〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る携帯端末装置の一部を示している。図1に示す構成は一例であり、この構成に本開示の構成が限定されるものではない。
この携帯端末装置2−1は本開示の電子機器の一例である。この携帯端末装置2−1はケース4を備えている。このケース4は筐体の一例である。このケース4はたとえば、合成樹脂で形成されている。このケース4にはタッチパネル6が設置されている。タッチパネル6は、指(人体)やタッチペンで接触し、その接触圧力をタッチパネル6の背面側にある圧力センサ8に伝達する手段である。このタッチパネル6は、周辺部に設置された固定手段としてたとえば、両面接着剤10によりケース4の上面部に固定されている。ケース4とタッチパネル6との間には一定の間隔11が保持されている。この実施の形態では、両面接着剤10の厚さを以て間隔11が保持されている。ケース4の縁部には防護壁12が形成されており、この防護壁12によってタッチパネル6の側部および両面接着剤10が防護されている。
タッチパネル6の背面側には既述の圧力センサ8が設置されている。この圧力センサ8は筐体であるケース4に設置される部品の一例である。圧力センサ8は、タッチパネル6により伝達される圧力を検出し、検出圧力を電気信号に変換する。この圧力センサ8はタッチパネル6に両面接着剤14により固定されている。この圧力センサ8には、受圧部16が突出している。この実施の形態では、タッチパネル6に固定されている圧力センサ8は、ケース4にタッチパネル6および両面接着剤10、14を介在して固定されている。
ケース4には、圧力センサ8に対応するプリテンション設定部18が設置されている。プリテンション設定部18は圧力センサ8に対してプリテンションを設定する。圧力センサ8の受圧部16に予備的な圧力を付与すると、圧力センサ8側に一定の反力が発生する。この反力(部品に対する予備圧)がプリテンションである。このプリテンション設定部18には支持フレーム部20が備えられ、この支持フレーム部20には窓部21が形成されている。この窓部21は、圧力センサ8の平面形状より大なる開口面積で開口されている。この窓部21の縁部には、額縁状の支持フレーム部20が形成されている。この支持フレーム部20はたとえば、ケース4の背面側に立壁部を突出させている。
窓部21の内側にはフォルダ22が設置されている。このフォルダ22は、窓部21内で圧力センサ8に対して進退可能である。このフォルダ22の前面には間隔24を設けて前面プレート26が備えられ、この前面プレート26が図中、圧力センサ8の受圧部16に接触している。この前面プレート26は板ばねなどの弾性板で形成されている。
フォルダ22の背面部には複数の支持アーム部28が立設され、各支持アーム部28は、支持フレーム部20を超えてケース4の背面側に突出している。
フォルダ22の背面側にはプリテンション弾性体30が設置されている。このプリテンション弾性体30は支持アーム部28の間に保持されている。このプリテンション弾性体30は、スプリング、クッション、ゴムなどの弾性部材で構成されている。
支持アーム部28には、背面プレート32が進退可能に支持されている。この実施の形態では、背面プレート32がばね板などの弾性部材で形成されている。背面プレート32には、支持アーム部28を貫通させる貫通孔34が形成されている。この貫通孔34に貫通させた支持アーム部28に対し、背面プレート32が進退可能である。
背面プレート32には屈曲部36が備えられている。窓部21の支持フレーム部20の内壁にある凹部38には図1のBに示すように、背面プレート32の縁部40が係止され、背面プレート32がケース4に仮固定される。凹部38は、当初より支持フレーム部20の内壁に形成してもよいし、仮固定の際に押し込まれた背面プレート32の縁部40を支持フレーム部20に食い込ませることにより、形成されてもよい。
この実施の形態では、プリテンション部材の一例として、既述の前面プレート26、フォルダ22、プリテンション弾性体30および背面プレート32が設置されている。つまり、これらの部材により、圧力センサ8の受圧部16に既述のプリテンションが付与される。プリテンション弾性体30には、圧力センサ8からの反力を受け止めることができる程度の弾性を備える弾性材料を用いればよい。
背面プレート32および支持フレーム部20には、支持アーム部28を覆って接着剤42が塗布され、接着剤42が硬化している。接着剤42は固定部材の一例である。この接着剤42の硬化により、フォルダ22および背面プレート32がケース4に固定されている。このとき、プリテンション弾性体30および前面プレート26も固定状態に維持される。これにより、仮組み後、接着剤でクッション部分を固定し機能しなくすることで圧力センサ8のセンサ感度に必要なセンサ部周囲(つまり、受圧部16に対する周囲部材など)の剛性が設定される。
