JP6097900B2 - 焼結ダイヤモンドの放電加工方法および放電加工機 - Google Patents

焼結ダイヤモンドの放電加工方法および放電加工機 Download PDF

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この発明は焼結ダイヤモンドの放電加工方法に関し、より詳細には、焼結ダイヤモンドの放電加工において、被加工物と加工用の工具電極との間に極性が交互に反転する電圧を印加しながら被加工物を加工する放電加工方法とその放電加工機に関する。
従来、焼結ダイヤモンド(PCD:Poly Crystalline Diamond)のように、非導電性の粒子(ダイヤモンド粒子)を導電性を有する焼結助剤(たとえば、コバルトやニッケルなどの金属)を用いて焼結してなる素材の放電加工は、被加工物(焼結ダイヤモンド)と加工用の工具電極との間に高い電圧を印加し、被加工物と工具電極との間に大きな電流を流すことによって工具電極と被加工物の金属部(焼結助剤)との間に放電を発生させ、これにより被加工物の金属部を除去・後退させて被加工物に含まれる非導電性の粒子を金属部から脱落させて加工を行っている。
ところで、このような従来の加工方法は、専ら被加工物の金属部にのみ放電を発生させるものであることから、タイヤモンド粒子の粒子径が数μm程度と小さい場合には加工状態が安定し、加工能率も比較的高く、加工面粗さも良好であるが、ダイヤモンド粒子の粒子径が十数μm乃至数十μm(たとえば、粒子径が25μm以上)と大きくなると、加工状態が不安定となり、加工能率も低くなり、加工面も粗くなってしまうという問題があった。
そのため、ダイヤモンド粒子の粒子径が大きい焼結ダイヤモンドを被加工物とする場合には、ダイヤモンド粒子の表面に導電性の皮膜(導電性皮膜)を形成させて通電性を与えることで、ダイヤモンド粒子に放電を発生させてダイヤモンド粒子を加工する加工方法が採用されている。
すなわち、この加工方法では、被加工物に正極(+極)の電圧を印加することで、放電加工時に被加工物および工具電極を浸漬させる加工液(加工油)から生成される熱分解カーボンや工具電極(たとえば、銅、タングステン、銅・タングステン合金、グラファイトなど)から溶融・蒸発した電極材料などの通電性のある物質を被加工物の表面に付着・転写させて導電性皮膜を形成させながら放電加工が行われている。そのため、この加工方法では、ダイヤモンド粒子が放電によって直接加工されることとなり、従来の放電加工方法に比べて、加工状態が比較的安定するとともに、良好な加工面が得られるという利点がある。
しかし、その一方で、被加工物の表面に形成される導電性皮膜は、被加工物の金属部の除去・後退を阻害する働き(金属部を保護する働き)もすることになるので、導電性皮膜の量が多くなると、かえって加工能率を低下させるという新たな問題が生じていた。
そのため、最近では、このような問題を解決するために、被加工物と工具電極との間に印加する電圧の極性を一定時間ごとに交互に反転させながら被加工物を放電加工する放電加工方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2012−30330号公報
この特許文献1に示す放電加工方法は、非導電性材料の放電加工に関して、被加工物または工具電極に正極(+極)または負極(−極)のいずれか一方の電圧(単極のパルス電圧)のみを印加する従来の加工方法では、工具電極側に導電性皮膜が形成される極性(つまり、工具電極側を正極とする逆極性)で電圧を印加すると、工具電極の消耗は抑制されるが被加工物への放電がされ難くなって加工速度が低下してしまうこと、そして反対に、被加工物側に導電性皮膜が形成される極性(つまり、被加工物側を正極とする正極性)で電圧を印加すると、被加工物の加工速度は得られるが工具電極の消耗が激しくなるという相反する二つの問題を解決するために、被加工物と工具電極との間に印加する電圧の極性を一定時間(たとえば、1msec乃至1000msec)ごとに反転させることを提案している。
たしかに、このように一定時間ごとに被加工物と工具電極との間に印加する電圧の極性を反転させれば、工具電極の消耗の低減と被加工物の効率的な加工を両立することができる。
しかしながら、特許文献1に示す放電加工方法においても、被加工物側を正極とする正極性で電圧を印加する時間が長すぎると、被加工物に形成される導電性皮膜が厚くなりすぎて加工速度を遅らせる(加工能率を低下させる)ことになる。そのため、被加工物と工具電極との間に極性が交互に反転する両極性パルスを印加して被加工物を放電加工する場合において高い加工能率を得るためには、被加工物の表面に付着する導電性皮膜を必要最小限にしながら加工を行う必要がある。
