JP6090294B2 - 気体濾過装置および気体濾過方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数種類の気体が混合した混合気体から特定の気体を分離する、または気体中に浮遊する粉体を除去する気体濾過装置および気体濾過方法に関する。
分子ふるいと呼ばれる多孔体膜を利用して分子径の異なる気体同士を分離する技術が知られている。多孔体膜の多数の細孔を有し、細孔の径より大きな分子径の気体は多孔体膜を通過できず、細孔の径より小さい分子径の気体を濾過することができる。下記非特許文献1には、分子ふるいとしてゼオライト膜を利用し、二酸化炭素、メタン、水素などを分離する技術が記載されている。
また、下記特許文献1には、希薄気体において生じる熱遷移流を利用して気体の分離を行う技術が開示されている。希薄気体においては、希薄気体中に温度勾配がある面が存在すると、この面に沿って低温部から高温部に向かう流れが誘起される。この流れが熱遷移流である。気体が希薄かどうかは、気体分子の平均自由行程と取り扱う系の代表長との比で決まるため、大気圧下のような濃い気体でも孔径が数十nm程度のナノ多孔体内では希薄気体として振る舞う。特許文献1に開示された方法は、気体の分子量による熱遷移流の強さの違いを利用して、混合気体を分離している。
特開2006−218421号公報
"ガス分離システム"、[online]、日本ガイシ、[平成26年8月4日検索]、インターネット<URL:http://www.ngk.co.jp/product/industrial/membrane/subnano_separation_02.html> K.Aoki,S.Takata,and K.Kugimoto,in Rarefied Gas Dynamics,Abe,T.ed.,AIP,Melville,953(2009)
気体分子は極めて小さく、分子ふるいの細孔は非常に小さなものとなる。このため、分子ふるいを流体が通過するときの抵抗は極めて大きく、通過に、つまり気体を分離または濾過するのに多くの時間を要する。気体の通過速度を高めるために、分子ふるいの前後で圧力差を設けることが行われているが、分子ふるいの強度によって圧力差が制限されてしまう。より大きな圧力差を発生させるためには、分子ふるいの膜厚を厚くしなければならないが、これは流体の抵抗を高めてしまい、気体の通過速度を効率よく高めることができず、場合によっては返って通過速度を低くしてしまう。
上記特許文献1では、気体の分子量によって異なる熱遷移流の強さを利用して気体を分離している。しかし、気体分子量による熱遷移流の強さの差はそれほど大きくなく、十分な分離を行うことができない。特許文献1では、十分に分離するために、熱遷移流を生じさせるポンプユニットを多段化している。多段化は、加熱器、冷却器を交互にいくつも並べていくことにより、装置の複雑化、肥大化にもつながる。また、気体がポンプユニットを通過するたびに加熱、冷却を繰り返すため、効率を高めることが難しい。
本発明は、効率よく気体の濾過する装置および方法を提供することを目的とする。
本発明に係る気体濾過装置は、多孔体膜で互いに隔てられた第1室と第2室と、多孔体膜の表裏の面の間に温度差を生じさせる温度差生成装置と、第1室と第2室を加圧する加圧装置とを有する。第1室には、混入物を含んだ第1の気体が収容される。第2室には、濾過した後の第1の気体が収容される。多孔体膜は、第1の気体の分子径より大きく、かつ混入物の径より小さな径の細孔を有し、多孔体膜の表裏の面の間に温度差があると細孔を通って低温側の面から高温側の面に向かう熱遷移流を生じさせる。加圧装置は、多孔体膜内において第1の気体に関するクヌセン数が0.1以上となる圧力の範囲で第1室と第2室の加圧を行う。
本発明においては、気体が多孔体膜を通過するための駆動力を熱遷移流により得ている。このため、多孔体膜により隔てられた空間の間に圧力差を設ける必要がなく、薄い多孔体膜を採用することが可能となる。
クヌセン数Knは、気体の希薄度を表すパラメータであり、気体の平均自由行程Lと代表長の比である。多孔体膜においては、代表長は細孔径Dである。
