JP6095994B2 - 蓄熱量算出方法および蓄熱量算出装置 - Google Patents
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Description
一方、少ないスペースでも大容量の蓄熱量を蓄えることができる潜熱蓄熱材が知られている。潜熱蓄熱材を使用すれば、蓄熱槽の省スペース化あるいは高性能化を図ることができる。
ところが、潜熱蓄熱材は、相変化中の温度が概略一定のため、水蓄熱槽のように温度計測で蓄熱量を把握することは難しいとされている。また、氷蓄熱槽であれば、体積膨張による水位変化を計測することにより蓄熱量を把握することができるが、潜熱蓄熱材を利用した潜熱蓄熱槽では、体積膨張量が少ないため、水位変化を計測しても蓄熱量を把握することが難しい。
なお、実際の相変化温度は一定ではなく、ある程度幅があるのが一般的であるが、本明細書では変化しないものとして算定する。
Qwj = Vw×γw×Hw×(tmax-tj) ・・・式1
Qusj = Vu×γu×Hu1×(tmax-tj) ・・・式2
Qusj = Vu×γu×Hu1×(tmax-ts)+Vu×γu×Hu2×(ts-tj) ・・・式3
Qulj = Vu×γu×Su×ηj/100 ・・・式4
ここで、Qwj :現在時刻jにおける水の蓄熱量(MJ)
Vw:水の容積(m3)
γw:水の比重量(kg/ m3)
Hw:水の比熱(kJ/kg・K)
tmax:蓄熱最高温度(℃)
tj:現在時刻jにおける温度(℃)
Qusj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の顕熱蓄熱量(MJ)
Vu:潜熱蓄熱材の融解時容積(m3)
γu:潜熱蓄熱材の融解時比重量(kg/ m3)
Hu1:潜熱蓄熱材の比熱(融解時)(kJ/kg・K)
Hu2:潜熱蓄熱材の比熱(凝固時)(kJ/kg・K)
ts:相変化温度(℃)
Qulj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の潜熱蓄熱量(MJ)
Su:潜熱蓄熱材の凝固熱(kJ/kg)
ηj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の固相率(%)
潜熱蓄熱槽1の内部には、図1に示すように、水2が貯留されているとともに、潜熱蓄熱材3が設置されている。
潜熱蓄熱材3は、その温度が相変化温度tsを上回ると融解し始め、相変化温度tsを下回ると凝固し始める材質により構成されている。
なお、本実施形態では、潜熱蓄熱槽1中の水は、0℃を下回らないものとし、かつ、潜熱蓄熱材3の相変化温度tsは0℃よりも高いものとする。
ここで、潜熱蓄熱槽1では、上下に隣り合う温度計4同士の中間を通る水平面を層境bLとして各層の範囲を設定する。そして、各層(上下に隣り合う層境bL,bLの間の領域)の温度計で測定された温度を、各層の水温度(潜熱蓄熱材3が含まれる層においては潜熱蓄熱材3の温度)とし、かつ、各層の温度が一定であるものとして計算を行う。
温度ファイル12には、層毎の温度履歴が少なくとも24時間分保存される。
蓄熱量ファイル14には、水2の蓄熱量や、潜熱蓄熱材3の顕熱蓄熱量および潜熱蓄熱量が記憶されている。
蓄熱材条件ファイル16には、潜熱蓄熱材の蓄熱量の算出に使用する、潜熱蓄熱材の融解時容積Vu、潜熱蓄熱材の融解時比重量γu、融解進行時の潜熱蓄熱材の比熱Hu1、凝固進行時の潜熱蓄熱材の比熱Hu2等が記憶されている。
温度取得手段41により取得された温度は、温度ファイル12に記憶される。
固相率算出手段42は、凝固融解関数ファイル11に記憶された凝固固相率関数Fa(x)または融解固相率関数Fb(x)に、温度ファイル12に記憶された温度と時間とをあてはめることで、潜熱蓄熱材3の固相率を算出する。
ここで、Qwj :現在時刻jにおける水の蓄熱量(MJ)
Vw:水の容積(m3)
γw:水の比重量(kg/ m3)
Hw:水の比熱(kJ/kg・K)
tmax:蓄熱最高温度(℃)
tj:現在時刻jにおける温度(℃)
なお、現在時刻jにおける潜熱蓄熱材3の温度が相変化温度tsを上回っている場合には式2を利用し、同温度が相変化温度tsを下回っている場合には式3を使用する。
