本発明の第1の実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
塗布液塗布装置1は、図1〜図2に示すように、ベース2を有する。このベース2上には、矢印Y方向に沿って設けられた一対のガイドレール3を介して搬送テーブル4が移動可能に設けられる。
搬送テーブル4は、図示しない駆動機構によってガイドレール3の延設方向であるY軸方向(図示矢印Y方向)に沿って往復移動される。この搬送テーブル4の上面には、塗布対象物としての基板Wが真空吸着や静電チャック等の吸着手段によって吸着保持される。ここで、基板Wは、例えば、表示パネルを製造するための矩形状のガラス基板が用いられる。
ベース2の略中央位置には、Y軸方向に直交するX軸方向(図示矢印X方向)に沿って、搬送テーブル4を跨ぐ門型フレーム5が設けられる。この門型フレーム5は、一方の脚部と他方の脚部の間に掛け渡された平面視で矩形枠状の支持フレーム6を備る。この支持フレーム6には、複数、この実施形態においては3つの塗布ヘッド7(7A〜7C)がX軸方向に沿って千鳥状の配列で取り付けられる。
塗布ヘッド7A〜7Cは、インクジェット方式の塗布ヘッドであり、その下面である吐出面7aには複数の吐出口7b(図4(B)参照)が矢印X方向に沿って直線状に配列されて設けられる。吐出口7bは、それぞれ、塗布ヘッド7内において塗布液を蓄える液室(不図示)に連通する。液室には、圧電素子等の駆動素子(不図示)によって変形される可撓性の隔壁(不図示)が設けられる。この圧電素子によって隔壁が撓み変形されることによって引き起こされる液室内の容積変化によって、吐出口7bから塗布液が液滴状となって吐出される。
このような塗布ヘッド7A〜7Cは、圧電素子に印加する駆動電圧の大きさ変えることで吐出口7bから吐出させる液滴の量を調整することができ、駆動電圧の印加間隔を変更することで吐出周波数(吐出時間間隔)を調整することができる。
なお、各塗布ヘッド7A〜7Cには、不図示の塗布液供給手段によって塗布液が供給される。この塗布液としては、例えば、配向膜を形成するための配向膜溶液やレジスト膜を形成するためのレジスト液等を用いることができる。
また、搬送テーブル4の移動方向(Y軸方向)における一方の端部(図1、2における右側の端部)には、清掃装置8が設けられる。この清掃装置8は、各塗布ヘッド7A〜7Cに対応して吸引部材としての吸引ノズル9を備える。
図4に示すように、各吸引ノズル9は、上端に吸引面9aを備え、この吸引面9aにはスリット状の吸引孔9bが形成される。また、吸引面9aは、長方形状に形成されており、長辺方向を塗布ヘッド7の吐出口7bの配列方向に直交する方向であるY軸方向、言い換えれば、塗布ヘッド7の吐出面7aの短辺方向に沿わせて配置される。また、吸引面9aの長辺の長さは吐出面7aの短辺の長さよりも所定長さ長く形成され、吸引面9aにその長辺方向に沿って形成される吸引孔9bの長さは吐出面7aの短辺の長さと同等若しくは若干長く形成される。
図1、図2に戻って、各吸引ノズル9は、それぞれX軸方向移動装置10に支持される。これらのX軸方向移動装置10は、昇降駆動手段としてのエアシリンダ11の作動ロッド11aの先端に固定支持された昇降板12上に設けられる。エアシリンダ11は、搬送テーブル4の側壁に固定された略L字状断面を有するブラケット部材13の水平部分に支持固定される。これにより、各吸引ノズル9は、搬送テーブル4の移動によってY軸方向に移動可能とされ、X軸方向移動装置10の駆動によってX軸方向、すなわち、吐出口7bの配列方向に沿って移動可能とされる。
また、清掃装置8は、図3に示すように、吸引ノズル9の吸引孔9bに吸引力を作用させるための負圧供給装置14を備える。負圧供給装置14は、負圧を発生させる真空ポンプ15と、真空ポンプ15と吸引ノズル9とをつなぐ真空配管16と、吸引ノズル9への負圧を供給/停止するための電磁開閉弁17と、吸引ノズル9に供給する負圧の大きさを調整する電空レギュレータ18と、吸引ノズル9によって吸引した気体と塗布液とを分離する気液分離器19とを備える。
