JP6094991B2 - 強磁性酸化鉄粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、強磁性酸化鉄粒子の製造方法に関する。より詳細には、優れた発熱特性を有するとともに注射用媒体に対する分散安定性に優れる癌焼灼治療に適した強磁性酸化鉄粒子などの製造方法に関する。
癌焼灼治療は、癌細胞が正常細胞よりも熱による損傷を受けやすいことを利用し、癌を焼灼して治療する方法であるが、近年、強磁性酸化鉄粒子を体内に導入して癌腫瘍に集積させ、外部から交流磁界を印加して磁気ヒステリシス損失により発熱させることで癌を焼灼する方法の研究が進められている(例えば特許文献1)。磁性粒子を用いて癌を焼灼する方法については、超常磁性酸化鉄粒子に外部から交流磁界を印加して発熱させる方法が従来から研究されているが、この方法は、磁気モーメントの揺らぎを磁界に共鳴させることで磁界のエネルギーを吸収するために極めて高い周波数が必要な上、本質的に発熱効率が低いことから実用化に至っていないのが現状である。これに対し、強磁性酸化鉄粒子を用いる方法は、比較的低い周波数で高効率の発熱が可能である点において優れていることから実用化が期待されている。けれども、現時点において必ずしも満足できる発熱効率が達成できているわけではなく、従って、発熱効率の向上を図るための研究が精力的に行われている。強磁性酸化鉄粒子の発熱効率を向上させるための方法としては、例えば、磁気ヒステリシス損失を大きくするために磁気ヒステリシス曲線の保磁力、飽和磁化、角型比(飽和磁化に対する残留磁化の比)を大きくする方法が考えられるが、保磁力を大きくする方法は、大きな保磁力に応じた高い印加磁界が必要になるため、装置が大掛かりで高価になるといったことから実用的でない。一方、飽和磁化や角型比を大きくする方法は、大掛かりで高価な装置を必要としないため実用的な方法であると言える。しかしながら、これまでに提案されている強磁性酸化鉄粒子は球状や楕円状の形状を有するため、磁気ヒステリシス曲線の飽和磁化や角型比を大きくするためにはコバルトなどの異種元素を添加する必要があった。このため、飽和磁化や角型比が大きくなると保磁力も大きくなることから、球状や楕円状の形状の強磁性酸化鉄粒子では、保磁力があまり大きくならないようにしつつ飽和磁化や角型比を大きくすることは本質的に困難であり、発熱効率の向上に限界があった。
以上の点に鑑み、本発明者らは、異種元素を添加することなく磁気ヒステリシス曲線の飽和磁化や角型比を大きくすることによって磁気ヒステリシス損失を大きくすることで優れた発熱特性を有する癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子を提供することを目的として研究を進め、3価の鉄化合物を出発物質としてゲータイト(α−FeOOH)を経由して製造した板状の形状を有する強磁性酸化鉄粒子が上記の要求を満たす優れたものであることを非特許文献1において報告している。
特開2010−89991号公報
M.Kishimotoら、Journal of Magnetism and Magnetic Materials,324(2012)1285−1289
非特許文献1において本発明者らが報告した板状の形状を有する強磁性酸化鉄粒子は、製造に際してゲータイト粒子をSiO被膜で表面被覆する工程を取り入れている。これは、この強磁性酸化鉄粒子が、ゲータイトを空気中で加熱脱水してヘマタイト(α−Fe)に変換した後、ヘマタイトを水素ガス中で加熱還元して強磁性酸化鉄であるマグネタイト(Fe)に変換することで製造されるものであるので、これらの変換工程で乾式的に行われる加熱処理によって粒子が焼結して板状の形状が変形することを防ぐためである(特にヘマタイトをマグネタイトに変換する工程は通常300℃以上の高温で行うため予め粒子をSiO被膜で表面被覆しておかないと変形する恐れが強い)。しかしながら、粒子をSiO被膜で表面被覆することには、強磁性酸化鉄の磁気特性(例えば飽和磁化)の低下を引き起こす恐れがあるといった問題や、注射用媒体に対する分散性を向上させるために粒子の表面修飾を行う場合にその阻害要因になる恐れがあるといった問題がある。また、非特許文献1において本発明者らが報告した板状の形状を有する強磁性酸化鉄粒子は、上記の通り、乾式的に加熱処理して製造されるものであるので、粒子間の磁気凝集力や粒子間における水素結合などの相互作用が強いため、注射用媒体に対する分散性に改善の余地がある。この問題を解消するための方法としては、粒子の表面修飾を行う方法が挙げられるが、粒子の表面に存在するSiO被膜はその阻害要因になる恐れがあることは上記の通りである。
そこで本発明は、優れた発熱特性を有するとともに注射用媒体に対する分散安定性に優れる癌焼灼治療に適した強磁性酸化鉄粒子などの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、板状の形状を有するゲータイト粒子などの水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子を多価アルコールに分散させて加熱処理することで、粒子の板状の形状の変形を引き起こすことなく優れた発熱特性を有するマグネタイト粒子に変換できること、こうして得られたマグネタイト粒子は注射用媒体に対する分散安定性に優れることを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の強磁性酸化鉄粒子の製造方法は、請求項1記載の通り、板状の形状を有する水酸化鉄粒子および/または板状の形状を有するヘマタイト粒子を多価アルコールに分散させて加熱処理することを特徴とする
た、請求項記載の製造方法は、請求項記載の製造方法において、水酸化鉄粒子がゲータイト粒子であることを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1または2記載の製造方法において、多価アルコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法において、多価アルコールが含水多価アルコールであることを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法において、加熱温度が200〜350℃であることを特徴とする。
