れた位置に、ケイ素および酸素を含有する材料からなる最上層を形成する最上層形成工程を有する
ことを特徴とする構成12から16のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成18)
前記位相シフト膜の前記透光性基板から最も離れた位置に、ケイ素および酸素からなる材料、ケイ素、窒素および酸素からなる材料、またはこれらの材料に半金属元素、非金属元素および希ガスから選ばれる1以上の元素を含有する材料のいずれかで形成された最上層を形成する最上層形成工程を有する
ことを特徴とする構成12から17のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成19)
構成12から18のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法によって製造されたマスクブランクの前記位相シフト膜に転写パターンを形成する工程を有する
ことを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
(構成20)
構成11記載の位相シフトマスクを用い、基板上のレジスト膜に対して前記位相シフトマスクの前記転写パターンを露光転写する工程を備えた
ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
(構成21)
構成19記載の位相シフトマスクの製造方法によって製造された位相シフトマスクを用い、基板上のレジスト膜に対して前記位相シフトマスクの前記転写パターンを露光転写する工程を備えた
ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
以上の構成を有する本発明によれば、透光性基板側に設けた高透過層に凹欠陥部上の低密度領域が形成される構成としたことにより、位相シフト膜の透過率を主として低密度領域を含まない低透過層によって制御できる。このため、凹欠陥部を有する透光性基板上における位相シフト膜の透過率の面内均一性の向上を図ることが可能になり、これによりマスクブランクおよび位相シフトマスクに対する白欠陥の形成が抑えられ、位相シフトマスクを用いた転写不良の発生を防止することができる。
本発明の一実施形態におけるマスクブランクの構成を示す断面図である。 本発明の変形例1のマスクブランクの構成を示す断面図である。 本発明のマスクブランクの製造方法に用いられる成膜装置の一例を示す模式図である。 本発明の製造方法に用いられる成膜装置において、基板と、スパッタリングターゲットとの位置関係を示す模式図である。 本発明の製造方法に用いられるスパッタリング装置を説明するための模式図である。 本発明の位相シフトマスクの構成を示す断面図である。 本発明の位相シフトマスクの製造工程図である。
マスクブランクの製造においては、透光性基板の主表面に薄膜を成膜するにあたり、回転させた透光性基板の主表面に対して、スパッタリングターゲットのスパッタ面を傾斜させて対向配置した斜入射回転スパッタ法を適用した成膜が行われている。
ところが、このような斜入射回転スパッタ法を適用して、MoSi系材料に代表される遷移金属シリサイド系材料の薄膜を成膜して得られたマスクブランクにおいては、このマスクブランクを用いて転写用マスクを作製するプロセスにおいて、薄膜の主表面に微小なサイズ(100nm前後)のピンホール欠陥が発生する場合があることが判明した。また、転写用マスクを作製した直後のマスク欠陥検査では欠陥は検出されなかったにもかかわらず、転写用マスクを露光装置にセットして所定回数使用した後に行われるマスク洗浄の後にマスク欠陥検査を行うと、同様に薄膜の主表面に微小なサイズのピンホール欠陥が発生することがあることも判明した。いずれの場合においても、薄膜を成膜して出来上がったマスクブランクに対して欠陥検査を行ったときには、そのようなピンホール欠陥は検出されていなかった。
発明者らは、このピンホール欠陥が発生する原因について、鋭意研究を行った。その結果、上記のようなピンホール欠陥が発生したマスクブランクは、いずれも、そのピンホール欠陥部分の直下の透光性基板の主表面に、微小な深さ(40nm以下)の傷(凹欠陥)が存在していることがわかった。次に、微小な凹欠陥が存在する透光性基板で製造したマスクブランクに対し、凹欠陥部の断面TEM像を観察した。その結果、凹欠陥部上の薄膜に成膜ムラが発生していることが確認できた。
この成膜ムラ部分をさらに研究した結果、この成膜ムラの部分は、他の薄膜の部分に比べて密度が低いことが判明した。さらに、その成膜ムラが発生している密度の低い領域(低密度領域)は、断面視で透光性基板側から薄膜の表面側に向かって延伸した形状をしており、さらに平面視では凹欠陥部の外周近傍から中心側に延伸していることも確認できた。
以上のような低密度領域が形成される原因は、斜入射回転スパッタ法による薄膜の成膜では、スパッタリングターゲットから飛散したスパッタ粒子が透光性基板の主表面に対して垂直方向から傾斜した方向から侵入すること、凹欠陥部の断面の形状が丸みを帯びていることが多いことなどから、透光性基板に到達する粒子の侵入角度や速度にバラツキが生じるためであると推測される。
ここで問題となるところは、以上のような薄膜における低密度領域は、周囲の薄膜部分と比較して透過率が高い領域となるところである。このため、透光性基板上の薄膜が、たとえピンホール欠陥を発生する懸念のない材料で構成されていたとしても、この薄膜が位相シフト膜であれば、所定の位相シフト量を保ちつつ、凹欠陥部における透過率をその周囲の透過率と同程度に抑えることが困難である。したがって、透光性基板に凹欠陥部が存在する位相シフトマスクは、たとえ位相差を利用することのない大面積の位相シフト膜で凹欠陥部を覆ったパターン設計であっても、凹欠陥部における透過率を周囲の転写パターンが存在する部分における透過率と同程度に抑えることが困難であり、白欠陥が発生する危険性のあるものとなっていた。
そこで本発明の各マスクブランクにおいては、透光性基板における主表面上の位相シフト膜を、透光性基板側から高透過層、低透過層の順に積層した構成を有する。高透過層は、元々透過率が高い層であるため、この高透過層に部分的な低密度領域が形成されても、それに起因する位相シフト膜の膜厚方向の全体での透過率の上昇度合いは低く、このような位相シフト膜を有するマスクブランクを用いて位相シフトマスクを作製しても、低密度領域によるパターンの露光転写への影響を小さく抑えることができる。
またマスクブランクから位相シフトマスクを作製する際には、透光性基板の凹欠陥部上の位相シフト膜が、微細な転写パターンを形成する領域にならないようにパターン配置するのが一般的である。このため、凹欠陥部上の位相シフト膜の位相シフト量については所望の範囲でなくても実質的な問題はない。したがって、主に位相シフト膜の位相シフト量の調整に用いられる高透過層に部分的な低密度領域が形成されても、位相シフトマスクを作製する際の障害には成り難い。
以下、図面に基づいて、上述した本発明の詳細な構成を説明する。なお、各図において同様の構成要素には同一の符号を付して説明を行う。
≪マスクブランク≫
図1は、本発明の一構成例を示すマスクブランク1の要部断面図である。この図に示すように、マスクブランク1は、透光性基板3における一方側の主表面S上にハーフトーン位相シフト膜(以下、位相シフト膜)11を設けた構成である。位相シフト膜11は、透光性基板3側から高透過層5、高透過層5よりも光透過率が低い低透過層7の順に積層した積層構造10を有する。また位相シフト膜11は、透光性基板3から最も離れた位置に、最上層9を備えていても良い。このような位相シフト膜11は、以降に詳細に説明する斜入射回転スパッタ法によって各層が成膜されたものである。また、マスクブランク1は、位相シフト膜11の上部に遮光膜13、エッチングマスク膜15、およびレジスト膜17を、必要に応じてこの順に積層させた構成であっても良い。以下、マスクブランク1の主要構成部の詳細を説明する。
<透光性基板3>
透光性基板3は、位相シフト膜11が設けられる側の主表面Sに、微小な深さの傷を凹欠陥部Fとして有する。凹欠陥部Fの深さは例えば40nm以下である。
このような透光性基板3は、リソグラフィーにおける露光工程で用いられる露光光に対して透過性が良好な材料からなる。露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:約193nm)を用いる場合であれば、これに対して透過性を有する材料で構成されれば良い。このような材料としては、合成石英ガラスが用いられるが、この他にも、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO−TiOガラス等)、その他各種のガラス基板を用いることができる。特に、石英基板は、ArFエキシマレーザ光、またはそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、本発明のマスクブランクに特に好適に用いることができる。
尚、ここで言うリソグラフィーにおける露光工程とは、このマスクブランク1を用いて作製された位相シフトマスクを用いてのリソグラフィーにおける露光工程であり、以下において露光光とはこの露光工程で用いられる露光光であることとする。この露光光としては、ArFエキシマレーザ光(波長:193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長:248nm)、i線光(波長:365nm)のいずれも適用可能であるが、露光工程における転写パターンの微細化の観点からは、ArFエキシマレーザ光を露光光に適用することが望ましい。このため、以下においてはArFエキシマレーザ光を露光光に適用した場合についての実施形態を説明する。
<高透過層5,低透過層7>
位相シフト膜11を構成する高透過層5および低透過層7のうち、透光性基板3側に設けられた高透過層5は、主に位相シフト膜11における位相シフト量の調整に用いられる層である。この高透過層5は、透光性基板3の凹欠陥部F上に形成された部分の内部領域が低密度領域Dを有している。高透過層5における低密度領域Dは、透光性基板3において凹欠陥部Fのない主表面S上に形成された部分の高透過層5の内部領域における密度よりも相対的に低い。
また低透過層7は、高透過層5を介して透光性基板3の主表面S側に設けられた層であり、高透過層5よりも透過率が低い。このような低透過層7は、主に位相シフト膜11における透過率の調整に用いられる層である。またこの低透過層7には、凹欠陥部F上に形成された低密度領域Dが達していないこととする。
