JP6091109B2 - 放射線遮蔽シート - Google Patents

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Description

本発明は、野積シート、地中埋設シート、間仕切り、テント倉庫、テント構造物等に好適な繊維シート構造物に関する。更に詳しく述べるならば、本発明は高度な放射線遮蔽性を有しながら、加工性、強度及び耐久性に富み使い勝手の良い放射線遮蔽シートに関するものである。
福島第一原子力発電所の事故により放射線漏れの脅威が問題となっている。従来、放射線遮蔽材として、放射線遮蔽能に優れた鉛を含有したものが使われている。鉛は環境対策による規制物質にも選定されており、その取り扱いは制限されて一般生活環境での使用は好ましくない。現在、鉛に替わる放射線遮蔽材料に関する検討が多くなされている。鉛に替わる材料としてタングステンも検討されているが、コストと加工面で課題が残り、使われる事は少ない。また、安価で環境に対する影響も鉛に比べて少ない硫酸バリウムが広く知られている。硫酸バリウムを用いた放射線遮蔽材は例えば特許文献1に記載されている。特許文献1によると、硫酸バリウムを熱可塑性樹脂に添加し、面積が大きなシート状に加工して取り扱う事を目的として、硫酸バリウムを75質量%以上含んだ樹脂のショアA硬さを95以下、密度を2.5g/cm以上、引張破断伸びを20%以上とすることを特徴としている。上記特許文献1では、シート強度が不充分で、遮水シートやテント倉庫のようなハードユースの使用に耐えられない。またシートを繋げて大面積で使用する場合もその繋げた部分の強度が不充分である。そこで、充分な耐久性を持ち、容易に加工可能で、高度な放射線遮蔽材が望まれており鋭意検討して本発明に至った。
特開2007−212304号公報
本発明は、かかる技術的背景を鑑みて高度な放射線遮蔽性を有しながら、加工性、強度及び耐久性に富み使い勝手が良く、野積シート、地中埋設シート、間仕切り、テント倉庫、テント構造物等に好適な放射線遮蔽シートの提供を目的としている。
本発明の放射線遮蔽シートは、繊維性基布と、前記基布の少なくとも1面上に形成された放射線遮蔽層とを有する可撓性シートであって、前記放射線遮蔽層が、(1)50質量%以上の硫酸バリウムで形成されており、且つ(2)前記硫酸バリウムに対して0.1〜3質量%のシランカップリング剤並びに、(3)前記硫酸バリウムに対して、1分子当たり2個以上のアクリロイル基を有する化合物による重合体を0.5〜5質量%含有し、(4)前記可撓性シートにおける硫酸バリウム含有量が500g/m以上であることを特徴とするものである。本発明の放射線遮蔽シートは、前記シランカップリング剤が、不飽和二重結合を持つ、ビニルシラン、アクリロキシシラン及びメタクリロキシシランから選ばれた1種以上であることが好ましい。本発明の放射線遮蔽シートは、前記基布と前記放射線遮蔽層の間に熱可塑性樹脂、シランカップリング剤および無機物質粒子とからなる接着層を有することが好ましい。本発明の放射線遮蔽シートは、前記接着層が前記接着層に対して前記無機物質粒子を5質量%以下で含み、前記基布に含浸かつ被覆されていることが好ましい。本発明の放射線遮蔽シートは、前記放射線遮蔽層を被覆する1以上の保護層が設けられ、前記保護層が無機物質粒子を含有し、その含有量が前記保護層に対して20質量%以下であることが好ましい。本発明の放射線遮蔽シートは、最外層にある前記可撓性シートの端部同士による突合せ部を被覆し、かつ前記可撓性シート同士をブリッジ形成するシーミング帯で溶着積層して幅繋ぎすることが好ましい。 本発明の放射線遮蔽シートは、前記シーミング帯が熱可塑性樹脂被覆布帛で形成され、前記熱可塑性樹脂被覆布帛を構成する熱可塑性樹脂がシランカップリング剤及び無機物質粒子を含み、前記熱可塑性樹脂に対して無機物質粒子の含有量が10質量%以下であることが好ましい。
本発明によると、強度及び高耐久性に富み、使い勝手が良く、容易に加工可能な高度な放射線遮蔽性を有するシートが得られるので、野積シート、地中埋設シート、間仕切り、テント倉庫、テント構造物等に好適に用いることができる。
突合せ法による放射線遮蔽シートの縫製 重ね合わせ法による放射線遮蔽シートの縫製
