JP2008143882A - 温熱療法用の発熱体ナノ粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】腫瘍組織のみを急速に加熱して殺傷する温熱療法に使用した場合に効率よく発熱することができる発熱体ナノ粒子を提供する。
【解決手段】2種以上の遷移金属元素を含む合金により、200kA/m以上2000kA/m以下のドメイン磁化を有し、該合金が、鉄と白金の合金であって、鉄を25原子%以上75原子%以下を含有し、平均粒径が2nm以上25nm以下であって、表面を有機材料の保護層2で被覆した発熱体ナノ粒子1。
【選択図】図1

Description

本発明は、温熱療法用の発熱体ナノ粒子に関するものである。
癌などの難治性腫瘍の治療法の一つである温熱療法(ハイパーサーミア)は、古代ギリシャから行われてきた古い治療法で、癌細胞(腫瘍細胞)が正常細胞に比べて熱に弱いという性質を利用した治療法である。多くの腫瘍細胞は42.5℃以上で熱に対して感受性を示し、温度が高ければ高いほど腫瘍細胞は殺傷される。
従来検討されている加温方法の例としては、電極で体を挟んでラジオ波を印加する誘電加温法が挙げられる。しかし、この加温法では正常組織と癌組織が区別なく加温されてしまう。このため、癌を十分に殺傷する温度に加温する前に、正常組織が火傷してしまい、患者の苦痛が原因で加温を中止しなくてはならない。
前記の点を補い、腫瘍細胞のみを特異的に加熱できる方法として、磁性体微粒子を発熱体とした誘導加温法が研究されている。磁性体微粒子は高周波磁場中でエネルギー損失によって発熱する。これを利用し、磁性体微粒子を腫瘍組織に特異的に送達した後、外部から高周波磁場を印加することによって磁性体微粒子を発熱させ、腫瘍組織だけが死滅するまで加温すれば、正常細胞の損傷の少ない局所温熱療法が可能となる。
前記のような局所温熱療法に使用できる磁性体微粒子としては、酸化鉄微粒子が注目されている。例えば、非特許文献1には、酸化鉄の微粒子を用いて局所温熱療法により癌の治療を行なおうとする研究が記載されている。また、特許文献1にも局所温熱療法に関する技術が開示されている。
特開2004−290351号公報 Journal of Bioscience and Bioengineering、vol.96、No.4、P364−369、2003
しかしながら、酸化鉄微粒子などの従来の磁性体微粒子は、磁場中での発熱効率が十分ではない。
このため、従来の磁性体微粒子を用いて温熱療法を行なった場合には、腫瘍細胞を死滅させることができるだけの発熱が得られないことがあった。
また、従来の磁性体微粒子を用いて温熱療法を行なった場合には、発熱効率が不足していたために、所望温度に昇温させるまでに長時間を要していた。腫瘍細胞は急速に加熱しなければ熱に対する耐性を備える場合がある。したがって、腫瘍細胞の急速な加熱を可能とするためにも、発熱効率の良い磁性体粒子の開発が望まれていた。
本発明は上記の課題を解決するべく創案されたもので、温熱療法に使用した場合に効率よく発熱する発熱体ナノ粒子を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、2種以上の遷移金属元素を含む合金からなり所定範囲のドメイン磁化を有する微粒子を、温熱療法用の発熱体ナノ粒子として用いた場合に、発熱効率よく発熱させることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、2種以上の遷移金属元素を含む合金からなり、200kA/m以上2000kA/m以下のドメイン磁化を有することを特徴とする、温熱療法用の発熱体ナノ粒子に存する(請求項1)。
このとき、該遷移金属元素の1種以上が、後周期遷移金属元素であることが好ましい(請求項2)。
また、該発熱体ナノ粒子は、平均粒径が2nm以上25nm以下であることが好ましい(請求項3)。
さらに、該合金が、鉄と白金との合金であることが好ましい(請求項4)。
本発明の別の要旨は、鉄と白金との合金であって、平均粒径が2nm以上25nm以下であることを特徴とする温熱療法用の発熱体ナノ粒子に存する(請求項5)。
このとき、該合金が、鉄を25原子%以上75原子%以下含有することが好ましい(請求項6)。
また、該合金が、白金を25原子%以上75原子%以下含有することが好ましい(請求項7)。
さらに、該合金の結晶型が正方晶であることが好ましい(請求項8)。
また、該合金の結晶型が立方晶であり、かつ、平均粒径が4nm以上25nm以下であっても好ましい(請求項9)。
さらに、該発熱体ナノ粒子は、粒径分布の標準偏差が30%以下であることが好ましい(請求項10)。
