JP6091283B2 - 倒れこみ検出装置、及び倒れこみ検出方法 - Google Patents
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Description
上記したような倒れこみの検出方法は、オペレータの的確な判断により、確実に実施されている。とはいえ、オペレータによる圧延材の倒れこみ検出には、人為的ミスに起因する事故(例えば、ギャップの設定不良)の発生、の可能性が常に付きまとうこととなる。
特許文献1は、走行中の熱鋼条材の周囲をパスラインを軸として連続回転しながら一定時度毎に半回転をn等分(n>2)した測定点の直径及び角度信号を発生する投影式直径測定装置と、該信号より条材の極大値もしくは極小値発生角度を直径測定装置が半回転する毎に演算する極値角度演算装置と、条材の極大値もしくは極小値発生角度の変化より条材の捻れ量を直径測定装置が半回転する毎に演算する捻れ演算装置とを備える条材捻れ測定装置を開示する。
倒れこみ検出装置、及び倒れこみ検出方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る倒れこみ検出装置は、圧延材を圧延する上下一対のワークロールを有する圧延機と、前記圧延機の出側に配備され、且つ前記圧延材を周方向に回転させながら下流側の圧延機に送る捻転装置とを有した圧延設備に備えられて、前記捻転装置から送り出された圧延材の倒れこみを検出する倒れこみ検出装置であって、前記圧延材は、断面が略楕円形状であって、当該圧延材の外周面における曲率がピークとなる点を少なくとも1つ以上有する輪郭形状を備えており、前記倒れこみ検出装置は、前記捻転装置の出側にて前記圧延材のプロファイル形状を測定するプロファイル測定手段と、前記プロファイル測定手段で得られたプロファイル形状を基に、当該プロファイル形状の頂点及びプロファイル形状の曲率ピーク点を求める特徴点算出手段と、前記特徴点算出手段で算出された頂点の位置と前記曲率ピーク点の位置との差の絶対値である判定値と、予め設定されている閾値とが近似した値乃至は同じ数値ではない場合、前記圧延材が倒れこんでいると判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
好ましくは、前記圧延材の断面外周面は、2つの放物曲線を有する楕円形状で構成され、前記断面外周面には、一の放物曲線と他の放物曲線とが交わり、且つ圧延材の外周面における曲率がピークとなる点が存在していて、前記曲率がピークとなる点が、前記プロファイル形状の曲率ピーク点に対応するものとなっているとよい。
その前に、図1を参照して、圧延設備1について説明する。
図1は、ビレットなどの圧延材Wを連続圧延して条鋼を製造する条鋼の圧延設備1を示したものである。
図1に示すように、圧延設備1は、上流側から下流側に向けて順に、圧延材Wを加熱する加熱炉(図示せず)、粗列圧延装置2、中間列圧延装置3(第1中間列3a、第2中間列3b)、仕上げ列圧延装置4、巻き取り装置5が順番に配設されている。これら粗列圧延装置2、中間列圧延装置3、及び仕上げ圧延装置は、複数の圧延機6(圧延スタンド)を備えている。
さらに、上記した圧延設備1は、プロコンなどで構成された制御装置(図示せず)を有している。この制御装置は、加熱炉、粗列圧延装置2、中間列圧延装置3、仕上げ圧延装置、巻き取り装置5を制御する。
このような条鋼の圧延設備1において、条鋼を製造するにあたっては、まず、圧延設備1の上流側に配備された加熱炉内に条鋼の元となる圧延材W(ビレット)を導入して加熱する(900℃〜1100℃程度)。加熱した圧延材Wをデスケーリングし、粗列圧延装置2及び中間列圧延装置3にて所定の輪郭形状(例えば、略楕円形状)になるまで圧延する。
図3(a)は、図1のA−A線で切断し、圧延機6の出側から見た圧延材Wの状況を示した断面図である。また、図3(b)は、図1のB−B線で切断し、捻転装置8により回転された圧延材Wが下流側の圧延機6に導入される直前の状況を示した図である。
圧延材Wの輪郭形状を構成する一の放物曲線は、ワークロール7のカリバ形状に即したものであり、ワークロール7の圧下により圧延材Wの側部が水平方向に向かって山型に突出しているものである。
上記のような輪郭形状を備えた圧延材Wは、捻転装置8で回転させられ圧下方向を交互に入れ替えながら、次の圧延機6へと導入されて圧延が進められる。
このとき、捻転装置8で回転させられた圧延材Wは、所定の傾き(捻れ量)より多く倒れこんでいることがある。そこで、倒れこみ検出装置10を用いて、この圧延材Wが所定
の傾きより多く倒れこんでいるか否かを検出する。
以下、本願発明の倒れこみ検出装置10について、詳細な説明を行う。
