JP6094316B2 - 電動工具 - Google Patents

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Description

この発明は、複数のアクチュエータを備えた電動工具(例えば複数のモータを備えたドリル工具)に関する。
一般に、ドリル工具としては、ハンマードリルや振動ドリル、ダイヤモンドドリルが知られている。
このうち、ダイヤモンドドリルは、略円筒状或いは略円柱状のビットの先端に、メタルボンドと呼ばれる焼結金属の中にダイヤモンド粒が埋め込まれたダイヤチップが取付けられたダイヤビットが用いられており、このダイヤビットに押し付け力と回転を加えることにより、ビット先端のダイヤチップのダイヤモンドをコンクリートに食い込ませ、コンクリートを研削して穿孔する。
ダイヤモンドドリルは穿孔時の発生音が小さく、また、ハンマードリルや振動ドリルのように打撃力や衝撃力を伝播させることがないため、穿孔作業箇所から離れた所に位置する部屋では穿孔作業時でもかなり静かであって、同一建物内や近隣の家屋に居住しながらの施工が可能である。
こうしたダイヤモンドドリルの穿孔速度を向上させるためには、ダイヤモンドがコンクリートを削る量を増やす必要がある。このための手段としては、ダイヤビットの回転数を増して単位時間に削る量を増やすことや、ダイヤビット、即ち工具本体をコンクリートへ押し付ける力を増大させてダイヤモンドのコンクリートへの食い込み量を増大させることで削る量を増やすことが考えられる。しかしながら、このダイヤビットの回転数と押し付け力とをバランスさせることが重要であり、押し付け力が不足している状態でダイヤビットの回転数を増大させても、ダイヤビットのビット先端が充分にコンクリートに食い込むことができない状態のままダイヤビットが回転してしまい、ダイヤビットが早期に磨耗して穿孔が困難となってしまう。また、一般的に、作業者が穿孔作業中に持続発揮できるダイヤビット(工具)の押し付け力は10〜15kgf程度といわれており、作業者が自身の体力だけに基づいてダイヤビット(工具)の押し付け力を増大させることには限度がある。この結果、ダイヤモンドドリルの穿孔速度を向上させようとしても限界がある。加えて、作業者が発揮できる押し付け力に限度がある状況下において、より大径の穿孔を行なおうとすると、穿孔径が大きくなるにつれてダイヤモンド一粒あたりの押し付け力が減少することになり、この点からも穿孔速度を向上させることが困難である。
このような問題点を解決するには、例えば、加振力を付与する加振装置をドリル工具装置本体に設けることが有効である。例えば特許文献1には、ダイヤビット駆動用モータとは別のモータの出力軸の軸線を挟んで対称位置に対向するとともに前記別のモータの出力軸の軸線に直交する軸線のまわりに回転可能に配置された偏心ウエイトを有する加振装置部を備え、前記モータで偏心ウエイトを互いに逆方向に回転駆動することにより、ビット駆動軸においてもその軸線方向に作用して大きさが脈動する加振力と、ビット駆動軸の回転方向に作用して大きさが脈動する加振モーメントとをビット駆動軸に発生させるようにした発明が開示されている。この発明によれば、ドリル工具の押付力を作業者の押付力と加振力との総和とすることができ、加振力によって作業者の押付力を補うことができる。また、ビット駆動軸の回転方向に大きさが脈動する加振モーメントを作用させることにより、ビット駆動軸の回転トルクを駆動源の出力と加振モーメントとを足し合わせたものとすることができ、駆動源の出力だけによる回転トルクよりも増加させた状態を得ることができる。したがって、小さな押付力での穿孔が可能となり、穿孔速度の向上を図ることができる。
特許第4742613号公報
ところで、こうした電動工具にはモータロックや高温状態などのエラーの発生を検知する手段が組み込まれており、こうしたエラーをLEDやブザーなどでユーザに通知するものも存在する。しかしながら、LEDやブザーなどを取り付けると、製造コストが上昇し、機械の大型化にもつながるという問題がある。
そこでLEDやブザーなどを設けず、エラーが発生したらエラーの種類を問わずにモータを停止させる制御を行う機械も存在する。しかしながら、このような機械ではエラーの種類が分からないので対処法が分かりにくいという問題があった。