また、該発熱体ナノ粒子は、表面が保護層により被覆されていることが好ましい(請求項11)。
本発明によれば、温熱療法に使用した場合に効率の良い発熱を実現することができる発熱体ナノ粒子を提供することが可能である。
以下、本発明について実施の形態を示して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
[I.発熱体ナノ粒子]
本発明の温熱療法用の発熱体ナノ粒子(以下、適宜「本発明の発熱体ナノ粒子」という)は、2種以上の遷移金属元素を含む合金(以下、適宜「遷移金属合金」という)からなり、所定範囲の強度のドメイン磁化を有するものである。また、本発明の発熱体ナノ粒子は、通常、その表面に保護層を形成されている。
[I−1.発熱体ナノ粒子の磁気特性]
本発明の発熱体ナノ粒子は、通常200kA/m以上、好ましくは400kA/m以上、より好ましくは600kA/m以上、また、通常2000kA/m以下、好ましくは1900kA/m以下、より好ましくは1700kA/m以下のドメイン磁化を有する。この範囲のドメイン磁化を有していることにより、本発明の発熱体ナノ粒子は、交流の磁場に置かれた場合に効率よく発熱することが可能となる。
ドメイン磁化とは、発熱体ナノ粒子の磁区(ドメイン)それぞれが有する磁化を意味する。本発明の発熱体ナノ粒子は、上記のように大きなドメイン磁場を有しているため、交流の磁場をかけた場合に効率よく発熱するのである。これは、Journal of Magnetism and Magnetic Materials、vol.252、P370−374、2002に記載されているように理論的には下記式で説明することができる。
発熱量Pは理論的に下記(I)式で表される。
したがって、ドメイン磁化Mdが大きいほどエネルギー損失が大きくなり、つまり、発熱量Pが大きくなる。ここで、μ0は真空透磁率、χ0は平行磁化率、H0は磁場振幅、fは磁場周波数、τは緩和時間をそれぞれ表わす。
ドメイン磁化の値は物質固有の値であり、例えば以下の文献に記載がある。なお、「fcc」とはその結晶型が立方晶であることを表わし、「L10」とはその結晶型が正方晶であることを表わす。
Fe34 :J.Magn.Maggn.Mater.,277,181(2004)
Fe23 :J.Magn.Maggn.Mater.,277,181(2004)
FeCo :Nature Mater.,4,750(2005)
fcc FePt :J.Appl.Phys.,95,6810(2004)
L10 FePt :J.Appl.Phys.,95,6810(2004)
また、本発明の発熱体ナノ粒子は、高い磁気異方性エネルギーを有することが好ましい。具体的には、本発明の発熱体ナノ粒子は、磁気異方性エネルギーが、通常10kJ/m3以上、好ましくは50kJ/m3以上、より好ましくは100kJ/m3以上、また、通常20,000kJ/m3以下、好ましくは15,000kJ/m3以下、より好ましくは10,000kJ/m3以下である。磁気異方性エネルギーが高いため、本発明の発熱体ナノ粒子は、発熱効率が最大となる最適粒径が25nm以下であるという利点を得ることができる。
なお、本発明の発熱体ナノ粒子の磁気異方性エネルギーは、振動試料型磁力計(VSM)や超伝導磁束量子干渉計(SQUID)により測定することができる。
表1に、従来の磁性体微粒子と本発明の発熱体ナノ粒子の例について、それぞれ磁気特性を示す。
[I−2.発熱体ナノ粒子の組成]
本発明の発熱体ナノ粒子は、2種以上の遷移金属元素を含む遷移金属合金からなるものである。また、本発明の発熱体ナノ粒子は、前記の遷移金属合金以外の材料を含んで構成されていても良い。
[I−2−1.遷移金属合金]
遷移金属合金は、2種以上の遷移金属元素を含む合金である。2種以上の遷移金属を組み合わせることによって、通常10kJ/m3以上、好ましくは50kJ/m3以上、より好ましくは100kJ/m3以上という大きな磁気異方性エネルギーを得ることができる。本発明の効果を著しく損なわない限り、その組み合わせに制限は無い。
ただし、遷移金属合金に含まれる構成元素のうち、少なくとも1種、好ましくは2種以上が、後周期遷移金属元素であることが好ましい。なお、ここで後周期遷移金属元素とは長周期表の第6族〜第11族の遷移金属元素をいう。また、これに対して長周期表の第3族〜第5族の遷移金属元素は前周期遷移金属元素という。遷移金属合金は前周期遷移金属元素と後周期遷移金属元素とを組み合わせて含んでいても良いが、全ての遷移金属元素が後周期遷移金属元素であることが、より好ましい。
また、遷移金属合金は、遷移金属元素として、鉄(Fe)を含有していることが好ましい。鉄を含む合金は特に磁気特性が良く、かつ鉄は入手容易であり、毒性も低いため環境に優しいからである。