倒れこみ検出装置10は、捻転装置8の出側にて圧延材Wのプロファイル形状を測定するプロファイル測定手段11と、プロファイル測定手段11で得られたプロファイル形状を基に、当該プロファイル形状の頂点Xと曲率ピーク点X’とを求める特徴点算出手段12と、特徴点算出手段12で算出された頂点Xの位置情報と、曲率ピーク点X’の位置情報との差が、予め設定されている閾値αz以上の場合、圧延材Wが倒れこんでいると判定する判定手段13と、を有している。
本実施形態では、プロファイル測定手段11は、圧延材Wから300mm±145mmの距離に配備され、測定範囲は180mm、且つ少なくとも圧延材Wの頂点Xから±45°としている。なお、プロファイル測定手段11と圧延材Wとの間に防熱板を設置することが望ましい。
プロファイル測定手段11は、走行中の圧延材W(測定物)にレーザ光を照射し、反射したレーザ光を受光するヘッド部11aと、ヘッド部11aで受光(集光)されたレーザ光を基に、圧延材Wのプロファイル形状を求めるコントローラ部(図示せず)と、求められた圧延材Wのプロファイル形状を表示する表示モニタ(図示せず)とを有している。
プロファイル測定手段11は、ヘッド部11aよりレーザ光を圧延材Wに照射して、圧延材Wから反射した光がヘッド部11aで集光され受光素子へと結像され、受光素子を基にコントローラ部で、圧延材Wのプロファイル形状を求めている。このプロファイル測定手段11では、ヘッド部11aから圧延材Wまでのレーザ光の距離が変化すると、集光される反射光の角度が変わり、それに伴って受光素子上に結像される位置が変化するようになる。この受光素子上の結像位置の変位が圧延材Wのプロファイル形状と比例することから、結像位置の変位量を読み取り、圧延材Wのプロファイル形状として測定している。図5(a)には、計測されたプロファイル形状の一例が示されている。
特徴点算出手段12は、プロファイル測定手段11で得られた圧延材Wのプロファイル形状の中から、通材中の圧延材Wの存在位置を示す特徴点、すなわちプロファイル形状の頂点Xの位置情報と曲率ピーク点X’の位置情報とを求めている。プロファイル形状の曲率ピーク点X’ の位置情報は、圧延材Wのプロファイル形状の曲率kを求めて曲率変化
を算出し、この曲率変化から求められている。
ここで、基準となる圧延材をWaとし、測定対象となる圧延材をWbとし、移動した圧延材をWcとする。
図5(a)に示すように、プロファイル形状の頂点Xの位置情報は、圧延材Wのプロファイル形状の最も上方に突出した点であって、その点のx−y座標を読み取る。
ここで、プロファイル形状上に存在する複数のピーク点Xpのうち、x座標の値が小さい(または大きい)点X’ の算出方法について、詳細に説明する。
特徴点算出手段12は、プロファイル測定手段11で測定された圧延材Wのプロファイル形状を基に、プロファイル形状の曲率k(言い換えるならば、圧延材Wの輪郭形状の曲率)を算出する。プロファイル形状の曲率kを算出するにあたっては、プロファイル形状の測定結果を式(1)に適用することで、曲率kを算出する。
始めに、x座標の最もマイナス方向側の位置にあるピーク点Xpであるn点と、n点に隣接する2点(n−1,n+1)と、n−1及びn+1に隣接する2点(n−2,n+2)、すなわちn点を含めた5点の曲率k(y座標の値)をそれぞれ比較する。
この5点の中で、曲率kの値が最小(絶対値が最大)となる点を検出する。図6より、n点が最小(絶対値が最大)であることが確認される。続いて、この5点の中で、曲率kの値が最大(絶対値が最小)となる点を検出する。図6より、n−2点が最大(絶対値が最小)であることが確認される。
上記の方法を用いて、曲率ピーク点Xpの検出をx座標のプラス方向に順次進めながら、求められた複数の曲率ピーク点Xpのうち最もマイナス方向側(または最もプラス方向側)にあるピーク点X’を求める。
そして、リアルタイムで算出された圧延材Wの曲率ピーク点X’の位置情報と頂点Xの位置情報は、判定手段13に送られ、圧延材Wが倒れこんでいるか否かの判定に用いられる。
判定手段13は、算出されたプロファイル形状の頂点Xの位置情報と、プロファイル形状の曲率ピーク点X’ の位置情報との差の絶対値αを算出する(|X−X’|=α)。算出された絶対値αを、圧延材Wの倒れこみを判定するための判定値αとする。
また、圧延材Wbの判定値αbは、|0.6−(−0.3)|=0.9である。圧延材Wcの判定値αcは、|0−(−1.5)|=1.5である。
閾値αzと判定値αcとを比較する。比較した結果、|1.8−1.5|=0.3であり、閾値αzと判定値αcとの差が小さいため圧延材Wcは倒れこんでいないと判定される。ゆえに、圧延材Wcの通材状態が良好である判定される。
まず、倒れこみ検出装置10は、プロファイル測定手段11を用いて、捻転装置8から送り出された測定対象の圧延材Wのプロファイル形状を測定する。