Kn=L/D
クヌセン数Knは、数値が大きいほど気体が希薄であることを示す。気体の圧力を高くすると、クヌセン数は小さくなり熱遷移流の流速が減少する。熱遷移流の流速の低下は、質量流量を低下させる要因であるが、一方密度の上昇は質量流量を増加させる要因である。気体の分子径は、ほとんどが1nm以下であるので、細孔径を例えば0.3nm程度とし、大気圧での気体の平均自由行程を60nmとすれば、クヌセン数Knは約200となる。加圧して、クヌセン数Knが0.1程度となっても、密度の増加による効果が熱遷移流の流速低下の効果を上回り、質量流量が増加する。本発明においては、第1室および第2室を加圧することで、質量流量を増加させ、気体の濾過の速さを高めている。
第1の気体に混入した混入物は、第1の気体より分子径の大きい第2の気体であってよい。2種の気体の比率は、第1の気体が多くてもよく、第2の気体が多くてもよい。多孔体膜の細孔径は、2種の気体の分子径の間の値とし、これにより多孔体膜によって第2の気体を取り除き、第1の気体を濾過することができる。
第1の気体に混入した混合物は、第1の気体中に浮遊する粒子であってよい。浮遊粒子の径は、気体の分子径より大きく、多孔体膜の細径は、第1の気体の分子径より大きく、浮遊粒子の径より小さい値とする。これにより、多孔体膜によって浮遊粒子を取り除き、第1の気体を濾過することができる。
加圧装置は、加圧に際して第1室と第2室の圧力が等しい状態を維持しつつ加圧を行う。これによれば、多孔体膜に圧力による力が作用せず、多孔体膜を薄くすることができる。
加圧装置は、混入物を含む第1の気体を第1室に供給する供給装置と、濾過された第1の気体を第2室から排出する排出装置を含むものとすることができる。供給装置が第1室に混入物を含む第1の気体を供給することにより第1室が加圧される。濾過処理の進行と共に第1室内の第1の気体は減少し、この分を供給装置から供給することにより、第1室の圧力が維持される。また、排出装置が第2室より第1の気体を排出することにより第2室の圧力が維持される。濾過の進行と共に第2室には第1の気体が送られ、この気体を排出装置により排出することにより、第2室の圧力が維持される。
本発明に係る気体濾過方法は、多孔体膜により隔てられた第1室および第2室を形成するステップと、第1室に混入物を含む第1の気体を収容し、第2室に第1の気体を収容するステップと、多孔体膜内において第1の気体に関するクヌセン数が0.1以上となる圧力の範囲で第1室の圧力と第2室の圧力を加圧するステップと、多孔体膜の第2室に対向する面の温度を、多孔体膜の第1室に対向する面の温度よりも高くして多孔体膜に熱遷移流を発生させるステップと、を有する。多孔体膜は、第1の気体の分子径より大きく、かつ混入物の径より小さな径の細孔を有する。
分子ふるいとなる多孔体膜の表裏に圧力差を設けることなく、気体の流量を増加させることができる。
本発明の実施形態である気体濾過装置の概略構成を示す図である。 クヌセン数と無次元流速の関係を示す図である(非特許文献2から抜粋)。 クヌセン数と質量流量の関係を示す図である。 熱遷移流による流れの駆動力を説明するための図である。 他の実施形態の気体濾過装置の概略構成を示す図である。 さらに他の実施形態の気体濾過装置の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の気体濾過装置10の概略構成を示す図である。閉じた空間を形成するハウジング12は、多孔体膜14によって隔てられた第1室16と第2室18を有する。気体濾過装置10は、第1室16に気体を供給する第1ポンプ20、および第2室に気体を供給する第2ポンプ22を有する。第1ポンプ20は、第1供給管24を介して第1室16に気体を供給する。第2ポンプ22は、第2供給管26を介して第2室18に気体を供給する。第1ポンプ20および第2ポンプ22は、それぞれ気体を供給することにより、第1室16および第2室18を加圧することができる。さらに、第1室16内の圧力が所定値以上となったとき開いて、第1室16内の圧力を解放する第1レギュレータ28が第1排出管30に設けられている。