<圧力センサ8の組込みおよびプリテンション設定>
図2は、携帯端末装置2−1に対する圧力センサ8の組込み手順の一例を示している。この組込み手順は、本開示の電子機器の製造方法の一例である。この製造工程には、圧力センサ8の設置工程、プリテンションの付与工程およびプリテンション部材の固定工程が含まれている。
(1) 圧力センサ8の設置工程
図2のAは圧力センサ8の設置工程を示している。タッチパネル6の内側面部の所定位置には両面接着剤14により圧力センサ8を貼り付け、タッチパネル6に圧力センサ8を固定する。
(2) フォルダ22の設置工程
図2のBはフォルダ22の設置工程を示している。タッチパネル6をケース4に両面接着剤10により貼り付け、ケース4にタッチパネル6を固定する。これにより、タッチパネル6の裏面側がケース4によって覆われ、窓部21の開口部にタッチパネル6上の圧力センサ8が露出している。
このケース4にフォルダ22を設置する。フォルダ22は、窓部21からタッチパネル6上の圧力センサ8の上に設置される。フォルダ22を取り付ける際、フォルダ22には前面プレート26およびプリテンション弾性体30が一体に備えられている。前面プレート26はフォルダ22の下面側に取り付けられ、プリテンション弾性体30は支持アーム部28の間に設置されている。つまり、フォルダ22、前面プレート26およびプリテンション弾性体30が一つの部品として構成され、部品単体として扱われる。
(3) プリテンションの設定工程
図2のCに示すように、ケース4に設置されたフォルダ22には、窓部21から背面プレート32が設置される。背面プレート32は、フォルダ22の支持アーム部28に設置され、図中、上下方向に進退可能である。背面プレート32は、フォルダ22上のプリテンション弾性体30の上面に載せられる。この背面プレート32は窓部21の開口面積より大きく、その縁部40(図1のB)は窓部21の壁面にある凹部38(図2のB)に係合可能である。
そこで、プリテンション弾性体30上の背面プレート32にプリテンション弾性体30の圧縮方向に圧力Pを付与する。つまり、プリテンション圧力の付与である。これにより、フォルダ22を圧力センサ8側に下降させ、プリテンション弾性体30を圧縮する。
このように、プリテンションが付与された状態で、窓部21に背面プレート32を係止させる。つまり、プリテンション弾性体30を圧縮しながら背面プレート32をケース4に係止する。この係止は、既述の窓部21の壁面の凹部38に背面プレート32の縁部40を係合させればよい。これにより、プリテンション状態で背面プレート32が仮固定される。
(4) フォルダ22および背面プレート32の固定工程
図2のDは、ケース4へのフォルダ22および背面プレート32の固定を示している。この場合、ケース4に仮固定されているフォルダ22および背面プレート32と、ケース4との間を固定する。この固定には接着剤42を用いる。フォルダ22および背面プレート32とケース4との間に図2のDに示すように、所定量の接着剤42をディスペンサ44により滴下する。接着剤42にはたとえば、熱硬化性樹脂を用いればよい。
ケース4にフォルダ22および背面プレート32を仮固定状態に維持し、軟化状態にある接着剤42をたとえば、加熱して硬化させる。これにより、フォルダ22および背面プレート32がケース4に接着剤42で固定される。したがって、仮組み後、接着剤でクッション部分を固定し機能しなくすることで圧力センサ8のセンサ感度に必要なセンサ部周囲(つまり、受圧部16に対する周囲部材など)の剛性が設定される。
この実施の形態では、固定手段に一例として接着剤42を用いているが、固定ねじなどの固定治具、溶接などの機械的な固定手段を用いてもよい。
<第1の実施の形態の効果>
(a) ケース4に設置される圧力センサ8の受圧部16に対し、フォルダ22によって一定のプリテンションを設定し、そのプリテンションを維持することができる。
(b) ケース4に設置される圧力センサ8の寸法バラツキの影響を受けることなく、プリテンション弾性体30の弾性により、プリテンションを設定できる。
(c) プリテンションを一定に維持でき、そのバラツキを小さくできる。
(d) プリテンションが付与された圧力センサ8では、タッチパネル6に付与されるタッチ圧力を精度良く、検出することができる。
(e) 上記実施の形態では、プリテンションを付与する対象である部品として圧力センサ8を例示したが、ガスケットなどの部品に対して一定のプリテンションを設定できる。
〔第2の実施の形態〕