Qusj = Vu×γu×Hu1×(tmax-ts)+Vu×γu×Hu2×(ts-tj) ・・・式3
ここで、Qusj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の顕熱蓄熱量(MJ)
Vu:潜熱蓄熱材の融解時容積(m3)
γu:潜熱蓄熱材の融解時比重量(kg/ m3)
Hu1:潜熱蓄熱材の比熱(融解時)(kJ/kg・K)
Hu2:潜熱蓄熱材の比熱(凝固時)(kJ/kg・K)
tmax:蓄熱最高温度(℃)
tj:現在時刻jにおける温度(℃)
ts:相変化温度(℃)
ここで、Qulj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の潜熱蓄熱量(MJ)
Vu:潜熱蓄熱材の融解時容積(m3)
γu:潜熱蓄熱材の融解時比重量(kg/ m3)
Su:潜熱蓄熱材の凝固熱(kJ/kg)
ηj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の固相率(%)
潜熱蓄熱槽1の蓄熱量の算出は、蓄熱量算出プログラムにより蓄熱量算出装置5を作動させることにより行う。
蓄熱量算出装置5は、まず、潜熱蓄熱材3の固相率の算出処理を実行する。
なお、本実施形態では、遡る時間を24時間前までとしたが、遡る時間は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
まず、融解または凝固が完了した時刻(基準時刻)j−iを決定する。現在時刻から遡る時間iは、図5に示すように、初回は「0」とし(S11)、2回目以降は前回値にΔiを加えた値とする(S111)。ここで、Δiは、温度の測定間隔(本実施形態では1時間)に設定するとよい。
S12で温度tj-iが相変化温度tsよりも低いと判定された場合は、S121に進み、時間iが(24−TM)以上であるか否かを判定する。
S121で「No」と判定された場合にはS122に進み、n=Δnとした上で、S13に進み、基準時刻j−iからn時間だけ遡った時刻における潜熱蓄熱材の温度tj-i-nを相変化温度tsと比較する。時間nはΔn時間〜凝固完了時間TMとする。
S13は、nがTMとなるまでくり返す。Δnは適宜設定すればよいが、例えば、温度の測定間隔(1時間)に合わせてΔn=1とすると、時刻j−i−1から時刻(第一時刻)j−i−TMまで1時間ピッチでS13を行うことになる。
一方、基準時刻j−i−1から時刻j−i−TMの間において、温度tj-i-nが相変化温度tsを上回っている場合は、i=i+Δiとしたうえで(S111)、S12に戻る。
S12で温度tj-iが相変化温度tsよりも高いと判定された場合は、S123に進み、iが(24−TL)以上であるか否かを判定する。
S123で「No」と判定された場合にはS124に進み、n=Δnとした上で、S14に進み、基準時刻j−iからn時間だけ遡った時刻における潜熱蓄熱材の温度tj-i-nを相変化温度tsと比較する(S14)。時間nはΔn時間〜凝固完了時間TLとする。
S14は、nがTLとなるまでくり返す。Δnは適宜設定すればよいが、例えば、温度の測定間隔(1時間)に合わせてΔn=1とすると、基準時刻j−i−1から時刻(第二時刻)j−i−TLまで1時間ピッチでS14を行うことになる。
一方、遡る時間iが0ではない場合(S15で「No」の場合)は、S21以降の各ステップを行い、現在時刻jにおける潜熱蓄熱材3の固相率の算出を行う。
S15で「No」の場合は、固相率算出手段42が起動して、現在時刻jにおける潜熱蓄熱材3の固相率を算出する。
mの初期値は、Δmなので(S21)、初回は基準時刻j−iにおける潜熱蓄熱材の温度tj-iを相変化温度tsと比較する。なお、Δmは適宜設定すればよいが、例えば、温度測定間隔(1時間)に合わせてΔm=1とすればよい。
S22において、温度tj-i+m-Δmが相変化温度tsよりも低いと判定された場合は、図6に示すS30に進み、固相率算出手段42は、基準時刻j−iから時間mだけ進んだ時刻(すなわち、S22の時刻からΔm進んだ時刻)の温度tj-i-mを相変化温度tsと比較する。