すなわち、吸引ノズル9の吸引孔9bには、第1の真空配管16aの一端部が接続される。第1の真空配管16aの他端部は気液分離器19に接続される。この気液分離器19は所定の容積を備えたタンクであり、第1の真空配管16aの他端部はこの気液分離器19の天井部を気密に貫通してタンク内の空間の上部に開口する。したがって、吸引孔9bから吸引された気体と塗布液の混合流体が、第1の真空配管16aの他端部(気液分離器19側の端部)から排出されると、気体に比べて充分に重い塗布液は気液分離器19の底部に落下して溜まる。これにより、気体と塗布液が分離される。気液分離器19の底部には、電磁開閉弁19aを備えた排液管19bが接続されており、気液分離器19内に溜まった塗布液を排出できるようになっている。
また、気液分離器19の天井部には、第2の真空配管16bの一端部が気密に接続される。第2の真空配管16bの他端部は、真空ポンプ15に接続される。この第2の真空配管16bには、真空ポンプ15側から順に電磁開閉弁17と電空レギュレータ18が配置される。
また、塗布液塗布装置1は、制御装置20を備える。制御装置20は、搬送テーブル4の移動、塗布ヘッド7A〜7Cからの塗布液の吐出、X軸方向移動装置10の駆動、電磁開閉弁17、19aの開閉動作、電空レギュレータ18による調整圧力を制御する。
また、制御装置20は、記憶部20aを備えており、この記憶部20aには塗布液の塗布に必要な各種データが記憶される。なお、各種データとは、例えば、吐出口7bから所定量の液滴を吐出させるために設定された圧電素子に対する駆動電圧、基板W上における塗布液の液滴の塗布位置を示す塗布パターンデータ、搬送テーブル4の移動速度、気泡やごみ等による吐出口7bの詰まりを回復させるために塗布液を強制排出させるための圧送条件などである。
次に、作動について説明する。
このような塗布液塗布装置1においては、基板Wに対する塗布液の塗布を行うにあたり、まず、制御装置20の制御によって搬送テーブル4がガイドレール3上における基板Wの搬入/搬出作業位置(図1において二点鎖線で示す左端側の位置)に位置付けられる。そして、この位置において、搬送テーブル4上には、不図示の搬送ロボットによって基板Wが供給される。
搬送テーブル4上に供給された基板Wは、搬送テーブル4が備える吸着手段によって吸着保持される。
搬送テーブル4に基板Wが保持されると、制御装置20の制御によって搬送テーブル4がガイドレール3の反対側の端部(右端部)へ向けて記憶部20aに記憶された移動速度で移動を開始する。
この搬送テーブル4の移動中、制御装置20はガイドレール3に付随して設けられたリニアエンコーダ等の位置検出器(不図示)の出力に基づいて搬送テーブル4の位置情報を取り込む。そして、制御装置20はこの位置情報に基づき、基板Wが塗布ヘッド7の下方を通過するタイミングに合せて各圧電素子に駆動電圧を印加することで塗布ヘッド7の各吐出口7bから予め設定された量の液滴を吐出させ、基板W上に所定の塗布パターンで塗布液の液滴を塗布する。
基板Wが塗布ヘッド7の下方を通過し、搬送テーブル4がガイドレール3の右側端部(図1において実線で示す位置)に到達したならば、搬送テーブル4の移動を停止させる。次いで、搬送テーブル4を左側端部へ向けて移動させ、基板Wの搬入/搬出作業位置に位置付ける。
搬送テーブル4が、搬入/搬出作業位置に位置付けられたならば、不図示の搬送ロボットによって、塗布が完了した基板Wを搬送テーブル4上から取り出し、新たな基板Wを搬送テーブル4に供給する。
このような作業を繰返すことで、複数の基板Wに対する塗布液の塗布が順次行われる。
なお、基板Wに対する塗布液の塗布は、基板Wを塗布ヘッド7の下方を1回通過させることで行なう以外にも、2回以上の通過によって行なうようにしても良い。
このような塗布液塗布装置1では、吐出口7bから液滴の噴出特性を維持するために、清掃装置8を用いて塗布ヘッド7の吐出面7aの清掃を定期的に行っている。