図3は、第2の実施の形態に係る携帯端末装置の表示側筐体の一例を示している。図3に示す構成は一例であり、斯かる構成に本開示の構成が限定されるものではない。
この携帯端末装置2−2の前面側にはケース4が設置されている。このケース4は表示側筐体の一例である。このケース4の前面にはタッチパネル6が設置されている。このタッチパネル6は表示画面46を覆って設置されている。表示画面46は、LCD(Liquid Crystal Display)の画面表示部である。この表示画面46の外のケース上面には一例としてタッチ操作部48が設置されている。タッチ操作部48の上面にはアイコン50が表示されている。アイコン50は一例としてホームページを表している。
図4は、裏面側ケースを外してケース4の裏面を示している。タッチ操作部48の裏面側には、圧力センサ8およびプリテンション設定部18が配置されている。この圧力センサ8は、タッチ圧力を検出する。プリテンション設定部18は、圧力センサ8に対するプリテンションを設定している。
ケース4には複数のねじ部54が形成され、図示しない背面ケースが図示しない固定ねじを用いて固定される。
<ケース4上のプリテンション設定部18>
図5は、ケース4上のプリテンション設定部18を示している。プリテンション設定部18はケース4に一体に形成されている。このプリテンション設定部18は既述の支持フレーム部20を備えている。ケース4の背面側に突出させた立壁部で支持フレーム部20が構成されている。この支持フレーム部20に既述のフォルダ22、背面プレート32などが取り付けられる。
図6は、プリテンション設定部18の各部材を示している。この支持フレーム部20はケース4に一体に形成されている。
この支持フレーム部20には窓部21を包囲して一対の立壁部56−1、56−2、係合凹部58−1、58−2、凹部59、係止部60および凹部61が形成されている。立壁部56−1、56−2は、窓部21と直交方向に立設されている。各立壁部56−1、56−2の中途部には、係止段部62が形成されている。各立壁部56−1、56−2はフォルダ22の挿入ガイドを構成している。また、各係止段部62は背面プレート32のストッパを構成している。
係合凹部58−1、58−2には背面プレート32の一部が挿入されることにより、背面プレート32が係合する。各係合凹部58−1、58−2に対し、係止部60が対向している。この係止部60には係止爪部64が形成されている。この係止爪部64は背面プレート32の固定構造の一例である。この係止爪部64は、各係合凹部58−1、58−2に対向している。したがって、係合凹部58−1、58−2に係合させた背面プレート32の上面に係止爪部64が係合し、背面プレート32が支持フレーム部20に拘束される。
窓部21に露出するタッチパネル6には圧力センサ8が両面接着剤14により固定される。圧力センサ8にはフレキシブルケーブル66が備えられている。このフレキシブルケーブル66は圧力センサ8の出力信号の取出しに用いられる。
圧力センサ8の背面側には、フォルダ22が設置される。このフォルダ22の背面側には、背面プレート32が設置される。この背面プレート32は、フォルダ22を覆って設置される。この背面プレート32には、フォルダ22の各支持アーム部28を貫通させる貫通孔34が形成されている。この貫通孔34を貫通させたフォルダ22の各支持アーム部28に背面プレート32が摺動可能に支持される。
<フォルダ22および被保持部材>
図7は、フォルダ22および被保持部材を示している。このフォルダ22には下面側に前面プレート26が保持され、背面側にプリテンション弾性体30が保持される。前面プレート26はたとえば、矩形形状であり、弾性を備えた金属板で形成されている。プリテンション弾性体30はたとえば、ゴムなどの弾性材料で形成され、直方体である。
フォルダ22はたとえば、合成樹脂の成形体で構成されている。このフォルダ22には、長方形状の本体部68には長手方向の縁部に一対の脚部70−1、70−2が形成されている。脚部70−1側には凹部72が形成されている。
本体部68には、長手方向に一定の間隔を設けて一対の支持アーム部28が形成されている。これら支持アーム部28の間には窓部74が形成されている。この窓部74はたとえば、長方形状である。この窓部74には、既述のプリテンション弾性体30が設置される。これにより、プリテンション弾性体30が本体部68に保持される。
図8のAは、前面プレート26およびプリテンション弾性体30を備えたフォルダ22を上面側から示している。図8のBは、フォルダ22を下面側から示している。フォルダ22の下面側には、前面プレート26の設置部76が形成されている。この設置部76の長手方向の縁部には、プレート保持部78−1、78−2が形成されている。
