JP6092980B1 - 飼料搬送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】餌の原形を維持しつつ適量の餌を連続的に放出することができる飼料搬送装置を提供する。【解決手段】飼料搬送装置1は、給餌ホッパー2と、給餌ホッパー排出口3の下方に連通配設した円筒状ケース4中に放射状の回転フィン5を有する繰出し機構6と、繰出し機構6の下方に配設した餌搬送路7からなり、給餌ホッパー排出口3の下方側近傍における円筒状ケース内周壁10を外方に膨出して餌保留空間として凹状部を形成し、円筒状ケース4中には回転軸18を有し、回転軸18の中途部に円筒状ケース4の内部空間を区画する仕切板32を形成すると共に、回転フィン5は仕切板32の左右側において角度をずらして形成したことを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、動物への給餌のために放出ノズル先端から餌を放出させて与えても餌の原形を維持しつつ適量の餌を連続的に放出することができる飼料搬送装置に関する。
従来、例えば養魚場においてブリ等の魚を養殖する場合、円筒状で小石程度の大きさに形成され乾燥した固形タイプのドライペレット(DP)やエクストルーデッドペレット(EP)と呼ばれる餌を給餌する。
餌は生簀の水面に向かって人手によって撒かれる場合もあるが、多くの場合、餌は専用の撒き餌装置を用いて自動的に空中に放出して生簀内のブリ等に給餌する。
また、餌は高価なため撒き餌装置で放出した餌の全てを食べてもらうことが望まれるが、欠けて小片となったり粉砕されて粉状となった餌は食べないため、このような状況では無駄が生じて経費的に問題があったため、当初の餌の原形を維持した状態で給餌することができる技術が、例えば特許文献1に開示されている。
しかしながら、特許文献1に係る技術では、飼料貯蔵ホッパー内に貯えられた飼料は、下部に固設されたブーツを通り、飼料搬送管内部のセンターレスオーガーで仕切られた空間へと搬送される際、ブーツ及び飼料搬送管内部では飼料貯蔵ホッパー内の飼料の重力と相まって個々の飼料が身動きできないほど密集した状態となる。このような状態でセンターレスオーガーが回転すると、センターレスオーガーの外縁部が飼料に負荷を与えてしまい、飼料の破断や粉砕が生じてしまう。
また、センターレスオーガーの回転により飼料がブーツの開口位置を越えて飼料搬送管のみの空間へと前進する際には、ブーツにより飼料搬送管の内径以上に盛り上がった飼料が飼料搬送管の内径に納まる量となるため、飼料搬送管の端部とセンターレスオーガーとによって飼料が強制的に破断や粉砕されてしまう。
このような破断や粉砕によって飼料貯蔵ホッパー内に投入した飼料の一部はどうしても当初の飼料の原形を維持するこができないため、飼料の無駄の解消に完全には応えることができなかったところ、本発明者による既出願(特願2014−121551)に係る技術では、動物への給餌のために放出ノズル先端から餌を放出させて与えても餌の原形を維持することができる飼料搬送装置を提案している。
この飼料搬送装置は、給餌ホッパーと、該ホッパー排出口の下方に連通配設した円筒状ケース中に放射状の回転フィンを有する繰出し機構と、繰出し機構の下方に配設した餌搬送路と、よりなる飼料搬送装置において、給餌ホッパー排出口の下方側近傍における円筒状ケース内周壁を外方に膨出して餌保留空間として凹状部を形成したことを特徴とする。
また、餌保留空間は断面視略三日月状に形成し、放射状の回転フィンは、回転方向に凸状の半円弧に形成することも見出している。
特開平7−327545号公報
確かに、本発明者による上記既出願に係る技術によれば、動物への給餌のために放出ノズル先端から餌を放出させて与えても餌の原形を維持することができる飼料搬送装置を提供することができ、極めて有効な効果を奏していた。
しかしながら、円筒状ケース内において隣接する回転フィン間に繰出される餌は、回転軸の回転に伴い所定間隔で下方の餌搬送路に送出されるため、回転フィン間の間隔の分だけ間欠となり、餌搬送路に一定量の餌を連続して送出するには更なる改良が必要であった。
また、回転フィン自体を回転方向に凸状の半円弧に形成しているため、ホッパー排出口から投入された餌は、回転フィンの外周面を転動し、回転フィンの回転力によりホッパー排出口側へ押し戻す方向に遠心力が働き易くなっており、回転フィン間の空間に餌を充分に充填するには更なる改良が必要であった。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、餌の原形を維持しつつ適量の餌を連続的に放出することができる飼料搬送装置を提供することにある。