そこで、本発明は、LEDやブザーなどのアナウンス手段を設けなくてもエラー状態を判別することができる電動工具を提供することを課題とする。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載の電動工具は、主たる動作を実現するための第1のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータとともに作動することで効果を発揮する第2のアクチュエータと、を備え、前記第1のアクチュエータまたは前記第2のアクチュエータの少なくともいずれかを、通常の動作とは異なる態様の動作状態にすることでエラーの発生を通知可能としたものであって、エラーが発生したときに、前記第1のアクチュエータを作動させずに前記第2のアクチュエータを作動させることを特徴とする。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、エラーの種類に応じて前記第2のアクチュエータの作動状態を変化させることを特徴とする。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記第2のアクチュエータが連続作動状態なのか間欠作動状態なのかによってエラーを判別可能としたことを特徴とする。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記電動工具は、ビットを回転駆動させる前記第1のアクチュエータと、前記ビットを加振する前記第2のアクチュエータと、を備えたドリル工具であって、前記第2のアクチュエータの作動によって、前記ビットの駆動軸線方向に加振力を発生させることを特徴とする。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記電動工具は、前記第1のアクチュエータとしてのビット駆動軸用モータと、前記第2のアクチュエータとしての加振装置用モータと、を備えたドリル工具であって、前記加振装置用モータを回転駆動することにより、前記ビット駆動軸用モータによって回転駆動されるビット駆動軸の軸線方向に作用して大きさが脈動する加振力を発生させることを特徴とする。
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、前記第1のアクチュエータまたは前記第2のアクチュエータの少なくともいずれかを、通常の動作とは異なる態様の動作状態にすることでエラーの発生を通知可能とした。このため、通常とは異なる機械の挙動によって、ユーザはエラーが発生していることを直感的に把握することができる。例えば、第2のアクチュエータは第1のアクチュエータとともに作動することで効果を発揮するものであるから、第1のアクチュエータが作動せずに第2のアクチュエータが作動したときには、ユーザはエラーが発生していることを直感的に把握することができる。
また、複数のアクチュエータの作動態様を組み合わせることによって複数種類のエラーを報知できるので、ユーザはエラーの種類を判別して適切な処理を行うことができる。例えば、モータロック状態であることが判別できればロック状態を解除させる処理を行うことができるし、高温状態であることが判別できれば冷却するまで待機すればよいことが分かる。
また、LEDやブザーなどのアナウンス手段を設けなくてもエラー状態を判別することができるので、製造コストを抑えることができるとともに、工具の小型化を実現できる。
また、電動工具がコンクリート工事現場などで使用される場合、機械の騒音や粉じん等による視界の悪さなどといった悪条件が想定されるが、こうした悪条件下であってもLEDやブザーなどではなく機械の挙動による触覚でエラー状態を知らせることができるので、ユーザに確実にエラー状態を通知することができる。
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、エラーの種類に応じて前記第2のアクチュエータの作動状態を変化させるので、ユーザは第2のアクチュエータの作動状態によって複数種類のエラーを区別することができ、エラー状態を判別して適切な処理を行うことができる。
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記第2のアクチュエータが連続作動状態なのか間欠作動状態なのかによってエラーを判別可能としてもよい。