本発明の放射線遮蔽シートは、繊維性基布と樹脂層から構成される。本発明に用いられる繊維性基布としては、天然繊維、無機繊維、及び合成繊維などから選ばれた少なくとも1種からなる布帛を包含する。これらの基布中の繊維は、短繊維紡績糸、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状のものでも良い。また基布組織は織物、編み物、いずれであっても良く、使用目的に応じて、平織り、綾織、丸編、緯編、及び経編などの編織物を選ぶことができ、またその目付は50〜1000g/m程度とすることが好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては格別の制限はなく、塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質塩化ビニル樹脂)、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、アクリル系共重合体樹脂、及びウレタン系共重合体樹脂など単独で用いても良く、もしくは2種以上を併用しても良い。本発明において、放射線遮蔽層は前記樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含有し、放射線遮蔽層の基材への複合化方法は、例えば軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルを用いたコーティング加工等によって製造することができる。放射線遮蔽層には硫酸バリウム、シランカップリング剤、及び1分子当たり2個以上のアクリロイル基を有する化合物による重合体が必須である。放射線遮蔽層には、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料、抗菌剤、防かび剤等の各種添加剤を含んでいても良い。
本発明の放射線遮蔽シートにおける放射線遮蔽層には、バインダーの熱可塑性樹脂に対して50質量%以上の硫酸バリウムを含むことが必須であり、更に好ましくは80質量%以上の硫酸バリウムを含むことである。硫酸バリウムの含有量が50質量%未満の場合、放射線遮蔽性能が劣るものとなり、性能の低い遮蔽層を厚く塗工しても高い放射線遮蔽性を発現できず、実使用に耐える強度を持つ製品とはなり得ない。硫酸バリウムとしては格別の制限はなく、市販品を用いることができる。市販品の硫酸バリウムは固体粉末状であり、その粒子径に格別な制限はないが、バインダー樹脂との分散性及び放射線遮蔽層の強度の観点からは、一次粒子径は0.01〜15μmであることが好ましく、0.1〜3μmであることがより好ましい。一次粒子径が0.01μmを下回ると、2次凝集が起こりやすくその成形性を低下させる恐れがある。また、1次粒子径が15μmを超えると、放射線遮蔽層の機械的な強度が低下する。 本発明の放射線遮蔽シートにおける硫酸バリウムの含有量は500g/m以上が必須である。原子量の大きな金属は放射線の遮蔽性能が高く、遮蔽性能を高めるためにはより高濃度に遮蔽剤を含有させることが必要となり、硫酸バリウムの場合500g/m以上が好ましく、更に好ましくは800g/m以上である。硫酸バリウムの含有量が500g/m未満では、放射線の遮蔽効果が激減し、強度の強いガンマー線等の遮蔽効果が発現しなくなる。
本発明の放射線遮蔽シートにおける放射線遮蔽層には、シランカップリング剤が硫酸バリウムに対して0.1〜3質量%含むことが必須である。シランカップリング剤の含有量が0.1質量%未満では、硫酸バリウムとバインダー樹脂との接着が弱く実使用に耐える強度が得られない。また3質量%を超えると放射線遮蔽層の伸びが抑制され取り回しの際の負担が多く使い勝手が悪く、コスト的にも不利となる。シランカップリグ剤としては格別な制限は無く市販のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アクリロキシシラン及びメタクリロキシシラン等から選ばれた1種以上であることが放射線遮蔽層の強度アップの観点からより好ましい。
本発明の放射線遮蔽シートにおける放射線遮蔽層には、1分子当たり2個以上のアクリロイル基を有する化合物による重合体を硫酸バリウムに対して0.5〜5質量%含むことが必須である。0.5質量%未満では、硫酸バリウムを多く含むバインダー樹脂層の樹脂強度が実使用に耐えられないほど低下する。また5質量%を超えると放射線遮蔽層の伸びが抑制され取り回しの際の負担が多く使い勝手が悪く、コスト的にも不利となる。1分子当たり2個以上のアクリロイル基を有する化合物としては、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及び高分子鎖に複数のアクリロイル基を修飾させたポリマータイプを用いることができる。これらのアクリロイル基を有する化合物は放射線遮蔽層形成時に放射線遮蔽層内に液状可塑剤として含有され、それが硫酸バリウム粒子表面に効果的に接触し、さらに経時的にアクリロイル基同士が付加重合することでアクリロイル基を有する化合物がポリマー化して、その結果、放射線遮蔽層内に架橋ネットワークを形成する。この架橋ネットワークが硫酸バリウム粒子間を担持することで放射線遮蔽層の屈曲強度、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明の放射線遮蔽シートにおける接着層は繊維性基布と放射線遮蔽層の間に有り、繊維性基布に含浸かつ被覆された熱可塑性樹脂からなる。前記接着層に用いられる熱可塑性樹脂に格別な制限は無いが、繊維性基布と放射線遮蔽層の接着を強くする目的から放射線遮蔽層に用いられるバインダー樹脂との相性によって選ぶことができる。