以上のような目的を達成するために、本発明は以下のようなものを提供する。
請求項1に係る発明は、給餌ホッパーと、前記給餌ホッパーの給餌ホッパー排出口の下方に連通配設した円筒状ケース中に放射状の回転フィンを有する繰出し機構と、前記繰出し機構の下方に配設した餌搬送路と、よりなる飼料搬送装置において、前記給餌ホッパー排出口の下方側近傍における円筒状ケース内周壁を外方に膨出して餌保留空間として凹状部を形成し、前記円筒状ケース中には回転軸を有し、前記回転軸の中途部に前記円筒状ケースの内部空間を区画する仕切板を形成すると共に、前記回転フィンは前記仕切板の左右側において角度をずらして形成し、前記回転フィンは、前記回転軸の軸線方向と直交する扁平フィンと、前記扁平フィンの先端側を屈曲して回転方向に凸の円弧状に形成した円弧フィンと、により形成したことを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、前記仕切板は、前記回転フィンの外径と略同径の円盤状に形成したことを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、前記回転フィンは、前記仕切板の左右側において、一方側の隣接する回転フィン間の中央部に他方側の回転フィンが位置するように角度をずらして形成したことを特徴とするものである。
請求項に係る発明は、前記仕切板を2枚以上備えたことを特徴とするものである。
請求項に係る発明は、前記餌保留空間は断面視略三日月状に形成したことを特徴とするものである。
請求項1記載の発明によれば、給餌ホッパー排出口の下方側近傍における円筒状ケース内周壁を外方に膨出して餌保留空間として凹状部を形成し、円筒状ケース中には回転軸を有し、回転軸の中途部に円筒状ケースの内部空間を区画する仕切板を形成すると共に、回転フィンは仕切板の左右側において角度をずらして形成したことにより、繰出し機構への餌の過充填時の余分な餌は一旦餌保留空間に保留され、徐々に回転フィン上に繰出し機構から回転フィンへと搬送されることになり、餌の繰出し時に餌の破断や粉砕を防止することができる。
また、仕切板の左右側で回転フィンの角度をずらすことで、回転フィン間の間隔を疑似的に狭めることができるので、餌を連続的に餌搬送路に送出することができる。また、回転フィンは、回転軸の軸線方向と直交する扁平フィンと、扁平フィンの先端側を屈曲して回転方向に凸の円弧状に形成した円弧フィンと、により形成したことにより、給餌ホッパー排出口から送出され回転する扁平フィンの外側面に接触した餌は遠心力の影響を受け難く、餌保留空間の凹状部に向かって上昇しないので、餌を確実に回転フィン間に貯留することができる。また、円弧フィンの凸状面が餌の回転方向である繰出し方向に突出することになり、餌を回転フィンの繰出し面である回転フィンの端面で把持保留することにならず、餌を凸状面で分散しながら回転方向や上下方向への押し出し方向に押し出すことになり、餌を回転フィン間に徐々に収納させることができるので、回転フィンの繰出し面による餌の圧迫がなく、餌に対する負荷を軽減でき餌の破断や粉砕を防止することができる。
請求項2記載の発明によれば、仕切板は、回転フィンの外径と略同径の円盤状に形成したことにより、仕切板の左右側に各々繰出される餌が仕切板を超えて左右に行き来しないので、常に定量の餌を連続して下方の餌搬送路に送出することができる。
請求項3記載の発明によれば、回転フィンは、仕切板の左右側において、一方側の隣接する回転フィン間の中央部に他方側の回転フィンが位置するように角度をずらして形成したことにより、回転フィン間の間隔を疑似的に半分にできるので、仕切板を介して形成された左右の回転フィン間に繰出された定量の餌を等間隔で連続的に餌搬送路に送出することができる。
請求項記載の発明によれば、仕切板を2枚以上備えたことにより、各仕切板の左右側において角度をずらして配設された回転フィンの組合せが増加するので、更に回転フィン間の間隔を疑似的に狭めることができ、餌の放出量を増加させることができる。
請求項記載の発明によれば、餌保留空間を断面視略三日月状に形成したことにより、繰出し機構への餌の過充填時の余分な餌は一旦餌保留空間に保留され、徐々に回転フィン上に繰出し機構から回転フィンへと搬送されることになり、回転フィン間には適量の餌が繰出され、必要以上の餌は収納されず回転フィンと円筒状ケース内周壁との間で餌に対する不要な外圧がほとんど付加されないため、餌の繰出し時に餌の破断や粉砕を防止することができる。