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記第2のアクチュエータの作動によって、前記ビットの駆動軸線方向に加振力を発生させるドリル工具において、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記第1のアクチュエータとしてのビット駆動軸用モータと、前記第2のアクチュエータとしての加振装置用モータと、を備え、前記加振装置用モータを回転駆動することにより、前記ビット駆動軸用モータによって回転駆動されるビット駆動軸の軸線方向に作用して大きさが脈動する加振力を発生させるドリル工具において、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
ドリル工具の斜視図である。 ドリル工具の縦断面図である。 ドリル工具の平面の要部断面図と偏心ウエイトと力の関係図である。 ドリル工具の遅延制御ブロック図である。 トリガスイッチがONとなったときの処理を示すフロー図である。
以下、図面を参照しつつ、電動工具としてドリル工具1を例に挙げ、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るドリル工具1は、装置本体2に収容した駆動源によりビット駆動軸3を回転駆動して、前記装置本体2の前方に突出させたビット駆動軸3の先端に取り付けたダイヤビット4を回転させることによりコンクリートに穿孔させるようにしたものである。
装置本体2には図2に示されるように、駆動源として電力で作動する2つのアクチュエータを備えており、具体的には、主たる動作を実現するための第1のアクチュエータとしてのメインモータ6と、このメインモータ6とともに作動することで効果を発揮する第2のアクチュエータとしての加振モータ5と、の2つのモータを備えている。
加振モータ5は加振装置7に作動連結されている。すなわち、図3に示すように、加振モータ5の出力軸8にはベベルギア9が固定され、このベベルギア9の左右両側には互いに対向する2つのベベルギア10、11が噛合している。対向する各ベベルギア10、11の回転軸13、14にはそれぞれ偏心ウエイト15、16が一体的に固定されている。偏心ウエイト15、16は半円状に形成され、中心には軸孔が形成されている。偏心ウエイト15、16はそれぞれベベルギア10、11と一体に回転する。
上記構成によれば、加振モータ5を作動させることにより、その回転力はベベルギア9、10、11を介して偏心ウエイト15、16に伝達され、対向する2つの偏心ウエイト15、16は互いに逆方向に回転する。
メインモータ6は図4に示すようにビット回転装置34に作動連結されている。すなわち、図2に示すように、メインモータ6の出力軸17には歯車18が形成され、この歯車は中間の減速用の歯車19を介してビット駆動軸3の歯車20に噛合している。ビット駆動軸3は装置本体2の前方に突出している。ビット駆動軸3の先端部にはダイヤビット4が設けられている。
ところで、図3に示されるように、加振モータ5の出力軸8とビット駆動軸3は同一軸線P上にあり、また上記2つの偏心ウエイト15、16は、ビット駆動軸3の軸線Pの互いに反対側でかつ上記軸線Pに直交する同一軸線Q上に、軸線P、Qの交点から等距離の位置に対向するように配置されている。また、2つの偏心ウエイト15、16は装置本体2をア側からみたときと反対のイ側からみたときとで、一方が前方又は後方を向いているときは、他方も同じ側を向くように配置されている。
なお、装置本体2にはさらに電源コード21とトリガスイッチ22と制御装置23とが設けられている。制御装置23は、加振モータ5に対してはメインモータ6に遅延させて給電するように構成されており、本実施形態においては、メインモータ6が起動してから1秒後に加振モータ5を起動するように制御する。
次に、上記ドリル工具1の作動態様について説明する。まずトリガスイッチ22を入れると、メインモータ6が作動する。メインモータ6が作動すると、出力軸17の回転は歯車18、19、20を介してビット駆動軸3に伝達され、先端のダイヤビット4も回転するから、ダイヤビット4をコンクリート12に押し付けることによりコンクリート12を穿孔することができる。
次に、メインモータ6の回転作動に遅れて加振モータ5が作動する。この加振モータ5の出力軸8の回転はベベルギア9を介して対向するベベルギア10、11に伝達されるから、対向する2つの偏心ウエイト15、16は同時に逆方向に回転作動する。
ところで、偏心ウエイト15、16が互いに逆回転することにより、1回転の位相を90°ずつずらしてみると、図3のように、ドリル工具1には次のような力が加えられる。(1)のときは偏心ウエイト15は上方、偏心ウエイト16は下方に回転し、装置本体2に捩り力を加える。(2)のときは偏心ウエイト15は前方(ダイヤビット4側)、偏心ウエイト16も前方に回転し、装置本体2に加振力を加える。(3)のときは偏心ウエイト15は下方、偏心ウエイト16は上方に回転し、装置本体2に捩り力を加える。(4)のときは、偏心ウエイト15は後方、偏心ウエイト16も後方に回転し、装置本体2に加振力を加える。