また、第2室18内の圧力が所定値以上となったとき開いて、第2室18内の圧力を解放する第2レギュレータ32が第2排出管34に設けられている。第1および第2ポンプ20,22と第1および第2レギュレータ28,32は、第1室16と第2室18の圧力を等しい状態に維持しつつ、加圧する加圧装置として機能する。第2供給管26には閉止バルブ36を設けることができる。第2室18を加圧した後においては、第2ポンプ22による気体の供給は不要であるので、閉止バルブ36によってこの流路を閉止し、第2室18からの気体の流出を防止する。第2ポンプ22が逆流防止機能を有している場合、閉止バルブ36を省略することができる。また、閉止バルブ36は、第2室18に流入する流れのみ許容する逆止弁とすることもできる。
第2室18内にヒータ38が設けられている。ヒータ38は、多孔体膜14の第2室18に対向する面14bを加熱する。この面14bを多孔体膜の第2面14bと記す。また、多孔体膜14の第1室に対向する面を多孔体膜の第1面14aと記す。ヒータ38は、多孔体膜の第2面14bを加熱することにより、多孔体膜の第2面14bの温度を第1面14aの温度より高くする。よって、ヒータ38は、第2面14bの温度を第1面14aの温度より高くする温度差生成装置として機能する。温度差生成装置は、多孔体膜の第1面14aを冷却するクーラであってもよく、またヒータ38とこのクーラを組み合わせたものであってもよい。
多孔体膜14は、第1室16と第2室18を連通する多数の細孔を有し、細孔の径は、対象となる気体の濾過が可能な値にされる。例えば、水素と酸素の混合した気体から水素を濾過する場合には、水素の分子径0.289nmと酸素の分子径0.346nmの間の値、例えば0.3nmに細孔径を定める。大気圧下の気体の平均自由行程は、60nm程度であるから、大気圧における細孔径0.3nmの多孔体膜14のクヌセン数Knは、約200(=60/0.3)である。クヌセン数Knが200であることは超希薄状態を表し、この状態において多孔体膜14の表裏に温度差が生じると、多孔体膜14内に熱遷移流が生じる。多孔体膜14の表裏に温度差を生じさせるためには、多孔体膜14自体の熱伝導率は低い方が好ましい。多孔体膜14として、熱伝導率が、0.2〜2[W/(m・K)]の材料を用いることができ、例えばゼオライトを用いることができる。
気体濾過装置10において、ハウジング12内を加圧することにより、気体の希薄度は低下し、希薄気体に特有の現象である熱遷移流は弱くなる。これは、第1室16から第2室18に送られる気体の質量流量を減少させるよう作用する。一方、加圧による密度の上昇は質量流量を増加させる。つまり、熱遷移流による流速の低下の影響を、加圧による密度の上昇の影響が上回れば、質量流量を増加させることができる。
熱遷移流の流速と密度(圧力)の関係を説明する。この説明において、対象の気体として水素と酸素を例に挙げる。この場合の多孔体膜14の細孔径は上述のように0.3nmであり、大気圧におけるクヌセン数Knは200である。
希薄気体の円管内流れの質量流量は、上記非特許文献2に記載されるように、次式(1)で表される。
Figure 0006090294
無次元流速MP(Kn),MT(Kn)は、クヌセン数Knの関数である。ボルツマン定数k、管路半径R0、気体温度T0、気体分子の質量m、圧力勾配dp/dX3、温度勾配TW/dX3を一定とする。密度ρ0は、温度が一定であれば圧力p0の関数(ρ0=α×p0(αは定数))となる。よって、式(1)は、式(2)と表せる。
M=γ1×MP(Kn)+γ2×p0×MT(Kn) ・・・(2)
γ1,γ2は定数
クヌセン数Knは、管路半径R0が一定であれば、圧力p0の関数(Kn=β×p0(βは定数))である。よって、質量流量Mは圧力p0のみの関数である。
図2は、クヌセン数Knに対する無次元流速MP(Kn),MT(Kn)を示す図である。上述のように、細孔径が0.3nmの場合、大気圧におけるクヌセン数Knは200である。200気圧に加圧したとき、圧力に関する無次元流速MP(Kn)は、ほぼ変化がなく、熱遷移流に関する無次元流速MT(Kn)は、0.37から0.18に半減する。一方、圧力p0は200倍となっているので、式(2)から質量流量Mは約100倍となる。つまり、圧力を大気圧に対して200倍とすることで、流速は1/2となるものの、密度が200倍になるため質量流量は100倍とすることができる。