また、一旦餌保留空間に保留された余分な餌は、更にスムーズな状態で徐々に回転フィン上に繰出し機構から回転フィンへと搬送されることになり、回転フィンと円筒状ケース内周壁との間で餌に対する不要な外圧が付加されないため、餌の繰出し時に餌の破断や粉砕を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る飼料搬送装置の前方斜視図である。 本発明の一実施形態に係る飼料搬送装置の後方斜視図である。 (a)は飼料搬送装置の外観と一部断面を示す正面図で、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。 回転軸に放射状に形成した回転フィンと仕切板を示す斜視図である。 図3(a)における飼料搬送装置の各状態別のA−A線断面図である。 本発明の一実施形態に係る飼料搬送装置の使用状態例を示す簡易断面正面図である。 効果について比較するための比較実験機の断面図である。
本発明の要旨は、給餌ホッパーと、該ホッパー排出口の下方に連通配設した円筒状ケース中に放射状の回転フィンを有する繰出し機構と、繰出し機構の下方に配設した餌搬送路と、よりなる飼料搬送装置において、給餌ホッパー排出口の下方側近傍における円筒状ケース内周壁を外方に膨出して餌保留空間として凹状部を形成し、円筒状ケース中には回転軸を有し、回転軸の中途部に円筒状ケースの内部空間を区画する仕切板を形成すると共に、回転フィンは仕切板の左右側において角度をずらして形成したことを特徴とする。すなわち、餌の原形を維持しつつ適量の餌を連続的に放出することができる飼料搬送装置の提供を図ろうとするものである。
以下、本発明に係る飼料搬送装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。また、本説明中において左右同一又は左右対称の構造や部品については、原則として同一の符号を付し、左右何れか一方のみを説明して、他方については説明を適宜省略する。
なお、本説明中では飼料搬送装置に投入して放出する飼料は餌100と同義であり、餌100を与える対象は、養殖や飼育された動物に限られず、野生動物も含めた動物全般である。また、飼料である餌100は、容易に形が崩れない固形物であり、例えば、ドライペレット(DP)やエクストルーデッドペレット(EP)と呼ばれる餌100である。
[実施形態]
図1は本発明の一実施形態に係る飼料搬送装置の前方斜視図であり、図2は後方斜視図である。また、図3(a)は飼料搬送装置の外観と一部断面を示す正面図で、(b)は(a)におけるA−A線断面図であり、図4は回転軸に放射状に形成した回転フィンと仕切板を示す斜視図であり、図5(a)〜(d)は図3(a)における飼料搬送装置の各状態別のA−A線断面図であり、図6は飼料搬送装置の使用状態例を示す簡易断面正面図である。また、図7は効果について比較するための比較実験機の断面図である。なお、本発明に係る飼料搬送装置は撒き餌装置1を一実施形態として以下に説明する。
本発明に係る飼料搬送装置としての撒き餌装置1は、図1〜図3(a)、(b)、図4に示すように、給餌ホッパー2と、給餌ホッパー排出口3の下方に連通配設した円筒状ケース4中に放射状の回転フィン5を有する繰出し機構6と、繰出し機構6の下方に配設した餌搬送路としての風圧搬送路7と、風圧搬送路7の終端に連通連設した撒き餌ホース8と、よりなる撒き餌装置1において、給餌ホッパー排出口3の下方側近傍における円筒状ケース内周壁10を外方に膨出して断面視略三日月状の餌保留空間9として凹状部を形成している。なお、餌搬送路は風圧搬送路7として構成している。
また、円筒状ケース4中には回転軸18を有し、回転軸18の中途部に円筒状ケース4の内部空間(餌切出し空間)28を区画する仕切板32を形成すると共に、回転フィン5は仕切板32の左右側において角度をずらして形成している。
給餌ホッパー2は、横断面矩形状とし、中央部には上下に開口部を有する給餌ホッパー排出口3をなす矩形状の傾斜排出路16を形成し、傾斜排出路16は下方へ臨む四方壁12,13,14,15を下方縮小状のテーパー状とすることにより形成している。また、給餌ホッパー2の上部には矩形板状のフランジ部11を形成している。
具体的には、給餌ホッパー排出口3は下方の円筒状ケース4に向かった傾斜排出路16を形成し、傾斜排出路16の前部には傾斜ガイド板17を配設することにより、4方壁12,13,14,15を夫々テーパー状に形成している。このように形成することで、傾斜排出路16に投入された餌100は給餌ホッパー排出口3から下方の繰出し機構6へと送出される。
なお、フランジ部11は、傾斜排出路16への餌100の供給の際に誤ってこぼれた餌100を受け止めたり、餌100を多量に給餌する場合に大型の貯蔵タンク(図示せず)等を傾斜排出路16と連通させて載置固定等するために使用される。
繰出し機構6は、円筒状ケース4内に配設された回転フィン5と仕切板32と、回転フィン5と仕切板32を回転させる回転軸18端部に連設した駆動部19と、回転数計測部20と、で構成している。