また、非導電性材料はもちろんのこと焼結ダイヤモンドのように非導電性の粒子を含む素材を被加工物として放電加工を行う場合、被加工物の表面に導電性皮膜を形成させることは必要不可欠であるところ、本発明の発明者が様々な実験をしたところでは、被加工物の表面に形成される導電性皮膜の量は、被加工物と工具電極との間に印加する電圧のかけ方(パルスの種類)と密接に関連しており、導電性皮膜を必要最小限にして被加工物の加工速度を高める(加工能率を向上させる)には、印加する電圧の最適化を図る必要がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、焼結ダイヤモンドの放電加工に関して、被加工物と加工用の工具電極との間に極性が交互に反転する電圧を印加しながら被加工物を放電加工する放電加工方法において、被加工物の表面に形成される導電性皮膜の量を最適に制御して被加工物を能率よく加工できる焼結ダイヤモンドの放電加工方法とその放電加工機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法は、焼結ダイヤモンドを被加工物とし、上記被加工物と加工用の工具電極との間に極性が交互に反転する電圧を印加しながら被加工物を放電加工する放電加工方法において、上記被加工物に正極の電圧を印加する正極性のときと、工具電極に正極の電圧を印加する逆極性のときとを反転させるタイミングが、上記被加工物と工具電極との間に生じる放電パルスのパルス数によって設定されることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法は、請求項1に記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法において、上記正極性のときのパルスの放電持続時間の設定により異なる種類の電圧パルスを発生させることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法は、請求項1または2に記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法において、上記逆極性のときのパルスの放電持続時間の設定により異なる種類の電圧パルスを発生させることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法は、請求項1から3のいずれかに記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法において、上記逆極性のときのパルスの休止時間の設定により異なる種類の電圧パルスを発生させることを特徴とする。
また、本発明の放電加工機は、焼結ダイヤモンドを被加工物とし、上記被加工物と加工用の工具電極との間に極性が交互に反転する電圧を印加しながら被加工物を放電加工する放電加工機において、上記被加工物と加工用の工具電極との間に印加する電圧として、被加工物に正極の電圧を印加する正極性のときと、工具電極に正極の電圧を印加する逆極性のときとを反転させるタイミングが、上記被加工物と工具電極との間に生じる放電パルスのパルス数によって設定できるパルス電圧の生成回路を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、焼結ダイヤモンドの放電加工に関し、被加工物と加工用の工具電極との間に極性が交互に反転する電圧を印加しながら被加工物を放電加工する放電加工方法において、上記被加工物に正極の電圧を印加する正極性のときと工具電極に正極の電圧を印加する逆極性のときとを反転させるタイミングが、時間ではなく、上記被加工物と工具電極との間に生じる放電パルスのパルス数によって設定されるので、有効に放電加工に寄与した放電持続時間に応じて極性の反転を行うことができる。また、設定するパルス数によってはマイクロ秒オーダのタイミングで極性の切り替えを行うことができる。
また、本発明の焼結ダイヤモンドの放電加工方法では、正極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの休止時間の設定によって被加工物の加工速度が制御されるので、被加工物や工具電極の材質などの加工条件に応じて、これらのうちの少なくとも1つの条件を任意に設定することで、被加工物の加工速度を調整することができる。
本発明に係る焼結ダイヤモンドの放電加工方法における電圧パルスの生成回路の一例を示す回路図である。 被加工物と工具電極との間に印加する両極性パルスのパルス比と加工速度ならびに電極消耗率の関係を示す説明図である。 被加工物と工具電極との間に正極性パルスのみを印加したときの正極性パルスの放電持続時間と加工速度ならびに被加工物に転写される電極材料の含有率の関係を示す説明図である。 被加工物と工具電極との間に両極性パルスを印加したときの逆極性パルスの放電持続時間と加工速度ならびに電極消耗率の関係を示す説明図である。 被加工物と工具電極との間に両極性パルスを印加したときの逆極性パルスの休止時間と加工速度の関係を示す説明図である。 被加工物と工具電極との間に印加するパルスの種類ごとの加工速度を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、焼結ダイヤモンド(PCD:Poly Crystalline Diamond)の放電加工方法に関する。焼結ダイヤモンドは、周知のとおり、非導電性のダイヤモンド粒子を導電性を有する焼結助剤(たとえば、コバルトやニッケルなどの金属)を用いて焼結することによって構成されている。本発明は、このような焼結ダイヤモンドを被加工物として、被加工物1と加工用の工具電極2との間に極性が交互に反転する電圧を印加しながら被加工物1の放電加工を行う。