そこで、この清掃装置8による吐出面7aの清掃動作について説明する。
吐出面7aを清掃するに際しては、まず、搬送テーブル4を基板Wの搬入/搬出作業位置(図1において破線で示す左端側の位置)に位置付ける。この状態で、搬送テーブル4に一体的に支持された清掃装置8が、各塗布ヘッド7A〜7Cとの対向位置(真下)に位置付けられるようになっている。
なお、記憶部20aには清掃動作を行う条件が設定されており、制御装置20は、記憶部20aに設定された条件に該当したときに、清掃部材8に清掃を行わせるべく、搬送テーブル4を搬入/搬出作業位置に位置付ける。ここで、清掃動作を行う条件としては、「1枚の基板Wに対する塗布液の塗布が完了した後」、「気泡等による吐出口7bの詰まりなどを回復させるための塗布液の強制排出を実行した後」、或いは、「ダミー吐出を実行した後」などがあげられる。
ここでは、清掃部材8による吐出面7aの清掃を、1枚の基板Wに対する塗布液の塗布が完了する毎に、実行する例で説明する。
1枚の基板Wに対する塗布液の塗布が完了すると、搬送テーブル4が搬入/搬出作業位置、すなわち、清掃装置8が各塗布ヘッド7との対向位置に位置付けられる。
この搬入/搬出作業位置にて、塗布液の塗布が完了した基板Wの取り出しと、次に塗布液が塗布される基板Wの供給が行なわれるのと並行して、清掃装置8による塗布ヘッド7A〜7Cの吐出面7aの清掃が行なわれる。
すなわち、制御装置20によってエアシリンダ11が駆動され、昇降板12が、図3に実線で示した状態の待機高さから、作業高さまで上昇移動される。昇降板12が作業高さへ位置付けられた状態において、吸引ノズル9の吸引面9aと吐出面7aとの間には、上下方向(Z軸方向)において吸引清掃に適した隙間tが形成される。またこの段階では、吸引ノズル9は、吐出面7aにおける吐出口7bの配列方向(X軸方向)の一方の端部側であって、吐出面7aの下から外れた第1の待機位置(図4(A)に実線で示された位置)に位置付けられている。
次に、制御装置20は、電磁開閉弁17を開制御し、真空ポンプ15によって発生されて電空レギュレータ18によって所定の圧力に調整された負圧を吸引ノズル9の吸引孔9bに作用させる。このとき、真空ポンプ15は、常時駆動していても良いし、制御装置20が記憶部20aに記憶された清掃動作を行う条件に該当すると判断したときに駆動させるようにしても良い。後者の場合には、清掃動作が完了した時点で、真空ポンプ15の駆動を停止させると良い。
吸引孔9bに負圧が付与されたならば、制御装置20は、X軸方向移動装置10を制御し、吸引ノズル9を第1の待機位置(図4(A)に実線で示された位置)から、吐出面7aにおける反対側の端部である第2の待機位置(図4(B)に二点鎖線で示された位置)へと、吐出面7aに沿って移動(「吸引移動」と言う。)させる。
この移動中、吸引ノズル9は、塗布ヘッド7A〜7Cの吐出面7aに付着した塗布液を吸引孔9bに作用された負圧によって吸引して除去する。吸引された塗布液は、第1の真空配管16aを通って気液分離器19へと送られる。気液分離器19へ送られた塗布液は、第1の真空配管16aから落下して気液分離器19の底部に溜められる。
吸引ノズル9が第2の待機位置に到達すると、制御装置20は、X軸方向移動装置10による吸引ノズル9の移動を停止させると共に、電磁開閉弁17を閉制御して吸引孔9bに作用させていた負圧を停止させる。
負圧を停止したならば、制御装置20は、エアシリンダ11を駆動させ、昇降板12を待機高さまで下降させる。なお、吸引ノズル9は、第2の待機位置で待機させる。
このようにして、塗布ヘッド7の吐出面7aに対する一回の清掃動作が行なわれる。
清掃動作が完了したならば、搬送テーブル4上に載置された基板Wに対して、前述の作動において説明したように、塗布液の塗布が行なわれる。
そして、基板Wに対する塗布液の塗布が完了し、搬送テーブル4が搬入/搬出作業位置に位置付けられたならば、塗布ヘッド7A〜7Cの吐出面7aの清掃動作が行なわれる。
なお、前回の清掃動作と今回の清掃動作とでは、吸引移動の方向が異なる。