円筒状ケース4は、給餌ホッパー排出口3の下方に連通配設され、円筒状ケース4の上部と下部を除き回転フィン5と仕切板32の最外縁部とほぼ隙間なく近接するように回転軸18と同軸の円筒状に形成された内部空間である餌切出し空間28と、餌切出し空間28の下部に配設され餌切出し空間28の曲率よりも大きい曲率で円筒状に形成された風圧搬送路7の一部をなすケース内風圧搬送路40とが空間として一体に構成されている。
すなわち、ケース内風圧搬送路40は円筒状ケース4の内底部を下方に膨出して形成し、その部分に流入側風圧搬送路41の終端開口部を連通連設すると共に、流出側風圧搬送路42の始端開口部を連通連設している。
また、ケース内風圧搬送路40は、流入側風圧搬送路41からの送風Wが仕切板32により広く遮断されないように、可能な限り円筒状ケース4の内底部を下方に膨出して通風性を確保している。
回転フィン5の回転軸18は、図1、図3(a)に示すように、両端を左右側板21,22側を超えて伸延し、一方の端部側に駆動部19を有し、駆動部19は減速ギア24と、減速ギア24を介して回転軸18と連設する油圧モータ25と、で構成している。他方の端部側には円盤状で複数の計測用孔26が穿設されたフライホイールを兼ねる回転数計測部20を配設している。
油圧モータ25には油圧モータ25駆動用の作動油を循環させるために油圧ホース27を介して油圧ポンプ(図示せず)が接続され、エンジン(図示せず)や電動モータ(図示せず)によって油圧ポンプを作動させることで油圧モータ25を回転させる。
図5(d)に示すように、餌切出し空間28に収納された餌100は、回転フィン5の回転により、円筒状ケース4下部のケース内風圧搬送路40に移動する。風圧搬送路7は図3(a)に示すように、左側板21の外方に配設され円筒状ケース4と連通連設する流入側風圧搬送路41と、右側板22の外方に配設され円筒状ケースと連通連設する流出側風圧搬送路42と、ケース内風圧搬送路40とが連通して構成される。
繰出し機構6へと送出された餌100は、左右側板21,22で挟持された円筒状ケース4中にベアリング48を介して軸架した放射状の回転フィン5の回転により、図5(c)、(d)に示すように、餌切出し空間28に一時的に収納される。なお、左右側板21,22の各下端部には矩形板状の脚部45を連設している。
また、図6に示すように、ケース内風圧搬送路40に位置する餌100は、流入側風圧搬送路41の端部に連設した送風機50により発生させた風Wによって飛ばされ、流出側風圧搬送路42の送風排出口35の終端に連通連接する撒き餌ホース8を通って先端の放出ノズル37から放出される。
なお、撒き餌ホース8は、蛇腹状で可撓性の、例えば塩化ビニル製の配管を中途部に用いることで、実際に餌100を放出する箇所まで餌100と風Wを上下左右に自由に導くことができる。
以上のように構成することで、給餌ホッパー2に供給された餌100から回転フィン5によって任意の量だけ切り出し、撒き餌ホース8の先端から放出して生簀内のブリ等に給餌することができる。
次に、本発明に係る飼料搬送装置としての撒き餌装置1の要部について詳述する。
給餌ホッパー排出口3の一部をなす傾斜ガイド板17は、傾斜ガイド板17の下端部と回転フィン5との垂直距離Lが図3(b)、図5(c)、(d)に示すように、餌100の大きさよりも1〜2mm程度広くなるように形成している。なお、傾斜ガイド板17は上下位置を微調整可能なように給餌ホッパー2の内周壁で図示しない長孔によるボルト固定等を可能とすることで、大きさの異なる餌100に変更しても対応することができる。
また、傾斜ガイド板17の下端部は面取りされると共に、滑らかな曲面を形成するように研磨が施されている。更に、給餌ホッパー2を構成する傾斜排出路16や給餌ホッパー排出口3の全ての面や角部は研磨されている。
このように構成することで、餌100が傾斜ガイド板17と回転フィン5との間に挟まって分断されたり、粉砕されることを防止することができると共に、給餌ホッパー2の如何なる部分に餌100が接触しても餌100が損傷することを防止することができる。
仕切板32は、図4に示すように、回転軸18の中途部において円筒状ケース4の餌切出し空間28を区画する態様で回転フィン5の外径と略同径の円盤状に形成し、回転軸18と一体に回転する。
このように仕切板32を形成することで、仕切板32の左右側に各々繰出される餌100が仕切板32を超えて左右に行き来しないので、常に定量の餌100を連続して下方の風圧搬送路7に送出することができる。