遷移金属合金が鉄を含有している場合、遷移金属合金中に占める鉄の割合に制限は無いが、通常25原子%以上、好ましくは30原子%以上、より好ましくは40原子%以上、また、通常75原子%以下、好ましくは70原子%以下、より好ましくは60原子%以下である。鉄の量が多すぎても少なすぎてもFe3PtやFePt3などの合金となり、磁気異方性エネルギーが減少するという不都合が生じる可能性があるからである。なお、前記の鉄の割合は、ICP発光分析やエネルギー分散型蛍光X線分析などの元素分析によって測定できる。
さらに、遷移金属合金は、遷移金属元素として、白金(Pt)を含有していることが好ましい。白金を含む合金は特に磁気特性が良く、かつ白金は入手容易であり、毒性も低いため環境に優しいからである。
遷移金属合金が白金を含有している場合、遷移金属合金中に占める白金の割合に制限は無いが、通常25原子%以上、好ましくは30原子%以上、より好ましくは40原子%以上、また、通常75原子%以下、好ましくは70原子%以下、より好ましくは60原子%以下である。白金の量が多すぎても少なすぎてもFe3PtやFePt3などの合金となり、磁気異方性エネルギーが減少するという不都合が生じる可能性があるからである。なお、前記の白金の割合は、ICP発光分析やエネルギー分散型蛍光X線分析などの元素分析によって測定できる。
遷移金属合金の例を挙げると、鉄白金合金(以下、適宜「FePt」という)、鉄コバルト合金、コバルト白金合金などが挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
遷移金属合金の中でも、特に、FePtが好ましい。FePtが好適な理由は、以下の通りである。
即ち、FePtは、高い磁気異方性エネルギーと大きなドメイン磁化とを有する。このため、遷移金属合金としてFePtを使用することにより高い発熱効率を得ることができる。
また、FePtからなるナノ粒子は、粒径が50nm以下では単磁区であるという優れた磁気特性を有する。本発明の発熱体ナノ粒子が単磁区であれば磁気異方性エネルギーが大きくなるという利点を得ることができるため、この点からも、遷移金属合金としてFePtを用いることが好ましい。
さらに、FePtは、超常磁性限界サイズが小さい。このため、遷移金属合金としてFePtを使用すれば、本発明の発熱体ナノ粒子の粒径を従来よりも小さくすることができる。
また、遷移金属合金の結晶性は任意である。ただし、通常は、遷移金属合金の結晶型は、立方晶又は正方晶であることが好ましい。
また、鉄と白金からなる合金の場合、立方晶と正方晶とを比較した場合、発熱効率という観点から正方晶が好ましい。
なお、遷移金属合金の結晶型は、単一の型でなくても構わない。結晶構造はX線回折測定により確認できる。
[I−2−2.遷移金属合金以外の材料]
本発明の発熱体ナノ粒子は、本発明の効果を著しく損なわない限り、遷移金属合金以外の材料を含んでいても構わない。そのような材料としては、例えばAg、Au、CuあるいはBiなどの金属が挙げられる。
なお、遷移金属合金以外の材料は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。ただし、通常は、製造工程が煩雑になるため、遷移金属合金以外の材料は使用しない。
[I−3.発熱体ナノ粒子の粒径]
本発明の発熱体ナノ粒子の粒径は、患部に投与できる程度の大きさであれば特に制限は無い。ただし、本発明の発熱体ナノ粒子を腫瘍細胞へ良好に集積させるためには粒径は小さいほうが好ましい。さらに、自発磁化によるコロイドの分散不安定性を回避でき、ドメイン磁化が大きくなるという利点があるので、本発明の発熱体ナノ粒子の粒径は超常磁性限界近傍の大きさであることが好ましい。
以上の観点から、本発明の発熱体ナノ粒子の平均粒径(数平均粒径)は、通常25nm以下、好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下である。
また、本発明の発熱体ナノ粒子の平均粒径の下限は、使用時に腫瘍細胞を十分に加熱することができる限り、任意である。平均粒径の具体的な下限は、発熱体ナノ粒子の発熱効率に応じて定まるが、通常は2nm以上である。
例えば、結晶型との関係でいえば、遷移金属合金の結晶型が立方晶であれば、発熱体ナノ粒子の平均粒径の下限は4nm以上である。一方、遷移金属合金の結晶型が正方晶であれば、正方晶は立方晶よりも発熱効率が高いため、発熱体ナノ粒子の平均粒径の下限は2nm以上となる。特に、遷移金属合金としてFePtを使用した場合に、平均粒径が上記の範囲となることが特に好ましい。