図1は、この放電加工に使用する電圧(具体的にはパルス電圧)の生成回路の一例を示している。この図1に示すパルス電圧の生成回路は、たとえば形彫り放電加工機のような放電加工機の電源回路に付加されて、定期的に極性が反転するパルス電圧を被加工物1と工具電極2との間に印加できるようにする回路であって、電源部3と、被加工物1と工具電極2との間に印加する電圧の極性を切り替える極性切換部4と、被加工物1と工具電極2との間に印加するパルス電圧の種類(パルス波形)を切り換えるパルス切換部5と、上記極性切換部4およびパルス切換部5を制御する制御部6とを主要部として備えている。そして、このパルス電圧の生成回路によって被加工物1および工具電極2が上記極性切換部4およびパルス切換部5を介して電源部3に接続され、放電加工用のパルスが被加工物1と工具電極2との間に印加されるようになっている。
極性切換部4は、電源部3から被加工物1と工具電極2の間に印加する電圧の極性を切り換える極性切換用のスイッチ7を備えており、このスイッチ7をA側またはB側のいずれに接続するかを制御部6で制御できるように構成されている。すなわち、制御部6がスイッチ7をA側に制御する(接続させる)ことによって、被加工物1と加工用の工具電極2との間には逆極性、つまり工具電極2を正極(+極)とし被加工物1を負極(−極)とする電圧が印加され、また、制御部6がスイッチ7をB側に制御することによって、被加工物1と加工用の工具電極2との間には正極性、つまり被加工物1を正極(+極)とし工具電極2を負極(−極)とする電圧が印加されるように構成されている。
パルス切換部5は、電源部3から与えられる直流電圧をスイッチングして電圧パルスを生成する回路であって、上記極性切換部4のスイッチ7に対応してA側用のパルス発生回路とB側用パルス発生回路の2つのパルス発生回路を備えている。具体的には、各パルス発生回路は、いずれも抵抗8(A側用が8a,B側用が8b)とスイッチング用の半導体素子9(A側用が9a,B側用が9b)の直列回路で構成されており、各半導体素子9の制御端子がそれぞれ制御部6に接続され、制御部6によって各半導体素子9のオン/オフ制御(すなわち、半導体素子9によるスイッチング)ができるように構成されている。
つまり、このパルス切換部5は、上記極性切換部4のスイッチ7をA側に制御したときとB側に制御したときとで異なる種類(異なる波形)の電圧パルスを発生させることができるように構成されており、制御部6は、このパルス切換部5を制御することによって、放電加工時に被加工物1と工具電極2との間に流れるピーク電流値や、被加工物1と工具電極2との間に印加されるパルスの放電持続時間および休止時間を設定できるようになっている。
また、制御部6は、制御中枢として図示しないマイコンを備えて構成されており、このマイコンの記憶領域(たとえば、ROM)に記憶される制御プログラムに従って正極性および逆極性のパルスの波形や極性反転のタイミングを設定し、その設定に基づいて極性切換部4およびパルス切換部5を制御するように構成されている。
次に、このように構成されたパルス電圧の生成回路を備えた放電加工機を用いて発明者が行った各種実験結果について図2乃至図6を用いて説明する。なお、図2乃至図6に示す実験結果は、いずれも被加工物1として焼結ダイヤモンドを用いるとともに、工具電極2として銅・タングステン合金を用いた実験の結果を示している。また、加工にあたっては、被加工物1および工具電極2は双方とも図示しない加工液(加工油)を満たした加工液槽中に浸漬させている。
図2は、被加工物1と工具電極2との間に印加する両極性パルスのパルス比を変えたときのパルス比と加工速度ならびに電極消耗率の関係を示している。すなわち、この図2の横軸は、すべての放電パルス発生数に対する逆極性のパルスのパルス数の割合を示しており、0%は正極性の単極性パルスのみで加工した場合の結果を、また、100%は逆極性の単極性パルスのみで加工した場合の結果を示している。
この図2に示すように、焼結ダイヤモンドの放電加工においては、両極性パルス、すなわち、正極性と逆極性のパルスを組み合わせたパルス(つまり、定期的に極性を反転させるパルス)を用いた方が正極性または逆極性の単極性パルスのみで加工する場合に比べて、加工速度が速くなり、電極消耗率も低くなる。そして、その傾向は、両極性パルスに占める逆極性パルスのパルス比が30〜70%の範囲のとき強く現れる。したがって、このパルス比を30〜70%の範囲に設定することで、高い加工能率で放電加工を行うことができる。