圧延材Wの上方の備えられたプロファイル測定手段11は、測定対象の圧延材Wに対してレーザ光を照射し、圧延材Wから反射したレーザ光を集光する。集光されたレーザ光を受光素子へと結像し、その受光素子を基に圧延材Wのプロファイル形状(図5(a)参照)を求める。このようにして求められた圧延材Wのプロファイル形状の情報を特徴点算出手段12に送る。
まず、プロファイル形状の頂点Xの位置情報を求める。プロファイル測定手段11のヘ
ッド部11aから測定対象の圧延材Wまでのレーザ光の距離が最も短い点を読み取り、その点をプロファイル形状の頂点Xとし、この点を位置情報として倒れこみ検出装置10に記憶する(図5(a)参照)。
算出した判定値αと予め設定されている閾値αzとを比較する。比較した結果、判定値αと閾値αzとの差が大きい、つまり判定値αと閾値αzとが近似した値、乃至は同じ数値ではない場合、圧延材Wは倒れこんでいると判定する。
以上述べたように、本発明の倒れこみ検出装置10及び倒れこみ方法を用いることで、圧延機6で条鋼を製造するに際して、精度よく且つ定常的に圧延材Wの倒れこみを検出して、圧延材Wの通材状態の良否を確実に判定することができる。そして、この判定結果を基に、通材中の圧延材Wの倒れこみを修正することで、条鋼を製造する際に発生する圧延材Wの疵や圧延機6のミスロール防止することが可能である。その結果、圧延材Wの通材状態を良好に維持することができるという効果をもたらす。
2 粗列圧延装置
3 中間列圧延装置
3a 第1中間列圧延装置
3b 第2中間列圧延装置
4 仕上げ列圧延装置
5 巻き取り装置
6 圧延機(圧延スタンド)
7 ワークロール
8 捻転装置(ツイスタ)
9 ツイストローラ
10 倒れこみ検出装置
11 プロファイル測定手段
11a ヘッド部
12 特徴点算出手段
13 判定手段
W 圧延材
Wa 基準となる圧延材
Wb 測定対象となる圧延材
Wc 移動した圧延材
X 頂点
X’ 曲率ピーク点
Xp ピーク点
Claims (4)
- 圧延材を圧延する上下一対のワークロールを有する圧延機と、前記圧延機の出側に配備され、且つ前記圧延材を周方向に回転させながら下流側の圧延機に送る捻転装置とを有した圧延設備に備えられて、前記捻転装置から送り出された圧延材の倒れこみを検出する倒れこみ検出装置であって、
前記圧延材は、断面が略楕円形状であって、当該圧延材の外周面における曲率がピークとなる点を少なくとも1つ以上有する輪郭形状を備えており、
前記倒れこみ検出装置は、前記捻転装置の出側にて前記圧延材のプロファイル形状を測定するプロファイル測定手段と、
前記プロファイル測定手段で得られたプロファイル形状を基に、当該プロファイル形状の頂点及びプロファイル形状の曲率ピーク点を求める特徴点算出手段と、
前記特徴点算出手段で算出された頂点の位置と前記曲率ピーク点の位置との差の絶対値である判定値と、予め設定されている閾値とが近似した値乃至は同じ数値ではない場合、前記圧延材が倒れこんでいると判定する判定手段と、を有する
ことを特徴とする倒れこみ検出装置。 - 前記プロファイル測定手段は、略楕円形状の断面を有する圧延材の長径の延長線上に配備されていることを特徴とする請求項1に記載の倒れこみ検出装置。
- 前記圧延材の断面外周面は、2つの放物曲線を有する楕円形状で構成され、前記断面外周面には、一の放物曲線と他の放物曲線とが交わり、且つ圧延材の外周面における曲率がピークとなる点が存在していて、
前記曲率がピークとなる点が、前記プロファイル形状の曲率ピーク点に対応するものとなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の倒れこみ検出装置。 - 圧延材を圧延する上下一対のワークロールを有する圧延機と、前記圧延機の出側に配備され、且つ前記圧延材を周方向に回転させながら下流側の圧延機に送る捻転装置とを有した圧延設備において、前記捻転装置から送り出された圧延材の倒れこみを検出する倒れこみ検出方法であって、
前記圧延材は、断面が略楕円形状であって、当該圧延材の外周面における曲率がピークとなる点を少なくとも1つ以上有する輪郭形状を備えているものとされ、
前記捻転装置の出側にて前記圧延材のプロファイル形状を測定するプロファイル測定工程と、
前記プロファイル測定工程で得られたプロファイル形状を基に、当該プロファイル形状の頂点及びプロファイル形状の曲率ピーク点を求める特徴点算出工程と、
前記特徴点算出工程で算出された頂点の位置と前記曲率ピーク点の位置との差の絶対値である判定値と、予め設定されている閾値とが近似した値乃至は同じ数値ではない場合、前記圧延材が倒れこんでいると判定する判定工程と、を有する
ことを特徴とする倒れこみ検出方法。
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