また、回転フィン5は、仕切板32の左右側において角度をずらして形成している。すなわち、図3(b)、図4に示すように、回転フィン5は、仕切板32の左右側において、一方側の隣接する回転フィン5A,5B間の中央部に他方側の回転フィン5Cが位置するように角度をずらして形成している。
具体的には、仕切板32の一方側において回転フィン5は回転軸18に対して60°間隔で放射状に6枚形成し、他方側においては一方側の回転フィン5に対して30°ずらして回転軸18に対して60°間隔で放射状に6枚形成し、全体として12枚の回転フィン5を備えている。
このように、仕切板32の左右側で回転フィン5の角度をずらして形成することで、餌100を連続的に風圧搬送路7に送出することができ、しかも、回転フィン5A,5B間の間隔を疑似的に半分にできるので、仕切板32を介して形成された左右の回転フィン5A,5B間に繰出された定量の餌100を等間隔で連続的に風圧搬送路7に送出することができる。
なお、本説明中では合計12枚の回転フィン5を備えた撒き餌装置1について説明しているが、回転フィン5の枚数や、ずらす角度については本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
また、本発明に係る飼料搬送装置は、仕切板32を2枚以上備えることができる。このように、仕切板32を2枚以上備えることで、各仕切板32の左右側において角度をずらして配設された回転フィン5の組合せが増加するので、更に回転フィン5間の間隔を疑似的に狭めることができ、餌100の放出量を増加させることができる。
また、回転フィン5は、回転軸18の軸線方向と直交する平板状の扁平フィン5aと、扁平フィン5aの先端側を屈曲して回転方向に凸状の円弧に形成した円弧フィン5bと、により構成している。また、回転フィン5は、円筒状ケース4と、円筒状ケース4の左右開口部を閉塞する左右側板21,22とでなす内部空間に配設されている。また、隣接する回転フィン5と円筒状ケース内周壁10とで囲繞され仕切板32で区画された一方側に6箇所、他方側に6箇所の合計12箇所の各空間を餌貯蔵空間23として構成している。
このように構成することで、給餌ホッパー排出口3から繰出された餌100は、複数の餌貯蔵空間23に一定量の餌100を一時的に収納することができる。
また、給餌ホッパー排出口3から送出され回転する扁平フィン5aの外側面に接触した餌100は遠心力の影響を受け難く、後述する餌保留空間9の凹状部に向かって上昇しないので、餌100を確実に回転フィン5A,5間に貯留することができる。
また、円弧フィン5bの凸状面が餌100の繰出し方向(図5(a)の矢印方向)に突出することになり、餌100を回転フィン5の繰出し面(回転フィン5の端面)で把持保留することにならず、餌100を凸状面で分散しながら回転方向や上下方向への押し出し方向に押し出すことになり、餌100を回転フィン5A,5B間に徐々に収納させることができるので、回転フィン5の繰出し面による餌100の圧迫がなく、餌100に対する負荷を軽減でき餌100の破断や粉砕を防止することができる。
なお、仕切板32を有さず単に回転フィン5を30°間隔で12枚形成した場合には、回転フィン5の厚みにより各餌貯蔵空間23の容積が目減りすると共に、餌貯蔵空間23の開口をなす隣接する円弧フィン5b,5b間が狭くなり、該開口から餌貯蔵空間23への餌100の繰出しが阻害され、充分な量の餌100を餌貯蔵空間23内に貯留させることができない。
また、図3(b)に示すように、餌切出し空間28の外側、すなわち回転する回転フィン5の最外縁部の軌跡線49(仕切板32の最外縁部と同位置)の外側において、給餌ホッパー排出口3の下方側近傍における円筒状ケース内周壁10を外方に膨出して断面視略三日月状の凹状部を形成し、当該部分を餌保留空間9として構成している。
具体的には、餌保留空間9を構成する一方の壁面をなす円筒状ケース内周壁10は、傾斜ガイド板17の基端部側に凹状の湾曲部29を形成するようにして傾斜ガイド板17の先端部側から上方へ離間し、離間した端部をフランジ部11の下面に連設している。また、餌保留空間9を構成する他方の壁面は傾斜ガイド板17としている
従って、餌保留空間9は、図5(a)の2つの斜線部で示すように、傾斜ガイド板17の裏面と円筒状ケース内周壁10と回転フィン5の最外縁部の軌跡線49とで囲繞された断面視略三日月状の空間となる。
また、餌保留空間9は、傾斜ガイド板17の裏面と円筒状ケース内周壁10の湾曲部29近傍とで形成された比較的大きな空間を第一餌保留空間30としている。また、第一餌保留空間30と連通し、湾曲部29の下方から回転フィン5が円筒状ケース内周壁10に徐々に近接しつつ最も近接する回転初動部分までの空間を第二餌保留空間31としている。