なお、本発明の発熱体ナノ粒子の前記の平均粒径は、透過型電子顕微鏡観察により測定することができる。具体的には、通常300個以上、好ましくは500個以上の粒子の粒径を測定することにより、該発熱体ナノ粒子の平均粒径を求めればよい。
また、本発明の発熱体ナノ粒子は、その粒径分布の標準偏差が、通常50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下である。標準偏差が記載した範囲内にあれば、発熱量の制御が容易となる。この際、発熱体ナノ粒子の粒径分布は、透過型電子顕微鏡観察により算出することができる。具体的には、通常300個以上、好ましくは500個以上の粒子の粒径を測定することにより、該発熱体ナノ粒子の粒径分布を算出すればよい。
[I−4.発熱体ナノ粒子の保護層]
図1(a),(b)に模式的に示すように、本発明の発熱体ナノ粒子1は、通常、表面を保護層2により被覆されている。保護層2は、発熱体ナノ粒子1の表面に有機化合物が結合したものである。なお、図1は本発明の発熱体ナノ粒子の構造の一例を模式的に示す図であり、図1(a)は保護層2を形成する有機化合物が低分子である場合を示し、図1(b)は保護層2を形成する有機化合物が高分子である場合を示している。
保護層は、発熱体ナノ粒子の媒体(後述する)に対する分散性を高めたり、分子認識性を向上させたりするために設けられるものである。保護層を形成する有機化合物の具体的な種類は、生体内への投与に適さない化合物以外であれば特に制限は無く、発熱体ナノ粒子の用途、使用条件、加熱対象である腫瘍細胞の種類などに応じて適切なものを選択すればよい。
ただし、保護層を形成する有機化合物としては、標的となる腫瘍細胞に対して選択的に結合しうるものを使用することが好ましい。腫瘍細胞を的確に加熱するには、発熱体ナノ粒子は標的となる腫瘍細胞近傍に存在することが望まれる。これを実現するため、通常は、特定の腫瘍細胞に対して選択的に結合しうる有機化合物を保護層に含有させることにより、発熱体ナノ粒子を標的とする腫瘍細胞の近傍に集積するようになっているのである。
そのような有機化合物の例を挙げれば、生体適合物質や生体物質などが挙げられる。具体例を挙げると、タンパク質;抗体;ペプチド;DNA等の核酸;糖鎖、糖脂質などが挙げられる。より具体的な例を挙げれば、腫瘍細胞として血液腫瘍細胞を死滅させようとする場合、この血液腫瘍細胞が多発性骨髄腫細胞であれば、通常は細胞表面にCD38抗原、CD54抗原、CD138抗原、HM1.24抗原などを発現していることから、保護層にこれらの抗原に対する抗体を含有させるようにすることが好ましい。
なお、保護層を形成する有機化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
保護層の厚みは、保護層の種類や発熱体ナノ粒子の用途に応じて任意であるが、通常0.1nm以上、好ましくは1nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。保護層が薄くなると発熱体ナノ粒子同士が凝集し集積性が落ちる可能性がある。逆に、保護層が厚すぎると集積数が稼げず発熱しない可能性がある。なお、保護層の厚みは、透過型電子顕微鏡観察により算出することができる。
[I−5.発熱体ナノ粒子の特性]
本発明の発熱体ナノ粒子の具体的な発熱効率は任意であるが、発熱体ナノ粒子を、磁場振幅強度50mT、周波数300Hzの環境下においた場合に、発熱効率が50〜500K/秒の範囲であることが好ましい。
また、本発明の発熱体ナノ粒子は、水分散性が良いという特性も有する。
[II.発熱体ナノ粒子の製造方法]
本発明の発熱体ナノ粒子の製造方法に制限は無い。例えば、公知の貧溶媒析出法、熱分解法、逆ミセル法、ポリオール法などを使用して製造することができる。
以下、FePtからなる発熱体ナノ粒子の製造方法の一例を説明する。
FePtからなる発熱体ナノ粒子を製造する場合、原料として、遷移金属元素源は例えば鉄(III)エトキシド、白金(II)アセチルアセトネイトなどを用いることができる。
また、保護層の原料としては、例えばオレイン酸、オレイルアミン、ジオクチルエーテルなどの生体適合物質を用いることができる。
これら原料をフラスコ中で297℃まで加熱するといったような公知の方法を用いてFePtナノ粒子を得ることができる。その後、生体適合物質で前記粒子の表面置換を行なうことで発熱体ナノ粒子を得ることができる。得られる粒子は立方晶であるが、例えば液中レーザーアニールを施す事で正方晶にすることができる。
前記例示の製造方法に関する具体的な製造条件は、下記文献に開示されている。
1)Saita and Maenosono Chem.Mater.2005,17,6624.