接着層に用いられる熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質塩化ビニル樹脂)、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、アクリル系共重合体樹脂、及びウレタン系共重合体樹脂など単独で用いても良く、もしくは2種以上を併用しても良い。接着を強くするためには接着層の樹脂強度が高いことが望ましいので、接着層に含まれる無機物質粒子は接着層に対して5質量%以下が好ましい。無機物質粒子が5質量%を超えると接着層の樹脂強度が低下して、繊維性基布と放射線遮蔽層間の接着力が弱くなり、実使用に耐えられないものとなる。前記接着層は繊維性基布に含浸していることが好ましく、接着層樹脂組成物を水に強制分散させたディスパージョン樹脂、接着層樹脂組成物を溶剤に溶かしたワニス樹脂、軟質塩化ビニル樹脂ペーストゾル等を、ディッピング加工及びコーティング加工で基布に含浸かつ被覆する事ができる。含浸量は目的とする接着性能が得られる量を適宜設定できる。
放射線遮蔽層は多量の硫酸バリウムを含んでおり、樹脂強度の低下は免れないため放射線遮蔽層を被覆する保護層として熱可塑性樹脂層を最外層に設けることが好ましい。また、基布を隔てて放射線遮蔽層と反対側に熱可塑性樹脂層を設けて最外層としてもよい。大面積で使用する場合にはシートを幅繋ぎすることがある。その場合にも熱可塑性樹脂層を最外層に設けることで、熱融着等の縫製方法で容易に大面積のシートを作製することができる。熱可塑性樹脂層に格別な制限は無いが、基布、接着層、及び放射線遮蔽層との相性によって選ぶことができ、塩化ビニル樹脂(可塑剤、安定剤等を配合した軟質塩化ビニル樹脂)、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、アクリル系共重合体樹脂、及びウレタン系共重合体樹脂など単独で用いても良く、もしくは2種以上を併用しても良い。保護層としての耐久性や縫製時の縫製部強度保持を目的として、熱可塑性樹脂層中の無機物資粒子の含有量は熱可塑性樹脂層に対して20質量%以下が好ましい。無機物質粒子の含有量が20質量%を超えると樹脂強度の低下が大きく、保護層としての耐久性や縫製時の縫製部強度保持が乏しくなる。
本発明の放射線遮蔽シートは大面積で使用する場合の使い勝手の良さも求められており、熱融着による縫製性も重要な要求性能となる。本発明の放射線遮蔽シートは、硫酸バリウムを多量に含む層があるため、熱融着時にはその層に負荷がかかることを避けるのが好ましい。よって縫製時には、基布を隔てて放射線遮蔽層と反対側に設けられた最外層の熱可塑性樹脂層を使った突合せの縫製方法が好ましい。突合せの縫製時には、熱可塑性樹脂被覆布帛で形成され、前記熱可塑性樹脂被覆布帛を構成する熱可塑性樹脂がシランカップリング剤及び無機物質粒子とを含み、前記熱可塑性樹脂に対して10質量%以下の無機物質粒子を含有するシーミング帯であることが好ましく、更に好ましくは5質量%以下である。前記無機物質粒子が10質量%を超えると、縫製条件が狭くなり、且つ縫製部強度の低下が大きく、実用途での耐久性に乏しいものとなる。
本発明を下記の実施例及び比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものでない。下記に示す試験方法に基づいて本発明の放射線遮蔽シートの性能評価を行った。
[放射線遮蔽性能評価]
JIS Z 4501「X線防護用品の鉛当量試験方法」に準拠して測定した。なお、鉛当量は鉛シートの1mm当たりに換算した数値で評価した。
[耐屈曲性評価]
JIS P 8115に準拠した方法でMIT試験機を用いて測定した。測定前後のサンプルを JIS L 1096に準拠した方法で測定し、強度保持率を評価した。
[縫製部強度評価]
JIS L 1096に準拠した方法で測定した。突合せによるウェルダー縫製では、シーミングテープとして前述した熱可塑性樹脂を用いたターポリンを使用した。
[クリープ試験]
突合せによりウェルダー縫製した試験品サンプルに本体強度の1/10荷重の負荷をかけ、試験槽内温度65℃の条件下でサンプルを試験機に24時間設置した。試験後のサンプルの状態を以下の判断基準で評価した。
○:サンプル本体に損傷が無く、製品機能上の問題が無い。
×:サンプルの本体破壊または接合部破壊により、製品機能上の問題がある。
〔実施例1〕
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
295.3dtex(20番手)/2×295.3dtex/2(20番手)
56×50(本/インチ)
を使用した。基布質量は250g/mであった。また、軟質ポリ塩化ビニル樹脂を用いて、下記組成の放射線遮蔽層形成ペーストゾルを調整した。
(放射線遮蔽層ペーストゾル配合)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