なお、本実施形態における断面視略三日月状の空間をなす餌保留空間9は、三日月状に近似した断面視鎌型状の第二餌保留空間31を必須形状とし、その上部に位置する第一餌保留空間30については、第二餌保留空間31と連通連設していれば本実施形態の形状に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
ほとんどの餌100は給餌ホッパー排出口3から直接餌貯蔵空間23内へと収納され、一部の餌100は、図5(c)に示すように、傾斜ガイド板17と回転フィン5との間隙を通過するように回転フィン5の円弧フィン5bの凸状面に一時的に載置され、回転フィン5の回転に伴って餌貯蔵空間23へと滑りながら収納される。
回転フィン5は、扁平フィン5aと扁平フィン5aの端部側に回転方向に凸状の円弧に形成した円弧フィン5bとで構成しているため、上述のように餌貯蔵空間23に直接収納される餌100と、扁平フィン5aにより回転フィン5の遠心力による上昇離脱が回避された餌100と、円弧フィン5bの凸状面を利用して収納される餌100と、で万遍なく餌貯蔵空間23を餌100で満たすことができるばかりか、餌貯蔵空間23に収納できる量の餌100よりも多くの餌100を餌保留空間9に繰出すことができる。
従って、第一餌保留空間30は、図5(d)に示すように、餌貯蔵空間23の上方において餌貯蔵空間23を越えて位置する餌100であっても一時的に保留させることができ、以後の第二餌保留空間31における餌100の移動と相まって、最終的に餌貯蔵空間23に所定量の餌100を収納させることができる。
第二餌保留空間31の内周壁10は、湾曲部29の下方で回転フィン5に徐々に近接するように形成しているため、第二餌保留空間31の容積は下方縮小状となっている。従って、餌貯蔵空間23を越えて第一餌保留空間30に繰出された餌100は、回転によって下方の第二餌保留空間31へと移動するに従い、餌貯蔵空間23で収納可能なスペースへと移動することになる。
この場合、餌貯蔵空間23内に納まることがでなかった餌100は、回転フィン5と円筒状ケース内周壁10との間を滑るようにして次の餌貯蔵空間23へと送られる。また、次の餌貯蔵空間23に収納された餌100が既に満杯であれば、溢れた餌100は第一餌保留空間30に保留されるため、餌貯蔵空間23には常に所定量の餌100が収納されることになる。
なお、回転フィン5の周壁や端部、円筒状ケース内周壁10の全ての面や角部は研磨されている。
このように構成することで、餌100が回転フィン5と円筒状ケース4の内周壁との間に挟まって分断されたり、粉砕されることを防止することができると共に、回転フィン5等の如何なる部分に餌100が接触しても餌100が損傷することを防止することができる。
また、流入側風圧搬送路41の送風流入口34の縦断面位置には、図1に示すように風乱流防止用の仕切プレート36を複数枚配設し、送風機50から送られる風Wが乱流化しないように構成している。なお、仕切プレート36は断面視十字状に形成しているが、仕切プレート36は如何なる形状や枚数であっても整流化のためであれば本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
餌貯蔵空間23に収納された餌100は、図6に示すように、回転フィン5の回転によって円筒状ケース4の下部側、すなわちケース内風圧搬送路40に達すると、送風機50から送風流入口34を通って流入側風圧搬送路41内で整流化された風Wが餌100に到達する。
風Wは餌100と共に流出側風圧搬送路42の内部へと送られ、送風排出口35と連通連接する撒き餌ホース8内を通過して先端の放出ノズル37から外部へと放出させる。
なお、流入側風圧搬送路41や流出側風圧搬送路42の内周壁、仕切プレート36、送風流入口34や送風排出口35の外縁部の角部等、全ての面や角部は研磨されている。
このように形成することで、餌100が風圧搬送路7内の如何なる部分に接触しても餌100が損傷することを防止することができる。
また、撒き餌ホース8は、所定の場所に餌100を導くために、撒き餌ホース8の中途部に角度を与える必要があるが、撒き餌ホース8内周壁への餌100の衝突による欠け割れ等を防止するためには、少なくとも略135°以上の角度で撒き餌ホース8の曲げ部を形成することが望ましい。
油圧モータ25は、図示しないエンジンや電動モータによって駆動し、図示しない油圧バルブのON/OFF切替えによって減速ギア24を介して回転フィン5の始動・停止が制御される。また、餌100の放出量は、回転フィン5の回転数に応じて決まる。
回転数計測部20には、計測用孔26の出現回数を計測することで回転フィン5の回転数を計測する近接パルスセンサー(図示せず)が配設され、油圧バルブと近接パルスセンサー、及び送風機50はプログラマブルコントローラ(以下、PLCとする。)等の電子計算機(図示せず)と接続されている。