また、本発明の癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子は、請求項記載の通り、長径が20〜200nm、厚みに対する長径の比が1.5〜30である板状の形状を有し、保磁力が30〜400Oe、飽和磁化が30〜100emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比が0.20〜0.50である磁気特性を有することを特徴とする(但し粒子の表面にSiO被膜を有さず、アルミニウムが固溶されている粒子を除く)。
また、請求項記載の癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子は、請求項記載の癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子において、酸化鉄がマグネタイト、ガンマ酸化鉄、マグネタイトとガンマ酸化鉄の中間状態の酸化鉄のいずれかであることを特徴とする。
また、請求項記載の癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子は、請求項または記載の癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子において、粒子の表面が表面修飾剤で修飾されてなることを特徴とする。
また、本発明の癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子分散組成物は、請求項記載の通り、長径が20〜200nm、厚みに対する長径の比が1.5〜30である板状の形状を有し、保磁力が30〜400Oe、飽和磁化が30〜100emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比が0.20〜0.50である磁気特性を有する癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子(但し粒子の表面にSiO被膜を有さず、アルミニウムが固溶されている粒子を除く)を注射用媒体に分散させてなることを特徴とする。
本発明によれば、優れた発熱特性を有するとともに注射用媒体に対する分散安定性に優れる癌焼灼治療に適した強磁性酸化鉄粒子などの製造方法を提供することができる。
実施例1で得たゲータイト粒子のTEM写真である。 同、ヘマタイト粒子のTEM写真である。 同、マグネタイト粒子のTEM写真である。 実施例3で得たゲータイト粒子のTEM写真である。 同、マグネタイト粒子のTEM写真である。 実施例4で得たマグネタイト粒子のTEM写真である。
本発明の強磁性酸化鉄粒子の製造方法は、水酸化鉄粒子および/またはヘマタイト粒子を多価アルコールに分散させて加熱処理することを特徴とするものである。
本発明の強磁性酸化鉄粒子の製造方法において原料として用いる水酸化鉄粒子は、単一物質であってもよいし複数物質の混合物であってもよい。その具体例としては、ゲータイト(α−FeOOH)、アカゲナイト(β−FeOOH)、レピドクロサイト(γ−FeOOH)、水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III)などからなる粒子が挙げられる。これらの粒子は、塩化第一鉄や硫酸第一鉄や硝酸第一鉄などの2価の鉄化合物の水溶液に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムやアンモニアなどのアルカリを混合して得られる沈殿物(鉄水酸化物を含む)を酸化して結晶成長させた針状の形状を有する粒子などであってもよいが、癌焼灼治療に適した板状の形状を有する強磁性酸化鉄粒子、例えば、長径が20〜200nm、厚みに対する長径の比が1.5〜30である板状の形状を有する強磁性酸化鉄粒子を製造する際には、同じ板状の形状を有する粒子が望ましい。このような板状の形状を有する粒子は、例えばゲータイト粒子の場合、3価の鉄化合物の水溶液にアルカリとアミン化合物を混合することで得られる沈殿物を水熱反応に付することによって製造することができる。この製造方法は、塩化第二鉄や硫酸第二鉄や硝酸第二鉄などの3価の鉄化合物の水溶液にアルカリとアミン化合物を混合して得られる沈殿物(鉄水酸化物を含む)を水熱反応に付すと、板状の形状を有するゲータイト粒子が得られるという本発明者らによって見出された知見に基づく。ここでアルカリとしては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムやアンモニアなどが挙げられるが、水酸化ナトリウムを好適に用いることができる。アミン化合物(その意味するところは分子内にアミノ基を有する化合物である)としては例えばエタノールアミンやN−メチルエタノールアミンなどの炭素数が2〜10のアルコールアミンが挙げられる。3価の鉄化合物を全て鉄水酸化物に変換するためにはアルカリは鉄の少なくとも3倍量必要である(モル比)。従って、3価の鉄化合物とアルカリの混合比は例えば1:3〜1:15が望ましい(モル比)。また、アルカリとアミン化合物の混合比は例えば1:1〜1:5が望ましい(重量比)。3価の鉄化合物の水溶液へのアルカリとアミン化合物の混合は、例えば3価の鉄化合物の水溶液をアルカリとアミン化合物を溶解させた水溶液に撹拌しながら混合することで行えばよい。混合に際しての両水溶液の温度はゲータイト粒子の大きさ、ひいては強磁性酸化鉄粒子の大きさに影響を与える。例えば両水溶液の温度が−10〜30℃の場合、長径が20〜200nmで厚みに対する長径の比が1.5〜30である板状の形状を有するゲータイト粒子、ひいては強磁性酸化鉄粒子を得ることができる。短径に対する長径の比は例えば1〜10であり、温度が低いほど長径が小さな粒子が得られる。3価の鉄化合物の水溶液にアルカリとアミン化合物を混合することで得られる沈殿物の水熱反応は、例えば沈殿物をオートクレーブなどの耐圧容器に仕込んで110〜220℃で1〜5時間行えばよい。水熱反応の温度が低すぎると粒子が板状の形状に成長しにくくなる一方、高すぎると成長しすぎて所定の大きさの粒子が得にくくなる。なお、3価の鉄化合物の水溶液にアルカリとアミン化合物を混合することで得られる沈殿物は、沈殿物を得た後、沈殿物を含む懸濁液を室温環境(例えば10〜30℃)で半日〜2日程度存置することにより熟成させてから水熱反応を行うことで、所定の大きさの板状の形状を有するゲータイト粒子が得やすくなる。
本発明の強磁性酸化鉄粒子の製造方法においてヘマタイト粒子を原料として用いる場合、ヘマタイト粒子は水酸化鉄粒子を加熱脱水することで得ることができる。水酸化鉄粒子の加熱脱水は、自体公知の方法、例えば水酸化鉄粒子を空気中で5分間〜5時間加熱することで行うことができる。板状の形状を有する水酸化鉄粒子の形状を保持したヘマタイト粒子を得るためには、加熱温度は200〜300℃が望ましい。加熱温度が低すぎると脱水が十分に進行しない恐れがある一方、高すぎると粒子が焼結して変形する恐れがある。