すなわち、前回の清掃動作が完了した後、吸引ノズル9は第2の待機位置で待機した状態とされている。そのため、今回の清掃動作を実行するときには、制御装置20は、図4において二点鎖線で示す、第2の待機位置から、実線で示す、第1の待機位置へと吸引ノズル9を移動させるように、X軸方向移動装置10を制御する。
つまり、本実施形態の塗布液塗布装置1においては、清掃動作時における吸引ノズル9の吸引移動の方向を、清掃動作を1回実行する毎に、第1の待機位置から第2の待機位置へ向かう方向(第1方向)A1と第2の待機位置から第1の待機位置へ向かう方向(第2方向)A2とに切り替えるように制御される。
このように、吸引ノズル9による吸引移動を、清掃動作毎に方向を切り替えで行なうことによって、塗布液塗布装置1による塗布液塗布の生産性を向上させることが可能となる。
すなわち、図5(A)に示すように、吐出面7aの吸引移動の終端付近においては、吸引ノズル9の吸引孔9bが吐出面7aの真下から外れ、吸引面9aにおける吸引移動方向の後端部9a1と吸引孔9bとの間の、負圧が作用しない領域のみが吐出面7aに対向することとなる。
このとき、この領域と吐出面7aとの間に塗布液Qが残っていた場合、この塗布液Qは、吸引孔9bに作用する負圧によって除去することが困難となる。
そのため、図5(B)に示すように、吸引ノズル9の吸引面9a全体が吐出面7aの下から外れたときに、吐出面7aと吸引面9aとの間に残っていた塗布液が、塗布ヘッド7の吐出面7aに付着したまま残ってしまうことがある。
吸引ノズル9による吸引移動の方向が一方向のみの場合、吸引移動の終端は常に吐出面9aにおける同じ部分となるので、塗布液が、吐出面7aにおける吸引移動の終端側の端部に、付着して残ることとなる。
付着して残った塗布液は、次の清掃動作までの間に乾燥して粘度が増加するので、次の清掃動作によって完全に除去することができず、そこに新たに塗布液が付着するので、吸引移動の終端側に付着する塗布液の量は徐々に増加することとなる。
塗布液の付着量が増加すると、付着した塗布液が、吐出面7aを広がって、やがて吐出口7b付近にまで達し、吐出口7bからの塗布液の吐出を阻害すると言った不具合が生じることが考えられる。
このような場合には、作業者が、塗布ヘッド7を取り外すなどして、吐出面7aに付着して固化した塗布液を手作業で除去する等のメンテナンス作業が必要となり、その間、基板Wに対する塗布液の塗布を中断する必要が生じ、生産性を向上させる上での妨げとなってしまう。
しかしながら、本実施形態のように、清掃動作毎に、吸引移動の方向を切り替えるようにした場合、吸引移動の終端側が第2の待機位置側と第1の待機位置側とで入れ替わる。
そのため、塗布ヘッド7における塗布液が付着して残る部分が、第1の待機位置側と第2の待機位置側との2箇所になる。そして、この2箇所に交互に塗布液が付着することになるので、吸引移動の方向が一方向のみの場合、つまり、塗布ヘッド7の吐出面9aにおける一方の端部側のみに塗布液が付着して残る場合に比べて、前述のメンテナンス作業が必要な塗布液の付着状態になるまでに単純計算で2倍の付着量が許容できるため、基板Wに対する塗布液の塗布作業を2倍の時間継続することが可能となり、その分だけ生産性の向上を図ることが可能となる。
次に、第2の実施形態について図6〜8を用いて説明する。
第2の実施形態においては、清掃装置8の構成が、第1の実施形態と異なる。すなわち、第2の実施形態の清掃装置8は、吸引ノズル9を塗布ヘッド7毎に設けるのではなく、複数の塗布ヘッド7A〜7Cに対して1つだけ設けている点が、第1の実施形態と異なる点である。
その他の構成は、第1の実施形態の塗布液塗布装置1と同じであるので、清掃装置8の構成についてのみ説明する。
図6、7に示すように、清掃装置8は、3つの塗布ヘッド7A〜7Cに対して1つの吸引ノズル9を備える。この吸引ノズル9の構成は、第1の実施形態の吸引ノズル9と同じである。
この吸引ノズル9は、吸引ノズル9をX軸方向に沿って移動させるX軸方向移動装置10に支持される。また、X軸方向移動装置10は、その両端をそれぞれY軸方向移動装置21によって支持される。
