JP6097967B2 - 積層型電気二重層キャパシタおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
電気二重層キャパシタは、主に活性炭等の炭素を使用した対向する一対の分極性電極である活性炭電極と、それを電気的に分離するセパレータ、集電極としてアルミ箔に導電性塗料を塗布したアルミ集電極、および容量発現を行う有機系電解液とからなる単セルを有し、セル間の電気的絶縁の確保と液漏れを防ぐためのパッキンなどの封止構造材料、電気を外に取り出すためのアルミ板からなる集電極とリード線から構成される。
図1は、積層型キャパシタユニット(バイポーラ型電気二重層キャパシタ)の断面図を示したもので、図2は、積層型キャパシタユニット(バイポーラ型電気二重層キャパシタ)の電極構成の一例を示した図である。
ここで、パッキン14は、集電極板12とアルミ箔基材16とを絶縁し、集電極板12とアルミ箔基材16との間にセパレータ15とセパレータ15を介して対向する一対の活性炭電極13とを挟み込み、密封する機能を有している。このため、パッキン14は枠状の形状を有している。
また、セパレータ15とセパレータ15を介して対向する一対の活性炭電極13と、これを更に両側から挟む前記集電板、すなわち集電極板12又はアルミ箔基材16とからなるユニットをセルと呼ぶ。
このセルは、所望の電圧に合わせて1つ又は複数個積層される。図2では2つのセルが積層されたキャパシタを示している。
図1には3つのセルからなるタイプのキャパシタを示した。なお、図1では導電性塗料17を図示省略してある。各セルには有機系電解液が封入されている。
図示省略した導電性塗料17は、活性炭電極13と集電極板12との間および、活性炭電極13とアルミ箔基材16との間に存在し、活性炭電極13上に発生した電気エネルギーを集電極板12及びアルミ箔基材16に集電する際の効率を向上させる役割をする。
また、この積層型キャパシタユニットは、周囲からの水分侵入を遮断・防止する目的で、ラミネートフィルム20で覆われている。つまり、積層型キャパシタユニットの外装体としてラミネートフィルム20を使用している。
発生したガスによって分極性電極と集電極との間の接触状態が悪くなり、電気二重層キャパシタの内部抵抗が上昇してしまったり、単セルを直列接続した積層型キャパシタユニットと外装体であるラミネートフィルムの間にガスが溜まり、外装体内部の圧力が上昇して外装体が膨張し、最終的には外装体であるラミネートフィルムが破裂するという問題点があった。
この外装体の膨張と破裂という問題点に対しては、特許文献1に、ガス抜き穴を設けた構造により、キャパシタ内部の圧力を自動放圧させることによってキャパシタ内部の圧力を均一化する技術が開示されている。
このように水分を伴った外気が電気二重層キャパシタ内に侵入すると、キャパシタに長時間の電圧印加により、電解液と微量な水分等の分解によりフッ酸が発生し、このフッ酸の影響で次第にアルミ箔基材16の表面から導電性塗料17が脱落し接触抵抗の上昇を引き起こす。
また、他の先行技術としては、特許文献2に、電気二重層キャパシタ内部に圧力センサを挿入して外装体内に収納された積層体内の圧力をモニタすることにより、分極性電極の劣化による静電容量の低下の程度および破裂の危険性を推定する方法が開示されている。
また、いくつかの単セルを複数個積層した積層体として構成し、バイポーラ型電極で直列接続したバイポーラ型電気二重層キャパシタのような構造には適用しにくい方法である。
さらには、特許文献2では、電気二重層キャパシタに対して、寿命試験を行った結果が開示されており、時間の経過とともに圧力が徐々に上昇し、それに伴って静電容量が徐々に低下することが開示されている。
キャパシタの電気特性の中で、特に内部抵抗を支配する要因のひとつに、図1および図2のアルミ板からなる集電極板12とアルミ箔基材16、すなわち2種類のアルミ集電極と、分極性電極である活性炭電極の接触抵抗がある。
本発明では、前記問題点を解決するため、図1および図2の集電極板12とアルミ箔基材16、すなわち2種類のアルミ集電極に塗布する導電性塗料に着目し、電気二重層キャパシタ内のガスの発生による、キャパシタの外装体の体積膨張が起きると、キャパシタの内部抵抗値が顕著に上昇する特性となるアルミ集電極を有する積層型電気二重層キャパシタ及びその製造方法を提供するものである。
以下、実施例と比較例をもとに説明する。
分極基材の材料であるアルミ箔基材(集電極)31に導電性塗料34を印刷・塗布する製造装置は、アルミ箔基材(集電極)31を設置する巻き出しロール30と、アルミ箔基材(集電極)31の一方の面に連続した帯状に導電性塗料34を、所定の形状で所定の塗布厚さとなるように塗布印刷するグラビア版を有する転写ロール32と、ガイドローラ33と、バックアップローラ38と、塗料槽35とからなる印刷手段と、アルミ箔基材(集電極)31に印刷した面を乾燥する乾燥炉36と、導電性塗料34が片面に塗布されたアルミ箔基材(集電極)37を巻き取り収納する巻き取りロール39とを有する。
図3では、アルミ箔基材(集電極)31の片面への導電性塗料塗布工程を示したが、アルミ箔基材(集電極)31の両面への塗布には、巻き取ったアルミ箔基材(集電極)31の導電性塗料を塗布した面の裏面に同一工程を施すことにより得られる。