図8のCは、図8のBのVIIIC − VIIIC線の切断断面を示している。各プレート保持部78−1、78−2には固定爪部80が形成され、各固定爪部80は、前面プレート26の縁部側に突出している。したがって、前面プレート26は各固定爪部80により設置部76内に保持される。
図8のDは、図8のAのVIIID − VIIID線切断断面を示している。各支持アーム部28の頂部には、テーパ面部82が形成されている。フォルダ22に設置される背面プレート32の貫通孔34には、支持アーム部28がテーパ面部82によりガイドされて挿入される。
<支持フレーム部20>
図9のAは、ケース4の支持フレーム部20の平面および切断箇所を示している。図9のBは、図9のAのIXB −IXB 線の切断端面を示している。
支持フレーム部20の係合凹部58−1、58−2の上部には窓部21側に突出する突出部84が形成されている。この突出部84に背面プレート32が係止される。係止部60には突出部84に向かって係止爪部64が突出している。これら突出部84および係止爪部64が背面プレート32の上面側に設置される。これにより、背面プレート32が支持フレーム部20から離脱するのを防止する。つまり、プリテンション状態を維持し且つ固定する。
<圧力センサ8およびプリテンション設定部18>
図10は、圧力センサ8上のプリテンション設定部18の平面および各部切断箇所を示している。図11は、図10のXI−XI線で切断した断面を示している。図12のAは、図10のXIIA−XIIA線で切断した断面を示している。図12のBは、図10のXIIB−XIIB線で切断した断面を示している。図12のCは、図10のXIIC−XIIC線で切断した断面を示している。
タッチパネル6に固定された圧力センサ8には、プリテンション設定部18が配置されている。タッチパネル6はケース4に既述の両面接着剤10(図1)により固定されている。つまり、タッチパネル6およびケース4は一体である。ケース4に形成された支持フレーム部20にはフォルダ22が設置され、フォルダ22は背面プレート32により支持フレーム部20に拘束されている。
圧力センサ8の受圧部16上には前面プレート26が載せられ、この前面プレート26の上にはプリテンション弾性体30が配置されている。前面プレート26およびプリテンション弾性体30はフォルダ22に保持されている。
圧力センサ8に接続されたフレキシブルケーブル66は支持フレーム部20の凹部59から支持フレーム部20の上面側に引き出されている。
斯かる構成では圧力センサ8の一面がタッチパネル6に固定され、他面側にプリテンション設定部18からプリテンションが付与されている。この場合、タッチパネル6はケース4の一部である支持フレーム部20に固定されている。フォルダ22上に保持されたプリテンション弾性体30は、圧力センサ8の受圧部16上にある前面プレート26と、支持フレーム部20に固定された背面プレート32との間に圧縮状態で挟み込まれている。このため、圧縮状態にあるプリテンション弾性体30の復元力が、支持フレーム部20と圧力センサ8の受圧部16との間に作用する。これにより、圧力センサ8の受圧部16にはプリテンションが付与されている。
<圧力センサ8>
図13のAは、圧力センサ8に用いられるセンサ部の一例を示している。圧力センサ8にはたとえば、静電型圧力センサを用いることができる。この場合、圧力センサ8には電極86−1、86−2が設置されている。
電極86−1、86−2の対向面積をSとすると、静電容量Cは、
C=ε・S/d ・・・(1)
で与えられる。図13のBに示すように、圧力Pを受けた電極86−1が電極86−2に近づき、電極86−1、86−2の間隔dが変化すると、この間隔dに反比例して静電容量Cが変化する。そこで、電極86−1、86−2の間に電圧を付与しておけば、圧力Pに応じた出力電圧Vに変換される。
<圧力センサ8の組込みおよびプリテンション設定>
図14は、圧力センサ8の組込みおよびプリテンション設定を示している。この圧力センサ8の組込みおよびプリテンション設定は、本開示の電子機器の製造方法の一例である。この圧力センサ8の組込みおよびプリテンション設定には圧力センサ8の設置工程、フォルダ22の設置工程、背面プレート32の取付け工程が含まれる。
(1) 圧力センサ8の設置工程
図14のAは、圧力センサ8の設置工程を示している。タッチパネル6には、圧力センサ8が設置され、この圧力センサ8が両面接着剤14によりタッチパネル6に固定される。
(2) フォルダ22の設置工程
図14のBは、フォルダ22の設置工程を示している。圧力センサ8が取り付けられたタッチパネル6は、携帯端末装置2−2の構成部品であるケース4に固定される。この場合、圧力センサ8が取り付けられる前のタッチパネル6をケース4に固定してもよい。