これにより、吸引ノズル9は、図6に二点鎖線で示す、搬送テーブル4が搬入/搬出作業位置に停止された状態において、2列で配列された3つの塗布ヘッド7A〜7Cの配置領域全域にわたって移動可能とされる。
このような清掃装置8による吐出面7aの清掃動作について説明する。
搬送テーブル4上に載置された基板Wに対する塗布液の塗布が完了すると、搬送テーブル4が搬入/搬出作業位置に位置付けられる。このとき、吸引ノズル9は、図8(A)に示すように、Y軸方向に沿って2列に配列された塗布ヘッド7A〜7Cのうち、右側の列(以下「第1の列」という。)の塗布ヘッド7A、7Cに対応する位置に位置付けられている。
また、X軸方向に関しては、塗布ヘッド7の配置領域のX軸方向における一端側に位置付けられている。すなわち、図8(A)において、一番上に示された塗布ヘッド7Aにおける上側の端部側(図8(A)に実線で示された位置)に位置付けられている。
この状態から、制御装置20によってエアシリンダ11が駆動され、昇降板12が待機高さから作業高さまで上昇移動される。昇降板12が作業高さに位置付けられた状態において、吸引ノズル9の吸引面9aと吐出面7aとの間には、吸引清掃に適した隙間tが形成される。
昇降板12が作業高さに位置付けられると、制御装置20は、電磁開閉弁17を開制御し、真空ポンプ15によって発生されて電空レギュレータ18によって所定の圧力に調整された負圧を吸引ノズル9の吸引孔9bに作用させる。
吸引孔9bに負圧が付与されたならば、制御装置20は、X軸方向移動装置10、およびY軸方向移動装置21を制御して、吸引ノズル9を、図8(A)に矢印A1で示すように一筆書きの軌跡で、第1の列に配列された2つの塗布ヘッド7A、7Cの吐出面7aに沿って移動させたのち、左側の列(以下「第2の列」という。)に移動させ、第2の列に配置された塗布ヘッド7Bの吐出面7aに沿って移動させる。
これにより、各塗布ヘッド7A〜7Cの吐出面7aの清掃が行なわれる。
吸引ノズル9が、第2の列の上端側(図8(A)に二点鎖線で示す位置)に到達すると、制御装置20は、吸引ノズル9の吸引移動を停止させ、吸引孔9bに作用させていた負圧を停止させるとともに、昇降板12を待機高さまで下降させる。なお、吸引ノズル9は、第2の列に対応する位置に停止させたまま待機させる。
このようにして、各塗布ヘッド7A〜7Cの吐出面7aに対する清掃動作が完了すると、搬送テーブル4上に今回載置された基板Wに対して塗布液の塗布が行なわれる。
そして、今回の基板Wに対する塗布液の塗布が完了し、搬送テーブル4が搬入/搬出作業位置に位置付けられたならば、塗布ヘッド7の吐出面7aの清掃動作が行なわれる。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、前回の清掃動作と今回の清掃動作とでは、吸引移動の方向が異なる。
すなわち、今回の清掃動作を実行するときには、制御装置20は、図8(B)に矢印A2で示すように、矢印A1を逆に辿る一筆書きの軌跡で、第2の列に配置された塗布ヘッド7B、第1の列に配置された、塗布ヘッド7Cおよび塗布ヘッド7Aの順で、吸引ノズル9を移動させるように、X軸方向移動装置10およびY軸方向移動装置21を制御する。
このような、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
また、第2の実施形態においては、Y軸方向に2列に配列された複数の塗布ヘッド7A〜7Cの各吐出面7aを単一の吸引ノズル9を用いて清掃するようにした。そのため、複数の塗布ヘッド7A〜7Cに対して吸引ノズル9の数が1つで済むので、清掃装置8の構成を簡素化することが可能となり、清掃装置8の保守作業が容易となる。その結果、保守作業効率が向上し、保守作業に要する時間が短縮できるので、塗布液塗布装置1を清掃装置8の保守作業のために停止させる時間を短縮することが可能となり、ひいては、塗布液塗布装置1の生産性を向上させることが可能となる。