以上のような高透過層5および低透過層7は、ケイ素および窒素を含有する材料で形成され、高透過層5は、低透過層7に比べて窒素含有量が相対的に多い。このような高透過層5および低透過層7は、ケイ素および窒素からなる材料(1)で形成されるか、またはこの材料(1)に対して半金属元素、非金属元素、および希ガスから選ばれる1以上の元素を含有する材料(2)で形成されていても良い。
高透過層5および低透過層7に含有される半金属元素は、ケイ素に加え、いずれの半金属元素であっても良いが、中でも、ホウ素、ゲルマニウム、アンチモンおよびテルルから選ばれる一以上の元素である。これらの元素は、以降に説明するスパッタ法による位相シフト膜11の成膜プロセスに起因して、高透過層5および低透過層7に含有される元素であり、ケイ素を用いたスパッタリングターゲットの導電性を高めるために導入される元素である。
高透過層5および低透過層7に含有される非金属元素は、窒素に加え、いずれの非金属元素であっても良い。なかでも高透過層5および低透過層7には、炭素、フッ素および水素から選ばれる一以上の元素を含有させると好ましい。一方、高透過層5および低透過層7は、酸素の含有量を10原子%以下に抑えることが好ましく、酸素の含有量が5原子%以下とすることがより好ましく、積極的に酸素を含有させることをせず、例えばRBS、XPS等による組成分析の結果が検出下限値以下であることがさらに好ましい。このように、ケイ素系材料膜である高透過層5および低透過層7に対する酸素の含有量を抑えることにより、消衰係数kの値を有る程度に保つことができ、位相シフト膜11全体の厚さを抑えることができる。
また、透光性基板3が合成石英ガラス等のSiOを主成分とする材料で形成されている場合、透光性基板3に接して設けられる高透過層5における酸素の含有量を抑えることにより、透光性基板3と高透過層5との組成差を確保することができる。これにより、位相シフト膜11をパターニングして位相シフトマスクを形成する際のエッチングにおいて、位相シフト膜11と透光性基板3との間でのエッチング選択性を大きくすることが可能である。
高透過層5および低透過層7に含有される希ガスは、以降に説明するスパッタ法による位相シフト膜11の成膜プロセスに起因して、高透過層5および低透過層7に含有される元素である。希ガスは、反応性スパッタリングによって位相シフト膜11を成膜する際に成膜室内に存在することによって、成膜速度を大きくし、生産性を向上させることができる元素である。反応性スパッタリングによる成膜においては、この希ガスがプラズマ化し、ターゲットに衝突することでターゲットからターゲット構成元素が飛び出し、途中、反応性ガスを取りこみつつ、透光性基板上に積層されて薄膜が形成される。このターゲット構成元素がターゲットから飛び出し、透光性基板に付着するまでの間に成膜室中の希ガスがわずかに取り込まれる。この反応性スパッタリングで必要とされる希ガスとして好ましいものとしては、アルゴン、クリプトン、キセノンが挙げられる。また、成膜される高透過層5および低透過層7を含む位相シフト膜11の応力を緩和するために、原子量の小さいヘリウム、ネオンを薄膜に積極的に取りこませることができる。
以上のような高透過層5および低透過層7は、他の膜を介さずに、直接互いに接して積層する構造であることが好ましい。また、本発明のマスクブランク1は、高透過層5および低透過層7のいずれにも金属元素を含有する材料からなる膜が接しない膜構造であることが好ましい。このような構成とすることにより、ケイ素を含有する膜に金属元素を含有する膜が接した状態で加熱処理やArF露光光の照射が行われた場合に、金属元素がケイ素を含有する膜中に拡散することがなく、高透過層5および低透過層7の組成の経時変化を抑えることができる。
また、高透過層5および低透過層7は、同じ構成元素からなることが好ましい。高透過層5および低透過層7のいずれかが異なる構成元素を含んでおり、これらが接して積層している状態で加熱処理やArF露光光の照射が行われた場合、その異なる構成元素が、その構成元素を含んでいない側の層に移動して拡散するおそれがある。そして、高透過層5および低透過層7の光学特性が、成膜当初から大きく変わってしまうおそれがある。しかしながら、高透過層5および低透過層7を同じ構成元素で構成することにより、このような変化を抑えることができる。また、特にその異なる構成元素が半金属元素である場合、異なるターゲットを用いて高透過層5および低透過層7を成膜しなければならなくなるが、そのような必要もない。
また高透過層5および低透過層7のうち、低透過層7には、位相シフト膜11の透過率を調整することを目的として遷移金属が含有されていても良い。ただし、遷移金属は、ArF露光光に対する耐光性が低下する要因となり得るため、このような耐光性の低下を問題としない場合であれば、低透過層7に対して遷移金属を含有させることができる。低透過層7は、遷移金属を含有し、かつケイ素を含有しない材料で構成されていても良い。低透過層7に含有される遷移金属としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)から選ばれる1以上の元素を含有する材料があげられる。このような遷移金属を含有する低透過層7は、特に、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化クロム(CrN)のいずれかであるとより好ましい。
また高透過層5および低透過層7は、ケイ素および窒素からなる材料で形成することが好ましい。これにより、高透過層5および低透過層7に、遷移金属を含有させたことによる耐光性の低下を防止でき、また高透過層5および低透過層7に遷移金属以外の金属やケイ素以外の半金属元素を含有させたことによる、高透過層5と低透過層7との間での金属や半金属元素の移動に伴う光学特性の変化を防止できる。また、非金属元素であれば、例えば高透過層5および低透過層7に酸素を含有させると、ArF露光光に対する透過率が大きく上昇してしまう。これらのことを考慮すると、高透過層5および低透過層7は、ケイ素および窒素からなる材料で形成することがより好ましいことになる。希ガスは、高透過層5および低透過層7のような薄膜に対してRBSやXPSのような組成分析を行っても検出することが困難な元素である。このため、前記のケイ素および窒素からなる材料には、希ガスを含有する材料も包含しているとみなすことができる。
また以上のような各材料で高透過層5および低透過層7は、位相シフト膜11において、1層の高透過層5と1層の低透過層7とからなる1組の積層構造10が、高透過層5と低透過層7との積層順を保って2組以上積層されていても良い。この場合、高透過層5および低透過層7は、いずれの1層の厚さも20nm以下であることが好ましい。高透過層5および低透過層7は、求められる光学特性が大きく異なるため、両者間における膜中の窒素含有量の差が大きい。このため、高透過層5および低透過層7との間では、これらをパターニングする際のフッ素系ガスによるドライエッチングを行う場合のエッチングレートの差が大きくなっている。位相シフト膜11が、積層構造10を1組のみ有する場合、フッ素系ガスによるドライエッチングによって位相シフト膜11に転写パターンを形成する際、エッチング後における位相シフト膜11のパターンの断面で段差が生じやすくなる。位相シフト膜11が、2組以上の積層構造10を有する構造とすることで、高透過層5および低透過層7の各層(1層)の厚さが、1組の積層構造10のみを有する場合に比べて薄くなるため、エッチング後における位相シフト膜11のパターンの断面で生じる段差を小さくすることができる。また、高透過層5および低透過層7における各層(1層)の厚さを20nm以下に制限することで、エッチング後における位相シフト膜11のパターンの断面で生じる段差をより抑制することができる。
ただし、透光性基板3に最も近く配置された高透過層5は、透光性基板3の凹欠陥部Fを埋め込むと共に、この凹欠陥部F上に形成される低密度領域Dを覆う膜厚であることが好ましい。
尚、高透過層5と低透過層7との積層構造の他の例として、図2に示す変形例1のマスクブランク1aが例示される。すなわち図2に示すように、本発明の変形例1のマスクブランク1aは、1層の高透過層5と1層の低透過層7とからなる積層構造10における低透過層7側に積層させて、さらに1層の高透過層5を設けた位相シフト膜11aを有する。先に説明したものと同様に、積層構造10は2組以上積層されていても良く、この場合、透光性基板3から最も離れた位置に設けられた低透過層7に積層させて1層の高透過層5が設けられた構成となる。これにより、マスクブランク1aは、積層構造10と以降に説明する最上層9との間に、1層の高透過層5を挟持させた構成の位相シフト膜11aを有するものとなる。
以上のような高透過層5および低透過層7は、これらによって構成される位相シフト膜11が、露光光(例えばArFエキシマレーザ光)に対する所定の位相差と所定の透過率を満たすように、それぞれ屈折率nと消衰係数kが所定の範囲に設定されている。
高透過層5は、主に位相シフト膜11における位相シフト量の調整に用いられる層である。このような高透過層5は、例えばArFエキシマレーザ光に対する屈折率nが2.5以上(好ましくは2.6以上)であり、消衰係数kが1.0未満(好ましく0.9以下は、より好ましく0.7以下は、さらに好ましくは0.4以下)である材料で形成されていることが好ましい。
また低透過層7は、主に位相シフト膜11における透過率の調整に用いられる層である。このような低透過層7は、例えばArFエキシマレーザ光に対する屈折率nが2.5未満(好ましくは2.4以下、より好ましくは2.2以下、さらに好ましくは2.0以下)であり、かつ消衰係数kが1.0以上(好ましくは1.1以上、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.6以上)である材料で形成されていることが好ましい。
ここで、薄膜の屈折率nおよび消衰係数kは、その薄膜の組成だけで決まるものではない。その薄膜の膜密度および結晶状態なども、屈折率nおよび消衰係数kを左右する要素である。このため、位相シフト膜11を構成する高透過層5および低透過層7を成膜する際の諸条件を調整した成膜により、これらの各層が所望の屈折率nおよび消衰係数kとなっていることとする。