S30において、温度tj-i-mが相変化温度tsよりも低いと判定された場合は、固相率算出手段42は、時刻j−i+m-Δmにおける経過時間(相変化温度tsを横切った時刻(下回った時刻)からの経過時間)TCにΔmを加えた値を時刻j−i+mにおける経過時間TCに設定した上で(S301)、S31に進み、経過時間TCと凝固開始時間TMSと比較する(S31)。
なお、凝固開始時間TMSは、図3の(a)に示すように、潜熱蓄熱材3が凝固し始める時間帯であって、潜熱蓄熱材3の固相率に変化が生じない時間帯である。
これは、潜熱蓄熱材3の温度が相対変化温度tsを上回っている状態(融解が進行する状態)から相対変化温度tsを下回る状態に変化しても、潜熱蓄熱材3の固相率がただちには増加せず、融解開始時間TMSが経過した後に固相率が上がり始めるからである(図8の(b)参照)。
固相率算出手段42は、算出された潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+mを固相率ファイル13に記憶する。
S30において温度tj-i-mが相変化温度ts以上と判定された場合(すなわち、j−i+m−ΔmからΔmが経過するまでの間にtsを超えた場合)、固相率算出手段42は、S302に進んで経過時間(tsを横切った時刻(上回った時刻)からの経過時間)TCをリセット(TC=0)としたうえでS34に進み、基準時刻j−iから時間m−Δm進んだ時刻における潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+m-Δmがゼロか否かを判定する。
固相率算出手段42は、算出された潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+mを固相率ファイル13に記憶する。
固相率ηj-i+m-Δmが最大固相率ηMAXの場合(S37で「Yes」の場合)、固相率算出手段42は、融解固相率関数Fb(x)を凝固融解関数ファイル11から読み出して、Fb(x)に代入すべき時間TPをゼロとしたうえで(S38)、S36に進み、潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+mを凝固固相率関数Fb(x)から算出する。すなわち、Fb(x)においてx=TP=0として、ηj-i+mを算出する。
固相率算出手段42は、算出された潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+mを固相率ファイル13に記憶する。
固相率算出手段42は、算出された潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+mを固相率ファイル13に記憶する。
S22において、温度tj-i+m-Δmが相変化温度tsよりも高いと判定された場合は、図7に示すS40に進み、固相率算出手段42は、基準時刻j−iから時間mだけ進んだ時刻(すなわちS22の時刻からΔm進んだ時刻)の温度tj-i-mを相変化温度tsと比較する。
S40において、温度tj-i-mが相変化温度ts以上と判定された場合は、S401に進み、固相率算出手段42は、時刻j−i+m−Δmでの経過時間(相変化温度tsを横切った時刻(上回った時刻)からの経過時間)TCにΔmを加えた値を新たな経過時間TC(すなわち、温度が相変化温度tsよりも高くなった時点から時刻j−i+mまでの時間)としたうえで、S41に進み、時間TCと融解開始時間TLSとを比較する(S41)。
なお、融解開始時間TLSは、図3の(b)に示すように、潜熱蓄熱材3が融解し始める時間帯であって、潜熱蓄熱材3の固相率に変化が生じない時間帯である。
これは、潜熱蓄熱材3の温度が相対変化温度tsを下回っている状態(凝固が進行する状態)から相対変化温度tsを上回る状態に変化しても、潜熱蓄熱材3の固相率がただちには減少せず、融解開始時間TLSが経過した後に固相率が下がり始めるからである(図8の(a)参照)。
固相率算出手段42は、算出された潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+mを固相率ファイル13に記憶する。