なお、上述の各実施形態において、1枚の基板Wに対する塗布液の塗布が完了する毎、つまり清掃動作を1回実行する毎に、吸引移動の方向を切り替えるものとして説明したが、切り替えるタイミングは、これに限られるものではなく、清掃動作を2回以上の所定の回数実行する毎であっても良い。
また、吸引部材を吸引ノズル9とし、この吸引ノズル9の形状を、平面視で長方形状の四角柱形状とし、その上面である吸引面9aにスリット状の吸引孔9bを長手方向に沿って形成したものとしたが、吸引部材の形状は、これに限られるものではない。
例えば、吸引面9aに設ける吸引孔は、スリット状に限らず、円形や四角形の孔を複数個ライン状に並べて配置したものでも良く、また、1つの円形状の孔であっても良い。
また、吸引部材は、長方形状の四角柱に限らず、正方形状の四角柱や円柱状の部材の上面に円形やスリット状などの吸引孔を設けても良いし、或いは、平面視で円形や正方形や長方形などの四角形、四角形以外の多角形のパイプ状の部材でも良い。
さらにまた、吸引部材の吸引面に設ける吸引孔がスリット状や複数の吸引孔をライン状に配置したものである場合には、その長手方向は、吸引移動の方向に対して直交させる必要はなく、45度等の所定の角度で傾斜させても良い。要は、吐出孔は、吸引移動の方向とは直交する方向に、塗布ヘッド7の吐出口7aの周囲に付着した塗布液を、その後の吐出口7aからの吐出時に吐出曲がり等の不具合が生じることが防止可能な範囲で除去可能な長さを有するものであれば良い。
また、第2の実施形態において、塗布液塗布装置1が備える全ての塗布ヘッド7A〜7Cの塗布面7aについて、単一の吸引ノズル9を用いて清掃するようにしたが、これに限られるものではなく、塗布液塗布装置1が備える塗布ヘッド7を、複数の塗布ヘッド7からなるいくつかのグループに分け、このグループ毎に吸引ノズル9を設けるようにしても良い。この場合、一のグループに属する塗布ヘッド7は、同じ列に配列された塗布ヘッド7同士で構成しても良く、複数の列に配置された塗布ヘッド7の組み合わせで構成しても良い。
このようにすることによって、塗布液塗布装置1が数十個の塗布ヘッド7を備えるような場合に、一つの吸引ノズル9で清掃を受け持つ塗布ヘッド7の数を、清掃動作に割り当てることが可能な時間、例えば、搬入/搬出作業位置において基板Wの搬出および搬入に要する時間内で清掃可能な数に設定することにより、塗布液塗布装置1による生産性を損ねることなく、清掃装置8を極力簡素に構成することが可能となるので、これにより、塗布液塗布装置1の生産性と清掃装置8の保守作業効率の最適化の両立を図ることが可能となる。
また、第2の実施形態において、2列に配列された複数の塗布ヘッド7の吐出面を単一の吸引ノズル9を用いて清掃するようにしたが、これに限られるものではなく、1列、或いは3列以上で配列された複数の塗布ヘッド7を単一の吸引ノズル9を用いて清掃するようにしても良い。
さらに、複数の塗布ヘッド7が、4列以上の偶数列で配列されている場合には、第2の実施形態と同様に構成された清掃装置8を、2列の塗布ヘッド7毎に1つずつ配置するようにしても良い。
また、吸引移動の方向を、同一の移動軌跡上の移動方向を順方向と逆方向とで切り替えるものとして説明したが、これに限られるものではなく、異なる移動軌跡上を移動するように切り替えるようにしても良い。例えば、塗布ヘッド7における吐出口7bの配列方向とそれに直交する方向とで、吸引移動の方向を切り替えるようにしても良いし、90度よりも小さな所定の角度で交差する、2以上の吸引移動の方向に順次切り替えるようにしても良い。
なお、上述のように、吸引移動の方向を、所定の角度で切り替えるときには、吸引ノズル9における長方形上の吸引孔9bの長尺方向が、吸引移動の方向とは直交する方向に向くように、切り替えの都度、吸引ノズル9を回転させるようにしても良い。このようにする場合には、吸引ノズル9に回転駆動手段を設け、制御装置21によってこの回駆動手段による吸引ノズル9の回転角度を制御するようにすると良い。