また、以上のように屈折率nおよび消衰係数kが設定された高透過層5および低透過層7は、高透過層5の膜厚が低透過層7の膜厚よりも大きくなる。尚、1層の高透過層5と1層の低透過層7とからなる積層構造10が複数組積層されている構成であれば、複数の高透過層5の膜厚の合計が、複数の低透過層7の膜厚の合計よりも大きくなる。さらに図2に示したように、単数または複数の積層構造10に対して、1層の高透過層5が積層された構成であっても、複数の高透過層5の膜厚の合計が、複数の低透過層7の膜厚の合計よりも大きくなる。
<最上層9>
位相シフト膜11は、透光性基板3から最も離れた位置に、ケイ素および酸素を含有する材料で形成された最上層9を備えていることが好ましい。このような最上層9は、ケイ素および酸素からなる材料(3)で形成されるか、またはケイ素、窒素、および酸素からなる材料(4)で形成されるか、またはこれらの材料(3)または材料(4)に対して半金属元素、非金属元素および希ガスから選ばれる1以上の元素を含有する材料(5)のいずれかで形成されていることとする。
最上層9に含有される半金属元素、非金属元素、および希ガスは、高透過層5および低透過層7に含有される半金属元素、非金属元素、および希ガスと同様である。
このような材料で構成された最上層9は、層の厚さ方向でほぼ同じ組成である構成のほか、層の厚さ方向で組成傾斜した構成も含まれる。最上層9における組成傾斜は、透光性基板3から遠ざかっていくに従い、層中の酸素含有量が増加していくような組成の変化である。このような構成の最上層9のうち、層の厚さ方向でほぼ同じ組成である構成に好適な材料としては、SiOやSiONが挙げられる。また、層の厚さ方向で組成傾斜した構成に好適な例としては、透光性基板3側がSiNであり、透光性基板3から遠ざかっていくに従って酸素含有量が増加して表層がSiOあるいはSiONである構成であることが好ましい。尚、この構成の場合、高透過層5または低透過層7の表層を酸化させて組成傾斜させた層を最上層9としてもよい。
位相シフト膜11が、このような最上層9を有することにより、位相シフト膜11の耐薬性を確保することができる。すなわち、高透過層5および低透過層7は、ケイ素および窒素を含有する材料で形成されたもので、酸素の含有量を抑えたものとした。このように、酸素を積極的に含有させず、かつ窒素を含有させたケイ素系材料膜は、ArFエキシマレーザ光に対する耐光性は高いが、酸素を積極的に含有させたケイ素系材料膜に比べて耐薬性が低い傾向がある。したがって、位相シフト膜11が、ケイ素および酸素を含有する材料で形成された最上層9を有することにより、位相シフト膜11の耐薬性の向上が図られるのである。
このような最上層9を設けたことにより、このマスクブランク1は、位相シフト膜11に対して5分以上の温水洗浄を行った後においても、凹欠陥部F上の位相シフト膜11にピンホール欠陥が形成されることはなく、凹欠陥部F上に位相シフト膜11が残されるものとなる。
以上のような各層で構成された位相シフト膜11(変形例の位相シフト膜11aを含む。以降同様)は、位相シフト効果を有効に機能させるために、ArFエキシマレーザ光に対する透過率が1%以上であることが好ましく、2%以上であるとより好ましい。また、位相シフト膜11は、ArFエキシマレーザ光に対する透過率が30%以下になるように調整されていることが好ましく、20%以下であるとより好ましく、10%以下であるとさらに好ましい。また、位相シフト膜11は、透過するArFエキシマレーザ光に対し、この位相シフト膜11の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した光との間で生じる位相差が170〜190度の範囲になるように調整されていることが好ましい。
<遮光膜13>
本発明のマスクブランク1(変形例のマスクブランク1aを含む。以降同様)は、位相シフト膜11上に遮光膜13を積層することが好ましい。一般に、マスクブランクを用いて構成される転写用マスクでは、転写パターンが形成される領域(転写パターン形成領域)の外周領域は、露光装置を用いて半導体ウェハ上のレジスト膜に露光転写した際に外周領域を透過した露光光による影響をレジスト膜が受けないように、所定値以上の光学濃度(OD)を確保することが求められている。この点については、位相シフト膜11を備えたマスクブランク1を用いて構成される位相シフトマスクの場合も同じである。通常、位相シフトマスクを含む転写用マスクの外周領域では、ODが3.0以上あることが望ましいとされており、少なくとも2.8以上のODは必要とされている。前記の通り、位相シフト膜11は所定の透過率で露光光を透過する機能を有しており、位相シフト膜11だけでは所定値のODを確保することは困難である。このため、マスクブランク1を製造する段階で位相シフト膜11の上に、不足するODを確保するために遮光膜13を積層しておくことが望まれる。このようなマスクブランク1の構成とすることで、位相シフト膜11をパターニングして位相シフトマスクを製造する途上で、位相シフト効果を利用する領域(基本的に転写パターン形成領域)の遮光膜13を除去すれば、遮光膜13が残された外周領域に所定値のODが確保された位相シフトマスクを製造することができる。
遮光膜13は、単層構造および2層以上の積層構造のいずれも適用可能である。また、単層構造および2層以上の積層構造の遮光膜13の各層は、膜または層の厚さ方向でほぼ同じ組成である構成であってもよく、層の厚さ方向で組成傾斜した構成であってもよい。
遮光膜13は、位相シフト膜11に接して設けられた場合においては、位相シフト膜11に転写パターンを形成する際に用いられるエッチングガスに対して十分なエッチング選択性を有する材料を適用する必要がある。この場合、遮光膜13は、クロムを含有する材料で形成することが好ましい。この遮光膜13を形成するクロムを含有する材料としては、クロム金属のほか、クロムに酸素、窒素、炭素、ホウ素およびフッ素から選ばれる一以上の元素を含有する材料が挙げられる。一般に、クロム系材料は、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスでエッチングされるが、クロム金属はこのエッチングガスに対するエッチングレートがあまり高くない。塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスのエッチングガスに対するエッチングレートを高める点を考慮すると、遮光膜13を形成する材料としては、クロムに酸素、窒素、炭素、ホウ素およびフッ素から選ばれる一以上の元素を含有する材料を用いることが好ましい。また、遮光膜13を形成するクロムを含有する材料に、モリブデンおよびスズのうち一以上の元素を含有させてもよい。モリブデンおよびスズのうち一以上の元素を含有させることで、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスに対するエッチングレートをより高くすることができる。
一方、本発明のマスクブランク1において、遮光膜13と位相シフト膜11との間に別の膜を介する構成とする場合においては、前記のクロムを含有する材料でその別の膜(エッチングストッパ兼エッチングマスク膜)を形成し、ケイ素を含有する材料で遮光膜13を形成する構成とすることが好ましい。クロムを含有する材料は、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスによってエッチングされるが、有機系材料で形成されるレジスト膜は、この混合ガスでエッチングされやすい。ケイ素を含有する材料は、一般にフッ素系ガスや塩素系ガスでエッチングされるが、これらのエッチングガスは基本的に酸素を含有しない。このため、このような構成とすることにより、有機系材料で形成されるレジスト膜の減膜量を抑えつつ、ケイ素を含有する材料からなる遮光膜13をエッチングすることが可能となる。
遮光膜13を形成するケイ素を含有する材料には、遷移金属を含有させてもよく、遷移金属以外の金属元素を含有させてもよい。これは、このマスクブランク1から位相シフトマスクを作製した場合、遮光膜13で形成されるパターンは、基本的に外周領域の遮光パターンであり、転写パターン形成領域に比べてArFエキシマレーザ光が照射される積算量が少ないことや、この遮光膜13が微細パターンで残っていることは稀であり、ArFエキシマレーザ光に対する耐光性が低くても実質的な問題は生じにくいためである。また、遮光膜13に遷移金属を含有させると、含有させない場合に比べて遮光性能が大きく向上し、遮光膜13の厚さを薄くすることが可能となるためである。遮光膜13に含有させる遷移金属としては、遷移金属としては、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、パラジウム(Pd)等のいずれか1つの金属またはこれらの金属の合金が挙げられる。
また遮光膜13は、ハフニウム(Hf)およびジルコニウム(Zr)から選ばれる1以上の元素とタンタル(Ta)とを含有し、かつその表層を除いて酸素を含有しない材料で形成してもよい。この場合の遮光膜13は、塩素系ガスを含有し、かつ酸素ガスを含有しないエッチングガスでのドライエッチングが可能であり、かつフッ素系ガスを含有するエッチングガスでのドライエッチングに対して、位相シフト膜11を形成する材料との間でエッチング選択性を有する。
以上のエッチング特性を考慮すると、タンタル−ハフニウム合金、タンタル−ジルコニウム合金、タンタル−ハフニウム−ジルコニウム合金、またはこれらの合金に対して酸素以外の元素を含有させた化合物によって遮光膜13を形成するとより好ましい。この場合の遮光膜13に含有させる酸素以外の元素としては、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)およびホウ素(B)等の元素が例示される。また、この場合の遮光膜13の材料には、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)等の不活性ガスが含まれていてもよい。尚、この場合の遮光膜13は、塩素系ガスを含有し、かつ酸素ガスを含有しないエッチングガスでのドライエッチングが可能な材料であり、このエッチングガスは、位相シフト膜11をエッチングしにくい。
<エッチングマスク膜15>