S40において温度tj-i-mが相変化温度tsよりも小さいと判定された場合(すなわち、j−i+m−ΔmからΔmが経過するまでの間にts以下となった場合)は、S402に進んで、経過時間TCをリセット(TC=0)としたうえでS44に進み、温度tj-i-mが、基準時刻j−iから時間m−Δmだけ進んだ時刻における潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+m-Δmが最大固相率ηMAXか否かを判定する。
固相率算出手段42は、算出された潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+mを固相率ファイル13に記憶する。
固相率算出手段42は、算出された潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+mを固相率ファイル13に記憶する。
固相率算出手段42は、算出された潜熱蓄熱材3の固相率ηj-i+mを固相率ファイル13に記憶する。
固相率算出手段42が潜熱蓄熱材3の固相率を算出したら、蓄熱量算出手段43が起動して、潜熱蓄熱槽1の蓄熱量を算出する。
蓄熱量算出手段43による水2の蓄熱量の算出は、温度ファイル12から水2の温度の履歴を読み出すとともに、水条件ファイル15から水の容積Vw、水の比重量γw、水の比熱Hw等を読み出して、式1により算出する。
蓄熱量算出手段43は、算出された水2の蓄熱量を蓄熱量ファイル14に記憶させる。
ここで、Qwj :現在時刻jにおける水蓄熱量(MJ)
Vw:水の容積(m3)
γw:水の比重量(kg/ m3)
Hw:水の比熱(kJ/kg・K)
tmax:蓄熱最高温度(℃)
tj:現在時刻jにおける温度(℃)
蓄熱量算出手段43による潜熱蓄熱材3の顕熱蓄熱量の算出は、温度記憶手段12から潜熱蓄熱材3の温度の履歴を読み出すとともに、蓄熱材条件ファイル16から潜熱蓄熱材の融解時容積Vu、融解時比重量γu、比熱Hu1,Hu2等を読み出し、式2または式3により算出する。
つまり、現在時刻jにおける潜熱蓄熱材3の温度が相変化温度tsを上回っている場合は式2を利用し、現在時刻jにおける潜熱蓄熱材3の温度が相変化温度tsを下回っている場合は式3を利用する。
蓄熱量算出手段43は、算出された顕熱蓄熱量を蓄熱量ファイル14に記憶させる。
Qusj = Vu×γu×Hu1×(tmax-ts)+Vu×γu×Hu2×(ts-tj) ・・・式3
ここで、Qusj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の顕熱蓄熱量(MJ)
Vu:潜熱蓄熱材の融解時容積(m3)
γu:潜熱蓄熱材の融解時比重量(kg/ m3)
Hu1:潜熱蓄熱材の比熱(融解時)(kJ/kg・K)
Hu2:潜熱蓄熱材の比熱(凝固時)(kJ/kg・K)
tmax:蓄熱最高温度(℃)
tj:現在時刻jにおける温度(℃)
ts:相変化温度(℃)
蓄熱量算出手段43による潜熱蓄熱材の潜熱蓄熱量の算出は、固相率ファイル13から潜熱蓄熱材3の固相率ηjを読み出すとともに、蓄熱材条件ファイル16から潜熱蓄熱材3の融解時容積Vu、融解時比重量γu、凝固熱Su等を読み出し、式4により算出する。
蓄熱量算出手段43は、算出された潜熱蓄熱量を蓄熱量ファイル14に記憶させる。
ここで、Qulj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の潜熱蓄熱量(MJ)
Vu:潜熱蓄熱材の融解時容積(m3)
γu:潜熱蓄熱材の融解時比重量(kg/ m3)
Su:潜熱蓄熱材の凝固熱(kJ/kg)
ηj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の固相率(%)
蓄熱量算出手段43による潜熱蓄熱槽の蓄熱量の算出は、蓄熱量ファイル14から水の蓄熱量Qwj、顕熱蓄熱量Qusjおよび潜熱蓄熱量Quljを読み出し、これらを足し合わせることにより算出する。
蓄熱量算出手段43は、算出された潜熱蓄熱槽の蓄熱量を蓄熱量ファイル14に記憶させる。
さらに、蓄熱量は、モニター等の出力手段により随時確認することができるため、装置の管理が容易である。