硫酸バリウム 1200質量部
ビニルシラン(シランカップリング剤) 6質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 12質量部
(アクリロイル基を4個有する化合物で、付加重合性を有する)
配合中の硫酸バリウムは87質量%であり、硫酸バリウムに対してシランカップリング剤は0.5質量%である。配合を上記基布の片面に間隙0.6mmのクリアランスコートを施し、180℃で2分間熱処理することで放射線遮蔽層を形成した。塗工時にトルエンを用いて適宜、配合の粘度を調整した。形成された放射線遮蔽シートの総質量は2400g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は2150g/mであり、硫酸バリウム含有量は1870g/m、77質量%であった。評価結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1と同様に得られた放射線遮蔽シートの放射線遮蔽層の無い面に、下記組成の0.15mm厚みの熱可塑性樹脂フィルムをラミネーターにて熱貼着させた。
(最外層熱可塑性樹脂層配合1)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 50質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
紫外線吸収剤 0.3質量部
得られた放射線遮蔽シートの総質量は2600g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は2150g/mであり、硫酸バリウム含有量は1870g/m、72質量%であった。評価結果を表1に示す。
〔実施例3〕
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
295.3dtex(20番手)/2×295.3dtex/2(20番手)
56×50(本/インチ)
を使用した。基布質量は250g/mであった。軟質ポリ塩化ビニル樹脂を用いて、下記組成の接着層形成ペーストゾルを調整した。
(接着層ペーストゾル配合1)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 70質量部
硫酸バリウム 5質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
接着層ペーストゾルに前記基布を浸漬してマングルで絞り、170℃で1分間熱処理して基布に接着層を含浸塗工した。接着層の付着量は250g/mであった。実施例2と同様に放射線遮蔽層配合1を得られた接着層の片面に間隙0.60mmのクリアランスコートを施し、180℃で2分間熱処理することで放射線遮蔽層を形成し、更に放射線遮蔽層の無い接着層上に最外層熱可塑性樹脂層配合1を実施例2と同様に積層した。形成された放射線遮蔽シートの総質量は2850g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は2150g/mであり、硫酸バリウム含有量は1870g/m、66質量%であった。評価結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例3と同様に放射線遮蔽シートを作製した。更に放射線遮蔽層上にも最外層熱可塑性樹脂層配合1からなる最外層熱可塑性樹脂フィルムを0.12mm厚みで積層した。形成された放射線遮蔽シートの総質量は3000g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は2150g/mであり、硫酸バリウム含有量は1870g/m、63質量%であった。評価結果を表1に示す。
〔実施例5〕
実施例4と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し繊維性基布として、
ポリエステルフィラメント糸高密度平織布:
1111dtex×1111dtex
20×22(本/インチ)
を使用した。基布質量は200g/mであった。このときの接着層の付着量は200g/mであり、形成された放射線遮蔽シートの総質量は2900g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は2150g/mであり、硫酸バリウム含有量は1870g/m、65質量%であった。評価結果を表1に示す。
〔実施例6〕
実施例5と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し繊維性基布として、
ガラスフィラメント糸高密度平織布:
67.5dtex×67.5dtex
44×33(本/インチ)
を使用した。基布質量は220g/mであった。このときの接着層の付着量は80g/mであり、形成された放射線遮蔽シートの総質量は2800g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は2150g/mであり、硫酸バリウム含有量は1870g/m、67質量%であった。評価結果を表1に示す。