位相シフト膜11に積層して遮光膜13を備えるマスクブランク1において、遮光膜13の上に遮光膜13をエッチングするときに用いられるエッチングガスに対してエッチング選択性を有する材料で形成されたエッチングマスク膜15をさらに積層させた構成とすることがより好ましい。遮光膜13は、所定の光学濃度(OD)を確保する機能が必須であるため、その厚さを低減するには限界がある。エッチングマスク膜15は、その直下の遮光膜13にパターンを形成するドライエッチングが終わるまでの間、エッチングマスクとして機能することができるだけの膜の厚さがあれば十分であり、基本的に光学の制限を受けない。このため、エッチングマスク膜15の厚さは遮光膜13の厚さに比べて大幅に薄くすることができる。そして、このエッチングマスク膜15にパターンを形成するドライエッチングにおいてエッチングマスクとして用いる有機系材料のレジスト膜17は、エッチングマスク膜15のドライエッチングが終わるまでの間、エッチングマスクとして機能するだけの膜の厚さがあれば十分である。このため、エッチングマスク膜15を設けていない従来の構成よりも、エッチングマスク膜15を設けたことによって大幅にレジスト膜17の厚さを薄くすることができる。
このエッチングマスク膜15は、遮光膜13がクロムを含有する材料で形成されている場合は、前記のケイ素を含有する材料で形成されることが好ましい。なお、この場合のエッチングマスク膜15は、有機系材料のレジスト膜との密着性が低い傾向があるため、エッチングマスク膜15の表面をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理を施し、表面の密着性を向上させることが好ましい。なお、この場合のエッチングマスク膜15は、SiO、SiN、SiON等で形成されることがより好ましい。また、遮光膜13がクロムを含有する材料で形成されている場合におけるエッチングマスク膜15の材料として、前記のほか、タンタルを含有する材料も適用可能である。この場合におけるタンタルを含有する材料としては、タンタル金属のほか、タンタルに窒素、酸素、ホウ素および炭素から選ばれる一以上の元素を含有させた材料などが挙げられる。その材料として、たとえば、Ta、TaN、TaON、TaBN、TaBON、TaCN、TaCON、TaBCN、TaBOCNなどが挙げられる。一方、このエッチングマスク膜15は、遮光膜13がケイ素を含有する材料で形成されている場合は、前記のクロムを含有する材料で形成されることが好ましい。
<レジスト膜17>
本発明のマスクブランク1において、エッチングマスク膜15の表面に接して、有機系材料のレジスト膜17が100nm以下の膜厚で形成されていることが好ましい。DRAM hp32nm世代に対応する微細パターンの場合、エッチングマスク膜15に形成すべき転写パターンに、線幅が40nmのSRAF(Sub-Resolution Assist Feature)が設けられることがある。しかし、この場合でも前述のようにエッチングマスク膜15を設けたことによってレジスト膜17の膜厚を抑えることができ、これによってこのレジスト膜17で構成されたレジストパターンの断面アスペクト比が1:2.5と低くすることができるので、レジスト膜17の現像時、リンス時等にレジストパターンが倒壊や脱離することを抑制することができる。なお、レジスト膜17は、膜厚が80nm以下であることがより好ましい。
≪マスクブランクの製造方法≫
次に本発明のマスクブランクの製造方法を説明する。本発明のマスクブランクの製造方法は、先説明した本発明のマスクブランク1の製造方法であり、位相シフト膜11の成膜に斜入射回転スパッタ法を適用するところに特徴がある。先ず、斜入射回転スパッタ法による成膜を行う成膜装置の構成を説明する。
<成膜装置>
図3に、本発明のマスクブランク1の製造方法に用いられる成膜装置の一例の模式図を示す。この図に示す成膜装置30は、斜入射回転スパッタ法による成膜が行われるスパッタ成膜装置である。この成膜装置30は、透光性基板3が載置される回転ステージ31と、この回転ステージ31に対して所定状態で配置されたスパッタリングターゲット33を備え、透光性基板3の主表面Sにスパッタリング法によって薄膜を形成することのできる成膜装置である。本発明の製造方法に用いることのできる成膜装置30では、回転ステージ31に載置された透光性基板3と、スパッタリングターゲット33とが所定の位置関係にある。
すなわち、成膜装置30においては、スパッタリングターゲット33のスパッタ面33sが、回転ステージ31上の透光性基板3の主表面Sに対向し、かつ斜め上方となる位置に配置されるところが特徴的である。この成膜装置30は、これらの回転ステージ31およびスパッタリングターゲット33が収納される成膜室35を備え、この成膜室35内において透光性基板3上への薄膜のスパッタリング成膜が行われる構成である。成膜室35は、ガス導入口37と排気口39とを有し、成膜を行う真空槽としての機能を有する。
図4は、本発明の製造方法に用いることのできる成膜装置30の、透光性基板3と、スパッタリングターゲット33との位置関係を示す模式図である。成膜中、透光性基板3は回転ステージ31に載置される。回転ステージ31の回転によって、透光性基板3は、主表面Sの中心を通るとともに主表面Sに垂直な回転軸φを中心に回転する。
スパッタリングターゲット33は、透光性基板3の主表面Sに対して所定の傾斜角θ(ターゲット傾斜角θ)を有するように配置される。つまり、スパッタリングターゲット33の中心Oを通り、スパッタ面33sに垂直なスパッタリングターゲット33のスパッタ面33sに対して垂直な中心軸φ1は、透光性基板3の回転軸φに対して斜めである。
またスパッタリングターゲット33は、透光性基板3の回転軸φと、スパッタ面33sの中心Oを通り透光性基板3の回転軸φに対して平行な直線φ2とが、所定のオフセット距離Doffだけずれた位置にあるように配置される。
ここで、透光性基板3の主表面S上に成膜する薄膜の膜厚の面内均一性の向上のためには、透光性基板3とスパッタリングターゲット33との位置関係を適切なものにすることが必要である。このため本発明の成膜装置における、透光性基板3と、スパッタリングターゲット33との位置関係について、さらに説明するならば、次のとおりである。
図3および図4に示すように、本発明に用いる成膜装置30では、スパッタリングターゲット33のスパッタ面33sの、透光性基板3の主表面Sに対するターゲット傾斜角θは、透光性基板3の主表面Sに成膜する薄膜における膜厚の面内均一性のみならず成膜速度に影響する。具体的には、良好な薄膜の膜厚の面内均一性を得るため、および大きな成膜速度を得るために、ターゲット傾斜角θは、0度から45度が適当である。また、好ましいターゲット傾斜角θは10度から30度であり、これにより透光性基板3の主表面Sに成膜する薄膜の膜厚の面内均一性を向上させることができる。
成膜装置30におけるオフセット距離Doffは、透光性基板3の主表面Sに成膜される薄膜における膜厚の面内均一性を確保すべき面積によって調整することができる。一般には、良好な面内均一性を確保すべき面積が大きい場合に、必要なオフセット距離Doffは大きくなる。例えば、152mm角の透光性基板3の場合、薄膜に転写パターンが形成される領域は、通常、透光性基板3の中心を基準とする132mm角の内側領域である。その132mm角の内側領域で、薄膜の膜厚分布が±1nm以内の精度を実現するためには、オフセット距離Doffは240mmから400mm程度が必要であり、好ましいオフセット距離Doffは300mmから380mmである。
またこのようにオフセット距離Doffを設けたことにより、スパッタ成膜時に、スパッタリングターゲット33のスパッタ面33sから透光性基板3の主表面Sへのパーティクルの落下を防止できる。これにより、透光性基板3の主表面Sに成膜される薄膜にパーティクルが混入して欠陥になることを防止でき、成膜における欠陥発生率を抑えることが可能である。
成膜装置30におけるスパッタリングターゲット33−透光性基板3間の垂直距離Hは、オフセット距離Doffにより最適範囲が変化する。この垂直距離Hは、透光性基板3の高さ位置から、スパッタリングターゲット33の中心Oの高さ位置までの距離であることとする。例えば、152mm角の透光性基板3内で良好な面内均一性を確保するためには、この垂直距離Hは、200mmから380mm程度が必要であり、好ましい垂直距離Hは210mmから300mmである。
また一例として、この成膜装置30がマグネトロンスパッタリング装置である場合、スパッタリングターゲット33は、マグネトロン電極41に対して、バッキングプレート43を介して装着された状態となっている。尚、本発明のマスクブランクの製造方法には、斜入射回転スパッタ法による位相シフト膜の成膜が行われるが、斜入射回転スパッタ法が適用されるスパッタリング法であれば、マグネトロンスパッタリング装置に限定されることはなく、イオンビームスパッタリング装置であっても良い。また、マグネトロンスパッタリングの場合、マグネトロン電源はスパッタリングターゲットの材料によって直流(DC)電源または高周波(RF)電源を適宜に用いれば良い。例えば、導電性が低いターゲット(ケイ素ターゲット、半金属元素を含有しないあるいは含有量の少ないケイ素化合物ターゲットなど)を用いる場合においては、RFスパッタリングやイオンビームスパッタリングを適用することが好ましいが、成膜レートを考慮すると、RFスパッタリングを適用することがより好ましい。
以上のような構成の本発明に用いることのできる成膜装置30は、図5に示すようなスパッタリング装置のスパッタリングを行うための成膜部30aとして配置することができる。この図に示すスパッタリング装置は、成膜部30aを常に高真空状態に保持できるロードロック機構を有している。すなわち、成膜部30aには、搬送室51を介してロードロック室53が接続されている。これにより、成膜部30aへの透光性基板の導入を、一定の間隔で、継続的に行えるような装置構成とすることができる。
図5に示すスパッタリング装置において、ロードロック室53には、大気とロードロック室53を隔離するバルブ55、およびロードロック室53と搬送室51とを隔離するバルブ57が取り付けられている。ロードロック室53としては、上記で説明した成膜部30aへの透光性基板の導入を一定の間隔で継続的に行うことができる枚葉式とすることができ、かつ所定の容積に設計されたものを設けることができる。