図3は、両極性パルスの条件を最適化するための前提として、正極性パルスのみで放電加工を行った場合における正極性パルスの放電持続時間と加工速度ならびに被加工物1に転写される電極材料(Cu、W)の含有率の関係を示している。なお、この図3に示す電極材料の含有率は、エネルギー分散型X線分析法(Energy dispersive X-ray spectrometry)により測定した結果を示している。
この図3に示すように、正極性の単極性パルスによる放電加工では、パルスの放電持続時間が長くなるほど加工速度が低下する。また、放電持続時間が長くなるほど工具電極2から溶融・蒸発した電極材料が被加工物1の表面に多く転写される。したがって、焼結ダイヤモンドの放電加工においては、正極性パルスの放電持続時間は短いほど高能率で放電加工を行うことができる。
図4は、逆極性パルスで放電加工を行った場合における放電持続時間と加工速度ならびに電極消耗率の関係を示している。なお、逆極性パルスのみでは被加工物1、つまり、焼結ダイヤモンドの加工を継続することはできないので、図4に示す実験では、放電持続時間を1μsecに固定した正極性パルスを組み合わせた両極性パルスを用い、逆極性パルスの放電持続時間のみを変化させた結果を示している。
この図4に示すように、両極性パルスを用いた放電加工では、逆極性パルスの放電持続時間が長くなるほど加工速度が上昇し、電極消耗率も低下する。したがって、両極性パルスで放電加工を行う場合、逆極性パルスの放電持続時間を長くするほど高能率に放電加工を行うことができ、工具電極2の消耗を少なくすることができる。
図5は、逆極性パルスの休止時間(放電休止時間)と加工速度の関係を示している。具体的には、この図5に示す実験は、図4と同様に、放電持続時間を固定した正極性パルスを組み合わせた両極性パルスを用い逆極性パルスの休止時間を変えて(放電持続時間teの10倍と放電持続時間teの1/10倍とで)加工速度を比較している。
この図5に示すように、両極性パルスを用いた放電加工では、逆極性パルスの休止時間は短いほど加工速度が上昇する。したがって、両極性パルスを用いた放電加工では、逆極性パルスの休止時間は短くするほど高能率で放電加工を行うことができる。
このような実験結果を踏まえて、本発明では、被加工物1と工具電極2との間に極性が交互に反転する電圧を印加しながら被加工物を放電加工する放電加工方法において、被加工物1と工具電極2との間に印加する電圧として、被加工物1に正極の電圧を印加する正極性のときと、工具電極2に正極の電圧を印加する逆極性のときとで異なる波形のパルスを用いることとしている。
すなわち、焼結ダイヤモンドの放電加工においては、単極性パルスを用いるよりも両極性パルスを用いた方が加工速度が速くなるところ、両極性パルスを用いる場合でも、正極性パルスの放電持続時間を短くするほど加工能率が高くなり、また、逆極性パルスの放電持続時間を長く、または、逆極性パルスの休止時間を短くするほど加工能率が高くなることから、このような結果を踏まえて、被加工物1の加工速度が向上するように、制御部6において正極性パルスおよび逆極性パルスの波形を設定するようにしている。
具体的には、制御部6は、正極性パルスと逆極性パルスとで単に極性を反転させるのではなく、正極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの休止時間の少なくともいずれか一つの設定を変えて正極性パルスと逆極性パルスとで異なる波形のパルスを用い、これにより被加工物1の加工速度の向上を図るように構成されている。つまり、制御部6は、正極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの休止時間の設定を通じて、被加工物1の加工速度を制御するようになっている。
ここで、制御部6で設定されるこれらの数値としては、たとえば、同じ加工条件(被加工物1および工具電極2の材質など)の下で行われる実験結果に基づいた数値(たとえば、加工速度が最大となる数値)が用いられる。つまり、制御部6は、加工条件ごとに正極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの休止時間の設定を変更できるように構成されている。
また、正極性パルスと逆極性パルスとを反転させるタイミングについては、被加工物1と工具電極2との間に生じる放電パルスのパルス数によって設定される。つまり、制御部6は、被加工物1と工具電極2との間に生じる放電パルスのパルス数を計数・監視し、正極性および逆極性のパルス数が予め設定された所定のパルス数に到達するとパルスの極性を反転させるように構成されている。
ここで、この極性を反転させる具体的なタイミングとしては、たとえば、図2で示したように、両極性パルスに占める逆極性パルスのパルス比が30〜70%の範囲内となるように正極性パルスのパルス数および逆極性パルスのパルス数がそれぞれ設定される。