本発明の強磁性酸化鉄粒子の製造方法において原料として用いる水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子を分散させる多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種類を混合して用いてもよい。
水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子を多価アルコールに分散させて加熱処理することで強磁性酸化鉄粒子を得ることができる。これは、多価アルコールの還元力によってヘマタイト粒子が強磁性酸化鉄粒子に変換されることによるものであり、原料として水酸化鉄粒子を用いる場合、水酸化鉄粒子は系内において脱水されてヘマタイト粒子に変換された後に強磁性酸化鉄粒子に変換される。こうして製造された強磁性酸化鉄粒子は、非特許文献1に記載の方法のように乾式的に加熱処理されたものではなく、多価アルコール中で個々の粒子が分散された状態で湿式的に加熱処理されたものであるので、粒子間の磁気凝集力や粒子間における水素結合などの相互作用が強くないため、注射用媒体に対する分散安定性に優れる。多価アルコールが還元力を有することは当業者に周知であり、例えば金属イオンや金属アルコキシドを還元して金属析出させる際などに利用できることが知られているが、こうして得られる金属粒子は球状や立方状であり、板状の形状を有する粒子を得ることはできない。これに対し、本発明の多価アルコールの還元力を利用した強磁性酸化鉄粒子を製造する方法によれば、原料として用いる水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子が板状の形状を有するものであれば、その形状を保持した強磁性酸化鉄粒子を得ることができる。得られた強磁性酸化鉄粒子は水洗することで多価アルコールと分離した後、例えば空気中で乾燥すればよい。本発明によって製造される強磁性酸化鉄は、通常、マグネタイト(Fe)であるが、マグネタイトは空気中で200〜300℃で1〜30分間加熱酸化することでガンマ酸化鉄(γ−Fe)に変換することができる。また、加熱酸化の温度条件を例えば200℃よりも低くすればマグネタイトとガンマ酸化鉄の中間状態の酸化鉄を得ることができる。これらの強磁性酸化鉄はいずれも癌焼灼治療に適したものである。
水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子を多価アルコールに分散させた分散体の加熱処理は、200℃以上で行うことが望ましく、250℃以上で行うことがより望ましい。加熱温度が低すぎると、原料として水酸化鉄粒子を用いる場合、脱水が十分に進行しないことでヘマタイト粒子に変換されにくくなる恐れや、多価アルコールの還元力が十分に発揮されないことでヘマタイト粒子が強磁性酸化鉄粒子に変換されにくくなる恐れがある。なお、加熱温度の上限は350℃が望ましい。加熱温度が高すぎると、水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子の形状を保持した強磁性酸化鉄粒子を得たい場合、粒子が変形することでそうした粒子が得にくくなる恐れや、系内に発生する多価アルコールの分解物によってヘマタイト粒子から変換された強磁性酸化鉄粒子が酸化されることでその磁気特性(例えば飽和磁化)が低下する恐れがある。前出の多価アルコールの中でも、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリンは、沸点がいずれも250℃以上であるので、常圧で250℃以上に加熱できる点において媒体としてとりわけ望ましい。しかしながら、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを用いる場合でも、必要に応じて、オートクレーブなどの耐圧容器の中で加圧状態で加熱処理することで、分散させた水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子を強磁性酸化鉄粒子に変換することができる。加熱時間は例えば30分間〜24時間が望ましい。加熱時間が短すぎると水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子を強磁性酸化鉄粒子に十分に変換できない恐れがある一方、長すぎると系内に発生する多価アルコールの分解物によってヘマタイト粒子から変換された強磁性酸化鉄粒子が酸化されることでその磁気特性(例えば飽和磁化)が低下する恐れがある。
多価アルコールへの水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子の分散は、水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子の量に対して多価アルコールの量が5〜500倍となるように行うことが望ましい(重量比)。水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子の量に対して多価アルコールの量が少なすぎるとヘマタイト粒子に対する多価アルコールの還元力が十分でないことでヘマタイト粒子が強磁性酸化鉄粒子に変換されにくくなる恐れがある一方、必要以上に多くてもコストアップを招くだけである。
なお、水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子を分散させる多価アルコールは水を含んでいてもよい。含水多価アルコールを媒体として用いると、ヘマタイト粒子に対して多価アルコールによる還元反応とともに水による水熱反応が起こり、粒子の溶解析出の際に還元されやすくなることで強磁性酸化鉄粒子に変換されやすくなる。但し、含水多価アルコールは、多価アルコールの量に対して水の量が10倍以下であることが望ましい(重量比)。多価アルコールの量に対して水の量が多すぎると粒子の溶解析出による粗大化や変形が顕著になる恐れがある。媒体として含水多価アルコールを用いる態様は、多価アルコールに水を添加して行うことができる他、分散対象物が水酸化鉄粒子の場合には、水酸化鉄粒子を調製した際の水洗後の水を含んだ水酸化鉄粒子を多価アルコールに分散させたり、水酸化鉄粒子を水に懸濁させた懸濁液に多価アルコールを溶解したりすることで行うこともできる。こうした態様は、水酸化鉄粒子の調製後の乾燥工程の省略を可能とし、強磁性酸化鉄粒子が得られるまで一貫して湿式的に処理することができる点においても都合がよい。