また、搬送室51には、ロボットアーム61が収納されており、ロードロック室53から成膜部30aへの透光性基板の導入を、ロボットアーム61によって行う構成となっている。ロボットアーム61は、例えばパンタグラフ形状の腕61aが図示A方向に開閉して伸縮することにより、その先端に設けたハンド61bを図示B方向に移動できる構成になっている。またロボットアーム61は、パンタグラフ形状の腕61aにおいて、ハンド61bが設けられた側とは逆の支点が回動自在に固定され、搬送室51内において図示C方向に回転できる構成になっている。さらにロボットアーム61は、前述の支点が、その回動方向に対して垂直な上下方向(紙面に対し垂直方向)に伸縮自在な構成である。さらに、成膜のスループットを向上させるためには、搬送室51に上記ロードロック室53と同様の構成を有するアンロードロック室63を追加しても良く、このアンロードロック室63にも、大気とアンロードロック室63を隔離するバルブ65、およびアンロードロック室63と搬送室51とを隔離するバルブ67が取り付けられている。
<マスクブランクの製造手順>
本発明のマスクブランクの製造方法は、以上のような構成の成膜装置を用いて、先に図1〜図4を用いて説明した本発明のマスクブランク1(変形例のマスクブランク1aを含む。以降同様)を製造する方法である。
すなわち、本発明のマスクブランクの製造方法は、透光性基板3の凹欠陥部Fを有する主表面S上に、位相シフト膜11が設けられたマスクブランク1の製造方法である。位相シフト膜11を成膜する工程においては、透光性基板3を主表面Sの中心を通る回転軸で回転させることと、スパッタリングターゲットのスパッタ面を透光性基板3の凹欠陥部Fを有する主表面Sに対向させて斜めに配置することとを含む、いわゆる斜入射回転スパッタ法による成膜が行われる。
この位相シフト膜11を成膜する工程においては、斜入射回転スパッタ法により、透光性基板3の凹欠陥部Fを有する主表面S上に高透過層5を成膜する高透過層形成工程と、高透過層5よりも光透過率が低い低透過層7を高透過層5上に形成する低透過層形成工程とが行われる。高透過層形成工程で形成された高透過層5は、凹欠陥部F上に形成された部分の高透過層5の内部領域が低密度領域Dを有し、低密度領域Dにおける密度が、凹欠陥部Fのない主表面S上に形成された部分の高透過層5の内部領域における密度よりも相対的に低い。
<高透過層形成工程および低透過層形成工程>
高透過層形成工程および低透過層形成工程では、ケイ素を含有する材料からなるスパッタリングターゲットを用い、窒素系ガスと希ガスを含むスパッタリングガス中での反応性スパッタリングを行なう。ここでは特に、低透過層形成工程でのスパッタリングガス中における窒素系ガスの混合比が、高透過層形成工程よりも低いところが特徴的である。これにより、低透過層形成工程においては、高透過層形成工程で成膜した高透過層5よりも窒素含有量が相対的に少なく、これにより高透過層5よりも光透過率が低い低透過層7を成膜する。
以上の高透過層形成工程および低透過層形成工程においてスパッタリングガスとして用いられる窒素系ガスは、窒素を含有するガスであれば何れのガスも適用可能である。マスクブランクの構成において説明したように、高透過層5および低透過層7は、酸素含有量を低く抑えることが好ましいため、酸素を含有しない窒素系ガスを適用することが好ましく、窒素ガス(Nガス)を適用することがより好ましい。
また高透過層形成工程および低透過層形成工程で用いられる、ケイ素を含有するスパッタリングターゲットとしては、ケイ素からなるケイ素ターゲットを用いても良い。また別の例として、ケイ素に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有させたものを用いても良い。これにより、ケイ素および窒素に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有する高透過層5および低透過層7が成膜される。この場合、半金属元素として、ホウ素、ゲルマニウム、アンチモンおよびテルルから選ばれる一以上の元素を含有させると好ましい。これらの半金属元素は、ターゲットの導電性を高めることが期待できる。このため、特にDCスパッタリング法によって高透過層5および低透過層7を形成する場合には、ターゲットにこれらの半金属元素を含有させることが望ましい。非金属元素としては、炭素、フッ素および水素から選ばれる一以上の元素を含有させても良い。
以上の高透過層形成工程と低透過層形成工程とにおいては、同一のスパッタリングターゲットを用いても良いし、異なる組成のスパッタリングターゲットを用いても良い。しかしながら、高透過層形成工程と低透過層形成工程とにおいては、低透過層の形成と高透過層の形成に、異なるスパッタリングターゲットを用いた方が好ましい。低透過層と高透過層では窒素含有量が大きく異なり、スパッタリング成膜時におけるスパッタリングガスの窒素系ガスの混合比も大きく異なる。このため、低透過層をスパッタリング成膜したときのスパッタリングターゲットの表面状態と、高透過層をスパッタリング成膜したときのスパッタリングターゲットの表面状態は大きく異なる。高透過層を形成した後、そのままの表面状態のスパッタリングターゲットを用い、スパッタリングガスの窒素系ガスの混合比を変えて、低透過層を成膜しようとすると、スパッタリングターゲット等からの異物の発生が多発し、形成された低透過層に欠陥が多発してしまう恐れがある。低透過層の形成と高透過層の形成に異なるターゲットを用いれば、この懸念は起こらず、形成される膜の欠陥品質を高めることができる。
低透過層の形成と高透過層の形成に異なる2つのスパッタリングターゲットを使用する場合、1つの成膜室内に2つのスパッタリングターゲットを配置する成膜装置の構成と、2つの成膜室を用意し、各成膜室にそれぞれ1つずつスパッタリングターゲットを配置する成膜装置の構成が適用可能である。高透過層形成工程と低透過層形成工程とを、異なる成膜室で行う場合においては、各成膜室同士をたとえば先に図5を用いて説明した成膜装置の搬送室を介して連結させた構成とすることが好ましい。これにより、透光性基板を大気放出させずに、高透過層形成工程と低透過層形成工程とを異なる成膜室において行うことが可能である。
他方、1つの成膜室内に1つのスパッタリングターゲットを配置した成膜装置を用い、高透過層と低透過層の両方を形成する場合においては、1つ目の層を形成した後に、2つ目の層を形成するためのスパッタリングガスの調整を行った後は、ダミー基板に成膜を行い、スパッタリングターゲットの表面状態を最適な状態にした後に、1つ目の層の上に2つ目の層を形成するようにすると好ましい。このようなプロセスで行えば、2つ目の層の欠陥品質を高めることができる。
尚、高透過層形成工程および低透過層形成工程のうち、特に低透過層形成工程で用いられるケイ素を含有するスパッタリングターゲットとしては、ケイ素に遷移元素を含有させたものを用いてもよい。これにより、ケイ素および窒素に遷移金属を含有する低透過層7が成膜される。
さらに高透過層形成工程および低透過層形成工程で用いられる、ケイ素を含有するスパッタリングターゲットとしては、何れの工程においてもケイ素ターゲットを用いることが好ましい。これにより、ArFエキシマレーザーの露光光に対する耐光性が良好でかつ光学特性の経時的な劣化が防止されるケイ素および窒素からなる高透過層5および低透過層7が成膜される。
また特に、高透過層形成工程においては、低透過層7よりも窒素含有量が多い高透過層5を成膜するにあたり、ポイズンモードでの反応性スパッタリング法による成膜を行うことが好ましい。ポイズンモードによる成膜においては、成膜が不安定になる傾向を有する遷移モードとなる窒素系ガスの混合比率の範囲よりも、窒素系ガスの混合比率が多く設定された反応性スパッタリング法による成膜が行われる。一方、低透過層形成工程においては、高透過層5よりも窒素含有量が少ない低透過層7を成膜するにあたり、メタルモードでの反応性スパッタリング法による成膜を行うことが好ましい。メタルモードによる成膜においては、成膜が不安定になる傾向を有する遷移モードとなる窒素系ガスの混合比率の範囲よりも、窒素系ガスの混合比率が少なく設定された反応性スパッタリング法による成膜が行われる。
これにより、高透過層5および低透過層7ともに、成膜時の成膜レートや電圧の変動が小さい成膜条件による反応性スパッタリングで成膜することが可能となり、その結果、組成および光学特性の均一性が高く、かつ低欠陥の位相シフト膜11を形成することができる。
尚、透光性基板3上に、1層の高透過層5と1層の低透過層7とからなる積層構造10を複数組積層する場合、以上のような高透過層形成工程および低透過層形成工程を、この順に繰り返し行えば良い。また、図2の変形例1のマスクブランク1aを作製する場合であれば、透光性基板3における主表面S上に対して、高透過層形成工程による高透過層5の形成および低透過層形成工程による低透過層7の形成をこの順で必要回数繰り返し行った後、高透過層形成工程による高透過層5の形成を行う。
また以上のような高透過層形成工程および低透過層形成工程では、これらの工程によって得られる位相シフト膜11が、露光光(例えばArFエキシマレーザ光)に対する所定の位相差と所定の透過率を満たすように、それぞれ屈折率nと消衰係数kが所定の範囲に設定された高透過層5および低透過層7を形成する必要がある。このため、高透過層形成工程および低透過層形成工程では、窒素系ガスと希ガスとの混合ガスの比率を調整する。またこの他にも、成膜雰囲気の圧力、スパッタリングターゲットに印加する電力、スパッタリングターゲットと透光性基板3との間の距離等の位置関係なども調整されるが、これらの成膜条件は成膜装置に固有のものであり、形成される高透過層5および低透過層7が、所望の屈折率nおよび消衰係数kになるように適宜調整されるものであある。
<最上層形成工程>
位相シフト膜11が、透光性基板3から最も離れた位置に、ケイ素および酸素を含有する材料で形成された最上層9を備えている場合、高透過層形成工程および低透過層形成工程が終了した後に、最上層形成工程を行う。この最上層形成工程では、高透過層形成工程および低透過層形成工程に連続して、斜入射回転スパッタ法による最上層9の成膜を行う。
最上層形成工程では、ケイ素ターゲットまたはケイ素に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有する材料からなるスパッタリングターゲットを用い、窒素ガスと酸素ガスと希ガスとを含むスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって最上層9を形成する。この最上層形成工程は、層の厚さ方向でほぼ同じ組成である構成、および組成傾斜した構成のいずれの最上層9の形成にも適用できる。また、最上層形成工程では、二酸化ケイ素(SiO)ターゲットまたは二酸化ケイ素(SiO)に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有する材料からなるターゲットを用い、希ガスおよび必要に応じて窒素系ガスを含むスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって形成する最上層9を形成しても良い。この最上層形成工程も、層の厚さ方向でほぼ同じ組成である構成と、組成傾斜した構成いずれの最上層9の形成にも適用できる。