2)Gu,H.;Ho,P−L.;Tsang,K.W.T.;Wang,L.;Xu,B.J.Am.Chem.Soc.2003,125,15702.
3)Saita and Maenosono J.Phys.:Cond.Mater.2004,16,6385.
また、発熱体ナノ粒子に保護層を形成する場合、保護層形成方法にも制限は無く、各種公知の方法が利用できる。
[III.発熱体ナノ粒子の使用方法]
本発明の発熱体ナノ粒子を使用する場合、温熱療法に使用されている任意の方法にしたがって使用すればよい。通常は、発熱体ナノ粒子は、注射等の方法によって生体内に注入され、発熱体ナノ粒子と生体との物理化学的相互作用(EPR効果など)、生物学的特異的相互作用(抗原抗体反応やリガンド−レセプター相互作用など)、及び/又は、外部刺激応答(光、磁場、超音波など)を利用して体内の標的部位(腫瘍細胞近傍、腫瘍組織)に選択的に集積される。発熱体ナノ粒子を腫瘍組織に特異的に送達した後、外部から高周波磁場を印加することによって磁性体微粒子を発熱させ、腫瘍組織だけが死滅するまで加温することによって正常細胞の損傷の少ない局所温熱療法が可能となる。
以下、発熱体ナノ粒子の使用方法の一例を具体的に説明する。
まず、標的とする腫瘍細胞に応じた発熱体ナノ粒子を用意する。この際、生物学的特異的相互作用を使用して発熱体ナノ粒子を腫瘍組織に集積するためには、当該腫瘍細胞に対して特異的に結合可能な有機化合物を含む保護層を発熱体ナノ粒子に形成しておく。
本発明の発熱体ナノ粒子は、通常、何らかの媒体に分散させた状態で患部に投与する。したがって、投与前に、発熱体ナノ粒子を媒体(分散媒)に分散させた発熱体ナノ粒子分散液を用意する。
媒体としては、発熱体ナノ粒子を患部に投与した場合に、患者を著しく害するものでなければ任意のものを使用することができる。このとき、発熱体ナノ粒子に形成された保護層の種類に応じ、当該保護層との親和性が高く発熱体ナノ粒子を良好に分散させられる液体を媒体として使用することが好ましい。
媒体として使用されるものの例を挙げると、水;生理食塩水等の水溶液;血液などが挙げられる。なお、媒体は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
発熱体ナノ粒子の分散濃度としては、表面保護層の種類や分散媒との組み合わせによっても異なるが、あまり小さすぎると発熱効率が低すぎて目的に合わない場合が生じる可能性があるため、通常1mg/ml以上、好ましくは10mg/ml以上、より好ましくは30mg/ml以上である。一方、あまり濃度が高すぎると分散液の扱いにくくなる場合もあるため、通常500mg/ml以下、好ましくは300mg/ml以下、より好ましくは200mg/ml以下である。
また、体積分率は、上記分散濃度(g/mlに換算)を密度(15200kg/m3=15.2g/cm3)で割ることにより求めることが出来る。
発熱体ナノ粒子分散液を用意した後、注射などにより発熱体ナノ粒子分散液を生体に投与する。投与された発熱体ナノ粒子分散液中の発熱体ナノ粒子は、血管等を通じて輸送され、周辺に分散していく。
この際、EPR効果により発熱体ナノ粒子の腫瘍組織への集積を行なう場合は、以下のようにして集積が行なわれる。即ち、腫瘍組織は、正常な細胞よりも急激に増殖するために、通常は血管の新生が起こっている。このため、腫瘍組織では血管壁組織の構築性が悪く、比較的大きい隙間が開いていることがある。これを利用し、発熱体ナノ粒子の粒径を、正常な血管壁からは浸透することは無いが、腫瘍組織部特有の隙間を有する血管壁からは浸透できる大きさに形成すれば、発熱体ナノ粒子を標的とする腫瘍組織に選択的に集積することができる。また、腫瘍組織では排泄機能を持つリンパ管が未発達なため、通常であればここから排泄されるもの(発熱体ナノ粒子)が結果として長時間残存する。
また、抗原抗体反応やリガンド−レセプタ相互作用などにより発熱体ナノ粒子の腫瘍組織への集積を行なう場合、以下のようにして集積が行なわれる。即ち、発熱体ナノ粒子の保護膜を形成する有機化合物(生体物質や生体適合物質等)として所定の腫瘍細胞に特異的に相互作用するものを用いれば、発熱体ナノ粒子は分散する過程で標的とする腫瘍細胞に選択的に相互作用する。これにより、発熱体ナノ粒子が腫瘍細胞に集積される。
また、外部刺激応答により発熱体ナノ粒子の腫瘍組織への集積を行なう場合、以下のようにして集積が行なわれる。例えば、血管を通して輸送し集積する方法、患部の位置によっては直接ふりかける方法、また内臓の外壁に直接注射する方法などを挙げることができる。
上記のように腫瘍組織へ発熱体ナノ粒子が集積されることにより、多量の発熱体ナノ粒子が腫瘍細胞近傍に存在する状態が用意される。この状態で、当該発熱体ナノ粒子に交流の磁場を与え、腫瘍細胞を加熱する。加熱により腫瘍細胞は昇温し、所定のネクローシス温度(壊死温度;通常は、42.5℃)以上になった時点で死滅することになる。