本計算例の条件を表1に示す。また、潜熱蓄熱材の凝固固相率関数Fa(x)および融解固相率関数Fb(x)は、それぞれ図9の(a)および(b)に示す通りである。なお、図9の(a)、(b)では、凝固固相率関数Fa(x)、融解固相率関数Fb(x)とも一次関数としているが、図3の(a)、(b)のような関数を用いてもよい。
一方、融解完了時間TLは図9の(b)に示すように、9時間である。時刻j−5から9時間以前(時刻j−14)までの温度は、図10に示すように、継続して相変化温度ts以上となっているため、時刻j−5の時点で潜熱蓄熱材の固相率はゼロとなっていることがわかる。
i=5のとき、温度tj−i+m−Δm(=tj−5)は相変化温度tsよりも大きいので、S22では「No」となり、S40(図7)に進む。
i=5、m=Δm=1のとき、固相率ηj−i+m−Δm(=ηj−5)は「0」であるので、S44においては「No」となってS47に進むが、S47では「Yes」となり、S48に進み、TP=0と設定された上でS46に進みR=Fa(x)にx=TP=0が代入され、その結果、固相率ηj−i+m(=ηj−4)はゼロとなる。
i=5,m=2のとき、S22では、時刻j−i+m−Δmにおける温度はtj−i+m−Δm(=tj−4)<tsとなるので「Yes」となりS30(図6)に進む。
S402で経過時間TC=0と設定されているので、S301では、新たな経過時間(tsを横切った時点からの経過時間)TCとしてΔm=1が設定され、S31に進む。この場合、経過時間TCは凝固開始時間TMS(1時間)と等しいので、S31では「Yes」となって、S32に進み、ηj−i+m(=ηj−3)の固相率として、ηj−i+m−Δm(=ηj−4)と同じ固相率(=0)が設定される。
m=2のときにS32で凝固固相率関数Fa(x)に代入すべき時間TP=Δm=1と設定されているので、S311では新たな凝固固相率関数Fa(x)に代入すべきTPとして「2」が設定され、S33に進む。S33では、R=Fa(x)にTP=2が代入される。
m=4,5のときは、m=3と同様に、S30→S301→S31→S311→S33に進むので、固相率はそれぞれ20%、30%となる。
計算の結果を表3に示す。
(1)水の蓄熱量
Qw= Vw×γw×Hw×(tmax−tj)
= 10×1000×4.186×(14−5.4)
=360 MJ
Qus= Vu×γu×Hu1×(tmax−ts)+Vu×γu×Hu2×(ts−tj)
=6×820×2.3×(14−6.5)+6×820×1.9×(6.5−5.4)
=95 MJ
なお、本実施形態では、現在時刻jにおける温度tjが相変位温度tsを下回っているので式3により算出する。
Qul= Vu×γu×Su×ηj/100
=6×820×100×30/100
=148 MJ
Qt=Qw+Qus+Qul
=360+95+148
=603 MJ
同様に、潜熱蓄熱材3の融解がゼロになる前に、潜熱蓄熱材3の温度が相変化温度tsを下回った場合には、図8の(b)に示すように、凝固開始時間TMS後に、潜熱蓄熱材3の凝固が進行するものとして、潜熱蓄熱材3の固相率を算出すればよい。
2 水
3 潜熱蓄熱材
4 温度計
5 蓄熱量算出装置
11 凝固融解関数ファイル(凝固融解関数記憶手段)
12 温度ファイル(温度記憶手段)
13 固相率ファイル(固相率記憶手段)
14 蓄熱量ファイル(蓄熱量記憶手段)
41 温度取得手段
42 固相率算出手段
43 蓄熱量算出手段
Claims (5)
- 潜熱蓄熱材と水とが収容されてなる潜熱蓄熱槽における蓄熱量算出方法であって、
前記潜熱蓄熱材の固相率がゼロから最大になるまでの凝固時間と固相率との関係により求まる凝固固相率関数および前記潜熱蓄熱材の固相率が最大からゼロになるまでの融解時間と固相率との関係により求まる融解固相率関数を予め規定しておき、
前記潜熱蓄熱材または前記潜熱蓄熱材の周囲の水の温度を定期的に測定し、
前記温度が前記潜熱蓄熱材の相変化温度を下回っている時間または前記温度が前記相変化温度を上回っている時間を、前記凝固固相率関数または前記融解固相率関数にあてはめて、前記潜熱蓄熱材の固相率を算出し、
前記潜熱蓄熱材の固相率を利用して、前記潜熱蓄熱材の潜熱蓄熱量を算出することを特徴とする、蓄熱量算出方法。 - 現在時刻jにおける水の蓄熱量Qwjを式1により算出し、