式(2)の右辺第1項は、第1室16と第2室18の圧力差に起因する質量流量を表している。この実施形態の気体濾過装置10においては、第1室16と第2室18は基本的に等しい気圧に維持されるから、右辺第1項は考慮しなくてよい。図2を見ると、圧力差に関する無次元流速MP(Kn)は、クヌセン数Knが1以下で、変化する傾向があるが、この気体濾過装置10については、これを考慮しなくてよい。したがって、この気体濾過装置10に関して、式(2)は、式(3)に置き換えられる。
M=γ2×p0×MT(Kn) ・・・(3)
図3は、クヌセン数Knに対する円管内の熱遷移流の質量流量(p0×MT(Kn))を示す図である。図3において、質量流量は、クヌセン数Knが0.01のときの値で正規化されている。クヌセン数Knが小さいほど、つまり加圧するほど質量流量が増加することが分かる。特に、クヌセン数Knが0.1以上の範囲では、加圧による圧力の増加(クヌセン数の低下)に対して質量流量が大きく向上していることが分かる。したがって、クヌセン数Knが0.1以上の範囲で加圧した状態で気体濾過装置10を動作させることで、効率的に気体の濾過、分離が行える。
次に、気体の多孔体膜通過に関し、熱遷移流を利用する場合と、圧力差を利用する場合の比較を行う。多孔体膜の細孔径が0.3nm、圧力を20MPa程度まで加圧する場合を例に挙げる。このときのクヌセン数Knは、約1である。
図4は、多孔体膜50により隔てられた第1空間52と第2空間54を有する密閉空間を示す。多孔体膜50は、第1空間52に対向する面50a、第2空間54に対向する面50bを有する。第1および第2空間52,54を20MPaに加圧し、これらの空間内の温度を一定に保ちつつ、多孔体膜50の面50aの温度を250K(−23℃)、面50bの温度を500K(227℃)とする(図4の(a)参照)。多孔体膜50の表裏の温度差のために、多孔体膜50内に熱遷移流が発生し、第1空間52から第2空間54に向かう流れが生じる。この気体の移動により、第1空間52と第2空間54の間に圧力差が生じる。この圧力差は、熱遷移流による流れとは逆向きの流れを発生させる。熱遷移流による流れと、圧力差による流れが均衡したところで、定常状態となる(図4の(b)参照)。
クヌセン数Knが十分大きい場合には、定常状態における二つの空間の圧力p1,p2の比は、絶対温度T1,T2の比の1/2乗となることが知られている。
1/p2=(T1/T2)1/2
1=250K、T2=500Kであり、初期状態ではp1,p2=20MPaであったので、定常状態では、第1空間52の圧力p1は16.7MPa、第2空間54の圧力p2は23.4MPaとなる。したがって、このときの熱遷移流は、多孔体膜50に隔てられた空間の間に6.7MPaの圧力差を与えたとき同等の流れを発生させることが分かる。上記の非特許文献1においては、圧力差を0.2〜0.3MPa(供給圧力0.3〜0.4MPa)として気体分離を行っており、これに比して熱遷移流による流れは、非常に大きなものであることが理解できる。
次に、気体濾過装置10による濾過処理の工程について説明する。第1室に分離対象となる気体、例えば水素と酸素の混合気体を第1ポンプ20により第1室16に供給し、20MPaまで加圧する。これと同時に第2室18に水素を第2ポンプ22により第2室18に供給し、20MPaまで加圧する。加圧する圧力は、第1および第2レギュレータ28,32によって調整することができる。加圧終了後は、閉止バルブ36を閉じる。
次に、ヒータ38により、多孔体膜の第2面14bを加熱する。これにより、熱遷移流が生じ、水素が選択的に透過されて第2室18に送られる。水素が送られてくる第2室18の圧力は上昇し、上昇した分の水素が第2レギュレータ32を開放して放出される。一方、第1室16は水素が送り出された分、圧力が下がり、その分が第1ポンプ20により供給される。過剰になった酸素は第1レギュレータ28を開放して放出される。以上により、継続的に水素が濾過される。