このように、ドリル工具1には、ビット駆動軸3の回転に対して、大きさが脈動して変化し、上記(2)(4)のときは、図3の矢印Aに示されるように、ビット駆動軸3に沿った同位相の加振力、(1)(3)のときには、同図の矢印Bに示されるように、ビット駆動軸3の回転方向へ捩り力に基づく逆位相の加振モーメントがそれぞれ付与されることになる。
また、ビット駆動軸3と加振装置7とを同時に作動させることにより、起動時に加振力と加振モーメントが作用すると、加振装置7により装置本体2が微振動し、ダイヤビット4の先端がコンクリート12の表面で跳ねるので、ダイヤビット4の位置決めがしづらくなる。しかし、加振モータ5への給電をメインモータ6への給電に対して遅らせることにより、まず穿孔を開始して位置を正確に確保した後に加振装置7が作動することになり、位置決めが容易となる。
上述のように、上記ドリル工具1によれば、次の作用効果を得ることができる。
(a)ビット駆動軸3の軸線方向に作用して大きさが脈動する加振力と、ビット駆動軸3の回転方向に作用して大きさが脈動する加振モーメントとをビット駆動軸に発生させるので、ドリル工具の押付力を作業者の押付力と加振力との総和とすることができ、加振力によって作業者の押付力を補うことができる。
(b)ビット駆動軸3の回転方向に大きさが脈動する加振モーメントを作用させることにより、ビット駆動軸3の回転トルクを駆動源の出力と加振モーメントとを足し合わせたものとすることができ、駆動源の出力だけによる回転トルクよりも増加させた状態を得ることができる。したがって、小さな押付力での穿孔が可能となり、穿孔速度の向上を図ることができる。
(c)軸方向への加振力と回転方向へ加振モーメントを脈動して加えることにより、切粉を排出しやすくなるため、切粉の影響を受けにくくなり、安定した穿孔が可能となる。
(d)ダイヤビット4は押付力が不足している状態で穿孔を行なうと空回りして切れ味が低下してしまい、目出し作業等によってダイヤビット4をメンテナンスして切れ味を回復させることが必要となるが、本発明では、ビット駆動軸3の軸線方向とへの加振力と回転方向への加振モーメントを脈動して加えることにより、好適な状態で穿孔が行なえるので、ダイヤビット4が空回りしてしまうことを減少でき、ひいてはダイヤビット4のメンテナンス作業を低減できる。
(e)ビット駆動軸3の軸線に直交する同一軸線上にビット駆動軸3の軸線を挟んで略対称の位置に対向して配設された2つの偏心ウエイト15、16を、同一軸線上に配設した駆動軸による偏心ウエイト駆動部で互いに逆回転駆動して、加振力と加振モーメントとを発生させるので、ハンマードリルの打撃機構による打撃力や振動ドリルの振動機構による振動力の如く、ダイヤビット4などのビット工具を変位させ得るほどの力をビット工具に加えてコンクリート12を衝撃破壊する機構となっておらず、静音施工が可能となる。
(f)偏心ウエイト15、16の起動を上記ビット駆動軸3の起動に対し遅延させることにより、ビット駆動軸3の回転駆動に遅延して加振力と加振モーメントとを発生させるので、ダイヤビット4の回転のみによって穿孔を開始して穿孔位置を正確に確保してから、加振力と加振モーメントとを伴った穿孔作業を行なうので、ダイヤビット4の穿孔位置への位置決めが容易となり、操作性が向上する。
なお、偏心ウエイト15、16の偏心量は加振力に基づいて決定すればよい。加振モーメントは偏心ウエイト15、16の軸線P、Qの交点からの距離を変更して調整すればよい。
図4は、本実施形態に係るドリル工具1の内部構造を示すブロック図である。この図4が示すように、トリガスイッチ22が操作されることで制御装置23の電源回路26に電源が供給され、これにより、CPU27がアクチュエータの制御を開始する。具体的には、まずメインモータ6用のモータ駆動回路30に制御信号を出力することで、モータ駆動回路30にメインモータ6を駆動させるように命令する。そして、内部タイマで1秒が経過したら、加振モータ5用のモータ駆動回路31に制御信号を出力することで、モータ駆動回路31に加振モータ5を駆動させるように命令する。なお、トリガスイッチ22の操作が解除されたときには、2つのモータ駆動回路30、31への制御信号の出力を停止し、メインモータ6及び加振モータ5を停止させる制御を行う。