本発明によれば、原料として用いる水酸化鉄粒子やヘマタイト粒子をSiO被膜で表面被覆することなくその形状を保持した強磁性酸化鉄粒子を製造することができる。従って、例えば、長径が20〜200nm、厚みに対する長径の比が1.5〜30である板状の形状を有する水酸化鉄粒子を原料として用いることで、同じ板状の形状を有し、例えば、保磁力が30〜400Oe、飽和磁化が30〜100emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比が0.20〜0.50である磁気特性を有する、癌焼灼治療に適した強磁性酸化鉄粒子を製造することができる。この板状の形状を有する強磁性酸化鉄粒の保磁力は、形状磁気異方性に基づいている。従って、これまでに提案されている球状や楕円状の形状を有する強磁性酸化鉄粒子や、コバルトなどの異種元素を添加することで結晶磁気異方性に基づいて保磁力を増加させた強磁性酸化鉄粒子に比較して磁気ヒステリシス曲線の飽和磁化や角型比が大きいことから、磁気ヒステリシス損失が大きいので、優れた発熱効率を示す。加えて、粒子の形状が板状であることは、体内に導入して癌腫瘍に集積させた時に、球状や楕円状の形状を有する粒子に比較して癌腫瘍との接触面積を大きくするので、焼灼効率が優れる。従って、その優れた発熱効率と相俟って、癌焼灼治療においてよりいっそうの治療効果が期待できる。癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子は、標的とする癌細胞に集積させるべく、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの注射用媒体に例えば0.01〜10wt%の濃度で分散させることで癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子分散組成物として提供され、必要に応じてこれを注射用媒体でさらに希釈した上でヒトやその他の哺乳動物に静脈内投与される。癌細胞に集積させた粒子に対する外部からの交流磁界の印加は、例えば、周波数が10〜200kHz、最大印加磁界が100〜1000Oeの条件で1回あたり1〜60分間行えばよい。なお、強磁性酸化鉄粒子を注射用媒体に分散させる際、必要に応じて自体公知の等張化剤や安定剤などの添加剤を添加してもよい。また、強磁性酸化鉄粒子を注射用媒体に分散させる際、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールを粒子に対して例えば10〜1000重量%の割合で添加することで、粒子の注射用媒体への分散性をより高めることができる。
なお、本発明によって製造される強磁性酸化鉄粒子の磁気特性を補完や増強させるために、異種元素(コバルト、白金、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、チタンなど)を強磁性酸化鉄粒子に添加してもよい。例えば鉄に対して0.5〜5原子%のマグネシウムを添加することで磁気ヒステリシス曲線の立ち上がりをシャープにすることが可能であり、その結果、交流磁界に対して磁化しやすくなり、ヒステリシス曲線の面積が増加することで発熱効率をより高めることができる。なお、異種元素の添加量は鉄に対して0.1〜5.0原子%とすることが望ましい。添加量が少なすぎると目的とする効果が得られにくくなる一方、多すぎると水酸化鉄粒子を得る際に粒子が板状の形状に成長しにくくなる。
また、前述の通り、本発明によって製造される強磁性酸化鉄粒子は注射用媒体に対する分散性に優れるが、注射用媒体に対する分散性をより高めるため、粒子の表面を表面修飾剤で修飾してもよい。本発明によって製造される強磁性酸化鉄粒子は表面にSiO被膜を有さないので、粒子の表面修飾を効果的に行うことができる。表面修飾剤の種類は特段限定されるものではないが、好適にはポリエチレングリコールと側鎖に亜リン酸基を有するポリスチレンのブロック共重合体が挙げられる。このブロック共重合体は、構造的にポリエチレングリコール部分と側鎖に亜リン酸基を有するポリスチレン部分に大別されるが、ポリスチレン部分に存在する少なくとも1つの亜リン酸基によって強固なFe−O−P結合を介して強磁性酸化鉄粒子の表面に結合することができる。そしてこうして粒子の表面に結合したブロック共重合体のポリエチレングリコール部分によって粒子の表面に粒子間に働く磁気凝集力を十分に阻止できるに足る立体障害が形成される。また、このブロック共重合体は分子中に電荷を持たないので粒子の表面へのイオンの付着が抑制されるため、電荷による凝集力も阻止できることから、結果として注射用媒体との優れた親和性を持つことができる。また、このブロック共重合体は、生体内において強磁性酸化鉄粒子が各種の生体成分と直接的に接触したり、粒子の表面に生体成分が吸着したりすることを阻止する。しかも、このブロック共重合体を表面に結合することで強磁性酸化鉄粒子の磁気特性や発熱特性が損なわれることはない。
ポリエチレングリコールと側鎖に亜リン酸基を有するポリスチレンのブロック共重合体の具体例としては、下記の一般式(I)で表されるポリエチレングリコール−b−ポリ(4−ビニルベンジルホスホネート)(以下「PEG−b−PVBP」と略称)が挙げられる。
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、Lは−(CHS−、−CO(CHS−、−COO(CHS−、−COC(CH−からなる群より選ばれる連結基、lは1〜5の整数、mは5〜500の整数、nは2〜30の整数である)
ここで、置換基を有していてもよいアルキル基におけるアルキル基は、例えば炭素数が1〜12の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、その具体的としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、ドデシル基などが挙げられる。アルキル基が有していてもよい置換基としては、低級アルコキシ基やRCH−基などが挙げられる。低級アルコキシ基は、例えば炭素数が1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基であり、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられる。RCH−基におけるRとRは、各々が独立して低級アルコキシ基(その意味するところは前述の通り)であるか、RとRが一緒になって−O(CHO−、−O(CHO−もしくは−O(CHO−である。