組成傾斜した最上層9を形成する場合、上述した反応性スパッタリングによってケイ素および窒素を含有する材料層を形成した後、この材料層の少なくとも表層を酸化させる処理を追加で行う。これにより、層の厚さ方向で組成傾斜した最上層9を形成する。この場合における材料層の表層を酸化させる処理としては、大気中などの酸素を含有する気体中における加熱処理、オゾンや酸素プラズマを最上層に接触させる処理などがあげられる。これによっても、透光性基板3から遠ざかっていくに従い、層中の酸素含有量が増加していくように組成傾斜した最上層9が得られる。尚、前記のケイ素および窒素を含有する材料層は、高透過層5または低透過層7と同じ成膜条件による反応性スパッタリングで形成してもよい。
また組成傾斜した構成の最上層9を形成する最上層形成工程の他の例として、上述した最上層形成工程において、スパッタリングガスに含まれる各ガス成分の混合比を変化させた反応性スパッタリングを適用しても良い。これにより、層の厚さ方向で組成傾斜した最上層9を形成することができる。この場合、例えば成膜の進行に従って、スパッタリングガス中における酸素の混合比を増大させる。これにより、透光性基板3から遠ざかっていくに従い、層中の酸素含有量が増加していくように組成傾斜した最上層9が得られる。
本発明のマスクブランク1が、位相シフト膜11上に遮光膜13を積層した構成である場合、位相シフト膜11を形成した後に遮光膜形成工程を行う。また、遮光膜13上にエッチングマスク膜15を積層した構成である場合、遮光膜形成工程の後にエッチングマスク膜形成工程を行う。これらの遮光膜形成工程およびエッチングマスク膜形成工程は、それぞれの成膜方法が限定されることはなく、例えばスパッタ法が適用される。さらに、マスクブランク1がエッチングマスク膜15上にレジスト膜17を積層した構成である場合、エッチングマスク膜形成工程の後にレジスト膜形成工程を行う。レジスト膜形成工程は、例えばスピン塗布法が適用される。
≪位相シフトマスク≫
図6は、本発明の位相シフトマスクの構成を示す断面図である。この図に示すように、位相シフトマスク2は、上述した本発明のマスクブランクにおける位相シフト膜に転写パターン20が形成されていることを特徴としている。尚、ここでは、図1を用いて説明したマスクブランク1の位相シフト膜11に転写パターン20を形成した構成を、図6に例示して説明を行うが、図2に示した変形例のマスクブランク1aも、同様に各位相シフト膜11aに転写パターンが形成される。これは、以降に説明する位相シフトマスクの製造方法においても同様である。
すなわち、位相シフトマスク2は、透光性基板3における中央部分の転写パターン形成領域3aに、位相シフト膜11をパターニングしてなる転写パターン20を有する。また、転写パターン形成領域3aの外周領域3bは、位相シフト膜11の上部に残された遮光膜13で覆われている。そして特に、透光性基板3における凹欠陥部Fが、転写パターン20のうち、位相シフトを利用する微細な転写パターンが形成される領域には配置されないように、すなわち大面積の位相シフト膜20からなる転写パターン20aで凹欠陥部Fを覆った構成である。
ここで、この凹欠陥部Fの上部の位相シフト膜11における最も透光性基板3側の高透過層5には、上述したように周囲よりも密度が低い低密度領域(図示省略)が存在する。しかしながら、高透過層5は元々透過率が高い層であるため、この高透過層5が低密度に形成されても、それに起因する位相シフト膜の膜厚方向の全体での透過率の上昇度合いは低く、このような位相シフト膜11を有する位相シフトマスク2においては、低密度領域によるパターンの露光転写への影響を小さく抑えることができる。また、この凹欠陥部F上の転写パターン20aが、この低密度領域の存在によって設定を外れた位相シフト量となっていたとしても、この位相シフトマスク2を用いたパターン露光による微細な露光パターンの形成に影響を及ぼすことはない。
≪位相シフトマスクの製造方法≫
図7は、本発明の位相シフトマスクの製造工程図である。この図に示すように、本発明の位相シフトマスクの製造方法は、前記の製造方法で製造されたマスクブランク1の位相シフト膜11に転写パターン20を形成する工程を有することを特徴としている。以下、図7に基づいて位相シフトマスクの製造方法を説明する。尚、ここでは、遮光膜13にはクロムを含有する材料を適用し、エッチングマスク膜15にはケイ素を含有する材料を適用した場合を例示した。
先ず、図7Aに示すように、マスクブランク1におけるレジスト膜17に対して、位相シフト膜11に形成すべき転写パターン(位相シフトパターン)である第1のパターンを露光描画し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、転写パターンを有する第1のレジストパターン17aを形成する。この際、透光性基板3の凹欠陥部Fが、位相シフトを利用しない第1のレジストパターン17aで覆われるパターン設計とする。
次いで図7Bに示すように、第1のレジストパターン17aをマスクとして、フッ素系ガスを用いたエッチングマスク膜15のドライエッチングを行い、エッチングマスク膜15に第1のパターン(エッチングマスクパターン15a)を形成する。しかる後、第1のレジストパターン17aを除去する。
次に図7Cに示すように、エッチングマスクパターン15aをマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いた遮光膜13のドライエッチングを行い、遮光膜13に第1のパターン(遮光膜パターン13a)を形成する。
その後、図7Dに示すように、遮光膜パターン13aをマスクとして、フッ素系ガスを用いた位相シフト膜11のドライエッチングを行い、位相シフト膜11に第1のパターン(転写パターン20)を形成する。この際、同時に遮光膜パターン13a上のエッチングマスクパターン15a(図7C参照)も除去する。
次に、図7Eに示すように、透光性基板3における外周領域3bを覆う形状で、第2のレジストパターン21を形成する。この際、先ず透光性基板3上に、レジスト膜をスピン塗布法によって形成する。次に、遮光膜パターン13aを残すべき透光性基板3における外周領域3bを覆う形状となるように、レジスト膜に対してを露光し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、第2のレジストパターン21を形成する。その後、第2のレジストパターン21をマスクとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いた遮光膜パターン13aのドライエッチングを行い、遮光膜パターン13aに第2のパターン(遮光パターン13b)を形成する。その後、第2のレジストパターン21を除去し、洗浄等の所定の処理を行う。以上により、図6に示した位相シフトマスク2が得られる。
前記のドライエッチングで使用される塩素系ガスとしては、Clが含まれていれば特に制限はない。たとえば、塩素系ガスとして、Cl、SiCl、CHCl、CHCl、CCl、BCl等があげられる。また、前記のドライエッチングで使用されるフッ素系ガスとしては、Fが含まれていれば特に制限はない。たとえば、フッ素系ガスとして、CHF、CF、C、C、SF等があげられる。特に、Cを含まないフッ素系ガスは、ガラス基板に対するエッチングレートが比較的低いため、ガラス基板へのダメージをより小さくすることができる。
≪半導体デバイスの製造方法≫
本発明の半導体デバイスの製造方法は、前記の位相シフトマスクまたは前記のマスクブランクを用いて製造された位相シフトマスクを用い、基板上のレジスト膜に対して位相シフトマスクの転写パターンを露光転写することを特徴としている。このような半導体デバイスの製造方法は、次のように行う。
先ず、半導体デバイスを形成する基板を用意する。この基板は、例えば半導体基板であっても良いし、半導体薄膜を有する基板であっても良いし、さらにこれらの上部に微細加工膜が成膜されたものであっても良い。用意した基板上にレジスト膜を成膜し、このレジスト膜に対して、本発明の位相シフトマスクを用いたパターン露光を行ない、位相シフトマスクに形成された転写パターンをレジスト膜に露光転写する。この際、露光光としては、転写パターンを構成する位相シフト膜に対応する露光光を用いることとし、例えばここではArFエキシマレーザ光を用いる。
以上の後、転写パターンが露光転写されたレジスト膜を現像処理してレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして基板の表層に対してエッチング加工を施したり不純物を導入する処理を行う。処理が終了した後には、レジストパターンを除去する。
以上のような処理を、転写用マスクを交換しつつ基板上において繰り返し行い、さらに必要な加工処理を行うことにより、半導体デバイスを完成させる。
以上のような半導体デバイスの製造においては、本発明の位相シフトマスクを用いることにより、基板上のレジスト膜に位相シフトマスクの転写パターンを露光転写しても転写不良を発生することはなく、このレジスト膜に設計仕様を十分に満たす精度でパターンを転写することができる。このため、このレジスト膜のパターンをマスクとして、下層膜をドライエッチングして回路パターンを形成した場合、精度不足に起因する配線短絡や断線のない高精度の回路パターンを形成することができる。
以下、実施例により、図1および必要図面を参照しつつ、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。
[マスクブランクの製造]
主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.35mmの合成石英ガラスからなる透光性基板3を準備した。この透光性基板3は、端面及び主表面Sが所定の表面粗さに研磨され、その後、所定の洗浄処理および乾燥処理を施されたものであり、複数個所に深さ40nm以下の凹欠陥部Fを有するものである。