磁場の強さは、腫瘍細胞を死滅させることができれば制限は無い。望ましい範囲を示すと、磁場振幅強度の大きさとして、通常1mT以上、好ましくは5mT以上、さらに好ましくは10mT以上、また、通常1000mT以下、好ましくは200mT以下、さらに好ましくは100mT以下である。磁場が小さすぎると発熱効果は得られない可能性がある。磁場が大きすぎると高周波磁場が正常な身体に悪影響を及ぼす可能性があり、また装置を大型化せざるを得ない等の不都合が生じることがある。
また、加熱時には交流の磁場を用いるが、この磁場の周波数は腫瘍細胞を死滅させることができれば制限は無い。ただし、磁場の周波数は、通常1kHz以上、好ましくは10kHz以上、更に好ましくは100kHz以上、また、通常1000kHz以下、好ましくは900kHz以下、さらに好ましくは800kHz以下である。周波数が小さすぎると発熱効果は得られない可能性がある。周波数が大きすぎると高周波磁場が正常な身体に悪影響を及ぼす可能性があり、また装置を大型化せざるを得ない等の不都合が生じることがある。
加熱を行なう程度は、腫瘍細胞を死滅させることができれば制限は無い。ただし、腫瘍細胞は、通常40℃以上、好ましくは41℃以上、さらに好ましくは42℃以上に加熱するのが好ましい。ただし、あまりに高温であると腫瘍細胞の周囲の正常細胞までをも死滅させる可能性がある。
また、加熱は、急速に行なうことが好ましい。加熱速度が遅い場合、腫瘍細胞が熱に対する耐性を身につけ、腫瘍細胞を適切に死滅させることができなくなる可能性がある。具体的には、昇温速度は通常0.1℃/分以上、好ましくは0.5℃/分以上、より好ましくは1.0℃/分以上である。なお、上限に制限は無いが、通常20℃/分以下、好ましくは15℃/分以下、より好ましくは10℃/分以下である。
なお、腫瘍細胞の温度は、例えば温度センサーを患部に装着することにより測定できる。
磁場を与えるための装置としては、例えば、高周波磁場発生装置やMRI(磁気共鳴画像装置)などが挙げられる。
[IV.発熱体ナノ粒子の利点]
以上のように、本発明では、優れた磁気特性を有する遷移金属合金を発熱体ナノ粒子として使用するため、発熱効率を高めることが可能となる。そして、従来の磁性材料における大粒径に起因した腫瘍細胞への集積性能の低さを克服しながらも、なお従来材料よりも高い加熱性能を有する極微小発熱体を提供できる。その結果として、磁気ハイパーサーミアにおける治療効果の大幅な向上と発熱体の投与量低減が期待できる。
また、本発明の発熱体ナノ粒子によれば、十分な発熱効率を有するため、分子認識性と加熱性能との両立が可能であり、前記のようなジレンマを解決することが可能である。これにより、高い分子認識性と高い発熱効率を同時に実現し、治療効果の大幅な向上と投与量低減が期待できるのである。
また、特にFePtにより発熱体ナノ粒子を形成すれば、1)水分散性が良い、2)超常磁性限界近傍の粒径である、3)腫瘍組織に特異的に集積可能である、4)発熱効率が高い、5)毒性が低い、という、温熱療法用の発熱体に望まれる条件を全て満たすことが可能である。
[V.その他]
上述したように、本発明の発熱体ナノ粒子は、通常、何らかの媒体に分散させた発熱体ナノ粒子分散液として使用される。また、取引をする場合においても、発熱体ナノ粒子は、発熱体ナノ粒子分散液の状態で、アンプル等として取引される。
したがって、本発明においては、媒体に、本発明の発熱体ナノ粒子を分散させてなる発熱体ナノ粒子分散液も、権利範囲に含まれるものである。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、任意に変更して実施することができる。
[実施例1]
水に10体積%の濃度で立方晶(fcc)のFePtナノ粒子を分散させた磁性流体に、磁場振幅強度50mT、周波数300kHzの交流磁場を印加した場合の発熱効率を図2に示す。なお、図2において、横軸はFePtナノ粒子の平均粒径(ナノメートル)を表わし、縦軸は単位時間当たりの水温の上昇温度(ケルビン/秒)を表わす。
なお、上述のFePtナノ粒子は、「Saita and Maenosono Chem.Mater.2005,17,6624.」の記載に従って、Fe:Pt=1:1(原子数比)で合成した。
[実施例2]
水に10体積%の濃度で正方晶(L10)のFePtナノ粒子を分散させた磁性流体に、磁場振幅強度50mT、周波数300kHzの交流磁場を印加した場合の発熱効率を図2に示す。
なお、上述のFePtナノ粒子は、「Saita and Maenosono Chem.Mater.2005,17,6624.」の記載に従って、Fe:Pt=1:1(原子数比)で合成した。
[比較例1]