上記の一般式(I)で表されるPEG−b−PVBPは、例えば超常磁性酸化鉄粒子の表面修飾剤として公知のものであり、K.Ujiieら、Colloids and Surfaces B:Biointerfaces,88,771−778(2011)には、PEG−b−PVBPを用いて表面修飾された超常磁性酸化鉄粒子はMRI増感剤として使用できることが記載されている。しかしながら、PEG−b−PVBPを用いて強磁性酸化鉄粒子の表面修飾を行った報告は存在しない。
PEG−b−PVBPは、Ujiieらの論文に記載の方法に従って、ポリエチレングリコールに対してポリクロロメチルスチレンのブロック重合を行ってポリエチレングリコール−b−ポリクロロメチルスチレンを得た後、クロロ基をホスホネート基に変換することで調製することができる。PEG−b−PVBPの数平均分子量は1000〜30000であることが望ましい。数平均分子量が1000を下回ると分子中のホスホネート基が少ないことで強磁性酸化鉄粒子の表面に強固かつ豊富に結合させることができないといった問題が生じる恐れがある一方、30000を超えると1つの分子によって粒子の表面に形成される立体障害が大きくなりすぎて分子の結合数が少なくなるといった問題が生じる恐れがある。
強磁性酸化鉄粒子の表面にPEG−b−PVBPを結合させる方法としては、粒子を分散媒としての水および/または親水性溶媒に分散させた分散液にPEG−b−PVBPを溶解することで行う方法が挙げられる。PEG−b−PVBPを表面に結合させた超常磁性酸化鉄粒子が記載されているUjiieらの論文では、塩化第一鉄と塩化第二鉄の水溶液にPEG−b−PVBPを溶解した後、アンモニアを加えることにより、粒子の生成とその表面へのPEG−b−PVBPの結合を同時に行っているが、この方法をそのまま板状の形状を有する強磁性酸化鉄粒子の表面にPEG−b−PVBPを結合させる方法として採用することは困難である。前述の通り、この粒子を得るためには100℃以上での水熱反応や加熱処理を行う必要があるため、PEG−b−PVBPに対して事前に何らかの耐熱処理を施しておかなければ、その段階でPEG−b−PVBPが高温に晒されて変性や分解してしまう恐れがあるからである。
強磁性酸化鉄粒子の分散に用いることができる親水性溶媒としては、メタノールやエタノールなどのアルコール、アセトン、アセトニトリルなどが挙げられる。粒子を水および/または親水性溶媒に分散させた分散液へのPEG−b−PVBPの溶解量は、粒子量に対して0.1〜10倍程度が望ましい(重量比)。PEG−b−PVBPの溶解量が少なすぎると粒子の表面にPEG−b−PVBPを豊富に結合させることができない恐れがある一方、溶解量が多すぎると分散液中のPEG−b−PVBP量が多すぎて粒子とPEG−b−PVBPの結合がかえって進行しにくくなる恐れがある。粒子の表面へのPEG−b−PVBPの結合は30〜60℃の温度範囲で行うことが望ましい。温度が低すぎると粒子とPEG−b−PVBPの結合が円滑に進行しにくくなる恐れがある一方、温度が高すぎるとPEG−b−PVBPが変性や分解してしまう恐れがある。
強磁性酸化鉄粒子の表面にPEG−b−PVBPを結合させた後、沈殿物が存在する場合には沈殿物を除去し、さらに分散媒を除去すれば、強磁性酸化鉄粒子の優れた発熱特性を維持しつつ、注射用媒体に対する優れた分散安定性を有する粉末状の表面修飾強磁性酸化鉄粒子を得ることができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:強磁性酸化鉄粒子の製造(その1)
(A)板状の形状を有するゲータイト粒子の調製
30gの塩化第二鉄を150gの水に溶解した。また、45gの水酸化ナトリウムと90gのエタノールアミンを1100gの水に溶解した。塩化第二鉄の水溶液は冷凍庫で−1.8℃に、水酸化ナトリウムとエタノールアミンの水溶液は冷凍庫で−6.4℃に冷却した。いずれの水溶液も多量のイオンが溶解しているので氷点が低いため、0℃以下で凍らない温度まで冷却した。次に、室温環境で後者の水溶液を撹拌しながらそこに前者の水溶液を滴下した後、30分間撹拌を続けることで、鉄水酸化物を含む沈殿物を得た。滴下混合直後の懸濁液の温度は−2.5℃で、30分間混合後の懸濁液の温度は2.0℃であった。前述の通り、最終的に得られる板状の形状を有する強磁性酸化鉄粒子の大きさは、両水溶液の混合に際しての温度によりほぼ決まり、この温度が低いほど粒子の大きさは小さくなる。次に、この沈殿物を室温環境で1日間放置して熟成させた後、沈殿物を分取し、オートクレーブに仕込んで130℃で2時間水熱反応に付した後、水で洗浄してナトリウムイオンやエタノールアミンを除去してから空気中で乾燥させることでゲータイト粒子を得た(ゲータイトであることはX線回折での構造解析により確認)。得られたゲータイト粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図1に示す。この方法によって得たゲータイト粒子は平均長径が約30nmで平均短径が約15nmであり、短径に対する長径の比は約2であった。また、走査電子顕微鏡(SEM)による観察により、この粒子は厚みが約5nmの板状の形状を有していることが確認できた(厚みに対する長径の比は約6)。
(B)板状の形状を有するゲータイト粒子のヘマタイト粒子への変換
(A)で得たゲータイト粒子を空気中で250℃で10分間加熱脱水することでヘマタイト粒子を得た(ヘマタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。得られたヘマタイト粒子のTEM写真を図2に示す。この方法によって得たヘマタイト粒子はゲータイト粒子が有していた板状の形状を保持するものであるが、粒子の表面にゲータイト粒子の脱水反応によって形成された多数の孔(大きさは概ね10nm以下)や凹凸を有していた。
(C)多価アルコール中での湿式還元による板状の形状を有するヘマタイト粒子のマグネタイト粒子への変換