メインモータ6及び加振モータ5には、それぞれに対応して回転数検出回路部32、33が設けられている。本実施形態に係る回転数検出回路部32、33は、磁気センサを備えており、モータに取り付けられた磁石を検知することでモータの回転を検出するようになっている。回転数検出回路部32、33によって検出されたモータの回転は、制御装置23のパルス検出回路28、29にパルス信号として出力される。このパルス信号はCPU27によって処理され、一定時間パルス信号の入力がない場合にはモータが停止していると判断し、モータロックエラーを発生させるようになっている。
なお、メインモータ6でモータロックエラーが発生するとロックエラー処理が実行される。本実施形態におけるロックエラー処理は、2つのモータ駆動回路30、31への信号出力を禁止することで、トリガスイッチ22が操作されている場合でもメインモータ6と加振モータ5とをいずれも回転させない制御を行う処理である。ロックエラー処理中においては、トリガスイッチ22を操作してもメインモータ6及び加振モータ5が作動しないので、ユーザはモータロックエラーの発生を知ることができるようになっている。
また、本実施形態に係るドリル工具1は、サーマルユニット25を備えており、機械が所定の温度以上になると高温検知信号がCPU27に出力される。そして、CPU27が高温検知信号を受信すると高温状態エラーを発生させるようになっている。
なお、高温状態エラーが発生すると高温エラー処理が実行される。本実施形態における高温エラー処理は、メインモータ6用のモータ駆動回路30への信号出力を禁止することで、トリガスイッチ22が操作されている場合でもメインモータ6を回転させない制御を行う処理である。高温状態エラー処理中においては、トリガスイッチ22を操作してもメインモータ6は作動しないが、加振モータ5のみが作動するので、ユーザは高温状態エラーの発生を知ることができるようになっている。なお、高温状態エラーの発生時には、前述したメインモータ6起動後の1秒の遅延を設けずに、すぐに加振モータ5を作動させてもよい。
図5は、トリガスイッチ22がONとなったときの処理を示すフロー図である。この図5が示すように、トリガスイッチ22が操作されてONになると、まずステップS101において、高温状態エラーが発生しているか否かがチェックされる。高温状態エラーが発生している場合にはステップS107に進み、上記した高温エラー処理を実行する。一方、高温状態エラーが発生していない場合にはステップS102に進む。
ステップS102では、メインモータ6を起動させる。そして、ステップS103に進む。
ステップS103では、モータロックエラーが発生しているか否かがチェックされる。モータロックエラーが発生している場合にはステップS108に進み、上記したロックエラー処理を実行する。一方、モータロックエラーが発生していない場合にはステップS104に進む。
ステップS104では、メインモータ6を起動してから1秒が経過したら、加振モータ5を起動する。そして、ステップS105に進む。
ステップS105では、高温状態エラーが発生しているか否かがチェックされ、高温状態エラーが発生している場合にはステップS107に進み、上記した高温エラー処理を実行する。一方、高温状態エラーが発生していない場合にはステップS106に進む。
ステップS106では、モータロックエラーが発生しているか否かがチェックされ、モータロックエラーが発生している場合にはステップS108に進み、上記したロックエラー処理を実行する。一方、モータロックエラーが発生していない場合にはステップS105に進み、エラーが発生するまで繰り返す。
なお、上記フロー図では特に図示していないが、トリガスイッチ22がOFFになった場合には上記処理は中断される。言い換えると、トリガスイッチ22がONの状態では、エラーが発生しない限りは処理がループして継続するように形成されている。
上記したように、本実施形態によれば、所定のエラーが発生したときにメインモータ6を作動させずに加振モータ5を作動させることで高温状態エラーの発生を通知するようにした。ここで加振モータ5はメインモータ6とともに作動することで効果を発揮するものである。よって、メインモータ6を作動させずに加振モータ5を作動させた状態は通常ではあり得ない動作であり、ユーザはエラーが発生していることを直感的に把握することができる。