水に10体積%の濃度で酸化鉄(Fe34)ナノ粒子を分散させた磁性流体に、磁場振幅強度50mT、周波数300kHzの交流磁場を印加した場合の発熱効率を図3に示す。なお、上述のFe34ナノ粒子は、「J.Am.Chem.Soc.,126,273(2004)」の記載に従って合成した。
また、Fe23についても同様にして測定した結果を図3に示す。なお、上述のFe23ナノ粒子は、「J.Am.Chem.Soc.,123,12798(2001)」の記載に従って合成した。
図3において、横軸は各酸化鉄ナノ粒子の平均粒径(ナノメートル)を表わし、縦軸は単位時間当たりの水温の上昇温度(ケルビン/秒)を表わす。
[実施例3]
2×10-5の体積分率で粒径9nmのfcc構造FePtナノ粒子に、磁場振幅強度50mT、周波数300kHzの交流磁場を外部から印加した場合の温度の時間変化を図4に示す。図4において、横軸は交流磁場印加後の経過時間(秒)を表わし、縦軸は腫瘍組織の予想到達温度を表わす。
なお、上述のFePtナノ粒子は、「Saita and Maenosono Chem.Mater.2005,17,6624.」の記載に従って合成した。
[比較例2]
2×10-5の体積分率で粒径19nmのFe34ナノ粒子に磁場振幅強度50mT、周波数300kHzの交流磁場を外部から印加した場合の温度の時間変化を図4に示す。図4において、横軸は交流磁場印加後の経過時間(秒)を表わし、縦軸は腫瘍組織の予想到達温度を表わす。
なお、上述のFe34ナノ粒子は、「J.Am.Chem.Soc.,126,273(2004)」の記載に従って合成した。
[実施例4]
FePtナノ粒子を「Saita and Maenosono Chem. Mater. 2005, 17, 6624.」の記載に従って合成した。合成の際の仕込み条件は鉄(III)エトキシド((株)アヅマックス社製)を1.0mmol、白金(II)アセチルアセトネイト(Strem社製)を0.5mmol、オレイン酸(Aldlich社製)を2.5mmol、オレイルアミン(Aldlich社製)を7.5mmolとした。反応条件は、アルゴン雰囲気下、297℃で30分とした。
反応後、50℃まで冷却してエタノール50mLを加えると液が濁りナノ粒子が沈殿したので、遠心分離(3000rpm、2分間)で上澄み液を分離した。エタノールを加えて上澄み液を遠心分離する操作をもう一度繰り返した後、10分間窒素を吹き付けて乾燥させたところ、遠沈管下部に320mgの固形状のサンプルを得た。
このサンプルのX線回折測定の結果、立方晶(fcc)構造のFePtナノ粒子であることが判明した。
また、このサンプルを透過型電子顕微鏡により観察して300個のFePtナノ粒子の粒径を測定し、平均粒径が6.8nmであることが判った。また、FePtナノ粒径の標準偏差は45%であった。
当該FePtナノ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した図面代用写真を図5に示す。ここで、色の濃い部分の周囲が白いもので覆われており、かつ、色の濃い部分が固まることなく点在していることがわかる。すなわち、FePtナノ粒子の表面は保護層のオレイン酸で覆われており、かつ該FePtナノ粒子は凝集する事なく距離をおいて存在している様子がわかる。また、上記TEM観察の結果による保護層の厚みとしては、1.8nmであった。
上記FePtナノ粒子の固形状サンプルに、オレイン酸5重量%を含むヘキサン20mLを加え振り混ぜると均一な黒色液体(分散液)になった。
上記黒色液体(分散液)に窒素ガスを当て1mLまで濃縮した後に、この濃縮液と相溶性のないエチレングリコール19mLを前記濃縮液とよく混合することで、黒色のエマルジョンを得た。なお、濃縮液と相溶性のないエチレングリコールを用いたのは後続の高周波磁場実験をしやすくするために液量を確保するためである。以下、このエマルジョンを磁性流体と呼ぶ。
FePtナノ粒子の体積分率が7.5×10-4である該磁性流体に磁場振幅強度13mT、周波数100Hzの交流磁場を印加した。この場合の温度変化を図6に示す。なお、磁場の印加はMOSFET式高周波電源装置(第一高周波工業株式会社製、HI−HEATER5005)を用い、温度変化の測定は光ファイバー温度計測システム(株式会社レーザー計測製、FTI−10)を用いた。また、図6において、「ON」で示した時点において交流磁場の印加を開始し、「OFF」で示した時点で交流磁場の印加を停止した。
[実施例5〜7]
鉄(III)エトキシドをアルファ社製のものに変えた以外は実施例4と同様にして、FePtナノ粒子の固形状のサンプルを得た。このとき、平均粒径は4.5nmであり、標準偏差は11.4%であった。