圧力センサ8は、プリテンション設定部18の支持フレーム部20にある窓部21の所定位置に配置されている。フォルダ22には予め前面プレート26およびプリテンション弾性体30が取り付けられ、保持されている。このような前面プレート26およびプリテンション弾性体30を備えるフォルダ22を支持フレーム部20に設置する。これにより、前面プレート26が圧力センサ8の受圧部16に載置される。
(3) 背面プレート32の取付け工程
図14のCは、背面プレート32の取付け工程を示している。背面プレート32は支持フレーム部20に設置されたフォルダ22に係合させ、プリテンション弾性体30の上面に設置される。背面プレート32は支持フレーム部20に係合させ、この係合関係により位置決めされて取り付ける。
図15のAは、背面プレート32の取付けを示している。図15のBは、背面プレート32の取付けによるプリテンション設定状態を示している。
背面プレート32の一端を支持フレーム部20の突出部84の内側に設置し、背面プレート32の貫通孔34にフォルダ22の支持アーム部28を挿入する。この状態を維持しながら、背面プレート32を矢印a1方向に回動させる。背面プレート32は、支持フレーム部20の突出部84の角部を支点にして図中反時計方向(矢印a1方向)に回動させると、背面プレート32に衝突している係止部60が弾性により矢印a2方向に変形して移動する。
この状態から背面プレート32を矢印a2方向に回動させると、背面プレート32はプリテンション弾性体30の上面に水平状態になる。このとき、背面プレート32により押し広げられた係止部60は素材の持つ弾性による復元力により、図15のBに示すように、矢印b方向に回動して復帰し、係止爪部64が背面プレート32上に載置される。この結果、背面プレート32はプリテンション弾性体30上に水平に設置される。
プリテンション弾性体30は、背面プレート32による圧接で圧縮状態となり、復元力による反力を生じる。この反力は背面プレート32と圧力センサ8の受圧部16との間を押し広げるように作用する。プリテンション弾性体30の一方の面は背面プレート32を介してケース4に支持されている。これに対し、プリテンション弾性体30の他方の面は前面プレート26を介して圧力センサ8の受圧部16に作用する。したがって、この受圧部16へのプリテンション弾性体30からの反力がプリテンションとして付与される。
このようなプリテンション状態は背面プレート32がケース4から離脱しない限り継続して維持される。
<背面プレート32の接着固定>
図16は、接着によるケース4と背面プレート32と接着固定を示している。ケース4の凹部61に固定部材として接着剤42が充填され、この接着剤42を係止部60を覆って背面プレート32に設置する。同様に突出部84側と背面プレート32との間にも接着剤42を設置する。これら接着剤42を硬化させることにより、背面プレート32をケース4に固定する。これにより、仮組み後、接着剤42でクッション部分を固定し機能しなくすることで圧力センサ8のセンサ感度に必要なセンサ部周囲(つまり、受圧部16に対する周囲部材など)の剛性が設定される。
<第2の実施の形態の効果>
(1) 上記実施の形態に記載の通り、携帯端末装置2−2に組み込まれる圧力センサ8に所定のプリテンションを設定し、維持することができる。
(2) 圧力センサ8の受圧部16側の前面プレート26とフォルダ22上の背面プレート32との間に設置されたプリテンション弾性体30を圧縮し、その復元力により圧力センサ8に一定のプリテンションをかけることができる。このプリテンション状態により、圧力センサ8、フォルダ22、ケース4側の支持フレーム部20などの部品寸法バラツキによって生じる空間を解消し、そのプリテンション状態に接着剤42の充填で固定することができる。
(3) プリテンション弾性体30にはバネやクッション等の弾性体を用いることができる。このプリテンション弾性体30で圧力センサ8を圧縮しながら仮組みし、プリテンションを設定するので、圧力センサ8に設定されるプリテンションのバラツキを小さくすることができる。これにより、仮組み後、接着剤42でクッション部分を固定し機能しなくすることで圧力センサ8のセンサ感度に必要なセンサ部周囲の剛性が設定される。つまり、圧力センサ8のセンサ感度に必要な受圧部16の剛性を得ることができる。
(4) 以上述べたように、部品寸法のバラツキの影響を受けることなく、一定のプリテンションを圧力センサ8に設定することができる。
(5) 部品寸法バラツキの影響を回避でき、設定されるプリテンション値のバラツキを小さくすることができる。
〔第3の実施の形態〕