開始時において、第2室18に純粋な水素を供給することができないときには、第2室18に第1室16と同じ気体、つまり酸素と水素の混合気体を供給し、しばらくの間は、酸素が含まれているので第2レギュレータ32から放出される気体は捨てるか、または回収して再度第1室16に供給する。放出される気体の水素の濃度が十分高くなった状態で利用を始める。
図5は、他の実施形態の気体濾過装置60の構成を示す図である。前述した気体濾過装置10と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。気体濾過装置60においては、第1ポンプ20により、第1室16および第2室18に混合気体、例えば酸素と水素を送る。第1供給管24から分岐した分岐管62が第2室18まで延びている。分岐管62には、第1閉止バルブ64が設けられている。
酸素と水素を分離対象の気体の例として、気体濾過装置60の動作について説明する。開始時において、第1室16および第2室18に酸素と水素の混合気体を第1ポンプ20により供給し、所定圧力まで加圧する。混合気体の供給、加圧が終了した時点で第1閉止バルブ64を閉じ、ヒータ38により多孔体膜の第2面14bを加熱する。これにより熱遷移流が発生し、水素が多孔体膜14を通過する。初期においては、第2室18には、開始時に第2室18に供給された酸素が残っているために、混入物のない水素は得られないので、第2レギュレータ32から放出される気体は捨てるか、または回収して再度第1室に供給する。ある程度時間が経てば、第2室18内の酸素がなくなり、混入物のない水素を得ることができる。
以上は、酸素と水素を分離する場合を例に挙げて説明したが、他の気体にも適用できる。例えば、二酸化炭素の分子径は0.33nm、メタンの分子径は0.38nmであるので、細孔径0.36nmの多孔体膜を用いて分離をすることができる。この多孔体膜における大気圧(平均自由行程68nm)でのクヌセン数Knは約190である。前述したように、クヌセン数Knが0.1以上の範囲で質量流量の大きな向上が望めるので、19MPaまで加圧して、メタンから二酸化炭素を分離(濾過)する処理を行う。気体の分子径は1nm以下と考えられるので、混合気体から特定の気体を濾過する場合、多孔体膜の細孔径は、1nm以下であり、濾過対象の気体の分子径より大きく、除去する気体の分子径より小さい径とする。
また、気体濾過装置10,60は、混合気体から特定の気体を濾過するだけでなく、気体中に浮遊する粒子を除去する処理にも用いることができる。例えば、ウイルスの除去に利用できる。ノロウイルスを例に挙げると、ノロウイルスの大きさは約30nmであり、気体は分子径1nm以下と考えられるので、多孔体として細孔径25nmのセルロース混合エステル製メンブレンフィルタを使用することができる。この場合の大気圧(平均自由行程68nm)でのクヌセンKn数は約2.7である。前述したように、クヌセン数Knが0.1以上の範囲で質量流量の大きな向上が望めるので、2.7MPaまで加圧して、ウイルスの除去を行う。
加圧による質量流量の向上は、前述のようにクヌセン数Knが0.1以下となると十分な効果が得られなくなる。多孔体膜の細孔径が680nmのとき、大気圧においてクヌセン数Knが約0.1となる。したがって、加圧による質量流量向上の効果を得るためには、細孔径は680nm未満でなくてはならない。
図6は、さらに他の実施形態の気体濾過装置70の構成を示す図である。前述した気体濾過装置10,60と同様の構成要素については、同一の符号を付し説明を省略する。気体濾過装置70においては、第2室18から第1室に気体を戻すことが可能である。気体濾過装置70は、第1供給管24の、分岐管62との分岐点より上流側に配置された第2閉止バルブ72を有する。第2閉止バルブ72を閉じ、第1閉止バルブ64を開くことによって、分岐管62と第1供給管24の一部が、第2室18から第1室16へ気体を戻す配管として機能する。なお、第1ポンプ20が停止時において、逆流を阻止する機能を有していれば、第2閉止バルブ72は不要である。