また、加振モータ5の作動態様によってエラーの種類を判別可能(加振モータ5が作動しているか停止しているかの違いによってエラーの種類を判別可能)なので、ユーザがエラー状態を判別して適切な処理を行うことができる。例えば、モータロック状態であることが判別できればロック状態を解除させる処理を行うことができるし、高温状態であることが判別できれば冷却するまで待機すればよいことが分かる。
また、LEDやブザーなどのアナウンス手段を設けなくてもエラー状態を判別することができるので、製造コストを抑えることができるとともに、工具の小型化を実現できる。
また、電動工具がコンクリート工事現場などで使用される場合、機械の騒音や粉じん等による視界の悪さなどといった悪条件が想定されるが、こうした悪条件下であってもLEDやブザーなどではなく機械の挙動による触覚でエラー状態を知らせることができるので、ユーザに確実にエラー状態を通知することができる。
本実施形態によれば、従来のLEDやブザーなどのアナウンス手段を設けた工具では分かりにくかった様な場面でもエラー発生やエラー種別を判別しやすくなるため、アナウンス手段を持たなかった工具はもちろん、LED表示やブザーを備えていた従来の工具に対して併用した場合、エラー内容の判別が従来よりも容易になり、より細かい情報を得ることが可能になる。
なお、上記した実施形態においては、加振モータ5が作動しているか停止しているかの違いによってエラーの種類を判別可能としたが、これに代えて、またはこれに加えて、加振モータ5の作動状態を変化させることでエラーの種類を判別可能としてもよい。例えば、加振モータ5が連続作動状態なのか間欠作動状態なのかの違い、または回転速度が低速作動状態に変化することによってエラーを判別可能としてもよい。
なお、本実施形態においては第2のアクチュエータとして加振装置用モータを用いたが、これに限らず、たとえば第2のアクチュエータとして加振装置用ソレノイドや超音波振動装置を用いてもよい。
1 ドリル工具(電動工具)
2 装置本体
3 ビット駆動軸
4 ダイヤビット
5 加振モータ(第2のアクチュエータ)
6 メインモータ(第1のアクチュエータ)
7 加振装置
8 加振モータの出力軸
9〜11 ベベルギア
12 コンクリート
13、14 ベベルギアの回転軸
15、16 偏心ウエイト
17 メインモータの出力軸
18〜20 歯車
21 電源コード
22 トリガスイッチ
23 制御装置
25 サーマルユニット
26 電源回路
27 CPU
28、29 パルス検出回路
30、31 モータ駆動回路
32、33 回転数検出回路部
34 ビット回転装置

Claims (5)

  1. 主たる動作を実現するための第1のアクチュエータと、
    前記第1のアクチュエータとともに作動することで効果を発揮する第2のアクチュエータと、
    を備え、
    前記第1のアクチュエータまたは前記第2のアクチュエータの少なくともいずれかを、通常の動作とは異なる態様の動作状態にすることでエラーの発生を通知可能としたものであって、
    エラーが発生したときに、前記第1のアクチュエータを作動させずに前記第2のアクチュエータを作動させることを特徴とする、電動工具。
  2. エラーの種類に応じて前記第2のアクチュエータの作動状態を変化させることを特徴とする、請求項1記載の電動工具。
  3. 前記第2のアクチュエータが連続作動状態なのか間欠作動状態なのかによってエラーを判別可能としたことを特徴とする、請求項1又は2記載の電動工具。
  4. 前記電動工具は、
    ビットを回転駆動させる前記第1のアクチュエータと、
    前記ビットを加振する前記第2のアクチュエータと、
    を備えたドリル工具であって、
    前記第2のアクチュエータの作動によって、前記ビットの駆動軸線方向に加振力を発生させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電動工具。
  5. 前記電動工具は、
    前記第1のアクチュエータとしてのビット駆動軸用モータと、
    前記第2のアクチュエータとしての加振装置用モータと、
    を備えたドリル工具であって、
    前記加振装置用モータを回転駆動することにより、前記ビット駆動軸用モータによって回転駆動されるビット駆動軸の軸線方向に作用して大きさが脈動する加振力を発生させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電動工具。
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