アルミ箔の表裏両面に導電性塗料塗布を塗布したアルミ箔基材(集電極)31は、所定の大きさに切断して、図1、図2で示した導電性塗料を両面に塗布したアルミ箔基材16となる。
スクリーン印刷法は、最初に、所定の大きさにアルミ板を裁断し、その後、スクリーン印刷法によりこのアルミ板の一方の面に、所定の形状、所定の塗布厚さとなるように導電性塗料を印刷・塗布し、その後印刷面を乾燥するバッチ処理方法である。
ここで、本発明の最も重要な要素となるのは、第1に導電性塗料の導電性フィラーとして、アルミ板からなる集電極板12とアルミ箔基材16、すなわち2種類のアルミ集電極の表面粗さよりも微細な粒子径であるカーボンブラックを使用することである。
また実施例では、アルミ集電極に塗布した導電性塗料の乾燥後の塗布膜の厚さが1〜3μmの範囲であるように、導電性塗料を印刷・塗布した。
すなわち、導電性塗料を塗布した後の乾燥後の導電性塗料の塗布膜厚さは、接触抵抗が最低となる範囲があるが一方、この範囲から外れる場合には接触抵抗が急激に上昇してしまう。
従って、本発明は、導電性塗料の導電性フィラーとして使用するカーボンブラックの粒子径を、アルミ集電極の表面粗さより前記条件で選定し、塗布・乾燥した導電性塗料がアルミ集電極の表面の凸凹を吸収する範囲で、塗布膜厚さを薄くすることが重要となる。
但し、従来の製造方法である比較例では、アルミ集電極に塗布した導電性塗料の乾燥後の塗布膜の厚さは、接触抵抗が最適となる5〜15μmの範囲を採用した。
課電試験の結果、キャパシタから発生したガスによって途中でアルミラミネートフィルムが膨張を開始する。
アルミラミネートフィルムの膨張が検出されたときのキャパシタの内部抵抗を定電流放電試験で取得したところ、通常の劣化傾向よりも大きく劣化することがわかった。
すなわち、比較例である従来の図5では、課電した経過時間と共に、徐々に内部抵抗の劣化がおき、内部抵抗値も徐々に上昇するが、その変化は僅かであり、40℃、50℃の何れも、約150時間から約5000時間の間では内部抵抗は約0.45Ωから0.48Ω程度である。
一方、本発明による実施例の図4の結果では、ある経過時間から急激に内部抵抗値の上昇が発生する。即ち、60℃では、約700時間を経過すると、内部抵抗が急激に(約700時間から約1000時間の間に内部抵抗が約0.35Ωから約0.45Ωへ)増加し、50℃では、約2000時間を経過すると、内部抵抗が急激に(約2000時間から約5000時間の間に内部抵抗が約0.40Ωから約0.55Ωへ)増加し、40℃では、約6000時間を経過すると、内部抵抗が急激に(約6000時間から約10000時間の間に内部抵抗が約0.35Ωから約0.45Ωへ)増加している。
したがって、電気二重層キャパシタの外装体の膨張を、電気二重層キャパシタの内部抵抗を測定することにより、電気的に検出することが可能となることが確認された。
11 エンドプレート
12 集電極板
13 活性炭電極
14 パッキン
15 セパレータ
16 アルミ箔基材
17 導電性塗料
18 締付け皿ネジ
19 絶縁スリーブ
20 ラミネートフィルム
Claims (4)
- 対向する一対の分極性電極と、それを電気的に分離するセパレータと、金属電極に導電性塗料が塗布された集電極と、有機系電解液とからなる複数のセルを有し、該複数のセルにラミネートフィルムが外装体として使用された積層型電気二重層キャパシタであって、前記積層型電気二重層キャパシタの内部抵抗値の急激な上昇と、前記積層型電気二重層キャパシタ内部で発生するガスにより、前記ラミネートフィルムの体積膨張とが同期する特性を有し、前記導電性塗料の導電性フィラーとして、前記金属電極の表面粗さよりも微細な粒子径であるカーボンブラックを使用し、前記金属電極に塗布した前記導電性塗料の乾燥後の塗膜の厚さが、前記金属電極の表面粗さと同等もしくは、前記金属電極の表面粗さよりも薄いことにより、ある経過時間から内部抵抗値が急激に上昇することを特徴とする積層型電気二重層キャパシタ。
- 前記金属電極がアルミニウム板もしくはアルミニウム箔からなる集電極であることを特徴とする請求項1に記載の積層型電気二重層キャパシタ。
- 前記金属電極に塗布した前記導電性塗料の乾燥後の塗布膜の厚さが1〜3μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型電気二重層キャパシタ。
- 対向する一対の分極性電極と、それを電気的に分離するセパレータと、金属電極に導電性塗料が塗布された集電極と、有機系電解液とからなる複数のセルを有し、該複数のセルにラミネートフィルムが外装体として使用された積層型電気二重層キャパシタを製造する方法であって、前記積層型電気二重層キャパシタの内部抵抗値の急激な上昇と、前記積層型電気二重層キャパシタ内部で発生するガスにより、前記ラミネートフィルムの体積膨張とが同期する特性を有するものを製造する方法において、前記導電性塗料の導電性フィラーとして、前記金属電極の表面粗さよりも微細な粒子径であるカーボンブラックを使用し、前記金属電極に塗布した前記導電性塗料の乾燥後の塗膜の厚さが、前記金属電極の表面粗さと同等もしくは、前記金属電極の表面粗さよりも薄くなるように塗布することにより、ある経過時間から内部抵抗値が急激に上昇することを特徴とする積層型電気二重層キャパシタの製造方法。
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