(B)で得たヘマタイト粒子500mgにテトラエチレングリコール100gを加え、超音波分散処理を2時間行って均一な分散液を得た。得られた分散液をステンレス製容器に入れて蓋をした状態でオーブンの中で290℃で2時間加熱処理した。2時間後、オーブンの中で自然冷却して室温に戻ってから容器を取り出し、容器中の分散液を水で洗浄してテトラエチレングリコールを除去した後、空気中で乾燥させることでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。得られたマグネタイト粒子のTEM写真を図3に示す。この方法によって得たマグネタイト粒子はゲータイト粒子が有していた板状の形状を保持するものであるが、粒子の表面に多数の孔(大きさは概ね10nm以下)や凹凸を有していた。得られたマグネタイト粒子の保磁力は155Oe、飽和磁化は72.1emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比は0.42であった(DMS社製の試料振動型磁力計を用いて最大印加磁界13000Oeで測定)。E.Kitaらの方法(J.Phys.D.43(2010)474011)に従ってこのマグネタイト粒子の発熱特性を調べた結果、優れた発熱特性を有していた。また、空気中で乾燥させる前の水に懸濁状態にあるマグネタイト粒子500mgをビーカーに入れ、水200gを加えて超音波分散処理を2時間行って均一な分散液を得た後、静置して水中のマグネタイト粒子がビーカーの底部に沈殿しだすまでの時間を測定したところ約60分であり、このマグネタイト粒子は水に対して優れた分散安定性を有することがわかった。
実施例2:強磁性酸化鉄粒子の製造(その2)
実施例1の(A)で得たゲータイト粒子を実施例1の(C)に記載の方法と同様にして湿式還元することでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。この方法によって得たマグネタイト粒子は実施例1の(A)で得たゲータイト粒子が有していた板状の形状を保持するものであるが、粒子の表面に多数の孔(大きさは概ね10nm以下)や凹凸を有していた。得られたマグネタイト粒子の保磁力は160Oe、飽和磁化は74.8emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比は0.40であった(DMS社製の試料振動型磁力計を用いて最大印加磁界13000Oeで測定)。E.Kitaらの方法(J.Phys.D.43(2010)474011)に従ってこのマグネタイト粒子の発熱特性を調べた結果、優れた発熱特性を有していた。また、このマグネタイト粒子の水に対する分散安定性を実施例1の(C)に記載の方法と同様にして評価したところ、水中のマグネタイト粒子がビーカーの底部に沈殿しだすまでの時間は約50分であり、実施例1の(C)で得たマグネタイト粒子と同様、水に対して優れた分散安定性を有することがわかった。
実施例3:強磁性酸化鉄粒子の製造(その3)
(A)板状の形状を有するゲータイト粒子の調製
30gの塩化第二鉄を150gの水に溶解した。また、45gの水酸化ナトリウムと90gのエタノールアミンを1100gの水に溶解した。塩化第二鉄の水溶液は冷凍庫で−1.2℃に、水酸化ナトリウムとエタノールアミンの水溶液は冷凍庫で−3.8℃に冷却した。次に、室温環境で後者の水溶液を撹拌しながらそこに前者の水溶液を滴下した後、30分間撹拌を続けることで、鉄水酸化物を含む沈殿物を得た。滴下混合直後の懸濁液の温度は−0.8℃で、30分間混合後の懸濁液の温度は3.0℃であった。次に、この沈殿物を室温環境で1日間放置して熟成させた後、沈殿物を分取し、オートクレーブに仕込んで130℃で2時間水熱反応に付した後、水で洗浄してナトリウムイオンやエタノールアミンを除去してから空気中で乾燥させることでゲータイト粒子を得た(ゲータイトであることはX線回折での構造解析により確認)。得られたゲータイト粒子のTEM写真を図4に示す。この方法によって得たゲータイト粒子は平均長径が約50nmで平均短径が約20nmであり、短径に対する長径の比は約2.5であった。また、SEMによる観察により、この粒子は厚みが約5nmの板状の形状を有していることが確認できた(厚みに対する長径の比は約10)。
(B)板状の形状を有するゲータイト粒子のヘマタイト粒子への変換
(A)で得たゲータイト粒子を実施例1の(B)に記載の方法と同様にして加熱脱水することでヘマタイト粒子を得た(ヘマタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。この方法によって得たヘマタイト粒子はゲータイト粒子が有していた板状の形状を保持するものであるが、粒子の表面にゲータイト粒子の脱水反応によって形成された多数の孔(大きさは概ね10nm以下)や凹凸を有していた。
(C)多価アルコール中での湿式還元による板状の形状を有するヘマタイト粒子のマグネタイト粒子への変換
(B)で得たヘマタイト粒子を実施例1の(C)に記載の方法と同様にして湿式還元することでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。得られたマグネタイト粒子のTEM写真を図5に示す。この方法によって得たマグネタイト粒子はゲータイト粒子が有していた板状の形状を保持するものであるが、粒子の表面に多数の孔(大きさは概ね10nm以下)や凹凸を有していた。得られたマグネタイト粒子の保磁力は175Oe、飽和磁化は80.2emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比は0.44であった(DMS社製の試料振動型磁力計を用いて最大印加磁界13000Oeで測定)。E.Kitaらの方法(J.Phys.D.43(2010)474011)に従ってこのマグネタイト粒子の発熱特性を調べた結果、優れた発熱特性を有していた。また、このマグネタイト粒子の水に対する分散安定性を実施例1の(C)に記載の方法と同様にして評価したところ、水中のマグネタイト粒子がビーカーの底部に沈殿しだすまでの時間は約30分であり、実施例1の(C)で得たマグネタイト粒子と同様、水に対して優れた分散安定性を有することがわかった。
実施例4:強磁性酸化鉄粒子の製造(その4)
実施例3の(A)で得たゲータイト粒子500mgと水500mgの混合物(空気中で乾燥させる前の水に懸濁状態にあるゲータイト粒子を完全に乾燥させることなく乾燥させてそのゲータイト量と含水量を知った上で調製したもの)にテトラエチレングリコール100gを加え、超音波分散処理を2時間行って均一な分散液を得た。得られた分散液をオートクレーブに仕込んで加圧状態で290℃で2時間加熱処理した(オートクレーブを用いたのは水の蒸発を防ぐため)。2時間後、オートクレーブ中の分散液を水で洗浄してテトラエチレングリコールを除去した後、空気中で乾燥させることでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。得られたマグネタイト粒子のTEM写真を図6に示す。この方法によって得たマグネタイト粒子は実施例3の(A)で得たゲータイト粒子が有していた板状の形状よりも若干粗大化した形状を有するものであったが、基本的な形状は保持されているものであり、粒子の表面に多数の孔(大きさは概ね10nm以下)や凹凸を有していた。得られたマグネタイト粒子の保磁力は193Oe、飽和磁化は83.5emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比は0.35であった(DMS社製の試料振動型磁力計を用いて最大印加磁界13000Oeで測定)。E.Kitaらの方法(J.Phys.D.43(2010)474011)に従ってこのマグネタイト粒子の発熱特性を調べた結果、優れた発熱特性を有していた。また、このマグネタイト粒子の水に対する分散安定性を実施例1の(C)に記載の方法と同様にして評価したところ、水中のマグネタイト粒子がビーカーの底部に沈殿しだすまでの時間は約20分であり、実施例1の(C)で得たマグネタイト粒子と同様、水に対して優れた分散安定性を有することがわかった。