図17は、第3の実施の形態に係るプリテンション設定およびその固定を示している。図17において、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付してある。
この携帯端末装置2−3では、圧力センサ8の受圧部16に設置される前面プレート26は、支持フレーム部20の窓部21に跨がって設置される。前面プレート26には一対の固定フランジ88が備えられ、各固定フランジ88が支持フレーム部20上に跨がって設置される。支持フレーム部20には固定フランジ88に対するフランジ載置部89が形成され、このフランジ載置部89と固定フランジ88との間に間隔xが設定されている。
前面プレート26には凹部90が形成され、この凹部90に既述のフォルダ22が設置されている。フォルダ22には重り92が設置されている。この実施の形態では重り92の重量によってフォルダ22および前面プレート26を介して圧力センサ8の受圧部16に圧力Pが加えられ、これにより受圧部16にプリテンションがかけられている。
前面プレート26の固定フランジ88は、ディスペンサ44により充填される接着剤42によりケース4に固定される。これにより、プリテンション設定用の重り92により圧力センサ8にプリテンションをかけ、フランジ載置部89と固定フランジ88との間にある間隔xが調整される。このようなプリテンション設定の後、接着剤42で前面プレート26とケース4とを固定すれば、仮組み後、接着剤42でクッション部分を固定し機能しなくすることで圧力センサ8のセンサ感度に必要なセンサ部周囲(つまり、受圧部16に対する周囲部材など)の剛性が設定される。
この実施の形態では、プリテンション用部材であるフォルダ22に所定重量の重り92を乗せ、圧力センサ8にプリテンションをかけ、接着剤42でケース4に前面プレート26を固定する。これにより、容易に一定のプリテンション設定および維持を行うことができる。
〔第4の実施の形態〕
図18は、第4の実施の形態に係るプリテンション設定およびその固定を示している。図18において、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付してある。
この実施の形態では、前面プレート26の各固定フランジ88が支持フレーム部20に一対の固定ねじ94によって固定されている。固定ねじ94は前面プレート26の固定手段の一例である。支持フレーム部20はたとえば、合成樹脂の成形体であり、支持フレーム部20の窓部21の縁部にはナット96がインサート成形によって固定されている。固定ねじ94は前面プレート26を貫通して各ナット96に固定されている。固定ねじ94の頭部98と前面プレート26の間にはコイルスプリング100が圧縮状態で挿入されている。各コイルスプリング100がプリテンション弾性体30の一例である。
固定ねじ94を調整することにより、コイルスプリング100の圧縮状態が調整され、これにより前面プレート26から圧力センサ8の受圧部16に作用させるプリテンション値が変化する。所望のプリテンションが設定されたところで、固定ねじ94の回転を止める。そして、接着剤42を前面プレート26の固定フランジ88と固定ねじ94の頭部98との間に滴下する。同様に固定フランジ88とケース4との間に接着剤42を滴下する。この接着剤42を硬化させることにより、仮組み後、接着剤42でクッション部分を固定し機能しなくすることで圧力センサ8のセンサ感度に必要なセンサ部周囲(つまり、受圧部16に対する周囲部材など)の剛性が設定される。
斯かる構成によっても圧力センサ8にプリテンションを設定し、一定に維持することができる。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、筐体に設置される部品として圧力センサ8を例示したが、これに限定されない。筐体に設置される部品は、接触型センサなどのセンサ部品のほか、ガスケットなどシーリング部材のほか、圧縮性部品、非圧縮性部品のいずれを含んでもよく、その他の機構部品などであってもよい。
(2) 上記実施の形態では、たとえば、圧力センサ、接触型センサ、ガスケットなどの部品が搭載される電子機器として携帯端末装置2−1、2−2、2−3、2−4を例示したが、これに限定されない。スマートフォン、タブレット端末、電子ゲーム機、電子スチールカメラなどの電子機器であってもよい。
(3) 上記実施の形態において、一例としてプリテンション弾性体30は100〔グラム〕程度で伸縮可能に設定し、各圧力センサ8の受圧部16に対する周囲部材などはセンサ感度に必要な剛性設定値として、20〔N/mm〕の剛性が設定されている。
以上説明したように、本開示の構成の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。