〔実施例7〕
実施例1と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し、放射線遮蔽層を繊維性基布の両面に積層した。形成された放射線遮蔽シートの総質量は4550g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は4300g/mであり、硫酸バリウム含有量は3740g/m、82質量%であった。評価結果を表1に示す。
〔実施例8〕
実施例4と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し、放射線遮蔽層の硫酸バリウム量を増やし、シランカップリング剤としてアクリロキシシランを使用した。
(放射線遮蔽層ペーストゾル配合2)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
硫酸バリウム 1600質量部
アクリロキシシラン(シランカップリング剤) 6質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 12質量部
(アクリロイル基を4個有する化合物で、付加重合性を有する)
配合2中の硫酸バリウムは90質量%であり、硫酸バリウムに対してシランカップリング剤は0.4質量%である。
配合2を上記基布の片面に間隙0.6mmのクリアランスコートを施し、180℃で2分間熱処理することで放射線遮蔽層を形成した。塗工時にトルエンを用いて適宜、配合2の粘度を調整した。形成された放射線遮蔽シートの総質量は3300g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は2450g/mであり、硫酸バリウム含有量は2130g/m、65質量%であった。評価結果を表1に示す。
〔実施例9〕
実施例6と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し、吸水防止処理工程を追加した。
(吸水防止配合1)
フッ素系樹脂 6質量部
水 94質量部
形成された放射線遮蔽シートの総質量は2900g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は2150g/mであり、硫酸バリウム含有量は1870g/m、65質量%であった。評価結果を表1に示す。
〔シーミング帯1の作製〕
ポリエステルフィラメント糸高密度平織布:
1111dtex×1111dtex
20×22(本/インチ)
に下記組成の0.15mm厚の熱可塑性樹脂フィルムをラミネーターにて両面それぞれ熱貼着させた。
(シーミング帯用フィルム配合1)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 55質量部
硫酸バリウム 10質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
紫外線吸収剤 0.3質量部
〔シーミング帯2の作製〕
ガラスフィラメント糸高密度平織布:
67.5dtex×67.5dtex
44×33(本/インチ)
を下記組成のシーミング帯用ペーストゾルに浸漬してマングルで絞り、170℃で1分間熱処理した後、下記組成の0.15mm厚みの熱可塑性樹脂フィルムをラミネーターにて両面それぞれ熱貼着させた。
(シーミング帯用ペーストゾル配合1)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 70質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
(シーミング帯用フィルム配合1)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 55質量部
硫酸バリウム 10質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
紫外線吸収剤 0.3質量部
〔実施例10〕
実施例3で作製した放射線遮蔽シートを縫製時に、最外層熱可塑性樹脂面に40mm幅シーミング帯2を用いて20mmラップにて突合せ法(図1参照)により高周波融着機にて熱融着した。高周波融着条件は以下条件で行った。
[高周波溶着条件]
溶着電流:0.7A
溶着時間:6秒
冷却時間:4秒
〔実施例11〕
実施例4で作製した放射線遮蔽シートを縫製時に、ラップ幅40mmで重ね合わせ法(図1参照)により高周波融着機にて熱融着した。高周波融着条件は以下条件で行った。
[高周波溶着条件]
溶着電流:0.7A
溶着時間:6秒
冷却時間:4秒
〔実施例12〕
実施例6で作製した放射線遮蔽シートを縫製時に、最外層熱可塑性樹脂面に40mm幅シーミング帯2を用いて20mmラップにて突合せ法(図1参照)により高周波融着機にて熱融着した。高周波融着条件は以下条件で行った。