現在時刻jにおける前記温度が相変化温度を上回っている場合には、現在時刻jにおける前記潜熱蓄熱材の顕熱蓄熱量Qusjを式2により算出し、
現在時刻jにおける前記温度が相変化温度を下回っている場合には、現在時刻jにおける前記潜熱蓄熱材の顕熱蓄熱量Qusjを式3により算出し、
前記潜熱蓄熱材の潜熱蓄熱量Quljを式4により算出し、
前記水の蓄熱量Qwjと、前記潜熱蓄熱材の前記顕熱蓄熱量Qusjと、前記潜熱蓄熱量Quljとの合計により前記潜熱蓄熱槽の蓄熱量を算出することを特徴とする、請求項1に記載の蓄熱量算出方法。
Qwj = Vw×γw×Hw×(tmax-tj) ・・・式1
Qusj = Vu×γu×Hu1×(tmax-tj) ・・・式2
Qusj = Vu×γu×Hu1×(tmax-ts)+Vu×γu×Hu2×(ts-tj) ・・・式3
Qulj = Vu×γu×Su×ηj/100 ・・・式4
ここで、Qwj :現在時刻jにおける水の蓄熱量(MJ)
Vw:水の容積(m3)
γw:水の比重量(kg/ m3)
Hw:水の比熱(kJ/kg・K)
tmax:蓄熱最高温度(℃)
tj:現在時刻jにおける温度(℃)
Qusj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の顕熱蓄熱量(MJ)
Vu:潜熱蓄熱材の融解時容積(m3)
γu:潜熱蓄熱材の融解時比重量(kg/ m3)
Hu1:潜熱蓄熱材の比熱(融解時)(kJ/kg・K)
Hu2:潜熱蓄熱材の比熱(凝固時)(kJ/kg・K)
ts:相変化温度(℃)
Qulj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の潜熱蓄熱量(MJ)
Su:潜熱蓄熱材の凝固熱(kJ/kg)
ηj:現在時刻jにおける潜熱蓄熱材の固相率(%)
- 現在時刻から所定時間だけ遡った時刻を基準時刻とし、当該基準時刻から凝固時間以上遡った時刻を第一時刻とし、前記基準時刻から融解時間以上遡った時刻を第二時刻としたときに、
前記第一時刻から前記基準時刻に至るまで、水の温度が継続して前記相変化温度を下回っている場合には、潜熱蓄熱材の最大固相率を前記基準時刻における前記潜熱蓄熱材の固相率とし、
前記第二時刻から前記基準時刻に至るまで、水の温度が継続して前記相変化温度を上回っている場合には、前記基準時刻における前記潜熱蓄熱材のゼロとすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の蓄熱量算出方法。 - 前記温度が前記潜熱蓄熱材の相変化温度を下回った時刻または上回った時刻を相変化時刻とし、当該相変化時刻から現在時刻までの経過時間を前記凝固固相率関数または前記融解固相率関数にあてはめて、前記潜熱蓄熱材の固相率を算出することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の潜熱蓄熱槽の蓄熱量算出方法。
- 潜熱蓄熱材と水とが収容されてなる潜熱蓄熱槽の蓄熱量を算出する蓄熱量算出装置であって、
前記潜熱蓄熱材の固相率がゼロから最大になるまでの時間と固相率との関係により求まる凝固固相率関数および前記潜熱蓄熱材の固相率が最大からゼロになるまでの時間と固相率との関係により求まる融解固相率関数が記憶された凝固融解関数記憶手段と、
潜熱蓄熱槽の温度を定期的に測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段により測定された温度の履歴を記憶する温度記憶手段と、
前記潜熱蓄熱材の固相率を算出する固相率算出手段と、
前記水の蓄熱量と、前記潜熱蓄熱材の顕熱蓄熱量および潜熱蓄熱量をそれぞれ算出するとともに、前記水の蓄熱量、顕熱蓄熱量および潜熱蓄熱量の合計により潜熱蓄熱槽の蓄熱量を算出する蓄熱量算出手段と、を有しており、
前記固相率算出手段は、前記凝固融解関数記憶手段に記憶された凝固固相率関数または融解固相率関数に、前記温度記憶手段に記憶された温度の履歴をあてはめることで、前記潜熱蓄熱材の固相率を算出し、
前記蓄熱量算出手段は、前記潜熱蓄熱材の固相率を利用して前記潜熱蓄熱材の蓄熱量を算出することを特徴とする、蓄熱量算出装置。
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