次に、図3〜図5を用いて説明した斜入射回転スパッタ法による成膜を行う成膜装置における成膜室35内の回転ステージ31上に透光性基板3を載置した。バッキングプレート43には、スパッタリングターゲット33としてケイ素(Si)ターゲットを装着した。尚、この成膜装置としては、スパッタリングターゲット33のスパッタ面33sと透光性基板3の主表面Sとのターゲット傾斜角θが15度、スパッタリングターゲット33と透光性基板3とのオフセット距離Doffが340mm、スパッタリングターゲット33−透光性基板3との間の垂直距離(H)が280mmに設定されたものを用いた。
次いで、成膜室35内は排気口39を介して真空ポンプにより排気し、成膜室35内の雰囲気が形成する薄膜の特性に影響しない真空度まで達した後、ガス導入口37から窒素を含む混合ガスを導入し、RF電源(図示せず)を用いてマグネトロン電極41にRF電力を印加し、スパッタリングによる成膜を行った。RF電源はアーク検出機能を持ち、スパッタリング中の放電状態を監視することができる。成膜室35内部の圧力は圧力計(図示せず)によって測定した。
そして、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガス(流量比 Ar:N=1:3,圧力=0.09Pa)をスパッタリングガスとし、RF電源の電力を2.8kWとし、反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、透光性基板3の主表面S上に、ケイ素および窒素からなる高透過層5(Si:N=46at%:54at%)を55nmの厚さで形成した。別の透光性基板の主表面に対して、同条件で高透過層5のみを形成し、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M−2000D)を用いてこの高透過層5の光学特性を測定したところ、波長193nmにおける屈折率nが2.52、消衰係数kが0.39であった。なお、この高透過層5を成膜する際に用いた条件は、その使用したRFスパッタ装置で事前に、スパッタリングガスにおけるArガスとNガスとの混合ガス中のNガスの流量比と、成膜速度との関係を検証し、反応モード(ポイズンモード)の領域で安定的に成膜できる流量比等の成膜条件を選定している。なお、高透過層5の組成は、X線光電子分光法(XPS)による測定によって得られた結果である。以下、他の膜に関しても同様である。
次に、高透過層5の成膜に連続し、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガス(流量比 Ar:N=2:3,圧力=0.035Pa)をスパッタリングガスとし、RF電源の電力を2.8kWとし、反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、ケイ素および窒素からなる低透過層7(Si:N=59at%:41at%)を12nmの厚さで形成した。別の透光性基板の主表面に対して、同条件で低透過層7のみを形成し、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M−2000D)を用いてこの低透過層7の光学特性を測定したところ、波長193nmにおける屈折率nが1.85、消衰係数kが1.70であった。なお、この低透過層7を成膜する際に用いた条件は、その使用したRFスパッタ装置で事前に、スパッタリングガスにおけるArガスとNガスとの混合ガス中のNガスの流量比と、成膜速度との関係を検証し、メタルモードの領域で安定的に成膜できる流量比等の成膜条件を選定している。
次に、同じ成膜装置における成膜室35内の回転ステージ31上に、高透過層5および低透過層7が積層された透光性基板3を載置した。バッキングプレート43には、スパッタリングターゲット33として二酸化ケイ素(SiO)ターゲットを装着した。そして、アルゴン(Ar)ガス(圧力=0.03Pa)をスパッタリングガスとし、RF電源の電力を1.5kWとし、RFスパッタリングにより、低透過層7上に、ケイ素および酸素からなる最上層9を4nmの厚さで形成した。なお、別の透光性基板の主表面に対して、同条件で最上層9のみを形成し、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M−2000D)を用いてこの最上層9の光学特性を測定したところ、波長193nmにおける屈折率nが1.56、消衰係数kが0.00であった。
以上の手順により、透光性基板3上に、高透過層5、低透過層7、および最上層9からなる位相シフト膜11を形成した。この位相シフト膜11に対し、位相シフト量測定装置でArFエキシマレーザーの光の波長(約193nm)における透過率および位相差を測定したところ、透過率は5.97%、位相差が177.7度であった。
次に、枚葉式DCスパッタ装置内に位相シフト膜11が形成された透光性基板3を設置し、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)、窒素(N)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:CO:N:He=22:39:6:33,圧力=0.2Pa)をスパッタリングガスとし、DC電源の電力を1.9kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、位相シフト膜11上に、CrOCNからなる遮光膜13の最下層を30nmの厚さで形成した。
次に、同じクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガス(流量比 Ar:N=83:17,圧力=0.1Pa)をスパッタリングガスとし、DC電源の電力を1.4kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、位相シフト膜11上に、CrOCNからなる遮光膜13の下層を4nmの厚さで形成した。
次に、同じクロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)、窒素(N)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:CO:N:He=21:37:11:31,圧力=0.2Pa)をスパッタリングガスとし、DC電源の電力を1.9kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、位相シフト膜11上に、CrOCNからなる遮光膜13の上層を14nmの厚さで形成した。以上の手順により、位相シフト膜11側からCrOCNからなる最下層、CrNからなる下層、CrOCNからなる上層の3層構造からなるクロム系材料の遮光膜13を合計膜厚48nmで形成した。
さらに、枚葉式RFスパッタ装置内に、位相シフト膜11および遮光膜13が積層された透光性基板3を設置し、二酸化ケイ素(SiO)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス(圧力=0.03Pa)をスパッタリングガスとし、RF電源の電力を1.5kWとし、RFスパッタリングにより遮光膜13上に、ケイ素および酸素からなるエッチングマスク膜15を5nmの厚さで形成した。
次に、エッチングマスク膜15の表面にHMDS処理を施した。続いて、スピン塗布法によって、エッチングマスク膜15の表面に接して、電子線描画用化学増幅型レジストからなるレジスト膜17を膜厚80nmで形成した。以上の手順により、透光性基板3上に、3層構造の位相シフト膜11、遮光膜13、エッチングマスク膜15、およびレジスト膜17をこの順に積層した構造を備えたマスクブランク1を製造した。
[位相シフトマスクの製造]
この実施例で作製したマスクブランク1を用い、以下の手順で実施例の位相シフトマスク2を作製した。先ず、図7Aを参照し、レジスト膜17に対して、位相シフト膜に形成すべき位相シフトパターンである第1のパターンを電子線描画し、所定の現像処理および洗浄処理を行い、第1のパターンを有する第1のレジストパターン17aを形成した。この際、透光性基板3の凹欠陥部Fが、位相シフトを利用しない第1のレジストパターン17aで覆われるパターン設計とした。
次に図7Bを参照し、第1のレジストパターン17aをマスクとし、CFガスを用いたドライエッチングを行い、エッチングマスク膜15に第1のパターン(エッチングマスクパターン15a)を形成した。その後、第1のレジストパターン17aを除去した。
次に図7Cを参照し、エッチングマスクパターン15aをマスクとし、塩素と酸素との混合ガス(ガス流量比 Cl:O=4:1)を用いたドライエッチングを行い、遮光膜13に第1のパターン(遮光膜パターン13a)を形成した。
次に図7Dを参照し、遮光膜パターン13aをマスクとし、フッ素系ガス(SF+He)を用いたドライエッチングを行い、位相シフト膜11に第1のパターン(転写パターン20)を形成した。この際、同時にエッチングマスクパターン15aを除去した。
次に図7Eを参照し、遮光膜パターン13a上に、スピン塗布法によって、電子線描画用化学増幅型レジストからなるレジスト膜を膜厚150nmで形成した。次に、レジスト膜に対して、遮光膜13に形成すべきパターン(遮光パターン13b)である第2のパターンをパターン露光し、さらに現像処理等の所定の処理を行い、遮光パターンを有する第2のレジストパターン21を形成した。続いて、第2のレジストパターン21をマスクとして、塩素と酸素との混合ガス(ガス流量比 Cl:O=4:1)を用いたドライエッチングを行い、遮光膜13に遮光パターン13bを形成した。その後、第2のレジストパターン21を除去し、洗浄等の所定の処理を経て、図6に示した位相シフトマスク2を得た。
作製した実施例のハーフトーン型の位相シフトマスク2に対してマスク検査装置によってマスクパターンの検査を行ったところ、設計値から許容範囲内で微細パターンが形成されていることが確認された。次に、この実施例の位相シフトマスク2の位相シフトパターンに対して、ArFエキシマレーザ光を積算照射量20kJ/cmで照射する処理を行った。この照射処理の前後における位相シフトパターンのCD変化量は、2nm程度であり、位相シフトマスクとして使用可能な範囲のCD変化量であった。