このFePtナノ粒子の固形状サンプルにテトラデカンを加え、粒子濃度が50mg/ml(体積分率:3.3×10-3)、80mg/ml(体積分率:5.3×10-3)及び100mg/ml(体積分率:6.6×10-3)のそれぞれの粒子濃度の分散液を、実施例5〜7の試料としてそれぞれ作製した。これらの分散液に交流磁場を600秒間印加し、温度変化を確認した。なお、交流磁場の印加は、図7中の「ON」で示した時点において開始した。結果を図7に示す。
[まとめ]
実施例1及び実施例2と比較例1とを比較すると、本発明の発熱体ナノ粒子であるFePtナノ粒子を用いれば、発熱効率が良好であるために、従来技術である酸化鉄ナノ粒子よりも小さい粒径において良好な発熱をさせることができることがわかる。
また、実施例3と比較例2とを比較すると、本発明の発熱体ナノ粒子であるFePtナノ粒子を用いれば、従来技術である酸化鉄ナノ粒子よりも、より速やかに、より高温にまで昇温できることがわかる。
これにより、本発明の発熱体ナノ粒子は、腫瘍細胞を適切に加熱し、死滅させることが期待できる。
また、実施例4〜7の結果から、発熱効率は表面保護層を形成する化合物と分散媒の組み合わせや粒子濃度によっても異なることがわかる。
本発明は、磁性体微ナノ粒子を使用した温熱療法の分野に使用することができる。詳しくは、癌などの難治性腫瘍の治療法の一つである磁気温熱療法(磁気ハイパーサーミア)において、腫瘍を選択的に加熱することができる生体注入用発熱体に関して用いて好適である。
本発明の発熱体ナノ粒子の構造の一例を模式的に示す図であり、(a)は保護層2を形成する有機化合物が低分子である場合を示し、(b)は保護層2を形成する有機化合物が高分子である場合を示している。 本発明の実施例1及び実施例2の結果を表わすもので、FePtナノ粒子の平均粒径と単位時間当たりの水温の上昇温度との関係を表わすグラフである。 比較例1の結果を表わすもので、酸化鉄ナノ粒子の平均粒径と単位時間当たりの水温の上昇温度との関係を表わすグラフである。 本発明の実施例3及び比較例2の結果を表わすもので、交流磁場印加後の経過時間と腫瘍組織の温度との関係を表わすグラフである。 本発明の実施例4において発熱体ナノ粒子であるFePtナノ粒子を透過型電子顕微鏡で観察した図面代用写真である。 本発明の実施例4の結果を表わすもので、FePtナノ粒子に交流磁場を印加した場合の温度変化を表すグラフである。 本発明の実施例5〜7の結果を表すもので、FePtナノ粒子に交流磁場を印加した場合の温度変化を表すグラフである。
符号の説明
1 発熱体ナノ粒子
2 保護層

Claims (11)

  1. 2種以上の遷移金属元素を含む合金からなり、
    200kA/m以上2000kA/m以下のドメイン磁化を有する
    ことを特徴とする、温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  2. 該遷移金属元素の1種以上が、後周期遷移金属元素である
    ことを特徴とする、請求項1記載の温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  3. 平均粒径が2nm以上25nm以下である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  4. 該合金が、鉄と白金との合金である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  5. 鉄と白金との合金であって、平均粒径が2nm以上25nm以下である
    ことを特徴とする温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  6. 該合金が、鉄を25原子%以上75原子%以下含有する
    ことを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  7. 該合金が、白金を25原子%以上75原子%以下含有する
    ことを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  8. 該合金の結晶型が正方晶である
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  9. 該合金の結晶型が立方晶であり、かつ、平均粒径が4nm以上25nm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  10. 粒径分布の標準偏差が30%以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
  11. 表面が保護層により被覆されている
    ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の温熱療法用の発熱体ナノ粒子。
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