PLCは図示しない始動スイッチによるスタート信号を受けて送風機50を可動させると共に、油圧バルブをON制御して回転フィン5を始動させ、所定の回転数に達することで油圧バルブをOFF制御して回転フィン5を停止させると共に、送風機50を停止させる。これにより所望量の餌100を放出ノズル37の先端から放出させることができる。
従って、予め餌100の放出量に対応した回転フィン5の回転数を別途のスイッチ(図示せず)によってPLCに入力するだけで、計測された回転フィン5の回転数が所望の回転数になるまで、すなわち、放出させたい所望量の餌100が放出されるまで回転フィン5を回転させた後、自動的に停止させることができる。
なお、餌100の種類(大きさ)に応じた放出量の設定も、放出量に見合った回転フィン5の回転数を予め規定した別途のスイッチ(図示せず)によってPLCに入力すれば、上述同様の制御がなされる。
このように繰出し機構6を構成することで、所定量の餌100を回転フィン5によって精度よく切り出すことができる。
次に、本実施形態に係る撒き餌装置1によって改善された餌100の放出量について実施例を示して説明する。
[実施例]
実施例に係る撒き餌装置は、上述した撒き餌装置1と同構造であり、円筒状ケース4は、回転フィン5が収納される内部の直径を略250mm、長さを略240mmとし、回転フィン5を6枚(左右合計では12枚)備え、回転フィン5の回転数を3rpm、送風機50による風速を30m/sとして、20kg/minの餌100を放出ノズル37先端から放出するように設定した。また、餌100は縦15mmで直径8mmの円筒状のエクストルーデッドペレット(EP)を用いて、給餌ホッパー2には常に餌100が供給される状態とした。なお、送風排出口35の出口から放出ノズル37先端までの距離を略8mとした。
一方、比較対象の比較実験機70は、図7に示すように、仕切板32を有さず、円筒状ケース4´中に放射状の6枚の回転フィン5´を回転方向に凸状の半円弧に形成し、ケース内風圧搬送路40´が円筒状ケース4´と略半分程度重なる構成とした。なお、比較実験機70は、仕切板の有無、回転フィンの形状と枚数、ケース内風圧搬送路の位置以外の構成は本実施形態に係る撒き餌装置1と同様とした。
このような比較実験機70を上述した各種条件で可動させ、本実施形態に係る撒き餌装置1と比較した。また、比較結果の測定は、両装置ともに餌100を1分間放出させた状態での放出量を確認することで行った。なお、本比較試験においては、両装置ともに1,000kgを放出させた状態での欠け割れ率の確認も同時に行った。
以上のような条件で測定を行った結果、本実施形態に係る撒き餌装置1は1分間で42.48Kgの餌100を放出し、比較実験機70では1分間で34.38Kgの餌100を放出したことから、本実施形態に係る撒き餌装置1は比較実験機70に比して約23%も多く餌100を放出することができたことになる。なお、欠け割れ率については、共に0.14%であり、ほぼゼロに近い結果を得ることができた。
以上説明したように、本実施形態に係る撒き餌装置1を用いれば、餌100の原形を維持しつつ適量の餌100を連続的に放出することができる。
具体的には、給餌ホッパー排出口3の下方側近傍における円筒状ケース内周壁10を外方に膨出して餌保留空間9として凹状部を形成し、円筒状ケース4中には回転軸18を有し、回転軸18の中途部に円筒状ケース4の内部空間(餌切出し空間)28を区画する仕切板32を形成すると共に、回転フィン5は仕切板32の左右側において角度をずらして形成したことにより、繰出し機構6への餌100の過充填時の余分な餌100は一旦餌保留空間9に保留され、徐々に回転フィン5上に繰出し機構6から回転フィン5へと搬送されることになり、餌100の繰出し時に餌100の破断や粉砕を防止することができる。
更に、仕切板32の左右側で回転フィン5の角度をずらすことで、餌100を連続して風圧搬送路7に送出することができる。
また、仕切板32は、回転フィン5の外径と略同径の円盤状に形成したことにより、仕切板32の左右側に各々繰出される餌100が仕切板32を超えて左右に行き来しないので、常に定量の餌100を連続して下方の風圧搬送路7に送出することができる。
また、回転フィン5は、仕切板32の左右側において、一方側の隣接する回転フィン5A,5B間の中央部に他方側の回転フィン5Cが位置するように角度をずらして形成したことにより、仕切板32を介して形成された左右の回転フィン5間に繰出された定量の餌100を等間隔で連続して風圧搬送路7に送出することができる。