実施例5:強磁性酸化鉄粒子の製造(その5)
実施例1の(B)で得たヘマタイト粒子500mgに水500mgとテトラエチレングリコール100gを加え、超音波分散処理を2時間行って均一な分散液を得た。得られた分散液をオートクレーブに仕込んで加圧状態で290℃で2時間加熱処理した。2時間後、オートクレーブ中の分散液を水で洗浄してテトラエチレングリコールを除去した後、空気中で乾燥させることでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。この方法によって得たマグネタイト粒子は実施例1の(A)で得たゲータイト粒子が有していた板状の形状よりも若干粗大化した形状を有するものであったが、基本的な形状は保持されているものであり、粒子の表面に多数の孔(大きさは概ね10nm以下)や凹凸を有していた。得られたマグネタイト粒子の保磁力は161Oe、飽和磁化は75.1emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比は0.38であった(DMS社製の試料振動型磁力計を用いて最大印加磁界13000Oeで測定)。E.Kitaらの方法(J.Phys.D.43(2010)474011)に従ってこのマグネタイト粒子の発熱特性を調べた結果、優れた発熱特性を有していた。また、このマグネタイト粒子の水に対する分散安定性を実施例1の(C)に記載の方法と同様にして評価したところ、水中のマグネタイト粒子がビーカーの底部に沈殿しだすまでの時間は約30分であり、実施例1の(C)で得たマグネタイト粒子と同様、水に対して優れた分散安定性を有することがわかった。
実施例6:強磁性酸化鉄粒子の製造(その6)
多価アルコールとしてトリエチレングリコールを用いることと加熱温度を270℃とすること以外は実施例1の(C)に記載の方法と同様にして湿式還元することでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。
実施例7:強磁性酸化鉄粒子の製造(その7)
多価アルコールとしてジエチレングリコールを用いること以外は実施例5に記載の方法と同様にして湿式還元することでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。
実施例8:強磁性酸化鉄粒子の製造(その8)
多価アルコールとしてエチレングリコールを用いること以外は実施例5に記載の方法と同様にして湿式還元することでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。
実施例9:強磁性酸化鉄粒子の製造(その9)
実施例1の(A)で得たゲータイト粒子500mgにポリエチレングリコール(分子量:200〜600)100gを加え、超音波分散処理を2時間行って均一な分散液を得た。得られた分散液をオートクレーブに仕込んで加圧状態で290℃で2時間加熱処理した。2時間後、オートクレーブ中の分散液を水で洗浄してポリエチレングリコールを除去した後、空気中で乾燥させることでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。
実施例10:強磁性酸化鉄粒子の製造(その10)
多価アルコールとしてグリセリンを用いることと加熱温度を280℃とすること以外は実施例1の(C)に記載の方法と同様にして湿式還元することでマグネタイト粒子を得た(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。
実施例11:表面修飾強磁性酸化鉄粒子の製造
表面修飾剤としてポリエチレングリコールと側鎖に亜リン酸基を有するポリスチレンのブロック共重合体であるPEG−b−PVBPを用いて実施例1で得たマグネタイト粒子の表面を修飾した。PEG−b−PVBPはUjiieらの論文に記載の方法に従って合成した(以下の合成スキーム参照)。実施例1で得たマグネタイト粒子0.8mgを100ccのスクリュー管に仕込み、さらにエタノール80gを加え、約4時間超音波分散した。得られた分散液を1週間静置しておくと一部の粒子がスクリュー管の底に沈殿した。スクリュー管内の上清を採取することでマグネタイト粒子の分散液を得た。次に、この分散液2.0gを10ccのスクリュー管に仕込んだ後、PEG−b−PVBPをマグネタイト粒子に対して重量比で50%になるように加え、超音波分散しながら溶解した。得られたPEG−b−PVBPを溶解したマグネタイト粒子の分散液をスクリュー管に入れ、蓋をした状態で50℃で2日間静置することにより、マグネタイト粒子の表面にPEG−b−PVBPを結合させた。スクリュー管の蓋を外して30℃の乾燥器に入れ、分散液を撹拌しながらエタノールを乾燥除去することで、粉末状の表面にPEG−b−PVBPを結合させたマグネタイト粒子を得た。この表面修飾マグネタイト粒子の磁気特性と発熱特性は、表面修飾する前のマグネタイト粒子のそれらと実質的な違いはなかった。また、この表面修飾マグネタイト粒子の水に対する分散安定性を実施例1の(C)に記載の方法と同様にして評価したところ、24時間経過後も水中の表面修飾マグネタイト粒子がビーカーの底部に沈殿しだす現象は認められず、この表面修飾マグネタイト粒子は水に対して極めて優れた分散安定性を有することがわかった。
比較例1:表面にSiO被膜を有する強磁性酸化鉄粒子の製造