ArFエキシマレーザ光の照射処理を行った後の実施例のハーフトーン型位相シフトマスク200に対し、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス上のレジスト膜に露光転写したときにおける転写像のシミュレーションを行った。このシミュレーションの露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていた。この結果から、透光性基板3の主表面Sに凹欠陥部Fが存在していたとしても、位相シフトを利用しない大面積の位相シフト膜11からなる転写パターン20aでこれを覆った構成とすることで、半導体デバイスの製造プロセスにおいて基板上のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス上に形成される回路パターンは高精度で形成できるといえる。
1,1a…マスクブランク
2…位相シフトマスク
3…透光性基板
5…高透過層
7…低透過層
9,9’…最上層
10…積層構造
11,11a…位相シフト膜
20…転写パターン
33…スパッタリングターゲット
33a…スパッタ面
D…低密度領域
F…凹欠陥部
S…主表面

Claims (21)

  1. 透光性基板の主表面上に位相シフト膜が設けられたマスクブランクであって、
    前記透光性基板は、前記位相シフト膜が形成されている側の主表面に凹欠陥部を有し、
    前記位相シフト膜は、透光性基板側から、高透過層とこれよりも光透過率が低い低透過層とをこの順に積層した構造を含み、
    前記凹欠陥部上に形成された部分の前記高透過層の内部領域が低密度領域を有し、
    前記低密度領域における密度が、前記凹欠陥部のない主表面上に形成された部分の前記高透過層の内部領域における密度よりも相対的に低い
    ことを特徴とするマスクブランク。
  2. 前記高透過層および低透過層は、ケイ素および窒素を含有する材料で形成され、
    前記高透過層は、前記低透過層に比べて窒素含有量が相対的に多い
    ことを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
  3. 前記高透過層および低透過層は、ケイ素および窒素からなる材料、または前記材料に半金属元素、非金属元素および希ガスから選ばれる1以上の元素を含有する材料で形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載のマスクブランク。
  4. 前記高透過層および低透過層は、同じ構成元素からなる
    ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のマスクブランク。
  5. 前記位相シフト膜は、前記高透過層と低透過層との積層構造の組み合わせを2組以上有する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランク。
  6. 前記高透過層および低透過層は、ケイ素および窒素からなる材料で形成される
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
  7. 前記高透過層は、前記低透過層よりも膜厚が大きい
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
  8. 前記位相シフト膜は、前記透光性基板から最も離れた位置に、ケイ素および酸素を含有する材料で形成された最上層を備える
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
  9. 前記位相シフト膜は、前記透光性基板から最も離れた位置に、ケイ素および酸素からなる材料、ケイ素、窒素および酸素からなる材料、またはこれらの材料に半金属元素、非金属元素および希ガスから選ばれる1以上の元素を含有する材料のいずれかで形成された最上層を備える
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のマスクブランク。
  10. 前記位相シフト膜に対し、5分以上の温水洗浄を行った後においても、前記凹欠陥部上に形成された前記位相シフト膜が残存している
    ことを特徴とする請求項8または9に記載のマスクブランク。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載のマスクブランクの前記位相シフト膜に転写パターンが形成されている
    ことを特徴とする位相シフトマスク。
  12. 透光性基板の主表面上に位相シフト膜が設けられたマスクブランクの製造方法であって、
    前記透光性基板を主表面の中心を通る回転軸で回転させることと、スパッタリングターゲットのスパッタ面を、前記透光性基板の凹欠陥部を有する主表面に対向させて斜めに配置することとを含むスパッタリング法によって、前記透光性基板の凹欠陥部を有する主表面上に前記位相シフト膜を成膜する工程を備え、
    前記位相シフト膜を成膜する工程は、前記透光性基板における凹欠陥部を有する主表面上に、高透過層を形成する高透過層形成工程と、前記高透過層よりも光透過率が低い低透過層を前記高透過層上に形成する低透過層形成工程とを含み、
    前記高透過層形成工程で形成された前記高透過層は、前記凹欠陥部上に形成された部分の前記高透過層の内部領域が低密度領域を有し、前記低密度領域における密度が、前記凹欠陥部のない主表面上に形成された部分の前記高透過層の内部領域における密度よりも相対的に低い
    ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  13. 前記高透過層形成工程は、ケイ素を含有する材料からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素系ガスと希ガスを含むスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記高透過層を形成するものであり、
    前記低透過層形成工程は、ケイ素を含有する材料からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素系ガスと希ガスとを含み前記高透過層形成工程のときよりも窒素系ガスの混合比率が低いスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記低透過層を形成するものである
    ことを特徴とする請求項12記載のマスクブランクの製造方法。
  14. 前記高透過層形成工程は、ケイ素またはケイ素に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有する材料からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素系ガスと希ガスを含むスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記高透過層を形成するものであり、
    前記低透過層形成工程は、ケイ素またはケイ素に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有する材料からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素系ガスと希ガスを含み前記高透過層形成工程のときよりも窒素系ガスの混合比率が低いスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記低透過層を形成するものである
    ことを特徴とする請求項12または13記載のマスクブランクの製造方法。
  15. 前記高透過層形成工程は、ケイ素からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素ガスと希ガスからなるスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記高透過層を形成するものであり、
    前記低透過層形成工程は、ケイ素からなる前記スパッタリングターゲットを用い、窒素ガスと希ガスからなり前記高透過層形成工程のときよりも窒素系ガスの混合比率が低いスパッタリングガス中での反応性スパッタリングによって、前記低透過層を形成するものである
    ことを特徴とする請求項12から14のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  16. 前記高透過層形成工程は、ポイズンモードでの反応性スパッタリングによって前記高透過層を形成するものであり、
    前記低透過層形成工程は、メタルモードでの反応性スパッタリングによって前記低透過層を形成するものである
    ことを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  17. 前記位相シフト膜の前記透光性基板から最も離れた位置に、ケイ素および酸素を含有する材料からなる最上層を形成する最上層形成工程を有する
    ことを特徴とする請求項12から16のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  18. 前記位相シフト膜の前記透光性基板から最も離れた位置に、ケイ素および酸素からなる材料、ケイ素、窒素および酸素からなる材料、またはこれらの材料に半金属元素、非金属元素および希ガスから選ばれる1以上の元素を含有する材料のいずれかで形成された最上層を形成する最上層形成工程を有する
    ことを特徴とする請求項12から17のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  19. 請求項12から18のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法によって製造されたマスクブランクの前記位相シフト膜に転写パターンを形成する工程を有する
    ことを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  20. 請求項11記載の位相シフトマスクを用い、基板上のレジスト膜に対して前記位相シフトマスクの前記転写パターンを露光転写する工程を備えた
    ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
  21. 請求項19記載の位相シフトマスクの製造方法によって製造された位相シフトマスクを用い、基板上のレジスト膜に対して前記位相シフトマスクの前記転写パターンを露光転写する工程を備えた
    ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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