気体濾過装置70の動作について説明する。第1および第2閉止バルブ64,72を開き、第1ポンプ20により浮遊粒子が混入した気体を第1室16および第2室18に供給し、所定の圧力に加圧する。次に、第2閉止バルブ72を閉じ、ヒータ38により多孔体膜14を加熱する。加熱により、多孔体膜14に熱遷移流が発生し、気体が第1室16から第2室に送られる。このとき、浮遊粒子は多孔体膜14を通過できずに第2室に送られる気体から除去される。熱遷移流により第1室16内の気体が減少すると、これを補うように第2室18から分岐管64および第1供給管24を通って第1室16に気体が戻る。この戻る気体には浮遊粒子が混入している。気体が第1室16と第2室18の間で循環する間に、浮遊粒子は多孔体膜14に捉えられ、気体中に浮遊する粒子がなくなる。この状態で、第1閉止バルブ64を閉じ、第2閉止バルブ72を開き、第1ポンプから新たな気体を第1室16に供給する。第2室18内は、すでに浮遊粒子がなくなった状態となっているので、以降、連続的に清澄な気体が放出される。
気体濾過装置70においては、開始時に第2室18に気体を供給する配管(分岐管62)を第2室18から第1室16に気体を戻す配管として利用している。しかし、分岐管62とは別に、第2室18から第1室16に気体を戻す配管を設けてもよい。この配管にも閉止バルブを設け、気体の循環が必要なくなったときには、この閉止バルブを閉めるようにする。
10 気体濾過装置、14 多孔体膜、16 第1室、18 第2室、20 第1ポンプ、22 第2ポンプ、28 第1レギュレータ、32 第2レギュレータ、36 閉止バルブ。

Claims (9)

  1. 混入物を含む第1の気体を収容する第1室と、
    第1の気体を収容する第2室と、
    第1室と第2室を隔て、第1の気体の分子径より大きく、かつ混入物の径より小さな径の細孔を有する多孔体膜と、
    多孔体膜の第2室に対向する面の温度を、多孔体膜の第1室に対向する面の温度より高くする温度差生成装置と、
    多孔体膜内において第1の気体に関するクヌセン数が0.1以上となる圧力の範囲で第1室の圧力と第2室の圧力を加圧する加圧装置と、
    を有する、気体濾過装置。
  2. 前記混入物が第2の気体である、請求項1に記載の気体濾過装置。
  3. 前記混入物が第1の気体中の浮遊粒子である、請求項1に記載の気体濾過装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の気体濾過装置であって、加圧装置が、第1室の圧力と第2室の圧力を等しい状態に維持しつつ加圧を行う、気体濾過装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の気体濾過装置であって、
    加圧装置が、混入物を含む第1の気体を第1室に供給する供給装置と、濾過された第1の気体を第2室から排出する排出装置を含む、
    気体濾過装置。
  6. 多孔体膜により隔てられた第1室および第2室を形成するステップと、
    第1室に混入物を含む第1の気体を収容し、第2室に第1の気体を収容するステップと、
    多孔体膜内において第1の気体に関するクヌセン数が0.1以上となる圧力の範囲で第1室の圧力と第2室の圧力を加圧するステップと、
    多孔体膜の第2室に対向する面の温度を、多孔体膜の第1室に対向する面の温度よりも高くして多孔体膜に熱遷移流を発生させるステップと、
    を有し、
    多孔体膜は、第1の気体の分子径より大きく、かつ混入物の径より小さな径の細孔を有する、気体濾過方法。
  7. 前記混入物が第2の気体である、請求項5に記載の気体濾過方法。
  8. 前記混入物が気体中の浮遊粒子である、請求項5に記載の気体濾過方法。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の気体濾過方法であって、前記加圧するステップにおいて、第1室の圧力と第2室の圧力を互いに等しい状態に維持される、気体濾過方法。
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