実施例1の(A)で得たゲータイト粒子(空気中で乾燥させる前のもの)を水に懸濁し、この懸濁液にケイ酸ナトリウムをゲータイト粒子に対してSiOに換算して重量比で10%になるように溶解した。ケイ酸ナトリウムを溶解した後の懸濁液はケイ酸ナトリウムが強アルカリ性のためpHは約10であった。このケイ酸ナトリウムを溶解した懸濁液を撹拌しながら希塩酸を加えてpHが7〜8の範囲になるように中和し、さらに3時間撹拌を続けることで、ゲータイト粒子をSiO被膜で表面被覆した。次に、SiO被膜で表面被覆したゲータイト粒子を水で洗浄してから乾燥させた後、空気中において500℃で1時間加熱脱水することでゲータイト粒子をヘマタイト粒子に変換し、さらに、このヘマタイト粒子を水素ガス中において380℃で1時間加熱還元することにより、ヘマタイト粒子をマグネタイト粒子に変換した(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。この方法によって得たマグネタイト粒子は実施例1の(A)で得たゲータイト粒子が有していた板状の形状よりも若干収縮した形状を有するものであったが、基本的な形状は保持されているものであり、粒子の表面に多数の孔(大きさは概ね10nm以下)や凹凸を有していた。得られたマグネタイト粒子の保磁力は118Oe、飽和磁化は57.4emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比は0.40であり、実施例1の(C)で得たマグネタイト粒子の磁気特性よりも劣るものであった(DMS社製の試料振動型磁力計を用いて最大印加磁界13000Oeで測定)。E.Kitaらの方法(J.Phys.D.43(2010)474011)に従ってこのマグネタイト粒子の発熱特性を調べた結果、実施例1の(C)で得たマグネタイト粒子の発熱特性よりも劣るものであった。また、このマグネタイト粒子の水に対する分散安定性を実施例1の(C)に記載の方法と同様にして評価したところ、水中のマグネタイト粒子がビーカーの底部に沈殿しだすまでの時間は約10分であり、実施例1の(C)で得たマグネタイト粒子よりも水に対する分散安定性が劣ることがわかった。
比較例2:乾式還元による表面にSiO被膜を有さない強磁性酸化鉄粒子の製造
実施例1の(B)で得たヘマタイト粒子を水素ガス中において330℃で1時間加熱還元することにより、ヘマタイト粒子をマグネタイト粒子に変換した(マグネタイトであることはX線回折での構造解析により確認)。この方法によって得たマグネタイト粒子は粒径が約40nmの球状の形状を有するものであり、加熱処理によって粒子が焼結して板状の形状が変形してしまっていた。得られたマグネタイト粒子の保磁力は65Oe、飽和磁化は80.5emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比は0.20であり、実施例1の(C)で得たマグネタイト粒子の磁気特性よりも劣るものであった(DMS社製の試料振動型磁力計を用いて最大印加磁界13000Oeで測定)。E.Kitaらの方法(J.Phys.D.43(2010)474011)に従ってこのマグネタイト粒子の発熱特性を調べた結果、実施例1の(C)で得たマグネタイト粒子の発熱特性よりも劣るものであった。また、このマグネタイト粒子の水に対する分散安定性を実施例1の(C)に記載の方法と同様にして評価したところ、水中のマグネタイト粒子がビーカーの底部に沈殿しだすまでの時間は約10秒であり、水に対する分散安定性がほとんどないことがわかった。
まとめ:
多価アルコールの還元力は水素の還元力などと比較して弱いものであることが当業者に知られており、これまでその利用は還元が容易な金属イオンや金属アルコキシドを原料に用いる場合などに限られていたが、本発明において多価アルコールの還元力を利用してヘマタイト粒子をマグネタイト粒子に変換できるのは、粒子が小さい(長径が1μm未満)ことや、粒子が板状の形状を有する場合には粒子の表面積が大きいことで還元されやすいことなどが寄与しているものと推察される。
製剤例1:
実施例1で製造したマグネタイト粒子を水に0.05〜5wt%の濃度の範囲で分散させた静脈内投与用分散組成物を調製した。
本発明は、優れた発熱特性を有するとともに注射用媒体に対する分散安定性に優れる癌焼灼治療に適した強磁性酸化鉄粒子などの製造方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (9)

  1. 板状の形状を有する水酸化鉄粒子および/または板状の形状を有するヘマタイト粒子を多価アルコールに分散させて加熱処理することを特徴とする強磁性酸化鉄粒子の製造方法
  2. 水酸化鉄粒子がゲータイト粒子であることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  3. 多価アルコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
  4. 多価アルコールが含水多価アルコールであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法。
  5. 加熱温度が200〜350℃であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法。
  6. 長径が20〜200nm、厚みに対する長径の比が1.5〜30である板状の形状を有し、保磁力が30〜400Oe、飽和磁化が30〜100emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比が0.20〜0.50である磁気特性を有することを特徴とする癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子(但し粒子の表面にSiO被膜を有さず、アルミニウムが固溶されている粒子を除く)。
  7. 酸化鉄がマグネタイト、ガンマ酸化鉄、マグネタイトとガンマ酸化鉄の中間状態の酸化鉄のいずれかであることを特徴とする請求項記載の癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子。
  8. 粒子の表面が表面修飾剤で修飾されてなることを特徴とする請求項または記載の癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子。
  9. 長径が20〜200nm、厚みに対する長径の比が1.5〜30である板状の形状を有し、保磁力が30〜400Oe、飽和磁化が30〜100emu/g、磁気ヒステリシス曲線の角型比が0.20〜0.50である磁気特性を有する癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子(但し粒子の表面にSiO被膜を有さず、アルミニウムが固溶されている粒子を除く)を注射用媒体に分散させてなることを特徴とする癌焼灼治療用強磁性酸化鉄粒子分散組成物。
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