なお、極性反転のタイミングを時間ではなく放電パルスのパルス数で決定することにより、有効に放電加工に寄与した放電持続時間に応じて極性の反転を行うことができ、また、設定するパルス数によってはマイクロ秒オーダのタイミングで極性の切り替えを行うことができる。
このように、本発明の放電加工方法によれば、被加工物1と工具電極2との間に印加する電圧として、正極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの休止時間を最適化したパルスを用いて放電加工が行えるので、被加工物1の加工速度を格段に向上させることができる。
図6は、本発明に基づいて正極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの休止時間を最適化した両極性パルスを用いて放電加工を行った場合と、正極性の単極パルスで放電加工を行った場合と、正極性および逆極性パルスを単に反転させる複合パルス(両極性パルス)を用いて放電加工を行った場合と、逆極性の単極性パルスで放電加工を行った場合とについての加工速度の比較を示しており、この図6に示すように、本発明を適用して、正極性パルスの放電持続時間、逆極性パルスの放電持続時間および逆極性パルスの休止時間を最適化した両極性パルスを用いた焼結ダイヤモンドの放電加工は、正極性の単極性パルスを用いた場合に比して約7倍、正極性および逆極性パルスを単に反転させる複合パルスを用いた場合に比して3倍強の加工速度が得られた。
以上のとおり、本発明によれば、ダイヤモンド粒子の粒子径が大きい焼結ダイヤモンドであってもダイヤモンド粒子を直接加工して効率的に放電加工を行うことができる。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
たとえば、上述した実施形態では、工具電極2に銅・タングステン合金を用いた場合を示したが、工具電極2の電極材料としては銅・タングステン合金以外の材料、たとえば、(銅、タングステン、グラファイト、真鍮など)を用いることができる。
また、上述した実施形態では、被加工物1と工具電極2との間に印加する電圧を生成するパルス電圧の生成回路として図1に示す回路を用いた場合を示したが、このパルス電圧の生成回路は、被加工物1と工具電極との間に異なる波形のパルス電圧を印加できるものであれば他の構成の回路であっても差し支えない。
さらに、上述した実施形態では、パルス電圧の生成回路は2種類のパルスを生成するように構成した場合を示したが、パルス電圧の生成回路において2種類以上のパルスを生成するようにし、被加工物1との工具電極2との間に印加する際に生成されたパルスを選択して印加するように構成してもよい。
1 被加工物
2 工具電極
3 電源部
4 極性切換部
5 パルス切換部
6 制御部
7 スイッチ
8 抵抗
9 半導体素子

Claims (5)

  1. 焼結ダイヤモンドを被加工物とし、前記被加工物と加工用の工具電極との間に極性が交互に反転する電圧を印加しながら被加工物を放電加工する放電加工方法において、
    前記被加工物に正極の電圧を印加する正極性のときと、工具電極に正極の電圧を印加する逆極性のときとを反転させるタイミングが、前記被加工物と工具電極との間に生じる放電パルスのパルス数によって設定されることを特徴とする焼結ダイヤモンドの放電加工方法。
  2. 前記正極性のときのパルスの放電持続時間の設定により異なる種類の電圧パルスを発生させることを特徴とする請求項1に記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法。
  3. 前記逆極性のときのパルスの放電持続時間の設定により異なる種類の電圧パルスを発生させることを特徴とする請求項1または2に記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法。
  4. 前記逆極性のときのパルスの休止時間の設定により異なる種類の電圧パルスを発生させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の焼結ダイヤモンドの放電加工方法。
  5. 焼結ダイヤモンドを被加工物とし、前記被加工物と加工用の工具電極との間に極性が交互に反転する電圧を印加しながら被加工物を放電加工する放電加工機において、
    前記被加工物と加工用の工具電極との間に印加する電圧として、被加工物に正極の電圧を印加する正極性のときと、工具電極に正極の電圧を印加する逆極性のときとを反転させるタイミングが、前記被加工物と工具電極との間に生じる放電パルスのパルス数によって設定できるパルス電圧の生成回路を備えたことを特徴とする焼結ダイヤモンドの放電加工機。
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