[高周波溶着条件]
溶着電流:0.7A
溶着時間:6秒
冷却時間:4秒
〔実施例13〕
実施例6で作製した放射線遮蔽シートを縫製時に、ラップ幅40mmで重ね合わせ法(図1参照)により高周波融着機にて熱融着した。高周波融着条件は以下条件で行った。
[高周波溶着条件]
溶着電流:0.7A
溶着時間:6秒
冷却時間:4秒
〔比較例1〕
実施例4と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し、放射線遮蔽層の硫酸バリウムが少ない配合とした。
(放射線遮蔽層ペーストゾル配合3)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
硫酸バリウム 800質量部
ビニルシラン(シランカップリング剤) 6質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 12質量部
(アクリロイル基を4個有する化合物で、付加重合性を有する)
配合3中の硫酸バリウムは81質量%であり、硫酸バリウムに対してシランカップリング剤は0.8質量%になる。形成された放射線遮蔽シートの総質量は2750g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は1900g/mであり、硫酸バリウム含有量は1540g/m、56質量%であった。評価結果を表2に示す。
〔比較例2〕
実施例4と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し、放射線遮蔽層のシランカップリング剤を除いた配合とした。
(放射線遮蔽層ペーストゾル配合4)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
硫酸バリウム 1200質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 12質量部
(アクリロイル基を4個有する化合物で、付加重合性を有する)
配合4中の硫酸バリウムは87質量%である。形成された放射線遮蔽シートの総質量は2750g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は1900g/mであり、硫酸バリウム含有量は1650g/m、60質量%であった。評価結果を表2に示す。
〔比較例3〕
実施例4と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し、放射線遮蔽層のシランカップリング剤を増やした配合とした。
(放射線遮蔽層ペーストゾル配合5)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
硫酸バリウム 1200質量部
ビニルシラン(シランカップリング剤) 12質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 12質量部
(アクリロイル基を4個有する化合物で、付加重合性を有する)
配合5中の硫酸バリウムは86質量%であり、硫酸バリウムに対してシランカップリング剤は1質量%である。形成された放射線遮蔽シートの総質量は2800g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は1950g/mであり、硫酸バリウム含有量は1680g/m、60質量%であった。評価結果を表2に示す。
〔比較例4〕
実施例4と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し、放射線遮蔽層のアクリロイル基を有する化合物を除いた配合とした。
(放射線遮蔽層ペーストゾル配合6)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
硫酸バリウム 1200質量部
ビニルシラン(シランカップリング剤) 6質量部
配合6中の硫酸バリウムは87質量%であり、硫酸バリウムに対してシランカップリング剤は0.5質量%になる。形成された放射線遮蔽シートの総質量は2700g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は1850g/mであり、硫酸バリウム含有量は1600g/m、60質量%であった。評価結果を表2に示す。
〔比較例5〕
実施例4と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し、放射線遮蔽層のアクリロイル基を有する化合物を増やした配合とした。
(放射線遮蔽層ペーストゾル配合7)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP(ジオクチルフタレート、可塑剤) 65質量部
エポキシ化大豆油 2質量部
Ba−Zn系安定剤 1質量部