また、回転フィン5は、回転軸18の軸線方向と直交する扁平フィン5aと、扁平フィン5aの先端側を屈曲して回転方向に凸状の円弧に形成した円弧フィン5bと、により形成したことにより、給餌ホッパー排出口3から送出され回転する扁平フィン5aの外側面に接触した餌100は遠心力の影響を受け難く、餌保留空間9の凹状部に向かって上昇しないので、餌100を確実に回転フィン5A,5B間に貯留することができる。
更に、円弧フィン5bの凸状面が餌100の繰出し方向(図5(a)の矢印方向)に突出することになり、餌100を回転フィン5の繰出し面(回転フィン5の端面)で把持保留することにならず、餌100を凸状面で分散しながら回転方向や上下方向への押し出し方向に押し出すことになり、餌100を回転フィン5A,5B間に徐々に収納させることができるので、回転フィン5の繰出し面による餌100の圧迫がなく、餌100に対する負荷を軽減でき餌100の破断や粉砕を防止することができる。
また、仕切板32を2枚以上備えたことにより、各仕切板32の左右側において角度をずらして配設された回転フィン5の組合せが増加するので、更に回転フィン5間の間隔を疑似的に狭めることができ、餌100の放出量を増加させることができる。
また、餌保留空間9を断面視略三日月状に形成したことにより、繰出し機構6への餌100の過充填時の余分な餌100は一旦餌保留空間9に保留され、徐々に回転フィン5上に繰出し機構6から回転フィン5へと搬送されることになり、回転フィン5A,5B間には適量の餌100が繰出され、必要以上の餌100は収納されず回転フィン5と円筒状ケース内周壁10との間で餌100に対する不要な外圧がほとんど付加されないため、餌100の繰出し時に餌100の破断や粉砕を防止することができる。
更に、一旦餌保留空間9に保留された余分な餌100は、更にスムーズな状態で徐々に回転フィン5上に繰出し機構6から回転フィン5へと搬送されることになり、回転フィン5と円筒状ケース内周壁10との間で餌100に対する不要な外圧が付加されないため、餌100の繰出し時に餌100の破断や粉砕を防止することができる。
なお、本発明の一実施形態に係る飼料搬送装置は、飼料である餌100を連続して負荷なく放出する繰出し機構6の特徴的な構造により、餌100を動物に給餌するだけでなく、餌100等の飼料を所定箇所へ搬送するための飼料搬送装置としても利用することができることは言うまでもない。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
撒き餌装置(飼料搬送装置)
2 給餌ホッパー
3 給餌ホッパー排出口
4 円筒状ケース
5 回転フィン
5a 扁平フィン
5b 円弧フィン
6 繰出し機構
7 風圧搬送路(餌搬送路)
9 餌保留空間
10 円筒状ケース内周壁
18 回転軸
28 餌切出し空間(内部空間)
32 仕切板

Claims (5)

  1. 給餌ホッパーと、
    前記給餌ホッパーの給餌ホッパー排出口の下方に連通配設した円筒状ケース中に放射状の回転フィンを有する繰出し機構と、
    前記繰出し機構の下方に配設した餌搬送路と、よりなる飼料搬送装置において、
    前記給餌ホッパー排出口の下方側近傍における円筒状ケース内周壁を外方に膨出して餌保留空間として凹状部を形成し、
    前記円筒状ケース中には回転軸を有し、前記回転軸の中途部に前記円筒状ケースの内部空間を区画する仕切板を形成すると共に、前記回転フィンは前記仕切板の左右側において角度をずらして形成し
    前記回転フィンは、前記回転軸の軸線方向と直交する扁平フィンと、前記扁平フィンの先端側を屈曲して回転方向に凸の円弧状に形成した円弧フィンと、により形成したことを特徴とする飼料搬送装置。
  2. 前記仕切板は、前記回転フィンの外径と略同径の円盤状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の飼料搬送装置。
  3. 前記回転フィンは、前記仕切板の左右側において、一方側の隣接する回転フィン間の中央部に他方側の回転フィンが位置するように角度をずらして形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の飼料搬送装置。
  4. 前記仕切板を2枚以上備えたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の飼料搬送装置。
  5. 前記餌保留空間は断面視略三日月状に形成したことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の飼料搬送装置。
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