硫酸バリウム 1200質量部
ビニルシラン(シランカップリング剤) 6質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 20質量部
(アクリロイル基を4個有する化合物で、付加重合性を有する)
配合7中の硫酸バリウムは86質量%であり、硫酸バリウムに対してシランカップリング剤は0.5質量%である。形成された放射線遮蔽シートの総質量は2500g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は1700g/mであり、硫酸バリウム含有量は1460g/m、58質量%であった。評価結果を表2に示す。
〔比較例6〕
実施例4と同様に放射線遮蔽シートを作製した。但し、クリアランスコートの間隙を薄くしてm当たりの硫酸バリウム量が少ない設計とした。形成された放射線遮蔽シートの総質量は1950g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は1100g/mであり、硫酸バリウム含有量は960g/m、49質量%であった。評価結果を表2に示す。
〔比較例7〕
特許文献1、特開2007−212304信越ポリマー株式会社出願の放射線遮蔽用シート実施例1に基づきシートを作製、2枚重ね合わせて縫製する設計とした。形成された放射線遮蔽シート1枚の総質量は5240g/mであった。そのシート中の硫酸バリウム含有量は4035g/m、77質量%であった。2枚重ね合わせた際の放射線遮蔽シートの質量は10480g/m、そのシート中の硫酸バリウム含有量は8070g/m、77質量%であった。評価結果を表2に記す。
〔比較例8〕
比較例7と同様に放射線遮蔽用シートを作製した。但し、繊維性基布として、
ポリエステルフィラメント糸低密度平織布:
1111dtex×1111dtex
2×2(本/インチ)
を使用した。基布質量は20g/mであった。その基布の両面に放射線遮蔽シートを積層した。形成された放射線遮蔽シート1枚の総質量は10500g/mであった。そのシート中の放射線遮蔽層の質量は10480g/mであり、硫酸バリウム含有量は8070g/m、77質量%であった。評価結果を表2に記す。
以上説明した本実施形態の放射線遮蔽シートであれば、鉛、タングステン等の高比重の放射線遮蔽材と比べて、低比重で取り扱いの容易な硫酸バリウムを多量添加した配合で放射線遮蔽性能を付与することが可能となる。実施例4、5、6に示すように、被膜強度の弱い放射線遮蔽層の上面に熱可塑性樹脂フィルムを積層、保護することにより最外層に耐屈曲性、耐摩耗性を付与することが可能となる。また、高強度ターポリンをシーミングテープに用いて最外層熱可塑性樹脂フィルムと突合せウェルダー縫製することで、高い縫製部強度を保持したまま大面積のシート作製が可能となる。放射線汚染地域では撤去された瓦礫、削り取った表土等の汚染物質が大量に回収されているが中間貯蔵施設への移送までの保管場所には近隣地域への配慮が必要となり、作業が効率的に進んでいないのが現状である。しかし、大面積に縫製された放射線遮蔽シートであれば大容量の汚染物質を被覆することが出来、汚染物質から発せられる放射線をシート内で極力遮蔽することが可能となる。従って特に、野積シート、地中埋設シート、間仕切り、テント倉庫、テント構造物等での用途が見込まれる。
1:放射線遮蔽シート
2:シーミング帯

Claims (4)

  1. 繊維性基布と、前記基布の少なくとも1面上に形成された放射線遮蔽層とを有する可撓性シートであって、前記放射線遮蔽層の50質量%以上が硫酸バリウムで形成され、且つ前記硫酸バリウムに対して、0.1〜3質量%のシランカップリング剤を含み、更に、前記硫酸バリウムに対して、1分子当たり2個以上のアクリロイル基を有する化合物による重合体を0.5〜5質量%含有し、前記可撓性シートにおける硫酸バリウム含有量が500g/m以上であり、アクリロイル基を有する化合物が前記放射線遮蔽層内に含有されて前記硫酸バリウム粒子の表面に接触し、さらにポリマー化して、前記放射線遮蔽層内に形成された架橋ネットワークが前記硫酸バリウムの粒子間を担持することを特徴とする放射線遮蔽シート。
  2. 前記放射線遮蔽層を被覆する1以上の保護層が設けられ、前記保護層が無機物質粒子を含有し、その含有量が前記保護層に対して20質量%以下である請求項1に記載の放射線遮蔽シート。
  3. 前記シランカップリング剤が、ビニルシラン、アクリロキシシラン及びメタクリロキシシランから選ばれた1種以上である請求項1または2に記載の放射線遮蔽シート。
  4. 前記可撓性シートが幅繋され、前記可撓性シートの端部同士による突合せ部を有し、さらに前記突合せ部を被覆し、かつ前記可撓性シート同士をブリッジ形成するシーミング帯が溶着積層されている請求項1〜のいずれか1項に記載の放射線遮蔽シート。
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